(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】飛行時間型質量分析装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H01J 49/40 20060101AFI20220802BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20220802BHJP
【FI】
H01J49/40
G01N27/62 E
G01N27/62 D
(21)【出願番号】P 2018149773
(22)【出願日】2018-08-08
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出水 秀明
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2010/095586(JP,A1)
【文献】特開2007-046966(JP,A)
【文献】特開2003-346704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0016976(US,A1)
【文献】再公表特許第2017/017787(JP,A1)
【文献】特表2006-517723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 49/40
G01N 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライトチューブと、
前記フライトチューブに接続されているイオン導入部と、
前記フライトチューブ内を飛行したイオンを検出するイオン検出器と、
前記イオン導入部および前記フライトチューブを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、繰り返し行われる複数回の測定において、前記イオン導入部が前記フライトチューブに導入するイオンの蓄積状態を順次変更
し、
前記制御部は、イオンの量を相対的に多く設定した測定での検出結果に基づいて存在比が相対的に小さなイオンの飛行時間を算出し、イオンの量を相対的に少なく設定した測定での検出結果に基づいて存在比が相対的に大きなイオンの飛行時間を算出する飛行時間型質量分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置において、
前記イオン導入部はイオントラップを有する飛行時間型質量分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の飛行時間型質量分析装置において、
前記蓄積状態の変更は、前記イオントラップへの蓄積時間の変更により行う、
飛行時間型質量分析装置。
【請求項4】
フライトチューブと、
前記フライトチューブに接続されているイオン導入部と、
前記フライトチューブ内を飛行したイオンを検出するイオン検出器と、
前記イオン導入部および前記フライトチューブを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、繰り返し行われる複数回の測定において、前記イオン導入部が前記フライトチューブに導入するイオンの蓄積状態を順次変更する飛行時間型質量分析装置において、
前記制御部は、前記複数回の測定の結果に基づいて複数の前記蓄積状態から最適蓄積状態を決定する、飛行時間型質量分析装置。
【請求項5】
請求項4に記載の飛行時間型質量分析装置において、
前記制御部は、前記最適蓄積状態を決定した後に、前記蓄積状態の変更に際し、前記最適蓄積状態の測定回数を他の蓄積状態よりも多く設定する、飛行時間型質量分析装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の飛行時間型質量分析装置において、
前記制御部は、前記複数回の測定の結果における少なくとも1種類のイオン検出結果のピーク強度に基づいて、前記最適蓄積状態を決定する、飛行時間型質量分析装置。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載の飛行時間型質量分析装置において、
前記制御部は、前記複数回の測定の結果における少なくとも1種類のイオン検出結果の時間幅に基づいて前記最適蓄積状態を決定する、飛行時間型質量分析装置。
【請求項8】
請求項4または請求項5に記載の飛行時間型質量分析装置において、
前記制御部は、前記複数回の測定の各結果におけるイオン検出量の積分値に基づいて、前記最適蓄積状態を決定する、飛行時間型質量分析装置。
【請求項9】
請求項4または請求項5に記載の飛行時間型質量分析装置において、
前記イオン検出器とは別に、前記フライトチューブに導入されたイオンの量を検出する第2イオン検出器を有し、
