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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】車両のバックドア構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20220802BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
B60R13/04 A
B60J5/10 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018184484
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020050313
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】杉島 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】宮村 翔一
(72)【発明者】
【氏名】新田 和矢
【審査官】西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-58877(JP,A)
【文献】特開2016-22760(JP,A)
【文献】特開2011-37314(JP,A)
【文献】特開2009-96290(JP,A)
【文献】特開2003-226137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/04
B60J 5/10
B62D 37/00 - 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部に配置され、バックドアガラスを有するバックドアと、
前記バックドアにおける前記バックドアガラスの上方の上縁部分を含む領域に設けられたリヤスポイラと、
前記バックドアにおける前記バックドアガラスの下方の下縁部分を含む領域に設けられたリヤガーニッシュと
を備える車両のバックドア構造であって、
前記リヤスポイラは、前記バックドアの前記上縁部分に配置されたスポイラ本体部と、当該スポイラ本体部の両側部から下方に延びて、前記バックドアにおける前記バックドアガラスの車幅方向両側に沿って上下方向に延びる側縁部分を覆う一対のスポイラサイド部とを有し、
前記リヤガーニッシュは、前記バックドアの前記下縁部分に配置されたガーニッシュ本体部と、当該ガーニッシュ本体部の両側部から上方に延びる一対のガーニッシュサイド部と、ガーニッシュサイド取付部とを有し、
前記一対のガーニッシュサイド部は、当該ガーニッシュサイド部の上端が前記スポイラサイド部の下端よりも上方に位置するように、前記一対のスポイラサイド部の車幅方向外側まで延び、
前記ガーニッシュサイド取付部は、前記ガーニッシュサイド部の上端と前記スポイラサイド部の下端との間の位置において、前記スポイラサイド部によって外部から隠された位置で、前記ガーニッシュサイド部を前記側縁部分に連結する、
ことを特徴とする車両のバックドア構造。
【請求項2】
前記リヤガーニッシュは、前記ガーニッシュサイド部と前記ガーニッシュサイド取付部との間に、前記スポイラサイド部によって前記バックドアへ近づく方向に向かって押さえられるサイド被押圧部をさらに有する、
請求項1に記載の車両のバックドア構造。
【請求項3】
前記サイド被押圧部と前記スポイラサイド部との間に介在するプロテクタをさらに備えている、
請求項2に記載の車両のバックドア構造。
【請求項4】
前記サイド被押圧部は、前記スポイラサイド部に対向する面において溝を有しており、
前記プロテクタは、前記溝に嵌まり込んでいる、
請求項3に記載の車両のバックドア構造。
【請求項5】
前記リヤスポイラは、スポイラサイド取付部をさらに有しており、
前記スポイラサイド取付部は、前記バックドアにおける前記ガーニッシュサイド取付部の上下両側の位置で、前記スポイラサイド部を前記バックドアの前記側縁部分に連結する、
請求項2~4のいずれか1項に記載の車両のバックドア構造。
【請求項6】
