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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】動的封止付きシリンジプランジャ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20220801BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
A61M5/315 510
A61M5/20
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019536938
(86)(22)【出願日】2018-01-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2018012284
(87)【国際公開番号】W WO2018129116
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】62/443,302
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・スワントナー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・マクダーモット
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-017852(JP,A)
【文献】特開2001-145697(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0219508(US,A1)
【文献】特表2008-535615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00 - 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の円錐形キャップを備えた支持リングと、
前記支持リング上に配置されかつそれに結合されたカバーであって、第2の円錐形キャップおよび円筒形側壁を備えたカバーと、
前記第1の円錐形キャップと前記第2の円錐形キャップとの間に画定された空気キャビティと、
を含む、プランジャにおいて、
前記第1の円錐形キャップの遠位部分が、前記第2の円錐形キャップの近位部分と角度θを形成し、当該プランジャに動作圧力がかかると、前記角度θ3は当該プランジャに圧力がかかっていないときよりも小さく、前記カバーの円筒形側壁が半径方向外向きに撓ことを特徴とする、プランジャ。
【請求項2】
前記カバーの遠位面上に配置された第3の円錐形キャップをさらに含む、請求項1に記載のプランジャ。
【請求項3】
前記第3の円錐形キャップが、オーバーモールド要素を含む、請求項2に記載のプランジャ。
【請求項4】
前記カバーが、前記円筒形側壁の外面に、第1および第2の環状リブをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のプランジャ。
【請求項5】
前記円筒形側壁が、少なくとも1つの環状リブを有
前記カバーが、肩部と前記第1の円錐形キャップとの間の前記支持リング上に形成された環状溝に係合するための内側フランジをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のプランジャ。
【請求項6】
前記第1の円錐形キャップが、90°より大きい頂角を画定している、請求項1から5のいずれか一項に記載のプランジャ。
【請求項7】
前記支持リングの前記第1の円錐形キャップが、90°より大きくかつ120°より小さい頂角を画定する、請求項6に記載のプランジャ。
【請求項8】
前記支持リングの前記第1の円錐形キャップと前記カバーの前記第2の円錐形キャップとの間に画定される前記角度θ3が、0°より大きく30°より小さい、請求項1に記載のプランジャ。
【請求項9】
前記空気キャビティの所定の容積が、0.1mL~10mLの範囲内で選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載のプランジャ。
【請求項10】
内壁を画定する胴部と、
前記胴部の前記内壁内に配置されているプランジャと
を含むシリンジであって、
前記プランジャが、
第1の円錐形キャップを備えた支持リングと、
前記支持リング上に配置されかつそれに結合されたカバーであって、第2の円錐形キャップおよび円筒形側壁を備えたカバーと、
前記第1の円錐形キャップと前記第2の円錐形キャップとの間に画定された空気キャビティと、
を含み、
前記第1の円錐形キャップの遠位部分が、前記第2の円錐形キャップの近位部分と角度θを形成し、前記プランジャに動作圧力がかかると、前記角度θ3前記プランジャに圧力がかかっていないときよりも小さく、前記カバーの円筒形側壁が半径方向外向きに撓ことを特徴とする、シリンジ。
【請求項11】
前記プランジャが、前記カバー上に配置された第3の円錐形キャップを含む、請求項10に記載のシリンジ。
【請求項12】
前記第3の円錐形キャップが、オーバーモールド要素を含む、請求項11に記載のシリンジ。
【請求項13】
前記カバーが、前記胴部の前記内壁との封止を形成する第1および第2の環状リブを前記円筒形側壁の外面にさらに含む、請求項10から12のいずれか一項に記載のシリンジ。
【請求項14】
前記円筒形側壁が、少なくとも1つの環状リブを有
前記カバーが、肩部と前記第1の円錐形キャップとの間の前記支持リング上に形成された環状溝に係合するための内側フランジをさらに含む、請求項10から12のいずれか一項に記載のシリンジ。
【請求項15】
前記第1の円錐形キャップが、90°より大きい頂角を画定している、請求項10から14のいずれか一項に記載のシリンジ。
【請求項16】
前記支持リングの前記第1の円錐形キャップが、90°より大きくかつ120°より小さい頂角を画定している、請求項15に記載のシリンジ。
【請求項17】
前記支持リングの前記第1の円錐形キャップと前記カバーの前記第2の円錐形キャップとの間に画定される前記角度θ3が、0°より大きく30°より小さい、請求項10に記載のシリンジ。
【請求項18】
前記空気キャビティの所定の容積が、0.1mL~10mLの範囲内で選択される、請求項10から17のいずれか一項に記載のシリンジ。
【請求項19】
プランジャを製造する方法であって
支持リングを設けるステップであって、前記支持リングが、第1の頂角を有する第1の円錐形キャップと、肩部とを含み、前記肩部と前記第1の円錐形キャップとの間に環状溝を画定する、ステップと、
カバーを前記支持リングに取り付けるステップであって、前記カバーが、第2の頂角を有する第2の円錐形キャップと、円筒形側壁と、前記支持リングの前記環状溝と係合するためのフランジとを含む、ステップと、
を含んでなる、プランジャを製造する方法において、
該プランジャには、前記第1の頂角と前記第2の頂角との間の差に基づいて、前記第1の円錐形キャップと前記第2の円錐形キャップとの間に空気キャビティ画定され、前記第1の円錐形キャップの遠位部分が、前記第2の円錐形キャップの近位部分と角度θを形成し、該プランジャに動作圧力がかかると、前記角度θ3 は該プランジャに圧力がかかっていないときよりも小さく、前記カバーの円筒形側壁が半径方向外向きに撓プランジャを製造する方法。
【請求項20】
シリンジを製造する方法であって、
シリンジ胴部を提供するステップと、
プランジャを製造するステップであって、
支持リングを設ける工程であって、前記支持リングが、第1の頂角を有する第1の円錐形キャップと、肩部とを含み、前記肩部と前記第1の円錐形キャップとの間に環状溝を画定する、工程と、
カバーを前記支持リングに取り付ける工程であって、前記カバーが、第2の頂角を有する第2の円錐形キャップと、円筒形側壁と、前記支持リングの前記環状溝と係合するためのフランジとを含む、工程と、
を含み、
前記プランジャには、前記第1の頂角と前記第2の頂角との間の差に基づいて、前記第1の円錐形キャップと前記第2の円錐形キャップとの間に空気キャビティ画定され、前記第1の円錐形キャップの遠位部分が、前記第2の円錐形キャップの近位部分と角度θを形成し、前記プランジャに動作圧力がかかると、前記角度θ3前記プランジャに圧力がかかっていないときよりも小さく、前記カバーの円筒形側壁が半径方向外向きに撓む、プランジャを製造するステップと、
