(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】固定用脚部を有するヒーター組立品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20220801BHJP
A24F 40/70 20200101ALI20220801BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/70
(21)【出願番号】P 2021505712
(86)(22)【出願日】2019-08-13
(86)【国際出願番号】 EP2019071738
(87)【国際公開番号】W WO2020038780
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-02-01
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】メイザー ベンジャミン ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ミラード チャーリー アン
(72)【発明者】
【氏名】ドノフリオ アンジェロ
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504918(JP,A)
【文献】特開平07-184627(JP,A)
【文献】特開平05-115272(JP,A)
【文献】米国特許第05878752(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置用のヒーター組立品であって、
電気絶縁要素と、
電気抵抗ヒーターであって、
加熱されるように構成されている中央加熱部分と、
前記中央加熱部分と接触する、かつ前記中央加熱部分に電気エネルギーを供給するように構成されている電気接点と、
曲げることができるように構成されている固定用脚部と、を備える、ヒーターと、を備えるヒーター組立品であって、
前記固定用脚部が、前記中央加熱部分に隣接して配設されていて、かつ前記電気抵抗ヒーターを前記電気絶縁要素に機械的に固定するように構成されていて、前記固定用脚部が、エアロゾル発生物品の挿入を案内するための面取り部を形成するように構成されている、ヒーター組立品。
【請求項2】
前記中央加熱部分および前記固定用脚部が一体的に形成されている、請求項1に記載のヒーター組立品。
【請求項3】
前記中央加熱部分および前記固定用脚部が、一体型金属シートとして構成されている、請求項1~2のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項4】
前記中央加熱部分が管状形状を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項5】
前記固定用脚部が、近位固定用脚部および遠位固定用脚部を備え、前記近位固定用脚部が前記中央加熱部分の近位端に隣接して配設されていて、かつそこから延び、また前記遠位固定用脚部が前記中央加熱部分の前記近位端の反対側の前記中央加熱部分の遠位端に隣接して配設されていて、かつそこから延びる、請求項1~4のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項6】
前記固定用脚部が、前記電気抵抗ヒーター
の中央長軸方向軸から離れるように曲げられて配設されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項7】
前記固定用脚部が長軸方向の形状を有し、かつ好ましくは前記電気抵抗ヒーター
の中央長軸方向軸と少なくとも部分的に平行に延びる、請求項1~6のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項8】
前記電気絶縁要素が管状形状を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項9】
前記固定用脚部が、少なくとも前記電気絶縁要素の近位管状開口の周りに曲げられるように、かつこの開口に引っ掛けられるように構成されている、請求項8に記載のヒーター組立品。
【請求項10】
前記固定用脚部が近位固定用脚部を備え、前記近位固定用脚部が前記中央加熱部分の近位端に隣接して配設されていて、かつそこから延び、そして前記電気絶縁要素の前記近位管状開口の周りで曲げられるように、かつこの開口に引っ掛けられるように構成されていて、前記電気絶縁要素の前記近位管状開口が前記中央加熱部分の前記近位端と隣接して配設されていて、また前記固定用脚部が遠位固定用脚部を備え、前記遠位固定用脚部が前記中央加熱部分の近位端の反対側の前記中央加熱部分の遠位端に隣接して配設されていて、かつそこから延び、そして前記電気絶縁要素の前記遠位管状開口の周りで曲げられるように、かつこの開口に引っ掛けられるように構成されていて、前記電気絶縁要素の前記遠位管状開口が、前記電気絶縁要素の前記近位管状開口の反対側で、かつ前記中央加熱部分の前記遠位端と隣接して配設されている、請求項9に記載のヒーター組立品。
【請求項11】
前記電気絶縁要素が、第一のリング形状要素および第二のリング形状要素をさらに備え、前記第一のリング形状要素が前記電気絶縁要素の近位管状開口に前記固定用脚部を機械的に取り付けるように構成されていて、かつ前記第二のリング形状要素が前記電気絶縁要素の前記近位管状開口の反対側の前記電気絶縁要素の遠位管状開口に前記固定用脚部を機械的に取り付けるように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項12】
前記電気抵抗ヒーターが、関連するエアロゾル発生装置の加熱チャンバーを包囲するように構成されていて、かつ前記加熱チャンバーが、エアロゾル形成基体を含有する前記エアロゾル発生物品を受容するために構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項13】
前記固定用脚部の前記面取り部が、前記加熱チャンバーの中への前記エアロゾル発生物品の挿入を案内するために構成されている、請求項12に記載のヒーター組立品。
【請求項14】
前記中央加熱部分が対向する端部分を備え、かつ前記中央加熱部分が管状形状を有するように前記対向する端部分が接続可能である、請求項1~13のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項15】
