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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】乗客コンベアの空調システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/22 20060101AFI20220802BHJP
   B66B 31/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
B66B23/22 Z
B66B31/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018222389
(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2020083576
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 絢佳
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-171467(JP,A)
【文献】特開2015-199596(JP,A)
【文献】特開2015-202943(JP,A)
【文献】特開平02-255492(JP,A)
【文献】特許第6072200(JP,B1)
【文献】欧州特許出願公開第01419988(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアに搭乗している利用者の利用状況を判定する判定部と、
前記乗客コンベアの一対の欄干の間の領域に面するノズルユニットと、
前記利用者が前記乗客コンベアにおいて立ち止まっていると前記判定部が判定するときに、前記ノズルユニットから空調風を吹き出させる制御部と、
を備える乗客コンベアの空調システム。
【請求項2】
前記判定部は、
前記利用者を撮影するカメラと、
前記カメラが撮影した画像に基づいて前記利用状況を判定する画像処理部と、
を備える
請求項1に記載の乗客コンベアの空調システム。
【請求項3】
前記カメラは、前記乗客コンベアの入口側における前記利用者を撮影する
請求項2に記載の乗客コンベアの空調システム。
【請求項4】
前記ノズルユニットは、複数のノズルを備え、
前記制御部は、前記複数のノズルのうち前記利用者の位置に対応するノズルから空調風を吹き出させる
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の乗客コンベアの空調システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記利用者が前記乗客コンベアにおいて歩いていると前記判定部が判定するときに、前記複数のノズルのうち当該利用者の位置に対応するノズルからの空調風の吹出しを停止させる
請求項4に記載の乗客コンベアの空調システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記利用者が前記乗客コンベアの手摺をつかんでいないと前記判定部が判定するときに、前記複数のノズルのうち当該利用者の位置に対応するノズルからの空調風の吹出しを停止させる
請求項4または請求項5に記載の乗客コンベアの空調システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記利用者が前記乗客コンベアの左右の一側に寄って搭乗していると前記判定部が判定するときに、前記複数のノズルのうち前記乗客コンベアの左右の同じ側において当該利用者の位置より後方のノズルから空調風を吹き出させる
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の乗客コンベアの空調システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記利用者が前記乗客コンベアの左右の一側に寄って搭乗していると前記判定部が判定するときに、前記複数のノズルのうち前記乗客コンベアの左右の反対側において当該利用者の位置より後方のノズルから空調風を吹き出させる
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の乗客コンベアの空調システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記利用者が前記乗客コンベアの左右の一側に寄って搭乗していると前記判定部が判定するときに、前記複数のノズルのうち前記乗客コンベアの左右の同じ側において当該利用者の位置より後方のノズルからペナルティ風を吹き出させる
請求項8に記載の乗客コンベアの空調システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記利用者が前記乗客コンベアにおいて歩いていると前記判定部が判定するときに、前記複数のノズルのうち当該利用者の位置に対応するノズルからペナルティ風を吹き出させる
請求項4から請求項9のいずれか一項に記載の乗客コンベアの空調システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記利用者が迷惑行為を行っていると判定するときに、前記複数のノズルのうち当該利用者の位置に対応するノズルからペナルティ風を吹き出させる
請求項4から請求項10のいずれか一項に記載の乗客コンベアの空調システム。
【請求項12】
前記制御部は、前記利用者が前記乗客コンベアの手摺の第1領域をつかんでいると前記判定部が判定するときに当該利用者の位置に対応するノズルから空調風を吹き出させ、前記利用者が前記乗客コンベアの手摺の第2領域をつかんでいると前記判定部が判定するときに当該利用者の位置に対応するノズルからの空調風の吹出しを停止させる
