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特許7114728物体を多次元捕捉するためのマルチパルスLIDARシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】物体を多次元捕捉するためのマルチパルスLIDARシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/42 20060101AFI20220801BHJP
   G01S 17/894 20200101ALI20220801BHJP
【FI】
G01S17/42
G01S17/894
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020552130
(86)(22)【出願日】2018-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018085099
(87)【国際公開番号】W WO2019121437
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】102017223102.5
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】シュニッツァー,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ヒップ,トビアス
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-157044(JP,A)
【文献】特開2015-78953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測領域(300)内の物体(400)を捕捉するためのマルチパルスLIDARシステム(100)であって、
- 単一レーザパルスを連続して出力することにより送信レーザビーム(112)を生成する少なくとも1つのレーザ源(111)を備えた送信装置(110)であって、前記単一レーザパルスのそれぞれが、前記観測領域(300)の一部に限定された捕捉領域(310)内の少なくとも1つの走査点(320)を照射する、送信装置(110)と、
- 前記マルチパルスLIDARシステム(100)の前記観測領域(300)内の物体(400)で反射および/または散乱する、受信レーザビーム(220)の形態の前記送信レーザビーム(112)を受信する、第1の延長方向(144)に互いに隣接して配置された複数のサブ検出器(142i,j)からなる線状または行列状のサブ検出器配置構成(152)を含む検出面(141)を備えた受信装置(140)において、
前記受信装置(140)は、前記送信レーザビーム(210)によって照射された走査点(320)が画素(230)の形態で前記検出面(141)上に結像されるように構成されている、受信装置(140)と、
- スキャン方向(123)に互いに連続して続く複数の走査点(320)に沿って前記観測領域(300)全体を連続的に走査するために、前記スキャン方向(123)に前記送信レーザビーム(112)のスキャン運動(122)を生成するスキャン装置(120)において、
前記送信レーザビーム(210)の前記スキャン運動(122)は、連続して出力される単一レーザパルスにおいて、画素(230)が前記検出面(141)上で結像されるように構成されており、線状または行列状の前記サブ検出器配置構成(143)に沿って変位しながら前記単一レーザパルスが照射されるスキャン装置(120)と、
- それぞれの前記単一レーザパルスの照射継続時間に基づいて前記走査点(320)の距離情報を決定するための制御装置(130)において、
前記制御装置(130)は、前記画素(230 )の全体が1つの前記マクロピクセル(160 )に結像されている場合には、前記検出面(141)上に現在結像されている画素(230)によって捕捉される前記複数のサブ検出器(142i,j)をグループ化して、当該1つのマクロピクセル(160)を形成するように構成され、前記マクロピクセル(160)は前記画素(230)に対応付けられており、前記画素(230 )が少なくとも部分的に互いに隣接する2つの前記マクロピクセル(160 、160 n+1 )に結像されている場合には、前記検出面(141)上に現在結像されている画素(230 )によって捕捉される前記複数のサブ検出器(142 i,j )を当該2つのマクロピクセルマクロピクセル(160 、160 n+1 )に割り当て、前記複数のサブ検出器(142i,j)をともに評価することにより前記画素(230)のヒストグラムを生成する、制御装置(130)と、
を含む、マルチパルスLIDARシステム(100)。
【請求項2】
前記制御装置(130)が、複数の対応するサブ検出器(142i,j)を再グループ化することにより、前記検出面(141)上のマクロピクセル(160)の位置を、前記スキャン運動(122)によって引き起こされる、前記検出面(141)上の前記マクロピクセル(160)に対応付けられた前記画素(230)の変位に追従して適合するように構成されている、請求項1に記載のマルチパルスLIDARシステム(100)。
【請求項3】
前記送信装置(110)が、送信レーザビーム(210)を生成するように構成され、その単一レーザパルスがそれぞれ、少なくとも2つの走査点(320)によって立体角(310)を照射し、
前記受信装置(140)が、前記送信レーザビーム(210)によって現在照射されている走査領域(310)内の2つの前記走査点(320)を、前記検出面(141)上に互いに隣接して配置され、前記スキャン運動(122)の結果として線状または行列状の前記サブ検出器配置構成(143)に沿って変位する2つの画素(230n,230n+1)の形態で表すように構成されており、
