(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】新規な使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20220802BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220802BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20220802BHJP
A61K 31/7004 20060101ALI20220802BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220802BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220802BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20220802BHJP
A01N 35/02 20060101ALI20220802BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220802BHJP
C07C 49/17 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
A61K8/60
A61Q19/00
A61Q15/00
A61K31/7004
A61P31/04
A61P17/00 101
A61P17/10
A01N35/02
A01P3/00
C07C49/17 Z
(21)【出願番号】P 2019570114
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2018067368
(87)【国際公開番号】W WO2019007790
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-02-05
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】メンドロク-エディンガー, クリスティーン
(72)【発明者】
【氏名】モンギアット, セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ, トーマス
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-528077(JP,A)
【文献】特表2009-502991(JP,A)
【文献】国際公開第2001/072124(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0085461(US,A1)
【文献】特開2012-246228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 31/33-33/44
A61K 31/00-31/327
A61P 1/00-43/00
A01N 1/00-65/48
A01P 1/00-23/00
C07B 31/00-61/00
C07B 63/00-63/04
C07C 1/00-409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ざ瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、結膜乾燥症菌(Cornyebacterium xerosis)及び/又はアスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)の増殖を抑制するエリトルロースの抗菌剤としての使用。
【請求項2】
エリトルロースは、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)及び結膜乾燥症菌(Cornyebacterium xerosis)の増殖を抑制する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
エリトルロースは、アスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)の増殖を抑制する、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
化粧品組成物、家庭用製品、プラスチック、紙及び/又は塗装の群から選択される製品における、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
エリトルロースを含有しない製品と比較して保存を向上させるための、請求項3又は4に記載の使用。
【請求項6】
デオドラント活性化合物としてのエリトルロースの非治療的使用。
【請求項7】
エリトルロースを有効成分として含む、抗ざ瘡剤。
【請求項8】
アスペルギルス・ブラジリエンシス(A.brasiliensis)によって引き起こされる化粧品組成物、家庭用製品、プラスチック、紙及び/又は塗装の微生物の腐敗及び分解を防ぐ方法であって、前記化粧品組成物、家庭用製品、プラスチック、紙及び/又は塗装に、前記
化粧品組成物、家庭用製品、プラスチック、紙及び/又は塗装の全重量に基づいて0.005~0.75重量%の範囲で選択される量でエリトルロースを添加することを含む、方法。
【請求項9】
前記エリトルロースの量は、前記
化粧品組成物、家庭用製品、プラスチック、紙及び/又は塗装の全重量に基づいて0.01~0.6重量%の範囲で選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記
化粧品組成物、家庭用製品、プラスチック、紙及び/又は塗装は、水と、界面活性剤、乳化剤、増粘剤及びオイルからなる群から選択される少なくとも1つの作用物質とを更に含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記
