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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20220802BHJP
   H01G 4/12 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H01G4/30 201N
H01G4/30 515
H01G4/30 512
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 201K
H01G4/30 201L
H01G4/30 201C
H01G4/30 201D
H01G4/12 270
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018073506
(22)【出願日】2018-04-05
(65)【公開番号】P2019075530
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0133580
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェ ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン ハン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン ソン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェオン ユン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ジェ ヨル
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ、シー ハン ナ
【審査官】北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-227197(JP,A)
【文献】特開2009-208997(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103073305(CN,A)
【文献】特開2000-169228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 4/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面と第2面を連結する第3面及び第4面を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置され、前記第1面及び第2面に露出し、且つ前記第3面又は第4面に一端が露出する複数の内部電極と、
前記第1面及び第2面に露出する前記複数の内部電極の端部上に配置される第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部に含まれる誘電体組成と前記セラミック本体に含まれる誘電体組成は互いに異なり、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、チタン酸バリウム系の母材主成分と、副成分としてのマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)と、を含み、
前記マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)の合計含有量に対するマンガン(Mn)の含有量の比が0.316≦Mn/(Mn+Mg+Al)≦0.500を満たす、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記マグネシウム(Mg)の含有量は、前記母材主成分100molに対して0.75mol≦Mg≦2.10molを満たす、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記マンガン(Mn)の含有量は、前記母材主成分100molに対して0.6mol≦Mn≦2.0molを満たす、請求項1または2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記副成分は、ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)を含み、前記ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)の含有量は、前記母材主成分100molに対してそれぞれ、0.5mol≦Na≦1.5mol及び0.5mol≦Li≦1.5molを満たす、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記副成分は、ケイ素(Si)を含み、前記ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)との含有量比がそれぞれ、0.68≦Si/(Na+Si)≦0.87及び0.68≦Si/(Li+Si)≦0.87を満たす、請求項4に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記副成分は、
前記母材主成分100molに対して、Y、Dy、Ho、Er、Gd、Ce、Nd、Sm、La、Tb、Yb、及びPrのうち少なくとも一つを含む酸化物又は炭酸塩が0.0~4.0molの含有量で含まれる第1副成分と、
前記母材主成分100molに対して、Baを含む酸化物又は炭酸塩が0.0~5.0molの含有量で含まれる第2副成分と、
前記母材主成分100molに対して、Si及びAlのうち少なくとも一つを含む酸化物又は炭酸塩、あるいはSiを含むガラス(Glass)化合物のうち少なくとも一つを含み、且つ0.0~5.0molの含有量で含まれる第3副成分と、
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は平均厚さが18μm以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記複数の内部電極は、一端が前記第3面に露出し、他端が前記第4面から所定の間隔を置いて配置される第1内部電極と、一端が第4面に露出し、他端が前記第3面から所定の間隔を置いて形成される第2内部電極とで構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面と第2面を連結する第3面及び第4面を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置され、第1面及び第2面に露出し、且つ前記第3面又は第4面に一端が露出する複数の内部電極と、
前記第1面及び第2面に露出する前記複数の内部電極の端部上に配置される第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含み、
前記セラミック本体の幅-厚さ方向の断面において、前記複数の内部電極の両端部にはマグネシウム(Mg)を含む酸化領域が配置され、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、チタン酸バリウム系の母材主成分と、副成分としてのマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)と、を含み、前記マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)の合計含有量に対するマンガン(Mn)の含有量の比が0.316≦Mn/(Mn+Mg+Al)≦0.500を満たす、積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記マグネシウム(Mg)の含有量は、前記母材主成分100molに対して0.75mol≦Mg≦2.10molを満たす、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記マンガン(Mn)の含有量は、前記母材主成分100molに対して0.6mol≦Mn≦2.0molを満たす、請求項9または10に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
前記副成分は、ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)を含み、前記ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)の含有量は、前記母材主成分100molに対してそれぞれ、0.5mol≦Na≦1.5mol及び0.5mol≦Li≦1.5molを満たす、請求項9から11のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項13】
前記副成分は、ケイ素(Si)を含み、前記ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)との含有量比がそれぞれ、0.68≦Si/(Na+Si)≦0.87及び0.68≦Si/(Li+Si)≦0.87を満たす、請求項12に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項14】
前記副成分は、