ヒーター組立品を製造するための方法であって、
i)電気絶縁要素を提供する工程と、
ii)電気抵抗ヒーターを提供する工程であって、前記ヒーターが、
加熱されるように構成されている中央加熱部分と、
前記中央加熱部分と接触する、かつ前記中央加熱部分に電気エネルギーを供給するように構成されている電気接点と、
曲げることができるように構成されている固定用脚部であって、前記中央加熱部分に隣接して配設されていて、かつエアロゾル発生物品の挿入を案内するための面取り部を形成するように構成されている固定用脚部と、を備える、工程と、
iii)前記中央加熱部分が管状形状を有するように前記中央加熱部分を適合させる工程と、
iv)前記中央加熱部分を前記電気絶縁要素の中に挿入する工程と、
v)前記電気抵抗ヒーターを前記電気絶縁要素に固定するために、前記固定用脚部を外向きに、かつ少なくとも部分的に前記電気絶縁要素の周りに曲げる工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置用のヒーター組立品に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品中に含有されたエアロゾル形成基体を加熱するように構成されていることが知られている。物品は、中に電気抵抗ヒーターが配設されている加熱チャンバーの中に挿入される。ヒーターはエアロゾル形成基体を加熱して、基体を揮発させる。揮発した基体は、装置の気流チャネルを通る気流中に同伴され、発生したエアロゾルはユーザーに送達される。
【0003】
従来の電気抵抗ヒーターは、装置の加熱チャンバーの中に挿入されているエアロゾル発生物品を包囲する外部ヒーターとして提供されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアロゾル形成基体を均一に加熱し、かつ装置のさらなる構成要素から十分に絶縁されている、製造が簡単な電気抵抗ヒーターを有するヒーター組立品を有することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様によると、吸入可能なエアロゾルを発生するためのヒーター組立品が提供されている。ヒーター組立品は電気絶縁要素および電気抵抗ヒーターを備える。ヒーターは、加熱されるように構成されている中央加熱部分を備える。ヒーターは、中央加熱部分と接触する、かつ中央加熱部分に電気エネルギーを供給するように構成されている電気接点をさらに備える。ヒーターは、曲げることができるように構成されている固定用脚部をさらに備える。固定用脚部は中央加熱部分に隣接して配設されていて、かつ電気抵抗ヒーターを電気絶縁要素に機械的に固定するまたは据え付けるように構成されている。
【0006】
以下で電気抵抗ヒーターは「ヒーター」とも呼ばれる。本発明によるヒーターは、加熱の目的のために中央加熱部分を備える。中央加熱部分は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に、またはこれに隣接してエアロゾル発生装置の中に配設されてもよい。加熱チャンバーの中に、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生物品が挿入されてもよい。エアロゾル発生装置はエアロゾル発生物品とともに、エアロゾル発生システムと呼ばれる。
【0007】
中央加熱部分は、挿入されたエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体が主に加熱されるように配設されてもよい。中央加熱部分は、この目的のために、電気接点に接続されてもよい。電気接点は中央加熱部分に電流を供給してもよい。電流は中央加熱部分を通して流れ、それによって中央加熱部分を加熱する。
【0008】
また、ヒーターの一部は固定用脚部でもある。従来のヒーターにおいて、ヒーターはエアロゾル発生装置に固定されなければならず、これは複雑な解決策および相対的に高いコストを招く場合がある。本発明において、ヒーター自体が、ヒーターを固定するための要素を提供する。これらの要素は固定用脚部である。固定用脚部は中央加熱部分から延びてもよい。固定用脚部の固定は、電気絶縁要素に脚部を少なくとも部分的に固定することによって実現されてもよい。
【0009】
本発明のヒーター組立品は、エアロゾル発生物品の最適な加熱だけでなく、良好な断熱性も達成し、これによって物品の加熱は効率的であり、かつ消費電力が低減され、再充電の必要なく幾つかの使用セッションを可能にする。
【0010】
中央加熱部分および固定用脚部は、一体的に形成されてもよい。それ故に製造の簡単さが達成され、一方で加熱するための中央加熱部分と、ヒーターを固定するための固定用脚部とを提供しうる。
【0011】
中央加熱部分および固定用脚部は、一体型金属シートとして構成されてもよい。中央加熱部分だけでなく固定用脚部も備える金属シートは、エッチング、レーザー切断、またはスタンプ加工などの大量生産技術を使用して作製されてもよい。それ故にヒーターは、大量生産プロセスを使用できるため、製造するのが単純で、安価である場合がある。
【0012】
一体型金属シートは、50μm~200μmの厚さ、好ましくは75μm~150μmの厚さを有してもよく、また約100μmの厚さを有することがより好ましい。ヒーターの厚さに起因して、ヒーターは低い熱慣性を有する場合があり、それ故にその効率的な加熱温度に素早く到達しうる。中央加熱部分は、50mm×40mmの間の加熱表面、好ましくは35mm×25mm間の加熱表面、より好ましくは20mm×15mmの間の加熱表面を有してもよい。
【0013】
それ故にヒーターは、最適化された低体積の一つの単一の材料のシートで作製されてもよい。中央加熱部分および固定用脚部は、ステンレス鋼またはチタン、好ましくは304ステンレス鋼を含むこと(好ましくは、これから成ること)ができる。こうした物質は無害であり、関連する保守を必要とせず、かつ熱およびエアロゾル発生装置で発生される可能性のある腐食性気体に対して耐性がある。
【0014】
中央加熱部分は管状形状を有してもよい。ヒーターの組立品は、当初のシートの屈曲のみを必要とする場合がある。
【0015】