下側の前記スポイラサイド取付部は、前記ガーニッシュサイド取付部との距離が上側の前記スポイラサイド取付部と当該ガーニッシュサイド取付部との距離よりも近くなるように、前記ガーニッシュサイド取付部に近接して配置されている、
請求項5に記載の車両のバックドア構造。
【請求項7】
前記リヤガーニッシュは、前記ガーニッシュ本体部と前記ガーニッシュサイド部とによって形成されたコーナー部分に設けられ、前記スポイラサイド部によって前記バックドアへ近づく方向に向かって押さえられるコーナー被押圧部をさらに有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の車両のバックドア構造。
【請求項8】
前記バックドアにおける車内側の面において前記バックドアガラスの車幅方向側方の位置に配置され、前記バックドアの上下開閉時に当該バックドアを支持するダンパをさらに備えており、
前記バックドアの前記側縁部分は、前記ダンパを取り付けるために車幅方向外側に張り出した張出部分を有しており、
前記ガーニッシュサイド部は、前記張出部分を上方から覆う位置に配置されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の車両のバックドア構造。
【請求項9】
車体後部に配置され、バックドアガラスを有するバックドアと、
前記バックドアにおける前記バックドアガラスの上方の上縁部分を含む領域に設けられたリヤスポイラと、
前記バックドアにおける前記バックドアガラスの下方の下縁部分を含む領域に設けられたリヤガーニッシュと、
前記バックドアにおける車内側の面において前記バックドアガラスの車幅方向側方の位置に配置され、前記バックドアの上下開閉時に当該バックドアを支持するダンパと
を備える車両のバックドア構造であって、
前記リヤスポイラは、前記バックドアの前記上縁部分に配置されたスポイラ本体部と、当該スポイラ本体部の両側部から下方に延びて、前記バックドアにおける前記バックドアガラスの車幅方向両側に沿って上下方向に延びる側縁部分を覆う一対のスポイラサイド部とを有し、
前記リヤガーニッシュは、前記バックドアの前記下縁部分に配置されたガーニッシュ本体部と、当該ガーニッシュ本体部の両側部から上方に延びる一対のガーニッシュサイド部と、を有し、
前記一対のガーニッシュサイド部は、当該ガーニッシュサイド部の上端が前記スポイラサイド部の下端よりも上方に位置するように、前記一対のスポイラサイド部の車幅方向外側まで延び、
前記バックドアの前記側縁部分は、前記ダンパを取り付けるために車幅方向外側に張り出した張出部分を有しており、
前記ガーニッシュサイド部は、前記張出部分を上方から覆う位置に配置されている、
ことを特徴とする車両のバックドア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバックドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リヤスポイラとリヤガーニッシュとがバックドアに設けられたバックドア構造が開示されている。リヤスポイラは、水平方向に延びる本体部の両側から下方に延びる一対のサイド部を有している。一方、リヤガーニッシュも、リヤスポイラも水平方向に延びる本体部の両側から上方に延びる一対のサイド部を有している。
【0003】
このバックドア構造では、バックドアにおけるバックドアガラスの車幅方向両側に沿って延びる側縁部分には、リヤガーニッシュのサイド部の上端部とリヤスポイラのサイド部の下端部とが上下方向に並ぶように隣接して配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-58877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、リヤスポイラとリヤガーニッシュとがバックドアに設けられたバックドア構造では、リヤガーニッシュのバックドアに対する取付けは、バックドアにおけるバックドアガラスの下方の下縁部分にのみで行われている。したがって、従来では、リヤガーニッシュの一対のサイド部をリヤスポイラの一対のサイド部の車幅方向外側まで周り込むデザインにすることは難しいと考えられていたので、車両後部の美観の向上を達成できなかった。
【0006】