前記プランジャを前記シリンジ胴部に挿入するステップと
を含む、シリンジを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2017年1月6日に出願された米国仮特許出願第62/443,302号の利益を主張し、その開示の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、概して医療用流体送達用途に関し、特に、流体注入器、シリンジ、およびシリンジ内のプランジャを含む流体注入システムに関する。より具体的には、本開示は動的封止を有するシリンジプランジャに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの医学診断および治療手順において、医師のような医療従事者は、患者に医療用流体を注入する。近年、血管造影法、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波、および磁気共鳴画像法などの画像化手順で使用するために、造影剤などの流体の加圧注入用のいくつかの注入器作動シリンジおよび電動注入器が開発されている。一般に、これらの電動注入器は、1つ以上の使い捨てまたは詰め替え式シリンジを使用して、所定量の造影剤および/または生理食塩水を所定の流量で送達するように設計されている。
【0004】
自動注入機構は、典型的には、リニアアクチュエータを備えた電動注入器に接続されたシリンジを含む。リニアアクチュエータは、シリンジの胴部に挿入されたプランジャと係合するように構成されている可動ピストンを作動させる。ピストンとプランジャとの間の接合部または係合部は、一般に、ピストンとプランジャとの間の接続を確立し維持するための、ねじ山、アンダーカット、ピン、スイベル、スナップ嵌合接続などの可逆的な機械的ロック構造を含む。
【0005】
プランジャ/ピストン接合部は、プランジャを胴部を通して近位方向に後退させて流体をシリンジ内に引き込むと共に、プランジャを胴部を通して遠位方向に前進させてその中に含まれる流体を放出するのに十分に強くなければならない。
【0006】
使用中にピストンとプランジャとの間の良好な接続を維持するのに十分に強いことに加えて、シリンジおよびプランジャが使用後に処分され得るように、接合部もまた取り外し可能であるべきである。機械的ロック構造では、ピストンをプランジャから外すために、ユーザは、例えばシリンジを回転させて、ピストンおよびプランジャのロック機構を適切に位置合わせするか、またはロック構造を克服するのに十分な力でピストンをプランジャから引き離すかのどちらかを行う。ピストンがプランジャから外れると、使用済みのシリンジおよびプランジャは廃棄される。
【0007】
シリンジプランジャ封止の課題は、注入手順中の封止が不十分であることである。シリンジが注入圧力条件下にあるときに、圧縮が生じる注入手順中に動的封止を強化する封止を有するシリンジプランジャを提供することが望ましいであろう。プレロード圧縮は、シリンジの貯蔵寿命にわたってプラスチック構成要素に変形またはクリープが生じ、それによって注入圧力条件下で適切な封止を形成することが損なわれるので、望ましくない。さらに、製造中の圧力は低いことが望ましい場合には、自動組立プロセスによる圧縮を制限することが望ましい。したがって、本明細書に記載の動的封止を有するシリンジプランジャの様々な態様は、これらの欠点を克服する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自動注入器はよく知られているが、医療スタッフにとって注入プロセスをより簡単にする、改良された流体送達システムが常に必要とされている。本開示に関して、動的封止を有するプランジャを有するシリンジが記述される。望ましくは、シリンジの胴部の内壁を通って容易に摺動する動的封止を有するが、それにもかかわらず、その中に含まれる物質の漏出を防ぐために注入手順中に胴部の内壁に対して良好な効果的封止を提供するように構成される動的封止を有するプランジャも必要である。
【0009】
上記を考慮して、電動注入器などの注入器と共に使用することができる動的封止を備えたプランジャを有するシリンジが必要とされている。本開示の一態様によれば、動的封止を備えたプランジャは、注入圧力条件下で圧縮を生じさせる。最初、比較的低い圧力条件下では、プランジャと胴部の内壁との間の圧縮は低い。圧縮は、流体送達システムの注入圧力条件下で増大し、したがってプランジャとシリンジの胴部の内壁との間の封止を増大させる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、動的封止を有するシリンジプランジャが提供される。動的封止を有するシリンジプランジャは、支持リングと、支持リング上に配置されかつそれに結合されたカバーとを含み、所定の容積を画定する空気キャビティが支持リングとカバーとの間に画定される。
【0011】
別の態様では、動的封止を備えたプランジャを含むシリンジが提供される。シリンジは、内壁を画定する胴部と、胴部の内側に配置されたプランジャとを含む。プランジャは、支持リングと、支持リング上に配置されかつそれに結合されたカバーとを含み、所定の容積を画定する空気キャビティが支持リングとカバーとの間に画定される。
【0012】
上記に加えて、本開示の文章(例えば、特許請求の範囲および/または詳細な説明)および/または図面などの様々な他の方法および/またはシステムおよび/またはプログラム製品の態様が教示に記述および記載される。
【0013】
本開示の様々な態様は、以下の節にも記載される。
【0014】
節1:支持リングと、支持リング上に配置されかつそれに結合されたカバーであって、支持リングおよびカバーがそれらの間に空気キャビティを画定し、空気キャビティは所定の容積を画定する、カバーとを含む、プランジャ。
【0015】
節2:カバー上に配置された円錐形キャップをさらに含む、節1に記載のプランジャ。
【0016】
節3:円錐形キャップが、その上に配置されたオーバーモールド要素を含む、節2に記載のプランジャ。
【0017】
節4:カバーが、第1および第2の環状リブをさらに含む、節1から3のいずれかに記載のプランジャ。
【0018】
節5:カバーが、円錐形キャップと、少なくとも1つの環状リブを有する円筒形側壁と、支持リングと係合するためのフランジとを含む、節1から4のいずれかに記載のプランジャ。
【0019】
節6:支持リングが、約90°より大きい狭角を画定する円錐形キャップを含む、節1から5のいずれかに記載のプランジャ。
【0020】
節7:支持リングの円錐形キャップが、約90°より大きくかつ約120°より小さい狭角を画定する、節6に記載のプランジャ。
【0021】
節8:支持リングの円錐形キャップおよびカバーの円錐形キャップが、それらの間に角度を画定する、節6または7に記載のプランジャ。
【0022】
節9:支持リングの円錐形キャップとカバーの円錐形キャップとの間に画定される角度が、0°より大きく約30°より小さい、節8に記載のプランジャ。
【0023】
節10:支持リングが、肩部を含み、支持リングが、カバーによって画定されたフランジを受け取るために肩部と円錐形キャップとの間に環状溝を画定する、節1から9のいずれかに記載のプランジャ。
【0024】
節11:所定の容積が、0.1mL~10mLの範囲内で選択される、節1から10のいずれかに記載のプランジャ。
【0025】
節12:内壁を画定する胴部と、胴部の内壁内に配置されているプランジャとを含むシリンジであって、プランジャが、支持リングと、支持リング上に配置されかつそれに結合されたカバーであって、所定の容積を画定する空気キャビティが支持リングとカバーとの間に画定される、カバーとを含む、シリンジ。
【0026】
節13:プランジャが、カバー上に配置された円錐形キャップを含む、節12に記載のシリンジ。
【0027】
節14:円錐形キャップが、その上に配置されたオーバーモールド要素を含む、節13に記載のシリンジ。
【0028】
節15:カバーが、胴部の内壁との封止を形成する第1および第2の環状リブをさらに含む、節12から14のいずれかに記載のシリンジ。
【0029】
