(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】防錆処理された金属部材およびコート塗料
(51)【国際特許分類】
C23C 26/00 20060101AFI20220802BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220802BHJP
C09D 201/02 20060101ALI20220802BHJP
C09D 163/00 20060101ALI20220802BHJP
C09D 161/04 20060101ALI20220802BHJP
C09D 5/10 20060101ALI20220802BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20220802BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20220802BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
C23C26/00 A
C09D7/61
C09D201/02
C09D163/00
C09D161/04
C09D5/10
B32B9/00 A
B32B15/08 Q
B32B27/18 E
(21)【出願番号】P 2018013096
(22)【出願日】2018-01-29
【審査請求日】2020-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000151597
【氏名又は名称】株式会社東郷製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】593086481
【氏名又は名称】株式会社MCシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】榊原 和利
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 靖高
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-522388(JP,A)
【文献】米国特許第04863516(US,A)
【文献】特開平09-317832(JP,A)
【文献】特開2002-053837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0265092(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 24/00-30/00
C09D 1/00-10/00
C09D 101/00-201/10
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状の金属部材と、
該金属部材の表面に形成されている亜鉛複合被膜と、
コート塗料が該亜鉛複合被膜の上に塗布乾燥されてなるコート被膜と、を持ち、
該コート塗料は、有機溶媒と該有機溶媒に溶解している樹脂材料とを含むコート基材と、該コート基材中に分散保持されている体質顔料および防錆顔料と、を含み、
該防錆顔料はリーフィング加工を施さないアルミフレークを含み、
前記コート被膜は、前記コート被膜を厚み方向に貫通するよう乾燥により固定されたリーフィング加工を施さないアルミフレークを含むことを特徴とする防錆処理された金属部材。
【請求項2】
前記リーフィング加工を施さないアルミフレークの平均粒径D50の値が、前記コート被膜の平均厚みの1/2以上である請求項1に記載の防錆処理された金属部材。
【請求項3】
前記リーフィング加工を施さないアルミフレークの平均粒径D50の値が、6~22μmの範囲内である請求項1又は請求項2に記載の防錆処理された金属部材。
【請求項4】
前記リーフィング加工を施さないアルミフレークは、前記コート被膜100質量%に対して2.0~10質量%含まれている請求項1~請求項3の何れか一つに記載の防錆処理された金属部材。
【請求項5】
前記樹脂材料は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項1~請求項4の何れか一つに記載の防錆処理された金属部材。
【請求項6】
前記樹脂材料として、前記エポキシ樹脂と、前記フェノール樹脂としてのレゾール型フェノール樹脂と、を質量比で12:1~2:1含む請求項5に記載の防錆処理された金属部材。
【請求項7】
前記コート塗料はイミダゾール系硬化促進剤をさらに含む、請求項5又は請求項6に記載の防錆処理された金属部材。
【請求項8】
前記有機溶媒は、
トルエン、キシレン、エチルベンゼン、フェノールから選ばれる少なくとも一種からなる芳香族系溶剤と、
エチレングリコールモノブチルエーテル、ブタノール、エタノール、メタノールから選ばれる少なくとも一種からなるアルコール系溶剤と、
メチルエチルケトン、メチルブチルケトンから選ばれる少なくとも一種からなるケトン系溶剤と、から選ばれる少なくとも一種である請求項1~請求項7の何れか一つに記載の防錆処理された金属部材。
【請求項9】
前記コート被膜は、前記コート被膜100質量%に対して、24~40質量%の前記樹脂材料と、2~10質量%の前記リーフィング加工を施さないアルミニウムフレークと、5~18質量%の前記リーフィング加工を施さないアルミニウムフレーク以外の防錆顔料と、30~57質量%の前記体質顔料と、を含む請求項1~請求項8の何れか一つに記載の防錆処理された金属部材。
【請求項10】
前記コート被膜の鉛筆硬度はF~Bである請求項1~請求項9の何れか一つに記載の防錆処理された金属部材。
【請求項11】
亜鉛複合被膜の上に塗布乾燥されてコート被膜を形成する防錆処理用コート塗料であって、
有機溶媒と該有機溶媒に溶解している樹脂材料とを含むコート基材と、該コート基材中に分散保持されている体質顔料および防錆顔料と、を含み、
該防錆顔料は、
塗料中で表面張力による塗膜表面への配向作用を受けずにランダムに配置される、リーフィング加工を施さないアルミフレークを含み、
前記リーフィング加工を施さないアルミフレークの平均粒径D50の値が、塗布一回当たりに形成される前記コート被膜の平均厚み以上であって、
前記リーフィング加工を施さないアルミフレークの平均粒径D50の値が、6~22μmの範囲内であって、
前記リーフィング加工を施さないアルミフレークの配合割合は、全体の質量を100質量部としたときに1.0~4.5質量部である、
ことを特徴とするコート塗料。
【請求項12】
亜鉛複合被膜の上に塗布乾燥されてコート被膜を形成する防錆処理用コート塗料であって、
有機溶媒と該有機溶媒に溶解している樹脂材料とを含むコート基材と、該コート基材中に分散保持されている体質顔料および防錆顔料と、を含み、
該防錆顔料は、塗料中で表面張力による塗膜表面への配向作用を受けずにランダムに配置される、リーフィング加工を施さないアルミフレークを含み、
