(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】画像形成装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220802BHJP
H04N 1/34 20060101ALI20220802BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220802BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20220802BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220802BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H04N1/00 912
H04N1/34 200
G03G21/00 388
B41J29/00 Z
B41J29/38
G06F3/12 337
G06F3/12 303
(21)【出願番号】P 2018186844
(22)【出願日】2018-10-01
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117673
【氏名又は名称】中島 了
(72)【発明者】
【氏名】川村 勇司
(72)【発明者】
【氏名】来正 洋一
(72)【発明者】
【氏名】久野 高資
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-225727(JP,A)
【文献】特開2007-020155(JP,A)
【文献】特開2007-241536(JP,A)
【文献】特開2004-213449(JP,A)
【文献】特開2018-066814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/34
G03G 21/00
B41J 29/00
B41J 29/38
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行する判定手段と、
前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定する決定手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記ジョブの完遂を阻害する要因である完遂阻害要因が前記ジョブの実行に際して発生するか否かに関する推定結果に基づいて、前記ジョブの完遂の可否を判定し、
前記ジョブは、ファクシミリ送信ジョブであり、
前記完遂阻害要因は、前記ファクシミリ送信ジョブにおける送信先に接続することができない状態である接続不可状態を含み、
前記判定手段は、前記送信先への回線接続を試行することによって、前記完遂阻害要因の発生の有無を推定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成装置であって、
ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行する判定手段と、
前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定する決定手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記ジョブの完遂を阻害する要因である完遂阻害要因が前記ジョブの実行に際して発生するか否かに関する推定結果に基づいて、前記ジョブの完遂の可否を判定し、
前記ジョブは、読取処理にて読み取った原稿のスキャンデータを書込先デバイスに書き込む書込ジョブであり、
前記完遂阻害要因は、前記書込先デバイスの容量不足を含み、
前記画像形成装置は、
前記書込先デバイスの残容量に基づいて、前記書込先デバイスに書き込むことが可能な用紙枚数である書込可能枚数を算出する算出手段、
をさらに備え、
前記判定手段は、前記読取処理にて読み取られた原稿の読取枚数と前記書込可能枚数とを比較することによって、前記完遂阻害要因の発生の有無を推定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
画像形成装置であって、
ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行する判定手段と、
前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定する決定手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記ジョブの完遂を阻害する要因である完遂阻害要因が前記ジョブの実行に際して発生するか否かに関する推定結果に基づいて、前記ジョブの完遂の可否を判定し、
前記ジョブは、読取処理にて読み取った原稿のスキャンデータを印刷出力する印刷出力ジョブであり、
前記完遂阻害要因は、消耗品切れを含み、
前記画像形成装置は、
前記画像形成装置内の消耗品の残量に基づいて、印刷出力することが可能な用紙枚数である印刷可能枚数を算出する算出手段、
をさらに備え、
前記判定手段は、前記読取処理にて読み取られた原稿の読取枚数と前記印刷可能枚数とを比較することによって、前記完遂阻害要因の発生の有無を推定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
画像形成装置であって、
ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行する判定手段と、
前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定する決定手段と、
を備え、
前記画像形成装置は、課金方式に関する設定内容として、前記ジョブの完了後に前記ジョブの実行に対して課金する課金方式である後課金方式と前記前課金方式との2種類の課金方式を選択的に設定することが可能であり、
前記判定手段は、前記画像形成装置における課金方式が前記前課金方式に設定されていることを条件に、前記完遂可否判定処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記決定手段は、
前記ジョブを完遂することが可能である旨が判定される場合、前記ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべき旨を決定し、
前記ジョブを完遂することが不可能である旨が判定される場合、前記ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべきでない旨を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記決定手段は、
前記ジョブを完遂することが可能である旨が判定される場合、前記ジョブ全体の実行に対して前記課金処理を実行すべき旨を決定し、
前記ジョブを完遂することが不可能である旨が判定される場合において、前記ジョブ全体のうち、遂行することが可能な部分ジョブである遂行可能部分ジョブが存在する旨が判定されるときには、
前記ジョブ全体のうち前記遂行可能部分ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべき旨を決定するとともに、
前記ジョブ全体のうち、前記遂行可能部分ジョブを除く残余の部分ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべきでない旨を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置に内蔵されたコンピュータに、
a)ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行するステップと、
b)前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定するステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記ステップa)においては、前記ジョブの完遂を阻害する要因である完遂阻害要因が前記ジョブの実行に際して発生するか否かに関する推定結果に基づいて、前記ジョブの完遂の可否が判定され、
前記ジョブは、ファクシミリ送信ジョブであり、
前記完遂阻害要因は、前記ファクシミリ送信ジョブにおける送信先に接続することができない状態である接続不可状態を含み、
前記ステップa)においては、前記送信先への回線接続を試行することによって、前記完遂阻害要因の発生の有無が推定されることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
画像形成装置に内蔵されたコンピュータに、
a)ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行するステップと、
b)前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定するステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記ステップa)においては、前記ジョブの完遂を阻害する要因である完遂阻害要因が前記ジョブの実行に際して発生するか否かに関する推定結果に基づいて、前記ジョブの完遂の可否が判定され、
前記ジョブは、読取処理にて読み取った原稿のスキャンデータを書込先デバイスに書き込む書込ジョブであり、
前記完遂阻害要因は、前記書込先デバイスの容量不足を含み、
前記ステップa)は、
a-1)前記書込先デバイスの残容量に基づいて、前記書込先デバイスに書き込むことが可能な用紙枚数である書込可能枚数を算出するステップと、
a-2)前記読取処理にて読み取られた原稿の読取枚数と前記書込可能枚数とを比較することによって、前記完遂阻害要因の発生の有無を推定するステップと、
を備えることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
画像形成装置に内蔵されたコンピュータに、
a)ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行するステップと、
b)前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定するステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記ステップa)においては、前記ジョブの完遂を阻害する要因である完遂阻害要因が前記ジョブの実行に際して発生するか否かに関する推定結果に基づいて、前記ジョブの完遂の可否が判定され、
前記ジョブは、読取処理にて読み取った原稿のスキャンデータを印刷出力する印刷出力ジョブであり、
前記完遂阻害要因は、消耗品切れを含み、
前記ステップa)は、
a-1)前記画像形成装置内の消耗品の残量に基づいて、印刷出力することが可能な用紙枚数である印刷可能枚数を算出するステップと、
a-2)前記読取処理にて読み取られた原稿の読取枚数と前記印刷可能枚数とを比較することによって、前記完遂阻害要因の発生の有無を推定するステップと、