化粧品組成物は、シャンプー製剤、ヘアコンディショナー、O/Wエマルジョン、W/Oエマルジョン又はジェルの形態の化粧品組成物である、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ざ瘡治療用の、局所適用のための化粧品
組成物又は医薬組成物であって、前記組成物の全重量に基づいて
0.01~
0.15重量%の量でエリトルロース
を含む、化粧品
組成物又は医薬組成物。
【請求項13】
O/Wエマルジョン、W/Oエマルジョ
ン又はジェルである、請求項12に記載の化粧品
組成物又は医薬組成物。
【請求項14】
ヒトの皮膚、頭皮及び/又は毛髪に適用される局所用組成物である、請求項12又は13に記載の化粧品組成物
又は医薬組成物。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか一項に記載の組成物を調製するプロセスであって、前記組成物の全重量に基づいて0.005~0.75重量%の範囲で選択される量のエリトルロースは、
水、並びに、界面活性剤、乳化剤、増粘剤及びオイルからなる群から選択される少なくとも1つの作用物質と混合される、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、抗菌剤としてのエリトルロースの使用及び前記薬剤を含む組成物に関する。
【0002】
カビ及び細菌に対して化粧品組成物、家庭用製品、プラスチック、紙及び/又は塗装を保護するために、現在市場に出ている大部分の製品は、保存剤を含有する。これらの保存剤は、細菌及び真菌に対して保護するが、研究は、これらの物質の多くへの日常的な曝露を皮膚の炎症、癌及び/又は内分泌問題のリスクの上昇に関連付けている。したがって、多くの製造元は、保存剤の量を低減することを可能にし、且つ健康リスクをもたらさないと思われる代替の抗菌活性物質を探している。
【0003】
抗菌活性化合物は、多くの化粧品用途で重要な役割を更に果たす。
【0004】
ざ瘡は、タルク産生の増加及び皮膚の角質化の悪化によって生じる、炎症性丘疹、膿疱又は結節において明らかな皮膚障害を意味すると解釈される。その炎症は、発赤、腫脹及び圧痛を伴う場合がある。遺伝的素因に加えて、ざ瘡形成の可能性のある原因は、アンドロゲン、面ぽう形成性物質(例えば、化粧品における)、喫煙、ストレス又は細菌による皮膚の過剰なコロニー形成であり得る。例えば、ざ瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)又は表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)などの微生物によってざ瘡が引き起こされる。ざ瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)は、通常、皮膚にコロニー形成し、且つ皮脂上に生存する細菌である。例えば、これらの細菌の数が増加すると、ざ瘡が生じ得る。濾胞中に細菌が存在すると、赤い結節又は膿疱の形状で明らかな炎症反応が起こる。細菌による遊離脂肪酸の産生は、濾胞における炎症反応を更に促進する。
【0005】
水及び塩に加えて、腋窩の汗は、多くの他の物質(脂肪、アミノ酸、糖、乳酸、尿素等)を含有する。新たに形成される汗は、無臭であり、通常の汗の臭いは、汗に対する皮膚細菌の作用のために形成するのみであり、それが汗を分解する。かかる細菌の例は、ブドウ球菌属(Staphylococcus)又はコリネバクテリウム属(Corynebacterium)である。この理由から、臭いの形成に関与する細菌をコントロールする目的のため、デオドラントにおいて、芳香物質及び制汗剤に加えて抗菌物質も通常用いられる。
【0006】
意外なことに、特にざ瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、結膜乾燥症菌(Cornyebacterium xerosis)及び/又はアスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)などの特定の微生物に対して、エリトルロースが特に顕著な抗微生物活性を発揮することが判明している。
【0007】
したがって、本発明は、抗菌剤としての、すなわち抗菌活性を示す薬剤としてのエリトルロースの使用に関する。特に、本発明は、抗真菌剤及び/又は抗菌剤としての、より特にざ瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)(P.acnes)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)(S.epidermidis)、結膜乾燥症菌(Cornyebacterium xerosis)(C.xerosis)、アスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)(A.brasiliensis)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)(C.albicans)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(P.aeruginosa)、大腸菌(Escheria coli)(E.coli)及び/又は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(S.aureus)、例えば最も特にざ瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、結膜乾燥症菌(Cornyebacterium xerosis)及び/又はアスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)を死滅且つ/又はその増殖を抑制する薬剤としてのエリトルロースの使用に関する。
【0008】