すなわち、リヤガーニッシュの一対のサイド部を上方へ延長させてリヤスポイラの一対のサイド部の車幅方向外側まで周り込むデザインにすれば、リヤガーニッシュのサイド部の周り込み量が大きくなり、バックドアガラスの下部のみの取付部では、リヤガーニッシュのサイド部にバックドアからの浮きが生じることが懸念され、またリヤガーニッシュのサイド部の取付場所の確保も難しいと考えられていたので、従来ではこのようなデザインが採用されていなかったという経緯がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、リヤガーニッシュのサイド部をリヤスポイラのサイド部の下端よりも上方へ延長させて車体後部の美観の向上が可能な車両のバックドア構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る車両のバックドア構造は、車体後部に配置され、バックドアガラスを有するバックドアと、前記バックドアにおける前記バックドアガラスの上方の上縁部分を含む領域に設けられたリヤスポイラと、前記バックドアにおける前記バックドアガラスの下方の下縁部分を含む領域に設けられたリヤガーニッシュとを備える車両のバックドア構造であって、前記リヤスポイラは、前記バックドアの前記上縁部分に配置されたスポイラ本体部と、当該スポイラ本体部の両側部から下方に延びて、前記バックドアにおける前記バックドアガラスの車幅方向両側に沿って上下方向に延びる側縁部分を覆う一対のスポイラサイド部とを有し、前記リヤガーニッシュは、前記バックドアの前記下縁部分に配置されたガーニッシュ本体部と、当該ガーニッシュ本体部の両側部から上方に延びる一対のガーニッシュサイド部と、ガーニッシュサイド取付部とを有し、前記一対のガーニッシュサイド部は、当該ガーニッシュサイド部の上端が前記スポイラサイド部の下端よりも上方に位置するように、前記一対のスポイラサイド部の車幅方向外側まで延び、前記ガーニッシュサイド取付部は、前記ガーニッシュサイド部の上端と前記スポイラサイド部の下端との間の位置において、前記スポイラサイド部によって外部から隠された位置で、前記ガーニッシュサイド部を前記側縁部分に連結する、ことを特徴とする。
【0009】
かかる構成により、ガーニッシュサイド部をスポイラサイド部の下端よりも上方へ延長させることにより、車両後部の美観を向上することが可能である。しかも、ガーニッシュサイド取付部によってガーニッシュサイド部のバックドアに対する締結剛性を確保することが可能であり、その結果、ガーニッシュサイド部をバックドアに安定して保持することが可能である。
【0010】
前記リヤガーニッシュは、前記ガーニッシュサイド部と前記ガーニッシュサイド取付部との間に、前記スポイラサイド部によって前記バックドアへ近づく方向に向かって押さえられるサイド被押圧部をさらに有するのが好ましい。
【0011】
かかる構成により、ガーニッシュサイド部のバックドアからの浮きを抑制することが可能である。
【0012】
前記サイド被押圧部と前記スポイラサイド部との間に介在するプロテクタをさらに備えているのが好ましい。
【0013】
かかる構成により、リヤガーニッシュのサイド被押圧部がスポイラサイド部に接触することよって損傷することを抑制することが可能である。
【0014】
前記サイド被押圧部は、前記スポイラサイド部に対向する面において溝を有しており、前記プロテクタは、前記溝に嵌まり込んでいるのが好ましい。
【0015】
かかる構成により、プロテクタをサイド被押圧部の溝に保持することができ、スポイラサイド部はプロテクタを介してサイド被押圧部をより安定して押さえることが可能である。
【0016】
前記リヤスポイラは、スポイラサイド取付部をさらに有しており、前記スポイラサイド取付部は、前記バックドアにおける前記ガーニッシュサイド取付部の上下両側の位置で、前記スポイラサイド部を前記バックドアの前記側縁部分に連結するのが好ましい。
【0017】
かかる構成により、スポイラサイド部がガーニッシュの被押圧部を押さえた際に当該被押圧部から受ける反力による浮きを抑制することが可能である。
【0018】
下側の前記スポイラサイド取付部は、前記ガーニッシュサイド取付部との距離が上側の前記スポイラサイド取付部と当該ガーニッシュサイド取付部との距離よりも近くなるように、前記ガーニッシュサイド取付部に近接して配置されているのが好ましい。
