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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】膝保護用エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/206 20110101AFI20220802BHJP
   B60R 21/217 20110101ALI20220802BHJP
【FI】
B60R21/206
B60R21/217
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019082240
(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公開番号】P2020179712
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 和人
(72)【発明者】
【氏名】大野 稔
(72)【発明者】
【氏名】堀田 直紀
(72)【発明者】
【氏名】尾方 哲也
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-167796(JP,A)
【文献】特開2000-85518(JP,A)
【文献】特開2018-27780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16-21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まれて収納されるエアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、前記エアバッグと前記インフレーターとを収納するケースと、折り畳まれた前記エアバッグを覆うエアバッグカバーと、を備える構成とされて、
前記ケースが、底壁部と、該底壁部の周縁から延びる略筒形状の周壁部と、を有して、前記エアバッグを突出可能な突出用開口を有した略箱形状として構成され、
前記エアバッグカバーが、前記突出用開口を覆って前記エアバッグの展開膨張時に開き可能な扉部を有するとともに、該扉部の周囲において前記ケースにおける前記周壁部に取り付けられる構成とされ、
前記インフレーターが、略円柱状のインフレーター本体と、該インフレーター本体を前記ケース側に取り付けるリテーナと、を備える構成とされ、
前記インフレーター本体が、軸方向に沿った一端側に、膨張用ガスを吐出させるガス吐出口を配置させ、他端側に、エアバッグ作動回路から延びるワイヤハーネスを接続させるための接続口部を配設させる構成とされるとともに、前記リテーナに外周面を挟持された状態で、前記リテーナから軸直交方向側に突出するように配置される取付手段を前記底壁部に固定させることにより、前記ケースに取り付けられる構成の膝保護用エアバッグ装置であって、
前記ワイヤハーネスが、ハーネス本体と、該ハーネス本体の先端側に設けられるコネクタと、を備え、
前記インフレーター本体が、前記接続口部に前記コネクタを接続させ、前記ワイヤハーネスを結線させた状態で、前記ケース内に収納される構成とされ、
前記ケースにおける前記突出用開口の周縁の部位に、前記ハーネス本体を挿通可能な凹溝が、前記周壁部の端縁を凹ませるようにして、形成され、
前記周壁部に、前記凹溝の周縁部位の補強用のビードが、前記凹溝の周囲を囲むように形成されていることを特徴とする膝保護用エアバッグ装置。
【請求項2】
前記周壁部が、前記インフレーター本体の軸直交方向側で対向するように前記インフレーター本体の軸方向に沿って配置される2つの長尺壁と、前記インフレーター本体の軸方向側で対向して配置される2つの短尺壁と、を備える略四角筒形状とされ、
前記エアバッグカバーが、前記扉部の周囲から延びる取付片を、前記長尺壁に取り付けられる構成とされ、
前記凹溝が、少なくとも一方の前記短尺壁に、形成されていることを特徴とする請求項1に記載の膝保護用エアバッグ装置。
【請求項3】
2つの前記長尺壁が、上下方向側で対向するように、配設され、
前記凹溝が、前記短尺壁の下縁側において、前記コネクタよりも下方となる位置に配置されるとともに、開口端を、凹みの底部よりも下側に位置させるように、形成されていることを特徴とする請求項2に記載の膝保護用エアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳まれて収納されるエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、エアバッグとインフレーターとを収納するケースと、折り畳まれたエアバッグを覆うエアバッグカバーと、を備える構成の膝保護用エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、膝保護用エアバッグ装置としては、エアバッグ作動回路から延びるワイヤハーネスのコネクタを、折り畳まれたエアバッグとともにケース内に収納させた状態のインフレーターの接続口部に、ケースに形成されるコネクタ用開口を介して、接続させる構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-167796公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の膝保護用エアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグとインフレーターとをケースに収納させて、ケースにエアバッグカバーを組み付けた状態のエアバッグ組付体を、車両のボディ側に固定させた後に、ワイヤハーネスを、コネクタ用開口から露出しているインフレーターの接続口部に接続させる構成であった。