節16:カバーが、円錐形キャップと、少なくとも1つの環状リブを有する円筒形側壁と、支持リングと係合するためのフランジとを含む、節12から15のいずれかに記載のシリンジ。
【0030】
節17:支持リングが、約90°より大きい狭角を画定する円錐形キャップを含む、節12から16のいずれかに記載のシリンジ。
【0031】
節18:支持リングの円錐形キャップが、約90°より大きくかつ約120°より小さい狭角を画定する、節17に記載のシリンジ。
【0032】
節19:支持リングの円錐形キャップおよびカバーの円錐形キャップが、それらの間に角度を画定する、節17または18に記載のシリンジ。
【0033】
節20:支持リングの円錐形キャップとカバーの円錐形キャップとの間に画定される角度が、0°より大きく約30°より小さい、節19に記載のシリンジ。
【0034】
節21:支持リングが、肩部を含み、支持リングが、カバーによって画定されたフランジを受け取るために肩部と円錐形キャップとの間に環状溝を画定する、節12から20のいずれかに記載のシリンジ。
【0035】
節22:所定の容積が、0.1mL~10mLの範囲内で選択される、節12から21のいずれかに記載のシリンジ。
【0036】
節23:プランジャを製造する方法であって、方法は、支持リングを設けるステップであって、支持リングは、第1の円錐形キャップと、肩部とを含み、肩部と円錐形キャップとの間に環状溝を画定する、ステップと、カバーを支持リングに取り付けるステップであって、カバーは、第2の円錐形キャップと、円筒形側壁と、支持リングの環状溝と係合するためのフランジとを含む、ステップと、カバーの第2の円錐形キャップに第3の円錐形キャップを取り付けるステップとを含む。
【0037】
第24節:シリンジを製造する方法であって、シリンジ胴部を提供するステップと、プランジャを製造するステップであって、支持リングを設ける工程であって、支持リングは、第1の円錐形キャップと、肩部とを含み、肩部と円錐形キャップとの間に環状溝を画定する、工程と、カバーを支持リングに取り付ける工程であって、カバーは、第2の円錐形キャップと、円筒形側壁と、支持リングの環状溝と係合するためのフランジとを含む、工程と、カバーの第2の円錐形キャップに第3の円錐形キャップを取り付ける工程とを含む方法によってプランジャを製造するステップと、プランジャをシリンジ胴部に挿入するステップとを含む。
【0038】
上記は要約であり、したがって、詳細の簡略化、一般化、包含、および/または省略を含むことがある。したがって、当業者は、概要が例示的なものにすぎず、決して限定的であることを意図していないことを理解するであろう。本明細書に記載の装置および/またはプロセスおよび/または他の主題の他の態様、特徴、および利点は、本明細書に記載の教示から明らかになるであろう。
【0039】
さらに、以下に記載される形態、形態の表現、例のうちの任意の1つ以上は、他の以下に記載される形態、形態の表現、および例のうちの任意の1つ以上と組み合わせることができる。
【0040】
前述の概要は例示的なものにすぎず、決して限定的であることを意図するものではない。上記の例示的な態様、態様、および特徴に加えて、さらなる態様、態様、および特徴は、図面および以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0041】
記載された形態の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。しかしながら、記載された形態は、構成および動作方法の両方に関して、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本開示の一態様によるシリンジの側面図である。
図2】本開示の一態様による、ピストンおよびプランジャを有するシリンジ接合部の概略断面図である。
図3】本開示の一態様による、シリンジプランジャシステムの断面図である。
図4】本開示の一態様による、動的封止を有するシリンジプランジャシステムの一態様の断面図である。
図5A】本開示の一態様による、初期圧縮状態にある、図4に示す動的封止を有するシリンジプランジャシステムの一態様の断面図である。
図5B】本開示の一態様による、圧縮状態にある、図5Aに示す動的封止を有するシリンジプランジャシステムの一態様の断面図である。
図6】挟角を含む支持リング構造の図を示す。本開示の一態様による、支持リングの斜視図である。
図7】挟角を含む支持リング構造の図を示す。本開示の一態様による、支持リングの斜視図である。
図8】挟角を含む支持リング構造の図を示す。本開示の一態様による、支持リングの平面図である。
図9】挟角を含む支持リング構造の図を示す。本開示の一態様による、支持リングの立面図である。
図10】挟角を含む支持リング構造の図を示す。本開示の一態様による、支持リングの底面図である。
図11】挟角を含む支持リング構造の図を示す。本開示の一態様による、図10に示されるような切断線11-11に沿ってとられた支持リングの断面図である。
図12】本開示の一態様による、出荷構成にある、動的封止を有するシリンジプランジャシステムの断面図である。
図13】本開示の一態様による、初期圧縮状態にある図12に示す動的封止を有するシリンジプランジャシステムの断面図である。
図14】本開示の一態様による、動作注入圧力状態にある、図12に示す動的封止を有するシリンジプランジャシステムの断面図である。
図15】本開示の一態様による、最大注入圧力の近くまたはそれを超える圧縮状態にある、図12に示す動的封止を有するシリンジプランジャシステム200の断面図である。
図16】本開示の一態様による、図4図15に関連して説明したシリンジプランジャシステムが、持続した期間の加圧後に耐える最大圧力のグラフ表現である。
図17】本開示の一態様による、図4図15に関連して説明したシリンジプランジャシステムが、持続した期間の加圧後にどのように耐えるかを示す最大圧力のグラフ表現である。
図18】本開示の一態様による、プランジャの狭角の関数としての封止圧力の関係のグラフ表現である。
図19】本開示の一態様による、シリンジプランジャシステムの動的封止について説明された空気キャビティの最適ギャップサイズのグラフ表現である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
動的封止を有するシリンジプランジャの様々な形態を詳細に説明する前に、例示的形態は、添付の図面および説明に示される部品の構造および配置の詳細に用途または使用が限定されないことに留意されたい。例示的な形態は、他の形態、変形形態、および修正形態で実施または組み込むことができ、様々な方法で実施または実行することができる。さらに、他に指示がない限り、本明細書で使用される用語および表現は、読者の便宜のために例示の形態を説明する目的で選択されており、これを限定する目的で選択されていない。
【0044】
さらに、以下に記載される形態、形態の表現、例のうちの任意の1つ以上は、他の以下に記載される形態、形態の表現、および例のうちの任意の1つ以上と組み合わせることができる。
【0045】
注入圧力条件下での注入手順中に強化された封止を提供するために、動的封止を有するシリンジプランジャを対象とした様々な形態がある。図1を参照すると、一態様では、シリンジ10は胴部12、プランジャ14、およびプランジャロッド17を含む。プランジャ14は、胴部12内に摺動可能に挿入されている。プランジャ14は、取り外し可能であるか、取り外し不可能であるか、または一体的にプランジャロッド17に接続されてもよい。プランジャロッド17の近位端15は、胴部12の近位端13から外向きに延びており、電動または自動の注入器などの流体注入器によって駆動されるように構成された外部ピストン(図示せず)との接合部を形成するように構成される。シリンジ10のプランジャロッド17と外部ピストンとの間の接合部は、プランジャロッド17の近位端15から延びる、嵌合要素20などの接続面構造を含むことができる。嵌合要素20は、外部ピストンと係合するように構成されている。外部ピストンはピストンロッド(図示せず)を含み得る。別の態様では、プランジャ14は外部ピストンと直接接触してもよい。
【0046】
