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特許7115535音声信号処理装置、音声調整方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】音声信号処理装置、音声調整方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20220802BHJP
   H04S 7/00 20060101ALI20220802BHJP
   H04S 1/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04S7/00 300
H04S1/00 200
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020501892
(86)(22)【出願日】2018-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2018006155
(87)【国際公開番号】W WO2019163013
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 克海
(72)【発明者】
【氏名】阿部 一任
(72)【発明者】
【氏名】水野 美孝
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/087490(WO,A1)
【文献】特開2013-201564(JP,A)
【文献】特開2010-192995(JP,A)
【文献】国際公開第2014/199536(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/008396(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H04S 7/00
H04S 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの音声出力装置の位置を結ぶ直線に平行な直線をX軸、前記X軸に直交し、前記2つの音声出力装置が音声出力信号を出力する出力方向に平行な直線をY軸、前記X軸及びY軸に直交する直線をZ軸とし、各軸を所定幅で区切った場合の各頂点の位置を、音声を定位させる位置として規定した場合において、前記各頂点に音声を定位させるために算出されたパラメータの中から、1のパラメータを決定する指示を受け付ける受付部と、
受け付けた指示に基づいて決定された1のパラメータを用いて、前記音声出力装置から出力される音声を処理する処理部と
を有することを特徴とする音声信号処理装置。
【請求項2】
前記各頂点に音声を定位させるために算出されたパラメータを、所定時間間隔ごとに切り替える調整部を更に有し、
前記調整部によって切り替えられたパラメータを用いて、前記処理部が、前記音声出力装置から出力される音声を処理した際に、前記受付部は、前記1のパラメータを決定する指示を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の音声信号処理装置。
【請求項3】
前記受付部は、
前記音声出力装置の位置に対する相対的な位置を、
前記音声出力装置に対して奥行き方向に移動する指示、
前記音声出力装置に対して上下方向に移動する指示、
前記音声出力装置に対して左右方向に移動する指示、
のいずれかを受け付けることで、Y軸、Z軸、X軸のいずれかに沿って移動した場合の移動後の頂点に音声を定位させるパラメータを選択し、
前記選択したパラメータを用いて、前記処理部が、前記音声出力装置から出力される音声を処理した際に、前記1のパラメータを決定する指示を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の音声信号処理装置。
【請求項4】
前記受付部は、
前記音声出力装置の位置に対する相対的な2つの位置の間の幅を変更する指示を受け付けることで、X軸に沿って移動した場合の移動後の頂点に音声を定位させるパラメータを選択することを特徴とする請求項3に記載の音声信号処理装置。
【請求項5】
前記受付部は、
前記1のパラメータを決定する指示を受け付けるための表示画面を表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の音声信号処理装置。
【請求項6】
2つの音声出力装置の位置を結ぶ直線に平行な直線をX軸、前記X軸に直交し、前記2つの音声出力装置が音声出力信号を出力する出力方向に平行な直線をY軸、前記X軸及びY軸に直交する直線をZ軸とし、各軸を所定幅で区切った場合の各頂点の位置を、音声を定位させる位置として規定した場合において、前記各頂点に音声を定位させるために算出されたパラメータの中から、1のパラメータを決定する指示を受け付ける受付工程と、
受け付けた指示に基づいて決定された1のパラメータを用いて、前記音声出力装置から出力される音声を処理する処理工程と
を有することを特徴とする音声調整方法。
【請求項7】
コンピュータに、
2つの音声出力装置の位置を結ぶ直線に平行な直線をX軸、前記X軸に直交し、前記2つの音声出力装置が音声出力信号を出力する出力方向に平行な直線をY軸、前記X軸及びY軸に直交する直線をZ軸とし、各軸を所定幅で区切った場合の各頂点の位置を、音声を定位させる位置として規定した場合において、前記各頂点に音声を定位させるために算出されたパラメータの中から、1のパラメータを決定する指示を受け付ける受付工程と、
受け付けた指示に基づいて決定された1のパラメータを用いて、前記音声出力装置から出力される音声を処理する処理工程と
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号処理装置、音声調整方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカ等の音声出力装置から出力される音声を、受聴者の特定の部位(例えば、耳元)で定位させることが可能な音声信号処理装置が知られている。当該音声信号処理装置では、音声出力装置と受聴者との間の音声の伝達特性に応じて算出されたパラメータに基づいて音声を処理し、音声出力装置に送信する。これにより、例えば、受聴者の前方に音声出力装置が設置されている場合であっても、受聴者は、あたかも耳元で音声が出力されているように感じることができるといった効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/087490号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、音声出力装置と受聴者との間の音声の伝達特性は、両者の相対的な位置関係によって変化する。一方で、当該音声信号処理装置により処理された音声を、体格の異なる受聴者が受聴したり、受聴者の姿勢が変化することで、両者の相対的な位置関係が変化すると、上記のような効果を得ることが困難となる。このため、これまでは、音声が定位する位置に合わせて、受聴者側が姿勢等を変える必要があった。
