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▶ プライメタルズ・テクノロジーズ・ジャーマニー・ゲーエムベーハーの特許一覧

<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】対応する設定による目標への外形の調整
(51)【国際特許分類】
   B21B 37/72 20060101AFI20220801BHJP
   B21B 37/28 20060101ALI20220801BHJP
   B21B 37/38 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
B21B37/72
B21B37/28 130
B21B37/38 C
B21B37/38 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020524647
(86)(22)【出願日】2018-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 EP2018075807
(87)【国際公開番号】W WO2019086172
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-07-15
(31)【優先権主張番号】17200046.5
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516128728
【氏名又は名称】プライメタルズ・テクノロジーズ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・フレンツェル
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ミーレ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・グゼク
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・クルツ
(72)【発明者】
【氏名】フリーデマン・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・テカーレ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・フォクト
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-527378(JP,A)
【文献】特開昭62-238012(JP,A)
【文献】特開平03-243206(JP,A)
【文献】国際公開第2011/038964(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 37/72
B21B 37/28
B21B 37/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平らな圧延材(2)を圧延するための、複数の圧延機スタンド(1)を含む圧延機に関する運転方法であって、
-前記圧延機の制御装置(3)は、前記圧延機内で前記平らな圧延材(2)を圧延する前に、前記圧延機内での前記平らな圧延材(2)の圧延前における、前記平らな圧延材(2)の実変数(I)と、前記圧延機内での前記平らな圧延材(2)の圧延後における、前記平らな圧延材(2)の目標変数(Z)と、を受け取り、
-前記制御装置(3)は、前記平らな圧延材(2)の前記実変数(I)と、前記平らな圧延材(2)の前記目標変数(Z)とに基づき、前記圧延機の種別(B)に関連して、前記圧延機のモデル(10)を用いて、前記圧延機の前記圧延機スタンド(1)に関する制御変数(S)の目標値(S)を決定し、
-前記制御装置(3)は、前記制御変数(S)の前記目標値(S)を、前記圧延機内での前記平らな圧延材(2)の圧延後に、前記平らな圧延材(2)に関して予測される変数(E1)が、可能な限り前記目標変数(Z)に近づけられるように決定し、
-前記制御装置(3)が、前記目標値(S)を前記圧延機の前記圧延機スタンド(1)に伝達し、その結果、前記平らな圧延材(2)は、前記圧延機内で、伝達された前記目標値(S)に従って圧延される運転方法において、
前記制御装置(3)は、前記制御装置(3)が受け取るところの複数の離散特性変数(K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”)の内のいずれかを受け取ること、及び、前記平らな圧延材(2)の前記目標変数(Z)は、少なくとも1つの離散特性変数(K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”)を含み、前記離散特性変数(K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”)は、前記平らな圧延材(2)の外形(K)を定義すると共に、少なくとも1つのプロフィル値(K1)、厚いエッジに関する少なくとも1つのエッジ値(K2、K2’、K2”)、ドッグボーンに関する少なくとも1つのドッグボーン値(K3、K3’、K3”)、エッジドロップに関する少なくとも1つのエッジドロップ値(K4、K4’、K4”)、及び/又は、厚さのテーパー勾配に関する少なくとも1つのテーパー値(K5)を含んでおり、前記離散特性変数(K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”)は、以下の
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
の8つの式により決定され、bは前記圧延材(2)の幅、a1は圧延材(2)の縁部からの特定の距離、ならびにdK1~dK5およびdK1’~ dK5’は前記圧延材(2)の所定の幅方向の位置における厚さを示していることを特徴とする運転方法。
