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特許7114826スピーカユニット、及びスピーカ湾曲振動板
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】スピーカユニット、及びスピーカ湾曲振動板
(51)【国際特許分類】
   H04R 7/12 20060101AFI20220802BHJP
   H04R 9/06 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H04R7/12 Z
H04R9/06 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021120070
(22)【出願日】2021-07-20
【審査請求日】2022-03-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514093028
【氏名又は名称】株式会社サウンドファン
(74)【代理人】
【識別番号】100139239
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 公彦
(72)【発明者】
【氏名】田中宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木政博
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】特許第6586702(JP,B1)
【文献】特許第5668233(JP,B1)
【文献】特開2011-029800(JP,A)
【文献】特開2014-225734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーン状をした第一の振動板と、
湾曲した振動面を形成するシート状をした第二の振動板と、
前記第一の振動板と前記第二の振動板とを共に駆動するドライバユニットと、
を少なくとも備え、
前記ドライバユニットは、前記第一の振動板の径小側と前記第二の振動板の一端側とに接続され、
前記第二の振動板は、湾曲方向に沿う切込みを備えることにより共振特性が相違する二つの振動面を有するように分けられている、
ことを特徴とするスピーカユニット。
【請求項2】
前記第二の振動板は、前記切込みを介して一方に有する振動面と他方に有する振動面とが同じ方向に湾曲し、二つの振動面が隣接して配されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカユニット。
【請求項3】
前記切込みは、隣接して配された二つの振動面の間に仕切り板の挿入を可能とする大きさの幅を有することを特徴とする請求項2に記載のスピーカユニット。
【請求項4】
前記第二の振動板は、前記切込みを介して一方に有する振動面と他方に有する振動面とが異なる方向に湾曲し、二つの振動面が斜向かいに配されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカユニット。
【請求項5】
前記二つの振動面は、一端側から他端側へ向かう長さ方向の寸法が互いに相違することを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載のスピーカユニット。
【請求項6】
前記二つの振動面は、一端側から他端側へ向かう長さ方向と直交する幅方向の寸法が互いに相違することを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載のスピーカユニット。
【請求項7】
前記二つの振動面は、曲率が互いに相違することを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載のスピーカユニット。
【請求項8】
前記二つの振動面は、面積の大きさが互いに相違することを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載のスピーカユニット。
【請求項9】
前記第二の振動板と第三の振動板は、前記ドライバユニットのボイスコイルボビンの先端に取り付けられた板状をしたブレード片を介して前記ドライバユニットに接続されている、
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載のスピーカユニット。
【請求項10】
前記請求項1乃至9に記載のスピーカユニットの何れかを筐体に装着してなることを特徴とするスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲振動板を用いたスピーカユニットと、これを用いたスピーカに係り、詳しくは、難聴者が補聴器をつけることなく健聴者と共に聞き取ることができ、かつ、再生周波数帯域が拡大して音質が改善された高性能、且つ、高品質な湾曲振動板スピーカシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、加齢が原因とする老人性難聴や、外耳や中耳、内耳、蝸牛神経等に障害を有する器質性難聴、ストレスを要因とした機能性難聴、といった聴覚障害者が増えてきている。難聴の場合、音が聞こえなくなるだけでなく、聞こえた音であっても鮮明に聞き分けることが難しくなる。そのため、会話の内容がよくわかっていないのに返事をしてしまって相手に誤解を与えたり、途中で何度も聞き返すことで会話が弾まなくなってしまったりすることがある。
【0003】
また、難聴が原因でスムーズなコミュニケーションができなくなり、知らず知らずのうちに話をするのが億劫になって人と会う機会が減ったり、外出しないで家に引きこもりがちになったりという現象が起き、社会からの孤立・疎外という問題が起きるおそれがあると言われている。
【0004】
このような難聴の不便さを軽減する手段として、一般的に補聴器の使用がある。また、テレビを視聴する場合には、テレビのイヤホンジャックに接続して音声をFM電波で飛ばし、これを手持ちのFMラジオで受信してテレビの音声を取得するFMトランスミッタがある。
【0005】
ところが補聴器は、「わずらわしい」「装着が恥ずかしい」といった理由であまり好んで使われておらず、仕方なく使っている場合が多い。また、補聴器には雑音も拾ってしまうものも少なくなく、却ってストレスが大きいものとなってしまう場合がある。
一方、FMトランスミッタを用いる場合、FMトランスミッタを準備し、テレビを視聴するたびに設置しなければならないといった煩わしさがある。また、FMトランスミッタをイヤホンジャックに接続することで音声の出力先が切り替り、難聴者と健聴者とが共に不自由なくテレビを視聴することができないという問題がある。
【0006】
そこで、全ての難聴者ではないが、多くの難聴者が聞き取ることができる音声を発生するスピーカとして、中空構造の筐体と、筐体に収容したドライブユニットと、筐体の表面に配された湾曲振動板とを具備し、ドライブユニットの振動を湾曲振動板の端縁部へ伝えて放音するようにしたスピーカが本出願人によって提案されている(たとえば、特許文献1,2を参照)。
【0007】
このような湾曲振動板を用いたスピーカ(以下、単に「湾曲振動板スピーカ」という。)は、難聴者が補聴器をつけることなく聞き取ることができると共に、健聴者も違和感なく聞き取ることができるものである。
しかも、特許文献1,2に記載された発明に係る湾曲振動板スピーカは、その後の実証実験において、近くは勿論のこと、遠くでも明瞭に聞き取れることが確認できている。すなわち、音量を上げ過ぎたときのような音割れがなく、かつ、近くでもうるさ過ぎることなく聞き取ることがきるものとなっている。
【0008】
この湾曲振動板スピーカは、基本的性能が実用に耐え得るレベルにあることが確認されているが、再生周波数帯域の拡大、とりわけ400~500Hz以下の低音帯域(以下、「低域」という。)において、再生性能が向上した音質改善が求められている。
【0009】
ここで、湾曲振動板スピーカは、一般的に湾曲振動板をムービングコイル、いわゆるボイスコイルにて駆動して発音せしめる手法である。この手法に於いて低域側の再生能力を増すには、能力に見合ったボイスコイル振幅(移動)量を増し、それに見合った振動板及び構造、並びにパワーアップが必要である。
【0010】
しかしながら、低域側の再生能力を増すために強引にボイスコイルの振幅量を増すと、湾曲振動板自体が異常音を発する。そのため、従来型スピーカと同等の低域再生を行うには、湾曲振動板の長さをより長くする等面積を拡大しなければならず、その寸法は実用的な寸法とは言えないものとなる。
【0011】
そこで、低域側の再生能力を増すため、湾曲振動板スピーカユニットが装着された筐体に、コーン状振動板を備えるダイナミック型スピーカユニットをさらに装着し、両方のスピーカユニットを駆動してそれぞれ放音することが考えられる。これにより、低域側が出にくいという湾曲振動板の音質がコーン状振動板による放音によって補正され、湾曲振動板とコーン状振動板を用いた複合型のフルレンジスピーカとすることができる。
【0012】
ところが、このような複合型のスピーカシステムでは、スピーカユニットを装着する筐体を共有することができるものの、再生周波数帯域に応じた二つのスピーカユニット(湾曲振動板スピーカユニットとダイナミック型スピーカユニット)を必要とするため、コスト高になるものであった。
【0013】
また、二つのスピーカから放音された好ましい音圧感を確保するため、湾曲振動板とコーン状振動板の放音方向が同じとなるように、筐体に対してそれぞれのスピーカユニットを装着しようとすると、より大きな設置面積を必要とし、筐体が巨大化したものとなってしまう。一方、設置面積を考慮して、湾曲振動板とコーン状振動板の放音方向を異なるものとすると、何れかのスピーカにおいて十分な音圧感が得られないものとなってしまう。