請求項4から請求項11のいずれか一項に記載の乗客コンベアの空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアの空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にエスカレーターの空調装置の例が記載されている。空調装置は、エスカレーターの利用者の有無および位置を検出するセンサーを備える。空調装置は、センサーの検出信号に基づいて、エスカレーターに搭乗している利用者に空調風を吹き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2-255492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗客コンベアの搭乗中に暑さまたは寒さを感じる場合に、利用者は、暑さまたは寒さを避けるために乗客コンベアにおいて歩く可能性がある。一方、乗客コンベアを安全に利用するためには、乗客コンベアにおいて歩かないことが好ましい。ここで、特許文献1の空調装置は、乗客コンベアであるエスカレーターの利用者の利用状況によらずに当該利用者に対して空調を行う。このため、利用者に安全な乗客コンベアの利用を促すことができない。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされた。本発明の目的は、利用者に安全な乗客コンベアの利用を促すことができる空調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る乗客コンベアの空調システムは、乗客コンベアに搭乗している利用者の利用状況を判定する判定部と、乗客コンベアの一対の欄干の間の領域に面するノズルユニットと、利用者が乗客コンベアにおいて立ち止まっていると判定部が判定するときに、ノズルユニットから空調風を吹き出させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
これらの発明によれば、空調システムは、判定部と、ノズルユニットと、制御部と、を備える。判定部は、乗客コンベアの利用者の利用状況を判定する。ノズルユニットは、乗客コンベアの一対の欄干の間の領域に面する。制御部は、利用者が乗客コンベアにおいて立ち止まっていると判定部が判定するときに、ノズルユニットから空調風を吹き出させる。これにより、利用者に安全な乗客コンベアの利用を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る乗客コンベアの構成図である。
図2】実施の形態1に係る乗客コンベアのA-A断面図である。
図3】実施の形態1に係る空調システムによる空調の例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る空調システムの動作の例を示すフローチャートである。
図5】実施の形態1に係る空調システムの主要部のハードウェア構成を示す図である。
図6】実施の形態1の変形例に係る乗客コンベアのA-A断面図である。
図7】実施の形態2に係る空調システムによる空調の例を示す図である。
図8】実施の形態3に係る空調システムによる空調の例を示す図である。
図9】実施の形態4に係る空調システムによる空調の例を示す図である。
図10】実施の形態5に係る空調システムによる空調の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る乗客コンベアの構成図である。図2は、実施の形態1に係る乗客コンベアのA-A断面図である。
【0011】
乗客コンベア1は、例えばエスカレーターである。図1において、乗客コンベア1の左右方向は、紙面に垂直な方向である。図1において、乗客コンベア1の前後方向は、紙面の左右方向である。
【0012】
乗客コンベア1は、建築物の上階と下階との間に掛け渡される。乗客コンベア1の第1乗降口2aは、建築物の上階に設けられる。乗客コンベア1の第2乗降口2bは、建築物の下階に設けられる。乗客コンベア1は、第1乗降口2aと第2乗降口2bとの間で乗客を輸送する装置である。乗客コンベア1は、主枠3と、駆動装置4と、一対のステップチェーン5と、複数のステップ6と、一対の手摺7と、一対の欄干8と、一対の手摺駆動装置9と、図示されない制御盤と、を備える。
【0013】
主枠3は、第1乗降口2aと第2乗降口2bとの間に掛け渡される。主枠3は、上部機械室10aと、下部機械室10bと、を有する。上部機械室10aは、主枠3の上端部に設けられる。上部機械室10aは、第1乗降口2aの下方に設けられる。下部機械室10bは、主枠3の下端部に設けられる。下部機械室10bは、第2乗降口2bの下方に設けられる。
【0014】
駆動装置4は、例えば上部機械室10aに設けられる。駆動装置4は、駆動力を発生させる装置である。駆動装置4は、例えばモーターおよび減速機を備える。
【0015】
一対のステップチェーン5の各々は、無端状のチェーンである。一対のステップチェーン5の一方は、乗客コンベア1の左側に設けられる。一対のステップチェーン5の他方は、乗客コンベア1の右側に設けられる。一対のステップチェーン5の各々は、駆動装置4が発生させる駆動力によって循環移動する部材である。
【0016】
複数のステップ6の各々は、一対のステップチェーン5の間において連なる。複数のステップ6の全体は、一対のステップチェーン5に沿ってリング状に連結されている。
【0017】
一対の手摺7の各々は、無端状の輪である。一対の手摺7の各々は、例えば合成ゴムとキャンバスとにより形成される。一対の手摺7の一方は、複数のステップ6の左側に設けられる。一対の手摺7の他方は、複数のステップ6の右側に設けられる。
【0018】
