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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】タッチセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/20 20060101AFI20220802BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20220802BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
G01L1/20 G
G01L5/00 101Z
G06F3/041 602
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018155279
(22)【出願日】2018-08-22
(65)【公開番号】P2020030087
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000220686
【氏名又は名称】東京特殊印刷工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000116068
【氏名又は名称】ローランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100160842
【弁理士】
【氏名又は名称】加曽利 正典
(72)【発明者】
【氏名】寺川 悠香
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健介
(72)【発明者】
【氏名】岡村 洋司
(72)【発明者】
【氏名】久光 創
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-222282(JP,A)
【文献】特開平11-224156(JP,A)
【文献】特開2004-37350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
G06F3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの基材が矩形形状の4つの部位(11A,11B,11C,11D)と端子部(17)とを含み、前記4つの部位(11A,11B,11C,11D)と前記端子部(17)とが前記基材の表面に設けられる引出線で電気的に接続され、
前記4つの部位(11A,11B,11C,11D)のうちの折り畳まれると対向する2つの部位の表面に抵抗膜が形成され他の2つの折り畳まれると対向する部位の表面に抵抗膜が形成され、一方の前記抵抗膜は位置検出用の抵抗膜であり、他方の前記抵抗膜は感圧用の抵抗膜であり、
前記4つの部位(11A,11B,11C,11D)のうちの1の部位(11A)と第2の部位(11B)とは、矩形形状における長手方向に直交する境界を介して隣接し、
前記4つの部位のうちの他の2つの部位である第3の部位(11C)と第4の部位(11D)とは、前記長手方向の境界を介して隣接し、
前記第1の部位(11A)と前記第4の部位(11D)とは、前記長手方向の境界を介して隣接し、
前記抵抗膜が対向するように前記第2の部位(11B)と前記第1の部位(11A)とが折り畳まれることによって積層され、
前記抵抗膜が対向するように前記第3の部位(11C)と前記第4の部位(11D)とが折り畳まれることによって積層され、
折り畳みによって形成された2つの部分が、前記第2の部位(11B)の裏面と前記第3の部位(11C)の裏面とが対向するように折り重ねられた構造を有する
タッチセンサ。
【請求項2】
前記第1の部位と前記第2の部位に、カーボン、または銀とカーボンとによる位置検出用の抵抗膜がスクリーン印刷によって形成され、
前記第3の部位と前記第4の部位に、銀と感圧インクによる感圧用の抵抗膜がスクリーン印刷によって形成されている
請求項に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記第1の部位の表面と前記第2の部位の表面とが接着され、