使用時には、外部ピストンはシリンジ10の嵌合要素20と接触し、嵌合要素20と係合する。一態様では、シリンジは使い捨てであり得る。外部ピストンを嵌合要素20と係合させるために様々な技術を使用することができる。係合が確立されると、外部ピストンは、シリンジ10を流体で満たすために後退させることができ、または近位方向に駆動させてその中に含まれる流体を放出することができる。流体が放出されると、スライダ(図示せず)が近位方向に動かされて外部ピストンと嵌合要素20との係合が解除される。係合が解除されると、ユーザはシリンジ10を処分することができる。シリンジの追加の例は、2014年7月9日に出願された、同一出願人による「VACUUM SYSTEM FOR SYRINGE INTERFACE」と題する米国特許出願公開第2016/0151570号、および米国特許第9,173,995号、米国特許第9,199,033号、米国特許第9,700,670号、および米国特許出願第15/541,573号に見出すことができ、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
図2を参照すると、シリンジ10は、円筒形であり得る胴部12、およびプランジャ14、ならびに図1に関連して記載されるように、胴部12を通してプランジャ14を押し込みそして引き込む方法を含む。シリンジ10は、一般に、胴部12、プランジャ14、および胴部12を通してプランジャ14を前進および後退させるためのピストン18を含む。ピストン18は、プランジャ14と係合するためのピストンヘッド16を含み得る。ピストン18は、ユーザが手動でプランジャ14を前進させることを可能にするハンドル(図示せず)を任意に含んでもよい。あるいは、ピストン18は、胴部12を介してピストンヘッド16およびプランジャ14を自動的に駆動するための、電動注入器、電動リニアアクチュエータ、または流体注入器などの機械的機構に接続されている。ピストン18は硬質プラスチックで作ることができる。ピストン対プランジャ係合機構の例は、例えば、米国特許第9,480,797号および第7,666,169号に見出すことができ、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
胴部12は、患者に注射される薬剤、生物学的溶液、生理食塩水、または造影剤などの流体Fを収容するように適合されている。胴部12は、注入装置の近くの近位端21から遠位端22まで長手方向に延びており、流体Fを胴部12の遠位端22から放出するように構成されている。遠位端22は、ノズル、針カニューレ、またはカテーテル管などの流出口24を含み得る。胴部12は、ガラス、金属、セラミック、プラスチック、ゴム、またはそれらの組み合わせを含む任意の適切な生体適合性および医療グレードの材料から形成されてもよい。
【0049】
プランジャ14は、胴部12内に摺動可能に挿入されるように適合されており、エラストマー材料で形成された円筒形本体26、側壁28、および円錐形キャップ30を含む。プランジャ14は、胴部12の側壁28と内壁29との間に流体封止が形成されるように、胴部12の内径IDに対応する外径EDを有する。特定の態様では、側壁28は、側壁28から径方向に延びる1つ以上の環状リブ32を含む。環状リブ32は、液密封止を形成するように内壁29に接触してこれを圧迫するように適合されており、プランジャ14が前進または後退するにつれて液密封止を維持しながら胴部12の内壁29に対して摺動するようになっている。環状リブ32は、胴部12の内壁29に対する接触表面積を減少させ、これは、胴部12とプランジャ14との間の摩擦力を減少させ、プランジャ14がより容易に胴部12を通って摺動することを可能にする。
【0050】
プランジャ14は、プランジャ14の近位端に配置された環状肩部42またはリングをさらに含み得る。環状肩部42は、ピストン18またはピストンヘッド16の対応する部分に接触して、プランジャ14に対して追加の押圧力を与える。
【0051】
側壁28は可撓性であり、ピストンヘッド16および/または支持リング116を受け入れるために、プランジャ14の内側部分によって画定される開口部およびキャビティのサイズを大きくするように外側に変形することができる。特定の態様では、側壁28の一部分は本質的に中空であり、側壁28の構造的完全性を低下させるために環状チャネル(図示せず)を含み、これによって可撓性がさらに高まる。
【0052】
使用時には、ピストンヘッド16は、プランジャ14によって画定されたキャビティ内に挿入され、それらの間に取り外し可能な係合を確立する。プランジャ14が胴部12を通って前進しそしてそこから後退するときに、係合はプランジャ14とピストンヘッド16との間の接続を維持するのに十分である。したがって、係合は、プランジャ14の側壁28および/または環状リブ32と胴部12の内面との間の接触によって生じる初期摩擦破壊力の両方、ならびにプランジャ14が胴部12を通って摺動するときに生じる動的摩擦力、および流体Fをシリンジ内に引き込むためにプランジャ14が後退するときに生じる少なくとも部分的な真空を打ち消すのに十分強くなければならない。
【0053】
図3は、一態様によるシリンジプランジャシステム100の断面図である。シリンジプランジャシステム100は、約90°、例えば85°~95°の狭角θ1を含む。本明細書で使用する場合、プランジャシステムの角度を参照するときの「約」という用語は、±5°を意味する。シリンジプランジャシステム100は、シリンジの胴部104内に配置されたプランジャ102を含む。胴部104は、プランジャ102を摺動可能に受け取るように構成された内壁106を画定する。プランジャ102は、支持リング116と、支持リング116上に配置されスナップ嵌合されたカバー114と、カバー114上に配置された円錐形キャップ110とを含む。プランジャ102が注入圧力条件下にあるとき、胴部104の内壁106に向かって、プランジャ102は軸方向に、カバー114は径方向に撓み、注入圧力条件下でより大きな封止を提供する。特定の態様では、円錐形キャップ110は、オーバーモールド要素112を含み得る。
【0054】
カバー114は、円筒形の側壁108と、円錐形キャップ160と、カバー114を支持リング116に結合するための突出リムまたは縁部のようなフランジ162とを含む。カバー114は、第1の環状リブ120および第2の環状リブ122などの1つ以上の環状リブを含む。第1の環状リブ120は、胴部104の内壁106によって画定される第1の環状スロット124内に受け取られ、第2の環状リブ122は、同じく胴部104の内壁106によって画定される環状スロット126内に受け取られる。
【0055】
支持リング116は、環状肩部154と、円錐形キャップ152と、カバー114のフランジ162を受け取るためにそれらの間に画定される環状溝118とを含む。支持リング116の円錐形キャップ152は、円錐形キャップ110のカバー114部分を受け取るために約90°の狭角θ1および環状溝118を画定する。支持リング116は、円錐形キャップ160内に内容積132を画定する。注入加圧中にカバー114と支持リング116との間に空気の出口経路を提供するために、少なくとも1つの開口部134が支持リング116によって画定される。空気は、少なくとも1つの開口部134を通ってシリンジの胴部104の外側に戻り、流体の経路から離れるように排出される。
【0056】
空気キャビティ128は、支持リング116の円錐形キャップ152の先端150とカバー114の円錐形キャップ160との間に画定される。カバー114の円錐形キャップ160は、接合部130において支持リング116の円錐形キャップ152と接触して支持されている。接合部130において画定されたギャップまたは空気キャビティはない。
【0057】
