IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-放射合成ガス冷却器 図1
  • 特許-放射合成ガス冷却器 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】放射合成ガス冷却器
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/16 20060101AFI20220801BHJP
   F28D 7/10 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
F28D7/16 A
F28D7/10 Z
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021021831
(22)【出願日】2021-02-15
(62)【分割の表示】P 2016082605の分割
【原出願日】2016-04-18
(65)【公開番号】P2021096062
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】14/693,513
(32)【優先日】2015-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】レイジュシュワ・スリパーダ
(72)【発明者】
【氏名】アスガー・アリ・ファルークイ
(72)【発明者】
【氏名】パラブ・カルマカル
(72)【発明者】
【氏名】アタル・クマール・ビジュ
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0119577(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0111009(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/10,7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成ガスを冷却するための内部領域(24)を画定している容器シェル(22)と、
複数のチューブを含むチューブケージ(26)であって、前記複数のチューブの各々は、第1の端部(34)と第2の端部(36)とを有し、前記容器シェル(22)の前記内部領域(24)内に配置される合成ガスと熱交換を行うように構成されているチューブケージ(26)と、
前記チューブケージ(26)から径方向内側に位置して前記容器シェル(22)の前記内部領域(24)内に配置される合成ガスと熱交換を行う複数のプラテンチューブ(38)と、
前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブの前記第2の端部(36)を前記複数のプラテンチューブ(38)の入口と流体連結しているパイプ(40)と、
蒸気利用構造(18)と、
前記複数のプラテンチューブ(38)の出口を蒸気利用構造(18)と流体連結して生成された蒸気を前記蒸気利用構造(18)に送る出口パイプ(52)と、
前記蒸気利用構造(18)を前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブの前記第1の端部(34)に流体連結し、前記蒸気利用構造(18)からの水を前記チューブケージ(26)に送る入口パイプ(54)と
を含む放射合成ガス冷却器(16)、
但し、前記チューブケージ(26)の一部のみが前記入口パイプ(54)に流体連結されて、蒸気利用構造(18)からの水を前記チューブケージ(26)へと送り、水が前記チューブケージ(26)の前記一部を流下する、放射合成ガス冷却器(16)を除く。
【請求項2】
蒸気生成のために前記放射合成ガス冷却器(16)に供給されるすべての前記水が、前記入口パイプ(54)を介して前記チューブケージ(26)に送られる、請求項1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
【請求項3】
前記容器シェル(22)が、入口端部と出口端部とを含み、前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブの第1の末端(34)が、前記容器シェル(22)の前記入口端部に近接して位置し、前記第2の端部(36)が、前記容器シェル(22)の前記出口端部に近接して位置している、請求項1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
【請求項4】
前記複数のチューブの前記第2の端部(36)に連結されたチューブケージ排気マニホールド(44)と、
前記複数のプラテンチューブ(38)の入口端部(42)に連結されたプラテンチューブ入口マニホールド(46)とをさらに含み、
前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブの前記第2の端部(36)を前記複数のプラテンチューブ(38)の前記入口端部(42)と流体連結している前記パイプ(40)は、前記チューブケージ排気マニホールド(44)および前記プラテンチューブ入口マニホールド(46)に直接連結されている、請求項1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