前記リーフィング加工を施さないアルミフレークの平均粒径D50の値が、形成される前記コート被膜の平均厚みの1/2以上であ
って、
前記リーフィング加工を施さないアルミフレークの平均粒径D50の値が、6~22μmの範囲内であって、
前記リーフィング加工を施さないアルミフレークの配合割合は、全体の質量を100質量部としたときに1.0~4.5質量部である、
ことを特徴とするコート塗料。
【請求項13】
前記リーフィング加工を施さないアルミフレークは、前記コート塗料の乾燥固形分100質量部に対して2~10質量部含まれている請求項11
又は請求項12に記載のコート塗料。
【請求項14】
前記樹脂材料は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項11~請求項1
3の何れか一つに記載のコート塗料。
【請求項15】
前記樹脂材料として、前記エポキシ樹脂と、前記フェノール樹脂としてのレゾール型フェノール樹脂と、を質量比で12:1~2:1含む請求項1
4に記載のコート塗料。
【請求項16】
イミダゾール系硬化促進剤をさらに含む、請求項1
4又は請求項1
5に記載のコート塗料。
【請求項17】
前記有機溶媒は、
トルエン、キシレン、エチルベンゼン、フェノールから選ばれる少なくとも一種からなる芳香族系溶剤と、
エチレングリコールモノブチルエーテル、ブタノール、エタノール、メタノールから選ばれる少なくとも一種からなるアルコール系溶剤と、
メチルエチルケトン、メチルブチルケトンから選ばれる少なくとも一種からなるケトン系溶剤と、から選ばれる少なくとも一種である請求項11~請求項1
6の何れか一つに記載のコート塗料。
【請求項18】
24~40質量部の前記樹脂材料と、2~10質量部の前記リーフィング加工を施さないアルミニウムフレークと、5~18質量部の前記リーフィング加工を施さないアルミニウムフレーク以外の防錆顔料と、30~57質量部の前記体質顔料と、を含み、さらに塗布に適する量の有機溶媒を含む請求項11~請求項1
7の何れか一つに記載のコート塗料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に亜鉛複合被膜とコート被膜とが形成されてなる、防錆処理された金属部材、および防錆処理用のコート塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
金属部材の表面に亜鉛複合被膜を形成することで、金属部材を防錆処理する技術が従来より知られている。亜鉛複合被膜に含まれる亜鉛の防錆作用(犠牲防食作用)によって、この種の防錆処理された金属部材には錆が生じ難い。また、亜鉛複合被膜の上にコート被膜を形成することで、亜鉛複合被膜の防錆作用を長期にわたって維持する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、メッキ処理した金属部材の表面に金属粉末-クロム酸化物処理(いわゆるダクロタイズド(登録商標)処理)を施すことで亜鉛複合被膜を形成し、さらに、亜鉛複合被膜の上に水系樹脂およびシリカ材を含む水系処理液を主成分とするコート被膜を形成する技術が開示されている。特許文献1に開示されている技術によると、コート被膜によって亜鉛複合被膜および金属部材を外界から隔離できるため、亜鉛複合被膜の防錆作用を比較的長期間維持できる。また、コート被膜は樹脂材料を含むために、金属部材の弾性変形に追従して変形できる可能性がある。したがって、例えばホースクランプやバネなどを金属部材として用いる場合にも、金属部材および亜鉛複合被膜を外界から隔離できる可能性がある。
【0004】
しかし特許文献1に開示されている技術ではコート塗料の粘度をコントロールし難く、コート被膜を薄肉にするのが困難であった。またこのコート被膜は体質顔料の色にもよるが白色、黒色、透明などを呈しており、チッピング、ひび割れ、剥離などによりコート被膜の一部が欠落して亜鉛複合被膜が露出した場合には周囲のコート被膜の体質顔料色と露出部の亜鉛複合被膜の銀色が混在することになるため外見上目立つ場合がある。
【0005】
特許文献2には、電位的に卑な亜鉛の犠牲防食作用を利用しつつも、白錆発生が抑制された耐食性希土類系永久磁石を提供するため、希土類系永久磁石の表面に亜鉛微粒子分散樹脂被膜を形成し、さらにその表面にアルミニウム微粒子分散樹脂被膜を形成する技術が開示されている。特許文献2に開示されている技術によると、上層に形成されたアルミニウム微粒子分散樹脂被膜が優れた耐食性を発揮するとともに、下層に形成された亜鉛微粒子分散樹脂被膜が犠牲防食により磁石本体の腐食を抑制する。この文献の耐食性希土類系永久磁石は、亜鉛微粒子分散樹脂被膜が多量の腐食成分と接触する環境下にはないので、亜鉛が犠牲防食作用を発揮することによる白錆発生の問題が少ないとしている。
【0006】
しかし、特許文献2においては、防錆処理の対象が希土類永久磁石のみに限られ、弾性素材を含むその他の金属部材への適用については記載も示唆もなく、当然、製品用途によっては頻繁に生じ得るチッピング、ひび割れ、剥離などでコート被膜の一部が欠落するケースも検討されてない。特許文献2では、外観性向上の観点から、亜鉛微粒子分散樹脂被膜中の亜鉛の犠牲防食により生じる白錆のみを問題視している。機械部品等の広範な用途において、製品全体の力学強度にまで影響を及ぼし得る金属部材の赤錆防止は白錆防止よりさらに重要な課題だが、特許文献2では赤錆に関する記載はない。このため、従来の技術では、防錆処理された金属部材に優れた防錆性能を付与し難かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平6-146005号公報
【文献】特開2004-356328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、犠牲防食効果を有する亜鉛層の上に薄肉に形成した保護用のコート被膜の性能を向上させることで、コート被膜の部分欠落による外観不良を低減させることができ、また、亜鉛の犠牲防食効果を従来以上に発揮し、特に赤錆への防錆性能に優れた、防錆処理された金属部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の防錆処理された金属部材は、
所定形状の金属部材と、
該金属部材の表面に形成されている亜鉛複合被膜と、
コート塗料が該亜鉛複合被膜の上に塗布乾燥されてなるコート被膜と、を持ち、
該コート塗料は、有機溶媒と該有機溶媒に溶解した樹脂材料とを含むコート基材と、該コート基材中に分散保持された体質顔料および防錆顔料と、を含み、
該防錆顔料はリーフィング加工を施さないアルミフレークを含むことを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決する本発明のコート塗料は、
亜鉛複合被膜の上に塗布乾燥されてコート被膜を形成する防錆処理用のコート塗料であって、
有機溶媒と該有機溶媒に溶解している樹脂材料とを含むコート基材と、該コート基材中に分散保持されている体質顔料および防錆顔料と、を含み、
