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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】打込機
(51)【国際特許分類】
   B25C 1/06 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
B25C1/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020528727
(86)(22)【出願日】2019-05-31
(86)【国際出願番号】 JP2019021778
(87)【国際公開番号】W WO2020008767
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2018128343
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安富 俊徳
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-051715(JP,A)
【文献】特開2018-051724(JP,A)
【文献】特開2009-184050(JP,A)
【文献】特開2015-030052(JP,A)
【文献】特開2017-136656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C1/00-13/00
B27F7/00-7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置と第2位置との間で作動可能な打撃部と、
止具を打撃するように前記打撃部を前記第1位置から前記第2位置に向けて第1方向に作動させる第1付勢機構と、
前記打撃部を前記第2位置から前記第1位置に向けて第2方向に作動させる第2付勢機構と、
作業者が操作力を付加及び解除する操作部材と、
前記打撃部により打撃される止具を打ち込む相手材に接触及び離間可能な接触部材と、
前記第2付勢機構を制御する制御部と、を有し、
前記打撃部は、前記第1位置と前記第2位置との間の待機位置で停止可能であり、
前記制御部は、作業者が前記操作部材に操作力を付加し、かつ、前記接触部材が前記相手材に接触した状態の経過時間が所定時間以上であると、前記打撃部を前記第1位置に到達させるよう前記第2付勢機構を制御し、前記経過時間が前記所定時間未満であると、前記待機位置から前記第1位置に向けて前記第2方向に作動されている前記打撃部の前記第2方向への作動を停止させるよう前記第2付勢機構を制御する、打込機。
【請求項2】
前記制御部は、作業者が前記操作部材に操作力を付加する操作と、前記接触部材を前記相手材に接触させる操作とを行う順序に関わり無く、前記打撃部を前記第2方向に作動せるよう前記第2付勢機構を制御する、請求項記載の打込機。
【請求項3】
前記第2付勢機構は、
電力が供給されると回転する電動モータと、
前記電動モータの回転力を前記打撃部を前記第2方向に作動させる付勢力に変換する動力伝達部と、を有する、請求項1または2記載の打込機。
【請求項4】
前記電動モータに対して電気的に接続された電源部が更に設けられ、
前記制御部は、前記電源部から前記電動モータに電力を供給して前記電動モータを回転させることにより、前記第2付勢機構に、前記打撃部を前記第2方向に作動させ、
前記制御部は、前記電動モータに電力を供給して前記電動モータの回転を継続させることにより、前記第2付勢機構に、前記打撃部を前記第1位置に到達させ、
前記制御部は、前記電動モータに対する電力の供給を停止することにより、前記第2付勢機構に、前記打撃部の前記第2方向への作動を停止させる、請求項記載の打込機。
【請求項5】
前記制御部は、前記打撃部が前記第2付勢機構により前記第2方向に作動されている状態で前記打撃部と前記第1位置との距離が所定値未満であると、前記接触部材が前記相手材から離間しても、前記第2付勢機構に前記打撃部の前記第2方向への作動を継続させる、請求項1乃至の何れか1項記載の打込機。
【請求項6】
前記第1付勢機構は、前記打撃部を前記第1方向に作動させる弾性部材を有し、
前記弾性部材は、前記打撃部が前記第2方向に作動されると圧縮されて弾性エネルギを蓄積し、かつ、蓄積した前記弾性エネルギで前記打撃部を前記第1方向に作動させる、請求項1乃至の何れか1項記載の打込機。
【請求項7】
前記打撃部を作動可能に支持するハウジングと、
前記ハウジングに支持され、かつ、前記打撃部が前記第1方向に作動すると前記第2方向に作動し、かつ、前記打撃部が前記第2方向に作動すると前記第1方向に作動するウェイトと、
が設けられている、請求項1乃至の何れか1項記載の打込機。
【請求項8】
第1位置と第2位置との間で作動可能な打撃部と、
止具を打撃するように前記打撃部を前記第1位置から前記第2位置に向けて第1方向に作動させる第1付勢機構と、
前記打撃部を前記第2位置から前記第1位置に向けて第2方向に作動させる第2付勢機構と、
作業者が操作力を付加及び解除する操作部材と、
前記打撃部により打撃される止具を打ち込む相手材に接触及び離間可能な接触部材と、
前記第2付勢機構を制御する制御部と、を有し、
前記打撃部は、前記第1位置と前記第2位置との間の待機位置で停止可能であり、
前記制御部は、前記接触部材が前記相手材に接触すると、前記打撃部を前記待機位置から前記第1位置に向けて前記第2方向に作動させるよう前記第2付勢機構を制御し、