図4は、別の態様による動的封止を有するシリンジプランジャシステム200の断面図である。シリンジプランジャシステム200が注入加圧前に示されている。シリンジプランジャシステム200は、約90°より大きい狭角θ2を含む。以下に説明されるように、狭角θ2が約90°を超えて大きくなると、シリンジプランジャシステム200の封止圧力限界が増大する。あるいは、シリンジプランジャシステム200は、支持リング216の円錐形キャップ252上に約90°の狭角θ2と、カバー214の円錐形キャップ260上に約90°未満の狭角θ2とを含む。シリンジプランジャシステム200は、シリンジのシリンジ胴部204内に配置されたプランジャ202を含む。シリンジ胴部204は、プランジャ202を摺動可能に受け取るように構成された内壁206を画定する。プランジャ202は、支持リング216と、支持リング216上に配置されかつそれに結合されたカバー214と、カバー214上に配置された円錐形キャップ210とを含む。一態様では、カバー214は支持リング216にスナップ嵌合することができる。プランジャ202が注入圧力条件下にあるとき、シリンジ胴部204の内壁206に向かって、プランジャ202は軸方向に、カバー214は径方向に撓み、注入圧力条件下でより大きな封止を提供する。円錐形キャップ210は、オーバーモールド要素212を含み得る。
【0058】
カバー214は、円筒形の側壁208と、円錐形キャップ260と、カバー214を支持リング216に結合するための突出リムまたは縁部のようなフランジ262とを含む。カバー214は、第1の環状リブ220および第2の環状リブ222を含む。第1の環状リブ220は、シリンジ胴部204の内壁206によって画定される第1の環状スロット224内に受け取られ、第2の環状リブ222は、同じくシリンジ胴部204の内壁206によって画定される第2の環状スロット226内に受け取られる。
【0059】
支持リング216は、環状肩部254と、円錐形キャップ252と、カバー214のフランジ262を受け取るためにそれらの間に画定される環状溝218とを含む。支持リング216の円錐形キャップ252は、円錐形キャップ210のカバー214部分を受け取るために、約90°よりも大きい狭角θ2および環状溝218を画定する。図示の例では、動的封止の最適効果を生み出すために狭角θ2を計算することができるので、本開示はこれに限定されないが、狭角θ2は96°である。支持リング216は、円錐形キャップ252内に内容積232を画定する。注入加圧中にカバー214と支持リング216との間に空気の出口経路を提供するために、少なくとも1つの開口部234が支持リング216によって画定される。空気は、少なくとも1つの開口部234を通ってシリンジのシリンジ胴部204の外側に戻り、流体の経路から離れるように排出される。
【0060】
支持リング216の円錐形キャップ252およびカバーの円錐形キャップ260は、それらの間にギャップまたは空気キャビティ230を画定する。空気キャビティ230または「ギャップ」は、プランジャ202の円錐形部分に沿って支持リング216とカバー214との間に画定される。角度θ3は、支持リング216とカバー214との間に画定され、空気キャビティ230を画定する。角度θ3は、例えば、0°よりも大きい値から約30°より小さい値まで変動することができ、名目上は約6°である。空気キャビティ230は、シリンジプランジャシステム200が注入加圧を受けると、オーバーモールド要素212およびカバー214が変形し、空気キャビティ230によって画定されるコンプライアンス容積内に撓むように、所定のコンプライアンス容積を画定する。注入圧力は、オーバーモールド要素212およびカバー214に軸方向の力を加え、それらを変形させて空気キャビティ230を圧縮し、これが第1および第2の環状リブ220、222に径方向の力を加えてそれぞれの第1および第2の環状スロット224、226に係合させ、および/または側壁208に対して径方向の力を加えて、注入圧力条件下で動的封止を形成する。狭角θ2が大きくなると、空気キャビティ230の容積が大きくなる。空気キャビティ230の容積は、狭角θ2を適切に選択することによって最適化することができる。したがって、コンプライアンス容積は、狭角θ2に基づいて増減させることができる。狭角θ2は、例えば、約90°よりも大きい値から約120°より小さい値まで変動することができ、名目上は約96°である。コンプライアンス容積は、例えば、約0.1mL~10mLまで変動し得る。図4に示すように、約96°の狭角θ2では、コンプライアンス容積は約1mLである。空気キャビティ230または「ギャップ」のサイズは、動的封止の封止圧力に相当する。空気キャビティ230の最適サイズは、特定の注入器/シリンジ用途に最適な動的封止を生成するように計算することができる。この最適効果は、例えば、封止のための最大追加圧縮と同等であり得る。
【0061】
本明細書では用語「空気キャビティ」を使用して支持リング216の円錐形キャップ252とカバーの円錐形キャップ260との間の圧縮性容積を説明しているが、他の圧縮性材料もまた、支持リング216の円錐形キャップ252とカバーの円錐形キャップ260との間の容積に含まれ得る。例えば、特定の態様では、円錐形キャップ252と円錐形キャップ260との間の容積は、圧縮性流体、例えば圧縮性ガスまたは他の流体を含む袋で充填することができる。別の態様では、円錐形キャップ252と円錐形キャップ260との間の容積は、注入手順に関連する圧力負荷の下で変形することができる低弾性率を有する弾性材料などの圧縮性材料で充填することができる。非限定的な例は、注入手順に典型的な圧力負荷の下で動的封止を可能にするように圧縮する、熱可塑性エラストマーまたは発泡材料などの圧縮可能または変形可能材料を含み得る。特定の態様では、プランジャ側壁とシリンジの内壁との間の予測可能な圧縮、ひいては予測可能な動的封止の制御は、所望の圧力負荷の下で特定の歪みまたは圧縮率を有する材料を選択することによって達成され得る。特定の態様では、材料の圧縮は、注入手順の圧力負荷がないと逆になるであろう。
【0062】
一態様では、シリンジ胴部204の本体は、例えばイーストマンMN052PETのような、一般にはPETと略するポリエチレンテレフタレートで作ることができる。支持リング216は、例えばLexan141のように、ポリカーボネート(PC)熱可塑性ポリマー、または強くて丈夫で光学的に透明で容易に加工、成形、および熱成形することができる任意の適切な医療用グレードのポリマーで作ることができる。カバー214は、熱可塑性ゴムと呼ばれることもある熱可塑性エラストマー(TPE)、または例えばSantoprene181~185などの、熱可塑性およびエラストマー特性の両方を有するプラスチックおよびゴムなどの他のポリマー混合物で作ることができる。カバー214は、光学的に透明または半透明であり得る。熱可塑性樹脂は、製造においてそれらが比較的使い易いこと、および注入成形される能力のために望ましいかもしれない。オーバーモールド要素212は、例えばポリプロピレンP5M4K-046のようなポリプロピレン熱可塑性ポリマーとしても知られるポリプロピレン(PP)で作ることができ、光学的に透明または半透明であり得る。シリンジ胴部204、支持リング216、カバー214、およびオーバーモールド要素212は、医療グレードのプラスチックおよび材料でできている。
【0063】
図5Aは、初期圧縮状態にある、図4に示す動的封止を有するシリンジプランジャシステム200の一態様の断面図である。図5Aに示す例では、狭角θ2は約96°である。それにもかかわらず、図4に関連して説明したように、動的封止を最適化するために狭角θ2を変えることができる。空気キャビティ230によって画定されるコンプライアンス容積は、垂直方向の矢印によって表される注入圧力240の初期印加時の初期圧縮状態であり、垂直方向の矢印によって示される方向にプランジャ202の軸方向の撓みを引き起こす。オーバーモールド要素212に加えられる注入圧力240は、カバー214を変形させるかまたは形状を変える。カバー214の形状の変化は、水平方向の矢印によって表される径方向の力242を加え、プランジャ202を水平方向の矢印によって示される方向にシリンジ胴部204の内壁206に対して径方向に撓ませてより大きな封止圧力をもたらす。径方向の力242は、第1および第2の環状リブ220、222をそれぞれの第1および第2の環状スロット224、226内に押し込み、シリンジ胴部204の内壁206に対して動的封止を作り出す。したがって、プランジャ202とシリンジ胴部204の内壁206との間の封止力は、注入圧力240の動的関数である。したがって、より高い封止力は注入中の短時間にだけ存在するので、クリープによるシリンジ胴部204の膨張が管理される。この関数は、注入圧力(PSI)対時間(ミリ秒)に対するシリンジプランジャシステム200の耐圧要件を規定するために採用することができる。一態様では、シリンジプランジャシステム200は、例えば、図16に示すように、355psi以上の注入圧力に30秒間耐えることができ、405psi以上の注入圧力に1秒間耐えることができる。プランジャ202の弾力性は、動的封止の重要性を高める。圧力範囲は、材料および注入の種類(例えば、CTまたはCV)に応じて0~2000PSIを含む。CT注入の場合、最大注入圧力は約500PSIであり、公称動作圧力は約150~350PSIである。CV注入の場合、最大注入圧力は約1500PSIであり、公称動作圧力は約300~800PSIである。