前記制御装置(130)が、前記2つの画素(230n,230n+1)の第1の画素(230)によって現在捕捉される複数のサブ検出器(142i,j)をグループ化して、共同で前記第1の画素(230)に対応付けられた第1のマクロピクセル(160)を形成し、かつ、前記2つの画素(230n,230n+1)の第2の画素(230n+1)によって現在捕捉される複数のサブ検出器(142i,j)をグループ化して、共同で前記第2の画素(230n+1)に対応付けられた第2のマクロピクセル(160n+1)を形成するように構成されている、請求項1または2に記載のマルチパルスLIDARシステム(100)。
【請求項4】
前記制御装置(130)が、第1の単一レーザパルスによって行う第1の個別測定では前記第1の画素(230)によって、かつ、時間的に前記第1の単一レーザパルス直後に続く第2の単一レーザパルスによって行う第2の個別測定では前記第2の画素(230n+1)によって捕捉される複数のサブ検出器(142i,j)が、前記第1の個別測定では前記第1のマクロピクセル(160)に対応付けられ、続く前記第2の個別測定では前記第2のマクロピクセル(160n+1)に対応付けられるように構成されている、請求項3に記載のマルチパルスLIDARシステム(100)。
【請求項5】
前記送信装置(110)が複数のレーザ源(111)を含み、それらの捕捉領域(310)が前記スキャン方向(123)に直交して互いに上下に配置されており、
各レーザ源(111)に対する前記検出面(141)が、それぞれの前記レーザ源(111)に個々に対応付けられたサブ検出器配置構成(143)を含み、前記サブ検出器配置構成(143)が、前記スキャン方向(123)に直交して互いに上下に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のマルチパルスLIDARシステム(100)。
【請求項6】
マルチパルスLIDARシステム(100)を用いた、観測領域(300)内の物体(400)を多次元捕捉するための方法であって、
- 単一レーザパルスを連続して出力することにより送信レーザビーム(210)を生成するステップにおいて、前記送信レーザビーム(210)が、各単一レーザパルスによって、前記観測領域(300)の一部に限定された捕捉領域(310)を照射し、この時少なくとも1つの走査点(320)を照射する、ステップと、
- スキャン方向(123)における前記送信レーザビーム(112)のスキャン運動(122)を生成するステップにおいて、これにより、前記スキャン方向(123)に互いに連続する複数の走査点(320)において、前記観測領域(300)全体が連続的に走査される、ステップと、
- 前記観測領域(300)内の物体(400)での前記送信レーザビーム(210)の反射および/または散乱によって生成された受信レーザビーム(220)を、第1の延長方向(144)に互いに隣接して配置された複数のサブ検出器(142i,j)からなる線状または行列状のサブ検出器配置構成(143)を備えた検出面(141)上で受信するステップにおいて、前記送信レーザビーム(210)によって現在捕捉される前記捕捉領域(310)内の走査点(320)が、前記検出面(141)上で、前記送信レーザビーム(210)の前記スキャン運動(122)により線状または行列状の前記サブ検出器配置構成(143)に沿って連続的に変位する画素(230)の形態で結像される、ステップと、
- 前記複数のサブ検出器(142i,j)をグループ化するステップであって、当該複数のサブ検出器(142i,j)の位置が前記画素(230)の現在の位置に対応し、前記画素(230 )の全体が1つの前記マクロピクセル(160 )に結像されている場合には、前記画素(230)にそれぞれ対応付けられたマクロピクセル(160)を形成前記画素(230 )が少なくとも部分的に互いに隣接する2つの前記マクロピクセル(160 、160 n+1 )に結像されている場合には、前記複数のサブ検出器(142 i,j )を当該2つのマクロピクセルマクロピクセル(160 、160 n+1 )に割り当てる、ステップと、
- 前記1つのマクロピクセル(160、又は前記2つのマクロピクセル(160 に対応付けられた前記複数のサブ検出器(142i,j)をともに評価することにより前記画素(230)のヒストグラムを生成するステップと、を含む方法。
【請求項7】
個別測定においてそれぞれの前記マクロピクセル(160)に対応付けられた前記サブ検出器(142i,j)の特定のマクロピクセル(160)に対する複数の前記個別測定で測定された信号が、それぞれの前記マクロピクセル(160)に対応付けられたヒストグラム(170)に共同で対応付けられる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
対応するサブ検出器(142i,j)を再グループ化することにより、前記検出面(141)上のマクロピクセル(160)の位置が、前記スキャン運動(122)によって引き起こされる、前記検出面(141)上のそれぞれの前記マクロピクセル(160)に対応付けられた前記画素(230)の変位に追従して連続して適合される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
個別測定中に複数の走査点(320n,320n+1)が同時に捕捉され、
ここで第1の走査点(320)、前記検出面(141)上に形成される第1の画素(230)によって捕捉されるサブ検出器(142i,j)は、前記第1の走査点(320n)に個々に対応付けられる第1のマクロピクセル(160)に対応付けられ、