他の実施形態において、本発明は、微生物細胞、特に真菌及び/又は細菌細胞を死滅させ、且つ/又はその増殖を抑制する方法であって、前記微生物細胞をエリトルロースに接触させることを含む方法に関する。好ましい実施形態において、微生物細胞は、ざ瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)(P.acnes)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)(S.epidermidis)、結膜乾燥症菌(Cornyebacterium xerosis)(C.xerosis)、アスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)(A.brasiliensis)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)(C.albicans)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(P.aeruginosa)、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)及び/又は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(S.aureus)並びにその混合物からなる群から選択される。好ましくは、本発明のすべての実施形態において、エリトルロースは、ざ瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、結膜乾燥症菌(Cornyebacterium xerosis)及び/又はアスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)に対する薬剤として使用される。
【0009】
本発明のすべての実施形態において、これらの微生物に対して特に効率的であることから、エリトルロースは、好ましくは、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)及び/又は結膜乾燥症菌(Cornyebacterium xerosis)を死滅させ、且つ/又はその増殖を抑制するために使用され、そのため、デオドラント用途に特に適している。
【0010】
「エリトルロース」という用語は、D型若しくはL型の又はラセミ化合物としてのエリトルロースを意味する。好ましくは、L-(+)-エリトルロース[533-50-6]が使用される。エリトルロースは、例えば、DSMニュートリショナル・プロダクツ社(DSM Nutritional Products Ltd),カイザーアウークシュト(Kaiseraugst)で市販されている。
【0011】
本明細書で使用される「抗菌活性」(又は「抗菌作用」)という用語は、特に細菌及び真菌、より特にざ瘡プロピオンバクテリウム(P.acnes)、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、結膜乾燥症菌(C.xerosis)、アスペルギルス・ブラジリエンシス(A.brasiliensis)、カンジダアルビカンス(C.albicans)、緑膿菌(P.aeruginosa)、大腸菌(E.coli)及び/又は黄色ブドウ球菌(S.aureus)などの微生物細胞を死滅させ、且つ/又はその増殖を抑制する能力を意味する。
【0012】
抗菌活性のために、エリトルロースは、ざ瘡プロピオンバクテリウム(P.acnes)(ざ瘡コントロール用途)並びに表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)及び結膜乾燥症菌(C.xerosis)(制汗剤/デオドラント用途)などの皮膚の微生物の過密を処理し、且つ/又は黄色ブドウ球菌(S.aureus)などの不要な微生物を低減することにより、皮膚のホメオスタシスを維持し、且つ/又は皮膚のマイクロバイオームのバランスを保つのにも適している。
【0013】
本発明のすべての実施形態において、抗菌剤としてのエリトルロースは、組成物の全重量に基づいて好ましくは約0.005~0.75重量%の範囲、より好ましくは約0.01~0.6重量%の範囲、最も好ましくは0.025~0.5重量%の範囲、例えば0.04~0.5重量%の範囲で選択される量で使用される。更なる特に適した範囲は、特に、ざ瘡プロピオンバクテリウム(P.acnes)、アスペルギルス・ブラジリエンシス(A.brasiliensis)、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)及び/又は結膜乾燥症菌(C.xerosis)の選択的な処置のために0.01~0.2重量%又は0.05~0.2重量%を包含する。
【0014】
エリトルロースの抗微生物活性を利用するために、例えば化粧品若しくは医薬組成物、医療製品、家庭用製品、プラスチック、プラスチゾル、紙及び/又は塗装などの多様な配合物又は用途でそれを使用することができる。
【0015】
特に、本発明は、エリトルロースを含有しない製品と比較して、特に化粧品組成物、家庭用製品、プラスチック、紙及び/又は塗装の群から選択される製品の保存を向上させるための、且つ任意選択的に好ましくはアスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)に鑑みてその作用を評価するためのエリトルロースの使用に関する。
【0016】
したがって、他の実施形態において、本発明は、最も特にアスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)などのカビによって特に引き起こされる化粧品及び/若しくは医薬組成物、家庭用製品、プラスチック、紙並びに/又は塗装の微生物による腐敗及び分解を防ぐ方法であって、その組成物、製品、プラスチック、紙及び/又は塗装にエリトルロースを0.005~0.75重量%、より好ましくは約0.01~0.6重量%の範囲、最も好ましくは約0.025~0.5重量%の範囲、例えば0.04~0.5重量%の範囲の量で抗菌剤として添加することを含む方法に関する。エリトルロースは、特にアスペルギルス・ブラジリエンシス(A.brasiliensis)に対してかかる少量で活性であるため、更なる特定の範囲は、0.01~0.2重量%又は0.05~0.2重量%、それぞれ0.01~0.15又は0.05~0.15重量%を含む。特定の実施形態において、この方法は、その結果を評価する工程も包含する。
