(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】セリウム、ジルコニウム、アルミニウム及びランタンから製造される自動車用触媒コンバーターのための耐老化性混合酸化物
(51)【国際特許分類】
C01G 25/00 20060101AFI20220801BHJP
B01J 32/00 20060101ALI20220801BHJP
B01J 21/06 20060101ALI20220801BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20220801BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20220801BHJP
C01G 27/00 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
C01G25/00
B01J32/00
B01J21/06 A
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/10 A
C01G27/00
(21)【出願番号】P 2019534180
(86)(22)【出願日】2017-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2017084379
(87)【国際公開番号】W WO2018115436
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-11-20
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イタニ, ラマ
(72)【発明者】
【氏名】エルナンデス, ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】サウスワード, バリー
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-521538(JP,A)
【文献】特表2016-528025(JP,A)
【文献】特表2014-520741(JP,A)
【文献】特表2014-534938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 25/00
C01G 27/00
B01J 21/00
B01D 53/00
F01N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムと、ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、任意選択的にセリウム及びランタン以外の少なくとも1種の希土類金属との混合酸化物であって、前記混合酸化物の総重量に対する酸化物換算として表される、これらの元素の重量割合が以下の通り:
・20%~60%のアルミニウム;
・15%~35%のセリウム;
・1%~10%のランタン;
・前記混合酸化物がセリウム及びランタン以外の2種以上の希土類金属を含む条件では、0~10%の、セリウム及びランタン以外の前記希土類金属であって、この割合はこれらの希土類金属のそれぞれに適用され、これらの希土類金属の割合の合計は15%未満にとどめられるセリウム及びランタン以外の前記希土類金属;
・15%~50%のジルコニウム;
である混合酸化物であって、
1100℃の温度で5時間
空気中で焼成した後、
・前記混合酸化物のX線ダイアグラムが、セリウムジルコニウム酸化物から構成される結晶相について単一ピークのみを有し、その最大が28°~32°の2θ角に位置しており、
・セリウムジルコニウム酸化物から構成される前記結晶相の結晶子の平均サイズが最大30nmであり、
・前記混合酸化物のBET比表面積が少なくとも35m
2/gであることを特徴とし;
950℃の温度で4時間
空気中で焼成した後、
・窒素ポロシメトリーデータから得られた100nm以下のサイズの細孔によって発現した前記混合酸化物の細孔容積が0.30ml/g以上であり、
・水銀ポロシメトリーデータから得られる前記混合酸化物の総細孔容積が2.0ml/g以下であることを特徴とする;
混合酸化物。
【請求項2】
アルミニウムと、ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、任意選択的にイットリウム、ネオジム、又はプラセオジムから選択されるセリウム及びランタン以外の少なくとも1種の希土類金属とを主体とし、これらの重量割合が以下の通り:
・27%~33%のアルミニウム;
・24%~32%のセリウム;
・3%~6%のランタン;
・前記混合酸化物がセリウム及びランタン以外の2種以上の希土類金属を含む条件では、3%~6%の、セリウム及びランタン以外の前記希土類金属であって、この割合はこれらの希土類金属のそれぞれに適用される、セリウム及びランタン以外の前記希土類金属;
・31%~37%のジルコニウム;
であり、以下の特徴:
・1100℃の温度で5時間
空気中で焼成した後、セリウムジルコニウム酸化物から構成される前記結晶相の前記結晶子の平均サイズが、最大で20n
mであり;
・950℃の温度で4時間
空気中で焼成した後、前記窒素ポロシメトリーデータから得られる100nm以下のサイズの前記細孔によって発現する前記混合酸化物の細孔容積が0.35ml/g以上である;
を有する、請求項1に記載の混合酸化物。
【請求項3】
アルミニウムと、ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、任意選択的にイットリウム、ネオジム、又はプラセオジムから選択されるセリウム及びランタン以外の少なくとも1種の希土類金属とを主体とし、これらの割合が以下の通り:
・40%~60%のアルミニウム;
・15%~25%のセリウム;
・2%~6%のランタン;
・前記混合酸化物がセリウム及びランタン以外の2種以上の希土類金属を含む条件では、3%~6%の、セリウム及びランタン以外の前記希土類金属であって、この割合はこれらの希土類金属のそれぞれに適用される、セリウム及びランタン以外の前記希土類金属;
・15%~30%のジルコニウム;
であり、次の特徴:
・1100℃の温度で5時間
空気中で焼成した後、前記混合酸化物の前記BET比表面積が少なくとも50m
2/
gである;
・950℃の温度で4時間
空気中で焼成した後、前記窒素ポロシメトリーデータから得られる100nm以下のサイズの前記細孔によって発現する前記混合酸化物の前記細孔容積が0.40ml/g以
上である;
を有する、請求項1に記載の混合酸化物。
【請求項4】
ハフニウムも含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合酸化物。
【請求項5】
前記混合酸化物中のハフニウムの重量割合が、前記混合酸化物の総重量に対する酸化物換算として表される2.0%以下であることを特徴とする、請求項4に記載の混合酸化物。
【請求項6】
セリウム及びランタン以外の前記希土類金属が、イットリウム、ネオジム、又はプラセオジムから選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の混合酸化物。
【請求項7】
酸化物形態で表されるジルコニウム及びアルミニウムの合計の割合が50%以上であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の混合酸化物。
【請求項8】
1100℃で5時間
空気中で焼成した後、R<1.0の比を有し、Rは以下の式:
(式中:
・ I
Al2O3はγ-アルミナのシグナル強度を表し、その最大値は2θ角=67°±1に位置し;
・ I
CZはセリウムジルコニウム酸化物から構成される結晶相のシグナルの強度を表し、その最大値は、28°~32°の2θ角に位置し;
・ Al
2O
3重量%は酸化物換算で表したアルミニウムの重量割合を表す)
によりX線回折データから決定される、請求項1~7のいずれか1項に記載の混合酸化物。
【請求項9】
950℃で4時間
空気中で焼成後の前記混合酸化物の前記比表面積が、少なくとも75m
2/
gであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の混合酸化物。
【請求項10】
950℃で4時間
空気中で焼成した後に、0.25以上、又は0.4以上、又は0.5以上、又は0.6以上の粉末かさ密度を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の混合酸化物。
【請求項11】
前記混合酸化物が、1.0~50.0μm、又は5.0~40.0μmの平均径d
50を有する粉末の形態であり、d
50は体積分布にわたるレーザー回折によって決定されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の混合酸化物。
【請求項12】
水銀ポロシメトリーにより測定される前記混合酸化物の前記細孔分布が、950℃で4時間
空気中で焼成した後に、100nm未満の直径を有する前記細孔の領域内に、10~30nmのピークD
pに直径を有するピークを有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の混合酸化物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の混合酸化物の調製方法であって、以下の工程:
-(a1)セリウム、ジルコニウム、ランタン、並びに任意選択的にセリウム及びランタン以外の希土類金属の前駆体の酸性水溶液であって、その中にアルミニウム水和物が分散されている酸性水溶液を、塩基性水溶液が入っている撹拌されている槽の中に入れる工程;
-(a2)工程(a1)の終わりに得られた析出物分散液を任意選択的に加熱する工程;
-(a3)工程(a1)又は工程(a2)で得られた前記分散液にテクスチャー付与剤を添加する工程;
-(a4)工程(a3)の前記分散液の固体を固液分離により回収し、任意選択的に洗浄する工程;
-(a5)工程(a4)の終わりに得られた前記固体を任意選択的に乾燥する工程;
-(a6)工程(a4)又は工程(a5)の終わりに得られた前記固体を、前記混合酸化物を得るために700℃~1100℃の温度で
空気中で焼成する工程;
-(a7)工程(a6)において得られた前記混合酸化物を任意選択的に粉砕する工程:
を含む、方法。
【請求項14】
前記前駆体溶液が硝酸塩の形態又は塩化物の形態の前駆体のみから調製される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1種の無機物質との混合物としての、請求項1~12のいずれか1項に記載の混合酸化物を含有する組成物。
【請求項16】
前記無機物質が、アルミナ、チタン酸化物、セリウム酸化物、ジルコニウム酸化物、シリカ、スピネル、ゼオライト、シリケート、結晶性リン酸ケイ素アルミニウム、又は結晶性リン酸アルミニウムから選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか1項に記載の混合酸化物から又は請求項15若しくは16に記載の組成物から製造される、固体支持体の表面に設けられた触媒活性ウォッシュコート。
【請求項18】
請求項17に記載のウォッシュコートを含む、自動車の排気ガスを処理するための触媒コンバーター。
【請求項19】
請求項1~12のいずれか1項に記載の混合酸化物の、触媒コンバーター製造のための使用。
【請求項20】
請求項17に記載のウォッシュコートを含む触媒コンバーターを使用することを特徴とする、内燃機関からの排気ガスの処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酷な老化条件の後に優れた熱安定性及び優れた触媒活性を保持する触媒を調製することを可能にする、アルミニウムと、ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、任意選択的にセリウム及びランタン以外の少なくとも1種の希土類金属との混合酸化物に関する。本発明は、この混合酸化物の調製方法及びこの混合酸化物から調製される触媒を使用して内燃機関からの排気ガスを処理するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