前記制御部は、前記接触部材が前記相手材に接触した状態の経過時間が所定時間以上であるときに、前記打撃部が前記待機位置から前記第1位置に近接する直前位置までの間にある場合には、前記打撃部の前記第2方向への作動を継続させるよう前記第2付勢機構を制御する一方、前記打撃部が前記直前位置から前記第1位置までの間にある場合には、前記打撃部の前記第2方向への作動を停止させるよう前記第2付勢機構を制御する、打込機。
【請求項9】
前記打撃部を前記待機位置から前記直前位置まで移動させる間に前記接触部材を相手材に複数回接触させることができる、請求項記載の打込機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打撃部と、打撃部を作動させる駆動部と、を備えた打込機に関する。
【背景技術】
【0002】
打撃部と、打撃部を作動させる駆動部と、を備えた打込機が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された打込機は、ハウジング、打撃部、駆動部としての電動モータ、減速機、マガジン、ハウジングに取り付けた射出部、スプリング、電池パック、トリガ、接触部材、制御部、バンパ、回転要素、カム、トリガスイッチ、位置検出スイッチを有する。打撃部は、プランジャ及びドライバブレードを有する。マガジンは止具を収容し、マガジンは止具を射出部へ供給する。カムは回転要素に設けられている。スプリングは、打撃部をバンパに近づく向きで付勢する。位置検出スイッチは、打撃部の位置を検出する。位置検出スイッチから出力される信号は、制御部に入力される。
【0003】
特許文献1に記載された打込機は、トリガスイッチがオフされていると、制御部は電動モータを停止している。また、カムがプランジャに係合し、打撃部は待機位置で停止している。打撃部が待機位置に停止していると、プランジャはバンパから離間している。
【0004】
作業者が接触部材を相手材に押し付け、かつ、トリガに操作力を付加してトリガスイッチがオンすると、制御部は電動モータを回転させる。電動モータの回転力が減速機に伝達されると、その回転力がカムに伝達される。このため、打撃部は待機位置から作動する。打撃部が上死点に到達すると、カムがプランジャから解放され、打撃部はスプリングの付勢力で作動する。打撃部が作動すると、ドライバブレードは、射出部にある止具を打撃する。プランジャがバンパに衝突し、打撃部は下死点で停止する。制御部は、打撃部が止具を打撃した後も電動モータを回転させる。カムがプランジャに係合すると、打撃部は下死点から上死点に向けて作動する。制御部は、打撃部が待機位置に到達したことを検出すると、電動モータを停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-51724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、打撃部が作動する応答性を向上させる余地がある、という課題を認識した。
【0007】
本発明の目的は、打撃部が作動する応答性を向上させることの可能な打込機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態の打込機は、第1位置と第2位置との間で作動可能な打撃部と、止具を打撃するように前記打撃部を前記第1位置から前記第2位置に向けて第1方向に作動させる第1付勢機構と、前記打撃部を前記第2位置から前記第1位置に向けて第2方向に作動させる第2付勢機構と、前記打撃部を前記第1位置と前記第2位置との間の待機位置で停止させる停止機構と、を有する、打込機であって、作業者が操作力を付加及び解除する操作部材と、前記打撃部により打撃される止具を打ち込む相手材に接触及び離間可能な接触部材と、前記第2付勢機構を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、作業者が前記操作部材に操作力を付加し、かつ、前記接触部材が前記相手材に接触すると、前記第2付勢機構により前記打撃部を前記待機位置から前記第2方向に作動させる準備制御と、前記準備制御を継続させる第1処理と、前記準備制御を終了させて前記打撃部を前記第1位置と前記第2位置との間で停止させる第2処理と、前記第1処理または前記第2処理の何れかを、前記接触部材が前記相手材に接触した状態の経過時間に応じて選択する制御と、を行う。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態の打込機は、打撃部が作動する応答性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である打込機の内部構造を示す側面断面図である。
図2】打込機であり、図1に示す内部構造とは異なる個所の内部構造を示す側面断面図である。
図3】打込機の制御系統を示すブロック図である。
図4】打込機を第1モードで使用する場合の制御例1を示すフローチャートである。
図5】打込機を第1モードで使用する場合の制御例2を示すフローチャートである。
図6】打込機を第2モードで使用する場合の制御例1を示すフローチャートである。
図7】打込機を第2モードで使用する場合の制御例2を示すフローチャートである。