しかしながら、搭載する車両の周辺部材の形状によっては、インフレーターを、ワイヤハーネスを接続させた状態でケースに収納させる必要が生ずる場合がある。そして、インフレーターを、予めワイヤハーネスを接続させた状態でケースに収納する場合にも、ワイヤハーネスに対する位置を規制する必要があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、ワイヤハーネスを接続させた状態でインフレーターをケースに収納させる構成であっても、ケースに対するワイヤハーネスの配置位置を設定可能で、ワイヤハーネスの取扱性が良好な膝保護用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る膝保護用エアバッグ装置は、折り畳まれて収納されるエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、エアバッグとインフレーターとを収納するケースと、折り畳まれたエアバッグを覆うエアバッグカバーと、を備える構成とされて、
ケースが、底壁部と、底壁部の周縁から延びる略筒形状の周壁部と、を有して、エアバッグを突出可能な突出用開口を有した略箱形状として構成され、
エアバッグカバーが、突出用開口を覆ってエアバッグの展開膨張時に開き可能な扉部を有するとともに、扉部の周囲においてケースにおける周壁部に取り付けられる構成とされ、
インフレーターが、略円柱状のインフレーター本体と、インフレーター本体をケース側に取り付けるリテーナと、を備える構成とされ、
インフレーター本体が、軸方向に沿った一端側に、膨張用ガスを吐出させるガス吐出口を配置させ、他端側に、エアバッグ作動回路から延びるワイヤハーネスを接続させるための接続口部を配設させる構成とされるとともに、リテーナに外周面を挟持された状態で、リテーナから軸直交方向側に突出するように配置される取付手段を底壁部に固定させることにより、ケースに取り付けられる構成の膝保護用エアバッグ装置であって、
ワイヤハーネスが、ハーネス本体と、ハーネス本体の先端側に設けられるコネクタと、を備え、
インフレーター本体が、接続口部にコネクタを接続させ、ワイヤハーネスを結線させた状態で、ケース内に収納される構成とされ、
ケースにおける突出用開口の周縁の部位に、ハーネス本体を挿通可能な凹溝が、周壁部の端縁を凹ませるようにして、形成され、
周壁部に、凹溝の周縁部位の補強用のビードが、凹溝の周囲を囲むように形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の膝保護用エアバッグ装置では、インフレーター本体にワイヤハーネスを結線させた状態で、インフレーターをケース内に収納させる構成であるが、ケースの突出用開口の周縁の部位に、ワイヤハーネスにおけるハーネス本体を挿通可能な凹溝が、周壁部の端縁を凹ませるようにして形成される構成であることから、凹溝にハーネス本体を挿通させることにより、ケースに対してハーネス本体の配置位置を規制することができる。また、ハーネス本体は、突出用開口の周縁の部位を凹ませるように形成される凹溝に、挿通されて、ケース外に延びる構成であることから、突出用開口を覆うように配置されるエアバッグカバーとの干渉も、抑制できる。そして、ハーネス本体は、ケースの凹溝に挿通されていることから、運搬時やボディ側への取付作業時等において、ハーネス本体がケースに対して動くことを抑制でき、車両への取付作業時等において、ワイヤハーネスの取扱作業性が良好となる。さらに、この凹溝の周囲には、凹溝の周縁部位の補強用のビードが、凹溝の周囲を囲むように配設されていることから、強度低下を招くような周壁部自体を切り欠いて形成される凹溝を、有する構成であっても、エアバッグの展開膨張時に、ケースが変形することを抑制でき、エアバッグを円滑に突出用開口から突出させて膨張させることができる。
【0008】
したがって、本発明の膝保護用エアバッグ装置では、ワイヤハーネスを接続させた状態でインフレーターをケースに収納させる構成であっても、ケースに対するワイヤハーネスの配置位置を設定可能で、ワイヤハーネスの取扱性が良好である。
【0009】
また、本発明の膝保護用エアバッグ装置において、周壁部を、インフレーター本体の軸直交方向側で対向するようにインフレーター本体の軸方向に沿って配置される2つの長尺壁と、インフレーター本体の軸方向側で対向して配置される2つの短尺壁と、をを備える略四角筒形状とし、
エアバッグカバーを、扉部の周囲から延びる取付片を長尺壁に取り付けられる構成とし、
凹溝を、少なくとも一方の短尺壁に、形成する構成とすることが、好ましい。
【0010】