を備えることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
画像形成装置に内蔵されたコンピュータに、
a)ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行するステップと、
b)前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定するステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記画像形成装置は、課金方式に関する設定内容として、前記ジョブの完了後に前記ジョブの実行に対して課金する課金方式である後課金方式と前記前課金方式との2種類の課金方式を選択的に設定することが可能であり、
前記ステップa)においては、前記画像形成装置における課金方式が前記前課金方式に設定されていることを条件に、前記完遂可否判定処理が実行されることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項7から請求項10のいずれかに記載のプログラムにおいて、
前記ステップb)においては、
前記ジョブを完遂することが可能である旨が前記ステップa)にて判定される場合、前記ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべき旨が決定され、
前記ジョブを完遂することが不可能である旨が前記ステップa)にて判定される場合、前記ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべきでない旨が決定されることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項8から請求項10のいずれかに記載のプログラムにおいて、
前記ステップb)においては、
前記ジョブを完遂することが可能である旨が前記ステップa)にて判定される場合、前記ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべき旨が決定され、
前記ジョブを完遂することが不可能である旨が前記ステップa)にて判定される場合において、前記ジョブ全体のうち、遂行することが可能な部分ジョブである遂行可能部分ジョブが存在する旨が判定されるときには、
前記ジョブ全体のうち、前記遂行可能部分ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべき旨が決定されるとともに、
前記ジョブ全体のうち、前記遂行可能部分ジョブを除く残余の部分ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべきでない旨が決定されることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))などの画像形成装置、およびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MFPでのジョブの実行に対して当該ジョブの完了後に課金する技術が存在する(特許文献1参照)。このような課金方式は、「後課金方式」とも称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の後課金方式では、ジョブ(たとえばコピージョブ)の実行中に消耗品切れ等が発生して当該ジョブが完遂されなかった場合であっても、当該ジョブの実行に対する課金処理は未だ行われていないため、課金金額の全部又は一部をユーザに返金する返金処理は発生しない。
【0005】
ところで、MFPでのジョブの実行に対して当該ジョブの完了後ではなく当該ジョブの完了前に課金することが考えられる。このような課金方式は、「前課金方式」とも称される。たとえば、コインベンダー等を用いる現金決済ではなく電子決済による課金処理が行われる場合に、前課金方式が採用される。
【0006】
前課金方式による課金処理が行われる場合、MFPにおいては、次のようにしてジョブが実行される。ここでは、印刷出力ジョブ(詳細にはコピージョブ)の実行指示が受け付けられることを想定する。
【0007】
まず、MFPは、ユーザによるコピージョブの実行開始指示に応答して、原稿の読取処理を実行してスキャンデータを生成する。そして、MFPは、当該スキャンデータに基づく印刷出力を直ちに実行するのではなく、当該コピージョブの実行に対する課金処理の完了後に当該スキャンデータに基づく印刷出力を実行する。たとえば、100枚の原稿をコピーするコピージョブの実行指示が受け付けられた場合には、当該コピージョブの実行にに対する課金処理が実行された後に、100枚の原稿のスキャンデータに基づく印刷出力が開始される。
【0008】
しかしながら、このような前課金方式において、たとえばジョブの実行中(詳細には印刷出力中)に消耗品切れ(用紙切れ等)が発生して当該ジョブが完遂されなかった場合、課金済の課金金額の全部又は一部をユーザに返金する返金処理が発生してしまう。たとえば、100枚の原稿のうちの70枚分の原稿に関して印刷出力が実行された時点で消耗品切れが発生して残余の原稿(30枚の原稿)に関する印刷出力が実行されない場合、当該残余の原稿に関する印刷出力の実行に対する課金金額を返金する返金処理が発生してしまう。
【0009】
このような返金処理が発生した場合において、MFPにて電子決済による課金処理が採用されているときには、MFPの設置店舗の責任者等が当該返金処理を行わなければならず、手間が生じる。
【0010】
そこで、本発明は、前課金方式において返金処理の発生を抑制することが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、画像形成装置であって、ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行する判定手段と、前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定する決定手段と、を備え、前記判定手段は、前記ジョブの完遂を阻害する要因である完遂阻害要因が前記ジョブの実行に際して発生するか否かに関する推定結果に基づいて、前記ジョブの完遂の可否を判定し、前記ジョブは、ファクシミリ送信ジョブであり、前記完遂阻害要因は、前記ファクシミリ送信ジョブにおける送信先に接続することができない状態である接続不可状態を含み、前記判定手段は、前記送信先への回線接続を試行することによって、前記完遂阻害要因の発生の有無を推定することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、画像形成装置であって、ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行する判定手段と、前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定する決定手段と、を備え、前記判定手段は、前記ジョブの完遂を阻害する要因である完遂阻害要因が前記ジョブの実行に際して発生するか否かに関する推定結果に基づいて、前記ジョブの完遂の可否を判定し、前記ジョブは、読取処理にて読み取った原稿のスキャンデータを書込先デバイスに書き込む書込ジョブであり、前記完遂阻害要因は、前記書込先デバイスの容量不足を含み、前記画像形成装置は、前記書込先デバイスの残容量に基づいて、前記書込先デバイスに書き込むことが可能な用紙枚数である書込可能枚数を算出する算出手段、をさらに備え、前記判定手段は、前記読取処理にて読み取られた原稿の読取枚数と前記書込可能枚数とを比較することによって、前記完遂阻害要因の発生の有無を推定することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、画像形成装置であって、ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行する判定手段と、前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定する決定手段と、を備え、前記判定手段は、前記ジョブの完遂を阻害する要因である完遂阻害要因が前記ジョブの実行に際して発生するか否かに関する推定結果に基づいて、前記ジョブの完遂の可否を判定し、前記ジョブは、読取処理にて読み取った原稿のスキャンデータを印刷出力する印刷出力ジョブであり、前記完遂阻害要因は、消耗品切れを含み、前記画像形成装置は、前記画像形成装置内の消耗品の残量に基づいて、印刷出力することが可能な用紙枚数である印刷可能枚数を算出する算出手段、をさらに備え、前記判定手段は、前記読取処理にて読み取られた原稿の読取枚数と前記印刷可能枚数とを比較することによって、前記完遂阻害要因の発生の有無を推定することを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、画像形成装置であって、ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行する判定手段と、前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定する決定手段と、を備え、前記画像形成装置は、課金方式に関する設定内容として、前記ジョブの完了後に前記ジョブの実行に対して課金する課金方式である後課金方式と前記前課金方式との2種類の課金方式を選択的に設定することが可能であり、前記判定手段は、前記画像形成装置における課金方式が前記前課金方式に設定されていることを条件に、前記完遂可否判定処理を実行することを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係る画像形成装置において、前記決定手段は、前記ジョブを完遂することが可能である旨が判定される場合、前記ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべき旨を決定し、前記ジョブを完遂することが不可能である旨が判定される場合、前記ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべきでない旨を決定することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項2から請求項4のいずれかの発明に係る画像形成装置において、前記決定手段は、前記ジョブを完遂することが可能である旨が判定される場合、前記ジョブ全体の実行に対して前記課金処理を実行すべき旨を決定し、前記ジョブを完遂することが不可能である旨が判定される場合において、前記ジョブ全体のうち、遂行することが可能な部分ジョブである遂行可能部分ジョブが存在する旨が判定されるときには、前記ジョブ全体のうち前記遂行可能部分ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべき旨を決定するとともに、前記ジョブ全体のうち、前記遂行可能部分ジョブを除く残余の部分ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべきでない旨を決定することを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、画像形成装置に