前記第3の部位の表面と前記第4の部位の表面とが接着され、
前記第2の部位の裏面と前記第3の部位の裏面とが接着された
請求項1または請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
矩形形状における長手方向に直交する境界を介して隣接する矩形形状の第1の部位(11A)および第2の部位(11B)と、前記長手方向の境界を介して隣接する矩形形状の第3の部位(11C)および第4の部位(11D)とを含み、前記第1の部位(11A)と前記第4の部位(11D)とは前記長手方向の境界を介して隣接する4つの部位を含む基材における該4つの部位のうちの折り畳まれると対向する2つの部位の表面に位置検出用の抵抗膜を形成し、
前記4つの部位のうちの他の2つの折り畳まれると対向する部位の表面に感圧用の抵抗膜を形成し、
前記4つの部位(11A,11B,11C,11D)と、前記基材に含まれる端子部(17)とを電気的に接続する引出線を、前記基材の表面に設け、
前記抵抗膜が対向するように前記第2の部位(11B)と前記第1の部位(11A)とを折り畳むことによって積層し、
前記抵抗膜が対向するように前記第3の部位(11C)と前記第4の部位(11D)とを折り畳むことによって積層し、
折り畳みによって形成された2つの部分を、前記第2の部位(11B)の裏面と前記第3の部位(11C)の裏面とが対向するように折り重ねる
タッチセンサの製造方法。
【請求項5】
前記第1の部位と前記第2の部位に、カーボン、または銀とカーボンとによる位置検出用の抵抗膜をスクリーン印刷によって形成し、
前記第3の部位と前記第4の部位に、銀と感圧インクによる感圧用の抵抗膜をスクリーン印刷によって形成する
請求項に記載のタッチセンサの製造方法。
【請求項6】
前記第1の部位の表面と前記第2の部位の表面とを接着し、
前記第3の部位の表面と前記第4の部位の表面とを接着し、
前記第2の部位の裏面と前記第3の部位の裏面とを接着する
請求項または請求項に記載のタッチセンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触位置および接触圧を検知可能なタッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
表面パネルを有する電子機器がある。また、表面パネルへの人の指などの接触を検知するタッチパネルが組み込まれた電子機器がある。タッチパネルとして、人の指などが接触すると、接触位置(以下、タッチ位置という。)と接触圧(以下、押圧またはタッチ圧という。)との双方を検知可能なタッチセンサを含むものがある。
【0003】
特許文献1には、タッチ圧検出部およびタッチ位置検出部を含むタッチ操作入力部を有する電子機器が記載されている(段落0016参照。)。タッチ操作入力部は、ユーザによるタッチ操作を検出する。具体的には、タッチ圧検出部は、感圧センサで構成され、ユーザのタッチ操作で生じたタッチ圧を検出する。タッチ位置検出部は、静電容量式または抵抗膜式(感圧式)の位置入力センサで構成されている。タッチ位置検出部は、タッチ座標を検出する。
【0004】
特許文献2には、接触位置を検出するタッチセンサと感圧センサとを有する電子機器が記載されている(段落0030,0031参照。)。具体的には、タッチセンサは、検出対象(例えば、人の指)の接触位置を検出し、接触位置の座標に応じた検出信号を出力する。感圧センサは、例えば、入力操作部の撓みによって生じた電極間の静電容量の変化によってタッチ圧を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-119080号公報
【文献】特開2011-76172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された電子機器において、タッチ圧検出部は、タッチ位置検出部とは別体で形成されている。特許文献2に記載された電子機器でも、感圧センサは、タッチセンサ(特許文献2では、接触位置を検出するセンサ)とは別体で形成されている。
【0007】