図8】プッシュレバーの操作で打撃部を上死点手前まで駆動する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明における打込機の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1及び図2に示す打込機10は、ハウジング11、打撃部12、マガジン13、電動モータ14、動力伝達部15、制御基板16、電池パック17及びカウンタウェイト18を有する。ハウジング11は、金属及び合成樹脂で構成されており、ハウジング11は、筒形状の本体部19と、本体部19に接続されたハンドル20と、本体部19に接続されたモータケース21と、を有する。装着部22がハンドル20及びモータケース21に接続されている。
【0013】
射出部23が本体部19の外に設けられ、射出部23が本体部19に固定されている。プッシュレバー24が射出部23に取り付けられている。プッシュレバー24は、射出部23に対して中心線A1方向に作動可能である。射出部23及びプッシュレバー24は、射出路25を形成している。作業者は、プッシュレバー24の先端を相手材W1に対して接触及び離間させることが可能である。
【0014】
マガジン13は、ハウジング11及び射出部23により支持されている。マガジン13は、止具26を複数収容する。止具26は釘を含み、止具26の材質は、金属、非鉄金属、鋼を含む。止具26同士は接続要素で互いに接続されている。接続要素は、ワイヤ、接着剤、樹脂の何れでもよい。止具26は棒形状である。マガジン13はフィーダを有する。フィーダは、マガジン13に収容された止具26を射出路25に送る。射出路25は、止具26の打ち込み位置、止具26の姿勢、止具26の打ち込み方向を定める。
【0015】
打撃部12は、本体部19の内外に亘って設けられている。打撃部12は、金属製のプランジャ27及び金属製のドライバブレード28を有する。プランジャ27は、本体部19内に配置されている。ドライバブレード28は、、プランジャ27に固定されている。プランジャシャフト29が本体部19内に設けられている。トップホルダ30及びボトムホルダ31が、ハウジング11内に固定して設けられている。プランジャシャフト29は、トップホルダ30及びボトムホルダ31により支持されている。このように、打撃部12は、プランジャシャフト29、トップホルダ30及びボトムホルダ31を介して、ハウジング11により往復作動可能に支持されている。
【0016】
プランジャ27はプランジャシャフト29に取り付けられており、プランジャ27は、プランジャシャフト29の中心線A1に沿って作動可能である。ドライバブレード28は、プランジャ27と共に中心線A1に対して平行に作動可能であり、かつ、本体部19内及び射出路25内で作動する。ドライバブレード28は、射出部23及びプッシュレバー24により作動方向がガイドされる。
【0017】
カウンタウェイト18は、ハウジング11が受ける反動を抑制する。カウンタウェイト18の材質は、金属、非鉄金属、鋼、セラミックの何れでもよい。カウンタウェイト18は筒形状であり、プランジャシャフト29に取り付けられている。カウンタウェイト18はプランジャシャフト29に対して中心線A1に沿って作動可能である。プランジャシャフト29は、カウンタウェイト18及びプランジャ27の作動方向を規制する。
【0018】
スプリング32が本体部19内に配置され、スプリング32は、中心線A1に沿った方向でプランジャ27とカウンタウェイト18との間に配置されている。スプリング32は圧縮コイルスプリングであり、中心線A1に沿った方向に伸縮可能である。スプリング32の材質は、金属製、非鉄金属製、セラミック製の何れでもよい。スプリング32は、中心線A1方向の圧縮力を受けて弾性エネルギを蓄積する。
【0019】
ウェイトバンパ33及びプランジャバンパ34が、本体部19内に設けられている。ウェイトバンパ33はトップホルダ30とカウンタウェイト18との間に配置されている。プランジャバンパ34は、ボトムホルダ31とプランジャ27との間に配置されている。ウェイトバンパ33及びプランジャバンパ34は、共に合成ゴム製である。
【0020】
プランジャ27は、中心線A1に沿った方向でボトムホルダ31に近づく第1方向B1の付勢力を、スプリング32から受ける。カウンタウェイト18は、中心線A1に沿った方向でトップホルダ30に近づく第2方向B2の付勢力を、スプリング32から受ける。第1方向B1と第2方向B2とは互いに逆向きであり、第1方向B1及び第2方向B2は、中心線A1方向と平行である。
【0021】
図1に示す打込機10は、中心線A1が鉛直線と平行な状態である使用例を示す。図1において、打撃部12またはプランジャ27またはカウンタウェイト18が、第1方向B1に作動することを、下降と定義する。図1において、打撃部12またはプランジャ27またはカウンタウェイト18が、第2方向B2に作動することを、上昇と定義する。
【0022】
電池パック17は、装着部22に対して取り付け及び取り外し可能であり、電池パック17は、収容ケース35と、収容ケース35内に収容した複数の電池セルとを有する。電池セルは、充電及び放電が可能な二次電池であり、電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池の何れかを用いることができる。電池パック17は直流電源であり、電池パック17の電力は電動モータ14に供給される。本体側端子が装着部22に設けられており、電池側端子が電池パック17に設けられている。電池パック17を装着部22に取り付けると、本体側端子と電池側端子とが電気的に接続される。
【0023】
制御基板16は装着部22内に設けられており、制御基板16には、図3に示す制御部37、インバータ回路38が設けられている。制御部37は、入力ポート、出力ポート、タイマー及び記憶部を有するマイクロコンピュータである。インバータ回路38は、電池パック17の電力を電動モータ14に供給する経路を接続及び遮断する。インバータ回路38は、スイッチング素子を有する。