「多機能性」触媒が現在、内燃エンジンからの排気ガスの処理(自動車再燃触媒反応)のために使用されている。多機能性は、特に、排気ガス中に存在する一酸化炭素及び炭化水素の酸化のみならず、特に、これらのガス中にまた存在する窒素酸化物の還元をも実施することができる触媒(「三元」触媒)を意味すると理解される。
【0003】
触媒は、貴金属(例えばPd、Pt、Rh)とそれが分散しているウォッシュコートとの相互作用により生じる。ウォッシュコートは、典型的には、2つの粉末状固体材料と、セリウム-及びジルコニウム-を主体とする混合酸化物と、しばしばアルミナである無機材料とから形成された水性分散液から得られる。セリウム-及びジルコニウム-を主体とする混合酸化物は、酸素吸蔵体(又は「OSC」(酸素吸蔵容量))として機能する。
【0004】
ウォッシュコートを調製するために2つの固体材料を物理的に混合することの1つの代替方法は、析出法によってアルミニウムと、セリウムと、ジルコニウムとを主体とする複合材料を形成することである。このようにして調製される複合材料は、物理的混合物よりも均一であり、ウォッシュコートの調製中に物理的混合工程なしで済ますことを可能にする。そのため、本発明による混合酸化物は、従来使用されているセリウムを主体とする組成物及びジルコニウムを主体とする組成物、並びに前記組成物と混合されるアルミナの全部又は一部も置き換えることができる。
【0005】
請求項1に記載の複合材料は、そのような折り合いを目標としている。本発明の他の特徴、詳細及び利点は、本説明及び添付図面を読むと更により十分に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】3つの温度:(a)1100℃(5時間);(b)1000℃(4時間);(c)950℃(4時間);で焼成した実施例1からの混合酸化物のX線画像(強度対2θ角)を表す。
【
図2】950℃で4時間焼成した実施例1の混合酸化物のポログラム(水銀ポロシメトリー)を表す。
【
図3】窒素空隙率を決定するために使用される相対圧力の表を表す。
【0007】
定義
空隙率に関するデータは、孔径(D)の関数として細孔容積(V)を定義することを可能にする水銀又は窒素のポロシメトリー手法によって得た。水銀圧入ポロシメトリーは、規格ASTM D4284-83(「水銀圧入ポロシメトリーにより触媒の細孔容積分布を決定するための標準方法(Standard method for determining pore volume distribution of catalysts by mercury intrusion porosimetry)」)に従って得られる。製造業者により推奨される指示に従うことによって粉末ペネトロメーターを備えたMicromeritics Autopore IV 9500装置を用いることができる。
【0008】
比表面積は、窒素吸着によって得られるBET比表面積を意味すると理解される。これは、BRUNAUER-EMMETT-TELLER法を使用して決定される。この方法は、特に、雑誌「The Journal of the American Chemical Society,60,309(1938)」の中に記載されている。規格ASTM D3663-03の推奨に従うことも可能である。以降において、省略形ST(℃)/x(h)は、x時間の期間、℃単位で表される、温度Tでの組成物の焼成後にBET法によって得られる組成物の比表面積を意味するために用いられる。例えば、S1000℃/4hは、1000℃で4時間それを焼成した後の組成物のBET比表面積を意味する。所定の温度及び所定の期間についての焼成は、特に明記しない限り、固定温度で示された期間にわたっての空気中での焼成に相当する。
【0009】
窒素吸着によって比表面積及び細孔分布を決定するために、製造業者によって推奨されている指示に従いながら、MicromeriticsのTristar IIの範囲(3000又は3020)からの装置を使用することができる。試料は200℃で2時間前処理される。
【0010】
水銀又は窒素の空隙率データから、logDの関数としての関数Vの導関数(dV/dlogD)を表す曲線(C)を得ることが可能である。導関数曲線(C)は、Dpと表される直径にそれぞれ位置する1つ以上のピークを示し得る。これらのデータから、混合酸化物の空隙率に関する以下の特徴を得ることも可能である:
・累積曲線上で読み取られるポロシメトリーデータから得られるml/g単位での総細孔容積(Vtotalで表される);
・累積曲線上で読み取られるポロシメトリーデータから得られる100nm以下(V<100nm)のサイズの細孔によって発現したml/g単位での細孔容積。
【0011】
希土類金属は、イットリウムと、57~71(両端を含む)の原子番号の周期表の元素とからなる群の元素を意味すると理解される。
【0012】
割合は、特に明記しない限り、酸化物の重量として示される。これらの計算では、セリウム酸化物は酸化セリウムの形態であり、他の希土類金属の酸化物はREM2O3の形態であるとみなされ、REMはPr6O11の形態で表されるプラセオジムを除いた希土類金属を表す。ジルコニウム酸化物及びハフニウム酸化物は、ZrO2及びHfO2の形態である。アルミニウムはAl2O3の形態で存在する。
【0013】
本説明の継続のために、特に明記しない限り、与えられる値の範囲において、境界値は含められることが明記される。
【0014】
詳細な説明
本発明による混合酸化物に関しては、後者は、アルミニウムと、ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、任意選択的にセリウム及びランタン以外の少なくとも1種の希土類金属(REMと表される)との混合酸化物であって、混合酸化物の総重量に対する酸化物換算として表される、これらの元素の重量割合が:
・20%~60%のアルミニウム、
・15%~35%のセリウム、
・1%~10%のランタン、
・混合酸化物がセリウム及びランタン以外の2種以上の希土類金属を含む条件では、0~10%の、セリウム及びランタン以外の希土類金属(この割合はこれらの希土類金属のそれぞれに適用され、これらの希土類金属の割合の合計は15%未満にとどめられる)、
・15%~50%のジルコニウム、
であり;
1100℃の温度で5時間焼成した後、
・混合酸化物のX線ダイアグラムが、セリウムジルコニウム酸化物から構成される結晶相について単一ピークのみを有し、その最大が28°~32°の2θ角に位置しており、
・セリウムジルコニウム酸化物から構成される結晶相の結晶子の平均サイズが最大30nmであり、
・混合酸化物のBET比表面積が少なくとも35m2/gであることを特徴とし;
950℃の温度で4時間焼成した後、
・窒素ポロシメトーデータから得られる100nm以下のサイズの細孔によって発現した混合酸化物の細孔容積が0.30ml/g以上であり、
・水銀ポロシメトリーデータから得られる混合酸化物の総細孔容積が2.0ml/g以下であることを特徴とする、混合酸化物である。
【0015】
混合酸化物において、上述した元素Al、Ce、La、REM、及びZrは、通常酸化物の形態で存在する。そのため、混合酸化物は酸化物の混合物として定義される。しかしながら、これらの元素が少なくとも部分的に水酸化物の又はオキシ水酸化物の形態で存在できることは排除されない。これらの元素の割合は、実験室で通常行われている分析手法、特にプラズマトーチ及びX線蛍光を用いて決定することができる。これらの元素の割合は、混合酸化物の総重量に対する酸化物換算の重量で与えられる。
【0016】
混合酸化物は、示された割合で上述の元素を含むが、それはまた、例えば、不純物などの他の元素を含み得る。不純物は、出発原料に又は使用される出発反応剤に由来し得る。混合酸化物の総重量に対する重量として表される不純物の合計割合は、通常は2%未満、又は更には1%未満である。混合酸化物はまた、天然鉱石中のジルコニウムに関連して一般に存在する、ハフニウムも含み得る。ジルコニウムに対するハフニウムの割合は、ジルコニウムが抽出される鉱石に依存する。そのため、いくつかの鉱石中のZr/Hf重量割合は、約50/1程度であり得る。そのため、例えば、バデレアイトは、2%のハフニウム酸化物に対しておおよそ98%のジルコニウム酸化物を含有する。ジルコニウムのように、ハフニウムは通常は酸化物の形態で存在する。しかしながら、これが少なくとも部分的に水酸化物又はオキシ水酸化物形態で存在できることは排除されない。混合酸化物中のハフニウムの重量割合は、混合酸化物の総重量に対する酸化物換算として2.0%以下であってもよい。不純物及びハフニウムの割合は、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を用いて決定することができる。
【0017】
本発明による混合酸化物では、上述した元素が均質に混合されており、これが固体形態の酸化物の単純な機械的混合物とこの混合酸化物とを区別する。均質混合物は、アルミニウム水和物の存在下での混合酸化物の構成元素の析出によって得られる。
【0018】
セリウムの重量割合は、15%~35%、より具体的には20%~33%、更により具体的には20%~30%、更には25%~30%である。
【0019】
ランタンの重量割合は、1%~10%、より具体的には1%~6%、更には2%~6%である。
【0020】
混合酸化物は、セリウム又はランタン以外の1種以上の希土類金属(REM)も含んでいてもよい。希土類金属は、例えばイットリウム、ネオジム、又はプラセオジムから選択されてもよい。混合酸化物は、例えば単一のREMのみを0~10%の割合で含んでいてもよい。混合酸化物は2種以上のREMも含んでいてもよく、この場合、0~10%の割合が各REMに適用され、これらの希土類金属REMの割合の合計は15%未満、又は10%未満、更には8%未満にとどめられる。
【0021】
混合酸化物はジルコニウムも含む。ジルコニウムの重量割合は、15%~50%、より具体的には20%~45%、更に具体的には25%~40%、更には30%~40%であってもよい。
【0022】
混合酸化物はアルミニウムも含む。アルミニウムの重量割合は、20%~60%、より具体的には25%~60%、更に具体的には25%~50%、更には30%~40%であってもよい。
【0023】
有利には、混合酸化物はアルミニウム及びジルコニウムを含み、酸化物形態で表されるこれら2つの元素の合計の割合は50%以上である。
【0024】
混合酸化物は、1100℃で5時間焼成した後、これがセリウムジルコニウム酸化物から構成される単結晶相のみを含むという事実によって特徴付けられる。セリウムジルコニウム酸化物から構成される結晶相は、セリウム及びジルコニウムの2種の酸化物を含み、またランタンと、任意選択的にセリウム及びランタン以外の希土類金属も含んでもよい。そのため、混合酸化物のX線ダイアグラムは、この結晶相について単一ピークのみを有し、その最大は28°~32°の2θ角に位置する(線源:CuKα1、λ=1.5406オングストローム)。これは、セリウムジルコニウム酸化物から構成される結晶子が、1100℃で集中的に熱処理した後であっても、組成に関して均一であるという事実を反映している。この均一性は、通常、セリウムの優れた還元特性によって、或いは優れた酸素移動性によって表される。
【0025】
更に、1100℃で5時間焼成した後、この結晶相の結晶子の平均サイズは、最大30nm、又は最大25nm、更には最大20nmである。結晶子の平均サイズは、X線回折法によって決定され、Scherrerモデルを使用して28°~32°の回折線2θの幅から計算されるコヒーレントドメインのサイズに対応する:
t:結晶子サイズ
k:0.9に等しい形状係数
λ(ラムダ):入射光線の波長(λ=1.5406オングストローム)
H:回折線の半値全幅
s:使用される装置及び2θ(シータ)角に依存する装置の光学欠陥による幅;
θ:ブラッグ角
【0026】
1100℃で5時間焼成した後、混合酸化物はR<1.0の比も有することができ、Rは以下の式によりX線回折データから決定される:
(式中、
・I
Al2O3はγ-アルミナのシグナル強度を表し、その最大値は2θ角=67°±1に位置し;
・I
CZはセリウムジルコニウム酸化物から構成される結晶相のシグナルの強度を表し、その最大値は、28°~32°の2θ角に位置し;
・Al
2O
3重量%は酸化物換算で表したアルミニウムの重量割合を表す)。
【0027】
