(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザ
(51)【国際特許分類】
H01S 3/067 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
H01S3/067
(21)【出願番号】P 2020573286
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 CN2020114382
(87)【国際公開番号】W WO2021073325
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】201910978004.X
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520507357
【氏名又は名称】ウーハン レイカス ファイバ レーザ テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ダペン
(72)【発明者】
【氏名】ルアン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シー ジャンホン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン リドン
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-534787(JP,A)
【文献】特開2015-159208(JP,A)
【文献】特開2010-118766(JP,A)
【文献】中国実用新案第202977954(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106292385(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00- 5/50
H04L12/28
H04L12/44-12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ制御モジュールと、CANバスを介して前記マスタ制御モジュールにそれぞれ接続されているコンバイナと、複数のスレーブ制御モジュールとを備え、
前記コンバイナは前記スレーブ制御モジュールを集積するためのものであり、前記マスタ制御モジュール、前記コンバイナ及び各前記スレーブ制御モジュールはいずれも1つのCAN物理チップを含み、
各前記CAN物理チップは、前記CANバスに対して各前記CAN物理チップに対応する前記マスタ制御モジュール、前記スレーブ制御モジュール又は前記コンバイナの状態信号を伝送することに用いられ、
前記CANバスは、前記状態信号に基づいて、すべての前記スレーブ制御モジュールが前記マスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信するか否かを制御することに用いられ
、
前記CANバスは、並列接続されている第一差動線CANH及び第一差動線CANLを含み、前記CAN物理チップは、第一差動線CANH端と、第一差動線CANL端と、受信端と、送信端とを含み、前記第一差動線CANHが前記第一差動線CANH端に接続され、前記第一差動線CANLが前記第一差動線CANL端に接続され、
前記コンバイナと各前記スレーブ制御モジュールは、それぞれ1つのサブモジュールコントローラをさらに含み、前記コンバイナと前記スレーブ制御モジュールのCAN物理チップの送信端は、対応する前記サブモジュールコントローラのERR状態端に接続され、
前記コンバイナと前記スレーブ制御モジュールのCAN物理チップは、前記送信端で受信した前記ERR状態端の信号に基づいて、前記第一差動線CANH端と前記第一差動線CANL端が前記第一差動線CANHと前記第一差動線CANLに対して前記コンバイナと前記スレーブ制御モジュールの状態信号を伝送するように制御し、
レーザ光を出力する必要がない場合、前記マスタ制御モジュールの状態信号は異常信号であり、レーザ光を出力する必要がある場合、前記マスタ制御モジュールの状態信号は正常信号であることを特徴とする
マスタ制御モジュール、コンバイナ及びスレーブ制御モジュールである光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザ。
【請求項2】
アナログ電子スイッチをさらに備え、
前記アナログ電子スイッチが前記スレーブ制御モジュールのCAN物理チップの送信端に接続され、
前記スレーブ制御モジュールは、前記光出力制御信号に基づいて、前記アナログ電子スイッチが光出力電流設定電圧を出力するように制御し、前記光出力電流設定電圧がV/I定電流ドライバを経過した後に、光出力電流が出力されて励起光源を駆動してレーザを出力させることを特徴とする請求項
1に記載の
マスタ制御モジュール、コンバイナ及びスレーブ制御モジュールである光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザ。
【請求項3】
前記状態信号は、正常信号及び異常信号を含み、
