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特許7114815電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 12/06 20060101AFI20220801BHJP
   H01M 50/77 20210101ALI20220801BHJP
   H01M 50/609 20210101ALI20220801BHJP
   H01M 6/50 20060101ALI20220801BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20220801BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20220801BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20220801BHJP
【FI】
H01M12/06 H
H01M50/77
H01M50/609
H01M6/50
H01M12/06 A
H01M12/06 F
H01M12/06 Z
H01M50/298
H01M50/284
H01M50/204 401D
H01M50/204 401H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021538137
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-12
(86)【国際出願番号】 CN2021081746
(87)【国際公開番号】W WO2021190408
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】202010227262.7
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521282103
【氏名又は名称】唐山海港経済開発区北京理工大学机械与車輛学院転化研究中心
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】董 明明
(72)【発明者】
【氏名】梁 ▲リョウ▼
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲イウ▼
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-152184(JP,A)
【文献】特開2017-216153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 12/06
H01M 50/77
H01M 50/60
H01M 6/50
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属空気燃料電池パック、センシングサブシステム、コントローラ及び循環ろ過サブシステムを含む開放型金属空気燃料電池システムであって;
前記金属空気燃料電池パックには、電解液溝と数個の開放型金属空気燃料電池セルが含まれる;前記開放型金属空気燃料電池セルが前記電解液溝内に順次配置され、且つ各前記開放型金属空気燃料電池セル同士が並列に接続されている;その中、前記開放型金属空気燃料電池セルには、金属電極及び空気電極が含まれている;前記金属電極が前記空気電極の下に位置している;前記空気電極が溝構造を有し、且つ前記溝構造の凹面が上向きである;前記電解液溝内の電解液の高さが、前記金属電極と前記空気電極の下の表面を浸し、且つ前記空気電極の上縁より高くない高さである;
前記センシングサブシステムが前記電解液溝内に配置されている;前記センシングサブシステムが、電解液の温度情報、液面情報及び濃度情報を取得して、前記電解液の温度情報、液面情報及び濃度情報を前記コントローラに送信する;
前記電解液溝の液排出口が、液排出パイプラインを介して前記循環ろ過サブシステムの第1液注入口に接続され、前記電解液溝の液注入口は、第1液注入パイプラインを介して前記循環ろ過サブシステムの液排出口に接続されている;
前記コントローラが前記循環ろ過サブシステムに電気的に接続されている;前記コントローラが、前記電解液の温度情報に基づいて前記循環ろ過サブシステムの循環流量を制御するために使用されることを特徴とする電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システム。
【請求項2】
電解液補充サブシステムをさらに含む;前記電解液補充サブシステムの液排出口が、第2液注入パイプラインを介して前記循環ろ過サブシステムの第2液注入口に接続されている;
前記コントローラが、前記電解液補充サブシステムに電気的に接続されている;前記コントローラが、前記電解液の液面情報及び濃度情報に基づいて、電解液補充サブシステムの補充流量を制御するために使用されることを特徴とする請求項1に記載の電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システム。