【0019】
スポイラサイド部の下端の浮きを抑えることが可能であり、ガーニッシュサイド部とスポイラサイド部の下端との合い沿い(すなわち、表面の連続性)を向上することが可能である。
【0020】
前記リヤガーニッシュは、前記ガーニッシュ本体部と前記ガーニッシュサイド部とによって形成されたコーナー部分に設けられ、前記スポイラサイド部によって前記バックドアへ近づく方向に向かって押さえられるコーナー被押圧部をさらに有するのが好ましい。
【0021】
かかる構成により、リヤガーニッシュのコーナー部分のバックドアからの浮きを防止することが可能である。
【0022】
前記バックドアにおける車内側の面において前記バックドアガラスの車幅方向側方の位置に配置され、前記バックドアの上下開閉時に当該バックドアを支持するダンパをさらに備えており、前記バックドアの前記側縁部分は、前記ダンパを取り付けるために車幅方向外側に張り出した張出部分を有しており、前記ガーニッシュサイド部は、前記張出部分を上方から覆う位置に配置されているのが好ましい。
【0023】
かかる構成では、前記バックドアにおける車内側の面においてバックドアガラスの車幅方向側方の位置にダンパを配置するスペースが必要であり、車室空間を確保しながらダンパ用の設置スペースを確保するためにバックドアの側縁部分はダンパを取り付けるために車幅方向外側に張り出した張出部分を有する形状になるが、その張出部分をガーニッシュサイド部が上方から覆い隠すことが可能であり、ダンパを備えた構成であっても車両後部の美観が向上することが可能である。
【0024】
本発明の請求項9に係る車両のバックドア構造は、車体後部に配置され、バックドアガラスを有するバックドアと、前記バックドアにおける前記バックドアガラスの上方の上縁部分を含む領域に設けられたリヤスポイラと、前記バックドアにおける前記バックドアガラスの下方の下縁部分を含む領域に設けられたリヤガーニッシュと、前記バックドアにおける車内側の面において前記バックドアガラスの車幅方向側方の位置に配置され、前記バックドアの上下開閉時に当該バックドアを支持するダンパとを備える車両のバックドア構造であって、前記リヤスポイラは、前記バックドアの前記上縁部分に配置されたスポイラ本体部と、当該スポイラ本体部の両側部から下方に延びて、前記バックドアにおける前記バックドアガラスの車幅方向両側に沿って上下方向に延びる側縁部分を覆う一対のスポイラサイド部とを有し、前記リヤガーニッシュは、前記バックドアの前記下縁部分に配置されたガーニッシュ本体部と、当該ガーニッシュ本体部の両側部から上方に延びる一対のガーニッシュサイド部と、を有し、前記一対のガーニッシュサイド部は、当該ガーニッシュサイド部の上端が前記スポイラサイド部の下端よりも上方に位置するように、前記一対のスポイラサイド部の車幅方向外側まで延び、前記バックドアの前記側縁部分は、前記ダンパを取り付けるために車幅方向外側に張り出した張出部分を有しており、前記ガーニッシュサイド部は、前記張出部分を上方から覆う位置に配置されていることを特徴とする。
【0025】
かかる構成では、ガーニッシュサイド部をスポイラサイド部の下端よりも上方へ延長させることにより、車両後部の美観を向上することが可能である。本発明ではダンパを備えた構成であるため、前記バックドアにおける車内側の面においてバックドアガラスの車幅方向側方の位置にダンパを設置するスペースが必要である。そのため、車室空間を確保しながらダンパ用の設置スペースを確保するためにバックドアの側縁部分はダンパを取り付けるために車幅方向外側に張り出した張出部分を有する形状になるが、その張出部分をガーニッシュサイド部が上方から覆い隠すことが可能である。したがって、ダンパを備えた構成であっても車両後部の美観が向上することが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の車両のバックドア構造によれば、リヤガーニッシュのサイド部をリヤスポイラのサイド部の下端よりも上方へ延長させることにより、車体後部の美観を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る車両のバックドア構造の正面図である。