【0017】
特定の有利な実施形態において、本発明は、このような組成物が特に微生物の増殖に影響を受けやすいため、最も特にアスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)などのカビによって特に引き起こされる化粧品又は医薬組成物の微生物による腐敗及び分解を防ぐ方法であって、組成物は、水と、界面活性剤、乳化剤、増粘剤及びオイルからなる群から選択される少なくとも1つの更なる作用物質(agent)とを更に含む、方法に関する。
【0018】
したがって、他の実施形態において、本発明は、水と、界面活性剤、乳化剤、増粘剤及びオイルからなる群から選択される少なくとも1つの作用物質とを含む化粧品又は医薬組成物であって、組成物の全重量に基づいて0.005~0.75重量%、より好ましくは約0.01~0.6重量%の範囲、最も好ましくは約0.025~0.5重量%の範囲、例えば0.04~0.5重量%の範囲、最も好ましくは0.04~0.2重量%の範囲、例えば0.05~0.1重量%の範囲の量でエリトルロースを更に含む、化粧品又は医薬組成物に関する。更なる特定の範囲は、0.01~0.2重量%又は0.05~0.2重量%、それぞれ0.01~0.15又は0.05~0.15重量%を含む。
【0019】
本発明は、抗ざ瘡剤、デオドラント又は制汗活性化合物としてのエリトルロースの使用に更に関する。特に、エリトルロースは、ざ瘡プロピオンバクテリウム(P.acnes)又は表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)によって引き起こされるざ瘡の治療又は予防に適している。
【0020】
したがって、他の有利な実施形態において、これらの組成物は、この濃度範囲において選択的にそれぞれこれらの特定の細菌を死滅させ、その増殖を有意に抑制することにより、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)及び/又はざ瘡プロピオンバクテリウム(P.acnes)によって引き起こされるざ瘡の治療に特に適しているため、本発明による化粧品又は医薬組成物は、組成物の全重量に基づいて0.01~0.15重量%、好ましくは0.05~0.15重量%の範囲の量でエリトルロースを含む抗ざ瘡組成物である。
【0021】
汗の腐敗、したがって臭いの形成の原因である細菌、すなわち表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)及び結膜乾燥症菌(C.xerosis)に対する抗菌作用を有するため、デオドラント又は制汗剤において活性化合物としてエリトルロースを使用することも有利であり、エリトルロースは、0.15重量%未満のごく低い濃度でさえ、不快な臭いの形成の原因である細菌に対して特に活性である。
【0022】
したがって、他の有利な実施形態において、本発明による化粧品又は医薬組成物は、組成物の全重量に基づいて0.01~0.15重量%、好ましくは0.05~0.15重量%の範囲の量でエリトルロースを含むデオドラント組成物であり、これらの組成物は、この濃度範囲において選択的にそれぞれこれらの特定の細菌を死滅させ、その増殖を有意に抑制することにより、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)及び/又は結膜乾燥症菌(C.xerosis)により生じる不快な臭いの形成を防ぐのに特に適している。
【0023】
有利には、エリトルロースを従来の保存剤と併せて使用して、その保存剤活性を向上させることもできる。
【0024】
本発明による使用は、化粧品的な意味及び薬剤的な意味でも行われ得る。薬剤用途は、例えば、抗ざ瘡組成物の場合に考えられる。しかしながら、本発明のすべての実施形態において、その使用は、好ましくは、化粧品的(非治療的)使用である。
【0025】
本発明による化粧品又は医薬組成物は、特にヒトの皮膚又はヒトの頭皮及び毛髪などの哺乳類のケラチン組織に局所適用される。
【0026】
本出願で使用される「化粧品組成物」という用語は、Roempp Lexikon Chemie,10th edition 1997,Georg Thieme Verlag Stuttgart,New Yorkにおいて「Kosmetika」という表題で定義される化粧品組成物並びにA.Domsch,“Cosmetic Compositions”,Verlag fuer chemische Industrie(ed.H.Ziolkowsky),4th edition,1992に開示される化粧品組成物を意味する。
【0027】
本発明の目的に適した界面活性剤、乳化剤、増粘剤及びオイルは、化粧品用途で一般に使用され、且つ例えばCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,First edition 1988で挙げられるすべての界面活性剤、乳化剤、増粘剤及びオイルである。かかる適切な界面活性剤、乳化剤、増粘剤及びオイルは、当業者によく知られている。
【0028】
本発明による組成物は、一般に、組成物の全重量に基づいて0.005~0.75重量%の範囲、より好ましくは約0.01~0.6重量%の範囲、最も好ましくは約0.025~0.5重量%の範囲、例えば0.04~0.5重量%の範囲で選択される量でエリトルロースを適切な担体と混合することによって調製される。他の適切な範囲は、0.04~0.2重量%及び0.05~0.1重量%を含む。更なる特定の範囲は、0.01~0.2重量%又は0.05~0.2重量%、それぞれ0.01~0.15又は0.05~0.15重量%を含む。
【0029】
