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特許7115181搬送用部材、現像装置、および、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】搬送用部材、現像装置、および、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
G03G15/08 364
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018178131
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020052079
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】中島 由高
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-160162(JP,A)
【文献】特開2015-26002(JP,A)
【文献】特開2016-99378(JP,A)
【文献】特開2006-178381(JP,A)
【文献】特開2018-120063(JP,A)
【文献】特開2011-22215(JP,A)
【文献】特開2006-98540(JP,A)
【文献】特開2004-117507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸の周りに螺旋状に形成され且つ複数条設けられ、当該回転軸の回転に伴い当該回転軸方向へ被搬送物を搬送する螺旋羽根であって、搬送方向下流側に位置する下流側側面と当該下流側側面とは反対側に位置する上流側側面とを有する螺旋羽根と、
を備え、
少なくとも一つの条の前記螺旋羽根の一部には、前記回転軸方向への被搬送物の移動を可能にする間隙が設けられるとともに、当該一つの条の当該螺旋羽根には、当該間隙から回転軸回転方向における上流側に向かって延びる上流側部分が設けられ、
前記上流側部分には、前記下流側側面の傾斜角度の方が前記上流側側面の傾斜角度よりも小さい部分が設けられている搬送用部材。
【請求項2】
前記上流側部分のうちの前記間隙の隣に位置する箇所に、前記下流側側面の傾斜角度の方が前記上流側側面の傾斜角度よりも小さい前記部分が設けられている請求項1に記載の搬送用部材。
【請求項3】
前記上流側部分の前記下流側側面の傾斜角度が、前記間隙の隣に位置する前記箇所から回転軸回転方向における上流側に向かうに従い次第に大きくなる請求項2に記載の搬送用部材。
【請求項4】
前記上流側部分のうち、回転軸回転方向における下流側に位置する端部である下流側端部に、前記下流側側面の傾斜角度の方が前記上流側側面の傾斜角度よりも小さい前記部分が設けられている請求項1に記載の搬送用部材。
【請求項5】
前記上流側部分の前記下流側側面の傾斜角度が、前記下流側端部から回転軸回転方向における上流側に向かうに従い次第に大きくなる請求項4に記載の搬送用部材。
【請求項6】
前記上流側部分の前記下流側側面には、回転軸回転方向における上流側に向かうに従い傾斜角度が大きくなる部分が設けられている請求項1に記載の搬送用部材。
【請求項7】
前記一つの条の前記螺旋羽根には、回転軸回転方向において、前記間隙である第1の間隙よりも上流側に、前記回転軸方向への被搬送物の移動を可能にする第2の間隙がさらに設けられ、
前記上流側部分の前記下流側側面のうちの、前記第1の間隙と前記第2の間隙との間に位置する部分には、傾斜して配置された第1の部位と、当該第1の部位よりも当該第2の間隙側に位置し当該第1の部位の傾斜よりも傾斜が大きい第2の部位とが設けられている請求項1に記載の搬送用部材。
【請求項8】
前記下流側側面の傾斜角度の方が前記上流側側面の傾斜角度よりも小さい前記部分では、当該下流側側面の傾斜角度が、60°よりも大きい請求項1乃至7の何れかに記載の搬送用部材。
【請求項9】
回転軸と、
前記回転軸の周りに螺旋状に形成され且つ複数条設けられた螺旋羽根であって、当該回転軸の回転に伴い当該回転軸に対する相対移動を行って回転軸回転方向における上流側へ向かう被搬送物を、当該回転軸の一端部側へ送り出す螺旋羽根と、
軸方向において互いに隣接する前記螺旋羽根間に設けられ、外面の少なくとも一部に、前記一端部側へ進むに従い下る傾斜が付与され、回転軸回転方向における上流側へ向かっての前記相対移動を行う前記被搬送物の移動を規制する規制部と、
を備える搬送用部材。
【請求項10】
前記規制部の前記外面の傾斜が、回転軸回転方向における上流側へ向かうに従い次第に大きくなる請求項9に記載の搬送用部材。
【請求項11】
前記互いに隣接する前記螺旋羽根のうちの、前記回転軸の他端部側に位置する一方の螺旋羽根には、軸方向への被搬送物の移動を可能にする間隙が設けられ、
前記規制部は、前記互いに隣接する前記螺旋羽根間に設けられるとともに、前記間隙よりも、回転軸回転方向における上流側に設けられている請求項9に記載の搬送用部材。
【請求項12】
前記他端部側に位置する前記一方の螺旋羽根は、前記間隙よりも回転軸回転方向における上流側に位置する上流側部分を有し、
前記上流側部分のうちの回転軸回転方向における下流側に位置する端部である下流側端部と、他方の前記螺旋羽根との間に、前記規制部が設けられている請求項11に記載の搬送用部材。
【請求項13】
現像剤の搬送に用いられる搬送用部材を備え、像保持体上に像を形成する現像装置であって、当該搬送用部材が請求項1乃至12の何れかに記載の搬送用部材により構成された現像装置。
【請求項14】
現像剤の搬送に用いられる搬送用部材を備え、記録媒体上に像を形成する画像形成装置であって、当該搬送用部材が請求項1乃至12の何れかに記載の搬送用部材により構成された画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送用部材、現像装置、および、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、共通の回転軸周りに螺旋状に巻回形成された複数の螺旋羽根を有する多条螺旋羽根と、多条螺旋羽根が軸方向に不連続となるように多条螺旋羽根を分断する不連続部とを備えた搬送部材が開示されている。
特許文献2には、不連続部で現像剤が、2分化され、2分化された現像剤の一方が、下流側の螺旋羽根から離脱して搬送される構成が開示されている。
