(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】車両サイドドアの開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05F 5/00 20170101AFI20220802BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20220802BHJP
E05F 15/619 20150101ALI20220802BHJP
E05F 15/63 20150101ALI20220802BHJP
【FI】
E05F5/00 C
B60J5/04 C
E05F15/619
E05F15/63
(21)【出願番号】P 2019001487
(22)【出願日】2019-01-08
【審査請求日】2020-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】野口 貴一
(72)【発明者】
【氏名】池野 俊吾
(72)【発明者】
【氏名】大川 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一幸
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-006680(JP,U)
【文献】特開2005-232752(JP,A)
【文献】実開昭60-121081(JP,U)
【文献】特開平06-280447(JP,A)
【文献】特開2006-256362(JP,A)
【文献】特開平05-113076(JP,A)
【文献】特開2004-346577(JP,A)
【文献】特開2018-066226(JP,A)
【文献】米国特許第04644693(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E05F 5/00
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドドア(14)を上下一対のドアヒンジ(18)により回動自在に車体(17)に取り付け;
前記サイドドア(14)には出力軸(24A)にピニオン歯車(21)を固定した駆動ユニット(11)を取り付け;
前記ピニオン歯車(21)にはラック(27)のラックギヤ(27A)を噛合させ;
前記ラック(27)の前端部は前記車体(17)に固定した車体側ブラケット(19)に軸止した連結アーム(29)に連結して前記ピニオン歯車(21)の回転により前記ラック(27)が前方に移動すると前記サイドドア(14)が開扉方向に移動し前記ラック(27)が後方に移動すると前記サイドドア(14)が閉扉方向に移動する構成とし;
前記ラック(27)の後端部には前記ラック(27)が前方に規定量移動すると前記駆動ユニット(11)に当接して前記ラック(27)の前方への移動を阻碍する当接ストッパ(41)を固定し;
前記サイドドア(14)は金属製アウターパネル(14A)と金属製インナーパネル(14B)と上下に昇降自在のドアガラス(14C)とを備え、前記駆動ユニット(11)は前記ドアガラス(14C)の下降移動軌跡線と前記金属製インナーパネル(14B)との間に形成される収納スペース(15)に配置して、モータ部(20)を含む前記駆動ユニット(11)
は前縁および後縁を前側ガイドレール(14D)および後側ガイドレール(14E)で摺動自在に狭持させたドアガラス(14C)とドアの幅方向において重合させ
;
前記駆動ユニット(11)は前記モータ部(20)のモータ軸(20A)から前記ピニオン歯車(21)に至る動力伝達経路を前記モータ軸(20A)を中心とした縦に伸びるリニア状の直線上に配置する構成とする共に前記モータ部(20)を前記駆動ユニット(11)の最上部に前記ピニオン歯車(21)を前記駆動ユニット(11)の最下部に配置して前記モータ軸(20A)を前記モータ部(20)から下向に伸びる構成とし;
前記駆動ユニット(11)は前記前側ガイドレール(14D)より前後方向において後方に配置してドアガラス(14C)とドアの幅方向において重合させた車両サイドドアの開閉装置。
【請求項2】