本発明による化粧品又は医薬組成物は、好ましくは、生理学的に許容される媒体、すなわち皮膚、粘膜及びケラチン繊維などのケラチン物質と適合性の媒体を更に含む。特に、生理学的に許容される媒体は、化粧品又は薬剤として許容される担体である。
【0030】
化粧品又は薬剤として許容される担体とは、化粧品組成物又は医薬組成物において従来から使用されているすべての担体、及び/又は賦形剤、及び/又は希釈剤を意味する。
【0031】
好ましくは、本発明による化粧品又は医薬組成物は、溶媒又は脂肪物質中の懸濁液又は分散液の形態或いは代わりにエマルジョン若しくはマイクロエマルジョン(特にO/W型又はW/O型)、PIT-エマルジョン、ナノエマルジョン、マルチプルエマルション(例えば、O/W/O型若しくはW/O/W型)、ピッカリングエマルジョン、ヒドロゲル、リポゲル、単相若しくは多相溶液又はベシクル分散液の形態である。
【0032】
本発明による化粧品又は医薬組成物は、液体、ローション、増粘ローション、ゲル、クリーム、ミルク、軟膏又はペースト状であり得る。
【0033】
本発明による化粧品又は医薬組成物は、pH3~10の範囲、好ましくはpH3~8の範囲、最も好ましくはpH3.5~6.5の範囲のpHを有する。当業者に公知の方法により、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸及び酒石酸などのヒドロキシ酸などの酸又は例えば水酸化ナトリウム、若しくは水酸化カリウム、若しくは水酸化アンモニウムなどの塩基並びにその混合物を使用することによってpHが調整される。
【0034】
好ましくは、本発明による組成物において、クエン酸が少なくとも0.0001重量%の量、例えば0.01~1重量%の量で使用され、特に0.01~0.5重量%の量でpH調整のために使用される。
【0035】
本発明による化粧品組成物は、特にスキンケア製剤、機能的製剤及び/又はヘアケア製剤、例えば最も特にスキンケア若しくはヘアケア製剤である。
【0036】
スキンケア製剤の例は、特に光保護製剤、老化防止製剤、光老化治療のための製剤、ボディーオイル、ボディーローション、ボディーゲル、トリートメントクリーム、皮膚保護用軟膏、保湿用製剤、例えば保湿ゲル若しくは保湿スプレー、顔用及び/又は体用モイスチャーライザー並びに皮膚美白製剤である。
【0037】
好ましくは、本発明のすべての実施形態において、スキンケア製剤は、デオドラント、制汗又は抗ざ瘡組成物である。
【0038】
機能性製剤の例は、それに限定されないが、ホルモン製剤、ビタミン製剤、植物抽出物製剤、老化防止製剤及び/又は抗菌(抗細菌若しくは抗真菌)製剤などの活性成分を含有する化粧品組成物である。
【0039】
本発明に従って適しており、且つ言及され得るヘアケア製剤の例は、シャンプー、ヘアコンディショナー(ヘアリンスとも呼ばれる)、整髪組成物、ヘアトニック、毛髪修復組成物、ヘアローション、ウォーターウェーブローション、ヘアスプレー、ヘアクリーム、ヘアゲル、ヘアオイル、ヘアポマード又はヘアブリリアンティンである。したがって、これらは、常に、使用される実際の目的に応じて短時間又は長時間にわたって毛髪及び頭皮に適用される製剤である。
【0040】
本発明によるヘアケア製剤がシャンプーとして供給される場合、これらは、透明な液体、不透明な液体(真珠のような艶出し作用を有する)、クリーム状、ゲル状又は粉末状又はタブレット状及びエアロゾル状であり得る。これらのシャンプーがベースとする界面活性剤原料は、本質的にアニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性であり得、これらの物質の組み合わせでも存在し得る。
【0041】
本発明によるシャンプー製剤に組み込むのに適したアニオン界面活性剤の例は、C10~20アルキル及びアルキレンカルボキシレート、アルキルエーテルカルボキシレート、脂肪アルコールスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、アルキロールアミドスルフェート及びスルホネート、脂肪酸アルキロールアミドポリグリコールエーテルスルフェート、アルカンスルホネート及びヒドロキシアルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、イソチオネートのアシルエステル、α-スルホ脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルフェノールグリコールエーテルスルホネート、スルホサクシネート、スルホコハク酸モノエステル及びジエステル、脂肪アルコールエーテルホスフェート、タンパク質-脂肪酸縮合生成物、アルキルモノグリセリドスルフェート及びスルホネート、アルキルグリセリドエーテルスルホネート、脂肪酸メチルタウリド(methyltauride)、脂肪酸サルコシネート及びスルホリシノレエートである。これらの化合物及びその混合物は、水に可溶性であるか、又は水に分散性であるその塩の形態、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、モノ、ジ及びトリエタノールアンモニウム並びに類似のアルキルアンモニウム塩の形態で使用される。
【0042】
適切なカチオン性界面活性剤の例は、ジ(C10~C24アルキル)ジメチルアンモニウムクロリド又はブロミド、好ましくはジ(C12~C18アルキル)ジメチルアンモニウムクロリド又はブロミドなどの第4級アンモニウム塩;C10~C24アルキルジメチルエチルアンモニウムクロリド又はブロミド;C10~C24アルキルトリメチルアンモニウムクロリド又はブロミド、好ましくは塩化セチルトリメチルアンモニウム又はブロミド及びC20~C24アルキルトリメチルアンモニウムクロリド又はブロミド;C10~C244-アルキルジメジメチルベンジルアンモニウムクロリド又はブロミド、好ましくはC12~C18アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;N-(C12~C18アルキル)ピリジニウムクロリド又はブロミド、好ましくはN-(C12~C16アルキル)ピリジニウムクロリド又はブロミド;N-(C12