本発明による混合酸化物は大きい比表面積も有する。表面積S1100°C/5hは、少なくとも35m2/g、より具体的には少なくとも38m2/g、更に具体的には少なくとも40m2/gであってもよい。この表面積は、50%を超える、又は55%を超えるアルミニウムの割合については65m2/gに到達し得る。この表面積は、50%未満のアルミニウムの割合については60m2/gに到達し得る。
【0028】
表面積S950℃/4hは、少なくとも75m2/g、より具体的には少なくとも80m2/gであり得る。この表面積は110m2/gに到達し得る。
【0029】
950℃で4時間焼成した後、窒素ポロシメトリーデータから得られる100nm以下のサイズの細孔によって発現する細孔容積は、0.30ml/g以上、又は0.35ml/g以上、又は更には0.40ml/g以上である。この細孔容積は1.00ml/gに達し得る。
【0030】
更に、950℃で4時間焼成した後、水銀ポロシメトリーデータから得られる総細孔容積は、2.0ml/g以下、又は1.65ml/g以下、又は1.45ml/g以下、又は更には1.25ml/g以下であってもよい。この総細孔容積は0.70ml/gに匹敵し得る。水銀ポロシメトリーにより測定される混合酸化物の細孔分布は、950℃で4時間焼成した後に、100nm未満の直径を有する細孔の領域内に、10~30nmのピークDpに直径を有するピークを有し得る。この細孔範囲において、このピークは特有な場合がある。
【0031】
混合酸化物は、950℃で4時間焼成した後に、0.25以上、又は0.4以上、又は0.5以上、又は0.6以上の粉末かさ密度も有する。この密度を測定するための条件は下で示される。この密度は1.0に到達し得る。
【0032】
アルミニウムと、ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、任意選択的にセリウム及びランタン以外の少なくとも1種の希土類金属(REMで表される)とを主体とする本発明による特定の混合酸化物の重量割合は:
・27%~33%のアルミニウム;
・24%~32%のセリウム;
・3%~6%のランタン;
・混合酸化物がセリウム及びランタン以外の2種以上の希土類金属を含む条件では、3%~6%の、セリウム及びランタン以外の希土類金属(この割合はこれらの希土類金属のそれぞれに適用される);
・31%~37%のジルコニウム;
であり、以下の特徴を有する:
・1100℃の温度で5時間焼成した後、セリウムジルコニウム酸化物から構成される結晶相の結晶子の平均サイズは、最大で20nm、より具体的には13~20nmであり;
・950℃の温度で4時間焼成した後、窒素ポロシメトリーデータから得られる100nm以下のサイズの細孔によって発現する混合酸化物の細孔容積は0.35ml/g以上である。
【0033】
この混合酸化物の表面積S1100°C/5hは、35~42m2/gであってもよい。この混合酸化物については、950℃で4時間焼成した後の粉末かさ密度は0.4~0.6であってもよい。この混合酸化物は、アルミニウム、ジルコニウム、セリウム、ランタン、イットリウム、及びネオジムを主体としていてもよい。
【0034】
アルミニウム、ジルコニウム、セリウム、ランタン、並びに任意選択的にセリウム及びランタン以外の少なくとも1種の希土類金属(REMで表される)を主体とする本発明による別の特定の混合酸化物の重量割合は:
・40%~60%のアルミニウム;
・15%~25%のセリウム;
・2%~6%のランタン;
・混合酸化物がセリウム及びランタン以外の2種以上の希土類金属を含む条件では、3%~6%の、セリウム及びランタン以外の希土類金属(この割合はこれらの希土類金属のそれぞれに適用される);
・15%~30%のジルコニウム;
であり、以下の特徴を有する:
・1100℃の温度で5時間焼成した後、混合酸化物のBET比表面積が少なくとも50m2/g、より具体的には50~65m2/gであり;
・950℃の温度で4時間焼成した後、窒素ポロシメトリーデータから得られる100nm以下のサイズの細孔によって発現する混合酸化物の細孔容積が0.40ml/g以上、より具体的には0.40~0.70ml/gである。
【0035】
この別の混合酸化物については、1100℃の温度で5時間焼成した後、セリウムジルコニウム酸化物からなる結晶相の結晶子の平均サイズは、15~30nmであってもよい。950℃の温度で4時間焼成した後、水銀ポロシメトリーデータから得られるこの別の混合酸化物の総細孔容積は、1.20~1.70ml/gであってもよい。この別の混合酸化物は、アルミニウム、ジルコニウム、セリウム、ランタン、イットリウム、及びネオジムを主体としていてもよい。
【0036】
上述した2種の具体的な混合酸化物について、REMに関する3~6%の割合は、混合酸化物が単一のREMのみを含む場合に適用される。混合酸化物が2種以上のREMを含む場合、この3~6%の割合はこれらREMのそれぞれに適用される。
【0037】
上述した本発明による混合酸化物(2種の具体的な混合酸化物の形態を含む)の特徴は、粉砕前だけでなく粉砕後に得られる混合酸化物にも適用される。「粉砕」という用語は、固体を分割することからなる機械的操作を意味すると理解される。粉砕された又は未粉砕の混合酸化物は、1.0~50.0μm、又は5.0~40.0μmの平均径d50を有する粉末の形態であってもよく、d50は体積分布にわたるレーザー回折によって決定される。
【0038】
d50は、レーザー回折手法によって得られる粒径の体積分布から決定される、統計学において通常理解されているようなメジアン径に相当する。したがって、これは、分布体積による累積曲線上で粒子の50%がd50よりも大きい直径を有し、粒子の50%がd50よりも小さい直径を有する値である。このような分布を得るためには、製造元の推奨に従って、及び製造元のソフトウェアを使用して、Coulter Counter LSを使用することができる。測定は、任意選択的には分散剤の存在下で、水中で行うことができる。
【0039】
本発明による混合酸化物の調製方法に関しては、これは、以下の工程を含む:
-(a1)中にアルミニウム水和物が分散されている、セリウム、ジルコニウム、ランタン、並びに任意選択的にセリウム及びランタン以外の少なくとも1種の希土類金属の前駆体の酸性水溶液を、塩基性水溶液が入っている撹拌されている槽の中に入れる工程;
-(a2)工程(a1)の終わりに得られた析出物分散液を任意選択的に加熱する工程;
-(a3)工程(a1)又は工程(a2)で得られた分散液にテクスチャー付与剤を添加する工程;
-(a4)工程(a3)の分散液の固体を固液分離により回収し、任意選択的に洗浄する工程;
-(a5)工程(a4)の終わりに得られた固体を任意選択的に乾燥する工程;
-(a6)工程(a4)又は工程(a5)の終わりに得られた固体を、混合酸化物を得るために700℃~1100℃の温度で焼成する工程;
-(a7)工程(a6)において得られた混合酸化物を任意選択的に粉砕する工程。
【0040】
工程(a1)では、例えばアルミニウム一水和物などのアルミニウム水和物が中に分散されている、セリウムと、ジルコニウムと、ランタンと、任意選択的にセリウム及びランタン以外の1種以上の希土類金属との前駆体を含む水溶液(「前駆体溶液」)が使用される。この混合物は、以降「前駆体混合物」という用語で表される。
【0041】
与えられた元素についての「前駆体」という用語は、対象の元素の塩又は化合物を意味する。前駆体は、例えば、この元素の硝酸塩又は塩化物であってもよい。ジルコニウム前駆体は、結晶性ジルコニウム硝酸塩であってもよい。ジルコニウム前駆体は、塩基性炭酸ジルコニウム又は水酸化ジルコニウムを硝酸で溶解させることによっても得ることができる。この酸による攻撃は好ましくは、1.4~2.3のNO3
-/Zrモル比で行うことができる。したがって、炭酸塩の攻撃によって生じる、利用可能な硝酸ジルコニウム溶液は、260~280g/lの、ZrO2として表される濃度を有し得る。例えば、炭酸塩の攻撃により得られる実施例1において使用される硝酸ジルコニル溶液は268g/lの濃度を有する。
【0042】
セリウム源のためには、例えばCeIII塩化物、CeIII若しくはCeIVの硝酸塩又は硝酸セリウムアンモニウムなどのCeIII又はCeIVの塩を使用することができ、これらは本明細書において特に適している。硝酸セリウム又は硝酸セリウムを使用することができる。硝酸セリウム水溶液は、例えば、過酸化水素水溶液の存在下で、硝酸と、水和酸化セリウム(例えば硝酸セリウムなどのセリウム塩の溶液とアンモニア溶液との反応によって通常調製される)との反応によって得ることができる。好ましくは、この場合に有利な出発原料を構成する、仏国特許出願公開第A-2570087号明細書に記載されているように硝酸セリウム溶液の電解酸化プロセスに従って得られる硝酸セリウム溶液を使用することもできる。この方法で、有利な出発原料を構成し得る、0.90以上のCeIV/Ceの総量のモル比の硝酸セリウム溶液を得ることが可能である。
【0043】
ランタン前駆体は、ランタンの塩化物又は硝酸塩であってもよい。セリウム及びランタン以外の希土類金属の前駆体は、硝酸塩又は塩化物であってもよい。例えば、これはプラセオジム硝酸塩、ネオジム硝酸塩、イットリウム塩化物YCl3、又はイットリウム硝酸塩Y(NO3)3であってもよい。
【0044】
一実施形態によれば、前駆体溶液は硝酸塩の形態の前駆体からのみ調製される。
【0045】
別の実施形態によれば、前駆体溶液は、ジルコニウム塩化物、セリウム塩、ランタン塩、並びに任意選択的にセリウム及びランタン以外の1種以上の希土類金属の塩を含む。より具体的には、この実施形態によれば、前駆体溶液は塩化物の形態の前駆体からのみ調製される。更にこの実施形態によれば、前駆体溶液が硫酸アニオンを含むことも可能である。前駆体溶液中のSO4
2-/(Ce+Zr)のモル比は、0.4~2.0、好ましくは0.7~1.5であってもよい。SO4
2-アニオンは、硫酸又は硫酸塩の添加によって供給することができる。
【0046】
前駆体溶液は、塩基又は酸を添加することによって調整することができる特定の初期遊離酸度を有する。遊離酸度の調整は、アルミニウム水和物の物理化学的特性の大きすぎる変更を回避しながらも、水溶液中にアルミニウム水和物を分散させるのに役立ち得る。しかしながら、上述したように特定の遊離酸度を効果的に有する初期溶液、及びその前に多かれ少なかれ徹底的に中和された溶液を使用することも同様に可能である。この中和は、析出を避けながらもこの酸度を抑えるように溶液へ塩基性化合物を添加することによって行うことができる。この塩基性化合物は、例えば、アンモニア溶液又は更にはアルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)水酸化物の溶液であってもよい。有利にはアンモニア溶液を使用することができる。
【0047】
分散液の形態の前駆体混合物を得るために、アルミニウム水和物は前駆体の溶液に撹拌しながら添加される。
【0048】
前駆体混合物は、CeIII及び/又はCeIVを含有する。工程(a5)の前のプロセス中に、例えば過酸化水素水溶液などの酸化剤を含めることが可能であることに留意されたい。過酸化水素水溶液は、好ましくは前駆体混合物又は前駆体の溶液に添加される。H2O2/CeIIIのモル比は、0.0~8.0、好ましくは0.1~3.0であってもよい。過酸化水素水溶液の添加は、本発明による混合酸化物を得るために工程(a3)において添加されるテクスチャー付与剤の量を減らすことを可能にする。
【0049】
少なくとも99.0重量%、より具体的には少なくとも99.5%重量%の純度の塩を使用することが有利である。
【0050】
前駆体溶液は、水中で、任意の順序で前駆体を溶解させることによって、或いは前駆体の溶液を混合することによって得ることができる。
【0051】
工程(a1)において、前駆体混合物は、析出物を得るために塩基性水溶液が入っている撹拌されている槽に入れられる(いわゆる「逆」析出)。塩基性水溶液に溶解される塩基性化合物は、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物などの水酸化物であってもよい。第二級、第三級又は第四級アミン、並びにアンモニアも使用されてもよい。下で記載される実施例におけるように、アンモニア水溶液が使用されてもよい。実施例におけるように、例えば2mol/lの濃度のアンモニア水溶液が使用されてもよい。
【0052】