ヒーターは、加熱チャンバーの周辺部の周りに位置付けられた外部ヒーターとして構成されてもよい。外部ヒーターは任意の適切な形態を取ってもよい。屈曲した金属シートの代わりに、例えば外部ヒーターは、ポリイミドなどの誘電基体上の一つ以上の可撓性の加熱箔の形態を取ってもよい。可撓性の加熱箔は、加熱チャンバーの周辺部に適合するように形作られてもよい。別の方法として、外部ヒーターは、金属グリッド(複数可)、可撓性のプリント基板、成形回路部品(MID)、セラミックヒーター、可撓性の炭素繊維ヒーターの形態を取ってもよく、または適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。外部ヒーターはまた、温度と抵抗の間の明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置において、金属は適切な断熱材料の二つの層の間のトラックとして形成されてもよい。この方法で形成された外部ヒーターは、加熱するためと、動作中の外部ヒーターの温度を監視するためとの両方に使用されてもよい。しかしながら、本発明の外部ヒーターは、外部加熱を可能にする管状形状を有するように曲げられた単一の金属シートから作製されることが好ましい。
【0016】
エアロゾル発生物品の外部加熱に起因する空気圧力は、発生されたエアロゾルがエアロゾル発生物品の内部に向かって流れるように、発生されたエアロゾルを押す場合がある。エアロゾル発生物品の内部には、ユーザーの口に進む効率的な空気経路が典型的に存在する。さらに、外部加熱は内部加熱の場合と比べて、エアロゾル発生物品の表面に、より広く対処するので、エアロゾル発生物品中に含有された基体を均一に加熱する一方で、エアロゾル発生物品の過熱のリスクを回避するのに役立つ場合がある。
【0017】
固定用脚部は近位固定用脚部および遠位固定用脚部を備えてもよく、近位固定用脚部は中央加熱部分の近位端に隣接して配設されてもよく、遠位固定用脚部は中央加熱部分の近位端の反対側の中央加熱部分の遠位端に隣接して配設されてもよい。近位固定用脚部はまた、上部固定用脚部として示されてもよく、また遠位固定用脚部の下流に提供されていて、これは上流固定用脚部として示されてもよい。
【0018】
本明細書で使用される「上流」、「下流」、「近位」、「遠位」という用語は、ユーザーがその使用中にエアロゾル発生システムを吸う方向に関して、エアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を説明するために使用される。
【0019】
エアロゾル発生システムは口側端を備えてもよく、使用時にこの口側端を通してエアロゾルがエアロゾル発生システムを出て、ユーザーに送達される。口側端は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入されたエアロゾル発生物品の近位端であってもよい。それ故に、口側端は近位端と呼ばれてもよい。使用時に、エアロゾル発生システムによって発生したエアロゾルを吸入するために、ユーザーはエアロゾル発生システムの近位端または口側端を吸う。エアロゾル発生システムは近位端または口側端と反対側の遠位端を備える。エアロゾル発生システムの近位端または口側端はまた、下流端と呼ばれてもよく、またエアロゾル発生システムの遠位端はまた、上流端と呼ばれてもよい。エアロゾル発生システムの構成要素、または構成要素の部分は、エアロゾル発生システムの近位端、下流端、または口側端とエアロゾル発生システムの遠位端または上流端との間のそれらの相対的な位置に基づいて、互いに上流または下流にあるものとして説明されてもよい。
【0020】
管状ヒーターは、近位端から遠位端に、またはその逆に延びるエアロゾル発生装置の中央長軸方向軸に平行に配設されていることが好ましい。この軸は、電気抵抗ヒーターの中央長軸方向軸と同一であることが好ましい。
【0021】
固定用脚部は長軸方向の形状を有してもよく、また電気抵抗ヒーターの中央長軸方向軸に少なくとも部分的に平行に延びてもよい。近位固定用脚部は、中央加熱部分の近位端から近位方向または下流方向に延びてもよい。遠位固定用脚部は、中央加熱部分の遠位端から遠位方向または上流方向に延びてもよい。
【0022】
電気絶縁要素は管状形状を有してもよい。固定用脚部は、電気抵抗ヒーターの中央長軸方向軸から離れるように曲げられて配設されてもよい。固定用脚部は、電気絶縁要素の少なくとも管状の開口の周りに曲げられ、かつこの開口に引っ掛けられるように構成されてもよい。近位固定用脚部は、電気絶縁要素の近位端、すなわち近位管状開口に引っ掛けられるように構成されていることが好ましい。遠位固定用脚部は、電気絶縁要素の遠位端、すなわち遠位管状開口に引っ掛けられているように構成されていることが好ましい。
【0023】
固定用脚部は、管状電気絶縁要素の外側に引っ掛けられるように曲げられてもよく、この管状電気絶縁要素の内部には次に、ヒーターの中央加熱部分が配設されている。それ故に、ヒーターだけでなく電気絶縁要素も、管状形状を有してもよく、管状電気絶縁要素と管状中央加熱部分の間の機械的接続は、外向きに曲げられた固定用脚部によって実現される。それ故に、ヒーターに関する「管状」という用語は、管状形状を有するヒーターの中央加熱部分として理解される。固定用脚部は、管状電気絶縁要素を引っ掛けるために外向きに曲げられてもよく、一方でこの構成は依然として「管状形状ヒーター」の用語によって包含される。
【0024】
管状電気絶縁要素の外側に配設されている脚部は、有意な程度まで加熱されないので、電気絶縁要素は、エアロゾル発生装置のさらなる構成要素に対して中央加熱部分を断熱するための断熱性管として機能する。
【0025】
電気絶縁要素の近位管状開口は、中央加熱部分の近位端に隣接して配設されてもよい。電気絶縁要素の遠位管状開口は、電気絶縁要素の近位管状開口の反対側に、かつ中央加熱部分の遠位端に隣接して配設されてもよい。言い換えれば、管状電気絶縁要素は本質的に、管状中央加熱部分を覆ってもよく、一方で固定用脚部は、管状電気絶縁要素にわたって延び、これによって固定用脚部を管状電気絶縁要素の開口の周りに曲げて、管状ヒーターを管状電気絶縁要素にしっかりと固定することができる。
【0026】
固定用脚部は、中央加熱部分の近位端および遠位端から延びてもよい。固定用脚部は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に沿って延びる中央加熱部分の側面部分上に提供されない場合がある。固定用脚部は、エアロゾル発生物品の挿入中および除去中に、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に沿ったヒーターの望ましくない変位を防止するように構成されてもよい。