~C18アルキル)イソキノリニウムクロリド、ブロミド又はモノアルキルスルフェート;N-(C12~C18アルキロイルコルアミノホルミルメチル)ピリジニウムクロリド;N-(C12~C18アルキル)-N-メチルモルホリニウムクロリド、ブロミド又はモノアルキルスルフェート;N-(C12~C18アルキル)-N-エチルモルホリニウムクロリド、ブロミド又はモノアルキルスルフェート;C16~C18アルキルペンタオキシエチルアンモニウムクロリド;イソブチルフェノキシエトキシエチルジメチル-ベンジルアンモニウムクロリド;N,N-ジエチルアミノエチルステアリルアミド及びオレイルアミドと、塩酸、酢酸、乳酸、クエン酸、リン酸との塩;N-アシルアミドエチル-N,N-ジエチル-N-メチルアンモニウムクロリド、ブロミド又はモノアルキルスルフェート及びN-アシルアミノエチル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウムクロリド、ブロミド又はモノアルキルスルフェート(アシルは、好ましくは、ステアリル又はオレイルである)である。
【0043】
洗剤物質として使用することができる適切な非イオン界面活性剤の例は、脂肪アルコールエトキシレート(アルキルポリエチレングリコール);アルキルフェノールポリエチレングリコール;アルキルメルカプタンポリエチレングリコール;脂肪アミンエトキシレート(アルキルアミノポリエチレングリコール);脂肪酸エトキシレート(アシルポリエチレングリコール);ポリプロピレングリコールエトキシレート(プルロニック(Pluronic));脂肪酸アルキロールアミド(脂肪酸アミドポリエチレングリコール);ショ糖エステル;ソルビトールエステル及びポリグリコールエーテルである。
【0044】
シャンプーに添加することができる両性界面活性剤の例は、アルカリ金属並びにモノ-、ジ-及びトリアルキルアンモニウム塩としてのN-(C12~C18アルキル)-β-アミノプロピオネート及びN-(C12~C18アルキル)-β-イミノジプロピオネート;N-アシルアミドアルキル-N,N-ジメチルアセトベタイン、好ましくはN-(C8~C18アシル)アミドプロピル-N,N-ジメチルアセトベタイン;C12~C18アルキルジメチルスルホプロピルベタイン;イミダゾリンに基づく両性界面活性剤(商品名:Miranol(登録商標)、Steinapon(登録商標))、好ましくは1-(β-カルボキシメチルオキシエチル)-1-(カルボキシメチル)-2-ラウリルイミダゾリニウムのナトリウム塩;アミンオキシド、例えばC12~C18アルキルジメチルアミンオキシド、脂肪酸アミドアルキルジメチルアミンオキシドである。
【0045】
本発明によるヘアケア製剤は、例えば、香料、着色剤、更に同時に毛髪を染色するか又は色合いをつける薬剤、溶媒、不透明化剤及び艶出し剤、例えば脂肪酸とポリオールとのエステル、マグネシウム及び脂肪酸の亜鉛塩、コポリマーをベースとする分散液、増粘剤、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム及び塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、脂肪酸アルキロールアミド、セルロース誘導体、天然ゴム、更に植物抽出物、タンパク質誘導体、例えばゼラチン、コラーゲン加水分解産物、天然若しくは合成ベースのポリペプチド、卵黄、レシチン、ラノリン及びラノリン誘導体、脂肪、オイル、脂肪アルコール、シリコーン、脱臭剤、抗菌活性を有する物質、抗脂漏活性を有する物質、角質溶解作用及び角質形成(keratoplastic)作用を有する物質、例えば硫黄、サリチル酸及び酵素並びに更なるふけ防止剤、例えばオラミン、クリンバゾール、ジンクピリチオン、ケトコナゾール、サリチル酸、硫黄、タール製剤、ウンデシレン酸の誘導体、ネッテル、ローズマリー、ハコヤナギ、バーチ、クルミ、ヤナギの樹皮及び/又はアルニカの抽出物などのヘアケアにおいて通例の更なる添加剤を更に含有し得る。
【0046】
ヘアケア製剤の調製のために、20~40℃の範囲の温度、好ましくは室温で攪拌下においてエリトルロースを溶解する。続いて、更なる添加剤を添加する。
【0047】
アルコールを含有する頭皮ケア製品又はヘアケア製剤の場合、エリトルロースは、20~40℃の範囲の温度、好ましくは室温でアルコールに溶解される。続いて、更なる添加剤が添加される。ヘアリンス及び水中油型エマルジョンの場合、攪拌下で40℃未満の最終エマルジョンに活性物質が添加される。
【0048】
それ自体が公知の手法において、個々の成分を混合することにより且つ必要に応じて、製剤の特定のタイプに適した更なる処理によってシャンプーが製造される。
【0049】
本発明に従ってエリトルロースが使用され得、且つ言及され得るヘアケア製剤の例は、ヘアコンディショナー、ヘアトニック及び毛髪修復組成物であり、一定時間後に毛髪から洗い流されるか、又は配合に応じて毛髪に残すこともできる。これらの製品は、特に、毛髪に対して回復性及び帯電防止性を示す上記のカチオン性物質の群からの物質を含有する。
【0050】
これらのすべての製剤は、それ自体が公知の手法でエリトルロースを添加して、シャンプーについて既に記述されるようにも製造される。
【0051】
本発明による特定の適切なヘアケア製剤は、(i)組成物の全重量に基づいて0.005~0.75重量%の範囲、より好ましくは約0.01~0.6重量%の範囲、最も好ましくは約0.025~0.5重量%の範囲、例えば0.04~0.5重量%の範囲で選択される量でエリトルロース、(ii)水、及び(iii)少なくとも1つのアニオン界面活性剤を含むシャンプー製剤である。好ましくは、アニオン界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ドデシルベンゾイル硫酸ナトリウム及び/若しくはドデシルベンゾイル硫酸トリエタノールアミン又はその混合物、例えば特にラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及び/又はラウリルエーテル硫酸アンモニウムからなる群から選択される。本発明による組成物中のアニオン界面活性剤の総量は、組成物の全重量に基づいて0.5~45重量%、好ましくは1.5~35重量%、より好ましくは7~25重量%、特に7~15重量%の範囲である。