【0024】
トリガ39及びトリガスイッチ40がハンドル20に設けられており、作業者がトリガ39に操作力を加えるとトリガスイッチ40がオンし、トリガ39に加えた操作力を解除するとトリガスイッチ40がオフする。本体部19内に第1位置検出スイッチ64及び第2位置検出スイッチ54が設けられている。第1位置検出スイッチ64及び第2位置検出スイッチ54は、中心線A1方向におけるカウンタウェイト18の位置を検出して信号を出力する。
【0025】
第1位置検出スイッチ64が検出するカウンタウェイト18の中心線A1方向における位置と、第2位置検出スイッチ54が検出するカウンタウェイト18の中心線A1方向における位置とは異なる。第1位置検出スイッチ64は、打撃部12が上死点に到達したことを検出するセンサである。第2位置検出スイッチ54は、打撃部12が限界位置に到達したことを検出するセンサである。打撃部12の上死点、限界位置は後述する。
【0026】
また、プッシュレバースイッチ55が、マガジン13に設けられている。プッシュレバースイッチ55は、プッシュレバー24が相手材W1に接触しているか、または離間しているかを検出して信号を出力する。
【0027】
電動モータ14は、ロータ及びステータを有し、駆動軸41がロータに連結されている。電動モータ14は、電池パック17から電力が供給されると駆動軸41が回転する。位相検出センサ56が、モータケース21内に設けられている。位相検出センサ56は、駆動軸41の回転方向における位相を検出して信号を出力する。制御部37は、トリガスイッチ40の信号、第1位置検出スイッチ64の信号、第2位置検出スイッチ54の信号、プッシュレバースイッチ55の信号、位相検出センサ56の信号を処理し、かつ、インバータ回路38を制御する。
【0028】
減速機42がモータケース21内に配置されている。減速機42は、遊星歯車機構、入力要素43及び出力要素44を有し、入力要素43は駆動軸41に連結されている。駆動軸41の回転力が減速機42に伝達されると、減速機42は、出力要素44の回転速度が入力要素43の回転速度よりも低速となる。電動モータ14及び減速機42は、中心線A2を中心として同心状に配置されている。打込機10を側面視した図1において、中心線A1と中心線A2とは直角に交差する。
【0029】
動力伝達部15は、出力要素44の回転力を打撃部12の作動力に変換し、かつ、出力要素44の回転力をカウンタウェイト18の作動力に変換する。動力伝達部15は、第1ギヤ45、第2ギヤ46、第3ギヤ47、プランジャアーム部48及びウェイトアーム部49を有する。第1ギヤ45は出力要素44に固定されている。第2ギヤ46は第1支持軸50により回転可能に支持されている。第3ギヤ47は第2支持軸51により回転可能に支持されている。ギヤホルダ52がハウジング11内に固定して設けられ、第1支持軸50及び第2支持軸51はギヤホルダ52に取り付けられている。中心線A2と、第1支持軸50の中心線A3と、第2支持軸51の中心線A4とは、互いに平行である。
【0030】
第1支持軸50は、中心線A1に沿った方向で出力要素44と第2支持軸51との間に配置されている。第2ギヤ46は第1ギヤ45及び第3ギヤ47に噛み合っている。カムローラ53が、第2ギヤ46に複数設けられている。複数のカムローラ53は、第2ギヤ46の回転方向に間隔をおいて配置されている。カムローラ57が、第3ギヤ47に複数設けられている。複数のカムローラ57は、第3ギヤ47の回転方向に間隔をおいて配置されている。本実施形態では、電動モータ14の駆動軸41が正回転すると、駆動軸41の回転力が減速機42を介して第1ギヤ45に伝達され、第1ギヤ45は所定方向に回転するものとする。
【0031】
プランジャアーム部48はプランジャ27に設けられている。プランジャアーム部48は、プランジャ27と共に中心線A1方向に作動可能である。プランジャアーム部48は、一例として金属製である。
【0032】
ウェイトアーム部49はカウンタウェイト18に設けられている。ウェイトアーム部49は、カウンタウェイト18と共に中心線A1方向に作動可能である。ウェイトアーム部49は、一例として金属製である。
【0033】
図2に示すように、回転規制機構66が、モータケース21内に設けられている。回転規制機構66は、駆動軸41に対して係合及び解放が可能である。回転規制機構66は、第2ギヤ46から第1ギヤ45に対して回転力が伝達された場合に、その回転力で駆動軸41が逆回転することを阻止する。また、回転規制機構66は、駆動軸41が正回転することを阻止しない。
【0034】
作業者は、打込機10を使用する場合に第1モードと第2モードとを選択可能である。第1モードは、トリガ39に操作力を加えた状態で、プッシュレバー24を相手材W1に押し付けることにより、打撃部12を作動させるものである。第2モードは、プッシュレバー24を相手材W1に押し付けた状態で、トリガ39に操作力を加えることにより、打撃部12を作動させるものである。
【0035】
(第1モードの制御例1) 作業者が第1モードを選択する場合の制御例1を、図4のフローチャートを参照して説明する。制御部37は、トリガスイッチ40のオフ及びプッシュレバースイッチ55のオフを検出すると、ステップS10において電動モータ14に対する電力の供給を停止している。打撃部12は待機位置で停止している。打撃部12の待機位置は、中心線A1方向で、打撃部12の上死点と下死点との間である。打撃部12の上死点は、プランジャ27がプランジャバンパ34から最も離れている位置である。打撃部12の下死点は、プランジャ27がプランジャバンパ34に接触している位置である。