【請求項5】
前記プラテンチューブ(38)の前記入口端部(42)が、プラテンチューブ入口マニホールド(46)上で互いに分離して配置されている、請求項4記載の放射合成ガス冷却器(16)。
【請求項6】
前記複数のプラテンチューブ(38)の出口端部(48)に連結されたプラテンチューブ排気マニホールド(50)をさらに備える、請求項1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
【請求項7】
前記チューブケージ(26)に送られた前記水が、前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブ内で飽和温度に加熱される、請求項1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
【請求項8】
前記蒸気利用構造(18)が、蒸気ドラムである請求項1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
【請求項9】
前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブに供給された前記水が、前記複数のチューブの全長に沿って送られる、請求項1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
【請求項10】
前記放射合成ガス冷却器(16)が、統合型ガス化複合サイクルシステム内に配置されている、請求項1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
【請求項11】
前記放射合成ガス冷却器(16)が、化学的アプリケーションに配置されている、請求項1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射合成ガス冷却器に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で開示される主題は、ガス化システムに関し、より具体的には、合成ガスを冷却して蒸気を生成する放射合成ガス冷却器に関する。
【0003】
ガス化プロセスは、合成ガスとも呼ばれる「発生炉ガス」を生成するためにガス化反応炉の内側で供給原料(たとえば、石炭、ガス、オイル、バイオマスなど)の部分的燃焼を伴う。このガスは、その後様々なアプリケーションに使用することができる。合成ガスをアプリケーションに使用する前に、ガスは、合成ガス冷却器で冷却されるのが一般的である。合成ガス冷却器のタイプの1つは、高温合成ガスと合成ガス冷却器の内部領域において合成ガスに曝されるチューブを通って流れる冷却流体との間で放射伝熱を利用する放射
合成ガス冷却器である。
【0004】
合成ガス冷却器は、複数のプラテンチューブとチューブケージとを含むことができる。チューブケージは、合成ガス流からの熱を各プラテンチューブおよびチューブケージ内を流れる冷却流体に伝達することを促進する熱交換表面領域を画定する。このような合成ガス冷却器内の複数のプラテンはチューブケージにより実質的に区切られており、これは容器シェルによってさらに囲まれている。既知のチューブケージは、合成ガスをチューブケージ内に保持するために気密に設計されており、それにより合成ガスが冷却器の容器シェルではなくチューブケージに接触する。
【0005】
少なくとも一部の合成ガス冷却器は、チューブケージおよび容器シェルによって画定された空間(環状間隙と呼ばれることもある)内にほぼ軸方向に延びる複数のダウンカマーを含む。その結果として、このような冷却器の容器シェルの直径は、プラテンチューブおよびチューブケージを含め、伝熱面に加え複数のダウンカマーを収容する大きさとされる。容器シェルの直径は、合成ガス冷却器のコストおよびチューブ壁の熱交換表面領域に比例する。また、ダウンカマーは冷却流体をプラテンチューブに送るのに使用されるが、前述したようにダウンカマーは合成ガス冷却器の熱伝達交換領域内に位置していない。したがって、その中の冷却流体は、プラテンチューブおよびチューブケージのチューブに到達するまで加熱されない。合成ガス冷却器を用いたシステム全体の動作の周期は通常、有益なアプリケーションのために合成ガス冷却器で生成された蒸気を利用することを含む。冷却流体がプラテンチューブおよびチューブケージのチューブに到達するまで冷却流体の加熱を遅延することにより、蒸気は熱伝達プロセス中に低効率で生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8376034号明細書
【発明の概要】
【0007】
