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特許7114746車両パラメータを求めるための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】車両パラメータを求めるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 11/06 20060101AFI20220801BHJP
   G01S 13/74 20060101ALI20220801BHJP
   B62D 53/06 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
G01S11/06
G01S13/74
B62D53/06 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020566649
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2019063204
(87)【国際公開番号】W WO2019228885
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】102018208526.9
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴァインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス スミッツ
(72)【発明者】
【氏名】マーテン カーブッツ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス シュマールリーデ
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0288769(US,A1)
【文献】特表2017-528357(JP,A)
【文献】国際公開第2018/060192(WO,A1)
【文献】特表2018-510373(JP,A)
【文献】特開2017-133933(JP,A)
【文献】特開2017-210017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - G01S 5/14
G01S 11/00 - G01S 11/16
G01S 13/74 - G01S 13/84
B62D 53/00 - B62D 53/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送受信ユニット(T1,T11)と第2の送受信ユニット(T2)との間の間隔距離(c,e,r1)を求めるステップであって、前記第1の送受信ユニット(T1,T11)は車両(10)に取り付けられ、前記第2の送受信ユニット(T2)は前記車両(10)に接続されたトレーラー(20)に取り付けられている、ステップと、
前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間の前記間隔距離(c,e,r1)を取り入れて、前記トレーラー(20)に関連する少なくとも1つのパラメータを求めるステップと、
を含み、
前記第1の送受信ユニット(T1)は、カメラユニットに統合されて前記車両(10)の側方に配置され、前記第2の送受信ユニット(T2)は、カメラユニットおよび無線カメラシステムに統合されて、前記トレーラー(20)の後方縁部で、前記トレーラー(20)の側方縁部から所定の間隔距離(b)に配置され、
前記トレーラー(20)に関連する少なくとも1つのパラメータを求めるステップは、求められた前記間隔距離(c)、前記第1の送受信ユニット(T1)と前記トレーラー(20)の前方縁部との間の距離(a1)、および前記所定の間隔距離(b)である、前記第2の送受信ユニット(T2)と前記第1の送受信ユニット(T1)との間の水平オフセットに基づいて、前記トレーラー(20)の長さ(a2)を求めるステップを含む、
方法。
【請求項2】
前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間の前記間隔距離(c,e,r1)を求める前記ステップは、前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間で少なくとも1つの信号を送信するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間の前記間隔距離(c,e,r1)を求める前記ステップは、前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間で送信される信号の受信電界強度を求めるステップを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と第2の送受信ユニット(T2)との間の間隔距離(c,e,r1)を求める前記ステップは、前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間で送信される前記信号の伝搬時間を求めるステップを含む、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間で少なくとも1つの信号を送信する前記ステップは、前記少なくとも1つの信号を少なくとも2つの異なる搬送波周波数に変調するステップを含む、請求項2から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間で少なくとも1つの信号を送信する前記ステップは、それぞれが異なる搬送波周波数を有する少なくとも2つの信号を送信するステップを含む、請求項2から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記トレーラー(20)に関連する少なくとも1つのパラメータを求める前記ステップは、さらに、前記第2の送受信ユニット(T2)と前記第1の送受信ユニット(T1)との間の垂直オフセットに基づいて、前記トレーラー(20)の長さ(a2)を求めるステップを含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記トレーラー(20)に関連する少なくとも1つのパラメータを求める前記ステップは、求められた前記間隔距離(e)、前記第1の送受信ユニット(T1)と前記トレーラー(20)の旋回点(P1)との間の間隔距離(d)、