ここで第2の走査点(320n+1)、前記検出面(141)上に形成される第2の画素(230n+1)によって捕捉されるサブ検出器(142i,j)は、前記第2の走査点(320n+1)に個々に対応付けられる第2のマクロピクセル(160n+1)に対応付けられる、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第1の個別測定中は前記第1の画素(230)によって、かつ、時間的に前記第1の単一レーザパルス直後に続く第2の単一レーザパルスによって行う第2の個別測定では前記第2の画素(230n+1)によって捕捉されるサブ検出器(142i,j)が、前記第1の個別測定では前記第1のマクロピクセル(160)に対応付けられ、後続の前記第2の個別測定では前記第2のマクロピクセル(160n+1)に対応付けられる、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチパルスLIDARシステムの観測領域内の物体を多次元捕捉するためのマルチパルスLIDARシステムに関する。また、本発明は、対応するマルチパルスLIDARシステムを用いた、観測領域内の物体を多次元捕捉するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LIDARシステムは、とりわけ、車両周辺にある物体を捕捉するために使用される。そのようなLIDARシステムは、パルスまたは時間変調されたレーザビームを用いてその周辺をスキャンし、LIDARシステムのレーザ源によって放射された光ビームは、周辺の物体で反射または散乱され、LIDARシステム内の検出器によって再び受信される。ここで、スキャンの際、レーザビームはスキャン方向に沿って連続的に移動し、該当する観測領域内にある物体が捕捉される。この時、車両に対する捕捉された物体の相対位置は、レーザビームの対応する角度と、単一レーザパルスの継続時間測定によって算出された距離情報とによって算出される。ここで、LIDARシステムは、単一パルスLIDARシステムまたはマルチパルスLIDARシステムの形式で構成できる。単一パルスLIDARシステムは、それぞれ単一レーザパルスによって各走査点を走査する。これにより、特に高い横方向の解像度を達成できる。しかしながら、このシステムは比較的高いレーザ出力を有する単一レーザパルスを必要とするため、対応して強力なレーザ源が必要となる。これに対し、マルチパルスLIDARシステムは、著しくより低いレーザ出力でよく、走査点は、短く交互に続く複数のより低出力の単一レーザパルスによって走査される。個別測定値を合計することで、十分な信号対ノイズ比を有する適切な検出器信号が得られる。しかし、この方法での欠点は、横方向の解像度が低下することであり、これは、比較的大きな角度範囲にわたる個別測定値の合計と、それに伴う検出器信号のぼやけに起因する。
【発明の概要】
【0003】
したがって、本発明の課題は、マルチパルスLIDARシステムの原理に基づいて機能し、したがって比較的低いレーザ出力でよく、同時に比較的高い横方向の解像度を可能にする、物体のためのレーザベースの検出方法を提供することである。この課題は、請求項1に記載のマルチパルスLIDARシステムによって解決される。また、この課題は、請求項6に記載の方法によって解決される。さらなる有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0004】
本発明によれば、観測領域内の物体を捕捉するためのマルチパルスLIDARシステムが設けられている。ここで、LIDARシステムは、それぞれが観測領域の一部に限定された捕捉領域を照射し、少なくとも1つの走査点において走査する単一レーザパルスの時間シーケンスから、送信レーザビームを生成するための少なくとも1つのレーザ源を備えた送信装置を含む。また、LIDARシステムは、マルチパルスLIDARシステムの観測領域内の物体で反射および/または散乱する、受信レーザビームの形態の送信レーザビームを受信するための、第1の延長方向に互いに隣接して配置された複数のサブ検出器からなる線状または行列状のサブ検出器配置構成を含む検出面を備えた受信装置を含む。ここで、受信装置は、送信レーザビームによって捕捉された走査点が画素の形態で検出面上に結像されるように構成されている。また、LIDARシステムは、スキャン方向に互いに連続して続く複数の走査点に沿って観測領域全体を連続的に走査するために、スキャン方向に送信レーザビームのスキャン運動を生成するためのスキャン装置を含む。ここで、送信レーザビームのスキャン運動は、それぞれ線状または行列状のサブ検出器配置構成に沿って時間的に交互に続く単一レーザパルスにおいて、画素が検出面上で変位して結像されるように構成されている。最後に、LIDARシステムは、それぞれの単一レーザパルスの継続時間に基づいて走査点の距離情報を決定するための制御装置を含み、制御装置は、検出面上に現在結像されている画素によって捕捉されるサブ検出器を、それぞれの画素に個々に対応付けられたマクロピクセルの形態で、共同で評価するように構成されている。サブ検出器を個々にマクロピクセルに対応付けできることにより、それぞれのマクロピクセルの位置を、検出面上のそれぞれの走査点の画像を表す画素の位置に最適に適合できる。したがって、それぞれの走査点の測定エネルギーを最適に利用することができる。
【0005】
ここで、本発明の一実施形態では、制御装置はまた、対応するサブ検出器を再グループ化することにより、検出面上のマクロピクセルの位置を、スキャン運動によって引き起こされる、検出面上のそれぞれのマクロピクセルに対応付けられた画素の変位に追従して適合するように構成されている。これにより、それぞれの走査点の測定エネルギーおよび測定時間を、複数の個別測定にわたって最適に利用できる。
【0006】
さらなる一実施形態では、送信装置は、送信レーザビームを生成するように構成され、その単一レーザパルスはそれぞれ、少なくとも2つの走査点によって立体角を照射する。ここで、受信装置は、送信レーザビームによって現在照射されている走査領域内の2つの走査点を、検出面上に互いに隣接して配置され、スキャン運動の結果として線状または行列状のサブ検出器配置構成に沿って変位する2つの画素の形態で表すように構成されている。また、制御装置は、2つの画素の第1の画素によって現在捕捉されるサブ検出器をグループ化して、共同で第1の画素に対応付けられた第1のマクロピクセルを形成し、かつ、2つの画素の第2の画素によって現在捕捉されるサブ検出器をグループ化して、共同で第2の画素に対応付けられる第2のマクロピクセルを形成するように構成されている。複数の走査点を共同で走査することにより、2つの走査点のそれぞれのための測定時間が増加する。したがって、各走査に対してより多くの測定エネルギーを使用でき、これにより信号対ノイズ比が向上する。
【0007】