【0014】
そのため本出願人は、コーン状をした第一の振動板と、湾曲したシート状の第二の振動板と、これら第一の振動板と第二の振動板とを共に駆動するドライバユニットとを備え、ドライバユニットが、第一の振動板の径小側と第二の振動板の一端側とに共に接続されたスピーカユニットと、このスピーカユニットを筐体に装着してなるスピーカを提案している(特許文献3を参照)。
【0015】
本出願人により提案されたスピーカユニットは、ドライバユニットが一つで済むことで製造コストと重量が低減されると共に、小さくまとめてコンパクト化されたものとすることができる。また、このスピーカユニットを用いたスピーカは、コーン状振動板を備えるダイナミック型の第一のスピーカと、湾曲振動板を備える第二のスピーカとが組み合わされることでより広帯域の音の再生が可能なものとなっている。
【0016】
ゆえに、第二のスピーカ(湾曲振動板スピーカ)の及ばない低域側の再生帯域を、第一のスピーカ(ダイナミック型スピーカ)によって補うものとし、より広帯域の音の再生が可能な、難聴者に極めて有効なスピーカと、健聴者向けのスピーカとを備えたハイブリッド型のスピーカシステムとすることができる。
【0017】
このように本出願人が提案したハイブリッド型スピーカシステムは、難聴者並びに健聴者に対して不足の無い湾曲振動板スピーカシステムと言えるものであるが、コンパクト化され、より広帯域の音の再生が可能になると、さらに音質が改善された高性能、且つ、高品質な湾曲振動板スピーカシステムの提案が求められている。
【0018】
なお、圧電物質を平面振動板の駆動部に用いた圧電型スピーカにおいて、広帯域の音の再生が可能となるように、湾曲した振動面を形成する振動板を二枚(一対)備えるスピーカが提案されている(特許文献4を参照)。
しかしながら、対となる二つの振動板(振動面)の大きさや形状が互いに同じであると、共振帯域が同じ音声が近接した位置で異なる振動面から再生されることになり、互いに発せられる音声が相互に共鳴し、又は歪んでしまい、難聴者・健聴者の聞こえに違和感のある不明瞭な音声となってしまうことが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】特許第5668233号公報
【文献】特開2016-140060号公報
【文献】特許第6586702号公報
【文献】実開昭59-59096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、湾曲振動板を用いたハイブリッド型のスピーカシステムにおいて、複数の帯域の音の再生を可能とすることで再生周波数帯域が拡大して音質が改善された、高性能、且つ、高品質な湾曲振動板スピーカシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係るスピーカユニットは、 コーン状をした第一の振動板と、 湾曲した振動面を形成するシート状をした第二の振動板と、第一の振動板と第二の振動板とを共に駆動するドライバユニットとを少なくとも備え、ドライバユニットは、第一の振動板の径小側と第二の振動板の一端側とに接続され、第二の振動板は、湾曲方向に沿う切込みを備えることにより共振特性が相違する二つの振動面を有するように分けられていることを特徴とする。
【0022】
すなわち、本発明に係るスピーカユニットにおいて、第二の振動板は、他端側の端縁から一端側の近傍まで分離するように、湾曲方向に沿って切込みが設けられることにより、一端側において一体的に繋がっているが、他端側において端縁が切り放たれ、二つの振動面が形成されたものとなっている。
【0023】
本発明に係るスピーカユニットにおいて、第二の振動板は、たとえば、切込みを介して一方に有する振動面と他方に有する振動面とが同じ方向に湾曲し、二つの振動面が隣接して配されたものとすることができる。
このスピーカユニットにおける切込みは、隣接して配された二つの振動面の間に、仕切り板の挿入を可能とする大きさの幅を有すると望ましい。すなわち、二つの振動面は、その間に仕切り板の挿入を可能とする距離だけ離間して配されたものとなっていることをいう。
【0024】
また、本発明に係るスピーカユニットにおいて、第二の振動板は、たとえば、切込みを介して一方に有する振動面と他方に有する振動面とが異なる方向に湾曲し、二つの振動面が斜向かいに配されたものとしても良い。
【0025】
これら本発明に係るスピーカユニットにおいて、第二の振動板に配される二つの振動面は、たとえば、シート状をした振動板の一端側から湾曲方向に沿って対向する他端側へ向かう長さ方向の寸法において互いに相違したものとすることができる。
具体的には、一方の振動面の長さ方向の寸法を大きく(長く)し、他方の振動面の長さ方向の寸法を小さく(短く)した、二つの湾曲振動面を組み合わせるものとする。
【0026】
このように、一方の湾曲振動面の長方向の寸法を大きくすることで、共振帯域を下げた音を再生し、他方の湾曲振動面の長方向の寸法を小さくすることで、共振帯域を上げた音を再生させるものとすることができる。
【0027】
この際、組み合わせる二つの湾曲振動面の長さ方向の寸法が互いに相違するものとした場合、たとえば、厚みや硬さといった要素が同じ材料の湾曲振動板であって、この湾曲振動板に切込みを設けることによって形成される各振動面の幅方向の寸法が同じであれば、二つの湾曲振動面の面積や重量は相違するものとなる。また、二つの湾曲振動面の曲げ角度を同じにすれば、互いの湾曲振動面の曲率は相違するものとなる。
【0028】
ところが、組み合わせる二つの湾曲振動面の長さ方向の寸法が互いに相違するものであっても、二つの湾曲振動面の曲げ角度を調整すれば、互いの振動面の曲率を同じものとすることができる。
また、組み合わせる二つの湾曲振動面の長さ方向の寸法が互いに相違するものであっても、たとえば、互いの湾曲振動面の厚みを変えたり、互いの湾曲振動面の幅方向の寸法を変えたりすれば、二つの湾曲振動面の面積や重量、硬さといった要素を同じものとすることができる。
【0029】
ゆえに、本発明に係るスピーカユニットにおいて、組み合わせる二つの湾曲振動面の長さ方向の寸法が互いに相違する場合、互いの湾曲振動面の幅方向の寸法や曲率、面積、厚み、重量、硬さといった他の要素の同異について問わないものとする。
【0030】
また、本発明に係るスピーカユニットにおいて、第二の振動板に配される二つの振動面は、一端側から湾曲方向に沿って対向する他端側へ向かう長さ方向と直交する幅方向の寸法において互いに相違したものとしても良い。
具体的には、一方の湾曲振動面の幅方向の寸法を大きく(広く)し、他方の湾曲振動面の幅方向の寸法を小さく(狭く)した、二つの湾曲振動面を組み合わせるものとする。
【0031】
このように、一方の湾曲振動面の幅方向の寸法を大きくすることで、共振帯域を下げた音を再生し、他方の湾曲振動面の幅方向の寸法を小さくすることで、共振帯域を上げた音を再生させるものとすることができる。
【0032】
この際、組み合わせる二つの湾曲振動面の幅方向の寸法が互いに相違するものとした場合、たとえば、厚みや硬さといった要素が同じ材料の湾曲振動板であって、この湾曲振動板に切込みを設けることによって形成される各振動面の長さ方向の寸法が同じであれば、二つの湾曲振動面の面積や重量は相違するものとなる。
【0033】
ところが、組み合わせる二つの湾曲振動面の幅方向の寸法が互いに相違するものであっても、二つの湾曲振動面の長さ方向の寸法及び曲げ角度を同じにすれば、互いの振動面の曲率を同じものとすることができる。
また、組み合わせる二つの湾曲振動面の幅方向の寸法が互いに相違するものであっても、たとえば、互いの湾曲振動面の厚みを変えたり、互いの湾曲振動板の長さ方向の寸法を変えたりすれば、二つの湾曲振動面の面積や重量、硬さといった要素を同じものとすることができる。
【0034】
ゆえに、本発明に係るスピーカユニットにおいて、組み合わせる二つの湾曲振動面の幅方向の寸法が互いに相違する場合、互いの湾曲振動面の長さ方向の寸法や曲率、面積、厚み、重量、硬さといった他の要素の同異については問わないものとする。
【0035】
また、本発明に係るスピーカユニットにおいて、第二の振動板に配される二つの振動面は、湾曲した振動面の曲率において互いに相違したものとしても良い。
具体的には、一方の湾曲振動面の曲率を小さくし、他方の湾曲振動面の曲率を大きくした、二つの湾曲振動面を組み合わせるものとする。
【0036】
このように、一方の湾曲振動面の曲率を小さくすることで、共振帯域を上げた音を再生し、他方の湾曲振動面の曲率を大きくすることで、共振帯域を下げた音を再生させるものとすることができる。
【0037】
また、本発明に係るスピーカユニットにおいて、第二の振動板に配される二つの振動面は、湾曲した振動面の面積において互いに相違したものとしても良い。
具体的には、一方の湾曲振動面の面積を大きくし、他方の湾曲振動面の面積を小さくした、二つの湾曲振動面を組み合わせるものとする。
【0038】
このように、一方の湾曲振動面の面積を大きくすることで、共振帯域を下げた音を再生し、他方の湾曲振動面の面積を小さくすることで、共振帯域を上げた音を再生させるものとすることができる。
【0039】
また、本発明に係るスピーカユニットにおいて、第二の振動板に配される二つの振動面は、湾曲した振動面の厚みにおいて互いに相違したものとしても良い。
具体的には、一方の湾曲振動面の厚みを大きく(厚く)し、他方の湾曲振動面の厚みを小さく(薄く)した、二つの湾曲振動面を組み合わせるものとする。
【0040】
このように、一方の湾曲振動面の厚みを大きくすることで、共振帯域を下げた音を再生し、他方の湾曲振動面の厚みを小さくすることで、共振帯域を上げた音を再生させるものとすることができる。
