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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
A01C11/02 303Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020062344
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021158950
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2021-10-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】村並 昌実
(72)【発明者】
【氏名】大久保 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】山根 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】東 幸太
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-031612(JP,A)
【文献】特開2001-016920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/00 - 14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降用油圧シリンダー(110)の伸縮で植付装置(42)を設ける走行車体(40)を昇降して車高を変更調整する移植機において、
走行車体(40)の車高を複数段に固定する車高維持機構(48)を設け、該車高維持機構(48)を移植作業停止時に作動するようにし、
車高維持機構(48)を複数の段部(50a)の係合受具(50)と該段部(50a)に先端が係合する突っ張り杆(51)で構成し、作業停止時に突っ張り杆(51)を係合受具(50)の段部(50a)に係合して車高を維持することを特徴とする植機。
【請求項2】
昇降用油圧シリンダー(110)の伸縮で植付装置(42)を設ける走行車体(40)を昇降して車高を変更調整する移植機において、
走行車体(40)の車高を複数段に固定する車高維持機構(48)を設け、該車高維持機構(48)を移植作業停止時に作動するようにし、
車高維持機構(48)を複数の引掛け部(60a)の引掛け具(60)と該引掛け部(60a)へ掛ける先端鉤部(61a)を形成した引掛け具(61)で構成し,移植作業停止時に引掛け具(61)の先端鉤部(61a)を引掛け具(60)の引掛け部(60a)に引掛けて走行車体(40)の車高を維持することを特徴とする植機。
【請求項3】
昇降用油圧シリンダー(110)の伸縮で植付装置(42)を設ける走行車体(40)を昇降して車高を変更調整する移植機において、
走行車体(40)の車高を複数段に固定する車高維持機構(48)を設け、該車高維持機構(48)を移植作業停止時に作動するようにし、
車高維持機構(48)をロッド受け具(70)と該ロッド受け具(70)に挿入するガイドロッド(71)で構成し、移植作業停止時にロッド受け具(70)に挿入したガイドロッド(71)にロックピン(72)を挿入してガイドロッド(71)をロッド受け具(70)に固定して車高を維持することを特徴とする植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜苗を圃場に移植する移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、先行特許文献1や2に示す移植機は、昇降シリンダーを伸縮させて走行車体の車高を調節可能にし、走行車体に設けた植付装置の植付具を圃場に差し込んで苗を圃場に所定深さで移植する作業を行う。
【0003】
移植作業の長時間休憩時や、納屋に収納して置く場合には、走行車体を最大限まで上昇させて植付装置の植付具を地面から浮かせておくことが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-136976号公報
【文献】特開2017-175998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、移植機の停止時には、昇降シリンダーと昇降シリンダーを伸縮させる油圧回路の作動油に走行車体の重量による圧が加わり続けており、時間の経過により、作動油の回路漏れで昇降シリンダーが収縮して走行車体が降下することがある。これにより、車高が下がり、苗植付装置の植付具が地面や倉庫の床に圧接した状態となり、植付具の先端が地面に食い込んで土が付着したり変形したりする問題がある。