内蔵されたコンピュータに、a)ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行するステップと、b)前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定するステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記ステップa)においては、前記ジョブの完遂を阻害する要因である完遂阻害要因が前記ジョブの実行に際して発生するか否かに関する推定結果に基づいて、前記ジョブの完遂の可否が判定され、前記ジョブは、ファクシミリ送信ジョブであり、前記完遂阻害要因は、前記ファクシミリ送信ジョブにおける送信先に接続することができない状態である接続不可状態を含み、前記ステップa)においては、前記送信先への回線接続を試行することによって、前記完遂阻害要因の発生の有無が推定されることを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、画像形成装置に内蔵されたコンピュータに、a)ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行するステップと、b)前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定するステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記ステップa)においては、前記ジョブの完遂を阻害する要因である完遂阻害要因が前記ジョブの実行に際して発生するか否かに関する推定結果に基づいて、前記ジョブの完遂の可否が判定され、前記ジョブは、読取処理にて読み取った原稿のスキャンデータを書込先デバイスに書き込む書込ジョブであり、前記完遂阻害要因は、前記書込先デバイスの容量不足を含み、前記ステップa)は、a-1)前記書込先デバイスの残容量に基づいて、前記書込先デバイスに書き込むことが可能な用紙枚数である書込可能枚数を算出するステップと、a-2)前記読取処理にて読み取られた原稿の読取枚数と前記書込可能枚数とを比較することによって、前記完遂阻害要因の発生の有無を推定するステップと、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項9の発明は、画像形成装置に内蔵されたコンピュータに、a)ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行するステップと、b)前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定するステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記ステップa)においては、前記ジョブの完遂を阻害する要因である完遂阻害要因が前記ジョブの実行に際して発生するか否かに関する推定結果に基づいて、前記ジョブの完遂の可否が判定され、前記ジョブは、読取処理にて読み取った原稿のスキャンデータを印刷出力する印刷出力ジョブであり、前記完遂阻害要因は、消耗品切れを含み、前記ステップa)は、a-1)前記画像形成装置内の消耗品の残量に基づいて、印刷出力することが可能な用紙枚数である印刷可能枚数を算出するステップと、a-2)前記読取処理にて読み取られた原稿の読取枚数と前記印刷可能枚数とを比較することによって、前記完遂阻害要因の発生の有無を推定するステップと、を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項10の発明は、画像形成装置に内蔵されたコンピュータに、a)ジョブの実行に対して前記ジョブの完了前に課金する課金方式である前課金方式による課金処理に先立って、前記ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理である完遂可否判定処理を実行するステップと、b)前記完遂可否判定処理の判定結果に基づいて、前記課金処理の実行の是非を決定するステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記画像形成装置は、課金方式に関する設定内容として、前記ジョブの完了後に前記ジョブの実行に対して課金する課金方式である後課金方式と前記前課金方式との2種類の課金方式を選択的に設定することが可能であり、前記ステップa)においては、前記画像形成装置における課金方式が前記前課金方式に設定されていることを条件に、前記完遂可否判定処理が実行されることを特徴とする。
【0021】
請求項11の発明は、請求項7から請求項10のいずれかの発明に係るプログラムにおいて、前記ステップb)においては、前記ジョブを完遂することが可能である旨が前記ステップa)にて判定される場合、前記ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべき旨が決定され、前記ジョブを完遂することが不可能である旨が前記ステップa)にて判定される場合、前記ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべきでない旨が決定されることを特徴とする。
【0022】
請求項12の発明は、請求項8から請求項10のいずれかの発明に係るプログラムにおいて、前記ステップb)においては、前記ジョブを完遂することが可能である旨が前記ステップa)にて判定される場合、前記ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべき旨が決定され、前記ジョブを完遂することが不可能である旨が前記ステップa)にて判定される場合において、前記ジョブ全体のうち、遂行することが可能な部分ジョブである遂行可能部分ジョブが存在する旨が判定されるときには、前記ジョブ全体のうち、前記遂行可能部分ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべき旨が決定されるとともに、前記ジョブ全体のうち、前記遂行可能部分ジョブを除く残余の部分ジョブの実行に対して前記課金処理を実行すべきでない旨が決定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1から請求項12に記載の発明によれば、前課金方式において返金処理の発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】MFP(画像形成装置)の機能ブロックを示す図である。
【
図3】課金システムの概略動作(一例)を示す図である。
【
図4】課金システムの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図6】完遂可否判定処理のサブルーチンを示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る完遂可否判定処理のサブルーチンを示す図である。
【
図8】第3実施形態に係る完遂可否判定処理のサブルーチンを示す図である。
【
図10】第1実施形態の第1の改変例に係るMFPの動作を示すフローチャートである。
【
図11】第1実施形態の第1の改変例に係る通知画面を示す図である。
【
図12】第4実施形態に係るMFPの動作を示すフローチャートである。
【
図13】第4実施形態に係る通知画面を示す図である。
【
図14】第5実施形態に係るMFPの動作を示すフローチャートである。
【
図17】第5実施形態に係るMFPの動作(残余の部分ジョブに関する動作)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
<1.第1実施形態>
<1-1.システム構成>
図1は、本発明に係る課金システム1の構成を示す概略図である。
図1に示すように、当該課金システム1は、マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral)(MFPとも略称する)10と課金サーバ90と携帯端末50とを備える。
【0031】
本システム1における各要素10,50,90は、それぞれ、ネットワーク108を介して互いに通信可能に接続される。ネットワーク108は、LAN(Local Area Network)およびインターネットなどによって構成される。また、当該ネットワーク108に対する接続態様は、有線接続であってもよく、あるいは無線接続であってもよい。
【0032】
課金サーバ90は、MFP10とは別に設けられた外部装置(外部サーバ)である。当該課金サーバ90は、課金処理を実行することが可能な装置である。当該課金サーバ90には、MFP10の装置名(装置ID)と当該MFP10のIPアドレスとが関連付けて登録されている。
【0033】
携帯端末50は、課金サーバ90との連携動作を行うことが可能な装置(情報機器)である。当該携帯端末50には、課金サーバ90との連携動作を行うことが可能なアプリケーションソフトウエアがインストールされており、携帯端末50は、当該アプリケーションソフトウエアを用いて課金サーバ90との連携動作を行う。また、携帯端末50は、撮影部(撮影機能)を有しており、携帯端末50は、当該撮影部を用いて二次元バーコードを読み取る(認識する)ことが可能である。
【0034】
課金サーバ90は、次のようにして携帯端末50と連携することにより、課金処理を実行する。
【0035】
まず、ジョブの実行に対する課金金額がMFP10にて算出されると、当該MFP10のタッチパネル25に二次元バーコードが表示される。当該二次元バーコードには、当該課金金額と当該課金金額の課金対象装置(詳細には、MFP10の装置ID)とを含む課金情報が埋め込まれている。携帯端末50は、撮影部を用いて当該二次元バーコードの読み取り(認識し)、当該二次元バーコードに埋め込まれている課金金額を取得する。そして、携帯端末50は、当該二次元バーコードから取得した課金情報を課金サーバ90に送信する。課金サーバ90は、携帯端末50から受信した課金情報に基づいて、課金金額の課金処理を実行する。そして、課金サーバ90は、課金処理の完了に応答して、課金完了通知(課金処理が完了した旨を示す通知)をMFP10に送信する。詳細には、課金サーバ90は、MFP10の装置IDに関連付けられているIPアドレス(MFP10のIPアドレス)に基づいて、課金完了通知をMFP10に送信する。
【0036】
この課金システム1では、このような課金動作が、MFP10でのジョブの完了前に実行される。詳細には、この課金システム1では、ジョブの実行に対して課金する課金方式として「前課金方式」が採用されている。前課金方式は、ジョブの実行に対して当該ジョブの完了前(詳細には、ジョブにおける出力処理の開始前)に課金する課金方式である。
【0037】
具体的には、MFP10は、上述のような動作(課金金額の算出動作および二次元バーコードの表示動作等)をジョブの完了前に実行する。そして、MFP10は、課金サーバ90からの課金完了通知の受信に応答して(課金完了通知の受信を条件に)、当該ジョブにおける出力処理を実行する(ジョブを完遂する)。
【0038】
<1-2.MFP10の構成>
図2は、MFP10の機能ブロックを示す図である。
【0039】
