(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20220802BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20220802BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220802BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/00 386
G03G21/14
B41J29/38
B41J29/42 F
(21)【出願番号】P 2018129647
(22)【出願日】2018-07-09
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 賢広
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198937(JP,A)
【文献】特開2017-096991(JP,A)
【文献】特開2017-040771(JP,A)
【文献】特開2017-173626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/14
B41J 29/38
B41J 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブの画像情報に基づいて像担持体上に静電潜像を形成してトナーにより現像し、前記像担持体に形成されたトナー像を連続紙に転写して画像を印刷する画像形成部と、
前記ジョブの画像情報に基づいて前記連続紙に形成する画像のカバレッジを算出し、算出したカバレッジに基づいて、前記連続紙に連続して印刷可能な連続印刷可能距離を決定する制御部と、
前記連続印刷可能距離を前記画像形成部による印刷開始前に報知する報知部と、
表示部と、
を備え
、
前記制御部は、ユーザーが前記ジョブの印刷開始を指示する前に、前記連続印刷可能距離を前記報知部に報知させるとともに、さらに、前記ジョブの画像情報の画像調整を指示するための画像調整ボタンを前記表示部に表示させ、前記画像調整ボタンが押下された場合に前記ジョブの画像情報の画像調整を実施して前記連続印刷可能距離を変更する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、前記連続印刷可能距離の延長方法を前記報知部に報知させる請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、前記カバレッジを前記報知部に報知させる請求項
1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ジョブの画像情報の画像調整を実施する画像調整部を有し、
前記制御部は、前記画像調整部により画像調整が実施されると、前記画像調整後の前記画像情報に基づいて前記カバレッジを再算出し、再算出した前記カバレッジに基づいて前記連続印刷可能距離を決定する請求項
1~3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記画像形成部による印刷開始から所定時間内に前記連続紙に印刷された画像面積の総和を算出し、算出した前記画像面積の総和に基づいて前記画像形成部による印刷動作を停止するか否かを制御する請求項
1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ジョブの印刷距離が前記ジョブの画像情報から算出される連続印刷可能距離より長い場合に、ユーザーが前記ジョブの印刷開始を指示した後、前記ジョブの印刷を行うか否かをユーザーに選択させるための選択肢を前記報知部に報知させ、ユーザーによる前記選択肢の選択操作に応じて、前記印刷を開始するか又は中止するかを制御する請求項1~
5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、さらに、ユーザーに前記ジョブの印刷を行う場合の印刷方法として前記連続印刷可能距離まで印刷する方法又は前記連続印刷可能距離毎に空白を挿入して全て印刷する方法を選択させるための選択肢を前記報知部に報知させ、選択された前記ジョブの印刷方法に基づいて、前記画像形成部に前記ジョブの画像情報に基づく印刷を行わせる請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記選択肢とともに、さらに、前記連続印刷可能距離の延長方法を前記報知部に報知させる請求項
6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記選択肢とともに、さらに、前記カバレッジを前記報知部に報知させる請求項
6~8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記選択肢とともに、さらに、前記ジョブの画像情報の画像調整を指示するための画像調整ボタンを
前記表示部に表示させ、前記画像調整ボタンが押下された場合に前記ジョブの画像情報の画像調整を実施して前記連続印刷可能距離を変更する請求項
6~9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記ジョブの印刷距離が前記ジョブの画像情報から算出される連続印刷可能距離より長い場合に、前記連続紙に転写する画像にトナーを排出するための第2の画像を追加して印刷することを指示するための操作ボタンを前記報知部としての表示部に表示させ、前記操作ボタンが押下された場合は、前記画像形成部において前記連続紙に前記ジョブに基づく画像を印刷する際に併せて前記第2の画像を印刷させる請求項1~
10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体に形成された静電潜像をトナーにより現像して用紙に転写する画像形成装置が広く用いられている。このような画像形成装置においては、低カバレッジの画像が連続して印刷されるような場合、現像装置内のトナーは画像形成に用いられることなく現像装置内に長く滞留してしまい、長い間撹拌されることにより、トナーが他のトナーやキャリア等に擦られることで劣化し、帯電量が低下する。