【請求項3】
前記開放型金属空気燃料電池セルは、固定クリップ、DCDCモジュール、及びバスプレートをさらに含み;
前記空気電極の一端に前記バスプレートが取り付けられ、前記空気電極の他端に前記固定クリップが取り付けられている;前記金属電極、前記空気電極は、いずれも銅板を介して前記バスプレートに固定されている;
前記バスプレート内蔵のプラス線とマイナス線は前記DCDCモジュールに電気的に接続されている;
前記開放型金属空気燃料電池セルが、固定クリップを介して前記電解液溝内に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システム。
【請求項4】
前記電解液溝の中央に、透かし彫りのサポートプレートが設置されていて、前記電解液溝の両側にサイズの異なる液注入口と液排出口が設けている;前記透かし彫りのサポートプレートは前記金属電極が前記電解液溝と直接接触しないために使用されることを特徴とする請求項1に記載の電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システム。
【請求項5】
前記金属空気燃料電池パックに、陽極バスと陰極バスが設けられている;各前記開放型金属空気燃料電池セルの陽極は前記陽極バスに接続されており、各開放型金属空気燃料電池セルの陰極は前記陰極バスに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システム。
【請求項6】
前記バスプレートに、第1の接続端子と第2の接続端子との2つの接続端子が設けられている;前記第1の接続端子が、ナットを介して、前記開放型金属空気燃料電池セルの陽極を前記金属空気燃料電池パックの陽極バスに固定している;前記第2の接続端子が、ナットを介して、前記開放型金属空気燃料電池セルの陰極を前記金属空気燃料電池パックの陰極バスに固定していることを特徴とする請求項3に記載の電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システム。
【請求項7】
前記循環ろ過サブシステムには、沈殿タンク、フィルタ、循環ポンプ、ラジエータが含まれている;
前記沈殿タンクに、第1の液注入口及び液排出口が設けられている;前記フィルタが、前記沈殿タンク内の前記液排出口に配置されている;
前記電解液溝の液排出口が、液排出パイプラインを介して前記沈殿タンクの第1の液注入口に接続されている;前記沈殿タンクの液排出口が、前記第1の液注入パイプライン及び、前記第1の液注入パイプラインに配置されている前記循環ポンプと前記ラジエータを介して、前記電解液溝の液注入口に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システム。
【請求項8】
前記電解液補充サブシステムには、補液タンク、補液ポンプ、及び一方向弁が含まれる;
前記補液タンクの液排出口が、第2の液注入パイプライン及び、前記第2の液注入パイプラインに配置されている前記補液ポンプと前記一方向弁を介して、前記循環ろ過サブシステムの沈殿タンクの第2の液注入口に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の継続的に電力供給できる開放型金属空気燃料電池システム。
【請求項9】
前記コントローラは、それぞれ前記電解液補充サブシステムの補液ポンプ及び前記循環ろ過サブシステムの循環ポンプに電気的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システム。
【請求項10】
前記センシングサブシステムには、温度センサー、液面センサー、及び液体濃度センサーが含まれることを特徴とする請求項1に記載の電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年3月17日に中国特許庁に提出された、出願番号が202010227262.7であり、発明の名称が「電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システム」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全体は、参照により、本出願に組み込まれ、援用される。
【0002】