さらなる一実施形態によれば、制御装置(130)は、第1の単一レーザパルスによって行う第1の個別測定では第1の画素によって、かつ、時間的に第1の単一レーザパルス直後に続く第2の単一レーザパルスによって行う第2の個別測定では第2の画素によって捕捉されるサブ検出器が、第1の個別測定では第1のマクロピクセルに対応付けられ、後続の第2の個別測定では第2のマクロピクセルに対応付けられるように構成されている。これにより、検出面が最適に利用される。
【0008】
さらなる一実施形態では、送信装置が複数のレーザ源を含み、それらの捕捉領域がスキャン方向に直交して互いに上下に配置されている。ここで、各レーザ源に対する検出面は、それぞれのレーザ源に個々に対応付けられたサブ検出器配置構成を含み、サブ検出器配置構成は、スキャン方向に直交して互いに上下に配置されている。これにより、LIDARシステムの垂直解像度を向上できる。
【0009】
本発明によれば、また、マルチパルスLIDARシステムを用いた、観測領域内の物体を多次元捕捉するための方法も設けられている。ここで、第1の方法ステップでは、送信レーザビームは、単一レーザパルスの時間シーケンスの形態で生成され、送信レーザビームは、各単一レーザパルスによって、観測領域の一部に限定された捕捉領域を照射し、この時少なくとも1つの走査点において走査する。続いて、スキャン方向における送信レーザビームのスキャン運動が生成され、これにより、スキャン方向に互いに連続する複数の走査点において、観測領域全体が連続的に走査される。続いて、観測領域内の物体での送信レーザビームの反射および/または散乱によって生成された受信レーザビームは、第1の延長方向に互いに隣接して配置された複数のサブ検出器からなる線状または行列状のサブ検出器配置構成を備えた検出面上で受信され、送信レーザビームによって現在捕捉される走査点が、検出面上で、送信レーザビームのスキャン運動の結果として線状または行列状のサブ検出器配置構成に沿って連続的に変位する画素の形態で結像される。続いて、それらの位置が画素の現在の位置に対応するサブ検出器は、それぞれの画素に個々に対応付けられたマクロピクセルにグループ化される。最後に、それぞれのマクロピクセルに対応付けられたサブ検出器が共同で評価される。サブ検出器を個々にマクロピクセルにグループ化できることにより、それぞれのマクロピクセルの位置を、検出面上のそれぞれの走査点の結像を表す画素の位置に最適に適合できる。したがって、それぞれの走査点の測定エネルギーを最適に利用することができる。
【0010】
一実施形態では、これらの個別測定においてそれぞれのマクロピクセルに対応付けられたサブ検出器の特定のマクロピクセルに対する複数の個別測定で測定された信号が、それぞれのマクロピクセルに対応付けられたヒストグラムに共同で対応付けられる。これにより、個別測定からの測定時間が共同で評価され、これは特に信号対ノイズ比の向上につながる。
【0011】
さらなる一実施形態では、対応するサブ検出器を再グループ化することにより、検出面上のマクロピクセルの位置を、スキャン運動によって引き起こされる、検出面上のそれぞれのマクロピクセルに対応付けられた画素の変位に追従して連続して適合する。これにより、それぞれの走査点の測定エネルギーおよび測定時間を、複数の個別測定にわたって最適に利用できる。
【0012】
さらなる一実施形態では、個別測定中に複数の走査点が同時に捕捉され、ここで、第1の走査点、検出面上に生成される第1の画素によって捕捉されるサブ検出器は、第1の走査点に個々に対応付けられる第1のマクロピクセルに対応付けられる。また、ここで、第2の走査点、検出面上に形成される第2の画素によって捕捉されるサブ検出器は、第2の走査点に個々に対応付けられる第2のマクロピクセルに対応付けられる。複数の走査点を共同で走査することにより、2つの走査点のそれぞれのための測定時間が増加する。したがって、各走査に対してより多くの測定エネルギーを使用でき、これにより信号対ノイズ比が向上する。
【0013】
最後に、さらなる一実施形態では、第1の個別測定中は第1の画素によって、かつ、時間的に第1の単一レーザパルス直後に続く第2の単一レーザパルスによって行う第2の個別測定では第2の画素によって捕捉されるサブ検出器が、第1の個別測定では第1のマクロピクセルに対応付けられ、後続の第2の個別測定では第2のマクロピクセルに対応付けられる。これにより、検出面の特に最適な利用が可能になり、それによりさらには特に柔軟な測定が可能になる。
【0014】
以下に、図を参照して本発明をより詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】観測領域をスキャンするための回転運動を説明するためのマルチパルスLIDARシステムの斜視図を概略的に示す図である。
図2】その観測領域に配置された車両をスキャンする際の回転するLIDARシステムの斜視図である。
図3】3つの互いに連続する単一レーザパルスによる物体の走査プロセスを説明するための、本発明にかかるLIDARシステムの斜視図である。
図4】3つの互いに連続する単一レーザパルスによる物体の走査プロセスを説明するための、本発明にかかるLIDARシステムの斜視図である。
図5】3つの互いに連続する単一レーザパルスによる物体の走査プロセスを説明するための、本発明にかかるLIDARシステムの斜視図である。
図6】検出面上に結像された画素のスキャン運動に応じた変位を説明するための図である。
図7】サブ検出器の単一マクロピクセルへの対応付けを説明するための物体の走査プロセスの斜視図である。
図8】サブ検出器の単一マクロピクセルへの対応付けを説明するための物体の走査プロセスの斜視図である。
図9】サブ検出器の単一マクロピクセルへの対応付けを説明するための物体の走査プロセスの斜視図である。
図10】3つの走査点が同時に捕捉される、図7から図9からの本発明にかかるLIDARシステムの変形例を示す図である。