該防錆顔料はリーフィング加工を施さないアルミフレークを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、犠牲防食効果を有する亜鉛複合被膜の上に薄肉に形成したコート被膜の性能を向上させることで、コート被膜の部分欠落による外観不良を低減させることができ、また、亜鉛の犠牲防食効果を従来以上に発揮し、特に赤錆への防錆性能に優れた、防錆処理された金属部材を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】製造例1の防錆処理された金属部材を模式的に表す斜視図である。
【
図2】本発明の防錆処理された金属部材におけるコート被膜の作用を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x~y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに、これらの数値範囲内から任意に選択した数値を、新たな上限や下限の数値とすることができる。
【0014】
本発明の防錆処理された金属部材(以下、適宜、防錆金属部材と略する)は、所定形状の金属部材と、金属部材の上に形成されている亜鉛複合被膜と、コート塗料が亜鉛複合被膜の上に塗布乾燥されてなるコート被膜と、を持っている。
【0015】
本発明の防錆金属部材におけるコート被膜は、使用時に弾性変形することで被膜のチッピング、ひび割れや剥離が起こりやすい金属部材(例えば、ホースクランプやバネ等)に本発明を適用する場合に特に優れた防錆性能を発揮する。しかし本発明の防錆金属部材における金属部材としては、防錆の要請に応じて、使用時に弾性変形しない金属部材(例えば、ボルト等)を使用しても良い。
【0016】
本発明の防錆金属部材においては、金属部材は所定形状を持つ。ここでいう金属部材の所定形状とは、クリップ状、バネ状、板状、ボルト、ホースクランプなど各産業分野で防錆を要請される各種の部品の形状を包括する概念であり、特定の形状を指すものではない。
【0017】
本発明に係る亜鉛複合被膜としては、亜鉛を含む一般的な被膜を使用できる。例えば、フレーク状や粒状の亜鉛粉末を有機または無機のバインダで結合した一般的な被膜として、ダクロタイズド(登録商標)、ジオメット(登録商標)、ジンテック(登録商標)、ラフレ(登録商標)などの既存処理法により処理されてなる亜鉛複合被膜が挙げられる。これらの亜鉛複合被膜は、防錆性能に優れるため好ましく使用できる。
【0018】
本発明に係るコート被膜は特定成分よりなるコート塗料を塗布乾燥して形成されるものである。このコート被膜を形成するコート塗料は、コート基材と、コート基材中に分散保持されている体質顔料および防錆顔料と、を含む。コート基材は、有機溶媒と有機溶媒に溶解している樹脂材料とを含む。
【0019】
すなわち、本発明に係るコート塗料は、成分として、防錆顔料と体質顔料と樹脂材料と有機溶媒とを含むもの(すなわちラッカー系の材料)である。有機溶媒は樹脂材料を溶融させる媒体(すなわち溶媒)として機能する。このため、本発明の防錆金属部材では、コート塗料の粘度を容易にコントロールでき、防錆性能を保ったままコート被膜を薄肉化できる。
【0020】
また、コート塗料用の防錆顔料にはリーフィング加工を施さないアルミフレークを用いることも大きな特徴である。一般にいうリーフィング加工とは、アルミニウム(アルミ)などの金属顔料で広く用いられる表面加工で、ステアリン酸塩などで金属顔料粒子の表面を被覆処理しておくことにより、塗料へ分散された金属顔料粒子を表面張力により浮かせて塗膜表面で配列、配向させることを目的としている。リーフィング加工は被覆性の向上のため主に被覆性のよいフレーク(薄葉、薄片、鱗片)状の粒子に施される。したがってリーフィング加工を施したフレーク状の金属顔料は、被覆性がさらに向上され、最小の配合量で効率よく反射率等の外観を向上できるため、一般的に金属色(メタリックカラー)塗料の顔料として用いられている。
【0021】
一方で、本発明で使用するアルミフレークは薄片、薄葉状、鱗片状のフレークでありながらリーフィング加工を施さないアルミニウム顔料である。リーフィング加工を施さないアルミフレークは一般にノンリーフィングアルミフレークや非リーフィング加工アルミフレークとして市販入手できる。以下でリーフィング加工を施さないアルミフレークを適宜ノンリーフィングアルミフレークと呼ぶ。ノンリーフィングアルミフレークは本発明において防錆顔料の一部として配合される。ノンリーフィングアルミフレークは塗料中で表面張力による塗膜表面への配向作用を受けずに、ランダムな方向に配置される。このため、ノンリーフィングアルミフレークは、乾燥後のコート被膜を貫通する状態となることが可能である。
【0022】
さらに、本発明で使用するノンリーフィングアルミフレークは着色顔料を兼ねている。すなわち、ノンリーフィングアルミフレークの配合により、本発明におけるコート被膜は金属色となり、下層の亜鉛複合被膜と同系統の色となる。このため、コート被膜のみが部分的に欠落して下層の亜鉛複合被膜が露出した場合も、露出した亜鉛複合被膜とその周囲のコート被膜とにおいて外観上の整合性があり、コート被膜の欠落が目立ちにくい。
【0023】
また、コート被膜のみが部分的に欠落した場合は亜鉛複合被膜が露出するため、その時点で空気中の水分や塩分による錆進行に対する亜鉛の犠牲防食作用が開始する(なお、下層の亜鉛複合被膜には亜鉛以外の犠牲防食可能な金属、電気的に卑な金属が配合されていることもあり、この場合は当該金属も亜鉛と同様に働くが、この明細書では下層の亜鉛複合被膜の主成分である亜鉛を挙げて説明する)。ここで一般的なコート被膜つき亜鉛複合被膜では、犠牲防食に利用できるのはコート被膜で上塗りされていない(すなわちチッピング、ひび割れ、剥離等により外部と接触する)部分の金属亜鉛のみであり、部分的に露出した金属亜鉛がすべて犠牲防食に費やされた後はさらに下層の金属部材にまで錆が進行してゆく可能性が高い。
【0024】
しかし、本発明におけるコート被膜中では、ノンリーフィングアルミフレークが被膜表面で平行配列しておらず、好適な態様において、ノンリーフィングアルミフレークはそのほとんどがコート被膜を貫通した状態で存在する。コート被膜を貫通したノンリーフィングアルミフレークの粒子表面と樹脂基材との間には界面が存在するから、被膜表面で平行配列したリーフィングアルミフレークと比較するとより微量水分等を通過させやすくなり、当該貫通したノンリーフィングアルミフレーク自体が犠牲防食に寄与できる。このため本発明におけるノンリーフィングアルミフレークは防錆顔料の一部となっている。
【0025】