【請求項2】
-前記制御装置(3)が、前記平らな圧延材(2)の圧延の際に、前記制御変数(S)を検出すること、
-前記制御装置(3)が、前記平らな圧延材(2)の圧延後に、少なくとも1つの前記離散特性変数(K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”)を検出するか、又は、検出された変数に基づいて決定すること、
-前記制御装置(3)が、前記平らな圧延材(2)の前記実変数(I)及び検出された前記制御変数(S)を基に、前記圧延機の前記モデル(10)を用いて、前記圧延機内での前記平らな圧延材(2)の圧延後における、前記平らな圧延材(2)に関して予測される変数(E2)を再決定すること、
-前記制御装置(3)が、再決定された、予測される前記変数(E2)を、少なくとも1つの自由に選択できる、前記平らな圧延材の前記外形を定義する前記離散特性変数(K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”)と比較すること、及び、
-前記制御装置(3)が、比較に基づいて、前記圧延機の前記モデル(10)を修正すること、
を特徴とする、請求項1に記載の運転方法。
【請求項3】
-前記制御装置(3)が、前記平らな圧延材(2)の圧延の間に、前記平らな圧延材(2)の既に圧延された部分に関して、少なくとも1つの前記離散特性変数(K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”)を検出するか、又は、検出された変数を基に決定すること、
-前記制御装置(3)が、少なくとも1つの前記離散特性変数(K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”)を、前記目標変数(Z)と比較すること、及び、
-前記制御装置(3)が、比較に基づいて、前記圧延機スタンド(1)に関する前記制御変数(S)の前記目標値(S)を修正すること、
を特徴とする、請求項1または2に記載の運転方法。
【請求項4】
前記制御装置(3)が、前記制御変数(S)の前記目標値(S)を、費用関数(F)の最適化によって決定し、前記費用関数には、前記圧延機内での前記平らな圧延材(2)の圧延後における、前記平らな圧延材(2)に関して予測される前記変数(E1)の、前記平らな圧延材(2)の前記目標変数(Z)からの逸脱が含まれることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の運転方法。
【請求項5】
前記制御装置(3)が、前記制御変数(S)の前記目標値(S)を決定する際に、付加的に、前記圧延機の運転に際して守るべき追加条件を考慮することを特徴とする、請求項4に記載の運転方法。
【請求項6】
平らな圧延材(2)の圧延のための圧延機に関する制御装置(3)によって処理可能であるマシンコード(5)を含むコンピュータプログラムであって、前記制御装置(3)による前記マシンコード(5)の処理によって、前記制御装置(3)は、前記圧延機を、請求項1から5のいずれか一項に記載の運転方法に従って動作させるコンピュータプログラム。
【請求項7】
平らな圧延材(2)を圧延するための圧延機に関する制御装置であって、ソフトウェアでプログラム可能な制御装置として構成されており、請求項6に記載のコンピュータプログラム(4)でプログラム化されており、それによって、請求項1から5のいずれか一項に記載の運転方法に従って、前記圧延機を動作させる制御装置。
【請求項8】
平らな圧延材(2)を圧延するための圧延機であって、
-前記平らな圧延材(2)を圧延する際に用いられる複数の圧延機スタンド(1)を有しており、
-請求項7に記載の制御装置(3)を有している圧延機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平らな圧延材を圧延するための、複数の圧延機スタンドを含む圧延機に関する運転方法から出発しており、
-圧延機の制御装置は、圧延機内で平らな圧延材を圧延する前に、圧延機内での平らな圧延材の圧延前における平らな圧延材の実変数と、圧延機内での平らな圧延材の圧延後における平らな圧延材の目標変数と、を受け取り、
-制御装置は、平らな圧延材の実変数と、平らな圧延材の目標変数とに基づき、圧延機の種別に関連して、圧延機のモデルを用いて、圧延機の圧延機スタンドに関する制御変数の目標値を決定し、
-制御装置は、制御変数の目標値を、圧延機内での平らな圧延材の圧延後に、平らな圧延材に関して予測される変数が、可能な限り目標変数に近づけられるように決定し、
-制御装置が、目標値を圧延機の圧延機スタンドに伝達し、その結果、平らな圧延材は、圧延機内で、伝達された目標値に従って圧延される。
【背景技術】
【0002】
本発明は、さらに、平らな圧延材を圧延するための圧延機に関する制御装置によって処理可能なマシンコードを含むコンピュータプログラムから出発しており、制御装置によるマシンコードの処理によって、制御装置は、圧延機を、このような運転方法に従って動作させる。
【0003】
本発明は、さらに、平らな圧延材を圧延するための圧延機に関する制御装置から出発しており、当該制御装置は、ソフトウェアでプログラム可能な制御装置として構成されており、上述のコンピュータプログラムでプログラム化されており、それによって、当該制御装置は、上述の運転方法に従って、圧延機を動作させる。
【0004】
本発明は、さらに、平らな圧延材を圧延するための圧延機から出発しており、
-圧延機は、複数の圧延機スタンドを有しており、圧延機スタンドを用いて、平らな圧延材が圧延され、
-圧延機は、上述の制御装置を有する。
【0005】
上述の対象は、例えば特許文献1から知られている。
【0006】