【0005】
一つの側面では、音声出力装置から出力される音声を定位させる位置を、受聴者が調整できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、音声信号処理装置は、
2つの音声出力装置の位置を結ぶ直線に平行な直線をX軸、前記X軸に直交し、前記2つの音声出力装置が音声出力信号を出力する出力方向に平行な直線をY軸、前記X軸及びY軸に直交する直線をZ軸とし、各軸を所定幅で区切った場合の各頂点の位置を、音声を定位させる位置として規定した場合において、前記各頂点に音声を定位させるために算出されたパラメータの中から、1のパラメータを決定する指示を受け付ける受付部と、
受け付けた指示に基づいて選択された1のパラメータを用いて、前記音声出力装置から出力される音声を処理する処理部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
音声出力装置から出力される音声を定位させる位置を、受聴者が調整できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る音声出力システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、音声出力システムの設置例を示す図である。
図3図3は、音声信号処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、音声信号処理装置の信号処理部の機能構成の一例を示す図である。
図5図5は、右定位位置及び左定位位置の一例を示す第1の図である。
図6図6は、右定位位置及び左定位位置の一例を示す第2の図である。
図7図7は、パラメータ情報の一例を示す図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る音声信号処理装置の操作受付部及び調整部の機能構成の一例を示す図である。
図9図9は、調整画面表示部により表示される表示画面の一例を示す第1の図である。
図10図10は、音声信号処理装置における調整処理の流れを示す第1のフローチャートである。
図11図11は、音声信号処理装置における調整処理の流れを示す第2のフローチャートである。
図12図12は、第2の実施形態に係る音声信号処理装置の操作受付部及び調整部の機能構成の一例を示す図である。
図13図13は、操作受付部により表示される表示画面の一例を示す第2の図である。
図14図14は、音声信号処理装置における調整処理の流れを示す第3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0010】
[第1の実施形態]
<音声出力システムのシステム構成>
はじめに、音声出力システムのシステム構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る音声出力システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、音声出力システム120は、音声信号処理装置100と、音声出力装置111、112とを有する。音声信号処理装置100と音声出力装置111、112とは、信号を送受信できるように接続される。
【0012】
音声信号処理装置100には、操作受付プログラム、調整プログラム、音声発生プログラム、信号処理プログラム等がインストールされている。音声信号処理装置100は、これらのプログラムが実行されることで、操作受付部101、調整部102、音声発生部103、信号処理部104として機能する。
【0013】
操作受付部101は、信号処理部104において用いられるパラメータに関する調整指示を受け付け、調整部102に通知する。また、操作受付部101は、音声の再生指示を受け付け、音声発生部103に通知する。
【0014】
調整部102は、操作受付部101より調整指示が通知された場合に、パラメータ格納部105に格納されているパラメータの中から、操作受付部101より通知された調整指示に応じたパラメータを読み出し、信号処理部104に通知する。
【0015】
音声発生部103は、操作受付部101より再生指示が通知された場合に、所定の音声信号を生成し、信号処理部104に入力する。
【0016】
信号処理部104は、音声発生部103により入力された音声信号について、調整部102より通知されたパラメータを用いて信号処理を行い、音声出力信号を音声出力装置111、112に送信する。
【0017】
音声出力装置111、112は、音声信号処理装置100より送信された音声出力信号を出力する。
【0018】
<音声出力システムの設置例>
次に、音声出力システム120の設置例について説明する。本実施形態において、音声出力システム120は、車両に搭載されるものとする。また、本実施形態において、音声出力システム120の音声信号処理装置100の各機能は、ナビゲーション装置において実現されるものとする。
【0019】
図2は、音声出力システムの設置例を示す図である。図2に示すように、音声信号処理装置100の各機能が実現されるナビゲーション装置は、例えば、車室内のセンタコンソール内に設置される。また、音声出力装置111、112である右側スピーカ、左側スピーカは、車室内の天井部分(フロントガラスに近い部分)に設置される。これにより、受聴者である車両の運転者は、信号処理された音声を受聴し、あたかも耳元で音声が出力されているように感じることができる。
【0020】
<音声信号処理装置のハードウェア構成>
次に、音声信号処理装置100のハードウェア構成について説明する。図3は、音声信号処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0021】
図3に示すように、音声信号処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303を有する。CPU301、ROM302、RAM303は、いわゆるコンピュータを形成する。
【0022】
また、音声信号処理装置100は、補助記憶装置304、操作装置305、表示装置306、接続装置307、通信装置308、ドライブ装置309を有する。なお、音声信号処理装置100の各ハードウェアは、バス310を介して相互に接続されている。
【0023】
CPU301は、補助記憶装置304にインストールされている各種プログラム(例えば、操作受付プログラム、焼成プログラム、音声発生プログラム、信号処理プログラム等)を実行する演算デバイスである。
【0024】
ROM302は、不揮発性メモリである。ROM302は、補助記憶装置304にインストールされている各種プログラムをCPU301が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する、主記憶デバイスとして機能する。具体的には、ROM302はBIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラム等を格納する。