前記制御部は、前記複数回の測定の各回における前記第2イオン検出器のイオン検出量の積分値に基づいて、前記最適蓄積状態を決定する、飛行時間型質量分析装置。
【請求項10】
請求項4から請求項9までのいずれか一項に記載の飛行時間型質量分析装置において、
前記制御部は、前記最適蓄積状態において測定された結果を表示部に表示させる、飛行時間型質量分析装置。
【請求項11】
請求項6または請求項7に記載の飛行時間型質量分析装置において、
前記制御部は、前記測定の結果から、前記最適蓄積状態の決定に使用したイオン検出結果以外の少なくとも一部を除外して表示部に表示させ、または、測定結果データベースに
集積する、飛行時間型質量分析装置。
【請求項12】
飛行時間型質量分析装置を制御するプログラムにおいて、
コンピュータを含むデータ処理装置に、
繰り返し行われる複数回の測定において、イオン導入部からフライトチューブに導入するイオンの蓄積状態を順次変更する制御を行わせ
、
前記制御により、イオンの量を相対的に多く設定した測定での検出結果に基づいて存在比が相対的に小さなイオンの飛行時間を算出し、イオンの量を相対的に少なく設定した測定での検出結果に基づいて存在比が相対的に大きなイオンの飛行時間を算出するプログラム。
【請求項13】
飛行時間型質量分析装置を制御するプログラムにおいて、
コンピュータを含むデータ処理装置に、
繰り返し行われる複数回の測定において、イオン導入部からフライトチューブに導入するイオンの蓄積状態を順次変更する制御を行わせ、
前記データ処理装置に、前記複数回の測定の結果に基づいて複数の前記蓄積状態から最適蓄積状態を決定させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行時間型質量分析装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
飛行時間型質量分析装置(以下、TOFMSと称すことがある)では、分析対象のイオンに一定の運動エネルギを付与し、フライトチューブ内に形成される飛行空間にイオンを導入して飛行空間中を飛行させる。そして、各イオンが一定の距離を飛行するのに要する時間を測定し、その飛行時間に基づいて各イオンの質量電荷比(m/z)を算出する。
また、飛行時間型質量分析装置において、分析対象イオンをフライトチューブに導入する前にイオントラップに蓄積し、分析対象イオンの数を増大させ、測定精度を高める方法も提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛行時間型質量分析装置の分析対象は電荷を有するイオンであるため、装置に導入するイオンの数が増えると、いわゆる空間電荷効果により測定精度が低下する恐れがある。現状要求されている測定精度においては、空間電荷効果の影響は問題となるレベルではない。ただし、将来的にはより高精度かつ高分解能の質量分析装置を実現するために、イオン数の一層の増大やフライトチューブ内の飛行距離の一層の増大が必要になり、この結果、空間電荷効果の影響が増大し、空間電荷効果を無視できなくなるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好ましい態様による飛行時間型質量分析装置は、フライトチューブと、前記フライトチューブに接続されているイオン導入部と、前記フライトチューブ内を飛行したイオンを検出するイオン検出器と、前記イオン導入部および前記フライトチューブを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、繰り返し行われる複数回の測定において、前記イオン導入部が前記フライトチューブに導入するイオンの蓄積状態を順次変更する。
さらに好ましい態様では、前記イオン導入部はイオントラップを有する。
さらに好ましい態様では、前記蓄積状態の変更は、前記イオントラップへの蓄積時間の変更により行う。
さらに好ましい態様では、前記制御部は、前記複数回の測定の結果に基づいて複数の前記蓄積状態から最適蓄積状態を決定する。
さらに好ましい態様では、前記制御部は、前記最適蓄積状態を決定した後に、前記蓄積状態の変更に際し、前記最適蓄積状態を他の蓄積状態よりも多く設定する。
さらに好ましい態様では、前記制御部は、前記複数回の測定の結果における少なくとも1種類のイオン検出結果のピーク強度に基づいて、前記最適蓄積状態を決定する。
さらに好ましい態様では、前記制御部は、前記複数回の測定の結果における少なくとも1種類のイオン検出結果の時間幅に基づいて前記最適蓄積状態を決定する。
さらに好ましい態様では、前記制御部は、前記複数回の測定の各結果におけるイオン検出量の積分値に基づいて、前記最適蓄積状態を決定する。
さらに好ましい態様では、前記イオン検出器とは別に、前記フライトチューブに導入されたイオンの量を検出する第2イオン検出器を有し、前記制御部は、前記複数回の測定の各回における前記第2イオン検出器のイオン検出量の積分値に基づいて、前記最適蓄積状態を決定する。