一対の欄干8の一方は、複数のステップ6の左側に設けられる。一対の欄干8の他方は、複数のステップ6の右側に設けられる。左側の欄干8は、左側の手摺7の下方において鉛直に設けられる。右側の欄干8は、右側の手摺7の下方において鉛直に設けられる。
【0019】
一対の手摺駆動装置9の一方は、乗客コンベア1の左側に設けられる。一対の手摺駆動装置9の他方は、乗客コンベア1の右側に設けられる。左側の手摺駆動装置9は、駆動装置4が発生させる駆動力によって左側の手摺7を循環移動させる装置である。右側の手摺駆動装置9は、駆動装置4が発生させる駆動力によって右側の手摺7を循環移動させる装置である。
【0020】
制御盤は、例えば上部機械室10aに設けられる。制御盤は、駆動装置4の動作を制御する。駆動装置4の動作は、例えば駆動装置4の運転または停止である。
【0021】
例えば乗客コンベア1の上り運転時に、駆動装置4は、制御盤の制御によって駆動力を発生させる。一対のステップチェーン5の各々は、駆動装置4が発生させた駆動力によって循環移動する。複数のステップ6の各々は、一対のステップチェーン5の循環移動に追従して上側を往路として循環移動する。往路を移動する複数のステップ6は、乗客コンベア1の一定傾斜部において、階段状に配置される。一対の手摺駆動装置9の各々は、駆動装置4が発生させる駆動力によって一対の手摺7の各々を循環移動させる。一対の手摺7の各々は、複数のステップ6の各々の移動速度と同じ移動速度で循環移動する。
【0022】
乗客コンベア1の上り運転時に、利用者Pは、一対の手摺7の一方をつかんで第2乗降口2bから複数のステップ6のいずれかに乗る。このとき、乗客コンベア1の入口側は、第2乗降口2bの側である。乗客コンベア1の出口側は、第1乗降口2aの側である。乗客コンベア1の中間部は、入口側と出口側の間の部分である。利用者Pは、往路を移動するステップ6の上に立ち止まって第1乗降口2aに移動する。
【0023】
空調システム11は、乗客コンベア1に適用される。空調システム11は、判定部12と、空調部13と、ノズルユニット14と、制御部15と、を備える。
【0024】
判定部12は、利用者Pの利用状況を判定する部分である。利用者Pの利用状況は、例えば乗客コンベア1に搭乗している利用者Pの位置、および当該利用者Pの行動などを含む。判定部12は、カメラ16と、画像処理部17と、を備える。カメラ16は、例えば乗客コンベア1の上方の天井に設けられる。カメラ16は、例えば乗客コンベア1の入口側に設けられる。この例において、カメラ16は、乗客コンベア1の中間部および出口側に設けられない。カメラ16は、利用者Pを撮影する。画像処理部17は、カメラ16が撮影した利用者Pの画像に基づいて当該利用者Pの利用状況を判定する部分である。
【0025】
空調部13は、送風機18と、熱交換器19と、を備える。送風機18は、風を発生させる装置である。送風機18は、例えばファンである。熱交換器19は、送風機18が発生させる風の温度を熱交換によって調整する装置である。
【0026】
ノズルユニット14は、一対の欄干8の間の領域に面する。一対の欄干8の間の領域は、例えば乗客コンベア1によって利用者Pが移動する領域である。ノズルユニット14は、例えば一対の欄干8の各々に設けられる。ノズルユニットは、複数のノズル20を備える。複数のノズル20は、一対の欄干8の各々において、乗客コンベア1の入口側から出口側にかけて並ぶ。複数のノズル20の各々の状態は、開状態または閉状態に切替えが可能である。複数のノズル20の各々は、開状態において空調風A1を吹き出す装置である。空調風A1は、利用者が快適になるように調整された空調部13が発生させる風である。空調風A1は、例えば夏などの気温の高い時期における冷風である。あるいは、空調風A1は、例えば冬などの気温の低い時期における温風である。
【0027】
制御部15は、空調システム11の動作を制御する部分である。制御部15は、利用者Pの利用状況の判定の結果を取得しうるように、判定部12に接続される。制御部15は、空調風A1の発生を制御しうるように、空調部13に接続される。制御部15は、複数のノズル20の各々の状態を切り替えうるように、複数のノズル20の各々に接続される。
【0028】
図2において、一対の欄干8の一方が示される。一対の欄干8の他方の構成も、図2に示す構成と同様であってもよい。一対の欄干8の各々は、内側に風路を有する。
【0029】
空調部13は、例えばダクト21を通じて一対の欄干8の各々の内側の風路に接続される。
【0030】
複数のノズル20の各々は、ダンパー22を備える。ダンパー22は、制御部15の制御によって開閉する装置である。ダンパー22が開いているときに、当該ダンパー22が設けられるノズル20の状態は開状態である。一方、ダンパー22が閉じているときに、当該ダンパー22が設けられるノズル20の状態は閉状態である。
【0031】
複数のノズル20の各々は、例えば欄干8の下部に設けられる。ここで、欄干8の下部は、欄干8において手摺7よりステップ6に近い側である。すなわち、欄干8の下部は、利用者Pの足元に近い側である。欄干8の下部に設けられるノズル20の吹き出し口は、例えば下方を向く。欄干8の下部に設けられるノズル20の状態は、例えば空調風A1が冷風であるときに制御部15の制御によって開状態に切り替えられる。なお、複数のノズル20の各々は、例えば欄干8の上部に設けられてもよい。ここで、欄干8の上部は、欄干8においてステップ6より手摺7に近い側である。すなわち、欄干8の上部は、利用者Pの手元に近い側である。欄干8の上部に設けられるノズル20の状態は、例えば空調風A1が温風であるときに制御部15の制御によって開状態に切り替えられる。複数のノズル20の各々の状態は、通常は閉状態である。
【0032】
続いて、図3を用いて空調システム11による空調の例を説明する。