それに応じて、前記CANバスは、前記状態信号に基づいて、すべての前記スレーブ制御モジュールが前記マスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信するか否かを制御することに用いられることは、具体的には
いずれかの前記状態信号が前記異常信号である場合、前記CANバスは前記スレーブ制御モジュールに前記マスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信させないことと、
全ての前記状態信号がいずれも前記正常信号である場合、前記CANバスは前記スレーブ制御モジュールに前記マスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信させることと、を含むことを特徴とする請求項
1に記載の
マスタ制御モジュール、コンバイナ及びスレーブ制御モジュールである光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザ。
【請求項4】
前記正常信号はレセッシブレベルであり、前記異常信号はドミナントレベルであり、
前記CANバスは、前記レセッシブレベル又は前記ドミナントレベルに基づいてワイヤードAND論理を行うことを特徴とする請求項
3に記載の
マスタ制御モジュール、コンバイナ及びスレーブ制御モジュールである光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザ。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本願は、2019年10月15日に提出された、出願番号が201910978004.Xであり、発明の名称が「光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザ」である中国特許出願の優先権を主張し、その全体が引用により本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は、光ファイバレーザの技術分野に関し、特に光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザに関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバレーザは、小型、軽量、高効率などの利点を有するため、近年、工業、軍事、医療、通信等の多くの分野で広く応用されている。
図2は従来のマルチモジュール光ファイバレーザの模式図であり、
図2に示すように、マルチモジュール光ファイバレーザは、一般的に複数の独立した光学モジュールと1つのコンバイナを備え、一般的に出力パワーが高いという利点を有する。各光学モジュールには、特定の光パワーを出力するための複数の定格出力パワーの励起光源が含まれている。マスタ制御モジュールシステムから光出力制御信号が発せられると、各光学モジュール内の励起光源に電流が注入され、電子遷移を励起させてレーザ光が出力される。コンバイナはそれぞれの独立した光学モジュールの独立した光パワーを集積して総光パワーを出力する。
【0004】
したがって、マルチモジュール光ファイバレーザにおいて、各光学モジュールによる光パワーの安定した出力はその確実な作動の鍵となり、異常が発生した光学モジュールをタイムリーかつ効果的にフィードバックすることは、マルチモジュール光ファイバレーザにとって重要な意味を持っている。実際の応用では、各個別の光学モジュールの作動状況の違いにより、ある光学モジュールのパワーが高すぎて、当該光学モジュールの光ファイバが溶断してしまい、さらにコンバイナが溶断してしまう可能性がある。コンバイナが溶断する場合、光パワーは、さらにコンバイナに入力された光ファイバと反対の方向に沿って他の光学モジュールに伝送され、それにより他の光学モジュールも損傷されてしまい、上記プロセスはマルチモジュール光ファイバレーザの重大な損傷を必然的に引き起こし、正常に使用できなくなる。
【0005】
図3は従来のマルチモジュール光ファイバレーザにおけるマスタ制御モジュールとスレーブ制御モジュールとの間の接続を示す模式図であり、
図3に示すように、マスタ制御モジュールと複数のスレーブ制御モジュールとの間はa、bの二本のデータ線によって接続されており、そのうち、データ線aは、マスタ制御モジュールから各スレーブ制御モジュールに発せられた光出力制御信号MODを伝送するためのものであり、データ線bは、スレーブ制御モジュールに接続されている励起光源の出力パワーを制御するためにマスタ制御モジュールの0‐10V電圧信号を伝送するためのものである。そのうち、1Vは、この時にスレーブ制御モジュールに接続されている励起光源がフルパワーの10%を出力するように制御することを表し、5Vは、この時にスレーブ制御モジュールに接続されている励起光源がフルパワーの50%を出力するように制御することを表し、10Vは、この時にスレーブ制御モジュールに接続されている励起光源がフルパワーを出力するように制御することを表す。マルチモジュールレーザの正常な作動を確保するために、マスタ制御モジュールは各スレーブ制御モジュールとコンバイナの動作状態をリアルタイムに照会する必要があり、各スレーブ制御モジュール又はコンバイナに故障が存在する場合、光出力制御信号が高レベルでアクティブになると、マスタ制御モジュールは直ちに光出力制御信号を引き下げ、それにより、スレーブ制御モジュールに接続されているレーザの光出力を停止させる。このような方式を採用したマスタ制御モジュールによるフィードバック信号の取得には遅延が存在し、いずれかのスレーブ制御モジュールが故障した場合、マスタ制御モジュールは光出力制御信号をタイムリーに遮断することができず、コンバイナの損傷を引き起して、当該マルチモジュール光ファイバレーザを損傷させてしまう可能性が高い。