【0027】
固定用脚部は電気接点に間接的に接続されてもよい。言い換えれば、固定用脚部は中央加熱部分に電気的に接続されてもよいが、第一の電気接点から中央加熱部分を通って第二の電気接点に向かって延びる導電性経路の一部には接続されない。それ故に固定用脚部は「開回路」で構成されてもよく、すなわち抵抗加熱のために中央加熱部分で使用される加熱電流が固定用脚部の中に流れず、またそのため固定用脚部は、中央加熱部分の場合のように抵抗加熱によって加熱されない。
【0028】
次いで熱は、伝導加熱によってのみ固定用脚部の中に移動してもよく、これは抵抗加熱によって中央加熱部分に提供される熱と比較して低い加熱エネルギーを提供することになる。固定用脚部における熱は、固定用脚部の長さに沿ってさらに減少することになり、そのため固定用脚部の端は中央加熱部分よりもはるかに低温になることになる。それ故に固定用脚部は、著しい熱損失なしに、またエアロゾル発生装置の他の構成要素の望ましくない加熱なしに、ヒーターを固定するために使用されてもよい。
【0029】
電気絶縁要素は電気絶縁材料から作製されてもよく、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作製されることが好ましく、また断熱材料から作製されうることが好ましい。それ故に絶縁管は、例えばPEEKなどの断熱および電気絶縁材料、例えば熱安定性で電気絶縁性と断熱性の両方である材料から作製されてもよい。PEEKは、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)ファミリー内の一種である。一つ以上の適切な材料が利用されてもよく、アルミニウム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(Kapton(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。断熱材は、エアロゾル発生装置のその他の部分だけでなく、ユーザーをヒーターの熱から保護してもよい。電気抵抗ヒーターと電気絶縁要素の間の確実な接続はまた、ヒーターの断熱に起因する熱による危害の防止にもつながる場合がある。
【0030】
電気絶縁は、ヒーターを電気絶縁要素に引っ掛けるために使用される固定用脚部が導電体材料と接触せず、電流が固定用脚部を通り抜けるのを防止し、それ故に固定用脚部の加熱を防止しうることを容易にする。
【0031】
電気絶縁要素は、ヒーターが電気絶縁要素に均一に固定されうるように、ヒーターを包囲してもよい。ヒーターと電気絶縁要素のうちの少なくとも一方、好ましくは両方は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーを部分的にまたは完全に包囲してもよい。好ましくは、ヒーターおよび電気絶縁要素は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーを完全に包囲する。
【0032】
電気絶縁要素は、第一のリング形状要素および第二のリング形状要素をさらに含んでもよく、第一のリング形状要素は、電気絶縁要素の近位管状開口に近位固定用脚部を機械的に取り付けるように構成されてもよい。第二のリング形状要素は、電気絶縁要素の近位管状開口の反対側の電気絶縁要素の遠位管状開口に遠位固定用脚部を機械的に取り付けるように構成されてもよい。
【0033】
リングは、ヒーターと電気絶縁要素の間の引っ掛け接続を固定するために提供されてもよい。リングは、固定用脚部を電気絶縁要素にクランプ留めしてもよい。電気絶縁要素への固定用脚部のクランプ留めは、機械的に(例えば、押し嵌めによって)行われてもよい。それ故に、接着剤は必要とされない場合があり、そのため、ヒーター、電気絶縁要素、リングから成る、結果としてもたらされる要素は、接着剤がエアロゾルまたはヒーターによって発生した熱に起因してその接着特性を失うリスクを有することなく、強い安定性、それ故に最適化された寿命を有する。別の方法として、接着剤は、ヒーターと電気絶縁要素の間の機械的接続の代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。
【0034】
リングは、リングと固定用脚部だけでなく電気絶縁要素との間の確実な接続を容易にするための接続要素も備えてもよい。例えば、リングは、電気絶縁要素の外表面上に提供される対応する要素と一致する突出要素または陥凹部を備えてもよい。これらの一致する要素は、リングと電気絶縁要素の間のスナップ嵌めを容易にするために提供されてもよく、それによって、リングと電気絶縁要素の間の固定用脚部を挟み、これ故に固定する。接続要素は柔軟に提供されてもよい。ヒーターを電気絶縁要素に固定するために十分である場合、電気絶縁要素の近位端または遠位端上に一つのリングのみが提供されてもよい。その結果として、固定用脚部は、ヒーターをしっかりと保持するために十分である場合、中央加熱領域の一方の端の上にのみ提供されてもよい。
【0035】
リングは、空気およびエアロゾルの貫通流を可能にするための空洞を備えることが好ましい。リングは、PEEKなどの電気絶縁および断熱材料から作製されてもよい。
【0036】
固定用脚部は、加熱チャンバーの中への挿入中にエアロゾル発生物品を案内するための面取り部を形成するように構成されてもよい。いったん曲げられ、かつ電気絶縁要素に引っ掛けられると、それ故に脚部は、エアロゾル発生物品をヒーターの中心に向かって案内するための傾斜を提供し、ユーザーによるエアロゾル発生物品の挿入を補助する場合がある。言い換えれば、固定用脚部は、エアロゾル発生物品の漏斗状の簡単な挿入を形成する。言い換えれば、この場合も、固定用脚部は、物品を挿入しなければならない区域において、一枚のシートでできた双曲面回転体の上面の双曲線に沿って配設されていて、そのため固定用脚部は、管状部の広い部分からより狭い部分に通り、ユーザーが物品をヒーターの中心に簡単に挿入するように案内する役に立つ。
【0037】
中央加熱部分は、電気接点間に非線形導電経路を備えてもよい。中央加熱部分は、電気接点間にジグザグの導電経路を備えてもよい。電気接点間の導電経路は、発熱のために最適化されてもよい。導電経路は、本質的に中央加熱部分の表面全体にわたって通り、均一な加熱を容易にする場合がある。導電経路は、ヒーターの金属シートの切り込みによって実現されてもよい。切り込みは、エアロゾル発生装置の中央長軸方向軸に平行な方向に提供されてもよい。切り込みの代わりに、またはこれに追加して、陥凹部が中央加熱部分に提供されてもよい。