【0025】
RAM303は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM303は、補助記憶装置304にインストールされている各種プログラムがCPU301によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0026】
補助記憶装置304は、各種プログラムや、各種プログラムの実行に用いられるパラメータ等を格納する補助記憶デバイスである。上述したパラメータ格納部105は、補助記憶装置304において実現される。
【0027】
操作装置305は、受聴者による各種指示の入力を受け付ける。操作装置305は、各種ボタンスイッチや、所定の操作デバイスであってもよいし、表示装置306と一体的に形成されるタッチパネルであってもよい。表示装置306は、例えば、操作受付部101において生成された表示画面を表示する。
【0028】
接続装置307は、音声出力装置111、112と接続し、各種プログラムがCPU301によって実行されることで生成される音声出力信号を、音声出力装置111、112に送信する。なお、音声出力装置111、112との接続は、有線であってもよいし、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線であってもよい。通信装置308は、ネットワークと通信するための通信デバイスである。
【0029】
ドライブ装置309は記録媒体320をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体320には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体320には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0030】
なお、補助記憶装置304にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体320がドライブ装置309にセットされ、該記録媒体320に記録された各種プログラムがドライブ装置309により読み出されることでインストールされる。
【0031】
<音声信号処理装置の各部の詳細>
次に、音声信号処理装置100の各部(操作受付部101、調整部102、音声発生部103、信号処理部104、パラメータ格納部105)のうち、音声発生部103を除く各部の詳細について説明する。
【0032】
(1)信号処理部の詳細
はじめに、音声信号処理装置100の信号処理部104の詳細について説明する。図4は、音声信号処理装置の信号処理部の機能構成の一例を示す図である。
【0033】
図4に示すように、音声信号処理装置100の信号処理部104は、定位フィルタ401、402、クロストークキャンセル部410を有する。
【0034】
定位フィルタ401は、音声信号の音声が、受聴者420(本実施形態では、車両の運転者)の右方向から聞こえてくるように設計されたフィルタである。定位フィルタ401においてフィルタ処理された音声信号は、クロストークキャンセル部410に入力される。
【0035】
定位フィルタ402は、音声信号の音声が、受聴者420の左方向から聞こえてくるように設計されたフィルタである。定位フィルタ402においてフィルタ処理された音声信号は、クロストークキャンセル部410に入力される。
【0036】
クロストークキャンセル部410は、定位フィルタ401、402により入力された、フィルタ処理後の音声信号に対して、調整部102により設定されたパラメータA~Dを乗算する。なお、パラメータA~Dは、下式に基づいて算出される。
【0037】
【数1】
上式において、"hFR"は、音声出力装置111から受聴者420の右耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値であり、"hFL"は、音声出力装置112から受聴者420の左耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値である。また、"hCR"は、音声出力装置111から受聴者420の左耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値であり、"hCL"は、音声出力装置112から受聴者420の右耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値である。つまり、パラメータA~Dは、音声出力装置111、112と、受聴者420の左右の耳元(左の定位位置、右の定位位置)との相対的な位置関係に依存する伝達特性によって変化する。
【0038】
乗算器411は、定位フィルタ401より入力された、フィルタ処理後の音声信号にパラメータAを乗算する。乗算器412は、定位フィルタ402より入力された、フィルタ処理後の音声信号にパラメータBを乗算する。
【0039】
乗算器413は、定位フィルタ401より入力された、フィルタ処理後の音声信号にパラメータCを乗算する。乗算器414は、定位フィルタ402より入力された、フィルタ処理後の音声信号にパラメータDを乗算する。
【0040】
加算器415は、乗算器411及び乗算器412においてそれぞれパラメータA、Bが乗算された音声信号を加算し、音声出力信号として音声出力装置111に送信する。加算器416は、乗算器413及び乗算器414においてそれぞれパラメータC、Dが乗算された音声信号を加算し、音声出力信号として音声出力装置112に送信する。
【0041】
これにより、音声信号処理装置100では、音声発生部103において生成した音声信号の音声を、受聴者420の右耳の耳元及び左耳の耳元に定位させることができる。
【0042】
なお、図4に示すように、本実施形態では、受聴者420が音声出力装置111、112の方向を向いて運転席に着座している状態において、受聴者420の前方から後方に向かう方向(つまり、車両の前方から後方に向かう方向)をy軸方向としている。また、受聴者420の右耳から左耳に向かう方向(つまり、車両の幅方向であって、右側から左側に向かう方向)をx軸方向としている。
【0043】
(2)パラメータ格納部の詳細
次に、音声信号処理装置100のパラメータ格納部105に格納されるパラメータ情報の詳細について説明する。
【0044】
(i)定位位置の説明
はじめに、音声出力装置111、112に対する様々な相対的な位置として定義される、定位位置について説明する。上述したように、パラメータA~Dは、音声出力装置112と、受聴者420の左右の耳元(左の定位位置、右の定位位置)との相対的な位置関係に依存する。このため、パラメータ格納部105では、パラメータA~Dを、音声出力装置112と、受聴者420の耳元(定位位置)との相対的な位置関係に対応付けて格納する。
