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特許7114779調整可能な帯域外干渉緩和システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】調整可能な帯域外干渉緩和システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/525 20150101AFI20220801BHJP
   H04B 1/10 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
H04B1/525
H04B1/10 N
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021085853
(22)【出願日】2021-05-21
(62)【分割の表示】P 2019552969の分割
【原出願日】2018-03-27
(65)【公開番号】P2021132401
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】62/477,341
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/571,595
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/490,932
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518210487
【氏名又は名称】クム ネットワークス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Kumu Networks,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】チェイ,ジョン イル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン,マヤンク
(72)【発明者】
【氏名】ハーン,ウィルヘルム ステッフェン
(72)【発明者】
【氏名】リドル,アルフレッド
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0041095(US,A1)
【文献】特表2010-507337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0341125(US,A1)
【文献】特開2002-171137(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0376419(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0025430(KR,A)
【文献】特表2016-504855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/525
H04B 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉を緩和するためのシステムにおいて、当該システムが第1の信号および第2の信号に関連しており、当該システムが:
受信帯域の外側にある信号を抑制するように構成された受信バンドパスフィルタと;
送信帯域の外側にある信号を抑制するように構成された送信バンドパスフィルタと;
前記受信バンドパスフィルタと送信バンドパスフィルタの間に通信可能に接続された送信帯域干渉キャンセルシステム(TxICS)と;
前記受信バンドパスフィルタと送信バンドパスフィルタの間に前記TxICSと並行に接続された受信帯域干渉キャンセルシステム(RxICS)と;
通信システムのアンテナに通信可能に接続されたデュプレクサと;
前記デュプレクサと、前記受信バンドパスフィルタと、前記通信システムの送信機との間に通信可能に接続された第1の信号カプラであって、
前記デュプレクサが、前記第1の信号カプラと前記アンテナとの間に通信可能に接続されており、
前記受信バンドパスフィルタが、前記第1の信号カプラと前記TxICSとの間に通信可能に接続されており、
前記受信バンドパスフィルタが、前記第1の信号カプラと前記RxICSとの間に通信可能に接続されている、第1の信号カプラと;
前記デュプレクサと、前記送信バンドパスフィルタと、前記通信システムの受信機との間に通信可能に接続された第2の信号カプラであって、
前記デュプレクサが、前記第2の信号カプラと前記アンテナとの間に通信可能に接続されており、
前記送信バンドパスフィルタが、前記第2の信号カプラと前記TxICSとの間に通信可能に接続されており、
前記送信バンドパスフィルタが、前記第2の信号カプラと前記RxICSとの間に通信可能に接続されている、第2の信号カプラと;を具えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記TxICSが、
前記第1の信号をサンプリングすることにより、TxICS信号サンプルを生成し、
前記TxICS信号サンプルを、前記第2の信号内の自己干渉の存在のTxICS表示に変換することにより、TxICS干渉キャンセル信号を生成し、
前記第2の信号から前記TxICS干渉キャンセル信号を減算する、ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記第1の信号が前記送信機の送信信号であり、
前記第2の信号が前記受信機の受信信号である、ことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムにおいて、前記受信信号内の自己干渉の存在のTxICS表示が、受信機によって受信された前記送信帯域内にある前記送信信号の表示を含んでいることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項3または4に記載のシステムにおいて、前記TxICSが、
送信機により生成された前記送信帯域内にある送信信号の表示をモデル化することにより、第2の干渉キャンセル信号を生成し、
信号サンプルから前記第2の干渉キャンセル信号を減算するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記第2の信号カプラが整合回路を具えることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記整合回路が、前記受信機と、前記TxICSおよびRxICSの少なくとも一方との間のインピーダンス整合を実行するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項6または7に記載のシステムにおいて、前記整合回路が、前記受信機と、前記TxICSおよびRxICSの少なくとも一方との間の遅延整合を実行するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
干渉を緩和するためのシステムにおいて:
通信システムのアナログ送信信号に通信可能に接続された送信カプラであって、前記通信システムが、前記アナログ送信信号を送信パスおよび干渉キャンセルパスに接続し、前記通信システムが送信帯域および受信帯域に関連している送信カプラと;
前記通信システムのアナログ受信信号に通信可能に接続された受信カプラであって、前記通信システムが、前記アナログ受信信号を受信パスおよび前記干渉キャンセルパスに接続する受信カプラと;
前記送信パスおよび受信パスを前記通信システムのアンテナに通信可能に接続するデュプレクサと;
前記干渉キャンセルパスに沿って前記送信カプラと受信カプラとの間に配置された干渉キャンセルモジュールであって、当該干渉キャンセルモジュールが:
前記干渉キャンセルパスに沿って前記送信カプラの近くに配置された受信帯域フィルタであって、前記干渉キャンセルパス上の信号をフィルタリングして前記受信帯域の外にある信号パワーを低減させる受信帯域フィルタと;
前記干渉キャンセルパスに沿って前記受信カプラの近くに配置された送信帯域フィルタであって、前記干渉キャンセルパス上の信号をフィルタリングして前記送信帯域の外にある信号パワーを低減させる送信帯域フィルタと;