および前記トレーラー(20)の長さ(a2)に基づいて、前記車両(10)と前記トレーラー(20)との間のジャックナイフアングル(α)を求めるステップを含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記トレーラー(20)に関連する少なくとも1つのパラメータを求める前記ステップは、さらなる送受信ユニット(T12)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間の間隔距離(r2)を求めるステップをさらに含み、前記車両(10)の前記さらなる送受信ユニット(T12)は、前記第1の送受信ユニット(T11)とは異なる位置に取り付けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記トレーラー(20)に関連する少なくとも1つのパラメータを求める前記ステップは、前記車両(10)の前記送受信ユニット(T11,T12)と前記トレーラー(20)の前記第2の送受信ユニット(T2)との間の距離(r1,r2)を考慮して、三辺測量法または多辺測量法を用いて前記第2の送受信ユニット(T2)の位置を求めるステップをさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、運転者支援システムを制御するための少なくとも1つの特定のパラメータを使用するステップをさらに含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
車両(10)に取り付けられるように構成された第1の送受信ユニット(T1,T11)と、
前記車両(10)に接続されたトレーラー(20)に取り付けられるように構成された第2の送受信ユニット(T2)と、
を備える装置であって、
前記装置は、前記第1の送受信ユニット(T1,T11)が前記車両(10)に取り付けられ、前記第2の送受信ユニット(T2)が前記トレーラー(20)に取り付けられている場合に、前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間の間隔距離(c,e,r1)を求めるように構成されており、
前記装置は、前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間の前記間隔距離(c,e,r1)を取り入れて、前記トレーラー(20)に関連する少なくとも1つのパラメータを求めるようにさらに構成され、
前記第1の送受信ユニット(T1)は、カメラユニットに統合されて前記車両(10)の側方に配置され、前記第2の送受信ユニット(T2)は、カメラユニットおよび無線カメラシステムに統合されて、前記トレーラー(20)の後方縁部で前記トレーラー(20)の側方縁部から所定の間隔距離(b)に配置され、
前記トレーラー(20)に関連する少なくとも1つのパラメータを求めるステップは、求められた前記間隔距離(c)、前記第1の送受信ユニット(T1)と前記トレーラー(20)の前方縁部との間の距離(a1)、および前記所定の間隔距離(b)である、前記第2の送受信ユニット(T2)と前記第1の送受信ユニット(T1)との間の水平オフセットに基づいて、前記トレーラー(20)の長さ(a2)を求めるステップを含む、
装置。
【請求項13】
前記装置は、前記第1の送受信ユニット(T1,T11)が前記車両(10)に取り付けられ、前記第2の送受信ユニット(T2)が前記トレーラー(20)に取り付けられている場合に、前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間で少なくとも1つの信号を送信するようにさらに構成されている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間で送信される前記信号の受信電界強度を求めるように構成されている、請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、前記第1の送受信ユニット(T1,T11)と前記第2の送受信ユニット(T2)との間で送信される前記信号の伝搬時間を求めるようにさらに構成されている、請求項13または14記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両パラメータを求めるための方法および装置に関し、特に車両トレーラーに関連する様々なパラメータを求めるための方法および装置に関する。
【0002】
多くの車両は、今日では、例えば外部ミラー代替システム、バックカメラ、およびサラウンドビューカメラなどのカメラベースのシステムを備えている。この種のシステムは、特に、例えばトラックや農業用車両などのトレーラーを備えた車両において、安全性に関して重要な役割を果たす。動的画像区分を表示する外部ミラー代替システムの場合、運転者には走行中のあらゆる時点で、適正な画像区分が、つまり現下の状況において最も関心のある領域が表示されるべきである。それゆえ、運転者にはあらゆる時点で危険な領域が表示され、運転者が障害物や潜在的な危険元を確実に認識することができるように保証されるべきである。
【0003】
表示された画像区分をいつでも各運転状況に適応化できるようにするために、システムには様々な車両データが既知でなければならない。これらは、例えば、車両と該車両によって牽引されるトレーラーの長さ、または牽引車両とトレーラーとの間の現下のジャックナイフアングルである。
【0004】
本発明の課題は、車両パラメータを求めるための改善された方法および改善された装置を提供することである。
【0005】
この課題は、請求項1に記載の方法および請求項11に記載の装置によって解決される。本発明の考察の実施形態および発展形態は、従属請求の対象である。
【0006】
ここでは、トレーラーに関連するパラメータを求めるための方法が記載される。この方法は、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間の間隔距離を求めるステップであって、ここで、第1の送受信ユニットは車両に取り付けられ、第2の送受信ユニットは車両に接続されたトレーラーに取り付けられている、ステップを含む。この方法は、さらに、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間の間隔距離を取り入れて、トレーラーに関連する少なくとも1つのパラメータを求めるステップを含む。
【0007】
これにより、トレーラーに関連する様々なパラメータが簡単なやり方で求められる。