本発明は、金属空気燃料電池パックの分野に関し、特に電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池パックは、現在広く使用されているパワー電池として、電力密度が高く、サイクル寿命が長いという特徴があり、電力機器に広く使用されている。しかし、リチウムイオン電池にも固有の欠点があり、1つ目の欠点はエネルギー密度が低く、リチウムイオン電池がエネルギー源として広く使用されている電気自動車の分野では、リチウムイオン電池のエネギー密度が低いため、純粋な電気自動車の航続距離は不十分である;二つ目の欠点は、リチウムイオン電池は、充放電に温度の要求が高く、一般的に0℃以下では充電できず、-10℃以下では動作しないため、冬の寒い地域での使用に大きな不便がある。同時に、リチウムイオン電池に固有の安全性の問題とリサイクルの問題のいずれも、リチウム電池の代わりに他の形態の電池を使用することは切迫している。電力密度、エネルギー密度、環境への配慮、製品の安全性の点で空気燃料電池とリチウム電池の間に大きなギャップがあることに加えて、製品の安全性はリチウムイオン電池に比べて大きな利点があり、有望な開発の方向性である。
【0004】
異なるアノードに応じて、空気燃料電池は水素燃料電池と金属空気燃料電池に分けられて、水素燃料電池は、アノードとして水素、カソードとして酸素を使用し、生成物は水である。高圧水素のエネルギー密度は非常に高いが、高圧水素の貯蔵や輸送が難しく、危険性も高く、現在、多くの国で水素燃料電池の開発が中止されている。
【0005】
金属空気燃料電池パックは、高い電力密度を有し、生成物がシンプルで、リサイクルが簡単であり、優れた環境への配慮、高い金属電極エネルギー密度、便利な輸送及び保管を備えた、非常に有望なエネルギーデバイスである。金属空気燃料電池は、アノードとして活性金属、カソードとして酸素を使用し、生成物は金属の塩又は水酸化物である。現在使用されている活性金属は、主にマグネシウム、アルミニウム及び亜鉛が含まれている。使用する電解液のpH値により、酸性電解液電池、アルカリ性電解液電池、中性電解液電池に分けられ、その中で、アルミニウムと亜鉛は酸性又はアルカリ性電解液しか使用できない。マグネシウムはより強い金属活性を持っているため、電解液として中性塩溶液(例えば、NaCl溶液など)を使用できる。
【0006】
金属空気燃料電池は原則として一次電池に属し、金属空気燃料電池の金属電極は使用中に損失され、無くなってから交換する必要があり、酸性又はアルカリ性電解液を使用した金属空気燃料電池は、電解液における酸、アルカリが電池の放電過程で損失されて、電池の性能が低下し、損失が一定のレベルに達したとき、又は生成物が一定の濃度に達したときは、交換する必要がある。中性電解液を使用すると、溶液特性の変化は反応過程に関与しないが、生成物に含まれる金属の水酸化物は水に溶けないため、電解液の流動性を低下させ、それにより電池の性能も低下させて、生成物が一定のレベルに達した時、クリーンアップする必要がある。
【0007】
従来の金属空気燃料電池パックは独立した電池ユニットを使用しており、電解液と金属アノードのいずれも交換が比較的に複雑である。従来の金属空気燃料電池パックは、電解液循環ろ過法を使用しているのもあるが、各電池ユニットが独立しているため、循環ろ過で電解液を完全に更新することが難しく、デッドスポットが多く、時間が長くなると、完全に分解してメンテナンスする必要がある。さらに、電解液の流れが制限されているため、電解液によって電池ユニットを冷却することは容易ではなく、高出力放電中の電池ユニットの温度安定性を維持するために、追加の空冷システムが必要になるため、構造が複雑になり、作業の信頼性が低く、BMSシステムの設計の難しさが増す。
【0008】
金属電極が消耗して無くなった場合、各セルは独立しており、直列接続又はハイブリッド接続の方法を使用しているため、電極を交換する場合は、電源を遮断する必要があり、これは、電源ユニットとして金属空気燃料電池を使用する大規模な発電所では受け入れられない。さらに、交換手順は比較的複雑であり、生成物の回収に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これに基づいて、電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を実現するために、本発明は以下の技術案を提供し、
金属空気燃料電池パック、センシングサブシステム、コントローラ及び循環ろ過サブシステムを含む電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システムである;
前記金属空気燃料電池パックには、電解液溝と数個の開放型金属空気燃料電池セルが含まれる;前記開放型金属空気燃料電池セルは前記電解液溝内に順次配置され、且つ各前記開放型金属空気燃料電池セル同士は並列に接続されている;この中、前記開放型金属空気燃料電池セルに、金属電極及び空気電極が含まれている;前記金属電極が前記空気電極の下に位置されている;前記空気電極が溝構造を有し、且つ前記溝構造の凹面が上向きである;前記電解液溝内の電解液の高さが、前記金属電極と前記空気電極の下の表面を浸し、且つ前記空気電極の上縁より高くない高さである;
前記センシングサブシステムが前記電解液溝内に配置されている;前記センシングサブシステムが、電解液の温度情報、液面情報及び濃度情報を取得して、前記電解液の温度情報、液面情報及び濃度情報を前記コントローラに送信する;