このような構成の膝保護用エアバッグ装置では、凹溝が、ケースの突出用開口を覆うように配設されるエアバッグカバーをケースに取り付ける取付片から離隔した位置に配設されることとなり、換言すれば、エアバッグカバーにおいては、凹溝を設けた短尺壁に連結する取付片を設けなくてよいことから、エアバッグカバーにおいて短尺壁を覆う部位は、凹溝を覆わない構成とすることができて、凹溝に挿通されているハーネス本体と、エアバッグカバーと、の干渉を、的確に抑制できる。
【0011】
さらに、上記構成の膝保護用エアバッグ装置において、2つの長尺壁を、上下方向側で対向するように、配設させ、
凹溝を、短尺壁の下縁側において、コネクタよりも下方となる位置に配置させるとともに、開口端を、凹みの底部よりも下側に位置させるように、形成する構成とすることが、好ましい。
【0012】
膝保護用エアバッグ装置をこのような構成とすれば、車両搭載時において、ハーネス本体は、コネクタよりも下方に配置される凹溝を挿通させることにより、コネクタから下方に延びるように配置されることから、ケース外に延びているハーネス本体に、仮に、雨水等が付着してハーネス本体を伝うこととなっても、凹溝付近の上方への反転部位で滴下させることができ、雨水等がコネクタ側に進入することを、的確に防止することができて、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態である膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両前後方向の概略縦断面図である。
図2】実施形態の膝保護用エアバッグ装置の車両前後方向の概略拡大縦断面図である。
図3】実施形態の膝保護用エアバッグ装置の車両左右方向の概略横断面図である。
図4】実施形態の膝保護用エアバッグ装置において、クリップの配置部位を示す概略縦断面図である。
図5図3のV-V部位の断面図である。
図6】実施形態の膝保護用エアバッグ装置に使用されるケースの正面図である。
図7図6のケースの概略斜視図である。
図8図6のケースの左側面図である。
図9図6のケースに、ワイヤハーネスを接続させたインフレーター本体を取り付けた状態の正面図である。
図10図6のケースに、ワイヤハーネスを接続させたインフレーター本体を取り付けた状態の概略斜視図である。
図11図6のケースに、ワイヤハーネスを接続させたインフレーター本体を取り付けた状態の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、図1に示すように、運転席の車両前方側であるステアリングコラム1の下方に配設される膝保護用エアバッグ装置Sを例に採り、説明をする。エアバッグ装置Sの周囲には、内装材であるインストルメントパネル(以下、インパネと省略する)3のロアパネル4やアンダーカバー5が、配設されている(図1参照)。なお、アンダーカバーは、配設させない構成としてもよい。また、本明細書における上下、左右、及び、前後の方向は、特に断らない限り、エアバッグ装置Sを車両に搭載させた際の車両の上下・左右・前後の方向と一致するものである。
【0015】
エアバッグ装置Sは、図1~5に示すように、折り畳まれたエアバッグ30と、エアバッグ30に膨張用ガスを供給するインフレーター35と、折り畳まれたエアバッグ30とインフレーター35とを収納するケース55と、折り畳まれたエアバッグ30を覆うようにケース55の突出用開口56aを覆うエアバッグカバー10と、を備えて構成されている。
【0016】
エアバッグカバー10は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等からなる合成樹脂製とされるもので、ケース55の突出用開口56aを覆うように(折り畳まれたエアバッグ30を覆うように)、構成されている。具体的には、エアバッグカバー10は、図2~5に示すように、ケース55における後述するケース本体56の後方を覆うように配設される扉配設部11と、扉配設部11に形成される後述する扉部13,13の周囲から前方に延びてケース本体56の周壁部58の外周側を覆う側壁部20と、を備える構成とされている。
【0017】
扉配設部11は、左右方向側を幅広とした略長方形板状とされるとともに、左右方向側から見て、下端側を前方に位置させるように、上下方向に対して傾斜して配置されるもので(図2,3参照)、エアバッグ30の展開膨張時に上下両側に向かって開き可能とされる2枚の扉部13,13を、備える構成とされている。扉部13,13は、ケース本体56における突出用開口56aの後方を覆う構成であり、詳細には、周囲に、図示を省略するが後方側から見て略H字形状として、膨張するエアバッグ30に押圧されて破断可能な破断予定部12を、配置させ、この破断予定部12を破断させて、上下両側に向かって開く構成とされている(図1,2の二点鎖線参照)。扉配設部11の左端側には、図3に示すように、前方に向かって突出するように、扉部13に対して段差状に形成される段差部15が、配設されている。この段差部15の領域は、図5に示すように、後方側をインパネ3のロアパネル4によって覆われている。
【0018】
