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  • 特許-電動車両の充電システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】電動車両の充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220802BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20220802BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20220802BHJP
   B60L 53/63 20190101ALI20220802BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20220802BHJP
   B60L 58/13 20190101ALI20220802BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20220802BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20220802BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H02J7/00 B
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/63
B60L53/67
B60L58/13
H02J7/00 P
H02J7/02 J
H02J7/04 C
H02J7/10 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019073583
(22)【出願日】2019-04-08
(65)【公開番号】P2020174425
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩田 泰城
【審査官】原 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-96874(JP,A)
【文献】国際公開第2011/083613(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/105528(WO,A1)
【文献】特開平5-56508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
H02J 7/04
H02J 7/10
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/63
B60L 53/67
B60L 58/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両の電池をそれぞれ充電する複数台の充電装置と、
前記充電装置を制御する充電制御装置と、
前記各電動車両の稼働計画及び前記各電動車両の充電計画を記憶する記憶装置と、
を備え、
前記充電制御装置は、
計画充電時に、充電終了時に目標SOCになるような充電電力で充電するように前記充電装置に指示を出し、
計画外充電時に、充電開始時のSOCに応じた充電電力で充電するように前記充電装置に指示を出す
ことを特徴とする電動車両の充電システム。
【請求項2】
前記充電制御装置は、
計画外充電時において、次の計画充電の目標SOCに達したら充電を終了するように前記充電装置に指示を出す
ことを特徴とする請求項1に記載の電動車両の充電システム。
【請求項3】
前記充電制御装置は、
前記計画外充電時に、複数台の電動車両を同時に充電する場合には、充電電力の総和が設定値を超えないように前記充電装置に指示を出す
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電動車両の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の荷役車両の電源装置においては、荷役車両を使用して荷役作業を行う就業時間内に設けた休み時間では、休み時間の長さに合わせて、求められている電力量から満充電電力量まで充電できるようリチウム電池の充電電流を設定し、リチウム電池の充電回路を使用してリチウム電池の充電を行う。また、休み時間以外で、就業時間内においてリチウム電池の充電を行うとき、所定の短い時間において、求められている電力量から満充電電力量まで充電できるようリチウム電池の充電電流を設定し、リチウム電池の充電回路を使用してリチウム電池の急速充電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-96874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動車両の充電システムにおいて、図4(a)に示すように、複数台の電動車両を複数台の充電装置で同時に充電する場合、図4(b)に示すように、複数台の電動車両(電動車両1、電動車両2、・・・、電動車両N)毎に稼働と充電が計画的に行われる。この場合、その車両の稼働計画に応じて必要な電力量や稼働時間・充電時間が異なる。また、稼働時間中に突発で充電する場合の対応が困難である。例えば、特許文献1の構成では、時間外充電において満充電が必要ではないにも関わらず、所定時間内に満充電になるように充電してしまい、余分に充電してしまう。
【0005】
本発明の目的は、計画外でも適切な充電を行うことができる電動車両の充電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための電動車両の充電システムは、電動車両の電池をそれぞれ充電する複数台の充電装置と、前記充電装置を制御する充電制御装置と、前記各電動車両の稼働計画及び前記各電動車両の充電計画を記憶する記憶装置と、を備え、前記充電制御装置は、計画充電時に、充電終了時に目標SOCになるような充電電力で充電するように前記充電装置に指示を出し、計画外充電時に、充電開始時のSOCに応じた充電電力で充電するように前記充電装置に指示を出すことを要旨とする。