前記受信帯域フィルタと送信帯域フィルタとの間に配置された干渉キャンセルシステムであって、当該干渉キャンセルシステムが、前記干渉キャンセルパスからの信号をサンプリングし、サンプリングされた信号に基づいて干渉キャンセル信号を生成し、当該干渉キャンセル信号を前記干渉キャンセルパスに出力する、干渉キャンセルシステムと;を含む干渉キャンセルモジュールと;
を具えることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記干渉キャンセルシステムが前記送信帯域フィルタから前記信号を受信し、前記システムが、前記干渉キャンセル信号と前記アナログ受信信号とを結合することを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記干渉キャンセルシステムが、前記サンプリングされた信号の送信帯域に基づいて前記干渉キャンセル信号を生成することを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項10に記載のシステムが、さらに、前記アナログ受信信号を前記干渉キャンセル信号に対して遅延させる時間遅延回路を具えており、前記干渉キャンセル信号の生成時に導入される遅延を補償することを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項10に記載のシステムが、さらに、前記受信帯域フィルタと送信帯域フィルタとの間に配置された第2の干渉キャンセルシステムを具え、前記第2の干渉キャンセルシステムが、前記受信帯域フィルタから第2の信号をサンプリングし、サンプリングされた第2の信号に基づいて第2の干渉キャンセル信号を生成し、前記干渉キャンセルパスに前記第2の干渉キャンセル信号を出力し、前記システムが前記第2の干渉キャンセル信号を前記アナログ送信信号と結合することを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項10に記載のシステムが、さらに、前記干渉キャンセル信号と前記アナログ受信信号との間のインピーダンス整合を実行する整合回路を具えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項10に記載のシステムが、さらに第2の干渉キャンセルシステムを具え、前記第2の干渉キャンセルシステムが、前記アナログ送信信号の送信帯域部分をサンプリングし、前記送信帯域の部分に基づいて第2の干渉キャンセル信号を生成し、前記第2の干渉キャンセル信号を前記アナログ送信信号と結合することを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムが、さらに、前記第2の干渉キャンセル信号と前記アナログ送信信号との間のインピーダンス整合を実行する整合回路を具えることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記干渉キャンセルシステムが前記受信帯域フィルタから信号を受信し、前記システムが、前記干渉キャンセル信号を前記アナログ送信信号と結合することを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムにおいて、前記干渉キャンセルシステムが、前記サンプル信号の受信帯域に基づいて、前記干渉キャンセル信号を生成することを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項17に記載のシステムが、さらに、前記干渉キャンセル信号と前記アナログ送信信号との間のインピーダンス整合を実行する整合回路を具えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項17に記載のシステムが、さらに、前記アナログ送信信号を前記干渉キャンセル信号に対して遅延させる時間遅延回路を具えており、前記干渉キャンセル信号の生成時に導入される遅延を補償することを特徴とするシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001]この出願は、2017年3月27日に出願された米国仮出願番号62/477,341、2017年4月27日に出願された米国仮出願番号62/490,932、および2017年10月12日に出願された米国仮出願番号62/571,595の利益を主張するものであり、これらはすべて、この参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
技術分野
[0002]本発明は、一般に無線通信分野に関し、より具体的には調整可能な帯域外干渉を軽減するための新規かつ有用なシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]従来の無線通信システムは半二重であり、すなわち、単一の無線通信チャネルで信号を同時に送受信することができない。この問題に対処する1つの方法は、周波数分割多重化(FDM)を使用することであり、そこでは異なる周波数チャネルで送受信が行われる。残念ながら、FDMベースの通信のパフォーマンスは、隣接チャネル間干渉(ACI)の問題による制限があり、これは、第1の周波数チャネルの伝送において、受信機が使用する別の周波数チャネルの無視できない強度が含まれる場合に発生する。ACIは、チャネル分割を増やすことで対処できるが、その場合、特定のエリアで利用できる帯域幅に制限がかかる。ACIはフィルタリングによって対処することもできるが、高いアイソレーションを実現するには、通常、高品質の固定周波数フィルタが使用される。複数の動作周波数が必要なアプリケーションでは、従来の実装では複数のこのような固定フィルタが必要であり、システムのコストとサイズが増加する。このように、無線通信分野では、調整可能な帯域外干渉緩和のための新規で有用なシステムおよび方法を作成する必要があった。本発明は、そのような新規で有用なシステムおよび方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】[0004]図1は、帯域外干渉緩和の従来技術の図である。
図2】[0005]図2は、本発明の実施形態のシステムの図である。
図3】[0006]図3は、本発明の実施形態のシステムの図である。
図4】[0007]図4は、本発明の実施形態のシステムの図である。
図5】[0008]図5は、本発明の実施形態のシステムの図である。
図6A】[0009]図6Aは、本発明の実施形態のシステムの図である。
図6B】[0010]図6Bは、本発明の実施形態のシステムの図である。
図7A】[0011]図7Aは、本発明の実施形態のシステムの図である。
図7B】[0012]図7Bは、本発明の実施形態のシステムの図である。
図8A】[0013]図8Aは、本発明の実施形態のシステムの図である。
図8B】[0014]図8Bは、本発明の実施形態のシステムの図である。
図9】[0015]図9は、本発明の実施形態のシステムのデジタル干渉キャンセラの図である。
図10】[0016]図10は、本発明の実施形態のシステムのアナログ干渉キャンセラの図である。
図11A】[0017]図11Aは、本発明の実施形態のシステムのノイズキャンセルの例示的な図である。
図11B】[0018]図11Bは、本発明の実施形態のシステムのノイズキャンセルの例示的な図である。
図12A】[0019]図12Aは、本発明の実施形態のシステムのアナログ干渉キャンセラの図である。
図12B】[0020]図12Bは、本発明の実施形態のシステムのアナログ干渉キャンセラの図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0021]本発明の実施形態の以下の説明は、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではなく、むしろ当業者が本発明を製造および使用することを可能にするためのものである。
【0006】
1.調整可能な帯域外干渉緩和システム