【0064】
図5Bは、圧縮状態にある、図5Aに示す動的封止を有するシリンジプランジャシステム200の一態様の断面図である。示されるように、オーバーモールド要素212に加えられる注入圧力240は、カバー214を変形させるかまたは形状を変える。カバー214の形状の変化は、水平方向の矢印によって表される径方向の力242を加え、プランジャ202を水平方向の矢印によって示される方向にシリンジ胴部204の内壁206に対して径方向に撓ませてより大きな封止圧力をもたらす。径方向の力242は、第1および第2の環状リブ220、222をそれぞれの第1および第2の環状スロット224、226内に押し込みおよび/または側壁208に押し付けて、シリンジ胴部204の内壁206に対して動的封止を作り出す。
【0065】
図6図11は、狭角θ2を画定する円錐形キャップ252を含む支持リング216構造の一態様のいくつかの図を示す。216のような支持リングのさらなる詳細は、米国特許第7,666,169号、同第9,480,797号に見出すことができ、本明細書中に参照として組み入れられる。図6および図7は、支持リング216の斜視図である。図8は支持リング216の平面図である。図9は支持リング216の正面図である。図10は支持リング216の底面図であり、図11図10に示す切断線11-11に沿ってとった支持リング216の断面図である。図6図10を参照すると、支持リング216は、先端部250、円錐形キャップ252、および環状肩部254を含む。円錐形キャップ252は、約90°より大きく約120°より小さい狭角θ2を画定する。図示の例では、狭角θ2は約96°であるが、プランジャ202と胴部との間に所定の動的封止力を達成するように狭角θ2を最適化することができる(図4図5A、および図5B)。円錐形キャップ252は、空気をシリンジ胴部204の外側に戻して流体経路から離れるように排出するために、1つ以上またはさらに複数の開口部234を画定することができる。環状溝218が円錐形キャップ252と環状肩部254との間に画定されている。環状溝218は、カバー214をスナップ嵌合して受け取るように構成される(図4図5A、および図5B)。支持リング216の円錐形キャップ252は、内容積232を画定する。支持リング216の一実施形態が図6図11に示されているが、支持リング216の他の実施形態および構成、例えば(米国特許第7,666,169号に記載されているような)異なるピストン係合機構を有する支持リングおよび/または円錐形キャップ252に開口部234を有しない構成の支持リング、あるいは1つの開口部234を有する構成の支持リングが考えられる。円錐形キャップ252に開口部234を有しない態様では、注入手順中の圧縮は、空気キャビティ230内の空気を圧縮するか、あるいは空気キャビティ230内の空気をプランジャカバー214と支持リング216との間に押し出すことができる。
【0066】
図12は、出荷構成にある動的封止を有するシリンジプランジャシステム200の断面図である。出荷構成では、プランジャ202は公称注入圧力よりもかなり低い圧力下にある。シリンジプランジャシステム200は、内壁206を画定するシリンジ胴部204と、シリンジ胴部204内に配置されたプランジャ202とを含む。プランジャ202は、約90°より大きい、一例では約96°である狭角θ2を画定する支持リング216を含む。前述のように、狭角θ2は、例えば、約90°~約120°の間の値を有することができる。支持リング216は、シリンジ胴部204内でプランジャ202を往復運動させる医療用注入器のピストンとの可逆的な係合のための係合機構を含む。支持リング216は、空気をシリンジ胴部204の外側に戻して流体経路から離れる方向に排出するための少なくとも1つの開口部234を画定する。プランジャ202は、支持リング216において支持リング216によって画定された環状溝218内にスナップ嵌合するように構成されたカバー214をさらに含む。カバー214はまた、注入圧力条件下で動的封止を形成するためにシリンジ胴部204の内壁206に画定されるそれぞれの第1および第2の環状スロット224、226内に受け取られるように構成された第1および第2の環状リブ220、222を含む。オーバーモールド要素212をカバー214上に配置することができる。
【0067】
図12に示すように、角度θ3が支持リング216とカバー214との間に画定され、それらの間に空気キャビティ230を画定する。空気キャビティ230は、シリンジプランジャシステム200が注入圧力下にあるとき、カバー214およびオーバーモールド要素212が軸方向の力を受けて、柔軟に歪んで空気キャビティ230によって画定されるコンプライアンス容積を圧縮するように、所定のコンプライアンス容積を画定する。注入圧力条件下では、歪みは、第1および第2の環状リブ220、222をそれぞれの第1および第2の環状スロット224、226内に押し込み、および/またはシリンジ胴部の側壁208に対して押し付けてそれぞれ第1および第2の動的封止を形成するために径方向の力を加える。前述のように、空気キャビティ230は、0.1mL~10mLの範囲の所定の容積を画定するように構成されてもよい。プランジャ202が出荷構成にありかつ注入圧力下にないとき、支持リング216とシリンジ胴部204の内壁206との間にギャップ258が画定される。様々な圧縮状態での図12に示すシリンジプランジャシステム200の構成は、図13図15に関連して以下に説明される。
【0068】
図13は、初期圧縮状態にある、図12に示す動的封止を有するシリンジプランジャシステム200の断面図である。典型的な初期圧力範囲は、例えば0PSIのすぐ上から100PSIまで変動し得る。初期圧縮状態では、支持リング216とカバー214との間に画定される角度θ’3は、プランジャカバー214に対する流体の印加圧力のために、図12に示す角度θ3よりも小さい。図13に示すように、支持リング216とシリンジ胴部204の内壁206との間に画定されるギャップ258’は、第1および第2の環状リブ220、222によって第1および第2の環状スロット224、226に対して加えられる横方向力のために図12に示すギャップ258よりも小さい。狭角θ2は、図12に示す狭角θ2と実質的に同じままである。
【0069】
図14は、動作注入圧力下にある、図12に示す動的封止を有するシリンジプランジャシステム200の部分断面図である。作動注入圧力は、材料および注入の種類(例えば、CTまたはCV)に応じて150から800PSIの間で変化し得る。動作圧力下では、支持リング216とカバー214との間に画定される角度θ’’3は、プランジャ202が初期圧縮状態にあるときの支持リング216とカバー214との間に画定される角度θ’3より小さい。したがって、プランジャ202が作動注入圧力下にあるときに支持リング216とシリンジ胴部204の内壁206との間に画定されるギャップ258’’は、第1および第2の環状リブ220、222によって第1および第2の環状スロット224、226に対して加えられる径方向力のために図13に示すギャップ258’よりも小さい。作動注入圧力下では、第1および第2の環状リブ220、222は、側壁208を押圧して動的封止を形成する。示すように、狭角θ2は、図12および図13に示す狭角θ2と実質的に同じままである。
【0070】