押圧を検出するためのセンサ(タッチ圧検出部や感圧センサ)とタッチ位置を検出するためのセンサ(タッチ位置検出部)とが別体で形成されている場合には、それらを別個に電子機器に組み込む必要があるので、製造工程が増える。また、各々のセンサを別個に用意することは、センサ全体としての価格を上昇させる。
【0008】
また、タッチ位置を検出するためのセンサが、押圧を検出するためのセンサとは別体で形成されているので、各々のセンサの検出部から、それぞれの信号線を別個に引き出すことが求められる。したがって、電子機器を製造する際の製造工程が増える。なお、製造工程の増加は、電子機器の価格の上昇に繋がる。
【0009】
本発明は、製造工程の増加を抑制しつつ、安価に提供することができるタッチセンサを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるタッチセンサは、1つの基材が矩形形状の4つの部位と端子部とを含み、4つの部位と端子部とが基材の表面に設けられる引出線で電気的に接続され、4つの部位のうちの折り畳まれると対向する2つの部位の表面に抵抗膜が形成され他の2つの折り畳まれると対向する部位の表面に抵抗膜が形成され、一方の抵抗膜は位置検出用の抵抗膜であり、他方の抵抗膜は感圧用の抵抗膜であり、4つの部位のうちの1の部位と第2の部位とは、矩形形状における長手方向に直交する境界を介して隣接し、4つの部位のうちの他の2つの部位である第3の部位と第4の部位とは、長手方向の境界を介して隣接し、第1の部位と第4の部位とは、長手方向の境界を介して隣接し、抵抗膜が対向するように第2の部位第1の部位とが折り畳まれることによって積層され、抵抗膜が対向するように第3の部位第4の部位とが折り畳まれることによって積層され、折り畳みによって形成された2つの部分が、第2の部位の裏面と第3の部位の裏面とが対向するように折り重ねられた構造を有することを特徴とする。
【0012】
本発明によるタッチセンサの製造方法は、矩形形状における長手方向に直交する境界を介して隣接する矩形形状の第1の部位および第2の部位と、長手方向の境界を介して隣接する矩形形状の第3の部位および第4の部位とを含み、第1の部位と第4の部位とは長手方向の境界を介して隣接する4つの部位を含む基材における該4つの部位のうちの折り畳まれると対向する2つの部位の表面に位置検出用の抵抗膜を形成し、4つの部位のうちの他の2つの折り畳まれると対向する部位の表面に感圧用の抵抗膜を形成し、4つの部位と、基材に含まれる端子部とを電気的に接続する引出線を、基材の表面に設け、抵抗膜が対向するように第2の部位第1の部位とを折り畳むことによって積層し、抵抗膜が対向するように第3の部位第4の部位とを折り畳むことによって積層し、折り畳みによって形成された2つの部分を、第2の部位の裏面と第3の部位の裏面とが対向するように折り重ねることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製造工程の増加を抑制しつつ、安価なタッチセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態のタッチセンサを示す断面図である。
図2】タッチセンサを展開した状態(使用形態が形成される前の状態)を示す平面図である。
図3】タッチセンサを展開した状態(使用形態が形成される前の状態)を示す断面図である。
図4】タッチセンサの製造方法を説明するための説明図である。
図5】感圧センサと位置センサの模式的な回路構成を示す回路図である。
図6】(A)は位置センサの作用を説明するための断面図、(B)は検出原理を説明するための説明図である。
図7】(A)は感圧センサの作用を説明するための断面図、(B)は感圧センサにおける抵抗-荷重(圧力)特性の一例を示す説明図である。
図8】タッチセンサを展開した状態(使用形態が形成される前の状態)の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1(A)は、本発明の一実施の形態のタッチセンサ1を示す断面図である。なお、 タッチセンサにおける端子部の平面図が図1(B)として示されている。
【0017】