[0022]調整可能な帯域外干渉緩和システム1000は、送信帯域干渉キャンセルシステム(TxICS)1100、送信帯域ノイズキャンセルシステム(TxNCS)1200、受信帯域干渉キャンセルシステム(RxICS)1300、および受信帯域ノイズキャンセルシステム(RxNCS)1400のうちの1以上を含む。システム1000はさらに、信号カプラ1010、増幅器1020、周波数アップコンバータ1030、周波数ダウンコンバータ1040、アナログ-デジタル変換器(ADC)1050、デジタル-アナログコンバータ(DAC)1060、時間遅延1070、フィルタ1080、およびその他の回路要素(位相シフタ、減衰器、トランスなど)を含む、干渉キャンセルおよび/またはフィルタリングを実現する任意数の追加要素を含み得る。
【0007】
[0023]システム1000は、好ましくは、デジタルおよび/またはアナログ回路を使用して実装される。デジタル回路は、好ましくは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または任意の適切なプロセッサまたは回路を用いて実装される。アナログ回路は、アナログ集積回路(IC)を用いて実装することが望ましいが、追加または代替として、ディスクリートコンポーネント(例えば、コンデンサ、抵抗、トランジスタなど)、配線、伝送ライン、導波管、デジタルコンポーネント、混合信号コンポーネント、または他の適切なコンポーネントを用いて実装されてもよい。システム1000は、好ましくは、構成データを格納するメモリを含むが、追加的にまたは代替的に、外部に保存された構成データを使用して、または任意の適切な方法で構成することができる。
【0008】
[0024]システム1000は、隣接する通信チャネルの近くの送信機の送信に起因する通信受信機に存在する干渉(すなわち、隣接チャネル間干渉)を低減するように機能する。隣接チャネル間干渉は、所望の受信チャネル外で送信を受信する受信機と、所望の受信チャネルで送信する送信機の一方または双方から(意図的または漏洩で)生じる場合がある。
【0009】
[0025]従来、隣接チャネル間干渉は、例えば図1に示すように、調整可能または選択可能なフィルタベースのアーキテクチャを使用して軽減されてきた。送信側では、調整可能な無線周波数(RF)フィルタを使用して、受信帯域の送信信号を抑制する(送信帯域のみを通過させるバンドパスフィルタなど)。受信側では、通常、調整可能なRFフィルタを使用して、送信帯域の送信信号による干渉を抑制する(例えば、受信帯域のみを通過させるバンドパスフィルタ)。場合によっては、このフィルタを使用して、受信帯域の信号を選択的にフィルタリングすることもできる。
【0010】
[0026]この純粋なフィルタベースのアプローチは、主に受信帯域の干渉を除去する能力による制限がある。受信帯域のフィルタリングは、主に送信側で発生する。多くの場合、チャネル外信号は増幅などの非線形プロセスから生じるため、このフィルタリングは一般にRFおよび電力増幅後に生じる必要があり、したがって送信フィルタは大きな挿入損失なく帯域外の大量の信号を拒絶できる必要がある。言い換えると、これらの場合、フィルタは一般に高い品質係数(Q係数、Q)、高い挿入損失、または低い干渉拒絶能力を備える必要がある。
【0011】
[0027]同様に、受信側のRFフィルタも、帯域外の大量の信号を拒絶できる必要がある(送信側フィルタは送信帯域信号をフィルタ処理しないため)。したがって、これも高いQ、高い挿入損失、または低い干渉拒絶能力を備える必要がある。これらの制限は、送信および受信アンテナが近くにある場合(つまり、アンテナのアイソレーションが低い場合)に特に顕著であることに注意されたい。これは、RFフィルタによって拒絶されるべき出力が増加するため、またはチャネル分割が小さい場合である(したがって、フィルタのQを高くする必要がある)。
【0012】
[0028]米国特許出願第15/378,180号の帯域外干渉緩和システムといったいくつかのシステムは、干渉フィルタリングの代替として、または干渉フィルタリングに加えて干渉キャンセレーションを実行することにより、干渉緩和を改善する。そのようなシステムは、受信帯域の干渉を除去するために受信帯域干渉キャンセルシステムを使用するとともに、送信帯域の干渉を除去するために送信帯域干渉キャンセルシステムおよび送信帯域干渉フィルタリングシステムのいずれかまたは双方を使用する。
【0013】
[0029]干渉キャンセルには多くの利点があるが、いくつかの欠点もある。最も顕著なのは、MIMOシステムの場合、干渉キャンセルの複雑さはNxNに比例するということである(つまり、3x3MIMOシステムには9つのキャンセルモジュールが必要になる場合がある)。
【0014】
[0030]システム1000は、好ましくは、干渉キャンセルのすべてのコスト(例えば、MIMOスケーラビリティの問題)を被ることなく、従来のフィルタアーキテクチャに対する実質的な改善を提供し得るノイズキャンセルシステム(例えば、TxNCS1200/RxNCS1400)を含む。ただし、システム1000の一部の実装例では、ノイズキャンセルに加えて、またはノイズキャンセルの代替として干渉キャンセルを利用する(これらの実装では、高度なフィルタリング技術を使用して、従前の干渉キャンセルアーキテクチャを改善することができる)。
【0015】
[0031]システム1000は、これらの要素を含むさまざまなアーキテクチャに構成され、多くの用途への柔軟性を実現することができる。いくつかの実施形態では、システム1000は、既存のトランシーバに取り付けられるか結合することができる。追加的または代替的に、システム1000はトランシーバに統合されてもよい。システム1000のアーキテクチャの例は、図2~8Bに示されている通りである。
【0016】
[0032]図2に示すように、システム1000は、RxNCS1400を使用して送信信号の受信帯域でノイズキャンセルを実行し、TxNCS1200を使用して受信信号の送信帯域のノイズキャンセルを実行して、干渉を緩和することができる。図2に示す例では、各カプラ1010で送受信バンドパスフィルタ1080を使用することにより、簡単なカプラ1010(例えば、t接合)の使用が可能になる。
【0017】
[0033]より複雑なカプラ1010が使用される場合(例えば、短区間方向性伝送線カプラ)、図3および4に示されるように、使用されるフィルタ1080の数は減少し得る。図3に示す例では、送信側には送信帯域フィルタ1080がなく、受信側には受信帯域フィルタ1080がない(ただし、このようなフィルタリングは、デュプレクサや送信機によって実行することができる)。さらに、残りのフィルタ1080を任意で含めることができる。時間遅延1070も任意で含んでもよい(フィルタリングとRxNCS1400/RxNCS1200によって引き起こされる遅延を考慮して)。図4に示される例では、(図3と比較して)追加のフィルタ1080が使用される(潜在的に、部分的に、送信ラインの分岐と受信ラインの分岐との間の時間/位相遅延の差を減らすため)。
【0018】
[0034]カプラ1010は、追加または代替として、接続間の整合(例えば、インピーダンス整合、遅延整合など)を実行するための追加の回路を組み込んでもよい。そのような回路は、ゲイン回路、減衰回路、時間遅延回路、位相遅延回路、および/またはポート整合または他の方法で結合を強化することができる任意の回路を含み得る。
【0019】
[0035]フィルタ1080、カプラ1010、および/または整合回路の組み合わせは、デュプレクサとして機能するか、またはそれを代替する機能を有することに留意されたい。
【0020】
[0036]図2~4に示されている例は送信側と受信側でミラーリングされているが、システム1000は、例えば図5に示すように、そのようなアーキテクチャの任意の組み合わせを利用できることを理解されたい。
【0021】
[0037]図6Aおよび6Bに示されるように、システム1000は、干渉キャンセルシステムとノイズキャンセルシステムとの組み合わせを含んでもよい。例えば、図6Aに示すように、RxNCS1400は、受信機(アンテナ送信前に干渉が除去された結果)とTxICS1100(これは高品質の自己干渉キャンセル信号が得られるか、TxICS1100の操作が容易になる。)の双方でみられる受信帯域の干渉量を低減することができる。これらの2つの図は、いくつかのフィルタリングおよび結合スキームを例示しているが、システム1000は、フィルタ1080およびカプラ1010の任意の構成を利用し得ることを理解されたい。
【0022】
