(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】熱過敏性流体をポンプ送りするためのポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/58 20060101AFI20220801BHJP
A23L 5/00 20160101ALN20220801BHJP
【FI】
F04D29/58 D
A23L5/00 M
(21)【出願番号】P 2019556841
(86)(22)【出願日】2018-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2018059936
(87)【国際公開番号】W WO2018192991
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-09
(32)【優先日】2017-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】517027033
【氏名又は名称】エスピーエックス フロウ テクノロジー デンマーク アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ペデルセン ベント
(72)【発明者】
【氏名】トルセン クヌート
(72)【発明者】
【氏名】マドセン ヨーエン
(72)【発明者】
【氏名】ポールセン オレ
【審査官】大屋 静男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/012026(WO,A1)
【文献】特表平10-509874(JP,A)
【文献】特開2009-091935(JP,A)
【文献】特開2000-054996(JP,A)
【文献】特開平03-189400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/58
A23C 3/037
A23L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱過敏性流体食品をポンプ送りするための遠心ポンプであって、前記熱過敏性流体食品のための入口ポート(3)及び出口ポート(4)を備えた渦巻き形ケーシング(1,2)を有し、前記渦巻き形ケーシングは、シャフト(8)の端部と作動可能に関連しているディスク(6)を備えたインペラ(5)を包囲し、前記ディスクは、第1の表面及び前記第1の表面と反対側の第2の表面(9)を有し、前記第1の表面は、前記渦巻き形ケーシングの前記入口ポートに向きかつベーン(7)を備え、前記インペラの前記ディスクの前記第2の表面は、冷却媒体にさらされ、前記ディスクは、冷却媒体入口(10)及び冷却媒体出口(17)を備えた冷却空洞(14)を有する、遠心ポンプ。
【請求項2】
前記ディスクは、同軸環状エンクロージャを有する空洞を用いて冷却される、請求項1記載の遠心ポンプ。
【請求項3】
前記同軸環状エンクロージャ
の外周の半径は、前記ディスクの外周の半径の50%以上である、請求項2記載の遠心ポンプ。
【請求項4】
前記冷却空洞への入口通路が前記回転シャフト及び/又は前記ディスクと前記ケーシングとの間に環状空間(11)を有する、請求項1記載の遠心ポンプ。
【請求項5】
前記冷却媒体出口は、前記入口から半径方向に距離を置いたところで前記ケーシングに形成される、請求項1~4のうちいずれか一に記載の遠心ポンプ。
【請求項6】
前記渦巻き形ケーシングは、前記インペラの前記ベーンに向いた前記ケーシング
の部分に取り付けられた冷却ジャケット(18)を有する、請求項1~5のうちいずれか一に記載の遠心ポンプ。
【請求項7】