【0006】
そのため、現在のマルチモジュール光ファイバレーザは、各光学モジュールの異常をリアルタイムに監視することができないため、光出力をタイムリーに制御することができず、コンバイナが損傷して、マルチモジュール光ファイバレーザが正常に使用できなくなる。
【発明の概要】
【0007】
現在のマルチモジュール光ファイバレーザは、各光学モジュールの異常をリアルタイムに監視できないため、光出力をタイムリーに制御することができず、コンバイナが損傷して、マルチモジュール光ファイバレーザが正常に使用できなくなるという課題を解決するために、本願の実施例は、マスタ制御モジュールと、CANバスを介してマスタ制御モジュールにそれぞれ接続されているコンバイナと、複数のスレーブ制御モジュールとを備え、マスタ制御モジュール、コンバイナ及び各スレーブ制御モジュールはいずれも1つのCAN物理チップを含み、各CAN物理チップは、CANバスに対して各CAN物理チップに対応するマスタ制御モジュール、スレーブ制御モジュール又はコンバイナの状態信号を伝送することに用いられ、CANバスは、状態信号に基づいて、すべてのスレーブ制御モジュールがマスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信するか否かを制御することに用いられる、光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザを提供する。
【0008】
実施例では、CANバスは、並列接続されている第一差動線CANH及び第一差動線CANLを含み、CAN物理チップは、第一差動線CANH端と、第一差動線CANL端と、受信端と、送信端とを含み、第一差動線CANHが第一差動線CANH端に接続され、第一差動線CANLが第一差動線CANL端に接続され、コンバイナと各スレーブ制御モジュールは、それぞれ1つのサブモジュールコントローラをさらに含み、コンバイナとスレーブ制御モジュールのCAN物理チップの送信端は、対応するサブモジュールコントローラのERR状態端に接続され、コンバイナとスレーブ制御モジュールのCAN物理チップは、送信端で受信したERR状態端の信号に基づいて、第一差動線CANH端と第一差動線CANL端が第一差動線CANHと第一差動線CANLに対してコンバイナとスレーブ制御モジュールの状態信号を伝送するように制御する。
【0009】
実施例では、当該マルチモジュール光ファイバレーザは、アナログ電子スイッチをさらに備え、アナログ電子スイッチがスレーブ制御モジュールのCAN物理チップの送信端に接続され、スレーブ制御モジュールは、光出力制御信号に基づいて、アナログ電子スイッチが光出力電流設定電圧を出力するように制御し、光出力電流設定電圧がV/I定電流ドライバを経過した後に、光出力電流が出力されて励起光源を駆動してレーザを出力させる。
【0010】
実施例では、状態信号は、正常信号及び異常信号を含み、それに応じて、CANバスは、状態信号に基づいて、すべてのスレーブ制御モジュールがマスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信するか否かを制御することに用いられることは、具体的には、いずれかの状態信号が異常信号である場合、CANバスはスレーブ制御モジュールにマスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信させないことと、全ての状態信号がいずれも正常信号である場合、CANバスはスレーブ制御モジュールにマスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信させることとを含む。
【0011】
実施例では、正常信号はレセッシブレベルであり、異常信号はドミナントレベルであり、CANバスは、レセッシブレベル又はドミナントレベルに基づいてワイヤードAND論理を行う。
【0012】
本願の実施例は、複数のスレーブ制御モジュール及びスレーブ制御モジュールを集積するためのコンバイナは、それぞれCANバスを介してマスタ制御モジュールに接続され、マスタ制御モジュール、スレーブ制御モジュール及びコンバイナはそれぞれ自身に含まれるCAN物理チップを利用してCANバスに対して各自の状態信号を伝送することで、CANバスはすべての状態信号に基づいてマスタ制御モジュール、スレーブ制御モジュール及びコンバイナの動作状態を取得し、且つ状態信号に基づいて、スレーブ制御モジュールがマスタ制御モジュールから送信された制御信号を受信するか否かを制御することができる、光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザを提供する。
【0013】