MFP10は、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、
図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、操作部6およびコントローラ9(制御部)等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。なお、MFP10は、画像形成装置、画像処理装置あるいは印刷出力装置などとも称される。
【0040】
画像読取部2は、MFP10の所定の位置(自動原稿供給部(ADF:Auto Document Feeder)あるいはガラス面等)に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、当該原稿の画像データ(原稿画像データあるいはスキャンデータとも称する)を生成する処理部である。
【0041】
印刷出力部3は、印刷対象データに関する画像データに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する処理(印刷出力処理とも称する)を実行する出力部である。
【0042】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、通信ネットワーク108を介したネットワーク通信が可能である。このネットワーク通信では、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)およびFTP(File Transfer Protocol)等の各種のプロトコルが利用され、当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先(課金サーバ90等)との間で各種のデータを授受することが可能である。
【0043】
通信部4は、各種データを送信する送信部4aと各種データを受信する受信部4bとを有する。
【0044】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の格納装置で構成される。
【0045】
操作部6は、MFP10に対する操作入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。このMFP10においては、略板状の操作パネル部6c(
図1参照)が設けられており、当該操作パネル部6cは、その正面側にタッチパネル(操作パネル)25(
図1参照)を有している。タッチパネル25は、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成され、各種情報を表示するとともに操作者からの操作入力を受け付けることが可能である。
【0046】
コントローラ(制御部)9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM等)とを備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体、あるいはネットワーク108等を介してMFP10にインストールされてもよい。
【0047】
具体的には、
図2に示すように、コントローラ9は、当該プログラムの実行により、通信制御部11と入力制御部12と表示制御部13と判定部14と決定部15と算出部16とジョブ実行部17とを含む各種の処理部を実現する。
【0048】
通信制御部11は、他の装置(課金サーバ90等)との間の通信動作を制御する処理部である。
【0049】
表示制御部13は、表示部6b(タッチパネル25)における表示動作を制御する処理部である。たとえば、表示制御部13は、二次元バーコードをMFP10のタッチパネル25に表示する表示動作を制御する。なお、当該二次元バーコードには、算出部16によって算出された課金金額等が埋め込まれている。
【0050】
入力制御部12は、操作入力部6aに対する操作入力動作を制御する処理部である。
【0051】
判定部14は、各種の判定動作等を実行する処理部である。たとえば、判定部14は、ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理(完遂可否判定処理とも称する)を実行する。
【0052】
決定部15は、完遂可否判定処理の判定結果に基づいて課金サーバ90における課金処理の実行の是非を決定する決定動作等を実行する処理部である。
【0053】
算出部16は、ジョブの実行に対する課金金額等を算出する算出処理を実行する処理部である。
【0054】
ジョブ実行部17は、ジョブの実行動作を制御する処理部である。
【0055】
なお、ここでは、主にコントローラ9のCPUにてソフトウエアプログラムを実行することによって、上述の各種の動作が実行されているが、これに限定されず、MFP10(詳細には、コントローラ9の内部あるいは外部)にて設けられた専用ハードウエア等を用いて、上述の各種の動作が実行されるようにしてもよい。たとえば、通信制御部11、入力制御部12、表示制御部13、判定部14、決定部15、算出部16およびジョブ実行部17(
図2)等の全部または一部が、1または複数の専用ハードウエアを用いて実現されてもよい。
【0056】
<1-3.動作>
この実施形態では、処理対象データを書込先デバイスに書き込む書込ジョブの実行指示が受け付けられる態様が例示される。
【0057】
詳細には、原稿を光学的に読み取って当該原稿のスキャンデータを生成し且つ当該スキャンデータ(処理対象データ)を書込先デバイスに書き込む書込ジョブ(スキャンデータ書込ジョブとも称される)の実行指示が受け付けられる。書込ジョブにおける書込先デバイスとしては、たとえば、USBメモリなどの可搬性の記録媒体が例示される。原稿のスキャンデータをUSBメモリに書き込むジョブは、「スキャンtoUSB」ジョブなどとも称される。
【0058】
なお、これに限定されず、書込ジョブにおける書込先デバイスは、外部のコンピュータ(ユーザによって指定されたコンピュータ)であってもよい。詳細には、たとえばSMB(Server Message Block)プロトコルを用いて処理対象データ(原稿のスキャンデータ)が、ユーザによって指定された宛先(送信先のコンピュータ)に送信されて当該送信先のコンピュータ(書込先デバイス)に書き込まれる(格納される)ようにしてもよい。なお、SMBを用いてスキャンデータを外部のコンピュータに書き込む(送信して格納する)ジョブは、「スキャンtoSMB」ジョブなどとも称される。
【0059】
図5は、MFP10の動作を示すフローチャートである。
図3は、課金システム1の概略動作(一例)を示す図である。
図4は、課金システム1の動作の一例(詳細には、ジョブの実行に対して課金処理が行われる場合における動作)を示すタイミングチャートである。
【0060】
この課金システム1においては、MFP10は、前課金方式による課金処理(ステップS42(
図3および
図4参照))に先立って、ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する(ステップS11)。
【0061】
そして、当該ジョブを完遂することが可能である旨が判定される場合、MFP10は、当該ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨を決定する(ステップS13)。そして、当該課金処理(ステップS42)が課金サーバ90にて実行され、当該課金処理の完了後、当該ジョブにおける出力処理(ステップS17)がMFP10にて実行される(
図3および
図4参照)。
【0062】
一方、当該ジョブを完遂することが不可能である旨が判定される場合、MFP10は、当該ジョブの実行に対して課金処理を実行すべきでない旨を決定する(ステップS18(
図5))。この場合、課金処理(ステップS42)は課金サーバ90にて実行されず、当該ジョブにおける出力処理(ステップS17)も実行されない。
【0063】
このような動作の詳細について、以下に説明する。
【0064】
ユーザは、MFP10の所定の位置(たとえばADF)に原稿を載置するとともに、MFP10のタッチパネル25を用いて書込ジョブ(詳細にはスキャンデータ書込ジョブ)の設定操作を行う。当該設定操作においては、読取解像度などの設定項目の設定内容が設定される。そして、ユーザは、たとえば「スタート」ボタン(不図示)を押下して、書込ジョブの実行開始指示を付与する。
【0065】
MFP10は、書込ジョブの設定操作と実行開始指示とを受け付けると、
図5の動作を開始する。
【0066】
ステップS10においては、MFP10は、原稿の読取処理を実行し、当該原稿のスキャンデータを生成して取得する。当該スキャンデータは、書込ジョブにおける出力処理(詳細には、書込先デバイスへの書込処理)の処理対象データ(出力対象データ)として取得される。なお、当該書込処理は、スキャンデータの生成に応じて直ちに実行されず、一時的にMFP10内に格納された後、後述するように、課金サーバ90での課金処理の完了に応答して実行される。
【0067】
ステップS11においては、MFP10は、当該書込ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する処理(完遂可否判定処理)を実行する。
【0068】
具体的には、MFP10は、書込ジョブ(詳細には、書込ジョブにおける出力処理)の実行に際して完遂阻害要因(エラー)が発生するか否か、を推定する。完遂阻害要因は、ジョブの完遂を阻害する要因である。書込ジョブに関する完遂阻害要因としては、書込先デバイス(詳細にはUSBメモリ)の容量不足および/または書込先デバイスの故障などが例示される。そして、MFP10は、完遂可否判定処理を実行する。詳細には、MFP10は、完遂阻害要因の発生の有無に関する推定結果に基づいて、当該書込ジョブの完遂の可否を判定する。
【0069】
図6は、完遂可否判定処理(書込ジョブに関する完遂可否判定処理)(ステップS11)のサブルーチン処理を示す図である。
【0070】
まず、ステップS21においては、MFP10は、ステップS11(
図5)にて生成されたスキャンデータに基づいて、当該スキャンデータ(書込ジョブの処理対象データ)のデータ容量C10を取得する。
【0071】
そして、ステップS22においては、MFP10は、スキャンデータ自体ではなく、当該スキャンデータに対応するダミーデータを試行的に書込先デバイス(USBメモリ)に書き込む。このようなダミーデータを用いた試行的な書込動作(書込処理)は、書込試行動作(書込試行処理)とも称される。
【0072】
具体的には、MFP10は、スキャンデータの容量C10と同一の容量を有するダミーデータを生成し、当該ダミーデータを書込先デバイスへと書き込む。すなわち、原稿のスキャンデータが実際に書込先デバイスに書き込まれる代わりに、当該スキャンデータに対応するダミーデータが書込先デバイスに書き込まれる。これにより、MFP10は、仮にスキャンデータを書込先デバイスに実際に書き込んだ場合に完遂阻害要因(書込先デバイスの容量不足および/または書込先デバイスの故障等)が発生するか否かを推定(予測)する。なお、USBメモリへのダミーデータの書込処理の実行に際して、USBメモリが未挿入である旨が検出される場合は、ユーザに対してUSBメモリの挿入操作が要求される。そして、ユーザによるUSBメモリの挿入後に、書込試行動作が実行される。