図15は、最大注入圧力の近くまたはそれを超える圧縮状態にある、図12に示す動的封止を有するシリンジプランジャシステム200の部分断面図である。最大注入圧力は、材料および注入の種類(例えば、CTまたはCV)に応じて500から1500PSIまで変動することがあり、場合によっては2000PSI程度の高さになることがある。高圧条件下では、側壁208を押圧している第1および第2の環状リブ220、222によって形成された動的封止が漏れ始める可能性がある。これが起こる閾値圧力は、ブローバイ圧力として知られている。図15に示すように、最大注入圧力条件下では、支持リング216とカバー214との間に画定される角度θ’’’3は、比較的小さいかまたはゼロに近い。図示のように、支持リング216とカバー214との間のギャップ258’’’はゼロ近くまで減少しており、最大注入圧力下では実質的に空気キャビティ230全体が除去されている。図15に示すように、最大注入圧力条件下では、狭角θ2は、図12図14に示す狭角θ2と実質的に同じままである。
【0071】
図16は、一態様による、図4図15に関連して説明したシリンジプランジャシステム200が持続した期間の加圧後に耐えることができる最大圧力のグラフ表現300である。縦軸は圧力(PSI)で、横軸は時間(ミリ秒)である。支持リング216の先端部250(図6図11)は、名目上約0.005インチであった。曲線302は、シリンジプランジャシステム200への圧力の印加を表す。第1の期間T1の間、シリンジプランジャシステム200に印加される圧力は、0PSIから約355PSIに上昇(増大)し、これは、ほぼ1つのタイプのシリンジプランジャシステム200の動作圧力である。第2の期間T2の間、355PSIの圧力がシリンジプランジャシステム200に保持される。持続した期間T2の後、第3の期間T3の間、欠陥、例えば漏れが起きるまで圧力が上昇(増大)する。曲線302によって示されるように、欠陥は、第3の期間T3の間に約420PSIで発生する。
【0072】
図17は、別の態様による、図4図15に関連して説明したシリンジプランジャシステム200が持続した期間の加圧後に耐えることができる最大圧力のグラフ表現350である。縦軸は圧力(PSI)で、横軸は時間(ミリ秒)である。支持リング216の先端部250(図6図11)は、名目上約0.005インチであった。曲線352は、シリンジプランジャシステム200への圧力の印加を表す。第1の期間T1の間、シリンジプランジャシステム200に印加される圧力は、0PSIから約365PSIに上昇(増大)し、これは、ほぼ1つのタイプのシリンジプランジャシステム200の動作圧力である。第2の期間T2の間、365PSIの圧力がシリンジプランジャシステム200に保持される。持続した期間T2の後、第3の期間T3の間、欠陥、例えば漏れが起きるまで圧力が上昇(増大)する。曲線352によって示されるように、欠陥は、第3の期間T3の間に約400PSIで発生する。
【0073】
図18は、一態様による、図4図15に関連して説明したプランジャシステム200の狭角の関数としての封止圧力の関係のグラフ表現400である。縦軸は圧力(PSI)で、横軸はプランジャ狭角θ2(度)である。これに関連して、プランジャ狭角は、例えば、図4図5B図9図11、および図12図15に関連して説明したように、支持リング216によって画定される狭角θ2である。棒グラフ402は、シリンジプランジャシステム200が支持リング216の狭角θ2の関数として耐えることができる最大圧力を示す。示すように、90°の狭角θ2において、最大圧力は約505PSIである。92°の狭角θ2において、最大圧力は約520PSIである。94°の狭角θ2において、最大圧力は約575PSIである。96°の狭角θ2において、最大圧力は約590PSIである。98°の狭角θ2において、最大圧力は約580PSIである。そして、100°の狭角θ2において、最大圧力は約575PSIである。したがって、図4図15に示す例では、データは、90°~100°の範囲の狭角θ2の最適な狭角θ2が約96°であることを示しているが、それはこの角度が特定の用途に必要な最大封止圧力に耐えることのできる動的封止を生成することができるからである。しかしながら、様々な最大注入圧力に耐えることができる動的封止を提供するために、狭角θ2を最適化することができることが理解されよう。したがって、本明細書に開示された狭角θ2および対応する最大耐圧の具体的な値は、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0074】
したがって、支持リング216の狭角θ2によって画定される空気キャビティ230の容積(図4図5A、および図12図15参照)は、動的封止の封止圧力に相当する。動的封止の効果を測定するための別の方法は、空気キャビティ230の容積を増大させてシリンジプランジャシステム200の封止圧力限界を測定することである。図18に示すグラフ表現400は、支持リング216の狭角θ2を増大させると(空気キャビティ230の容積を増大させる)、シリンジプランジャシステム200の動的圧力封止限界がどの程度増大するかを示している。プランジャ202の封止能力は、最終的には96°でシリンジ胴部204の材料強度を凌駕し、密封圧力限界の安定化につながる。
【0075】
図19は、本開示の態様による、図4図15に関連して説明したシリンジプランジャシステム200の動的封止のための、図4図5A、および図12図15に関連して説明した空気キャビティ230の最適ギャップサイズのグラフ表現500である。径方向の撓み(インチ)は垂直軸に沿って示され、軸方向の撓み(インチ)は水平軸に沿って示される。曲線502のデータ点を使用して、本開示の一態様によるシリンジプランジャシステム200の円錐形動的封止を表すn次多項式を作成することができる。動的封止の最適効果を生み出すために、空気キャビティ230の最適ギャップサイズを計算することができる。この最適効果は、封止のための最大追加圧縮と同等である。この計算の非限定的な一例を以下に示す。空気キャビティ230のギャップサイズが増大するにつれて、構成要素がそれ自体で崩壊する前にピーク圧縮に達し、圧縮は実際には低減される。以下の式(1)は、0.9944インチの封止半径について曲線502のデータ点から導き出された二次方程式の一例である。
y=1.3722x2+0.2746x-0.001 (1)
【0076】
前述の説明で様々な詳細を述べてきたが、動的封止を有するシリンジプランジャの様々な態様は、これらの具体的な詳細がなくても実施され得ることが理解されよう。例えば、簡潔さおよび明瞭さのために、選択された態様は詳細にではなく概略図で示されている。
【0077】
「一態様」、「態様」、「一形態」、または「形態」への言及は、その態様に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも一態様に含まれることを意味することは特記に値する。したがって、本明細書を通じて様々な箇所での「一態様において」、「態様において」、「形態において」、または「一形態において」という句の出現は、必ずしもすべてが同一の態様を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つ以上の態様において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0078】
本明細書で様々な形態を説明してきたが、それらの形態に対する多くの修正形態、変形形態、置換形態、変更形態、および等価形態を実施することができ、また当業者には思い浮かぶであろう。また、特定の構成要素について材料が開示されている場合、他の材料を使用することができる。したがって、前述の説明および添付の特許請求の範囲は、開示された形態の範囲内に含まれるようなすべてのそのような修正形態および変形形態を網羅するように意図されていることを理解されたい。添付の特許請求の範囲は、そのようなすべての修正形態および変形形態を網羅することを意図している。
【0079】
上記の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、本明細書で言及されているおよび/または任意の出願データシートに記載されている非特許文献、または任意の他の開示材料はすべて、本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。そのように、そして必要な範囲で、本明細書に明示的に記載された開示は、参照により本明細書に組み込まれたいかなる矛盾する資料よりも優先される。参照により本明細書に組み込まれると言われるが、本明細書に記載される既存の定義、声明、または他の開示材料と矛盾する任意の材料またはその一部は、その組み込まれた材料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれる。