遠心ポンプに連結された注入チャンバ(40)を含む注入プラントであって、前記注入チャンバは、前記注入チャンバの頂部のところに設けられていて本質的に下方に差し向けられた流体食品流を生じさせるための流体食品入口(42)及び前記流体食品に熱処理を加えるための蒸気用の入口を有し、前記注入チャンバは、加熱された前記食品を収集するよう構成された底部セクションを有し、前記底部セクションは、前記注入チャンバの前記底部のところに設けられていて、前記収集された流体食品が前記注入チャンバを出ることができるようにするための出口開口部(43)を有し、前記出口開口部は、前記遠心ポンプの前記入口(1)に連結され、熱過敏性流体食品をポンプ送りするための前記遠心ポンプは、前記熱過敏性流体食品のための入口ポート(3)及び出口ポート(4)を備えた渦巻き形ケーシング(1,2)を有し、前記渦巻き形ケーシングは、シャフト(8)の端部と作動可能に関連しているディスク(6)を備えたインペラ(5)を包囲し、前記ディスクは、第1の表面及び前記第1の表面と反対側の第2の表面(9)を有し、前記第1の表面は、前記ケーシングを前記入口ポートに向きかつベーン(7)を備え、前記インペラの前記ディスクの前記第2の表面は、冷却媒体にさらされる、注入プラント。
【請求項8】
底部セクション(32)を包囲した冷却ジャケット(45)をさらに含み、前記ケーシングの少なくとも一部は、前記インペラの前記ベーンに向いている、請求項7記載の注入プラント。
【請求項9】
前記注入チャンバの前記出口開口部は、前記遠心ポンプの前記入口にシームレスの状態で連結されている、請求項7又は8記載の注入プラント。
【請求項10】
請求項1~6のうちいずれか一に記載の前記遠心ポンプ、又は請求項7又は8記載の前記注入プラントの使用であって、乳漿タンパク質濃縮物、離乳食、離乳食用液体濃縮物、栄養飲料、スキムミルク、乳タンパク質単離物、又はチーズミルクを加工するための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱過敏性食品をポンプ送りするのに適した遠心ポンプに関する。さらに、本発明は、この遠心ポンプを含む注入プラントに関する。遠心ポンプ及び注入プラントは、ファウリング(汚れ)を除いてポンプを清浄にする稼働停止時間が短縮されるので長い稼働時間をもたらす。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0794706号明細書は、高温加工用熱過敏性流体食品、例えば乳漿濃縮物及びチーズミルクのための注入プラントを開示している。このプラントは、注入チャンバを有し、この注入チャンバ内において、流体は、蒸気を供給することによって熱処理を受ける。食品は、食品の別個のかつ主として下方に差し向けられたジェットの束として注入チャンバの頂部のところから導入される。注入チャンバの下側セクションは、食品を収集するのに役立ちかつ冷却ジャケットを用いた冷却式壁を有する。注入チャンバの出口開口部が注入チャンバの底部のところに配置され、この出口開口部は、容量形ポンプの入口に連結されている。容量形ポンプの出口は、真空チャンバの入口に連結され、この真空チャンバは、蒸気注入中に加えられた水を食品から除去するのに役立つ。
【0003】
遠心ポンプは、多くの用途向けに設計された。かくして、欧州特許出願公開第2067999(A1)号明細書は、液体冷却式ターボチャージャーインペラを開示している。インペラの裏側では、入口がディスクを冷却するための空洞に冷却媒体を提供する。冷却媒体は、出口を通ってインペラの裏側で空洞を出る。ターボチャージャは、インペラを汚す場合のある熱過敏性流体食品のポンプ送り向けには設計されていない。これに代えて、ターボチャージャは、ディーゼルエンジンで使用され、インペラを冷却する目的は、ターボチャージャの動作寿命を延ばすことにある。日本国特開2009‐091935号広報は、圧縮性流体、例えば圧縮空気がインペラによって吸い込まれる遠心圧縮機に関する。インペラは、溝を通って空間中に運び込まれた空気で裏側が冷却される。冷却用空気は、チャネルを通って入り、そして冷却ファンによって動力供給され、そして別のチャネルを通って出る。
【0004】
注入プラントは、蒸気注入によって微生物を死滅させるのに短い時間で高い温度を用いる。この技術は、微生物が繁殖することで製品がその栄養価、風味及び外観を損ねる場合のある酪農業界で広く用いられている。これら微生物は、ある特定の温度で育つが、微生物が製品中に存在していない場合、製品を冷蔵の必要なく何ヶ月にもわたって貯蔵できる。蒸気注入は、他のUHTプロセスと比較して熱による劣化を最小限に抑えた状態でこの目的を達成する。蒸気注入は、必須の成分、例えばビタミン類を保護するのを助け、その結果、極めて優れた品質を備える新鮮味のある製品が得られる。蒸気注入は、商用殺菌に必要な死滅率を提供し、しかもミルク、プディング、アイスクリーム、離乳食、コンデンスミルク、プロセスチーズ、ソース及びクリームからローションまでの流体をカバーする広い製品粘度範囲を取り扱うことができる。