【0045】
図5は、右定位位置及び左定位位置の一例を示す第1の図である。図5に示すように、本実施形態では、音声出力装置111と音声出力装置112との間の距離をLとする。また、本実施形態では、音声出力装置111、112を結ぶ直線501の中点502を通り、音声出力装置111、112が音声出力信号を出力する出力方向に平行な直線(音声出力装置111、112に対して奥行き方向を示す直線)をY軸としている。
【0046】
また、本実施形態では、中点502から所定の距離にあるY軸上の点を原点とし、当該原点を通り、直線501に平行な直線(音声出力装置111、112に対して左右方向を示す直線)をX軸としている。更に、本実施形態では、原点を通り、X軸とY軸とに直交する直線(音声出力装置111、112に対して上下方向を示す直線)をZ軸としている。なお、音声出力システム120を車両に搭載した状態においては、図5のX軸及びY軸は、それぞれ図4のx軸及びy軸に対応してもよい。
【0047】
図5(a)は、X軸とY軸とにより形成される平面503上における、様々な右定位位置及び左定位位置の例を示したものである。なお、図5(a)に示す例は、いずれも右定位位置と左定位位置との間の幅Wが等しい場合を示している。
【0048】
例えば、右定位位置511R、左定位位置511Lに対して、右定位位置512R、左定位位置512Lは、幅Wを維持したまま、定位位置を奥行き方向に移動させた場合の移動後の位置を示している。
【0049】
また、右定位位置511R、左定位位置511Lに対して、右定位位置513R、左定位位置513Lは、幅Wを維持したまま、定位位置を奥行き方向かつ左方向に移動させた場合の移動後の位置を示している。
【0050】
更に、右定位位置511R、左定位位置511Lに対して、右定位位置514R、左定位位置514Lは、幅Wを維持したまま、定位位置を奥行き方向かつ右方向に移動させた場合の移動後の位置を示している。
【0051】
図5(b)は、X軸とZ軸とにより形成される平面504上における、様々な右定位位置と左定位位置の例を示したものである。なお、図5(b)に示す例は、いずれも右定位位置と左定位位置との間の幅Wが等しい場合を示している。
【0052】
例えば、右定位位置511R、左定位位置511Lに対して、右定位位置515R、左定位位置515Lは、幅Wを維持したまま、定位位置を上方向に移動させた場合の移動後の位置を示している。
【0053】
また、右定位位置511R、左定位位置511Lに対して、右定位位置516R、左定位位置516Lは、幅Wを維持したまま、定位位置を上方向かつ左方向に移動させた場合の移動後の位置を示している。
【0054】
更に、右定位位置511R、左定位位置511Lに対して、右定位位置517R、左定位位置517Lは、幅Wを維持したまま、定位位置を下方向かつ右方向に移動させた場合の移動後の位置を示している。
【0055】
図6は、右定位位置及び左定位位置の一例を示す第2の図である。このうち、図6(a)は、X軸とY軸とにより形成される平面503上における、様々な右定位位置及び左定位位置の例を示したものである。なお、図6(a)に示す例は、右定位位置と左定位位置との間の幅が互いに異なる場合を示している。
【0056】
例えば、右定位位置511R、左定位位置511Lに対して、右定位位置611R、左定位位置611Lは、定位位置を奥行き方向に移動させ、かつ、幅Wを幅Wに変更した場合の変更後の位置を示している。
【0057】
また、右定位位置511R、左定位位置511Lに対して、右定位位置612R、左定位位置612Lは、定位位置を奥行き方向に別々に移動させた場合の移動後の位置を示している。なお、右定位位置612Rは、左定位位置612Lよりも、長い距離を移動させた場合の移動後の位置を示している。このため、右定位位置612Rと左定位位置612Lとの間の幅Wは、右定位位置511Rと左定位位置511Lとの間の幅Wよりも長くなっている。
【0058】
更に、右定位位置511R、左定位位置511Lに対して、右定位位置613R、左定位位置613Lは、定位位置を奥行き方向に移動させ、更に、左定位位置のみを右方向に移動させた場合の移動後の位置を示している。なお、右定位位置613Rと左定位位置613Lとの間の幅Wは、右定位位置511Rと左定位位置511Lとの間の幅Wよりも短くなっている。
【0059】
図6(b)は、X軸とZ軸とにより形成される平面504上における、様々な右定位位置及び左定位位置の例を示したものである。なお、図6(b)に示す例は、右定位位置と左定位位置との間の幅が互いに異なる場合を示している。
【0060】
例えば、右定位位置511R、左定位位置511Lに対して、右定位位置615R、左定位位置615Lは、定位位置を上方向に移動させ、かつ、幅Wを幅Wに変更した場合の変更後の位置を示している。
【0061】
また、右定位位置511R、左定位位置511Lに対して、右定位位置616R、左定位位置616Lは、定位位置を上方向に別々に移動させた場合の移動後の位置を示している。なお、右定位位置616Rは、左定位位置616Lよりも、長い距離を移動させた場合の移動後の位置を示している。このため、右定位位置616Rと左定位位置616Lとの間の幅Wは、右定位位置511Rと左定位位置511Lとの間の幅Wよりも長くなっている。
【0062】
更に、右定位位置511R、左定位位置511Lに対して、右定位位置617R、左定位位置617Lは、定位位置を下方向に移動させ、更に、左定位位置のみを右方向に移動させた場合の移動後の位置を示している。なお、右定位位置617Rと左定位位置617Lとの間の幅Wは、右定位位置511Rと左定位位置511Lとの間の幅Wよりも短くなっている。
【0063】
(ii)パラメータ情報の説明
続いて、各定位位置に対応付けてパラメータA~Dが格納された、パラメータ情報について説明する。図7は、パラメータ情報の一例を示す図である。図7に示すように、パラメータ情報700には、情報の項目として、"番号"、"右定位位置座標"、"左定位位置座標"、"パラメータ"が含まれる。
【0064】
"番号"には、右定位位置と左定位位置との組み合わせを特定する番号が格納される。"右定位位置座標"には、図5図6を用いて図示した、右定位位置と左定位位置との組み合わせのうち、右定位位置の座標が格納される。"左定位位置座標"には、図5図6を用いて図示した、右定位位置と左定位位置との組み合わせのうち、左定位位置の座標が格納される。"パラメータ"には、右定位位置と左定位位置との組み合わせに対応する伝達特性に基づいて算出されたパラメータが格納される。
【0065】
例えば、"番号"="1"には、"右定位位置座標"="(XR1,YR1,ZR1)"と、"左定位位置座標"="(XL1,YL1,ZL1)"との組み合わせに対応付けて、"パラメータ"="(A,B,C,D)"が格納されている。
【0066】