前記母材主成分100molに対して、Y、Dy、Ho、Er、Gd、Ce、Nd、Sm、La、Tb、Yb、及びPrのうち少なくとも一つを含む酸化物又は炭酸塩が0.0~4.0molの含有量で含まれる第1副成分と、
前記母材主成分100molに対して、Baを含む酸化物又は炭酸塩が0.0~5.0molの含有量で含まれる第2副成分と、
前記母材主成分100molに対して、Si及びAlのうち少なくとも一つを含む酸化物又は炭酸塩、あるいはSiを含むガラス(Glass)化合物のうち少なくとも一つを含み、且つ0.0~5.0molの含有量で含まれる第3副成分と、
を含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項15】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は平均厚さが18μm以下である、請求項9から14のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項16】
前記複数の内部電極は、一端が前記第3面に露出し、他端が前記第4面から所定の間隔を置いて配置される第1内部電極と、一端が第4面に露出し、他端が前記第3面から所定の間隔を置いて形成される第2内部電極とで構成される、請求項9から15のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項17】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部に含まれる誘電体組成と前記セラミック本体に含まれる誘電体組成物は互いに異なる、請求項9から16のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項18】
互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面と第2面を連結する第3面及び第4面を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置され、第1面及び第2面に露出し、且つ前記第3面又は第4面に一端が露出する複数の内部電極と、
前記第1面及び第2面に露出する前記複数の内部電極の端部上に配置され、且つ前記複数の内部電極の露出する端面を覆うように配置された第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部に含まれる誘電体組成と前記セラミック本体に含まれる誘電体組成は互いに異なり、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、チタン酸バリウム系の母材主成分と、副成分としてのマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)と、を含み、
前記マグネシウム(Mg)の含有量は、前記母材主成分100molに対して0.75mol≦Mg≦2.10molを満たし、前記マンガン(Mn)の含有量は、前記母材主成分100molに対して0.6mol≦Mn≦2.0molを満たす、積層セラミックキャパシタ。
【請求項19】
前記副成分は、ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)を含み、前記ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)の含有量は、前記母材主成分100molに対してそれぞれ、0.5mol≦Na≦1.5mol及び0.5mol≦Li≦1.5molを満たす、請求項18に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項20】
前記副成分は、ケイ素(Si)を含み、前記ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)との含有量比がそれぞれ、0.68≦Si/(Na+Si)≦0.87及び0.68≦Si/(Li+Si)≦0.87を満たす、請求項19に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項21】
前記副成分は、
Y、Dy、Ho、Er、Gd、Ce、Nd、Sm、La、Tb、Yb、及びPrのうち少なくとも一つを含む酸化物又は炭酸塩である第1副成分と、
Baを含む酸化物又は炭酸塩である第2副成分と、
Si及びAlのうち少なくとも一つを含む酸化物又は炭酸塩、あるいはSiを含むガラス(Glass)化合物のうち少なくとも一つを含む第3副成分と、
を含む、請求項18から20のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックキャパシタ及びその製造方法に関するもので、より詳細には、機械的強度を向上させるとともに、高温信頼性及び耐湿信頼性を改善させることができる積層セラミックキャパシタ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタ又はサーミスタなどのセラミック材料を用いる電子部品は、セラミック材料からなるセラミック本体と、本体の内部に形成された内部電極と、上記内部電極と接続されるように、セラミック本体の表面に設置された外部電極と、を備える。
【0003】
最近では、電子製品の小型化及び多機能化に伴い、チップ部品も小型化及び高機能化する傾向にあるため、積層セラミックキャパシタにも、サイズが小さく、容量が大きい高容量製品が求められている。
【0004】
積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化のためには、高誘電特性及び優れた耐電圧特性を有する誘電体材料を確保することが必要である。
【0005】
これとともに、誘電体の薄層化及び電極有効面積の最大化(容量実現に必要な有効体積分率の増加)が求められる。
【0006】
但し、誘電体の薄層化及びマージン部の段差が原因で局部的な誘電体厚さの減少現象が発生することがある。かかる現象に伴う耐電圧低下現象を最小限に抑えることができる構造への設計変更が必須的である。
【0007】
上記のように、小型及び高容量積層セラミックキャパシタを実現し、且つ耐電圧低下現象を防ぐために、積層セラミックキャパシタを製造するにあたり、内部電極が本体の幅方向に露出するようにすることで、マージンのない設計により、内部電極の幅方向の面積を最大化するとともに、かかるチップ製作後に、焼成前の段階でチップの幅方向の電極露出面にマージン部を別に付着して完成する方法が適用された。
【0008】
しかし従来は、上記のように積層セラミックキャパシタを製作する場合、サイドマージン部を形成するための誘電体組成をセラミック本体の誘電体組成と差別化することなくセラミック本体の誘電体組成物をそのまま使用した。
【0009】
その結果、サイドマージン部内において誘電体の物理的充填密度が低いためサイドマージン部の緻密化が低下するという現象が発生し、焼結過程中のサイドマージン部の誘電体と内部電極の焼結駆動がミスマッチング(mismatching)するという現象によって不可避に生成される電極端部とマージン部の接合面との間の界面空隙を満たさないという問題が生じる。
【0010】
また、上記従来技術では、マージン部なしに切断されたグリーンチップにマージン部の役割を果たすセラミック誘電体シートを物理的に圧着して付着した後、高温熱処理を経て堅固な本体を持つ焼結体を構成するようにしたため、焼結前の段階におけるマージン部形成用シートと電極露出面との間の接着力が足りない場合、マージン部分離による外観不良、及び界面クラックにつながる深刻な不良を引き起こす可能性があった。
【0011】
尚、高温熱処理過程において内部電極の収縮によってチップ内部への体積変化を伴うとき、電極端部とマージン部の界面との間に空隙(void)が生成されて、クラック発生の始点として作用するか、又は水分浸透経路となって耐湿信頼性低下の原因となり得る。
【0012】
したがって、マージン部領域の誘電体は、優れた焼結駆動力を有するようにすることで、低い物理的充填密度を有してもセラミック本体と同一レベルの素体緻密度の確保を可能にして積層セラミックキャパシタの強度低下を最小限に抑える必要がある。
【0013】
また、マージン部領域に用いられる誘電体は、高温でより活発な物質移動を可能にして、界面空隙(void)を満たす必要がある。
【0014】
尚、内部電極との反応により、端部接合面に酸化領域を形成することで、界面接合力を向上させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】韓国公開特許第2010-0136917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、機械的強度を向上させるとともに、高温信頼性及び耐湿信頼性を改善させることができる高容量積層セラミックキャパシタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一実施形態は、互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面と第2面を連結する第3面及び第4面を含むセラミック本体と、上記セラミック本体の内部に配置され、上記第1面及び第2面に露出し、且つ上記第3面又は第4面に一端が露出する複数の内部電極と、上記第1面及び第2面に露出する上記内部電極の端部上に配置される第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含み、上記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部に含まれる誘電体組成と上記セラミック本体に含まれる誘電体組成は互いに異なり、上記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、チタン酸バリウム系の母材主成分と、副成分としてのマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)と、を含み、上記マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)の合計含有量に対するマンガン(Mn)の含有量の比が0.316≦Mn/(Mn+Mg+Al)≦0.500を満たす積層セラミックキャパシタを提供する。