【0008】
第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間の間隔距離を求めるステップは、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間で少なくとも1つの信号を送信するステップを含み得る。多くの場合、様々な用途のためにすでに送受信ユニットが車両とトレーラーとに配置されており、そのため、送受信ユニット間の間隔距離の決定と、その後のパラメータの決定のために、既存のユニットが使用可能である。例えば、送受信ユニットは、すでに他の用途のためにトレーラーに配置されている様々な無線カメラシステム内にすでに存在している。すなわち、本方法は、新規のハードウェアが不要である可能性があるため、安価に実施することができる。さらに、パラメータの決定は、このようにして他の方法よりも簡単に実施することができる。
【0009】
さらに、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間の間隔距離を求めるステップは、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間で送信される信号の受信電界強度を求めるステップを含み得る。
【0010】
択一的に、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間の間隔距離を求めるステップは、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間で送信される信号の伝搬時間を求めるステップを含み得る。
【0011】
これにより、間隔距離を簡単なやり方でかつ十分な精度で求めることができる。
【0012】
第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間で少なくとも1つの信号を送信するステップは、少なくとも1つの信号を少なくとも2つの異なる搬送波周波数に変調するステップを含み得る。これに対して択一的に、それぞれが異なる搬送波周波数を有する少なくとも2つの信号が送信され得る。
【0013】
ここでは、トレーラーに関連する少なくとも1つのパラメータを求めるステップは、求められた間隔距離、第1の送受信ユニットとトレーラーの前方縁部との間の距離、および第2の送受信ユニットと第1の送受信ユニットとの間の水平オフセットに基づいて、トレーラーの長さを求めるステップを含み得る。
【0014】
トレーラーの長さに関する知識は、様々な運転者支援システムのために必要である。
【0015】
この場合、トレーラーの長さを求めるステップは、車両の直進走行中に行うことができる。
【0016】
直進走行の場合、トレーラーの長さを求めるための簡単な幾何学的原理を適用することができる。
【0017】
トレーラーに関連する少なくとも1つのパラメータを求めるステップは、求められた間隔距離、第1の送受信ユニットとトレーラーの旋回点との間の間隔距離、およびトレーラーの長さに基づいて、車両とトレーラーとの間のジャックナイフアングルを求めるステップも含み得る。
【0018】
トレーラーと車両との間のジャックナイフアングルに関する知識は、様々な運転者支援システムのために必要である。
【0019】
この場合、ジャックナイフアングルを求めるステップは、車両のカーブ走行中に行うことができる。
【0020】
直進走行時、車両とトレーラーとの間のジャックナイフアングルは既知である。それゆえ、算出は、基本的にカーブ走行時のみに必要である。
【0021】
トレーラーに関連する少なくとも1つのパラメータを求めるステップは、さらなる送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間の間隔距離を求めるステップもさらに含み得る。この場合、車両のさらなる送受信ユニットは、第1の送受信ユニットとは異なる位置に取り付けられている。
【0022】
ここでは、トレーラーに関連する少なくとも1つのパラメータを求めるステップは、車両の送受信ユニットとトレーラーの第2の送受信ユニットとの間の距離を考慮して、三辺測量法または多辺測量法を用いて第2の送受信ユニットの位置を求めるステップをさらに含み得る。
【0023】
運転者支援システムのカメラシステムは、多くの場合、一時的にのみトレーラーに取り付けられている。それゆえ、カメラシステムの位置は変化する可能性がある。しかしながら、車両に関連するカメラシステムの位置に関する知識は、様々な運転者支援システムのために必要である。すなわち、特定のパラメータは、例えば、様々な運転者支援システムのために引き続き使用することができる。
【0024】
さらに、トレーラーに関連するパラメータを求めるための装置も記載されている。この装置は、車両に取り付けられるように構成された第1の送受信ユニットと、車両に接続されたトレーラーに取り付けられるように構成された第2の送受信ユニットとを備える。この装置は、第1の送受信ユニットが車両に取り付けられ、第2の送受信ユニットがトレーラーに取り付けられている場合に、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間の間隔距離を求めるように構成されている。この装置は、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間の間隔距離を取り入れて、トレーラーに関連する少なくとも1つのパラメータを求めるようにさらに構成されている。
【0025】
ここでは、この装置は、第1の送受信ユニットが車両に取り付けられ、第2の送受信ユニットがトレーラーに取り付けられている場合に、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間で少なくとも1つの信号を送信するようにさらに構成されてもよい。
【0026】
この装置は、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間で送信される信号の受信電界強度を求めるようにさらに構成されてもよい。
【0027】
この装置は、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間で送信される信号の伝搬時間を求めるようにさらに構成されてもよい。
【0028】