【0003】
カット紙1枚毎に画像形成を行う画像形成装置では、低カバレッジ時に用紙間の画像形成を行わないタイミングで中間転写ベルト上に予め定めた画像パターンを形成し、トナーを排出してトナーの劣化を防止している。しかし、連続紙を用いる場合は、画像間に画像パターンを形成するだけの領域がないため、トナーを排出することができない。そのため、低カバレッジでの連続プリントが長距離続くと、現像装置内のトナーが過度に劣化し、出力した画像にかぶりやトナー飛散などの問題が発生してしまう。
【0004】
この問題に対して、例えば、特許文献1には、画像情報に基づく画像を連続紙の予め定めた画像領域に形成するのと同時に、連続紙の画像領域外の予め定めたサイド領域に、画像情報に基づく画像形成に使用するトナー排出量と合わせたトナー排出量が予め定めた閾値以上となる画像パターンを形成するようにした画像形成装置が記載されている。また、連続紙での画像の出力距離が予め定めた距離以上となった場合に、連続紙の画像領域外の予め定めたサイド領域にトナー排出用の画像パターンを形成することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、低カバレッジの場合は、現像装置内のトナー劣化に影響しない短い距離の画像形成であっても画像パターンが形成されてしまうので、無駄にトナーを消費してしまう。また、画像の出力距離が予め定めた距離以上となった場合にトナー排出用の画像パターンを形成する技術では、トナー排出が不要な高カバレッジの画像を印刷している場合であっても距離によって画像パターンが形成されてしまうため、無駄にトナーを消費してしまう。また、連続紙の画像領域外のサイド領域に画像パターンを形成するため、ユーザーの印刷可能領域(画像領域)を狭めてしまうこととなる。
【0007】
他に、劣化したトナーを排出するための技術として、トナー排出が必要になるとジョブを停止して中間転写ベルト等にトナー排出用の画像パターンを形成する技術がある。この技術では、トナーの無駄な消費を抑えることができる。また、印刷可能領域を狭めることもない。しかし、ジョブを途中で止めるため、最低限、転写(一次転写)~定着間の長さのヤレ紙が発生してしまう。このヤレ紙は、ユーザーが取り除く作業を行わなければならないが、どのくらいの距離を印刷したらジョブが停止してヤレ紙が発生するのかをユーザーが把握することができず、不便であった。
【0008】
本発明の課題は、画像形成装置において、トナー排出のための画像パターンの形成を行うことなく連続紙に連続して印刷できる距離をユーザーが把握できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の画像形成装置は、
ジョブの画像情報に基づいて像担持体上に静電潜像を形成してトナーにより現像し、前記像担持体に形成されたトナー像を連続紙に転写して画像を印刷する画像形成部と、
前記ジョブの画像情報に基づいて前記連続紙に形成する画像のカバレッジを算出し、算出したカバレッジに基づいて、前記連続紙に連続して印刷可能な連続印刷可能距離を決定する制御部と、
前記連続印刷可能距離を前記画像形成部による印刷開始前に報知する報知部と、
表示部と、
を備え、
前記制御部は、ユーザーが前記ジョブの印刷開始を指示する前に、前記連続印刷可能距離を前記報知部に報知させるとともに、さらに、前記ジョブの画像情報の画像調整を指示するための画像調整ボタンを前記表示部に表示させ、前記画像調整ボタンが押下された場合に前記ジョブの画像情報の画像調整を実施して前記連続印刷可能距離を変更する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記制御部は、さらに、前記連続印刷可能距離の延長方法を前記報知部に報知させる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記制御部は、さらに、前記カバレッジを前記報知部に報知させる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の発明において、
前記ジョブの画像情報の画像調整を実施する画像調整部を有し、
前記制御部は、前記画像調整部により画像調整が実施されると、前記画像調整後の前記画像情報に基づいて前記カバレッジを再算出し、再算出した前記カバレッジに基づいて前記連続印刷可能距離を決定する。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の発明において、
前記制御部は、前記画像形成部による印刷開始から所定時間内に前記連続紙に印刷された画像面積の総和を算出し、算出した前記画像面積の総和に基づいて前記画像形成部による印刷動作を停止するか否かを制御する。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の発明において、
前記制御部は、前記ジョブの印刷距離が前記ジョブの画像情報から算出される連続印刷可能距離より長い場合に、ユーザーが前記ジョブの印刷開始を指示した後、前記ジョブの印刷を行うか否かをユーザーに選択させるための選択肢を前記報知部に報知させ、ユーザーによる前記選択肢の選択操作に応じて、前記印刷を開始するか又は中止するかを制御する。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記制御部は、さらに、ユーザーに前記ジョブの印刷を行う場合の印刷方法として前記連続印刷可能距離まで印刷する方法又は前記連続印刷可能距離毎に空白を挿入して全て印刷する方法を選択させるための選択肢を前記報知部に報知させ、選択された前記ジョブの印刷方法に基づいて、前記画像形成部に前記ジョブの画像情報に基づく印刷を行わせる。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の発明において、