【0018】
本発明の他の実施形態は、互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面と第2面を連結する第3面及び第4面を含むセラミック本体と、上記セラミック本体の内部に配置され、上記第1面及び第2面に露出し、且つ上記第3面又は第4面に一端が露出する複数の内部電極と、上記第1面及び第2面に露出する上記内部電極の端部上に配置される第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含み、上記セラミック本体の幅-厚さ方向の断面において、上記内部電極の両端部にはマグネシウム(Mg)を含む酸化領域が配置され、上記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、チタン酸バリウム系の母材主成分と、副成分としてのマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)と、を含み、上記マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)の合計含有量に対するマンガン(Mn)の含有量の比が0.316≦Mn/(Mn+Mg+Al)≦0.500を満たす積層セラミックキャパシタを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態によると、内部電極が本体の幅方向に露出するようにチップを製作した後、焼成前の段階でチップの幅方向の電極露出面にマージン部を別に付着することにより、積層セラミックキャパシタの製造工程時に発生する内部電極とマージン部との間の界面密着力の低下を防ぐことができるようになる。
【0020】
また、上記製造工程によって製作された積層セラミックキャパシタにおいて、内部電極とマージン部との間に発生する空隙の生成を防ぐことで、信頼性を向上させることができる。
【0021】
尚、内部電極の先端に均一な酸化領域及び絶縁層を確保することができるため、ショート不良を改善させることができる。
【0022】
さらに、マージン部の緻密度を向上させることができるため、積層セラミックキャパシタの機械的強度の向上及び高温/耐湿信頼性の改善という効果を奏する。
【0023】
上記内部電極は、誘電体層の幅方向において全体的に形成され、且つ本体の幅方向の側面に露出した後、マージン部が別に付着されるため、内部電極間の重なり面積を最大化して高容量積層セラミックキャパシタを実現することができ、内部電極による段差の発生を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
図2図1のI-I'の線に沿った断面図である。
図3図2のQ領域の拡大図である。
図4図1のII-II'の線に沿った断面図である。
図5図1に示された積層セラミックキャパシタを構成する一誘電体層を示す上部平面図である。
図6a】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
図6b】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
図6c】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
図6d】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す斜視図である。
図6e】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す斜視図である。
図6f】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す斜視図である。
図7a】本発明の比較例による副成分Mgが足りない誘電体組成物で製作された積層セラミックキャパシタの断面SEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
図7b】本発明の比較例による副成分Mgが足りない誘電体組成物で製作された積層セラミックキャパシタの断面SEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
図8a】本発明の比較例による副成分Mgが過量含まれる誘電体組成物で製作された積層セラミックキャパシタの断面SEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
図8b】本発明の比較例による副成分Mgが過量含まれる誘電体組成物で製作された積層セラミックキャパシタの断面SEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
図9a】本発明の比較例による副成分Mnが足りない誘電体組成物で製作された積層セラミックキャパシタの断面SEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
図9b】本発明の比較例による副成分Mnが過量含まれる誘電体組成物で製作された積層セラミックキャパシタの断面SEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
図10】本発明の実施形態による誘電体組成物で製作された積層セラミックキャパシタの断面SEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0026】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図であり、図2図1のI-I'の線に沿った断面図であり、図3図2のQ領域の拡大図であり、図4図1のII-II'の線に沿った断面図であり、図5図1に示された積層セラミックキャパシタを構成する一誘電体層を示す上部平面図である。
【0027】
図1図5を参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタは、セラミック本体110と、上記セラミック本体110の内部に形成される複数の内部電極121、122と、上記セラミック本体110の外表面に形成される外部電極131、132と、を含む。
【0028】
上記セラミック本体110は、互いに対向する第1面1及び第2面2と、上記第1面と第2面を連結する第3面3及び第4面4と、上面及び下面である第5面5及び第6面6と、を有することができる。
【0029】
上記第1面1及び第2面2はセラミック本体110の幅方向において対向する面、上記第3面3及び第4面4は長さ方向において対向する面、及び上記第5面5及び第6面6は厚さ方向において対向する面と定義することができる。
【0030】
上記セラミック本体110の形状に特に制限はないが、図面に示すように、直方体形状であることができる。
【0031】
上記セラミック本体110の内部に形成された複数の内部電極121、122は、セラミック本体の第3面3又は第4面4に一端が露出する。
【0032】
上記内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する第1内部電極121及び第2内部電極122を一対にすることができる。
【0033】
第1内部電極121の一端は第3面3に露出すればよく、第2内部電極122の一端は第4面4に露出すればよい。
【0034】
上記第1内部電極121及び第2内部電極122の他端は、第3面3又は第4面4から一定の間隔を置いて形成される。これについてのより具体的な事項は後述する。
【0035】
上記セラミック本体の第3面3には第1外部電極131が形成され、第4面4には第2外部電極132が形成されて、上記内部電極とそれぞれ電気的に接続されることができる。
【0036】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、上記セラミック本体110の内部に配置され、上記第1面1及び第2面2に露出し、且つ上記第3面3又は第4面4に一端が露出する複数の内部電極121、122と、上記第1面1及び第2面2に露出する上記内部電極121、122の端部上に配置される第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114と、を含む。
【0037】
上記セラミック本体110の内部には複数の内部電極121、122が形成される。上記複数の内部電極121、122の各末端は、上記セラミック本体110の幅方向面である第1面1及び第2面2に露出し、露出した端部上に第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114が配置される。