特許文献3には、羽根面の角度が最も大きい羽根面を有する羽根部と、羽根面の角度が小さい羽根部とを有する搬送部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-256429号公報
【文献】特開2014-160162号公報
【文献】特開2004-151326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被搬送物を搬送する搬送用部材では、被搬送物の搬送を行いつつ被搬送物の撹拌を行うことがある。この場合に、被搬送物の撹拌性能を上げると被搬送物の搬送性能が低下しやすくなり、逆に、搬送性能を上げると撹拌性能が低下しやすくなる。
本発明の目的は、搬送用部材による被搬送物の搬送性能と被搬送物の撹拌性能の両立を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、回転軸と、前記回転軸の周りに螺旋状に形成され且つ複数条設けられ、当該回転軸の回転に伴い当該回転軸方向へ被搬送物を搬送する螺旋羽根であって、搬送方向下流側に位置する下流側側面と当該下流側側面とは反対側に位置する上流側側面とを有する螺旋羽根と、を備え、少なくとも一つの条の前記螺旋羽根の一部には、前記回転軸方向への被搬送物の移動を可能にする間隙が設けられるとともに、当該一つの条の当該螺旋羽根には、当該間隙から回転軸回転方向における上流側に向かって延びる上流側部分が設けられ、前記上流側部分には、前記下流側側面の傾斜角度の方が前記上流側側面の傾斜角度よりも小さい部分が設けられている搬送用部材である。
請求項2に記載の発明は、前記上流側部分のうちの前記間隙の隣に位置する箇所に、前記下流側側面の傾斜角度の方が前記上流側側面の傾斜角度よりも小さい前記部分が設けられている請求項1に記載の搬送用部材である。
請求項3に記載の発明は、前記上流側部分の前記下流側側面の傾斜角度が、前記間隙の隣に位置する前記箇所から回転軸回転方向における上流側に向かうに従い次第に大きくなる請求項2に記載の搬送用部材である。
請求項4に記載の発明は、前記上流側部分のうち、回転軸回転方向における下流側に位置する端部である下流側端部に、前記下流側側面の傾斜角度の方が前記上流側側面の傾斜角度よりも小さい前記部分が設けられている請求項1に記載の搬送用部材である。
請求項5に記載の発明は、前記上流側部分の前記下流側側面の傾斜角度が、前記下流側端部から回転軸回転方向における上流側に向かうに従い次第に大きくなる請求項4に記載の搬送用部材である。
請求項6に記載の発明は、前記上流側部分の前記下流側側面には、回転軸回転方向における上流側に向かうに従い傾斜角度が大きくなる部分が設けられている請求項1に記載の搬送用部材である。
請求項7に記載の発明は、前記一つの条の前記螺旋羽根には、回転軸回転方向において、前記間隙である第1の間隙よりも上流側に、前記回転軸方向への被搬送物の移動を可能にする第2の間隙がさらに設けられ、前記上流側部分の前記下流側側面のうちの、前記第1の間隙と前記第2の間隙との間に位置する部分には、傾斜して配置された第1の部位と、当該第1の部位よりも当該第2の間隙側に位置し当該第1の部位の傾斜よりも傾斜が大きい第2の部位とが設けられている請求項1に記載の搬送用部材である。
請求項8に記載の発明は、前記下流側側面の傾斜角度の方が前記上流側側面の傾斜角度よりも小さい前記部分では、当該下流側側面の傾斜角度が、60°よりも大きい請求項1乃至7の何れかに記載の搬送用部材である。
請求項9に記載の発明は、回転軸と、前記回転軸の周りに螺旋状に形成され且つ複数条設けられた螺旋羽根であって、当該回転軸の回転に伴い当該回転軸に対する相対移動を行って回転軸回転方向における上流側へ向かう被搬送物を、当該回転軸の一端部側へ送り出す螺旋羽根と、軸方向において互いに隣接する前記螺旋羽根間に設けられ、外面の少なくとも一部に、前記一端部側へ進むに従い下る傾斜が付与され、回転軸回転方向における上流側へ向かっての前記相対移動を行う前記被搬送物の移動を規制する規制部と、を備える搬送用部材である。
請求項10に記載の発明は、前記規制部の前記外面の傾斜が、回転軸回転方向における上流側へ向かうに従い次第に大きくなる請求項9に記載の搬送用部材である。
請求項11に記載の発明は、前記互いに隣接する前記螺旋羽根のうちの、前記回転軸の他端部側に位置する一方の螺旋羽根には、軸方向への被搬送物の移動を可能にする間隙が設けられ、前記規制部は、前記互いに隣接する前記螺旋羽根間に設けられるとともに、前記間隙よりも、回転軸回転方向における上流側に設けられている請求項9に記載の搬送用部材である。
請求項12に記載の発明は、前記他端部側に位置する前記一方の螺旋羽根は、前記間隙よりも回転軸回転方向における上流側に位置する上流側部分を有し、前記上流側部分のうちの回転軸回転方向における下流側に位置する端部である下流側端部と、他方の前記螺旋羽根との間に、前記規制部が設けられている請求項11に記載の搬送用部材である。
請求項13に記載の発明は、現像剤の搬送に用いられる搬送用部材を備え、像保持体上に像を形成する現像装置であって、当該搬送用部材が請求項1乃至12の何れかに記載の搬送用部材により構成された現像装置である。
請求項14に記載の発明は、現像剤の搬送に用いられる搬送用部材を備え、記録媒体上に像を形成する画像形成装置であって、当該搬送用部材が請求項1乃至12の何れかに記載の搬送用部材により構成された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、搬送用部材による被搬送物の搬送性能と被搬送物の撹拌性能の両立を図ることができる。
請求項2の発明によれば、上流側部分のうちの間隙の隣に位置する箇所に、下流側側面の傾斜角度の方が上流側側面の傾斜角度よりも小さい部分が設けられていない場合に比べ、間隙を通って移動する被搬送物の量を増やすことができる。
請求項3の発明によれば、間隙の隣に位置する箇所から回転軸回転方向における上流側に向かうに従い下流側側面の傾斜角度が大きくならない場合に比べ、被搬送物の搬送性能を高めることができる。
請求項4の発明によれば、上流側部分の下流側端部に、下流側側面の傾斜角度の方が上流側側面の傾斜角度よりも小さい部分が設けられていない場合に比べ、間隙を通って移動する被搬送物の量を増やすことができる。
請求項5の発明によれば、下流側端部から回転軸回転方向における上流側に向かうに従い下流側側面の傾斜角度が大きくならない場合に比べ、被搬送物の搬送性能を高めることができる。