[0038]図7Aおよび7Bに示されるように、システム1000は、TxNCS1200とRxNCS1400のいずれも含まずに、TxICS1100およびRxICS1300キャンセレーションの組み合わせを含んでもよい。図7Aおよび7Bに示されるように、TxICS1100およびRxICS1300は、カプラ1010で、またはその後段でのフィルタリングから利益を得ることができる。このようなフィルタリングの効果には、ICSで見られる全体的な電力の削減と、対象の周波数帯域の挿入損失の削減が含まれる。これら2つの図は、いくつかのフィルタリングおよび結合スキームを例示しているが、システム1000は、フィルタ1080およびカプラ1010の任意の構成を利用し得ることを理解されたい。
【0023】
[0039]システム1000の前の例は、送信パスと受信パスを単一のアンテナにリンクするデュプレクサを示しているが、システム1000は任意の方法で1または複数のアンテナに結合することができる。例えば、図8Aに示すように、バンドパスフィルタのセットと単一アンテナへのカプラとでデュプレクサを置換することができる。図8Bに示すように、送信パスと受信パスを別々のアンテナに結合してもよい。このアーキテクチャは、MIMOに拡張することもでき、その場合、複数のアンテナを任意の方法で送信パスおよび受信パスに接続することができる。
【0024】
[0040]システム1000は、好ましくは、通信リンク(例えば、無線チャネル、同軸ケーブル)を介して送信されるアナログ受信信号を受信するように機能する受信機に結合または統合される。この受信機は、好ましくは、通信システムによる処理のためにアナログ受信信号をデジタル受信信号に変換するが、追加的または代替的に、アナログ受信信号を変換しなくてもよい(変換せずに直接通過させる)。
【0025】
[0041]受信機は、デュプレクサ結合RFアンテナによって通信リンクにカップリングされることが好ましいが、任意の適切な方法で通信リンクに追加的または代替的にカップリングされてもよい。他のカップリングの例には、1以上の専用受信アンテナを介したカップリングが含まれる。別の代替カップリングでは、受信機はサーキュレータ結合RFアンテナによって通信リンクにカップリングされてもよい。
【0026】
[0042]受信機は、好ましくはADC1050(後述される)を含み、ベースバンドアナログ信号をデジタル信号に変換する。この受信機は、追加的または代替的に、統合型の増幅器1020および/または周波数ダウンコンバータ1040(受信機がRFまたは他のアナログ信号をデジタルに変換できるようにする)を含み得る。
【0027】
[0043]システム1000は、好ましくは、通信システムの信号を通信リンクを介して第2の通信システムに送信するように機能する送信機に結合または統合される。この送信機は、デジタル送信信号をアナログ送信信号に変換することが好ましい。
【0028】
[0044]送信機は、デュプレクサ結合RFアンテナによって通信リンクにカップリングされることが好ましいが、追加的または代替的に、任意の適切な方法で通信リンクに結合されてもよい。代替カップリングのいくつかの例には、1以上の専用送信アンテナ、二重目的の送信および/または受信アンテナ、または他の適切なアンテナを介したカップリングが含まれる。他の代替カップリングでは、送信機は、直接有線カップリング(例えば、1または複数のRF同軸ケーブル、伝送線カプラなど)によって通信リンクにカップリングされてもよい。
【0029】
[0045]送信機は、好ましくはDAC1060(後述される)を含み、デジタル信号をベースバンドアナログ信号に変換する。この送信機は、追加的または代替的に、統合型増幅器1020および/または周波数アップコンバータ1030(送信機がデジタル信号をRF信号および/または中間周波数(IF)信号に変換できるようにする)を含み得る。
【0030】
[0046]送信機および受信機は、同じ通信デバイスまたは異なる通信デバイスに結合されてもよい。いくつかの変形例では、複数の送信機および/または受信機があり、これらは任意の適切な組み合わせで同じか異なる通信デバイスに結合することができる。
【0031】
[0047]信号カプラ1010は、アナログ信号を分割および/または結合できるように機能する。必ずしも図示しないが、信号カプラは、2以上のアナログ信号の各ジャンクション(例えば、分割、結合)で使用することが好ましい。あるいは、アナログ信号は任意の方法で結合、合流、または分割することができる。特に、信号カプラ1010は、送信信号のサンプルを提供するとともに、干渉キャンセル信号を他の信号(例えば、送信信号または受信信号)と組み合わせるために用いることができる。代替的に、信号カプラ1010は任意の目的に使用することができる。信号カプラ1010は、さまざまな電力量を用いて信号を結合および/または分割することができる。例えば、信号のサンプリングを目的とする信号カプラ1010は、入力ポート、出力ポート、およびサンプルポートを有し、このカプラ1010は入力ポートから出力ポートに大部分の電力をルーティングし、少量をサンプルポートへ向けることができる(例えば、出力ポートとサンプルポート間で99・9%/0.1%の電力分配、またはその他の適切な分割)。
【0032】
[0048]信号カプラ1010は、好ましくは、短区間方向性伝送線カプラであるが、追加または代替として、任意の電力ディバイダ、電力カプラ、方向性カプラ、または他の種類の信号スプリッタであってもよい。信号カプラ130は、好ましくは受動カプラであるが、追加的または代替的に、能動カプラ(例えば、電力増幅器を含む)であってもよい。例えば、信号カプラ1010は、結合伝送線カプラ、分岐線カプラ、ランゲカプラ、ウィルキンソン電力ディバイダ、ハイブリッドカプラ、ハイブリッドリングカプラ、多重出力ディバイダ、導波管方向性カプラ、導波管電力カプラ、ハイブリッドトランスカプラ、クロス接続トランスカプラ、抵抗ティー、および/または抵抗ブリッジハイブリッドカプラを含んでもよい。信号カプラ1010の出力ポートは、好ましくは90度位相シフトされるが、追加的または代替的に、同位相であるか、異なる量だけ位相シフトされてもよい。
【0033】
[0049]増幅器1020は、システム1000の信号を増幅するように機能する。増幅器は、アナログまたはデジタルの増幅器が含まれる。増幅器1020のいくつかの例には、受信信号を増幅するために通常使用される低ノイズ増幅器(LNA)と、送信前に送信信号を増幅するために通常使用される出力増幅器(PA)が含まれる。
【0034】
[0050]周波数アップコンバータ1030は、アナログ信号の搬送周波数を(通常、ベースバンドからRFであるが、任意の周波数から別のより高い周波数に)アップコンバートするように機能する。アップコンバータ1030は、好ましくは、ヘテロダイン法を用いて信号のアップコンバージョンを達成するが、追加または代替として、任意の適切なアップコンバージョン方法を利用してもよい。
【0035】
[0051]アップコンバータ1030は、局部発振器(LO)、ミキサ、およびバンドパスフィルタを含むことが好ましい。局部発振器は、周波数シフト信号をミキサに提供し、ミキサは周波数シフト信号と入力信号を組み合わせて(通常2つだが、任意の数の)周波数シフト信号を作成し、その1つは所望の出力信号であり、バンドパスフィルタは所望の出力信号以外の信号を除去する。
【0036】
[0052]局部発振器は、デジタル水晶可変周波数発振器(VFO)であることが好ましいが、追加的または代替的に、アナログVFOまたは他の適切なタイプの発振器であってもよい。局部発振器は、調整可能な発振周波数を有することが好ましいが、追加的または代替的に固定的な発振周波数を有してもよい。
【0037】
[0053]ミキサは、好ましくは能動ミキサであるが、追加的または代替的に受動ミキサであってもよい。ミキサは、個別のコンポーネント、アナログ集積回路(IC)、デジタルIC、および/または他の適切なコンポーネントを備えてもよい。ミキサは、好ましくは、2以上の電気入力信号を1以上の複合出力に結合するように機能し、ここで各出力は、少なくとも2つの入力信号の何らかの特性を有する。
【0038】
[0054](アップコンバータの)バンドパスフィルタは、調整可能な無線周波数を中心とする調整可能なバンドパスフィルタであることが好ましい。追加的または代替的に、バンドパスフィルタは、設定された無線周波数を中心とするバンドパスフィルタ、または他の適切なタイプのフィルタであってもよい。バンドパスフィルタは受動フィルタであることが好ましいが、追加的または代替的に能動フィルタであってもよい。バンドパスフィルタは、アナログ回路コンポーネントで実装されることが好ましいが、追加的または代替的にデジタル的に実装されてもよい。