このように、図7の例では、図5図6で示した、X軸、Y軸、Z軸の座標空間における、右定位位置と左定位位置とのあらゆる組み合わせに対応付けてパラメータを格納するものとしている。しかしながら、パラメータ情報700には、組み合わせの数を所定数に絞り、特定の組み合わせについてパラメータを格納するようにしてもよい。
【0067】
(3)操作受付部及び調整部の詳細
次に、音声信号処理装置100の操作受付部101及び調整部102の詳細について説明する。
【0068】
(i)操作受付部及び調整部の機能構成
はじめに、音声信号処理装置100の操作受付部101及び調整部102の機能構成について説明する。図8は、第1の実施形態に係る音声信号処理装置の操作受付部及び調整部の機能構成の一例を示す図である。
【0069】
図8に示すように、操作受付部101は、更に、調整画面表示部801、操作内容判定部802を有する。また、調整部102は、更に、パラメータ読み出し部811、パラメータ設定部812を有する。
【0070】
調整画面表示部801は、パラメータを決定する際に出力される音声(調整用音声)の再生指示や、パラメータを決定する決定指示等を受け付けるための表示画面を、表示装置306に表示する。
【0071】
操作内容判定部802は、調整画面表示部801により表示画面が表示されたことに応じて、受聴者420により入力された各種指示を受け付ける。
【0072】
また、操作内容判定部802は、受け付けた指示が、パラメータを決定する際に出力される音声(調整用音声)の再生指示であった場合には、音声発生部103に対して、再生指示を通知する。これにより、音声発生部103では、調整用音声を生成し、音声信号を信号処理部104に送信する。
【0073】
また、操作内容判定部802は、受け付けた指示が、予め定められた所定数のパラメータを自動的に切り替える指示であった場合には、各パラメータを特定するパターン番号を、所定時間間隔ごとに調整部102に通知する。更に、操作内容判定部802は、受け付けた指示が、信号処理部104に設定するパラメータを決定する決定指示であった場合には、当該決定指示を調整部102に通知する。
【0074】
パラメータ読み出し部811は、操作内容判定部802よりパターン番号を取得した場合に、当該パターン番号に対応するパラメータを、パラメータ格納部105のパラメータ情報700より読み出し、パラメータ設定部812に通知する。なお、本実施形態では、パラメータ情報700に格納された、右定位位置と左定位位置との組み合わせのうち、5つの組み合わせについて、パターン番号として、"パターン1"~"パターン5"が付与されているものとする(図8右上参照)。
【0075】
これにより、パラメータ読み出し部811では、"パターン1"~"パターン5"に対応するパラメータを、所定時間間隔ごとにパラメータ設定部812に通知することができる。
【0076】
更に、パラメータ読み出し部811は、操作内容判定部802より、決定指示を取得した場合に、現在、読み出し中のパラメータを特定し、当該パラメータを、信号処理部104に設定するパラメータとして決定する。
【0077】
パラメータ設定部812は、パラメータ読み出し部811より所定時間間隔ごとに通知される、"パターン1"~"パターン5"のパラメータを、所定時間間隔ごとに信号処理部104に設定する。
【0078】
また、パラメータ設定部812は、パラメータ読み出し部811において、信号処理部104に設定するパラメータが決定された場合、当該決定されたパラメータを、信号処理部104に設定する。
【0079】
(ii)表示画面の具体例
次に、調整画面表示部801により表示される表示画面の具体例について説明する。図9は、調整画面表示部により表示される表示画面の一例を示す第1の図である。図9(a)に示すように、調整画面表示部801により表示される表示画面910には、"音を鳴らす"ボタン911、"決定"ボタン912が含まれる。
【0080】
"音を鳴らす"ボタン911が受聴者420により押下されることで、操作内容判定部802では、調整用音声の再生指示と、予め定められた所定数のパラメータの自動切り替え指示とを受け付ける。
【0081】
これにより、音声出力装置111、112からは、所定時間間隔ごとに自動的に切り替えられたパラメータにより信号処理された調整用音声が出力される。なお、所定時間間隔とは、例えば、0.5秒~10秒の間のいずれかの時間間隔である。
【0082】
図9(a)の例は、"パターン番号"="パターン1"のパラメータにより信号処理された調整用音声が出力中であることを示している。
【0083】
"決定"ボタン912は、例えば、受聴者420が現在の定位位置を最適と感じた場合に押下される。"決定"ボタン912が押下されることで、操作内容判定部802では決定指示を受け付ける。これにより、パラメータ読み出し部811では、現在、読み出し中のパラメータを、以降、信号処理部104に設定するパラメータとして決定する。
【0084】
なお、"決定"ボタン912が押下されなかった場合、操作内容判定部802では、調整用音声の再生指示を受け付ける前に信号処理部104に設定されていたパラメータのパラメータ番号を調整部102に通知する。これにより、信号処理部104に設定されるパラメータは、再生指示を受け付ける前の元のパラメータに戻る。
【0085】
図9(b)は、パラメータの切り替えを受聴者が手動で行う場合の表示画面を示している。図9(b)に示すように、表示画面920には、"音を鳴らす"ボタン921、"決定"ボタン923に加えて、"パターン番号"ボタン922、"キャンセル"ボタン924が含まれる。
【0086】
"音を鳴らす"ボタン921が受聴者420により押下されることで、操作内容判定部802では、調整用音声の再生指示を受け付ける。これにより、音声出力装置111、112からは、デフォルトのパラメータにより信号処理された調整用音声が出力される。
【0087】
その後、"パターン番号"ボタン922が押下されることで、操作内容判定部802では、当該選択されたパターン番号に対応するパラメータに切り替える指示を受け付ける。
【0088】
これにより、音声出力装置111、112からは、選択されたパターン番号に対応するパラメータにより信号処理された調整用音声が出力される。
【0089】
図9(b)の例は、"パターン番号"="パターン4"のパラメータにより信号処理された調整用音声が出力中であることを示している。
【0090】
"決定"ボタン923は、例えば、受聴者420が現在の定位位置を最適と感じた場合に押下される。"決定"ボタン923が押下されることで、操作内容判定部802では、決定指示を受け付ける。これにより、パラメータ読み出し部811では、現在、読み出し中のパラメータを、以降、信号処理部104に設定するパラメータとして決定する。
【0091】
"キャンセル"ボタン924は、例えば、受聴者420が最適な定位位置を決定しなかった場合に押下される。"キャンセル"ボタン924が押下されることで、操作内容判定部802では、調整用音声の再生指示を受け付ける前に、信号処理部104に設定されていたパラメータのパターン番号を、調整部102に通知する。これにより、信号処理部104に設定されるパラメータは、再生指示を受け付ける前の元のパラメータに戻る。