前記電解液溝の液排出口が、液排出パイプラインを介して前記循環ろ過サブシステムの第1液注入口に接続され、前記電解液溝の液注入口は、第1液注入パイプラインを介して前記循環ろ過サブシステムの液排出口に接続されている;
前記コントローラは前記循環ろ過サブシステムに電気的接続されている;前記コントローラが、前記電解液の温度情報に基づいて前記循環ろ過サブシステムの循環流量を制御するために使用される。
【0011】
また、電解液補充サブシステムをさらに含む;前記電解液補充サブシステムの液排出口が、第2液注入パイプラインを介して前記循環ろ過サブシステムの第2液注入口に接続されている;
前記コントローラが、前記電解液補充サブシステムに電気的に接続されている;前記コントローラが、前記電解液の液面情報及び濃度情報に基づいて、電解液補充サブシステムの補充流量を制御するために使用されることもできる。
【0012】
また、前記開放型金属空気燃料電池セルは、固定クリップ、DCDCモジュール、及びバスプレート(Bus board)をさらに含み;
前記空気電極の一端に前記バスプレートが取り付けられ、前記空気電極の他端に前記固定クリップに取り付けられている;前記金属電極、前記空気電極は、いずれも銅板を介して前記バスプレートに固定されている;
前記バスプレート内蔵のプラス線とマイナス線は前記DCDCモジュールに電気的に接続されている;
前記開放型金属空気燃料電池セルは、固定クリップを介して前記電解液溝内に固定されていることもできる。
【0013】
また、前記電解液溝の中央に、透かし彫りのサポートプレートが設置され、前記電解液溝の両側に異なるサイズの液注入口と液排出口が設けている;前記透かし彫りのサポートプレートは前記金属電極が前記電解液溝と直接接触しないために使用されることもできる。
【0014】
また、前記金属空気燃料電池パックに、陽極バスと陰極バスが設けられている;各前記開放型金属空気燃料電池セルの陽極は前記陽極バスに接続され、各開放型金属空気燃料電池セルの陰極は前記陰極バスに接続されていることもできる。
【0015】
また、前記バスプレートに、第1の接続端子と第2の接続端子との2つの接続端子が設けられている;前記第1の接続端子は、ナットを介して、前記開放型金属空気燃料電池セルの陽極を前記金属空気燃料電池パックの陽極バスに固定している;前記第2の接続端子は、ナットを介して、前記開放型金属空気燃料電池セルの陰極を前記金属空気燃料電池パックの陰極バスに固定していることもできる。
【0016】
また、前記循環ろ過サブシステムには、沈殿タンク、フィルタ、循環ポンプ、ラジエータが含まれている;
前記沈殿タンクに、第1の液注入口及び液排出口が設けられている;前記フィルタが、前記沈殿タンク内の前記液排出口に配置されている;
前記電解液溝の液排出口は、液排出パイプラインを介して前記沈殿タンクの第1の液注入口に接続されている;前記沈殿タンクの液排出口は、前記第1の液注入パイプライン及び、前記第1の液注入パイプラインに配置されている前記循環ポンプと前記ラジエータを介して、前記電解液溝の液注入口に接続されていることもできる。
【0017】
また、前記電解液補充サブシステムには、補液タンク、補液ポンプ、及び一方向弁が含まれる;
前記補液タンクの液排出口が、前記第2の液注入パイプライン及び、第2の液注入パイプラインに配置されている前記補液ポンプと前記一方向弁を介して、前記循環ろ過サブシステムの沈殿タンクの第2の液注入口に接続されていることもできる。
【0018】
また、前記コントローラは、それぞれ前記電解液補充サブシステムの補液ポンプ及び循環ろ過サブシステムの循環ポンプに電気的に接続されていることもできる。
【0019】
また、前記センシングサブシステムには、温度センサー、液面センサー、及び液体濃度センサーが含まれることもできる。
【発明の効果】
【0020】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は以下の通りである。
本発明により提供される電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システムの電池ユニットは、開放型構造を採用し、電解液を共有しているので、電解液更新システムの1セットのみで、電解液の化学的性質、生成物含有量、及び温度の安定性を確保できる。弱カップリング組立技術(各電池ユニットの直接的な関係が密接でない)を使用することで電力供給を確保することを前提として、電池ユニットの電極交換やメンテナンス作業を行うことができる。水平構造(電池を並列に接続され、電解液を共有)を使用し、開放環境で、空気電極の一端が液体の内圧に耐える必要はないため、空気電極をシールせずに固定するだけで、電池パックの製造をスピードアップさせ、作業の信頼性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の実施形態又は従来の技術の技術的解決策をより明確に説明するために、実施形態に必要な図面を以下に簡単に紹介するが、明らかに、以下の説明の図面は、本発明実施形態の一部にすぎなく、当業者であれば、創造的な労力なしで、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0022】