さらに好ましい態様では、前記制御部は、前記最適蓄積状態において測定された結果を表示部に表示させる。
さらに好ましい態様では、前記制御部は、前記測定の結果から、前記最適蓄積状態の決定に使用したイオン検出結果以外の少なくとも一部を除外して表示部に表示させ、または、測定結果データベースに集積する。
本発明の好ましい態様によるプログラムは、飛行時間型質量分析装置を制御するプログラムにおいて、コンピュータを含むデータ処理装置に、繰り返し行われる複数回の測定において、イオン導入部からフライトチューブに導入するイオンの蓄積状態を順次変更する制御を行わせる。
さらに好ましい態様によるプログラムは、前記データ処理装置に、前記複数回の測定の結果に基づいて複数の前記蓄積状態から最適蓄積状態を決定させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、空間電荷効果による悪影響を低減した、高精度かつ高分解能な飛行時間型質量分析装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態の飛行時間型質量分析装置の構成を示す図。
【
図2】
図2は、複数の測定毎のイオン輸送光学系の輸送効率の一例を示す図。
【
図3】
図3は、測定結果の一例を示し、
図3(a)は輸送効率が低い場合の測定結果を、
図3(b)は輸送効率が中程度の場合の測定結果を、
図3(c)は輸送効率が高い場合の測定結果を、それぞれ表す。
【
図4】
図4は、第2実施形態の飛行時間型質量分析装置のイオン導入部の構成を示す図。
【
図5】
図5は、表示部に表示される測定結果の変形例を表す図。
【
図6】
図6は、複数の測定毎のイオン輸送光学系の輸送効率の別の例を示す図。
【
図7】
図7は、ソフトウエアの実施形態が実行するフローチャートの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(飛行時間型質量分析装置の第1実施形態)
図1は、本第1実施形態の飛行時間型質量分析装置100の構成を示す概念図である。飛行時間型質量分析装置100は、イオン導入部1と、イオン導入部1に接続されている真空チャンバ13と、真空チャンバ13の内部に設けられているフライトチューブ14とを備える。
【0009】
イオン導入部1内のイオン化室2には、イオン源としてのエレクトロスプレイイオン化(ESI)を行うためのESIスプレー3が設けられている。分析対象成分を含む試料液がESIスプレー3に供給されると、ESIスプレー3から試料液が静電噴霧されることで試料液中の試料由来のイオンが生成される。なお、イオン化方法はこれに限るものではない。
【0010】
生成された各種イオンは加熱キャピラリ4を通過し、イオンガイド5により収束されてスキマー6を通じて、オクタポール型のイオンガイド7に至る。イオンガイド7により収束されたイオンは四重極マスフィルタ8に導入され、四重極マスフィルタ8に印加されている電圧に応じた特定の質量電荷比を有するイオンのみが四重極マスフィルタ8を通り抜ける。このイオンはプリカーサイオンと呼ばれる。プリカーサイオンは、多重極型のイオンガイド10が設けられているコリジョンセル9に導入され、外部から供給されるCIDガスとの衝突によってプリカーサイオンは解離し、各種のプロダクトイオンが生成される。
【0011】
コリジョンセル9で生成された各種のプロダクトイオンは、イオン輸送光学系12により案内され、イオン導入部1と接続されている真空チャンバ13内に導入される。
不図示であるが、イオン導入部1および真空チャンバ13には、真空ポンプが接続されており、それらの内部は減圧状態に保たれている。
【0012】
真空チャンバ13の内部には、絶縁性で且つ振動吸収性能の高い支持部材15が設けられている。そして、略角筒形状または略円筒形状のフライトチューブ14は、その外側面の少なくとも一部が支持部材15に支持され、支持部材15を介して真空チャンバ13に支持されている。
また、図示しない支持部材を介して、このフライトチューブ14に対し直交加速電極16及びイオン検出器20がそれぞれ固定されている。直交加速電極16はフライトチューブ14の一部である。フライトチューブ14の内部の下側には、多数の円環状又は矩形環状の反射電極から成るリフレクタ19が配置されている。これにより、フライトチューブ14の内部には、リフレクタ19により形成される反射電場でイオンが折り返されるリフレクトロン型の飛行空間FAが設けられている。
【0013】
フライトチューブ14はステンレス等の金属製であり、所定の直流電圧がフライトチューブ14に印加される。また、リフレクタ19を構成する複数の反射電極には、フライトチューブ14に印加される電圧を基準としてそれぞれ異なる直流電圧が印加される。これによりリフレクタ中には反射電場が形成され、それ以外の飛行空間FAは無電場および無磁場で且つ高真空となる。
【0014】