図11】3つの走査点が同時に捕捉される、図7から図9からの本発明にかかるLIDARシステムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の本質は、測定に複数のパルスを使用しても、単一パルスLIDARシステムと同じ横方向解像度を達成するマルチパルスLIDARシステムまたはマクロスキャナシステムを可能にすることである。マルチパルスLIDARシステムでは、測定精度を向上させるため、または特別な検出器もしくは測定原理(SPAD(Single Photon Avalanche Diode)/TCSPC(Time-Correlated Single Photon Counting))を投入することにより制限され、測定は複数の単一パルスから構成されているため、システムの解像度は、測定のための第1の単一パルスおよび最後の単一パルスの放出間の角度差を適切に補償することなく限定されている。
【0017】
この限定を回避するために、単一検出器の代わりに、複数の小さい検出器またはサブ検出器からなる線または配列を使用して、測定パルスを受信する。その際、サブ検出器を適切に組み合わせて、またはグループ化してマクロピクセルを形成することで回転運動またはスキャン運動が補償できる。サブ検出器を再グループ化する速度は、センサの回転速度に直接起因する。この場合、そのような構造の横方向解像度は、単一パルス解の解像度に対応する。また、単一レーザパルスを隣接するマクロピクセルに並列に対応付けることで、測定エネルギーおよび測定時間が失われない。
【0018】
本発明にかかるLIDARシステムでは、単一検出器の代わりに、線状または行列状に配置された複数の小さな検出器からなる配置構成が、個別測定パルスを受信するために使用される。センサヘッドの回転運動は、これらのサブ検出器を適切に組み合わせて、または再グループ化して、より大きなマクロピクセルを形成することで補償できる。このサブ検出器の再グループ化の速度は、センサの回転速度に直接起因する。その際、このような構造の横方向の解像度は、単一パルス解に対応する。同様に、パルスを隣接するマクロピクセルに並列に対応付けることで、測定エネルギーおよび測定時間が失われない。例えばSPAD(単一光子アバランシェフォトダイオード)またはTCSPC(時間相関単一光子計数)など様々な測定原理に従って機能する検出器は、サブ検出器として使用できる。
【0019】
図1は、異なる角度で配置された複数の送受信ユニットを有する回転センサヘッド101を備えたマクロLIDARシステム100を示し、本例では送信装置110のみが示されている。ここで、センサヘッド101は回転スキャン運動122を実施し、本例では、回転軸102は、Z軸に平行に走る。この配置構成では、LIDARシステムの水平方向の画像解像度は、回転運動および測定速度によって決定される。これに対し、垂直画像解像度は、受信ユニットの数およびそれぞれの角度間隔によって規定される。本実施例では、センサヘッド101は360°の完全回転を実施する。しかしながら、各実施形態はスキャン運動をまた、規定された角度範囲に制限してもよい。
【0020】
図2は、LIDARシステム100の観測領域300内に配置された物体400(この場合は車両)が、レーザビーム200によって走査されるスキャンプロセス中の図1からのマクロLIDARシステム100の斜視図を示す。LIDARシステム100は、少なくとも1つのレーザ源(111)を備えた送信装置110と、検出面141を備えた受信装置140とを含む回転センサヘッド101を有する。レーザ源ごとに、検出面141は、第1の延伸方向144に互いに隣接して配置された複数のサブ検出器142からなる線状または行列状のサブ検出器配置構成143を含む。見易くするために、図2には、3つのサブ検出器142のみを有する線状のサブ検出器配置構成143のみが示されている。
【0021】
本実施例では、センサヘッド101は、光学結像装置150をさらに含む。ここでは、例えば、レーザビーム210、220を所望の方法で成形する、1つまたは複数の光学レンズ要素とすることができる。また、本実施例におけるように、センサヘッド101は、送信および受信レーザビーム210、220を重畳または分離するためのビームスプリッタ121を有することができる。このような光ビームスプリッタ121は、例えば部分的に透明なミラーの形態で構成することができる。
【0022】
また、図2が示すように、LIDARシステム100は、典型的には、送信および受信装置110、140を制御するための制御装置130も含む。本例では、制御装置130は、また、放出および再受信される単一レーザパルスの継続時間を算出するための測定装置と、測定された継続時間に基づいて走査点の距離情報を算出するための評価装置とを含む。実施形態に応じて、制御装置130またはその個々の構成要素は、センサヘッド101の外部に配置され、対応する信号およびデータ線によってセンサヘッド101内のそれぞれの装置に接続することができる。これに対し代替的に、制御装置130またはその個々の構成要素も、センサヘッド101内部に収容することができる。
【0023】
LIDARシステム100の動作において、送信装置110の各レーザ源は、短い単一レーザパルスの時間シーケンスの形態で、それ自体の送信レーザビーム210を生成する。ここで、送信レーザビーム210は、各単一レーザパルスによって、それぞれの単一レーザパルスの捕捉領域310を規定する立体角を照射し、立体角は、典型的にはLIDARシステム100の観測領域300全体の比較的小さな部分のみを表す。回転スキャン運動122、およびそれに伴う、互いに連続する単一レーザパルスの捕捉領域310の連続変位によって初めて、観測領域300全体の走査が達成される。図2には、例示的に、時間的に交互に放射される3つの単一レーザパルス、およびそれらのそれぞれの捕捉領域310を伴う測定シーケンスを示す。ここで、捕捉領域310は、破線によって描かれている。本実施例では、送信レーザビーム210の現在の捕捉領域310は円形で示されている。しかしながら、用途に応じて、捕捉領域310の形状を規定する送信レーザビーム210の断面は、例えば楕円形または略正方形など、他の形状としてもよい。センサヘッド101のスキャン運動122により、個別の単一レーザパルスは異なる角度で放出され、これにより、それぞれ現在の捕捉領域310を有する送信レーザビーム210は、所定の角度ステップにおいてそれぞれ走査された物体400上を進む。マルチパルスLIDARシステムでは、単一レーザパルスの繰り返し率とスキャン運動123とは、その際、送信レーザビーム210によって捕捉された領域、ひいてはそれぞれの領域にある走査点(ここでは図示せず)が、スキャン1回中に直接互いに連続する複数の単一レーザパルスによって走査されるように、それぞれ互いに調整される。