塩基性化合物は、最適且つ完全な析出を確実に行うために、前駆体溶液の全てのカチオンに対して化学量論過剰量で使用されてもよい。化学量論過剰量は、好ましくは前駆体溶液の全てのカチオンに対して少なくとも20mol%である。
【0053】
析出物の分散液が工程(a1)の終わりに得られる。
【0054】
アルミニウム水和物について
アルミニウム水和物は、任意選択的に少なくとも1種のドーパントでドープされたベーマイト又は擬ベーマイトであってもよく、ドーパントは、例えばランタン又はプラセオジムとすることができる。アルミニウム水和物は粉末又は水性懸濁液の形態であってもよい。粉末は噴霧乾燥により乾燥されていてもよい。アルミニウム水和物は、通常式AIOOH-xH2O(0≦x≦1)によって表すことができる。
【0055】
ベーマイトは、米国特許第4,154,812号明細書、特にその実施例1の教示に従って得ることができる。ベーマイトは「アルコキシド」経路によっても得ることができる。Sasol社によって工業的に使用されCondea社及びVista社によって開発されたこの経路は、Ziegler/Alfo法からの副生成物として誘導されるか、金属形態のアルミニウムのアルコール攻撃又は温浸から直接誘導されるアルミニウムアルコレート型の前駆体を使用する。これらの前駆体は、水の存在下で、通常は80℃を超える温度、典型的には90℃で加水分解されて、アルミニウム水和物を定量的に析出させる。放出されたアルコールを含有する相とアルミニウム水和物を含有する水相とを分離した後、水相は98℃で16時間熟成される。ランタン前駆体(例えば硝酸塩又は酢酸塩)が水相に添加されてもよい。次いで水相が例えば噴霧乾燥により乾燥される。この種のベーマイトは、米国特許出願公開第2013/017947号明細書の実施例B1の教示に従って合成することができる。
【0056】
ここに記載され、以降アルミニウム水和物Hと表される特定の空隙率を有するアルミニウム水和物を使用することも可能である。このアルミニウム水和物Hは、ベーマイトを主体とし、任意選択的にランタン、プラセオジム、又は2つの元素の混合物によって形成される群から選択される少なくとも1種の追加の元素を含んでいてもよく、これは900℃の温度で2時間空気中で焼成した後に以下のものを有することを特徴とする:
・20nm以下のサイズの細孔の領域における細孔容積(VP20nm-N2と表わされる)、結果としてVP20nm-N2は:
- 10%×VPT-N2以上、より具体的には15%×VPT-N2以上、更には20%×VPT-N2以上、又は更には30%VPT-N2以上であり、
- 60%×VPT-N2以下である;
・40~100nmのサイズを有する細孔の領域における細孔容積(VP40-100nm-N2と表わされる)、結果としてVP40-100nm-N2は20%×VPT-N2以上、より具体的には25%×VPT-N2以上、更には30%×VPT-N2以上である;
・VPT-N2は、空気中900℃で2時間焼成した後のアルミニウム水和物の総細孔容積を表し;
・細孔容積は窒素ポロシメトリー法により決定される。
【0057】
「ベーマイト」という用語は、ヨーロッパの命名法では、そして知られているように、ガンマオキシ水酸化物(γ-AlOOH)を意味する。本出願において、「ベーマイト」という用語は、当業者に知られている特定の結晶形を有する様々なアルミニウム水和物を意味する。そのため、ベーマイトはX線回折によって特徴付けることができる。「ベーマイト」という用語は、特定の著者によれば、ベーマイトの1つの特定の種類に似ているに過ぎず、単にベーマイトの特徴的なピークが広がっている「偽ベーマイト」も包含する。ベーマイトは、その特徴的なピークを通してX線回折により同定される。これらは、ファイルJCPDS00-021-1307(JCPDS=粉末回折標準に関する合同委員会)に示されている。ピークの頂点(020)は、特に
- ベーマイトの結晶化度;
- ベーマイトの結晶子のサイズ;
に依存して13.0°~15.0°の場合があることに留意されたい。
【0058】
Journal of Colloidal and Interface Science 2002,253,308-314又はJ.Mater.Chem.1999,9,549-553を参照することができ、これには、特定の数のベーマイトについて、ピークの位置が結晶中の層の数又は結晶子の大きさに依存して変動することが記載されている。この頂点は、より具体的には13.5°~14.5°、又は13.5°~14.485°の場合がある。
【0059】
アルミニウム水和物Hは、ランタン、プラセオジム、又はこれら2つの元素の混合物によって形成される群から選択される少なくとも1つの追加の元素を任意選択的に含んでいてもよい。この元素の割合又はこれらの元素の合計割合は、0重量%~15重量%、より具体的には0重量%~10重量%、更に具体的には0%~8%であってもよい。この割合は2%~8%であってもよい。この割合は、酸化物形態でも表される元素Al、La及び/又はPr自体の総重量に対する酸化物形態で表される元素の重量により与えられる。この割合の計算のためには、ランタン酸化物はLa2O3の形態であり、プラセオジム酸化物はPr6O11の形態であり、アルミニウム酸化物はAl2O3の形態であるとみなされる。そのため、ランタンを7%の割合で含むアルミニウム水和物Hは、それが7%に相当するLa2O3及び93%に相当するAl2O3を含むものである。アルミニウム水和物を空気中で焼成してそれをアルミナ及び追加の元素の酸化物へと変換し、次いで焼成して得られた生成物を例えば濃硝酸溶液を用いて攻撃することでその元素を溶液に溶解させる(これはその後例えばICPなどの当業者に公知の手法によって分析することができる)ことにより、追加の元素の割合を決定することが可能である。
【0060】
アルミニウム水和物Hに含まれるベーマイトは、最大6.0nm、更には最大4.0nm、また更には最大3.0nmの結晶子の平均サイズを有し得る。結晶子の平均サイズは、X線回折法によって決定され、線(020)の半値全幅から計算されるコヒーレントドメインのサイズに対応する。
【0061】
アルミニウム水和物Hは、X線回折手法によって上述したように識別可能なベーマイトと、X線回折では見えない相、特にはアモルファス相との混合物の形態であってもよい。アルミニウム水和物Hは、60%以下、より具体的には50%以下の結晶相(ベーマイト)の%を有していてもよい。この%は、40%~55%、又は45%~55%、又は45%~50%であってもよい。この%は当業者に公知の方法で決定される。この%を決定するために以下の式:%結晶化度=ピーク強度(120)/基準のピーク強度(120)×100を使用することができ、ここでアルミニウム水和物のピークの強度(120)と基準のピーク強度(120)とが比較される。本出願において使用される基準は、米国特許出願公開第2013/017947号明細書の実施例B1に対応する製品である。測定される強度は、ベースラインより上のピーク(120)の表面積に対応する。これらの強度は、5.0°~90.0°の2θ角度範囲にわたってとられるベースラインに対して回折図上で決定される。ベースラインは回折図のデータを分析するためのソフトウェアを用いて自動的に決定される。
【0062】
アルミニウム水和物Hは特定の空隙率を有する。そのため、空気中900℃で2時間焼成した後、これは20nm以下のサイズの細孔の領域における細孔容積(VP20nm-N2と表わされる)を有し、その結果VP20nm-N2は、20%×VPT-N2以上、より具体的には25%×VPT-N2以上、更には30%×VPT-N2以上である。更に、VP20nm-N2は60%×VPT-N2以下である。
【0063】
更に、空気中900℃で2時間焼成した後、アルミニウム水和物Hは、40~100nmのサイズを有する細孔の領域における細孔容積(VP40-100nm-N2と表わされる)を有し、その結果VP40-100nm-N2は15%×VPT-N2以上、より具体的には20%×VPT-N2以上、更には25%×VPT-N2以上、更には30%×VPT-N2以上である。更に、VP40-100nm-N2は65%×VPT-N2以下であってもよい。
【0064】
空気中900℃で2時間焼成した後、アルミニウム水和物Hは、0.65~1.20ml/g、より具体的には0.70~1.15ml/g、又は0.70~1.10mlの総細孔容積(VPT-N2)を有し得る。このようにして測定される細孔容積は、直径が100nm以下である細孔によって主に発現することに留意されたい。
【0065】
アルミニウム水和物Hは、少なくとも200m2/g、より具体的には少なくとも250m2/gの比表面積を有し得る。この比表面積は、200~400m2/gであり得る。
【0066】
本出願において与えられる細孔容積は、窒素ポロシメトリー法によって決定される。空隙率又は比表面積の測定のためには、試料は、揮発性の表面種(例えばH2Oなど)を除去するために高温及び/又は真空下で前処理される。例えば、試料に対して200℃で2時間熱がかけられてもよい。
【0067】
更に、空気中900℃で2時間焼成した後、アルミニウム水和物Hは少なくとも130m2/g、より具体的には少なくとも150m2/gの(BET)比表面積を有し得る。この比表面積は、130~220m2/gであり得る。940℃で2時間空気中で焼成し、引き続き1100℃で3時間空気中で焼成した後、アルミニウム水和物Hは少なくとも80m2/g、より具体的には少なくとも100m2/gの(BET)比表面積を有し得る。この比表面積は、80~120m2/gであり得る。アルミニウム水和物Hが上述したように少なくとも1つの追加の元素を含む場合、アルミニウム水和物は高い熱抵抗を有することができる。したがって、940℃で2時間空気中で焼成し、引き続き1200℃で5時間空気中で焼成した後、アルミニウム水和物は少なくとも45m2/g、より具体的には約50m2/gの(BET)比表面積を有し得る。この比表面積は、45~75m2/gであり得る。「温度x℃でy時間空気中で焼成した後、アルミニウム水和物は…を有する」という表現は、測定された空隙率(比表面積又は細孔容積)がアルミニウム水和物の焼成により得られた生成物のものであったとしても、アルミニウム水和物を特徴付けるために使用される。
【0068】
アルミニウム水和物Hは、以下の工程を含む方法によって得ることができる:
(a)
・硫酸アルミニウムと、任意選択的に硝酸塩形態の追加の元素と、硝酸とを含む水溶液(A);
・アルミン酸ナトリウム水溶液(B);
を硝酸水溶液が入っている撹拌されている槽の中に入れる工程であって、
水溶液(A)を工程(a)を通して連続的に導入し、溶液(B)の導入速度を反応混合物の平均pHが4.0~6.0、より具体的には4.5~5.5の目標値に等しくなるように調整する工程;
(b)水溶液(A)全体を導入した時に、8.0~10.5、好ましくは9.0~10.0の目標pHに達するまで水溶液(B)の導入を継続する工程;
(c)その後、反応混合物を濾過して回収した固体を水で洗浄する工程;
(d)その後、工程(c)から得られた固体を乾燥してアルミニウム水和物Hを得る工程。
【0069】
本方法の任意選択的な次の工程(a2)は、工程(a1)において得られた析出物懸濁液を加熱する工程である。この加熱は、工程(a1)の終わりに得られた反応混合物に直接行ってもよく、又は工程(a1)の反応混合物から析出物を分離し、析出物を任意選択的に洗浄し、析出物を水に戻した後に得られた懸濁液に行ってもよい。懸濁液は少なくとも60℃の温度に加熱することができる。温度は60℃~180℃であってもよい。加熱操作は、混合物を密閉型反応器(オートクレーブ型)に導入することによって行ってもよい。上に示された温度条件下で及び水性媒体中で、そのためこれは、密閉型反応器中の圧力が1bar(105Pa)超~165bar(1.65×107Pa)、好ましくは5bar(5×105Pa)~165bar(1.65×107Pa)の値の間で変動し得ることを例示として規定し得る。100℃未満の温度については開放型反応器で加熱を実施することも可能である。加熱は、空気中で又は不活性ガス(好ましくは窒素)の雰囲気下で行うことができる。加熱の継続時間は、幅広い限度、例えば20分間~48時間、好ましくは20分間~3時間で様々であってもよい。同様に、温度上昇は、決定的に重要であるわけではない速度で到達され、そのため例えば30分~4時間(これらの値は、指標として示されるにすぎない)媒体を加熱することによって設定反応温度に到達させることが可能である。その後、混合物は50℃未満の温度まで冷却される。この冷却は、混合物を自然に又は当業者に公知の冷却手段を用いて冷却させることによって行われる。