平らな圧延材の外形、すなわち、平らな圧延材の幅方向に見た、位置の関数としての、平らな圧延材の厚さの推移は、プロフィル及び平坦度の他に、平らな圧延材の主要な変数である。外形は、圧延プロセスの影響を受ける。平らな圧延材の圧延の間に、所望のさらなる加工には不十分な外形が生じる場合、一般的には、経済的な不利がもたらされる。これは、平らな圧延材がストリップとして形成されている通常の場合に、また、平らな圧延材が厚板として形成されている場合にも同様に当てはまる。
【0007】
比較的有利な場合には、ただ、平らな圧延材の後処理を行うことを必要とするのみである。別の場合には、平らな圧延材は、所望の後処理に供され得ず、別の、一般的にはより価値の低い使用に供されなければならない。多くの場合、この平らな圧延材は、もはや使用可能ではなく、スクラップである。従って、平らな圧延材を圧延する際に、十分に良好な外形を得ることは、当業者がつねに努めてきたことである。
【0008】
先行技術では、外形に影響を与えるために、様々な制御要素(アクチュエータ)が利用可能である。典型的な制御要素は、ロール曲げ、ワークロール又は中間ロールのロール軸の方向における逆方向変位、旋回、いわゆるペアクロス、及び、平らな圧延材の幅にわたる、平らな圧延材又はワークロールの対応する位置の、位置に依存した局所的な温度作用である。
【0009】
外形の離散特性変数は、プロフィル値である。プロフィル値はスカラーである。プロフィル値は、平らな圧延材の中央における平らな圧延材の厚さと、平らな圧延材の縁部近くにおける平らな圧延材の厚さとの差を表している。プロフィル値は、一般的にCxxと表されており、xxは、平らな圧延材の縁部からの距離をミリメートルで表している。すなわち、当該プロフィル値は、3つの位置における外形、つまり平らな圧延材の中央における厚さと、平らな圧延材の両方の縁部の近くにおける厚さの平均値とから生じる。
【0010】
先行技術では、一般的に、プロフィル値のみが設定される。これに対して、外形自体は設定されない。プロフィル値の設定は、対称な放物線の設定に対応しており、当該放物線は、プロフィル値に対応している。先行技術において、プロフィル値は、いわゆるPFC(プロフィル及び平坦度制御)アルゴリズムを用いて制御される。
【0011】
しかしながら、外形は、プロフィル値を有するだけではなく、複数のさらなる離散特性変数を有している。これらの離散特性変数は、平らな圧延材のプロフィル値に加えて、少なくとも1つのエッジ値、少なくとも1つのドッグボーン値、少なくとも1つのエッジドロップ値及び/又はテーパー値を含んでいる。
【0012】
エッジ値は、平らな圧延材のいわゆる「厚いエッジ」を表している。すなわち、この平らな圧延材は、縁部に向かうにつれて、内側よりも大きな厚さを有している。ドッグボーン値は、エッジ値と同じように定義されている。違いは、ドッグボーン値の場合、平らな圧延材の縁部近くにおける厚さが、平らな圧延材のまさに中央における平らな圧延材の厚さと比較される点にある。エッジドロップ値は、どの程度、平らな圧延材の厚さが、縁部のすぐ近くにおいて減少しているかを表している。テーパー値は、平らな圧延材の幅方向に見た、平らな圧延材の非対称性の程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】国際公開第03/078086号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、容易かつ確実な方法で、平らな圧延材の外形を、最適に調整することができるような可能性を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本課題は、請求項1の特徴を有する運転方法によって解決される。有利な態様は、従属請求項2からの対象である。
【0016】
本発明によると、冒頭に述べた種類の運転方法は、制御装置が受け取るところの複数の離散特性変数のいずれかを制御装置が受け取ること、及び、離散特性変数が、平らな圧延材の外形を定義すると共に、少なくとも1つのプロフィル値、厚いエッジに関する少なくとも1つのエッジ値、ドッグボーンに関する少なくとも1つのドッグボーン値、エッジドロップに関する少なくとも1つのエッジドロップ値、及び/又は、厚さのテーパー勾配に関する少なくとも1つのテーパー値を含んでいることによって構成されている。
【0017】
つまり、制御装置が、平らな圧延材の外形を定義する離散特性変数として、どの数値を受け取るかが決定され得るだけではない。これは、つねに、個々の事例における状況によって決定される。また、制御装置の開発又はプログラミングの枠内で、開発者又はプログラマーによって、平らな圧延材の外形を定義するいずれの離散特性変数が設定され得るかが決定可能であるだけではなく、この離散特性変数の後の仕様を規定することもできる。むしろ、制御装置の目標変数を設定する人間又は装置が、どのような種類の離散特性変数を制御装置が受け取るのかを決定することができる。つまり、制御装置の目標変数を設定する人間又は装置は、平らな圧延材の外形を定義する離散特性変数を、どの値に設定すべきかを決定できるだけではない。人間又は装置は、むしろ、設定される目標変数が、例えば、プロフィル値、厚いエッジに関するエッジ値、ドッグボーンに関するドッグボーン値、エッジドロップに関するエッジドロップ値、及び/又は、厚さのテーパー勾配に関するテーパー値であることも決定することができる。つまり、特に、設定される離散特性変数が、プロフィル値である場合、縁部からのいずれの距離に関して、プロフィル値が定義されているかが決定され得るだけではない。むしろ、そもそもプロフィル値が設定されることも決定され得る。場合によっては、操作者又は装置は、1つの特性変数だけではなく、複数の離散特性変数を設定することができる。
【0018】
ましい態様では、
-制御装置は、平らな圧延材の圧延の際に、制御変数を検出すること、
-制御装置は、平らな圧延材の圧延後に、少なくとも1つの離散特性変数を検出するか、又は、検出された変数に基づいて決定すること、
-制御装置は、平らな圧延材の実変数及び検出された制御変数を基に、圧延機のモデルを用いて、平らな圧延材に関して新たに予測される、圧延機内での平らな圧延材の圧延後における、平らな圧延材に関して予測される変数を決定すること、