【0038】
中央加熱部分は、個別に制御可能な電気接点の対応する対の間に複数の導電経路を備えてもよい。導電経路は互いから電気的に絶縁されて提供されてもよい。エアロゾル形成基体の異なる領域は、複数の導電経路を提供することによって加熱されてもよい。この点に関して、エアロゾル発生装置は、複数の導電経路の加熱を制御するためのコントローラを備えてもよい。導電経路は、ユーザーの一回の吸煙の間加熱されてもよく、それによって、挿入されたエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の隣接する領域を枯渇させる。
【0039】
コントローラは単純なスイッチであってもよい。別の方法として、コントローラは電気回路であってもよく、一つ以上のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを備えてもよい。マイクロプロセッサはプログラム可能なマイクロプロセッサであってもよい。コントローラは、さらなる電子構成要素を備えてもよい。コントローラは、ヒーターまたはヒーターの個別の導電経路への電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力は装置の起動後、ヒーターに連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば、吸煙するごとに)供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態でヒーターに供給されてもよい。コントローラは、ヒーターの電気抵抗を監視するように、また好ましくは、ヒーターの電気抵抗に応じてヒーターへの電力の供給を制御するように構成されてもよい。コントローラは、例えばヒーターの電気接点への電圧、もしくは活性化された電気経路の数を調整することによって、またはパルス幅変調(PWM)を使用することによって、エアロゾル形成基体を徐々に加熱するように構成されてもよい。
【0040】
コントローラは吸煙検出システムに接続されてもよい。別の方法として、起動は、ユーザーの吸煙の持続時間の間保持されるオンオフボタンを押すことによってトリガーされてもよい。
【0041】
吸煙検出システムはセンサーとして提供されてもよく、これは気流センサーとして構成されてもよく、また気流速度を測定してもよい。気流速度は、エアロゾル発生装置の気流経路を通してユーザーによって引き出される一回当たりの空気の量を特徴付けるパラメータである。吸煙の開始は、気流が所定の閾値を超える時に、気流センサーによって検出されてもよい。開始はまた、ユーザーがボタンを起動後に検出されてもよい。
【0042】
センサーはまた、吸煙中にユーザーによって装置の気流経路を通して引き出される、エアロゾル発生装置内部の空気の圧力を測定するための圧力センサーとして構成されてもよい。センサーは、エアロゾル発生装置の外側の周囲空気の圧力とユーザーによって装置を通して引き出される空気の圧力との間の圧力差または圧力降下を測定するように構成されてもよい。空気の圧力は、空気吸込み口(好ましくは半開放の吸込み口)にて、または装置の近位端にて、または加熱チャンバーにて、または空気が通って流れるエアロゾル発生装置内の任意の他の通路もしくはチャンバーにて検出されてもよい。ユーザーがエアロゾル発生システムを吸う時、陰圧または真空が装置内部に作り出され、この陰圧が圧力センサーによって検出されてもよい。「陰圧」という用語は、周囲空気の圧力に対する相対圧力として理解される。言い換えれば、ユーザーがシステムを吸う時、装置を通して引き出される空気は、装置の外側の周囲空気の圧力より低い圧力を有する。吸煙の開始は、圧力差が所定の閾値を超える場合、圧力センサーによって検出されてもよい。
【0043】
中央加熱部分は伸縮可能に構成されてもよい。この特徴は、電気接点間に非線形導電経路を作り出すために使用される陥凹部または切り込みによって実現されてもよい。中央加熱部分は、中央加熱部分の作製に使用された金属材料の可撓性を利用して、管状ヒーターの直径または周囲を修正することを可能にしてもよい。望ましい場合、修正可能な直径を使用して、ヒーターの中央加熱部分と挿入されたエアロゾル発生物品との間の摩擦嵌めによって、挿入されたエアロゾル発生物品を加熱チャンバーの中にしっかりと保持してもよい。少なくとも中央加熱部分は概して、エアロゾル発生物品のための効率的な閉じ込めを容易にする場合がある。
【0044】
ヒーターの中央加熱部分は、物品が加熱チャンバーの中にしっかりと保持されるように、挿入されたエアロゾル発生物品の直径に対応する直径を有してもよい。中央加熱部分の伸縮可能性は、挿入されたエアロゾル発生物品に作用する保持力を増大させるために利用されてもよい。この点に関して、物品の直径は、ヒーターの管状中央加熱部分の直径よりもわずかに大きくてもよい。エアロゾル発生物品の挿入中に、中央加熱部分はわずかに膨張してもよく、それによって物品を摩擦嵌めの状態に保持してもよい。嵌合は物品とヒーターの間の接触を確実にする。嵌合は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に沿った、対応する物品の移動に対して何らかの抵抗を提供する。物品とヒーターの間の空隙は熱損失を引き起こし、物品の加熱の効率を低減させる場合がある。発生されたエアロゾルは、空隙を介して失われる場合がある。空隙は、システムの引き出し抵抗(RTD)に悪影響を及ぼす場合がある。有利なことに、物品とヒーターの間の近接または接触は、空隙を低減または排除し、熱的接触を増大させ、これは熱損失と、空隙によってエアロゾルを失う可能性とを低減し、またRTDが望ましい範囲内に維持される。
【0045】
中央加熱部分は、対向する端部分を備えてもよく、対向する端部分は、中央加熱部分が管状形状を有してもよいように、接続可能であってもよい。対向する端部分は好ましくは、中央加熱部分の近位端を中央加熱部分の遠位端と接続する側面部分である。
【0046】
中央加熱部分は、V字形状を有する導電経路を備えてもよく、これはエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中へのエアロゾル発生物品の挿入中に、エアロゾル発生物品中に含有されたエアロゾル形成基体を貫通するように構成されてもよい。