前記制御部は、前記選択肢とともに、さらに、前記連続印刷可能距離の延長方法を前記報知部に報知させる。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項6~8のいずれか一項に記載の発明において、
前記制御部は、前記選択肢とともに、さらに、前記カバレッジを前記報知部に報知させる。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項6~9のいずれか一項に記載の発明において、
前記制御部は、前記選択肢とともに、さらに、前記ジョブの画像情報の画像調整を指示するための画像調整ボタンを前記表示部に表示させ、前記画像調整ボタンが押下された場合に前記ジョブの画像情報の画像調整を実施して前記連続印刷可能距離を変更する。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項1~10のいずれか一項に記載の発明において、
前記制御部は、前記ジョブの印刷距離が前記ジョブの画像情報から算出される連続印刷可能距離より長い場合に、前記連続紙に転写する画像にトナーを排出するための第2の画像を追加して印刷することを指示するための操作ボタンを前記報知部としての表示部に表示させ、前記操作ボタンが押下された場合は、前記画像形成部において前記連続紙に前記ジョブに基づく画像を印刷する際に併せて前記第2の画像を印刷させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画像形成装置において、トナー排出のための画像パターンの形成を行うことなく連続紙に連続して印刷できる距離をユーザーが把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態における画像形成装置の全体構成例を示す図である。
【
図2】
図1の画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
【
図3】
図2の制御部により実行させる連続印刷制御処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図2の制御部により実行させる連続印刷制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0025】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の全体構成例を示す図である。
図2は、画像形成装置100の本体部2の制御系の主要部を示す図である。画像形成装置100は、
図1において太線で示すロール状の連続紙(用紙Pと呼ぶ)又は枚葉紙(用紙Sと呼ぶ)を使用し、用紙P又は用紙S上に画像を形成する装置である。
【0026】
図1に示すように、画像形成装置100は、用紙Pの搬送方向(用紙搬送方向)に沿って上流側から、給紙部1、本体部2および巻き取り部3が接続されて構成されている。給紙部1および巻き取り部3は、用紙P上に画像を形成する場合に使用される。
【0027】
給紙部1は、用紙Pを本体部2へ給紙する装置である。給紙部1の筐体内では、
図1に示すように、用紙Pが支持軸Xにロール状に巻回されたロール部P1が回転可能に保持されている。給紙部1は、支持軸Xに巻回された用紙Pを、例えば、繰り出しローラー、給紙ローラー等の複数の搬送ローラー対を経由して、一定の速度で本体部2へ搬送する。給紙部1の給紙動作は、本体部2が備える制御部101によって制御される。
【0028】
本体部2は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、本体部2は、像担持体としての感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙部1から給紙された用紙P、又は、給紙トレイユニット51a~51cから送出された用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
【0029】
図2に示すように、本体部2は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、通信部71、記憶部72、制御部101を備える。
【0030】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して本体部2の各ブロックや、給紙部1、巻き取り部3等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0031】
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide
Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信されたジョブ(ジョブの設定情報及び画像データ(画像情報))を受信し、ジョブの画像データに基づいて画像形成部40により用紙P又は用紙Sに画像を印刷させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。また、制御部101は、画像読取部10により読み取られた画像データに基づいて用紙P又は用紙Sに画像を印刷させる。
【0032】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙部11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙部11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙部11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙部11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み