+X方向に進行して直交加速電極16に導入されたイオンは、所定のタイミングで押出電極17および引出電極18間に所定の電場が形成されることにより-Z方向に加速されることで飛行を開始する。直交加速電極16から射出されたイオンは、破線の飛行経路FPに示すとおり、まず飛行空間FA中を自由飛行した後、リフレクタ19により形成される反射電場で+Z方向に折り返され、飛行空間FA中を再び自由飛行してイオン検出器20に到達する。
【0015】
飛行空間中のイオンの速度は当該イオンの質量電荷比に依存する。そのため、略同時に飛行空間FAに導入された異なる質量電荷比を有する複数種のイオンは、飛行する間に質量電荷比に応じて分離され、時間差を有してイオン検出器20に到達する。イオン検出器20による検出信号は制御部30に入力され、各イオンの飛行時間が質量電荷比に換算されることでマススペクトルが作成され、質量分析がなされる。
【0016】
制御部30は、内部にCPU31、メモリ32、およびハードディスク33を備え、プログラムをメモリ32またはハードディスク33に格納し、そのプログラムをCPU31に実行させることで、飛行時間型質量分析装置100の各部を制御することができる。
制御部30は、直交加速電極16に対して、所定のタイミングで押出電極17と引出電極18との間に所定の電場を形成させるための指令も行う。
【0017】
より高精度または高分解能な質量分析を行うためには、飛行空間FAのイオンの飛行経路FPは、より長いことが好ましい。飛行経路FPを長くすることにより、イオンの質量電荷比に依存する速度差が、より大きな時間差となって測定されるためである。
ただし、飛行経路FPを長くするとイオンの飛行時間が増大するため、イオン同士の電荷による反発力等のイオンから発生する電界・磁界の相互作用の作用時間も増大し、すなわち空間電荷効果の影響が大きくなる。
【0018】
そこで、本第1実施形態においては、フライトチューブ14内のイオンの飛行とイオン検出器20によるイオンの検出とを含む測定を複数回行うとともに、各回の測定においてイオン導入部1からフライトチューブ14に導入されるイオンの量を変更するものとしている。各回の測定に先立って、制御部30はイオン輸送光学系12に指令を送り、イオン輸送光学系12を構成する各電極に印加する電圧を変更させる。これによりイオン輸送光学系12の結像条件が変更されるため、イオン輸送光学系12の輸送効率、すなわちコリジョンセル9を射出した後にフライトチューブ14の一部である直交加速電極16に誘導されるイオンの割合が変更される。従って、各回の測定毎に、イオン導入部1からフライトチューブ14に導入されるイオンの量(イオンの蓄積状態)を変更することができる。
【0019】
図2は、複数回の測定ごとに設定するイオン輸送光学系12の輸送効率の一例を示すグラフである。グラフの横軸は測定回数Fnであり、グラフの縦軸はイオン輸送光学系12の輸送効率Sを表す。
図2に示した例では、測定はF1からF9までの9回行われるものとしている。そして、イオン輸送光学系12の輸送効率Sは、測定F1、F4、F7の3回ではS1に設定され、測定F2、F5、F8の3回ではS2に設定され、測定F3、F6、F9の3回ではS3に設定される。
【0020】
図3は、測定の結果の一例を示すグラフであり、
図3(a)はイオン輸送光学系12の輸送効率Sが低い(
図2に示したS1)の場合の測定結果を、
図3(b)はイオン輸送光学系12の輸送効率Sが中程度(
図2に示したS2)の場合の測定結果を、
図3(c)はイオン輸送光学系12の輸送効率Sが高い(
図2に示したS3)の場合の測定結果をそれぞれ表す。
【0021】
図3(a)~
図3(c)の各グラフの横軸はイオンの飛行時間Tfであり、縦軸はイオン検出器20に検出されたイオンの量である。
図3の例では、測定対象のイオンには、3種類のイオンIa、Ib、Icが含まれており、それぞれの質量電荷比の違いにより、各イオンの飛行時間Tfに差が生じている。
図3の例では、イオンIaは測定対象のイオンの中での存在比が比較的少なく、イオンIcは測定対象のイオンの中での存在比が比較的多く、イオンIbの存在比はそれらの中間程度である。
【0022】
図3(a)に示す測定結果の場合、イオン輸送光学系12の輸送効率Sが低いために、測定時にイオン導入部1からフライトチューブ14に導入されたイオンの蓄積状態も低く、従って1回の測定で検出されるイオンの総量も少ない。この条件においては、存在比の小さなイオンIaの検出結果Ia1およびイオンIbの検出結果Ib1も小さくなり、測定ノイズに影響されイオンIaおよびイオンIbの正確な飛行時間を決定することは難しい。
一方、存在比の大きなイオンIcの検出結果Ic1は、この条件においては、ノイズレベルよりも十分に高く、かつ検出結果Ic1が飽和することもないので、飛行時間を正確に決定すること、すなわち、高精度に質量電荷比を測定することができる。