【0038】
第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114の厚さd1は18μm以下であればよい。
【0039】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体110は、複数の誘電体層112が積層された積層体111と、上記積層体の両側面に形成される第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114とで構成されることができる。
【0040】
上記積層体111を構成する複数の誘電体層112は、焼結された状態であって、隣接する誘電体層同士の境界は確認できないほど一体化されることができる。
【0041】
上記積層体111の長さは上記セラミック本体110の長さに該当する。また、上記セラミック本体110の長さはセラミック本体の第3面3から第4面4までの距離に該当する。すなわち、セラミック本体110の第3面及び第4面は積層体111の第3面及び第4面と理解されることができる。
【0042】
上記積層体111は、複数の誘電体層112の積層によって形成されるものであって、上記誘電体層112の長さは、セラミック本体の第3面3と第4面4との間の距離を形成する。
【0043】
これに制限されるものではないが、本発明の一実施形態によると、セラミック本体の長さは400~1400μmであればよい。より具体的には、セラミック本体の長さは400~800μm、又は600~1400μmであればよい。
【0044】
上記誘電体層上に内部電極121、122が形成されることができ、上記内部電極121、122は、焼結によって一誘電体層を間に挟んで上記セラミック本体の内部に形成されることができる。
【0045】
図5を参照すると、誘電体層112に第1内部電極121が形成される。上記第1内部電極121は、誘電体層の長さ方向において全体的に形成されない。すなわち、第1内部電極121の一端は、セラミック本体の第4面4から所定の間隔d2を置いて形成されることができ、第1内部電極121の他端は、第3面3まで形成されて、第3面3に露出することができる。
【0046】
積層体の第3面3に露出した第1内部電極の他端は、第1外部電極131と接続される。
【0047】
第1内部電極とは逆に、第2内部電極122の一端は、第3面3から所定の間隔を置いて形成され、第2内部電極122の他端は、第4面4に露出して、第2外部電極132と接続される。
【0048】
上記誘電体層112は、第1内部電極121の幅と同一の幅を有することができる。すなわち、上記第1内部電極121は、誘電体層112の幅方向において全体的に形成されることができる。
【0049】
これに制限されるものではないが、本発明の一実施形態によると、誘電体層の幅及び内部電極の幅は100~900μmであればよい。より具体的には、誘電体層の幅及び内部電極の幅は、100~500μmであればよく、又は100~900μmであればよい。
【0050】
セラミック本体が小型化するにつれて、サイドマージン部の厚さが積層セラミックキャパシタの電気的特性に影響を与える可能性がある。本発明の一実施形態によると、サイドマージン部の厚さが18μm以下に形成されて、小型化した積層セラミックキャパシタの特性を向上させることができる。
【0051】
本発明の一実施形態において、内部電極及び誘電体層は、同時に切断されて形成されるものであって、内部電極の幅と誘電体層の幅は同一に形成されることができる。これについてのより具体的な事項は後述する。
【0052】
本実施形態では、誘電体層の幅は内部電極の幅と同一に形成される。これにより、セラミック本体110の幅方向の第1面及び第2面に内部電極121、122の末端が露出することができる。
【0053】
上記内部電極121、122の末端が露出するセラミック本体110の幅方向の両側面には、第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114が形成されることができる。
【0054】
上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114の厚さは18μm以下であればよい。上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114の厚さが小さいほど、セラミック本体内に形成される内部電極の重なり面積が相対的に広くなり得る。
【0055】
上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114の厚さは、積層体111の側面に露出する内部電極のショートを防止することができれば、特に限定されないが、例えば、2μm以上であればよい。
【0056】
上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114の厚さが2μm未満の場合には、外部衝撃に対する機械的強度が低下するおそれがあり、上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114の厚さが18μmを超えると、内部電極の重なり面積が相対的に減少して積層セラミックキャパシタの高容量を確保することが困難となり得る。
【0057】
積層セラミックキャパシタの容量を最大化するために、誘電体層を薄膜化する方法、薄膜化した誘電体層を高積層化する方法、及び内部電極のカバレージを向上させる方法などが考えられている。
【0058】
また、容量を形成する内部電極の重なり面積を向上させる方法が考えられている。
【0059】
内部電極の重なり面積を増やすためには、内部電極が形成されないマージン部領域を最小限に抑える必要がある。
【0060】
特に、積層セラミックキャパシタが小型化するほど、内部電極の重なり領域を増やすためには、マージン部領域を最小限に抑える必要がある。
【0061】
本実施形態によると、誘電体層の幅方向全体において内部電極が形成され、サイドマージン部の厚さが18μm以下に設定されるため、内部電極の重なり面積が広い特徴を有する。
【0062】
一般に、誘電体層が高積層化するほど誘電体層及び内部電極の厚さは薄くなる。その結果、内部電極のショート現象が頻繁に発生することがある。また、誘電体層の一部のみに内部電極が形成される場合、内部電極による段差が発生して絶縁抵抗の加速寿命や信頼性が低下する可能性がある。
【0063】
これに対し、本実施形態によると、薄膜の内部電極及び誘電体層を形成しても、内部電極が誘電体層の幅方向において全体的に形成されるため、内部電極の重なり面積が大きくなって積層セラミックキャパシタの容量を高めることができるようになる。
【0064】
また、内部電極による段差を減少させることにより、絶縁抵抗の加速寿命を向上させるとともに、容量特性及び信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【0065】
一方、従来は、上記のように積層セラミックキャパシタを製作する場合、サイドマージン部を形成するための誘電体組成をセラミック本体の誘電体組成と差別化することなくセラミック本体の誘電体組成物をそのまま用いた。
【0066】
その結果、サイドマージン部内における誘電体の物理的充填密度が低いためサイドマージン部の緻密化が低下するという現象が発生し、焼結過程中のサイドマージン部の誘電体と内部電極の焼結駆動がミスマッチング(mismatching)するという現象によって不可避に生成される電極端部とマージン部の接合面との間の界面空隙を満たさないという問題が生じる。
【0067】
また、マージン部なしに切断されたグリーンチップにマージン部の役割を果たすセラミック誘電体シートを物理的に圧着して付着した後、高温熱処理を経て堅固な本体を持つ焼結体を構成するようにしたため、焼結前の段階におけるマージン部形成用シートと電極露出面との間の接着力が足りない場合、マージン部分離による外観不良、及び界面クラックにつながる深刻な不良を引き起こす可能性があった。
【0068】
尚、高温熱処理過程において内部電極の収縮によってチップ内部への体積変化を伴うとき、電極端部とマージン部の界面との間に空隙(void)が生成されて、クラック発生の始点として作用するか、又は水分浸透経路となって耐湿信頼性低下の原因となり得る。
【0069】
したがって、マージン部領域の誘電体は、優れた焼結駆動力を有するようにすることで、低い物理的充填密度を有してもセラミック本体と同一レベルの素体緻密度の確保を可能にして積層セラミックキャパシタの強度低下を最小限に抑える必要がある。
【0070】
また、マージン部領域に用いられる誘電体は、高温でより活発な物質移動を可能にして、界面空隙(void)を満たす必要がある。
【0071】
尚、内部電極との反応により、端部接合面に酸化領域を形成することで界面接合力を向上させる必要がある。
【0072】
本発明の一実施形態では、上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114に含まれる誘電体組成とセラミック本体110に含まれる誘電体組成は互いに異なる。
【0073】
また、上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114は、チタン酸バリウム系の母材主成分と、副成分としてのマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)と、を含み、上記マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)の合計含有量に対するマンガン(Mn)の含有量の比が0.316≦Mn/(Mn+Mg+Al)≦0.500を満たす。