取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて画像データを生成する。この画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0033】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。
表示部21は報知部の一例であり、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。
操作部22は、タッチパネルや、テンキー、スタートボタン等の各種操作キーや操作ボタンを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
【0034】
画像処理部30は、例えばラスタライズ処理部、色変換部、階調補正部、ハーフトーン処理部等を備え、制御部101の制御に従って画像データに各種画像処理を施す。
【0035】
画像形成部40は、画像処理済みの画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0036】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0037】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0038】
感光体ドラム413は、例えば、アルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
【0039】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0040】
現像装置412は、例えば、二成分現像方式の現像装置であり、現像剤担持体としての現像ローラー412aにより感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0041】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードや感光体ドラム413の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0042】
中間転写ユニット42は、像担持体としての中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0043】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部における中間転写ベルト421の走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0044】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップ部が形成される。
【0045】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙P又は用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップ部が形成される。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラー424を含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成であるいわゆるベルト式の二次転写ユニットを採用しても良い。
【0046】
一次転写ニップ部を中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0047】
その後、用紙P又は用紙Sが二次転写ニップ部を通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙P又は用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙P又は用紙Sの裏面側、つまり二次転写ローラー424と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙P又は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙P又は用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0048】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0049】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙P又は用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙P又は用紙Sにトナー像を定着させる。
【0050】
用紙搬送部50は、給紙トレイユニット51a~51c、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、複数の搬送ローラー対を有する。
【0051】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40においては、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施されて排出される。また、給紙部1から本体部2へ給紙された用紙Pは、搬送経路部53によりテンションをかけながら画像形成部40に搬送される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Pの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Pは、搬送ローラー対(排紙ローラー対)52aを備えた排紙部52により巻き取り部3に搬送される。
【0052】
巻き取り部3は、本体部2から搬送されてきた用紙Pを巻き取る装置である。巻き取り部3の筐体内では、例えば、用紙Pが支持軸Zに巻回されてロール状に保持される。そのために、巻き取り部3は、本体部2から搬送されてきた用紙Pを、複数の搬送ローラー対(例えば、繰り出しローラー、排紙ローラー)を経由して、一定の速度で支持軸に巻き取る。巻き取り部3の巻き取り動作は、本体部2が備える制御部101によって制御される。