請求項1において、前記当接ストッパ(41)は前記駆動ユニット(11)を前記サイドドア(14)に固定する上部カバー(32)に当接させる車両サイドドアの開閉装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記当接ストッパ(41)は前記ドアヒンジ(18)が回転限界に達する前に前記駆動ユニット(11)に当接させる車両サイドドアの開閉装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項において、前記当接ストッパ(41)は前記ラック(27)に固定される鋼材部(41A)と前記鋼材部(41A)の外周に設けられ前記駆動ユニット(11)と当接する弾性体(41B)とを有する車両サイドドアの開閉装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項において、前記ピニオン歯車(21)と前記ラックギヤ(27A)とは噛合保持ユニット(31)の上部カバー(32)と下部ベース(33)とを備えた枠体内で噛合させ、前記当接ストッパ(41)は前記枠体に当接させる車両サイドドアの開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両サイドドアの開閉装置に関するものであり、特に、サイドドアを駆動ユニットにより開扉移動および閉扉移動させる開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な車両サイドドアの開閉装置は、ドアラッチ装置がアンラッチされると、サイドドアを駆動ユニットによりフル開扉位置まで開扉移動させ、また、開扉状態で閉扉スイッチが操作されると駆動ユニットが閉扉作動してサイドドアを閉扉移動させるものであり、開閉装置を備えたサイドドアを「パワーヒンジドア」と称することもある。開閉装置の駆動ユニットが開扉起動する条件やタイミング、また、閉扉移動する条件やタイミングには多種多様の設定がある。
【0003】
特許文献1、2には、開閉装置の駆動ユニットをサイドドアの内部スペースに取り付けた構成が開示されている。サイドドアの内部に取り付けた駆動ユニットは、車体のブラケットに対して連結機構を介して連結され、駆動ユニットの動力で連結機構を伸縮させることでサイドドアを車体に対して開閉移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-128940号公報
【文献】特表2018-505326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の駆動ユニットおよび連結機構には、サイドドアをフル開扉位置で機械的に停止させるのに適した機構が備わっていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
よって、本発明は、サイドドア14を上下一対のドアヒンジ18により回動自在に車体17に取り付け;前記サイドドア14には出力軸24Aにピニオン歯車21を固定した駆動ユニット11を取り付け;前記ピニオン歯車21にはラック27のラックギヤ27Aを噛合させ;前記ラック27の前端部は前記車体17に固定した車体側ブラケット19に軸止した連結アーム29に連結して前記ピニオン歯車21の回転により前記ラック27が前方に移動すると前記サイドドア14が開扉方向に移動し前記ラック27が後方に移動すると前記サイドドア14が閉扉方向に移動する構成とし;前記ラック27の後端部には前記ラック27が前方に規定量移動すると前記駆動ユニット11に当接して前記ラック27の前方への移動を阻碍する当接ストッパ41を固定し;前記サイドドア14は金属製アウターパネル14Aと金属製インナーパネル14Bと上下に昇降自在のドアガラス14Cとを備え、前記駆動ユニット11は前記ドアガラス14Cの下降移動軌跡線と前記金属製インナーパネル14Bとの間に形成される収納スペース15に配置して、モータ部20を含む前記駆動ユニット11は前縁および後縁を前側ガイドレール14Dおよび後側ガイドレール14Eで摺動自在に狭持させたドアガラス14Cとドアの幅方向において重合させ;前記駆動ユニット11は前記モータ部20のモータ軸20Aから前記ピニオン歯車21に至る動力伝達経路を前記モータ軸20Aを中心とした縦に伸びるリニア状の直線上に配置する構成とする共に前記モータ部20を前記駆動ユニット11の最上部に前記ピニオン歯車21を前記駆動ユニット11の最下部に配置して前記モータ軸20Aを前記モータ部20から下向に伸びる構成とし;前記駆動ユニット11は前記前側ガイドレール14Dより前後方向において後方に配置してドアガラス14Cとドアの幅方向において重合させた車両サイドドアの開閉装置の構成としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1および請求項3に係る発明では、ラック27に固定した当接ストッパ41を駆動ユニット11に機械的に当接させることでサイドドア14のフル開扉位置を規定できるので、ドアヒンジ18に負担を掛けることなく充分な強度を確保できる。また、駆動ユニット11をドアガラス14Cとドアの幅方向において重合させることができるので、リアサイドドアにも適合した装置となる。