以下では、本発明を描写図面に基づいてより詳細に説明する。この場合、同一または類似の要素には同じ参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】トレーラーを備えた車両の概略図
図2】直進時のトレーラーを備えた車両の概略的な平面図
図3】カーブ走行時のトレーラーを備えた車両の概略的な平面図
図4】トレーラーを備えた車両の様々な寸法の概略図
図5】トレーラーを備えた車両の様々な寸法の概略図
図6】トレーラーを備えた車両に対するカメラの位置を求めるための方法の概略図
図7】車両パラメータを求めるための方法のフローチャート
【0030】
図1は、トレーラー20を備えた車両10の概略図を示す。図示の例では、車両10はトラックである。ただし、これは、単なる一例にすぎない。牽引車両として基本的には、適切なすべての車両(例えば自家用車など)が使用され得る。トレーラー20は、部分的に車両10上に載置することが可能である(いわゆるセミトレーラーまたはトレーラー)しかしながら、トレーラー20は、他のあらゆる方法、例えば牽引バーを介して、車両10に適切に接続されてもよい。
【0031】
車両10は、通常、走行中に車両10およびトレーラー20の側方領域および後方領域を運転者に視認させることを可能にするための外部ミラー12を有する。しかしながら、外部ミラー12の場合、視野は限定されている。特に、トレーラー20の後方(中央)領域は、トレーラー20によって隠れるため、非常に限られた範囲でしか視認することができないか、まったく視認することができない。
【0032】
それゆえ、今日の多くの車両は、車両10および/またはトレーラー20によって部分的または完全に隠されるそのような領域も運転者に視認させることを可能にする多種多様な運転者支援システムを備える。例えば、車両10およびトレーラー20の周囲の画像を撮影する様々なカメラユニットが車両10および/またはトレーラー20に取り付けられてもよい。これらの画像は、車両10内または車両10の1つまたは複数のディスプレイ上で適切な視点から運転者に表示することが可能である。例えば、運転者にいわゆる死角を視認させることを可能にすることができる。ただし、この場合、従来のミラーでは視認できないか限定的にしか視認できない領域を少なくとも1つのディスプレイ上に表示可能にするだけではない。運転者が従来のサイドミラーを用いて、または車両10のフロントもしくはサイドウィンドウを通して視認できる領域も、同様にディスプレイ上に表示可能にすることができる。
【0033】
例えば、カメラモニターシステムと称されることも多いいわゆる外部ミラー代替システムが公知である。この場合、従来の外部ミラーは、完全にディスプレイによって代替されている。例えば、ミラーガラスに代わるディスプレイが車外のサイドミラー内に配置されてもよい。それにより、運転者にはサイドミラー内で、対応するカメラユニットによって撮影されるカメラ映像を表示することができる。ただし、サイドミラーを完全に廃止して、車内のディスプレイに代替させることも可能である。これにより、一方では、安全性を向上させることが可能になる。なぜなら、物体や障害物をより確実に運転者に認識させることができるからである。他方では、例えば、車内にディスプレイを取り付け、外部ミラーを廃止することによって、燃料排出量や走行時の騒音レベルを低減することができる。なぜなら、車両の空力特性が改善されるからである。
【0034】
ただし、この場合、安全性の向上を実質的に可能にするためには、対応するディスプレイに適した画像区分を表示する必要がある。走行状況に応じて、車両10およびトレーラー20に対する様々に異なる領域が運転者にとって重要であり得る。この場合、これらの重要な画像領域が、状況に応じて適切にスケーリングもされるべきである。なぜなら、運転者は、代替システムでは、従来のミラーのように適当に頭を動かすことで視野を変えることができないからである。スケーリングと画像区分の適切な選択のために、多くの場合、様々な車両パラメータが既知であることが必須である。例えば、トレーラー20の後方縁部領域の確実な画像を表示できるようにするために、トレーラー20の長さが既知であることが必須である場合もある。同様に、車両10とトレーラー20との間のジャックナイフアングルαが既知であるが必須である場合も多い。このジャックナイフアングルαは、直進走行時には例えば実質的に180°であり(例えば図2参照)、カーブ走行時には180°未満の値となり得る(例えば図3参照)。図2および図3には、カーブ走行時にトレーラー20がそこを中心として旋回し得る旋回点P1も示されている。
【0035】
少なくとも1つのディスプレイ上に表示される画像は、車両10および/またはトレーラー20に配置されてもよい1つまたは複数のカメラによって撮影される。この場合、カメラがトレーラー20に恒久的にではなく、一時的にのみ取り付けられているシステムが公知である。一部のカメラシステムは、必要な場合にのみ、例えば吸引カップ、磁石などによってトレーラー20に取り付けることができる。そのような場合、カメラの正確な取り付け位置が既知でないこともあり得る。ただし、適切な領域を相応のスケーリングで少なくとも1つのディスプレイ上に表示できるようにするためには、カメラの取り付け位置が既知であることが必要になる場合もある。さらに以下では、図6を参照してカメラの取り付け位置を求めるための方法に関する一例を説明する。
【0036】
図4では、トレーラー20の長さa2をどのように求めることができるかが例示的に示されている。この場合、様々なパラメータは既知なものと想定される。例えば、車両10の長さalは、通常は既知である。運転者支援システムは、大抵は車両10内に固定的に設置されており、車両10のパラメータ(例えば長さや幅など)は変化しないので、これらのパラメータは一度システムに入力すれば十分である。したがって、後からのさらなるパラメータを求めるために、これらはいつでも使用することができる。運転者支援システムは、車両10に大抵は固定的に割り当てることができるのに対して、車両10によって牽引されるトレーラー20は交換される場合がある。それゆえ、車両10に接続されたトレーラー20の寸法は、固定的にシステム内に格納することはできない。様々なトレーラー20は、例えば長さが異なっていてもよい。それに対して、車両10によって牽引されるトレーラー20の幅は、大抵は車両10の幅に相応する。したがって、トレーラー20の幅は既知なものと想定することができる。なぜなら、車両10の幅は、通常は既知なものだからである。
【0037】