【0005】
既知の注入プラントでは、冷却ジャケットが焦げ及びファウリングを最小限に抑えるために注入チャンバの底部セクション周りに設けられる。しかしながら、ファウリングは、完全には阻止されず、注入チャンバのクリーニング及び/又は水洗が例えば食品のタイプに応じて、所与の作動期間後に必要である。
【0006】
注入チャンバ内のファウリングは、国際公開第2016/012026号パンフレットにおいて減少しており、この国際公開は、流体食品が蒸気の供給によって熱処理を受ける注入チャンバ、及び注入チャンバの頂部のところに設けられていて複数の本質的に下方に差し向けられた別個の流体食品ジェットを生じさせる複数の開口部に連結された流体食品入口を含むプラントを開示している。注入チャンバは、流体食品をジェットから収集するよう構成された底部セクションを有する。底部セクションは、注入チャンバの底部のところに設けられていて収集された流体食品が注入チャンバを出ることができるようにするための出口開口部を有する。出口開口部は、ポンプの入口にシームレスの状態で連結されている。冷却ジャケットが底部セクションを冷却するために底部セクションを包囲している。冷却ジャケットは、ポンプまでずっと下方に延びている。底部セクションとポンプとの間にシームレス移行部を提供することによりかつ底部セクションの周りにかつポンプまでずっと下方に冷却作用を提供することによって、ポンプ及びこげが減少し、その結果、クリーニング間の長くかつ安全な生産時間が得られ、注入式熱処理プラントの生産効率が著しく高められる。本発明のある特定の具体化例では、ポンプは、容量形ポンプであり、好ましくは、歯車ポンプ又はローブポンプである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許第0794706号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2067999(A1)号明細書
【文献】日本国特開2009‐091935号広報
【文献】国際公開第2016/012026号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ファウリングをさらに最小限に抑えるとともにクリーニング作業間の長い稼働時間を得て、それにより良好な生産効率を達成することが望ましい。また、クリーニングが必要となる前の稼働時間のより予測可能な長さが望ましい。
【0009】
本発明の目的は、乳漿タンパク質濃縮物、離乳食、離乳食用液体濃縮物、栄養飲料、スキムミルク、又はチーズミルクのような熱過敏性流体をポンプ送りする際におけるポンプ内のファウリングを回避し又は減少させることにある。インペラのファウリングの阻止又は減少の結果として、クリーニング相互間の長い生産稼働時間が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、熱過敏性流体食品をポンプ送りするための遠心ポンプであって、熱過敏性流体食品のための入口ポート及び出口ポートを備えた渦巻き形ケーシングを有し、渦巻き形ケーシングは、シャフトの端部と作動可能に関連しているディスクを備えたインペラを包囲し、ディスクは、第1の表面及び第1の表面と反対側の第2の表面を有し、第1の表面は、渦巻き形ケーシングの入口ポートに向きかつベーンを備え、インペラのディスクの第2の表面は、冷却媒体にさらされることを特徴とする遠心ポンプが提供される。
【0011】
熱過敏性流体をポンプ送りするインペラのファウリングにより、クリーニング相互間の短い稼働時間及び最終製品中へのファウリングのかけらの混入の恐れのために、多くの食品製造会社、例えば酪農業界では困難が生じる。本発明者は、インペラディスクの表面上のファウリングの堆積をインペラディスクの反対側からのインペラディスクの冷却に起因して本発明によって減少させることができるということを認識した。ファウリングの堆積の軽減により、インペラのクリーニング相互間の稼働時間が長くなるとともにさらに変色をもたらすファウリングかけらが最終製品中に存在する恐れが減少する。