側壁部20は、それぞれ、ケース本体56における周壁部58の上方,下方,左方,右方を覆うように、扉部13の周縁から前方に向かって突出するように形成される上壁部21,下壁部22,左壁部23,右壁部24を備える構成である。実施形態の場合、上下方向側で対向する上壁部21と下壁部22とが、ケース本体56の周壁部58に取り付けられる取付片を構成するもので、上壁部21,下壁部22には、周壁部58における後述する上壁部59,下壁部60に形成される係止爪59a,60aを挿入させて係止させるための係止孔21a,22aが、係止爪59a,60aに対応して、左右方向に沿って5箇所ずつに、形成されている。左壁部23,右壁部24は、図2~4に示すように、前方への突出量を、上壁部21,下壁部22よりも小さく設定されるもので、特に、後述するインフレーター本体36の接続口部38側に配置される左壁部23は、ケース55の左壁部61に形成される凹溝65に挿通されているハーネス本体41と接触しないように、構成されている(図11の二点鎖線参照)。また、上壁部21の後端近傍には、突出片部26が、上方に突出するように、上下方向に略沿って配設されている。この突出片部26は、車両搭載時に、後方側をインパネ3のロアパネル4によって覆われている。
【0019】
そして、この突出片部26と、上述した段差部15と、には、ロアパネル4から前方に突出するように形成される係止棒部4aを、挿入させて係止するクリップ28が、前方に突出するようにして、配設されている(図4,5参照)。このクリップ28は、車両への取付時に、エアバッグカバー10とロアパネル4との間の組付誤差を吸収して、車室内側においての意匠性を良好とするために、配設されるもので、詳細な図示は省略するが、突出片部26には、左右方向に沿って複数個所に形成され、段差部15には、上端15a側と下端15b側との二箇所に、形成されている。また、段差部15の下端15b側には、図5に示すように、クリップ28の周囲を全周にわたって覆う略四角筒状に、前方に向かって突出するストッパ16が、形成されている。このストッパ16は、車両搭載状態において、ケース55における後述するブラケット部75から延びるように形成される支持座83の後方側において、支持座83との間に隙間を設けるようにして、配置されることとなる(図5参照)。このストッパ16は、エアバッグ30の展開膨張時において、エアバッグカバー10が前方に移動した際に、前端16aを支持座83に当接させて、エアバッグカバー10のさらなる前方移動を規制するために、配設されている。
【0020】
エアバッグ30は、可撓性を有したポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布から形成されるもので、ケース55に折り畳まれて収納されて、内部に膨張用ガスを流入させて、ケース55の突出用開口56aから後方に突出しつつ上方に向かうように展開して、運転者の膝を保護可能に膨張する構成とされている。具体的には、エアバッグ30は、膨張完了時に、図1の二点鎖線に示すように、ステアリングコラム1の後面側を覆うように、配置されるもので、運転者Dの膝Kを保護する構成である。このエアバッグ30において、膨張完了時にケース55(ケース本体56)内に配設される部位には、詳細な図示と説明は省略するが、リテーナ46の各ボルト51を挿通させるための挿通孔と、ケース55の底壁部57に形成される支持突起57bを挿通させるための貫通穴と、インフレーター本体36を挿入させるための開口と、が、形成されている。
【0021】
インフレーター35は、図2,3に示すように、略円柱状のインフレーター本体36と、インフレーター本体36をケース55側に取り付けるリテーナ46と、を備える構成とされている。
【0022】
インフレーター本体36は、図2,3に示すように、軸方向を左右方向に略沿わせて配置される略円柱状とされるもので、軸方向に沿った一端側(実施形態の場合、右端36b側)に、膨張用ガスを吐出させるガス吐出口37aを配設させ、他端側(左端36a側)に、エアバッグ作動回路から延びる図示しないリード線に結線されるワイヤハーネス40を接続させるための接続口部38を、備える構成とされている。ガス吐出口37aは、インフレーター本体36の右端36b側から突設される小径のガス吐出部37に、多数、形成されている。インフレーター本体36は、ワイヤハーネス40を結線させた状態で、リテーナ46を用いてケース55に取り付けられて、ケース55内に収納される構成である。
【0023】
インフレーター本体36の接続口部38に接続されるワイヤハーネス40は、ハーネス本体41と、ハーネス本体41の先端(端部41a)側に設けられて接続口部38に接続されるコネクタ42と、を備えるもので、コネクタ42には、図3に示すように、接続口部38に挿入されるプラグ42aが、形成されている。このプラグ42aは、図11に示すように、2本の差し込みピンからなるもので、このプラグ42a(差し込みピン)を接続口部38に挿入させることにより、コネクタ42は、インフレーター本体36に対して回転しないように接続されることとなる。コネクタ42は、外形形状を、略長方形板状として構成されるもので、車両搭載時における後端側から、ハーネス本体41を延ばすように構成されている(図11参照)。ハーネス本体41は、コネクタ42から後下方に延びるように配置されて、ケース55のケース本体56に形成される凹溝65を挿通させるようにして、反転されつつ、ケース本体56外に突出される構成である。