【0052】
本発明による特に適切なヘアコンディショナーは、洗い流すタイプのコンディショナー又は洗い流さないタイプのコンディショナー、好ましくは洗い流すタイプのコンディショナーであり得る。本発明による特定の有利なヘアコンディショナーは、(i)組成物の全重量に基づいて0.005~0.75重量%の範囲、より好ましくは約0.01~0.6重量%の範囲、最も好ましくは約0.025~0.5重量%の範囲、例えば0.04~0.5重量%の範囲、最も好ましくは0.05~0.5重量%の範囲で選択される量のエリトルロース、(ii)水、及び(iii)少なくとも1つのコンディショニング剤、例えばシリコーン油、第4級ポリマー、天然由来コンディショニング剤等を含む。
【0053】
第4級ポリマーは、好ましくは、例えばポリクオタニウム-6(例えば、商品名TILAMAR(登録商標)Quat 640又は641で市販されている)、ポリクオタニウム-22(例えば、商品名TILAMAR(登録商標)Quat 2240又は2241で市販されている)、ポリクオタニウム-7(例えば、TILAMAR(登録商標)Quat 710、711又は712で市販されている)等から選択される。天然由来のコンディショニング剤は、好ましくは、例えばグアー(Guar)ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(例えば、商品名Jaguar C-17、Jaguar C-1000、Jaguar C-13Sで市販されている)などの糖ベースのポリマーから選択されるが、それに限定されない。
【0054】
原則的に、いずれのシリコーン油もヘアコンディショナーでの使用に適している。しかしながら、シリコーン油は、好ましくは、ジメチコーン、ジメチコノール、ポリジメチルシロキサン、アリール化シリコーン、環状シリコーン、シリコーン界面活性剤及びアミノ化シリコーンから選択され、且つ揮発性又は不揮発性であり得る。特に適切なシリコーン油は、ダウ・コーニング社(Dow Corning)などの様々な供給業者から入手可能なジメチコーン、ジメチコノール、ポリジメチルシロキサンである。ヘアコンディショナーにおける少なくとも1つのシリコーン油、及び/又は第4級ポリマー、及び/又は天然由来のコンディショニング剤の総量は、好ましくは、組成物の全重量に基づいて0.01~10重量%、好ましくは0.02~7.5重量%、より好ましくは0.05~5重量%及び最も好ましくは0.1~3重量%の範囲で選択される。
【0055】
他の好ましい実施形態において、本発明による化粧品組成物は、O/Wエマルジョン、W/Oエマルジョン及び/又はシャワージェル若しくはヘアジェルなどのゲルである。
【0056】
本発明によるO/Wエマルジョンは、有利には、(i)組成物の全重量に基づいて0.005~0.75重量%の範囲、より好ましくは約0.01~0.6重量%の範囲、最も好ましくは約0.025~0.5重量%の範囲、例えば0.04~0.5重量%の範囲で選択される量のエリトルロース、(ii)水、及び(iii)グリセリルステアレートシトレート、ステアリン酸グリセリル(自己乳化性)、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ポリグリセリル-3-メチルグリコースジステアレート、セテアレス-20、ステアレス-2、ステアレス-12、PEG-40ステアレート、リン酸エステル及びその塩、例えばリン酸セチル(Amphisol(登録商標)A)、ジエタノールアミンセチル(Amphisol(登録商標)DEA)、セチルリン酸カリウム(Amphisol(登録商標)K)、セテアリル硫酸ナトリウム、オレイン酸グリセリルリン酸ナトリウム、水素化植物リン酸グリセリド、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリステアリン酸スクロース及び水添ポリイソブテン並びにその混合物のリストから選択される少なくとも1つのO/W又はSi/W乳化剤を含む。また、例えば、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、PEG-22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー及びその混合物などの1つ又は複数の合成ポリマーが乳化剤として使用され得る。特に好ましい実施形態において、O/W乳化剤は、特にセチルリン酸カリウム(Amphisol(登録商標)Kとして市販されている)などのリン酸セチル、ステアリン酸グリセリル(及び)PEG-100ステアレート(Arlacel(登録商標)165として市販されている)及び/又はポリアルキレングリコールエーテル、特にラウレス-35(35のEO単位を有するラウリルアルコール;Brij(登録商標)35として市販されている)の群から選択される。その少なくとも1つのO/W乳化剤は、好ましくは、組成物の全重量に基づいて約0.001~10重量%の量、より好ましくは0.1~7重量%の量で使用される。更に、O/Wエマルジョン形の化粧品組成物は、有利には、これに限定されないが、セチルアルコール(Lorol C16、Lanette 16)、セテアリルアルコール(Lanette(登録商標)O)、ステアリルアルコール(Lanette(登録商標)18)、ベヘニルアルコール(Lanette(登録商標)22)、モノステアリン酸グリセリン、ミリスチン酸グリセリル(Estol(登録商標)3650)、水素化ココグリセリド(Lipocire Na10)並びにその混合物などのアルキルアルコールのリストから選択される少なくとも1つの共乳化剤を含有する。
【0057】