図3は、実施の形態1に係る空調システムによる空調の例を示す図である。
【0033】
図3において、乗客コンベア1の入口側を上方から見た図が示される。図3において、乗客コンベア1の運転の方向は、紙面の上方向である。
【0034】
判定部12のカメラ16は、利用者を撮影する。画像処理部17は、カメラ16が撮影した画像に基づいて、利用者の利用状況を判定する。
【0035】
判定部12は、利用者P1が乗客コンベア1において立ち止まっていると判定する。利用者P1は、手摺7をつかんでいる。利用者P1は、左右の一側に寄って搭乗している。
【0036】
制御部15は、判定部12による当該判定の結果を取得する。制御部15は、利用者P1の位置に対応するノズル20の状態を開状態にする。利用者P1の位置に対応するノズル20は、例えば利用者P1が寄っている側の欄干8に設けられる複数のノズル20のうち、利用者P1の位置からの距離が予め定められた距離の範囲にあるノズル20である。ここで、複数のノズル20のいずれが利用者P1の位置に対応するかは、利用者P1が立ち止まっているステップ6の移動に伴って順次変化する。すなわち、利用者P1が寄っている側の欄干8に設けられる複数のノズル20の状態は、利用者P1が立ち止まっているステップ6の移動に伴って順次開状態に切り替えられる。
【0037】
利用者P1の位置に対応するノズル20は、制御部15による制御に基づいて利用者P1に向けて空調風A1を吹き出す。例えば空調風A1が冷風である場合に、当該ノズル20は、欄干8の下部に設けられるノズル20である。このとき、当該ノズル20は、下方に向けて空調風A1を吹き出す。
【0038】
制御部15は、利用者P1がカメラ16の撮影範囲の外に移動したあとも、利用者P1が継続して乗客コンベア1において立ち止まって搭乗しているものとしてもよい。
【0039】
判定部12は、利用者P2が乗客コンベア1において歩いていると判定する。なお、判定部12は、利用者P2が乗客コンベア1において立ち止まっていないときに、利用者P2が乗客コンベア1において歩いていると判定してもよい。
【0040】
制御部15は、判定部12による当該判定の結果を取得する。制御部15は、利用者P2の位置に対応するノズル20の状態を閉状態にする。
【0041】
利用者P2の位置に対応するノズル20は、制御部15による制御に基づいて利用者P2に向けた空調風A1の吹出しを停止する。
【0042】
判定部12は、利用者P3が乗客コンベア1において立ち止まっていると判定する。判定部12は、利用者P3が手摺7をつかんでいないと判定する。利用者P3は、左右の一側に寄って搭乗している。
【0043】
制御部15は、判定部12による当該判定の結果を取得する。制御部15は、利用者P3の位置に対応するノズル20の状態を閉状態にする。
【0044】
利用者P3の位置に対応するノズル20は、制御部15による制御に基づいて利用者P3に向けた空調風A1の吹出しを停止する。
【0045】
続いて、図4を用いて空調システム11の動作の例を説明する。
図4は、実施の形態1に係る空調システムの動作の例を示すフローチャートである。
【0046】
ステップS1において、判定部12は、利用者Pが乗客コンベア1において立ち止まっているかを判定する。判定結果がYesの場合に、空調システム11の動作は、ステップS2に進む。判定結果がNoの場合に、空調システム11の動作は、ステップS3に進む。
【0047】
ステップS2において、判定部12は、利用者Pが乗客コンベア1の手摺7をつかんでいるかを判定する。判定結果がNoの場合に、空調システム11の動作は、ステップS3に進む。判定結果がYesの場合に、空調システム11の動作は、ステップS4に進む。
【0048】
ステップS3において、制御部15は、利用者Pの位置に対応するノズル20の状態を閉状態にすることで当該ノズル20からの空調風A1の吹出しを停止させる。その後、空調システム11の動作は、ステップS1に進む。
【0049】
ステップS4において、制御部15は、利用者Pの位置に対応するノズル20の状態を開状態にすることで当該ノズル20から空調風A1を吹き出させる。その後、空調システム11の動作は、ステップS1に進む。
【0050】
以上に説明したように、実施の形態1に係る空調システム11は、判定部12と、ノズルユニット14と、制御部15と、を備える。判定部12は、乗客コンベア1の利用者Pの利用状況を判定する。ノズルユニット14は、乗客コンベア1の一対の欄干8の間の領域に面する。制御部15は、利用者Pが乗客コンベア1において立ち止まっていると判定部12が判定するときに、ノズルユニット14から空調風A1を吹き出させる。
【0051】
空調システム11は、立ち止まって安全に乗客コンベア1を利用する利用者Pに対して空調を行う。これにより、安全に乗客コンベア1を利用する利用者Pは、快適に乗客コンベア1を利用できる。このように、利用者Pに空調風A1によって快適さを提供することで、空調システム11は、利用者Pに安全な乗客コンベア1の利用を促すことができる。
【0052】
また、判定部12は、カメラ16と、画像処理部17と、を備える。カメラ16は、利用者Pを撮影する。画像処理部17は、カメラ16が撮影した画像に基づいて利用状況を判定する。
【0053】
カメラ16が撮影する利用者Pの画像は、利用者Pの位置、動きまたは姿勢などの情報を含む。このため、画像処理部17は、多様な形態の利用状況を判定できる。
【0054】
また、カメラ16は、乗客コンベア1の入口側における利用者Pを撮影する。
【0055】
乗客コンベア1の入口側において立ち止まって搭乗している利用者Pは、その後に乗客コンベア1において歩き出すことが少ない。利用者Pが立ち止まって搭乗するか否かは、乗客コンベア1の入口側において当該利用者Pの利用状況を判定すれば十分である。すなわち、空調システム11が必要とするカメラ16の台数は、少なくなる。このため、空調システム11の構成が簡単になる。