さらに、本発明では当該貫通したノンリーフィングアルミフレークの存在により亜鉛複合被膜とコート被膜との間の界面も水分や電流を通過させ得ると考えられる。このため、コート被膜で表面を被覆されたままの金属亜鉛であっても(すなわち、上層のコート被膜に部分的なチッピング等がなく下層の亜鉛複合被膜の金属亜鉛が直接外部に露出されない状態でも)、亜鉛複合被膜とコート被膜との間の界面やノンリーフィングアルミフレークの粒子表面と樹脂基材との間の界面を通して犠牲防食に寄与することが可能である。すなわち、亜鉛を中心にして見れば亜鉛の真上およびその近傍のみならず亜鉛から離れた周辺部でコート被膜のチッピング等が発生した場合までもその亜鉛が犠牲防食に貢献することが可能になり、チッピング等を中心にしてみればコート被膜の損失面積当たり従来より多量の亜鉛を犠牲防食に関与させることができる。
【0026】
したがって、コート被膜におけるチッピング・ひび割れ・剥離の範囲が比較的小さくともチッピング等の周辺におけるコート被膜の下層に金属亜鉛が存在する限り犠牲防食効果が続く。本発明のコート塗料によるコート被膜は、従前のコート塗料による塗膜と比較し、小さいチッピング・ひびわれ・剥離が存在しても比較的広い範囲での亜鉛による犠牲防食効果が得られ、最終的な金属部材本体への錆の進行やそれによる金属部材の物性低下を抑制するという本来的な意味での防錆性能が高い。
【0027】
また、本発明の防錆金属部材の外観は亜鉛複合被膜と同一の銀色である。本発明の防錆金属部材は傷付耐食性に加えて傷付外観にも優れる。
【0028】
本発明で用いることができるノンリーフィングアルミフレークは市販のものでよく、たとえば東洋アルミニウム株式会社から入手できるノンリーフィングアルミニウムペーストが該当する。
【0029】
ノンリーフィングアルミフレークはコート被膜を貫通させるため、コート被膜の一回塗布あたりで形成される塗布厚み以上の平均粒径を有するものが望ましい。本発明における亜鉛複合被膜上のコート被膜は、塗膜の均一さと塗布コストの兼ね合いからみて1回塗布~2回塗布で形成される。2回塗布の場合、塗布ごとに、配合されるノンリーフィングアルミフレークが該当1回塗布分の乾燥膜厚を超える平均粒径を有するようにサイズ調整すれば十分である。すなわちノンリーフィングアルミフレークの平均粒径D50の値は、前記コート被膜の平均厚みの1/2以上であることが好ましい。ノンリーフィングアルミフレークの平均粒径D50は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による質量累積粒径で計測される。2回塗布でも1回塗布と同様の防錆効果を奏するメカニズムの仮説としては実施例の後に図を用いて説明してある。
【0030】
実施例を参照すると、本発明ではコート被膜として1回あたりの塗膜乾燥厚みが5μmずつ、合計乾燥厚みが10μmとなるよう2回塗布する場合も、平均粒径D50が6μmの市販ノンリーフィングアルミフレークを用いたことにより、ノンリーフィングアルミフレークがコート被膜を貫通したと考えて差し支えない程度の防錆機能を奏した。このことは上記仮説を裏付けている。現在入手可能なノンリーフィングアルミフレークから、要請される乾燥膜厚、外観その他の要因も加味して、使用するノンリーフィングアルミフレークの平均粒径を適切に選択するのが望ましい。平均粒径D50が6μm~54μmの市販のノンリーフィングアルミフレークはいずれも利用できるが、薄肉化の要請のあるコート被膜形成のために好ましく選択されるノンリーフィングアルミフレークの平均粒径D50は6~22μm、より好ましくは6~15μmである。
【0031】
またコート被膜形成のために好ましく選択されるノンリーフィングアルミフレークの配合割合は、コート塗料100質量部に対して好ましくは1.0~4.5質量部、より好ましくは1.0~4.0質量部、特に好ましくは1.0~3.0質量部である。ノンリーフィングアルミフレークの、乾燥後のコート被膜に対する望ましい配合割合は、コート被膜(塗料固形分に相当)100質量%に対して2.0~10.0質量%、より好ましくは2.0~9.0質量%、特に好ましくは2.0~7.0質量%である。コート塗料又はコート被膜におけるノンリーフィングアルミフレークの配合割合が少な過ぎると、ノンリーフィングアルミフレークによる効果を有効に発揮させることが困難になる。一方、コート塗料又はコート被膜におけるノンリーフィングアルミフレークの配合割合が多過ぎると、コート被膜の絶縁性や密着性が低下する。
【0032】
本発明に係る樹脂材料としては、金属との密着性および耐水性に優れ、かつ溶解状態における粘度の低いものを使用するのが好ましい。このような樹脂材料としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂やアクリル樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フェノキシ型、ノボラック型、脂肪族型、グリシジルアミン型の各種エポキシ樹脂が挙げられる。好ましいエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型やビスフェノールF型のビスフェノール型エポキシ樹脂が挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。また、特に好ましいフェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂が挙げられる。また上記のうち交差反応による硬化作用を持ち、チクソ性、絶縁性、塗膜弾性および外観に優れる組合せとして、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを質量比16:1~2:1、より好ましくは12:1~2:1、特に好ましくは9:1~2:1、さらにより好ましくは4:1~2:1で混合したものを挙げることができる。
【0033】
樹脂材料は、溶剤を含むコート塗料100質量部に対して10~20質量部含まれるのが好ましく、13~18質量部含まれるのがより好ましく、14~16質量部含まれるのが特に好ましい。コート被膜(塗料固形分に相当)100質量%に対する樹脂材料の配合割合は24~40質量%が好ましく、30~38質量%がより好ましく、31~35質量%が特に好ましい。コート塗料又はコート被膜(塗料固形分に相当)に対する樹脂材料の配合割合が少な過ぎると、コート被膜が硬質化する。一方、コート塗料又はコート被膜(塗料固形分に相当)に対する樹脂材料の配合割合が多過ぎると、他の成分の適切な配合量を確保することが困難になる。
【0034】
また、本発明において樹脂材料としてエポキシ樹脂を採用した場合、コート塗料はイミダゾール系硬化促進剤をさらに含むことが好ましい。エポキシ樹脂の硬化促進剤として、イミダゾール系硬化促進剤を用いることにより、本発明におけるコート被膜の色を亜鉛複合被膜の色により近づけることができ、コート被膜の部分欠落による外観不良をより効果的に抑えることが可能になる。これは、イミダゾール系硬化促進剤は、有機酸ヒドラジンに含まれるアミンのような着色する官能基を持たないことに因ると考えられる。
【0035】
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えばイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチル-イミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール等が挙げられる。イミダゾール系硬化促進剤は、1種を単独で使用することもでき、2種以上を併用してもよい。
