(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】歯を清掃するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A61C 17/34 20060101AFI20220801BHJP
A61C 17/00 20060101ALI20220801BHJP
A61C 17/22 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
A61C17/34
A61C17/00 Z
A61C17/22 Z
(21)【出願番号】P 2021524098
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(86)【国際出願番号】 DE2019000182
(87)【国際公開番号】W WO2020011296
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】202018003268.9
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521011190
【氏名又は名称】エーマン・アンド・パルトナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】エルレヴァイン,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ハーバース,クラウス
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-509430(JP,A)
【文献】特開2004-057315(JP,A)
【文献】特開2007-105190(JP,A)
【文献】特開2006-101941(JP,A)
【文献】国際公開第2017/035979(WO,A1)
【文献】米国特許第04164940(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/34
A61C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に馬蹄形状の歯列弓(22)の形態のマウスピース(20)を有し、
保持ユニット(26)を有し、
モータ駆動装置(28)を有する、歯を清掃するためのデバイス(10)において、
前記歯列弓(22)は、閉じた中空体として設計され、
前記歯に面する前記中空体(22)の側部は、歯清掃フィルム(34、36)を有し、
前記歯清掃フィルム(34、36)は、歯形状および顎形状に適合する個別化された表面輪郭を有し、
前記歯清掃フィルム(34、36)は、前記モータ駆動装置(28)によって振動させられることができる、ことを特徴とするデバイス(10)。
【請求項2】
前記閉じた中空体(22)は、液体および/またはガスで満たされる、ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記中空体(22)は
、上顎用の第1の歯清掃フィルム(34)と
、下顎用の第2の歯清掃フィルム(36)と、を有し、
前記2つの歯清掃フィルム(34、36)は、前記歯形状および顎形状に適合する個別化された表面輪郭をそれぞれ有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
上顎用および下顎用の前記2つの歯清掃フィルム(34、36)は、同一の材料から構成される、ことを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記歯列弓(22)は、前記モータ駆動装置(28)をスイッチオンおよびスイッチオフするための圧力センサ(40)を有する、ことを特徴とする請求項3または4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記圧力センサ(40)は、前歯切歯の領域に配置される、ことを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記歯清掃フィルム(34、36)は、形状付けで
きる、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記歯清掃フィルム(34、36)は、深絞り、ホットスタンピング、ディップ成形、鋳造、3D印刷法または注入成形によって作成できる、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記歯清掃フィルム(34、36)は、ラテックスフリーである、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記歯清掃フィルム(34、36)は、生体適合性シリコーンから構成される、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