【0024】
図2に示すように、物体400で反射された、または物体400によって後方散乱された送信レーザビーム210は、センサヘッド101において受信レーザビーム220の形態で受け取られ、検出面141に結像される。スキャン運動122の結果として、例えば、車両400の詳細であり得る現在の捕捉領域310にある走査点は、互いに連続するレーザパルスでそれぞれ規定の距離だけ変位されて、検出面141上に結像される。
【0025】
以下に、検出面上のマクロピクセルの変位、ひいては回転するスキャン運動の補償が達成される、サブ検出器の再グループ化についてより詳述する。このために、図3から図5は、3つの単一レーザパルスによって車両400を走査することを含む、図2にすでに示された短いスキャンシーケンスを示す。ここで、図3は、車両400が第1の単一レーザパルスによって照射される第1の個別測定を示す。ここで、現在の捕捉領域310は、対応する画素230の形態で検出面141上に結像される、少なくとも1つの第1の走査点320を捕捉する。ここで、破線の円によって示される画素230は、図3に陰影を付けて示されている、行列状のサブ検出器配置構成143の合計9つのサブ検出器142i,jを照射する。したがって、該当するサブ検出器142i,jはグループ化されて、第1の走査点320を表す第1のマクロピクセル160を形成する。ここで、グループ化されたサブ検出器142i,jの信号は、第1のマクロピクセル160に対応付けられたヒストグラム170に共同で対応付けられる。このヒストグラム170では、測定全体の間にマクロピクセル160に対応付けられたすべてのサブ検出器142i,jの信号が合計される。これにより、信号対ノイズ比を向上できる。
【0026】
図2とは異なり、本実施例における検出面141は、第1の延在方向144に互いに隣接して配置された合計14個のサブ検出器142i,jと、第2の延伸方向145に交互に配置された合計5個のサブ検出器142i,jとを含む、行列状のサブ検出器配置構成143を有する。
【0027】
図4に示される方法状況の場合、送信レーザビーム210は、スキャン運動122の結果としてスキャン方向123にさらに移動した。したがって、現在の放出されている第2の単一レーザパルスは、スキャン方向123に特定の角度値の分だけ変位された捕捉領域310を有する。これにより、第1の走査点320の投影、ひいては検出面141上の第1の画素230の位置も、規定された値だけ変位する。ここで、画素230の変位は、光学コンポーネントの結像特性および個別測定間のそれぞれの角度差に、ひいては走査速度122および測定速度に直接依存する。本実施例では、検出面上の後続の個別測定における走査点320が、サブ検出器142i,jの横幅に可能な限り正確に対応する距離だけそれぞれ変位されて結像されるように、これらのパラメータが互いに調整されている。この方法により、サブ検出器142i,jが常にマクロピクセル160の1つに一意的に対応付けられ得ることが保証される。これは、後続の個別測定において画素が検出面上で変位して結像されるステップが、サブ検出器142i,jの横幅の整数倍である実施形態にも当てはまる。ただし、それぞれの適応に応じて、LIDARシステムの対応するパラメータは、後続の個別測定において画素が検出面上で変位して結合されるステップが、それぞれサブ検出器の横幅の数分の1になるようになってもよい。さらに、検出面上の画素の変位がサブ検出器142i,jの横幅に合理的に関連しないLIDARシステムを実現することもできる。これは特に、直接隣接する走査点が、少なくともサブ検出器の幅に対応する距離で検出面上に結像される場合に可能である。
【0028】
図4に示すように、スキャン運動122によって生じる検出面141上の第1の画素230の変位は、第1の画素230に対応付けられる第1のマクロピクセル160の対応する変位によって補償された。ここで、第1のマクロピクセル160は、該当するサブ検出器142i,jを再グループ化することによって変位される。このために、今度は3つの新しいサブ検出器142i,jが、その右側で第1のマクロピクセル160に対応付けられた。一方、図4で薄く網掛けされた3つのサブ検出器142i,jは、先行する個別測定では未だ第1のマクロピクセル160に対応付けられていたが、今度は、ほとんど左側からサブ検出器配置構成143のアクティブ部分内へ移動する、後続の第2のマクロピクセル160n+1に対応付けられている。それらそれぞれの対応付けに応じて、濃く網掛けされたサブ検出器142i,jの信号は、第1のマクロピクセル160のヒストグラム170に対応付けられ、薄く網掛けされたサブ検出器142i,jの信号は、第2のマクロピクセル160n+1のヒストグラム170n+1に対応付けられる。
【0029】
図5は、図4に示した第2の個別測定直後に続く第3の個別測定中の方法状況を示している。ここで、スキャン運動の結果として、送信レーザビームがさらなる角度値の分だけ右側に移動したため、付随する捕捉領域310は、今度は図3に示す第1の個別測定と比べてさらなる値の分だけ移動した。それにより現在の捕捉領域310に対する第1の走査点320の相対位置が変化したため、第1の走査点320は、今度は対応する値の分だけずれて検出面141上に結像される。図5から分かるように、第1の画素230の変位は、図3からの状況と比較して、今度は全体でサブ検出器142i,jの横幅の2倍である。したがって、付随する第1のマクロピクセル160の位置も、対応するサブ検出器142i,jを再グループ化することによって、第1の画素230の位置に続いて変更された。図4からの配置構成と比較して、第1のマクロピクセル160には、その右側に新たに3つの新しいサブ検出器142i,jが対応付けられた。これに対応して、先行する個別測定では未だ第1のマクロピクセル160に対応付けられていた、図5で薄く網掛けされた3つのサブ検出器142i,jは、今度は後続の第2のマクロピクセル160n+1に対応付けられている。結果として、現在の個別測定の範囲では、マクロピクセル160、160n+1の1つに対応付けられているすべてのサブ検出器142i,jの信号は、該当するマクロピクセル160、160n+1のヒストグラム170、170n+1にそれぞれ対応付けられる。
