(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】固体電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20220802BHJP
H01M 4/06 20060101ALI20220802BHJP
H01M 4/08 20060101ALI20220802BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20220802BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20220802BHJP
H01M 4/70 20060101ALI20220802BHJP
H01M 6/18 20060101ALI20220802BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20220802BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20220802BHJP
H01M 50/534 20210101ALI20220802BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20220802BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20220802BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M4/06 N
H01M4/08 N
H01M4/13
H01M4/139
H01M4/70 A
H01M6/18 Z
H01M10/0562
H01M50/533
H01M50/534
H01M50/536
H01M50/54
(21)【出願番号】P 2020556114
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(86)【国際出願番号】 JP2019043472
(87)【国際公開番号】W WO2020100682
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】P 2018215566
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 賢二
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 充
(72)【発明者】
【氏名】近川 修
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-226862(JP,A)
【文献】特開2014-006965(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181545(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0585
H01M 10/0562
H01M 6/18
H01M 4/00-4/62
H01M 50/50
H01G 11/74
H01G 4/32
H01G 9/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の正極層および1つ以上の負極層が固体電解質層を介して交互に積層されている積層構造を有する固体電池であって、
前記固体電池は前記積層構造の端面に正極および負極の端面電極を有し、
前記正極層または前記負極層の少なくとも一方の電極層は、該電極層と同極の前記端面電極側の端部において、平面視で、凹凸形状を有しながら、該電極層と同極の前記端面電極と電気的に接続されている、固体電池。
【請求項2】
前記電極層は集電部材レス構造を有する、請求項1に記載の固体電池。
【請求項3】
前記電極層の前記凹凸形状における凸部の突出長さは1μm以上500μm以下である、請求項1または2に記載の固体電池。
【請求項4】
前記電極層の前記凹凸形状は、平面視において、複数の凹部および複数の凸部が規則的に並んだ規則的凹凸形状である、請求項1~3のいずれかに記載の固体電池。
【請求項5】
前記電極層の前記規則的凹凸形状のピッチは10μm以上1000μm以下である、請求項4に記載の固体電池。
【請求項6】
前記電極層の前記端部は前記端面電極と直接的かつ電気的に接続されている、請求項1~5のいずれかに記載の固体電池。
【請求項7】
前記端面電極は、平面視において、前記電極層の前記端部に対して相補的な形状となる取り出し部を有する、請求項6に記載の固体電池。
【請求項8】
前記電極層の前記端部は接合部位を介して前記端面電極と間接的かつ電気的に接続されており、
前記接合部位は前記電極層および前記端面電極の構成材料とは異なる材料から構成されている、請求項1~4のいずれかに記載の固体電池。
【請求項9】
前記接合部位は、前記電極層側において、平面視で、前記電極層の前記端部に対して相補的な形状を有する、請求項
8に記載の固体電池。
【請求項10】
前記接合部位は、前記端面電極側の端部において、平面視で、凹凸形状を有しながら、前記端面電極と電気的に接続されている、請求項
8または
9に記載の固体電池。
【請求項11】
前記端面電極は、平面視において、前記接合部位の端面電極側の端部に対して相補的な形状となる取り出し部を有する、請求項
10に記載の固体電池。
【請求項12】
前記接合部位の前記凹凸形状における凸部の突出長さは1μm以上500μm以下である、請求項
10または
11に記載の固体電池。
【請求項13】
前記接合部位の前記凹凸形状は、平面視において、複数の凹部および複数の凸部が規則的に並んだ規則的凹凸形状である、請求項
10~
12のいずれかに記載の固体電池。
【請求項14】
前記接合部位の前記規則的凹凸形状のピッチは10μm以上1000μm以下である、請求項
13に記載の固体電池。
【請求項15】
前記接合部位は、前記電極層を構成する材料および前記端面電極を構成する材料を含む、請求項
8~
14のいずれかに記載の固体電池。
【請求項16】
前記接合部位は、前記端面電極間の距離を規定する直線方向において、前記電極層に近づくに従って前記電極層の構成材料の濃度が高くなり、かつ前記端面電極に近づくに従って前記端面電極の構成材料の濃度が高くなるような濃度勾配を有する、請求項
15に記載の固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、携帯用パーソナルコンピュータ等の携帯用電子機器の電源として電池の需要が拡大している。このような用途に用いられる電池においては、イオンを移動させるための媒体として、有機溶媒等の電解質(電解液)が従来から使用されている。しかし、上記の構成の電池では、電解液が漏出するという危険性がある。また、電解液に用いられる有機溶媒等は可燃性物質である。このため、電池の安全性を高めることが求められている。
【0003】
そこで、電池の安全性を高めるために、電解質として、電解液に代えて、固体電解質を用いた固体電池の研究が進められている。
【0004】
固体電池としては、例えば、特許文献1~3において、1つ以上の正極層および1つ以上の負極層が固体電解質層を介して交互に積層されている積層構造を有する固体電池であって、積層構造の端面に端面電極を有する固体電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-216235号公報