【0036】
また、エポキシ樹脂の硬化促進剤として、イミダゾール系硬化促進剤と共に、ジシアンジアミド等の他の硬化促進剤を併用してもよい。
【0037】
エポキシ樹脂の硬化促進剤の配合割合は、コート塗料100質量部に対して0.1~0.5質量部とすることが好ましく、0.2~0.4質量部とすることがより好ましい。また、エポキシ樹脂の硬化促進剤の配合割合は、コート被膜(塗料固形分に相当)100質量%に対して0.2~1.1質量%とすることが好ましく、0.4~0.9質量%とすることがより好ましい。
【0038】
本発明に係る体質顔料は、一般的な体質顔料のうち軟質のものを好適に使用できる。好適な軟質の体質顔料の例としてはタルク、ケイ酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウムなどである。
【0039】
本発明のコート塗料100質量部に対する体質顔料の好ましい配合割合は10~30質量部であり、より好ましくは19~27質量部であり、特に好ましくは21~25質量部である。また、コート被膜(塗料固形分に相当)100質量%に対する体質顔料の好ましい配合割合は30~57質量%であり、より好ましくは45~54質量%であり、特に好ましくは48~52質量%である。コート塗料又はコート被膜(塗料固形分に相当)に対する体質顔料の配合割合が少な過ぎると、コート被膜が硬質化したり、耐食性に悪影響を及ぼしたりすることがある。一方、コート塗料又はコート被膜(塗料固形分に相当)に対する体質顔料の配合割合が多過ぎると、コート塗料中で均一に分散することが困難になったり、コート被膜の密着性が低下したりすることがある。
【0040】
なお、カーボンブラック、酸化チタン(チタンホワイト)、四三酸化鉄のような強い着色能力・隠蔽力を持つ着色顔料は本発明でいう体質顔料にも防錆顔料にもあてはまらないが、着色要請に応じて適宜配合することができ、その場合は体質顔料の配合割合の一部を着色顔料で置換することになる。
【0041】
本発明のコート塗料にはノンリーフィングアルミフレーク以外の防錆顔料が配合されてもよい。コート塗料用の防錆顔料としてリン酸塩とケイ酸塩との少なくとも一方を使用することが好ましい。これにより、亜鉛複合被膜中の亜鉛が溶出することを抑制できるため、亜鉛複合被膜の防錆作用を長期にわたって維持できる。好ましい防錆顔料としては、リン酸亜鉛、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、トリポリリン酸亜鉛、トリポリリン酸マグネシウム、トリポリリン酸アルミニウム、トリポリリン酸カルシウムが挙げられる。
【0042】
ノンリーフィングアルミフレーク以外の防錆顔料(配合する場合)のコート塗料100質量部に対する配合割合は2.5~8.5質量部が好ましく、3~8質量部がより好ましく、4~7質量部が特に好ましい。ノンリーフィングアルミフレーク以外の防錆顔料(配合する場合)のコート被膜(塗料固形分に相当)100質量%に対する配合割合は5~18質量%であり、より好ましくは6~17質量%であり、特に好ましくは8~15質量%である。コート塗料又はコート被膜(塗料固形分に相当)に対するノンリーフィングアルミフレーク以外の防錆顔料の配合割合が少な過ぎると、コート被膜の耐食性に悪影響を及ぼす。一方、コート塗料又はコート被膜(塗料固形分に相当)に対するノンリーフィングアルミフレーク以外の防錆顔料の配合割合が多過ぎると、コート被膜の密着性が低下することがある。
【0043】
本発明に係るコート被膜における各成分の好ましい配合割合の一例は、コート被膜(塗料固形分に相当)100質量%に対して、樹脂材料30~38質量%、ノンリーフィングアルミフレーク2~9質量%、ノンリーフィングアルミフレーク以外の防錆顔料6~17質量%、体質顔料45~54質量%、イミダゾール系硬化促進剤0.2~1.1質量%である。また、本発明に係るコート被膜における各成分のより好ましい配合割合の一例は、コート被膜(塗料固形分に相当)100質量%に対して、樹脂材料31~35質量%、ノンリーフィングアルミフレーク2~7質量%、ノンリーフィングアルミフレーク以外の防錆顔料8~15質量%、体質顔料48~52質量%、イミダゾール系硬化促進剤0.4~0.9質量%である。
【0044】
本発明のコート塗料には有機溶媒が配合される。有機溶媒としては芳香族系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤等の高沸点かつ樹脂材料の溶解度の大きいものを使用するのが好ましい。好ましい芳香族系溶剤はトルエン、キシレン、エチルベンゼン、フェノール等が挙げられ、好ましいケトン系溶剤としてはメチルエチルケトン、メチルブチルケトン等が挙げられ、好ましいアルコール系溶剤としてはエチレングリコールモノブチルエーテル、ブタノール、エタノール、メタノール等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、2種以上の混合溶媒として使用されてもよい。つまり有機溶媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、フェノールから選ばれる少なくとも一種からなる芳香族系溶剤と、エチレングリコールモノブチルエーテル、ブタノール、エタノール、メタノールから選ばれる少なくとも一種からなるアルコール系溶剤と、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンから選ばれる少なくとも一種からなるケトン系溶剤と、から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0045】
コート塗料における有機溶媒の配合割合は、コート塗料を亜鉛複合被膜上に適切に塗布することができるように適宜調整することができる。すなわち、本発明のコート塗料は塗布に適する量の有機溶媒を含む。コート塗料100質量部に対する有機溶媒の配合割合は、例えば48~61質量部としたり、50~59質量部としたりすることができる。
【0046】
本発明に係るコート塗料における各成分の好ましい配合割合の一例は、コート塗料100質量部に対して、樹脂材料13~18質量部、ノンリーフィングアルミフレーク1.0~4.0質量部、ノンリーフィングアルミフレーク以外の防錆顔料3~8質量部、体質顔料19~27質量部、イミダゾール系硬化促進剤0.1~0.5質量部、有機溶媒48~61質量部である。また、本発明に係るコート塗料における各成分のより好ましい配合割合の一例は、コート塗料100質量部に対して、樹脂材料14~16質量部、ノンリーフィングアルミフレーク1.0~3.0質量部、ノンリーフィングアルミフレーク以外の防錆顔料4~7質量部、体質顔料21~25質量部、イミダゾール系硬化促進剤0.2~0.4質量部、有機溶媒50~59質量部である。