【0030】
図6は時間図を示し、これは検出面141のサブ検出器142i,jが、スキャンプロセスの過程において個々に異なるマクロピクセル160にどのように対応付けられるかを説明している。ここで、楕円形の光点231が示されており、これは、受信レーザビーム220を検出面141上に結像することによって生成される。ここで、光点231は、検出面141のアクティブ部分全体にわたって延在し、アクティブ部分は、この場合、見易くするため5つのサブ検出器142i,jのみを含む。スキャン運動の結果として送信レーザビーム210が互いに連続する走査点上を連続的に案内されるスキャンプロセスでは、対応する走査点は、検出面141上に画素の形態で時間的に交互に結像される。したがって、スキャン運動によって、画素、ひいてはそれらにそれぞれ対応付けられたマクロピクセルが検出面141上を移動するという印象が生じる。これに対し、マクロピクセルの観点から見ると、検出面141上で、合計5つのサブ検出器142i,jの前述のグループ上を延在する光点231が、互いに隣接して配置されたマクロピクセル160の行にわたって連続的に移動する印象が生じる。合計3つの互いに連続するマクロピクセルのグループ上での、光点231のこの外見上の移動は、図6の時間図に示されている。この時、時点tで、観測されているグループのすべてのサブ検出器142i,jが中央のマクロピクセル(ピクセルn)に対応付けられることが分かる。時点tでの後続の単一レーザパルス(ピクセルn+1)では、観測されているグループのうち今度は4つのサブ検出器142i,jのみが、中央のマクロピクセル(ピクセルn)に対応付けられているが、グループのサブ検出器142i,jのすでに1つは3つの示されているマクロピクセル(ピクセルn+1)の右側に対応付けられる。時点tにおけるさらなる単一レーザパルス(パルスi+2)の場合、観測されているグループのすでに2つのサブ検出器142i,jが、右側のマクロピクセル(ピクセルn+2)に対応付けられる。このようにして、光点231は、単一レーザパルスごとに、ここでは3つの示されているマクロピクセル(ピクセルn-1、ピクセルn、ピクセルn+1)にわたってそれぞれ1つのサブ検出器分を移動する。したがって、図から、第1の単一レーザパルス中に第1のマクロピクセルに対応付けられているサブ検出器142i,jが、遅くとも5つのさらなる単一レーザパルス後に第1のマクロピクセルに続く第2のマクロピクセルに対応付けられることが分かる。
【0031】
以下に、回転スキャン運動と、検出面上の画素の変位との関係を説明する。このために、図7から図9は、3つの個別測定を含む一連のスキャンプロセスを示す。それぞれ、センサヘッド101の簡略化された一実施形態が示されており、レーザビーム235は、ビームスプリッタによって偏向することなく、光学結像装置150によって検出面141上に直接結像される。図7に示すように、放出された送信レーザビームは、その円錐形の捕捉領域310により、現在センサヘッド101の視野内にある物体400を捕捉する。この時、捕捉された物体400は、特定の走査点320nにおいて走査される。ここで走査点320は、特定の立体角によって規定され、これは、本実施例では、捕捉領域110を規定する立体角よりも著しく小さい。送信レーザビームは、物体400で反射して戻り、LIDARシステム100のセンサヘッド101によって受信レーザビームの形態で再び受信される。ここで、物体400に対応付けられた走査点320は、画素230の形態で検出面141上に結像される。より見易くするために、本実施例では12×8マトリックスの形態の2次元サブ検出器配置構成143である検出面141は、側面図および平面図の両方において示されている。
【0032】
図7から分かるように、本例で現在の画素230によって捕捉された合計16個のサブ検出器142i,jは、図7において濃く網掛けされており、それぞれの画素に対応付けられたマクロピクセル160にグループ化される。この時グループ化は、サブ検出器を共に接続することによって行われ、個々のサブ検出器142i,jによって検出された信号は、共通のヒストグラムにおいて加算される。
【0033】
図8は、続く第2の個別測定での図7からの配置構成を示す。ここで、送信レーザビーム210は、スキャン運動122の結果としてスキャン方向123にさらに移動した。したがって、現在の単一レーザパルスの捕捉領域310は、特定の角度値の分だけスキャン方向123に変位されている。走査点320は現在捕捉領域310の中心にあるため、第1の走査点320の投影を表す第1の画素230もまた、検出面141上で中心に結像される。先行する個別測定と比べて、検出面141上の第1の画素230は、この場合はサブ検出器の横幅の2倍に対応する規定された距離だけ、第1の延長方向144への変位を有する。センサヘッド101のスキャン運動122によって引き起こされる検出面141上の画素230の変位を補償するために、LIDARシステム100の制御装置は、対応するサブ検出器をアクティブ化、および非アクティブ化することによって、それぞれの距離だけ画素230に対応付けられたマクロピクセル160の位置も変位させる。
【0034】
図9は、続く第3の個別測定での図7および図8からの配置構成を示す。センサヘッド101のスキャン運動122により、送信レーザビーム210、ひいてはその捕捉領域310も、すでに以前と同じ角度値の分だけスキャン方向123へさらに移動した。したがって、走査点320は、対応する角度値の分だけ、センサヘッド101の視点からさらに左側に変位されている。結果として、検出面上の第1の画素230は、サブ検出器142i,jの横幅の2倍だけ、第1の延長方向144に右側に移動している。付随する第1のマクロピクセル160も、対応するサブ検出器142i,jを再グループ化することにより、第1の画素230に続いて、2つのサブ検出器i,jの分だけ右側に変位した。
【0035】