【0073】
そして、処理はステップS22からステップS23へと進む。
【0074】
ステップS23においては、MFP10は、書込先デバイスへのダミーデータの書込処理が正常に終了したか否か、を判定する。
【0075】
たとえば、書込先デバイスの残容量(空き容量)C20がダミーデータの容量(すなわち、スキャンデータの容量C10)よりも小さい(C20<C10)場合、当該ダミーデータの書込処理(書込試行処理)の実行中に完遂阻害要因(詳細には、書込先デバイスの容量不足)が発生し、当該書込試行処理は正常に終了しない。また、書込先デバイスが故障している場合、当該ダミーデータの書込試行処理の実行に際して完遂阻害要因(詳細には、書込先デバイスの故障)が発生し、当該書込試行処理は正常に終了しない。
【0076】
このように、書込先デバイスへのダミーデータの書込試行処理において完遂阻害要因(詳細には、書込先デバイスの容量不足および/または書込先デバイスの故障等)が発生する場合、当該書込試行処理は正常に終了しない。この場合、MFP10は、本来のスキャンデータの書込ジョブ(詳細には、当該書込ジョブにおける書込処理(本書込処理とも称される))の実行に際しても当該書込ジョブの完遂阻害要因が発生することを推定し、処理をステップS23からステップS24へと進める。ステップS24では、MFP10は、書込ジョブ(詳細には、書込先デバイスへのスキャンデータの書込処理)の実行に際して完遂阻害要因が発生する旨を推定する。
【0077】
そして、ステップS25においては、MFP10は、書込ジョブを完遂することが不可能である旨を判定する。その後、書込先デバイス内のダミーデータの削除処理(ステップS28)が実行された後、処理は
図5のステップS12へと進む。なお、ステップS12以降の動作については後述する。
【0078】
一方、書込先デバイスへのダミーデータの書込処理(書込試行処理)においていずれの完遂阻害要因も発生しない場合、当該書込試行処理は正常に終了する。この場合、処理はステップS23からステップS26へと進み、MFP10は、本来のスキャンデータの書込ジョブ(詳細には、書込先デバイスへのスキャンデータの書込処理)の実行に際しても完遂阻害要因が発生しない旨を推定する。
【0079】
そして、ステップS27においては、MFP10は、書込ジョブを完遂することが可能である旨を判定する。
【0080】
その後、書込先デバイス内のダミーデータの削除処理(ステップS28)が実行された後、処理は
図5のステップS12へと進む。
【0081】
図5のステップS12においては、MFP10は、完遂可否判定処理における判定結果に応じた分岐処理を実行する。
【0082】
書込ジョブを完遂することが可能である旨がステップS27(
図6)にて判定される場合、処理はステップS12からステップS13へと進む。
【0083】
ステップS13においては、MFP10は、書込ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨(課金処理を実行して書込ジョブにおける書込処理を実行すべき旨)を決定する。そして、処理はステップS13からステップS14へと進む。
【0084】
ステップS14においては、MFP10は、当該書込ジョブの実行に対する課金金額を算出する(
図3および
図4も参照)。当該課金金額は、書込ジョブにおける書込枚数等に基づき算出される。
【0085】
そして、MFP10は、二次元バーコードをMFP10のタッチパネル25に表示する(ステップS15)(
図3および
図4も参照)。当該二次元バーコードには、ステップS14にて算出された課金金額と当該課金金額の課金対象装置(詳細には、MFP10の装置ID)とを含む課金情報が埋め込まれている。
【0086】
ユーザは、携帯端末50の撮影部を当該二次元バーコードに向け、携帯端末50は、当該二次元バーコードの読取処理(認識処理)を実行する(ステップS31)(
図3および
図4参照)。そして、携帯端末50は、当該二次元バーコードから当該課金情報を取得し、当該課金情報を課金サーバ90に送信する(ステップS32)。
【0087】
課金サーバ90は、携帯端末50から課金情報を受信する(ステップS41)と、当該課金情報に基づいて、書込ジョブの実行に対する課金金額の課金処理を実行する(ステップS42)(
図3および
図4も参照)。その後、課金サーバ90は、当該課金情報に基づいて、MFP10の装置IDに関連付けられているIPアドレス(MFP10のIPアドレス)を取得するとともに、当該課金処理の完了に応答して、課金完了通知をMFP10に送信する(ステップS43)。
【0088】
そして、MFP10は、課金完了通知を課金サーバ90から受信する(ステップS16(
図5))と、書込ジョブにおける出力処理を実行する(ステップS17)(
図3および
図4参照)。具体的には、MFP10は、書込先デバイス(詳細にはUSBメモリ)へのスキャンデータ(処理対象データ)の書込処理を実行する。
【0089】
このように、書込ジョブを完遂することが可能である旨がステップS27(
図6)にて判定される場合、ステップS12~S17の各処理が実行される。
【0090】
一方、書込ジョブを完遂することが不可能である旨がステップS25(
図6)にて判定される場合、処理はステップS12(
図5)からステップS18へと進む。
【0091】
ステップS18においては、MFP10は、当該書込ジョブの実行に対して課金処理を実行すべきでない旨を決定する。
【0092】
なお、MFP10は、ステップS18において、さらに、書込ジョブの実行に対して課金処理が実行されない旨をユーザに通知する。具体的には、MFP10は、通知画面200(
図9)をMFP10のタッチパネル25に表示する。当該通知画面200には、書込ジョブの実行に対して課金処理が実行されない旨の通知(課金不実行通知とも称される)が表示される。
【0093】
そして、
図5の動作は終了する。すなわち、書込ジョブの実行に対する課金処理(ステップS42(
図3))は実行されず、当該書込ジョブにおける出力処理(ステップS17)は実行されない。
【0094】
以上のように、第1実施形態では、前課金処理に先立って、ジョブを完遂することが可能であるか否かが判定される(ステップS11(
図5))。そして、ジョブを完遂することが可能である旨が判定される場合、当該ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定される(ステップS13)。一方、ジョブを完遂することが不可能である旨が判定される場合、当該ジョブの実行に対して課金処理を実行すべきでない旨が決定される(ステップS18)。その結果、当該ジョブにおける出力処理(ステップS17)は実行されず、当該ジョブの実行に対する課金処理(ステップS42(
図3および
図4))も実行されない。したがって、前課金方式において返金処理の発生を抑制することが可能である。
【0095】
<1-4.第1実施形態の第1の改変例>
なお、上記第1実施形態では、ジョブを完遂することが不可能である旨が判定される(ステップS11(
図5))場合、常に、当該ジョブの実行に対して課金処理を実行すべきでない旨が決定されている(ステップS18)が、これに限定されない。
【0096】
たとえば、ジョブを完遂することが不可能である旨が一旦判定される場合であっても、完遂阻害要因の発生回避操作(後述)がユーザによって行われた後において、再度の完遂可否判定処理において、当該ジョブを完遂することが可能である旨が判定されるときには、当該ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定されてもよい。
【0097】
図10は、この改変例に係るMFP10の動作を示すフローチャートである。
図10に示されるように、この改変例では、ステップS12とステップS18との間にステップS71,S72の処理が追加されている。
【0098】
具体的には、まず、完遂阻害要因が発生する旨が推定されたことに応じて、ジョブ(書込ジョブ)を完遂することが不可能である旨がステップS11(詳細には、ステップS25(
図6))にて判定されると、処理はステップS12からステップS71へと進む。
【0099】
ステップS71においては、MFP10は、完遂阻害要因(詳細には、USBメモリの容量不足および/またはUSBメモリの故障等)の発生を回避する操作(発生回避操作とも称する)をユーザに対して要求する。
【0100】
図11は、この改変例に係る通知画面210(200)を示す図である。当該通知画面210においては、課金不実行通知が表示されるとともに、書込ジョブ(詳細には、「スキャンtoUSB」ジョブ)に関する完遂阻害要因に対応する発生回避操作を要求するメッセージM10が表示される。たとえば、USBメモリの交換操作が発生回避操作としてユーザに対して要求される。なお、これに限定されず、原稿のスキャンデータの容量C10を低減させる設定変更操作(たとえば、読取解像度を下げる操作)が発生回避操作として要求されてもよい。
【0101】
このようにして完遂阻害要因の発生回避操作がユーザに対して要求された後、処理はステップS71からステップS72へと進み、完遂阻害要因の発生回避操作が受け付けられたか否か、が判定される。
【0102】
たとえば、USBメモリの交換操作が検出されることなくキャンセルボタン211(
図11)が押下されると、完遂阻害要因の発生回避操作が受け付けられなかった旨が判定される。そして、処理はステップS72からステップS18に進む。ステップS18以降の処理は第1実施形態と同様である。
【0103】
一方、USBメモリの交換操作が検出されると、完遂阻害要因の発生回避操作が受け付けられた旨が判定される。そして、通知画面210が消去(非表示化)され、処理はステップS72からステップS11へと戻り、MFP10は、完遂可否判定処理を再び実行する。当該完遂可否判定処理の処理内容は、第1実施形態(
図6参照)と同様である。なお、書込ジョブの設定変更操作が発生回避操作として要求される場合は、処理はステップS72からステップS10へと戻る。そして、変更後の設定条件に基づいて原稿の読取処理が再度実行された後、完遂可否判定処理が再び実行される。
【0104】
そして、発生回避操作後に再度実行された完遂可否判定処理において、書込ジョブを完遂することが可能である旨が判定される場合、処理はステップS11からステップS12を経てステップS13へと進み、書込ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定される。
【0105】
このように、ジョブを完遂することが不可能である旨が一旦判定されていた場合であっても、発生回避操作後における再度の完遂可否判定処理(ステップS11)において、ジョブを完遂することが可能である旨が判定されるときには、当該ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定される(ステップS13)。そして、課金サーバ90での当該課金処理(ステップS42(
図3))の後において、当該ジョブにおける出力処理(詳細には、書込ジョブにおける書込処理)がMFP10にて実行される(ステップS17)。したがって、ジョブ完遂の可能性を高めつつ、返金処理の発生を抑制することが可能である。