図2図1のバックドア構造の斜視図である。
図3図2のスポイラサイド部を取り外した状態でリヤガーニッシュのガーニッシュサイド取付部およびその周辺部を拡大した拡大斜視図である。
図4図1のバックドアを車内側からみた場合のダンパの取り付け部分を示す図である。
図5図3においてスポイラサイド部がある状態のV-V線断面図である。
図6図3においてスポイラサイド部がある状態のVI-VI線断面図である。
図7図3においてスポイラサイド部がある状態のVII-VII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0029】
車両のバックドア構造1は、図1~3に示されるように、車体後部に上下方向Hに開閉自在に配置され、バックドアガラス3を有するバックドア2と、バックドア2におけるバックドアガラス3の上方の上縁部分2aを含む領域に設けられたリヤスポイラ4と、バックドア2におけるバックドアガラス3の下方の下縁部分2bを含む領域に設けられたリヤガーニッシュ5と、バックドア2を上下方向Hの開閉時に支持するダンパ9(図4参照)とを備えている。なお、本実施形態のバックドア構造1は、リヤガーニッシュ5の下方にバックドア2の車外側の面(すなわち、アウタパネル11の表面)に装飾用のフィニッシャー6が設けられているが、本発明ではフィニッシャーの有無についてはとくに限定されない。
【0030】
リヤスポイラ4は、図1~2に示されるように、スポイラ本体部4aと、一対のスポイラサイド部4bとを有し、FRPなど剛性の高い樹脂材料などで製造されている。
【0031】
スポイラ本体部4aは、バックドア2の上縁部分2aに配置され、車幅方向Wに延びる部分である。
【0032】
一対のスポイラサイド部4bは、スポイラ本体部4aの両側部から下方に延びている部分である。各スポイラサイド部4bは、バックドア2におけるバックドアガラス3の車幅方向Wの両側に沿って上下方向Hに延びる側縁部分2cを覆うように配置されている。
【0033】
なお、図1では、左側のスポイラサイド部4bは、バックドア2の側縁部部分2cを視認できるように、2点鎖線で表示されている。
【0034】
各スポイラサイド部4bは、図5に示されるように、上下方向H(図1~2参照、図5では紙面垂直方向)に延びる一対の側壁、すなわち、車幅方向Wの外側に位置する外側壁4b2と、車幅方向Wの内側に位置する外側壁4b3とを有する。
【0035】
リヤガーニッシュ5は、図1~3に示されるように、ガーニッシュ本体部5aと、一対のガーニッシュサイド部5bと、ガーニッシュサイド取付部5cとを有する。ガーニッシュ本体部5aおよび一対のガーニッシュサイド部5bは、FRPなど剛性の高い樹脂材料などで製造されている。
【0036】
ガーニッシュ本体部5aは、バックドア2の下縁部分2bに配置され、車幅方向Wに延びる部分である。
【0037】
一対のガーニッシュサイド部5bは、ガーニッシュ本体部5aの両側部から上方に延びる部分である。一対のガーニッシュサイド部5bは、図2~3に示されるように、ガーニッシュサイド部5bの上端5b1がスポイラサイド部4bの下端4b1よりも上方に位置するように、一対のスポイラサイド部4bの車幅方向Wの外側まで延びる。すなわち、リヤガーニッシュ5の一対のガーニッシュサイド部5bは、一対のスポイラサイド部4bの車幅方向Wの外側に周り込むように配置されている。
【0038】
ガーニッシュサイド取付部5cは、図2~3および図5に示されるように、ガーニッシュサイド部5bの上端5b1とスポイラサイド部4bの下端4b1との間の位置において、スポイラサイド部4bとバックドア2の側縁部分2cとの間に配置されている。ガーニッシュサイド取付部5cは、スポイラサイド部4bによって外部から隠された位置で、ガーニッシュサイド部5bを側縁部分2cに連結する。
【0039】
本実施形態のガーニッシュサイド取付部5cは、図5~6に示されるように、バックドア2の側縁部分2cに向けて突出する突起の形状を有しており、バックドア2の側縁部分2cにおいてアウタパネル11に形成された貫通孔13に嵌まり込んでいる。ガーニッシュサイド取付部5cは、硬質の樹脂などで形成されている。なお、本発明のガーニッシュサイド取付部5cは、ガーニッシュサイド部5bをバックドア2の側縁部分2cに連結することが可能な構成であれば突起形状以外の他の形状であってもよい。