トレーラー20の長さa2を求めるために、第1の送受信ユニットT1が車両10に取り付けられる。この第1の送受信ユニットT1は、例えば、適切な画像を撮影するために車両10に配置されたカメラユニットに接続されてもよい。多くのカメラシステムは、画像データを無線で車両10内の(図には示されていない)評価ユニットに伝送する。したがって、多くのカメラユニットは、相応の送受信ユニットをすでに標準装備しており、既存のユニットを使用することができる。トレーラー20には、第2の送受信ユニットT2が配置されてもよい。この第2の送受信ユニットT2は、例えば、トレーラー20の右方または左方の後方縁部に取り付けられてもよい。これにより、第1の送受信ユニットT1への高品質の無線リンクを達成することが可能になる。なぜなら、送信された信号がトレーラー20によって遮られないか、またはわずかしか遮られないからである。第2の送受信ユニットT2が、例えばトレーラー20の他の位置に配置されるならば、トレーラー20の一部は、第1および第2の送受信ユニットT1,T2間のダイレクトパスに存在し得る。これにより、例えばシャドウイング効果により、無線リンクが部分的に著しく阻害される可能性がある。第2の送受信ユニットT2は、例えば、同様にトレーラー20に取り付けられたカメラユニットに接続されてもよい。トレーラー20に(一時的または恒久的に)配置されたカメラユニットも、多くの場合、画像データを無線で車両10内の(図には示されていない)評価ユニットに伝送する。したがって、第2の送受信ユニットT2についても既存のコンポーネントを使用することができる。
【0038】
第1の送受信ユニットT1と第2の送受信ユニットT2との間で信号を送信することができる。これらの信号に基づいて、第1の送受信ユニットT1と第2の送受信ユニットT2との間の間隔距離cを求めることができる。例えば、第1の送受信ユニットT1と第2の送受信ユニットT2との間で送信される1つまたは複数の信号の受信電界強度RSSIを求めることができる。測定された受信電界強度RSSIは、送受信ユニットT1,T2が相互にどのくらいの間隔距離で配置されているかについての示唆となる。
【0039】
送受信ユニットT1,T2間で送信される信号は、例えば、LF、HF、UWB(Ultra-wideband)、Bluetooth(登録商標)、またはBLE信号(Bluetooth Low Energy信号)であってもよい。ただし、HF信号、LF信号、およびBluetooth(登録商標)もしくはBluetooth Low Energy信号は、単なる例示である。トレーラーの長さの決定を実現するために、他の様々な通信リンクを使用することができる。
【0040】
ただし、そのような信号の受信電界強度RSSIを求める代わりに、送受信ユニットT1,T2間の間隔距離cを、例えば送信された信号の伝搬時間測定に基づいて求めることも可能である。例えば、第1の送受信ユニットT1から信号は送信され得る。この場合、各信号が送信される時点は既知である。第2の送受信ユニットT2は信号を受信し、対応する応答信号を第1の送受信ユニットT1に返信する。送信された信号の伝搬速度は既知である(光速)。さらに、第2の送受信ユニットT2内での第1の送受信ユニットT1から受信する信号の受信および処理ならびに対応する応答信号の返信に要する処理時間も既知である。したがって、第1の送受信ユニットT1での応答信号の受信時点ならびに他のすべての既知のパラメータから、信号が伝搬した距離を求めることができ、この距離は、第1の送受信ユニットT1と第2の送受信ユニットT2との間の間隔距離cに相当する。この場合、第1から第2の送受信ユニットT1,T2への信号の伝搬時間も、第2から第1の送受信ユニットT2,T1への信号の伝搬時間も求めることが可能である(“Round Trip Time of Flight”;RTOFとも称される)。ただし、2つの方向のうちの1つの信号の伝搬時間のみを求めることもできる(“Time of Arrival”;TOAとも称される)。
【0041】
第1および第2の送受信ユニットT1,T2間の間隔距離cが既知であるならば、トレーラー20の長さa2を求めるために、第2の送受信ユニットT2の位置が既知であることがさらに想定される。例えば、トレーラーの長さa2を求めるために、第2の送受信ユニットT2が、トレーラー20の後方縁部においてトレーラー20の側方縁部から予め定められた間隔距離bに配置されていることが必要になる場合がある。第1の送受信ユニットT1の位置も同様に既知である。例えば、第1の送受信ユニットT1は、図4に例示的に示されるように、車両10の側方に配置されてもよい。この場合、第1の送受信ユニットT1とトレーラー20の前方縁部との間の間隔距離a1も同様に既知である。トレーラーの長さa2の決定は、この場合、例えば図4に示すように直進時(α=180°)に行われる。
【0042】
様々な既知および未知の寸法からは、図4に示すように直角三角形を形成することができる。そうすれば、方程式a+b=c(ピタゴラスの定理)を介して、トレーラーの長さa2を簡単に計算することができる。ただし、a=al+a2と見なす。
【0043】
上記に例示的に示したようにトレーラーの長さa2を求める場合、第1の送受信ユニットT1および第2の送受信ユニットT2が同じ高さに、例えば地上から2m、地上から3m、または地上から4mの高さに配置されていることが想定される。ただし、基本的には、第1の送受信ユニットT1は、第2の送受信ユニットT2とは異なる高さに取り付けてもよい。高さの差が既知であるならば、この差をトレーラーの長さa2の計算に含めることができる。高さの差が未知であるならば、トレーラーの長さa2の決定に不正確さが生じる可能性がある。その場合、高さの差が大きいほど、不正確さも大きくなる。ただし、この不正確さは、大抵は比較的わずかであり、無視することができる。
【0044】
トレーラー20の長さa2が既知であるならば、車両10とトレーラー20との間のジャックナイフアングルを同様の方法で求めることができる。その場合、トレーラー20の長さa2が上記の方法を用いて求められたか、または他の方法で求められたかはその場合重要ではない。カーブ走行中は(図5参照)、上記の方法(RSSI測定、伝搬時間測定)で、送受信ユニットT1,T2間の信号の送信によって、第1の送受信ユニットT1と第2の送受信ユニットとの間の間隔距離eを求めることができる。トレーラー20の長さa2の他に、第1の送受信ユニットT1と旋回点P1との間の間隔距離dも既知である。車両10に固定的に配置されている第1の送受信ユニットT1と旋回点P1との間の間隔距離は、一定であり、どのトレーラー20が車両10に接続されているかに依存しない。それゆえ、この値は、システムに1回入力して、そこに保存することができる。