【0053】
次に、本体部2において用紙P(連続紙)に印刷を行う場合の動作について説明する。
図3~
図4は、用紙Pに印刷を行う際に制御部101により実行される連続印刷制御処理の流れを示すフローチャートである。連続印刷制御処理は、制御部101のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0054】
制御部101は、通信部71により外部の装置から送信されたジョブが受信されると、受信したジョブ(ジョブの設定情報及び画像データ)を記憶部72に記憶させる(ステップS1)。ジョブの設定情報には、用紙幅、紙種、厚み、設定部数等が含まれる。
【0055】
次いで、制御部101は、ジョブの画像データに基づいて、Y、M、C、Kの各色ごとにカバレッジを算出する(ステップS2)。
ここで、一般的に、連続紙を用いた印刷では、所定サイズ単位の印刷可能領域に画像が印刷される処理が繰り返される。各印刷可能領域には同じ画像を繰り返し印刷することもできるし、異なる画像を印刷することもできる。ステップS2においては、ジョブの画像データに基づいて、各印刷可能領域に印刷する画像のカバレッジ(画像面積/印刷可能領域面積×100%)を算出し、その平均値をジョブ全体のカバレッジとして算出する。
【0056】
次いで、制御部101は、算出したカバレッジが全色3%以上であるか否かを判断する(ステップS3)。
算出したカバレッジが全色3%以上ではない(1色でも3%未満のものがある)と判断した場合(ステップS3;NO)、制御部101は、連続印刷可能距離を300mに決定し(ステップS4)、連続印刷可能距離と連続印刷可能距離の延長方法(どのようにしたら連続印刷可能距離を延長できるか)を含むジョブ設定画面211を表示部21に表示させ(ステップS7)、ステップS10に移行する。
【0057】
算出したカバレッジが全色3%以上であると判断した場合(ステップS3;YES)、制御部101は、算出したカバレッジが全色5%以上であるか否かを判断する(ステップS5)。
算出したカバレッジが全色5%以上ではない(1色でも5%未満のものがある)と判断した場合(ステップS5;NO)、制御部101は、連続印刷可能距離を1000mに決定し(ステップS6)、連続印刷可能距離と連続印刷可能距離の延長方法を含むジョブ設定画面211を表示部21に表示させ(ステップS7)、ステップS10に移行する。
【0058】
算出したカバレッジが全色5%以上であると判断した場合(ステップS5;YES)、制御部101は、連続印刷可能距離を制限無しに決定し(ステップS8)、連続印刷可能距離(制限無し)を含むジョブ設定画面211を表示部21に表示させ(ステップS9)、ステップS10に移行する。
【0059】
ここで、電子写真方式の画像形成装置では、低カバレッジのトナー画像が連続して印刷されるような場合、現像装置内のトナーは画像形成に用いられることなく現像装置内に長く滞留してしまい、長い間撹拌されることにより、トナーが他のトナーやキャリア等に擦られることで劣化し、帯電量が低下する。カット紙(枚葉紙)1枚毎に画像形成を行う画像形成装置では、低カバレッジ時に用紙間の画像形成を行わないタイミングで中間転写ベルト上に予め定めた画像パターンを形成し、トナーを排出してトナーの劣化を防止している。しかし、連続紙を用いる場合は、画像間で画像パターンを形成することができない。そこで、従来、連続紙の画像領域外の予め定めたサイド領域にトナー排出用の画像パターン(後述する第2の画像に相当)を形成することが行われている。しかし、トナー劣化に影響しない印刷距離や高カバレッジでも画像パターンを形成するため、無駄にトナーを消費してしまう、印刷可能領域を狭めてしまう等の問題点がある。一方、トナー排出が必要になった時点でジョブを停止して中間転写ベルト等にトナー排出用の画像パターンを形成することで、無駄なトナー消費をすることなくトナー劣化を防止することができるが、どの程度の距離まで連続して印刷できるのか、いつジョブが停止してヤレ紙が発生するのか等をユーザーが把握することができず、不便であった。
【0060】
そこで、本実施形態では、上述のステップS2~S9を実行することにより、ジョブの画像データに基づいてカバレッジを算出し、算出したカバレッジに基づいて、トナー排出のための画像パターンの形成を行うことなく(すなわち、トナーが劣化することなく)用紙Pに連続して印刷可能な連続印刷可能距離を決定して表示部21に表示する。これにより、ユーザーは、どの程度の距離まで連続して印刷できるのか、いつジョブが停止してヤレ紙が発生するのかを把握することができるので、作業の利便性を向上させることができる。なお、ステップS3~S9におけるカバレッジと連続印刷可能距離との関係は、予め実験によって求められたものである。
【0061】
図5は、ステップS7及びS9において表示部21に表示されるジョブ設定画面211の一例を示す図である。
図5に示すように、ジョブ設定画面211は、ジョブの設定情報(設定部数、用紙幅、紙種、厚み等)やプレビュー画像が表示された画面であり、連続印刷可能距離が決定されると、各色のカバレッジ211a、印刷距離設定(ジョブの画像データと設定部数に基づいて決定されるジョブの印刷距離)211b、連続印刷可能距離211cが表示される。また、連続印刷可能距離に制限があり、印刷距離設定が連続印刷可能距離より長い場合、連続印刷可能距離の延長方法211d、画像調整を指示するための画像調整ボタン211e及びトナー排出のための帯(第2の画像)を用紙Pの端部に追加して印刷することを指示するための帯追加ボタン211fが表示される。
【0062】
ユーザーは、連続印刷可能距離211cを参照することにより、トナー排出のための画像パターンを形成することなく用紙Pにどの程度の距離まで連続して印刷できるのか、いつジョブが停止してヤレ紙が発生するのかを把握することができる。また、延長方法211dを参照することにより、どのようにすれば連続印刷可能距離を延長することができるかを認識することができる。また、カバレッジ211aを参照することにより、印刷するジョブのカバレッジがどの程度であるのかを認識することができる。