タッチセンサ1は、折り畳まれたシート(フィルム)11の一部に、位置センサと感圧センサとが形成された構造になっている。本実施の形態では、位置センサとして機能する抵抗膜12A,12Bが形成されている。また、感圧センサとして機能する感圧導電性インク(以下、感圧インクという。)による膜13A,13Bが形成されている。
【0018】
フィルム11は、4つの部位(第1の部位、第2の部位、第3の部位、第4の部位)からなっている。フィルム11が折り畳まれた状態では、4つの部位は、積層されたようになっている。
【0019】
後述するように、フィルム11の第1の部位(図2に示される部位11Aに相当)における抵抗膜12Aが形成された面と第2の部位(図2に示される部位11Bに相当)における抵抗膜12Bが形成された面とは、感圧接着剤(印刷糊)19で接着されている。フィルム11の第3の部位(図2に示される部位11Cに相当)における膜13Aが形成された面と第4の部位(図2に示される部位11Dに相当)における膜13Bが形成された面も、感圧接着剤19で接着されている。なお、各々の部位において、抵抗膜12A,12Bまたは膜13A,13Bが形成されている面を表面とする。それらが形成されていない面を裏面とする。
【0020】
第2の部位の裏面と第3の部位の裏面とは、両面テープ(両面接着テープ)で接着される。両面テープは、支持体(セッティングプレート)14の表面および裏面に粘着剤20が積層されたものである。なお、図1には、第3の部位の裏面側の両面テープの剥離部材(セパレータ)15も示されている。
【0021】
なお、本実施の形態では、フィルム11の第1の部位の表面と第2の部位の表面とが感圧接着剤19で接着され、第3の部位の表面と第4の部位の表面とが感圧接着剤19で接着され、第2の部位の裏面と第3の部位の裏面とが両面テープで接着されるが、各々の接着手段は、感圧接着剤19または両面テープに限定されない。フィルム11の部位を接着することが可能な他の接着手段を使用してもよい。
【0022】
フィルム11は、一端において、端子部17が形成されている(図1(B)参照)。フィルム11における端子部17の裏側には、補強板16が貼り付けられている。補強板16および端子部17が形成された部分と位置センサおよび感圧センサが形成された部分との間には、延伸部18がある。
【0023】
図1(B)に示すように、端子部17は、4つの端子(1)~(4)を含む。各々の端子(1)~(4)は、銀の層17bの上に感圧インク17aが重ねられて形成される。各々の端子(1)~(4)は、引出線によって、抵抗膜12A,12Bおよび膜13A,13Bのうちの1つまたは複数に電気的に接続される。
【0024】
タッチセンサ1は、表面パネル41を有する。表面パネル41は、積層されたフィルム11と接着剤(一例として、両面テープ)で接着される。図1には、接着剤として、支持体42の表面および裏面に粘着剤43が積層された両面テープが使用される例が示されている。表面パネル41は、人の指などが接触する部材であり、例えば、カーボグラス(登録商標)などのポリカーボネート(PC)シートを素材とする。ただし、表面パネル41の素材は、PCシートに限定されない。
【0025】
図2は、使用形態(折り畳まれた状態)が形成される前のタッチセンサを示す平面図である。図2に示すように、フィルム11は、4つの部位11A,11B,11C,11Dを含む。
【0026】
延伸部18に最も近い部位11Aの表面の一部には、抵抗膜12A(図1参照。)が形成される。X方向(長手方向)で部位11Aに隣接する部位(図2において右側の部位)11Bの表面の一部には、抵抗膜12B(図1参照。)が形成される。Y方向(幅方向)で部位11Aに隣接するもう一方の部位(図2において上側の部位)11Dの表面の一部には、感圧インクによる膜13A(図1参照。)が形成される。Y方向で部位11Dに隣接する部位11Cの表面の一部には、感圧インクによる膜13B(図1参照。)が形成される。なお、本実施の形態では、抵抗膜12A,12Bおよび膜13A,13Bの平面形状は矩形であるが、それらの形状は矩形に限定されない。一例として、楕円形であってもよい。
【0027】
また、部位11Aと部位11Bとは、幅方向(Y方向)の境界を介して隣接しているともいえる。部位11Aと部位11Dとは、長手方向の境界(X方向)を介して隣接しているともいえる。部位11Dと部位11Cとは、長手方向の境界(X方向)を介して隣接しているともいえる。