【0045】
送受信ユニットT1,T2および旋回点P1によって形成される三角形の既知の辺の長さa2,d,eからは、例えば余弦定理を使用して角度γを計算することができる。この場合、以下の関係式、
=a2+d-(2×a2×d×cosγ) (1)
もしくは
cosγ=(a2+d-e)/(2×a2×d) (2)
が成り立つ。
【0046】
第1の送受信ユニットT1と旋回点P1との間に延びる接続線dと、車両10を通って延びこの車両10を2つの半部に分割する線xとの間の角度βも同様に既知である。この角度βは、あらゆる時点で不変のままであり、したがって、後で使用するためにシステムに保存されてもよい。
【0047】
これらの角度βおよびγからは、以下の式、
α=β+γ
にしたがってジャックナイフアングルαが計算される。
【0048】
ジャックナイフアングルを計算する場合も、第1の送受信ユニットT1および第2の送受信ユニットT2は、同じ高さに、つまり例えば地上から2m、地上から3m、または地上から4mの高さに配置されていることが想定される。送受信ユニットT1,T2が同じ高さに配置されていないならば、対応する高さの差もジャックナイフアングルの計算において考慮することができる。場合によっては存在する高さの差が考慮されないならば、それによる不正確さがジャックナイフアングルαの計算に生じ、その場合、高さの差が大きいほど不正確さも大きくなる。ただし、この不正確さは、大抵は比較的わずかであり、無視することができる。
【0049】
すでに上記で説明したように、カメラユニットもしくは送受信ユニットT2は、場合によってはトレーラー20と恒久的に接続されていなくてもよく、必要な場合にのみ取り付けられてもよい。
【0050】
この場合、カメラユニットもしくは送受信ユニットT2は、未知の位置でトレーラー20に取り付けられる場合があるかもしれない。トレーラー20を備えた車両10に対する送受信ユニットT2の位置は、例えば、電界強度測定に基づいて求めることができる。ここでは、車両10の特定の(既知の)位置に2つ以上の送受信ユニットT11,T12を配置してもよい(図6参照)。車両10に配置された送受信ユニットT11,T12と、トレーラー20に配置された第2の送受信ユニットT2との間で信号を送信することが可能である。これらの信号の受信電界強度RSSIが測定可能であり、この受信電界強度RSSIに基づいて第2の送受信ユニットT2の位置を求めることができる。すでに上記で説明したように、信号の受信電界強度RSSIは、送信機からの距離の増加にともなって減少する。
【0051】
図6には、例示的に、車両10の2つの送受信ユニットT11,T12が示されている。ただし、車両10内には、より多くの送受信ユニットT1nを任意の適切な位置に配置してもよい。少なくとも2つの送受信ユニットT11,T12は、図6には示されていない制御機器に接続されてもよい。この制御機器は、送受信ユニットT11,T12を介して信号を送信するように構成されてもよい。送受信ユニットT11,T12によって受信された信号は、さらなる評価のために再びこの制御機器に送信することができる。
【0052】
例えば、車両10内に配置された送受信ユニットT11,T12からは、LF、HF、UWB、Bluetooth(登録商標)、またはBLE信号(Bluetooth Low Energy信号)が送信可能である。これらの信号は、第2の送受信ユニットT2によって受信される。第2の送受信ユニットT2は、受信した信号の受信電界強度RSSIを測定できる。車両10の送受信ユニットT11,T12の位置および信号が送信される電界強度が既知であるため、ある時点で求められた対応する信号の受信電界強度RSSIに基づいて、第2の送受信ユニットT2と第1の送受信ユニットT11,T12の各々との間の距離を求めることができ、ひいては車両10に対する第2の送受信ユニットT2の位置を求めることができる。
【0053】
この場合、信号は、上記のように、車両10内の送受信ユニットT11,T12から送信され、第2の送受信ユニットT2によって受信することが可能である。しかしながら、基本的には、第2の送受信ユニットT2が信号を送信し、車両10内の第1の送受信ユニットT11,T12の各々がこれらの信号の受信電界強度RSSIを求めることも可能である。したがって、第2の送受信ユニットT2は、送信機として機能することができ、車両10内の第1の送受信ユニットT11,T12は、受信機として機能することもできる。第2の送受信ユニットT2が第1の送受信ユニットT11,T12から離れるほど、信号の測定された受信電界強度RSSIも弱くなる。それゆえ、測定された受信電界強度から第2の送受信ユニットT2から第1の送受信ユニットT11,T12の各々までの距離を求めることが可能である。第1の送受信ユニットT11,T12の個々の各々までの距離が既知である場合、基本的に、車両10に対する第2の送受信ユニットT2の位置を推定することが可能である。車両10内に2つ以上の送受信ユニットT1nが存在する場合、第2の送受信ユニットT2の位置は、例えば、適切な三辺測量法または多辺測量法を用いて求めることができる。
【0054】
このことは、例示的に図6に示されている。第2の送受信ユニットT2と第1の送受信ユニットT11との間の距離が既知であるならば、これは、第2の送受信ユニットT2が送受信ユニットT11周りの円弧k1上のどこかに位置することを意味する。この円弧k1の半径r1は、この場合、第1の送受信ユニットT11と第2の送受信ユニットT2の間の特定の距離に相応する。同じことは、さらなる送受信ユニットT12…にも当てはまる。図6では、2つの第1の送受信ユニットT11,T12および関連する円弧k1,k2のみが抜粋して示されている。これらの円弧k1,k2の交点は、第2の送受信ユニットT2の位置に相応する。車両10内で2つの送受信ユニットT11,T12のみがある場合には、基本的に2つの交点が生じるが、ここでは第2の交点は図6に示されていない。これらの2つの交点のうちの1つは、例えば所定の論理基準に基づいて除外することが可能である。車両10内に3つ以上の送受信ユニットT1nが配置されているならば、第2の送受信ユニットT2の位置は、通常一義的に求めることができる。
【0055】