-制御装置は、新たに決定された、予測される変数を、少なくとも1つの自由に選択できる、平らな圧延材の外形を定義する離散特性変数と比較すること、及び、
-制御装置は、比較に基づいて、圧延機のモデルをアップデートすること、
が規定されている。
【0019】
それによって、圧延されているところの平らな圧延材の後に圧延されるべき同種の平らな圧延材に関して、制御変数の目標値の決定の改善が行われ得る。この手順は、平らな圧延材が、ストリップか厚板かとは無関係に実現可能である。外形の検出は、直接、測定技術的に行われ得る。これは、特に、外形が圧延機の最後の圧延機スタンドの後方で検出される場合に可能である。代替的に、外形を、他の測定された変数を基に、モデルに支援されて決定することが可能である(いわゆるソフトセンサ)。離散特性変数を用いるためには、検出された、又は、決定された外形を基に、事前に決定することが必要である。
【0020】
さらなる好ましい態様では、
-制御装置は、平らな圧延材の圧延の間に、平らな圧延材の既に圧延された部分に関して、少なくとも1つの離散特性変数を検出するか、又は、検出された変数を基に決定すること、
-制御装置は、少なくとも1つの離散特性変数を、目標変数と比較すること、及び、
-制御装置は、比較に基づいて、圧延機スタンドに関する制御変数の目標値をアップデートすること、
が規定されている。
【0021】
それによって、平らな圧延材の圧延の際に、平らな圧延材の、後で圧延された部分に関して、補正を行うことが既に可能である。この手順は、特に平らな圧延材がストリップである場合に実現可能である。外形の検出は、上述のように、直接、測定技術的に、又は、ソフトセンサによる決定を通じて行われ得る。離散特性変数を用いるためには、上述のように、検出された、又は、決定された外形を基に、事前に決定することが必要である。
【0022】
好ましくは、制御装置は、制御変数の目標値を、費用関数の最適化によって決定し、当該費用関数には、圧延機内での平らな圧延材の圧延後における、平らな圧延材に関して予測される変数の、平らな圧延材の目標変数からの逸脱が含まれる。当該目標変数は、特に少なくとも1つの自由に選択できる、平らな圧延材の外形を定義する離散特性変数を含んでいるので、すなわち、少なくとも1つの離散特性変数も、費用関数に加えられる。
【0023】
好ましくは、制御装置は、制御変数の目標値を決定する際に、付加的に、圧延機の運転に際して守るべき追加条件を考慮する。当該追加条件は、一般的な方法で決定されていてよく、例えば制御要素の制御限界、制御要素の調整の際の動的限界等を含み得る。
【0024】
本発明の課題は、さらに、請求項の特徴を有するコンピュータプログラムによって解決される。本発明によると、コンピュータプログラムの処理によって、制御装置は、本発明に係る運転方法に従って、圧延機を動作させる。
【0025】
本発明の課題は、さらに、請求項の特徴を有する制御装置によって解決される。本発明によると、当該制御装置は、本発明に係るコンピュータプログラムを用いてプログラム化されており、それによって、本発明に係る運転方法に従って、圧延機を動作させる。
【0026】
本発明の課題は、さらに、請求項の特徴を有する圧延機によって解決される。本発明によると、圧延機は、本発明に基づいて構成された制御装置を有している。
【0027】
上述の本発明の特性、特徴及び利点と、これらを得るための方法とは、図面を用いて詳細に行われる以下の実施例の説明との関連において、より明確に理解可能となる。その際、以下の図面が、概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】圧延機を示す図である。
図2】フローチャートを示す図である。
図3】平らな圧延材の断面を示す図である。
図4】平らな圧延材の断面を示す図である。
図5】平らな圧延材の断面を示す図である。
図6】平らな圧延材の断面を示す図である。
図7】平らな圧延材の断面を示す図である。
図8】フローチャートを示す図である。
図9】フローチャートを示す図である。
図10】フローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1によると、圧延機は、複数の圧延機スタンド1を有している。最少で、1つの圧延機スタンド1が存在している。しかしながら、多くの場合、複数の圧延機スタンド1が存在しており、例えば4つから8つの圧延機スタンド1が、特に5つ、6つ又は7つの圧延機スタンド1が存在している。圧延機スタンド1を用いて、平らな圧延材2が圧延される。平らな圧延材2は、一般的に、ストリップである。しかしながら、厚板であってもよい。ストリップの場合、当該ストリップは、有限長を有し得る。代替的に、当該ストリップは、エンドレスストリップであってもよい。
【0030】
圧延機はさらに、制御装置3を有している。制御装置3は、圧延機、特に圧延機スタンド1を制御する。制御装置3は、ソフトウェアでプログラム可能な制御装置として構成されている。これは、図1において、制御装置3内に、「マイクロプロセッサ」の略語「μP」が記されていることによって示唆されている。制御装置3は、コンピュータプログラム4によってプログラム化されている。コンピュータプログラム4は、マシンコード5を含んでおり、マシンコード5は、制御装置3によって処理可能である。制御装置3のコンピュータプログラム4を用いたプログラム化、又は、制御装置3によるマシンコード5の処理によって、制御装置3は、圧延機を、以下に図2との関連で詳細に説明される運転方法に従って動作させる。
【0031】