【0028】
また、図2において、部位間の線分は、部位の境界を示す。部位11Aと部位11Dの境界上にある楕円、および、部位11Cと部位11Dの境界上にある楕円は、穴である。
【0029】
使用形態が形成される前の図2に示されたタッチセンサにおける部位11Bが部位11Aに対して折り畳まれ、部位11Cが部位11Dに対して折り畳まれた後さらに部位11Aに対して折り畳まれた後には、タッチセンサ1は、位置検出用の抵抗膜12Aが形成された部位11Aと、部位11Aの下に位置し、位置検出用の抵抗膜12Bが形成された部位11Bと、部位11Bの下に位置し、感圧用の抵抗膜(膜13A)が形成された部位11Cと、部位11Cの下に位置し、感圧用の抵抗膜(膜13B)が形成された部位11Dとを含む。なお、部位11A,11B,11C,11Dは、1つの基材(本実施の形態では、フィルム11)で形成されていることが好ましい。そして、例えば、1つの基材が折り畳まれることによって形成されていることが好ましい。また、本実施の形態では、「部位の下」は、表面パネル41の位置を上部とした場合の位置関係での「下」である。
【0030】
図3は、使用形態が形成される前のタッチセンサを示す断面図である。なお、図3には、図2における抵抗膜12A,12Bが形成された部位11A,11Bの断面が例示されている。したがって、図3において、フィルム11の上面側に、感圧接着剤19が存在する。なお、図3に示す例では、感圧接着剤19の上面側に、セパレータ31が設置されている。また、フィルム11の一部(具体的には、部位11A)の下面に、セパレータ32と接着剤33とからなる両面テープが貼られた様子が示されている。
【0031】
次に、図4を参照して、フィルム11の形成方法を説明する。
【0032】
まず、展開時のタッチセンサ1を構成するフィルム11における4つの部位11A,11B,11C,11Dおよび延伸部18(図2参照)を含むような平面フィルムを用意する。なお、平面フィルムは、複数のタッチセンサ1を構成するフィルム11を含むような広面積のフィルムであってもよい。なお、フィルム11として、ポリイミド(PI)、ポリエステルテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などを使用することができる。
【0033】
次いで、図4(A)に示すように、抵抗膜12Aおよび感圧インクによる膜13A,13Bが形成される箇所(図2参照)、および端子部17への引出線が形成される箇所に、銀を印刷(例えば、スクリーン印刷)して銀層51を形成する。さらに、図4(B)に示すように、部位11A,11Bにおける抵抗膜12A,12Bが形成される箇所(図2参照)に、導電性カーボン(以下、カーボンという。)52を印刷(例えば、スクリーン印刷)する。このとき、引出線における所定箇所にもカーボン52が印刷される。所定箇所は、部位11B,11C,11Dが折り返される箇所である。なお、部位11Bについては、銀層51を保護するために、銀が印刷された箇所の上に、カーボン52が印刷される。
【0034】
また、部位11C,11Dの所定箇所に感圧インク53を印刷(例えば、スクリーン印刷)する。なお、所定箇所は、膜13A,13Bが形成される箇所(図2参照)である。
【0035】
さらに、図4(D)に示すように、特定箇所以外の箇所にレジストインク54を印刷(例えば、スクリーン印刷)する。なお、特定箇所は、部位11A,11B,11C,11Dにおける抵抗膜12A,12Bが形成される箇所および膜13A,13Bが形成される箇所である。また、端子部17も特定箇所に含まれる。
【0036】
また、図4(E)に示すように、スペーサドット55を形成するために、部位11A,11Dにおける抵抗膜12Aおよび膜13Bが形成される箇所(図2参照)において、間歇的に、紫外線硬化樹脂を印刷(例えば、スクリーン印刷)する。
【0037】