なお、湾曲振動面の厚みを変える場合、湾曲振動面の表面に他のシート材を貼付したり、塗料を塗布したりすることで達成することができる。
【0041】
また、本発明に係るスピーカユニットにおいて、第二の振動板に配される二つの振動面は、湾曲した振動面の重量において互いに相違したものとしても良い。
具体的には、一方の湾曲振動面の重量を大きく(重く)し、他方の湾曲振動面の重量を小さく(軽く)した、二つの湾曲振動面を組み合わせるものとする。
【0042】
このように、一方の湾曲振動面の重量を大きくすることで、共振帯域を下げた音を再生し、他方の湾曲振動面の重量を小さくすることで、共振帯域を上げた音を再生させるものとすることができる。
なお、湾曲振動面の重量を変える場合、湾曲振動面の厚みを変える場合と同様に、湾曲振動面の表面に他のシート材を貼付したり、塗料を塗布したりすることで達成することができる。
【0043】
また、本発明に係るスピーカユニットにおいて、第二の振動板に配される二つの振動面は、湾曲した振動面の硬さが互いに相違したものとしても良い。
具体的には、一方の湾曲振動面の柔らかくし、他方の湾曲振動面を硬くした、二つの湾曲振動面を組み合わせるものとする。
【0044】
このように、一方の湾曲振動面を柔らかくすることで、共振帯域を下げた音を再生し、他方の湾曲振動面を硬くすることで、共振帯域を上げた音を再生させるものとすることができる。
なお、湾曲振動面の硬さを変える場合もまた、湾曲振動面の厚みを変える場合と同様に、湾曲振動面の表面に他のシート材を貼付したり、塗料を塗布したりすることで達成することができる。
【0045】
したがって、本発明に係るスピーカユニットにおいて、第二の振動板に配される二つの振動面は、湾曲した振動面の長さ方向の寸法や幅方向の寸法、曲率、面積、厚み、重量、硬さといった各要素の何れか一つではなく、複数の要素が互いに相違したものとしても良い。
【0046】
さらに、本発明に係るスピーカユニットにおいて、第二の振動板は、ドライバユニットのボイスコイルボビンの先端に取り付けられた板状をしたブレード片を介してドライバユニットに接続されているものとすることができる。
このブレード片は、たとえば、ボイスコイルボビンの先端に切込みを設けるなどして直接取り付けるものとしても良いし、ボイスコイルボビンの先端にセンターキャップを取り付け、このセンターキャップに対して取り付けられるものとしても良い。
【0047】
この際、ブレード片は、センターキャップと別体でも良いが、センターキャップと一体とすることが望ましい。すなわち、ブレード片を既存のセンターキャップへ取り付けるものとしても良いが、そうするとボイスコイル先端へのセンターキャップの取り付けと、センターキャップへのブレード片の取り付けといった二つの作業を要することになる。
ところが、ブレード片とセンターキャップとを予め一体としておけば、ボイスコイル先端へのセンターキャップの取り付ける一つの作業によって効率良くブレード片を取り付けることができる。しかも、ブレード片とセンターキャップを一体とすることで、ボイスコイルの振動によってブレード片がセンターキャップから剥がれ落ちてしまうといったおそれも回避することができる。
【0048】
そして、本発明に係るスピーカは、上述したスピーカユニットの何れかを筐体に装着してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0049】
本発明のスピーカユニットは、コーン状をした第一の振動板と、 湾曲した振動面を形成するシート状をした第二の振動板を備え、第二の振動板は、湾曲方向に沿う切込みを備えることにより共振特性が相違する二つの振動面を形成するように分けられたものとなっている。ゆえに、一方の振動面(曲面部)と他方の振動面(曲面部)から異なる共振帯域の音声を再生させることで、幅広い(拡大した)再生周波数帯域が得られ、音質の改善を図ることができる。
【0050】
また、本発明のスピーカは、上述した本発明のスピーカユニットを筐体に装着(収容)することで、コーン状振動板を備えるダイナミック型の第一のスピーカと、一つの湾曲振動板を分けて形成した第一の湾曲振動面を備える第二のスピーカ及び第二の湾曲振動面を備える第三のスピーカとが組み合わされたハイブリッド型スピーカシステムとなっている。ゆえに、第一のスピーカ(ダイナミック型スピーカ)によって、第二のスピーカ及び第三のスピーカ(共に、湾曲振動板スピーカ)の及ばない低域側の再生帯域を補うと共に、第二のスピーカ及び第三のスピーカの各湾曲振動面で再生される共振帯域が異なる音声を組み合わせることで、再生周波数帯域が拡大して音質が改善された、難聴者に極めて有効なスピーカと健聴者向けのスピーカとを備えたスピーカシステムとすることができる。
【0051】
したがって、湾曲振動板を用いた複合型のスピーカシステムにおいて、複数の帯域の音の再生を可能とすることで再生周波数帯域が拡大して音質が改善されると共に、コストが低減し、さらに、筐体が巨大化することなく好ましい音圧感が確保された、より一層好ましい高性能、且つ、高品質な湾曲振動板スピーカシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明に係る第一のスピーカユニットを示す正面斜視図である。
図2】本発明に係る第一のスピーカユニットの構造を説明する分解図である。
図3】本発明に係る第一のスピーカユニットに用いる湾曲振動板を説明する正面図である。
図4】本発明に係るスピーカユニットに用いるドライバユニットを構成するボイスコイルを説明する正面斜視図である。
図5】本発明に係るスピーカユニットに用いるドライバユニットを構成する磁気回路を説明する、(A)分解斜視図、(B)組み立て完成斜視図である。
図6】本発明に係る第一のスピーカユニットにおいて、湾曲振動板を取り付ける前の状態を示す正面斜視図である。
図7】本発明に係る第一のスピーカユニットを筐体に装着した第一のスピーカを示す正面斜視図である。
図8図7に示す第一のスピーカの背面斜視図である。
図9図7に示す第一のスピーカにおいて、ドライバユニットを除いた部分の正面中央右縦断面である。
図10図7に示す第一のスピーカにおいて、ドライバユニットを除いた部分の正面中央左縦断面である。
図11図7に示す第一のスピーカの構造を説明する分解図である。
図12】本発明に係る第二のスピーカユニットを示す正面斜視図である。
図13】本発明に係る第二のスピーカユニットの構造を説明する分解図である。
図14】本発明に係る第二のスピーカユニットにおいて、湾曲振動板を取り付ける前の状態を示す正面斜視図である。
図15】本発明に係る第二のスピーカユニットを筐体に装着した第二のスピーカを示す正面斜視図である。
図16図15に示す第二のスピーカにおいて、ドライバユニットを除いた部分の正面中央縦断面である。
図17図15に示す第二のスピーカの構造を説明する分解図である。
図18】本発明に係る第三のスピーカユニットを示す正面斜視図である。
図19】本発明に係る第三のスピーカユニットの構造を説明する分解図である。
図20】本発明に係る第三のスピーカユニットに用いる湾曲振動板を説明する正面図である。
図21】本発明に係る第三のスピーカユニットを筐体に装着した第三のスピーカを示す正面斜視図である。
図22図21に示す第三のスピーカの構造を説明する分解図である。
図23】本発明に係る第四のスピーカユニットを示す正面斜視図である。
図24】本発明に係る第四のスピーカユニットの構造を説明する分解図である。
図25】本発明に係る第四のスピーカユニットを筐体に装着した第四のスピーカを示す正面斜視図である。
図26図25に示す第四のスピーカの構造を説明する分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明に係るスピーカユニットと、このスピーカユニットを用いたハイブリッド型スピーカシステムの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の具体例であるため技術的に種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0054】
<第一の実施の形態>
本実施の形態に係る第一のスピーカユニット10は、図1及び図2に示すように、コーン状をした第一の振動板(以下、「コーン状振動板」という。)1と、湾曲したシート状の第二の振動板(以下、「湾曲振動板」という。)2と、これらコーン状振動板1と湾曲振動板2を共に駆動するドライバユニット4と、湾曲振動板2の一端側に取り付けてドライバユニット4に接続する板状をしたブレード片5とを少なくとも備える。
【0055】
コーン状振動板1は、すり鉢状をしたシート状部材であって、径小側1aがドライバユニット4に接続されると共に、径大側1bがコーン支持枠9に取り付けられるものとなっている。このコーン状振動板1は、スピーカとする際、後述する筐体50にコーン支持枠9を取り付けるものであり、コーン状振動板1の径大側1bは、コーン支持枠9を介して筐体50に装着されることで、スピーカを構成するものとなる。
【0056】
湾曲振動板2は、湾曲する振動面を形成することが可能な柔軟性を有するシート状部材を用いて形成するものであって、一端側2aが、コーン状振動板1の径小側1aが接続された同じドライバユニット4に接続されるものとなる。
【0057】
本実施の形態において、湾曲振動板2は、図3に示すように、幅方向の中央に長さ方向沿う切込み25を備える。すなわち、湾曲振動板2は、切込み25を設けることにより二つの振動面を有するように部分的に分けられ、切込み25を境にして一方の振動面(以下、「第一の湾曲振動面」という。)21と、他方の振動面(以下、「第二の湾曲振動面」という。)22が、隣接して形成されるものとなっている。
なお、この切込み25は、後述する筐体50に設けられた仕切り板59の配置が可能な幅寸法を有するものとなっている。