請求項6の発明によれば、回転軸回転方向における上流側に向かうに従い傾斜角度が大きくなる部分が下流側側面に設けられていない場合に比べ、被搬送物の搬送性能を高めることができる。
請求項7の発明によれば、第1の部位よりも傾斜が大きい第2の部位が下流側側面に設けられていない場合に比べ、被搬送物の搬送性能を高めることができる。
請求項8の発明によれば、下流側側面の傾斜角度が60°以下である場合に比べ、被搬送物の搬送性能の低下を抑制することができる。
請求項9の発明によれば、搬送用部材による被搬送物の搬送性能と被搬送物の撹拌性能の両立を図ることができる。
請求項10の発明によれば、規制部の外面の傾斜が、回転軸回転方向における上流側へ向かうに従い大きくならない場合に比べ、被搬送物の搬送性能を高めることができる。
請求項11の発明によれば、回転軸回転方向における上流側へ向かって相対移動を行う被搬送物を、間隙に向かわせることができる。
請求項12の発明によれば、上流側部分の下流側端部と他方の螺旋羽根との間に、規制部が設けられていない場合に比べ、回転軸回転方向における上流側へ向かって相対移動を行う被搬送物が間隙に向かいやすくなる。
請求項13の発明によれば、搬送用部材による被搬送物の搬送性能と被搬送物の撹拌性能の両立を図ることができる。
請求項14の発明によれば、搬送用部材による被搬送物の搬送性能と被搬送物の撹拌性能の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像形成装置の全体構成を示した図である。
図2】現像装置を上方から見た場合の図である。
図3】第1搬送部材を説明する図である。
図4】(A)、(B)は、第1搬送部材の一部の拡大図である。
図5】(A)、(B)は、規制部の形状を説明する図である。
図6】規制部の終了点を示した図である。
図7】第1搬送部材の外周面の展開図である。
図8】(A)、(B)は、撹拌搬送路を搬送される現像剤を示した図である。
図9図3の符号αで示す部分の拡大図である。
図10】第1搬送部材の他の構成例を示した図である。
図11】(A)、(B)は、第1搬送部材の他の構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を示した図である。
画像形成装置1は、制御部2、感光体ドラム10、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、転写装置50、定着装置60、クリーニング装置70および用紙収納部80を有する。
画像形成装置1は、画像情報に基づいて、記録媒体の一例である用紙Pに画像を形成する。
【0009】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置やメモリを備え、画像形成装置1の各部の動作を制御する。
像保持体の一例である感光体ドラム10は、円筒状に形成され、その外周面に形成されるトナー像を保持する。感光体ドラム10は、矢印で示す方向へ回転する。
【0010】
帯電装置20は、感光体ドラム10の表面に接触して回転する帯電ロールなどを用いて、感光体ドラム10の帯電を行う。なお、帯電装置20では、コロナ放電などを利用して帯電を行う非接触帯電方式を用いて感光体ドラム10の帯電を行ってもよい。
露光装置30は、帯電装置20により帯電された感光体ドラム10の表面に、画像データに応じた光を照射して、感光体ドラム10の表面に、静電潜像を形成する。
形成された静電潜像は、感光体ドラム10の回転に伴い現像装置40の設置箇所へ移動する。
【0011】
現像装置40は、感光体ドラム10に形成されている静電潜像の現像を行い、感光体ドラム10上に画像を形成する。
現像装置40は、回転する現像ロール41を有する。現像装置40では、この現像ロール41の表面に付着した現像剤(トナー)が、感光体ドラム10との対向位置まで移動する。これにより、感光体ドラム10に形成された静電潜像が現像され、感光体ドラム10の表面に、画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
この画像は、感光体ドラム10の回転にともない、転写装置50まで移動する。
【0012】
現像装置40の内部には、現像剤が収容されている。
この現像剤は、いわゆる2成分現像剤であり、本実施形態の現像剤は、トナーと磁性キャリアとにより構成される。ここで、トナーとしては、例えば、非磁性トナーが用いられるが、磁性キャリアと帯電特性が異なるものであれば、磁性トナーを用いても差し支えない。
【0013】
さらに、現像装置40の内部には、現像剤を搬送する第1搬送部材42、同じく現像剤を搬送する第2搬送部材43が設けられている。
さらに、第1搬送部材42と第2搬送部材43との間には、隔壁部44が設けられている。また、本実施形態では、新たな現像剤を第1搬送部材42に供給する供給部45が設けられている。
【0014】
転写装置50の設置箇所では、感光体ドラム10が保持している画像(感光体ドラム10の表面に形成された画像)が用紙Pに転写される。
感光体ドラム10と転写装置50とが対向している部分には、転写ニップ部51が形成され、この転写ニップ部51において、感光体ドラム10上の画像が、用紙Pに転写される。
【0015】
定着装置60は、熱源を有する定着ロール61と、定着ロール61と対向して配置された加圧ロール62とを有し、画像が転写された用紙Pを加圧および加熱し、この画像を用紙Pに定着させる。
クリーニング装置70は、感光体ドラム10に押し当てられ、感光体ドラム10の表面に残留している現像剤などを除去する。
【0016】
用紙収納部80には、用紙Pが収納されている。用紙Pは、この用紙収納部80から送り出され、さらに搬送される。
本実施形態では、用紙Pの送り出しおよび用紙Pの搬送を行う機構として、用紙収納部80に収納された用紙Pを送り出す送り出しロール90、送り出しロール90によって送り出された用紙Pを搬送する搬送ロール91が設けられている。
【0017】
また、搬送ロール91によって搬送された用紙Pを予め決められたタイミングで転写ニップ部51に向けて送り出すレジストロール92が設けられている。
さらに、レジストロール92から送り出された用紙Pを、転写ニップ部51へ案内する案内部材93、画像が転写された後の用紙Pを定着装置60へ案内する案内部材94、ガイド95が設けられている。
さらに、定着装置60から排出される用紙Pを、画像形成装置1の外部へ排出する排出ロール98が設けられている。
【0018】
図2は、現像装置40を上方から見た場合の図である。