図2によると、補足として図1も参照すると、制御装置3には、まずステップS1において、圧延機の種別Bが供給される。種別Bは、圧延機の構造、すなわち圧延機スタンド1の数とその形状とを含んでいる。種別Bは、さらに、例えば圧延機スタンド1のロール6、特に圧延機スタンド1のワークロールにおける温度及び摩耗度といった、圧延機の動的状態を含んでいる。種別Bは、さらに、圧延機スタンド1の現在の制御状態も含み得る。さらに、種別Bは、圧延機スタンド1の考えられる作動状態、つまり変位の考えられる値域を含んでいる。種別Bは、しばしば、圧延機1の制御要素の力学も含んでいる。種別Bに関する対応する設定は、当業者には一般的に知られている。
【0032】
制御装置3の種別Bを、操作者7が設定することが可能である。同様に、制御装置3の種別Bを、上位の制御装置8が設定することが可能である。さらに、制御装置3の種別Bが、部分的に、各圧延機スタンド1を制御する下位の制御装置9によって設定されることが可能である。これらの方法の混合形も可能である。
【0033】
ステップS2において、制御装置3は、平らな圧延材2の実変数Iを受け取る。実変数Iの設定は、操作者7によって、又は、上位の制御装置8によって行われ得る。実変数Iは、平らな圧延材2の実変数であり、当該実変数をもって、平らな圧延材2は、圧延機に供給される。つまり、圧延機内での平らな圧延材2の圧延前における平らな圧延材2の状態に関係する実変数である。実変数Iは、例えば平らな圧延材2の温度、その厚さ(例えば図3を参照)、その幅b(例えば図3を参照)、その長さ、その化学組成等を含み得る。温度は、3次元(長さ方向、幅方向、厚さ方向)までに空間分解して設定され得る。厚さは、2次元(長さ方向及び幅方向)までで設定され得る。空間分解は、必要に応じて決定されていてよい。
【0034】
ステップS3において、制御装置3は、目標変数Zを受け取る。目標変数Zは、平らな圧延材2が、圧延機内での平らな圧延材2の圧延後に有することになる、平らな圧延材2の変数である。目標変数Zの設定は、操作者7によって、又は、上位の制御装置8によって行われ得る。
【0035】
ステップS4において、制御装置3は、圧延機のモデル10を実装し、モデル10を、ステップS1において受け取った種別Bを基にパラメータ化する。モデル10は、数学的物理学的方程式に基づくモデルであってよい。しかしながら、これは、必ずしも必要ということではない。決定的に重要なのは、モデル10が、実変数Iと、目標変数Zと、圧延機スタンド1に関する制御変数Sの目標値Sを、互いに関連付けることであり、目標値Sを用いて、圧延機スタンド1が、圧延材2の圧延の間に影響を受ける。
【0036】
ステップS5において、制御装置3は、暫定的に、圧延機の圧延機スタンド1に関する制御変数Sの目標値を設定する。ステップS6において、制御装置3は、実変数I及び制御変数Sの有効な目標値Sを基に、ステップS4においてパラメータ化されたモデル10を用いて、予測値E1を決定する。予測値E1は、平らな圧延材2の変数であり、圧延機内での圧延後の平らな圧延材2に関して、平らな圧延材2が、圧延機内での圧延の前に、実変数Iを有しており、圧延機内で、設定された目標値Sに従って圧延されるという前提で予測される変数である。予測値E1は、その性質に関して、目標値Zに対応する。この点に関して、本発明とは何ら関係がないが、一例を挙げる。目標値Zが、平らな圧延材2が圧延機内での圧延後に有することになっている厚さの平均である場合、予測値E1の内の1つも、圧延機内での圧延後の平らな圧延材2に関して予測される厚さの平均である。
【0037】
ステップS7において、制御装置3は、決定された予測値E1を、目標値Zと比較する。特に、制御装置3は、ステップS7において、目標値Sが、予測値E1が可能な限り、目標変数Zに近づけられるように設定されているかを検査する。さらに近づけることが可能である場合、制御装置3は、ステップS8に移行する。ステップS8では、制御装置3は、設定された目標値Sを変更する。それに続いて、制御装置3は、ステップS6に戻る。逆に、さらに近づけることがもはや不可能である場合、制御装置3は、ステップS9に移行する。ステップS9において、制御装置3は、最後に設定され、今では最終的である目標値Sを、下位の制御装置9に伝達する。
【0038】
下位の制御装置9は、圧延機の圧延機スタンド1、又は、その制御要素を、対応して制御する。それによって、平らな圧延材2は、圧延機内で、伝達された目標値Sに従って圧延される。圧延機スタンド1の制御要素は、図1には示されていない。当該制御要素は、特に各圧延機スタンド1の位置と、平らな圧延材2の外形に影響を与える際に用いられる付加的な制御要素とを含んでいる。このような制御要素の例は、ロール曲げ、対応して研磨されたワークロール又は中間ロールのロール軸の方向における逆方向変位、旋回、いわゆるペアクロス、及び、平らな圧延材2の幅にわたる、平らな圧延材2又はワークロールの対応する位置の、位置に依存した局所的な温度作用である。必要に応じて、これらの制御要素の1つ、又は、複数を用いることが可能である。温度作用は、一般的に冷却であるが、個別の場合において、加熱であることもあり得る。
【0039】
図2の手順は、アプローチに関して、先行技術において知られている。先行技術との違いは、制御装置3がステップS3の枠内で決定する目標変数Zにある。これに対応して、ステップS6及びS7も異なっている。なぜなら、これらのステップにおいても、目標変数Z、又は、性質に関して目標変数Zと対応する予測値E1が、決定又は利用されるからである。特に、平らな圧延材2の目標変数Zは、少なくとも1つの自由に選択できる、平らな圧延材2の外形Kを定義する離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”を含んでいる。必要な場合には、目標変数Zは、付加的に、しかし代替的にはなく、平らな圧延材2の外形Kを含み得る。このことについては、以下で、図3及び図4との関連で詳細に言及する。
【0040】