【0058】
この二つの振動面は、それぞれの一端側は湾曲振動板2の一端側2aとして共通するものとなっているが、第一の湾曲振動面21の他端側21bと第二の湾曲振動面22の他端側22bは、それぞれ別々に分離したものとなっている。
【0059】
また、湾曲振動板2は、第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22におけるそれぞれの長さ方向の寸法が互いに相違したものとなっている。ここで、湾曲振動面の長さとは、湾曲振動板2の一端側2aから湾曲方向に沿って対向するそれぞれの湾曲振動面の他端側21b,22bまでの寸法をいう。
【0060】
すなわち、第一の湾曲振動面21と第二の湾曲振動面22は、長さ方向と直交する幅方向の寸法や互いの振動面の厚みなどの要素は同じでも良いが、少なくとも長さ方向の寸法は互いに相違することを要する。
なお、二つの振動面の長さ方向の寸法が互いに相違することで、自ずと湾曲振動面の面積は互いに相違するものとなり、重量も互いに相違するものとなる。これにより、二つの振動面の共振特性が相違するものとなっている。
【0061】
さらに、湾曲振動板2は、図3に示すように、ドライバユニット4に接続される一端側2aへ向かうにしたがって途中から幅方向の寸法が、徐々に小さく(狭く)なる形状をしたものとなっている。
ここで幅方向とは、一端側2aから湾曲方向に沿って対向する他端側21b,22bへ向かう湾曲した振動面の長さ方向と直交する方向をいい、幅方向の寸法は、湾曲振動板2として長さ方向に沿う両側縁部間の距離(長さ)をいう。
【0062】
図3において、湾曲振動板2の幅方向の形状は、他端側21b,22bから一端側2aへ向かう途中で徐々に小さく(狭く)なるものとして示され、他端寄りの幅方向の寸法w1より一端側2aの幅方向の寸法w2が小さなものとなっている(w1>w2)。
【0063】
ゆえに、湾曲振動板2における一端側2aの形状は、コーン状振動板1のすり鉢形状に適合した略同形となっており、コーン状振動板1が接続されたドライバユニット4に湾曲振動板2の一端側2aを接続しても、コーン状振動板1と湾曲振動板2とは互いに接触せず干渉しないようになっている。
【0064】
この湾曲振動板2の材料は、カーボン紙などの紙、ポリイミドやポリエステルなどの可撓性を有するプラスチック、バルサ材などの木材、アルミやベリリウム、ボロンなどの金属を用いることができる。
また、湾曲振動板2の材料としては、たとえば、発泡シート材としても良い。具体的には、積水化学工業社の「ソフトロンS」と称される、ポリエチレンに電子線を照射して、5倍から50倍まで加熱発泡させた、厚さ1mm程度のシート状高発泡体とすることができる。
【0065】
湾曲振動板2の厚みは、弾性的に曲げて湾曲凸面を形成するように変形させることができれば特に限定されない。すなわち、湾曲振動板2は、起立した平板状態でそれぞれの一端側2aをドライバユニット4に接続した後、他端側21b,22bを弾性的に曲げて変形させることで曲面を形成し、変形した湾曲凸面側を前方に向けて他端側21b,22bを後述する筐体50にそれぞれ接続させることができる厚みであれば良い。
【0066】
また、湾曲振動板2は、予め湾曲する振動面を有するように成形された部材であっても良く、この場合はそれぞれの一端側2aをドライバユニット4に接続した後、湾曲凸面が前方を向くように他端側21b,22bを後述する筐体50にそれぞれ接続する。
【0067】
図1及び図2において、互いの幅方向の寸法や厚みは同じであるが、長さ方向の寸法が互いに相違する、それぞれ同じ方向に曲面部を形成する二つの湾曲振動面を有する湾曲振動板2を備える第一のスピーカユニット10が示されている。
すなわち、第一のスピーカユニット10は、長さ方向の寸法が小さい(短い)第一の湾曲振動面21と、長さ方向の寸法が大きい(長い)第二の湾曲振動面22とを組み合わせた湾曲振動板2を備えるものとなっている。
【0068】
このスピーカユニット10は、第一の湾曲振動面21の長さ方向の寸法が小さいことから面積が小さく、一方、第二の湾曲振動面22の長さ方向の寸法が大きいことから面積が大きく、長さ方向の寸法と面積が互いに相違するほか、第一の湾曲振動面21と第二の湾曲振動面22が同じ角度で曲げられると、振動面の曲率が互いに相違するものとなる。
【0069】
ドライバユニット4は、入力(通電)された電気信号(音声信号)に応じてコーン振動板1とブレード片5とを共に振動させるアクチュエータである。
ここで、湾曲振動板2(第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22)がドライバユニット4によって駆動される方向は、湾曲振動板2の表面上での拡がり方向、すなわち、湾曲振動板2の一端側2aから第一の湾曲振動面において対向する他端側21b及び第二の湾曲振動面22において対向する他端側22bへ向かうにしたがって振動面が拡がる湾曲方向をいう。
【0070】
このドライバユニット4としては、たとえば、ムービングコイル方式もしくはムービングマグネット方式の電磁式アクチュエータを挙げることができる。これらのドライバユニット4は、コイルの占積率が高いゆえ、磁気効率が高いものとなっている。ゆえに、音量が高く鮮明な放音が期待できる。
【0071】
ムービングコイル方式のアクチュエータは、磁気回路が構成する磁気ギャップ中にボイスコイルを挿入配置し、このボイスコイルに電気信号等を印加することで印加信号に伴った振動を起し、ボイスコイルと接続された振動板に振動を伝達して駆動するものとなっている。すなわち、ボイスコイルの一端は磁気回路(磁界)の中に収まっており、他端は振動板に接続されていることから、入力された電気信号がボイスコイルを動かし、その動きが振動板に伝わって音響エネルギー(音)に変換されるものとなる。
【0072】
本実施の形態においてドライバユニット4は、図2に示すように、ボイスコイル41の一端が磁気回路42の磁気ギャップ中に挿入され、電気信号を印加することでボイスコイル41を駆動するムービングコイル方式のアクチュエータとして説明する。
なお、ドライバユニット4に入力される電気信号は、たとえば、テレビやラジオ、オーディオプレイヤー、パーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイス、等より出力した音声信号を挙げることができる。
【0073】
ボイスコイル41は、図4に示すように、円筒状をしたコイルボビン411の外周において、高さ(長さ)方向の一端側に寄せて所望径のコイル線材412を所望のターン数にて巻き付けることにより構成される。
【0074】
一方、磁気回路42は、図5に示すように、ボイスコイル41を駆動するのに対応した形状になっており、最も多用されている一般的な構造は、リング形状のフェライトマグネット421と、良好な磁性材たる鉄材からなる円板の中央部に所定寸法直径の穴424aを設けたプレート424と、同じく鉄材からなる円板の中央部に円柱状の凸部(以下、「ポール」と記す)423を設けたヨーク422等の磁気回路部品で構成される。
【0075】
磁気ギャップ43は、円筒状をしたフェライトマグネット421の上面にプレート424が配置装着されると共に、フェライトマグネット421の下面に、円柱状をしたポール423を備えるヨーク422の円板部が配置装着されることで形成される。すなわち、ポール423とプレート424は、ポール423の外径及びプレート穴424aの内径が芯合わせして装着されるため、ポール423の外面とプレート424中央部の穴424aの内面との間に、所定幅寸法を有したリング状の隙間、即ちギャップ43が構成される。
【0076】
また、磁気ギャップ43の奥行き方向の寸法は、プレート424の厚さ寸法にて決定される。ゆえに、フェライトマグネット421が有する磁気が、ヨーク422及びプレート424によってギャップ43に導かれ、収束されるため、該ギャップ43に磁束が発生し、磁気ギャップが構成されることとなる。そして、このリング状磁気ギャップ43の中心にボイスコイル41が配置される。
【0077】
したがって、図2に示すように、コーン状振動板1は、径小側1aの中心部に設けた所定寸法の穴(以下、「ネック部」と記す。)内にボイスコイル41を挿入し、ネック部とコイルボビン411の外周部の接触部分に接着剤を塗布することで、ドライバユニット4に接続固定される。
【0078】
ブレード片5は、湾曲振動板2をドライバユニット4に効率良く接続するために用いるものであり、コーン状振動板1の径小側1aから径大側1bへ向かって突出するように、ドライバユニット4のボイスコイル41の先端に取り付けられる。
すなわち、湾曲振動板2の一端側2aは、ブレード片5を介してドライバユニット4に接続されるものとなっている。
【0079】
このブレード片5は、ドライバユニット4に接続される基端側から先端側まで全体的に一枚の平片で構成されており、基端側がドライバユニット4に対して略垂直であり、先端側へ行くに従って湾曲振動板2における第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22の曲率に合わせてそれぞれ湾曲又は傾斜しているものとすると望ましい。
【0080】
つまり、湾曲振動板2のブレード片5への取り付け作業や、湾曲振動板2を弾性的に曲げて変形させて第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22を形成する作業は、ブレード片5が先端側へ行くに従って湾曲振動面の曲率に合わせて湾曲(傾斜)していると行い易くなる。
しかも、ブレード片5が先端側へ行くに従って湾曲(傾斜)していると、ドライバユニット4による駆動時に、第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22にストレスを与えるおそれがなく円滑に駆動させることができる。