【0092】
(iii)調整処理の流れ
次に、音声信号処理装置100における調整処理の流れについて説明する。図10は、音声信号処理装置における調整処理の流れを示す第1のフローチャートであり、調整画面表示部801が、図9(a)に示す表示画面910を表示する場合のフローチャートを示している。
【0093】
操作受付プログラムが起動され、調整画面表示部801が、表示画面910を表示装置306に表示することで、図10に示す調整処理が開始される。
【0094】
ステップS1001において、操作内容判定部802は、再生指示及びパラメータの自動切り替え指示を受け付けたか否かを判定する。"音を鳴らす"ボタン911が押下されておらず、再生指示及びパラメータの自動切り替え指示を受け付けていないと判定した場合には(ステップS1001においてNoの場合には)、受け付けたと判定するまで待機する。
【0095】
一方、ステップS1001において、"音を鳴らす"ボタン911が押下されて、再生指示及びパラメータの自動切り替え指示を受け付けたと判定した場合には(ステップS1001においてYesの場合には)、ステップS1002に進む。
【0096】
ステップS1002において、操作内容判定部802は、1のパターン番号(例えば、"パターン1")を選択し、調整部102に通知する。ステップS1003において、操作内容判定部802は、音声発生部103に対して、調整用音声の再生指示を通知する。
【0097】
ステップS1004において、パラメータ読み出し部811は、操作内容判定部802より通知されたパターン番号に対応するパラメータを、パラメータ格納部105より読み出す。また、パラメータ設定部812は、当該読み出されたパラメータを、信号処理部104に設定する。
【0098】
ステップS1005において、操作内容判定部802は、決定指示を受け付けたか否かを判定する。"決定"ボタン912が押下され、決定指示を受け付けたと判定した場合には(ステップS1005においてYesの場合には)、ステップS1010に進む。これにより、以降、信号処理部104では、"決定"ボタン912が押下された際に、信号処理部104に設定されていたパラメータを信号処理に用いることになる。
【0099】
一方、ステップS1005において、"決定"ボタン912が押下されておらず、決定指示を受け付けていないと判定した場合には(ステップS1005においてNoの場合には)、ステップS1006に進む。
【0100】
ステップS1006において、操作内容判定部802は、予め定められた全てのパターン番号を選択したか否かを判定する。ステップS1006において、選択していないパターン番号があると判定した場合には(ステップS1006においてNoの場合には)、ステップS1007に進む。
【0101】
ステップS1007において、操作内容判定部802は、所定時間経過後に、次のパターン番号を選択し、調整部102に通知した後、ステップS1004に戻る。
【0102】
一方、ステップS1006において、予め定められた全てのパターン番号を選択したと判定した場合には(ステップS1006においてYesの場合には)、ステップS1008に進む。なお、ステップS1006において、全てのパターン番号を選択した場合であっても、各パターン番号を繰り返し選択し続けるものとしてもよい。
【0103】
ステップS1008において、操作内容判定部802は、再生指示を受け付ける前に、信号処理部104に設定されていたパラメータのパターン番号を選択し、調整部102に通知する。
【0104】
ステップS1009において、パラメータ読み出し部811は、操作内容判定部802より通知されたパターン番号に対応するパラメータを、パラメータ格納部105より読み出す。また、パラメータ設定部812は、当該読み出されたパラメータを、信号処理部104に設定する。
【0105】
ステップS1010において、操作内容判定部802は、音声発生部103に調整用音声の再生を停止させる停止指示を通知する。
【0106】
続いて、音声信号処理装置100における他の調整処理の流れについて説明する。図11は、音声信号処理装置における調整処理の流れを示す第2のフローチャートであり、調整画面表示部801が、図9(b)に示す表示画面920を表示する場合のフローチャートを示している。
【0107】
操作受付プログラムが起動され、調整画面表示部801が、表示画面920を表示装置306に表示することで、図11に示す調整処理が開始される。
【0108】
ステップS1101において、操作内容判定部802は、再生指示及びパラメータの自動切り替え指示を受け付けたか否かを判定する。"音を鳴らす"ボタン921が押下されておらず、再生指示及びパラメータの自動切り替え指示を受け付けていないと判定した場合には(ステップS1101においてNoの場合には)、受け付けたと判定するまで待機する。
【0109】
一方、ステップS1101において、"音を鳴らす"ボタン921が押下されて、再生指示及びパラメータの自動切り替え指示を受け付けたと判定した場合には(ステップS1101においてYesの場合には)、ステップS1102に進む。
【0110】
ステップS1102において、操作内容判定部802は、音声発生部103に対して、調整用音声の再生指示を通知する。また、操作内容判定部802は、デフォルトのパターン番号を、調整部102に通知する。
【0111】
ステップS1103において、操作内容判定部802は、いずれかのパターン番号が選択されたか否かを判定する。
【0112】
ステップS1103において、いずれかのパターン番号が選択されたと判定した場合には(ステップS1103においてYesの場合には)、ステップS1104に進む。ステップS1104において、操作内容判定部802は、選択されたパターン番号を調整部102に通知する。また、パラメータ読み出し部811は、操作内容判定部802より通知されたパターン番号に対応するパラメータを、パラメータ格納部105より読み出す。更に、パラメータ設定部812は、当該読み出されたパラメータを、信号処理部104に設定する。
【0113】
ステップS1105において、操作内容判定部802は、決定指示を受け付けたか否かを判定する。"決定"ボタン923が押下され、決定指示を受け付けたと判定した場合には(ステップS1105においてYesの場合には)、ステップS1109に進む。これにより、以降、信号処理部104では、"決定"ボタン912が押下された際に、信号処理部104に設定されていたパラメータを信号処理に用いることになる。
【0114】
一方、ステップS1105において、"決定"ボタン923が押下されておらず、決定指示を受け付けていないと判定した場合には(ステップS1105においてNoの場合には)、ステップS1106に進む。
【0115】