【0006】
本発明は、苗植付装置を装着した走行車体を昇降シリンダーで昇降して車高を調整する移植機において、作業の休止時間中に走行車体が降下するのを防ぎ、作業開始時に走行車体の車高調整の必要がない移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0008】
第1の本発明は、昇降用油圧シリンダー(110)の伸縮で植付装置(42)を設ける走行車体(40)を昇降して車高を変更調整する移植機において、
走行車体(40)の車高を複数段に固定する車高維持機構(48)を設け、該車高維持機構(48)を移植作業停止時に作動するようにし、
車高維持機構(48)を複数の段部(50a)の係合受具(50)と該段部(50a)に先端が係合する突っ張り杆(51)で構成し、作業停止時に突っ張り杆(51)を係合受具(50)の段部(50a)に係合して車高を維持することを特徴とする移植機である。
第2の本発明は、昇降用油圧シリンダー(110)の伸縮で植付装置(42)を設ける走行車体(40)を昇降して車高を変更調整する移植機において、
走行車体(40)の車高を複数段に固定する車高維持機構(48)を設け、該車高維持機構(48)を移植作業停止時に作動するようにし、
車高維持機構(48)を複数の引掛け部(60a)の引掛け具(60)と該引掛け部(60a)へ掛ける先端鉤部(61a)を形成した引掛け具(61)で構成し,移植作業停止時に引掛け具(61)の先端鉤部(61a)を引掛け具(60)の引掛け部(60a)に引掛けて走行車体(40)の車高を維持することを特徴とする移植機である。
第3の本発明は、昇降用油圧シリンダー(110)の伸縮で植付装置(42)を設ける走行車体(40)を昇降して車高を変更調整する移植機において、
走行車体(40)の車高を複数段に固定する車高維持機構(48)を設け、該車高維持機構(48)を移植作業停止時に作動するようにし、
車高維持機構(48)をロッド受け具(70)と該ロッド受け具(70)に挿入するガイドロッド(71)で構成し、移植作業停止時にロッド受け具(70)に挿入したガイドロッド(71)にロックピン(72)を挿入してガイドロッド(71)をロッド受け具(70)に固定して車高を維持することを特徴とする移植機である。
本発明に関連する第1の発明は、昇降用油圧シリンダー(110)の伸縮で植付装置(42)を設ける走行車体(40)を昇降して車高を変更調整する移植機において、走行車体(40)の車高を複数段に固定する車高維持機構(48)を設け、該車高維持機構(48)を移植作業停止時に作動するようにしたことを特徴とする移植機とする。
【0009】
本発明に関連する第2の発明は、車高維持機構(48)を複数の段部(50a)の係合受具(50)と該段部(50a)に先端が係合する突っ張り杆(51)で構成し、作業停止時に突っ張り杆(51)を係合受具(50)の段部(50a)に係合して車高を維持することを特徴とする本発明に関連する第の発明の移植機とする。
【0010】
本発明に関連する第3の発明は、車高維持機構(48)を複数の引掛け部(60a)の引掛け具(60)と該引掛け部(60a)へ掛ける先端鉤部(60a)を形成した引掛け具(61)で構成し,移植作業停止時に引掛け具(61)の先端鉤部(60a)を引掛け具(60)の引掛け部(60a)に引掛けて走行車体(40)の車高を維持することを特徴とする本発明に関連する第の発明の移植機とする。
【0011】
本発明に関連する第4の発明は、車高維持機構(48)をロッド受け具(70)と該ロッド受け具(70)に挿入するガイドロッド(71)で構成し、移植作業停止時にロッド受け具(70)に挿入したガイドロッド(71)にロックピン(72)を挿入してガイドロッド(71)をロッド受け具(70)に固定して車高を維持することを特徴とする本発明に関連する第の発明の移植機とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の本発明で、走行車体(40)の走行を停止する際に車高維持機構(48)で走行車体(40)の高さを固定して昇降用油圧シリンダー(110)の縮みを防ぐので、走行車体(40)が降下することなく、長時間放置しても植付装置(42)が降下して植付具が地面に接地して破損したりすることがなく、走行停止時の車高を維持しているので、作業開始時に車高を調整することなく直ちに停止前の植付深さを維持した移植作業を開始できる。なお、突っ張り杆(51)を係合受具(50)の段部(50a)に係合すると突っ張り杆(51)が突っ張って昇降用油圧シリンダー(110)が縮もうとしても走行車体(40)が降下することを防いで、植付装置(42)の地上高が変化することを防ぎ、上述された効果を奏する。