【文献】特開2014-120372号公報
【文献】WO2013/001908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明の発明者等は、固体電池のエネルギー密度の向上の観点から、集電層および集電体(例えば箔)を省略して、電極層に電極としての機能と集電層または集電体としての機能を担わせた場合、電池特性が低下することを見い出した。
【0007】
詳しくは、集電層および集電体(例えば箔)を省略した固体電池としては、例えば、
図5Aに示すように、1つ以上の正極層101および1つ以上の負極層102が固体電解質層103を介して交互に積層されている積層構造を有する固体電池であって、積層構造の端面に端面電極104(104a、104b)を有する固体電池が知られている。
図5Aにおいて、107はいわゆる絶縁層を示し、空間層であってもよい。108は保護層を示す。このような固体電池においては、負極層102は、
図5Bに示すように、端面電極104b側の端部において、水平面に対して垂直な平面で端面電極104bと電気的に接続されている。正極層101は端面電極104a側の端部において、水平面に対して垂直な平面で端面電極104aと接続される。このため、電極層101,102と端面電極104との接続不良が生じやすく、その結果電池特性が低下することがわかった。
図5Aは従来技術に係る固体電池の一例の模式的断面図である。
図5Bは、
図5AにおいてA1'部をP1'方向(すなわち鉛直方向で下方向)で見たときの負極層の拡大模式図である。
【0008】
そこで、
図6Aに示すように、端面電極104(104a、104b)に取り出し部140(140a、140b)を設けて、電極層101,102と端面電極104との接続不良を抑制することを試みた。しかしながら、正極層101および負極層102はそれぞれ、
図6Aおよび
図6Bに示すように、端面電極104a、104b側の端部において、水平面に対して垂直な平面で端面電極104a、104bの取り出し部140a、140bと接続されるため、電極層101,102と端面電極104との接続不良がやはり生じやすかった。
図6Aは従来技術に係る固体電池の別の一例の模式的断面図である。
図6Bは、
図6AにおいてA2'部をP2'方向(すなわち鉛直方向で下方向)で見たときの負極層の拡大模式図である。
【0009】
また、
図7Aに示すように、正極層101および負極層102と端面電極104(104a、104b)との間に接合部位106(106a、106b)を介在させて、電極層101,102と端面電極104との接続不良を抑制することを試みた。しかしながら、正極層101および負極層102はそれぞれ、
図7Aおよび
図7Bに示すように、端面電極104a、104b側の端部において、水平面に対して垂直な平面で接合部位106a、106bと接続されるため、電極層101,102と接合部位106との接続不良が生じやすく、結果として、電極層101,102と端面電極104a、104bとの接続不良がやはり生じやすかった。
図7Aは従来技術に係る固体電池の別の一例の模式的断面図である。
図7Bは、
図7AにおいてA3'部をP3'方向(すなわち鉛直方向で下方向)で見たときの負極層の拡大模式図である。
【0010】
さらに、
図8Aに示すように、端面電極104(104a、104b)に取り出し部140(140a、140b)を設けつつ、当該取り出し部140と正極層101および負極層102との間に接合部位106(106a、106b)を介在させて、電極層101,102と端面電極104との接続不良を抑制することを試みた。しかしながら、正極層101および負極層102はそれぞれ、
図8Aおよび
図8Bに示すように、端面電極104a、104b側の端部において、水平面に対して垂直な平面で接合部位106a、106bと接続されるため、電極層101,102と接合部位106との接続不良が生じやすく、結果として、電極層101,102と端面電極104a、104bとの接続不良がやはり生じやすかった。
図8Aは従来技術に係る固体電池の別の一例の模式的断面図である。
図8Bは、
図8AにおいてA4'部をP4'方向(すなわち鉛直方向で下方向)で見たときの負極層の拡大模式図である。
【0011】
本発明は、電極層(すなわち、正極層および/または負極層)と端面電極との接続不良をより十分に抑制することができる固体電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
1つ以上の正極層および1つ以上の負極層が固体電解質層を介して交互に積層されている積層構造を有する固体電池であって、
前記固体電池は前記積層構造の端面に正極および負極の端面電極を有し、
前記正極層または前記負極層の少なくとも一方の電極層は、該電極層と同極の前記端面電極側の端部において、平面視で、凹凸形状を有しながら、該電極層と同極の前記端面電極と電気的に接続されている、固体電池に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の固体電池は、集電部材レス構造を有していても、電極層(すなわち、正極層および/または負極層)と端面電極との接続不良をより十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施態様に係る固体電池の模式的断面図である。
【
図2A】
図1に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図2B】
図1に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図2C】
図1に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図2D】
図1に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図2E】
図1に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図2F】
図1に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図2G】
図1に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図2H】
図1に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図2I】
図1に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図2J】
図1に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図2K】
図1に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図2L】
図1に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図3】本発明の第2実施態様に係る固体電池の模式的断面図である。
【
図4A】
図3に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図4B】
図3に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図4C】