【0106】
<1-5.第1実施形態の第2の改変例>
また、上記第1実施形態では、原稿のスキャンデータに対応するダミーデータを書込先デバイスに書き込む(ステップS22(
図6))ことによって、書込ジョブの実行時における完遂阻害要因(書込先デバイスの容量不足および/または書込先デバイスの故障等)の発生の有無が推定されているが、これに限定されない。
【0107】
たとえば、原稿のスキャンデータ(処理対象データ)の容量C10と書込先デバイスの書込可能残容量(空き容量)C20とを比較することによって、書込ジョブの実行時における完遂阻害要因(書込先デバイスの容量不足)の発生の有無が推定されてもよい。
【0108】
具体的には、原稿のスキャンデータの容量C10が書込先デバイスの残容量C20よりも小さい(C10<C20)場合、完遂阻害要因(詳細には、書込先デバイスの容量不足)が発生しない旨が推定されて、ジョブを完遂することが可能である旨が判定される。一方、当該スキャンデータの容量C10が書込先デバイスの残容量C20よりも大きい(C10>C20)場合、完遂阻害要因が発生する旨が推定されて、ジョブを完遂することが不可能である旨が判定される。
【0109】
これによれば、ジョブ完遂が書込先デバイスの容量不足を原因としては阻害されないことが予め確認されるので、書込先デバイスの容量不足に起因する返金処理の発生を回避することが可能である。
【0110】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0111】
上記第1実施形態では、書込ジョブの実行指示が受け付けられている。
【0112】
これに対して、以下の第2、第3実施形態では、上記第1実施形態とは異なる種類のジョブの実行指示が受け付けられる。
【0113】
この第2実施形態では、印刷出力ジョブ(処理対象データを印刷出力するジョブ)の実行指示が受け付けられる態様について説明する。
【0114】
ここでは、印刷出力ジョブとして、コピージョブ(原稿のスキャンデータを生成し且つ当該スキャンデータ(処理対象データ)を印刷出力するジョブ)が例示される。なお、これに限定されず、印刷出力ジョブは、ボックス印刷ジョブ(MFP10に格納されている印刷対象データ(処理対象データ)を印刷出力するジョブ)などであってもよい。
【0115】
印刷出力ジョブ(詳細にはコピージョブ)の実行指示が受け付けられる場合においても、第1実施形態と同様に、
図5の動作がMFP10にて実行される。
【0116】
具体的には、原稿の読取処理が実行されてスキャンデータが取得される(ステップS10)と、印刷出力ジョブを完遂することが可能であるか否か、が判定される(ステップS11)。
【0117】
図7は、第2実施形態に係る完遂可否判定処理(ステップS11)のサブルーチン処理を示す図である。
【0118】
まず、ステップS51においては、MFP10は、MFP10内の消耗品の残量A10(たとえば、用紙の残量A11およびトナーの残量A12)を取得する。
【0119】
そして、ステップS52においては、MFP10は、原稿のスキャンデータおよび印刷出力ジョブの設定内容に基づいて、印刷出力ジョブの完遂(詳細には、当該スキャンデータの印刷出力処理の実行)に要する消耗品の使用量A20を取得する。たとえば、原稿の読取枚数(すなわち、コピージョブにおける印刷出力枚数)および印刷出力ジョブの設定内容(詳細には、設定項目「両面/片面」の設定内容、および設定項目「カラー設定」の設定内容等)に基づいて、用紙の使用量A21およびトナーの使用量A22等が算出されて取得される。
【0120】
ステップS53においては、MFP10は、全ての種類の消耗品の残量A10(A11,A12等)と全ての種類の消耗品の使用量A20(A21,A22等)とをそれぞれ比較する。換言すれば、印刷出力ジョブにおける印刷出力処理の実行に際して完遂阻害要因(詳細には、消耗品切れ)が発生するか否か、が推定される。
【0121】
具体的には、MFP10内の用紙残量A11と印刷出力ジョブにおける用紙使用量A21とが比較されるとともに、MFP10内のトナー残量A12と印刷出力ジョブにおけるトナー使用量A22とが比較される。
【0122】
そして、全ての種類の消耗品について、MFP10内の残量A10が使用量A20よりも大きい(A10>A20)旨が判定される場合、処理はステップS53からステップS56へと進む。たとえば、用紙の残量A11が用紙の使用量A21よりも大きく(A11>A21)且つトナーの残量A12がトナーの使用量A22よりも大きい(A12>A22)場合、処理はステップS53からステップS56へと進む。
【0123】
ステップS56においては、印刷出力ジョブの実行に際して完遂阻害要因(消耗品切れ)が発生しない旨が推定される。そして、印刷出力ジョブを完遂することが可能である旨がステップS57にて判定され、処理は
図5のステップS11からステップS12を経てステップS13~S17へと進む。
【0124】
ステップS13~S17の処理内容は、第1実施形態と同様である。具体的には、印刷出力ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨がステップS13にて判定される。そして、ステップS14,S15を経た後、課金完了通知の受信(ステップS16)に応答して、印刷出力ジョブにおける出力処理(詳細には、スキャンデータの印刷出力処理)が実行される(ステップS17)。
【0125】
一方、いずれかの種類の消耗品の残量が印刷出力ジョブにおける使用量よりも小さい場合、MFP10内の残量A10が使用量A20よりも小さい(A10<A20)旨が判定され、処理はステップS53からステップS54へと進む。たとえば、用紙の残量A11が用紙の使用量A21よりも小さい(A11<A21)場合あるいはトナーの残量A12がトナーの使用量A22よりも小さい(A12<A22)場合、処理はステップS53からステップS54へと進む。
【0126】
ステップS54においては、完遂阻害要因(消耗品切れ)が印刷出力ジョブの実行に際して発生する旨が推定される。そして、印刷出力ジョブを完遂することが不可能である旨がステップS55にて判定され、処理は
図5のステップS11からステップS12を経てステップS18へと進む。
【0127】
具体的には、当該印刷出力ジョブの実行に対して課金処理を実行すべきでない旨がステップS18にて判定され、当該課金処理(ステップS42(
図3))が実行されることなく(印刷出力処理(ステップS17)が実行されることなく)
図5の動作は終了する。
【0128】
印刷出力ジョブの実行指示が受け付けられた場合は、以上のような動作が行われる。
【0129】
なお、この第2実施形態において、さらに、上記第1実施形態の第1の改変例の思想(完遂阻害要因の発生回避操作をユーザに要求する思想等)が適用されてもよい。印刷出力ジョブに関する完遂阻害要因の発生回避操作としては、消耗品(用紙およびトナー等)の補充操作および/または印刷出力ジョブの設定変更操作などが例示される。当該設定変更操作としては、たとえば、設定項目「両面/片面」の設定内容を値「片面」から値「両面」に変更する操作(すなわち、用紙の使用量を低減させる操作)、および/または設定項目「カラー設定」の設定内容を値「フルカラー」から値「モノクロ」に変更する操作(ブラック以外のトナーの使用量を低減させる操作)などが例示される。
【0130】
<3.第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0131】
この第3実施形態では、ファクシミリ送信ジョブの実行指示が受け付けられる態様が例示される。
【0132】
ファクシミリ送信ジョブの実行指示が受け付けられる場合においても、第1実施形態と同様に、
図5の動作がMFP10にて実行される。
【0133】
具体的には、原稿の読取処理が実行されて、処理対象データ(スキャンデータ)が取得される(ステップS10)。そして、当該ファクシミリ送信ジョブを完遂することが可能であるか否か、が判定される(ステップS11)。
【0134】
図8は、第3実施形態に係る完遂可否判定処理(ステップS11)のサブルーチン処理を示す図である。
【0135】
まず、ステップS61においては、MFP10は、ファクシミリ送信ジョブにおける設定操作にて入力されたファクシミリ番号に基づいて、当該ファクシミリ送信ジョブにおける送信先への回線接続を試行する。換言すれば、ファクシミリ送信ジョブにおける送信先への接続確認が実行される。
【0136】
そして、ステップS62においては、MFP10は、当該送信先への回線接続が成功したか否か、を判定する。換言すれば、ファクシミリ送信ジョブにおける実際の出力処理に先立って(詳細には、実際の出力処理の直前において)、当該ファクシミリ送信ジョブにおける送信先に接続することが可能であるか否かが確認される。
【0137】
当該送信先への回線接続が成功した場合、処理はステップS62からステップS65へと進み、MFP10は、ファクシミリ送信ジョブの実行に際して完遂阻害要因(詳細には、当該送信先に接続することができない状態(接続不可状態とも称する))は発生しない旨を推定する。そして、ファクシミリ送信ジョブを完遂することが可能である旨がステップS66にて判定され、処理は
図5のステップS11からステップS12を経てステップS13~S17へと進む。
【0138】
ステップS13~S17の処理内容は、第1実施形態と同様である。具体的には、ファクシミリ送信ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨がステップS13にて判定される。そして、ステップS14,S15を経た後、課金サーバ90からの課金完了通知の受信(ステップS16)に応答して、ファクシミリ送信ジョブにおける出力処理(詳細には、送信先へのスキャンデータの送信処理)が実行される(ステップS17)。
【0139】
一方、ファクシミリ送信ジョブにおける送信先への回線接続が失敗した場合、処理はステップS62からステップS63へと進み、MFP10は、完遂阻害要因(接続不可状態)が発生する旨を推定する。そして、ファクシミリ送信ジョブを完遂することが不可能である旨がステップS64にて判定され、処理は
図5のステップS11からステップS12を経てステップS18へと進む。
【0140】
具体的には、当該ファクシミリ送信ジョブの実行に対して課金処理を実行すべきでない旨がステップS18にて判定され、当該課金処理(ステップS42(
図3))が実行されることなく(ファクシミリ送信処理(ステップS17)が実行されることなく)
図5の動作は終了する。
【0141】
<4.第4実施形態>
第4実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0142】
上記第1実施形態では、ジョブを完遂することが不可能である旨が判定される(ステップS11(
図5))場合、常に、ジョブ全体の実行に対して課金処理を実行すべきでない旨が決定されている(ステップS18)。
【0143】
これに対して、第4実施形態では、ジョブ(ジョブ全体)を完遂することが不可能である旨が判定される場合であっても、ジョブ全体のうちの一部が遂行可能であるときには、ジョブ全体のうち遂行可能な部分ジョブ(遂行可能部分ジョブとも称する)の実行に対しては課金処理を実行すべき旨が決定される。