また、ジョブ設定画面211には、画像調整ボタン211eが設けられているので、ユーザーは、連続印刷可能距離が十分でない場合、ただちに画像調整を行って連続印刷可能距離を変更することができる。また、帯追加ボタン211fが設けられているので、ユーザーは、トナーを多く消費してもジョブを停止したくない場合に、第2の画像の形成を指示することができる。
【0063】
操作部22により画像調整ボタン211eが押下されると(ステップS10;YES)、制御部101は、表示部21に画像調整画面(図示せず)を表示して、ユーザー操作に応じてジョブの画像データの画像調整を行い(ステップS11)、ステップS2に戻る。画像調整とは、例えば、トーンカーブ調整、濃度変更等が挙げられる。画像調整を実施して連続印刷可能距離の延長方法211dで指摘された色を増やすことにより、連続印刷可能距離を延長することができる。
【0064】
なお、画像調整ボタン211eが押下された際に、画面上で画像調整を行うかジョブの画像データを調整して送り直すかを選択するためのポップアップ画面等を表示部21に表示することとしてもよい。ユーザーは、ジョブの画像データを調整して送り直すことを選択して、外部の装置で画像調整を実施して送り直すことができる。画像調整された画像データが再送されると、制御部101は、調整済みの画像データでジョブの画像データを置き換えてステップS2に戻る。
【0065】
操作部22により印刷開始ボタン(スタートボタン)が押下されると(ステップS12;YES)、制御部101は、連続印刷可能距離<印刷距離であるか否かを判断する(ステップS13)。
連続印刷可能距離<印刷距離ではないと判断した場合(ステップS13;NO)、制御部101は、ステップS20に移行する。
連続印刷可能距離<印刷距離であると判断した場合(ステップS13;YES)、制御部101は、表示部21に印刷選択画面212を表示させる(ステップS14)。
【0066】
図6は、印刷選択画面212の一例を示す図である。印刷選択画面212は、印刷を行うか否か及び印刷を行う場合の印刷方法をユーザーが選択するための画面である。
図6に示すように、印刷選択画面212には、「連続印刷の距離を延長するにはYの色を増やしてください。」等の連続印刷可能距離を延長する方法を示すメッセージ212a、キャンセルボタン212b、「全て出力」ボタン212c、「上限まで出力」ボタン212d、画像調整ボタン212e等が設けられている。キャンセルボタン212bは、印刷中止を選択するためのボタンである。「全て出力」ボタン212cは、連続印刷可能な距離(**m)毎に、空白を挿入して(すなわち、ジョブを停止してトナー排出を行って)全て印刷することを選択するためのボタンである。「上限まで出力」ボタン212dは、連続印刷可能な距離(例えば、**m)までの印刷を選択するためのボタンである。画像調整ボタン212eは、画像調整を指示するためのボタンである。画像調整ボタン212eは、ジョブ設定画面211の画像調整ボタン211eと同様の機能を有するボタンである。画像調整により、メッセージ212aで指摘された色を増やすことで、連続印刷可能距離の延長が可能となる。
【0067】
印刷選択画面212によれば、キャンセルボタン212b、「全て出力」ボタン212c、「上限まで出力」ボタン212dが設けられているので、ユーザーがジョブの印刷開始を指示した後であっても、ジョブの印刷を行うか否かを選択することができる。また、印刷を行う場合、連続印刷可能距離まで印刷するか又は連続印刷可能距離毎に空白を挿入して全て印刷するかを選択することができる。
また、印刷選択画面212には、連続印刷可能距離を延長する方法を示すメッセージ212aが表示されているので、どのようにすれば連続印刷可能距離を延長することができるかをユーザーが認識することができる。また、画像調整ボタン212eが設けられているので、ユーザーは、連続印刷可能距離が十分でない場合、ただちに画像調整を行って連続印刷可能距離を変更することができる。
【0068】
なお、本実施形態において、印刷選択画面212における「全て出力」ボタン212c、「上限まで出力」ボタン212dの説明文における連続印刷可能距離(**m)は、カバレッジが「1色でも3%未満」で印刷距離設定が300m以上の場合は、300m、カバレッジが「全色3%以上5%未満」で印刷距離設定が1000m以上である場合、1000mである。
印刷選択画面212には、ジョブ設定画面211と同様に、カバレッジを表示させることとしてもよい。これにより、ユーザーは、印刷するジョブのカバレッジがどの程度であるのかを認識することができる。
【0069】
制御部101は、印刷選択画面212において操作部22により印刷が選択された(すなわち、「全て出力」ボタン212c又は「上限まで出力」ボタン212dが押下された)か否かを判断する(ステップS15)。
【0070】
操作部22により印刷が選択されていないと判断した場合(ステップS15;NO)、制御部101は、操作部22により画像調整ボタン212eが押下されたか否かを判断する(ステップS16)。
操作部22により画像調整ボタン212eが押下されたと判断した場合(ステップS16;YES)、制御部101は、表示部21に画像調整画面(図示せず)を表示して、ユーザー操作に応じてジョブの画像データの画像調整を行い(ステップS17)、カバレッジを再算出して連続印刷可能距離を決定(変更)し(ステップS18)、ステップS13に戻る。
操作部22により印刷中止が選択された(キャンセルボタン212bが押下された)と判断した場合(ステップS15;NO、ステップS16;NO、ステップS19;YES)、制御部101は、連続印刷制御処理を終了する。
【0071】
一方、操作部22により印刷が選択されたと判断した場合(ステップS15;YES)、制御部101は、ステップS20に移行する。