【0012】
ベーンを備えたディスク表面と反対側のディスクの表面の冷却は、多くのすぐに利用可能な手段を用いて実施でき、かかる手段としては、曲がりくねった又は螺旋状の管からの冷却作用の伝達が挙げられる。本発明のある特定の実施形態では、ディスクは、冷却媒体のための入口及び出口を備えた冷却空洞を有する。冷却空洞は、現時点においては、生産費を最小限に抑えるより単純な機械的構造であるとみなされる。熱/冷却作用伝達を多くするため、ディスクの第2の表面は、冷却媒体の局所速度又は攪拌を高めるための突出部、波形部又は他の構造体を備えるのが良い。
【0013】
冷却空洞は、冷却能力を冷却を必要とするディスクの領域に方向付けるために2つ又は3つ以上のコンパートメントに分割されるのが良い。変形例として、冷却空洞は、同軸環状エンクロージャであっても良い。実験結果の示すところによれば、同軸環状エンクロージャが十分な冷却作用を提供するので、現時点においては、冷却能力を方向付けることが必要であるとはみなされない。
【0014】
同軸環状エンクロージャの外周の半径は、ディスクの外周の半径の通常50%以上、例えば60%、70%、80%又はそれ以上である。50%以上よりも大きい外周の半径は、ベーンを備えたディスクの表面のより一様な冷却を保証し、すなわち、ディスクの周囲も又はウリングを減少させるために十分に冷却される。他の実施形態では、同軸環状エンクロージャの外周の半径は、ディスクの外周の半径の80%以下、例えば70%、60%、50%、40%又はそれ以下である。
【0015】
冷却媒体のための入口は、シャフトの近くに位置決めされても良く又は半径方向にシャフトから距離を置いたところに配置されても良い。本発明の実施形態では、冷却空洞への入口通路は、回転シャフト及び/又はディスクとケーシングとの間に環状空間を有する。この設計は、新鮮な冷却媒体が最初にインペラディスクの中央部に方向付けられ、その後にディスクのより周辺部に向かって方向付けられるので、ディスクの中央部のファウリングを減少させるようにする。
【0016】
冷却媒体のための出口は、シャフトの近くに位置決めされても良く又は半径方向にシャフトから距離を置いたところに配置されても良い。適当な実施形態では、冷却媒体出口は、入口から半径方向に距離を置いたところでケーシングに形成される。入口から半径方向に距離を置いたところに配置されている出口の位置により、冷却空洞を通る支援流れの実現が可能である。
【0017】
冷却媒体は、冷却作用をインペラディスクの第2の表面に運ぶために十分容易に流れる任意の液体媒体であるのが良い。冷却媒体は、ポンプ送りされている液体食品とは異なる。好ましい実施形態では、冷却媒体は、水である。冷却媒体を再使用することができ、すなわち、冷却媒体を閉回路内で循環させる。その場合、この回路は、熱を冷却媒体から抽出する装置、例えば熱交換器を含む。さらに、冷却媒体は、幾つかのプロセスを冷却するための冷却システムの一部であるのが良い。ある特定の実施形態では、いわゆるシャフトシール水が冷却媒体として再使用される。
【0018】
ある特定の用途の場合、遠心ポンプに流入する流体食品を冷却することが望ましい場合がある。この時点での冷却が実施される場合、渦巻き形ケーシングは、インペラのベーンに向いたケーシングの部分に取り付けられた冷却ジャケットを有する。この冷却ジャケットもまた、食品側に向いた渦巻き形ケーシングの内部上のファウリングを阻止するよう利用できる。冷却媒体は、ケーシングの実質的に周囲全体にわたって適切に延びる。
【0019】