【0047】
中央加熱部分のこの追加的な部分には、中央加熱部分の当初の導電経路とは無関係に追加的な導電経路が提供されてもよい。中央加熱部分のV字形状の追加的な部分の導電経路はまた、中央加熱部分の単一の導電経路の一部であってもよい。V字形状の追加的な部分は内部ヒーターとして提供されていて、一方で中央加熱部分の残りの部分は、挿入されたエアロゾル発生物品を包囲し、それ故に外部ヒーターを成すことが好ましい。この態様によると、エアロゾル形成基体は内側からだけでなく、外側からも加熱されるという事実に起因して、V字形状の追加的な部分は、エアロゾル発生物品中に含有されたエアロゾル形成基体の均一な加熱を最適化する場合がある。
【0048】
エアロゾル発生装置は、電力をヒーターに供給するための電源を備えてもよい。電源はコントローラによって制御されてもよい。電源は任意の適切な電源であってもよく、例えば電池などの直流電圧源であってもよい。一実施形態において、電源はリチウムイオン電池である。別の方法として、電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リチウム鉄リン酸塩電池、チタン酸リチウム、またはリチウムポリマー電池)であってもよい。
【0049】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部、例えば喫煙物品の一部であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であってもよい。エアロゾル発生装置はホルダーであってもよい。ヒーター組立品自体とは別に、本発明はまた、上述の通りのヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置を対象とする。
【0050】
装置は、片手の指の間に保持するのが快適な携帯型または手持ち式の装置であることが好ましい。装置は実質的に円筒状であってもよく、70~120mmの長さを有する。装置の最大直径は10~20mmであることが好ましい。一実施形態において、装置は多角形の断面を有し、かつ一方の面上に形成された突出したボタンを有する。この実施形態において、装置の直径は、一方の平坦な面から反対側の平坦な面までで12.7~13.65mmあり、一方の縁から反対側の縁まで(すなわち、装置の一方の側の二つの面の交差部からもう一方の側の対応する交差部まで)で13.4~14.2mmであり、ボタンの上部からボタンと反対側の底部の平坦な面までで14.2~15mmである。この装置は、電気加熱式の喫煙装置であってもよい。
【0051】
本発明の別の態様において、本明細書に記載の通りのヒーター組立品を有するエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に受容されるように構成された一つ以上のエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。動作中、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置内に部分的に包含されてもよい。
【0052】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置と、装置で使用する一つ以上のエアロゾル発生物品との組み合わせである。ところが、エアロゾル発生システムは、例えば電気的に作動するまたは電気式エアロゾル発生装置の中の搭載型電力供給源を再充電するための充電ユニットなど、追加的な構成要素を含んでもよい。
【0053】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙物品であってもよい。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。たばこを含むエアロゾル形成基体を備える喫煙物品は、たばこスティックと呼ばれる。
【0054】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成基体は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。
【0055】
エアロゾル発生物品は、およそ30mm~およそ100mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5mm~およそ12mmの外径を有してもよい。エアロゾル発生物品は、5mm~8mmの直径を有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、およそ5.4mmまたは7.8mmの直径を有することがより好ましい。エアロゾル発生物品はフィルタープラグを備えてもよい。フィルタープラグは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルタープラグは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。一実施形態において、フィルタープラグは、およそ7mmの長さであるが、およそ5mm~およそ10mmの長さを有してもよい。
【0056】
一実施形態において、エアロゾル発生物品はおよそ45mmの全長を有する。エアロゾル発生物品は、およそ7.2mmの外径を有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体は、およそ10mmの長さを有してもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、およそ12mmの長さを有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体の直径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。エアロゾル発生物品は外側紙ラッパーを備えてもよい。さらに、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグの間に分離部を備えてもよい。分離部は、およそ18mmであってもよいが、およそ5mm~およそ25mmの範囲であってもよい。
【0057】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は好都合なことに、エアロゾル発生物品または喫煙物品の一部であってもよい。