このハーネス本体41は、他端(端部41b)に、車両のボディ側から延びる図示しないリード線を結線させるためのコネクタ43を、配設させている構成である。このコネクタ43は、図示しないクリップを、ケース55におけるブラケット部75に形成される縦壁部78に形成される係止孔79に係止させることにより、図9~11に示すように、ブラケット部75に固定される構成である。そして、コネクタ43を縦壁部78に固定させた状態では、ハーネス本体41は、凹溝65に挿通されている部位を反転部位41cとして、ケース本体67の左壁部61の左方において、コネクタ43を配設させている端部41bを、上方であって、かつ、凹溝65よりもわずかに後方に位置させるように、上下方向に略沿いつつ僅かに傾斜して、配置される構成である(図11参照)。
【0024】
リテーナ46は、図2,3に示すように、インフレーター本体36を保持する保持部47と、保持部47の軸方向と略直交するように突設される取付手段としての2つのボルト51,51と、を備えている。
【0025】
保持部47は、板金製として、インフレーター本体36を内部に挿通可能な略筒状として構成される。保持部47において、車両搭載時のインフレーター本体36の前側となる位置であって、ボルト51,51間の部位には、ケース55の底壁部57に形成される支持突起57bを挿通させるための貫通穴47aが、形成されている。また、保持部47において、ボルト51と対向するインフレーター本体36の後側となる位置には、車両搭載時に、インフレーター本体36の外周面36cと当接する当接部48が、形成されている。この当接部48は、図3に示すように、各ボルト51に対応する2箇所に形成されるもので、それぞれ、図2に示すように、前後方向に沿った断面において、上下方向側で並設される2つの突起48aを、備える構成とされている。各突起48aは、保持部47を部分的にインフレーター本体36側に向かって凹ませるようにして形成されるもので、外形形状を略半円弧状として、先端面を、インフレーター本体36の外周面36cと当接可能に、構成されている。
【0026】
そして、実施形態のエアバッグ装置Sでは、ワイヤハーネス40を結線させた状態のインフレーター本体36を、エアバッグ30内に配置されるリテーナ46の保持部47に挿通させて、エアバッグ30をケース55内に収納させる際に、リテーナ46のボルト51を、ケース55の底壁部57から突出させて、ボルト51にナット52を締結させることにより、インフレーター35とエアバッグ30とをケース55に取り付ける構成である。詳細には、インフレーター本体36は、このナット52の締結時に、ケース55の底壁部57に形成される支持突起57bと、リテーナ46の保持部47に形成される当接部48と、により、挟持されて、リテーナ46に保持されることとなる。
【0027】
エアバッグ30とインフレーター35とを収納するケース55は、実施形態の場合、図6~8に示すように、ケース本体56と、ケース本体56を車両のボディ側に取り付けるブラケット部70,75と、を備える構成とされている。
【0028】
ケース本体56は、底壁部57と、底壁部57の周縁から延びる略筒形状の周壁部58と、を有して、エアバッグ30を突出可能な突出用開口56aを有した箱形状として構成されるもので、実施形態の場合、図2,3に示すように、車両搭載時に、後端側に突出用開口56aを配設させる構成とされている。すなわち、実施形態のケース本体56では、周壁部58は、底壁部57の周縁から後方に延びるように、構成されている。また、実施形態のケース本体56は、軸方向を左右方向に略沿わせて配置されるインフレーター35を収納するもので、左右方向側の幅寸法を大きく設定される扁平な略箱形状とされている。左右に幅広とした略長方形状の底壁部57には、リテーナ46に配設されるボルト51を挿通させるための挿通孔57a,57aと、ボルト51の突出方向に略沿ってケース本体56の内側(インフレーター本体36側)に突出するように形成される支持突起57bと、が、形成されている。各挿通孔57aは、底壁部57の上下の略中央となる位置に、形成されている。支持突起57bは、図3に示すように、断面を、先端側にかけて狭められるような略台形状として構成されるもので、車両搭載時において、先端を、インフレーター本体36の外周面36cに当接させることにより、インフレーター本体36を支持可能な構成とされている。この支持突起57bは、図6に示すように、挿通孔57a,57a間の略中央となる位置に、形成されている。
【0029】
周壁部58は、左右に幅広の扁平な略四角筒形状として、上下方向で対向する上壁部59,下壁部60と、左右方向で対向する左壁部61,右壁部62と、を備えている。すなわち、実施形態では、上壁部59,下壁部60が、インフレーター本体36の軸直交方向側で対向するようにインフレーター本体36の軸方向に沿って配置される長尺壁を構成し、左壁部61,右壁部62が、インフレーター本体36の軸方向側で対向して配置される短尺壁を構成している。そして、長尺壁としての上壁部59,下壁部60の後端近傍(突出用開口56aの周縁)には、エアバッグカバー10の上壁部21,下壁部22(取付片)に形成される係止孔21a,22a周縁を係止するための係止爪59a,60aが、上下の外方へ突出し、先端を前方に向けるように断面略L字形状に屈曲して、形成されている。係止爪59a,60aは、上壁部59,下壁部60に、それぞれ、左右方向に沿って5個ずつ、形成されている。