【0047】
本発明の防錆金属部材におけるコート被膜の鉛筆硬度は、F~Bであるのが好ましい。より好ましくは鉛筆硬度がFである。コート被膜の鉛筆硬度がこの範囲内であれば、コート被膜は軟質化され、かつ、コート被膜の強度は充分に確保される。なお、本明細書で言う鉛筆硬度とは、JIS K 5600-5-4(旧JIS K 5400-8-4-2)によるひっかき硬度を指す。
【0048】
本発明のコート被膜は、下層の亜鉛複合被膜との色差ΔBが10度以下であることが好ましく、5度以下であることがより好ましく、3度以下であることが特に好ましい。
【0049】
また、本発明のコート被膜におけるホースASSY耐食性の測定値は常温、耐熱のいずれにおいても1500時間以上であることが望ましい。本発明のコート被膜の体積抵抗は1×1013Ω・cm以上であることが望ましい。本発明のコート被膜のエリクセン剥離径は3mm以下であることが望ましい。本発明のコート被膜のTI値は3.5以上であることが望ましい。
【0050】
以上のとおり、本発明の防錆金属部材は、コート被膜にノンリーフィングアルミフレークを含むので、亜鉛複合被膜の犠牲防食効果をより高めることができるとともに、コート被膜の部分欠落による外観不良を抑えることができる。
【0051】
また、本発明のコート塗料はラッカー系であるため薄膜で均一に塗装でき、また、樹脂配合の工夫により、コート塗料の塗装性、コート被膜の絶縁性、密着性や硬化性等を効果的に向上させることができる。
【0052】
さらに、本発明のコート塗料にイミダゾール系硬化促進剤を加えた場合は、コート被膜が着色されにくくなるところ、コート被膜の色が下地の亜鉛複合被膜の銀色に近づくため、コート被膜の傷付きによる外観不良をより効果的に抑えることができる。
【0053】
本発明は高熱、高腐食環境(融雪塩、海塩粒子の存在、貴な物質との電食)で用いられる鉄製クリップや鉄製ホースクランプなどの部品の耐食に優れた効果を発揮する。
【0054】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて本発明を実施することができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明の防錆金属部材およびコート塗料を具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。また、コート塗料の物性試験の詳細はJIS K 5492(2014)アルミニウムペイント、およびJIS K 5600塗料一般試験方法の各項目を参考にすることができる。
【0056】
本願実施例で所定形状の防錆金属部材としてホースクランプを用いたものを模式的に表す斜視図が
図1である。
【0057】
図2は実施例で製造される防錆金属部材の表面構造を拡大して模式的に表す断面図である。
図2の防錆金属部材1は、金属部材2と、金属部材2の
表面に形成されている亜鉛複合被膜3と、亜鉛複合被膜3の
上に形成されているコート被膜4とを備えている。金属部材2は鋼製であり、全体では
図1に示したホースクランプの形状である。
【0058】
実施例で用いた亜鉛複合被膜を持つ金属部材は次のように製造した。
先ず、予め準備した鋼製ホースクランプ (板厚0.7mm、板巾8mm、直径(自由径)8.6mm)である金属部材にショットピーニング処理を施し、金属部材表面の酸化皮膜を粗面化した。処理後の金属部材を、20~25℃のジオメット720(NOFメタルコーティングス株式会社の登録商標。亜鉛とアルミのフレークを特殊無機バインダで結合したもので、銀色の外観を有するものが市販されている)処理液に2~6分間浸漬した。浸漬後、ディップスピン装置を用いてジオメット720処理液を金属部材上に均一に付着させ、電気加熱式熱風循環炉にて320~360℃、30~45分間加熱した。加熱後、室温で放冷した。以上の処理を2回繰り返すことで、表面に亜鉛複合被膜が塗着量220mg/dm2で形成されてなる金属部材(以下、「亜鉛コート金属部材」と呼ぶ)を得た。
【0059】
(製造例1)
コート被膜の原料となるコート塗料を以下のようにして製造した。
まず、12.4質量部のビスフェノール型エポキシ樹脂および3.1質量部のレゾール型フェノール樹脂(樹脂材料として配合。エポキシ樹脂:フェノール樹脂の質量比は4:1である)と、0.3質量部のイミダゾール(エポキシ樹脂の硬化促進剤として配合)と、23.2質量部のケイ酸マグネシウム(平均粒径7μm、体質顔料として配合)と、5.6質量部のトリポリリン酸アルミニウム(平均粒径1μm、防錆顔料として配合)と、1.7質量部のノンリーフィングアルミフレーク(平均粒径15μm、防錆顔料として配合)と、53.7質量部のメチルエチルケトン(有機溶媒として配合)とを準備した。
【0060】
樹脂材料、防錆顔料、体質顔料、着色顔料の混合物(以降、コート粉体材料と呼ぶ)をボールミルで180分撹拌した。撹拌後のコート粉体材料を有機溶媒に混合し、コート塗料を調製した。このとき樹脂材料は有機溶媒中に完全に溶解した。ノンリーフィングアルミフレークを含めた各種顔料は有機溶媒中に分散した。混合の結果得られた製造例1のコート塗料は銀色を呈した。
【0061】
製造例1で製造されたコート塗料(常温)に、上述した亜鉛コート金属部材を2~6分間浸漬した。浸漬後、ディップスピン装置を用いてコート塗料を亜鉛コート金属部材に均一に付着させ、電気加熱式熱風循環炉にて180℃、20分間加熱した。加熱後室温で放冷した。以上の処理を2回繰り返すことで、製造例1のコート塗料から製造されたコート被膜を亜鉛コート金属部材の上に形成した。このときのJIS K 5600-1-7(質量法)によるコート被膜の塗着量は、150mg/dm2であった。密度から平均膜厚に換算した塗布厚さは10μm(5μm厚さの二回塗布)である。
【0062】
以上の工程によって、金属部材の表面に亜鉛複合被膜が形成され、亜鉛複合被膜の上にコート被膜が形成されてなる、実施例1の防錆金属部材を得た。
【0063】
以降同様の手順で、原料の種類および配合比、焼付条件などを変更して、実施例2~20、比較例1~2にかかるコート塗料およびこれを塗布した防錆金属部材をそれぞれ得た。原料の種類、粒径、配合比、焼付温度その他の条件変更を表1~表5の被膜成分欄に詳細に示す。なお被膜成分欄の単位は「エポキシ樹脂:フェノール樹脂比」の欄を除いてすべて質量%である。
【0064】
各実施例または比較例で製造された防錆金属部材の各種物性を測定して表1~表5の物性欄にそれぞれ示した。各試験の測定条件は次の通りである。
【0065】
(評価試験)
(1.塗装性試験)
調製後、塗布前のコート塗料についてJIS K 5600回転粘度計によるB型粘度およびイワタカップ2番によるカップ粘度を測定し、チクソトロピー性としてせん断速度依存性(TI値)も測定した。粘度、TI値は目標膜厚にあわせて調製する。TI値がある程度高めの方が塗布性が向上し、低粘度でも塗布時の垂れ落ち、流れなどによる塗りムラ等不具合の発生が少なくなる。また、コート塗料を低粘度にして、コート被膜を薄肉に形成することができる。