本発明の請求項2に係る発明では、当接ストッパ41は駆動ユニット11の構造体に当接させることができるので、より強度を確保できる。
本発明の請求項4に係る発明では、当接ストッパ41の弾性体41Bを駆動ユニット11に当接させることができるので、静粛性に優れる。
本発明の請求項5に係る発明では、当接ストッパ41を強度に優れた噛合保持ユニット31の構造体に当接させるため、更なる強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明による開閉装置を装備したサイドドアを有する車両の概略側面図である。
【
図2】開閉装置の駆動ユニットの取付位置を示すサイドドアの概略縦断面図である。
【
図3】インサイドパネルを取り外した状態のサイドドアの内部構造を示す斜視図である。
【
図4】開閉装置の駆動ユニットを室外側から見た正面図である。
【
図5】開閉装置の駆動ユニットの全体斜視図である。
【
図6】駆動ユニットの内部構造の概略を示す斜視図である。
【
図7】閉扉状態における車体側ブラケットと駆動ユニットのピニオン歯車とラックの平面図である。
【
図8】
図7のラックを開扉移動させた状態の平面図である。
【
図9】ラックギヤとピニオン歯車との噛合を保持する噛合保持ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。本発明による車両サイドドアの開閉装置10は、駆動ユニット11と連結機構12とを備えている。駆動ユニット11は、車両13のサイドドア14の内部の収納スペース15に配置される。
【0010】
サイドドア14は、金属製アウターパネル14Aと金属製インナーパネル14Bとを備え、金属製インナーパネル14Bには好適にはトリムパネル(図示なし)が取り付けられる。サイドドア14は昇降機構16により昇降するドアガラス14Cを備えている。ドアガラス14Cの前縁および後縁は前側ガイドレール14Dおよび後側ガイドレール14Eで摺動自在に狭持され、ドアガラス14Cは金属製アウターパネル14Aと金属製インナーパネル14Bとの間を昇降する。
【0011】
ドアガラス14Cは下降すると、金属製アウターパネル14Aと金属製インナーパネル14Bとの間を略二分する。収納スペース15は、ドアガラス14C(ドアガラス14Cの下降移動軌跡の延長線を含む)と金属製インナーパネル14Bとで区画されるスペースである。
【0012】
サイドドア14は、車体17に上下一対のドアヒンジ18により回動自在に取り付けられる。車体17には車体側ブラケット19を固定する。車体側ブラケット19は上下一対のドアヒンジ18の間に配置する。車体側ブラケット19は連結機構12を介して駆動ユニット11に連結される。駆動ユニット11からの動力が車体側ブラケット19に伝達されると、サイドドア14はドアヒンジ18を中心に開扉方向又は閉扉方向に回転する。このとき、車体側ブラケット19は上下一対のドアヒンジ18の中間に配置されているため、駆動ユニット11からの動力は車体17に効率よく円滑に伝達される。
【0013】
駆動ユニット11は、最上部にモータ部20を配置し、最下部に出力歯車となるピニオン歯車21を配置している。モータ部20の出力は下方の第1減速部22に伝達される。第1減速部22は好適には遊星歯車機構を使用する。
【0014】
第1減速部22の出力は、下方のブレーキ部23を介して第2減速部24に伝達される。ブレーキ部23はブレーキアッシー23Aとアーマチュア23Bを有している。ブレーキ部23は好適には無励磁作動形電磁ブレーキで、制動には永久磁石を用いている。ブレーキ部23は、常時は永久磁石によりアーマチュア23Bが吸引されブレーキ作動状態となり、サイドドア14に所定のブレーキ抵抗を付与できる。ブレーキ部23のブレーキ抵抗は、ブレーキアッシー23Aに電圧をかけることにより解放され、ブレーキフリーとなる。第2減速部24の出力軸24Aにはピニオン歯車21が固定される。第2減速部24は好適には遊星歯車機構を使用する。
【0015】