【0030】
そして、インフレーター本体36の接続口部38側に配置される短尺壁としての左壁部61には、ワイヤハーネス40のハーネス本体41を挿通可能な凹溝65が、形成されている。凹溝65を配置させる左壁部61は、後縁61aを、エアバッグカバー10における扉配設部11に合わせて、下端側を前側に位置させるように上下方向に対して傾斜させて構成されている。そして、凹溝65は、ケース本体56における突出用開口56aの周縁を構成する左壁部61の後縁61aを凹ませるようにして、形成されるもので、具体的には、左壁部61の後下端側を切り欠くようにして、形成されている。さらに詳細には、凹溝65は、図8に示すように、左壁部61の下縁61bの後端側において、下縁61bと後縁61aとの境界部位を切り抜くようにして、下端側を開口させつつ、上方に向かって凹ませるように、上下方向に略沿って、かつ、幅寸法を一定とされた溝状として、形成されている。凹溝65は、幅寸法を略一定とされるとともに、凹みの底部65aを略半円弧状とされている。すなわち、凹溝65は、開口端65bを、凹みの底部65aよりも下側に位置させるように、形成されている。この凹溝65は、幅寸法H1を、ハーネス本体41を円滑に挿通可能な寸法に設定されており、深さH2を、幅寸法H1の2倍程度に設定されている(図8参照)。そして、凹溝65は、左壁部61の下縁61bと後縁61aとの境界部位を切り抜くように形成されていることから、ハーネス本体41を挿入させる開口端65bの実質的な開口幅寸法が、幅寸法よりも大きく、ハーネス本体41を円滑に挿入させることができる。また、凹溝65は、深さH2を、幅寸法H1(ハーネス本体41の外径と略一致)の2程度に設定されていることから、凹溝65内に挿通されたハーネス本体41の抜けを、抑制できる。さらに、凹溝65は、深さH2を、左壁部61の上下方向側の幅寸法H3の1/5程度に設定されており、軸心を左壁部61の上下の中央と略一致させるようにして、ケース55に取り付けられているインフレーター35のコネクタ42よりも、下方となる位置に、形成されている(図11参照)。
【0031】
また、左壁部61には、図8に示すように、凹溝65の周縁部位の補強用のビード66が、凹溝65の周囲を囲むように、形成されている。具体的には、ビード66は、凹溝65の周囲を連続的に囲むように、ケース55を側方から見た状態で略逆L字状として、左壁部61自体を左右の外方に突出させるように湾曲させることにより、形成されている。さらに詳細には、ビード66は、後端66aを、凹溝65より後方で左壁部61の後縁61a近傍に位置させ、下端66bを、左壁部61の下縁61b近傍に位置させるように、構成されている。なお、実施形態では、右壁部62にも、凹溝65とビード66とが、形成されている(図7参照)。
【0032】
ブラケット部70,75は、ケース本体56の左右両端側に、それぞれ、配設されている。右側に配設されるブラケット部70は、図7,8に示すように、ケース本体56の上壁部59における右端側から、後斜め上方に延びるように、配設されるもので、ブラケット部70の先端側には、ボディ側の部材に取り付けられる取付片71が、上方に延びるように形成されている。取付片71には、取付孔71aが形成されている。
【0033】
左側に配設されるブラケット部75は、図6,7に示すように、ケース本体56の左端側から左方に延びるように、配設されるもので、詳細には、元部75a側において、ケース本体56の左端における上壁部59から底壁部57にかけてを覆う構成とされるとともに、上壁部59の左端側から左方に延びて、上壁部59に略沿う横壁部77と、横壁部77の後端から上方に延びるように上下方向に略沿う縦壁部78と、を備えている。縦壁部78は、ケース55を左右方向側から見た状態において、左壁部61に形成される凹溝65よりもわずかに後側となる位置に、配置されている(図8参照)。この縦壁部78において、左壁部61よりも左方となる位置には、上述したごとく、ハーネス本体41の端部41b側に配置されるコネクタ43を固定させるための係止孔79が、左右に幅広とした略長方形状に、開口して形成されている(図6,7参照)。縦壁部78の先端(左端)側には、ボディ側の部材に取り付けるための取付孔78aが、形成されている。横壁部77は、縦壁部78よりも左方に延びる構成とされるとともに、先端側に、前縁から下方に延びて、ボディ側の部材に取り付けられる取付片81を、備える構成とされている(図7参照)。取付片81には、取付孔81aが形成されている。また、ブラケット部75の元部75a側には、上述したエアバッグカバー10のストッパ16の前方を覆う支持座83が、元部75a側から延びるようにして、形成されている。この支持座83は、詳細には、ケース本体56の左壁部61に隣接されて、左壁部61の前後の中央よりもやや前方となる位置において、上下方向に沿うように形成されるもので(図8参照)、車両搭載時に、図5に示すように、ストッパ16との間に隙間を設けるようにして、配置される。また、詳細には、支持座83は、係止孔79の中心よりも右側(ケース本体56側)となる領域に、配設されている(図6参照)。この支持座83とストッパ16との間の隙間は、エアバッグ30の展開膨張時においてエアバッグカバー10が前方移動する際に、支持座83にストッパ16を当接させて、エアバッグカバー10のさらなる前方移動を規制可能な寸法に、設定されている。