【0036】
打撃部12が待機位置で停止している原理を説明する。カムローラ53がプランジャアーム部48に係合し、かつ、カムローラ57がウェイトアーム部49に係合している。スプリング32は、プランジャ27とカウンタウェイト18との間に挟まれ、中心線A1方向の圧縮荷重を受けている。プランジャ27は、スプリング32から第1方向B1の付勢力を受け、カウンタウェイト18は、スプリング32から第2方向B2の付勢力を受ける。プランジャ27が受けた第1方向B1の付勢力は、プランジャアーム部48を介して第2ギヤ46に伝達され、第2ギヤ46は回転力を受ける。
【0037】
カウンタウェイト18が受けた第2方向B2の付勢力は、ウェイトアーム部49を介して第3ギヤ47に伝達され、第3ギヤ47は回転力を受ける。第3ギヤ47が受けた回転力は、第2ギヤ46に伝達される。第2ギヤ46が回転力を受けると、その回転力は第1ギヤ45に伝達される。回転規制機構66は、電動モータ14の駆動軸41が逆回転することを防止する。このため、第1ギヤ45は停止した状態に維持される。打撃部12が待機位置で停止していると、プランジャ27がプランジャバンパ34から離れ、かつ、カウンタウェイト18がウェイトバンパ33から離間している。
【0038】
次に、作業者がトリガ39に操作力を付加すると、制御部37は、ステップS11でトリガスイッチ40のオンを検出する。制御部37は、トリガスイッチ40がオンしている状態で、ステップS12でプッシュレバースイッチ55のオンを検出すると、制御部37は、ステップS13で電池パック17の電力を電動モータ14に供給させて、電動モータ14の駆動軸41を正回転させる。
【0039】
駆動軸41の回転力は、減速機42で増幅されて出力要素44に伝達され、第1ギヤ45が回転する。第1ギヤ45の回転力は、第2ギヤ46を介して第3ギヤ47に伝達される。プランジャ27は、スプリング32の付勢力に抗して第2方向B2で作動する。つまり、打撃部12は上昇する。また、カウンタウェイト18は第1方向B1に作動する。つまり、カウンタウェイト18は下降する。このように、プランジャ27が上昇し、かつ、カウンタウェイト18が下降することでスプリング32が更に圧縮され、スプリング32に弾性エネルギが蓄積される。
【0040】
制御部37は、ステップS14において、電動モータ14の総回転回数Nが、閾値Nm以下であるか否かを判断する。電動モータ14の総回転回数Nは、電動モータ14が回転を開始した時点からの回転回数である。制御部37は、予め閾値Nmを記憶している。閾値Nmは、中心線A1方向で打撃部12が上死点に近接した位置、つまり、直前位置に対応する値である。直前位置は、中心線A1方向で上死点と待機位置との間である。上死点から直前位置までの距離は、一例として10mmである。
【0041】
制御部37は、ステップS14でYesと判断すると、ステップS15において、電動モータ14の総回転回数Nのカウントを継続する。制御部37は、ステップS16において、プッシュレバースイッチ55がオンされてからの経過時間tが、閾値tp未満であるか否かを判断する。制御部37は、予め閾値tpを予め記憶している。閾値tpは、プッシュレバースイッチ55がオンした状況を、第1の状況と第2の状況とに区別するための値である。第1の状況は、作業者がプッシュレバー24を相手材W1に押し付けた状況である。第2の状況は、プッシュレバー24が相手材W1とは異なる物体に接触した状況である。閾値tpは、一例として50ms、つまり、0.05秒に設定可能である。
【0042】
制御部37が、ステップS16でNoと判断するということは、第2の状況であることになる。そこで、制御部37は、ステップS16でNoと判断すると、ステップS17で電動モータ14対する電力の供給を停止して、電動モータ14を停止させ、ステップS11に進む。制御部37が、ステップS16でYesと判断するということは、第1の状況であることになる。そこで、制御部37は、ステップS16でYesと判断すると、ステップS18において電動モータ14の回転を継続させる。また、制御部37は、ステップS14でNoと判断すると、ステップS18に進む。
【0043】
制御部37は、ステップS19において、第1位置検出スイッチ64の信号に基づいて、打撃部12が上死点に到達したことを検出する。さらに、カムローラ53がプランジャアーム部48から解放される。打撃部12は、カムローラ53がプランジャアーム部48から解放される直前において上死点にある。そして、カムローラ53がプランジャアーム部48から解放されると、プランジャ27はスプリング32の弾性エネルギで第1方向B1で付勢され、ドライバブレード28が止具26を打撃する。ドライバブレード28が止具26を打撃した後、プランジャ27は、図1のようにプランジャバンパ34に衝突して打撃部12が停止する。プランジャバンパ34は、打撃部12の作動エネルギの一部を吸収し、ハウジング11の振動を抑制する。
【0044】
さらに、カムローラ53がプランジャアーム部48から解放されることと併行して、カムローラ57がウェイトアーム部49から解放される。このため、カウンタウェイト18は、スプリング32の弾性エネルギで第2方向B2で付勢される。つまり、打撃部12が下降すると同時にカウンタウェイト18が上昇し、打撃部12が打撃を行う際の反動を受ける。カウンタウェイト18は図1のようにウェイトバンパ33に衝突し、カウンタウェイト18は上死点で停止する。ウェイトバンパ33はカウンタウェイト18の作動エネルギの一部を吸収し、ハウジング11の振動を抑制する。