このとき、飛行時間の決定は、例えば制御部30が、検出結果Ic1のうちの所定のレベル以上の部分についての重心を算出することにより行う。
【0023】
図3(b)に示す測定結果の場合、イオン輸送光学系12の輸送効率Sが中程度のために、存在比の小さなイオンIaの検出結果Ia2は小さく、正確な飛行時間の決定のためには十分ではない。
しかし、存在比が中程度のイオンIbの検出結果Ib2は飽和せず、ノイズレベルよりも十分に高い。従って、イオンIbの飛行時間を正確に決定すること、すなわち高精度に質量電荷比を測定することができる。
【0024】
ただし、
図3(b)に示す測定結果の場合には、存在比の大きなイオンIcの検出結果Ic2は飽和している。そして、イオン検出器20が飽和する程の大量のイオンIcが略同時に飛行経路FP上を飛行したことにより、検出結果Ic2は空間電荷効果の悪影響を強く受けている。その結果、検出結果Ic2を用いてイオンIcの質量電荷比を測定しても、高精度な測定は困難となる。
【0025】
図3(c)に示す測定結果の場合、イオン輸送光学系12の輸送効率Sが高いために、測定時にイオン導入部1からフライトチューブ14に導入されたイオンの蓄積状態も高くなる。このため、存在比の小さなイオンIaについても十分な検出結果Ia3を得ることができ、イオンIaの飛行時間を正確に決定し、高精度に質量電荷比を測定することができる。
ただし、存在比が中程度のイオンIbの検出結果Ib3、および存在比が高いイオンIcの検出結果Ic3は飽和してしまう。イオン検出器20が飽和する程のイオンによる空間電荷効果の悪影響は、上述の場合と同様であり、イオンIbおよびイオンIcについては、
図3(c)に示す測定結果から高精度で質量電荷比を測定することは困難である。
【0026】
以上の複数回の測定をまとめると、存在比の小さなイオンIaの飛行時間はイオン輸送光学系12の輸送効率Sを高く(S3)設定した測定での検出結果Ia3に基づいて算出し、存在比が中程度のイオンIbの飛行時間はイオン輸送光学系12の輸送効率Sを中程度(S2)に設定した測定での検出結果Ib2に基づいて算出し、存在比の大きなイオンIcの飛行時間はイオン輸送光学系12の輸送効率Sを低く(S1)設定した測定での検出結果Ic1に基づいて算出することで、空間電荷効果による悪影響を低減した、高精度かつ高分解能な飛行時間の測定を行うことができる。
【0027】
なお、イオン導入部1からフライトチューブ14に導入するイオンの蓄積状態を変更する方法は、上述したイオン輸送光学系12の輸送効率の変更に限られるわけではない。イオン導入部1を構成する他の要素であるイオンガイド5およびイオンガイド7に印加する電圧や、コリジョンセル9内の多重極型のイオンガイド10に印加する電圧を変更することによって、イオン導入部1からフライトチューブ14に導入するイオンの蓄積状態を変更することもできる。
【0028】
(第1実施形態の効果)
(1)以上の第1実施形態の飛行時間型質量分析装置は、フライトチューブ14と、フライトチューブ14に接続されているイオン導入部1と、フライトチューブ14内を飛行したイオンを検出するイオン検出器20と、イオン導入部1およびフライトチューブ14を制御する制御部とを備え、制御部30は、繰り返し行われる複数回の測定において、イオン導入部1がフライトチューブ14に導入するイオンの蓄積状態を順次変更する構成を有している。
このため、空間電荷効果による悪影響を低減した、高精度かつ高分解能な飛行時間型質量分析装置を実現できる。
【0029】
(飛行時間型質量分析装置の第2実施形態)
第2実施形態の飛行時間型質量分析装置は、上述の第1実施形態の飛行時間型質量分析装置とほぼ同様であるが、イオン導入部1aのみが上述の第1実施形態のイオン導入部1とは異なっている。
図4は、第2実施形態の飛行時間型質量分析装置のイオン導入部1aの概略を示す図である。第2実施形態の飛行時間型質量分析装置のイオン導入部1aにおいては、コリジョンセル9とイオン輸送光学系12の間に、イオントラップ22を設けている。イオントラップ22は例えば四重極イオントラップである。
【0030】
第2実施形態の飛行時間型質量分析装置では、コリジョンセル9で生成された各種のプロダクトイオンは、イオントラップ22に蓄積された後、所定のタイミングでイオントラップ22から放出され、イオン輸送光学系12により案内され、フライトチューブ14の一部である直交加速電極16に導入される。イオントラップ22のイオンの蓄積および放出は、制御部30からの指令に基づいて行われる。
本第2実施形態においては、各種のプロダクトイオンをイオントラップ22に蓄積して放出することができるので、1回の測定でフライトチューブ14内を飛行するイオンの数を、上述の第1実施形態よりも多く設定することができ、ノイズに対する信号(イオン検出量)を増大させ、S/Nの良い計測が可能となる。
【0031】
(第2実施形態の変形例1)