また、図4(F)に示すように、部位11B,11Dにおける抵抗膜12Bおよび膜13Bが形成される箇所(図2参照)以外の箇所に、感圧接着剤19を印刷(例えば、スクリーン印刷)する。次いで、感圧接着剤19の上面側に、セパレータ31を設置する(図3参照)。なお、作業の簡単のために、全ての部位11A,11B,11C,11Dの上面側に、セパレータ31を設置してもよい。
【0038】
その後、部位11C,11Dの裏面に両面テープを貼り付ける。なお、部位11Cの裏面の両面テープは、部位11Bの裏面との接着のために用いられる。部位11Dの裏面の両面テープは、タッチセンサ1と他の部材との接着のために用いられる。また、端子部17の裏面に補強板16を貼り付ける。そして、図2等に示された形状のフィルム11を得るために打抜き加工を行う。
【0039】
さらに、例えば以下のような手順で部位11B,11C,11Dを折り畳む。手順を説明するために図2図4を参照する。
【0040】
まず、部位11Cと部位11Dとの境界に折り目が付くように、また、膜13A,13Bが対向するように、部位11Cを部位11Dの側に折り曲げる。また、部位11Aと部位11Bとの境界に折り目が付くように、また、抵抗膜12A,12Bが対向するように、部位11Bを部位11Aの側に折り曲げる。
【0041】
その後、一旦、部位11A,11B,11C,11Dを展開して図2に示されたような状態に戻す。この状態では、部位間に折り目が付いている。
【0042】
その状態で、部位11Dの表面のセパレータ31(図3参照)を剥がす。全ての部位11A,11B,11C,11Dにセパレータ31が設置されている場合には、部位11A,11C,11Dの表面のセパレータ31を剥がす。そして、膜13A,13Bが対向するように、再び、部位11Cを部位11Dの側に折り畳む。部位11Dの表面には感圧接着剤19の層が形成されているので(図4(F)参照)、部位11Cの表面と部位11Dの表面とが接着される。
【0043】
次いで、部位11Bの表面のセパレータ31(図3参照)を剥がす。そして、抵抗膜12A,12Bが対向するように、再び、部位11Bを部位11Aの側に折り畳む。部位11Bの表面には感圧接着剤19の層が形成されているので(図4(F)参照)、部位11Aの表面と部位11Bの表面とが接着される。
【0044】
また、部位11Cの裏面に貼り付けられている両面テープのセパレータ32を剥がす。なお、この状態では、部位11Bが部位11Aの側に折り畳まれ、部位11Cが部位11Dの側に折り畳まれている。そして、部位11Cの裏面と部位11Bの裏面とを両面テープで接着する。
【0045】
さらに、表面パネル41の裏面に両面テープを貼り、両面テープで、表面パネル41とフィルム11の部位11Aとを接着する。
【0046】
以上のようにして、図1に例示されたタッチセンサ1が得られる。
【0047】
なお、4つの部位(第1の部位、第2の部位、第3の部位、第4の部位)を折り曲げたり折り畳んだりする工程は人手によって遂行されてもよいが、それらの工程を遂行するための治具を用いてもよい。
【0048】
次に、図5図7を参照して、フィルム11の部位11A,11Bに形成された位置センサと、部位11C,11Dに形成された感圧センサの作用を説明する。図5は、感圧センサと位置センサの模式的な回路構成を示す回路図である。なお、図5における端子(1)~(4)は、図1(B)における端子(1)~(4)に相当する。
【0049】
図6(A)は、タッチセンサ1における位置センサの作用を説明するための断面図である。図6(B)は検出原理を説明するための説明図である。
【0050】
図6(A)の2箇所においてフィルム11が示されているが、上側のフィルム11は、部位11A(図2等参照)に相当し、下側のフィルム11は、部位11B(図2等参照)に相当する。また、上側のカーボン52は、抵抗膜12A(図1等参照)に相当し、下側のカーボン52および銀層51は、抵抗膜12B(図1等参照)に相当する。なお、図7(A)には、スペーサドット55およびスペーサ57も示されている。スペーサ57の部分は、感圧接着剤19やレジストインク54を含む。
【0051】