図1図1は本発明開放型金属空気燃料電池セルの構造を示す概略図である;
図2図2は本発明の電解液溝の構造を示す概略図である;
図3図3は本発明の金属空気燃料電池パックの構造を示す概略図である;
図4図4は本発明の金属空気燃料電池パックシステムの構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態における技術的解決策は、本発明の実施形態における図面と併せて明確かつ完全に説明されるが、明らかに、記載された実施形態は、すべてではなく、本発明の実施形態の一部にすぎない。本発明の実施形態に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0024】
本発明は、電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システムの提供を目的とする。従来の金属空気燃料電池パックの電力供給を継続しながら、金属電極を交換する問題、及び電解液のメンテナンスと冷却の問題を解決し、シール構造を省略し、金属製空気燃料電池のメンテナンスを大幅に簡素化し、用途を拡大させる。
【0025】
本発明の上記の目的、特徴及び利点をより明白かつ理解できるために、本発明は、図面及び特定の実施形態と併せて、以下でさらに詳細に説明される。
【0026】
開放型:一般的に、金属空気燃料電池パックの各電池ユニットは独立であり、それぞれが別個に電解液を有し、本発明から構成される金属空気燃料電池パックの各電池ユニットは、電解液共有し、電解液は一つの共有の電解液溝にある。1セットの電解液更新システムによって、電解液を更新でき、特に中性電解液を使用するマグネシウム空気燃料電池では、その生成物である水酸化マグネシウムは粘性コロイドである。独立したセルの電池である場合、電解液の交換が難しく、生成物の回収に不利であり、アルカリ性又は酸性電解液を使用する金属空気燃料電池パックの場合、電解液中の酸とアルカリは電力供給過程中に失われ続けるため、電解液のpH値が変化し、放電電力が低下になる。開放型構造を使用することで、電解液を循環させ、反応生成物を除去し、消費された酸とアルカリを補充でき、同時に、電解液を循環させて金属空気燃料電池パック全体を冷却し、特に高出力の電源ステーションでは、金属空気燃料電池パックの継続的な高出力の放電が保証できる。
【0027】
シールフリー:マグネシウム空気燃料電池パックの構造により、構造のシールが難しい研究開発の問題が回避され、構造が垂直電池とは異なるため、開放した環境では、空気電極の一端は液体の内圧に耐える必要がないため、シールの必要はなく、空気電極を固定すればよく、金属空気燃料電池パックは生産が加速され、且つ作業の信頼性が確保される。
【0028】
継続的に電力供給:金属空気燃料電池パックの金属陽極は、電力供給プロセス中に摩耗し続け、金属電極が損失されてなくなってから、新しい金属電極に交換される必要があり、従来の金属空気燃料電池パックでは、金属電極を交換するために、電力供給を中断する必要があり、金属電極の交換手順が複雑で、一度にすべての電極を交換する必要があり、損失の少ないセルの場合、金属の無駄になる。本発明によって提供される金属空気燃料電池パックは、各電池ユニットが弱カップリングで並列に接続され、システム全体の電力供給に影響を与えることなく、金属が使用されて無くなったセルの電極を単独に交換でき、継続的に電力供給を実現し、これは金属空気燃料電池パックに基づく高出力電源ステーションの場合では、非常に重要である。
【0029】
上記の原理に基づいて、本発明は、金属空気燃料電池パック、センシングサブシステム、コントローラ、及び循環ろ過サブシステムを含む電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システムを提供する。その中で、金属空気燃料電池パックは、電解液溝と数個の開放型金属空気燃料電池セル(電池ユニット)が含まれる。
【0030】
開放型金属空気燃料電池セルは電解液溝内に順次配置され、且つ各開放型金属空気燃料電池セルの間に並列に接続されている。
センシングサブシステムを電解液溝内に配置:センシングサブシステムは、電解液の温度情報、液面情報及び濃度情報を取得して、電解液の温度情報、液面情報及び濃度情報をコントローラに送信する。
【0031】
電解液溝の液排出口は、液排出パイプラインを介して循環ろ過サブシステムの第1液注入口に接続されて、電解液溝の液注入口は、第1液注入パイプラインを介して循環ろ過サブシステムの液排出口に接続されている;電解液補充サブシステムは、第2液注入パイプラインを介して循環ろ過サブシステムの第2液注入口に接続されている。