【0080】
当業者であれば、本明細書で説明した構成要素(例えば、動作)、装置、オブジェクト、およびそれらに付随する説明は、概念を明確にするために例として使用され、様々な構成変更が考えられることを認識するであろう。したがって、本明細書で使用されているように、記載された特定の例および添付の説明は、それらのより一般的な種類を代表することを意図している。一般に、任意の特定の例の使用は、その種類を代表することを意図しており、特定の構成要素(例えば、動作)、装置、およびオブジェクトを含まないことを限定的と解釈するべきではない。
【0081】
本明細書における実質的に任意の複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈および/または用途に適切であるように、複数形から単数形および/または単数形から複数形に変換することができる。明確にするために、様々な単数形/複数形の置換は、本明細書に明示的に記載されていない。
【0082】
本明細書に記載の本主題の特定の態様を示し説明してきたが、本明細書の教示に基づいて、本明細書に記載の主題およびより広範な態様から逸脱することなく変更および修正を加えることができること、したがって添付の特許請求の範囲は、本明細書に記載の主題の真の精神および範囲内にあるものとして、そのようなすべての変更および修正をその範囲内に包含するものであることは当業者には明らかであろう。一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、一般に「非限定」用語(例えば、「含む」という用語は「含むがそれらに限定されない」、「有する」という用語は「少なくとも有する」、「含む」という用語は「含むがそれらに限定されない」などとして解釈されるべきである)として意図されることを当業者は理解するであろう。特定の数の導入された請求項の列挙が意図される場合、そのような意図は請求項に明示的に列挙され、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことは当業者によってさらに理解される。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の列挙を導入するための導入句「少なくとも1つ」および「1つ以上」の使用を含み得る。ただし、そのような表現の使用は、不定冠詞「a」または「an」による請求項列挙の導入が、同じ請求項が、「1つ以上」または「少なくとも1つ」という導入句および「a」または「an」などの不定冠詞を含む(例えば、「a」および/または「an」は、通常「少なくとも1つ」のまたは「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)場合でも、そのような導入された請求項列挙を含む特定の請求項を、そのような列挙の1つのみを含む請求項に限定することを意味すると解釈されるべきではなく、請求項の列挙を導入するために使用される定冠詞の使用にも同じことが当てはまる。
【0083】
さらに、たとえ特定の数の導入された請求項の列挙が明示的に列挙されていても、そのような列挙が典型的に少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきであることを当業者は認識するであろう(例えば、他の修飾語なしの「2つの列挙」という裸の列挙は、通常、少なくとも2つの列挙、または2つ以上の列挙を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する規則が使用される場合、そのような構造は一般に、当業者がその規則を理解するであろうという意味で意図される(例えば「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、AおよびB、AおよびC、BおよびC、および/またはA、B、およびCを有する、などのシステムを含むが、これらに限定されない)。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する規則が使用される場合、そのような構造は一般に、当業者がその規則を理解するであろうという意味で意図される(例えば「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、AおよびB、AおよびC、BおよびC、および/またはA、B、およびCを有する、などのシステムを含むが、これらに限定されない)。明細書、特許請求の範囲、または図面のいずれであっても、典型的には2つ以上の代替用語を提示する選言的な単語および/または句は、文脈上別段の指示がない限り、これらの用語のうちの1つ、いずれかの用語、または両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきである。例えば、「AまたはB」という句は、通常、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解されるであろう。
【0084】
本明細書で様々な形態を説明してきたが、それらの形態に対する多くの修正形態、変形形態、置換形態、変更形態、および等価形態を実施することができ、また当業者には思い浮かぶであろう。また、特定の構成要素について材料が開示されている場合、他の材料を使用することができる。したがって、前述の説明および添付の特許請求の範囲は、開示された形態の範囲内に含まれるようなすべてのそのような修正形態および変形形態を網羅するように意図されていることを理解されたい。添付の特許請求の範囲は、そのようなすべての修正形態および変形形態を網羅することを意図している。
【0085】
要約すると、本明細書で説明した概念を採用することからもたらされる多数の利点が説明されている。1つ以上の形態の前述の説明は、例示および説明を目的として提示されている。網羅的であること、または開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして修正または変形が可能である。1つ以上の形態は、原理および実際的な適用を説明するために選択および説明され、それによって当業者が企図される特定の用途に適した様々な形態および様々な修正を利用できるようにする。本明細書と共に提出される請求項が全体の範囲を定義することを意図している。
【符号の説明】
【0086】
10 シリンジ
11 切断線
12 胴部
13 近位端
14 プランジャ
15 近位端
16 ピストンヘッド
17 プランジャロッド
18 ピストン
20 嵌合要素
21 近位端
22 遠位端
24 流出口
26 円筒形本体
28 側壁
29 内壁
30 円錐形キャップ
32 環状リブ
42 環状肩部
100 シリンジプランジャシステム
102 プランジャ
104 胴部
106 内壁
108 側壁
110 円錐形キャップ
112 オーバーモールド要素
114 カバー
116 支持リング
118 環状溝
120 環状リブ
122 環状リブ
124 環状スロット
126 環状スロット
128 空気キャビティ
130 接合部
132 内容積
134 開口部
150 先端
152 円錐形キャップ
154 環状肩部
160 円錐形キャップ
162 フランジ
200 シリンジプランジャシステム
202 プランジャ
204 シリンジ胴部
206 内壁
208 側壁
210 円錐形キャップ
212 オーバーモールド要素
214 カバー
216 支持リング
218 環状溝
220 環状リブ
222 環状リブ
224 環状スロット
226 環状スロット
230 空気キャビティ
232 内容積
234 開口部
240 注入圧力
242 径方向の力
250 先端部
252 円錐形キャップ
254 環状肩部
258 ギャップ
258’ ギャップ
258’’ ギャップ
258’’’ ギャップ
260 円錐形キャップ
262 フランジ
300 グラフ表現
302 曲線
350 グラフ表現
352 曲線
400 グラフ表現
402 棒グラフ
500 グラフ表現
ED 外径
F 流体
ID 内径
T1 第1の期間
T2 第2の期間
T3 第3の期間
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19