駆動ユニット11は縦に伸びるリニア状であり、モータ部20、第1減速部22、ブレーキ部23、および、第2減速部24は上下に整列配置し、横方向(水平方向)へのずれを極力抑えている。これにより、縦に伸びる細長い筒状の駆動ユニットとなり、横幅の狭い収納スペース15への収納が容易になる。
【0016】
駆動ユニット11は、更に好適には、モータ部20のモータ軸20Aからピニオン歯車21が固定される出力軸24Aに至るまでの動力伝達経路をモータ軸20Aを中心としてた直線上に配置し、例えば、減速部に遊星歯車機構を用いたときは、太陽歯車の軸をモータ軸20Aの軸芯に一致させる。この構成により、駆動ユニット11は、モータ軸20Aの半径方向の大きさを一段と抑えた構成にできる。
【0017】
駆動ユニット11の上部固定ブラケット25は、金属製インナーパネル14Bに締め具26により固定する。
【0018】
ピニオン歯車21には、連結機構12のラック27に形成したラックギヤ27Aを噛合させる。ラック27はドアの前後方向に水平に伸びており、ラック27の前端部はドアフロントパネル(図示なし)の開口部(図示なし)を貫通して前方に突出させ、その前端部を連結軸28により連結アーム29の回動端に軸支する。連結アーム29の基端はブラケット軸19Aにより車体側ブラケット19に軸支する。ドアフロントパネルの開口部は、化粧カバー30などにより遮蔽する。
【0019】
ピニオン歯車21とラックギヤ27Aとの噛合部は、噛合保持ユニット31内で保持する。噛合保持ユニット31は、ピニオン歯車21とラックギヤ27Aのピッチ間距離のずれや、出力軸24Aの軸心方向におけるピニオン歯車21とラックギヤ27Aとの噛合位置のずれを抑制する。
【0020】
噛合保持ユニット31は、概略L型の上部カバー32と、矩形平板状の下部ベース33とを備えている。上部カバー32の水平部32Aは駆動ユニット11(第2減速部24)の下部に固定される。上部カバー32の屈曲部32Bは室内側に配置され、金属製インナーパネル14Bに締め具34により固定される。
【0021】
水平部32Aと下部ベース33とは、4本の縦柱35、35、36、36で所定間隔を置いて固定する。室内側の2本の縦柱35、35は通常の角柱等でよいが、室外側の2本の縦柱36、36は外周に回転ローラ36A、36Aを軸装させる。回転ローラ36A、36Aにはラック27の非ギヤ面27Bを当接させる。
【0022】
下部ベース33には、ラックガイド体37をガイド支持軸38で軸支する。ラックガイド体37は、上面37Aと、下面37Bと、上面37Aおよび下面37Bの室外側を連結する側面37Cとを備えている。
図10、11のように、下部ベース33には上方に起立する抑えピン39を植設する。抑えピン39は、出力軸24Aとガイド支持軸38とを結ぶ線上に配置する。
【0023】
ラック27はラックガイド体37の上面37Aと下面37Bとで上下方向の動きが規制される。
【0024】
ラック27はピニオン歯車21の回転により前方(開扉方向)又は後方(閉扉方向)に移動するが、この移動時に僅かではあるが、前端の連結軸28を中心に揺動する。この揺動は、ラックガイド体37がガイド支持軸38を中心に揺動することで吸収され、ラックギヤ27Aとピニオン歯車21との噛合のずれは避けられる。
【0025】
ラック27には、鋼製のラックスライダー40を取り付ける。好適には、ラックスライダー40の上部突起40Aをラック27の透孔27Cに挿通後、カシメ加工を施しラック27に固定する。ラックスライダー40は、ラック27の下面にレール状にラック27の長さ方向に伸びている。
【0026】
回転ローラ36A、36Aはラック27の非ギヤ面27Bに室外側から当接し、下部ベース33の抑えピン39は、
図11のように、ラック27のラックスライダー40に室内側から当接し、ラック27の前後方向に移動をガタツキを発生させることなく円滑に行えるようにしている。
【0027】
ラック27の後端部には当接ストッパ41を固定する。当接ストッパ41は、中央の鋼材部41Aと、鋼材部41Aの外周を囲う弾性体41Bとで構成し、鋼材部41Aはラック27の後端部に嵌入後、溶接固定される。
【0028】
当接ストッパ41の弾性体41Bは、ラック27が開扉方向(前側方向)に移動してサイドドア14がフル開扉位置に至ったときに、噛合保持ユニット31、好適には、上部カバー32および下部ベース33等の構造体に当接する。これにより、サイドドア14のフル開扉位置が機械的当接により規定されると共に、サイドドア14がフル開扉位置を超えて移動することによる駆動ユニット11、連結機構12、およびドアヒンジ18の構造変形を防止する。