【0081】
本実施の形態における第一のスピーカユニット10では、湾曲振動板2の一端側2aをドライバユニット4へ接続する場合、ボイスコイル41の先端に取り付けたセンターキャップ6と一体となっているブレード片5へ取り付けることで、湾曲振動板2とドライバユニット4(ボイスコイル41)とを接続することができる。
【0082】
すなわち、ブレード片5の一面側もしくは湾曲振動板2の一端側における一面側の所定領域に接着剤を塗布した後、湾曲振動板2の一端側2aの一面をブレード片5の一面に重ねるように配することで、図1に示すような第一のスピーカユニット10とすることができる。
【0083】
この手段は、ボイスコイル41の先端に切り込みを設け、湾曲振動板2の一端側2aを共に切り込みに挿入する従来の手段に比して、湾曲振動板2とドライバユニット4(ボイスコイル41)とを共に確実に接続することができる。
【0084】
図6において、ブレード片5は、センターキャップ6と一体となっており、先端側へ行くに従って湾曲振動板2の曲率に合わせて下方に湾曲している平片を備えるものとして示されている。
【0085】
なお、センターキャップ(ダストキャップ)6は、ボイスコイル41内に埃が入らないように取り付けられる部材であって、コーン紙と同じ材料を用いて音色の統一感を高めたり、金属系の材料を用いてドーム型ツイータの役割を持たせたりすることができる。
【0086】
このように構成された第一のスピーカユニット10では、コーン振動板1の径小側1aと、ブレード片5を介して取り付けられる湾曲振動板2の一端側2a端面が、ドライバユニット4(ボイスコイル41)に共に接続されたものとなる。すなわち、コーン振動板1の径小側1aが直接ドライバユニット4(ボイスコイル41)に接続されると共に、湾曲振動板2の一端側2aがブレード片5を介して間接的にドライバユニット4(ボイスコイル41)に接続されたものとなっている。
【0087】
ゆえに、ドライバユニット4に電気信号等を印加することで、ボイスコイル41が印加信号に伴った振動を起し、このボイスコイル41に接続されたコーン振動板1と湾曲振動板2(第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22)とに振動を伝達して共に駆動することができる。
【0088】
詳しくは、ボイスコイル41の一端(基端部分)は磁気回路(磁界)42の中に収まっており、他端(先端部分)はコーン振動板1及びブレード片5を介して湾曲振動板2に接続されていることから、入力された電気信号がボイスコイル41を動かし、その動きがコーン振動板1と湾曲振動板2における第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22とに伝わって、音響エネルギー(音)に変換されるものとなる。
しかも、第一の湾曲振動面21と第二の湾曲振動面22とは、長さ方向の寸法が互いに相違することから、それぞれの湾曲振動板で再生される共振帯域が異なるものとなっている。
【0089】
また、本実施の形態における第一のスピーカユニット10は、コーン振動板1の径小側1aと、湾曲振動板2の一端側2aが、同じドライバユニット4に接続されることで、コーン振動板1を駆動するドライバユニット4と、湾曲振動板2における第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22を駆動するドライバユニット4とが効率良く共有され、製造コストと重量が低減されると共に、小さくまとめてコンパクト化されたものとなっている。
【0090】
しかも、本実施の形態における第一のスピーカユニット10は、湾曲振動板2とドライバユニット4とを、ブレード片5を介して簡易にかつ確実に接続することができるものとなっているので、効率良く量産化することができるものとなっている。
【0091】
このように構成された第一のスピーカユニット10は、さらに、コーン振動板1の径大側1bと、湾曲振動板2における第一の湾曲振動面21の他端側21b及び第二の湾曲振動面22の他端側22bを共に、筐体50に固定することで、図7及び図8に示す第一のスピーカ100を構成するものとなっている。
【0092】
筐体50は、図9乃至図11に示すように、支持枠51と、この支持枠51に連設された隣接する二つの支持面52,53と、一方の支持面52の終端部に設けられた第一の固定手段54、及び他方の支持面53の終端部に設けられた第二の固定手段55と、二つの支持面52,53上にそれぞれ配された柔軟な弾性支持部材56,57と、二つの側板58,58とを含むことにより構成されている。
【0093】
支持枠51は、コーン状振動板1の径大側1bが露呈する大きさの開口を有する平枠状をした部材であって、コーン振動板1の径大側1bが接続されたコーン支持枠9を開口周縁に取り付けることで、コーン振動板1の径大側1bが支持枠51によって筐体50に接続されたものとなっている。
【0094】
支持面52は、湾曲振動板2における第一の湾曲振動面21の湾曲と等しい曲面部を有する部位であって、第一の湾曲振動面21の背面側において、曲面部が第一の湾曲振動面21の背面と接することなく位置するものとなっている。この支持面52は、第一の湾曲振動面21が前面側からの外力によって変形しないように補助するものとして機能する。
【0095】
支持面53は、湾曲振動板2における第二の湾曲振動面22の湾曲と等しい曲面部を有する部位であって、支持面52と同様、第二の湾曲振動面22の背面側において、曲面部が第二の湾曲振動面22の背面と接することなく位置するものとなっている。この支持面53は、第二の湾曲振動面22が前面側からの外力によって変形しないように補助するものとして機能する。
また、支持面52と支持面53は、仕切り板59を挟んで隣接する位置にそれぞれ形成されたものとなっている。
【0096】
第一の固定手段54は、湾曲振動板2における第一の湾曲振動面21の他端側21bを筐体50の一端側に取り付けるものであって、たとえば、幅方向に沿って設けられた凹溝541と、この凹溝541内に配される固定杆542とから構成されたものとすることができる。すなわち、第一の湾曲振動面21の他端側21bを凹溝541内に挿入すると共に、この凹溝541内に固定杆542を配することで第一の湾曲振動面21の他端側21bを押さえるものとなっている。
【0097】
第二の固定手段55は、湾曲振動板2における第二の湾曲振動面22の他端側22bを筐体50の他端側に取り付けるものであって、たとえば、第一の固定手段54と同様に、凹溝551と固定杆552とから構成されたものとすることができる。
すなわち、第二の湾曲振動面22の他端側22を凹溝551内に挿入すると共に、この凹溝551内に固定杆552を配することで第二の湾曲振動面22の他端側22bを押さえるものとなっている。
【0098】
弾性支持部材56,57は共に、柔軟で弾性があり、第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22が撓まないように支持することができる部材であって、たとえば、スポンジや糸状の繊維が絡み合った綿状部材からなるものとすることができる。
【0099】
すなわち、弾性支持部材56は、湾曲振動板2の一端側2aがブレード片5に接続され、湾曲振動板2における第一の湾曲振動面21の他端側21bが第一の固定部54に接続されることで、第一の湾曲振動面21における凹面側と支持面52との間に介在するように配されたものとなっている。一方、弾性支持部材57は、湾曲振動板2の一端側2aがブレード片5に接続され、湾曲振動板2における第二の湾曲振動面22の他端側22bが第二の固定部55に接続されることで、第二の湾曲振動面22における凹面側と支持面53との間に介在するように配されたものとなっている。
【0100】
図9において、弾性支持部材56は、第一の湾曲振動面21における曲面部の凹面側と支持面52との間に全面的に介在するものとして示され、図10において、弾性支持部材57は、第二の湾曲振動面22における曲面部の凹面側と支持面53との間に全面的に介在するものとして示されている。
【0101】
この弾性支持部材は、第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22における各凹面側と各支持面52,53との間にそれぞれ全面的に介在するものではなく、部分的に介在するものとしても良い。
弾性支持部材を部分的に配する手段として、たとえば、支持面52,53の湾曲方向に沿って延びる細長い弾性支持部材が、各支持面52,53の中央部に一本配されたものや、各支持面52,53に離間して複数本配されたものとすることができる。また、小片状をした弾性支持部材が、各支持面52,53上に点在して配されものとしても良い。
【0102】
側板58は、湾曲振動板2(第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22)と共に、支持枠51と、二つの支持面52,53と、この支持面52,53上にそれぞれ配された柔軟な弾性支持部材56,57と、仕切り板59とを挟み込んで収容するように、その両側にそれぞれ配される一対の板状部材であって、たとえば、ローマ文字「D」の外縁に沿う形状に近似する山型形状をした、大きい板状部材と小さい板状部材が互いに向かい合うように配されたものとなっている。
図11において、正面右側の側板は符号58Rで示し、正面左側の側板は符号58Lで示されている。
【0103】
なお、図11中に示す符号91は、筐体50の支持枠51に第一のスピーカユニット10(コーン支持枠9)を取り付け固定するためのビスである。
また、図示しないが、筐体50の裏板部には、オーディオジャック、及びスイッチを装着するための穴が設けられている。