【0070】
複数の加熱操作を実施することが可能である。こうして加熱工程及び任意選択的に洗浄操作の後に得られた析出物は、水に再懸濁されてもよく、このようにして得られた媒体に対してその後別の加熱操作が行われてもよい。この別の加熱操作は、特に最初の加熱操作について上述した温度及び時間条件下で行われる。
【0071】
本方法の次の工程(a3)は、工程(a1)又は工程(a2)で得られた分散液にテクスチャー付与剤を添加することからなり、このテクスチャー付与剤の機能は混合酸化物の空隙率を制御することである。テクスチャー付与剤は、析出物の表面で化学基と相互作用する極性の化学基を含む。テクスチャー付与剤は、焼成工程(a6)後に除去される。
【0072】
テクスチャー付与剤は、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール、並びにカルボン酸及びそれらの塩、そしてまたカルボキシメチル化脂肪族アルコールエトキシレート型の界面活性剤から選択されてもよい。この添加剤に関しては、出願国際公開第98/45212号パンフレットの教示を参照することができ、この文献に記載されている界面活性剤が使用されてもよい。アニオン型の界面活性剤としては、エトキシカルボキシレート、エトキシル化脂肪酸、サルコシン酸塩、リン酸エステル、硫酸塩、例えばアルコール硫酸塩、アルコールエーテル硫酸塩及び硫酸化アルカノールアミドエトキシレート、又はスルホン酸塩、例えばスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩若しくはアルキルナフタレンスルホン酸塩を挙げることができる。
【0073】
非イオン界面活性剤としては、アセチレン系界面活性剤、アルコールエトキシレート、アルカノールアミド、アミンオキシド、エトキシル化アルカノールアミド、長鎖エトキシル化アミン、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、ソルビタン誘導体、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリグリセリルエステル及びそれらのエトキシル化誘導体、アルキルアミン、アルキルイミダゾリン、エトキシル化油、並びにアルキルフェノールエトキシレートを挙げることができる。特に、Igepal(登録商標)、Dowanol(登録商標)、Rhodamox(登録商標)及びAlkamide(登録商標)銘柄で販売されている製品を挙げることができる。
【0074】
カルボン酸に関しては、特に、脂肪族モノカルボン酸又はジカルボン酸が使用されてもよく、これらの中でも特に飽和酸を使用することができる。したがって、特に、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸又はパルミチン酸を挙げることができる。ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸を挙げることができる。脂肪酸、より具体的には飽和脂肪酸も使用することができる。これらは特に、式CH3-(CH2)m-COOH(mは、6~20、より具体的には9~15の整数である)の飽和の直鎖の酸であってもよい。述べられた酸全ての塩、特にはアンモニウム塩も使用することができる。例として、ラウリン酸及びラウリン酸アンモニウムをより具体的には挙げることができる。
【0075】
最後に、カルボキシメチル化脂肪アルコールエトキシレート型のものから選択される界面活性剤を使用することが可能である。カルボキシメチル化脂肪アルコールエトキシレート型の生成物は、鎖末端に、CH2-COOH基を含むエトキシル化若しくはプロポキシル化脂肪アルコールから構成される生成物を意味すると理解される。これらの生成物は、式:R1-O-(CR2R3-CR4R5-O)n-CH2-COOH(式中、R1は、飽和若しくは不飽和の炭素鎖を意味し、その長さは通常最大で22個の炭素原子、好ましくは少なくとも12個の炭素原子であり;R2、R3、R4、及びR5は同一であってもよく、水素を表し、或いはR2はCH3基を表してもよく、R3、R4、及びR5は水素を表し;nは50個以下、より具体的には5~15個(これらの値は両端を含む)の範囲であってもよいゼロではない整数である)に相当し得る。界面活性剤は、R1が、それぞれ、飽和であっても不飽和であってもよい上式の生成物の混合物、或いは-CH2-CH2-O-及び-C(CH3)-CH2-O-基の両方を含む生成物の混合物から構成されてもよいことに留意すべきである。
【0076】
テクスチャー付与剤は、工程(a1)又は工程(a2)から得られる分散液に添加されてもよい。これは、温度が40℃以下である分散液に添加されることが好ましい。使用されるテクスチャー付与剤の割合は、通常1%~60%、より具体的には10%~50%であり、この割合は混合酸化物に対するテクスチャー付与剤の重量パーセンテージとして表される。
【0077】
工程(a4)では、工程(a3)の分散液の固形分が固液分離によって回収される。例えば真空フィルター(例えばヌッチェ型)、遠心分離、又はフィルタープレスを使用することができる。任意選択的には及び好ましくは、工程(a4)において、析出物は、それが懸濁されている媒体から分離された後に洗浄される。洗浄操作は固体を水と接触させることからなる。この洗浄操作は、水で、好ましくはpH>7の水、例えばアンモニア水溶液で行うことができる。
【0078】
洗浄操作は、フィルター上に保持された固体を通して水を循環させること、或いは水中で固体を再分散させてから固液分離によってそれを回収することからなってもよい。
【0079】
工程(a5)では、工程(a4)の終わりに得られた固体が任意選択的に乾燥される。この工程は、例えば噴霧乾燥機を用いて行うことができる。
【0080】
工程(a6)では、混合酸化物を得るために、工程(a4)又は工程(a5)の終わりに得られた固体が焼成される。固体は乾燥していてもよく、或いはまだ湿っていても(すなわち固体が残留水を含有していても)よい。この焼成は、形成された生成物の結晶化度を高めることを可能にする。生成物の比表面積は、用いられる焼成温度が高くなるにつれて低下する。焼成は一般に空気下で実施されるが、例えば、不活性ガス下で、又は制御された雰囲気(酸化性又は還元性)下で実施される焼成が排除されるわけではない。焼成温度は通常700℃~1100℃である。この温度は、800℃~1100℃、又は900℃~1100℃であってもよい。焼成時間は焼成温度に合わせられる。純粋に目安として、これは少なくとも2時間、より具体的には2~5時間であってもよい。
【0081】
工程(a6)中に、工程(a5)で得られる混合酸化物は、望みの粒径の粉末を得るために任意選択的に粉砕されてもよい。例えばハンマーミル又はモルタルミルを使用することができる。粉末は、その粒径を制御するためにふるい分けされてもよい。
【0082】
本発明による混合酸化物の調製は、下に示される実施例1の条件に基づいてもよい。
【0083】
本発明はまた、上記に記載された方法によって得ることができる混合酸化物にも関する。
【0084】
本発明による混合酸化物の使用に関しては、これは、自動車汚染防止触媒反応の分野に入る。本発明による混合酸化物は、その役割が自動車の排気ガスを処理することである、触媒コンバーターの製造に使用することができる。触媒コンバーターは、混合酸化物から調製され固体支持体上に堆積された触媒活性ウォッシュコートを含む。ウォッシュコートの役割は、化学反応によって、排気ガスのある種の汚染物質、特に一酸化炭素、未燃焼炭化水素及び窒素酸化物を、環境に対して害が少ない生成物へ変換することである。
【0085】
関与する化学反応は、以下のものであると考えられる:
2CO+O2→2CO2
2NO+2CO→N2+2CO2
4CxHy+(4x+y)O2→4xCO2+2yH2O
【0086】
固体支持体は、金属モノリス、例えば、FeCr合金であってもよいし、又はセラミック製であってもよい。セラミックは、コーディエライト、炭化ケイ素、アルミナチタネート、又はムライトであってもよい。一般的に使用される固体支持体は、多孔質壁を有する多数の小さい平行流路を含む、ほぼ円筒形のモノリスからなる。このタイプの支持体は多くの場合、コーディエライトからできており、高い比表面積と限定的な圧力降下との折衷を示す。
【0087】
ウォッシュコートは固体支持体の表面に設けられる。ウォッシュコートは、少なくとも1種の無機物質との混合物として本発明の混合酸化物を含有する組成物から形成される。この無機物質は、アルミナ、ベーマイト若しくは擬ベーマイト、チタン酸化物、セリウム酸化物、ジルコニウム酸化物、シリカ、スピネル、ゼオライト、シリケート、結晶性リン酸ケイ素アルミニウム又は結晶性リン酸アルミニウムから選択することができる。組成物は、各配合者に固有の他の添加剤:H2S捕捉剤、コーティングを容易にする役割を有する有機又は無機変性剤、コロイド状アルミナ;なども含んでもよい。そのため、ウォッシュコートはそのような組成物を含む。アルミナは、一般に用いられる無機物質であり、このアルミナは、例えばバリウムなどのアルカリ土類金属で任意選択的にドープされることが可能である。ウォッシュコートは、少なくとも1種の分散した貴金属(例えばPt、Rh、又はPd等)も含む。貴金属の量は一般に、ft3単位で表される、モノリスの体積に対して1~400gである。貴金属は触媒活性である。
【0088】
貴金属を分散させるために、混合酸化物の若しくは無機物質の又は混合酸化物から及び無機物質から形成された混合物の懸濁液に貴金属の塩を添加することが可能である。この塩は、例えば、貴金属の塩化物又は硝酸塩(例えばRhIII硝酸塩)であってもよい。貴金属を固定するために、水が懸濁液から除去され、固体は乾燥させられ、これは通常300~800℃の温度で空気下で焼成される。貴金属分散系の例は、米国特許第7,374,729号明細書の実施例1の中で見ることができる。
【0089】
ウォッシュコートは、固体支持体への懸濁液の塗布によって得られる。このようにして得たウォッシュコートは触媒活性を示し、汚染防止触媒として機能し得る。汚染防止触媒は、内燃エンジンからの排気ガスを処理するために使用され得る。本発明の触媒系及び混合酸化物は最終的に、酸化環境中でさえも、NOxトラップとして、又はNOxの低減を促進するために使用され得る。
【0090】
このため、本発明は、記載されているウォッシュコートを含む触媒コンバーターが使用されることを特徴とする、内燃機関からの排気ガスを処理するための方法にも関する。
【実施例】
【0091】
BET比表面積:比表面積は、製造業者が推奨する指示に従いながら、MicromeriticsのTristar II 3020装置を使用して試料上で自動的に決定する。試料は200℃で2時間前処理する。測定は、0.05~0.3(両端を含む)の相対圧力p/p0の範囲内の5点で行う。各点についての平衡時間は5秒である。
【0092】
水銀空隙率:製造業者が推奨する指示に従いながら、粉末粉末針入度計を備えたMicromeritics Autopore IV 9500装置を使用した。以下のパラメーターを使用することができる:使用した針入度計:3.2ml;毛細管の容積:0.412ml;最大圧力(「上部圧力」):4.68psi;接触角:130°;水銀の表面張力:485ダイン/cm;水銀の密度:13.5335g/ml。測定の開始時に、50mmHgの真空が5分間試料にかけられる。平衡時間は次の通りである:低圧(1.3~30psi)の範囲:20秒-高圧(30~60,000psi)の範囲:30秒。測定前に、試料は最低限15分間100℃のオーブン中で脱気される。
【0093】
窒素空隙率:MicromeriticsのTristar II 3020装置を使用した。窒素細孔分布測定は、圧力表を用いて85点(吸着に関して0.05~0.995の47点及び脱離において0.995~0.2の38点)について行われる[
図3参照]。0.05超0.995未満の相対圧力の平衡時間は5秒である。0.995以上の相対圧力の平衡時間は600秒である。圧力に関する許容誤差は、絶対圧力で5mmHg、相対圧力で5%である。分析中(2時間)、p