本発明によるW/Oエマルジョンは、有利には、(i)組成物の全重量に基づいて0.005~0.75重量%の範囲、より好ましくは約0.01~0.6重量%の範囲、最も好ましくは約0.025~0.5重量%の範囲、例えば0.04~0.5重量%の範囲で選択される量のエリトルロース、(ii)水、及び(iii)ポリグリセリル-2-ジポリヒドロキシステアレート、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート、セチルジメチコーンコポリオール、オレイン酸/イソステアリン酸のポリグリセリル-3ジイソステアレートポリグリセロールエステル、ポリグリセリル-6ヘキサリシノレート、ポリグリセリル-4-オレエート、ポリグリセリル-4オレエート/PEG-8プロピレングリコールココエート、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ココヤシ酸ナトリウム、牛脂脂肪酸ナトリウム、ヒマシ油脂肪酸カリウム、オレイン酸ナトリウム及びその混合物のリストから選択される少なくとも1つのW/O又はW/Si乳化剤を含む。更なる適切なW/Si乳化剤は、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコーン及び/又はPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコーン及び/又はセチルPEG/PPG-10/1ジメチコーン及び/又はPEG-12ジメチコーンクロスポリマー及び/又はPEG/PPG-18/18ジメチコーンである。その少なくとも1つのW/O乳化剤は、好ましくは、組成物の全重量に基づいて約0.001~10重量%の量、より好ましくは0.2~7重量%の量で使用される。
【0058】
本発明によるゲル製剤は、有利には、(i)組成物の全重量に基づいて0.0.005~0.75重量%の範囲、より好ましくは約0.01~0.6重量%の範囲、最も好ましくは約0.025~0.5重量%の範囲、例えば0.04~0.5重量%の範囲、最も好ましくは0.05~0.5重量%の範囲で選択される量のエリトルロース、(ii)水、及び(iii)少なくとも1つの水溶性増粘剤を含む。かかる水溶性増粘剤は、当業者によく知られており、例えばRobert L.Davidson(Mc Graw Hill Book Company(1980)によるHandbook of Water soluble gums and resinsに挙げられている。特に適している水溶性増粘剤は、ポリアクリル酸(例えば、商品名カルボマー(Carbomer)又はカルボポール(Carbopol(登録商標))、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のホモポリマー(例えば、Rheothik(登録商標)11-80で市販されている)、アクリレートコポリマー(例えば、商品名Pemulen(登録商標)又はAculyn(登録商標)33で市販されている)、分岐状ポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド)(INCI名ポリクオタニウム-37)、非改質ガーゴム(例えば、商品名Jaguarで市販されている)、デンプン若しくはその誘導体及び/又はヒドロキシアルキルセルロースからなる群から選択される。好ましくは、水溶性増粘剤は、組成物の全重量に基づいて約0.001~10重量%の量、より好ましくは0.1~7重量%の量で使用される。
【0059】
以下の実施例は、本発明の組成物及び作用を更に例証するために提供される。これらの実施例は、単に例証的なものであり、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。
【0060】
[実施例1:抗菌有効性]
抗菌有効性は、規制上の保存効力試験法(NF EN ISO11930)に類似した方法で評価される。したがって、2通りの異なる濃度のDSMニュートリショナル・プロダクツ社からのエリトルロースの溶液を無菌条件下において調製した。このために、NaCl0.85重量%を有する生理学的血清中にエリトルロースを可溶化した。溶解性を確保するためにエタノール5重量%を更に含むNaCl0.85重量%生理学的血清中にフェノキシエタノールを可溶化した。溶液を96ディープウェルプレート(1.6ml/ウェル)に置いた。細菌又は真菌株を用いて、細菌について1.9×105~8.1×105cfu/ml、真菌について3.3×103~3.8×104cfu/mlにおいてウェルを汚染して、表1及び2に示す初期汚染を得た。汚染後、微生物の分布が確実に均一になるように混合した。次いで、それぞれのプレートを22℃で24時間インキュベートした。汚染から24時間後に(残りの)群集のカウントを行った。
【0061】
【0062】
【0063】
表1から分かるように、エリトルロースは、より低い濃度でさえ(0.5重量%に基づいて0.4重量%)、微生物に対して、化粧品において既知の保存剤である保存剤フェノキシエタノールと等しいか又はフェノキシエタノールより高い活性を示す。
【0064】
更に、表2における結果から、エリトルロースは、特に且つ選択的に、例えば腋窩の汗からの臭いの形成の原因となる微生物細胞、すなわち表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)及び結膜乾燥症菌(C.xerosis)に対してごく低い濃度でさえ活性であり、そのため、デオドラント用途に特に適しているのに対して、この濃度レベルでは、緑膿菌(P.aeruginosa)及び大腸菌(E.coli)などの他の微生物に対してもはや活性でないことが例証されている。
【0065】
表2における結果から、ごく低い濃度のエリトルロースは、ざ瘡プロピオンバクテリウム(P.acnes)対して良好な抗菌活性を依然として示し、そのため、軽度の抗ざ瘡治療に適していることが更に例証されている。
【0066】
更に、それは、かかる低濃度において、アスペルギルス・ブラジリエンシス(A.brasiliensis)によって引き起こされる微生物腐敗から製品を保護するのにも適している。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】