図3に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図4D】
図3に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図4E】
図3に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図4F】
図3に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図4G】
図3に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図4H】
図3に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図4I】
図3に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
【
図5A】従来技術に係る固体電池の一例の模式的断面図である。
【
図5B】
図5AにおいてA1'部をP1'方向(すなわち鉛直方向で下方向)で見たときの負極層の拡大模式図である。
【
図6A】従来技術に係る固体電池の別の一例の模式的断面図である。
【
図6B】
図6AにおいてA2'部をP2'方向(すなわち鉛直方向で下方向)で見たときの負極層の拡大模式図である。
【
図7A】従来技術に係る固体電池の別の一例の模式的断面図である。
【
図7B】
図7AにおいてA3'部をP3'方向(すなわち鉛直方向で下方向)で見たときの負極層の拡大模式図である。
【
図8A】従来技術に係る固体電池の別の一例の模式的断面図である。
【
図8B】
図8AにおいてA4'部をP4'方向(すなわち鉛直方向で下方向)で見たときの負極層の拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[固体電池]
本発明は固体電池を提供する。本明細書でいう「固体電池」とは、広義にはその構成要素(特に電解質層)が固体から構成されている電池を指し、狭義にはその構成要素(特に全ての構成要素)が固体から構成されている「全固体電池」を指す。本明細書でいう「固体電池」は、充電および放電の繰り返しが可能な、いわゆる「二次電池」、および放電のみが可能な「一次電池」を包含する。「固体電池」は好ましくは「二次電池」である。「二次電池」は、その名称に過度に拘泥されるものではなく、例えば、「蓄電デバイス」などの電気化学デバイスも包含し得る。
【0016】
本明細書でいう「平面視」とは、固体電池を構成する後述する層の積層方向L(または固体電池の厚み方向)に沿って対象物を上側または下側(特に上側)からみたときの状態(上面図または下面図)のことである。又、本明細書でいう「断面視」とは、固体電池を構成する各層の積層方向L(または固体電池の厚み方向)に対して略垂直な方向からみたときの断面状態(断面図)のことである。特に、正極層および負極層における端面電極側の端部を説明するときの断面視は、積層方向Lに平行な面であって、2つの端面電極を通る面(特に2つの端面電極間の距離を規定する直線に平行な面)で、固体電池を切ったときの断面状態(断面図)のことである。本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”および“左右方向”は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材・部位または同じ意味内容を示すものとする。ある好適な態様では、鉛直方向下向き(すなわち、重力が働く方向)が「下方向」に相当し、その逆向きが「上方向」に相当すると捉えることができる。
【0017】
本発明の固体電池100は、例えば、
図1および
図3それぞれにおいて、符号「100A」および「100B」(以下、単に「100」ということがある)で示されるような、層状構造(特に積層構造または積層構造体)を有するものである。すなわち、本発明の固体電池100は、1つ以上の正極層1および1つ以上の負極層2が固体電解質層3を介して交互に積層されており、積層構造の端面に端面電極4(4a、4b)を有している。積層構造の端面とは、積層されている各層の端面を含む、積層方向に平行な面(いわゆる側面)のことである。端面電極4a、4bは通常、積層構造において対向する2つの端面に形成されている。正極層1および負極層2の積層数は任意であり特に限定されない。本発明の固体電池は並列構造を有していてもよいし、または直列構造を有していてもよい。
図1および
図3はそれぞれ、本発明に係る第1実施態様および第2実施態様にかかる固体電池の模式的断面図である。
【0018】
まず、本発明の固体電池を構成する各層(部材)について説明する。
【0019】
(電極層)
電極層は正極層1および負極層2を包含する。本発明の固体電池において、電極層は電池反応機能と集電機能とを併せ持つ層であり、すなわち活物質および電子伝導性材料を含む。
【0020】
正極層1は、いわゆる正極活物質および電子導電性材料を含み、後述する固体電解質材料および/または接合性材料をさらに含んでもよい。正極層1は通常、正極活物質粒子および電子導電性材料を含む焼結体により構成されており、正極活物質粒子、電子伝導性材料粒子、ならびに所望により含有される固体電解質粒子および/または接合性材料を含む焼結体により構成されてもよい。
【0021】
負極層2は、いわゆる負極活物質および電子導電性材料を含み、後述する固体電解質材料および/または接合性材料をさらに含んでもよい。負極層2は通常、負極活物質粒子および電子導電性材料を含む焼結体により構成されており、負極活物質粒子、電子伝導性材料粒子、ならびに所望により含有される固体電解質粒子および/または接合性材料を含む焼結体により構成されてもよい。
【0022】
正極層に含まれる正極活物質および負極層に含まれる負極活物質は、固体電池において電子の受け渡しに関与する物質であり、固体電解質層を構成する固体電解質材料に含まれるイオンが正極と負極との間で移動(伝導)して電子の受け渡しが行われることで充放電がなされる。正極層および負極層は特にリチウムイオンまたはナトリウムイオンを吸蔵放出可能な層であることが好ましい。つまり、本発明の固体電池は、固体電解質層を介してリチウムイオンまたはナトリウムイオンが正極と負極との間で移動して電池の充放電が行われる固体二次電池であることが好ましい。
【0023】
正極層に含まれる正極活物質としては、特に限定されず、例えば、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、リチウム含有層状酸化物、およびスピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li3V2(PO4)3等が挙げられる。オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、LiFePO4、LiMnPO4等が挙げられる。リチウム含有層状酸化物の一例としては、LiCoO2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2等が挙げられる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の一例としては、LiMn2O4、LiNi0.5Mn1.5O4等が挙げられる。
【0024】
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ナトリウム含有層状酸化物およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0025】