【0104】
したがって、第一のスピーカユニット10は、図11に示すように、まず、筐体50の支持枠51にビス91・・91を用いてコーン支持枠9を固定する。次いで、筐体50の右側の支持面52に弾性支持部材56を配すると共に、湾曲振動板2における第一の湾曲振動面21を下方へ向けて弾性的に180度の角度で曲げ、その他端側21bを凹溝541内に挿入した後、さらに固定杆542を配することで押さえる。これにより、第一の湾曲振動面21の他端側21bは第一の固定手段54によって筐体50に取り付けられたものとなる。
【0105】
また、筐体50の左側の支持面53に弾性支持部材57を配すると共に、湾曲振動板2における第二の湾曲振動面22を下方へ向けて弾性的に180度の角度で曲げ、その他端側22bを凹溝551内に挿入した後、さらに固定杆552を配することで押さえる。これにより、第二の湾曲振動面22の他端側22は第二の固定手段55によって筐体50に取り付けられたものとなる。
【0106】
その結果、第一の湾曲振動面21の他端側21bは、筐体50の右側下端に取り付けられ、第二の湾曲振動面22の他端側22bは、筐体50の左側下端に取り付けられたものとなり、二つの振動面(曲面部)は同じ方向に湾曲する、互いに隣接したものとなる。
この際、第一の湾曲振動面21と第二の湾曲振動面22は、仕切り板59を介して隣接したものとなっているので、互いに発せられる音声が相互に干渉してしまうおそれが仕切り板59によって解消されるものとなっている。
【0107】
また、第一の湾曲振動面21と第二の湾曲振動面22は共に、弾性的に180度の角度で曲げられているため、曲面部の曲率が互いに相違するものとなっている。
図9及び図10において、第一の湾曲振動面21の曲率は小さく、二の湾曲振動面22の曲率は大きいものとして示されている。
【0108】
このように構成された第一のスピーカ100は、湾曲振動板を備えるスピーカでは及ばない低域側の再生帯域をコーン振動板1で補うと共に、湾曲振動板2の長さ方向の寸法が小さい(短い)第一の湾曲振動面21において共振帯域を上げた高域から中域の音を再生させ、一方、湾曲振動板2の長さ方向の寸法が大きい(長い)第二の湾曲振動面22において共振帯域を下げた中域から低域の音を再生させることができる。
【0109】
すなわち、この第一のスピーカ100は、コーン振動板1を備えるダイナミック型の第一のスピーカと、第一の湾曲振動面21を備える第二のスピーカと、第一の湾曲振動面21とは共振帯域が異なる第二の湾曲振動面22を備える第三のスピーカとを備えるものとなり、ドライバユニット4に対して電気信号を入力すると、従来の難聴者及び健聴者向けスピーカシステムに比して、湾曲振動板において幅広い(拡大した)再生周波数帯域が得られ、音質の改善を図ることができるものとなっている。
しかも、軽量で、設置面積も少なく、運搬がし易いものなので、スピーカの万能性が向上した高性能、且つ、高品質なハイブリッド型スピーカシステムとなっている。
【0110】
<第二の実施の形態>
次に、第二のスピーカユニット20について説明する。
なお、以下に述べる各実施の形態では、上述した第一のスピーカユニット10とは異なる部分を中心に説明する。したがって、第一のスピーカユニット10と同様の構成部分は同じ符号を付してその説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。
【0111】
本実施の形態に係る第二のスピーカユニット20は、図12及び図13に示すように、コーン状振動板1と、湾曲振動板2と、これらコーン状振動板1と湾曲振動板2を共に駆動するドライバユニット4と、湾曲振動板2の一端側に取り付けてドライバユニット4に接続する板状をしたブレード片15とを少なくとも備え、湾曲振動板2は、第一の実施の形態と同様、幅方向の中央に長さ方向沿う切込み25を備える。
【0112】
本実施の形態において、湾曲振動板2は、切込み25を設けることにより二つの振動面を有するように部分的に分けられ、切込み25を介して第一の湾曲振動面21と、第二の湾曲振動面22が異なる方向に湾曲し、二つの振動面が斜向かいに配されたものとなっている。
この第一の湾曲振動面21と第二の湾曲振動面22は、長さ方向と直交する幅方向の寸法や互いの振動面の厚みなどの要素は同じでも良いが、少なくとも長さ方向の寸法は互いに相違することを要する。
【0113】
すなわち、湾曲振動板2における第一の湾曲振動面21と第二の湾曲振動面22は、長さ方向の寸法が、上述した第一のスピーカユニット10における第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22と同様、互いに相違したものとなっていると共に、振動面の曲げ方向が相反している点で相違する。
【0114】
図12及び図13において、互いの幅方向の寸法や厚みは同じであるが、長さ方向の寸法が互いに相違し、それぞれ相反する方向に曲面部を形成する二つの湾曲振動面を有する湾曲振動板2を備える第二のスピーカユニット20が示されている。
【0115】
ブレード片15は、湾曲振動板2をドライバユニット4に効率良く接続するために用いるものであって、湾曲振動面の曲げ方向に応じて先端側が二つに分岐したものとなっている。
すなわち、ブレード片15は、ドライバユニット4に接続される基端側から先端側まで全体的に一枚の平片で構成されていても良いが、基端側がドライバユニット4に対して略垂直な一枚の平片であり、先端側に切込みが設けられ、湾曲振動板2における第一の湾曲振動面21と第二の湾曲振動面22の曲げ方向に応じて、一方が上方、他方が下方へ湾曲又は傾斜する二つの平片を備えるものとすると望ましい。
【0116】
つまり、第一の湾曲振動面21や第二の湾曲振動面22を弾性的に曲げて変形させて湾曲振動面を形成する作業は、ブレード片15の先端側が湾曲振動板の曲げ方向に合わせて湾曲(傾斜)していると行い易くなる。
しかも、ブレード片15が先端側へ行くに従って湾曲(傾斜)していると、ドライバユニット4による駆動時に、第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22にストレスを与えるおそれがなく円滑に駆動させることができる。
【0117】
図14において、ブレード片15は、センターキャップ6と一体となっており、切込みを設けることで先端側が第一の湾曲振動面21の曲げ方向に合わせて上方に湾曲している左片15Lと、同第二の湾曲振動面22の曲げ方向に合わせて下方に湾曲している右片15Rを備える二つに分岐したものとして示されている。
【0118】
このように構成された第二のスピーカユニット20は、さらに、コーン振動板1の径大側1bと、湾曲振動板2における第一の湾曲振動面21の他端側21b及び第二の湾曲振動面22の他端側22bを共に、筐体60に固定することで、図15に示す第二のスピーカ200を構成するものとなっている。
【0119】
筐体60は、図16及び図17に示すように、支持枠51と、この支持枠51に連設された二つの支持面62,63と、一方の支持面62の終端部に設けられた第一の固定手段54、及び他方の支持面63の終端部に設けられた第二の固定手段55と、二つの支持面62,63上にそれぞれ配された柔軟な弾性支持部材56,57と、一対の側板68,68とを含むことにより構成されている。
【0120】
支持面62は、第一のスピーカユニット10における支持面52と同様、第一の湾曲振動面21の湾曲と等しい曲面部を有する部位であって、第一の湾曲振動面21の背面側において、曲面部が第一の湾曲振動面21の背面と接することなく位置するものとなっており、支持枠51の上方に位置して設けられたものとなっている。
【0121】
支持面63は、第一のスピーカユニット10における支持面53と同様、第二の湾曲振動面22の湾曲と等しい曲面部を有する部位であって、支持面62と同様、第二の湾曲振動面22の背面側において、曲面部が第二の湾曲振動面22の背面と接することなく位置するものとなっており、支持枠51の下方に位置して設けられたものとなっている。
ゆえに、この支持面62と支持面63は、支持枠51を挟んで対向する異なる位置に連設されている。
【0122】
側板68は、第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22と共に、支持枠51と、二つの支持面62,63と、この支持面62,63上にそれぞれ配された柔軟な弾性支持部材56,57とを挟み込んで収容するように、その両側にそれぞれ配される一対の板状部材であって、たとえば、ローマ文字「B」の外縁に沿う形状に近似する、大小二つの山が隣接した横向き山型形状をしたものとなっている。
図17において、正面右側の側板は符号68Rで示し、正面左側の側板は符号68Lで示されている。
【0123】
したがって、第二のスピーカユニット20は、図17に示すように、まず、筐体60の支持枠51にビス91・・91を用いてコーン支持枠9を固定する。次いで、筐体60の上側の支持面62に弾性支持部材56を配すると共に、湾曲振動板2における第一の湾曲振動面21を上方へ向けて弾性的に180度の角度で曲げ、その他端側21bを凹溝541内に挿入した後、さらに固定杆542を配することで押さえる。これにより、第一の湾曲振動面21の他端側21bは第一の固定手段54によって筐体60に取り付けられたものとなる。
【0124】
また、筐体60の下側の支持面63に弾性支持部材57を配すると共に、湾曲振動板2における第二の湾曲振動面22を下方へ向けて弾性的に180度の角度で曲げ、その他端側22bを凹溝551内に挿入した後、さらに固定杆552を配することで押さえる。これにより、第二の湾曲振動面22の他端側22bは第二の固定手段55によって筐体60に取り付けられたものとなる。
【0125】