0値は一定の間隔で測定する。メソ多孔性の決定には、Harkins-Juraの法則を用いたBarett-Joynerand-Halenda(BJH)法を使用する。結果の分析は脱離曲線上で行われる。
【0094】
X線回折:本出願において、X線回折は銅源(CuKα1、λ=1.5406オングストローム)を用いて得る。銅源、スピナーサンプルホルダー、及び2.122°の角度幅を有するX’Celelerator 1D検出器を備えたPanalyticalのX’Pert Proゴニオメーターを使用した。装置は、前面のニッケルフィルターと、一辺が10mmの一定の正方形の表面積を照らすようにプログラム可能なスリットとを備えている。2θ角ステップ=0.017°及び1ステップ当たり40秒の記録時間を使用し、2θ角が28~32°の範囲で2θ=0.07°に等しい装置幅sを決定した。取得は約30分間継続する。
【0095】
強度は、5.0°~90.0°の2θ角範囲にわたってとられたベースラインに対する回折図上で決定する。ベースラインは回折図のデータを分析するためのソフトウェアを使用して自動的に決定される。
【0096】
粉末かさ密度:混合酸化物粉末のかさ密度は、この粉末が占める体積に対するある量の粉末の重量に対応する:
【0097】
粉末かさ密度は以下に記載する方法により決定する。最初に、注ぎ口のない約25mlのシリンダーの容積を正確に決定する。これを行うために、空のシリンダーを秤量する(風袋T)。次に、蒸留水を、縁を超えないように(メニスカスなしで)縁までシリンダーに注ぎ入れる。蒸留水で満たしたシリンダーを秤量する(M)。したがって、シリンダーの中に入っている水の質量は次の通りである:
W=M-T
【0098】
シリンダーの校正された容積は、
に等しい。水の密度は、例えば20℃の測定温度については0.99983g/mlである。
【0099】
漏斗を使用して混合酸化物粉末を空の乾燥したシリンダーの中にシリンダーの縁に達するまで注意深く入れる。余分な粉末はスパチュラを使用して平らにする。充填中に粉末を圧縮したり突き固めたりしてはならない。その後、粉末が入っているシリンダーを秤量する。
【0100】
粒径:Coulter Counter LSを使用して測定した。混合酸化物は、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中に10g/lの濃度で分散させる。測定は、5~500Wの範囲のエネルギーで25秒~5分間超音波処理した後に実施することができる。
【0101】
本発明の混合酸化物を調製するために本発明と関係して使用され得る特定の空隙率を有するH型の2種のアルミニウム水和物H1及びH2を以下に記載する。
【0102】
実施例H1:93.8%のAl2O3-6.2%のLa2O3の組成のアルミニウム水和物の調製
撹拌されている槽の中に、34.7kgの脱イオン水と、8.31重量%の濃度のアルミナ(Al2O3)を有する10.95kgの硫酸アルミニウム溶液と、26.9重量%の濃度のLa2O3を有する1.43kgのランタン硝酸塩溶液と、68重量%の硝酸水溶液4.97kgとを入れることによって溶液(A)を調製する。溶液(B)は、24.9重量%の濃度のアルミナ(Al2O3)を有するアルミン酸ナトリウム溶液である。
【0103】
撹拌されている反応器(250rpm;4枚のブレードが45°に傾斜しているスピンドル)の中に、71kgの脱イオン水を入れる。次いで反応器を65℃の温度に達するまで加熱する。反応を通してこの温度を維持する。pH3に達するまで撹拌されている反応器の中に69%硝酸溶液を入れる。
【0104】
工程(a)では、溶液(A)及び溶液(B)を、撹拌スピンドル近くの導入管を介して撹拌されている反応器の中に同時に入れる。溶液(A)は1.05kg/分の流量で入れる。溶液(B)は3分でpH5に到達させることが可能な流量で入れる。
【0105】
溶液(A)の流量は1.05kg/分で一定のままであり、溶液(B)の流量は46分間pHを5.1の値に維持するように調節される。
【0106】
工程(b)では、溶液(A)の導入を停止し、15分でpH10に達するまで溶液(B)を添加し続ける。
【0107】
工程(c)では、その後反応スラリーを真空フィルターの上に注ぎ入れる。濾過の終わりに、ケーキを60℃の脱イオン水で洗浄する。ケーキは、固形分11重量%の酸化物(Al2O3-La2O3)を有する。その後、ケーキを脱イオン水中に再分散させて、ほぼ8重量%の濃度の酸化物(Al2O3-La2O3)を有する懸濁液を得る。
【0108】
工程(d)では、懸濁液を噴霧乾燥して、乾燥したランタンドープアルミニウム水和物粉末を得る。粉末の強熱減量は、950℃で2時間の焼成後の質量の減少によって得られる。これは31.2質量%である。アルミニウム水和物粉末は、64.5重量%のAl2O3及び4.2重量%のLa2O3に相当する量を含む。この粉末は344m2/gのBET表面積を有する。
【0109】
実施例H2:93.8%のAl2O3-6.2%のLa2O3の組成のアルミニウム水和物の調製
撹拌されている槽の中に、34.7kgの脱イオン水と、8.31重量%の濃度のアルミナ(Al2O3)を有する10.95kgの硫酸アルミニウム溶液と、26.9重量%の濃度La2O3を有する1.43kgのランタン硝酸塩溶液と、68%の硝酸水溶液4.96kgとを入れることによって溶液(A)を調製する。溶液(B)は、24.9重量%の濃度のアルミナを有するアルミン酸ナトリウム溶液である。
【0110】
撹拌されている反応器(250rpm;4枚のブレードが45°に傾斜しているスピンドル)の中に、71kgの脱イオン水を入れる。次いで反応器を65℃の温度に達するまで加熱する。反応を通してこの温度を維持する。pH3に達するまで撹拌されている反応器の中に69%硝酸溶液を入れる。
【0111】
工程(a)では、溶液(A)及び溶液(B)を、撹拌スピンドル近くの導入管を介して、撹拌されている反応器の中に同時に入れる。溶液(A)は1.05kg/分の流量で入れる。溶液(B)は3分でpH4.4に到達させることが可能な流量で入れる。溶液(A)の流量は1.05kg/分で一定のままであり、溶液(B)の流量は46分間pHを4.4の値に維持するように調節される。
【0112】
工程(b)では、溶液(A)の導入を停止し、15分でpH10に達するまで溶液(B)を添加し続ける。
【0113】
工程(c)では、その後反応スラリーを真空フィルターの上に注ぎ入れる。濾過の終わりに、ケーキを60℃の脱イオン水で洗浄する。ケーキは、固形分13重量%の酸化物(Al2O3-La2O3)を有する。その後、ケーキを脱イオン水中に再分散させて、ほぼ8重量%の濃度の酸化物(Al2O3-La2O3)を有する懸濁液を得る。
【0114】
工程(d)では、懸濁液を噴霧乾燥して、ランタンドープアルミニウム水和物粉末を得る。粉末の強熱減量は、950℃で2時間焼成後の質量の減少によって得られる。これは38.5質量%である。アルミニウム水和物粉末は、57.8重量%のAl2O3及び3.8重量%のLa2O3に相当する量を含む。この粉末は259m2/gのBET表面積を有する。
【0115】
【0116】
以降の実施例1~9は本発明を例示する。
【0117】
実施例1:混合酸化物Al2O3(30%)-ZrO2(35%)-CeO2(27%)-La2O3(4%)-Y2O3(4%)(重量%)の調製
45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルを用いて撹拌されている槽の中に、361gの水、111gの硝酸ジルコニル溶液([ZrO2]=268g/l;密度1.415)、56gのCeIII硝酸塩溶液([CeO2]=496g/l;密度1.714)、7.9gのランタン硝酸塩溶液([La2O3]=472g/l;密度1.711)、及び16gのイットリウム硝酸塩溶液([Y2O3]=208.5g/l;密度1.392)を入れることによって、前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を調製する。次に、前駆体溶液を得るために、得られた溶液に69重量%の硝酸2.3gを添加する。撹拌したままで、この溶液にスパチュラで23.3gのベーマイトHP14-L1(Sasolから販売、77.5重量%に相当するアルミナ(18gのAl2O3)及び1重量%のLa2O3(0.22g)を含有)を添加する。混合物が均一な分散液の形態で得られるまで前駆体混合物を撹拌したままにする。次に、9.8mol/lの過酸化水素水溶液5.3gを添加する。前駆体混合物の撹拌を継続する。
【0118】
500mlの2mol/lのアンモニア溶液が入っている、45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルによって撹拌されている(575rpm)反応器に、前駆体混合物を周囲温度で60分で入れる。
【0119】
前駆体混合物の添加の終わりに、混合物を95℃の温度まで加熱し、この温度で30分間維持する。その後混合物を40℃未満の温度まで冷却する。この冷却した混合物に650rpmで撹拌しながらラウリン酸12gを添加する。この撹拌を30分間維持する。
【0120】
混合物を真空下で濾過し、次いでケーキをpH=9のアンモニア水溶液890gで洗浄する。その後、得られたウェットケーキをマッフル炉に入れる。950℃に達するまで炉の温度を4℃/分の速度で上昇させ、次いでこの温度を4時間維持する。空気中でのこの焼成の終わりに混合酸化物が得られる。その後回収した混合酸化物を乳鉢を用いて粉砕する。
【0121】
BET比表面積
S950℃/4h=72m2/g;
S1000℃/4h=60m2/g;
S1100℃/5h=39m2/g。
【0122】
1100℃/4hで空気中で焼成した後の結晶子のサイズ:23.9nm
950℃/4hで空気中で焼成した後の粉末密度:0.69
950℃/4hで空気中で焼成した後のN2ポロシメトリーによる細孔容積(孔径<100nm):V100nm,N2=0.58ml/g
950℃/4hで空気中で焼成した後のHgポロシメトリーによる総細孔容積:Vtotal,Hg=1.06ml/g
ピークでの直径、950℃/4hで空気中で焼成した後のHgポロシメトリー曲線上で決定:Dp=26nm
【0123】
実施例2:混合酸化物Al2O3(30%)-ZrO2(35%)-CeO2(27%)-La2O3(4%)-Y2O3(4%)(重量%)の調製
45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルを用いて撹拌されている槽の中に、357gの水、114gの硝酸ジルコニル溶液([ZrO2]=260g/l;密度1.406)、56gのCeIII硝酸塩溶液([CeO2]=496g/l;密度1.714)、4.4gのランタン硝酸塩溶液([La2O3]=472g/l;密度1.711)、及び16gのイットリウム硝酸塩溶液([Y2O3]=208.5g/l;密度1.392)を入れることによって、前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を調製する。
【0124】
次に、前駆体溶液を得るために、得られた溶液に69重量%の硝酸2.3gを添加する。撹拌したままで、この溶液にスパチュラで64.5重量%に相当するアルミナ(18gのAl2O3)と4.2重量%のLa2O3(1.17g)とを含有する28gのアルミニウム水和物H1を添加する。前駆体混合物が均一な分散液の形態で得られるまで混合物を撹拌したままにする。次に、9.8mol/lの過酸化水素水溶液5.3gを添加する。前駆体混合物の撹拌を継続する。
【0125】
500mlの2mol/lのアンモニア溶液が入っている、45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルによって撹拌されている(575rpm)反応器に、前駆体混合物を周囲温度で60分で入れる。
【0126】
前駆体混合物の添加の終わりに、混合物を95℃の温度まで加熱し、この温度で30分間維持する。その後混合物を40℃未満の温度まで冷却する。この冷却した混合物に650rpmで撹拌しながらラウリン酸12gを添加する。この撹拌を30分間維持する。
【0127】
混合物を真空下で濾過し、次いでケーキをpH=9のアンモニア水溶液720gで洗浄する。その後、得られたウェットケーキをマッフル炉に入れる。950℃に達するまで炉の温度を4℃/分の速度で上昇させ、次いでこの温度を4時間維持する。空気中でのこの焼成の終わりに混合酸化物が得られる。その後回収した混合酸化物を乳鉢を用いて粉砕する。