【0066】
(2.絶縁性試験)
形成されたコート被膜の抵抗値として体積抵抗および表面抵抗を測定した。抵抗値が高いものはコート被膜の樹脂成分の部分の絶縁性が高く、一般的な電食に対する防錆効果が高い。
【0067】
(3.密着性試験)
各防錆金属部材について、エリクセン剥離径を測定した。エリクセン剥離径は同一の運動量をもつ衝突を起こさせ、チッピングするコート塗料の剥離の大きさを示す。剥離径が小さいほうが性能がよい。
【0068】
各防錆金属部材について、コート被膜の鉛筆ひっかき硬度を測定した。鉛筆硬度は、JIS K 5600-5-4にしたがって測定した。
【0069】
(4.耐食性能評価試験)
各防錆金属部材について、防錆性能評価試験(JIS Z 2371に準拠する塩水噴霧試験)を行った。防錆性能評価試験は、各実施例または比較例の防錆金属部材を3種類の試験条件で5個ずつ用いて行った。防錆性能評価試験の結果(単位は時間)を表1~表5のSSTホースASSY(耐食性)の欄に示した。コート塗料の塗布乾燥後、傷のない部材の結果を「常温(傷無)」欄に記載した。コート塗料の塗布乾燥後、1mの高さから5回落下させチッピング等でコート被膜に目視発見できる傷を受けた部材の耐食性試験した結果を「常温(傷有)」欄に記載した。傷のない部材を250℃で12時間処理したものを耐食性試験した結果を「耐熱(傷無250℃12H後)」欄に記載した。
【0070】
各結果のうち防錆性能評価試験開始後1500時間以上経過しても赤錆が発生しなかったものを>1500と記載し優秀と評価した。
【0071】
(5.硬化性試験)
各防錆金属部材のコート塗料について耐溶剤性による硬化性試験を行った。コート塗料を塗布して十分硬化乾燥させた後の防錆金属部材の表面に有機溶剤であるメチルエチルケトンを脱脂綿に含ませて所定回数擦りつけ、溶解してコート塗料の塗膜が損失しないかをチェックした。耐溶剤性が十分でないものは、コート塗料中の樹脂成分であるエポキシ樹脂とフェノール樹脂の硬化反応が十分に進行しなかったことが原因と考えられ、硬化性に劣ると判定した。
【0072】
(6.耐熱性)
各防錆金属部材について5%熱重量が低下する温度を測定した。熱重量低下は樹脂成分の熱分解温度の指標であるため、耐熱性の指標となる。
【0073】
(7.外観試験)
各防錆金属部材について常温におけるコート被膜の色調b*(SCE、正反射光除去)と常温における亜鉛複合被膜の色調b*(SCE、正反射光除去)との色差ΔBを測定した。また、200℃で焼成したコート被膜の色調b*(SCE)と180℃で焼成したコート被膜の色調b*(SCE)との色差ΔBも測定した。色差ΔBは、JIS Z 8730に基づいて、色差計として分光測色計(型式CM-3600d、コニカミノルタ社製)を用いて測定した値である。
【0074】
(8.貯蔵安定性試験)
各コート塗料を室温40℃下に1ヶ月静置して増粘、分離や浮きの発生をチェックした。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
表1~表5の性能低下項目に示すように、実施例においてはノンリーフィングアルミフレークの粒径や配合量、また、併用する顔料などを変更したものの、本発明の範囲内である限りにおいて、塗布後の耐食性(絶縁性を含む)、コート被膜としての耐久性(密着性、硬化性、耐熱性)、外観に優れた防錆金属部材を得ることに成功した。
【0081】
一方、ノンリーフィングアルミフレークに代えてリーフィングアルミフレークを配合した比較例1は貯蔵安定性試験を行う以前にアルミフレークが凝集分離して浮いてしまい、分散しなかったため通常の塗膜試験を行わなかった。また、ノンリーフィングアルミフレークに代えて酸化チタンを配合した比較例2は、密着性と耐食性、また当然ながら色差に劣るものとなった。
【0082】
ノンリーフィングアルミフレークの配合量が常識的な配合量から少なすぎれば実施例12のように耐食性に劣る上に外観も下層との色差で欠けが目視判別できる程度に低下した。ノンリーフィングアルミフレークの配合量が常識的な配合量から多すぎれば実施例13のように外観は問題ないが抵抗値が低すぎて耐食性が低下し、また密着性も低下した。
【0083】
実施例14では焼付温度を変更した。使用する樹脂に応じて選択した焼付温度を用いなければ樹脂の褐変が外観に影響することを示す。実施例15、16はエポキシ樹脂とレゾール型フェノール樹脂の配合比を変更した。実施例15はTI値が低すぎて塗装性が悪く、また抵抗値が低く耐食性に影響がでている。実施例16ではレゾール型フェノール樹脂が少なすぎるため硬化性が悪く十分に硬化させることができなかったためその他の物性を測定できなかった。
【0084】
実施例17では体質顔料の配合量を少なすぎることで耐食性に悪影響があり、実施例18では逆に体質顔料の配合量が多すぎることで密着性に悪影響があることが示された。同様に防錆顔料について実施例19では少なすぎれば耐食性に悪影響があり、実施例20では多すぎれば密着性に悪影響があることが示された。さらに、硬化促進剤について実施例21では多すぎれば、増粘したため通常の塗膜試験は行わなかった。また、硬化促進剤の種類と量を変更した実施例22では色差に劣るものとなった。
【0085】
なお、実施例12~22は、いずれも現在の本願請求項1~4、6、8、9、12~14、16、18、19の範囲内にあるが、実施例12~22の中には、請求項5、7、10、11、15、17、20および明細書に示された発明のベストモードのいずれかから外れているものもある。ベストモードを守らなくとも請求項1~4、6、8、9、12~14、16、18、19に示された特徴を持ったまま工夫することで実施例1~11と同様の十分使用に耐える塗料および耐食部材となる可能性が高い。実施例12~22の中には実際は本願実施例の補助や参考とすべきものもある。
【0086】
本発明で粒径の大きいノンリーフィングアルミフレークを防錆顔料に用いることで防錆性能を向上させ得ることが判る。これは、以下の理由によるものと考えられる。
【0087】
図2は本発明の防錆金属部材におけるコート被膜の作用を模式的に表す説明図である。
図2に示すように、防錆金属部材1のコート被膜4には、貫通孔状の欠陥6が生じる場合がある。この欠陥6は、防錆金属部材1の使用時のチッピング、ひび割れ、欠け、またはコート塗料中の有機溶媒が蒸発する際の経路も原因となる。このため、欠陥6が生じるのは避け難い現象である。コート被膜4(および、場合によっては亜鉛複合被膜3)に生じた欠陥6に水5が侵入すると、亜鉛複合被膜3に含まれる亜鉛がイオン化し犠牲防食する。本発明の防錆金属部材1によると、この亜鉛の防錆作用によって、金属部材2の錆発生を抑制する。ところで、本発明外の防錆金属部材において長期にわたって欠陥に水が侵入し続けた場合には、亜鉛複合被膜中において欠陥直下および近傍に位置する亜鉛がイオン化し尽くす。この場合には、亜鉛による犠牲防食作用がなくなるために、金属部材に錆(金属部材が鋼であれば赤錆など)が生じる。一方で、このとき亜鉛複合被膜3中において欠陥6により露出せず欠陥6から離間している亜鉛は、通常であればイオン化せずに残存する。一方、詳しく図示していないが欠陥6でないコート被膜4表面にも水5は外界より供給される。このため、欠陥6から離間している亜鉛に水5を供給してイオン化させれば、亜鉛の防錆作用を長期間維持できると考えられる。