【0040】
リヤガーニッシュ5は、図3および図5に示されるように、ガーニッシュサイド部5bとガーニッシュサイド取付部5cとの間に、スポイラサイド部4bの外側壁4d2によってバックドア2へ近づく方向に向かって押さえられるサイド被押圧部5dを有している。
【0041】
サイド被押圧部5dは、スポイラサイド部4bの外側壁4b2の下方を車幅方向Wに横断するように延びている。サイド被押圧部5dは、スポイラサイド部4b内側に位置するガーニッシュサイド取付部5cとスポイラサイド部4b外側に位置するガーニッシュサイド部5bとを連結する。
【0042】
本実施形態のバックドア構造1は、図5および図7に示されるように、サイド被押圧部5dとスポイラサイド部4bとの間に介在するプロテクタ7を備えている。プロテクタ7は、軟質のゴムや樹脂などからなる薄くて細長い板状の部材であり、スポイラサイド部4bの外側壁4b2に沿って上下方向H(図1~3参照、図5および図7では紙面垂直方向)に延びる。プロテクタ7は、その一端がスポイラサイド部4bの内面に接着され、外側壁4b2の下側をくぐって他端をスポイラサイド部4bの外側に突出させている。したがって、プロテクタ7は、サイド被押圧部5dとスポイラサイド部4bとの間に挟まれ、これらの間で緩衝材として機能することが可能である。なお、スポイラサイド部4bの外側壁4b2が軟質の材料であればプロテクタ7は省略してもよい。
【0043】
本実施形態では、サイド被押圧部5dは、図3および図5に示されるように、スポイラサイド部4bに対向する面において溝5d1を有している。溝5d1は、スポイラサイド部4bの外側壁4b2の下側において、バックドア2の側縁部分2cに近づく方向に凹むように形成されている。プロテクタ7は、溝5d1に嵌まり込んでいる。
【0044】
また、本実施形態のバックドア構造1は、図5および図7に示されるように、スポイラサイド部4bの内側壁4b3の内側の面にプロテクタ8が接着されている。プロテクタ8も、プロテクタ7と同様に、軟質のゴムや樹脂などからなる薄くて細長い板状の部材であり、スポイラサイド部4bの内側壁4b3に沿って延びる。プロテクタ8は、その一端が内側壁4b3のスポイラサイド部4bの内側の面に接着され、他端は内側に折り曲げられてバックドアガラス3の表面に押し付けられている。このプロテクタ8は、スポイラサイド部4bとバックドアガラス3との間の緩衝材として機能する。また、プロテクタ8により、クドアガラス3の表面に沿って雨水や異物などがスポイラサイド部4bの内側に侵入することを防ぐことが可能である。
【0045】
リヤスポイラ4は、図6に示されるように、スポイラサイド取付部4c、4dを有している。スポイラサイド取付部4c、4dは、バックドア2におけるガーニッシュサイド取付部5cの上下両側の位置で、スポイラサイド部4bをバックドア2の側縁部分2cに連結する。
【0046】
スポイラサイド取付部4c、4dは、図6に示されるように、バックドア2の側縁部分2cに向けて突出する突起であり、バックドア2の側縁部分2cにおいてアウタパネル11の上記貫通孔13の上下両側に形成された2個の貫通孔14、15(図3および図6参照)に嵌まり込んでいる。スポイラサイド取付部4c、4dは、ガーニッシュサイド取付部5cと同様に、硬質の樹脂などで形成されている。
【0047】
下側のスポイラサイド取付部4cは、図6に示されるように、ガーニッシュサイド取付部5bとの距離L1が上側のスポイラサイド取付部4c、4dと当該ガーニッシュサイド取付部5bとの距離L2よりも近くなるように、ガーニッシュサイド取付部5bに近接して配置されている。
【0048】
本実施形態のリヤガーニッシュ5は、図3および図7に示されるように、ガーニッシュ本体部5aとガーニッシュサイド部5bとによって形成されたコーナー部分5e(図2のスポイラサイド部4bの下端4b1を取り囲む部分)の浮きを防止するために、コーナー被押圧部5fをさらに有する。
【0049】
