(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】水回り機器
(51)【国際特許分類】
F21V 33/00 20060101AFI20220802BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20220802BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220802BHJP
【FI】
F21V33/00 200
A47K4/00
F21S2/00 230
(21)【出願番号】P 2018003452
(22)【出願日】2018-01-12
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智之
(72)【発明者】
【氏名】古澤 康弘
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-022098(JP,A)
【文献】実開平05-071357(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 33/00
A47K 4/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の壁面に沿って取り付けられ、左右方向に延びた長尺形状の水栓装置又はカウンターである水回り機器であって、
前記浴室
の前記壁面に沿って取り付けられ、前記左右方向に延びた長尺形状であり、物品を載置可能な棚形状の上面を有する機器本体と、
前記機器本体に取り付けられ、
前記機器本体の下方に向かって光を照射し、前記左右方向に延びた長尺形状の照明と、
を備え、
前記機器本体は、前記照明を支持する支持機構を有し、
前記照明は、
前記左右方向に延びた長尺形状の基板と、
前記左右方向に並べて前記基板上に設けられた複数の発光素子と、
前記左右方向に延び、前記基板を収納する内部空間を有する筒状の収納ケースと、
を有し、
前記収納ケースは、樹脂製であり、前記複数の発光素子から照射された光を透過させる発光窓を少なくとも一部に有し、
前記支持機構は、
前記収納ケースを上方から覆う被覆部と、
前記被覆部より下方に位置し、前記収納ケースを前後に挟むように配置され、前記収納ケースを下方から支持する一対の支持部と、
を有し、
前記被覆部は、前記一対の支持部が前記収納ケースを支持した状態において、前記収納ケースとの間に間隙を設けることを特徴とする水回り機器。
【請求項2】
前記収納ケースは、前記被覆部に覆われる基礎部と、前記基礎部から下方に突出した突出部と、を有し、
前記一対の支持部は、前記収納ケースを支持した状態において、前記突出部の少なくとも一部を覆い、
前記発光窓は、前記突出部の下面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の水回り機器。
【請求項3】
前記一対の支持部は、前記収納ケースを支持した状態において、前記突出部との間に間隙を設けることを特徴とする請求項2記載の水回り機器。
【請求項4】
前記被覆部は、前記一対の支持部が前記収納ケースを支持した状態において、前記収納ケースの前記基礎部の上面との間の第1間隙、前記収納ケースの前記基礎部の前面との間の第2間隙、及び前記収納ケースの前記基礎部の後面との間の第3間
隙を設け、
前記一対の支持部と前記突出部との間の間隙は、前記被覆部と前記収納ケースとの間の前記第1間隙、前記第2間隙、及び前記第3間
隙のそれぞれよりも小さいことを特徴とする請求項3記載の水回り機器。
【請求項5】
前記発光窓の少なくとも一部は、前記一対の支持部よりも下方に位置していることを特徴とする請求項2~4のいずれか1つに記載の水回り機器。
【請求項6】
前記一対の支持部は、前記収納ケースを支持する支持面を有し、
前記一対の支持部のそれぞれの前記支持面は、前記一対の支持部の間の前後方向の中心側に向かって下降傾斜していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の水回り機器。
【請求項7】
前記収納ケースは、前記一対の支持部に支持される一対の被支持面を有し、
前記一対の被支持面は、前記収納ケースの前後方向の中心側に向かって下降傾斜していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の水回り機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、水回り機器に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室に設置される水回り機器に対して、照明を取り付けることで、より高意匠で且つ高級感のある浴室とすることが知られている(例えば、特許文献1)。特に、洗面器などを載置する洗面カウンターや、大型の水栓装置など、左右方向の幅の大きい水回り機器に対しては、左右方向に延びた長尺形状の照明を取り付けることが、高意匠を目指す上で好ましい。
【0003】
こうした水回り機器において、長尺形状の基板の上に、複数の発光素子(例えば発光ダイオード)を並べて設けることにより、長尺形状の照明を形成することが考えられている。複数の発光素子を用いた照明では、蛍光灯などを用いた照明と比べて、発光効率や製品寿命を向上させることができる。
【0004】
一方で、浴室に設置される水回り機器に照明を設ける場合には、照明の電気部品の被水に注意する必要がある。そこで、光透過性を有する収納ケース内に、複数の発光素子が設けられた基板を収納し、各発光素子及び基板を収納ケース内に密閉することが提案されている。
【0005】