本発明はまた、遠心ポンプに連結された注入チャンバを含む注入プラントであって、注入チャンバは、注入チャンバの頂部のところに設けられていて本質的に下方に差し向けられた流体食品流を生じさせるための流体食品入口及び流体食品に熱処理を加えるための蒸気用の入口を有し、注入チャンバは、加熱された食品を収集するよう構成された底部セクションを有し、底部セクションは、注入チャンバの底部のところに設けられていて、収集された流体食品が注入チャンバを出ることができるようにするための出口開口部を有し、出口開口部は、遠心ポンプの入口に連結され、熱過敏性流体食品をポンプ送りするための遠心ポンプは、熱過敏性流体食品のための入口ポート及び出口ポートを備えた渦巻き形ケーシングを有し、渦巻き形ケーシングは、シャフトの端部と作動可能に関連しているディスクを備えたインペラを包囲し、ディスクは、第1の表面及び第1の表面と反対側の第2の表面を有し、第1の表面は、ケーシングを入口ポートに向きかつベーンを備え、インペラのディスクの第2の表面は、冷却媒体にさらされることを特徴とする注入プラントに関する。
【0020】
注入プラントの好ましい実施形態では、注入プラントは、底部セクションを包囲した冷却ジャケットをさらに含み、ケーシングの少なくとも一部は、インペラのベーンに向いている。底部セクション及びケーシングの上側部のための単一の冷却ジャケットは、プラント及びその作動の複雑さを減少させる。
【0021】
ある特定の実施形態では、注入チャンバの出口開口部は、遠心ポンプの入口にシームレスの状態で連結されている。シームレス連結は、ファウリングの生成のリスクを減少させる。
【0022】
本発明の一実施形態では、本質的に下方に方向付けられた食品流は、複数の本質的に下方に方向付けられた別個の流体食品ジェットである。流体食品ジェットは、流体食品の迅速な加熱を保証する。
【0023】
本発明の実施形態では、出口は、底部セクションの一体部であり、ポンプケーシングは、出口と一体部であり、その目的は、底部セクションからポンプへのシームレス移行を得ることにある。
【0024】
本発明の実施形態では、底部セクションの出口は、シームレス移行部を形成するようポンプハウジングの入口に直接溶接される。
【0025】
本発明の一実施形態では、底部セクションは、ポンプケーシングの上方に突き出たフランジ又は隆起部に溶接されたスチール壁を有する。
【0026】
本発明の注入プラントの一実施形態では、ディスクは、冷却媒体のための入口及び出口を備えた冷却空洞を有する。本発明の注入プラントの別の実施形態では、ディスクは、同軸環状エンクロージャを有する空洞を用いて冷却される。本発明の注入プラントのさらに別の実施形態では、同軸環状エンクロージャの外周の半径は、ディスクの外周の半径の50%以上である。本発明の注入プラントの別の実施形態では、冷却空洞への入口通路が回転シャフト及び/又はディスクとケーシングとの間に環状空間を有する。本発明の注入プラントの別の実施形態では、冷却媒体出口は、入口から半径方向に距離を置いたところでケーシングに形成される。本発明の注入プラントの別の実施形態では、渦巻き形ケーシングは、インペラのベーンに向いたケーシングの部分に取り付けられた冷却ジャケットを有する。
【0027】
本発明はまた、本発明の遠心ポンプ、又は本発明の注入プラントの使用であって、乳漿タンパク質濃縮物、離乳食、離乳食用液体濃縮物、栄養飲料、スキムミルク、乳タンパク質単離物(isolate(s))、又はチーズミルクを加工するための使用に関する。
【0028】
以下において、図を参照して本発明についてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】
図1の遠心ポンプの別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、熱過敏性流体をポンプ送りするための遠心ポンプを示している。このポンプは、上側部1及び下側部2を備えた渦巻き形ケーシングを有する。ケーシングの上側部は、熱過敏性流体のための入口3を有する。ポンプケーシングの周囲には出口ポート4が設けられている。
【0031】
渦巻き形ケーシングは、円形周囲を備えたディスク6を有するインペラ5を包囲している。ディスクは、ケーシングの入口に向いたベーン7を備えた表面を有する。通常、流体は、回転軸線に沿って又はこの近くで入口ポートを通って入る。ディスクの中央は、シャフト8を回転させたときにディスクが回転することができるようにするためにシャフト8の端部に作動可能に取り付けられている。シャフトの他端部は、回転を行わせるためのドライバ、例えば電気駆動モータに連結されている。ディスクを回転させると、ベーンは、流体の流れの流体力学的エネルギーへの回転運動エネルギーの変換によって流体を運搬する。この流体は、渦巻き形ケーシングの周囲に向かって方向付けられた半径方向流を得て、出口ポートのところで捨てられる。