第2の本発明で、走行車体(40)の走行を停止する際に車高維持機構(48)で走行車体(40)の高さを固定して昇降用油圧シリンダー(110)の縮みを防ぐので、走行車体(40)が降下することなく、長時間放置しても植付装置(42)が降下して植付具が地面に接地して破損したりすることがなく、走行停止時の車高を維持しているので、作業開始時に車高を調整することなく直ちに停止前の植付深さを維持した移植作業を開始できる。なお、引掛け具(61)の先端鉤部(60a)が引掛け具(60)の引掛け部(60a)に引っ掛かって、昇降用油圧シリンダー(110)の縮みを防いで走行車体(40)が降下することなく、植付装置(42)の地上高が変化することを防ぎ、上述された効果を奏する。
第3の本発明で、走行車体(40)の走行を停止する際に車高維持機構(48)で走行車体(40)の高さを固定して昇降用油圧シリンダー(110)の縮みを防ぐので、走行車体(40)が降下することなく、長時間放置しても植付装置(42)が降下して植付具が地面に接地して破損したりすることがなく、走行停止時の車高を維持しているので、作業開始時に車高を調整することなく直ちに停止前の植付深さを維持した移植作業を開始できる。なお、ロッド受け具(70)に挿入したガイドロッド(71)をロックピン(72)で固定すると、昇降用油圧シリンダー(110)の縮みを防いで走行車体(40)が降下することなく、植付装置(42)の地上高が変化することを防ぎ、上述された効果を奏する。
本発明に関連する第1の発明で、走行車体(40)の走行を停止する際に車高維持機構(48)で走行車体(40)の高さを固定して昇降用油圧シリンダー(110)の縮みを防ぐので、走行車体(40)が降下することなく、長時間放置しても植付装置(42)が降下して植付具が地面に接地して破損したりすることがなく、走行停止時の車高を維持しているので、作業開始時に車高を調整することなく直ちに停止前の植付深さを維持した移植作業を開始できる。
【0013】
本発明に関連する第2の発明で、突っ張り杆(51)を係合受具(50)の段部(50a)に係合すると突っ張り杆(51)が突っ張って昇降用油圧シリンダー(110)が縮もうとしても走行車体(40)が降下することを防いで、植付装置(42)の地上高が変化することを防ぎ、本発明に関連する第の発明の効果を奏する。
【0014】
本発明に関連する第3の発明で、引掛け具(61)の先端鉤部(60a)が引掛け具(60)の引掛け部(60a)に引っ掛かって、昇降用油圧シリンダー(110)の縮みを防いで走行車体(40)が降下することなく、植付装置(42)の地上高が変化することを防ぎ、本発明に関連する第の発明の効果を奏する。
【0015】
本発明に関連する第4の発明で、ロッド受け具(70)に挿入したガイドロッド(71)をロックピン(72)で固定すると、昇降用油圧シリンダー(110)の縮みを防いで走行車体(40)が降下することなく、植付装置(42)の地上高が変化することを防ぎ、本発明に関連する第の発明の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明における実施の形態の野菜移植機の左側面図である。
図2】本発明における実施の形態の野菜移植機の平面図である。
図3】本発明における実施の形態の野菜移植機の車高調節機構を模式的に示す平面模式図である。
図4】車高維持機構の本発明における実施の形態の第一実施例を示す概略側面図である。
図5】車高維持機構の本発明における実施の形態の第一実施例を示す概略平面図である。
図6】本発明における実施の形態の第一実施例の要部側面図である。
図7】車高維持機構の本発明における実施の形態の第二実施例を示す概略側面図である。
図8】車高維持機構の本発明における実施の形態の第二実施例を示す概略平面図である。
図9】本発明における実施の形態の第二実施例の要部側面図である。
図10】車高維持機構の本発明における実施の形態の第三実施例を示す要部側面図である。
図11】本発明における実施の形態の苗収容体の下部に設ける中継ガイドの側面図である。