上述のイオントラップ22を設ける代わりに、コリジョンセル9自体に、イオントラップ機能を持たせることもできる。すなわち、たとえば
図4に示すように、コリジョンセル9に入口レンズ電極11a及び出口レンズ電極11bを設け、コリジョンセル9内で生成されたプロダクトイオンを一時的に蓄積する構成としても良い。
この場合にも、制御部30からの指令に基づいて、所定のタイミングで入口レンズ電極11a及び出口レンズ電極11bにイオンを排出するための電圧を印加して、蓄積したイオンを放出する。
【0032】
図4では、イオントラップ22とともにイオン蓄積効果を付加したコリジョンセル9を示している。しかし、イオントラップ22を備えない
図1の装置のコリジョンセル9にイオン蓄積効果を付加してもよい。
【0033】
(第2実施形態および変形例1の効果)
(2)以上の第1実施形態の飛行時間型質量分析装置は、上述の第1実施形態の飛行時間型質量分析装置に加えて、イオン導入部1はイオントラップ22を有する構成としている。
これにより、1回の測定でフライトチューブ14内を飛行するイオンの数をより多くすることができ、S/Nの良い計測が可能となる。
なお、第2実施形態および変形例1においても、上述の第1実施形態と同様に、フライトチューブ14内を飛行するイオンの数が増加しても、空間電荷効果による悪影響を受けることはない。
【0034】
(第2実施形態の変形例2)
変形例2では、上述の第2実施形態または変形例1において、イオントラップ22またはコリジョンセル9のイオン蓄積時間を変更することで、フライトチューブ14の直交加速電極16に導入するイオンの蓄積状態を変更する。なお、これに併せて、さらにイオン導入部1内のイオン輸送光学系12、イオンガイド5、およびイオンガイド7に印加する電圧を変更して、イオン導入部1の輸送効率も変更しても良い。
【0035】
(変形例2の効果)
(3)以上の変形例2の飛行時間型質量分析装置は、上述の第2実施形態の飛行時間型質量分析装置に加えて、蓄積状態の変更をイオントラップ22により行う構成とするか、またはコリジョンセル9への蓄積時間の変更により行う構成とするため、イオン導入部1で生成されるイオンを効率良く、測定に使用することができる。
【0036】
(変形例3)
変形例3の飛行時間型質量分析装置では、上述の各実施形態および各変形例の飛行時間型質量分析装置において、イオンの蓄積状態を異ならせて行った複数回の測定の結果に基づいて、制御部30が最適蓄積状態を決定する。
例えば、
図3に示した測定結果に対して、制御部30は、オペレータが指定したイオンの検出量のピーク値が、飽和せず、かつノイズレベルよりも十分に高い蓄積状態を決定する。
【0037】
例えば、オペレータがイオンI2を指定した場合には、
図3(b)に示したイオンIbの検出結果Ib2がこの条件を満たすため、
図3(b)の結果を測定した際に使用した、イオン輸送光学系12の輸送効率S2を、最適蓄積状態として決定する。
オペレータが2種類のイオンを指定した場合には、2種類のイオンに対して、それぞれの最適蓄積状態を決定することもできる。
なお、イオンの検出量がノイズレベルよりも十分に高いとは、例えば、イオンの検出量が、ノイズレベルの標準偏差の4倍以上の大きさであるかを基準として判断すればよい。
【0038】
以下のアルゴリズムにより最適蓄積時間を決定することもできる。
(1)制御部30は、検出された複数のイオンのうちの最も検出量が少ないイオンについて、そのイオン検出量のピーク値が飽和せず、かつノイズレベルよりも十分に高いレベルとなる輸送効率S(蓄積状態)を、最適蓄積状態としてもよい。
【0039】
(2)制御部30は、複数回の測定結果から、オペレータが指定したイオンのイオン検出量の時間幅が、所定の時間幅の範囲となっている測定結果を選定し、その測定結果を得た際の輸送効率S(蓄積状態)を、最適蓄積状態としてもよい。
測定されたイオン検出量の時間幅とは、例えば、イオン検出量の時間的な半値全幅であり、これは、概ね飛行時間型質量分析装置の時間分解能と一致する。従って、測定されたイオン検出量の時間幅が装置の時間分解能の例えば2倍以上であれば、その測定結果は、空間電荷効果による悪影響を受けたと推定される。一方、測定されたイオン検出量の時間幅が装置の時間分解能の例えば半分以下であれば、その測定結果はノイズの影響を受けていると推定される。
よって、イオン検出量の時間幅が、所定の時間幅の範囲となっている測定結果を選定することで、最適蓄積状態を決定することができる。
【0040】
(3)制御部30は、複数回の測定の各結果におけるイオン検出量の積分値に基づいて、最適蓄積状態を決定することもできる。この場合には、各イオンに対してのその検出量に基づいての最適蓄積状態の決定は困難であるが、最適蓄積状態の決定に必要な演算量を削減することができ、短時間での決定が可能になる。
【0041】