図6(B)に示すように、抵抗膜12Aの両辺(図6(B)における黒部分)に、電源電圧(Vcc)と接地電位(0V)とが供給されている。なお、それらは、図5における端子(3)と端子(2)から供給される。ただし、端子(3)から接地電位(0V)を供給し、端子(2)から電源電圧(Vcc)を供給してもよい。Vccが供給される箇所を電源電極とし、0Vが供給される箇所を接地電極とする。抵抗膜12Bに接続される引出線から出力(Vout)が取り出される。なお、出力は、図5における端子(4)から取り出される。
【0052】
抵抗膜12Aの両辺に直交する方向をx方向とする。図6(A)に示すように人の指61等がタッチセンサ1に接触したとする。R1は、電源電圧と人の指61等が接触した箇所Aとの間の抵抗値を表す。R2は、人の指61等が接触した箇所と接地電極との間の抵抗値を表す。
【0053】
箇所Aから両端の電極までの距離の比はR1とR2の抵抗値の比と等価である。よって、箇所Aにおける人の指61等の接触によって抵抗膜12Aと抵抗膜12Bが接触すると、x方向の位置に応じた電圧がVoutに現れる。
【0054】
図7(A)は感圧センサの作用を説明するための断面図である。図7(B)は感圧センサにおける抵抗-荷重(圧力)特性の一例を示す説明図である。
【0055】
図7(A)の2箇所においてフィルム11が示されているが、上側のフィルム11は、部位11C(図2等参照)に相当し、下側のフィルム11は、部位11D(図2等参照)に相当する。また、上側の銀層51および感圧インク53は、膜13A(図1等参照)に相当し、下側の感圧インク53および銀層51は、膜13B(図1等参照)に相当する。なお、図7(A)には、スペーサドット55およびスペーサ57も示されている。スペーサ57の部分は、感圧接着剤19やレジストインク54を含む。
【0056】
図7(A)に示すように人の指61等が箇所Aにおいてタッチセンサ1に接触したとする。人の指61等の接触によって膜13Aと膜13Bとが導通状態になったとき、人の指61等の押圧が大きいと、膜13Aと膜13Bとの接触面積が大きくなって導通抵抗の値が低下する。例えば、部位11Cには、図5における端子(2)から接地電位が供給され、膜13Bに接続される引出線から出力が取り出される。なお、出力は、図5における端子(1)から取り出される。
【0057】
図7(B)に示された抵抗-荷重(圧力)特性に示すように、押圧の大小は、抵抗値の大小になって現れる。図7(B)において、黒丸Bは、押圧が大きく、出力として検知される抵抗値が小さいことを例示し、黒丸Cは、押圧が小さく、出力として検知される抵抗値が大きいことを例示する。
【0058】
以上に説明したように、本実施の形態のタッチセンサ1は、位置センサによって人の指61等の接触位置を検知可能にするとともに、感圧センサによって人の指61等の押圧を検知可能にする。
【0059】
なお、上記の実施の形態では、タッチセンサ1は、図2に示されたように、各部位(部位11A,11B,11C,11D)が折り畳まれる前の状態では、第2の部位(例えば、部位11B)は、第1の部位(例えば、部位11A)の長手方向で第1の部位に隣接し、第4の部位(例えば、部位11D)は、第1の部位の幅方向(長手方向に直交する方向)で第1の部位に隣接し、第3の部位(例えば、部位11C)は、第4の部位の幅方向で第4の部位に隣接する。
【0060】
しかし、タッチセンサ1が折り畳まれる前の状態は、図2に例示されたような状態に限定されない。
【0061】
図8(A)~(C)には、タッチセンサを展開した状態(使用形態が形成される前の状態)の他の例が示されている。
【0062】
図8(A)に示す例では、各部位(部位11A,11B,11C,11D)が折り畳まれる前の状態では、第2の部位(例えば、部位11B)は、第1の部位(例えば、部位11A)の幅方向で第1の部位に隣接し、第4の部位(例えば、部位11D)は、第1の部位の幅方向で第1の部位に隣接し、第3の部位(例えば、部位11C)は、第4の部位の幅方向で第4の部位に隣接する。
【0063】
図8(B)に示す例では、各部位(部位11A,11B,11C,11D)が折り畳まれる前の状態では、第2の部位(例えば、部位11B)は、第1の部位(例えば、部位11A)の幅方向で第1の部位に隣接し、第4の部位(例えば、部位11D)は、第1の部位の長手方向で第1の部位に隣接し、第3の部位(例えば、部位11C)は、第4の部位の幅方向で第4の部位に隣接する。