負極層に含まれる負極活物質としては、特に限定されず、例えば、Ti、Si、Sn、Cr、Fe、Nb、および、Moからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物、黒鉛-リチウム化合物、リチウム合金、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、およびスピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。リチウム合金の一例としては、Li-Al等が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li3V2(PO4)3等が挙げられる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の一例としては、Li4Ti5O12等が挙げられる。
【0026】
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0027】
正極層および負極層に含まれる電子伝導性材料としては、特に限定されず、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属材料;および炭素材料が挙げられる。特に、炭素は正極活物質、負極活物質および固体電解質材と反応し難く、固体電池の内部抵抗の低減に効果があるため好ましい。
【0028】
正極層および負極層に含まれてよい固体電解質材料は、例えば、後述の固体電解質層に含まれ得る固体電解質材料と同様の材料から選択されてよい。
【0029】
正極層および負極層に含まれてよい接合性材料は、例えば、後述の接合部位に含まれ得る接合性材料と同様の材料から選択されてよい。
【0030】
正極層および負極層はそれぞれ独立して焼結助剤をさらに含んでよい。焼結助剤は、特に限定されるものではなく、例えば、リチウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ビスマス、および酸化リンからなる群から選択される少なくとも1種であり得る。
【0031】
電極層(正極層および負極層)の厚みは特に限定されず、例えば、それぞれ独立して、2μm以上50μm以下であり、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から、好ましくは5μm以上30μm以下であり、より好ましくは5μm以上20μm以下である。
【0032】
正極層1および負極層2の合計積層数は特に限定されず、例えば、2個以上2000個以下、特に2個以上200個以下であってもよい。
【0033】
(集電層)
本発明において一部の電極層(すなわち正極層1および/または負極層2の一部)は集電層5を有してもよい。固体電池のエネルギー密度のさらなる向上の観点から、全ての電極層は集電層5を有さないことが好ましい。
【0034】
集電層は箔の形態を有していてもよいが、一体焼成による固体電池の製造コストの低減および固体電池の内部抵抗の低減の観点から、焼結体の形態を有することが好ましい。
【0035】
集電層が焼結体の形態を有する場合、例えば、電子伝導性材料粒子および焼結助剤を含む焼結体により構成されてもよい。集電層に含まれる電子伝導性材料は、例えば、電極層に含まれ得る電子伝導性材料と同様の材料から選択されてよい。集電層に含まれる焼結助剤は、例えば、電極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。
【0036】
集電層の厚みは特に限定されず、例えば、1μm以上5μm以下、特に1μm以上3μm以下であってもよい。
【0037】
(固体電解質層)
固体電解質層3は固体電解質粒子を含む焼結体により構成されている。固体電解質粒子の材料(すなわち固体電解質材料)は、正極層と負極層との間で移動(伝導)し得るイオン(例えばリチウムイオンまたはナトリウムイオン)を提供できる限り特に限定されない。固体電解質材料としては、例えば、ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物等が挙げられる。ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物としては、LixMy(PO4)3(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrからなる群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、例えば、Li1.2Al0.2Ti1.8(PO4)3等が挙げられる。ペロブスカイト構造を有する酸化物の一例としては、La0.55Li0.35TiO3等が挙げられる。ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物の一例としては、Li7La3Zr2O12等が挙げられる。
また、ナトリウムイオンが伝導可能な固体電解質としては、例えば、ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物等が挙げられる。ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物としては、NaxMy(PO4)3(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。
【0038】
固体電解質層は焼結助剤を含んでよい。固体電解質層に含まれる焼結助剤は、例えば、電極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。
【0039】
固体電解質層の厚みは特に限定されず、例えば、1μm以上15μm以下、特に1μm以上5μm以下であってもよい。
【0040】
(端面電極)
端面電極4は積層構造の端面に形成される電極であり、通常は積層構造体において対向する2つの端面に形成される正極および負極の端面電極(それぞれ4a、4b)のことである。端面電極4a、4bはそれぞれ、積層構造の端面における全面に形成されてもよいし、または一部に形成されてもよい。端面電極4a、4bは、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から、積層構造の端面における全面に形成されることが好ましい。積層構造の端面とは、積層されている各層の端面を含む、積層方向に平行な面(いわゆる側面)のことである。
【0041】
端面電極4は通常、電子伝導性材料粒子および焼結助剤を含む焼結体により構成されている。端面電極4に含まれる電子伝導性材料は、例えば、電極層に含まれ得る電子伝導性材料と同様の材料から選択されてよい。端面電極4に含まれる焼結助剤は、例えば、電極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。
【0042】
端面電極の厚みは特に限定されず、例えば、1μm以上20μm以下、特に1μm以上10μm以下であってもよい。端面電極の厚みとは、端面電極4におけるZa方向またはZb方向の長さ寸法のことであり、詳しくは
図1および
図3における符号「T」で示される長さである。
【0043】
(絶縁層)