本願の実施例は、マスタ制御モジュールを利用して各スレーブ制御モジュール又はコンバイナが正常な動作状態にあるか否かを取得し、さらにマスタ制御モジュールが各スレーブ制御モジュールに光出力制御信号を送信するか否かを制御するという従来の方式とは異なり、通信に用いるCANバスを巧みにレーザの光出力制御信号に用い、CANバスを利用して各スレーブ制御モジュール又はコンバイナ、さらにマスタ制御モジュールが正常な動作状態にあるか否かを直接取得することで、CANバスは、全てのモジュールが正常な動作状態にあるか否かに対応する状態レベルとなる。すなわち、CANバスを利用してマスタ制御モジュールから発せられた光出力制御信号を伝送し、かつマスタ制御モジュール、スレーブ制御モジュール又はコンバイナモジュールの状態レベルもCANバスを介して伝送するため、マスター制御モジュールがすべてのスレーブ制御モジュールの動作状態をそれぞれ取得してから各スレーブ制御モジュールに制御信号を送信してスレーブ制御モジュールを制御することを待つ必要がなく、全てのスレーブ制御モジュールは、CANバスの状態レベルに応じて迅速に対応する動作状態に移行することができる。本願の実施例に係る、光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザは、構成が簡単で、応答が迅速であり、リアルタイム性が強く、従来の単線伝送とは異なり、マスタ制御モジュールがスレーブ制御モジュールにCANバスの物理的レベル差動を利用して光出力信号を伝送し、コモンモード干渉に対する耐性が強く、光漏れを回避でき、安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本願の実施例又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。勿論、以下に説明する図面は、本願のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労働を要しない前提で、更にこれらの図面に基づいてその他の図面を得ることができる。
図1は本願の実施例に係る、光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザの模式図である。
図2は従来のマルチモジュール光ファイバレーザの模式図である。
図3は従来のマルチモジュール光ファイバレーザにおけるマスタ制御モジュールとスレーブ制御モジュールとの間の接続を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願の実施例の目的、技術案および利点をより明確にするために、以下では、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例における技術案を明確、完全に説明する。勿論、説明する実施例は、すべての実施例ではなく、本願の実施例の一部に過ぎない。当業者が本願における実施例に基づいて創造的な労働をしない前提で得られたすべての他の実施例は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0016】
図1は本願の実施例に係る、光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザの模式図であり、
図1に示すように、本願の実施例は、光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザを提供し、当該マルチモジュール光ファイバレーザは、マスタ制御モジュールと、CANバスを介してマスタ制御モジュールにそれぞれ接続されているコンバイナと、複数のスレーブ制御モジュールとを備え、マスタ制御モジュール、コンバイナ及び各スレーブ制御モジュールはいずれも1つのCAN物理チップを含み、各CAN物理チップは、CANバスに対して各CAN物理チップに対応するマスタ制御モジュール、スレーブ制御モジュール又はコンバイナの状態信号を伝送することに用いられ、CANバスは、状態信号に基づいて、すべてのスレーブ制御モジュールがマスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信するか否かを制御することに用いられる。
【0017】
具体的には、複数のスレーブ制御モジュール及びスレーブ制御モジュールを集積するためのコンバイナは、それぞれCANバスを介してマスタ制御モジュールに接続され、マスタ制御モジュール、スレーブ制御モジュール及びコンバイナはそれぞれ自身に含まれるCAN物理チップを利用してCANバスに対して各自の状態信号を伝送する。すなわち、マスタ制御モジュールのCAN物理チップはCANバスを介してスレーブ制御モジュール及びコンバイナのCAN物理チップに光出力制御信号を発する。マスタ制御モジュール、スレーブ制御モジュール及びコンバイナのCAN物理チップはCANバスにそれぞれの状態信号を伝送することで、CANバスは、すべての状態信号に基づいてマスタ制御モジュール、スレーブ制御モジュール及びコンバイナの動作状態を取得することができ、状態信号に基づいて、すべてのスレーブ制御モジュールがマスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信するか否かを制御する。