【0032】
コントローラは循環ろ過サブシステムに電気的接続されている;コントローラは、電解液の温度情報に基づいて循環ろ過サブシステムの循環流量を制御する。
【0033】
コントローラは、電解液補充サブシステムに電気的に接続される;コントローラは、電解液の液面情報及び濃度情報に基づいて、電解液補充サブシステムの補充流量を制御する。
【0034】
図1に示すように、開放型金属空気燃料電池セルは、固定クリップ1、空気電極2、金属電極3、DCDCモジュール4、及びバスプレート(Bus board)7を含む。
【0035】
金属電極3は金属板であり、金属電極3は水平に放置されるように電解液溝内の電解液に完全に浸漬されている。金属電極3に空気電極2が設けられて、電解液は金属電極3と空気電極2との間にある。空気電極2は溝構造を有し、当該溝構造の凹面は上向きで空気と接触している;当該溝の構造も水平に放置されるように電解液溝内の電解液に浸漬されている。電解液溝内の電解液の高さは、空気電極2の下面を浸漬し、空気電極2の上縁より高くない必要がある。
【0036】
空気電極2の一端にはバスプレート7が取り付けられ、空気電極2の他端には固定クリップ1が取り付けられている。金属電極3、空気電極2は、いずれも銅板5を介してバスプレート7と固定されている;バスプレート7の内蔵のプラス線とマイナス線は前記DCDCモジュール4に電気的に接続されている。DCDCモジュール4の主な目的は、電圧を増加させ、金属空気燃料電池パックを負荷入力に合わせると同時に電圧を上げ、出力電流を減らし、損失を減らすことにある。開放型金属空気型燃料電池セルは、固定クリップ1により電解液溝に固定されている。
【0037】
本発明は、図1に示すような開放金属空気燃料電池セルを図2に示すような電解液溝6内に配置する。その中で、電解液溝6の中央には、金属電極3が電解液溝6に直接接触しないよう透かし彫りのサポートプレートが設けられ、電解液溝6の両側に、異なるサイズの液注入口8と液排出口9が設けている。
【0038】
電力に応じて、数個の開放型金属空気燃料電池セルが電解液溝6に配置され、且つ開放型金属空気燃料電池セル同士は並列に接続されて、図3に示すような開放型金属空気燃料電池パックを形成し、金属空気燃料電池パックには、陽極バス10と陰極バス11が設けられ、また、陽極バス10と陰極バス11の片側に2つの互いに絶縁される銅柱があり、各開放型金属空気燃料電池セルの陽極と陰極は、それぞれ陽極バス10と陰極バス11に接続されている。その中で、銅柱の役割は、各電池ユニットの陽極又は陰極の電流を合流させることで、各電池ユニットの陽極又は陰極を接続させることと同等である。
【0039】
好ましくは、開放型金属空気燃料電池セルの入力バインディングポストとして、各バスプレート7からそれぞれ2つの端子が引き出され、入力バインディングポストはナットで開放型金属空気燃料電池セルの陽極と陰極を陽極バス10と陰極バス11に固定できる。
【0040】
図4に示すように、センシングサブシステム、循環ろ過サブシステム及び電解液補充サブシステムを追加した後、インテリジェントな金属空気燃料電池システムが形成される。
【0041】
センシングサブシステムには、温度センサー21、液面センサー22及び液体濃度センサー24が含まれている。
【0042】
循環ろ過サブシステムには、沈殿タンク17、フィルタ18、循環ポンプ19、ラジエータ20が含まれている。
【0043】
沈殿タンク17には、第1の液注入口、第2の液注入口及び液排出口を設けている;フィルタ18は、沈殿タンク17内の液排出口に配置されている。電解液溝の液排出口9は、液排出パイプラインを介して沈殿タンク17の第1の液注入口に接続されている;沈殿タンク17の液排出口は、第1の液注入パイプライン及び、第1の液注入パイプラインに配置されている循環ポンプ19とラジエータ20を介して、電解液溝の液注入口8に接続されている。
【0044】
電解液補充サブシステムには、補液タンク14、補液ポンプ15、及び一方向弁16が含まれる;。補液タンク14の液排出口は、第2の液注入パイプライン及び、第2の液注入パイプラインに配置された補液ポンプ15と一方向弁を介して、沈殿タンク17の第2の液注入口に接続されている。
【0045】
コントローラ23は、それぞれ補液ポンプ15及び循環ポンプ19に電気的に接続されている。
【0046】
金属空気燃料電池システムの循環プロセスは:電解液溝6の中の温度センサー21、液面センサー22、及び液体濃度センサー24が、センサー信号をコントローラ23に入力する(本実施形態におけるコントローラ23は、好ましくはECU制御チップである)。コントローラ23は、温度センサー21によって収集された温度情報に基づいて、循環ポンプ19及びラジエータ20の動作を制御する。循環ポンプ19及びラジエータ20が作動しているとき、電解液溝6内の電解液は、液排出口及び液排出パイプラインから沈殿タンク17に入り、沈殿タンク17内の電解液は、フィルタ18によってブロックされ、電解液の沈殿物は沈殿タンク17の底に堆積して、除去及び回収されることができ、透明な電解液は循環ポンプ19を通過し、ラジエータ20を通って流れ、電解液溝6に戻る。その中で、循環流量は、温度センサー21に基づいてコントローラ23によって決定される。