【0032】
インペラのディスクは、ベーンを備えた表面の反対側のフェース9が冷却媒体で冷却される。冷却媒体は、回転軸線の近くで渦巻き形ケーシングの下側に設けられた入口ポート10のところで入る。冷却媒体入口ポートは、管要素12の内面とシャフトの表面との間に設けられた環状空間11中に冷却媒体を流し出す。環状空間の下側部は、回転シャフトとケーシングとの実質的に液密連結部を作るためのシール15を備えている。管要素の上側部は、流体を冷却空洞14中に案内するためのフランジ13を備えている。冷却空洞は、ディスクの一部の裏側を形成する回転上面によって上方が画定されている。冷却空洞の下側部は、静的ケーシングによって画定されている。回転ディスクとケーシングの静止下側部との間には、実質的に液密連結を調整するためのシール16が設けられている。冷却空洞は、本質的に同軸の環状空間を形成する。シールは、安定性を増すために環状空間の周囲よりに位置決めされている。シールの材料は、通常、低摩擦を得るために黒鉛である。冷却媒体は、冷却媒体出口ポート17を通って冷却空洞を出る。出口は、冷却空洞を通る支援流れを得るために入口から軸方向に距離を置いたところでケーシングの下側部に形成されている。
【0033】
ケーシングの上側部は、流入して遠心ポンプによって処理されている流体を冷却するための冷却ジャケット18を備えている。冷却ジャケットは、インペラのベーンに向いたケーシングの部分に取り付けられ、かくして、ファウリングを減少させるために流体を冷却するのを助けている。冷却ジャケットのための冷却媒体は、入口ポート20のところで入る。冷却ジャケットは、ケーシングの実質的に周囲全体にわたって延び、冷却媒体は、出口を形成している管のところに位置決めされた出口ポート19を通って出る。入口は、他のプロセス機器、特に蒸気注入チャンバに連結可能なフランジ21をさらに備えている。
【0034】
図2は、
図1の実施形態の改造例を示しており、この改造例では、冷却空洞は、インペラディスクの内側に設計されチル。この改造型実施形態によれば、冷却媒体は、入口ポート10のところで入って環状空間11に運ばれる。次に、冷却媒体は、冷却空洞14中に輸送される。冷却空洞は、ベーンを備えたディスク表面と反対側の上面9で、外周部のところに設けられたシリンダセクション22、ディスクの下側部の表面部23、及びフランジ13の先端部によって構成された実質的に環状エンクロージャから成る。ディスクの下側部は、ケーシングへのインペラの水密連結を可能にするためのシール16上に乗っている。冷却媒体は、出口17のところで出る。
【0035】
図3は、遠心ポンプに連結された注入チャンバの概略断面図である。注入チャンバは、垂直軸線回りに好ましくは本質的に回転対称である。注入チャンバの上側セクション30は、中空円筒形部分及び円錐台に類似した形をしている頂部分を有する。底部セクション32がクリーニング及び/又は保守のために注入チャンバ40の内部への接近を可能にするフランジ付き連結部34によって上側セクション30に解除可能に連結されている。底部セクション32は、一実施形態では、円錐台に類似した形状を有する。注入チャンバの下端部のところには、遠心ポンプ1の入口に直結された出口開口部43が設けられている。
【0036】
処理されるべき流体食品は、管41を通って注入チャンバ40中に運び込まれる。流体食品は、注入チャンバ40の頂部のところに設けられたノズルに設けられている複数の開口部を通って別々の液体食品ジェットの束42として注入チャンバ40に入る。高温蒸気が周知の仕方で遠心蒸気分配チャンバを通って注入チャンバ40中に注入される。注入チャンバ40内において、液体食品ジェットは、高温蒸気と出合い、食品は、それにより、加熱されて蒸気を吸収する。
【0037】