図3によると、平らな圧延材2は、幅bを有している。平らな圧延材2の厚さdは、平らな圧延材2の幅方向yに見て、変化している。幅方向yにおける位置の関数としての、厚さdの推移は、外形Kである。制御装置3が、この外形Kを、目標変数Zとして直接設定することが可能である。この場合、外形Kは、図3の描写に対応して、直接又は間接に、N個の支持点y1、y2等からyNまでにおいて、設定される。支持点y1、y2等からyNまでの数Nは、少なくとも10の値を有していた方がよい。むしろ、数Nは著しく大きい方が好ましい。例えば、数は、少なくとも30、少なくとも50、又は、例えば少なくとも80といったような、より大きい値であってよい。外形Kを、上述のようなものとして設定することが可能である。代替的に、図3における破線での描写に対応して、許容範囲を付加的に示すこと、すなわち外形Kを正確には規定せず、外形Kが存在すべき範囲を示すことが可能である。
【0041】
制御装置3に、外形Kが目標変数Zとして設定されるか否かとは関係なく、制御装置3には、少なくとも1つの離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”が設定される。制御装置3に、複数の離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”を設定することが可能である。代替的に、制御装置3に、1つのみの離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”を設定することが可能である。しかしながら、いずれの場合においても、離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”の内のいずれが、制御装置3に設定されるかは、操作者7又は上位の制御装置8の「選択の自由」による。ここでも再び、離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”に関する上限及び下限を設定すること、すなわち、離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”が含まれるべき範囲を規定することが可能である。
【0042】
図4の描写によると、離散特性変数K1は、プロフィル値である。プロフィル値K1は、スカラーである。プロフィル値は、平らな圧延材2の中央(y=0)における平らな圧延材2の厚さdと、平らな圧延材2の縁部からの特定の距離a1における平らな圧延材2の厚さdとの差を表している。すなわち、平らな圧延材2が、-b/2から+b/2まで延在し、平らな圧延材2の幅方向における位置がyで示され、d(y)で、平らな圧延材2の位置yにおける厚さdが示される場合、プロフィル値K1は、以下の式で求められる。
【0043】
【数1】
【0044】
つまり、プロフィル値K1は、3つの位置における外形Kから、すなわち中央(y=0)における厚さdと、両方の縁部からの距離a1(y=-b/2+a1及びy=b/2-a1)における厚さdの平均値とから生じる。プロフィル値K1を設定する場合、必要に応じて、距離a1を付加的に設定することも可能である。
【0045】
先行技術では、プロフィル値K1は、一般的にCxxとして表されており、xxは、平らな圧延材2の縁部からの距離a1をミリメートルで表している。一般的に、距離a1は、25mm又は40mmに設定される。それに従って、対応するプロフィル値K1は、先行技術では一般的に、C25及びC40と表される。しかしながら基本的に、他の値も可能である。
【0046】
離散変数K2、K2’、K2”は、厚いエッジに関するエッジ値である。離散変数K2及びK2’は、図5の描写によると、以下のように定義されている。
【0047】
まず、平らな圧延材2の両方の縁部の近くにおける領域11、11’をそれぞれ定義する。両方の領域11、11’は、平らな圧延材2の中央に関して、互いに対して対称である。両方の領域11、11’の外側の境界はそれぞれ、一般的に、平らな圧延材2の外側のエッジそれぞれから、約100mmから約200mmまで離れている。領域11、11’の幅は、一般的に、同じく約100mmから約200mmまでである。
【0048】
領域11、11’内部では、互いから独立して、それぞれ厚さdの最大値dK1、dK1’と、平らな圧延材2の幅方向yにおける、それぞれ付属する位置yK1、yK1’が決定される。次に、両方の位置yK1、yK1’を始点として、平らな圧延材2の幅方向yにおいて、平らな圧延材2の中央に向かって、それぞれさらなる領域12、12’を定義する。さらなる領域12、12’の幅は、一般的に、約150mmから約250mmである。さらなる領域12、12’それぞれの内部で、厚さdの最小値dK2、dK2’をそれぞれ決定する。厚さdの最小値dK2、dK2’が生じる、平らな圧延材2の幅方向yにおける各位置yK2、yK2’は、重要ではない。
【0049】
エッジ値K2及びK2’は、各最大値dK1、dK1’と、各最小値dK2、dK2’との差から生じる。
【0050】
【数2】
【0051】
両方のエッジ値K2、K2’から、離散特性変数K2”、つまり、共通のエッジ値K2”を決定することが可能である。特に、共通のエッジ値K2”は、両方のエッジ値K2、K2’の平均値を求めること、又は、最小値若しくは最大値を用いることによって、求められ得る。しかしながら、両方のエッジ値K2、K2’を、互いから独立して決定すること、又は、処理することも同様に可能である。さらに、両方のエッジ値K2、K2’、又は、共通のエッジ値K2”を、下方に向けて0で制限することが可能である。また、両方のエッジ値K2、K2’、又は、共通のエッジ値K2”を、平らな圧延材2の両方の縁部、又は、平らな圧延材2の片方の縁部からの、最大値dK1、dK1’の距離a2、a2’の特徴を示す位置データによって補足することも可能である。
【0052】
離散特性変数K3、K3’、K3”は、ドッグボーンに関するドッグボーン値である。ドッグボーン値K3、K3’は、エッジ値K2及びK2’と同じように定義されている。違いは、ドッグボーン値K3及びK3’の場合、対応するエッジ値K2、K2’の場合と同じ方法で決定された最大値dK1、dK1’から、さらなる領域12、12’それぞれにおける厚さdの各最小値dK2、dK2’が減じられるのではなく、平らな圧延材2の中央(y=0)における厚さd(0)が減じられる点にある。