【0018】
本願の実施例に係る、光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザは、マスタ制御モジュールを利用して各スレーブ制御モジュール又はコンバイナが正常な動作状態にあるか否かを取得し、さらにマスタ制御モジュールが各スレーブ制御モジュールに光出力制御信号を送信するか否かを制御するという従来の方式とは異なり、通信に用いるCANバスを巧みにレーザの光出力制御信号に用い、CANバスを利用して各スレーブ制御モジュール又はコンバイナ、さらにマスタ制御モジュールが正常な動作状態にあるか否かを直接取得することで、CANバスは、全てのモジュールが正常な動作状態にあるか否かに対応する状態レベルとなり、さらに、マスター制御モジュールがすべてのスレーブ制御モジュールの動作状態をそれぞれ取得してから各スレーブ制御モジュールに制御信号を送信してスレーブ制御モジュールを制御することを待つ必要がなく、各スレーブ制御モジュールは、CANバスの状態レベルに応じて、迅速に対応する動作状態に移行することができる。当該レーザは、構成が簡単で、応答が迅速であり、リアルタイム性が強く、従来の単線伝送とは異なり、マスタ制御モジュールがスレーブ制御モジュールにCANバスの物理的レベル差動を利用して光出力制御信号を伝送し、コモンモード干渉に対する耐性が強く、光漏れを回避でき、安全性が高い。
【0019】
上記実施例に基づいて、
図1に示すように、サブモジュールコントローラはCPLDである。CANバスは、並列に接続されている第一差動線CANH及び第一差動線CANLを含み、CAN物理チップは、第一差動線CANH端と、第一差動線CANL端と、受信端と、送信端とを含み、第一差動線CANHが第一差動線CANH端に接続され、第一差動線CANLが第一差動線CANL端に接続されている。コンバイナと各スレーブ制御モジュールは、それぞれ1つのサブモジュールコントローラをさらに含み、コンバイナとスレーブ制御モジュールのCAN物理チップの送信端は、対応するサブモジュールコントローラのERR状態端に接続されている。コンバイナとスレーブ制御モジュールのCAN物理チップは、送信端で受信したERR状態端の信号に基づいて、第一差動線CANH端と第一差動線CANL端が第一差動線CANHと第一差動線CANLに対してコンバイナとスレーブ制御モジュールの状態信号を伝送するように制御する。
【0020】
具体的には、各スレーブ制御モジュール及びコンバイナのCAN物理チップはいずれも第一差動線CANH端及び第一差動線CANL端を介して第一差動線CANH及び第一差動線CANLに当該CAN物理チップに対応するマスタ制御モジュール、スレーブ制御モジュール又はコンバイナの状態信号を送信することで、CANバスは第一差動線CANHと第一差動線CANLとの間のレベルの高低関係により、スレーブ制御モジュール又はコンバイナの作動状態を取得することができる。
【0021】
コンバイナとスレーブ制御モジュールについて、サブモジュールコントローラはコンバイナとスレーブ制御モジュールの状態と安全を監視することができ、コンバイナ又はいずれかのスレーブ制御モジュールに異常が発生した場合、サブモジュールコントローラのERR状態端はスレーブ制御モジュールのCAN物理チップの送信端に状態信号を送信させ、コンバイナとスレーブ制御モジュールのCAN物理チップは第一差動線CANH端と第一差動線CANL端を介して第一差動線CANHと第一差動線CANLに該状態信号を送信することで、CANバスは第一差動線CANHと第一差動線CANLとの間のレベルの高低関係により、コンバイナと各スレーブ制御モジュールの作動状態を取得することができる。
【0022】
上記実施例に基づいて、当該マルチモジュール光ファイバレーザはアナログ電子スイッチをさらに備え、アナログ電子スイッチがスレーブ制御モジュールのCAN物理チップの送信端に接続され、スレーブ制御モジュールは、光出力制御信号に基づいて、アナログ電子スイッチが光出力電流設定電圧を出力するように制御し、光出力電流設定電圧がV/I定電流ドライバを経過した後に、光出力電流が出力されて励起光源を駆動してレーザを出力させる。
【0023】
具体的には、スレーブ制御モジュールは、マスタ制御モジュールから当該スレーブ制御モジュールのCAN物理チップの受信端に送信された光出力制御信号MODに基づいて、アナログ電子スイッチが光出力電流を出力するように制御することで、アナログ電子スイッチに接続されている励起光源はレーザ光を出力する。
【0024】
上記実施例に基づいて、状態信号は正常信号及び異常信号を含み、それに応じて、CANバスは、状態信号に基づいて、スレーブ制御モジュールがマスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信するか否かを制御することに用いられることは、具体的には、いずれかの状態信号が異常信号である場合、CANバスはスレーブ制御モジュールにマスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信させないことと、全ての状態信号がいずれも正常信号である場合、CANバスはスレーブ制御モジュールにマスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信させることとを含む。