図12】本発明における実施の形態の鎮圧輪の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の移植機の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
まず、図1図2を用いて、本発明の実施形態の移植機として野菜苗を移植する苗移植機の全体構成を中心に説明する。
【0019】
図1は、移植機の一例として例えば玉葱苗等を移植する苗移植機1を示す側面図であり、図2は、苗移植機1の平面図である。
【0020】
尚、以下の説明では、操縦ハンドル47を配置した側を後とし、その反対側、すなわちエンジン41を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
【0021】
本実施の形態1の苗移植機1は、機体を前進走行可能とする走行車体40と、該走行車体40の後部に歩行操縦用の操縦ハンドル47を設け、該操縦ハンドル47の前側に圃場に苗を植付ける植付装置42と、植付装置42に苗を供給する苗供給装置43を設けている。
【0022】
又、走行車体40の前側に、作業者が乗車して苗供給装置43に苗を補給することが出来る様に、作業者が座る作業者用座席46が設けられている。
【0023】
なお、植付装置42は、第1植付具20aと第2植付具20bを備え、植付伝動ケース26内からの動力により、上下動機構21を介して、第1植付具20aと第2植付具20bが上下動を繰り返す構成となっている。
【0024】
また、苗供給装置43は、作業者により補給される苗を上方から受け入れて内側にその苗を収容する複数のカップ状の苗収容体22を備え、平面視で左右に略楕円状に配置されて、これらの複数の苗収容体22が周回移動可能に構成されている。
【0025】
これにより、各植付具20a、20bの上方位置で、苗収容体22の底部が開放されて内部の苗が当該植付具20a、20bの中に落下して、落下してきた苗を各植付具20a、20bが圃場に順次植え付ける構成である。
【0026】
また、操縦ハンドル47は、ミッションケース39に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けられている。
【0027】
また、各植付具20a、20bの後方左右両側近傍位置には左右一対の覆土鎮圧輪37が設けられている。
【0028】
走行車体40は、エンジン41と、エンジン41の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の駆動車輪である後輪44と、後輪44の前方に転動自在に支持された左右一対の前輪45とを備えている。
【0029】
エンジン41の後側には、ミッションケース39が配置されている。ミッションケース39は、その左側部からエンジン41の左側方に延びるケース部分を有しており、このケース部分がエンジン41の左側部と連結している。このケース部分にエンジン41の出力軸が入り込んでミッションケース39内の伝動機構に動力が伝達される構成となっている。
【0030】
ミッションケース39の左右両側部には、前後に長い走行用伝動ケース38の前部が回動自在に取り付けられている。具体的には、走行用伝動ケース38の前部の機体内側部に、走行用伝動ケース38と一体回動可能に回動する略円筒形状の走行エクステンションケース11を設け、この走行エクステンションケース11をミッションケース39の左右両側部に回動自在に取付けて、走行用伝動ケース38をミッションケース39の左右両側部に対応して回動自在に取付けている。そして、この走行用伝動ケース38の後部側方に突出させた後輪車軸(後端車軸ともいう)12に後輪44を装着している。
【0031】
走行用伝動ケース38の前部の回動軸芯位置には、ミッションケース39から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸10の先端が入り込んで、ミッションケース39内の走行部系変速伝動部を経た走行用の動力が走行用伝動ケース38内の伝動機構に伝達している。そして、走行用の動力は走行用伝動ケース38内の伝動機構を介して、走行用伝動ケース38の後端車軸12に伝動し、後輪44が駆動回転する構成としている。
【0032】
尚、ミッションケース39内に設けた左右それぞれのサイドクラッチ(図示せず)により、左右の各後輪44の駆動を断つことが出来る構成になっている。従って、機体を旋回させるときには、サイドクラッチにより旋回内側となる左右一方の後輪44を非駆動状態にしてスムーズに旋回出来る構成としている。