【0045】
また、作業者は、ドライバブレード28が止具26を相手材W1に打ち込んだ後、プッシュレバー24を相手材W1から離間させる。制御部37は、打撃部12が止具26を相手材W1に打ち込んだ後も、電動モータ14を回転させる。そして、カムローラ53がプランジャアーム部48に係合すると、打撃部12が下死点から上昇する。また、カムローラ57がウェイトアーム部49に係合すると、カウンタウェイト18が上死点から下降する。
【0046】
制御部37は、打撃部12が上死点に到達したことを検出すると、ステップS20で電動モータ14の総回転回数Nを一旦リセットし、電動モータ14の総回転回数Nのカウントを再度開始する。そして、制御部37は、ステップS21において、打撃部12が待機位置に到達したことを検出する。制御部37は、ステップS21において、電動モータ14の総回転回数Nが、閾値Nt以上であり、かつ、閾値Nm未満であると、打撃部12が待機位置に到達したと判断する。制御部37は、打撃部12の待機位置に対応させて、予め閾値Ntを記憶している。打撃部12の待機位置は、中心線A1方向で下死点と直前位置との間である。閾値Ntは、一例として、上死点から20mmの距離である。
【0047】
制御部37は、打撃部12が待機位置に到達すると、ステップS22で電動モータ14を停止して打撃部12を待機位置で停止させ、図4の制御例を終了する。
【0048】
図4の制御例によれば、ステップS15,S16を経由してステップS19に進むと、打撃部12が作動する応答性が向上する。具体的には、トリガスイッチ40がオンし、かつ、プッシュレバースイッチ55がオンした時点から、打撃部12が第1方向B1で作動するまでの応答性が向上する。
【0049】
また、制御部37がステップS16でNoと判断すると、制御部37は、ステップS17で電動モータ14を停止させる。したがって、プッシュレバー24が相手材W1とは異なる物体に接触した場合に、打撃部12が第1方向B1で作動することを防止できる。
【0050】
さらに、制御部37は、ステップS14でNoと判断すると、打撃部12の中心線A1方向の位置に関わり無く、ステップS18を経てステップS19に進む。したがって、打撃部12が作動する応答性が向上する。
【0051】
制御部37は、図4の制御例1を行うにあたり、電動モータ14の総回転回数Nから、打撃部12の中心線A1方向における位置を推定している。これは、電動モータ14の総回転回数Nと、打撃部12の中心線A1方向における位置とに、相関関係があるからである。
【0052】
(第1モードの制御例2) 作業者が第1モードを選択する場合の制御例2を、図5のフローチャートを参照して説明する。図5に示すステップのうち、図4に示すステップと同じ内容のステップは、図4と同じステップ番号を付してある。
【0053】
制御部37は、ステップS10Aで電動モータ14を停止させており、打撃部12は待機位置に停止している。制御部37は、ステップS10Aに次いでステップS11、ステップS12及びステップS13の処理を行う。制御部37は、ステップS13に次ぐステップS14Aにおいて、第2位置検出スイッチ54の信号に基づき、打撃部12が直前位置に到達したか否かを判断する。
【0054】
制御部37は、ステップS14AでYesと判断すると、ステップS15に進む。制御部37は、ステップS14AでNoと判断すると、ステップS18に進む。
【0055】
制御部37は、ステップS20に次ぐステップS21Aにおいて、打撃部12が待機位置に到達したことを検出する。制御部37は、ステップS21Aにおいて、電動モータ14の総回転回数Nが、閾値Nt以上であると、打撃部12が待機位置に到達したと判断する。制御部37は、打撃部12が待機位置に到達すると、ステップS22Aで電動モータ14を停止して打撃部12を待機位置で停止させ、図5の制御例を終了する。
【0056】
制御部37が第1モードの制御例2を行うと、第1モードの制御例1と同様の効果を得ることが可能である。
【0057】
(第2モードの制御例1) 作業者が第2モードを選択する場合の制御例1を、図6のフローチャートを参照して説明する。図6に示すステップのうち、図4に示すステップと同じ内容のステップは、図4と同じステップ番号を付してある。制御部37は、ステップS10に次いでステップS12の処理を行い、次いでステップS11の処理を行うとステップS13に進む。また、制御部37は、ステップS17の処理を行い、ステップS12に進む。
【0058】
制御部37が第2モードの制御例1を行うと、第1モードの制御例1と同様の効果を得ることが可能である。
【0059】
(第2モードの制御例2) 作業者が第2モードを選択する場合の制御例1を、図7のフローチャートを参照して説明する。図7に示すステップのうち、図5に示すステップと同じ内容のステップは、図5と同じステップ番号を付してある。制御部37は、ステップS10Aに次いでステップS12の処理を行い、次いでステップS11の処理を行ってステップS13に進む。また、制御部37は、ステップS17の処理を行い、ステップS12に進む。
【0060】
制御部37が第2モードの制御例2を行うと、第1モードの制御例2と同様の効果を得ることが可能である。
【0061】