記歯清掃フィルム(34、36)は、熱可塑性ポリウレタン、あるいは、熱可塑性ポリウレタンおよびシリコーンの合成物から構成される、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記マウスピース(20)は、前記保持ユニット(26)に解除可能に取付けされる、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記モータ駆動装置(28)は、前記保持ユニット(26)の内部に配置される、ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記歯列弓(22)は、個別化された接触点(42、44、46)を有する、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記個別化された接触点(42、44、46)は、前歯の領域におよび/またはそれぞれの最後方の歯の遠位縁細長部に配置される、ことを特徴とする請求項14に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯を清掃するためのデバイスに関する。歯の清掃は、虫歯や歯周疾患などの歯の疾患を防ぐ目的で、定時に行わなければならない。歯の清掃は、好ましくは、毎日数回実行すべきである。
【背景技術】
【0002】
歯を清掃するためのデバイスが知られている。手動式ハンド歯ブラシは、種々のタイプの毛を有することがあり、広く普及している。更に、電動式歯ブラシが同じく存在し、清掃毛は、把持要素に配置されたモータ駆動装置によって、動作、例えば、回転や振動を始める。ハンド歯ブラシおよび電動式歯ブラシのどちらも、歯ブラシが歯のセット全体に沿って徐々に案内されなければならないように、単一の歯の清掃用にそれぞれ設計されている。
【0003】
更に、歯を清掃するためのデバイスは、知られており、少なくとも1つの略馬蹄形状のマウスピースを有する。そういったマウスピースは、それぞれの顎の全ての歯が同時に清掃できるように、下顎または上顎の全ての歯の上に置くことができる。
【0004】
そういったデバイスは、例えば、WO2018/014061A1から知られている。このケースのマウスピースは、顎全体を清掃すべきである多数のシリコーン毛が装着されている。斯くして、考慮されていないのは、各歯が個別に形状付けされるということである。
【0005】
上顎または下顎の差異、歯肉縁のアンダーカット、裂け目の窪み、歯幅および歯長の差異、および、歯の変位は、現況技術で知られたマウスピースでは、同じく考慮されていない。これらのマウスピースを用いた最適な歯の清掃は、斯くして、通常は可能でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この知られている現況技術を発端にして、本発明の目的は、歯を清掃するための改善されたデバイスを示すことであり、それを用いて、最適な歯の清掃は、出来る限り少ない磨く努力で、可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
歯を清掃するための本発明のデバイスは、主要な請求項1の特徴によって提供される。本発明の有益な展開は、この請求項に続く更なる請求項の主題である。
歯を清掃するための本発明のデバイスは、実質的に馬蹄形状の歯列弓の形態のマウスピースと、保持ユニットと、モータ駆動装置と、を有する。本発明によれば、歯列弓は、閉じた中空体として設計される。歯に面する中空体の側部は、斯くして、歯形状および顎形状に適合する個別化された表面輪郭を有する歯清掃フィルムを有する。歯清掃フィルムは、モータ駆動装置によって振動を始めることができる。モータ駆動装置として音波駆動装置を使用することによって、歯清掃フィルムは、3軸全てについて刺激できる。
【0008】
本発明の歯列弓では、毛の束は、斯くして、振動の伝達には不十分であることが証明されている理由で、歯の清掃にはもはや使用されない。
歯磨きペーストの摩耗性磨き体は、任意のタイプの歯清掃について重要な役割を演じる。音波駆動装置によって刺激されると、振動は、歯清掃フィルムから歯磨きペーストおよび本発明のデバイスにおけるそれの磨き体まで伝達され、歯清掃は、歯表面に直接起こる。故に、全ての歯は、同時に到達でき、歯垢や着色汚れの除去は、歯清掃フィルムから歯への直接の振動移動によって、特に効果的に起こすことができる。更に、隣接した空洞や他のアクセス困難領域の中への進入も、容易にされる。
【0009】
現況技術で知られた歯を清掃するためのデバイスとは対照的に、本発明のデバイスは、それぞれの上顎および/または下顎の歯列に個別に適合されてトポグラフィ的に事前成形される歯清掃フィルムを有する。歯清掃フィルムは、斯くして、歯の表面から約0.1ミリメートル~2ミリメートルの距離(オフセット)で作動する。故に、必要なのは、例えば、歯科医に歯の3Dスキャンを実行させることである。