なお、この図2では、現像剤の搬送方向を白抜きの矢印で表示している。
現像装置40には、現像ロール41、第1搬送部材42、第2搬送部材43、隔壁部44、現像容器400、センサの一例であるトナー濃度センサユニット500が設けられている。さらに、本実施形態では、新たな現像剤を現像装置40へ供給する供給部45が設けられている。
【0019】
現像ロール41は、その表面に現像剤を保持する。また、現像ロール41は、図1にて示した感光体ドラム10と対向するように設けられ、感光体ドラム10に形成された静電潜像を現像する。
現像容器400には、撹拌搬送路420と供給搬送路430とが設けられている。さらに、本実施形態では、撹拌搬送路420と供給搬送路430との間には、隔壁部44が設けられている。
【0020】
また、本実施形態では、第1搬送部材42は、撹拌搬送路420内に設けられ、第2搬送部材43は、供給搬送路430内に設けられている。
さらに、現像容器400の長手方向における端部には、撹拌搬送路420から供給搬送路430へ現像剤を移動させるための開口440、供給搬送路430から撹拌搬送路420へ現像剤を移動させるための開口450が設けられている。
また、本実施形態では、現像ロール41と供給搬送路430とは、略平行となるように配置されている。
【0021】
さらに、現像容器400には、供給部45からの現像剤を受け入れる受け入れ口46が設けられている。この受け入れ口46は、撹拌搬送路420の長手方向における中央部と撹拌搬送路420の一端との間に設けられている。
本実施形態では、供給部45からの新たな現像剤が、受け入れ口46を通じて撹拌搬送路420に供給される。そして、供給されたこの新たな現像剤は、第1搬送部材42によって、図中矢印2Aに示す方向へ、攪拌されながら搬送される。
【0022】
撹拌搬送路420を通って下流側へ搬送された現像剤は、開口440を通って供給搬送路430へ移動する。供給搬送路430へ移動した現像剤は、第2搬送部材43によって、図中矢印2Bで示す方向へ搬送される。
また、本実施形態では、第2搬送部材43によって搬送された現像剤は、開口450を通って撹拌搬送路420へ移動する。撹拌搬送路420へ移動した現像剤は、第1搬送部材42によって、図中矢印2Aで示す方向へ搬送される。
本実施形態では、第1搬送部材42による現像剤の搬送、第2搬送部材43による現像剤の搬送が繰り返し行われる。これにより、本実施形態では、現像装置40内を、現像剤が循環移動する。
【0023】
本実施形態では、第2搬送部材43により搬送されている現像剤の一部が、現像ロール41へ供給される。そして、現像ロール41が、この現像剤を感光体ドラム10(図1参照)の表面に供給する。
第2搬送部材43は、回転する軸43aと、この軸43aに設けられた螺旋状の螺旋羽根43bとを有する。
また、第1搬送部材42についても、軸、螺旋羽根を有する。なお、第1搬送部材42の詳細については後述する。
【0024】
また、本実施形態では、現像容器400の撹拌搬送路420に、現像剤に含まれるトナーの濃度を検出するトナー濃度センサユニット500が設けられている。
トナー濃度センサユニット500は、受け入れ口46よりも下流側に設けられている。また、トナー濃度センサユニット500は、撹拌搬送路420の長手方向における中央部と撹拌搬送路420の他端との間に設けられている。
【0025】
本実施形態では、現像剤の搬送方向において、受け入れ口46よりも下流側に、トナー濃度センサユニット500が設けられている。
この場合、トナー濃度センサユニット500は、受け入れ口46を通じて供給された新たな現像剤と既に収容されている現像剤とが混合した後の現像剤に含まれるトナーの濃度を検知する。
【0026】
さらに、本実施形態では、トナー濃度センサユニット500は、現像剤の搬送方向において、現像ロール41よりも上流側に設けられている。これにより、現像ロール41に達する前の現像剤に含まれるトナーの濃度が検出される。
ここで、本実施形態では、トナー濃度センサユニット500によって検出されたトナーの濃度が、予め定められた濃度よりも低下した場合、供給部45から新たな現像剤が供給され、この新たな現像剤が、受け入れ口46を通して撹拌搬送路420に供給される。
【0027】
図3は、第1搬送部材42を説明する図である。
図3では、現像剤の搬送方向を矢印3Aで示している。また、図3では、第1搬送部材42の回転方向を実線の矢印3Bで示している。さらに、本実施形態では、新たな現像剤が供給される位置を符号Tで示している。
【0028】
搬送用部材の一例としての第1搬送部材42には、図3に示すように、回転軸の一例である円柱状の軸42aが設けられている。
また、第1搬送部材42には、軸42aの周りに、第1螺旋羽根42b1と第2螺旋羽根42b2とからなる螺旋羽根42bが設けられている。付言すると、本実施形態では、軸42aの周りに、螺旋羽根が複数条設けられた構成となっている。
【0029】
第1螺旋羽根42b1と第2螺旋羽根42b2とは、軸42aの回転方向における位相が180°異なって形成されている。
第1搬送部材42は、軸42aが不図示の駆動源により回転されることよって、現像剤を矢印3Aで示す方向(第1搬送部材42の軸方向)へ搬送する。
【0030】
より具体的には、本実施形態では、軸42aが矢印3Bで示す方向へ回転すると、被搬送物の一例としての現像剤が、この軸42aに対する相対移動を行って、矢印3Cで示す方向へ移動する。
そして、現像剤がこの相対移動を行うと、この現像剤は、第1螺旋羽根42b1、第2螺旋羽根42b2の各々に突き当たる。これにより、現像剤は、その進行方向を変え、矢印3Aで示す方向へ移動する。
【0031】
付言すると、本実施形態では、軸42aが矢印3Bで示す方向へ回転すると、現像剤は、軸42aの回転方向における上流側へ向かうように、軸42aに対する相対移動を行う。
そして、相対移動を行うこの現像剤は、第1螺旋羽根42b1、第2螺旋羽根42b2のうちの、傾斜した部分(軸42aの周方向に対して傾斜した部分)により押圧され、軸42aの一端部42X側へ送り出されるようになる。
【0032】
さらに、本実施形態では、第1螺旋羽根42b1、第2螺旋羽根42b2の各々の一部に、間隙の一例としての切り欠き42Kが形成され、第1螺旋羽根42b1、第2螺旋羽根42b2の各々の一部には、螺旋羽根が存在しない不連続部FRが設けられている。