【0039】
[0055]バンドパスフィルタが調整可能な実施例では、各調整可能なフィルタの中心周波数は、制御回路またはチューニング回路によって制御されることが好ましいが、追加または代替として、任意の適切なシステム(例えば、機械的に調整されたコンデンサにあるような、手動制御式を含む)によって制御されてもよい。各調整可能バンドパスフィルタは、好ましくは設定された品質係数(Q)を有するが、追加的または代替的に可変のQ係数を有してもよい。調整可能なバンドパスフィルタは、異なるQ係数を有してもよく、例えば、調整可能なフィルタには高Qのもの、低Qのもの、Qなし(フラット応答)のものがあり得る。
【0040】
[0056]周波数ダウンコンバータ1040は、アナログ信号の搬送周波数を(一般的にはベースバンドに、あるいは搬送周波数よりも低い任意の周波数に)ダウンコンバートするように機能する。ダウンコンバータ1040は、好ましくは、ヘテロダイン法を用いて信号のダウンコンバージョンを達成するが、追加または代替として、任意の適切なダウンコンバージョン方法を利用してもよい。
【0041】
[0057]ダウンコンバータ1040は、局部発振器(LO)、ミキサ、およびベースバンドフィルタを含むことが好ましい。局部発振器は、ミキサに周波数シフト信号を提供するように機能し、ミキサは周波数シフト信号と入力信号を組み合わせて(通常2つの)周波数シフトされた信号を生成する。そのうちの1つが所望の信号であり、ベースバンドフィルタは所望の信号以外の信号を除去する。
【0042】
[0058]局部発振器は、デジタル水晶可変周波数発振器(VFO)であることが好ましいが、追加的または代替的に、アナログVFOまたは他の適切なタイプの発振器であってもよい。局部発振器は、調整可能な発振周波数を有することが好ましいが、追加的または代替的に固定の発振周波数を有してもよい。
【0043】
[0059]ミキサは、好ましくは能動ミキサであるが、追加的または代替的に受動ミキサであってもよい。ミキサは、ディスクリートコンポーネント、アナログIC、デジタルIC、および/または他の適切なコンポーネントを備えてもよい。ミキサは、好ましくは、2以上の電気入力信号を1以上の複合出力に結合するように機能し、ここで各出力は、少なくとも2つの入力信号のいくつかの特性を有する。
【0044】
[0060]ベースバンドフィルタは、好ましくは、調整可能なローパス周波数を有するローパスフィルタである。追加的または代替的に、ベースバンドフィルタは、設定されたローパス周波数を有するローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、または他の適切なタイプのフィルタであってもよい。ベースバンドフィルタは好ましくは受動フィルタであるが、追加的または代替的に、能動フィルタであってもよい。ベースバンドフィルタは、アナログ回路コンポーネントで実装されることが好ましいが、追加的または代替的に、デジタル的に実装されてもよい。
【0045】
[0061]周波数アップコンバータ1030のバンドパスフィルタおよび周波数ダウンコンバータ1040のベースバンドフィルタは、フィルタ1080の特定の例であることに留意されたい。
【0046】
[0062]アナログ-デジタルコンバータ(ADC)1050は、アナログ信号(通常はベースバンドだが、追加または代替として任意の周波数)をデジタル信号に変換する。ADC1050は任意の適切なアナログ-デジタルであり、例えば、直接変換ADC、フラッシュADC、逐次比較ADC、ランプ比較ADC、ウィルキンソンADC、積分ADC、デルタ符号化ADC、時間インターリーブADC、またはその他の適切なタイプADCであり得る。
【0047】
[0063]デジタル/アナログコンバータ(DAC)1060は、デジタル信号をアナログ信号(通常はベースバンドだが、追加または代替として任意の周波数)に変換するように機能する。DAC1060は、任意の適切なデジタルアナログ変換器であり、例えば、パルス幅変調器、オーバーサンプリングDAC、バイナリ加重DAC、R-2RラダーDAC、サイクリックDAC、温度計コード化DAC、またはハイブリッドDACであり得る。
【0048】
[0064]時間遅延1070は、信号成分を遅延させるように機能する。遅延1070は、アナログで(例えば、時間遅延回路として)またはデジタルで(例えば、時間遅延機能として)実装され得る。遅延1070は固定でもよいが、追加的または代替的に、可変遅延を導入してもよい。遅延1070は、好ましくは、アナログの遅延回路(例えば、バケットブリゲード装置、長い伝送線、一連のRCネットワーク)として実装されるが、追加的または代替的に、他の適切な方法で実装されてもよい。遅延1070が可変遅延である場合、導入される遅延は、システム1000のチューニング回路または他のコントローラによって設定され得る。必ずしも図に明示しないが、さまざまな方法で遅延1070をシステム1000に結合して、ある信号を別の信号に対して遅延させることができる。例えば、遅延1070を使用して、干渉キャンセル信号の生成にかかる時間を考慮して受信信号または送信信号を遅延させることができる(これにより、2つの信号を同じ相対タイミングで組み合わせることができる)。遅延1070は、システム1000の任意の2つのコンポーネントの一部として、またはその間に実装することができる。
【0049】
[0065]フィルタ1080は、信号内の不要な周波数成分の存在を除去または低減するように機能する。各フィルタ1080は、フィルタの応答に応じて信号成分を変換するように機能し、信号の大きさ、信号の位相、および/または信号の遅延に変化をもたらす。フィルタ1080の2つの特定の前述の実施例が、アップコンバータ1030およびダウンコンバータ1040に関する部分で説明されている。
【0050】
[0066]フィルタ1080は、好ましくはバンドパスフィルタであるが、任意のタイプのフィルタ(例えば、ノッチフィルタ、バンドストップフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ)であってもよい。フィルタ1080は、アナログ共振素子フィルタであることが好ましいが、追加的にまたは代替的に、任意のタイプのフィルタ(デジタルフィルタを含む)であってもよい。フィルタ1080の共振素子は集中素子で形成されることが好ましいが、追加または代替として、分布素子共振器、セラミック共振器、SAW共振器、水晶共振器、空洞共振器、または任意の適切な共振器であってもよい。
【0051】
[0067]フィルタ1080は、好ましくは、フィルタ1080の1以上のピークをシフトできるように調整可能である。好ましい実施形態の一実施例では、フィルタ1080の1または複数の共振素子は、フィルタピークのシフトを可能にする可変シャントキャパシタンス(例えば、バラクタまたはデジタル調整可能コンデンサ)を含み得る。追加的または代替的に、フィルタ1080は品質係数により調整可能であってもよいし(すなわち、回路制御値を変更することによりQが変更される)、フィルタ1080は調整可能でなくてもよい。
【0052】
[0068]フィルタ1080は、共振素子に加えて、遅延器、移相シフタ、および/またはスケーリング素子を含み得る。
【0053】
[0069]フィルタ1080は好ましくは受動フィルタであるが、追加的または代替的に、能動フィルタであってもよい。フィルタ1080は、好ましくはアナログ回路コンポーネントで実装されるが、追加的にまたは代替的に、デジタル的に実装されてもよい。フィルタ1080の任意の調整可能なピークの中心周波数は、好ましくは、チューニング回路によって制御されるが、追加または代替として、任意の適切なシステム(例えば、機械的に調整されたコンデンサなどの手動制御を含む)によって制御されてもよい。
【0054】
[0070]特に、フィルタ1080は、関心のある周波数範囲内の挿入損失を低減するのに有用であり得る。例えば、図2に示すように、デュプレクサの前の(送信周波数での)送信パスの挿入損失は、RxNCS1400が4つの図示するフィルタ1080がない状態で送信ラインに直接結合された場合よりも小さくなり得る。