一実施形態によれば、放射合成ガス冷却器が提供され、放射合成ガス冷却器は、合成ガスを冷却するための内部領域を画定している容器シェルを含む。放射合成ガス冷却器はまた、複数のチューブを含むチューブケージを含み、複数のチューブの各々は、第1の端部と第2の端部とを有し、容器シェルの内部領域内に配置される合成ガスと熱交換を行うように構成されている。放射合成ガス冷却器はさらに、チューブケージから径方向内側に位置し、容器シェルの内部領域内に配置される合成ガスと熱交換を行う複数のプラテンチューブを含む。また、放射合成ガス冷却器はさらに、チューブケージの複数のチューブの第2の端部を複数のプラテンチューブの入口と流体連結しているパイプを含む。放射合成ガス冷却器はまた、複数のプラテンチューブの出口を蒸気利用構造と流体連結して生成された蒸気を蒸気利用構造に送る出口パイプを含む。放射合成ガス冷却器はさらに、蒸気利用構造をチューブケージの複数のチューブの第1の端部に流体連結し、蒸気利用構造からの水をチューブケージに送る入口パイプを含む。
【0008】
別の実施形態によれば、統合型ガス化複合サイクル(IGCC)発電システムが提供される。IGCCシステムは、燃焼のために合成ガスを利用するように構成されたガスタービンエンジンを含む。IGCCシステムはまた、合成ガスを生成するように構成されたガス化装置を含む。IGCCシステムはさらに、蒸気を蒸気タービンエンジンに送るように構成された蒸気ドラムを含む。また、IGCCシステムはさらに、ガス化装置に流体連結されて内部を冷却するための合成ガスを受け取る放射合成ガス冷却器を含む。放射合成ガス冷却器は、内部領域を画定している容器シェルを含む。放射合成ガス冷却器はまた、複数のチューブを含むチューブケージを含み、複数のチューブの各々は、蒸気ドラムに流体連結されて複数のチューブの各々の第1の端部で水を受け取る。放射合成ガス冷却器はさらに、チューブケージから径方向内側に位置し、複数のチューブの各々の第2の端部に流体連結されてチューブケージから加熱水を受け取る複数のプラテンチューブを含み、複数のチューブは、加熱水の一部を蒸気と水の混合物に転換するために容器シェルの内部領域内に配置される合成ガスと熱交換を行うように構成されている。また、放射合成ガス冷却器はさらに、複数のプラテンチューブの出口を蒸気ドラムと流体連結して生成された蒸気を蒸気ドラムに送る出口パイプを含む。
【0009】
上記およびその他の利点ならびに特徴は、図面と併せて以下の説明からより明らかになるであろう。
【0010】
本明細書に記載の主題は、本明細書の結論で具体的に指摘され、特許請求の範囲の中で明確に主張される。本実施形態の前述および他の特徴ならびに利点は、添付図面と併せて以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】合成ガスアプリケーションおよび蒸気アプリケーションと組み合わせて使用されるガス化システムの概略図である。
図2】放射合成ガス冷却器の一部を示す斜視図である。
【0012】
詳細な説明は、図面を参照しながら実施例によって、その利点および特徴と共に実施形態を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、ガス化システム10が部分的に示されている。ガス化システムは、本明細書において「合成ガス」と呼ばれるより有用なガス状形態の燃料(すなわち、高エネルギー回復レベルで経済的に利用することができる燃料形態)に供給原料を熱転換するように構成されている。ガス化システム10はガス化装置12を含み、ガス化装置12内において供給原料の熱転換が行われる。ガス化システムは、多数の企図されるシステムと組み合わせて使用することができるが、1つの例示的な実施形態では、ガス化システムは、統合型ガス化複合サイクル(IGCC)発電システムの一部として使用される。このようなシステムでは、ガス化装置12内で生成された合成ガスは、ガスタービンエンジンの燃焼運転用の燃料として使用することができる。合成ガスが用いられているアプリケーションが概略的に示されており、符号14が付されている。代替のシステムが、本明細書で開示される本実施形態から利益を得ることができることを理解されたい。たとえば、化学的アプリケーションを用いることができる。
【0014】
示されているように、かつ本明細書の説明から理解されるように、ガス化装置12により生成された合成ガスは、合成ガスの冷却を促進する合成ガス冷却器16に送られる。合成ガス冷却器は、放射合成ガス冷却器である。合成ガスの冷却プロセス中に生成された蒸気は、蒸気アプリケーション18に分配される。IGCC発電システムの例では、蒸気アプリケーション18は、追加の発電用に蒸気を保存して蒸気タービンエンジンに送る蒸気ドラムである。ポンプが、給水を蒸気アプリケーション18から合成ガス冷却器16に供給して合成ガスの冷却を促進するために含まれている。給水は合成ガス冷却器16を通って流れ、ここにおいて、給水は以下により詳細に説明するように蒸気に転換される。蒸気は次に、上述のようにガス化装置12、合成ガス冷却器16、および/または蒸気タービンのような追加の構成要素内での使用のために蒸気アプリケーション18に戻される。
【0015】