一方、ステップS1103において、受聴者420により、いずれの"パターン番号"ボタン922も押下されていないと判定した場合には(ステップS1103においてNoの場合には)、ステップS1106に進む。
【0116】
ステップS1106において、操作内容判定部802は、"キャンセル"ボタン924が押下されたか否かを判定する。ステップS1106において、"キャンセル"ボタン924が押下されていないと判定した場合には(ステップS1106においてNoの場合には)、ステップS1103に戻る。一方、ステップS1106において、"キャンセル"ボタン924が押下されたと判定した場合には(ステップS1106においてYesの場合には)、ステップS1107に進む。
【0117】
ステップS1107において、操作内容判定部802は、再生指示を受け付ける前に、信号処理部104に設定されていたパラメータのパターン番号を選択し、調整部102に通知する。
【0118】
ステップS1108において、パラメータ読み出し部811は、操作内容判定部802より通知されたパターン番号に対応するパラメータを、パラメータ格納部105より読み出す。また、パラメータ設定部812は、当該読み出されたパラメータを、信号処理部104に設定する。
【0119】
ステップS1109において、操作内容判定部802は、音声発生部103に調整用音声の再生を停止させる停止指示を通知する。
【0120】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る音声信号処理装置100は、
・音声出力装置の位置に対する相対的な位置であって、音声を定位させる右定位位置及び左定位位置の組み合わせに応じて算出されたパラメータをパラメータ格納部に格納する。
・右定位位置及び左定位位置の組み合わせに応じたパラメータを自動または手動で切り替えながら、調整用音声を処理し、処理後の音声出力信号を出力する。
・右定位位置及び左定位位置の組み合わせに応じたパラメータの中から、1のパラメータを決定する決定指示を受け付ける。
・受け付けた決定指示に基づいて決定された1のパラメータを用いて、音声出力装置から出力される音声について信号処理を行う。
【0121】
このように、第1の実施形態に係る音声信号処理装置100によれば、音声出力装置から出力される音声を定位させる位置を、受聴者が調整できるようになる。
【0122】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、予め定められた所定数のパラメータの中から、信号処理部に設定する1のパラメータを受聴者が決定するものとして説明した。つまり、上記第1の実施形態において、受聴者は、右定位位置と左定位位置との限られた組み合わせの中から、1のパラメータを決定していた。これに対して、第2の実施形態では、定位位置の移動を受聴者が操作できるようにすることで組み合わせの数を増やし、多数の組み合わせの中から、1のパラメータを決定できるようにする。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0123】
<操作受付部及び調整部の詳細>
(1)操作受付部及び調整部の機能構成
はじめに、第2の実施形態に係る音声信号処理装置100の操作受付部101及び調整部102の機能構成について説明する。図12は、第2の実施形態に係る音声信号処理装置の操作受付部及び調整部の機能構成の一例を示す図である。図8との相違点は、操作内容判定部1201とパラメータ読み出し部1211である。
【0124】
操作内容判定部1201は、調整画面表示部801により表示画面が表示されたことに応じて、受聴者420により入力された各種指示を受け付ける。
【0125】
また、操作内容判定部1201は、受け付けた指示が、パラメータを決定する際に出力される音声(調整用音声)の再生指示であった場合には、音声発生部103に対して、再生指示を通知する。
【0126】
また、操作内容判定部1201は、受け付けた指示が、右定位位置または左定位位置を移動する移動指示または右定位位置と左定位位置との間の幅を変更する幅変更指示であった場合には、移動後または幅変更後の右定位位置座標及び左定位位置座標を判定する。また、操作内容判定部1201は、判定した右定位位置座標及び左定位位置座標を、調整部102に通知する。更に、操作内容判定部1201は、受け付けた指示が、信号処理部104に設定するパラメータを決定する決定指示であった場合には、当該決定指示を調整部102に通知する。
【0127】
パラメータ読み出し部1211は、操作内容判定部1201より、右定位位置座標及び左定位位置座標を取得した場合には、当該右定位位置座標と左定位位置座標の組み合わせに対応するパラメータを、パラメータ格納部105のパラメータ情報700より読み出す。また、パラメータ読み出し部1211は、読み出したパラメータを、パラメータ設定部812に通知する。
【0128】
(2)表示画面の具体例
次に、調整画面表示部801により表示される表示画面の具体例について説明する。図13は、調整画面表示部により表示される表示画面の一例を示す第2の図である。図13(a)に示すように、調整画面表示部801により表示される表示画面1310には、"音を鳴らす"ボタン1311、"移動指示"ボタン1312、"幅変更指示"ボタン1313、"決定"ボタン1314、"キャンセル"ボタン1315が含まれる。
【0129】
"音を鳴らす"ボタン1311が受聴者420により押下されることで、操作内容判定部1201では、調整用音声の再生指示を受け付ける。これにより、音声出力装置111、112からは、デフォルトのパラメータにより信号処理された調整用音声が出力される。
【0130】
その後、"移動指示"ボタン1312が押下されることで、操作内容判定部1201では、選択された番号を受け付け、受け付けた番号に対応する方向及び位置に、定位位置(右定位位置と左定位位置の両方)を移動させた場合の移動後の定位位置の座標を算出する。なお、図13(a)の例では、"移動指示"ボタン1312について、縦方向は"4"、横方向は"4"、前後方向は"4"のボタンが選択されている。このとき、選択されたボタンの色やハッチング、形状等を、他のボタンと異なるものとしてもよい。また、表示画面1310がタッチパネルに表示される場合、選択されたボタンとそれ以外のボタンとで、触れたときの振動のパターンを異なるものとしてもよい。また、他の実施形態においても、同様に、選択されたボタンの色等の表示態様を異なるものとしてもよい。
【0131】
これにより、音声出力装置111、112からは、移動後の定位位置に対応するパラメータにより信号処理された調整用音声が出力される。
【0132】