【0053】
【数3】
【0054】
エッジ値K2及びK2’と同様に、両方のドッグボーン値K3、K3’を、互いから独立して決定し、処理すること、又は、両方のドッグボーン値K3、K3’から、離散特性変数K3”として、共通のドッグボーン値K3”を決定することが可能である。ここでは、さらに、ドッグボーン値K3、K3’又は共通のドッグボーン値K3”を、平らな圧延材2の両方の縁部、又は、平らな圧延材2の片方の縁部からの、最大値dK1、dK1’の距離a2、a2’の特徴を示す位置データによって補足することも可能である。
【0055】
離散特性変数K4、K4’、K4”は、エッジドロップに関するエッジドロップ値である。エッジドロップ値K4及びK4’は、以下のように定義されている。
【0056】
図6の描写によると、まず、平らな圧延材2の両方の縁部の近くにおける位置yK3、yK3’をそれぞれ定義する。両方の縁部からの距離は、一般的に、50mmから150mmの間である。両方の位置yK3、yK3’は、平らな圧延材2の中央に関して、互いに対して対称である。以下において、これらの位置を、外側位置と表現する。
【0057】
次に、平らな圧延材2の両方の縁部の近くにおけるさらなる位置yK4、yK4’をそれぞれ定義する。以下において内側位置と表現する、両方のさらなる位置yK4、yK4’は、外側位置yK3、yK3’よりも、平らな圧延材2の縁部から離れている。両方の内側位置yK4、yK4’は、同じく、平らな圧延材2の中央に関して、互いに対して対称である。両方の外側位置yK3、yK3’に対する距離は、一般的に、100mmから200mmの間である。
【0058】
次に、両方の外側位置及び両方の内側位置yK3、yK3’、yK4、yK4’における、平らな圧延材2の厚さdK3、dK3’、dK4、dK4’を定義する。各エッジドロップ値K4、K4’は、各内側位置yK4、yK4’における厚さdK4、dK4’と、各外側位置yK3、yK3’における厚さdK3、dK3’との差によって生じる。
【0059】
【数4】
【0060】
エッジ値K2、K2’と同様に、ここでも、両方のエッジドロップ値K4、K4’を、互いから独立して決定し、処理すること、又は、両方のエッジドロップ値K4、K4’から、離散特性変数K4”として、共通のエッジドロップ値K4”を決定することが可能である。
【0061】
離散特性変数K5は、厚さのテーパー勾配に関するテーパー値である。ウェッジ値K5は、様々な方法で定義されていてよい。いずれの場合にも、テーパー値K5は、平らな圧延材2の幅方向yに見た、平らな圧延材2の非対称性の程度である。図7の描写によれば、例えば、平らな圧延材2の両方の縁部の近くに、各位置yK5、yK5’を定義することが可能である。両方の位置yK5、yK5’は、平らな圧延材2の中央に関して、互いに対して対称である。両方の位置yK5、yK5’に対する距離は、一般的に、100mmから200mmの間である。次に、両方の位置yK5、yK5’における、平らな圧延材2の厚さdK5、dK5’を定義する。両方の厚さdK5、dK5’の差は、テーパー値K5として用いられ得る。
【0062】
【数5】
【0063】
例えば、代替的に、平らな圧延材2の幅方向において、複数の支持点y1、y2等からyNまでにおける(図3を参照)平らな圧延材2の厚さdを決定し、次に、定義された外形Kを、直線によって近似することが可能である。直線の勾配は、テーパー値K5として考慮され得る。このような方法で決定した直線の勾配を、平らな圧延材2の幅b、又は、平らな圧延材2の幅bよりもわずかに小さい値と乗じ、それによって、テーパー値K5として用いられる高さの差を決定することも可能である。
【0064】
上述の本発明に係る原則は、様々な方法で具体化され得る。
【0065】
例えば、図8の描写によると、制御装置3が、ステップS11において、平らな圧延材2を圧延する際に、制御変数Sを検出することが可能である。この場合、制御装置3は、制御変数Sを保存するので、制御変数Sは、のちの評価の際に利用可能である。
【0066】
ステップS12において、制御装置3には、平らな圧延材2の外形Kが供給される。外形Kは、圧延機内での平らな圧延材2の圧延後における、平らな圧延材2の外形である。ステップS12は、外形Kの直接の測定技術的な検出を含み得る。代替的に、制御装置3が、外形Kを、別の検出された変数に基づいて決定ことが可能である。これは、例えば、外形Kが、外形Kの測定技術的な検出が不可能である圧延機の位置に関係する場合に有意義又は必要であり得る。
【0067】
ステップS13では、外形Kに基づいて、1つの離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”が決定されるか、又は、複数の離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”が決定される。
【0068】
ステップS14において、制御装置3は、平らな圧延材2の実変数Iと制御変数Sとに基づいて、新たに予測値E2を決定する。ステップS14は、内容的に、図2のステップS5に対応する。従って、予測値I2の決定は、同様に、圧延機のモデル10を用いて行われる。違いは、ステップS5における予測値E1の決定のために、制御変数Sの設定された目標値Sが用いられる一方で、ステップS14において予測値E2を決定するために、制御変数Sが用いられる、すなわち目標値Sではなく、現在値が用いられる点にある。しかしながら、予測値E2もまた、目標変数Zに対応する、圧延機内での平らな圧延材2の圧延後における平らな圧延材2に関して予測される変数を表している。
【0069】