絶縁層5は通常、正極層1と負極の端面電極40bとの間および負極層2と正極の端面電極40aとの間に配置される。絶縁層は電気絶縁性を有する層であれば特に限定されず、例えば、固体電解質材料から構成されてもよいし、または空気から構成されてもよい。
【0044】
絶縁層5が固体電解質材料を含む場合、絶縁層は固体電解質材料を含む焼結体により構成されていることが好ましく、さらに焼結助剤を含んでもよい。
【0045】
絶縁層5に含まれてよい固体電解質材料は、例えば、固体電解質層に含まれ得る固体電解質材料と同様の材料から選択されてよい。絶縁層に含まれてよい焼結助剤は、例えば、電極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。
【0046】
(接合部位)
本発明の固体電池100は、後述するように、接合部位6を含んでもよい。接合部位は電極層と当該電極層と同極の端面電極との接合を担う部位である。
【0047】
接合部位6は通常、接合性材料を含む焼結体により構成されている。接合性材料(例えば粒子)は、例えば、電極層の構成材料(例えば粒子)および端面電極の構成材料(例えば粒子)と接触して焼結したとき、これらの粒子界面において結合が達成され易い無機系粒子である。接合性材料は電子伝導性および/またはイオン導電性を有していてもよいし、または有していなくてもよいが、電子伝導性を有していることが好ましい。接合性材料としては、例えば、石英ガラス(SiO2)や、SiO2とPbO,B2O3,MgO,ZnO,Bi2O3,Na2O,Al2O3,CaO,BaO,から選ばれる少なくとも1つとを組合わせた複合酸化物系ガラスや、酸化インジウムスズ(ITO),ZnO,CoO,NiO,MnO,CuO,BaTiO3,SrTiO3,LaCoO3等が挙げられる。
【0048】
接合部位6は接合性材料の他に、電子伝導性材料、固体電解質材料、および/または焼結助剤をさらに含んでもよい。接合部位6に含まれる電子伝導性材料は、例えば、電極層に含まれ得る電子伝導性材料と同様の材料から選択されてよい。接合部位6に含まれる固体電解質材料は、例えば、固体電解質層に含まれ得る固体電解質材料と同様の材料から選択されてよい。接合部位6に含まれる焼結助剤は、例えば、電極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。
【0049】
接合部位6の厚み(すなわち積層方向Lの厚み)は特に限定されず、通常は端面電極と接合させる電極層と同様の厚みであってもよい。
【0050】
(保護層)
電極層の最外面には通常、保護層7が配置されている。電極層の最外面とは、最上に配置される電極層(
図1および
図3では正極層1)の最上面および最下に配置される電極層(
図1および
図3では正極層1)の最下面のことである。
【0051】
保護層7は、電気絶縁性を有し、かつ固体電池を外部からの衝撃から保護する層であれば特に限定されず、例えば、固体電解質材料から構成されてもよいし、または種々の樹脂材料、セラミック、ガラス材料、金属―樹脂積層材料などから構成されてもよい。
【0052】
保護層7が固体電解質材料を含む場合、保護層は固体電解質材料を含む焼結体により構成されていることが好ましく、さらに焼結助剤を含んでもよい。
【0053】
保護層7に含まれてよい固体電解質材料は、例えば、固体電解質層に含まれ得る固体電解質材料と同様の材料から選択されてよい。保護層に含まれてよい焼結助剤は、例えば、電極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。
【0054】
保護層7の厚みは特に限定されず、例えば、1μm以上1000μm以下、特に10μm以上200μm以下であってもよい。
【0055】
(本発明の固体電池のより重要な特徴的構造)
本発明の固体電池は集電部材レス構造を有する。集電部材レス構造とは、正極層または負極層の少なくとも一方の電極層が、集電層および集電体(例えば箔)等の集電部材を有さない構造のことである。「集電層および集電体(例えば箔)等の集電部材」とは、電池反応(例えば電子発生反応)に直接的に寄与することなく、集電機能を専ら発揮する部材のことであり、従って、電極としての機能と、集電体としての機能を兼ね備えている電極層とは異なる。
【0056】
集電部材レス構造を有する電極層は、電極としての機能と、集電体としての機能を兼ね備えている。電極層が電極としての機能と集電体としての機能を兼ね備えているとは、当該電極層は電池反応(充放電反応)を行うだけでなく、当該反応により発生した電子を端面電極に移動または誘導させることができる、という意味である。これらの機能を兼ね備えている正極層および負極層等の電極層は通常、活物質および電子伝導性材料を含み、箔等の集電体や集電層等の他の部材を要することなく、電子を端面電極に移動させることができる。
【0057】
本発明の固体電池においては、
図1および
図3に示すように、正極層1および負極層2の両方の電極層が集電部材レス構造を有していてもよいし、または一方の電極層が集電部材レス構造を有していてもよい。本発明の固体電池においては、固体電池のエネルギー密度のさらなる向上の観点から、正極層1および負極層2の両方の電極層が集電部材レス構造を有していることが好ましい。本発明の固体電池においては、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制および固体電池のエネルギー密度のさらなる向上の観点から、正極層1および負極層2の両方の電極層が集電部材レス構造を有し、かつ後述する端部凹凸形状を有していることが好ましい。
【0058】
本発明の固体電池において、正極層1または負極層2の少なくとも一方の電極層(特に集電部材レス構造を有する電極層)は、
図1、
図2A~
図2L、
図3および
図4A~
図4Iに示すように、端部凹凸形状を有している。端部凹凸形状とは、電極層(特に集電部材レス構造を有する電極層)が、
図1、
図2A~
図2L、
図3および
図4A~
図4Iに示すように、当該電極層と同極の端面電極4(4a、4b)側の端部(A1~A2およびB1~B2)において、平面視で、凹凸形状を有しながら、当該電極層と同極の端面電極4a、4bと電気的に接続されている構造のことである。例えば、正極層1(特に集電部材レス構造を有する正極層1)は、これらの図に示すように、正極の端面電極4a側の端部(A1~A2)において、平面視で、凹凸形状を有しながら、正極の端面電極4aと電気的に接続されている。また例えば、負極層2(特に集電部材レス構造を有する負極層2)は、これらの図に示すように、負極の端面電極4b側の端部(B1~B2)において、平面視で、凹凸形状を有しながら、負極の端面電極4bと電気的に接続されている。
図2A~
図2Lはいずれも、
図1に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
図2A~
図2Lにおいては、負極層2が左側で負極側の端面電極4b(特にその取り出し部40b)と接合する際の構造例を示しているが、正極層1が左側で正極側の端面電極4a(特にその取り出し部40a)と接合する際の構造例も併せて示している。例えば、
図2A~
図2Lにおいて負極層2が示されるとき、
図2A~
図2Lはいずれも、
図1においてB1部をP方向(すなわち鉛直方向で下方向)で見たときの負極層と取り出し部40bとの接合部の拡大平面図である。また例えば、
図2A~
図2Lにおいて正極層1が示されるとき、
図2A~
図2Lはいずれも、
図1においてA1部をP方向(すなわち鉛直方向で下方向)で見たときの正極層と取り出し部40aとの接合部の拡大平面図である。