【0072】
ステップS20において、制御部101は、給紙部1、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、巻き取り部3等を制御して、ジョブの画像データに基づいて、用紙Pへの印刷を開始させる(ステップS20)。
ここで、ジョブ設定画面211において帯追加ボタン211fが押下された場合、制御部101は、ジョブに基づく画像と併せてトナー排出のための帯(第2の画像)を用紙Pの端部に印刷させる。
また、印刷選択画面212において「上限まで出力」が選択された場合、制御部101は、ジョブにおける印刷距離が連続印刷可能距離に到達するまで印刷を行わせ、連続印刷可能距離に到達した際に印刷を終了する。
また、印刷選択画面212において「全て出力」が選択された場合、制御部101は、連続印刷可能距離毎に用紙Pの搬送を停止させ、画像形成部40において中間転写ベルトに421にトナー排出用の画像パターンを形成させて現像装置412に滞留しているトナーの排出を行わせる。
【0073】
印刷が開始されると、制御部101は、ジョブに基づく印刷が終了したか否かを判断する(ステップS21)。
【0074】
ジョブに基づく印刷が終了していないと判断した場合(ステップS21;NO)、制御部101は、印刷開始から予め定められた所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS22)。印刷開始から予め定められた所定時間が経過していないと判断した場合(ステップS22;NO)、制御部101は、ステップS21に戻る。
【0075】
印刷開始から予め定められた所定時間が経過したと判断した場合(ステップS22;YES)、制御部101は、印刷開始から所定時間までに印刷した画像面積の総和を算出し、算出した総和に基づいて実カバレッジ(実際の印刷のカバレッジ)を算出し、実カバレッジが予測どおりであるか否かを判断する(ステップS23)。
【0076】
ステップS23においては、例えば、印刷距離が300mとなる時間を実カバレッジを算出する所定時間として、印刷開始から所定時間までに印刷した画像面積の総和及び印刷可能領域の総和を算出し、算出した画像面積の総和/印刷可能領域の総和×100(%)を実カバレッジとして算出する。そして、ステップS2又はS18で算出したカバレッジが全色3%以上であった場合、実カバレッジが全色3%以上であった場合に、実カバレッジが予測どおりであると判断し、実カバレッジが1色でも3%未満である場合に、実カバレッジが予測どおりではないと判断する。なお、ステップS2又はS18で算出したカバレッジが1色でも3%未満の場合は、連続して300m以上印刷することがないため、印刷距離が300mとなる時間を実カバレッジを算出する所定時間とした場合のステップS23の予測は不要であり、ステップS21に戻る。
さらに、例えば、印刷距離が1000mとなる時間を実カバレッジを算出する所定時間として、印刷開始から所定時間までに印刷した画像面積の総和及び印刷可能領域の総和を算出し、算出した画像面積の総和/印刷可能領域の総和×100(%)を実カバレッジとして算出する。そして、ステップS2又はS18で算出したカバレッジが全色5%以上であった場合、実カバレッジが全色5%以上である場合に、実カバレッジが予測どおりであると判断し、実カバレッジが1色でも5%未満である場合に、実カバレッジが予測どおりではないと判断する。なお、ステップS2又はS18で算出したカバレッジが1色でも5%未満の場合は、連続して1000m以上印刷することがないため、印刷距離が1000mとなる時間を実カバレッジを算出する所定時間とした場合のステップS23の予測は不要であり、ステップS21に戻る。
【0077】
実カバレッジが予測どおりであると判断した場合(ステップS23;YES)、制御部101は、ステップS21に戻る。
実カバレッジが予測どおりではないと判断した場合(ステップS23;NO)、制御部101は、印刷を停止してエラーを出力し(ステップS24)、連続印刷制御処理を終了する。ここで、実カバレッジが予測よりも低い場合、印刷を続行すると画像にかぶりやトナー飛散などの問題が発生するため、印刷を停止する。エラーの出力は、表示部21にエラー表示を行うこととしてもよいし、警告音等を出力してもよい。
【0078】
ステップS21において、ジョブに基づく印刷が終了したと判断した場合(ステップS21;YES)、制御部101は、連続印刷制御処理を終了する。
【0079】
上記連続印刷制御処理においては、ジョブ内の全画像のカバレッジの平均値をカバレッジとして算出し、算出したカバレッジが予め定められた閾値を超えたか否かに基づいて連続印刷可能距離を決定することとして説明したが、これに限定されない。例えば、ジョブ内の所定のカバレッジ以下の画像総数の距離から連続印刷可能距離を決定することとしてもよい。例えば、ジョブ内の「1色でも3%未満」のカバレッジの画像総数の距離が300mを超えている場合、連続印刷可能距離は300mまでと決定し、「全色3%以上5%未満」のカバレッジの画像総数の距離が1000mを超えている場合、連続印刷可能距離は1000mまでと決定し、「全色5%以上」のカバレッジの画像総数の距離が印刷距離(全画像)である場合、連続印刷可能距離は無制限と決定する。
【0080】
以上説明したように、画像形成装置100の制御部101によれば、ジョブの画像データに基づいて用紙P(連続紙)に形成する画像のカバレッジを算出し、算出したカバレッジに基づいて、用紙Pに連続して印刷可能な連続印刷可能距離を決定し、決定した連続印刷可能距離を画像形成部40による印刷開始前に表示部21に表示させる。
したがって、トナー排出のための画像パターンを形成することなく連続紙に連続して印刷できる連続印刷可能距離をユーザーが把握することが可能となる。
【0081】
また、制御部101は、ジョブの画像データの画像調整が実施されると、画像調整後の画像データに基づいてカバレッジを再算出し、再算出したカバレッジに基づいて連続印刷可能距離を決定する。したがって、画像調整を実施した場合に、画像調整後の連続印刷可能距離をユーザーが把握することが可能となる。