しかしながら、各発光素子及び基板を収納ケース内に収納する場合には、収納ケースの熱膨張を考慮する必要がある。例えば、発光素子は、使用時に熱を放出するため、この熱によって収納ケース自体が膨張してしまう恐れがある。こうした収納ケースの膨張を適切に吸収できないと、収納ケースや収納ケースを支持する部材などに意図しない力が加わってしまう。そして、このような力が収納ケースに加わると、収納ケースの密閉部分に隙間が生じたり、収納ケースが破損したりし、収納ケースの密閉性の低下を招いてしまう可能性が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、複数の発光素子及び基板を収納ケース内に収納した照明を取り付ける場合にも、収納ケースの熱膨張の影響を抑制し、収納ケースの密閉性を保つことができる水回り機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、浴室に設置される機器本体と、前記機器本体に取り付けられ、左右方向に延びた長尺形状の照明と、を備え、前記機器本体は、前記照明を支持する支持機構を有し、前記照明は、前記左右方向に延びた長尺形状の基板と、前記左右方向に並べて前記基板上に設けられた複数の発光素子と、前記左右方向に延び、前記基板を収納する内部空間を有する筒状の収納ケースと、を有し、前記収納ケースは、樹脂製であり、前記複数の発光素子から照射された光を透過させる発光窓を少なくとも一部に有し、前記支持機構は、前記収納ケースを上方から覆う被覆部と、前記被覆部より下方に位置し、前記収納ケースを前後に挟むように配置され、前記収納ケースを下方から支持する一対の支持部と、を有し、前記被覆部は、前記一対の支持部が前記収納ケースを支持した状態において、前記収納ケースとの間に間隙を設けることを特徴とする水回り機器である。
【0009】
この水回り機器によれば、基板及び複数の発光素子を樹脂製の収納ケースで水密に覆いつつも、被覆部が収納ケースとの間に間隙を設けることにより、樹脂製の収納ケースが熱膨張した際にも、支持機構が収納ケースを支持した状態で、熱膨張による膨張を許容することができる。従って、複数の発光素子及び基板を収納ケース内に収納した照明を取り付ける場合にも、収納ケースの熱膨張の影響を抑制し、収納ケースの密閉性を保つことができる水回り機器を提供することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記収納ケースは、前記被覆部に覆われる基礎部と、前記基礎部から下方に突出した突出部と、を有し、前記一対の支持部は、前記収納ケースを支持した状態において、前記突出部の少なくとも一部を覆い、前記発光窓は、前記突出部の下面に設けられていることを特徴とする水回り機器である。
【0011】
この水回り機器によれば、基板及び複数の発光素子を樹脂製の収納ケースで水密に覆いつつも、突出部の下面に発光窓を設けることにより、支持機構が収納ケースを支持した状態で、光を照射するための発光窓を適切に確保しつつ、熱膨張による膨張を許容することができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記一対の支持部は、前記収納ケースを支持した状態において、前記突出部との間に間隙を設けることを特徴とする水回り機器である。
【0013】
この水回り機器によれば、一対の支持部と突出部との間に間隙を設けることにより、熱膨張による膨張を、より確実に許容した状態で、収納ケースを支持することができる。
【0014】
第4の発明は、第3の発明において、前記一対の支持部と前記突出部との間の間隙は、前記被覆部と前記収納ケースとの間の間隙よりも小さいことを特徴とする水回り機器である。
【0015】
この水回り機器によれば、基礎部よりも前後方向の長さが小さくなる突出部では、その分前後方向の熱膨張の大きさが基礎部よりも小さくなるため、一対の支持部と突出部との間の間隙を、被覆部と収納ケースとの間の間隙よりも小さくすることにより、不要に大きな間隙を形成してしまうことで、支持機構と収納ケースとの間に大きなガタツキを発生させてしまうことを抑制することができる。
【0016】
第5の発明は、第2~第4のいずれか1つの発明において、前記発光窓の少なくとも一部は、前記一対の支持部よりも下方に位置していることを特徴とする水回り機器である。
【0017】
この水回り機器によれば、より広い範囲に光を照射することができる。あるいは、配光エリアを限定し、目的の範囲のみに光を照射することができる。
【0018】
第6の発明は、第1~第5のいずれか1つの発明において、前記一対の支持部は、前記収納ケースを支持する支持面を有し、前記一対の支持部のそれぞれの前記支持面は、前記一対の支持部の間の前後方向の中心側に向かって下降傾斜していることを特徴とする水回り機器である。
【0019】
この水回り機器によれば、熱膨張による膨張を間隙によって許容できる状態で、支持機構に収納ケースを支持させつつも、一対の支持面を下降傾斜させることにより、支持機構と収納ケースとの間のガタツキの発生を抑制し、且つ、前後方向の一方に収納ケースが偏ることを抑制した状態で、収納ケースを一対の支持部に載置することができる。
【0020】
第7の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、前記収納ケースは、前記一対の支持部に支持される一対の被支持面を有し、前記一対の被支持面は、前記収納ケースの前後方向の中心側に向かって下降傾斜していることを特徴とする水回り機器である。
【0021】
この水回り機器によれば、熱膨張による膨張を間隙によって許容できる状態で、支持機構に収納ケースを支持させつつも、一対の被支持面を下降傾斜させることにより、支持機構と収納ケースとの間のガタツキの発生を抑制し、且つ、前後方向の一方に収納ケースが偏ることを抑制した状態で、収納ケースを一対の支持部に載置することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の態様によれば、複数の発光素子及び基板を収納ケース内に収納した照明を取り付ける場合にも、収納ケースの熱膨張の影響を抑制し、収納ケースの密閉性を保つことができる水回り機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係る浴室を模式的に表す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る水栓装置の一部を模式的に表す正面図である。
【
図3】実施形態に係る水栓装置を模式的に表す分解斜視図である。
【
図4】実施形態に係る照明を模式的に表す分解斜視図である。
【