【0058】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成要素と液体構成要素の両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体はゲルの形態で提供されてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、高密度で安定したエアロゾルの形成を容易にするエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0059】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、キャストリーフたばこ、および膨化たばこのうちの一つ以上を含有する、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態であってもよく、または適切な容器またはカートリッジで提供されてもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0060】
本明細書で使用される「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を指す。均質化したたばこは、シートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5%超のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5~30重量%のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎のうちの一方または両方を粉砕することによって、または別の方法で組み合わせることによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えばたばこの処理、取り扱い、および発送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉、その他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよいが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填材、水性および非水性の溶剤、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0061】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートの形態を取ってもよい。別の方法として、担体は、その内表面上、またはその外表面上、またはその内表面と外表面の両方の上に堆積された固体基体の薄い層を有する、管状の担体であってもよい。こうした管状の担体は、例えば紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、低質量の目の粗いメッシュ金属スクリーン、もしくは穿孔された金属箔、または任意の他の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。
【0062】
特に好ましい一実施形態において、エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。エアロゾル発生物品が組み立てられた時、実質的に平行な隆起または波形は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、またはこれと平行に延びることが好ましい。これは有利なことに、均質化したたばこ材料の捲縮したシートを集合してエアロゾル形成基体を形成するのを容易にする。しかし、当然のことながら、エアロゾル発生物品に含めるための均質化したたばこ材料の捲縮したシートは別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して鋭角または鈍角で配置されている複数の実質的に平行な隆起または波形を有してもよい。ある特定の実施形態において、エアロゾル形成基体は、実質的にその表面全体にわたって実質的に均等にきめのある均質化したたばこ材料のシートの集合体を含んでもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、シートの幅にわたって実質的に均等に離隔している複数の実質的に平行な隆起または波形を含む均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含んでもよい。
【0063】
固体エアロゾル形成基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は担体の表面全体の上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するためのパターンで堆積されてもよい。
【0064】
エアロゾル形成基体と接触しているヒーターの部分は、電流がヒーターを通過する結果として加熱される。電流は電源によって供給される。ヒーターのこの部分は、使用時に約140℃~約340℃の温度に達するように構成されてもよい。ヒーターは、約140℃~約250℃の温度に達するように構成されうることが好ましい。ヒーターは、約140℃~約200℃の温度に達するように構成されうることがより好ましく、約140℃~約160℃の温度に達するように構成されうることが最も好ましい。低いヒーター温度は、装置の包囲するハウジングの過熱を防止し、それによってユーザーの不快感を防止する場合がある。追加的にエネルギーが節約される場合があり、それによって電池電力を温存する。低いヒーター温度は追加的に、エアロゾル形成基体の加熱中に望ましくない成分の形成を低減または回避する場合がある。
【0065】
本発明はさらに、ヒーター組立品を製造するための方法に関し、この方法は、
i)電気絶縁要素を提供する工程と、
ii)電気抵抗ヒーターを提供する工程であって、ヒーターが、
加熱されるように構成されている中央加熱部分と、
中央加熱部分と接触する、かつ中央加熱部分に電気エネルギーを供給するように構成されている電気接点と、
曲げることができるように構成されている固定用脚部であって、中央加熱部分に隣接して配設された固定用脚部と、を備える、工程と、