【0034】
次に、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sの車両への搭載について、説明をする。まず、挿通孔(図示せず)からボルト51を突出させるようにして、エアバッグ30の内部にリテーナ46を収納させる。その後、エアバッグ30を、平らに展開した状態から、ケース55(ケース本体56)内に収納可能な大きさに折り畳み、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないラッピング材により、折り畳まれたエアバッグ30の周囲をくるんでおく。このとき、インフレーター本体36を挿入させるための挿入用スリット(図示せず)は、ラッピング材から露出させておく。
【0035】
次いで、ワイヤハーネス40を接続させた状態のインフレーター本体36を、ガス吐出口37a側から、エアバッグ30内(リテーナ46の保持部47内)に挿入させる。その後、底壁部57からボルト51を突出させるようにして、折り畳まれたエアバッグ30とインフレーター本体36とをケース55内に収納させる。次いで、ハーネス本体41を凹溝65に挿入させるように、ワイヤハーネス40ごとインフレーター本体36を回転させ、凹溝65へのハーネス本体41の挿入を維持した状態で、底壁部57から突出しているボルト51にナット52を締結させて、エアバッグ30と、インフレーター本体36とリテーナ46とを一体化させたインフレーター35と、をケース55に取り付ける。このとき、ハーネス本体41は、凹溝65に挿入された状態で、端部41b側に配置されるコネクタ43を、ケース55におけるブラケット部75に固定させることにより、ケース55に取り付けられる。その後、エアバッグカバー10をケース55に組み付ければ、エアバッグ組付体Aを組み立てることができる。そして、エアバッグ組付体Aを、ケース55のブラケット部70,75を利用して、車両のボディ側部材に取り付け、同時に、ケース55におけるブラケット部75に取り付けられているコネクタ43に、エアバッグ作動回路から延びる図示しないリード線を結線させる。その後、係止棒部4aをエアバッグカバー10に設けられるクリップ28に挿入させるようにして、ロアパネル4(インパネ3)やアンダーカバー5を取り付ければ、膝保護用エアバッグ装置Sを車両に搭載することができる。
【0036】
膝保護用エアバッグ装置Sの車両への搭載後、インフレーター本体36に作動信号が入力されれば、インフレーター本体36のガス吐出口37aから膨張用ガスが吐出されて、エアバッグ30内に流入することとなる。そして、エアバッグ30は、膨張して図示しないラッピング材を破断させ、エアバッグカバー10の扉部13,13を押し開きつつ、ケース55の突出用開口56aから突出して、後上方に向かって展開しつつ、図1の二点鎖線に示すように、ステアリングコラム1の後面側を覆うように、膨張を完了させることとなる。
【0037】
そして、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、インフレーター本体36にワイヤハーネス40を結線させた状態で、インフレーター35をケース55内に収納させる構成であるが、ケース55の突出用開口56aの周縁の部位に、ワイヤハーネス40におけるハーネス本体41を挿通可能な凹溝65が、周壁部58の端縁(実施形態の場合、左壁部61の後縁61a)を凹ませるようにして形成される構成であることから、凹溝65にハーネス本体41を挿通させることにより、ケース55に対してハーネス本体41の配置位置を規制することができる。また、ハーネス本体41は、突出用開口56aの周縁の部位を凹ませるように形成される凹溝65に、挿通されて、ケース55外に延びる構成であることから、突出用開口56aを覆うように配置されるエアバッグカバー10との干渉も、抑制できる。そして、ハーネス本体41は、ケース55の凹溝に挿通されていることから、運搬時やボディ側への取付作業時等において、ハーネス本体41がケース55に対して動くことを抑制でき、車両への取付作業時等において、ワイヤハーネス40の取扱作業性が良好となる。さらに、この凹溝65の周囲には、凹溝65の周縁部位の補強用のビード66が、凹溝65の周囲を囲むように配設されていることから、強度低下を招くような周壁部58自体を切り欠いて形成される凹溝65を、有する構成であっても、エアバッグ30の展開膨張時に、ケース55が変形することを抑制でき、エアバッグ30を円滑に突出用開口56aから突出させて膨張させることができる。
【0038】
したがって、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、ワイヤハーネス40を接続させた状態でインフレーター35をケース55に収納させる構成であっても、ケース55に対するワイヤハーネス40の配置位置を設定可能で、ワイヤハーネス40の取扱性が良好である。