【0010】
それに代えて、顎および噛み合わせ状況の3次元データは、同じように示すことができ、後者は、その後にスキャンできる。これらの3Dスキャンに基づいて、歯清掃フィルムは、それぞれの歯列の画像を用いて事前構造化できる。これは、最適な歯清掃を容易にする、寸法に合わせて作った個別化されたマウスピースの作成を容易にする。歯清掃フィルムは、顎形状および歯形状の3次元トポグラフィに完全に適合する。故に、特に、個別の歯変位または均等な歯間隔も、問題なく考慮できる。上顎と比較して下顎の異なった数の歯も、示すことができる。
【0011】
全ての歯が同時に含まれて清掃されるということなので、必要とされる磨き期間も、著しく削減できる。更に、磨く技術の誤り、例えば、歯および歯茎への過剰高圧や実のところ正しくない磨き角度は、回避できる。
【0012】
基本的に、閉じた中空体は、液体またはガスで満たすことができる。液体を充填するとき、例えば、油などの高粘度の液体も、使用できる。ガスの充填は、特に、空気の充填によって実現できる。中空体の内部での液体の使用は、歯に対する歯清掃フィルムの一定の接触圧の維持を容易にする。これは、最適な磨き効果を確実にする。
【0013】
設計が可能なのは、上顎の歯だけ用の、あるいは、同じく下顎の歯だけ用の本発明のデバイスのマウスピースの歯列弓であろう。このケースでは、合計で2つのデバイスは、全ての歯を清掃するのに必要であろうし、上顎の歯の清掃および下顎の歯の清掃は、次々に起こるであろう。そういった実施形態は、有利なことがあるが、それは、より大きな変化がより短い時間で一方の顎の歯のためだけに予想される場合であり、したがって、新しい3Dスキャンは、次々に比較的迅速に必要であり、故に、同じく新しい歯列弓は、作成されなければならない。これは、例えば、一方の顎の歯だけが歯矯正器によって修正されなければならない場合に歯矯正器による歯の変位の修正において、提供されることがある。
【0014】
特に好適な実施形態では、歯列弓の中空体は、上顎用の第1の歯清掃フィルムと、下顎用の第2の歯清掃フィルムと、を有することができ、それらは歯形状および顎形状に適合する個別化された表面輪郭をそれぞれ有する。上顎および下顎の歯の同時清掃は、このように可能であり、したがって、歯を磨くための時間労力が最小化できる。上顎用および下顎用の2つの歯清掃フィルムは、斯くして、同一の材料から構成できるのが好ましい。
【0015】
好ましくは、清掃プロセスの開始は、ボタンを指で押圧することによる従来のやり方ではなくて、起こすことができる。寧ろ、自動起動は、口の動きを介して起こすようにしてもよい。故に、歯列弓は、モータ駆動装置をスイッチオンおよびスイッチオフするための圧力センサを有していてもよい。この圧力センサは、前切歯の領域に配置できることが好ましく、その理由は、切歯が咀嚼面を持たないからである。圧力センサは、したがって、利用可能な清掃面を減少させないであろう。そういった圧力センサは、前歯の圧力下で屈して、下に横たわるセンサを作動できる。或る種の最小圧力、例えば、100グラム/平方センチメートルの圧力は、好ましくは、モータ駆動装置を開始させるために必要であることがある。高感度の圧力監視に起因して、閾値が、例えば、250グラム/平方センチメートルを超えるとき、視覚的または聴覚的なユーザアラームは、影響されることがある、および/または、モータの振動は、変化または停止すらあり得る。
【0016】
歯を清掃するために、例えば、歯清掃フィルムは、使用できて、深絞りまたはホットスタンピングを使って形状付けすることによる個別の歯列の3次元プロファイルを用いて事前構造化される。それに代えて、歯清掃フィルムは、深絞り、ホットスタンピング、ディップ成形、鋳造を使って、3D印刷法によってまたは注入成形法によって、形状付けできる。歯構造は、接触圧の積重ねに起因して歯清掃フィルムによって最適に囲まれる。故に、歯清掃媒体としての歯清掃フィルムと歯との間の最大接触面は、作成できる。それに代えて、歯清掃フィルムは、歯面からのオフセットを有することができる。そういったオフセットは、特に、0.01ミリメートルから2ミリメートルの間であり得る。
【0017】
歯清掃フィルムは、口腔の粘膜と直接接触しているという理由で、有毒であってはならない。更に、歯清掃フィルムは、食材接触に適し(生体適合性)、ラテックスフリーにすべきである。振動エネルギを最適な方法で歯面に転送し、歯からバイオフィルムを十分な隔たり容易にする目的で、歯清掃フィルムは、更には或る種の剛性を有するべきである。同時に、フィルム材料は、歯茎を傷つけない目的で十分に軟質にすべきである。特に、シリコーンで作製された歯清掃フィルムは、この文脈において特に適していることが判明した。また、熱可塑性ポリウレタンや他の弾性材料で作製された歯清掃フィルムは、考えられる。幾つかの材料の組合せは、歯清掃フィルムの格付けを、故にそれの有効性を追加的に増加できる。
【0018】