図5】実施形態に係る照明を模式的に表す説明図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、実施形態に係る収納ケース及びキャップを模式的に表す説明図である。
【
図7】実施形態に係る収納ケース及びキャップを模式的に表す断面図である。
【
図8】実施形態に係る水栓装置の一部を模式的に表す断面図である。
【
図9】実施形態に係る照明及び支持機構を模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る浴室を模式的に表す斜視図である。
図1に表したように、浴室2は、浴槽3と、洗い場床4と、壁パネル5と、水栓装置10(水回り機器)と、洗面カウンター20(水回り機器)と、を備えている。洗い場床4は、浴槽3に隣接して設けられる。浴室2は、例えば、複数の壁パネル5を有する。各壁パネル5は、浴槽3及び洗い場床4を囲むように設けられる。浴室2は、例えば、浴槽3、洗い場床4、及び周囲の各壁パネル5などをユニット化した、いわゆるユニットバスやシステムバスなどである。浴室2は、建築躯体の内部に設置して使用される。
【0025】
水栓装置10は、機器本体12と、照明14と、を備えている。機器本体12は、浴室2に設置される。機器本体12は、例えば、壁パネル5の壁面5aに取り付けられる。照明14は、機器本体12に取り付けられる。照明14は、左右方向に延びた長尺形状である。例えば、機器本体12が壁面5aに取り付けられている場合、左右方向とは、壁面5aと平行、且つ水平な方向である。
【0026】
洗面カウンター20は、機器本体22と、照明24と、を備えている。機器本体22は、浴室2に設置される。機器本体22は、例えば、壁パネル5の壁面5aに取り付けられる。照明24は、機器本体22に取り付けられる。照明24は、左右方向に延びた長尺形状である。
【0027】
すなわち、この例では、水栓装置10と洗面カウンター20とが水回り機器として機能する。水回り機器は、水栓装置10及び洗面カウンター20に限ることなく、浴室2に設置して使用される任意の機器でよい。また、水栓装置10及び洗面カウンター20などの水回り機器の設置位置は、壁パネル5の壁面5aに限ることなく、例えば、洗い場床4の床面4aや天井面など、浴室2の任意の位置でよい。
【0028】
水栓装置10の機器本体12は、左右方向に延び、シャンプーボトルなどの物品を載置可能な棚形状の上面12aを有する。このように、水栓装置10は、湯水を吐出する水栓として機能するとともに、物品を載置可能なカウンターとしても機能する。水栓装置10は、換言すれば、水栓カウンターである。これにより、浴室2の使い勝手を向上させることができる。
【0029】
照明14は、例えば、機器本体12の下方に向かって光(可視光)を照射する。照明14は、例えば、左右方向に延びた横長状の光を照射する、いわゆるライン照明である。これにより、機器本体12の下方の空間を明るくすることができる。例えば、機器本体12から吐水された吐水流などを明るくすることができる。
【0030】
洗面カウンター20の機器本体22は、左右方向に延び、洗面器などの物品を載置可能な棚形状の上面22aを有する。機器本体22の上面22aは、少なくとも洗面器の載置を可能にする。洗面カウンター20(機器本体22)は、水栓装置10の下方に配置される。これにより、洗面カウンター20は、水栓装置10から吐水された湯水を洗面器で受けられるようにする。洗面カウンター20は、例えば、洗い場床4に置かれた風呂椅子などに腰掛けた状態の使用者に対し、載置した洗面器などが使用し易い高さに設けられる。水栓装置10の照明14は、例えば、下方に向かって光を照射することにより、機器本体12から吐水された吐水流を明るくするとともに、洗面カウンター20の機器本体22の上面を明るくする。
【0031】
照明24は、例えば、機器本体22の下方に向かって光を照射する。より詳しくは、照明24は、機器本体22の下方の床面4aに向かって光を照射する。これにより、洗面カウンター20の下方の空間及び床面4aなどを明るくすることができる。なお、照明14、24の光の照射方向は、下方に限ることなく、任意の方向でよい。
【0032】
図2は、実施形態に係る水栓装置の一部を模式的に表す正面図である。
図2に表したように、水栓装置10の機器本体12は、例えば、吐水部41、シャワー接続口42、吐水口操作部43、シャワー操作部44、温度調節部45、流量調節部46、及び止水栓47、48などをさらに有する。
【0033】
吐水部41は、機器本体12の下部に設けられ、湯水を吐水する吐水口41aを有する。吐水部41は、換言すれば、スパウトである。吐水口41aは、下方を向いて設けられている。吐水部41は、下方に向けて湯水を吐水する。これにより、照明14から照射された光によって、吐水部41から吐水された湯水を照らすことができる。
【0034】
シャワー接続口42は、機器本体12の下部に設けられている。シャワー接続口42は、可撓性を有するホース50と接続されるとともに、ホース50を介してシャワーヘッド52と接続される。シャワーヘッド52は、より詳しくは、ハンドシャワーである。
【0035】
機器本体12は、例えば、天井に取り付けて使用されるオーバーヘッドシャワーと接続してもよい。機器本体12は、ハンドシャワー及びオーバーヘッドシャワーのいずれか一方のみと接続してもよいし、ハンドシャワー及びオーバーヘッドシャワーの双方と接続してもよい。
【0036】
機器本体12をオーバーヘッドシャワーと接続する場合には、シャワー接続口42を用いてもよいし、別の接続口を介して接続してもよい。機器本体12をオーバーヘッドシャワーと接続する場合には、例えば、機器本体12の背面側に接続口を設け、壁パネル5と建築躯体との間の空間を利用して機器本体12をオーバーヘッドシャワーとを接続することが好ましい。これにより、配管などが浴室2内に露出することを抑制し、浴室2の見栄えを向上させることができる。
【0037】
吐水口操作部43、シャワー操作部44、温度調節部45、及び流量調節部46は、機器本体12の前面部に設けられている。但し、吐水口操作部43、シャワー操作部44、温度調節部45、及び流量調節部46の配置は、上記に限ることなく、これらを操作し易い機器本体12の任意の位置でよい。