ただし、受信電界強度測定RSSIの代わりに、第2の送受信ユニットT2の位置は、例えば、すでに上記でトレーラーの長さa2に関連して説明したように、車両10内の第1の送受信ユニットT11,T12と第2の送受信ユニットT2との間で送信される信号の伝搬時間測定に基づいて求めることも可能である。ここでも、第1の送受信ユニットT11,T12から第2の送受信ユニットT2への信号の伝搬時間も、第2の送受信ユニットT2から対応する第1の送受信ユニットT11,T12への信号の伝搬時間も求めることが可能である(“Round Trip Time of Flight”;RTOF)。ただし、基本的には、ここでも2つの方向のうちの一方の信号の伝搬時間のみを求めることができる(“Time of Arrival”;TOA)。
【0056】
これらの方法(TOA,RTOF)でも、対応する第1の送受信ユニットT11,T12周りの円弧k1,k2が生じ、これらの円弧k1,k2上に第2の送受信ユニットT2の位置が存在する。すでに上記でRSSI法に関連して説明したように、これらの円弧k1,k2の交点から第2の送受信ユニットT2の位置を求めることができる。
【0057】
例えば、送受信ユニットT1,T2間の無線リンク内の障害物(例えばトレーラーの一部など)によって、送信信号が減衰される可能性がある(シャドウイングまたはフェーディング効果)。この場合、信号がどの程度減衰されるかは、例えば信号の搬送波周波数に依存する。この理由から、例えば、信号は少なくとも2つの異なる搬送波周波数に変調され得る。シャドウイング効果によって様々な周波数が様々な程度の影響を受けるため、このようにすることによって少なくとも1つの搬送波周波数の信号を受信機が受信できる確率を高めることができる。例えば、信号は、2.4GHzの周波数と5GHzの周波数の両方で伝送することが可能である。ただし、この場合は、他の周波数も同様に可能である。この場合、信号は、同じ規格でもって異なる周波数で伝送することができる。ただし、信号は、異なる規格を用いて異なる周波数で伝送することも可能である。基本的には、2つの異なる信号を異なる周波数で伝送することも同様に可能であり、それによって、これらの信号のうちの少なくとも1つが受信機によって受信され得る。
【0058】
図6は、例えば2次元空間における第2の送受信ユニットT2の位置の決定を示している。ただし、電磁界は、基本的にはすべての空間方向に広がる。したがって、第2の送受信ユニットT2は、3次元空間内で対応する送受信ユニットT11,T12周りの所定の半径r1,r2を有する球の表面上の随所に配置されてもよい。ただし、図6に基づいて2次元で説明された原理は、容易に3次元に置き換えることができる。位置決定のために使用される第1の送受信ユニットT1nが多いほど、求められる位置の精度は高くなる。上述のように、2次元空間での位置決定の場合、送受信ユニットの正確な取り付け高さを知らないまま、送受信ユニットがトレーラーの同じ高さに配置されていることを想定することができるが、ただし、これによって、不正確さが生じる可能性はある。3次元空間では、この種の仮定(同じ高さの送受信ユニット)は基本的に不要である。ただし、ここでは一義的な位置決定のために、一般に、少なくとも3つの第1の送受信ユニットT1nが車両内に必要である。
【0059】
図4から図6では、車両10の第1の送受信ユニットT1nは、例えば、車両10の外側に取り付けられている。ただし、これは単なる一例である。第1の送受信ユニットT1nは、基本的に、車両の内部、例えば制御機器内に配置されてもよい。ただし、ここでは所望のサイズの決定のために例示的に示されている幾何学的原理は、類似の方法で適用可能である。
【0060】
所望の車両パラメータ(トレーラーの長さ、ジャックナイフアングルなど)は、この場合、所定の走行状況において1回だけ求めることができる。ただし、上記の測定を繰り返し実行することも可能である。そのときには、そのように求められたトレーラーパラメータを、順次連続した複数の測定にわたって平均化し、それによって結果を改善することができる。その際、明らかな誤測定として認識された測定値は、例えば考慮しないままにすることができる。例えば、トレーラーの長さa2の決定の場合、カーブ走行中に実施された測定は考慮しないままにすることができる。例えば、フィルタを使用することもできる(例えばカルマンフィルタ)。
【0061】
ジャックナイフアングルの決定は、例えば、ステアリングホイール位置の経時的追跡、画像情報に基づくトレーラー縁部識別などのようなさらなる情報またはパラメータの支援のもとで、さらに改善することも可能である。
【0062】
図4および5には、それぞれただ1つの第1の送受信ユニットT1のみが示されている。しかしながら、それぞれのパラメータ(トレーラーの長さ、ジャックナイフアングルなど)は、例えば、車両10内に配置された2つ以上の送受信ユニットT1を用いて求めることもできる。これによっても、測定値を改善および検証することができる。
【0063】
トレーラー20で2つ(またはそれ以上)の送受信ユニットを使用することによって、測定を改善および検証することもできる。例えば、トレーラー20に2つのカメラシステムもしくは2つの送受信ユニットを設けることが可能であり、それらのうちの一方の送受信ユニットは、トレーラー20の右側に取り付けられ、他方の送受信ユニットは、トレーラー20の左側に取り付けられている。そのような場合、トレーラー20に配置されたこれら2つの送受信ユニット間の間隔距離は、送受信ユニット間の実際の間隔距離が未知である場合、最大許容車幅fでもって暫定的に想定することができる。
【0064】
そのようにして求められたパラメータは、引き続き、例えば様々な運転者支援システムによって使用され得る。例えば、トレーラーの長さa2とジャックナイフアングルとが既知である場合、カメラユニットは、トレーラーの後方縁部周りの領域を所期のように撮影できる。そのようにして、運転者にこれらの領域を、外部ミラー代替システムのディスプレイ上で所期のように表示することができる。これには、例えば駐車過程の際に特に関心が向けられる可能性がある。走行中、運転者には、例えば異なる領域をディスプレイ上で表示することができる(例えば死角など)。追い越し過程の際には、さらに別の領域に運転者の関心が向けられる可能性があり、これに応じて表示がなされてもよい。
【0065】
トレーラー20に(一時的に)取り付けられたカメラユニットの位置が既知であるならば、例えば後退時に障害物にぶつからないようにするために、例えばトレーラー20の幅を示す補助線を所期のように画像区分に表示することができる。さらに、様々なパラメータの知識は、さらに別の操車情報の表示も可能にさせる。