【0056】
また、ノズルユニット14は、複数のノズル20を備える。制御部15は、複数のノズル20のうち利用者Pの位置に対応するノズル20から空調風A1を吹き出させる。
【0057】
空調システム11は、個々の利用者Pの利用状況に応じて、当該利用者Pに対する空調を行う。これにより、空調システム11は、利用者Pに安全な乗客コンベア1の利用をより効果的に促すことができる。また、空調システム11は、立ち止まって搭乗する利用者Pの近傍に対して空調を行う。このため、利用者Pが乗客コンベア1において歩き出すと、当該利用者Pは、空調が行われている領域を出ることになる。これにより、空調システム11は、利用者Pが乗客コンベア1において歩き出すことを抑制できる。よって、空調システム11は、利用者Pに安全な乗客コンベア1の利用を促すことができる。
【0058】
また、制御部15は、利用者Pが乗客コンベア1において歩いていると判定部12が判定するときに、複数のノズル20のうち当該利用者Pの位置に対応するノズル20からの空調風A1の吹出しを停止させる。
【0059】
空調システム11は、乗客コンベア1において歩いている利用者Pの近傍において空調を行わない。これにより、空調システム11は、利用者Pが乗客コンベア1において歩くことを抑制できる。よって、空調システム11は、利用者Pに安全な乗客コンベア1の利用を促すことができる。
【0060】
また、制御部15は、利用者Pが乗客コンベア1の手摺7をつかんでいないと判定部12が判定するときに、複数のノズル20のうち当該利用者Pの位置に対応するノズル20からの空調風A1の吹出しを停止させる。
【0061】
空調システム11は、乗客コンベア1の手摺7をつかんでいない利用者Pの近傍において空調を行わない。これにより、空調システム11は、利用者Pが乗客コンベア1において手摺7をつかむことを促すことができる。よって、空調システム11は、利用者Pに安全な乗客コンベア1の利用を促すことができる。
【0062】
また、空調システム11は、欄干8の下部に設けられるノズル20から空調風A1を吹き出す。これにより、利用者Pが丈の長いスカートなどを着用している場合に、当該スカートなどが乗客コンベア1に巻き込まれることが抑制される。また、当該ノズル20は、下方に向けて空調風A1を吹き出す。このため、当該利用者Pが着用しているスカートなどは巻き上がらない。
【0063】
なお、乗客コンベア1は、水平式のエスカレーターであってもよい。
【0064】
また、乗客コンベア1は、入口側に利用方法を表示する表示板を備えてもよい。利用方法は、例えば乗客コンベア1において立ち止まって手摺7をつかむと空調風A1が受けられることなどが含まれる。乗客コンベア1は、一対の手摺7の各々に利用方法を表示してもよい。利用者Pは、乗客コンベア1の利用方法を把握して搭乗できる。これにより、空調システム11は、より確実に利用者Pに安全な乗客コンベア1の利用を促すことができる。
【0065】
また、乗客コンベア1は、出口側にスピーカーを備えてもよい。スピーカーは、例えば手摺7をつかんで搭乗していた利用者Pに対して、「手摺をつかんでのエスカレーターのご利用ありがとうございました」などの安全な利用を奨励するためのメッセージを報知する。
【0066】
また、空調システム11は、複数のノズル20の各々について空調部13を備えてもよい。空調部13は、送風機18が発生させる風を加熱するヒーターを備えてもよい。空調システム11は、複数のノズル20の各々について送風機18または熱交換器19などを備えてもよい。
【0067】
また、複数のノズル20の各々は、吹き出す風の向きを調整する風向板を備えてもよい。風向板は、制御部15による制御に基づいて風の向きを調整する。
【0068】
また、判定部12は、複数のカメラ16を備えてもよい。例えば、判定部12は、乗客コンベア1の入口側を相異なる角度から撮影する複数のカメラ16を備えてもよい。あるいは、判定部12は、乗客コンベア1の入口側と出口側との両方にカメラ16を備えてもよい。このとき、乗客コンベア1の運転方向が切り替えられる場合に、判定部12は、利用者Pの利用状況の判定に用いるカメラ16を切り替えてもよい。判定部12は、乗客コンベア1の中間部を撮影するカメラ16を備えてもよい。
【0069】
続いて、図5を用いて空調システム11のハードウェア構成の例について説明する。
図5は、実施の形態1に係る空調システムの主要部のハードウェア構成を示す図である。
【0070】
空調システム11の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ11bと少なくとも1つのメモリ11cとを備える。処理回路は、プロセッサ11bおよびメモリ11cと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用のハードウェア11aを備えてもよい。
【0071】
処理回路がプロセッサ11bとメモリ11cとを備える場合、空調システム11の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ11cに格納される。プロセッサ11bは、メモリ11cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、空調システム11の各機能を実現する。
【0072】
プロセッサ11bは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ11cは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等により構成される。
【0073】