【0033】
又、本実施の形態の苗移植機1には、走行用伝動ケース38の前部側を回動支点として後輪44を上下させる車高調節機構100が設けられている(図3参照)。
【0034】
具体的には、本実施の形態の車高調節機構100は次の様に構成されている。即ち、走行用伝動ケース38のミッションケース39への連結部である走行エクステンションケース11の外周部には、上方に延びる昇降用アーム13が一体的に取り付けられている。また、左右一対の昇降用アーム13は、連結ロッド等を介して、連結体120の左右両側部と連結されている。また、連結体120の左右幅方向の中央部には、昇降用油圧シリンダー110の昇降シリンダーロッド111の先端部が取り付けられており、昇降用油圧シリンダー110の昇降シリンダー基部(シリンダー基部ともいう)112の前端部112a側は、ミッションケース39に固定されている。
【0035】
本実施の形態では、図3に示す様に、右側の昇降用アーム13は、連結ロッド130を介して連結体120の右側端部120Rに連結されており、また、左側の昇降用アーム13は、機体の傾斜に対応して伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダー140を介して連結体120の左側端部120Lに連結されている。
【0036】
なお、連結体120の左側端部120Lには、左右水平制御用油圧シリンダー140の左右水平制御シリンダーロッド141の先端部が取り付けられており、左右水平制御用油圧シリンダー140の左右水平制御シリンダー基部142の前端部側は、左側の昇降用アーム13に連結されている。
【0037】
昇降操作レバー16(図1参照)を操作することにより、昇降用油圧シリンダー110が作動してその昇降シリンダーロッド111が機体後方に突出すると、左右の昇降用アーム13は後方に回動し、これに伴い左右の走行用伝動ケース38が、車輪駆動軸10を回動軸芯として下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダー110の昇降シリンダーロッド111が機体前方に移動してシリンダー基部112内に引っ込むと、左右の昇降用アーム13は前方に回動し、これに伴い左右の走行用伝動ケース38が、車輪駆動軸10を回動軸芯として上方に回動して、機体が下降する。
【0038】
これにより、作業者は、走行車体40の車高を所望の高さに調節することが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態では、作業者が、昇降操作レバー16(図1参照)を操作して、車高を若干上昇させた位置に調節した状態において、油圧ロックレバー17(図1参照)を操作して「固定」側に位置決めすることにより、上記の若干上昇させた位置に調節された車高が時間経過により低くなる方向に変化することを防止する車高維持機構48が設けられている。車高維持機構48については、更に図面を用いて後述する。
【0040】
また、この昇降用油圧シリンダー110は、作業者による昇降操作レバー16の操作に基づいて動作するほか、畝面に接地して機体と畝面との上下間隔の変動に伴って動作するセンサー板14(図1参照)によっても作動する。センサー板14の動作は機体の位置を基準とした畝上面高さを検出する動作となり、そのセンサー板14の検出動作に基づいて走行車体40を畝上面高さに対応して設定高さになる構成で昇降用油圧シリンダー110が作動する構成としている。
【0041】
又、左右水平制御用油圧シリンダー140が伸縮作動すると、その左右水平制御用油圧シリンダー140と連結する左側の昇降用アーム13が回動して、左側の後輪44のみを上下動させ、機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダー140は、左右水平を基準として機体の左右傾斜を検出するセンサーの検出結果に基づいて作動して、傾斜地において、機体を左右水平にする構成としている。
【0042】
次に、図4図6を用いて、車高維持装置48の第一実施例を説明する。
【0043】
図4は、概略側面図、図5は概略平面図、図6は要部の側面図である。
【0044】