図4A~
図4Iはいずれも、
図3に示す本発明の固体電池において負極層(または正極層)が端面電極側の端部に有し得る凹凸形状の一例を説明するための負極層(または正極層)の当該端部近傍の拡大模式的平面図である。
図4A~
図4Iにおいては、負極層2が左側で負極側の端面電極4b(特にその取り出し部40b)と接合部位6bを介して接合する際の構造例を示しているが、正極層1が左側で正極側の端面電極4a(特にその取り出し部40a)と接合部位6aを介して接合する際の構造例も併せて示している。例えば、
図4A~
図4Iにおいて負極層2が示されるとき、
図4A~
図4Iはいずれも、
図3においてB2部をP方向(すなわち鉛直方向で下方向)で見たときの、接合部位6bを介した負極層2と取り出し部40bとの接合部の拡大平面図である。また例えば、
図4A~
図4Iにおいて正極層1が示されるとき、
図4A~
図4Iはいずれも、
図3においてA2部をP方向(すなわち鉛直方向で下方向)で見たときの、接合部位6aを介した正極層1と取り出し部40aとの接合部の拡大平面図である。
【0059】
詳しくは電極層1,2は、
図1および
図3に示すように、当該電極層と同極の端面電極4(4a、4b)側の端部(A1~A2およびB1~B2)において、平面視で、凹凸形状を有しており、当該凹凸形状における凸部10,20は、
図2A~
図2Lおよび
図4A~
図4Iに示すように、平面視において、当該電極層と同極の端面電極4(4a、4b)側(すなわちZa方向、Zb方向)に突出している。例えば、正極層1は、正極の端面電極4a側の端部(A1~A2)において凹凸形状を有しており、当該凹凸形状における凸部10は、平面視において、正極の端面電極4a側(すなわちZa方向)に突出している。また例えば、負極層2は、負極の端面電極4b側の端部(B1~B2)において凹凸形状を有しており、当該凹凸形状における凸部20は、平面視において、負極の端面電極4b側(すなわちZb方向)に突出している。
【0060】
電極層1,2における端面電極4(4a、4b)側の端部(A1~A2およびB1~B2)が、平面視で、凹凸形状を有するとは、平面視において、当該電極層における当該端部の端面が直線で示されるものではないことを意味する。詳しくは、各電極層1,2において、当該電極層と同極の端面電極4(4a、4b)側の端部(A1~A2およびB1~B2)は、
図2A~
図2Lおよび
図4A~
図4Iに示すように、平面視において当該端部の端面を規定する線分上の点のうち端面電極4から最も遠位の点を通る鉛直線Xを基準にして、当該電極層と同極の端面電極4(4a、4b)の側(すなわちZa、Zb方向)に突出している。例えば、正極層1において、正極の端面電極4a側の端部10は、
図2A~
図2Lおよび
図4A~
図4Iに示すように、平面視において当該端部の端面を規定する線分上の点のうち端面電極4aから最も遠位の点を通る直線Xを基準にして、正極の端面電極4aの側(Za方向)に突出している。また例えば、負極層2において、負極の端面電極4b側の端部20は、
図2A~
図2Lおよび
図4A~
図4Iに示すように、平面視において当該端部の端面を規定する線分上の点のうち端面電極4bから最も遠位の点を通る直線Xを基準にして、負極の端面電極4bの側(Zb方向)に突出している。直線Xは通常、水平面に対して垂直な平面を規定する直線である。
【0061】
電極層1,2それぞれにおける端面電極4(4a、4b)側の端部(A1~A2およびB1~B2)は、当該電極層と同極の端面電極4(4a、4b)と直接的に接続されてもよいし、または間接的に接続されてもよい。端部が端面電極と直接的に接続されているとは、
図1の端部A1およびB1のように、当該端部が端面電極4と直接的かつ電気的に接続されているという意味である。端部が端面電極と間接的に接続されているとは、
図3の端部A2およびB2のように、当該端部が接合部位6を介して端面電極4と間接的かつ電気的に接続されているという意味である。
【0062】
本発明の固体電池が、正極層1および/または負極層2等の電極層における端面電極側の端部において、端部凹凸形状を有することにより、当該電極層は端面電極または接合部位と“入り組んで”接合することができる。その結果、端部凹凸形状を有さない場合と比較して、電極層と端面電極または接合部位との接合面積を増加させることができ、接合不良による電池特性の低下をより十分に抑制することが出来る。
【0063】
電極層の端部凹凸形状における凸部10,20の突出長さLは通常、1μm以上500μm以下であり、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から、好ましくは10μm以上200μm以下である。凸部10,20の突出長さLは、
図2A~
図2Lおよび
図4A~
図4Iに示すように平面視において、当該端部の端面を規定する線分上の点のうち端面電極から最も遠位の点から最も近位の点までの水平方向での長さ(すなわち距離)のことである。
【0064】
電極層が有し得る端部凹凸形状は、凸部と凹部を有する限り特に限定されない。
【0065】
凹凸形状を構成する凹部および凸部はそれぞれ独立して、部分的または全体的に、R形状(radiused shape)および/または角形状を有していてもよい。
凹凸形状を構成する凹部および凸部はそれぞれ独立して、寸法が揃っていてもよいし、または揃っていなくてもよい。
凹凸形状を構成する凹部および凸部の数は特に限定されず、例えば、凸部が連続して(または重なって)存在するような数であってもよいし、または凸部が断続的に存在するような数であってもよい。
【0066】
電極層が有し得る凹凸形状は、複数の凹部および複数の凸部が規則的に並んだ規則的凹凸形状であってもよいし、または複数の凹部および複数の凸部が不規則的に並んだ不規則的凹凸形状であってもよい。
【0067】
電極層1,2が有し得る規則的凹凸形状は、凹部の形状と凸部の形状との組み合わせに応じて、例えば、規則的角凹-丸凸形状、規則的角凹-角凸形状、規則的丸凹-角凸形状、および規則的丸凹-丸凸形状が挙げられる。
【0068】
【0069】
規則的角凹-角凸形状は、例えば、
図2B、
図2C、
図2E、
図2Fに示す凹凸形状のように、角形状を有する複数の凹部と、角形状を有する複数の凸部とが規則的に並んだ規則的凹凸形状である。
【0070】
【0071】
規則的丸凹-丸凸形状は、例えば、
図2Kに示す凹凸形状のように、丸形状を有する複数の凹部と、丸形状を有する複数の凸部とが規則的に並んだ規則的凹凸形状である。
【0072】
電極層1,2が有し得る不規則的凹凸形状は、凹部の形状と凸部の形状との組み合わせに応じて、例えば、不規則的角凹-丸凸形状、不規則的角凹-角凸形状、不規則的丸凹-角凸形状、および不規則的丸凹-丸凸形状が挙げられる。
【0073】
不規則的角凹-丸凸形状は、例えば、角形状を有する複数の凹部と、丸み形状を有する複数の凸部とが不規則的に並んだ不規則的凹凸形状である。
【0074】
不規則的角凹-角凸形状は、例えば、
図2H、
図2Iに示す凹凸形状のように、角形状を有する複数の凹部と、角形状を有する複数の凸部とが不規則的に並んだ不規則的凹凸形状である。
【0075】
不規則的丸凹-角凸形状は、丸形状を有する複数の凹部と、角形状を有する複数の凸部とが不規則的に並んだ不規則的凹凸形状である。
【0076】
不規則的丸凹-丸凸形状は、丸形状を有する複数の凹部と、丸形状を有する複数の凸部とが不規則的に並んだ不規則的凹凸形状である。