iii)中央加熱部分が管状形状を有するように中央加熱部分を適合させる工程と、
iv)中央加熱部分を電気絶縁要素の中に挿入する工程と、
v)電気抵抗ヒーターを電気絶縁要素に固定するために、固定用脚部を外向きに、かつ少なくとも部分的に電気絶縁要素の周りに曲げる工程と、を含む。
【0066】
一態様に関して説明された特徴は、本発明の他の態様にも等しく適用されてもよい。
【0067】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】
図1は、本発明のヒーター組立品の例示的な態様を示す。
【
図2】
図2は、取り付けのための電気絶縁要素およびリングとともに、ヒーター組立品の分解組立図を示す。
【
図3】
図3は、
図2に示された構成要素が組み立てられた状態と、挿入されるエアロゾル 発生物品とを示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1は、中央加熱部分10を備える電気抵抗ヒーターの二つの態様を示す。第一の電気接点12および第二の電気接点14は、中央加熱部分10と電気的に接続されている。電気接点12、14は、電池などの電源からヒーターに向かって電気エネルギーを供給するために提供されている。
【0070】
図1に示す両方の態様において、ヒーターは金属の平坦なシートとして提供されている。下記に、より詳細に説明する通り、平坦な金属シートはその後、曲げられて、これによって次いでヒーターは管状形状を有する。中央加熱部分10および電気接点12、14に加えて、ヒーターは固定用脚部16を備える。固定用脚部16は、中央加熱部分10と同一の金属シートから一体的に形成されている。固定用脚部16は、中央加熱部分10の対向する両端上に提供されている。中央加熱部分10の対向する両端を接続する中央加熱部分10の側面部分は、ヒーターの管状形状を実現することができるように、互いに接続されるように構成されている。
【0071】
ヒーターの左および右の態様において、中央加熱部分10の中に導電経路を作り出すための異なる構成が示されている。導電経路は、中央加熱部分10の均一な加熱を可能にするためのジグザグ経路であることが好ましい。
【0072】
図2は、エアロゾル発生装置のさらなる構成要素を示す。ヒーターは
図2にも描写されている。しかしながら、
図2においてヒーターは金属シートを曲げることによって管状形状にされている。
図2の上方部は装置の近位方向であり、一方で
図2の下方部は装置の遠位方向である。これは、下方の上流部から上方の下流部に向かって空気が流れることを意味する。固定用脚部16は
図2において、管状ヒーターの近位端および遠位端に提供されることが分かる。
【0073】
図2において、PEEKなどの断熱および電気絶縁材料から作製された電気抵抗要素18がさらに描写されている。電気抵抗要素18は、ヒーターを包囲するために提供されていて、これによって、エアロゾル発生装置のさらなる構成要素からヒーターを電気絶縁および断熱する。電気抵抗要素18はまた、近位端20および遠位端22を備える。固定用脚部16は、ヒーターを電気抵抗要素18に固定するために、外向きに、また電気抵抗要素18の端20、22の外側に曲げられるように構成されている。
【0074】
固定用脚部16を適所にしっかりと保持するために、近位リング24および遠位リング26が提供されている。リング24、26は、リング24、26と電気抵抗要素18の間に固定用脚部16をクランプ留めするように構成されている。
【0075】
図3は、
図2に図示した構成要素が組み立てられた状態を示す。この図において、中央加熱部分10は電気抵抗要素18の内部に配設されている。中央加熱部分10と電気抵抗要素18の両方は管状形状を有し、かつエアロゾル発生物品28の形態の消耗品を中に挿入することができるエアロゾル発生装置の加熱チャンバーを包囲する。中央加熱部分10が電気抵抗要素18の内部上に配設されていることに起因して、中央加熱部分10は、エアロゾル発生物品28中に含有されたエアロゾル形成基体を最適に加熱することができるように、エアロゾル発生物品28と直接接触する。中央加熱部分10を断熱電気抵抗要素18で包囲することによって、加熱チャンバーの内部に熱が閉じ込められ、それによって装置のエネルギー効率を最適化する。
【0076】
図3はまた、固定用脚部16が、外向きに、かつ電気抵抗要素18の近位端20および遠位端22の周りに曲げられていることを示す。固定用脚部16を適所に固定し、かつそれ故に電気抵抗要素18の内部の所望の位置に中央加熱部分10を固定するために、固定用脚部16をクランプ留めするリング24、26が
図3に示されている。中央加熱部分10、固定用脚部16、電気抵抗要素18、およびリング24、26から成る要素全体はそれ故に、空間を提供するように構成されている要素を成し、この空間はエアロゾル発生物品28を中に挿入することができ、かつ物品28を加熱する一方で、エアロゾル発生装置の残りの部分に対して電気絶縁および断熱されているように構成されている。
【0077】
加えて、
図3において、曲げられた固定用脚部16が、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中へのエアロゾル発生物品28の挿入を容易にするための面取り部30を成すことが示されている。
【0078】
図4は、ヒーター組立品の熱画像を示す。加熱が主として中央加熱部分10の中で起こることが分かる。これは、導電経路が第一の電気接点12から中央加熱部分10を通し、第二の電気接点14に向かって通る(またはその逆も可)という事実に起因する。固定用脚部16は、この導電経路には関与せず、従って中央加熱部分10から固定用脚部16への熱の伝導によって受動的に加熱されるのみである。電気抵抗要素18の端部分20、22の周りに固定用脚部16を曲げた後、固定用脚部16の端は無視できる程度に加熱される。言い換えれば、固定用脚部16の端は、電気抵抗要素18の内部に配設されているヒーター組立品の残りの部分(主に中央加熱部分10)と比較して、電気抵抗要素18の外側に配設されていて、加熱チャンバーの外側に有意な量の熱を放射しない。これ故に、ヒーターは、ヒーターの加熱部分(すなわち、中央加熱部分10)だけでなく、ヒーターの固定手段(すなわち、固定用脚部16)も成す金属材料の単一のシートから提供されていて、一方で同時に、ヒーターの電気絶縁および断熱ならびに安定性を最適化する。