本実施形態では、この切り欠き42Kがあることで、第1螺旋羽根42b1により搬送されていた現像剤が、この第1螺旋羽根42b1よりも軸42aの他端部42Y側へ移動する(詳細は後述)。また、第2螺旋羽根42b2により搬送されていた現像剤が、この第2螺旋羽根42b2よりも軸42aの他端部42Y側へ移動する。
【0033】
第1螺旋羽根42b1、第2螺旋羽根42b2の各々は、上流側部分BRLおよび下流側部分BRUを有する。
上流側部分BRLは、軸42aの回転方向(回転軸回転方向)(矢印3Bで示す回転方向)において、切り欠き42Kよりも上流側に位置する部分である。
また、下流側部分BRUは、軸42aの回転方向において、切り欠き42Kよりも下流側に位置する部分である。
【0034】
図4(A)、(B)は、第1搬送部材42の一部の拡大図である。なお、図4(A)は、第1搬送部材42の正面図であり、図4(B)は、図4(A)における矢印IVA方向から第1搬送部材42を見た場合の斜視図である。
図4(A)に示すように、第1螺旋羽根42b1、第2螺旋羽根42b2の各々は、下流側側面84および上流側側面86を有する。
下流側側面84は、第1螺旋羽根42b1、第2螺旋羽根42b2の各々が有する2つの側面うち、現像剤の搬送方向(矢印4Pで示す方向)における下流側に位置する側面である。また、上流側側面86は、下流側側面84とは反対側に位置する側面である。
【0035】
さらに、本実施形態では、図4(A)に示すように、第1搬送部材42の軸方向において互いに隣接する螺旋羽根間に(第1螺旋羽根42b1と第2螺旋羽根42b2との間に)、上記相対移動を行う現像剤の移動を規制する規制部42Rが設けられている。
本実施形態では、軸42aの回転に伴い、軸42aに対して現像剤が相対移動を行って、矢印4Aで示すように、軸42aの回転方向における上流側に向かって現像剤が移動する。
本実施形態では、回転方向上流側に向かって移動するこの現像剤が、規制部42Rの端面42dに突き当たり、この規制部42Rによって、現像剤の一部の移動が規制される。
【0036】
規制部42R(図4(A)参照)は、互いに隣接する螺旋羽根間に設けられている。
具体的には、規制部42Rは、軸42aの他端部42Y側に位置する第1螺旋羽根42b1と、軸42aの一端部42X側に位置する第2螺旋羽根42b2との間に設けられている。
さらに、規制部42Rは、軸42aの回転方向において(回転軸回転方向において)、切り欠き42Kよりも上流側に設けられている。
【0037】
さらに、本実施形態では、上流側部分BRLの下流側端部96と、他方の螺旋羽根の一例である第2螺旋羽根42b2との間に、規制部42Rが設けられている。
本実施形態の上流側部分BRLは、軸42aの回転方向における下流側に位置する端部である下流側端部96を有する。
規制部42Rは、この下流側端部96と第2螺旋羽根42b2との間に設けられ、さらに、下流側端部96の脇から、軸42aの回転方向における上流側に向かって延びるように配置されている。
【0038】
図5(A)、(B)は、規制部42Rの形状を説明する図である。
図5(A)は、図4(B)の矢印VA方向から規制部42Rを見た場合の図である。図5(B)は、図4(A)のVB-VB線における規制部42Rの断面を示した図である。
図5(A)に示すように、本実施形態では、規制部42Rの外面49に、軸42aの一端部42X側へ進むに従い下る傾斜が付与されている。
【0039】
付言すると、規制部42Rの端部42S(図4(B)参照)(回転方向下流側に位置する端部)では、規制部42Rの外面49に、軸42aの一端部42X側へ進むに従い下る傾斜が付与されている。
なお、本実施形態では、図5(A)に示すように、外面49の全体に傾斜が付与されているが、外面49の一部に、傾斜を付与してもよい。
【0040】
さらに、本実施形態では、図5(B)に示すように、規制部42Rの他の部分では、外面49の傾斜が大きくなっている。
具体的には、軸42aの回転方向において、端部42Sよりも上流側に位置する部分では、規制部42Rの外面49の傾斜が大きくなっている。
付言すると、本実施形態では、軸42aの回転方向における上流側へ向かうに従い、規制部42Rの外面49の傾斜が次第に大きくなっており、図5(B)に示すように、規制部42Rの端部42Sとは異なる箇所では、規制部42Rの外面49の傾斜が大きくなっている。
【0041】
ここで、本明細書において、傾斜とは、第1搬送部材42の軸方向に対して傾いていることをいう。
また、本明細書において、傾斜角度とは、第1搬送部材42の軸方向とのなす角度であって、この軸方向に対して形成される2つの角度(鋭角側の小さい角度および鈍角側の大きい角度)のうちの、鋭角側の小さい方の角度を指す。
【0042】
本実施形態では、上記のとおり、現像剤は、軸42aに対する相対移動を行い、軸42aの回転方向における上流側へ向かう。このとき、本実施形態では、現像剤の移動が、規制部42Rにより規制される。
具体的には、本実施形態では、符号4X(図4(A)参照)で示す箇所に位置する現像剤が、軸42aの回転方向における上流側へ向かうが、この現像剤が、規制部42Rに達すると、この現像剤は、その一部の移動が規制される。
【0043】
そして、本実施形態では、移動が規制された現像剤が、図4(B)の矢印4Hで示す方向へ移動し、切り欠き42Kを通って、切り欠き42Kよりも図中左側に位置する部分に向かう。
これにより、本実施形態では、第1螺旋羽根42b1により搬送されていた現像剤の一部が、他の螺旋羽根である第2螺旋羽根42b2により搬送されてきた現像剤に合流するようになり、1つの螺旋羽根のみによって現像剤が搬送される場合に比べ、現像剤の攪拌が促進される。
【0044】
また、本実施形態では、現像剤の他の一部は、図4(B)の矢印4Kで示すように、規制部42Rの外面49の対向位置を通って下流側へ向かう。
ここで、本実施形態では、この規制部42Rの外面49には、上記のとおり、軸42aの一端部42X側へ進むに従い下る傾斜が付与されている。これにより、本実施形態では、この他の一部の現像剤に対しても搬送力が作用して、この他の一部の現像剤も、下流側へ向かう。
【0045】
ここで、規制部42Rの外面49に傾斜が付与されていない場合、上記他の一部の現像剤に対しては、第1螺旋羽根42b1の下流側側面84(図4(A)の符号4Mで示す部分)からのみ、搬送力が作用することになる。
これに対し、本実施形態のように、規制部42Rの外面49に傾斜が付与されていると、この規制部42Rからも搬送力が作用し、下流側への現像剤の搬送力が増す。
【0046】