【0077】
電極層が有し得る凹凸形状は、端面電極と電極層との接合強度の均一性の観点から、規則的凹凸形状であることが好ましい。
電極層が有し得る凹凸形状は、電極層と端面電極または接合部位との接合面積のさらなる増加に基づく、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から、規則的角凹-丸凸形状、規則的角凹-角凸形状、規則的丸凹-角凸形状が好ましく、特に規則的角凹-角凸形状が好ましい。
【0078】
電極層が有し得る凹凸形状が規則的凹凸形状であるとき、当該規則的凹凸形状におけるピッチ(すなわち周期)M(
図2A~
図2G、
図2J~
図2Lおよび
図4A~
図4I参照)は通常、10μm以上、特に10μm以上1000μm以下であり、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から、好ましくは10μm以上500μm以下、より好ましくは10μm以上200μm以下である。
【0079】
本発明の固体電池においては、正極層1および負極層2の両方の電極層(特に集電部材レス構造を有する両方の電極層)が端部凹凸形状を有していてもよいし、または一方の電極層(特に集電部材レス構造を有する一方の電極層)が端部凹凸形状を有していてもよい。本発明の固体電池においては、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制および固体電池のエネルギー密度のさらなる向上の観点から、正極層1および負極層2の両方の電極層が端部凹凸形状を有していることが好ましく、より好ましくは端部凹凸形状および集電部材レス構造を有する。
【0080】
正極層1が端部凹凸形状を有する場合、必ずしも全ての正極層1が端部凹凸形状を有さなければならないわけではなく、一部の正極層1(特に最外の正極層1)は端部凹凸形状を有さなくてもよい。最外の正極層1とは、最上の正極層および/または最下の正極層のことである。本発明の固体電池においては、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制および固体電池のエネルギー密度のさらなる向上の観点から、全ての正極層1が端部凹凸形状を有することが好ましく、より好ましくは端部凹凸形状および集電部材レス構造を有する。
【0081】
負極層2が端部凹凸形状を有する場合、正極層1においてと同様に、必ずしも全ての負極層2が端部凹凸形状を有さなければならないわけではなく、一部の負極層2は端部凹凸形状を有さなくてもよい。本発明の固体電池においては、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制および固体電池のエネルギー密度のさらなる向上の観点から、全ての負極層2が端部凹凸形状を有することが好ましく、より好ましくは端部凹凸形状および集電部材レス構造を有する。
【0082】
電極層1,2の端面電極側の端部が端面電極4(4a、4b)と直接的かつ電気的に接続されている場合、端面電極4(4a、4b)は、平面視において、例えば
図1および
図2A~
図2Lに示すように、当該電極層の端面電極側の端部(特に端部凹凸形状)に対して相補的な形状となる取り出し部40(40a、40b)を有する。取り出し部40(40a、40b)は、端面電極4(4a、4b)の一部を構成しつつ、電極層の端部凹凸形状(特に凸部および凹部)に対応する相補的形状を有する部材であり、通常は端面電極4と同様の材料から構成されている。端面電極4(4a、4b)の取り出し部40(40a、40b)は、
図1および
図2A~
図2L(特に
図1)に示すように、当該端面電極4と同極性の電極層1,2側に突出している。すなわち、正極側の端面電極4aが有する取り出し部40aは正極層1に向けて突出し、負極側の端面電極4bが有する取り出し部40bは負極層2に向けて突出している。この場合において取り出し部40a、40bが有する相補的形状とは、電極層1,2の端面電極側の端部(特にその端部凹凸形状)に対して、例えば限りなく0mmに近い(特に0mm)クリアランスで当接または嵌合可能な形状のことである。このような取り出し部40(40a、40b)により、電極層1,2(特にその端面電極側の端部)と端面電極4(4a、4b)(特にその取り出し部40(40a、40b))との接続および篏合が達成されている。電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から、電極層1,2(特にその端面電極側の端部)は端面電極4(4a、4b)(特にその取り出し部40(40a、40b))と焼結体同士の一体焼結をなしていることが好ましい。焼結体同士の一体焼結をなしているとは、隣接または接触する2つまたはそれ以上の部材が焼結により接合されているという意味である。ここでは、電極層1,2(特にその端面電極側の端部)および端面電極4(4a、4b)(特にその取り出し部40(40a、40b))はいずれも焼結体でありながら、一体的に焼結されていることが、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から好ましい。
【0083】
電極層1,2の端面電極側の端部が端面電極4(4a、4b)と直接的かつ電気的に接続されている場合、電極層1,2の端面電極側の端部は通常、
図1および
図2A~
図2Lに示すように、その端面全面で、端面電極4(4a、4b)(特にその取り出し部40(40a、40b))と直接的かつ電気的に接続されている。
【0084】
電極層1,2の端面電極側の端部は、接合部位6(6a、6b)を介して、端面電極4(4a、4b)と間接的かつ電気的に接続されていてもよい。これより、電極層の端面電極との接合強度(特に電極層の接合部位を介した端面電極との接合強度)がより一層、増加し、電極層と端面電極との接合不良に伴う電池性能の低下をより一層、十分に抑制することができる。
【0085】
電極層1,2の端面電極側の端部が、接合部位6(6a、6b)を介して、端面電極4(4a、4b)と間接的かつ電気的に接続されている場合、接合部位6(6a、6b)は、電極層1,2側において、例えば
図3および
図4A~
図4I(特に
図4A~
図4C、
図4E~
図4Fおよび
図4H~
図4I)に示すように、平面視で、当該電極層1,2の端部(特にその端部凹凸形状)に対して相補的な形状を有する。例えば、正極層1の接合部位6aは、正極層1側において、例えば
図3および
図4A~
図4Iに示すように、平面視で、当該正極層1の端部(特にその端部凹凸形状)に対して相補的な形状を有する。また例えば、負極層2の接合部位6bは、負極層2側において、例えば
図3および
図4A~
図4Iに示すように、平面視で、当該負極層2の端部(特にその端部凹凸形状)に対して相補的な形状を有する。接合部位6(6a、6b)が電極層1,2側で有する相補的形状とは、電極層1,2の端面電極側の端部(特に凸部および凹部)に対して、例えば限りなく0mmに近い(特に0mm)クリアランスで当接または嵌合可能な形状のことである。このような相補的形状により、電極層1,2(特にその端面電極側の端部)と接合部位6(6a、6b)との接続および篏合が達成されている。電極層1,2(特にその端面電極側の端部)は接合部位6(6a、6b)と焼結体同士の一体焼結をなしていることが好ましい。焼結体同士の一体焼結をなしているとは、隣接または接触する2つまたはそれ以上の部材が焼結により接合されているという意味である。ここでは、電極層1,2(特にその端面電極側の端部)および接合部位6(6a、6b)はいずれも焼結体でありながら、一体的に焼結されていることが好ましい。接合部位6は通常、電極層(正極層1および/または負極層2)および端面電極4の構成材料とは異なる材料から構成されている。例えば、接合部位6は正極層1の構成材料、負極層2の構成材料および端面電極4の構成材料(ならびに固体電解質層3の構成材料)とは、構成材料の種類および/または配合比率が異なる材料から構成されている。