【0055】
[0071]フィルタ1080は、ノイズおよび/または干渉キャンセルシステムで見られる電力を削減するのにも役立つ場合がある。例えば、図2に示すように、RxNCS1400は、RxNCS1400が4つの図示されたフィルタ1080がない状態で送信ラインに直接結合された場合よりも低い合計電力を示し得る。
【0056】
[0072]ノイズを個別に抑制するのではなく、干渉および/またはノイズキャンセルを強化するために用いられるのは(干渉および/またはノイズキャンセルがないシステムでフィルタが使用される場合があるため)、より安価で、小さく、低い品質係数(Q)、および/または拒絶能力の低いフィルタを用いてもよい。
【0057】
[0073]TxICS1100は、自己干渉キャンセル技術を使用して、信号の送信帯域に存在する干渉を軽減するように機能する。すなわち、第1の信号(通常は送信信号)の信号サンプルを別の信号(例えば、受信信号、増幅後の送信信号など)に存在する自己干渉の表現に変換することによって自己干渉キャンセル信号を生成し、第1の信号を送信した後に別の信号からその干渉キャンセル信号を減算する。
【0058】
[0074]TxICS1100は、受信信号の送信帯域に存在する干渉をキャンセルするために好適に用いられる。すなわち、TxICS1100は、受信機が受信した送信帯域内の送信信号の表現をモデル化する回路を使用して、送信信号のサンプルから干渉キャンセル信号を生成し、受信信号からそのキャンセル信号を減算する。
【0059】
[0075]さらに、TxICS1100を使用して、送信信号サンプルの送信帯域(TxB)に存在する干渉をキャンセルすることができる。すなわち、TxICS1100は、送信機で生成される送信帯域内の送信信号の表現をモデル化する回路を使用して、送信信号のサンプルから干渉キャンセル信号を生成し(必ずではないが、通常、アンテナでの送信前)、送信信号サンプルからそのキャンセル信号を減算する。この種類の干渉キャンセルは一般に、送信信号サンプルを「クリーン」にするために使用される。すなわち、送信サンプルの送信帯域信号を除去し、サンプルが主に受信帯域内の情報を含むようにする(通常、RxICS1300を使用して、サンプルを用いた受信帯域干渉キャンセルを実行できるようにする)。
【0060】
[0076]TxICS1100は、デジタルTX干渉キャンセラ(TxDC)1110とアナログTX干渉キャンセラ(TxAC)1120のうちの少なくとも一方を備える。TxICS1100が受信信号のキャンセルと送信サンプルのキャンセルの両方を実行する場合、TxICS1100はこれらのタスクを実行するための個別のキャンセラを備えてもよい。追加または代替として、TxICS1100は、任意の目的のために任意の数のキャンセラを含んでもよい(例えば、1のキャンセラが両方のタスクを実行し、多くのキャンセラが単一のタスクを実行するなど)。
【0061】
[0077]TxDC1100は、デジタル変換構成に従ってデジタル入力信号からデジタル干渉キャンセル信号を生成するように機能する。TxDC1100は、任意の入力を使用して、任意の信号の干渉をキャンセルするために利用できるが、TxDC1100は、好ましくは、アナログ受信信号の送信帯域干渉をキャンセルするために使用される(DAC1060を使用してデジタル干渉キャンセル信号をアナログに変換し、それをアナログ受信信号と組み合わせることにより)。TxDC1100はまた、送信信号の送信帯域信号成分をキャンセルするためにも利用することができる(前述の送信信号のクリーニングを実行するため)。
【0062】
[0078]アップコンバータ1030、ダウンコンバータ1040、ADC1050、およびDAC1060を使用して、TxDC1110は、任意の周波数のアナログ信号をデジタル入力信号に変換し、さらに干渉キャンセル信号をデジタル信号から任意の周波数のアナログ信号に変換することができる。
【0063】
[0079]TxDC1110のデジタル変換構成には、TxDC1110がデジタル送信信号をデジタル干渉信号に変換する方法を指定する設定が含まれる(例えば、送信信号を干渉キャンセル信号に変換するために使用される一般化されたメモリ多項式の係数)。TxDC1110の変換構成は、変換アダプタによって適応的に設定されることが好ましいが、追加または代替として、システム1000の任意のコンポーネント(例えば、チューニング回路)によって設定されてもよいし、設定変換構成において固定されてもよい。
【0064】
[0080]TxDC1110は、好ましくは、TxDC1110が必ずしも(前述のような)別の信号の送信から生じる受信信号における干渉のキャンセルのみに必ずしも適用されないことを除いて、米国仮出願第62/268,388号のデジタル自己干渉キャンセラと実質的に同様であり、その全体がこの参照により組み込まれる。
【0065】
[0081]好ましい実施形態の一実施形態では、図9に示されるように、TxDC1110は、成分生成システム、マルチレートフィルタ、および変換アダプタを備える。
【0066】
[0082]成分生成システムは、マルチレートフィルタが干渉キャンセル信号を生成するために使用する可能性のある、サンプリングされた入力信号から信号成分のセットを生成するように機能する。成分生成システムは、好ましくは、特定の数学的モデル(例えば、一般化メモリ多項式(GMP)モデル、Volterraモデル、およびWiener-Hammersteinモデル)で使用されることを意図した信号成分のセットを生成する。追加的または代替的に、成分生成システムは、複数の数学モデルで使用可能な信号成分のセットを生成してもよい。
【0067】
[0083]場合によっては、成分生成器は、サンプリングされた送信信号のコピーを変更を加えずに単に通過させてもよい。これは、特定のパスに明示的に含まれていない成分生成器と機能的に同等であると見ることができる。
【0068】
[0084]マルチレート適応フィルタは、成分生成システムによって生成された信号成分から干渉キャンセル信号を生成するように機能する。いくつかの実装形態では、マルチレート適応フィルタは、(アップコンバータ1030またはダウンコンバータ1040と同様であるがデジタル信号に適用される)サンプリングレート変換を実行するようにさらに機能し得る。マルチレート適応フィルタは、送信機、受信機、チャネル、および/または他のソースの干渉の寄与をモデル化するように適合された数学的モデルに従って信号成分の加重和を合算することによって干渉キャンセル信号を生成することが好ましい。マルチレート適応フィルタで使用し得る数学モデルの例には、一般化メモリ多項式(GMP)モデル、Volterraモデル、Wiener-Hammersteinモデルが含まれる。マルチレート適応フィルタは、追加的または代替的に、任意の組み合わせまたはセットのモデルを使用してもよい。
【0069】
[0085]変換アダプタは、マルチレート適応フィルタおよび/または成分生成システムの変換構成を設定するように機能する。変換構成は、マルチレート適応フィルタで使用されるモデルの種類とともに、モデルに関連する構成の詳細を含むことが好ましい(個々のモデルは、構成の詳細の特定のセットと対になったモデルタイプである)。例えば、ある変換構成は、特定の係数セットでGMPモデルを使用するようにマルチレート適応フィルタを設定する。モデルタイプが固定の場合、変換構成にはモデル構成の詳細が含まれるだけとなり、例えば、モデルが常にGMPモデルである場合、変換構成には当該モデルの係数のみが含まれ、モデルタイプを指定するデータは含まなくてもよい。
【0070】
[0086]変換構成は、追加的または代替的に、信号成分生成システムおよび/またはマルチレート適応フィルタに関連する他の構成の詳細を含んでもよい。例えば、信号成分生成システムが複数の変換パスを含む場合、変換アダプタはこれらの変換パスの数を設定することができ、それはそれぞれの成分生成器が対応するモデルの順序、使用されるフィルタリングのタイプ、および/またはその他の適切な詳細である。一般に、変換構成は、信号成分生成システムおよび/またはマルチレート適応フィルタの計算または構造に関する様々な詳細を含んでもよい。
【0071】