【0064】
図8(C)に示す例では、各部位(部位11A,11B,11C,11D)が折り畳まれる前の状態では、第2の部位(例えば、部位11B)は、第1の部位(例えば、部位11A)の幅方向で第1の部位に隣接し、第4の部位(例えば、部位11D)は、第1の部位の幅方向で第1の部位に隣接し、第3の部位(例えば、部位11C)は、第4の部位の幅方向で第4の部位に隣接する。なお、図8(C)に示す例は、図8(A)に示す例とは異なり、第2の部位は、図8のように図示した場合に、第1の部位の下部に位置する。
【0065】
また、図8(A)~(C)に示す例において、図2に示された例と同様に、フィルム11の第1の部位および第2の部位(図8に示される部位11A,11Bに相当)に抵抗膜12Bが形成され、第3の部位および第4の部位(図8に示される部位11C,11Dに相当)に膜13Bが形成される。
【0066】
また、図8(A)~(C)に示す例において、図2に示された例の場合と同様の順序で各部位が折り畳まれることによって、図1に例示されたタッチセンサ1が得られる。
【0067】
本発明によるタッチセンサは、1つの基材(例えば、フィルム11)が4つの部位(第1の部位、第2の部位、第3の部位、第4の部位:例えば、部位11A、部位11B、部位11C、部位11D)を含み、4つの部位のうちの隣接する2つの部位である第1の部位(例えば、部位11A)と第2の部位(例えば、部位11B)の各々に位置検出用の抵抗膜(例えば、抵抗膜12A,12B)が形成され、4つの部位のうちの他の2つの隣接する部位である第3の部位(例えば、部位11C)と第4の部位(例えば、部位11D)の各々に感圧用の抵抗膜(例えば、感圧インク53による膜13A,13B)が形成され、第2の部位が第1の部位に対して折り畳まれることによって積層され、第3の部位が第4の部位に対して折り畳まれることによって積層され、折り畳みによって形成された2つの部分(例えば、部位11A,11Bの積層体と部位11CA,11Dの積層体)が折り重ねられた構造を有するので、位置センサと感圧センサとを別個に作製する場合に比べて、タッチセンサ1の部品点数が削減される。その結果、タッチセンサ1を安価に製造することが可能になる。また、1つの基材が折り畳まれて製造されるので、タッチセンサの組立が簡便になる。例えば、位置センサと感圧センサとを別個に作製する場合には、それらを一体化する際に高い精度で位置合わせすることが求められるが、それに比べて、本発明によるタッチセンサでは、位置合わせは比較的簡易である。さらに、位置センサと感圧センサとが1つの部材(フィルム11)において形成されるので、端子部17を同一平面上に集約して設置することが可能である。
【0068】
また、位置センサと感圧センサと併用することによって、人の指61等の接触の程度に応じて音の強弱を制御可能な電子楽器に好適に応用することができる。
【0069】
また、実施の形態には、第1の部位(例えば、部位11A)と第2の部位(例えば、部位11B)に、カーボン、または銀とカーボンとによる位置検出用の抵抗膜がスクリーン印刷によって形成され、第3の部位(例えば、部位11C)と第4の部位(例えば、部位11D)に、銀と感圧インクによる感圧用の抵抗膜がスクリーン印刷によって形成されているタッチセンサも開示されている。
【0070】
また、実施の形態には、第1の部位(例えば、部位11A)の表面と第2の部位(例えば、部位11B)の表面とが例えば感圧接着剤で接着され、第3の部位(例えば、部位11C)の表面と第4の部位(例えば、部位11D)の表面とが、例えば感圧接着剤で接着され、第2の部位の裏面と第3の部位の裏面とが、例えば両面接着テープで接着されたタッチセンサも開示されている。
【符号の説明】
【0071】
1 タッチセンサ
11 フィルム
11A,11B,11C,11D 部位
12A,12B 抵抗膜
13A,13B 膜
16 補強板
17 端子部
18 延伸部
19 感圧接着剤(印刷糊)
41 表面パネル
51 銀層
52 カーボン
53 感圧インク
54 レジストインク
55 スペーサドット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8