また、"幅変更指示"ボタン1313が押下されることで、操作内容判定部1201では、選択された番号を受け付け、受け付けた番号に対応する幅に、右定位位置及び左定位位置を移動させることで、定位位置の幅を変更し、変更後の定位位置の座標を算出する。なお、図13(a)の例では、"幅変更指示"ボタン1313について、"5"が選択されている。このとき、選択されたボタンの色やハッチング、形状等を、他のボタンと異なるものとしてもよい。また、表示画面1310がタッチパネルに表示される場合、選択されたボタンとそれ以外のボタンとで、触れたときの振動のパターンを異なるものとしてもよい。また、他の実施形態においても、同様に、選択されたボタンの色等の表示態様を異なるものとしてもよい。
【0133】
これにより、音声出力装置111、112から、変更後の定位位置に対応するパラメータにより信号処理された調整用音声が出力される。
【0134】
"決定"ボタン1314は、例えば、受聴者420が現在の定位位置を最適と感じた場合に押下される。"決定"ボタン1314が押下されることで、操作内容判定部1201では、決定指示を受け付ける。これにより、パラメータ読み出し部1211では、現在読み出し中のパラメータを、以降、信号処理部104に設定するパラメータとして決定する。
【0135】
"キャンセル"ボタン1315は、例えば、受聴者420が最適な定位位置を決定しなかった場合に押下される。"キャンセル"ボタン1315が押下されることで、操作内容判定部1201では、調整用音声の再生指示を受け付ける前に、信号処理部104に設定されていたパラメータのパターン番号を、調整部102に通知する。これにより、信号処理部104に設定されるパラメータは、再生指示を受け付ける前の元のパラメータに戻る。
【0136】
図13(b)の例は、右定位位置と左定位位置の移動を、別々に行うことが可能な表示画面を示している。図13(a)との相違点は、"対象選択"ボタン1321を有する点である。
【0137】
図13(a)の場合、"移動指示"ボタン1312が押下されることで、右定位位置及び左定位位置の両方が移動するのに対して、図13(b)の場合、"対象選択"ボタン1321で指定された方の定位位置が移動する。これにより、受聴者420は、右定位位置と左定位位置とを別々に移動させることができる。
【0138】
(3)調整処理の流れ
次に、第2の実施形態に係る音声信号処理装置100における調整処理の流れについて説明する。図14は、音声信号処理装置における調整処理の流れを示す第3のフローチャートである。図11に示すフローチャートとの相違点は、ステップS1401~1403である。
【0139】
ステップS1401において、操作内容判定部1201は、移動指示または幅変更指示を受け付けたか否かを判定する。ステップS1403において、移動指示または幅変更指示を受け付けたと判定した場合には(ステップS1401においてYesの場合には)、ステップS1402に進む。
【0140】
ステップS1402において、操作内容判定部1201は、移動指示または幅変更指示に応じた、移動後または幅変更後の新たな右定位位置座標及び左定位位置座標を算出する。
【0141】
ステップS1403において、操作内容判定部1201は、算出した右定位位置座標及び左定位位置座標を、調整部102に通知する。また、パラメータ読み出し部1211は、操作内容判定部1201より通知された右定位位置座標と左定位位置座標の組み合わせに対応するパラメータを、パラメータ格納部105より読み出す。更に、パラメータ設定部812は、当該読み出されたパラメータを、信号処理部104に設定する。
【0142】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態に係る音声信号処理装置100は、
・定位位置の移動または幅変更を受聴者が操作可能な表示画面を表示する。
・移動後または幅変更後の右定位位置及び左定位位置に応じたパラメータを用いて、調整用音声を処理し、処理後の音声出力信号を出力する。
【0143】
このように、第2の実施形態に係る音声信号処理装置100によれば、受聴者は、右定位位置及び左定位位置の多数の組み合わせの中から、1のパラメータを決定することが可能となる。
【0144】
[その他の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、音声出力装置111と音声出力装置112との間の距離がLである場合のパラメータ情報700を、パラメータ格納部105に格納するものとして説明した。しかしながら、音声出力装置111と音声出力装置112との間の距離が異なる複数パターンのパラメータ情報を、パラメータ格納部105に格納するようにしてもよい。これにより、受聴者420は、音声出力装置111と音声出力装置112との間の距離を変更する調整についても行うことが可能となる。
【0145】
また、上記第1及び第2の実施形態では、音声信号処理装置100の各機能をナビゲーション装置で実現するものとして説明したが、音声信号処理装置100の各機能を実現する装置は、ナビゲーション装置に限定されない。例えば、スマートフォン等の携帯端末や、ゲーム機、パーソナルコンピュータ、テレビ等のように、表示機能を有する任意の装置で実現してもよい。
【0146】
あるいは、音声信号処理装置100の各機能は、自装置には表示機能がないが、表示装置と接続可能な装置で実現してもよい。例えば、音声信号処理装置100の各機能は、DVDやBluray等を再生するプレーヤや、レコーダ、セットトップボックス、スマートスピーカ、ネットワークオーディオプレーヤ等で実現してもよい。なお、この場合、操作内容判定部は、表示装置に付随するリモコン等から操作を受け付けるように構成してもよい。
【0147】
更には、音声信号処理装置100の各機能は、表示機能を有しておらず、かつ、表示装置にも接続されないが、何らかの操作ボタンを有する装置で実現してもよい。例えば、オーディオコンポ等で実現してもよい。
【0148】
また、上記第1及び第2の実施形態では、音声出力装置111、112がスピーカ機能を有するものとして説明したが、音声出力装置111、112は、更に、マイク機能を有していてもよい。これにより、例えば、音声信号処理装置100がスマートフォンであった場合には、受聴者420は、スマートフォンの通話相手との通話を、音声出力装置111、112を介して行うことが可能となる。
【0149】
また、上記第1及び第2の実施形態では、再生指示に基づいて調整用音声を出力するものとして説明したが、再生指示に基づいて出力する音声は、任意の音声であってもよい。
【0150】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0151】
100 :音声信号処理装置
101 :操作受付部
102 :調整部
103 :音声発生部
104 :信号処理部
111、112 :音声出力装置
120 :音声出力システム
700 :パラメータ情報
801 :調整画面表示部
802 :操作内容判定部
811 :パラメータ読み出し部
812 :パラメータ設定部
910、920 :表示画面
1201 :操作内容判定部
1211 :パラメータ読み出し部
1310、1320 :表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14