図10および図11は、横方向に互いに隣接して配置された複数の走査点が各単一レーザパルスによって同時に走査されるさらなる一実施形態を示す。その際、測定配置構成は、略図7から図9からの配置構成に対応する。図10から分かるように、送信レーザビーム210の捕捉領域310は、スキャン方向123に互いに隣接して配置された合計3つの走査点320n-1、320、320n+1を含む。ここでは、中央の走査点320のみが完全に捕捉され、一方で2つの外側の走査点320n-1、320n+1は完全には現在の捕捉範囲310にない。ここで、3つの走査点320n-1、320、320n+1は、検出面141の異なる領域に結像される。対応するサブ検出器i,jをアクティブ化およびグループ化することにより、それぞれ16個のサブ検出器142i,jを含み、それぞれがサブ検出器の列によって互いに分離されている、それぞれの走査点320n-1、320、320n+1に対応付けられた同時に3つのマクロピクセル160n-1、160、160n+1が検出面141上に生成される。図11は、それに続く第2の個別測定での図10からの配置構成を示す。ここで分かるように、送信レーザビーム210、ひいてはその現在の捕捉領域310も、スキャン運動122の結果、規定の角度値の分だけスキャン方向123にさらに移動した。センサヘッド101の視点から、3つの走査点320n-1、320、320n+1は、その際、スキャン方向123の反対方向に、同じ角度値の分だけ左側に変位されており、この時左側の走査点320n-1は、ほぼ完全に捕捉範囲110から外れ、一方で右側の走査点320n+1は、今度は完全に捕捉領域310に入った。検出面141では、走査点の投影235n-1、235、235n+1によって生成された画素230n-1、230、230n+1は、サブ検出器の横幅の2倍に対応する距離だけ対応して変位した。この変位を補償するために、それぞれの画素230n-1、230、230n+1に対応付けられたマクロピクセル160n-1、160、160n+1も、サブ検出器の横幅の2倍だけ対応するサブ検出器142i,jを再グループ化することによって変位した。2つの図10図11の比較から分かるように、検出面141上の中央のマクロピクセル160を変位させるために、そのサブ検出器が以前は中央のマクロピクセル160の右側に配置され、非アクティブ化されていた、4つのサブ検出器の第1の垂直行と、そのサブ検出器が以前は右側のマクロピクセル160n-1に対応付けられていた、4つのサブ検出器の第2の垂直行との両方が、アクティブ化され、中央のマクロピクセル160に対応付けられた。また、中央のマクロピクセル160の左側では、それらのサブ検出器が以前は第1のマクロピクセル160に対応付けられていた、それぞれ4つのサブ検出器の2つの垂直行が非アクティブ化された。
【0036】
横方向に互いに隣接して配置された走査点が互いに直接隣接する図3から図5における測定配置とは異なり、本実施例における走査点は、互いの距離が小さい。この距離により、個々の走査点または付随するマクロピクセルを互いにより明確に分離できる。ここで、実施形態に応じて、この距離はより小さくてもより大きくてもよい。スキャン速度、測定速度、および光学コンポーネントの結像特性が互いに調整されていて、互いに直後に続く個別測定での走査点の変位が、検出面上のサブ検出器間の距離またはこの距離の整数倍に可能な限り正確に対応する限り、そのような距離がなくても、または互いの距離が限界的に小さくても、走査点を実現することができる。これにより、特に高い横方向の画像解像度を達成できる。
【0037】
各受信の前にサブ検出器をまずアクティブ化する必要がある場合、該当するサブ検出器のグループ化およびアクティブ化は、反射または後方散乱された単一レーザパルスが検出面上に当たるそれぞれ直前に適切に行われる。大幅な遅延なしに検出でき、ひいてはほとんど連続的に操作できるサブ検出器では、該当するサブ検出器は、必要に応じて、それぞれの個別測定中またはそれどころか各個別測定の直後でも、マクロピクセルにグループ化できる。
【0038】
本発明の基本構造は、従来のマクロLIDARスキャナと一致する。しかしながら、従来のスキャナは垂直面ごとにそれぞれ単一の検出器を使用するが、本発明にかかるスキャナでは、回転面に延在するサブ検出器の配置構成、例えばサブ検出器の線またはサブ検出器の配列(サブ検出器の行列状の配置構成)を使用する。ここで、サブ検出器配置構成の個別のサブ検出器は、マクロ検出器に個々に対応付けられ得る。図3から図5においては、単一レーザパルスの数「N」からなる測定の経過を例示的に示した。第1のパルス放出時点で、図3において濃く網掛けされたサブ検出器が第1のマクロピクセル160に対応付けられる。受信された単一レーザパルスの結像は、第1のマクロピクセル160に中心があると仮定されている。センサヘッド101の回転速度に応じて、単一レーザパルスの結像は、2次元サブ検出器配置構成上を規定された速度で移動するであろう。図4では、正確に1つのサブ検出器の変位後の第1のマクロピクセル160が濃い網掛けで示され、一方で第1のマクロピクセル160の元の位置は点線で描かれた円で示唆されている。ここでマクロピクセルが示唆されているように分割される場合、第1のマクロピクセル160についての空間解像度は保持されたままである一方、薄く網掛けされたサブ検出器から受信されたパルスエネルギーと、ひいてはまた測定時間とは、すでに後続の第2のマクロピクセル160n+1のために利用されている。したがって、このアプローチによって、連続的な回転運動にもかかわらず、単一パルスシステムと同じ横方向解像度を有するマルチパルス測定原理が可能になる。特に、パルスエネルギーまたは測定時間の無駄がない。この原理は、基本的に、2軸および同軸マクロスキャナの両方に適用できる。
【0039】
本発明を具体的な実施例に基づいておおむね記載したが、本発明は決してそれに限定されない。したがって、当業者は、本発明の本質から逸脱することなく、記載された特徴を適切に変更し、それらを互いに組み合わせることができるであろう。特に、ここでそれぞれ別々に記載された補正層の磁気特性を局所的に変更するための方法は、また任意に互いに組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11