(4)飛行時間型質量分析装置では、フライトチューブ14を飛行したイオンを検出するイオン検出器20以外に、フライトチューブ14の一部である直交加速電極16に導入されて、直交加速電極16を通過したイオンを検出する第2イオン検出器21を備えていても良い。第2イオン検出器21に検出されるイオンの量は、イオン検出器20に検出されるイオンの量に比例する。従って、第2イオン検出器21によるイオン検出量に基づいて、フライトチューブ14を飛行するイオンの量が推定できるため、制御部30は、複数回の測定の各結果における第2イオン検出器21によるイオン検出量に基づいて、最適蓄積状態を決定することもできる。
【0042】
変形例3の飛行時間型質量分析装置は、さらに表示部34を備え、上述の最適蓄積状態において測定された結果(イオン検出量対飛行時間のグラフ等)を表示部34に表示する構成とすることもできる。これによりオペレータは、最適な測定条件で測定された結果を表示部34上に見ることができる。
また、上述の最適蓄積状態が、オペレータが指定したイオンや存在比が最も少ないイオンに基づいて決定されている場合には、その検出結果から、その最適蓄積状態の決定に使用したイオンの検出結果を表す部分以外の、少なくとも一部を除外して表示部34に表示させることもできる。
【0043】
図5は、このような表示の一例を示す図であり、
図5は、基本的には
図3(b)に示した測定結果を示している。上述のように、
図3(a)~
図3(c)に示した測定結果においては、例えばオペレータがイオンI2を指定した場合には、
図3(b)の結果が、イオンI2に対する最適蓄積状態での測定結果である。そして、
図3(b)の測定結果においては、イオンIcの検出結果Ic2は飽和している。そこで、
図5に示した表示においては、
図3(b)の測定結果から、イオンIbの検出結果Ib2を表す部分以外の少なくとも一部であるイオンIcの検出結果Ic2を表す部分を、除外して表示している。
【0044】
このように表示することにより、不必要な情報を削除し、必要な情報だけをオペレータに対して示すことができる。
なお、上述の、最適蓄積状態の決定に使用したイオンの検出結果を表す部分以外の少なくとも一部を除外した測定結果を表示部34に表示する代わりに、あるいは表示部34への表示と併せて、測定結果データベースに集積、すなわち記憶させても良い。
測定結果データベースは、制御部30の中の記憶装置(メモリ32、ハードディスク33等)の中にあっても良く、あるいは、ネットワークNWを介して接続されるサーバ35の中にあってもよい。
【0045】
(変形例4)
変形例4の飛行時間型質量分析装置では、上述の変形例3の飛行時間型質量分析装置において、上述の最適蓄積状態が決定された後に、後続する複数回の計測において決定された最適蓄積状態を他の蓄積状態よりも多く設定する。
図6は、変形例4における蓄積状態(イオン輸送光学系12の輸送効率S)の設定の例を示す図であり、上述の
図2と同様の図である。
【0046】
図6においては、最初の3回(F1~F3)の測定では、上述の第1実施形態と同様に、輸送効率Sを順次S1、S2、S3に設定する。そして、この3回の測定に基づいて、制御部30は、輸送効率S3が最適蓄積状態であることを決定する。すると、その後の多数回の測定においては、制御部30は、最適蓄積状態である輸送効率S3を、他の輸送効率S1および輸送効率S2よりも多く設定して、測定を行う。すなわち、一例として、輸送効率S1で測定が行われるのは測定F4およびF8の2回、輸送効率S2で測定が行われるのは測定F5およびF9の2回であるのに対し、最適蓄積状態である輸送効率S3での測定は、測定F6、F7、F10、F11の計4回の測定を行う。
【0047】
(変形例4の効果)
(4)以上の変形例4の飛行時間型質量分析装置では、上述の変形例3の飛行時間型質量分析装置において、上述の最適蓄積状態が決定された後に、後続する複数回の計測において決定された最適蓄積状態を他の蓄積状態よりも多く設定する。
このように、最適蓄積状態での測定を他の蓄積状態での測定より多く行うことにより、オペレータが指定したイオン、または存在比が少なく従って測定精度が低下しがちなイオンについての測定精度を向上させることができる。
【0048】
(プログラムの実施形態)
上記の各実施形態および各変形例において、飛行時間型質量分析装置100の上記の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行させてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、メモリカード等の可搬型記録媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持するものを含んでもよい。また上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせにより実現するものであってもよい。
【0049】