コーナー被押圧部5fは、上記のコーナー部分5eに設けられ、バックドア2の側縁部分2cへ向かって突出している薄い板状の部材であり、中央が少し厚くなっている。コーナー被押圧部5fは、スポイラサイド部4bの外側壁4b2の下端によって、プロテクタ7を介してバックドア2へ近づく方向に向かって押さえられる。これにより、リヤガーニッシュ5のコーナー部分5eの浮きを防止することが可能である。
【0050】
また、ダンパ9は、図4~5および図7に示されるように、バックドア2の車内側の面(すなわち、インナパネル12の表面)に設けられている。具体的には、ダンパ9は、バックドア2における車内側の面においてバックドアガラス3の車幅方向Wの側方の位置に配置されている。
【0051】
ダンパ9は、バックドア2の上下開閉時に当該バックドア2を支持することが可能な構成をしており、ガスダンパや電動ダンパなどの構造を有している。
【0052】
バックドア2の側縁部分2cは、図2および図4~5に示されるように、ダンパ9を取り付けるために車幅方向Wの外側に張り出した張出部分2c1を有している。ガーニッシュサイド部5bは、張出部分2c1を上方から覆う位置に配置されている。
【0053】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態の車両のバックドア構造1では、上記のように、一対のガーニッシュサイド部5bは、当該ガーニッシュサイド部5bの上端5b1がスポイラサイド部4bの下端4b1よりも上方に位置するように、一対のスポイラサイド部4bの車幅方向Wの外側まで延びている。したがって、ガーニッシュサイド部5bをスポイラサイド部4bの下端4b1よりも上方へ延長させることにより、バックドア2のサイド部分にボリューム感をもたせながら従来のバックドア2のアウタパネルのプレス加工では得られなかった連続性のある変化に富んだ意匠性の高い形状にすることが可能になる。その結果、車両後部の美観を向上することが可能である。
【0054】
また、ガーニッシュサイド取付部5cは、ガーニッシュサイド部5bの上端5b1とスポイラサイド部4bの下端4b1との間の位置において、スポイラサイド部4bとバックドア2の側縁部分2cとの間に挿入され、スポイラサイド部4bによって外部から隠された位置で、ガーニッシュサイド部5bを側縁部分2cに連結する。したがって、ガーニッシュサイド取付部5cによってガーニッシュサイド部5bのバックドア2に対する締結剛性を確保することが可能であり、その結果、ガーニッシュサイド部5bをバックドア2に安定して保持することが可能である。
【0055】
(2)
本実施形態の車両のバックドア構造1は、リヤガーニッシュ5は、ガーニッシュサイド部5bとガーニッシュサイド取付部5cとの間に、スポイラサイド部4bによってバックドア2へ近づく方向に向かって押さえられるサイド被押圧部5dを有する。これにより、
ガーニッシュサイド部5bのバックドア2からの浮きを抑制することが可能である。
【0056】
(3)
本実施形態の車両のバックドア構造1は、サイド被押圧部5dとスポイラサイド部4bとの間に介在するプロテクタ7を備えている。これにより、リヤガーニッシュ5のサイド被押圧部5dがスポイラサイド部4bに接触することよって損傷することを抑制することが可能である。
【0057】
(4)
本実施形態の車両のバックドア構造1では、サイド被押圧部5dは、スポイラサイド部4bに対向する面において溝5d1を有している。プロテクタ7は、溝5d1に嵌まり込んでいる。この構成により、プロテクタ7をサイド被押圧部5dの溝5d1に保持することができ、スポイラサイド部4bはプロテクタ7を介してサイド被押圧部5dをより安定して押さえることが可能である。
【0058】
(5)
本実施形態の車両のバックドア構造1では、リヤスポイラ4は、スポイラサイド取付部4c、4dを有している。スポイラサイド取付部4c、4dは、バックドア2におけるガーニッシュサイド取付部5cの上下両側の位置で、スポイラサイド部4bをバックドア2の側縁部分2cに連結する。この構成により、スポイラサイド部4b(とくに外側壁4b2)がリヤガーニッシュ5の被押圧部5dを押さえた際に当該被押圧部5dから受ける反力による浮きを抑制することが可能である。
【0059】
(6)