【0025】
具体的には、マスタ制御モジュール、スレーブ制御モジュール、コンバイナはいずれも正常状態にあると、それらからCANバスに送信される状態信号はいずれも正常信号であり、CANバスは、全てのモジュールが正常な動作状態にあることに対応する動作レベルとなり、スレーブ制御モジュールは、CANバスの当該動作レベルに基づいて、マスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信する。マスタ制御モジュール、スレーブ制御モジュール、コンバイナのうちのいずれか1つが異常状態にあると、当該モジュールはCANバスに異常信号を送信し、CANバスはすべてのモジュールが正常な動作状態にあるわけではないことに対応する動作レベルとなり、すなわち、いずれか1つのモジュールが異常状態に対応する動作レベルとなり、スレーブ制御モジュールはCANバスの当該動作レベルに基づいてマスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号を受信しない。
【0026】
なお、当該マルチモジュール光ファイバレーザに電源が投入された後、スレーブ制御モジュールに接続されている励起光源はレーザ光を送信する必要がない場合、マスタ制御モジュールがCANバスに送信した状態信号も異常信号であり、この時にマスタ制御モジュールはスレーブ制御モジュールに光出力制御信号を送信せず、当該レーザは光出力しない。
【0027】
上記実施例に基づいて、正常信号をレセッシブレベル、異常信号をドミナントレベルとすることができ、CANバスはレセッシブレベル又はドミナントレベルに基づいてワイヤードAND論理を行う。
【0028】
本願の実施例におけるワイヤードAND論理は、CANバスがそれぞれ二つのCAN通信ノードに接続され、同一時間に一方のCAN通信ノードがレセッシブレベルを出力し、他方がドミナントレベルを出力することを指し、ワイヤードAND論理によってCANバス自体がドミナントレベル状態となり、ドミナントが優先的な意味を有すると考えられる。したがって、CANバスが受信したのがすべてレセッシブレベルであると、CANバスもレセッシブレベル状態にある。CANバスが1つのドミナントレベルを受信すると、CANバスはドミナントレベル状態にある。
【0029】
以下では、当該光学モジュール異常のリアルタイム監視機能を有するマルチモジュール光ファイバレーザの具体的な実施例を示し、当該マルチモジュール光ファイバレーザの具体的な応用論理を詳細に説明する。そのうち、アナログ電子スイッチの型番は4051アナログ電子スイッチであり、CAN物理チップの受信端はRX端であり、送信端はTX端であり、かつ、正常信号であるレセッシブレベルをハイレベルとし、異常信号であるドミナントレベルをローレベルとする。
【0030】
図1に示すように、マスタ制御モジュールとスレーブ制御モジュールとの間はCANバスを介して光出力制御を行う。
【0031】
マスタ制御モジュールから送信された光出力制御信号MODはそのCAN物理チップのTX端に接続され、スレーブ制御モジュールのCAN物理チップのRX端は4051アナログ電子スイッチの選択端に接続され、スレーブ制御モジュールのCAN物理チップのTX端にはサブモジュールコントローラのERR状態端が接続されている。
【0032】
レーザに電源が投入されると、CANバスにおけるすべてのデバイスは正常状態にあり、各スレーブ制御モジュールはいずれもCAN物理チップのTX端をハイレベルにし、マスタ制御モジュールのTX端(光出力制御信号MOD)はローレベルにあり、CANバスはドミナント電圧状態にあり、レーザは光出力しない。
【0033】
レーザが光出力する必要がある場合、マスタ制御モジュールのTX端(光出力制御信号MOD)はハイレベルであり、この時にCANバスはレセッシブレベルにあり、各スレーブ制御モジュールのCAN物理チップのRX端はハイレベルを出力し、4051アナログ電子スイッチは光出力電流に切り替わり、レーザはレーザ光を出力する。仮に、この時にそのうちの1つのスレーブ制御モジュール(またはコンバイナモジュール)はモジュール異常が検出されると、当該スレーブ制御モジュールは、直ちにCAN物理チップのTX端(ERR状態端)信号をローレベルにし、CANバスをドミナントレベルにする。CANバスにおけるすべてのスレーブ制御モジュール(コンバイナを含む)のCAN物理チップのRX端出力がローレベルにされ、4051アナログ電子スイッチは閾値電流に切り替わって、レーザはレーザ光の出力をオフにし、これにより、コンバイナと他のスレーブ制御モジュールが損傷することが回避される。
【0034】
上記実施例は、本願の技術案を説明するためのものに過ぎず、本願の技術案を限定するためのものではない。前述の実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者であれば、前述の各実施例に記載された技術案を修正し、又はその一部の技術的特徴を等価的に置き換えることができ、これらの修正又は置き換えが、対応する技術案の本質を本願の各実施例の技術案の趣旨および範囲から逸脱させるものではないと理解される。