【0144】
ここでは、第1実施形態と同様に、書込ジョブ(詳細には「スキャンtoUSB」ジョブ)の実行指示が受け付けられる態様が例示される。
【0145】
図12は、第4実施形態に係るMFP10の動作を示すフローチャートである。
図12の動作は、書込ジョブの設定操作と実行開始指示とが受け付けられたことに応答して開始される。
【0146】
まず、ステップS81においては、MFP10は、ジョブにおける出力処理を実行することが可能な用紙枚数(出力可能枚数とも称する)N10を算出する。ここでは、書込ジョブにおける書込先デバイス(詳細にはUSBメモリ)に書き込むことが可能な用紙枚数(書込可能枚数とも称する)N11が算出される。
【0147】
具体的には、MFP10は、当該書込先デバイスにアクセスして、当該書込先デバイスの残容量C20を取得する。そして、MFP10は、当該残容量C20と書込ジョブにおける設定内容(読取解像度等)とに基づいて、書込可能枚数N11(N10)を算出する。そして、処理はステップS81からステップS101へと進む。
【0148】
ステップS101においては、MFP10は、書込可能枚数N11(N10)が「1」枚以上であるか否か、を判定する。
【0149】
書込可能枚数N11(N10)が「0」枚である場合、MFP10は、書込ジョブを完遂することが不可能である旨を判定するとともに、遂行可能部分ジョブが存在しない旨を判定する。そして、MFP10は、第1実施形態と同様に、書込ジョブ全体の実行に対して課金処理を実行すべきでない旨を決定する(ステップS102)。
【0150】
一方、書込可能枚数N11(N10)が「1」枚以上である場合、処理はステップS101からステップS82へと進み、MFP10は、原稿の読取処理を開始する(ステップS82)。具体的には、MFP10は、ADFに載置された複数枚の原稿の読取処理を開始する。
【0151】
その後、ステップS83,S84においては、MFP10は、書込ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する(完遂可否判定処理を実行する)とともに、遂行可能部分ジョブが存在するか否かを判定する。具体的には、複数枚の原稿が1枚ずつ読み取られる毎に当該ステップS83,S84の処理が実行される。
【0152】
まず、ステップS83においては、MFP10は、全原稿の読取処理が完了したか否か、を判定する。
【0153】
全原稿の読取処理が未だ完了していない場合、処理はステップS83からステップS84へと進み、MFP10は、読取処理にて読み取られた原稿の読取枚数N20が書込可能枚数N11(N10)に到達したか否か、を判定する。
【0154】
原稿の読取枚数N20が書込可能枚数N11に到達していない(N20<N11)場合、次の原稿が読み取られた後、処理はステップS84からステップS83へと戻る。
【0155】
このような動作(ステップS83,S84の処理)が、全原稿の読取処理が完了するかあるいは読取枚数N20が書込可能枚数N11(N10)に到達するまで、繰り返される。
【0156】
このようにしてステップS83,S84を繰り返すことによって、MFP10は、書込ジョブの実行に際して完遂阻害要因(詳細には、書込先デバイスの容量不足)が発生するか否かを推定する。詳細には、原稿の読取枚数N20が書込可能枚数N11に到達する前に全原稿の読取処理が完了する場合、書込ジョブの実行に際して書込先デバイスの容量不足が発生しない旨が推定される。一方、全原稿の読取処理が完了する前に原稿の読取枚数N20が書込可能枚数N11に到達する場合、書込ジョブの実行に際して書込先デバイスの容量不足が発生する旨が推定される。
【0157】
そして、全原稿のうち読取処理にて読み取られた原稿(全原稿あるいは全原稿のうちの一部の原稿)のスキャンデータを書込先デバイスに書き込むジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定される。すなわち、書込ジョブを遂行することが可能な部分(書込ジョブ全体を含む)までの実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定される。
【0158】
たとえば、書込可能枚数N11が70枚であり且つ全原稿の枚数が20枚である場合、原稿の読取枚数N20が書込可能枚数N11に到達する前に、原稿の読取枚数N20が20枚に到達して全原稿の読取処理が完了する。この場合、MFP10は、書込ジョブの実行に際して書込先デバイスの容量不足(完遂阻害要因)が発生しない旨を推定し、当該書込ジョブを完遂することが可能である旨を判定する。
【0159】
そして、処理はステップS83からステップS13以降へと進む。ステップS13以降の動作は第1実施形態(
図5参照)と同様である。
【0160】
具体的には、書込ジョブ全体の実行に対して課金処理を実行すべき旨がステップS13にて判定される。そして、ステップS14,S15を経た後、課金サーバ90からの課金完了通知の受信(ステップS16)に応答して、書込ジョブ全体に関する出力処理(詳細には、全原稿のスキャンデータの書込処理)が実行される(ステップS17)。
【0161】
一方、たとえば書込可能枚数N11が70枚であり且つ全原稿の枚数が100枚である場合、全原稿の読取処理が完了する前に(詳細には、100枚の原稿のうちの70枚分が読み取られた時点で)、原稿の読取枚数N20が書込可能枚数N11に到達する。この場合、MFP10は、書込ジョブの実行に際して書込先デバイスの容量不足(完遂阻害要因)が発生する旨を推定し、当該書込ジョブを完遂することが不可能である旨を判定する。また、書込可能枚数N11が「1」枚以上である旨がステップS101にて判定されたことに基づいて、MFP10は、遂行可能部分ジョブが存在する旨を判定する。そして、処理はステップS84からステップS85へと進む。
【0162】
ステップS85においては、MFP10は、書込ジョブ全体のうち、遂行可能部分ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨を決定するとともに、当該書込ジョブ全体のうち、当該遂行可能部分ジョブを除く残余の部分ジョブの実行に対して課金処理を実行すべきでない旨を決定する。詳細には、100枚の原稿のスキャンデータを書込先デバイスに書き込むジョブのうち、70枚分の原稿のスキャンデータを書き込むジョブ(遂行可能部分ジョブ)の実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定され、残余の原稿(30枚分の原稿)のスキャンデータを書き込むジョブ(残余の部分ジョブ)の実行に対しては課金処理を実行すべきでない旨が決定される。なお、処理がステップS84からステップS85に進むに際して、MFP10は、原稿の読取処理を停止する。
【0163】
そして、処理はステップS85からステップS86以降へと進む。
【0164】
具体的には、MFP10は、書込ジョブ全体のうち遂行可能部分ジョブ(のみ)の実行に対する課金金額を算出し(ステップS86)、当該課金金額等の課金情報を埋め込んだ二次元バーコードをタッチパネル25に表示する(ステップS87)。その後、携帯端末50と課金サーバ90との連携動作の後に課金処理が課金サーバ90にて実行され、課金完了通知が課金サーバ90からMFP10へと送信される。
【0165】
MFP10は、当該課金完了通知を課金サーバ90から受信する(ステップS88)と、遂行可能部分ジョブに関する出力処理を実行する(ステップS89)。具体的には、読み取られた原稿のスキャンデータ(詳細には、100枚の原稿のうちの70枚分のスキャンデータ)が、USBメモリに書き込まれる。換言すれば、100枚の原稿のうち、未だ読み取られていない30枚の原稿(残余の原稿)に関する書込ジョブ(残余の部分ジョブ)の実行に対しては課金処理は実行されず、当該残余の部分ジョブに関する書込処理は実行されない。
【0166】
なお、ステップS89において、さらに、MFP10は、当該残余の部分ジョブの実行に対して課金処理が実行されない旨をユーザに通知する。具体的には、MFP10は、通知画面220(
図13参照)をタッチパネル25に表示する。当該通知画面220には、残余の部分ジョブの実行に対して課金処理が実行されない旨が表示される。
【0167】
このように、第4実施形態では、ジョブを完遂することが不可能である旨が判定される場合であっても、遂行可能部分ジョブが存在するときには、ジョブ全体のうち当該遂行可能部分ジョブの実行に対しては課金処理を実行すべき旨が決定される(ステップS85)。そして、当該課金処理が課金サーバ90にて実行された後において、当該遂行可能部分ジョブに関する出力処理がMFP10にて実行される(ステップS89)。したがって、返金処理の発生を抑制しつつ、ジョブの実行制御を柔軟に行うことが可能である。
【0168】
<第4実施形態の改変例>
なお、上記第4実施形態では、書込ジョブの実行指示が受け付けられているが、これに限定されず、他の種類のジョブの実行指示が受け付けられてもよい。たとえば、印刷出力ジョブの実行指示が受け付けられた場合には、次のような動作が実行される。
【0169】
印刷出力ジョブ(たとえばコピージョブ)の実行指示が受け付けられる場合においても、第4実施形態と同様に、
図12の動作がMFP10にて実行される。
【0170】
具体的には、まず、ステップS81においては、MFP10内の消耗品の残量A10および印刷出力ジョブにおける設定内容に基づいて、出力可能枚数N10(詳細には、印刷出力することが可能な用紙枚数(印刷可能枚数)N12)が算出される。そして、原稿の読取処理が開始される(ステップS82)。
【0171】
その後、たとえば原稿の読取枚数N20が印刷可能枚数N12(N10)に到達する前に全原稿の読取処理が完了する場合、印刷出力ジョブの実行に際して完遂阻害要因(詳細には消耗品切れ)が発生しない旨が推定され、当該印刷出力ジョブを完遂することが可能である旨が判定される。
【0172】
そして、処理はステップS83からステップS13以降へと進む。なお、ステップS13以降の動作は、第4実施形態(第2実施形態)と同様である。具体的には、印刷出力ジョブ全体の実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定される(ステップS13)。そして、ステップS14~S16を経た後、印刷出力ジョブ全体に関する印刷出力処理が実行される(ステップS17)。
【0173】
一方、全原稿の読取処理が完了する前に原稿の読取枚数N20が印刷可能枚数N12に到達する場合、印刷出力ジョブの実行に際して完遂阻害要因が発生する旨が推定され、当該印刷出力ジョブを完遂することが不可能である旨が判定される。
【0174】
そして、処理はステップS84からステップS85以降へと進む。なお、ステップS85以降の動作は、第4実施形態と同様である。具体的には、印刷出力ジョブ全体のうち遂行可能部分ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定されるとともに、残余の部分ジョブの実行に対しては課金処理を実行すべきでない旨が決定される(ステップS85)。そして、ステップS86~S88を経た後において、遂行可能部分ジョブのみに関する印刷出力処理が実行される(ステップS89)。