【0128】
実施例3:混合酸化物Al2O3(35.6%)-ZrO2(30%)-CeO2(24%)-La2O3(6.2%)-Y2O3(1.2%)-Pr6O11(3%)の調製。
45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルを用いて撹拌されている槽の中に、386の水、95gの硝酸ジルコニル溶液([ZrO2]=268.1g/l;密度1.415)、49.8gのCeIII硝酸塩溶液([CeO2]=496g/l;密度1.714)、8.4gのランタン硝酸塩溶液([La2O3]=472g/l;密度1.711)、4.8gのイットリウム硝酸塩溶液([Y2O3]=208.5g/l;密度1.392)、及び6.2gのプラセオジム硝酸塩溶液([Pr6O11]=497g/l;密度1.725)を入れることによって、前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を調製する。
【0129】
次に、前駆体溶液を得るために、得られた溶液に68重量%硝酸2.0gを添加する。撹拌したままで、この溶液にスパチュラで、64.5重量%のアルミナ(21.3gのAl2O3)と4.2重量%のLa2O3(1.39g)とを有するアルミニウム水和物A33.1gを添加する。前駆体混合物が均一な分散液の形態で得られるまで混合物を撹拌したままにする。次に、9.8mol/lの過酸化水素水溶液4.69gを添加する。前駆体混合物の撹拌を継続する。
【0130】
500mlの1.8mol/lのアンモニア溶液が入っている、45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルによって撹拌されている(575rpm)反応器に、前駆体混合物を周囲温度で60分で入れる。
【0131】
前駆体混合物の添加の終わりに、反応媒体を95℃の温度まで加熱し、この温度で30分間維持する。その後反応媒体を40℃未満の温度まで冷却する。冷却後、オートクレーブ中で反応混合物を150℃の温度まで再度加熱し、この温度で2時間維持する。その後、反応媒体を40℃未満の温度まで冷却する。この冷却された混合物に、500rpmで撹拌しながら23gのラウリン酸を添加する。この撹拌を30分間維持する。
【0132】
反応媒体を真空下で濾過し、次いでケーキをアンモニア水溶液(pH=9)1lで洗浄する。その後、得られたウェットケーキをマッフル炉に入れる。950℃まで炉の温度を4℃/分の速度で上昇させ、この温度を4時間維持する。空気中でのこの焼成の終わりに混合酸化物が得られる。その後回収した混合酸化物を乳鉢を用いて粉砕する。
【0133】
実施例4:混合酸化物Al2O3(30%)-ZrO2(35%)-CeO2(27%)-La2O3(4%)-Y2O3(4%)の調製
45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルを用いて撹拌されている槽の中に、362gの水、114gの硝酸ジルコニル溶液([ZrO2]=260g/l;密度1.406)、56gのCeIII硝酸塩溶液([CeO2]=496g/l;密度1.714)、4.4gのランタン硝酸塩溶液([La2O3]=472g/l;密度1.711)、及び16gのイットリウム硝酸塩溶液([Y2O3]=208.5g/l;密度1.392)を入れることによって、前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を調製する。
【0134】
次に、前駆体溶液を得るために、得られた溶液に69重量%の硝酸2.3gを添加する。撹拌したままで、この溶液にスパチュラで64.5重量%に相当するアルミナ(18gのAl2O3)と4.2重量%のLa2O3(1.17g)とを含有する28gのアルミニウム水和物H1を添加する。前駆体混合物が均一な分散液の形態で得られるまで混合物を撹拌したままにする。前駆体混合物の撹拌を継続する。
【0135】
500mlの2mol/lのアンモニア溶液が入っている、45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルによって撹拌されている(575rpm)反応器に、前駆体混合物を周囲温度で60分で入れる。
【0136】
前駆体混合物の添加の終わりに、反応媒体を95℃の温度まで加熱し、この温度で30分間維持する。その後反応媒体を40℃未満の温度まで冷却する。この冷却した混合物に850rpmで撹拌しながらラウリン酸12gを添加する。この撹拌を30分間維持する。
【0137】
反応媒体を真空下で濾過し、次いでケーキをアンモニア水溶液(pH=9)700gで洗浄する。その後、得られたウェットケーキをマッフル炉に入れる。950℃まで炉の温度を4℃/分の速度で上昇させ、この温度を4時間維持する。空気中でのこの焼成の終わりに混合酸化物が得られる。その後回収した混合酸化物を乳鉢を用いて粉砕する。
【0138】
実施例5:混合酸化物Al2O3(30%)-ZrO2(35%)-CeO2(27%)-La2O3(4%)-Y2O3(4%)の調製
Rushtonタービンを用いて撹拌されている(200rpm)槽の中に、96.5kgの水、18.3kgの硝酸ジルコニル溶液([ZrO2]=272g/l;密度1.417)、14.98kgのCeIV硝酸塩溶液([CeO2]=260g/l;密度1.442)、0.767kgのランタン硝酸塩溶液([La2O3]=472g/l;密度1.711)、及び2.59kgのイットリウム硝酸塩溶液([Y2O3]=217g/l;密度1.405)を入れることによって、前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を調製する。
【0139】
撹拌したままで、この溶液にシャベルで5.28kgのアルミニウム水和物(57重量%に相当するアルミナと3.6重量%のLa2O3とを含有、実施例H1と同じように調製)を添加する。前駆体混合物が均一な分散液の形態で得られるまで混合物を撹拌したままにする。
【0140】
撹拌されている反応器(125rpm;Mixell TT型のスピンドル)の中に、1.6mol/lのアンモニア溶液125lを入れる。撹拌されている反応器の中に前駆体混合物を60分で入れる。このプロセスは周囲温度で行う。
【0141】
前駆体混合物の添加の終わりに、反応媒体を90℃の温度まで加熱し、この温度で30分間維持する。その後懸濁液をオートクレーブの中で120分150℃まで加熱し、次いで40℃の温度まで冷却する。この冷却した混合物に100rpmで撹拌しながら4kgのラウリン酸を添加する。この撹拌を60分間維持する。
【0142】
混合物を約4barの圧力でフィルタープレスで濾過し、次いでケーキを250lのアンモニア水溶液(pH=9)で洗浄する。次いで、ケーキを9.5barの圧力で15分間圧縮する。その後、得られたウェットケーキをガス燃焼炉に入れる。得られた生成物を1010℃で3時間乾燥させる。その後回収した混合酸化物を「Forplex」型のブレードミルの中で粉砕する。
【0143】
実施例6:混合酸化物Al2O3(30%)-ZrO2(35%)-CeO2(27%)-La2O3(4%)-Y2O3(4%)の調製
45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルを用いて撹拌されている槽の中に、333gの水、114gの硝酸ジルコニル溶液([ZrO2]=260g/l;密度1.406)、56gのCeIII硝酸塩溶液([CeO2]=496g/l;密度1.714)、4.4gのランタン硝酸塩溶液([La2O3]=472g/l;密度1.711)、及び16gのイットリウム硝酸塩溶液([Y2O3]=208.5g/l;密度1.392)を入れることによって、前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を調製する。
【0144】
次に、前駆体溶液を得るために、得られた溶液に69重量%の硝酸2.3gを添加する。撹拌したままで、この溶液にスパチュラで64.5重量%に相当するアルミナ(18gのAl2O3)と4.2重量%のLa2O3(1.17g)とを含有する28gのアルミニウム水和物H1を漏斗から30秒で添加する。前駆体混合物が均一な分散液の形態で得られるまで混合物を撹拌したままにする。次に、9.8mol/lの過酸化水素水溶液31.65gを添加する。前駆体混合物の撹拌を継続する。
【0145】
撹拌されている反応器(575rpm;4枚のブレードが45°に傾斜しているスピンドル)の中に、3.1mol/lのアンモニア溶液500mlを入れる。撹拌されている反応器の中に前駆体混合物を60分で入れる。このプロセスは周囲温度で行う。
【0146】
前駆体混合物の添加の終わりに、反応媒体を95℃の温度まで加熱し、この温度で30分間維持する。その後反応媒体を40℃未満の温度まで冷却する。この冷却した混合物に650rpmで撹拌しながら6gのラウリン酸を添加する。この撹拌を30分間維持する。
【0147】
反応媒体を真空下で濾過し、次いでケーキをアンモニア水溶液(pH=9)760gで洗浄する。その後、得られたウェットケーキをマッフル炉に入れる。950℃まで炉の温度を4℃/分の速度で上昇させ、この温度を4時間維持する。空気中でのこの焼成の終わりに混合酸化物が得られる。その後回収した混合酸化物を乳鉢を用いて粉砕する。
【0148】
実施例7:混合酸化物Al2O3(30%)-ZrO2(35%)-CeO2(27%)-La2O3(4%)-Y2O3(4%)の調製
45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルを用いて撹拌されている槽の中に、342gの水、114gの硝酸ジルコニル溶液([ZrO2]=268.1g/l;密度1.415)、56gのCeIII硝酸塩溶液([CeO2]=496g/l;密度1.714)、4.4gのランタン硝酸塩溶液([La2O3]=472g/l;密度1.711)、及び16gのイットリウム硝酸塩溶液([Y2O3]=208.5g/l;密度1.392)を入れることによって、前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を調製する。
【0149】
次に、前駆体溶液を得るために、得られた溶液に69重量%の硝酸2.3gを添加する。撹拌したままで、この溶液にスパチュラで64.5重量%に相当するアルミナ(18gのAl2O3)と4.2重量%のLa2O3(1.17g)とを含有する27.9gのアルミニウム水和物H1を漏斗から30秒で添加する。前駆体混合物が均一な分散液の形態で得られるまで混合物を撹拌したままにする。
次に、9.8mol/lの過酸化水素水溶液31.5gを添加する。前駆体混合物の撹拌を継続する。
【0150】
撹拌されている反応器(600rpm;4枚のブレードが45°に傾斜しているスピンドル)の中に、3mol/lのアンモニア溶液500mlを入れる。撹拌されている反応器の中に前駆体混合物を60分で入れる。このプロセスは周囲温度で行う。前駆体混合物の添加の終わりに、反応媒体を95℃の温度まで加熱し、この温度で30分間維持する。その後反応媒体を40℃未満の温度まで冷却する。この冷却した混合物に500rpmで撹拌しながら11.8gのラウリン酸を添加する。この撹拌を30分間維持する。
【0151】
反応媒体を真空下で濾過し、次いでケーキをアンモニア水溶液(pH=9)1lで洗浄する。その後、得られたウェットケーキをマッフル炉に入れる。950℃まで炉の温度を4℃/分の速度で上昇させ、この温度を4時間維持する。空気中でのこの焼成の終わりに混合酸化物が得られる。その後回収した混合酸化物を乳鉢を用いて粉砕する。
【0152】
実施例8:混合酸化物Al2O3(30%)-ZrO2(35%)-CeO2(27%)-La2O3(4%)-Y2O3(4%)の調製
45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルを用いて撹拌されている槽の中に、388.4gの水、75.8gの硝酸ジルコニル溶液([ZrO2]=260g/l;密度1.406)、60.8gのCeIV硝酸塩溶液([CeO2]=254g/l;密度1.431)、3gのランタン硝酸塩溶液([La2O3]=472g/l;密度1.711)、及び10.7gのイットリウム硝酸塩溶液([Y2O3]=208.5g/l;密度1.392)を入れることによって、前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を調製する。