【0074】
上記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部113、114に含まれる誘電体組成とセラミック本体110に含まれる誘電体組成は互いに異なり、上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114は、チタン酸バリウム系の母材主成分と、副成分としてのマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)と、を含み、上記マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)の合計含有量に対するマンガン(Mn)の含有量の比が0.316≦Mn/(Mn+Mg+Al)≦0.500を満たすように調節することにより、上記の問題点を解決することができる。
【0075】
具体的には、本発明の一実施形態によると、内部電極とマージン部との間の界面密着力の低下を防ぐことができ、内部電極とマージン部との間に発生する空隙の生成を防ぐことで、信頼性を向上させることができるようになる。
【0076】
また、内部電極の先端に均一な酸化領域及び絶縁層を確保することができるため、ショート不良を改善させることができるとともに、マージン部の緻密度を向上させることができる。これにより、積層セラミックキャパシタの機械的強度の向上及び高温/耐湿信頼性の改善という効果を奏する。
【0077】
上記マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)の合計含有量に対するマンガン(Mn)の含有量の比であるMn/(Mn+Mg+Al)が0.316未満の場合には、マンガン(Mn)の含有量が少ないため、内部電極とマージン部との間に発生した空隙を効果的に満たすことができず、信頼性が低下する可能性がある。
【0078】
また、上記マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)の合計含有量に対するマンガン(Mn)の含有量の比であるMn/(Mn+Mg+Al)が0.500を超えると、マンガン(Mn)の含有量が多すぎる場合として作用して、内部電極及びセラミックが過度に焼結されて、内部電極の玉化が発生するという問題がある。
【0079】
上記マグネシウム(Mg)の含有量は、上記母材主成分100molに対して0.75mol≦Mg≦2.10molを満たすことができる。
【0080】
上記マグネシウム(Mg)の含有量が上記母材主成分100molに対して0.75mol≦Mg≦2.10molを満たすように調節することにより、内部電極の先端に均一な酸化領域及び絶縁層を確保することができ、内部電極とマージン部との間の界面密着力の低下を防ぐことができる。
【0081】
上記マグネシウム(Mg)の含有量が上記母材主成分100molに対して0.75mol未満の場合には、内部電極の端部に酸化領域及び絶縁層を効率的に生成できず、内部電極とマージン部との間の界面密着力が低下する可能性がある。
【0082】
また、上記マグネシウム(Mg)の含有量が上記母材主成分100molに対して2.10molを超えると、マージン部の緻密度が低下し、2次相が生成される頻度が増加するという問題がある。
【0083】
上記マンガン(Mn)の含有量は、上記母材主成分100molに対して0.6mol≦Mn≦2.0molを満たすことができる。
【0084】
上記マンガン(Mn)の含有量が上記母材主成分100molに対して0.6mol≦Mn≦2.0molを満たすように調節することにより、内部電極の端部に均一な酸化領域及び絶縁層を確保するとともに、内部電極とマージン部との間の界面密着力の低下を防ぐことができる。これにより、内部電極とマージン部との間に発生する空隙の生成を防ぐとともに、信頼性を向上させることができる。
【0085】
上記マンガン(Mn)の含有量が上記母材主成分100molに対して0.6mol未満の場合には、内部電極とマージン部との間に発生する空隙を効果的に満たすことができず、信頼性が低下することがある。
【0086】
上記マンガン(Mn)の含有量が上記母材主成分100molに対して2.0molを超えると、内部電極及びセラミックが過度に焼結されて、内部電極の玉化が発生するという問題がある。
【0087】
本発明の一実施形態によると、上記副成分は、ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)を含み、上記ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)の含有量は、上記母材主成分100molに対してそれぞれ、0.5mol≦Na≦1.5mol及び0.5mol≦Li≦1.5molを満たすことができる。
【0088】
上記ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)の含有量が上記母材主成分100molに対してそれぞれ、0.5mol≦Na≦1.5mol及び0.5mol≦Li≦1.5molを満たすように調節することにより、サイドマージン部の焼結緻密度を向上させることができる。
【0089】
上記ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)の含有量が上記母材主成分100molに対して0.5mol未満の場合には、Ba-Siとの溶融温度の上昇が原因で液相が充分に生成されず焼結駆動力が足りなくなるため、サイドマージン部の焼結緻密度の低下を引き起こす可能性がある。
【0090】
一方、上記ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)の含有量が上記母材主成分100molに対して1.5molを超えると、BaTiOのBa-site置換による欠陥化学反応が原因で酸素空孔(oxygen vacancy)が生成されて誘電特性が低下するという問題がある。
【0091】
また、上記副成分はケイ素(Si)を含み、上記ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)との含有量比がそれぞれ0.68≦Si/(Na+Si)≦0.87及び0.68≦Si/(Li+Si)≦0.87を満たすことができる。
【0092】
上記ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)は、主にケイ素(Si)とともに反応して液相を生成させるため、ケイ素(Si)の添加含有量との比が重要である。本発明の一実施形態によると、含有量比が0.68≦Si/(Na+Si)≦0.87及び0.68≦Si/(Li+Si)≦0.87を満たすように調節することにより、サイドマージン部の焼結緻密度を向上させることができる。
【0093】
上記数値範囲を外れる場合、上述のように、副成分の一部成分の含有量が多すぎるか、又は足りなくなって、サイドマージン部の緻密度が低下したり、又は誘電特性が低下するという問題が生じかねない。
【0094】
本発明の一実施形態によると、上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114に含まれる誘電体組成とセラミック本体110に含まれる誘電体組成は互いに異なる。以下では、上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114に含まれる誘電体組成について説明する。
【0095】
上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114は、チタン酸バリウム系の母材主成分と、副成分としてのマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ナトリウム(Na)及びリチウム(Li)と、を含み、以下追加される副成分をさらに含む。
【0096】
a)母材主成分
本発明の一実施形態による第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114に含まれる誘電体組成物は、Ba及びTiを含む母材主成分を含むことができる。
【0097】
本発明の一実施形態によると、上記母材主成分は、BaTiO又はCa、Zr、Snなどが一部固溶した(Ba,Ca)(Ti,Ca)O、(Ba,Ca)(Ti,Zr)O、Ba(Ti,Zr)O、(Ba,Ca)(Ti,Sn)Oで表される主成分を含む。上記母材主成分は粉末の形で含まれることができる。
【0098】
b)第1副成分
本発明の一実施形態によると、上記誘電体組成物は、Y、Dy、Ho、Sm、Gd、Er、La、Ce及びNdのうち一つ以上の元素の酸化物及び炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第1副成分を含むことができる。
【0099】
上記第1副成分は、上記母材主成分100molに対して0.0~4.0molの含有量で含まれることができる。
【0100】
上記第1副成分の含有量は、酸化物や炭酸塩のような添加形態を区分することなく、第1副成分に含まれるY、Dy、Ho、Sm、Gd、Er、La、Ce及びNdのうち少なくとも一つ以上の元素の含有量を基準とすることができる。
【0101】