【0066】
いわゆるサラウンドビューシステムでは、カメラユニットの正確な位置の知識は、例えばシステムの較正を簡素化できる。車両の幾何形状およびトレーラーの幾何形状に関する知識は、例えば、車両10が運転者の介入なしで自律的に駐車する自動駐車システムによって使用することも可能である。ただし、これについては、場合によってはさらに別のパラメータが必要になる可能性がある。さらに、様々なパラメータに関する知識は、トレーラー20の自動荷積みおよび荷下ろし、およびトレーラー20もしくは車両10に対する無人機の適正な位置決めも可能にする。求められたジャックナイフアングルαに基づいて、例えば対応するトレーラー20を備えた車両10の推奨速度を決定することもできる。
【0067】
本発明の原理は、上記で、トレーラーを備えたトラックに基づいて説明されている。ただし、基本的には、これらの原理は、例えば自家用車、農業用車両もしくは産業用車両などの、トレーラーを備えた他のあらゆる車両にも適用することができる。この原理は、航空機を移動するための車両または滑走路で使用するための他の車両にも適用することができる。記載されている送受信ユニットは、カメラユニット内に統合されてもよいし、カメラユニットに接続されてもよいし、あるいはカメラユニットとは独立して車両10および/またはトレーラー20に配置されてもよい。
【0068】
一例によれば、サラウンドビューシステム用のカメラシステムは、吸引カップを用いてトレーラーの後方側部に一時的に取り付けられている。このカメラシステムは、WLANを用いて画像情報を牽引車両内の制御機器に送信する。既存のシステムでは、例えば、トレーラーパラメータを求めるための機能性を、ソフトウェアアップデートを用いて既存の制御機器内に後付けすることができる。トレーラーのカメラシステムと車両内の制御機器との間の間隔距離は、例えば、100msの時間間隔で定期的に求めることができる。求められた間隔距離は、車両バス(例えばCANバスなど)を介して運転者支援システムの1つまたは複数のディスプレイに送信することができる。この運転者支援システムは、例えば、車両の側方(例えばAピラーなど)に配置されたディスプレイを有する外部ミラー代替システムであってもよい。これらのディスプレイも、求められた間隔距離を車両バスを介して受信し、そこからトレーラーの長さやジャックナイフアングルを算出する制御機器を有し得る。車両の幾何形状は、制御機器内で既知であってもよい。さらに、その際には、カメラシステムがトレーラー後方の中央で4mの高さに取り付けられていることが想定され得る。そうすることで、すべての既知のパラメータから、例えば、トレーラーの垂直な側面後方縁部の位置を求め、それに応じて対応する領域をディスプレイ上に表示することができる。
【0069】
表示されている画像の画像区分は、この場合、現下の走行状況に応じて選択することができる。例えば、トレーラーがカーブ走行時に曲がっている場合には、トレーラーもしくはトレーラー側面のごく一部しか表示することができない。ディスプレイのほとんどは、トレーラー後方縁部の側方の運転者にとってより関心の向けられる周囲環境部分を表示するために使用することができる。このことは、運転者にとって、特に後退走行時の操車運転を著しく容易にさせることができる。カメラシステムと制御機器との間の間隔距離の決定の際の不正確さ、ならびにトレーラーのカメラシステムの取り付け位置に関する場合によっては不正確な想定は、ここでは容認できる。なぜなら、これらの不正確さは、実際に表示される画像区分にはわずかな影響しか及ぼさないからである。
【0070】
さらなる例によれば、農業用有用車両のトレーラーにバックカメラが磁石を用いて一時的に取り付けられている。この場合、取り付け位置は、この例ではトレーラーの構造形式に基づいて中央に配置されていない。バックカメラは、無線リンクを介してその画像データを牽引車両の外部ミラーに取り付けられている2つの受信機に送信する。送信機(バックカメラ)にも、受信機にも、RTOFを用いて間隔距離を求めるための安価なハードウェアが組み込まれている。ステアリング角度追跡を用いて、またはこれが利用できない場合にはカメラ画像内の光波流の識別を介して、または加速度センサーを用いて認識され得る比較的長い直進走行中は、三辺測量法を用いてトレーラーの後方壁面のバックカメラの水平取り付け位置が求められる。ここでは、地上から2mの取り付け高さが想定される。この例では2つの受信機しか使用されていないため、実際の取り付け高さを求めることはできず、それゆえ、予め定められた値で想定する必要がある。取り付け高さを正確に求めるためには、通常は2つ以上の受信機が必要である。
【0071】
それに対して代替的に、カメラの取り付け高さは、(例えばジャイロセンサを用いて求められる)カメラの傾斜角度、内在的なカメラパラメーター、車速および/または光波流に基づいて求めることができる。車両は直進走行しているため、ジャックナイフアングルは180°で想定できる。運転者が後で例えば操車や駐車のために後退走行した場合、カメラの水平位置に関する情報は、左方および右方のトレーラー後方縁部に対する2つの(反転)追跡線をバックカメラ画像内にフェードインするために使用することができる。これらの追跡線は、所与の操舵角度のもとで、後退走行時のトレーラー環境内のどの領域もしくはどの物体が認識されるかを運転者に示す。RTOFを用いたバックカメラと受信機との間の間隔距離の決定の際の(わずかな)不正確さ、ならびにカメラの取り付け高さに関する不正確な想定による(わずかな)不正確さを、安全上の理由から追跡線に対して加算することができる。これにより、これらの追跡線は、例えばカメラ画像内でわずかに外側にずらすことができる。
【0072】
図7は、車両パラメータを求めるための方法をフローチャートで示している。この方法は、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間の間隔距離を求めるステップであって、ここで、第1の送受信ユニットは車両に取り付けられ、第2の送受信ユニットは車両に接続されたトレーラーに取り付けられている、ステップ(ステップ701)を含む。この方法は、第1の送受信ユニットと第2の送受信ユニットとの間の間隔距離を取り入れて、トレーラーに関連する少なくとも1つのパラメータを求めるステップをさらに含む(ステップ702)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7