[0087]変換アダプタは、好ましくは、干渉キャンセル後の信号からサンプリングされたフィードバック信号(すなわち、残差信号)に基づいて変換構成を設定する。例えば、変換アダプタは、変換構成を繰り返し設定して、残差信号に存在する干渉を減らすことができち。変換アダプタは、分析方法、オンライン勾配降下法(LMS、RLMSなど)、および/またはその他の適切な方法を使用して、変換構成および/または変換構成生成アルゴリズムを適応させることができる。変換構成の適応には、学習に基づく変換構成の変更が含まれることが好ましい。ニューラルネットワークモデルの場合、これには、テスト入力に基づいてニューラルネットワークの構造および/または重みを変更することを含んでもよい。GMP多項式モデルの場合、これは勾配降下法に従ってGMP多項式係数を最適化することを含み得る。
【0072】
[0088]TxDCs1100は、変換アダプタおよび/または他のコンポーネントを共有し得ることに留意されたい(ただし、各TxDC1100は独自の変換構成に関連付けられていることが望ましい)。
【0073】
[0089]TxAC1120は、アナログ入力信号からアナログ干渉キャンセル信号を生成するように機能する。TxAC1120は、任意の入力を使用して、任意の信号の干渉をキャンセルするために利用可能だが、TxAC1120は、アナログ受信信号の送信帯域干渉をキャンセルするために使用することが好ましい。TxAC1120はまた、送信信号サンプル内の送信帯域信号成分をキャンセルするためにも使用することができる(前述のように送信信号のクリーニングを実行するため)。
【0074】
[0090]アップコンバータ1030、ダウンコンバータ1040、ADC1050、およびDAC1060を用いて、TxAC1120は、デジタル信号をアナログ入力信号に変換し、さらに干渉キャンセル信号をアナログからデジタル(または異なる周波数の別のアナログ信号)に変換してもよい。
【0075】
[0091]TxAC1120は、単一の周波数帯域で動作するように設計されることが好ましいが、追加的または代替的に、複数の周波数帯域で動作するように設計されてもよい。TxAC1120は、TxAC1120が別の信号(前述のとおり)の送信の結果として生じる受信信号の干渉のキャンセルのみに必ずしも適用されるわけではないことを除いて、米国特許出願第14/569,354号のアナログ自己干渉キャンセルに関連する回路、例えば、RF自己干渉キャンセラ、IF自己干渉キャンセラ、関連するアップ/ダウンコンバータ、および/またはチューニング回路と実質的に同様であることが好ましい(その全体がこの参照により組み込まれる)。
【0076】
[0092]TxAC1120は、好ましくは、アナログ入力信号のフィルタリング、スケーリング、および/または遅延バージョンのセットを組み合わせることにより、アナログ入力信号をアナログ干渉キャンセル信号に変換するアナログ回路として実装されるが、追加的または代替的に、任意の適切な回路として実装されてもよい。例えば、TxAC1120は、アナログ入力信号の単一バージョン、コピー、またはサンプリングされた形式のみを含む変換を実行し得る。変換された信号(アナログ干渉キャンセル信号)は、別の信号の干渉成分の少なくとも一部を表すことが好ましい。
【0077】
[0093]TxAC1120は、好ましくは、入力信号の変化に加えて、例えば、トランシーバの温度、周囲温度、アンテナ構成、湿度、および送信機の電力などの自己干渉パラメータの変化に適応可能である。TxAC1120の適応は、好ましくはチューニング回路によって実行されるが、追加または代替として、キャンセラまたは他の適切なコントローラに含まれる制御回路または他の制御機構によって実行されてもよい(例えば、TxDC1110の変換アダプタによって)。
【0078】
[0094]好ましい実施形態の一実施例では、図10に示すように、TxAC1120は、(利得、減衰、または位相調整を実行可能な)スケーラのセット、遅延のセット、信号コンバイナ、信号ディバイダ、およびチューニング回路を含む。この実施例では、TxAC1120は任意に、調整可能なフィルタ(例えば、調整可能な中心周波数を有するバンドパスフィルタ、調整可能なカットオフ周波数を有するローパスフィルタなど)を含むことができる。
【0079】
[0095]チューニング回路は、好適には、干渉キャンセルが実行された後の信号からサンプリングされたフィードバック信号(例えば、残留信号)に基づいて、TxAC1120構成(例えば、フィルタ、スケーラ、遅延器、信号分割器、および/または信号コンバイナなどのパラメータ)を適応することが好ましい。例えば、チューニング回路は、残留信号に存在する干渉を低減するためにTxAC1120構成を繰り返し設定してもよい。チューニング回路は、オンライン勾配降下法(例えば、LMS、RLMS)を使用して構成パラメータを適応させることが好ましいが、追加的または代替的に、任意の適切なアルゴリズムを使用して構成パラメータを適応させることもできる。構成パラメータの適応は、追加または代替として、構成のセットを交互にすることを含み得る。TxACは、チューニング回路および/または他のコンポーネントを共有してもよいことに留意されたい(ただし、各TxAC1120は、好ましくは一意の構成またはアーキテクチャに関連付けられる)。チューニング回路は、デジタルおよび/またはアナログ回路として実装することができる。
【0080】
[0096]TxNCS1200は、送信帯域でノイズキャンセレーションを実行することで、信号の送信帯域に存在する干渉を軽減するように機能する。TxNCS1200は、好ましくは、受信信号の送信帯域に存在するノイズをキャンセルするために使用される。TxNCS1200は、追加的または代替的に、例えば、主に受信帯域に信号成分を含む送信信号サンプルを生成するために(送信信号により受信信号の受信帯域に生成される干渉を推定する方法として)、送信信号サンプルの送信帯域に存在するノイズをキャンセルするために使用されてもよい。この方法でクリーニングされた送信サンプルは、通常RxICS1300を使用して、受信帯域干渉キャンセルを実行するために使用することができる。
【0081】
[0097]TxNCS1200は、好ましくは、ノイズを低減するために信号と組み合わされる信号の送信帯域からノイズキャンセル信号を生成する。例えば、TxNCS1200は、受信信号をサンプリングし(例えば、送信バンドパスフィルタ1080によるポストフィルタリング)、ノイズキャンセル信号を生成し、次いで受信信号と組み合わせて、送信帯域内の受信信号の信号電力を低減し得る。このアプローチは、単純なフィルタリングよりも望ましくない信号成分を大幅に削減できることに留意されたい。また、信号に存在するノイズや信号に付加されるノイズは、ノイズ成分とも呼ばれる。
【0082】
[0098]前述のように、TxNCS1200のパフォーマンスを向上させるために、TxNCS1200をフィルタ1080とともに利用してもよい。例えば、図11A図2に示すアーキテクチャを使用)に示すように、受信信号は、第1のカプラ1010によって、Rx帯域およびTx帯域フィルタ1080によって(主)受信帯域パスと(主)送信帯域パスに分割される。受信帯域パスにはまだ送信帯域電力が含まれている場合があり、その逆も同様である。次いで、TxNCS1200を使用して(送信帯域パス信号から)ノイズキャンセル信号を生成し、その信号を送信帯域パス信号と組み合わせることができる。場合によっては、このノイズキャンセルによって、送信帯域パス信号の送信帯域の電力が単純に減少することがある。その他の場合(送信帯域パワーのすべてが受信帯域パスから除去されたわけではないことを認識)、ノイズキャンセルは代わりに、送信帯域電力が元の信号と180度位相がずれた信号が生じる場合があり、この信号は、受信パス信号と再結合されると、フィルタリングだけで可能なよりも、送信帯域の全体的な信号電力を実際に低減する場合がある。あるいは、TxNCS1200(単に送信帯域電力を低減する場合)は、キャンセレーションを実行しつつ、フィルタ(例えば、ノッチフィルタ)と同様に作用し得る。図11Aには示されていないが、図11Bに示されるように、信号を再結合する前に第2のフィルタリングステップを実行してもよいことに留意されたい。これは、受信帯域の電力へのTxNCS1200の望ましくない寄与を減らすのに役立ち得る。再結合された信号は、「処理済み」信号とも呼ばれる。
【0083】