例えば、上記第1副成分に含まれるY、Dy、Ho、Er、Gd、Ce、Nd及びSmのうち少なくとも一つ以上の元素の含有量の合計は、上記母材主成分100molに対して4.0mol以下であることができる。
【0102】
上記第1副成分は、本発明の一実施形態において、誘電体組成物が適用された積層セラミックキャパシタの信頼性低下を防ぐ役割を果たす。
【0103】
上記第1副成分の含有量が上記母材主成分100molに対して4.0molを超えると、パイロクロール(Pyrochlore、RETi)(ここで、REは、Y、Dy、Ho、Sm、Gd、Er、La、Ce及びNdのうち少なくとも一つ以上の元素)2次相が生成されて高温耐電圧特性が低下する可能性がある。
【0104】
c)第2副成分
本発明の一実施形態によると、上記誘電体組成物は、Ba元素の酸化物及び炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第2副成分を含むことができる。
【0105】
上記第2副成分は、上記母材主成分100molに対して0.0~5.0molの含有量で含まれることができる。
【0106】
上記第2副成分の含有量は、酸化物又は炭酸塩のような添加形態を区分することなく第2副成分に含まれるBa元素の含有量を基準とすることができる。
【0107】
上記第2副成分が上記母材主成分100molに対して0.0~5.0mol含まれる場合、高温耐電圧特性を向上させることができる。
【0108】
d)第3副成分
本発明の一実施形態によると、上記誘電体組成物は、Si及びAlのうち少なくとも一つを含む酸化物又は炭酸塩、あるいはSiを含むガラス(Glass)化合物のうち少なくとも一つを含む第3副成分を含むことができる。
【0109】
上記第3副成分は、上記母材主成分100molに対して0.0~5.0molの含有量で含まれることができる。
【0110】
上記第3副成分の含有量は、ガラス、酸化物又は炭酸塩のような添加形態を区分することなく第3副成分に含まれるSi又はAl元素の含有量を基準とすることができる。
【0111】
上記第3副成分の含有量が母材主成分100molに対して5.0molを超えて含まれる場合、焼結性及び緻密度が低下し、2次相が生成されるなどという問題があるため好ましくない。
【0112】
本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタは、互いに対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1と第2面2を連結する第3面3及び第4面4を含むセラミック本体110と、上記セラミック本体110の内部に配置され、上記第1面及び第2面1、2に露出し、且つ上記第3面3又は第4面4に一端が露出する複数の内部電極121、122と、上記第1面1及び第2面2に露出する上記内部電極121、122の端部上に配置される第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114と、を含み、上記セラミック本体110の幅-厚さ方向の断面において、上記内部電極121、122の両端部にはマグネシウム(Mg)を含む酸化領域123が配置され、上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114は、チタン酸バリウム系の母材主成分と、副成分としてのマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)を含むとともに、上記マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)の合計含有量に対するマンガン(Mn)の含有量の比が0.316≦Mn/(Mn+Mg+Al)≦0.500を満たす。
【0113】
本発明の他の実施形態によると、上記セラミック本体110の幅-厚さ方向の断面において、上記内部電極121、122の両端部にはマグネシウム(Mg)を含む酸化領域123が配置される。
【0114】
上記酸化領域123は、上記セラミック本体110の焼成過程又は熱処理工程時の誘電体層112のセラミックに含まれる金属酸化物と、上記内部電極121、122を構成する金属とが反応して形成されたものであればよい。
【0115】
上記酸化領域123は金属酸化物を含み、上記金属酸化物は、特に制限されないが、例えば、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、リチウム(Li)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)及びバリウム(Ba)からなる群より選択された複数の酸化物であることができる。
【0116】
特に上記酸化領域123は、マグネシウム(Mg)を含むことができる。
【0117】
上記酸化領域123は、電子顕微鏡によって観察されることができ、内部電極とは異なる色を帯びるため、上記内部電極と区別されることができる。
【0118】
図2図3、及び図5では、上記酸化領域123を内部電極121、122と区別するために、異なる線で表示した。
【0119】
上述のように、内部電極が本体の幅方向に露出するようにすることで、マージンのない設計により、内部電極の幅方向の面積を最大化する。しかし、かかるチップ製作後に、焼成前の段階でチップの幅方向の電極露出面にマージン部を別に付着する方法により積層セラミックキャパシタを製作する場合、内部電極露出面の切断工程時に、内部電極露出面のスリップ(Slip)現象が原因で上下層の電極が連結されてショート不良及び耐電圧の低下の問題が発生することがある。
【0120】
また、金属とセラミックとの異種接合時に、焼結過程中の界面における比表面積の減少が原因で表面エネルギーを下げようとする自発反応が起きて界面が開くという物理/化学現象が発生することがある。
【0121】
したがって、上記二つの問題をともに解決すべく、内部電極に用いられるニッケル(Ni)と最も親和性が高く簡単に固溶し、2次相を生成することなく均一な酸化領域を形成することができる元素を選定する必要がある。
【0122】
本発明の一実施形態によると、陽イオンと陰イオンの比が1:1であるNaCl構造で構成されるNiOと同一の構造を有し、且つ酸素親和度の高いMg酸化物の絶対量比を調節することにより、ニッケル(Ni)電極先端に絶縁層を均一に生成し、酸化領域の生成によるサイドマージン部のセラミックとの結合力を増加させることができる。
【0123】
この際、Mgの含有量比が最適組成比を超えると、過量のMg添加による焼結性の低下、又は2次相の生成による耐電圧低下を招くことがあるため、その含有量比の選定が非常に重要である。
【0124】
また、追加で要求される特性として耐湿信頼性を含む積層セラミックキャパシタの耐電圧を改善させ、クラック発生を抑制するために、サイドマージン部の緻密度を確保し、電極端部の空隙(void)を効果的に充填する必要がある。このため、セラミックの焼結駆動力の向上及び高温における活発な物質輸送(mass transport)の誘導が何よりも必要である。
【0125】
サイドマージン部からの活発な原子の移動は、電極端部の空隙(void)を含んで周辺原子のドラッグ-イン(drag-in)効果を増加させ、効果的な気孔の消滅をもたらすことができる。
【0126】
これについての技術的な方法としては、Mnの添加とその適切な含有量比の選定が非常に重要となる。Mn-Mg-Alのシステム(system)における3元系相図(ternary phase diagram)を見ると、Mnの添加は、全体の添加量比領域において液相の生成を均一に促進し、焼結による物質輸送(mass transport)を増加させることができる。
【0127】
しかしこの際、Mnの含有量比が高く、Mgの含有量比が逆に減少した場合、上記電極先端に絶縁層が生成され、界面密着力の改善効果が減少する可能性がある。これに対し、Mnの含有量比が低い場合には、Mgの含有量比が増加するようになって焼結緻密度も低下し、2次相が生成される頻度が増加するという問題が発生することがある。したがって、上述のように、実際の実験により、最適なMn/(Mn+Mg+Al)の組成比を選定することになった。
【0128】
以下、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を説明する。
【0129】
図6a~図6cは本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図であり、図6d~図6fは本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す斜視図である。
【0130】
図6aに示すように、セラミックグリーンシート212a上に所定の間隔d3を置いて複数のストライプ型の第1内部電極パターン221aを形成する。上記複数のストライプ型の第1内部電極パターン221aは、互いに平行に形成されることができる。
【0131】
上記所定の間隔d3は、内部電極を、互いに異なる極性を有する外部電極と絶縁させるための距離であって、図2に示すd1×2の距離と理解されることができる。
【0132】
上記セラミックグリーンシート212aは、セラミック粉末、有機溶剤及び有機バインダーを含むセラミックペーストで形成されることができる。
【0133】