【0039】
また、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、ケース55の周壁部58が、インフレーター本体36の軸直交方向側(実施形態の場合、上下方向側)で対向するようにインフレーター本体36の軸方向に沿って配置される2つの長尺壁としての上壁部59,下壁部60と、インフレーター本体36の軸方向側(実施形態の場合、左右方向側)で対向して配置される2つの短尺壁としての左壁部61,右壁部62と、を備える略四角筒形状とされ、エアバッグカバー10は、取付片としての上壁部21,下壁部22を、ケース55の上壁部59,下壁部60に取り付けられる構成とされ、凹溝65が、左壁部61に、形成される構成である。すなわち、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、凹溝65が、ケース55の突出用開口56aを覆うように配設されるエアバッグカバー10をケース55に取り付ける取付片(上壁部21,下壁部22)から離隔した位置に配設されることとなり、換言すれば、エアバッグカバー10においては、凹溝65を設けた短尺壁としての左壁部61,右壁部62に連結する取付片を設けなくてよいことから、エアバッグカバー10において短尺壁としての左壁部61,右壁部62を覆う部位(左壁部23,右壁部24)は凹溝を覆わない構成とすることができて(図11の二点鎖線参照)、凹溝65に挿通されているハーネス本体41と、エアバッグカバー10と、の干渉を、的確に抑制できる。なお、このような点を考慮しなければ、凹溝を、長尺壁(実施形態の場合、上壁部,下壁部)の領域に、配設させる構成としてもよい。
【0040】
さらに、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、凹溝65が、左壁部61の下縁61b側において、コネクタ42よりも下方となる位置に配置されるとともに、開口端65bを、凹みの底部65aよりも下側に位置させるように、形成されている。そのため、車両搭載時において、ハーネス本体41は、コネクタ42よりも下方に配置される凹溝65を挿通させることにより、コネクタ42から下方に延びるように配置されることから、ケース55外に延びているハーネス本体41に、仮に、雨水等が付着してハーネス本体41を伝うこととなっても、雨水等がコネクタ42側に進入することを、的確に防止することができて、好ましい。特に、実施形態では、ハーネス本体41の端部41b側に配置されているコネクタ43が、凹溝65よりも上側に配置されるブラケット部75に取り付けられる構成としており、ハーネス本体41は、凹溝65に挿通されている領域を下端として、この領域を反転部位41cとして、上方に反転するように配置されることから、雨水等が、ハーネス本体41に付着して、ハーネス本体41を伝うこととなっても、雨水等を、凹溝65に挿通されている反転部位41cから落下させることができて、ハーネス本体41を伝ってケース55内に進入することを、的確に防止することができる。なお、このような点を考慮しなければ、凹溝を、コネクタよりも上側となる位置に配置させる構成としてもよい。
【0041】
さらに、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、エアバッグカバー10に、エアバッグ30の展開膨張時に、ケース55側に形成される支持座83に当接されて、エアバッグカバー10の前方移動を規制可能なストッパ16が、形成されていることから、エアバッグ30の展開膨張時に、エアバッグカバー10がケース55に対して大きく前方移動することを、的確に規制できる。
【0042】
なお、実施形態では、ケース55における左壁部61に形成されるビード66は、左壁部自体を部分的に外方に突出させるようにして形成されているが、ビードの形状は実施形態に限られるものではなく、例えば、ケース本体と別体の部材を固着させるようにして、ビードを形成してもよい。
【0043】
また、実施形態では、車両搭載時の後端側に突出用開口を配設させる構成のケースを使用した膝保護用エアバッグ装置を例に採り、説明しているが、本発明を適用可能な膝保護用エアバッグ装置は、実施形態に限られるものではない。突出用開口を車両搭載時の下端側に配設させる構成のケースを使用した膝保護用エアバッグ装置にも、本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
10…エアバッグカバー、13…扉部、21…上壁部(取付片)、22…下壁部(取付片)、30…エアバッグ、35…インフレーター、36…インフレーター本体、37a…ガス吐出口、38…接続口部、40…ワイヤハーネス、41…ハーネス本体、41a…端部、42…コネクタ、46…リテーナ、51…ボルト(取付手段)、55…ケース、56…ケース本体、56a…突出用開口、57…底壁部、58…周壁部、59…上壁部(長尺壁)、60…下壁部(長尺壁)、61…左壁部(短尺壁)、62…右壁部(短尺壁)、65…凹溝、65a…底部、65b…開口端、66…ビード、S…膝保護用エアバッグ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11