ここで図2を参照すると、合成ガス冷却器16の一部が模式的に示されている。図示された実施形態では、合成ガス冷却器16は、放射合成ガス冷却器である。合成ガス冷却器16は、合成ガス冷却器16内の内部領域24を画定する容器シェル22を含む。合成ガス冷却器16は、中心軸線(図示せず)から容器シェル22の内側面に延びる容器径を有する。容器シェル22の厚さおよび体積は、容器シェル22の容器径に比例する。そのような増加は、合成ガス冷却器16のコストを増大させる。
【0016】
合成ガス冷却器16は、内部領域24内に配置され合成ガス冷却器16内でほぼ軸方向に延びる、チューブケージ26と呼ばれる環状膜壁を含む。チューブケージ26は、各々が合成ガス冷却器16の一部を通って軸方向に延びている複数のチューブで形成されている。チューブケージ26は、径方向外側面28と、径方向内側面30とを含む。径方向内側面30は、合成ガスの冷却を促進する熱交換表面領域を画定する。間隙32は、チューブケージ26の外側面28と容器シェル22の内側面との間で画定され、環状部と呼ばれ得る。間隙32は加圧され、合成ガスの環状間隙32への流入の防止を促進する。間隙32は通常、多数のダウンカマーなどいくつかの流体を送る構成要素を収容する大きさとされるが、本明細書の説明から理解されるように、この間隙32内のダウンカマーの必要性を排除することにより、間隙の大きさは大幅に減少し、それにより容器シェル22の直径を縮小できるという利点がある。
【0017】
チューブケージ26のチューブは各々、本明細書において第1の端部34とも呼ばれる上流端部と、本明細書において第2の端部36とも呼ばれる下流端部とを含む。第1の端部34は、第2の端部36の容器シェル22の入口端部への近接と比較すると、容器シェル22の入口端部により近接して位置している。第2の端部36は、容器シェル22の出口端部に近接して位置している。チューブケージ26は、内部で第1の端部34から第2の端部36に冷却流体を送るように構成されている。一実施形態では、IGCC発電システムの一部として使用される実施形態のような冷却流体は、水である。上述のように、水は合成ガス冷却器16内に存在する高温合成ガスと熱交換を行う。熱交換は、合成ガスを冷却して水を加熱する。水は、水がチューブケージ26で沸騰しない流量でポンプ送出される。一実施形態では、水がチューブケージ26の第2の端部36に到達するまでに水の
顕熱を飽和温度に与える速度で、水はポンプ送出される。
【0018】
チューブケージの第2の端部36に到達すると、水は、チューブケージ26に流体連結されている複数のプラテンチューブ38に送られる。流体連結は、チューブケージ26の第2の端部36に近接する位置と複数のプラテンチューブ38の入口端部42との間で延びるパイプ40からなっている。パイプ40の端部の一方または両方は、流れの送達を促進するマニホールドまたはヘッダに直接連結することができる。たとえば、チューブケージ26は、チューブケージの第2の端部36に近接した位置に連結されたチューブケージ排気マニホールド44(またはヘッダ)を含む。同様に、プラテンチューブ入口マニホールド46が、複数のプラテンチューブ38の入口端部42に連結されている。チューブケージ26からの水を排出する正確な位置は、チューブケージ26の第2の端部36とすることができ、それにより水がその全長に沿って送られる。あるいは、排出は第2の端部36のすぐ上流で行われてもよい。水を排出する位置は、プラテンチューブ内で流れが均一となるように選択され得る。
【0019】
複数のプラテンチューブ38は、容器シェル22の内部領域24内のチューブケージ26から径方向内側に位置しており、複数のプラテンチューブ38の外側全体が、容器シェル22の内部領域24内に存在する加熱合成ガスに曝されるようになっている。これにより、合成ガスと複数のプラテンチューブ38内で入口端部42から出口端部48に流れる水との間の熱伝達を促進する伝熱面がもたらされる。熱交換中、水の一部は、複数のプラテンチューブ38を出る前に蒸気に転換される。蒸気の質および量は、システムの最終的な要件および/または機械的リスクの制限によって決定される。複数のプラテンチューブ38からの蒸気と水の混合物の送達は、チューブの出口端部48に連結されたプラテンチューブ排気マニホールド50によって促進することができる。
【0020】
複数のプラテンチューブ38内で生成された蒸気は次に、複数のプラテンチューブ38を蒸気利用構造18(たとえば、蒸気ドラム)と流体連結している出口パイプ52を介して水と共に送られる。蒸気利用構造18に送られた蒸気は分離され、その後上述のように蒸気タービンエンジンなどの蒸気から利益を得ることができる任意の企図されるアプリケーションのために内部で使用される。蒸気ドラムに追加される追加の水と共に残っている水は、ループシステムで合成ガス冷却器16に戻される。具体的には、水は、蒸気利用構造18をチューブケージ26に流体連結している入口パイプ54に沿って蒸気利用構造18から送られる。より具体的には、水は、上で詳述したようにチューブケージ26および複数のプラテンチューブ38内の加熱のために、チューブケージ26の第1の端部34に送られる。
【0021】