【0038】
吐水口操作部43及びシャワー操作部44は、例えば、押しボタン式の操作部である。吐水部41から湯水が吐水されていない状態で吐水口操作部43を押圧操作することにより、吐水部41の吐水口41aから湯水が吐水される。そして、吐水部41の吐水口41aから湯水が吐水されている状態で吐水口操作部43を押圧操作することにより、吐水部41の吐水口41aからの湯水の吐水が停止される。
【0039】
同様に、シャワーヘッド52から湯水が吐水されていない状態でシャワー操作部44を押圧操作することにより、シャワーヘッド52から湯水が吐水される。そして、シャワーヘッド52から湯水が吐水されている状態でシャワー操作部44を押圧操作することにより、シャワーヘッド52からの湯水の吐水が停止される。
【0040】
このように、水栓装置10では、吐水口操作部43及びシャワー操作部44の操作により、吐水部41及びシャワーヘッド52から選択的に湯水を吐止水することができる。なお、吐水口操作部43及びシャワー操作部44は、押しボタン式の操作部に限ることなく、吐止水の切り替えを制御可能な任意の操作部でよい。吐水口操作部43及びシャワー操作部44は、例えば、回転式のハンドルやレバーなどでもよい。
【0041】
温度調節部45及び流量調節部46は、例えば、回転式のハンドルである。温度調節部45は、吐水部41及びシャワーヘッド52から吐水される湯水の温度を調節可能とする。水栓装置10は、図示を省略した給水管及び給湯管と接続される。温度調節部45は、給水管から供給される水と給湯管から供給されるお湯との混合比を調節することにより、吐水部41及びシャワーヘッド52から吐水される湯水の温度を調節する。
【0042】
流量調節部46は、吐水部41及びシャワーヘッド52から吐水される湯水の流量を調節可能とする。これにより、水栓装置10では、温度調節部45及び流量調節部46を操作することで、使用者の所望する温度及び流量の湯水を吐水部41及びシャワーヘッド52から吐水することができる。
【0043】
なお、温度調節部45及び流量調節部46は、回転式のハンドルに限ることなく、湯水の温度や流量を調節可能な任意の操作部でよい。また、この例では、温度調節部45と流量調節部46とを設けているが、例えば、吐水される湯水の温度及び流量を1つの操作部で調節できるようにしてもよい。
【0044】
止水栓47、48は、機器本体12の下部に設けられている。止水栓47、48は、吐水部41及びシャワーヘッド52に送水される湯水を遮断する。止水栓47は、例えば、給水管から吐水部41及びシャワーヘッド52へと至る経路上に設けられ、給水管から吐水部41及びシャワーヘッド52への水の供給を遮断する。止水栓48は、例えば、給湯管から吐水部41及びシャワーヘッド52へと至る経路上に設けられ、給湯管から吐水部41及びシャワーヘッド52への湯の供給を遮断する。
【0045】
止水栓47、48は、吐水部41及びシャワーヘッド52への送水を可能にする状態と、吐水部41及びシャワーヘッド52への送水を遮断した状態と、を切り替えるための操作部を有する。止水栓47、48は、例えば、操作部を下方に向けた状態で、機器本体12の下部に設けられる。
【0046】
例えば、吐水部41側への吐水とシャワーヘッド52側への吐水とを切り替える切替弁を設けるとともに、切替弁で選択された吐水部41又はシャワーヘッド52からの吐止水、流量の調節、及び温度の調節を1つの操作部で操作できるようにしてもよい。水栓装置10及び機器本体12の構成は、上記に限ることなく、少なくとも吐水部41からの吐止水を切り替え可能な任意の構成でよい。
【0047】
図3は、実施形態に係る水栓装置を模式的に表す分解斜視図である。
図3に表したように、水栓装置10の機器本体12は、例えば、天板60と、複数の支持体62と、下側カバー64と、を有する。
【0048】
天板60は、左右方向に延びた略矩形の平板状の部材である。天板60は、機器本体12の上面12aを形成する。水栓装置10は、天板60の上に、シャンプーのボトルなどの物品を載置可能とする。
【0049】
複数の支持体62は、左右方向に並べて壁パネル5の壁面5aに取り付けられる。各支持体62は、天板60を支持する。各支持体62は、例えば、天板60を壁パネル5から僅かに離間させた状態で支持する。換言すれば、各支持体62は、機器本体12の上面12aの後端を壁パネル5の壁面5aから離間させる。これにより、使用者に対して水栓装置10を浮いているように見せることができ、水栓装置10のデザイン性を向上させることができる。従って、浴室2の見栄えを向上させることができる。
【0050】
吐水口操作部43、シャワー操作部44、温度調節部45、及び流量調節部46などの水栓機能部は、例えば、補強板などを介して各支持体62に支持される。
【0051】
下側カバー64は、各支持体62の下方に取り付けられ、天板60の下方を覆う。すなわち、下側カバー64は、各支持体62や水栓機能部などが下方に露出することを抑制する。
【0052】
また、
図3に表したように、機器本体12は、照明14を支持する支持機構16を有する。支持機構16は、例えば、ネジ止めなどにより、機器本体12に着脱可能に取り付けられる。支持機構16は、例えば、各支持体62に着脱可能に取り付けられる。支持機構16は、着脱可能な構成に限ることなく、機器本体12に一体的に設けられた構成としてもよい。支持機構16は、例えば、各支持体62などに一体的に設けられていてもよい。
【0053】
図4は、実施形態に係る照明を模式的に表す分解斜視図である。
図5は、実施形態に係る照明を模式的に表す説明図である。
図4及び
図5に表したように、照明14は、例えば、発光部70と、収納ケース72と、一対のキャップ74、76と、放熱板78と、を有する。発光部70は、左右方向に延びた横長状である。発光部70は、左右方向に延びた長尺形状の基板80と、左右方向に並べて基板80上に設けられた複数の発光素子82と、を有する。基板80は、例えば、左右方向に延びた平板状である。各発光素子82は、少なくとも左右方向に並べて配置される。これにより、基板80及び各発光素子82は、左右方向に直線状に延びた幅広な光を照射する。
【0054】