また、上述したプログラムは、CD-ROM等の記録媒体やインターネット等のデータ信号を通じて提供することができる。例えば、
図1中のCPU31、メモリ32およびハードディスク33を備える制御部30は、CD-ROMを介してプログラムの提供を受ける。また、制御部30はネットワークNWとの接続機能を有している。ネットワークに接続されているサーバ35は上記プログラムを提供するサーバコンピュータとしても機能し、ハードディスク33等の記録媒体にプログラムを転送する。すなわち、プログラムをデータ信号として搬送波により搬送して、ネットワークNWを介して送信する。このように、プログラムは、記録媒体や搬送波などの種々の形態のコンピュータ読み込み可能なコンピュータプログラム製品として供給できる。
【0050】
図7は、一例として、上述の変形例4の飛行時間型質量分析装置100を制御するプログラムが、CPU31により実行され、飛行時間型質量分析装置100のイオン導入部1、フライトチューブ14、および制御部30を制御する、フローチャートを示す。
始めにステップS101において、最初のN回(Nは任意の自然数で、例えば3回)の測定のイオン蓄積状態(イオン導入部1のイオン輸送光学系12の輸送効率S等)等の測定条件を決定する。
【0051】
ステップS102では、プログラムは制御部30を制御して、J回目(Jは1以上、N以下)の測定のイオン導入部1のイオン輸送光学系12の輸送効率Sや、イオントラップ22の蓄積時間を設定する。そして、ステップS103で、プログラムは制御部30を制御して、直交加速電極16に電圧を印加して、J回目の測定を行う。
ステップS104では、測定がN回行われたか否かを判断し、N回測定していればステップS105に進み、N回測定していなければステップS102に戻る。
【0052】
ステップS105では、プログラムは制御部30を制御して、上述のN回の測定の結果から最適蓄積状態を決定する。最適蓄積状態を決定する方法は上述のとおりである。そして、ステップS106では、ステップS105で決定した最適蓄積状態での測定が、他の蓄積状態よりも多く行われるように、後続するM回(Mは任意の自然数)の測定の測定条件を決定する。
【0053】
ステップS107では、プログラムは制御部30を制御して、K回目(Kは1以上、M以下)の測定のイオン導入部1のイオン輸送光学系12の輸送効率Sや、イオントラップ22の蓄積時間を設定する。そして、ステップS108で、プログラムは制御部30を制御して、直交加速電極16に電圧を印加して、K回目の測定を行う。
ステップS109では、測定がM回行われたか否かを判断し、M回測定していればステップS110に進み、M回測定していなければステップS107に戻る。
【0054】
ステップS110では、プログラムは、制御部30に、上述の測定の結果に基づいて、検出された各イオンの質量電荷比の算出等の、測定の結果の解析を行わせる。また、上述のように、必要に応じて、検出されたイオンの量と飛行時間の関係を表す測定結果から、不要な部分(指定されたイオンに対応する部分以外の部分)を削除する処理も行う。
ステップS111では、測定され、解析や各種の処理のなされた測定結果を、表示部34に表示させ、またはデータベースに蓄積させる。
【0055】
ステップS112では、測定結果および解析や各種の処理のなされた測定結果に基づいて、ステップS105で決定した最適蓄積状態が適切であったか否か、すなわち最適蓄積状態の変更が必要か否かを判断する。そして、変更が必要と判断した場合には、ステップS101に進み、N回の各測定条件を変更した上で、再度ステップS101以降の処理を行う。変更が不要と判断した場合には、測定を終了する。
【0056】
なお、
図7に示したフローチャートの各ステップは、必ずしもその全ての実行が必要とされるものではない。例えば、ステップS106からステップS109については、実施を省略しても良い。
【0057】
上記では、種々の実施形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、各実施形態は、それぞれ単独で適用しても良いし、組み合わせて用いても良い。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
100…飛行時間型質量分析装置、1,1a…イオン導入部、2…イオン化室、3…ESIスプレー、4…加熱キャピラリ、5,7…イオンガイド、6…スキマー、8…四重極マスフィルタ、9…コリジョンセル、10…電極、12…イオン輸送光学系、13…真空チャンバ(TOF部)、14…フライトチューブ、15…支持部材、16…直交加速電極、17…押出電極、18…引出電極、20…イオン検出器、21…第2イオン検出器、22…四重極イオントラップ、FA…飛行空間、FP…飛行経路、19…リフレクタ、30…制御部、31…CPU、32…メモリ、33…ハードディスク、34…表示部、35…サーバ