【0082】
また、制御部101は、画像形成部40による印刷開始から所定時間内に用紙Pに印刷された画像面積の総和を算出し、算出した画像面積の総和に基づいて画像形成部40による印刷動作を停止するか否かを制御する。したがって、実際に印刷された画像面積が予測と合わない場合に、印刷動作を緊急停止させることが可能となる。
【0083】
また、制御部101は、ジョブの印刷距離が、ジョブの画像データから算出したカバレッジに基づいて決定した連続印刷可能距離より長い場合に、ユーザーがジョブの印刷開始を指示した後、ジョブの印刷を行うか否かをユーザーに選択させるための選択肢を表示した印刷選択画面212を表示部21に表示させ、ユーザーによる選択肢の選択操作に応じて、印刷を開始するか又は中止するかを制御する。したがって、ジョブの印刷距離が、ジョブの画像データから算出したカバレッジに基づいて決定した連続印刷可能距離より長い場合は、ユーザーはジョブの印刷開始を指示した後であっても、ジョブの印刷を行うか否かを選択することができる。
【0084】
また、制御部101は、印刷選択画面212に、さらに、ユーザーにジョブの印刷を行う場合の印刷方法として連続印刷可能距離まで印刷するか又は連続印刷可能距離毎に空白を挿入して全て印刷するかを選択させるための選択肢を表示し、ユーザーにより選択されたジョブの印刷方法に基づいて、画像形成部40に印刷を行わせる。したがって、ジョブの印刷距離が、ジョブの画像データから算出したカバレッジに基づいて決定した連続印刷可能距離より長い場合、ユーザーは、連続印刷可能距離まで印刷するか又は連続印刷可能距離毎に空白を挿入して全て印刷するかを選択することができる。
【0085】
また、制御部101は、印刷選択画面212に、さらに、連続印刷可能距離の延長方法を表示するので、ユーザーは、どのようにしたら連続印刷可能距離を延長することができるのかを知ることができる。
【0086】
また、制御部101は、印刷選択画面212に、さらに、ジョブの画像データのカバレッジを表示するので、ユーザーは、印刷するジョブのカバレッジがどの程度であるのかを認識することができる。
【0087】
また、制御部101は、印刷選択画面212に、さらに、ジョブの画像データの画像調整を指示するための画像調整ボタンを表示し、画像調整ボタンが押下された場合にジョブの画像データの画像調整を実施して連続印刷可能距離を変更する。したがって、連続印刷可能距離が十分でない場合、ユーザーは、すぐに画像調整を行って連続印刷可能距離を変更することが可能となる。
【0088】
また、制御部101は、ユーザーがジョブの印刷開始を指示する前に、連続印刷可能距離を表示したジョブ設定画面211を表示部21に表示させる。したがって、ユーザーは、ジョブの印刷開始を指示する前に、連続印刷可能距離を把握しておくことができる。
【0089】
また、制御部101は、ジョブ設定画面211に、さらに、連続印刷可能距離の延長方法を表示する。したがって、ユーザーは、どのようにしたら連続印刷可能距離を延長することができるのかを知ることができる。
【0090】
また、制御部101は、ジョブ設定画面211に、さらに、ジョブの画像データのカバレッジを表示するので、ユーザーは、印刷するジョブのカバレッジがどの程度であるのかを認識することができる。
【0091】
また、制御部101は、また、ジョブ設定画面211に、さらに、ジョブの画像情報の画像調整を指示するための画像調整ボタンを表示し、操作部22により画像調整ボタンが押下された場合にジョブの画像データの画像調整を実施して連続印刷可能距離を変更する。したがって、連続印刷可能距離が十分でない場合、ユーザーは、すぐに画像調整を行って連続印刷可能距離を変更することが可能となる。
【0092】
また、制御部101は、ジョブの印刷距離が、ジョブの画像データから算出したカバレッジに基づいて決定した連続印刷可能距離より長い場合に、用紙Pに転写する画像にトナーを排出するための第2の画像を追加して印刷することを指示するための帯追加ボタンを表示部21に表示させ、帯追加ボタンが押下された場合は、画像形成部40において用紙Pにジョブに基づく画像を印刷する際に併せて用紙Pの端部に第2の画像を印刷させる。したがって、トナー消費量は多くなるがジョブを停止させたくない(ヤレ紙を発生させたくない)場合、トナー排出のための第2の画像を用紙Pに印刷してトナー劣化を回避することもできる。
【0093】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の好適な一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
例えば、上記した実施形態では、感光体ドラムに形成された画像を中間転写ベルトに一次転写し、中間転写ベルトから二次転写ローラーにより用紙に画像を転写するカラーの画像形成装置を例にとり説明したが、本発明は、感光体ドラムから転写ローラーにより直接用紙に画像を転写するモノクロの画像形成装置においても適用可能である。
【0094】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として、ROM、不揮発性メモリー、ハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
また、上記実施形態では、報知部として表示部を一例として挙げたが、報知部は表示により情報を連絡するものに限らず、例えば音声等を用いて情報をユーザーに連絡する手段であっても構わない。
【0095】
その他、画像形成装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0096】
100 画像形成装置
1 給紙部
2 本体部
3 巻き取り部
10 画像読取部
20 操作表示部
21 表示部
211 ジョブ設定画面
212 印刷選択画面
22 操作部
30 画像処理部
40 画像形成部
50 用紙搬送部
60 定着部
71 通信部
72 記憶部