モータ駆動装置は、特に、保持ユニットの内部に配置でき、デバイスの取扱いを簡略化する。このケースでは、保持ユニットに対するマウスピースの解除可能な取付けは、マウスピースの清掃可能性に関して幾つかの利点を伴うことができる。更に、マウスピースは、保持ユニットを交換しなければならないこともなく、この方法で定時に交換および置換できる。それに代えて、保持ユニットは、マウスピースに恒久的に連結できる。モータ駆動装置は、このケースでは、好ましくは、保持ユニットの中の内側に挿入され、故に、後者に取付けできる。ここにおいても、保持ユニットを備えたマウスピースの交換は、モータ駆動装置を交換しなければならないこともなく、可能である。
【0019】
人間工学および着用者快適性を出来る限り肯定的に設計する目的で、出来る限り小型の歯列弓の、故にやはりマウスピース全体の寸法決めは、必要である。したがって、マウスピースは、機能的に格付けされた材料から構成し、好ましくは、3D印刷法を使って生成できなければならない。
【0020】
モータ駆動装置は、好ましくは、音発生器を有することができる。音は、斯くして、特に、電磁式、気圧式、または、圧電素子を介して生成できる。
歯列弓は、好ましくは、マウスピースを最適な方法で2つの顎に位置決めできるようにする目的で、個別化された接触点を有することができる。上顎用および下顎用の歯清掃フィルムが比較的薄く、故に、可撓性があるという理由で、マウスピース内での使用者の上顎および下顎の正しくない位置決めは、接触点によって防止される。歯清掃フィルムが使用者の歯によって十分な圧力で接触点に押圧されるときだけ、正しい位置決めが保証され、モータ駆動装置は、開始できる。故に、やはりその後にだけ、清掃プロセスは、開始できる。歯清掃フィルムの限られた振動だけが接触点の領域で可能であるという理由で、接触点は、出来る限り小さく保たれて、清掃プロセス中に出来る限り重要ではないそういった点に配置されなければならない。接触点は、好ましくは、前歯の領域におよび/またはそれぞれの最後の歯(臼歯または知恵歯)の遠位縁細長部に配置できる。
【0021】
基本的に、人の歯を清掃すること、または、同じく動物(例えば、犬、猫、または馬)の歯を清掃することは、本発明のデバイスを用いて可能にすることができる。本発明のデバイスは、子供用および大人用で使用できる。歯の新しい3Dスキャンは、斯くして、歯構造に変更を加えることができるようにする目的で、一定の間隔で生成されなければならない。これは、特に、乳歯群から成人歯群の間の移行期間に、より多くある事例である可能性がある。
【0022】
本発明の更なる利点および特徴は、特許請求の範囲および下の例で同様に示された特徴から理解できる。
本発明は、図面に示された例を使用して、下でより詳細に説明および例証される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】歯を清掃するための本発明のデバイスの斜視図である。
【
図3】臼歯の領域における
図1および2に係るデバイスの歯列弓を通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
歯を清掃するための本発明のデバイス10は、
図1~3に示されている。デバイス10は、略馬蹄形状の歯列弓22の形態のマウスピースを有する。マウスピース20は、連結部分24を介して保持ユニット26に連結される。マウスピース20を交換できるようにする目的で、マウスピース20は、本例では連結部分24に解除可能に取付けされる。保持ユニット26は、統合型モータ駆動装置28を有する。
【0025】
歯列弓22は、閉じた中空体として設計される(
図3参照)。歯列弓22の側縁30、32は、剛性プラスチック材料からそれぞれ形成される。歯列弓22の上側および下側は、他方において歯に面しているが、歯清掃フィルム34、36をそれぞれ有する。歯清掃フィルム34、36は、使用者の歯形状および顎形状に適合する個別化された表面輪郭をそれぞれ有する。歯清掃フィルム34は、斯くして、本例では上顎の歯形状および顎形状に適合し、他方、歯清掃フィルム36は、下顎の歯形状および顎形状に適合する。下顎および上顎の歯のための歯列弓22の個別の窪みは、斯くして、U形状またはV形状の輪郭を有するだけではない。寧ろ、窪みは、歯列弓22が1人の使用者のためだけに使用できるように、個別に適合する。故に、歯列弓22の最適な適合は、故に最適な清掃結果も、達成できる。
【0026】
歯清掃フィルム34、36は、歯列弓22の側縁30、32のまわりにそれぞれ少し案内されて、側縁30、32の外側に取付けされる。ガス媒体は、本例では歯列弓22の内部38に位置する。
【0027】
意図された使用の場合に、歯列弓22は、使用者の口の中に押し込まれ、口は、その後に閉じられる。使用者の唇は、斯くして、連結部分24に対して静止するようになる。使用者の歯は、歯列弓22の窪みに位置し、歯清掃フィルム34、36によって囲まれる。歯清掃フィルム34、36は、斯くして、使用者の歯上に直接静止でき、あるいは、使用者の歯から短い距離を有することもできる。