液体食品ジェットは、底部セクション32の漏斗状内壁上で終わる。底部セクション32は、液体食品ジェットから液体食品を収集し、そしてこれを注入チャンバ40の下端部(これは、底部セクション32の下端部であるとともにポンプの入口3でもある)のところで出口開口部43に案内する。冷却ジャケット45が底部セクション32の周りに設けられている。冷却ジャケット45は、液体食品が底部セクション32の内壁に接触して汚し又は焦げるのを阻止し又は最小限に抑えるために底部セクション32を低温状態に保つ。冷却ジャケット45は、底部セクション32の周りの冷却水又は他の冷却媒体のマントルを提供する。このマントルは、冷却水を底部セクション32周りに螺旋パターンで案内する螺旋横方向壁47によって分割されている。冷却水は、ケーシングの上側部を通過して、ポンプハウジング中に延びるマントルの部分49中に入る。ポンプハウジングの内側に位置する部分49から、冷却水の螺旋経路は、冷却ジャケット45の頂部のところにかつ底部セクション32の頂部の近くに位置する冷却媒体出口50に向かって上方に螺旋状に続く。
【0038】
底部セクション32の下側部分は、ポンプの入口3にシームレス結合するチャンバの出口開口部43を形成している。これは、一実施形態では、スチール板、好ましくはステンレス鋼で作られていて溶接によりポンプハウジングに連結された底部セクション32の下端部によって達成される。
【0039】
実施形態では、遠心ポンプは、上記において説明した冷却ジャケット及び以下に説明する遠心ポンプの入口を除き、
図2を参照して説明してある。入口に関し、ケーシングの上側部は、底部セクション32の下端部へのポンプケーシングの溶接を容易にする円形隆起部又は円形直立フランジを備えている。溶接後、底部セクション32と溶接部によって形成されたポンプケーシング/入口との間の移行部は、クリーニングし又は水洗するのが困難な場合がある亀裂又は割れ目のない完全に滑らかな表面を提供するよう機械加工されている。
【0040】
図4は、液体食品の超高温度処理のためのプラントを示している。液体食品は、液体の形態の任意の食品であって良いが、開示するプラントは、風味、コンシステンシー及び栄養品質を保つよう短期間の間だけ細菌を死滅させるために加熱されるべきである温度敏感性食品に特に有用である。かかる液体食品の例は、ミルク、離乳食用液体、離乳食用液体濃縮物、又は栄養飲料(高タンパク質含有)である。液体食品は、高乾物含量(40%以上)及び/又は高タンパク質含量(6%以上)を有するのが良い。
【0041】
図4のプラントは、従来知られている形式の
他の形態の注入チャンバ101を有する。
この注入チャンバ101は、注入チャンバ101内で熱処理されるべき流体食品を送るための
第1の管102、及び蒸気を送るための
第2の管103に連結されている。最後に、注入チャンバ101の底部を冷却するための液体を送ったり除いたりするために
第3の管104
及び第4の管105に連結されている。一実施形態では、冷却液は、水である。注入チャンバ101の出口は、本発明の遠心ポンプ106に直接連結されている。
この遠心ポンプ106の出口は、保持管109を介して従来知られている形式の真空チャンバ110の入口のところで膨張弁115に連結されている。
この膨張弁115は、保持管109の端部を定めて保持管内の高圧ゾーンを
真空チャンバ110内の低圧真空ゾーンから分離している。膨張弁115は、保持管内の液体の沸騰圧力よりも高い圧力、代表的には0.5barから3bar以上の圧力を発生させるよう制御される。真空チャンバ
110は、沸騰チャンバ内で蒸気の形態をして管111を通って供給されている量の水を除去するようになっており、これに対し、濃縮流体食品は、従来知られている仕方で管112及びポンプ113を通って排出される。
【0042】
締めくくりのコメント
原文特許請求の範囲で用いられている“comprising”(訳文では「~を有する」としている場合が多い)は、他の要素又はステップを排除するものではない。原文特許請求の範囲で用いられている“a”又は“an”という用語は、複数を排除するものではない。
【0043】
本発明を例示目的で詳細に説明したが、かかる細部は、その目的のためであるに過ぎず、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、かかる細部の変形を行うことができるということは言うまでもない。