上記セラミック粉末は、高誘電率を有する物質であって、これに制限されるものではないが、チタン酸バリウム(BaTiO)系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、又はチタン酸ストロンチウム(SrTiO)系材料などを用いることができ、チタン酸バリウム(BaTiO)粉末を用いることが好ましい。上記セラミックグリーンシート212aが焼成されると、セラミック本体を構成する誘電体層112となる。
【0134】
ストライプ型の第1内部電極パターン221aは、導電性金属を含む内部電極ペーストによって形成されることができる。上記導電性金属は、これに制限されるものではないが、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又はこれらの合金であることができる。
【0135】
上記セラミックグリーンシート221a上にストライプ型の第1内部電極パターン221aを形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法のような印刷法を用いることができる。
【0136】
また、図示していないが、別のセラミックグリーンシート212a上に所定の間隔を置いて複数のストライプ型の第2内部電極パターン222aを形成することができる。
【0137】
以下、第1内部電極パターン221aが形成されたセラミックグリーンシートは第1セラミックグリーンシートと称することができ、第2内部電極パターン222aが形成されたセラミックグリーンシートは第2セラミックグリーンシートと称することができる。
【0138】
次に、図6bに示すように、ストライプ型の第1内部電極パターン221aとストライプ型の第2内部電極パターン222aとが交差積層されるように、第1セラミックグリーンシート及び第2セラミックグリーンシートを交互に積層することができる。
【0139】
その後、上記ストライプ型の第1内部電極パターン221aにより第1内部電極121を形成することができ、ストライプ型の第2内部電極パターン222aにより第2内部電極122を形成することができる。
【0140】
図6cは、本発明の一実施形態に基づいて、第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層体210を示す断面図であり、図6dは、第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層体210を示す斜視図である。
【0141】
図6c及び図6dを参照すると、複数の平行なストライプ型の第1内部電極パターン221aが印刷された第1セラミックグリーンシートと、複数の平行なストライプ型の第2内部電極パターン222aが印刷された第2セラミックグリーンシートは互いに交互に積層される。
【0142】
より具体的には、第1セラミックグリーンシートに印刷されたストライプ型の第1内部電極パターン221aの中央部と第2セラミックグリーンシートに印刷されたストライプ型の第2内部電極パターン222aとの間の間隔d3が重なるように積層されることができる。
【0143】
次に、図6dに示すように、上記セラミックグリーンシート積層体210は、複数のストライプ型の第1内部電極パターン221aとストライプ型の第2内部電極パターン222aを横切るように切断されることができる。すなわち、上記セラミックグリーンシート積層体210は、C1-C1の切断線に沿って棒状積層体220に切断されることができる。
【0144】
より具体的には、ストライプ型の第1内部電極パターン221aとストライプ型の第2内部電極パターン222aは、長さ方向に切断されて、一定の幅を有する複数の内部電極に分割されることができる。この際、積層されたセラミックグリーンシートも内部電極パターンとともに切断される。これにより、誘電体層は、内部電極の幅と同一の幅を有するように形成されることができる。
【0145】
上記棒状積層体220の切断面に第1内部電極及び第2内部電極の末端が露出することができる。上記棒状積層体の切断面はそれぞれ、棒状積層体の第1側面及び第2側面と称することができる。
【0146】
上記セラミックグリーンシート積層体を焼成した後、棒状積層体となるように切断することができる。また、上記セラミックグリーンシート積層体を棒状積層体に切断した後、焼成を行うことができる。これに制限されるものではないが、上記焼成は1100℃~1300℃のN-Hの雰囲気で行われることができる。
【0147】
次に、図6eに示すように、上記棒状積層体220の第1側面及び第2側面のそれぞれに、第1サイドマージン部213a及び第2サイドマージン部214aを形成することができる。第2サイドマージン部214aは、明確に示さず、点線でその輪郭を示した。
【0148】
上記第1サイドマージン部213a及び第2サイドマージン部214aは、棒状積層体220にセラミック粉末を含むセラミックスラリーを塗布して形成されることができる。
【0149】
上記セラミックスラリーは、セラミック粉末、有機バインダー及び有機溶剤を含むものであって、第1サイドマージン部213a及び第2サイドマージン部214aが所望の厚さを有するようにするためにセラミックスラリー量を調節することができる。
【0150】
上記棒状積層体220の第1側面及び第2側面にセラミックスラリーを塗布して、第1サイドマージン部213a及び第2サイドマージン部214aを形成することができる。上記セラミックスラリーの塗布方法は、特に制限されず、例えば、スプレー方式で噴射するか、又はローラーを用いて塗布することができる。
【0151】
また、上記棒状積層体をセラミックスラリーにディッピング(dipping)することで、棒状積層体の第1側面及び第2側面に第1サイドマージン部213a及び第2サイドマージン部214aを形成することができる。
【0152】
上述のように、上記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部の厚さは18μm以下に形成することができる。
【0153】
次に、図6e及び図6fに示すように、第1サイドマージン部213a及び第2サイドマージン部214aが形成された上記棒状積層体220をC2-C2の切断線に沿って個々のチップサイズに合わせて切断することができる。図6cは上記C2-C2の切断線の位置を把握するのに参照されることができる。
【0154】
棒状積層体220をチップサイズに切断することにより、積層体211と、積層体の両側面に形成された第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114と、を有するセラミック本体が形成されることができる。
【0155】
上記棒状積層体220をC2-C2の切断線に沿って切断することにより、重なっている第1内部電極の中央部と第2内部電極との間に形成された所定の間隔d3が同一の切断線によって切断されることができる。別の観点では、第2内部電極の中央部と第1内部電極との間に形成された所定の間隔が同一の切断線によって切断されることができる。
【0156】
これにより、第1内部電極及び第2内部電極の一端は、C2-C2の切断線に沿った切断面に交互に露出することができる。上記第1内部電極が露出した面は図5に示す積層体の第3面3と理解されることができ、上記第2内部電極が露出した面は図5に示す積層体の第4面4と理解されることができる。
【0157】
上記棒状積層体220をC2-C2の切断線に沿って切断することにより、ストライプ型の第1内部電極パターン221a間の所定の間隔d3は、半分に切断されて、第1内部電極121の一端が第4面から所定の間隔d2が形成されるようにする。また、第2内部電極122が第3面から所定の間隔が形成されるようにする。
【0158】
その後、第1内部電極及び第2内部電極の一端と接続されるように上記第3面及び第4面のそれぞれに外部電極を形成することができる。
【0159】
本実施形態のように、棒状積層体220に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成し、チップサイズに切断した場合、一回の工程を介して複数の積層体211にサイドマージン部を形成することができる。
【0160】
また、図示していないが、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する前に、棒状積層体をチップサイズに切断して複数の積層体を形成することができる。
【0161】
すなわち、棒状積層体を、重なっている第1内部電極の中央部と第2内部電極との間に形成され、且つ所定の間隔が同一である切断線によって切断されるように切断することができる。これにより、第1内部電極及び第2内部電極の一端は、切断面において交互に露出することができる。
【0162】
次に、上記積層体の第1面及び第2面に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成することができる。第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部の形成方法は、上述のとおりである。
【0163】
また、上記第1内部電極が露出する積層体の第3面、及び上記第2内部電極が露出する積層体の第4面にそれぞれ外部電極を形成することができる。
【0164】