【0007】
これによれば、計画充電時に、充電終了時に目標SOCになるような充電電力で充電され、計画外充電時に、充電開始時のSOCに応じた充電電力で充電され、計画外でも適切な充電を行うことができる。
【0008】
また、電動車両の充電システムにおいて、前記充電制御装置は、計画外充電時において、次の計画充電の目標SOCに達したら充電を終了するように前記充電装置に指示を出すとよい。
【0009】
また、電動車両の充電システムにおいて、前記充電制御装置は、前記計画外充電時に、複数台の電動車両を同時に充電する場合には、充電電力の総和が設定値を超えないように前記充電装置に指示を出すとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、計画外でも適切な充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態における電動車両の充電システムの構成図。
図2】SOCの推移を示すタイムチャート。
図3】電力の推移を示すタイムチャート。
図4】(a)は充電システムの構成図、(b)は各電動車両の稼働時間帯、充電時間帯を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、電動車両の充電システム10は、複数台の充電装置20,30,40と、充電制御装置50と、記憶装置60と、を備える。記憶装置60として上位制御装置であるサーバを挙げることができる。電動車両70,80,90として、例えば、バッテリフォークリフトが用いられ、工場で荷の搬送等に使用される。複数台の充電装置20,30,40は工場内での充電ステーションに配置されている。
【0013】
電動車両70に電池(二次電池)71が搭載されている。電動車両80に電池(二次電池)81が搭載されている。電動車両90に電池(二次電池)91が搭載されている。電池(二次電池)71,81,91として、例えばリチウム電池が用いられる。
【0014】
電動車両の充電システム10は、電動車両70,80,90の電池71,81,91を充電するためのものである。各充電装置20,30,40は、それぞれ、電源線L1により系統電源から系統電力の供給を受ける。充電装置20は、電動車両70と充電コネクタ21を用いて接続することができる。そして、充電装置20は、電動車両70の電池71を充電する。充電装置30は、電動車両80と充電コネクタ31を用いて接続することができる。そして、充電装置30は、電動車両80の電池81を充電する。充電装置40は、電動車両90と充電コネクタ41を用いて接続することができる。そして、充電装置40は、電動車両90の電池91を充電する。
【0015】
なお、電動車両70,80,90は同じ機種であり、電池71,81,91も同じ電池である。
このように、複数台の充電装置20,30,40は、電動車両70,80,90の電池71,81,91をそれぞれ充電することができる。
【0016】
充電制御装置50は、充電装置20,30,40と通信線L10を用いて相互通信可能に接続されている。充電制御装置50は、各充電装置20,30,40に対し通信線L10を用いて充電装置20,30,40を制御すべく充電電力指示値を送る。各充電装置20,30,40は、充電制御装置50に対し通信線L10を用いて充電電力情報を送る。充電制御装置50は、設定された契約電力を検知している。
【0017】
記憶装置(サーバ等)60は、各電動車両70,80,90の稼働計画(スケジュール)及び各電動車両70,80,90の充電計画(スケジュール)を記憶する。記憶装置60と充電制御装置50とは通信可能に接続されており、記憶装置60から充電制御装置50に電動車両の稼働計画と充電計画が送られる。
【0018】
各電動車両70,80,90は、電池のSOCを検出しており、検出したSOCを計器で表示したり電池のSOCが例えば20%にまで低下するとアラームを鳴らして乗員に知らせるようになっている。乗員は計器によりSOCが低下したことを検知したりアラームが鳴ると充電ステーションに走行して充電装置20,30,40により電池の充電を行う。また、検出したSOCは充電装置20,30,40に充電の際の情報として送られる。
【0019】
次に、作用について説明する。
図4(b)を用いて説明したように、複数台の電動車両70,80,90毎に稼働と充電が計画的に行われる。この場合、その車両の稼働計画に応じて必要な電力量や稼働時間・充電時間が異なる。また、稼働時間中に突発で充電する場合にも対応できるようになっている。つまり、計画充電と計画外充電が行われるのでその対応もできる。
【0020】
充電制御装置50は、図2に示すように、計画充電時の充電開始のt1のタイミングから、充電終了のt2のタイミングで目標SOCになるような充電電力で充電するように充電装置20,30,40に指示を出す。図2において、SOCの上昇速度(傾き)が小さいと充電電力が小さく、SOCの上昇速度(傾き)が大きいと充電電力が大きい。
【0021】
また、充電制御装置50は、計画外充電時の充電開始のt3のタイミングでは、充電開始時のSOCに応じた充電電力で充電するように充電装置20,30,40に指示を出す。これにより、計画外充電時に、充電開始時のSOCに応じた充電電力で充電することによって、計画外でも充電しすぎることなく、計画外でも適切な充電を行うことができる。
【0022】
また、充電制御装置50は、計画外充電時において次の計画充電の目標SOCに達したら充電を終了するように(充電終了時の目標SOCは次の計画充電の目標SOCであるように)充電装置20,30,40に指示を出す。
【0023】
また、充電制御装置50は、図3に示すように、計画充電時及び計画外充電時に、複数台の電動車両を同時に充電する場合には、充電電力の総和が設定値の契約電力を超えないように(ピークカットするように)充電装置20,30,40に指示を出す。
【0024】
これら一連の充電動作について図2図3を用いて具体的に説明する。
図2において横軸に時刻をとっている。図2の縦軸には電池の状態であるSOCをとっている。