処理回路が専用のハードウェア11aを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0074】
空調システム11の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、空調システム11の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。空調システム11の各機能について、一部を専用のハードウェア11aで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア11a、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで空調システム11の各機能を実現する。
【0075】
続いて、図6を用いて実施の形態1の変形例について説明する。
図6は、実施の形態1の変形例に係る乗客コンベアのA-A断面図である。
【0076】
図6において、一対の欄干8の一方が示される。一対の欄干8の他方の構成も、図6に示す構成と同様であってもよい。一対の欄干8の各々は、下部の内側に風路を有する。
【0077】
複数のステップ6の各々は、吹出し口23を有する。吹出し口23は、複数のステップ6の各々のライザーに設けられる。吹出し口23は、例えば左右方向に長い通風口である。複数のステップ6の各々は、側方から吹出し口23に通じる風路を有する。
【0078】
空調部13は、例えばダクト21を通じて一対の欄干8の各々の下部の内側の風路に接続される。
【0079】
複数のノズル20の各々は、例えば欄干8において隣接するステップ6の上面より下方に設けられる。複数のノズル20の各々は、複数のステップ6の側面に向けられる。複数のノズル20の各々は、隣接するステップ6の側方から吹出し口23を通じて利用者Pに空調風A1を吹き出す。
【0080】
本変形例に示す構成により、欄干8の意匠の自由度が高まる。
【0081】
なお、複数のステップ6の各々は、ライザー部分に設けられる吹出し口23に下方から通じる風路を有してもよい。このとき、複数のノズル20の各々は、複数のステップ6の下面に向けられる。
【0082】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0083】
図7は、実施の形態2に係る空調システムによる空調の例を示す図である。
【0084】
図7において、乗客コンベア1の入口側を上方から見た図が示される。図7において、乗客コンベア1の運転の方向は、紙面の上方向である。
【0085】
判定部12は、利用者P4が乗客コンベア1において立ち止まっていると判定する。判定部12は、利用者P4が、左右の一側に寄って搭乗していると判定する。利用者P4は、手摺7をつかんでいる。
【0086】
制御部15は、判定部12による当該判定の結果を取得する。制御部15は、利用者P4の位置に対応するノズル20の状態を開状態にする。制御部15は、乗客コンベア1の利用者P4が寄っている側において、利用者P4の位置より後方のノズル20の状態を開状態にする。
【0087】
利用者P4の位置に対応するノズル20は、制御部15による制御に基づいて利用者P4に向けて空調風A1を吹き出す。利用者P4が寄っている側において、利用者P4の位置より後方のノズル20は、制御部15による制御に基づいて利用者P4の後方において空調風A1を吹き出す。
【0088】
以上に説明したように、実施の形態2に係る空調システム11の判定部12は、利用者Pが乗客コンベア1の左右の一側に寄って搭乗していると判定する。このときに、制御部15は、複数のノズル20のうち乗客コンベア1の左右の同じ側において当該利用者Pの位置より後方のノズル20から空調風A1を吹き出させる。
【0089】
空調システム11は、乗客コンベア1において立ち止まって搭乗している利用者P4が寄っている側において、当該利用者P4の後方の領域に対する空調を行う。このため、乗客コンベア1を快適に利用したい利用者は、立ち止まって搭乗している利用者P4の後方に搭乗する。後方に搭乗している利用者は、空調が行われている領域を出なければ、前方に立ち止まっている利用者P4を歩いて追い越すことができない。これにより、空調システム11は、利用者が乗客コンベア1において他の利用者を歩いて追い越すことを抑制できる。よって、空調システム11は、利用者に安全な乗客コンベア1の利用を促すことができる。
【0090】
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0091】
図8は、実施の形態3に係る空調システムによる空調の例を示す図である。
【0092】
図8において、乗客コンベア1の入口側を上方から見た図が示される。図8において、乗客コンベア1の運転の方向は、紙面の上方向である。
【0093】
判定部12は、利用者P4が乗客コンベア1において立ち止まっていると判定する。判定部12は、利用者P4が、左右の一側に寄って搭乗していると判定する。利用者P4は、手摺7をつかんでいる。
【0094】
制御部15は、判定部12による当該判定の結果を取得する。制御部15は、利用者P4の位置に対応するノズル20の状態を開状態にする。制御部15は、乗客コンベア1の利用者P4が寄っている側の反対側において、利用者P4の位置より後方のノズル20の状態を開状態にする。制御部15は、乗客コンベア1の利用者P4が寄っている側において、利用者P4の位置より後方のノズル20の状態を開状態にする。
【0095】
利用者P4の位置に対応するノズル20は、制御部15による制御に基づいて利用者P4に向けて空調風A1を吹き出す。利用者P4が寄っている側の反対側において、利用者P4の位置より後方のノズル20は、制御部15による制御に基づいて利用者P4の後方において空調風A1を吹き出す。利用者P4が寄っている側において、利用者P4の位置より後方のノズル20は、制御部15による制御に基づいて利用者P4の後方においてペナルティ風A2を吹き出す。