各発光素子82には、例えば、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)、又はOLED(Organic Light Emitting Diode)などが用いられる。発光素子82は、上記に限ることなく、光を照射する任意の発光素子でよい。
【0055】
収納ケース72は、左右方向に延び、基板80を収納する内部空間SPを有する筒状である。収納ケース72は、左右方向に連続した筒状である。収納ケース72は、例えば、発光部70の左右方向の両端間に亘って連続した筒状である。収納ケース72は、例えば、断面略矩形の筒状である。
【0056】
収納ケース72は、樹脂製であり、複数の発光素子82から照射された光を透過させる光透過性を少なくとも一部に有する。各発光素子82から照射された光は、収納ケース72を透過して外部に出射される。
【0057】
この例では、収納ケース72の全体が同じ材料で形成され、収納ケース72の全体が光透過性を有している。発光部70は、下方に向けて光を照射するように、基板80の各発光素子82の設けられた面を下方に向けた状態で収納ケース72内に設けられる。この場合、収納ケース72は、各発光素子82から照射された光が当たる下端部において、少なくとも光透過性を有していればよい。すなわち、収納ケース72は、各発光素子82の光の照射方向において、少なくとも光透過性を有していればよい。
【0058】
収納ケース72には、例えば、ポリカーボネイト樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS(Acrylonitrile‐Butadiene‐Styrene)樹脂、アクリル樹脂などの透光性を有する樹脂材料が用いられる。これにより、例えば、押出成形などによって収納ケース72を容易に成形することができる。
【0059】
キャップ74は、収納ケース72の左右方向の一端に取り付けられ、収納ケース72の左右方向の一方の開口72aを水密に塞ぐ。キャップ76は、収納ケース72の左右方向の他端に取り付けられ、収納ケース72の左右方向の他方の開口72bを水密に塞ぐ。
【0060】
これにより、収納ケース72及び各キャップ74、76は、シール性を有する空間を形成する。収納ケース72及び各キャップ74、76は、この空間内に発光部70を収納する。これにより、発光部70の被水が抑制される。収納ケース72は、発光部70などを挿通するための開口を左右方向の少なくとも一方の端部に有していればよい。収納ケース72の他端側の開口72bは、必ずしも設けられていなくてもよい。他端側のキャップ76は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0061】
放熱板78は、基板80(発光部70)を支持する。放熱板78は、例えば、基板80の各発光素子82が設けられた表面と反対側の面に接触することにより、基板80と熱的に結合する。これにより、放熱板78は、各発光素子82の点灯にともなって発生する熱を放熱する。放熱板78には、例えば、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い金属材料などが用いられる。基板80は、放熱板78に支持された状態で、収納ケース72内に収納される。放熱板78は、例えば、収納ケース72内の所定の位置に発光部70を支持する支持体としても機能する。例えば、発光素子82に有機EL素子などの発熱量の少なくい素子を用いる場合などには、必ずしも放熱板78を設けなくてもよい。
【0062】
照明14は、例えば、配線84と、配線保護管86と、接続部材88と、ホースバンド90、92と、虫侵入抑制部材94と、をさらに備える。
【0063】
配線84は、収納ケース72の左右方向の一端に設けられた開口72aを介して収納ケース72の内部空間SPに挿通され、基板80と接続されることにより、複数の発光素子82に電力を供給する。
【0064】
配線保護管86は、配線84を覆う。配線保護管86の一端は、キャップ74に接続される。配線保護管86の他端は、壁パネル5に接続される。これにより、配線保護管86は、例えば、収納ケース72の内部空間SPと、壁パネル5の裏側の空間と、を連通させる。
【0065】
キャップ74は、配線保護管86を接続するための接続口74aと、収納ケース72を接続するための接続口74bと、接続口74aと接続口74bとを接続する管路74cと、を有する。キャップ74は、例えば、略L字状に屈曲した配管状である。キャップ74は、接続口74bを収納ケース72の一方の開口72aに挿し込むことにより、収納ケース72の一方の開口72aを水密に塞ぐとともに、内部の管路74cを筒状の収納ケース72の内部空間SPと連通させる。
【0066】
配線保護管86の一端は、接続口74aに接続される。これにより、配線保護管86の内部の空間が、収納ケース72の内部空間SPと連通する。
【0067】
接続部材88は、配線保護管86と壁パネル5との接続に用いられる。接続部材88は、筒状の本体部88aと、本体部88aの外周面から径を大きくするように外側に突出したフランジ部88bと、を有する。
【0068】
壁パネル5には、接続部材88の本体部88aの形状に対応した開口が設けられる。接続部材88は、浴室2の室内側から本体部88aの後端部分を壁パネル5の開口に挿通する。そして、接続部材88は、フランジ部88bで開口を塞ぎ、フランジ部88bの部分で壁パネル5にネジ止めされることなどにより、壁パネル5に取り付けられる。
【0069】
配線保護管86の他端は、接続部材88の本体部88aに接続される。これにより、収納ケース72の内部空間SPから、キャップ74の管路74c、配線保護管86、及び接続部材88の本体部88aを介して壁パネル5の裏側の空間へと至る経路が形成され、配線保護管86によって、収納ケース72の内部空間SPと壁パネル5の裏側の空間とが連通する。
【0070】
配線保護管86は、可撓性を有する。配線保護管86には、例えば、ゴムチューブや金属製のフレキシブルホースなどが用いられる。但し、配線保護管86は、必ずしも可撓性を有していなくてもよい。配線保護管86は、金属や樹脂などを用いたリジッドな配管などでもよい。
【0071】