【0153】
撹拌したままで、この溶液にスパチュラで64.5重量%に相当するアルミナ(12gのAl2O3)と4.2重量%のLa2O3(0.8g)とを含有する18.6gのアルミニウム水和物H1を添加する。前駆体混合物が均一な分散液の形態で得られるまで混合物を撹拌したままにする。
前駆体混合物の撹拌を継続する。
【0154】
撹拌されている反応器(500rpm;4枚のブレードが45°に傾斜しているスピンドル)の中に、4.7mol/lのアンモニア溶液500mlを入れる。撹拌されている反応器の中に前駆体混合物を60分で入れる。このプロセスは周囲温度で行う。この混合物に500rpmで撹拌しながら14gのラウリン酸を添加する。この撹拌を30分間維持する。
【0155】
反応媒体を真空下で濾過し、次いでケーキをアンモニア水溶液(pH=9)1lで洗浄する。その後、得られたウェットケーキをマッフル炉に入れる。950℃まで炉の温度を4℃/分の速度で上昇させ、この温度を4時間維持する。空気中でのこの焼成の終わりに混合酸化物が得られる。その後回収した混合酸化物を乳鉢を用いて粉砕する。
【0156】
実施例9:混合酸化物Al2O3(30%)-ZrO2(35%)-CeO2(27%)-La2O3(4%)-Y2O3(4%)の調製
45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルを用いて撹拌されている槽の中に、357gの水、114gの硝酸ジルコニル溶液([ZrO2]=260g/l;密度1.406)、56gのCeIII硝酸塩溶液([CeO2]=496g/l;密度1.714)、4.4gのランタン硝酸塩溶液([La2O3]=472g/l;密度1.711)、及び16gのイットリウム硝酸塩溶液([Y2O3]=208.5g/l;密度1.392)を入れることによって、前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を調製する。
【0157】
次に、前駆体溶液を得るために、得られた溶液に69重量%の硝酸2.3gを添加する。撹拌したままで、この溶液にスパチュラで57.8重量%に相当するアルミナ(18gのAl2O3)と3.8重量%のLa2O3(1.18g)とを含有する31.1gのアルミニウム水和物H2を添加する。前駆体混合物が均一な分散液の形態で得られるまで混合物を撹拌したままにする。次に、9.8mol/lの過酸化水素水溶液5.3gを添加する。前駆体混合物の撹拌を継続する。
【0158】
撹拌されている反応器(600rpm;4枚のブレードが45°に傾斜しているスピンドル)の中に、2mol/lのアンモニア溶液500mlを入れる。撹拌されている反応器の中に前駆体混合物を60分で入れる。このプロセスは周囲温度で行う。
前駆体混合物の添加の終わりに、反応媒体を95℃の温度まで加熱し、この温度で30分間維持する。その後反応媒体を40℃未満の温度まで冷却する。この冷却した混合物に500rpmで撹拌しながら12gのラウリン酸を添加する。この撹拌を30分間維持する。
【0159】
反応媒体を真空下で濾過し、次いでケーキをアンモニア水溶液(pH=9)1lで洗浄する。その後、得られたウェットケーキをマッフル炉に入れる。950℃まで炉の温度を4℃/分の速度で上昇させ、この温度を4時間維持する。空気中でのこの焼成の終わりに混合酸化物が得られる。その後回収した混合酸化物を乳鉢を用いて粉砕する。
【0160】
比較例1:混合酸化物Al2O3(30%)-ZrO2(35%)-CeO2(27%)-La2O3(4%)-Y2O3(4%)の調製
本発明の方法では前駆体混合物を塩基性水溶液の中に入れるのに対して、この比較例では塩基性水溶液を前駆体混合物の中に入れる。
【0161】
撹拌されている反応器(600rpm;4枚のブレードが45°に傾斜しているスピンドル)の中に、362gの水、114gの硝酸ジルコニル溶液([ZrO2]=260g/l;密度1.406)、56gのCeIII硝酸塩溶液([CeO2]=496g/l;密度1.714)、4.4gのランタン硝酸塩溶液([La2O3]=472g/l;密度1.711)、及び16gのイットリウム硝酸塩溶液([Y2O3]=208.5g/l;密度1.392)を入れることによって、前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を調製する。
【0162】
次に、前駆体溶液を得るために、得られた溶液に69重量%の硝酸2.3gを添加する。撹拌したままで、この溶液にスパチュラで64.5重量%に相当するアルミナ(18gのAl2O3)と4.2重量%のLa2O3(1.17g)とを含有する28gのアルミニウム水和物H1を添加する。前駆体混合物が均一な分散液の形態で得られるまで混合物を撹拌したままにする。
【0163】
この前駆体混合物の中に2mol/lアンモニア溶液500mlを添加する。撹拌されている反応器(575rpm;4枚のブレードが45°に傾斜しているスピンドル)の中に、アンモニア溶液を60分で入れる。このプロセスは周囲温度で行う。
【0164】
塩基の添加の終わりに、反応媒体を95℃の温度まで加熱し、この温度で30分間維持する。その後反応媒体を40℃未満の温度まで冷却する。この冷却した混合物に650rpmで撹拌しながらラウリン酸12gを添加する。この撹拌を30分間維持する。
【0165】
反応媒体を真空下で濾過し、次いでケーキをアンモニア水溶液(pH=9)640gで洗浄する。その後、得られたウェットケーキをマッフル炉に入れる。950℃まで炉の温度を4℃/分の速度で上昇させ、この温度を4時間維持する。空気中でのこの焼成の終わりに混合酸化物が得られる。その後回収した混合酸化物を乳鉢を用いて粉砕する。
【0166】
比較例2:混合酸化物Al2O3(30%)-ZrO2(35%)-CeO2(27%)-La2O3(4%)-Y2O3(4%)の調製
この比較例ではテクスチャー付与剤を使用しない。
【0167】
45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルを用いて撹拌されている槽の中に、342gの水、114gの硝酸ジルコニル溶液([ZrO2]=268.1g/l;密度1.415)、56gのCeIII硝酸塩溶液([CeO2]=496g/l;密度1.714)、4.4gのランタン硝酸塩溶液([La2O3]=472g/l;密度1.711)、及び16gのイットリウム硝酸塩溶液([Y2O3]=208.5g/l;密度1.392)を入れることによって、前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を調製する。
【0168】
次に、前駆体溶液を得るために、得られた溶液に69重量%の硝酸2.3gを添加する。撹拌したままで、この溶液にスパチュラで64.5重量%に相当するアルミナ(18gのAl2O3)と4.2重量%のLa2O3(1.17g)とを含有する28gのアルミニウム水和物H1を添加する。前駆体混合物が均一な分散液の形態で得られるまで混合物を撹拌したままにする。次に、9.8mol/lの過酸化水素水溶液31.65gを添加する。前駆体混合物の撹拌を継続する。
【0169】
撹拌されている反応器(575rpm;4枚のブレードが45°に傾斜しているスピンドル)の中に、3mol/lのアンモニア溶液500mlを入れる。撹拌されている反応器の中に前駆体混合物を60分で入れる。このプロセスは周囲温度で行う。
【0170】
前駆体混合物の添加の終わりに、反応媒体を95℃の温度まで加熱し、この温度で30分間維持する。その後反応媒体を40℃未満の温度まで冷却する。
【0171】
反応媒体を真空下で濾過し、次いでケーキをアンモニア水溶液(pH=9)1lで洗浄する。その後、得られたウェットケーキをマッフル炉に入れる。950℃まで炉の温度を4℃/分の速度で上昇させ、この温度を4時間維持する。空気中でのこの焼成の終わりに混合酸化物が得られる。その後回収した混合酸化物を乳鉢を用いて粉砕する。
【0172】
比較例3:混合酸化物Al2O3(30%)-ZrO2(35%)-CeO2(27%)-La2O3(4%)-Y2O3(4%)の調製
この比較例ではテクスチャー付与剤を使用しない。
【0173】
45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルを用いて撹拌されている槽の中に、388.4gの水、75.8gの硝酸ジルコニル溶液([ZrO2]=260g/l;密度1.406)、60.8gのCeIV硝酸塩溶液([CeO2]=254g/l;密度1.431)、3.0gのランタン硝酸塩溶液([La2O3]=472g/l;密度1.711)、及び10.7gのイットリウム硝酸塩溶液([Y2O3]=208.5g/l;密度1.392)を入れることによって、前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を調製する。
【0174】
撹拌したままで、この溶液にスパチュラで64.5重量%に相当するアルミナ(12gのAl2O3)と4.2重量%のLa2O3(0.8g)とを含有する18.6gのアルミニウム水和物H1を添加する。前駆体混合物が均一な分散液の形態で得られるまで混合物を撹拌したままにする。前駆体混合物の撹拌を継続する。
【0175】
撹拌されている反応器(500rpm;4枚のブレードが45°に傾斜しているスピンドル)の中に、4.7mol/lのアンモニア溶液500mlを入れる。撹拌されている反応器の中に前駆体混合物を60分で入れる。このプロセスは周囲温度で行う。
【0176】
反応媒体を真空下で濾過し、次いでケーキをアンモニア水溶液(pH=9)1lで洗浄する。その後、得られたウェットケーキをマッフル炉に入れる。950℃まで炉の温度を4℃/分の速度で上昇させ、この温度を4時間維持する。空気中でのこの焼成の終わりに混合酸化物が得られる。その後回収した混合酸化物を乳鉢を用いて粉砕する。
【0177】
比較例4:混合酸化物Al2O3(30%)-ZrO2(35%)-CeO2(27%)-La2O3(4%)-Y2O3(4%)の調製
この比較例ではアルミニウム水和物は塩基性水溶液中に分散されるのに対し、本発明の方法ではこれは酸性水溶液中に分散される。
【0178】
45°に傾斜した4枚のブレードを有するスピンドルを用いて撹拌されている槽の中に、394.2gの水、75.8gの硝酸ジルコニル溶液([ZrO2]=260g/l;密度1.406)、60.8gのCeIV硝酸塩溶液([CeO2]=254g/l;密度1.431)、3.0gのランタン硝酸塩溶液([La2O3]=472g/l;密度1.711)、及び10.7gのイットリウム硝酸塩溶液([Y2O3]=208.5g/l;密度1.392)を入れることによって、前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を調製する。前駆体の硝酸塩を主体とする溶液の撹拌を継続する。
【0179】
撹拌されている反応器(500rpm;4枚のブレードが45°に傾斜しているスピンドル)の中に、4.7mol/lのアンモニア溶液500mlを入れる。撹拌したままで、この溶液にスパチュラで64.5重量%に相当するアルミナ(12gのAl2O3)と4.2重量%のLa2O3(0.8g)とを含有する18.6gのアルミニウム水和物H1を添加する。撹拌したままで、この混合物に前駆体の硝酸塩を主体とする溶液を60分間で添加する。このプロセスは周囲温度で行う。
【0180】
前駆体の硝酸塩を主体とする溶液の添加の終わりに、反応媒体をオートクレーブ中で100℃の温度まで加熱し、この温度で30分間維持する。その後反応媒体を40℃未満の温度まで冷却する。この混合物に500rpmで撹拌しながら14gのラウリン酸を添加する。この撹拌を30分間維持する。
【0181】
反応媒体を真空下で濾過し、次いでケーキをアンモニア水溶液(pH=9)1lで洗浄する。その後、得られたウェットケーキをマッフル炉に入れる。950℃まで炉の温度を4℃/分の速度で上昇させ、この温度を4時間維持する。空気中でのこの焼成の終わりに混合酸化物が得られる。その後回収した混合酸化物を乳鉢を用いて粉砕する。
【0182】
比較例では1100℃での比表面積が本発明による実施例よりも小さいことが認識されるであろう。
【0183】