本実施形態の車両のバックドア構造1では、下側のスポイラサイド取付部4c、4dは、ガーニッシュサイド取付部5bとの距離L1が上側のスポイラサイド取付部4c、4dと当該ガーニッシュサイド取付部5bとの距離L2よりも近くなるように、ガーニッシュサイド取付部5bに近接して配置されている。この構成により、スポイラサイド部4bの下端4b1の浮きを抑えることが可能であり、ガーニッシュサイド部5bとスポイラサイド部4bの下端4b1との合い沿い(表面の連続性)を向上することが可能である。
【0060】
(7)
本実施形態の車両のバックドア構造1では、リヤガーニッシュ5は、ガーニッシュ本体部5aとガーニッシュサイド部5bとによって形成されたコーナー部分5eに設けられているコーナー被押圧部5fを有する。コーナー被押圧部5fは、スポイラサイド部4bによってバックドア2へ近づく方向に向かって押さえられる。この構成により、リヤガーニッシュ5のコーナー部分5eのバックドア2からの浮きを防止することが可能である。
【0061】
(8)
本実施形態の車両のバックドア構造1は、バックドア2における車内側の面においてバックドアガラス3の車幅方向Wの側方の位置に配置され、バックドア2の上下開閉時に当該バックドア2を支持するダンパ9を備えている。バックドア2の側縁部分2cは、ダンパ9を取り付けるために車幅方向W外側に張り出した張出部分2c1を有している。ガーニッシュサイド部5bは、張出部分2c1を上方から覆う位置に配置されている。
【0062】
上記のようにダンパ9を備えた構成では、バックドア2における車内側の面においてバックドアガラス3の車幅方向Wの側方の位置にダンパ9を配置するスペースが必要であり、車室空間を確保しながらダンパ9用の設置スペースを確保するためにバックドア2の側縁部分2cはダンパ9を取り付けるために車幅方向W外側に張り出した張出部分2c1を有する形状になる。しかし、その張出部分2c1をガーニッシュサイド部5bが上方から覆い隠すことが可能であり、ダンパ9を備えた構成であっても車両後部の美観が向上することが可能である。
【0063】
(変形例)
上記の実施形態の車両のバックドア構造1のように、ガーニッシュサイド部5bの上端5b1がスポイラサイド部4bの下端4b1よりも上方に位置するように、一対のスポイラサイド部4bの車幅方向Wの外側まで延び、しかも、上記(8)のようにダンパ9を有する構成であり、一対のガーニッシュサイド部5bは、バックドア2の側縁部分2cは、ダンパ9を取り付けるために車幅方向Wの外側に張り出した張出部分2c1を有しており、ガーニッシュサイド部5bは、張出部分2c1を上方から覆う位置に配置されていれば、上記のガーニッシュ取付部5cが無い構成であっても、車両後部の美観が向上することが可能になる。
【0064】
このような構成であっても、ガーニッシュサイド部5bをスポイラサイド部4bの下端4b1よりも上方へ延長させることにより、バックドア2のサイド部分にボリューム感をもたせながら従来のバックドア2のアウタパネルのプレス加工では得られなかった連続性のある変化に富んだ意匠性の高い形状にすることが可能になる。その結果、車両後部の美観を向上することが可能である。この変形例では、ダンパ9を備えた構成であるため、バックドア2における車内側の面においてバックドアガラス3の車幅方向Wの側方の位置にダンパ9を設置するスペースが必要である。そのため、車室空間を確保しながらダンパ9用の設置スペースを確保するためにバックドア2の側縁部分2cはダンパ9を取り付けるために車幅方向Wの外側に張り出した張出部分2c1を有する形状になるが、その張出部分2c1をガーニッシュサイド部5bが上方から覆い隠すことが可能である。したがって、ダンパ9を備えた構成であっても車両後部の美観が向上することが可能になる。
【符号の説明】
【0065】
1 バックドア構造
2 バックドア
2a 上縁部分
2b 下縁部分
2c 側縁部分
3 バックドアガラス
4 リヤスポイラ
4a スポイラ本体部
4b スポイラサイド部
4b1 下端
4c、4d スポイラサイド取付部
5 リヤガーニッシュ
5a ガーニッシュ本体部
5b ガーニッシュサイド部
5b1 上端
5c ガーニッシュサイド取付部
5d サイド被押圧部
5d1 溝
5e コーナー部分
5f コーナー被押圧部
7、8 プロテクタ
9 ダンパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7