この車高維持機構48の第一実施例において、昇降用油圧シリンダー110のケース上部に複数の段部50aを有する係合受具50を設け、昇降シリンダーロッド111の先端側部材である連結体120に取付台52を設け、この取付台52の回動軸52aに突っ張り杆51を枢着し、戻りばね53で突っ張り杆51を上方へ回動付勢している。突っ張り杆51の突出側には前記油圧ロックレバー17に連結したロックケーブル54を繋ぎ、油圧ロックレバー17をロック位置にするとロックケーブル54で突っ張り杆51を引き下げて係合受具50の段部50aに係止されるようにしている。係合受具50の複数の段部50aは前側に向かうほど段を高くまた起立面を少し突っ張り杆51側へ倒して、係合すると突っ張り杆51の先端が外れ難くしている。
【0045】
係合受具50と突っ張り杆51で構成した車高維持機構48で、昇降用油圧シリンダー110のケースと連結体120との間隔を維持して昇降用油圧シリンダー110の縮むのを防ぐようになり、走行車体40が降下することがない。
【0046】
次に、図7図9を用いて、車高維持装置48の第二実施例を説明する。
【0047】
図7は、概略側面図、図8は概略平面図、図9は要部の側面図である。
【0048】
この車高維持機構48の第二実施例において、機体フレーム19側に複数の引掛け部60aを有する引掛け具60を設け、昇降シリンダーロッド111の先端側部材である連結体120に取付台52を設け、その回動軸52aに引掛け具61を枢着し、戻りばね53で引掛け具61を上方へ回動付勢している。引掛け具61の引掛け具60側には油圧ロックレバー17に連結したロックケーブル54を繋ぎ、油圧ロックレバー17をロック位置にすると引掛け具61を引き下げて先端鉤部61aを引掛け具60の引掛け部60aに引き掛けるようにしている。引掛け具61の張力で連結体120と機体フレーム19との間隔を維持して昇降用油圧シリンダー110が縮むのを防ぐようになり、走行車体40が降下することがない。
【0049】
図10に示す車高維持機構48の第三実施例においては、昇降用油圧シリンダー110を取り付けるミッションケース39側の取付台52に複数のピン穴71aを有するガイドロッド71を枢着し、昇降シリンダーロッド111の先端側部材である連結体120にロッド受け具70を枢着して設け、このロッド受け具70にガイドロッド71を挿通して、ロッド受け具70に設けるロックピン72をピン穴71aに差し込んでロックするようにしている。
【0050】
ガイドロッド71とロッド受け具70で構成した車高維持機構48で、ガイドロッド71とロッド受け具70をロックピン72で連結固定することで昇降用油圧シリンダー110を取り付けたミッションケース39と連結体120との間隔を維持して昇降用油圧シリンダー110の縮むのを防ぐようになり、走行車体40が降下することがない。
【0051】
図11は、ラッキョ苗のような球根苗の苗供給装置43を示し、苗収容体22の下側に第1植付具20aと第2植付具20bに苗の落下をガイドする中継ガイド27をホッパガイド30の穴に差し込む実施例で、中継ガイド27を上から下に向かって小径となる筒状に形成している。この中継ガイド27はゴムプレートを筒状に巻いてリベット28で連結し、下側にスリット29を入れて開き易くホッパガイド30に差し込み易くしている。周壁を固くする場合は中継ガイド27を二重に巻いて形成すればよい。
【0052】
図12は、植付装置42の左右に4個の植付具を設けて千鳥植えを行う移植機における覆土鎮圧輪37の支持構成を示している。
【0053】
植付装置42の下部で走行車体40の左右に横架する横軸32に内側で2個の長い内支持アーム33b,33bと左右外側で各1個の短い外支持アーム33a,33a枢着して、それぞれ後部の内ローラ取付ステー24b,24bと外ローラ取付ステー24a,24aに対になったローラ37b,37b,37a,37aを枢支して、各ローラ取付ステー24b,24b,24a,24aに同一のウエイト35を搭載している。内支持アーム33b,33bと外支持アーム33a,33aは、パイプを曲げて形成する。
【0054】
なお、外支持アーム33a,33aはワイヤー36で各ローラ37a,37b側を持ち上げるが、外支持アーム33a,33aに設ける連動片で内支持アーム33b,33bも持ち上げられるようにする。
【符号の説明】
【0055】
40 走行車体
42 植付装置
48 車高維持機構
50 係合受具
50a 段部
51 突っ張り杆
60 引掛け具
60a 引掛け部
61 引掛け具
61a 先端鉤部
70 ロッド受け具
71 ガイドロッド
72 ロックピン
110 昇降用油圧シリンダー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12