【0096】
ペナルティ風A2は、利用者が快適ではないように調整された空調部13が発生させる風である。ペナルティ風A2は、例えば夏などの気温の高い時期における温風である。あるいは、ペナルティ風A2は、例えば冬などの気温の低い時期における冷風である。あるいは、ペナルティ風A2は、例えば利用者の顔などに向けて吹き出す風である。
【0097】
以上に説明したように、実施の形態3に係る空調システム11の判定部12は、利用者Pが乗客コンベア1の左右の一側に寄って搭乗していると判定する。このときに、制御部15は、複数のノズル20のうち乗客コンベア1の左右の反対側において当該利用者Pの位置より後方のノズル20から空調風A1を吹き出させる。
【0098】
空調システム11は、乗客コンベア1において立ち止まって搭乗している利用者P4が寄っている側の反対側において、当該利用者P4の後方の領域に対する空調を行う。このため、乗客コンベア1を快適に利用したい利用者は、立ち止まって搭乗している利用者P4が寄っている側の反対側に搭乗する。この後に搭乗する利用者は、前方において左右の両側に利用者が立ち止っているので、乗客コンベア1において前方の利用者を歩いて追い越すことができない。これにより、空調システム11は、利用者が乗客コンベア1において他の利用者を歩いて追い越すことを抑制できる。よって、空調システム11は、利用者に安全な乗客コンベア1の利用を促すことができる。
【0099】
乗客コンベア1が設けられる場所などによっては、先を急ぐ利用者は、空調が行われている領域を出て乗客コンベア1において歩く可能性がある。このような場合においても、前方において左右の両側に利用者が立ち止っているので、利用者が乗客コンベア1において他の利用者を歩いて追い越すことが抑制される。
【0100】
また、判定部12は、利用者Pが乗客コンベア1の左右の一側に寄って搭乗していると判定する。このときに、制御部15は、複数のノズル20のうち乗客コンベア1の左右の同じ側において当該利用者Pの位置より後方のノズル20からペナルティ風A2を吹き出させる。
【0101】
空調システム11は、乗客コンベア1において立ち止まって搭乗している利用者P4が寄っている側において、当該利用者P4の後方の領域に対してペナルティ風A2を吹き出す。このため、乗客コンベア1を快適に利用したい利用者は、立ち止まって搭乗している利用者P4が寄っている側の反対側に搭乗する。この後に搭乗する利用者は、前方において左右の両側に利用者が立ち止っているので、乗客コンベア1において前方の利用者を歩いて追い越すことができない。これにより、空調システム11は、利用者が乗客コンベア1において他の利用者を歩いて追い越すことを抑制できる。よって、空調システム11は、利用者に安全な乗客コンベア1の利用を促すことができる。
【0102】
実施の形態4.
実施の形態4では、実施の形態1から実施の形態3で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態4で説明しない特徴については、実施の形態1から実施の形態3で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0103】
図9は、実施の形態4に係る空調システムによる空調の例を示す図である。
【0104】
図9において、乗客コンベア1の入口側を上方から見た図が示される。図9において、乗客コンベア1の運転の方向は、紙面の上方向である。
【0105】
判定部12は、利用者P5が乗客コンベア1において歩いていると判定する。
【0106】
制御部15は、判定部12による当該判定の結果を取得する。制御部15は、利用者P5の位置に対応するノズル20の状態を開状態にする。
【0107】
利用者P5の位置に対応するノズル20は、制御部15による制御に基づいて利用者P5に向けてペナルティ風A2を吹き出す。
【0108】
判定部12は、利用者P6が迷惑行為を行っていると判定する。迷惑行為は、例えば利用者P7に対する盗撮行為などである。
【0109】
制御部15は、判定部12による当該判定の結果を取得する。制御部15は、利用者P6の位置に対応するノズル20の状態を開状態にする。利用者P6の位置に対応するノズル20は、例えば利用者P6が寄っている側の欄干8に設けられる複数のノズル20のうち、利用者P6の位置からの距離が予め定められた距離の範囲にあるノズル20である。
【0110】
利用者P6の位置に対応するノズル20は、制御部15による制御に基づいて利用者P6に向けてペナルティ風A2を吹き出す。
【0111】
以上に説明したように、実施の形態4に係る空調システム11の制御部15は、利用者Pが乗客コンベア1において歩いていると判定部12が判定するときに、複数のノズル20のうち当該利用者Pの位置に対応するノズル20からペナルティ風A2を吹き出させる。
【0112】
空調システム11は、乗客コンベア1において歩いている利用者Pに対してペナルティ風A2を吹き出す。これにより、空調システム11は、利用者Pが乗客コンベア1において歩くことを抑制できる。よって、空調システム11は、利用者Pに安全な乗客コンベア1の利用を促すことができる。
【0113】
また、制御部15は、利用者Pが迷惑行為を行っていると判定するときに、複数のノズル20のうち当該利用者Pの位置に対応するノズル20からペナルティ風A2を吹き出させる。
【0114】
空調システム11は、迷惑行為を行っている利用者Pに対してペナルティ風A2を吹き出す。これにより、空調システム11は、利用者Pが迷惑行為を行うことを抑制できる。よって、利用者は、より快適に乗客コンベア1を利用できる。
【0115】
実施の形態5.