ホースバンド90は、配線保護管86とキャップ74の接続口74aとの接続部に取り付けられ、配線保護管86の上から配線保護管86及び接続口74aを締め付けることにより、配線保護管86の抜けを抑制する。ホースバンド92は、配線保護管86と接続部材88の本体部88aとの接続部に取り付けられ、配線保護管86の上から配線保護管86及び本体部88aを締め付けることにより、配線保護管86の抜けを抑制する。
【0072】
配線84は、配線保護管86内に挿通され、壁パネル5の裏側の空間に入り込む。より詳しくは、配線84は、収納ケース72、キャップ74、配線保護管86、及び接続部材88を介して、壁パネル5の裏側の空間に入り込む。
【0073】
配線84の一端は、収納ケース72内において基板80に接続される。配線84の他端は、壁パネル5の裏側の空間内に位置する。配線84の他端は、例えば、壁パネル5の裏側の空間内において、制御部96に接続される。制御部96は、配線84を介して基板80に電力を供給する。各発光素子82は、例えば、制御部96からの電力の供給に応じて点灯し、制御部96からの電力の供給の停止に応じて消灯する。
【0074】
虫侵入抑制部材94は、収納ケース72の内部空間SPと壁パネル5の裏側の空間との間の経路上に設けられる。虫侵入抑制部材94は、収納ケース72の内部空間SPと壁パネル5の裏側の空間との間での空気の流動を許容しつつ、壁パネル5の裏側から虫の侵入を抑制可能な複数の孔94aを有する。
【0075】
虫侵入抑制部材94は、弾性を有する。虫侵入抑制部材94には、例えば、ナイロンなどの化学繊維を押し固めた不織布が用いられる。
図5では、便宜的に孔94aを直線状に図示している。虫侵入抑制部材94に不織布を用いた場合、孔94aは、実際には、押し固められた繊維の隙間を縫うように延びる複雑な形状である。
【0076】
虫侵入抑制部材94は、必ずしも弾性を有していなくてもよい。虫侵入抑制部材94は、例えば、複数の貫通孔が設けられた板状又はブロック状の硬質な部材でもよい。あるいは、虫侵入抑制部材94は、薄いフィルム状の部材などでもよい。虫侵入抑制部材94の形状及び材料は、空気を通しつつ、虫の侵入を抑制可能な任意の形状及び材料でよい。孔94aの空気の通る方向と直交する方向の幅(開口幅)は、例えば、1μm以上2mm以下である。これにより、適切に空気を通しつつ、点灯時に収納ケース72の外側から影となって視認されてしまうような比較的大きなサイズの虫の侵入を適切に抑制することができる。
【0077】
虫侵入抑制部材94は、例えば、収納ケース72の内部空間SPと壁パネル5の裏側の空間との間の経路のうち、配線保護管86のみによって囲まれた空間よりも収納ケース72側又は壁パネル5側に設けられる。
【0078】
虫侵入抑制部材94は、例えば、キャップ74の接続口74a内に設けられる。これとは反対に、例えば、接続部材88の本体部88a内に虫侵入抑制部材94を設けてもよい。あるいは、配線保護管86のみによって囲まれた空間内に虫侵入抑制部材94を設けてもよい。虫侵入抑制部材94の位置は、収納ケース72の内部空間SPと壁パネル5の裏側の空間との間の経路上の任意の位置でよい。
【0079】
図6(a)及び
図6(b)は、実施形態に係る収納ケース及びキャップを模式的に表す説明図である。
図7は、実施形態に係る収納ケース及びキャップを模式的に表す断面図である。
図7は、
図6(b)のA1-A2線断面を模式的に表す。
図6(a)、
図6(b)、及び
図7に表したように、キャップ74は、係合部74dを有し、収納ケース72は、キャップ74の係合部74dと係合する被係合部72cを有する。
【0080】
係合部74dは、接続口74bの側面に設けられている。被係合部72cは、収納ケース72の開口72aに接続口74bを挿し込んだ際に、係合部74dと係合する位置に設けられている。これにより、収納ケース72の開口72aに接続口74bを挿し込むことで、係合部74dと被係合部72cとが係合し、キャップ74の収納ケース72からの抜けが抑制される。すなわち、係合部74dと被係合部72cとの係合により、キャップ74が収納ケース72に取り付けられ、収納ケース72の開口72aが、水密に塞がれる。
【0081】
この例において、係合部74dは、突起状であり、被係合部72cは、貫通孔状である。これとは反対に、係合部74dを凹状とし、被係合部72cを凸状としてもよい。また、この例では、4つの係合部74dと、4つの被係合部72cと、を設けている。係合部74d及び被係合部72cの数は、4つに限ることなく、キャップ74を収納ケース72に適切に取り付けることができる任意の数でよい。なお、キャップ76の収納ケース72への取付方法は、キャップ74の取付方法と同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0082】
図8は、実施形態に係る水栓装置の一部を模式的に表す断面図である。
図8に表したように、照明14は、機器本体12の下部に設けられる。照明14は、例えば、支持機構16を介して各支持体62にネジ止めされることにより、機器本体12の下部に取り付けられる。換言すれば、支持機構16は、照明14を支持した状態において、照明14を機器本体12の下部に配置する。照明14は、例えば、機器本体12内に設けられる。機器本体12の下側カバー64は、開口部64aを有する。開口部64aは、下側カバー64の下端部に設けられ、壁パネル5との間に隙間を形成する。支持機構16は、下側カバー64の開口部64aの上方に照明14を配置する。照明14は、機器本体12内に取り付けられた状態において、開口部64aを介して下方に露出し、開口部64aを介して機器本体12の下方に向かって光を照射する。
【0083】
図9は、実施形態に係る照明及び支持機構を模式的に表す断面図である。
図9に表したように、支持機構16は、被覆部100と、一対の支持部101、102と、を有する。被覆部100は、収納ケース72を上方から覆う。被覆部100は、例えば、収納ケース72の上面、前面、後面のそれぞれの少なくとも一部を覆う。被覆部100は、例えば、収納ケース72の上面の少なくとも一部を覆う上面部100aと、収納ケース72の前面の少なくとも一部を覆う前面部100bと、収納ケース72の後面の少なくとも一部を覆う後面部100cと、を有する。被覆部100の構成は、上記に限ることなく、収納ケース72の少なくとも一部を上方から覆う任意の構成でよい。