【0025】
電動車両70及び電動車両80は、12時~13時において計画充電が行われる。電動車両70は電池のSOCが計画充電開始時の12時には50%であり、電動車両80は電池のSOCが計画充電開始時の12時には60%である。
【0026】
電動車両70の目標SOCは90%であり、電動車両80の目標SOCが95%である。目標SOCは計画充電後の稼働時間等によって決まり、稼働時間が短いと目標SOCが低く設定され、稼働時間が長いと目標SOCが高く設定される。
【0027】
よって、電動車両70は電池のSOCが計画充電終了時の13時には90%になり、電動車両80は電池のSOCが計画充電終了時の13時には95%になる。
また、電動車両70の電池の充電速度(SOCの傾き)は、電動車両80の電池の充電速度(SOCの傾き)よりも大きい。つまり、図3において横軸に時刻をとり、縦軸に電力をとった場合、電動車両70の電池の充電電力は、電動車両80の電池の充電電力よりも大きい。このとき、図3に示すように、電動車両70の電池の充電と電動車両80の電池の充電とは同時行われるが、電動車両70の電池の充電電力と電動車両80の電池の充電電力の総和は設定値としての契約電力に応じて決定される余剰電力を超えないようにされる。
【0028】
図2に示すように、電動車両70においては、次の計画充電が17時~18時であり、18時において次の計画充電の目標SOCが80%となっている。目標SOCは計画充電後の稼働時間等によって決まり、次の稼働時間が短いので次の計画充電の目標SOCが80%となっている。
【0029】
ここで例えば電動車両70が13時以降に計画より高負荷な稼働を行った為に、電池の消費が早くなり、計画外の充電を必要とされた場合を考える。この場合電動車両70は、15時において計画外充電が開始される。電動車両70は電池のSOCが計画外充電開始時の15時には20%である。別の状況において電動車両70´は電池のSOCが計画外充電開始時の15時には30%である。そして、SOCが小さい電動車両70の充電の方がSOCが大きい電動車両70´よりも急速に(SOCの傾きが大きくなるように)充電が行われる。そして、次の計画充電の目標SOCの80%に達したら充電が終了する。
【0030】
上述したように電動車両70の次の計画充電の目標SOCは80%であり、別の状況において電動車両70´の次の計画充電の目標SOCが80%である。よって、次の稼働に必要なSOCになるように充電される。
【0031】
また、計画外充電においても、図3を用いて説明したように、複数台の電動車両の電池の充電が同時に行われても、充電電力の総和は契約電力に応じて決定される設定値としての余剰電力を超えないようにされる。たとえば、計画外充電開始時において、電動車両70のSOCが20%であり、電動車両80のSOCが10%であった場合、SOCの比が2:1であるのでこの比を逆数にして、充電電力を余剰電力(契約電力まで利用可能な電力)の1:2で分けて決定してもよい。つまり契約電力を100kwとし現在利用中の電力(計画充電電力やその他設備に利用されている電力)を70kwとした場合、余剰電力は30kwで、この30kwを「電動車両70の充電電力:電動車両80の充電電力=1:2」になるように充電電力を分配し、結果、電動車両70の充電電力を10kw、電動車両80の充電電力を20kwとして余剰電力を超えないようにしてもよい。
【0032】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)電動車両の充電システム10の構成として、電動車両70,80,90の電池71,81,91をそれぞれ充電する複数台の充電装置20,30,40と、充電装置20,30,40を制御する充電制御装置50と、各電動車両70,80,90の稼働計画及び各電動車両70,80,90の充電計画を記憶する記憶装置60と、を備える。充電制御装置50は、計画充電時に、充電終了時に目標SOCになるような充電電力で充電するように充電装置20,30,40に指示を出し、計画外充電時に、充電開始時のSOCに応じた充電電力で充電するように充電装置20,30,40に指示を出す。これにより、計画外充電時に、充電開始時のSOCに応じた充電電力で充電することによって、計画外でも充電しすぎることなく、計画外でも適切な充電を行うことができる。
【0033】
(2)充電制御装置50は、計画外充電時において、次の計画充電の目標SOCに達したら充電を終了するように充電装置20,30,40に指示を出す。つまり、計画外充電での充電終了時のSOCは次の計画充電の目標SOCである。よって、次の稼働に必要なSOCになるように充電できる。例えば、車両が充電後にそのまま使われなければ次の稼働の際に充電を行わなくてもよくなる。
【0034】
(3)充電制御装置50は、計画外充電時に、複数台の電動車両を同時に充電する場合には、充電電力の総和が設定値を超えないように(ピークカットするように)充電装置20,30,40に指示を出す。よって、複数台の充電電力の総和が予め定めた設定値(例えば契約電力に応じて決定される余剰電力)を超えないようにすることができる。
【0035】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 電池71,81,91としてリチウム電池を例示したが、電池の種類は問わない。
○ 記憶装置60としてサーバを例示したが、サーバ以外の記憶装置を用いてもよい。
【0036】
○ 電動車両は図1では3台であったが、その数は問わない。
○ 充電装置は図1では3台であったが、その数は問わない。
○ 電動車両は、バッテリフォークリフト等の産業車両でもよいし、他にも、いわゆる電動タイプの乗用車でもよく、その種類は問わない。同じ機種でなくてもよいし、搭載される電池も同じ電池でなくてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…電動車両の充電システム、20,30,40…充電装置、50…充電制御装置、60…記憶装置、70,80,80…電動車両、71,81,91…電池。
図1
図2
図3
図4