チューブケージ26から径方向外側の位置で水を蒸気利用アプリケーションから間隙32内に位置する多数のダウンカマーに送る合成ガス冷却器16とは対照的に、内部の加熱(すなわち、蒸気生成)のために合成ガス冷却器16に送られたすべての水は、チューブケージ26の第1の端部34に送られる。いくつかの利点が、本明細書に記載の本実施形態に起因する。水をチューブケージ26に導入することにより、チューブケージ26と容器シェル22との間に必要な間隙32が縮小し、それにより合成ガス冷却器16の全体的なコストを低減することができる。小型化に加えて、ダウンカマーの必要性を排除することにより、これらの構成要素の製造および/またはそれらの寿命期間にわたる維持に関連する費用が低減される。さらに、チューブケージ26を介して水を送ることにより、水は、複数のプラテンチューブ38に送られる前に水を有効に加熱するチューブケージ26によって設けられた伝熱面に曝される。この予熱は、全体的な蒸気生成効率を増大させ、チューブケージ26および/または複数のプラテンチューブ38、ならびに場合によっては合成ガス冷却器16全体の長さを縮小する機会をもたらす。より効率的なシステムはまた、必要な水の流量を減少させることができ、したがって、たとえば蒸気利用構造(たとえば、蒸気ドラム)の大きさやマニホールドおよび/またはヘッダの大きさを含むいくつかのシステム構成要素に関連する大きさの要件を減少させることができる。
【0022】
本実施形態を限られた数の実施形態に関してのみ詳細に説明してきたが、本実施形態はこのような開示された実施形態に限定されないことが容易に理解されるはずである。むしろ、これまで説明してはいないが本実施形態の趣旨および範囲に見合う任意の数の変形、代替、置換または同等の構成を取り入れるように、本実施形態を変更することができる。さらに、種々の実施形態について説明してきたが、態様には説明した実施形態の一部のみが含まれる場合があることを理解されたい。したがって本実施形態は、前述の説明によって限定されると考えるべきではなく、添付の特許請求の範囲の範囲のみによって限定される。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
[実施態様1]
合成ガスを冷却するための内部領域(24)を画定している容器シェル(22)と、
複数のチューブを含むチューブケージ(26)であって、前記複数のチューブの各々は、第1の端部(34)と第2の端部(36)とを有し、前記容器シェル(22)の前記内部領域(24)内に配置される合成ガスと熱交換を行うように構成されているチューブケージ(26)と、
前記チューブケージ(26)から径方向内側に位置して前記容器シェル(22)の前記内部領域(24)内に配置される合成ガスと熱交換を行う複数のプラテンチューブ(38)と、
前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブの前記第2の端部(36)を前記複数のプラテンチューブ(38)の入口と流体連結しているパイプ(40)と、
蒸気利用構造(18)と、
前記複数のプラテンチューブ(38)の出口を蒸気利用構造(18)と流体連結して生成された蒸気を前記蒸気利用構造(18)に送る出口パイプ(52)と、
前記蒸気利用構造(18)を前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブの前記第1の端部(34)に流体連結し、前記蒸気利用構造(18)からの水を前記チューブケージ(26)に送る入口パイプ(54)と
を含む放射合成ガス冷却器(16)。
[実施態様2]
蒸気生成のために前記放射合成ガス冷却器(16)に供給されるすべての前記水が、前記入口パイプ(54)を介して前記チューブケージ(26)に送られる、実施態様1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
[実施態様3]
前記容器シェル(22)が、入口端部(42)と出口端部(48)とを含み、前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブの前記第1の端部(34)が、前記容器シェル(22)の前記入口端部(42)に近接して位置し、前記第2の端部(36)が、前記容器シェル(22)の前記出口端部(48)に近接して位置している、実施態様1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
[実施態様4]
前記複数のチューブの前記第2の端部(36)に連結されたチューブケージ排気マニホールド(44)と、
前記複数のプラテンチューブ(38)の入口端部(42)に連結されたプラテンチューブ入口マニホールド(46)とをさらに含み、
前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブの前記第2の端部(36)を前記複数のプラテンチューブ(38)の前記入口端部(42)と流体連結している前記パイプ(40)は、前記チューブケージ排気マニホールド(44)および前記プラテンチューブ入口マニホールド(46)に直接連結されている、実施態様1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