【0084】
一対の支持部101、102は、被覆部100よりも下方に位置し、収納ケース72を前後に挟むように配置され、収納ケース72を下方から支持する。一方の支持部101は、被覆部100の前面部100bの下方に設けられ、収納ケース72の前方側を下方から支持する。他方の支持部102は、被覆部100の後面部100cの下方に設けられ、収納ケース72の後方側を下方から支持する。
【0085】
このように、支持機構16は、一対の支持部101、102によって収納ケース72の前後を下方から支持することにより、照明14を支持する。また、支持機構16は、収納ケース72の上面、前面、後面のそれぞれの少なくとも一部を覆うとともに、収納ケース72の下面を下方に露出させた状態で、照明14を支持する。
【0086】
支持機構16には、例えば、鉄、ステンレス、又はアルミニウムなどの金属材料が用いられる。支持機構16は、遮光性を有する。支持機構16は、照明14から照射された光に対して光反射性を有する。これにより、支持機構16は、照明14から照射された光を下方のみに向けて出射させる。例えば、支持機構16が光透過性を有する場合には、支持機構16が、収納ケース72の全体を覆ってもよい。
【0087】
また、前述のように、収納ケース72には、樹脂材料が用いられる。従って、支持機構16の剛性は、収納ケース72の剛性よりも高い。これにより、収納ケース72を支持機構16に支持させることで、樹脂材料からなる収納ケース72を長尺状にした場合などにも、収納ケース72の撓みを抑制することができる。例えば、収納ケース72内に収納された発光部70が、収納ケース72の撓みによって破損してしまうことなどを抑制することができる。
【0088】
収納ケース72は、被覆部100に覆われる基礎部110と、基礎部110から下方に突出した突出部112と、を有する。突出部112の前後方向の長さは、基礎部110の前後方向の長さよりも短い。従って、基礎部110と突出部112との間には、段差が生じる。一対の支持部101、102は、この段差の部分を利用して、収納ケース72を下方から支持する。
【0089】
一対の支持部101、102は、収納ケース72を支持した状態において、突出部112の少なくとも一部を覆う。支持部101は、突出部112の前方側の少なくとも一部を覆う。支持部102は、突出部112の後方側の少なくとも一部を覆う。
【0090】
収納ケース72は、複数の発光素子82から照射された光を透過させる発光窓114を少なくとも一部に有する。発光窓114は、突出部112の下面に設けられている。発光窓114の少なくとも一部は、一対の支持部101、102よりも下方に位置している。
【0091】
前述のように、この例では、収納ケース72の全体が光透過性を有している。この場合には、例えば、収納ケース72のうちの各発光素子82から照射された光の直接光の当たる部分が、発光窓114となる。
【0092】
この例では、金属材料などからなる遮光性の放熱板78が、収納ケース72内に設けられている。放熱板78は、例えば、基板80の上方を覆って基板80を支持する第1部分78aと、第1部分78aの前端から基板80よりも下方に延び基板80の前方側を覆う第2部分78bと、第1部分78aの後端から基板80よりも下方に延び基板80の後方側を覆う第3部分78cと、を有する。この場合、収納ケース72のうちの第2部分78b及び第3部分78cよりも下方の部分が、発光窓114となる。すなわち、放熱板78は、基板80の放熱板として機能するとともに、各発光素子82から照射される光の領域を決める光学部材(反射板)としても機能する。
【0093】
放熱板78などを有しない場合には、例えば、収納ケース72のうちの各発光素子82の配光角(光の広がる角度)によって定義される仮想線VLよりも下方の部分を、発光窓114としてもよい。各発光素子82は、例えば、120°~130°程度の配光角を有している。この場合、配光角によって定義される範囲が、直接光の当たる部分、すなわち発光窓114となる。
【0094】
例えば、収納ケース72の一部を遮光性の材料で形成してもよい。例えば、基礎部110を遮光性の材料で形成し、突出部112を透光性の材料で形成してもよい。この場合には、突出部112を発光窓114とすればよい。また、例えば、収納ケース72の全体が透光性を有し、且つ各発光素子82の配光角が十分に広い(180°に近い)場合には、収納ケース72のうちの各発光素子82よりも下方の部分を、発光窓114としてもよい。
【0095】
支持機構16の被覆部100は、一対の支持部101、102が収納ケース72を支持した状態において、収納ケース72との間に間隙を設ける。被覆部100は、収納ケース72の基礎部110との間に間隙を設ける。
図9に表したように、被覆部100は、上面部100aと基礎部110の上面との間に間隙GP1を設け、前面部100bと基礎部110の前面との間に間隙GP2を設け、後面部100cと基礎部110の後面との間に間隙GP3を設ける。
【0096】
また、一対の支持部101、102は、収納ケース72を支持した状態において、突出部112との間に間隙を設ける。
図9に表したように、支持部101は、突出部112の前面との間に間隙GP4を設ける。支持部102は、突出部112の後面との間に間隙GP5を設ける。
【0097】
一対の支持部101、102の間の前後方向の距離は、突出部112の前後方向の長さよりも長く、且つ、基礎部110の前後方向の長さよりも短く設定される。これにより、上記のように、間隙GP4、GP5を設けつつ、収納ケース72を下方から支持することが可能となる。
【0098】
一対の支持部101、102と突出部112との間の前後方向の間隙GP4、GP5は、被覆部100と収納ケース72(基礎部110)との間の前後方向の間隙GP2、GP3よりも小さい。さらに、一対の支持部101、102と突出部112との間の間隙GP4、GP5は、被覆部100と収納ケース72(基礎部110)との間の間隙GP1よりも小さい。
【0099】