さらに、本実施形態では、上記のとおり、規制部42Rの端部42Sよりも上流側では(軸42aの回転方向における上流側では)、外面49の傾斜が大きくなっており、規制部42Rの端部42Sよりも上流側では、現像剤の搬送力が増加する。
付言すると、本実施形態では、切り欠き42Kに近い箇所では(規制部42Rの端部42Sでは)、外面49の傾斜を小さくして(規制部42Rの断面積を大きくして)、切り欠き42Kに向かう現像剤の量を確保する。
その一方で、端部42Sよりも上流側(軸42aの回転方向における上流側では)では、外面49の傾斜を大きくして(規制部42Rの断面積を小さくして)、現像剤の搬送力を高める。
【0047】
図6は、規制部42Rの終了点Eを示した図である。
規制部42Rの終了点Eは、上記の端部42S(開始点)よりも、現像剤の搬送方向における下流側に位置する。また、終了点Eは、軸42aの回転方向において、端部42Sよりも上流側に位置する。
さらに、終了点Eの位置(軸42aの回転方向における位置)は、上流側部分BRLの上流側端部99の位置と一致している。
【0048】
さらに、本実施形態の第1螺旋羽根42b1には、図6に示すように、回転軸42aの回転方向において、上記の切り欠き42K(以下、「第1切り欠き42K1」)と称する)よりも上流側に、第1搬送部材42の軸方向への現像剤の移動を可能にする第2切り欠き42K2が設けられている。
なお、以下、本明細書において、第1切り欠き42K1と第2切り欠き42K2とを区別しない場合には、単に、切り欠き42Kと称し、第1切り欠き42K1と第2切り欠き42K2とを区別する場合には、第1切り欠き42K1、第2切り欠き42K2と称する。
【0049】
ここで、本実施形態では、第1螺旋羽根42b1のうちの第1切り欠き42K1と第2切り欠き42K2との間に位置する部分は、1ピッチ分設けられている。同様に、規制部42Rについても、1ピッチ分設けられている。
付言すると、本実施形態では、第1螺旋羽根42b1のうちの第1切り欠き42K1と第2切り欠き42K2との間に位置する部分、および、規制部42Rは、回転軸42aの周方向において、1周分設けられている。
【0050】
また、図6に示すように、本実施形態では、回転軸42aの回転方向において、終了点Eよりも上流側には、規制部42Rが設けられておらず、軸42aが露出している。
さらに、本実施形態では、第2切り欠き42K2よりも図中左側に、第2螺旋羽根42b2と第1螺旋羽根42b1との間に設けられた規制部42Lが設けられている。
この規制部42Lの開始点は、図6にて示す端部42S(規制部42Rの開始点)の裏側に位置している。付言すると、規制部42Lの開始点は、軸42aを挟み、規制部42Rの開始点の反対側に位置している。
【0051】
図6に示すように、軸42aの回転方向において、規制部42Rの終了点Eよりも上流側には、規制部42Rは設けられておらず、規制部42Rの外面49の対向位置を通って搬送され終了点Eまで達した現像剤は、この規制部42Rが設けられていない箇所を通って下流側へさらに搬送される。
【0052】
さらに、本実施形態では、規制部42Lの外面49の対向位置を通って第2切り欠き42K2の脇まで搬送されてきた現像剤の一部も、この第2切り欠き42K2を通って、上記の、規制部42Rが設けられていない箇所へ移動する。
これにより、本実施形態では、規制部42Rの外面49の対向位置を通って搬送されてきた現像剤に、規制部42Lの外面49の対向位置を通って搬送されてきた現像剤が合流する。
【0053】
図7は、第1搬送部材42の外周面の展開図である。
本実施形態では、上記にて説明したように、現像剤が相対移動を行い、現像剤が、回転軸42aの回転方向における上流側へ向かう。
そして、現像剤は、規制部42Rによりその一部の移動が規制され、現像剤のこの一部が、矢印7Aで示す方向に向かう。
【0054】
そして、この現像剤は、第2螺旋羽根42b2により搬送されてきた現像剤に合流し、その後、矢印F1で示す方向へ移動する。
一方、規制部42Rに達した他の一部の現像剤は、矢印F2(矢印7B)で示すように、規制部42Rの外面49の対向位置を通って下流側に向かう。
【0055】
ここで、本実施形態では、上記のように、この外面49に傾斜が付与されており、これにより、傾斜が付与されていない場合に比べ、現像剤が下流側へ搬送されやすくなる。
その後、規制部42Rの外面49の対向位置を通った現像剤は、符号7Cで示す部分に達し、第2切り欠き42K2を通って移動してきた現像剤(規制部42Lの外面49の対向位置を通りさらに第2切り欠き42K2を通って移動してきた現像剤)に合流する。
【0056】
なお、規制部42L側でも同様であり、本実施形態では、規制部42Lにより現像剤の一部の移動が規制され、現像剤のこの一部が、矢印7Dで示す方向に向かう。そして、この現像剤は、第1螺旋羽根42b1により搬送されてきた現像剤に合流し、その後、矢印F3で示す方向へ移動する。
一方、規制部42Lに達した他の一部の現像剤は、矢印7Eで示すように、規制部42Lの外面49の対向位置を通って下流側に向かう。ここで、この外面49にも傾斜が付与されており、現像剤が下流側へ搬送されやすくなっている。
【0057】
その後、規制部42Lの外面49の対向位置を通った現像剤は、符号7Mで示す部分、符号7Gで示す部分に達する。
符号7Mで示す部分に達した現像剤は、規制部42Rの外面49の対向位置を通り符号7Cで示す部分に達した現像剤に合流する。
また、符号7Gで示す部分に達した現像剤は、切り欠き43(第2螺旋羽根42b2に設けられた切り欠き)を通って流れてきた現像剤(規制部42Rの外面49の対向位置を通って搬送されてきた現像剤)に合流する。
【0058】
なお、本実施形態では、図7に示すように、第1搬送部材42の軸方向における位置を比べた場合に、上流側部分BRLの開始点S11の位置と、下流側部分BRUの終了点E11の位置とが一致している。
言い換えると、本実施形態では、上流側部分BRLの開始点S11の、軸方向における位置と、下流側部分BRUの終了点E11の、軸方向における位置とが一致している。
【0059】
図8(A)、(B)は、撹拌搬送路420を搬送される現像剤を示した図である。
なお、図8(A)は、規制部42R、規制部42Lを有しない第1搬送部材42が設置されている場合の現像剤の状態を示し、図8(B)は、規制部42R、規制部42Lを有する第1搬送部材42が設置されている場合の現像剤の状態を示している。
【0060】