このように、制御部37は、打撃部12が待機位置で停止している状態で、トリガスイッチ40オン及びプッシュレバースイッチ55のオンを検出すると、トリガスイッチ40オン、及びプッシュレバースイッチ55のオンの実行順序に関わり無く、電動モータ14を回転させる。
【0062】
(他の制御例) 更に、制御部37が行うことの可能な他の制御例を説明する。第2モードが選択されている場合は、プッシュレバー24が相手材W1に押し付けられ、制御部37がプッシュレバースイッチ55のオンが所定時間以上検出すると、制御部37は、電動モータ14を回転させ、かつ、停止させる。すると、打撃部12が待機位置から上昇し、上死点よりも手前の任意の位置まで移動し、かつ、打撃部12が停止する。任意の位置は、第2の待機位置として定義可能である。その後、プッシュレバースイッチ55がオンの状態で、トリガ39に操作力が付加されて、制御部37がトリガスイッチ40のオンを検出すると、制御部37が電動モータ14を回転させて打撃部12を作動させ、打撃部12が止具26を打撃するようにしてもよい。
【0063】
(他の実施形態) 更に、他の実施形態について、図8を用いて、説明する。なお、釘打機の構造については、図1図2に記載されている内容と同じである。制御部37は、トリガスイッチ40のオフ及びプッシュレバースイッチ55のオフを検出すると、ステップS10において電動モータ14に対する電力の供給を停止している。打撃部12は待機位置で停止している。
【0064】
ステップS11ではトリガスイッチ40のオンまたはオフに関係なく制御部37は、ステップS12に進みプッシュレバースイッチ55のオンを検出すると、制御部37は、ステップS13でプッシュレバースイッチ55がオンされてからの経過時間tが、閾値tp未満であるか否かを判断する。制御部37はメモリー部が設けられていて、このメモリー部に、予め閾値tpを記憶している。閾値tpは、プッシュレバースイッチ55がオンした状況を、第1の状況と第2の状況とに区別するための値である。第1の状況は、作業者がプッシュレバー24を相手材W1に押し付けた状況である。第2の状況は、プッシュレバー24が相手材W1とは異なる物体に接触した状況又は、木材等の相手材W1に意図せずにぶつけてしまった場合である。閾値tpは、一例として50ms(0.05秒)程度であるが、任意に決めることができる。
【0065】
制御部37が、ステップS13で第2の状況(No)と判断すると、ステップS12に戻り、第1の状況(Yes)と判断すると、ステップ14に進む。ステップS14に進むと、電動モータ14の総回転回数Nが、閾値Nm以上か否かを判断する。電動モータ14の総回転回数Nは、電動モータ14により打撃部を下死点から移動をした時点からの電動モータ14の回転回数である。制御部37は、閾値Nmを記憶している。閾値Nmは、中心線A1方向で打撃部12が上死点に近接した位置、つまり、直前位置に対応する値である。直前位置は、中心線A1方向で上死点と待機位置との間である。上死点から直前位置までの距離は、一例として10mmである。ここで、閾値Nm以上(直前位置)と判断(Yes)した場合は、ステップ17に進み、電動モータ14を回転させずに、ステップ21に進む。閾値Nm以下(直前位置ではない)と判断(No)した場合には、ステップ15に進み、プッシュレバースイッチがオン状態の間、電動モータ14を回転駆動させる。ステップS16において、打撃部12の下死点からの移動量を算出するために電動モータ14の総回転回数Nのカウントを継続する。
【0066】
ステップ18で、プッシュレバースイッチ55がオフ(Yes)と判断した場合は、ステップ12に進に、再度プッシュレバーがオン状態になるまで待機する。プッシュレバースイッチ55がオン(No)と判断した場合は、ステップ19に進み、電気モータ17の回転を維持する。ステップ20で電動モータ14が回転中に、閾値Nm以上になった場合は、ステップ21に進み、電気モータ17を停止する。ステップ22で、トリガスイッチ40とプッシュレバースイッチ55が一定時間以上オン状態になったら、電気モータ14を駆動させて、打撃子を上死点まで移動させて、駆動伝達部15と打撃部12の係合を外し、ドライバブレード28で止具(釘)26を打込む。
【0067】
その後、ステップS23で電動モータ14の総回転回数Nを一旦リセットし、ステップS24で、電動モータ14によって打撃部12が下死点から上死点に向けて移動を開始すると総回転回数Nのカウントを再度開始する。そして、打撃部12が待機位置に到達したことを検出する。制御部37は、打撃部12が待機位置に到達すると、ステップS25で電動モータ14を停止して打撃部12を待機位置で停止させ、図8の制御例を終了する。以上のような制御を行うことにより、プッシュレバー24を操作しプッシュレバースイッチ55を複数回オン(ちょい押し)させることで、打撃部12を待機位置から直前位置まで移動させることができ、打込み動作時のレスポンスの向上が図れる。
【0068】
なお、制御部37は、プッシュレバースイッチ55がオフになった時点から一定時間内に、再度、プッシュレバースイッチ55のオンを検出しない場合は、電動モータ14を逆回転させて、ドライバブレード28が止具26の頭部に接触しない位置まで、打撃部12を第2方向に作動させてもよい。この場合、電動モータ14に供給する電流の向きを変更することにより、電動モータ14を正回転及び逆回転させることが可能である。
【0069】