本発明の他の実施形態によると、積層体の第1面及び第2面に第1内部電極及び第2内部電極の末端が露出する。積層された複数の第1内部電極及び第2内部電極は、同時に切断されて、上記内部電極の末端が一直線上に位置することができる。その後、上記積層体の第1面及び第2面に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部が一括的に形成される。上記積層体ならびに上記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部によってセラミック本体が形成される。すなわち、上記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部はセラミック本体の第1側面及び第2側面を形成するようになる。
【0165】
これにより、本実施形態によると、上記複数の内部電極の末端からセラミック本体の第1面及び第2面までの距離は一定に形成されることができる。また、上記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、セラミックペーストによって形成されるものであって、厚さが薄く形成されることができる。
【0166】
以下、実験例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これは発明の具体的な理解を助けるためのものであり、本発明の範囲が実験例によって限定されるものではない。
【0167】
実験例
母材主成分としては50nm級以下のBaTiO粉末を用いる。この際、副成分組成は下記の表1のとおりである。
【0168】
スラリーの作製時に、母材主成分及び副成分粉末をジルコニアボールを混合/分散媒介として使用し、エタノール/トルエンと分散剤を混合した後、機械的ミル(milling)を行った。その後、誘電体シートの強度を実現するためのバインダー混合工程を追加した。
【0169】
製造されたスラリーは、ヘッド吐出方式のオン-ロール(on roll)成形コーター(coater)を利用して、サイドマージン部を形成することができるように、厚さ10~20μmの形成シートを製造した。
【0170】
そして、幅方向に内部電極が露出して、マージンのないグリーンチップの電極露出部に上記成形シートを取り付けて、サイドマージン部を形成することができるように5cm×5cmのサイズに切断した。
【0171】
チップの変形を最小化した状態で一定の温度及び圧力を加えて、チップの両面に上記成形シートを取り付けて、0603サイズ(横×縦×高さ:0.6mm×0.3mm×0.3mm)の積層セラミックキャパシタグリーンチップを製作した。
【0172】
このように製作が完了した積層セラミックキャパシタの試料を、400℃以下、窒素雰囲気下で仮焼工程を経て焼成温度1200℃以下、水素濃度0.5%H以下の条件で焼成した後、電気的特性及び絶縁抵抗、チップ強度、サイドマージンと内部電極間との間の界面密着力、空隙充填の程度、電極先端の絶縁層の生成程度、及びサイドマージン部の緻密度差などを総合的に比較して確認した。
【0173】
各組成物の積層セラミックキャパシタ(MLCC)の常温静電容量及び誘電損失はLCRメーター(meter)を用いて1kHz、AC 0.5Vで測定し、サンプルを50個ずつとり、絶縁破壊が発生するBDV(Breakdown voltage)を測定した。
【0174】
積層セラミックキャパシタ(MLCC)のサイドマージン部の硬さはビッカース(Vickers)硬さ試験機を利用して荷重5kgf、保持時間5secの条件で測定し、チップの破断面及び研磨面に対してマージン部の緻密度や絶縁層の生成程度などの微細構造を比較した。
【0175】
下記[表1]は、実験例(比較例及び実施例)による誘電体組成を表した表である。母材主成分としてはBaTiOを使用し、この際の副成分としては、積層セラミックキャパシタ(MLCC)を構成する基本的なドナー(donor)、受容体(acceptor)形態の添加元素とBa-Si-Al-Na-Liを含む焼結助剤の役割を果たす元素を使用した。
【0176】
この際、本発明の実施例及び比較例によるサイドマージン部の緻密度、電極端部における酸化領域の生成有無、空隙充填の程度、及び界面密着力を比較するために、各副成分の添加元素の含有量比を多様に変化させた。
【0177】
下記[表2]は、上記[表1]に記載の組成に対応する0603サイズ、実際の積層セラミックキャパシタ(MLCC)の電気的特性及び微細構造の結果をまとめたものである。
【0178】
【表1】
【0179】
【表2】
◎:優秀、○:良好、△:普通、×:不良
【0180】
上記[表1]及び[表2]に示すように、電極端部における酸化領域の生成有無及び界面密着力を向上させるためのMgの含有量比は、0.75mol以上である際に効果的であり、過量のMg添加はサイドマージン部の緻密度を低下させ、2次相が生成される頻度が増加するという問題を伴うため、上記Mgの適正な含有量比は、0.75≦Mg≦2.10の範囲であることが分かる。
【0181】
図7a及び図7bは本発明の比較例による副成分Mgが足りない誘電体組成物で製作された積層セラミックキャパシタの断面SEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【0182】
図8a及び図8bは本発明の比較例による副成分Mgが過量含まれる誘電体組成物で製作された積層セラミックキャパシタの断面SEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【0183】
図7a及び図7bを参照すると、副成分Mgが足りない誘電体組成物で製作された積層セラミックキャパシタの場合、内部電極121、122の端部に酸化領域123及び絶縁層が効果的に生成されず、内部電極121、122と第2サイドマージン部114との間の界面密着力が低下することがある。ここで、界面密着力が低下した現象を図7bに楕円で表示した。
【0184】
図8a及び図8bを参照すると、副成分Mgが過量含まれる誘電体組成物で製作された場合には、2次相201が生成される頻度が増加するという問題があり、第2サイドマージン部114の緻密度が低下する。ここで、第2サイドマージン部114の緻密度が低下した現象を図8bに円形で表示した。
【0185】
図9a及び図9bは本発明の比較例による副成分Mnが足りない誘電体組成物で製作された積層セラミックキャパシタの断面SEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【0186】
図9a及び図9bを参照すると、Mgと同様に、Mnも上記Mnの含有量比が足りないか、又は過量の場合、焼結特性又は空隙充填率に影響を与えるようになる。しかし、臨界含有量比を基準に、上記Mnが足りない場合には、空隙を効果的に満たすことができず、空隙202が発生するという信頼性低下の問題を伴うようになる。また、逆に過量添加された場合には、内部電極121、及び第2内部電極122ならびにセラミックが過度に焼結されて、内部電極の玉化が発生するという問題がある。ここで、電極が玉化する現象を図9bに楕円で表示した。
【0187】
図10は本発明の実施形態による誘電体組成物で製作された積層セラミックキャパシタの断面SEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【0188】
図10を参照すると、内部電極が本体の幅方向に露出するようにチップを製作した後、焼成前の段階でチップの幅方向の電極露出面にマージン部を別に付着することにより、積層セラミックキャパシタの製造工程時に発生する内部電極121、122と第1サイドマージン部113との間の界面密着力の低下を防ぐことができ、内部電極121、122と第1サイドマージン部113との間に発生する空隙の生成を防ぐことで、信頼性を向上させることができる。
【0189】
また、内部電極121、122の先端に均一な酸化領域123及び絶縁層を確保することができるため、ショート不良を改善させることができ、サイドマージン部113の緻密度を向上させることができる。これにより、積層セラミックキャパシタの機械的強度の向上及び高温/耐湿信頼性の改善という効果を奏する。
【0190】
尚、サイドマージン部の焼結駆動力を増加させてサイドマージン部の緻密度、及び電極収縮によって発生する端部における空隙(void)を効果的に満たすようにするためには、Mn-Na-Liの添加に加えて、Mg-Si-Alなどの副成分元素の添加組合比が重要である。
【0191】
そこで、本発明の一実施形態では、上記Mn-Mg-Alのシステム(system)における3元系相図(ternary phase diagram)に基づいて、実際のチップに適用した実験結果をもとに、Mnの絶対量比及びMn/(Mn+Mg+Al)の含有量比を選定した。Mnの絶対量は0.6≦Mn≦2.0の範囲で決定することが好ましく、他の副成分元素の添加量比は0.316≦Mn/(Mn+Mg+Al)≦0.500で決定した場合、すべての電気的特性を満たすことが分かる。
【0192】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0193】
110 セラミック本体
111 積層体
112 誘電体層
113 第1サイドマージン部
114 第2サイドマージン部
121 第1内部電極
122 第2内部電極
131 第1外部電極
132 第2外部電極
112a セラミックグリーンシート
121a ストライプ型の第1内部電極パターン
122a ストライプ型の第2内部電極パターン
210 セラミックグリーンシート積層体
220 棒状積層体
123 酸化領域
201 2次相
202 空隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10