【0175】
<5.第5実施形態>
第5実施形態は、第4実施形態の変形例である。以下では、第4実施形態との相違点を中心に説明する。
【0176】
上記第4実施形態では、ジョブを完遂することが不可能である旨が判定され且つ遂行可能部分ジョブが存在する旨が判定される場合、遂行可能部分ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定されており、残余の部分ジョブの実行に対しては課金処理を実行すべきでない旨が決定されている(ステップS85(
図12))。
【0177】
これに対して、この第5実施形態では、ジョブを完遂することが不可能である旨が判定され且つ遂行可能部分ジョブが存在する旨が判定される場合であっても、完遂阻害要因の発生回避操作の後において、当該残余の部分ジョブを完遂することが可能である旨が判定されるときには、当該残余の部分ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定される。
【0178】
図14は、第5実施形態に係るMFP10の動作を示すフローチャートである。
【0179】
この第5実施形態では、ステップS84の後(ステップS84にて「YES」と判定された後)において、MFP10は、選択画面300(
図15)をタッチパネル25に表示する(ステップS111)。そして、MFP10は、当該選択画面300でのユーザの選択操作に応じて分岐処理を実行する(ステップS112)。
【0180】
図15は、選択画面300を示す図である。
図15に示されるように、選択画面300においては、指示ボタン301~303が設けられている。指示ボタン301は、書込ジョブ全体のうちの遂行可能部分ジョブのみの実行を指示するボタンである。指示ボタン302は、遂行可能部分ジョブのみならず残余の部分ジョブの実行をも指示するボタンである。指示ボタン303は、書込ジョブ全体の実行の中止を指示するボタンである。ユーザは、現時点(原稿の読取枚数N20が書込可能枚数N11に到達した時点)までに読み取られた原稿(たとえば100枚の原稿のうちの70枚の原稿)のスキャンデータD1をUSBメモリ(現在MFP10に挿入されているUSBメモリ)に書き込んで書込ジョブを終了することを希望する場合、指示ボタン301を押下する。また、ユーザは、当該スキャンデータD1の書込後にUSBメモリを交換して残余の原稿(30枚の原稿)のスキャンデータを新たなUSBメモリに書き込むことを希望する場合、指示ボタン302を押下する。また、ユーザは、70枚の原稿のスキャンデータD1を破棄して書込ジョブ全体を中止することを希望する場合、指示ボタン303を押下する。
【0181】
たとえば、選択画面300において指示ボタン301が押下された場合は、処理はステップS112からステップS85~S89へと進む。ステップS85~S89の処理内容は、上記第4実施形態(
図12参照)と同様である。具体的には、書込ジョブ全体のうち遂行可能部分ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定されるとともに、残余の部分ジョブの実行に対しては課金処理を実行すべきでない旨が決定される(ステップS85)。そして、ステップS86~S88を経た後において、当該遂行可能部分ジョブのみに関する書込処理が実行される(ステップS89)。
【0182】
また、指示ボタン303が押下された場合は、処理はステップS112からステップS114へと進み、MFP10は、書込ジョブ全体の実行を中止する。具体的には、MFP10は、書込ジョブ全体の実行に対する課金処理を実行すべきでない旨を決定し、読み取られた原稿(たとえば、100枚の原稿のうちの70枚分の原稿)のスキャンデータを破棄する。これにより、書込ジョブ全体(遂行可能部分ジョブおよび残余の部分ジョブ)の実行に対する課金処理は実行されず、当該書込ジョブは実行されない。
【0183】
また、指示ボタン302が押下された場合は、次のような動作が実行される。
【0184】
具体的には、まず、上記第4実施形態と同様にしてステップS85~S89の動作が実行される。より具体的には、書込ジョブ(たとえば、100枚の原稿のスキャンデータを書込先デバイスに書き込むジョブ)全体のうち、遂行可能部分ジョブ(たとえば、70枚分の原稿のスキャンデータを書き込むジョブ)の実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定される(ステップS85)。なお、ここでは、残余の部分ジョブ(詳細には、30枚分の原稿のスキャンデータを書き込むジョブ)の実行に対する課金処理の実行の是非の決定は保留される。そして、書込ジョブ全体のうちの遂行可能部分ジョブのみの実行に対して課金処理が実行されて、70枚分の原稿のスキャンデータのみがUSBメモリに書き込まれる(ステップS89)。
【0185】
その後(遂行可能部分ジョブに関する出力処理の実行(ステップS89)の後)、MFP10は、完遂阻害要因(詳細には、USBメモリの容量不足)の発生回避操作(たとえば、USBメモリの交換操作)をユーザに対して要求する(ステップS113)。具体的には、MFP10は、完遂阻害要因の発生回避操作を要求する要求画面350(
図16参照)をタッチパネル25に表示する。
図16は、当該要求画面350を示す図である。
【0186】
そして、ユーザによる完遂阻害要因の発生回避操作(USBメモリの交換操作)が受け付けられる(新たなUSBメモリが挿入される)と、MFP10は、要求画面350を消去(非表示化)し、残余の部分ジョブに関する処理(ステップS200)を開始する。
図17は、残余の部分ジョブに関する完遂可否判定処理を含む動作(MFP10の動作)(ステップS200)を示すフローチャートである。
【0187】
まず、MFP10は、新たなUSBメモリの残容量に基づいて、当該新たなUSBメモリにおける書込可能枚数(新たな書込可能枚数)N15を算出する(ステップS91)とともに、原稿の読取処理を再開する(ステップS92)。なお、原稿の読取処理の再開に先立って原稿の読取枚数のカウント値はリセットされ、新たな読み取り枚数N25のカウント処理(計数処理)が開始される。
【0188】
そして、MFP10は、残余の部分ジョブ(100枚の原稿のうちの30枚分の原稿のスキャンデータを書き込むジョブ)の実行に際して完遂阻害要因が発生するか否かに基づいて、当該残余の部分ジョブを完遂することが可能であるか否かを判定する(ステップS93,S94)。具体的には、残余の原稿(30枚の原稿)が1枚ずつ読み取られる毎に当該ステップS93,S94の処理が実行される。
【0189】
たとえば、原稿の新たな読取枚数N25が新たな書込可能枚数N15に到達する前に残余の原稿の読取処理が完了する場合、残余の部分ジョブの実行に際して完遂阻害要因(詳細には容量不足)が存在しない旨が推定され、当該残余の部分ジョブを完遂することが可能である旨が判定される。この場合、処理はステップS93からステップS95へと進み、MFP10は、当該残余の部分ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨を決定する。
【0190】
そして、当該残余の部分ジョブの実行に対する課金金額の算出処理(ステップS96)および二次元バーコードの表示処理(ステップS97)が実行された後、課金サーバ90からの課金完了通知の受信(ステップS98)に応答して、当該残余の部分ジョブに関する出力処理(書込処理)が実行される(ステップS99)。具体的には、100枚の原稿のうちの30枚分の原稿(残余の原稿)のスキャンデータが、新たなUSBメモリに書き込まれる。これにより、100枚の原稿に関する書込ジョブ全体が完遂する。
【0191】
一方、残余の原稿の読取処理が完了する前に原稿の新たな読取枚数N25が新たな書込可能枚数N15に到達する場合は、残余の部分ジョブの実行に際して完遂阻害要因(詳細には容量不足)が存在する旨が推定され、当該残余の部分ジョブを完遂することが不可能である旨が判定される。この場合、当該残余の部分ジョブのうちの新たな遂行可能部分ジョブに関してステップS85~S89の動作が実行された後、要求画面350(
図16)を用いて発生回避操作がユーザに対して要求される(ステップS120)。そして、処理はステップS91へと戻り、当該残余の部分ジョブのうち、当該新たな遂行可能部分ジョブを除く新たな残余の部分ジョブに関して
図17の動作が再び実行される(繰り返される)。
【0192】
以上のように、ジョブを完遂することが不可能である旨が判定され且つ遂行可能部分ジョブが存在する旨が判定される場合であっても、完遂阻害要因の発生回避操作の後において、残余の部分ジョブを完遂することが可能である旨が判定されるときには、当該残余の部分ジョブの実行に対して課金処理を実行すべき旨が決定される(ステップS95)。そして、課金サーバ90での当該課金処理の後において、当該残余の部分ジョブに関する出力処理(詳細には、残余の原稿のスキャンデータの書込処理)がMFP10にて実行される(ステップS99)。したがって、ジョブ完遂の可能性を高めつつ、返金処理の発生を抑制することが可能である。
【0193】
なお、上記第5実施形態では、書込ジョブの実行指示が受け付けられているが、これに限定されず、たとえば、印刷出力ジョブの実行指示が受け付けられてもよい。
【0194】
<6.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0195】
たとえば、上記各実施形態等では、携帯端末50は、MFP10のタッチパネル25における二次元バーコードを読み取ることによって課金情報(課金金額および課金対象装置)を取得しているが、これに限定されず、携帯端末50は、当該課金情報をMFP10との通信によって(MFP10から受信することによって)取得してもよい。
【0196】
また、上記各実施形態等において、さらに、MFP10における課金方式が前課金方式に設定されていることを条件に、完遂可否判定処理(ステップS11等)が実行されるようにしてもよい。
【0197】
具体的には、MFP10でのジョブの実行に関する課金方式としては、前課金方式と後課金方式との2種類の課金方式が存在する。なお、後課金方式は、ジョブの実行に対して当該ジョブの完了後に課金する課金方式である。この改変例に係るMFP10は、課金方式に関する設定内容として、当該2種類の課金方式を選択的に設定することが可能であり、MFP10の管理者は、ジョブの実行時における課金処理の課金方式を前課金方式と後課金方式とのいずれか一方に設定する。その後、MFP10にてジョブの実行指示が受け付けられた際には、MFP10は、MFP10における課金方式が前課金方式と後課金方式とのいずれに設定されているかを判定する。そして、MFP10における課金方式が前課金方式に設定されていることを条件に、MFP10は、完遂可否判定処理を実行する。
【0198】
これによれば、2種類の課金方式を適宜に使い分けることが可能である。
【符号の説明】
【0199】
1 課金システム
10 MFP(画像形成装置)
50 携帯端末
90 課金サーバ