実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。打込機10は、打込機の一例である。打撃部12の上死点は、打撃部の第1位置の一例である。打撃部12の下死点は、打撃部の第2位置の一例である。打撃部12は、打撃部の一例である。第1方向B1は、第1方向の一例である。第2方向B2は、第2方向の一例である。スプリング32は、第1付勢機構及び弾性部材の一例である。電動モータ14及び動力伝達部15は、第2付勢機構の一例である。回転規制機構66は、停止機構の一例である。トリガ39は、操作部材の一例である。プッシュレバー24は、接触部材の一例である。
【0070】
電池パック17、制御部37及びインバータ回路38は、制御部の一例である。制御部37がステップS13で行う処理が、準備制御の一例である。制御部37が、ステップS16でNoと判断することが、“経過時間が予め定められている所定時間以上である”の一例である。制御部37が、ステップS16でYesと判断することが、“経過時間が予め定められている所定時間未満である”の一例である。ステップS13からステップS16を経てステップS18に進む処理が、第1処理の一例である。ステップS13からステップS16を経てステップS17に進む処理が、第2処理の一例である。経過時間tは、経過時間の一例である。閾値tpは、所定時間の一例である。更に、図8のステップ13でNoと判断することが、“経過時間が予め定められている所定時間以上である”の一例である。制御部37が、ステップS13でYesと判断することが、“経過時間が予め定められている所定時間未満である”の一例である。図8のステップS13からステップS14を経てステップS19に進む処理が、第1処理の一例である。ステップS13からステップS14を経てステップS17に進む処理が、第2処理の一例である。経過時間tは、経過時間の一例である。閾値tpは、所定時間の一例である。
【0071】
電動モータ14は、電動モータの一例である。動力伝達部15は、動力伝達部の一例である。電池パック17は、電源部の一例である。制御部37がステップS16でNoと判断する状態が、“打撃部と第1位置との距離が所定値未満である”という一例である。ハウジング11は、ハウジングの一例である。カウンタウェイト18は、ウェイトの一例である。
【0072】
打込機は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、打撃部の中心線方向における位置は、電動モータの総回転回数で判断することに代えて、電動モータが回転を開始した時点からの総回転角度で判断することも可能である。打撃部の中心線方向の位置、つまり、上死点、直前位置、待機位置を、全て単数の位置検出センサで行うことも可能である。この位置検出センサとして、光センサ、磁気センサなどを用いることが可能である。打撃部の中心線方向における位置は、ウェイトの位置から間接的に判断することなく、打撃部の中心線方向の位置を直接検出することも可能である。
【0073】
また、打込機は、カウンタウェイトを備えていなくてもよい。第1付勢機構の第1端部がプランジャに直接または間接に接触し、第1付勢部材の第2端部が、直接または間接にハウジングに接触する構成でもよい。
【0074】
電動モータに電力を供給する電源は、直流電源または交流電源の何れでもよい。第1付勢機構は、固体スプリング、ガススプリング、合成ゴムを含む。固体スプリングは、例えば、金属製スプリング、非鉄金属製スプリング、金属と非金属との複合材料のスプリングを含む。固体スプリングは、圧縮スプリングの他、引っ張りスプリング、渦巻きスプリング、リーフスプリング、ねじりスプリングを含む。ガススプリングは、例えば、空気、窒素、希ガス等の不活性ガスを大気圧、あるいは加圧した状態で封入した蓄圧室を有する。ガススプリングは、不活性ガスの弾性力を利用した機構である。打撃部が第2方向に作動すると蓄圧室の圧力が上昇し、蓄圧室の圧力で打撃部が第1方向に作動する。
【0075】
また、ハウジングは、打撃部を支持する要素であり、ボディ、ケース、フレーム、シェルを含む。さらに、打撃部を待機位置に保持する停止機構は、減速機の回転要素の1個に係合・解放する要素であってもよい。さらに、打撃部を待機位置に保持する停止機構は、電動モータであってもよい。
【0076】
さらに、モータは、電動モータの他、油圧モータ、空気圧モータ、エンジンを含む。動力伝達部は、歯車伝動装置の他、巻き掛け伝動装置、摩擦伝動装置、牽引装置を含む。また、動力伝達部は、モータの回転力を打撃部に伝達する経路を接続及び遮断する、クラッチの機能を兼ねる。
【0077】
操作部材は、ハウジングに対して直線状に作動可能であるもの、ハウジングに支持軸を中心として円弧状に作動可能であるもの、の何れでもよい。操作部材は、レバー、ボタン、アームの何れでもよい。接触部材は、ハウジングに対して中心線方向に作動可能に設けられている。接触部材は、レバー、アーム、シャフトの何れでもよい。止具は、頭部の有る釘、頭部の無い釘の何れでもよい。止具は、棒形状の釘の他、ステープルを含む。打込機は、打撃部が作動する方向である中心線と、鉛直線とが交差する状態で使用することも可能である。相手材の材質は、コンクリート、木材、タイル、石膏、金属、非鉄金属の何れでもよい。
【符号の説明】
【0078】
10…打込機、11…ハウジング、12…打撃部、14…電動モータ、15…動力伝達部、17…電池パック、18…カウンタウェイト、24…プッシュレバー、32…スプリング、37…制御部、38…インバータ回路、39…トリガ、66…回転規制機構、B1…第1方向、B2…第2方向、t…経過時間、tp…閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8