[0099]また、フィルタ1080とTxNCS1200はそれぞれ信号に遅延を生じさせることに留意されたい。フィルタ1080とTxNCS1200は、各パスの信号の遅延が等しくなるように構成または調整することが望ましい場合がある(例えば、図2に示すアーキテクチャの場合、2つのRxバンドパスによって導入される受信側の遅延フィルタは、2つのTxバンドパスフィルタによって導入される遅延とTxNCS1200によって導入される遅延の合計に等しくなり得る。あるいは、フィルタまたは信号パスは、任意の量の時間または位相遅延を挿入し得る。例えば、図4に示すアーキテクチャに適用すると、1つのRxバンドパスフィルタによって導入される受信側の遅延は、2つのTxバンドによって導入される遅延とTxNCS1200によって導入される遅延の合計に等しくなり得る。遅延を正確に等しくすることは不可能であるため、これらは実質的に等しくあってよい(例えば、一方によって導入される遅延は、他方の遅延の10%以内であり得る)。
【0084】
[00100]RxICS1300は、自己干渉キャンセル技術を使用して、信号の受信帯域に存在する干渉を緩和するように機能する。すなわち、第1の信号(通常は送信信号)の信号サンプルを、当該第1の信号の送信による別の信号(受信信号、増幅後の送信信号など)に存在する自己干渉の表現に変換することにより、自己干渉キャンセル信号を生成し、その干渉キャンセル信号を他の信号から減算する。
【0085】
[00101]RxICS1300は、受信信号の受信帯域に存在する干渉をキャンセルするために使用されることが好ましい。すなわち、RxIC1300は、受信機によって受信された受信帯域内の送信信号の表現をモデル化する回路を使用して、送信信号の受信帯域成分のサンプルから干渉キャンセル信号を生成し、そのキャンセル信号を受信信号から減算する。
【0086】
[00102]RxICS1300は、デジタルRX干渉キャンセラ(RxDC)1310およびアナログRX干渉キャンセラ(RxAC)1320の少なくとも1つを備える。
【0087】
[00103]RxDC1310は、TxDC1110と実質的に同様であることが好ましいが、追加的または代替的に、任意の適切なデジタル干渉キャンセラであってもよい。
【0088】
[00104]RxAC1320は、TxAC1120と実質的に同様であることが好ましいが、追加的または代替的に、任意の適切なアナログ干渉キャンセラであってもよい。
【0089】
[00105]RxNCS1400は、受信帯域でノイズキャンセレーションを実行することにより、信号の受信帯域に存在する干渉を軽減するように機能する。RxNCS1400は、送信信号の受信帯域に存在するノイズをキャンセルするために使用されることが好ましい。追加または代替として、RxNCS1400を使用して、送信信号の受信帯域に存在するノイズを事前にキャンセルすることができる(例えば、信号の事前増幅を事前に歪ませるか、増幅および/またはフィルタリングによって導入された後のノイズを考慮してフィルタリングする)。
【0090】
[00106]RxNCS1400は、ノイズを低減するために、信号と結合される信号の受信帯域からノイズキャンセル信号を生成することが好ましい。例えば、RxNCS1400は、送信信号をサンプリングし(例えば、送信バンドパスフィルタ1080によるポストフィルタリング)、ノイズキャンセル信号を生成し、これが後に送信信号と組み合わされて、受信帯域の送信信号の信号パワーを低減する。このアプローチは、単純なフィルタリングよりも望ましくない信号成分を大幅に削減できることに留意されたい。
【0091】
[00107]TxNCS1200と同様に、RxNCS1400は、RxNCS1400のパフォーマンスを向上させるためにフィルタ1080とともに利用することができる。
【0092】
[00108]TxNCS1200およびRxNCS1400の両方は、任意の方法で(例えば、TxICS1100および/またはRxICS1300によって使用するために説明された技術またはアーキテクチャを使用して)ノイズキャンセル信号を生成(または他の方法でノイズキャンセルを実行)し得る。
【0093】
[00109]第1の例として、RxNCS1400は静的変換に基づいてノイズキャンセルを実行することができる(すなわち、ノイズキャンセル信号が、サンプリングされた信号で動作する静的変換を使用して生成され、これは、送信回路の動作が予測可能な場合に有用である)。第2の例として、RxNCS1400は、動的変換に基づいてノイズキャンセルを実行してもよい(例えば、調整可能なアナログまたはデジタルICSのように)。
【0094】
2.リレーおよび共同設置トランシーバ用の調整可能な帯域外干渉緩和システム
[00110]リレーおよび共同設置トランシーバ用の調整可能な帯域外干渉緩和システム2000は、干渉キャンセルシステム(ICS)2100と、ノイズキャンセルシステム(NCS)2200との少なくとも1つを備える。システム2000は、信号カプラ2010、増幅器2020、周波数アップコンバータ2030、周波数ダウンコンバータ2040、アナログデジタル変換器(ADC)2050、デジタル-アナログコンバータ(DAC)2060、時間遅延2070、フィルタ2080、およびその他の回路コンポーネント(位相シフタ、減衰器、変圧器など)を含む、干渉キャンセルおよび/またはフィルタリングを可能にする任意の数の追加要素をさらに含むことができる。
【0095】
[00111]システム2000は、図12Aに示されるように、スイッチ2090の追加により2方向(スイッチ2090の位置により制御され時間的に変化する方向)の干渉キャンセレーションが利用可能になることを除いて、システム1000と実質的に同様であることが好ましい。したがって、干渉およびノイズキャンセルシステムは複数の帯域に使用することができる(したがって、ICS2100はTxICS1100またはRxICS1300などのいずれの役割も果たし得る)。同様に、フィルタは、受信または送信に本質的にリンクしない複数の周波数帯域(F1、F2など)に対応してもよい。
【0096】
[00112]第1のスイッチ位置では、第1のトランシーバ(図12Aの左側)はF1で送信し、第2のトランシーバ(右側)はF2で受信する。左端のトランシーバのF2フィルタ処理された分岐は、左のスイッチ2090を介して、ICS2100の入力に結合され、これが右のスイッチ2090を介して右端のトランシーバに通過する干渉キャンセル信号を生成し、ここで第2のトランシーバで受信された信号と組み合わされ、F1帯域とF2帯域のノイズが低減され、フィルタ(この場合は送信帯域)を強化する。第2のスイッチ位置では、第1のトランシーバはF1で受信し、第2のトランシーバはF2で送信し、右端のトランシーバのF1でフィルタされた分岐は、右のスイッチ2090および左のスイッチ2090を介してICS2100の入力に結合され、これがスイッチ2090を介して左端のトランシーバへと通過する干渉キャンセル信号を生成し、ここで第1のトランシーバで受信された信号と組み合わされてF1帯域とF2帯域のノイズが低減され、フィルタを増強する。
【0097】
[00113]この実装例は、同じ周波数で動作するが時分割多重化を使用するリレーまたは共同設置トランシーバにも使用することができる。ここで、図12Bに示されるように、カプラ2010およびフィルタ2080はもはや必要ではない。
【0098】
[00114]トランシーバからICS2100へのパスの長さと電気特性が異なる(例えば、一方のスイッチ位置が他のスイッチ位置よりも長い)ため、信号パスにわたってパフォーマンスを均一にするために、システム2000の信号パスに利得および/または位相補償を含んでもよい。
【0099】
[00115]当業者が上記の詳細な説明および図面および特許請求の範囲から認識するように、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に修正および変更を加えることができる。
【0100】
[00116]当業者が上記の詳細な説明および図面および特許請求の範囲から認識するように、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に修正および変更を加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12