【0088】
なお、亜鉛複合被膜3の中でコート被膜4側の表面付近に存在する亜鉛30は犠牲防食に寄与する亜鉛で、当該表面から離れた内部に存在する亜鉛31は水5の到達が遅れて現状では犠牲防食に寄与しない亜鉛である。
【0089】
亜鉛複合被膜3の中で欠陥6から離間している亜鉛に水5を供給するためには、コート被膜4に水5の通路を形成すればよい。コート被膜4において、ノンリーフィングアルミフレーク40と樹脂材料41との界面、その他の防錆顔料42と樹脂材料41との界面、体質顔料43と樹脂材料41との界面には、僅かに空隙が生じる。このため、これらの界面は、水5の通路として利用できると考えられる。その他の防錆顔料42および体質顔料43の表面積は、ノンリーフィングアルミフレーク40の表面積に比べて大幅に小さい。このため、コート被膜4における水5の通路は、主としてノンリーフィングアルミフレーク40と樹脂材料41との界面(以下、通路界面と呼ぶ)で構成されると考えられる。
【0090】
ノンリーフィングアルミフレーク40はコート塗料1回塗布分の塗膜の膜厚よりも大きい長径を有する。このため、コート塗料1回塗布により形成されたコート被膜であれば、ノンリーフィングアルミフレーク40はそのコート被膜を厚さ方向に貫通する可能性が高い。コート塗料2回塗布により形成されたコート被膜であっても、初回塗布で塗膜より突き出したまま乾燥固定されたノンリーフィングアルミフレーク40が次回の塗布で二層目のノンリーフィングアルミフレーク40と隣接または接触することで、実質上2回塗布により形成されたコート被膜を厚さ方向に貫通するか、1層目の塗膜と2層目の塗膜の界面により、1回塗布と同等の通路界面が発生すると考えられる。このため、コート塗料1回塗布分の塗膜の膜厚よりも大きく1回塗布により形成され塗膜を厚さ方向に貫通し得る平均粒径(長径)をノンリーフィングアルミフレーク40が持つ場合、通路界面同士が繋がる可能性が高くなり、通路界面がコート被膜4を厚さ方向に貫通する可能性が高くなる。以下、通路界面のうち、特にコート被膜4を厚さ方向に貫通する通路界面を貫通界面(
図2中、白抜き矢印で示す)と呼ぶ。
【0091】
貫通界面の数が多い程、亜鉛複合被膜3の中で欠陥6から離間している亜鉛に十分な量の水5を供給し得る可能性が高くなる。換言すると、ノンリーフィングアルミフレーク40を用いることで、貫通界面を多数形成でき、亜鉛複合被膜3中の亜鉛を無駄なく利用できるため、防錆金属部材1の防錆性能が向上する。
【0092】
本発明の防錆処理された金属部材は、下記の(1)~(10)の特徴の1つまたは複数を備えていてもよい。
【0093】
(1)前記リーフィング加工を施さないアルミフレークの平均粒径D50の値が、前記コート被膜の平均厚みの1/2以上である。
【0094】
(2)前記リーフィング加工を施さないアルミフレークの平均粒径D50の値が、6~22μmの範囲内である。
【0095】
(3)前記コート被膜は、前記コート被膜を厚み方向に貫通するよう乾燥により固定されたリーフィング加工を施さないアルミフレークを含む。
【0096】
(4)前記リーフィング加工を施さないアルミフレークは、前記コート被膜100質量%に対して2.0~10質量%含まれている。
【0097】
(5)前記樹脂材料は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも一種である。
【0098】
(6)前記樹脂材料として、前記エポキシ樹脂と、前記フェノール樹脂としてのレゾール型フェノール樹脂と、を質量比で12:1~2:1含む。
【0099】
(7)前記コート塗料はイミダゾール系硬化促進剤をさらに含む。
【0100】
(8)前記有機溶媒は、
トルエン、キシレン、エチルベンゼン、フェノールから選ばれる少なくとも一種からなる芳香族系溶剤と、
エチレングリコールモノブチルエーテル、ブタノール、エタノール、メタノールから選ばれる少なくとも一種からなるアルコール系溶剤と、
メチルエチルケトン、メチルブチルケトンから選ばれる少なくとも一種からなるケトン系溶剤と、から選ばれる少なくとも一種である。
【0101】
(9)前記コート被膜は、前記コート被膜100質量%に対して、24~40質量%の前記樹脂材料と、2~10質量%の前記リーフィング加工を施さないアルミニウムフレークと、5~18質量%の前記リーフィング加工を施さないアルミニウムフレーク以外の防錆顔料と、30~57質量%の前記体質顔料と、を含む。
【0102】
(10)前記コート被膜の鉛筆硬度はF~Bである。
【0103】
また、本発明のコート塗料は、下記の(11)~(18)の特徴の1つまたは複数を備えていてもよい。
【0104】
(11)前記リーフィング加工を施さないアルミフレークの平均粒径D50の値が、形成される前記コート被膜の平均厚みの1/2以上である。
【0105】
(12)前記リーフィング加工を施さないアルミフレークの平均粒径D50の値が、6~22μmの範囲内である。
【0106】
(13)前記リーフィング加工を施さないアルミフレークは、前記コート塗料の乾燥固形分100質量部に対して2~10質量部含まれている。
【0107】
(14)前記樹脂材料は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも一種である。
【0108】
(15)前記樹脂材料として、前記エポキシ樹脂と、前記フェノール樹脂としてのレゾール型フェノール樹脂と、を質量比で12:1~2:1含む。
【0109】
(16)イミダゾール系硬化促進剤をさらに含む。
【0110】
(17)前記有機溶媒は、
トルエン、キシレン、エチルベンゼン、フェノールから選ばれる少なくとも一種からなる芳香族系溶剤と、
エチレングリコールモノブチルエーテル、ブタノール、エタノール、メタノールから選ばれる少なくとも一種からなるアルコール系溶剤と、
メチルエチルケトン、メチルブチルケトンから選ばれる少なくとも一種からなるケトン系溶剤と、から選ばれる少なくとも一種である。
【0111】
(18)24~40質量部の前記樹脂材料と、2~10質量部の前記リーフィング加工を施さないアルミニウムフレークと、5~18質量部の前記リーフィング加工を施さないアルミニウムフレーク以外の防錆顔料と、30~57質量部の前記体質顔料と、を含み、さらに塗布に適する量の有機溶媒を含む。
【符号の説明】
【0112】
1:防錆金属部材
2:金属部材
3:亜鉛複合被膜
30:犠牲防食に寄与する亜鉛(破線)
31:水が到達しないため犠牲防食に寄与できない亜鉛(実線)
4:コート被膜
40:ノンリーフィングアルミフレーク
41:樹脂材料
42:ノンリーフィングアルミフレーク以外の防錆顔料
43:体質顔料
5:水
6:コート被膜の欠陥