これにより、第一の湾曲振動面21の他端側21bは、筐体60の左側上端に取り付けられ、第二の湾曲振動面22の他端側22bは、筐体60の右側下端に取り付けられたものとなり、二つの振動面(曲面部)は異なる方向に湾曲する、斜向かいに配されたものとなる。
ゆえに、二つの振動面の間に仕切り板がなくとも、互いに発せられる音声が相互に共鳴して歪んでしまうおそれの無いものとすることができる。
【0126】
この第一の湾曲振動面21と第二の湾曲振動面22は、曲面部の曲率が互いに相違するものとなっている。
図16において、第一の湾曲振動面21の曲率は小さく、二の湾曲振動面22の曲率は大きいものとして示されている。
【0127】
このように構成された第二のスピーカ200は、湾曲振動板を備えるスピーカでは及ばない低域側の再生帯域をコーン振動板1で補うと共に、湾曲振動板2の長さ方向の寸法が小さい(短い)第一の湾曲振動面21において共振帯域を上げた高域から中域の音を再生させ、一方、湾曲振動板2の長さ方向の寸法が大きい(長い)第二の湾曲振動面22において共振帯域を下げた中域から低域の音を再生させることができる。
【0128】
すなわち、この第二のスピーカ200は、コーン振動板1を備えるダイナミック型の第一のスピーカと、第一の湾曲振動面21を備える第二のスピーカと、第一の湾曲振動面21とは共振帯域が異なる第二の湾曲振動面22を備える第三のスピーカとを備えるものとなり、ドライバユニット4に対して電気信号を入力すると、従来の難聴者及び健聴者向けスピーカシステムに比して、湾曲振動板において幅広い(拡大した)再生周波数帯域が得られ、音質の改善を図ることができるものとなっている。
しかも、軽量で、設置面積も少なく、運搬がし易いものなので、スピーカの万能性が向上した高性能、且つ、高品質なハイブリッド型スピーカシステムとなっている。
【0129】
<第三の実施の形態>
次に、第三のスピーカユニット30について説明する。
本実施の形態に係る第三のスピーカユニット30は、図18及び図19に示すように、コーン状振動板1と、湾曲振動板12と、これらコーン状振動板1と湾曲振動板12を共に駆動するドライバユニット4と、湾曲振動板12の一端側に取り付けてドライバユニット4に接続する板状をしたブレード片5とを少なくとも備え、湾曲振動板12は、図20に示すように、幅方向の中央から位置ずれして長さ方向沿う切込み25を備える。
【0130】
本実施の形態において、湾曲振動板12は、切込み25を設けることにより二つの振動面を有するように部分的に分けられ、切込み25を介して第一の湾曲振動面23と、第二の湾曲振動面24が同じ方向に湾曲し、二つの振動面が隣接して形成されるものとなっている。
この第一の湾曲振動面23と第二の湾曲振動面24は、長さ方向の寸法や互いの振動面の厚みなどの要素は同じでも良いが、少なくとも長さ方向と直交する幅方向の寸法は互いに相違することを要する。
【0131】
すなわち、湾曲振動板12における第一の湾曲振動面23と第二の湾曲振動面24は、長さ方向の寸法や厚みが同じであり、上述した第一のスピーカユニット10における第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22と同様、振動面の曲げ方向も同じであるが、互いの幅方向の寸法が、互いに相違したものとなっている。
【0132】
図20において、湾曲振動板12の中央より左側に偏って切込み25が設けられ、切込み25の右側に位置する第一の湾曲振動面23の幅方向の寸法が、切込み25の左側に位置する第二の湾曲振動面24の幅方向の寸法より大きいものとして示されている。
【0133】
また、湾曲振動板12は、図20に示すように、ドライバユニット4に接続される一端側2aへ向かうにしたがって途中から幅方向の寸法が、徐々に小さく(狭く)なる形状をしたものとなっている。
図20において、湾曲振動板12の幅方向の形状は、他端側23b,24bから一端側12aへ向かう途中で徐々に小さく(狭く)なるものとして示され、他端寄りの幅方向の寸法w3より一端側12aの幅方向の寸法w4が小さなものとなっている(w3>w4)。
【0134】
ゆえに、湾曲振動板12における一端側12aの形状もまた、コーン状振動板1のすり鉢形状に適合した略同形となっており、コーン状振動板1が接続されたドライバユニット4に湾曲振動板12の一端側12aを接続しても、コーン状振動板1と湾曲振動板12とは互いに接触せず干渉しないようになっている。
【0135】
この湾曲振動板12の材料は、湾曲振動板2と同様に、カーボン紙などの紙、ポリイミドやポリエステルなどの可撓性を有するプラスチック、バルサ材などの木材、アルミやベリリウム、ボロンなどの金属を用いることができる。
また、湾曲振動板12の材料としては、たとえば、発泡シート材としても良い。具体的には、積水化学工業社の「ソフトロンS」と称される、ポリエチレンに電子線を照射して、5倍から50倍まで加熱発泡させた、厚さ1mm程度のシート状高発泡体とすることができる。
【0136】
湾曲振動板12は、弾性的に曲げて湾曲凸面を形成するように変形させることができる厚みであれは特に限定されない。
また、湾曲振動板12は、予め湾曲する振動面を有するように成形された部材であっても良い。
【0137】
図18及び図19において、互いの長さ方向の寸法や厚みは同じであるが、幅方向の寸法が相違し、幅方向の寸法が大きい(広い)第一の湾曲振動面23と、幅方向の寸法が小さい(狭い)第二の湾曲振動面24とを組み合わせた二つの湾曲振動面を有し、それぞれの湾曲振動面が同じ方向に曲面部を形成する湾曲振動板12を備える第三のスピーカユニット30が示されている。
【0138】
このスピーカユニット30では、二つの振動面の長さ方向の寸法が同じであっても、第一の湾曲振動面23の幅方向の寸法が大きい(広い)ことから、その振動面の面積が大きく、一方、第二の湾曲振動面24の長さ方向の寸法が小さい(狭い)ことから、その振動面の面積が小さいものとなり、その重量も互いに相違するものとなっている。
これにより、二つの振動面の共振特性が相違するものとなる。
【0139】
このように構成された第三のスピーカユニット30は、さらに、コーン振動板1の径大側1bと、湾曲振動板12における第一の湾曲振動面23の他端側23b及び第二の湾曲振動面24の他端側24bを共に、筐体70に固定することで、図21に示す第三のスピーカ300を構成するものとなっている。
【0140】
筐体70は、図22に示すように、支持枠51と、この支持枠51に連設された隣接する二つの支持面72,73と、一方の支持面72の終端部に設けられた第一の固定手段54、及び他方の支持面73の終端部に設けられた第二の固定手段55と、二つの支持面72,73上にそれぞれ配された柔軟な弾性支持部材56,57と、一対の側板78,78とを含むことにより構成されている。
【0141】
支持面72は、第一のスピーカユニット10における支持面52と同様、湾曲振動板12における第一の湾曲振動面23の湾曲と等しい曲面部を有する部位であって、第一の湾曲振動面23の背面側において、曲面部が第一の湾曲振動面23の背面と接することなく位置するものとなっており、支持枠51の下方右側に位置して設けられたものとなっている。
【0142】
支持面73は、第一のスピーカユニット10における支持面53と同様、湾曲振動板12における第二の湾曲振動面24の湾曲と等しい曲面部を有する部位であって、支持面72と同様、第二の湾曲振動面24の背面側において、曲面部が第二の湾曲振動面24の背面と接することなく位置するものとなっており、支持枠51の下方左側に位置して設けられたものとなっている。
【0143】
この支持面72と支持面73は、仕切り板59を挟んで隣接する位置にそれぞれ形成され、第一の湾曲振動面23及び第二の湾曲振動面24における幅方向の寸法に応じて、支持面72の幅方向の寸法が支持面73の幅方向の寸法より大きい(広い)ものとなっている。
【0144】
側板78は、湾曲振動板12(第一の湾曲振動面23及び第二の湾曲振動面24)と共に、支持枠51と、二つの支持面72,73と、この支持面72,73上にそれぞれ配された柔軟な弾性支持部材56,57と、仕切り板59とを挟み込んで収容するように、その両側にそれぞれ配される一対の板状部材であって、たとえば、ローマ文字「D」の外縁に沿う形状に近似する山型形状をした、同じ大きさをした一対の板状部材が互いに向かい合うように配されたものとなっている。
図22において、正面右側の側板は符号78Rで示し、正面左側の側板は符号78Lで示されている。
【0145】
したがって、第三のスピーカユニット30は、図22に示すように、まず、筐体70の支持枠51にビス91・・91を用いてコーン支持枠9を固定する。次いで、筐体70の右側の支持面72に弾性支持部材56を配すると共に、湾曲振動板12における第一の湾曲振動面23を下方へ向けて弾性的に180度の角度で曲げ、その他端側23bを凹溝541内に挿入した後、さらに固定杆542を配することで押さえる。これにより、第一の湾曲振動面23の他端側23bは第一の固定手段54によって筐体70に取り付けられたものとなる。
【0146】
また、筐体70の左側の支持面73に弾性支持部材57を配すると共に、湾曲振動板12における第二の湾曲振動面24を下方へ向けて弾性的に180度の角度で曲げ、その他端側24bを凹溝551内に挿入した後、さらに固定杆552を配することで押さえる。これにより、第二の湾曲振動面24の他端側24は第二の固定手段55によって筐体70に取り付けられたものとなる。
【0147】
その結果、第一の湾曲振動面23の他端側23bは、筐体70の右側に取り付けられ、第二の湾曲振動面24の他端側24bは、筐体70の左側に取り付けられたものとなり、二つの振動面(曲面部)は同じ方向に湾曲する、互いに隣接したものとなる。