【0029】
駆動ユニット11のブレーキ部23は、無励磁作動形電磁ブレーキを採用しており、非通電の待機状態においてブレーキが作動している。ブレーキ部23によるブレーキ力(保持トルク)は、非通電時の強ブレーキと、通電を制御したときの弱ブレーキの2種類を発生できるようにするのが好ましい。強ブレーキは、一般的なチェックリンクによりサイドドアを仮保持する際のブレーキ抵抗(50Nm)と同程度に設定する。これにより、本実施例では、従来のチェックリンクの機能をブレーキ部23の強ブレーキで補えることができ、チェックリンクの省略が可能となる。
【0030】
ドアラッチ装置42(
図3)がストライカと係合した閉扉状態においては、ブレーキ部23は非通電の待機状態で強ブレーキになっている。閉扉状態で車内から搭乗者がインサイドハンドル43の操作でドアラッチ装置42をアンラッチさせると、これに連動して、ブレーキ部23は通電され、ブレーキがOFFとなり、サイドドア14はシール反力等により閉扉位置から押し出されると共に、搭乗者がサイドドア14を室内から開扉方向に押すことで更に開扉方向に移動する。
【0031】
サイドドア14が閉扉位置から開扉方向に移動するとき、ブレーキ部23はブレーキを解放するため、車両13の前後の傾斜や、左右の傾斜や、強風の影響等により、サイドドア14が予想外に急激に開き勝手になることがある。この対策として、サイドドア14が所定の仮開扉位置に移動したとき、ブレーキ部23は通電制御により弱ブレーキを発生させ、仮開扉位置を超えてサイドドア14が急激に開扉するのを抑制する。
【0032】
サイドドア14の仮開扉位置とは、開扉角度で約10度程度が好適であり、この角度は、サイドドア14の厚み分の開扉に相当する。サイドドア14の仮開扉位置はECU44に接続した角度センサー45等で検出する。
【0033】
サイドドア14が仮開扉位置に至ると、ブレーキ部23は約1~2秒間、弱ブレーキを発生させる。弱ブレーキによるサイドドア14に対する保持力は控えめに設定し、搭乗者が一連の開扉操作でサイドドア14を外側に押し出す際に違和感を感じさせない程度が望ましい。
【0034】
仮開扉位置でサイドドア14に弱ブレーキを付与するのは、搭乗者が室内からインサイドハンドル43で開扉操作したときに限定することができる。室外からアウトサイドハンドルで開扉操作した場合は、操作者がサイドドア14のすぐ外側にいるため、サイドドア14に弱ブレーキを付加する必要性は低い。また、閉扉によりサイドドア14が仮開扉位置を通過する際も、サイドドア14に弱ブレーキは付加しない。
【0035】
仮開扉位置を超えてサイドドア14が開扉方向に移動したときは、所定位置にて、ブレーキ部23はサイドドア14に強ブレーキを掛ける。好適には、サイドドア14が約25度程度開いたときに、強ブレーキにより所定の開扉抵抗をサイドドア14に与える。これは一般的なチェックリンクによりサイドドアに与えられる節動抵抗と同じ作用をもたらす。
【0036】
ブレーキ部23は非通電とすることで、サイドドア14に対して任意に強ブレーキを付与できる。このため、サイドドア14が所定時間同じ角度で維持されていたときは、強ブレーキを発生させてサイドドア14をその任意の開扉角度で保持するように構成できる。
【符号の説明】
【0037】
10…開閉装置、11…駆動ユニット、12…連結機構、13…車両、14…サイドドア、14A…金属製アウターパネル、14B…金属製インナーパネル、14C…ドアガラス、14D…前側ガイドレール、14E…後側ガイドレール、15…収納スペース、16…昇降機構、17…車体、18…ドアヒンジ、19…車体側ブラケット、19A…ブラケット軸、20…モータ部、20A…モータ軸、21…ピニオン歯車、22…第1減速部、23…ブレーキ部、23A…ブレーキアッシー、23B…アーマチュア、24…第2減速部、24A…出力軸、25…上部固定ブラケット、26…締め具、27……ラック、27A…ラックギヤ、27B…非ギヤ面、27C…透孔、28…連結軸、29…連結アーム、30…化粧カバー、31…噛合保持ユニット、32…上部カバー、32A…水平部、32B…屈曲部、33…下部ベース、34……締め具、35…縦柱、36…縦柱、36A…回転ローラ、37…ラックガイド体、38…ガイド支持軸、39…抑えピン、40…ラックスライダー、40A…突起、41…当接ストッパ、41A…鋼材部、41B…弾性体、42…ドアラッチ装置、43…インサイドハンドル、44…ECU、45…角度センサー。