ステップS15では、制御装置3は、予測値E2を、少なくとも1つの離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”と比較する。必要に応じて、付加的に、外形Kとの比較が行われ得る。比較の結果に応じて、制御装置3は、ステップS16において、圧延機のモデル10をアップデートする。
【0070】
図9の描写によると、図8に係る態様に対して代替的又は付加的に、制御装置3が、ステップS21における平らな圧延材2の圧延の際に、制御変数Sを検出することが可能である。制御装置3が、制御変数Sを一時的に保存することができるので、制御変数Sは、のちの評価に利用され得る。以下の説明からは、この一時的な保存が、どれくらいの時間、継続しなければならないのかが明らかになるであろう。
【0071】
ステップS22では、制御装置3に、平らな圧延材2の外形Kが供給される。ステップS22は、アプローチに関して、ステップS12に対応している。違いは、単に、ステップS22は、平らな圧延材2の既に圧延された部分に関して実施されるが、平らな圧延材2の他の部分は依然として圧延機内で圧延されるという点にある。
【0072】
ステップS23では、外形Kに基づいて、1つの離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”が決定されるか、又は、複数の離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”が決定される。ステップS23は、図8のステップS13に対応している。
【0073】
後続のステップS24において、制御装置3は、少なくとも1つの離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”を、必要に応じて平らな圧延材2の外形も加えて、対応する1つ又は複数の目標変数Zと比較する。ステップS24の比較に基づいて、制御装置3は、ステップS25において、圧延機スタンド1に関する制御変数Sの目標値Sをアップデートする。
【0074】
制御変数Sを一時的に保存する場合、既知のトラッキングを実装し、ステップS24において、平らな圧延材2の、外形KがステップS22において検出された部分に関して有効な制御変数Sを用いることが可能である。この場合、図9の手順は、比較的大きな時間的遅れを伴うが、比較的正確に実施可能である。その他の場合には、ステップS21においてその時に検出された制御変数Sを用いなければならない。この場合、同様に時間的遅れが生じるが、正確性は低下する。しかしながら、少なくとも比較的長く続くエラーが、上述の方法で、修正され得る。
【0075】
場合によっては、制御変数Sの目標値Sのアップデートを、平らな圧延材2が、外形Kの検出前に最後に圧延された圧延機スタンド1に限定することが有意義であり得る。それによって、特に力学が最適化され得る。
【0076】
圧延機スタンドの制御変数Sの目標値Sを決定するために(図2のステップS7を参照)、制御装置3は、ステップS7を、特に以下において図10との関連で言及されるように構成することが可能である。
【0077】
図10によると、制御装置3は、ステップS31において、費用関数Fを決定する。図10の描写によると、費用関数Fには、少なくとも、ステップS6において決定された予測値E1の目標変数Zからの逸脱が含まれる。目標変数Zは、少なくとも1つの離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”に関する値を含み、場合によっては、外形Kに関する値も付加的に含んでいる。さらに、目標変数Zは、他の考慮すべき条件、例えば圧延機内での圧延後の圧延材2の厚さd及び/又は平坦度を規定することが可能である。さらに、費用関数Fには、さらなる項が含まれ、これらの項は一般的に、ペナルティ項と表現される。ペナルティ項は、例えば、制御変数Sの目標値Sの、平均値からの逸脱を含み得る。また、ペナルティ項は、制御変数Sの目標値Sが変化する際の速度も含み得る。制御装置3は、目標値Sを、費用関数Fを最適化することによって、すなわち、費用関数Fに関して、ステップS32において(図2のステップS8と関連して)、最小値又は最大値を決定するよう試みることによって決定する。
【0078】
好ましくは、制御装置3は、制御変数Sの目標値Sを決定する際に、圧延機の運転に際して守るべき追加条件を考慮する。このような追加条件の例は、特に、制御限界と、圧延機スタンド1の制御要素の可能な最大変位速度とであり、これらによって、外形、又は、圧延材2全体は影響を受ける。
【0079】
本発明は、多くの利点を有している。特に、本発明の基本原則を用いて、制御変数Sの目標値Sを、離散特性変数K1~K5、K2’~K4’、K2”~K4”を通じて定義される所望の外形Kが確実に得られるように決定することが既に可能である。図8に基づく後続の計算によって、又は、図9に基づくオンライン適応によって、さらなる改善が得られる。
【符号の説明】
【0080】
1 圧延機スタンド
2 平らな圧延材
3 制御装置
4 コンピュータプログラム
5 マシンコード
6 ロール
7 操作者
8 上位の制御装置
9 下位の制御装置
10 モデル
11、11’ 領域
12、12’ さらなる領域
a1、a2、a2’ 距離
b 平らな圧延材の幅
B 圧延機の種別
d 平らな圧延材の幅
dK1、dK1’ 厚さdの最大値
dK2、dK2’ 厚さdの最小値
dK3~dK5 厚さ
dK3’~dK5’ 厚さ
E1、E2 予測値
F 費用関数
I 平らな圧延材の実変数
K 外形
K1~K5 離散特性変数
K2’~K4’ 離散特性変数
K2”~K4” 離散特性変数
N 支持点の数
S 制御変数
制御変数の目標値
S1~S32 ステップ
y 幅方向
y1~yN 支持点
yK1~yK5 幅方向における位置
yK1’~yK5’ 幅方向における位置
Z 平らな圧延材の目標変数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10