【0028】
保持ユニット26は、口の外側のままであり、使用者自身であるいは第三者によって保持できる。歯清掃フィルム34、36は、モータ駆動装置28によって振動を始めることができる。
【0029】
本例では、保持ユニット26は、モータ駆動装置28をスイッチオンおよびスイッチオフするための操作ボタンを有しない。寧ろ、圧力センサ40は、それを使ってモータ駆動装置28がスイッチオンおよびスイッチオフされ得るが、前歯切歯の領域に位置する。歯列弓22が口の中に正しく挿入されて顎が閉じられる場合、圧力センサ40での事前定義済み閾値は、突破されて、モータ駆動装置28は、スイッチオンされる。他方、口が再度開かれる場合、モータ駆動装置28は、自動的にスイッチオフされる。他方、圧力センサ40での或る種の閾値が突破される場合、同じくモータ駆動装置28のスイッチオフは、起こる可能性がある。
【0030】
口の中の歯列弓22の正しい位置決めを検査できるようにする目的で、歯列弓22は、本例では合計で3つの接触点42、44、46を有する。使用者の歯が歯清掃フィルム34、36を介して接触点42、44、46のうちの一点で歯列弓と接触しているときだけ、歯清掃フィルム34、36は、それぞれの顎を正しく取り囲み、清掃プロセスは、開始できる。本例では、接触点42は、前歯切歯の領域に、故に、圧力センサ40の領域にも、配置される。2つの後方接触点44、46は、最後方の歯の領域、即ち、最後方の臼歯または知恵歯の領域で両側にそれぞれ配置される。
(項目1)
実質的に馬蹄形状の歯列弓(22)の形態のマウスピース(20)を有し、
保持ユニット(26)を有し、
モータ駆動装置(28)を有する、歯を清掃するためのデバイス(10)において、
前記歯列弓(22)は、閉じた中空体として設計され、
前記歯に面する前記中空体(22)の側部は、歯清掃フィルム(34、36)を有し、
前記歯清掃フィルム(34、36)は、歯形状および顎形状に適合する個別化された表面輪郭を有し、
前記歯清掃フィルム(34、36)は、前記モータ駆動装置(28)によって振動させられることができる、ことを特徴とするデバイス(10)。
(項目2)
前記閉じた中空体(22)は、液体および/またはガスで満たされる、ことを特徴とする項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記中空体(22)は、前記上顎用の第1の歯清掃フィルム(34)と、前記下顎用の第2の歯清掃フィルム(36)と、を有し、
前記2つの歯清掃フィルム(34、36)は、前記歯形状および顎形状に適合する個別化された表面輪郭をそれぞれ有する、ことを特徴とする項目1または2に記載のデバイス。
(項目4)
上顎用および下顎用の前記2つの歯清掃フィルム(34、36)は、同一の材料から構成される、ことを特徴とする項目3に記載のデバイス。
(項目5)
前記歯列弓(22)は、前記モータ駆動装置(28)をスイッチオンおよびスイッチオフするための圧力センサ(40)を有する、ことを特徴とする項目3または4に記載のデバイス。
(項目6)
前記圧力センサ(40)は、前歯切歯の領域に配置される、ことを特徴とする項目5に記載のデバイス。
(項目7)
前記歯清掃フィルム(34、36)は、形状付けでき、特に、深絞りによってあるいはホットスタンピングによって形状付けできる、ことを特徴とする項目1から6のいずれか1項に記載のデバイス。
(項目8)
前記歯清掃フィルム(34、36)は、深絞り、ホットスタンピング、ディップ成形、鋳造、3D印刷法または注入成形によって作成できる、ことを特徴とする項目1から6のいずれか1項に記載のデバイス。
(項目9)
前記歯清掃フィルム(34、36)は、ラテックスフリーである、ことを特徴とする項目1から8のいずれか1項に記載のデバイス。
(項目10)
前記歯清掃フィルム(34、36)は、生体適合性シリコーンから構成される、ことを特徴とする項目1から9のいずれか1項に記載のデバイス。
(項目11)
前記歯清掃フィルム(34、36)は、熱可塑性ポリウレタン、あるいは、熱可塑性ポリウレタンおよびシリコーンの合成物から構成される、ことを特徴とする項目1から10のいずれか1項に記載のデバイス。
(項目12)
前記マウスピース(20)は、前記保持ユニット(26)に解除可能に取付けされる、ことを特徴とする項目1から11のいずれか1項に記載のデバイス。
(項目13)
前記モータ駆動装置(28)は、前記保持ユニット(26)の内部に配置される、ことを特徴とする項目1から12のいずれか1項に記載のデバイス。
(項目14)
前記歯列弓(22)は、個別化された接触点(42、44、46)を有する、ことを特徴とする項目1から13のいずれか1項に記載のデバイス。
(項目15)
前記個別化された接触点(42、44、46)は、前歯の領域におよび/またはそれぞれの最後方の歯の遠位縁細長部に配置される、ことを特徴とする項目14に記載のデバイス。