【0047】
コントローラ23は、液面センサー22及び液体濃度センサー24によって収集された液面情報及び濃度情報に基づいて、補液ポンプ15の動作を制御する。補液ポンプ15が作動しているとき、補液タンク14の濃縮電解液又は純水(電池電解液のタイプに応じて、酸性又はアルカリ性の電解液は濃縮電解液を補充し、中性電解液は純水を補充する)一方向弁16を介して沈殿タンク17に注入する。その中で、注入される液補充の流量は、液面センサー22及び液体濃度センサー24のデータに従って、コントローラ23によって計算される。
【0048】
循環ポンプ19、補液ポンプ15、ECU制御チップ23、温度センサー21、液面センサー22、及び液体濃度センサー24への電力供給は金属空気燃料電池パックによって提供され、電源モジュールを介して、さまざまな電気の必要な電圧を取得する。
【0049】
主な計算プロセスは次のとおりである。
1.開放型金属空気燃料電池セルの数の計算
金属空気燃料電池パックの定格出力をPとし、開放型金属空気燃料電池セルの定格出力をPとする時、開放型金属空気燃料電池セルの数はnである。
【0050】
【数1】
ここで、Roundは丸め関数である。
【0051】
2.ラジエータの設計
金属空気燃料電池パックの発熱係数をcとして、発熱出力がP=cPである。
【0052】
ラジエータの定格流量がQで、入口と出口の温度差がΔTである場合、定格放熱出力は以下のとおりであり、
【0053】
【数2】
ここで、kは電解質の比熱容量である。
【0054】
>Pの必要があり、Qが与えられた後、kが既知であると、
【0055】
【数3】
が得られる。
【0056】
ΔTとQが既知であると、ラジエータが設計できる。
【0057】
3.循環ポンプの設計:
流量:Q≧Q。
【0058】
揚程:システム全体の抗力係数がλであり、p≧λQを満たす必要がある。
【0059】
4.補液ポンプの計算
補液ポンプの流量と揚程が小さいため、より小さな水中ポンプを選択すれば良い。
【0060】
本発明の電力供給を継続できる開放型金属空気燃料電池システムは、革新的に大きなセルを使用し、電池ユニットの構造形態も開放型を使用し、各電池ユニットは並列に接続されて、伝送電流を低減させ、伝送電圧を増加させ、効率を改善する;各電池ユニットは独立したDCDCモジュールを有し、出力電圧と金属空気燃料電池パックの出力は、外部に供給する電力用件によるものであり、すべての電池ユニットは、一つの大きな電解液溝に配置され、空気電極の空気側は、空気中の酸素を吸収し易くなるために、外部に露出され、空気電極のイオン側は、電解液に浸され、金属電極は電解液に浸され、温度センサー、液面センサー及び液体濃度センサーなど様々なセンサーを備える電解液溝は、パイプラインを介して循環ポンプ、補液ポンプに接続されて、液体を循環させる作用をしながら、液体濃度センサーのデータに基づいて電解液の補充を制御する;異なる金属空気燃料電池に応じて、補充液の組成が異なり、酸性電解液の場合、主に高濃度の酸性溶液を補充し、アルカリ性電解液の場合、主に高濃度のアルカリ溶液を補充する;中性電解液の場合、純水を補充する。液面センサーにより、液面の高さを正確に制御して、空気電極のイオン側が水没され、空気電極の空気側が露出されていることを確保し、空気側は溝構造(凹構造とも言える)として設計され、比較的に小さな液面変動に適応できる。
【0061】
要約すると、本発明は、従来の空気金属電池パックの電解液のメンテナンス及び冷却の問題を解決し、シーリング構造を省略し、電力供給を中断することなく電池金属電極を交換することができ、金属空気電池のメンテナンスを大幅に簡素化し、用途を拡大した。
【0062】
本明細書の様々な実施形態は、漸進的に説明されて、各実施形態は、他の実施形態との違い特徴が重点的に説明されたが、様々な実施形態間の同じ又は類似の部分を互いに参照すればよい。本実施形態に開示されたシステムについては、実施形態に開示された方法に対応するため、説明は比較的簡単であり、関連部分は、方法部分の説明を参照すればよい。
【0063】
本文では、本発明の原理と実装を説明するために特定の例を使用しているが、上記の実施例の説明は、本発明の方法とコアアイデアを理解するのに役立つためにのみ使用される;同時に、当業者は、本発明のアイデアによれば、特定の実装及び適用範囲に変更ができる。要約すると、本明細書の内容は、本発明の限定として解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4