この際、第一の湾曲振動面23と第二の湾曲振動面24もまた、仕切り板59を介して隣接したものとなっているので、互いに発せられる音声が相互に共鳴して歪んでしまうおそれが仕切り板59によって解消されるものとなっている。
【0148】
このように構成された第三のスピーカ300もまた、湾曲振動板を備えるスピーカでは及ばない低域側の再生帯域をコーン振動板1で補うと共に、湾曲振動板12の幅方向の寸法が大きい(広い)第一の湾曲振動面23において共振帯域を下げた中域から低域の音を再生させ、一方、湾曲振動板12の幅方向の寸法が小さい(狭い)第二の湾曲振動面24において共振帯域を上げた高域から中域の音を再生させることができる。
【0149】
すなわち、この第三のスピーカ300は、コーン振動板1を備えるダイナミック型の第一のスピーカと、第一の湾曲振動面23を備える第二のスピーカと、第一の湾曲振動面23とは共振帯域が異なる第二の湾曲振動面24を備える第三のスピーカとを備えるものとなり、ドライバユニット4に対して電気信号を入力すると、従来の難聴者及び健聴者向けスピーカシステムに比して、湾曲振動板において幅広い(拡大した)再生周波数帯域が得られ、音質の改善を図ることができるものとなっている。
しかも、軽量で、設置面積も少なく、運搬がし易いものなので、スピーカの万能性が向上した高性能、且つ、高品質なハイブリッド型スピーカシステムとなっている。
【0150】
<第四の実施の形態>
次に、第四のスピーカユニット40について説明する。
本実施の形態に係る第四のスピーカユニット40は、図23及び図24に示すように、コーン状振動板1と、湾曲振動板2と、これらコーン状振動板1と湾曲振動板2を共に駆動するドライバユニット4と、湾曲振動板2の一端側に取り付けてドライバユニット4に接続する板状をしたブレード片15とを少なくとも備え、湾曲振動板2は、第三の実施の形態と同様、幅方向の中央から位置ずれして長さ方向沿う切込み25を備える。
【0151】
本実施の形態において、湾曲振動板12は、切込み25を設けることにより二つの振動面を有するように部分的に分けられ、切込み25を介して第一の湾曲振動面23と、第二の湾曲振動面24が異なる方向に湾曲し、二つの振動面が斜向かいに配されたものとなっている。
この第一の湾曲振動面23と第二の湾曲振動面24は、長さ方向の寸法や互いの振動面の厚みなどの要素は同じでも良いが、少なくとも長さ方向と直交する幅方向の寸法は互いに相違することを要する。
【0152】
すなわち、湾曲振動板12における第一の湾曲振動面23と第二の湾曲振動面24は、長さ方向の寸法や厚みは同じであるが、上述した第二のスピーカユニット20における第一の湾曲振動面21及び第二の湾曲振動面22と同様、振動面の曲げ方向が相反している点で相違すると共に、上述した第三のスピーカユニット20における第一の湾曲振動面23及び第二の湾曲振動面24と同様、互いの幅方向の寸法が、互いに相違したものとなっている。
【0153】
図23及び図24において、互いの長さ方向の寸法や厚みは同じであるが、幅方向の寸法が互いに相違し、それぞれ相反する方向に曲面部を形成する二つの湾曲振動面を有する湾曲振動板12を備える第四のスピーカユニット40が示されている。
【0154】
このように構成された第四のスピーカユニット40は、さらに、コーン振動板1の径大側1bと、湾曲振動板12における第一の湾曲振動面23の他端側23b及び第二の湾曲振動面24の他端側24bを共に、筐体60に固定することで、図25に示す第四のスピーカ400を構成するものとなっている。
【0155】
筐体60は、図26に示すように、支持枠51と、この支持枠51に連設された二つの支持面62,63と、一方の支持面62の終端部に設けられた第一の固定手段54、及び他方の支持面63の終端部に設けられた第二の固定手段55と、二つの支持面62,63上にそれぞれ配された柔軟な弾性支持部材56,57と、一対の側板68,68とを含むことにより構成されている。
【0156】
したがって、第四のスピーカユニット40は、図26に示すように、まず、筐体60の支持枠51にビス91・・91を用いてコーン支持枠9を固定する。次いで、筐体60の上側の支持面62に弾性支持部材56を配すると共に、湾曲振動板12における第一の湾曲振動面23を上方へ向けて弾性的に180度の角度で曲げ、その他端側23bを凹溝541内に挿入した後、さらに固定杆542を配することで押さえる。これにより、第一の湾曲振動面23の他端側23bは第一の固定手段54によって筐体60に取り付けられたものとなる。
【0157】
また、筐体60の下側の支持面63に弾性支持部材57を配すると共に、湾曲振動板12における第二の湾曲振動面24を下方へ向けて弾性的に180度の角度で曲げ、その他端側24bを凹溝551内に挿入した後、さらに固定杆552を配することで押さえる。これにより、第二の湾曲振動面24の他端側24bは第二の固定手段55によって筐体60に取り付けられたものとなる。
【0158】
これにより、第一の湾曲振動面23の他端側23bは、筐体60の左側上端に取り付けられ、第二の湾曲振動面24の他端側24bは、筐体60の右側下端に取り付けられたものとなり、二つの振動面(曲面部)は異なる方向に湾曲する、斜向かいに配されたものとなる。
【0159】
このように構成された第四のスピーカ400もまた、湾曲振動板を備えるスピーカでは及ばない低域側の再生帯域をコーン振動板1で補うと共に、湾曲振動板12の長さ方向の寸法が大きい(長い)第一の湾曲振動面23において共振帯域を下げた中域から低域の音を再生させ、一方、湾曲振動板12の長さ方向の寸法が小さい(短い)第二の湾曲振動面24において共振帯域を上げた高域から中域の音を再生させることができる。
【0160】
すなわち、この第四のスピーカ400は、コーン振動板1を備えるダイナミック型の第一のスピーカと、第一の湾曲振動面23を備える第二のスピーカと、第一の湾曲振動面23とは共振帯域が異なる第二の湾曲振動面24を備える第三のスピーカとを備えるものとなり、ドライバユニット4に対して電気信号を入力すると、従来の難聴者及び健聴者向けスピーカシステムに比して、湾曲振動板において幅広い(拡大した)再生周波数帯域が得られ、音質の改善を図ることができるものとなっている。
しかも、軽量で、設置面積も少なく、運搬がし易いものなので、スピーカの万能性が向上した高性能、且つ、高品質なハイブリッド型スピーカシステムとなっている。
【0161】
以上のように、これらのスピーカ100,200,300,400では、コーン状振動板を備えるダイナミック型の第一のスピーカからの音と、湾曲振動板を備える第二のスピーカ及び第三のスピーカからの音とを混在させることにより、より広帯域の音(難聴者及び健聴者向け音波)の再生を可能とすることができる。
【0162】
また、スピーカ100,200,300,400は、コーン状振動板を駆動するドライバユニットと、湾曲振動板を駆動するドライバユニットとが共有されたものとなっているので、製造コストと重量が低減されたものとなっている。さらに、第一のスピーカと第二のスピーカ及び第三のスピーカとを一体的に連設することで、設置面積が少なくコンパクト化されたものとすることができる。
【0163】
なお、上述した実施の形態では、長さや幅の寸法が同じ湾曲振動面を備える湾曲振動板において、振動面の曲率が相違する場合について例示していないが、湾曲振動板における一方の湾曲振動面の曲率を小さくすることで、共振帯域を下げた音を再生し、湾曲振動板における他方の湾曲振動面の曲率を大きくすることで、共振帯域を上げた音を再生させることができるものとなる。
【0164】
また、上述した実施の形態では、振動面の厚みや硬さが相違する場合について例示していないが、湾曲振動面にシート材を貼付したり、塗料を塗布したりすることで厚みや硬さを適宜変更すことができる。
その結果、一方の湾曲振動面の厚みを大きくすることで、共振帯域を下げた音を再生し、他方の湾曲振動面の厚みを小さくすることで、共振帯域を上げた音を再生させることができる。また、一方の湾曲振動面を柔らかくすることで、共振帯域を下げた音を再生し、他方の湾曲振動面を硬くすることで、共振帯域を上げた音を再生させることができるものとなる。
【符号の説明】
【0165】
1 第一の振動板(コーン状振動板)、1a 径小側、1b 径大側、2,12 第二の振動板(湾曲振動板)、2a 一端側、4 ドライバユニット、5,15 ブレード、6 センターキャップ(ダストキャップ)、9 コーン支持枠、10,20,30,40 スピーカユニット、21,23 第一の湾曲振動面、21b,23b 他端側、22,24 第二の湾曲振動面、22b,24b 他端側、25 切込み、41 ボイスコイル、42 磁気回路、50,60,70 筐体、51 支持枠、52,53,62,63 支持面、54,55 固定手段、56,57 弾性支持部材、58,68,78 側板、59 仕切り板、100,200,300,400 スピーカ(ハイブリッド型スピーカシステム)。


【要約】
【課題】複数の帯域の音の再生を可能とし、難聴者並びに健聴者に対して不足の無い性能を有する高性能、且つ、高品質な湾曲振動板スピーカシステムを提供する。
【解決手段】本発明のスピーカユニット10は、コーン状をした第一の振動板1と、湾曲したシート状の第二の振動板2と、第一の振動板と第二の振動板を共に駆動するドライバユニット4とを備えている。第一の振動板の径小側1aと第二の振動板の一端側2aは、ドライバユニットに接続されている。第二の振動板は、幅方向の中央に湾曲方向に沿う切込み25を備え、切込みを介して一方に有する振動面と他方に有する振動面は、同じ方向に湾曲することで隣接して配されるものとなっている。この二つの振動面は、長さ方向の寸法が互いに相違し、共振特性が相違するものとなっている。このスピーカユニットは、筐体50に装着してスピーカ100とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26