図8(B)に示すように、規制部42R、規制部42Lを有する第1搬送部材42が設置されている場合は、規制部42R、規制部42Lが設けられていることによって、現像剤の搬送力が低下するため、現像剤の上面U2が上昇する。そして、この場合、第1搬送部材42の周方向における、現像剤の分散が生じやすくなる。
これに対し、図8(A)に示すように、規制部42R、規制部42Lを有しない第1搬送部材42が設置されている場合は、現像剤の上面U1が低下し、これに伴い、第1搬送部材42の周方向における現像剤の分散が生じにくくなる。
【0061】
また、本実施形態では、図7に示すように、規制部42R、規制部42Lの各々は、複数設けられているが、この規制部42R、規制部42Lの各々は、予め定められた間隔をあけて設けられている。これにより、現像剤の搬送性能を大きく損なうことなく、現像剤の下流側への搬送を行える。
【0062】
付言すると、本実施形態では、図7に示すように、規制部42Rが1ピッチ毎に設けられており(規制部42Rと規制部42Rとの間に、規制部42Rが設けられていない部分が1ピッチ分設けられており)、これにより現像剤の搬送性能を大きく損なうことなく、現像剤の搬送を行える。
同様に、規制部42Lも1ピッチ毎に設けており(規制部42Lと規制部42Lとの間に、規制部42Lが設けられていない部分が1ピッチ分設けられており)、これにより現像剤の搬送性能を大きく損なうことなく、現像剤の搬送を行える。
【0063】
ここで、規制部42R、規制部42Lの設置数は、特に問わず、単数としてもよいし、複数としてもよい。
また、規制部42R、規制部42Lは、第1搬送部材42の軸方向において、受け入れ口46(図2参照)よりも一端部42X(図3参照)側に設けることが好ましい。付言すると、規制部42R、規制部42Lは、現像剤の搬送方向において、受け入れ口46よりも下流側に設けることが好ましい。
【0064】
また、上記では、第1搬送部材42に、2条の螺旋羽根が設けられた構成を一例に説明したが、第1搬送部材42には、3条またはそれ以上の螺旋羽根を設けてもよい。
また、上記では、第1搬送部材42に、切り欠き42K、規制部42R、規制部42Lを設けた構成を一例に説明したが、第2搬送部材43にも、切り欠き42K、規制部42R、規制部42Lを設けてもよい。
【0065】
ここで、切り欠き42Kの設置位置について説明する。
図9は、図3の符号αで示す部分の拡大図である。なお、図9では、矢印9Aで示す方向が、現像剤の搬送方向となっている。
図9に示すように、第1搬送部材42の軸42aの周りには、清掃部47と、受渡部48とが設けられている。
【0066】
清掃部47は、トナー濃度センサユニット500(図2参照)のセンシング面を清掃する機能部であり、トナー濃度センサユニット500に対向する位置に設けられている。清掃部47が設けられている部分は、螺旋羽根が設けられておらず、現像剤の搬送能力が低下する。
受渡部48は、現像剤の搬送方向において、清掃部47よりも下流側に設けられ、搬送されてきた現像剤を、第2搬送部材43(図2参照)へ送り出す。付言すると、搬送されてきた現像剤を、開口440に向けて押し出す。
【0067】
図9において、領域βで示す領域は、清掃部47の上流側に位置する1ピッチ分の領域である。また、図9に示す領域γは、清掃部47の下流側から受渡部48の上流側へ至る領域である。この領域γには、受渡部48の側の領域γ1と、清掃部47の側の領域γ2とが存在する。
【0068】
図9にて示す領域δは、受渡部48と隣り合う領域であって、領域γ1とは反対側に位置する領域である。
領域δには、受渡部48よりも上流側にある螺旋羽根の巻き方向(旋回方向)とは逆方向に巻かれた螺旋羽根が設けられている。この逆に巻かれた螺旋羽根により、領域δに到達した現像剤は逆流し、受渡部48へ向かう。
【0069】
本実施形態では、領域βおよび領域γに設けられた螺旋羽根には、切り欠き42Kが設けられていない。
また、領域γ1に設けられた螺旋羽根は、一条の螺旋羽根となっている。ここで、軸42aに直交する断面において、螺旋羽根がひとつだけ存在している場合、この断面には、一条の螺旋羽根が存在していると言える。
【0070】
切り欠き42Kが存在すると、現像剤の攪拌が促進されるが、その一方で、現像剤の搬送速度が不均一になりやすく、また、現像剤の搬送量も不均一になりやすい。
ここで、清掃部47の近傍に、切り欠き42Kが設けられていると、トナー濃度センサユニット500を通過する現像剤の搬送速度、搬送量が不均一になりやすい。この場合、トナー濃度センサユニット500によるトナー濃度の検出が不安定になりやすい。
【0071】
そこで、本実施形態では、清掃部47の上流側1ピッチ分の螺旋羽根には、切り欠き42Kを設けない構成としている。これにより、切り欠き42Kが設けられる場合に比べ、トナー濃度センサユニット500を通過する現像剤の搬送速度、搬送量が安定化する。
さらに、本実施形態では、領域γに設けられた螺旋羽根にも、切り欠き42Kが設けられておらず、切り欠き42Kが設けられる場合に比べ、受渡部48が現像剤を押し出す際の、現像剤の量が安定化する。
【0072】
図10は、第1搬送部材42の他の構成例を示した図である。なお、以下で説明する構成では、上流側部分BRLの形状が主に異なり、他の部分については、上記にて説明した構成と同様となっている。また、以下の説明では、第1螺旋羽根42b1と第2螺旋羽根42b2とを特に区別しない場合には、単に螺旋羽根42bと称する。
図10にて示すこの構成例でも、第1螺旋羽根42b1および第2螺旋羽根42b2の各々には、現像剤の搬送方向下流側に位置する下流側側面84とこの下流側側面84とは反対側に位置する上流側側面86とが設けられている。
【0073】
下流側側面84は、第1搬送部材42の一端部42X側に向かうに従い下るように形成され、上流側側面86は、第1搬送部材42の他端部42Y側に向かうに従い下るように形成されている。
付言すると、本実施形態では、軸42aの回転に伴い、矢印10Aで示す方向へ現像剤が搬送されるが、この現像剤の搬送方向において、下流側に、下流側側面84が設けられ、この下流側側面84よりも上流側に上流側側面86が設けられている。
さらに、第1螺旋羽根42b1および第2螺旋羽根42b2の各々は、その断面形状が三角形となっており、上流側側面86と下流側側面84とが交わる箇所に頂部42Eを有する。
【0074】