実施の形態5では、実施の形態1から実施の形態4で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態5で説明しない特徴については、実施の形態1から実施の形態4で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0116】
図10は、実施の形態5に係る空調システムによる空調の例を示す図である。
【0117】
図10において、乗客コンベア1の入口側を上方から見た図が示される。図10において、乗客コンベア1の運転の方向は、紙面の上方向である。
【0118】
一対の手摺7の各々は、第1領域R1および第2領域R2を有する。第1領域R1および第2領域R2は、一対の手摺7の各々の表面において前後方向に交互に並ぶ。第1領域R1および第2領域R2は、カメラ16が撮影する画像において区別しうるように、例えばマーカーが付される。第1領域R1および第2領域R2は、カメラ16が撮影する画像において区別しうる程度のコントラストの2色で塗られた縞模様によって表されてもよい。第1領域R1は、空調風A1の吹き出しを受けたい利用者P8がつかむ部分である。第2領域R2は、空調風A1の吹き出しを受けたくない利用者P9がつかむ部分である。第1領域R1と第2領域R2との間隔は、1つのステップ6からいずれかを選択してつかむことができるように、ステップ6幅より狭く設けられる。
【0119】
判定部12は、利用者P8が乗客コンベア1において立ち止まっていると判定する。判定部12は、利用者P8が手摺7の第1領域R1をつかんでいると判定する。利用者P8は、左右の一側に寄って搭乗している。
【0120】
制御部15は、判定部12による当該判定の結果を取得する。制御部15は、利用者P8の位置に対応するノズル20の状態を開状態にする。
【0121】
利用者P8の位置に対応するノズル20は、制御部15による制御に基づいて利用者P8に向けて空調風A1を吹き出す。
【0122】
判定部12は、利用者P9が乗客コンベア1において立ち止まっていると判定する。判定部12は、利用者P9が手摺7の第2領域R2をつかんでいると判定する。利用者P9は、左右の一側に寄って搭乗している。
【0123】
制御部15は、判定部12による当該判定の結果を取得する。制御部15は、利用者P9の位置に対応するノズル20の状態を閉状態にする。
【0124】
利用者P9の位置に対応するノズル20は、制御部15による制御に基づいて利用者P9に向けた空調風A1の吹出しを停止する。
【0125】
以上に説明したように、実施の形態5に係る空調システム11の判定部12は、利用者Pが乗客コンベア1の手摺7の第1領域R1をつかんでいると判定する。このときに、制御部15は、当該利用者Pの位置に対応するノズル20から空調風A1を吹き出させる。判定部12は、利用者Pが乗客コンベア1の手摺7の第2領域R2をつかんでいると判定する。このときに、制御部15は、当該利用者Pの位置に対応するノズル20からの空調風A1の吹出しを停止させる。
【0126】
利用者Pの服装または感覚などの違いによって、立ち止まって手摺7をつかんで搭乗している利用者Pは、空調風A1をかえって不快に感じる場合もある。この場合に、当該利用者Pは、空調風A1を避けるためにつかんでいた手摺7を離してしまう可能性がある。このような場合においても、利用者Pは、手摺7の第1領域R1または第2領域R2を選択してつかむことによって、空調風A1の吹出しまたは停止を選択することができる。これにより、利用者Pは、乗客コンベア1をより安全かつ快適に利用できる。
【符号の説明】
【0127】
1 乗客コンベア、 2a 第1乗降口、 2b 第2乗降口、 3 主枠、 4 駆動装置、 5 ステップチェーン、 6 ステップ、 7 手摺、 8 欄干、 9 手摺駆動装置、 10a 上部機械室、 10b 下部機械室、 11 空調システム、 12 判定部、 13 空調部、 14 ノズルユニット、 15 制御部、 16 カメラ、 17 画像処理部、 18 送風機、 19 熱交換器、 20 ノズル、 21 ダクト、 22 ダンパー、 23 吹出し口、 11a ハードウェア、 11b プロセッサ、 11c メモリ、 P、P1-P9 利用者、 A1 空調風、 A2 ペナルティ風、 R1 第1領域、 R2 第2領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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