[実施態様5]
前記複数のプラテンチューブ(38)の出口端部(48)に連結されたプラテンチューブ排気マニホールド(50)をさらに備える、実施態様1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
[実施態様6]
前記チューブケージ(26)に送られた前記水が、前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブ内で飽和温度に加熱される、実施態様1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
[実施態様7]
前記蒸気利用構造(18)が、蒸気ドラムである実施態様1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
[実施態様8]
前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブに供給された前記水が、前記複数のチューブの全長に沿って送られる、実施態様1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
[実施態様9]
前記放射合成ガス冷却器(16)が、統合型ガス化複合サイクルシステム内に配置されている、実施態様1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
[実施態様10]
前記放射合成ガス冷却器(16)が、化学的アプリケーションに配置されている、実施態様1に記載の放射合成ガス冷却器(16)。
[実施態様11]
燃焼のために合成ガスを利用するように構成されたガスタービンエンジンと、
前記合成ガスを生成するように構成されたガス化装置(12)と、
蒸気を蒸気タービンエンジンに送るように構成された蒸気ドラムと、
前記ガス化装置(12)に流体連結されて内部を冷却するための前記合成ガスを受け取る放射合成ガス冷却器(16)であって、
内部領域(24)を画定している容器シェル(22)と、
各々が前記蒸気ドラムに流体連結されて前記複数のチューブの各々の第1の端部(34)で水を受け取る複数のチューブを含むチューブケージ(26)と、
前記チューブケージ(26)から径方向内側に位置し、前記複数のチューブの各々の第2の端部(36)に流体連結されて前記チューブケージ(26)から加熱水を受け取る複数のプラテンチューブ(38)であって、前記複数のチューブは、前記加熱水の一部を蒸気に転換して蒸気と水の混合物を生成するために前記容器シェル(22)の前記内部領域(24)内に配置される前記合成ガスと熱交換を行うように構成されている複数のプラテンチューブ(38)と、
前記複数のプラテンチューブ(38)の出口を前記蒸気ドラムと流体連結して前記蒸気と水の混合物を前記蒸気ドラムに送る出口パイプ(52)とを含む放射合成ガス冷却器(16)と、
を含む統合型ガス化複合サイクル(IGCC)発電システム。
[実施態様12]
蒸気生成のために前記放射合成ガス冷却器(16)に供給されるすべての前記水が、入口パイプ(54)を介して前記チューブケージ(26)に送られる、実施態様11に記載のIGCC発電システム。
[実施態様13]
前記容器シェル(22)が、入口端部(42)と出口端部(48)とを含み、前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブの前記第1の端部(34)が、前記容器シェル(22)の前記入口端部(42)に近接して位置し、前記第2の端部(36)が、前記容器シェル(22)の前記出口端部(48)に近接して位置している、実施態様11に記載のIGCC発電システム。
[実施態様14]
前記複数のチューブの前記第2の端部(36)に連結されたチューブケージ排気マニホールド(44)と、
前記複数のプラテンチューブ(38)の入口端部(42)に連結されたプラテンチューブ入口マニホールド(46)とをさらに含み、
パイプ(40)が前記チューブケージ排気マニホールド(44)および前記プラテンチューブ入口マニホールド(46)に直接連結され、前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブの前記第2の端部(36)を前記複数のプラテンチューブ(38)の前記入口端部(42)と流体連結する、実施態様11に記載のIGCC発電システム。
[実施態様15]
前記複数のプラテンチューブ(38)の出口端部(48)に連結されたプラテンチューブ排気マニホールド(50)をさらに備える、実施態様11に記載のIGCC発電システム。
[実施態様16]
前記チューブケージ(26)に送られた前記水が、前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブ内で飽和温度に加熱される、実施態様11に記載のIGCC発電システム。
[実施態様17]
前記チューブケージ(26)の前記複数のチューブに供給された前記水が、前記複数のチューブの全長に沿って送られる、実施態様11に記載のIGCC発電システム。
図1
図2