ここで、本実施形態では、上流側部分BRLのうちの、切り欠き42K(第1切り欠き42K1)の隣に位置する部分にて、下流側側面84の傾斜角度αの方が、上流側側面86の傾斜角度βよりも小さくなっている。
言い換えると、本実施形態では、上流側部分BRLの下流側端部96にて、下流側側面84の傾斜角度の方が、上流側側面86の傾斜角度よりも小さくなっている。
【0075】
さらに説明すると、本実施形態では、下流側端部96にて、下流側側面84が、現像剤の搬送方向下流側に向かって大きく延びている。
これにより、本実施形態では、下流側端部96のうち、下流側側面84が設けられている側が、規制部42Rとして機能する。
【0076】
さらに説明すると、本実施形態では、上流側部分BRLの頂部42Eと下流側交点K1との距離である下流側距離L1と、頂部42Eと上流側交点K2との距離である上流側距離L2とを比べた場合に、下流側距離L1の方が大きくなっている。
ここで、下流側交点K1とは、下流側側面84と軸42aの外周面とが交わる箇所をいう。また、上流側交点K2とは、上流側側面86と軸42aの外周面とが交わる箇所をいう。
また、頂部42Eとは、螺旋羽根42bのうち、軸42aの外周面から最も離れた箇所をいう。なお、図10に示すように、頂部42Eに、軸方向に沿って延びる平面が形成されている場合には、下流側側面84の延長面と上流側側面86の延長面とが交わる箇所を、頂部とする。
【0077】
本実施形態では、上記と同様、相対移動を行う現像剤が、軸42aの回転方向における上流側に向かうが、この現像剤は、上記と同様、規制部42Rによりその移動が規制される。付言すると、矢印10Bで示すように、第1螺旋羽根42b1と第2螺旋羽根42b2との間を通って上流側へ向かおうとする現像剤は、下流側端部96のうちの、下流側側面84が設けられている側に位置する部分により、その移動が規制される。
【0078】
そして、上記と同様、一部の現像剤が、切り欠き42K側に向かい、他の現像剤が、規制部42Rの外面49の対向位置を通って、軸42aの回転方向における上流側へ向かう。
さらに、本実施形態においても、上記と同様、規制部42Rの外面49に(下流側側面84に)、下り傾斜が付与されており、第1搬送部材42の軸方向へ現像剤を搬送する搬送力が現像剤に作用する。
【0079】
図11(A)、(B)は、第1搬送部材42の他の構成例を示した図である。
図11(A)に示す構成例では、下流側側面84の傾斜角度が、切り欠き42Kの隣に位置する隣接箇所から、軸42aの回転方向における上流側に向かうに従い、次第に大きくなる。
付言すると、この構成例では、下流側端部96が位置する箇所を始点として、軸42aの回転方向における上流側に向かうに従い、下流側側面84の傾斜角度が次第に大きくなる。
言い換えると、本実施形態では、下流側側面84に、軸42aの回転方向における上流側に向かうに従い傾斜角度が大きくなる部分が設けられている。
【0080】
さらに説明すると、この構成例では、上流側部分BRLの下流側側面84に、傾斜して配置された第1の部位841と、同じく傾斜して配置された第2の部位842とが設けられている。
第2の部位842は、第1の部位841よりも第2切り欠き42K2(図6参照)側に位置する。付言すると、軸42aの回転方向において、第2の部位842は、第1の部位841よりも上流側に位置する。さらに、この構成例では、第1の部位841の傾斜角度よりも、第2の部位842の傾斜角度の方が大きくなっている。
付言すると、この構成例では、下流側側面84のうち、第1切り欠き42K1と第2切り欠き42K2との間に位置する部分に、傾斜角度が互いに異なる第1の部位841、第2の部位842が設けられている。
【0081】
さらに、この構成例では、下流側側面84の傾斜角度は、軸42aの回転方向における上流側に向かうに従い大きくなり、最終的には、上流側側面86の傾斜角度と等しくなる。
付言すると、上流側部分BRLの上流側端部99(図6参照)(第2切り欠き42K2の直前の部分)では、下流側側面84の傾斜角度と上流側側面86の傾斜角度とが等しくなる。
【0082】
次に、図11(B)に示す構成例について説明する。
図11(B)にて示す構成例でも、上記と同様、下流側側面84の傾斜角度の方が、上流側側面86の傾斜角度よりも小さくなっている。
さらに、この構成例では、下流側側面84が、軸42aの回転方向における上流側に向って延びるように形成されているが、この上流側に向かう過程において、下流側側面84の傾斜角度が変化しないようになっている。
下流側側面84は、必ずしも傾斜角度を変化させないでもよく、軸42aの回転方向における何れの位置においても、下流側側面84の傾斜角度を同じとしてもよい。
【0083】
なお、下流側側面84の傾斜角度は、60°よりも大きくすることが好ましい。
より具体的には、下流側側面84の傾斜角度の方が上流側側面86の傾斜角度よりも小さい、上記にて説明した部分では、下流側側面84の傾斜角度を、60°よりも大きくすることが好ましい。
【0084】
(その他)
上記では、現像装置40における搬送部材を一例に説明したが、上記にて説明した搬送部材は、現像装置40における現像剤の搬送に限らず、現像剤を収容したカートリッジ内における現像剤の搬送や、カートリッジから現像装置に向かう現像剤搬送経路に設けてもよい。また、上記にて説明した搬送部材は、廃トナーの搬送などに用いてもよい。
さらに、上記では、画像形成装置1に設けられた搬送部材について説明したが、上記にて説明した構成は、画像形成装置以外の他の装置に適用してもよく、現像剤以外の粉体、粒体などの搬送に、上記にて説明した構成を適用してもよい。また、上記にて説明した構成は、柔らかい樹脂の粘性体や土のようなものの搬送に用いてもよい。言い換えると、樹脂の押し出し成型機や掘削機に対して、上記の構成を適用してもよい。
また、被搬送物の大きさについても特に制限はなく、搬送部材のサイズを大きくすれば、径が大きい被搬送物の搬送にも上記の搬送部材を用いることができる。
【符号の説明】
【0085】
1…画像形成装置、10…感光体ドラム、40…現像装置、42…第1搬送部材、42a…軸、42b1…第1螺旋羽根、42b2…第2螺旋羽根、42K…切り欠き、42K1…第1切り欠き、42K2…第2切り欠き、42R…規制部、42X…一端部、42Y…他端部、49…外面、84…下流側側面、841…第1の部位、842…第2の部位、86…上流側側面、96…下流側端部、BRL…上流側部分
図1
図2
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図11