間隙GP1は、例えば、0.5mm以上5mm以下である。間隙GP2、GP3は、例えば、0.5mm以上3mm以下である。間隙GP4、GP5は、例えば、0.5mm以上2mm以下である。これにより、例えば、収納ケース72の熱膨張を許容しつつ、各間隙による収納ケース72のガタツキを抑制することができる。間隙GP1~GP5は、上記に限ることなく、収納ケース72の膨張を許容可能、且つ収納ケース72の支持機構16からの脱落を抑制可能な任意の値に設定すればよい。
【0100】
一対の支持部101、102は、収納ケース72を支持する支持面101a、102aを有する。一対の支持部101、102のそれぞれの支持面101a、102aは、一対の支持部101、102の間の前後方向の中心側に向かって下降傾斜している。換言すれば、支持面101aは、後方に向かうに従って下降傾斜する。支持面102aは、前方に向かうに従って下降傾斜する。但し、支持面101a、102aは、上記に限ることなく、少なくとも上方を向き、収納ケース72を支持可能な任意の面でよい。
【0101】
収納ケース72は、一対の支持部101、102に支持される一対の被支持面116、118を有する。被支持面116、118は、前述のように、基礎部110と突出部112との間に設けられる。被支持面116は、基礎部110の前面と突出部112の前面との間に設けられる。被支持面118は、基礎部110の後面と突出部112の後面との間に設けられる。一対の被支持面116、118は、収納ケース72の前後方向の中心側に向かって下降傾斜している。換言すれば、前方側に配置された被支持面116は、後方に向かうに従って下降傾斜する。後方側に配置された被支持面118は、前方に向かうに従って下降傾斜する。但し、被支持面116、118は、上記に限ることなく、少なくとも下方を向き、支持部101、102による収納ケース72の支持を可能とする任意の面でよい。
【0102】
以上、説明したように、本実施形態に係る水栓装置10では、基板80及び複数の発光素子82を樹脂製の収納ケース72で水密に覆いつつも、被覆部100が収納ケース72との間に間隙GP1~GP3を設けることにより、樹脂製の収納ケース72が熱膨張した際にも、支持機構16が収納ケース72を支持した状態で、熱膨張による膨張を許容することができる。従って、複数の発光素子82及び基板80を収納ケース72内に収納した照明14を機器本体12に取り付ける場合にも、収納ケース72の熱膨張の影響を抑制し、収納ケース72の密閉性を保つことができる水栓装置10(水回り機器)を提供することができる。
【0103】
また、水栓装置10では、基板80及び複数の発光素子82を樹脂製の収納ケース72で水密に覆いつつも、少なくとも突出部112の下面に発光窓114を設けることにより、支持機構16が収納ケース72を支持した状態で、光を照射するための発光窓114を適切に確保しつつ、熱膨張による膨張を許容することができる。
【0104】
また、水栓装置10では、一対の支持部101、102と突出部112との間に間隙GP4、GP5を設けることにより、熱膨張による膨張を、より確実に許容した状態で、収納ケース72を支持することができる。
【0105】
また、水栓装置10では、基礎部110よりも前後方向の長さが小さい突出部112の前後方向の熱膨張の大きさが、基礎部110の前後方向の熱膨張の大きさよりも小さくなるため、一対の支持部101、102と突出部112との間の間隙GP4、GP5を、被覆部100と収納ケース72との間の間隙GP2、GP3よりも小さくすることにより、不要に大きな間隙を形成してしまうことで、支持機構16と収納ケース72との間に大きなガタツキを発生させてしまうことを抑制することができる。
【0106】
また、水栓装置10では、発光窓114の少なくとも一部が、一対の支持部101、102よりも下方に位置していることにより、より広い範囲に光を照射することができる。あるいは、配光エリアを限定し、目的の範囲のみに光を照射することができる。
【0107】
また、水栓装置10では、熱膨張による膨張を間隙GP1~GP3によって許容できる状態で、支持機構16に収納ケース72を支持させつつも、一対の支持面101a、102aを下降傾斜させることにより、支持機構16と収納ケース72との間のガタツキの発生を抑制し、且つ、前後方向の一方に収納ケース72が偏ることを抑制した状態で、収納ケース72を一対の支持部101、102に載置することができる。
【0108】
また、水栓装置10では、熱膨張による膨張を間隙GP1~GP3によって許容できる状態で、支持機構16に収納ケース72を支持させつつも、一対の被支持面116、118を下降傾斜させることにより、支持機構16と収納ケース72との間のガタツキの発生を抑制し、且つ、前後方向の一方に収納ケース72が偏ることを抑制した状態で、収納ケース72を一対の支持部101、102に載置することができる。
【0109】
上記実施形態では、水回り機器の一例として水栓装置10を示している。水回り機器は、水栓装置10に限ることなく、前述のように、洗面カウンター20でもよいし、浴室2に設置して使用される他の機器でもよい。
【0110】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室2や水栓装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0111】
2 浴室、 3 浴槽、 4 洗い場床、 5 壁パネル、 10 水栓装置(水回り機器)、 12 機器本体、 14 照明、 16 支持機構、 20 洗面カウンター(水回り機器)、 22 機器本体、 24 照明、 41 吐水部、 42 シャワー接続口、 43 吐水口操作部、 44 シャワー操作部、 45 温度調節部、 46 流量調節部、 47、48 止水栓、 50 ホース、 52 シャワーヘッド、 60 天板、 62 支持体、 64 下側カバー、 70 発光部、 72 収納ケース、 74、76 キャップ、 78 放熱板、 80 基板、 82 発光素子、 84 配線、 86 配線保護管、 88 接続部材、 90、92 ホースバンド、 94 虫侵入抑制部材、 96 制御部、 100 被覆部、 101、102 支持部、 110 基礎部、 112 突出部、 114 発光窓、 116、118 被支持面