【0086】
接合部位6(6a、6b)は、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から、
図4A、
図4C、
図4Fおよび
図4Iに示すように、端面電極側の端部(すなわち、接合部位において、平面視で、電極層の端部凹凸形状に対して相補的な形状を有する部分とは反対側の端部)において、端部凹凸形状を有していることが好ましい。接合部位の端部凹凸形状は、電極層の端部凹凸形状と略同様であり、すなわち、接合部位6が、
図4A~
図4Iに示すように、端面電極4(4a、4b)側の端部(C1およびD1)において、平面視で凹凸形状を有しながら、端面電極4a、4bと電気的に接続されている構造のことである。詳しくは、各電極層の接合部位6(6a、6b)は、
図4A、
図4C、
図4Fおよび
図4Iに示すように、当該電極層と同極の端面電極4(4a、4b)側の端部(C1およびD1)において、平面視で凹凸形状を有しており、当該凹凸形状における凸部60(60a、60b)は、平面視において、当該電極層と同極の端面電極側に突出している。例えば、正極層1の接合部位6aは、
図4A、
図4C、
図4Fおよび
図4Iに示すように、正極の端面電極4a側の端部(C1)において、平面視で凹凸形状を有しており、当該凹凸形状における凸部60aは、平面視において、正極の端面電極4a側(すなわちZa方向)に突出している。また例えば、負極層2の接合部位6bは、
図4A、
図4C、
図4Fおよび
図4Iに示すように、負極の端面電極4b側の端部(D1)において、平面視で凹凸形状を有しており、当該凹凸形状における凸部60bは、平面視において、負極の端面電極4b側に突出している。
【0087】
各電極層の接合部位6において、当該電極層と同極の端面電極側の端部の端面は、平面視において、直線で示されるものではない。詳しくは、例えば、正極層1の接合部位6aにおいて、正極の端面電極4a側の端部(特にその凹凸形状の凸部60a)は、
図4A、
図4C、
図4Fおよび
図4Iに示すように、平面視において当該端部の端面を規定する線分上の点のうち端面電極4aから最も遠位の点を通る鉛直線X'を基準にして、正極の端面電極4aの側(Za方向)に突出している。また例えば、負極層2の接合部位6bにおいて、負極の端面電極4b側の端部(特にその凹凸形状の凸部60b)は、
図4A、
図4C、
図4Fおよび
図4Iに示すように、平面視において当該端部の端面を規定する線分上の点のうち端面電極4bから最も遠位の点を通る鉛直線X'を基準にして、負極の端面電極4bの側(Zb方向)に突出している。
【0088】
接合部位6(6a、6b)それぞれにおける端面電極4(4a、4b)側の端部(特にその凹凸形状の凸部および凹部)は、端面電極4(4a、4b)と直接的に接続されている。端部が端面電極と直接的に接続されているとは、
図4A、
図4C、
図4Fおよび
図4Iの端部(特にその凹凸形状の凸部および凹部)のように、当該端部が端面電極4(特にその取り出し部40(40a、40b))と直接的かつ電気的に接続されているという意味である。
【0089】
接合部位6(6a、6b)が、端面電極側の端部において、端部凹凸形状を有することにより、接合部位6(6a、6b)は端面電極と“入り組んで”接合することができる。その結果、端部凹凸形状を有さない場合と比較して、端面電極と接合部位との接合面積をより増加させることができる。このため、電極層は端面電極と、接合部位を介して、強固に接続され、接合不良による電池特性の低下をより十分に抑制することが出来る。
【0090】
接合部位6(6a、6b)の端部凹凸形状における凸部の突出長さL'は、上記した電極層の端部凹凸形状における凸部の突出長さLから独立して、当該突出長さLと同様の範囲内の値であってよい。突出長さL'は通常、1μm以上500μm以下であり、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から、好ましくは10μm以上200μm以下である。凸部の突出長さL'は、
図4A、
図4C、
図4Fおよび
図4Iに示すように、平面視において、当該端部の端面を規定する線分上の点のうち端面電極から最も遠位の点から最も近位の点までの水平方向での長さ(すなわち距離)のことである。
【0091】
接合部位6(6a、6b)が有し得る端部凹凸形状は、当該端部が凸部と凹部を有する限り特に限定されない。例えば、接合部位6(6a、6b)が有し得る端部凹凸形状は、上記した電極層の端部凹凸形状と同様の範囲内から選択されてもよい。接合部位6(6a、6b)の端部凹凸形状は、例えば、規則的凹凸形状であってもよいし、または不規則的凹凸形状であってもよい。
【0092】
接合部位6(6a、6b)が有し得る規則的凹凸形状は、電極層が有し得る規則的凹凸形状と同様である。
【0093】
接合部位6(6a、6b)が有し得る不規則的凹凸形状は、電極層が有し得る不規則的凹凸形状と同様である。
【0094】
接合部位6(6a、6b)が有し得る凹凸形状は、端面電極と接合部位との接合強度の均一性の観点から、規則的凹凸形状であることが好ましい。
接合部位6(6a、6b)が有し得る凹凸形状は、端面電極と接合部位との接合面積のさらなる増加に基づく、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から、規則的角凹-丸凸形状、規則的角凹-角凸形状、規則的丸凹-角凸形状が好ましく、特に規則的角凹-角凸形状が好ましい。
【0095】
接合部位6(6a、6b)が有し得る凹凸形状が規則的凹凸形状であるとき、当該規則的凹凸形状におけるピッチ(すなわち周期)M'(
図4A、
図4C、
図4Fおよび
図4I参照)は電極層1,2の端部凹凸形状におけるピッチMと同様の範囲内の値であってもよい。例えば、接合部位6(6a、6b)が有し得る規則的凹凸形状におけるピッチ(すなわち周期)M'は、接合部位と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から、好ましくは10μm以上500μm以下、より好ましくは10μm以上200μm以下である。
【0096】
電極層1,2の端面電極側の端部が、接合部位6(6a、6b)を介して、端面電極4(4a、4b)と間接的かつ電気的に接続されている場合、例えば
図4Dおよび
図4Gに示すように、接合部位6(6a、6b)は、端面電極4(4a、4b)の電極層側の端部(特にその取り出し部40a、40b)とともに、平面視で、当該電極層1,2の端部(特にその端部凹凸形状)に対して相補的な形状を有してもよい。例えば、正極層1の接合部位6aは、例えば
図4Dおよび
図Gに示すように、端面電極4aの電極層側の端部(特にその取り出し部40a)とともに、平面視で、当該正極層1の端部(特に端部凹凸形状)に対して相補的な形状を有してもよい。また例えば、負極層2の接合部位6bは、例えば
図4Dおよび
図4Gに示すように、端面電極4bの電極層側の端部(特にその取り出し部40b)とともに、平面視で、当該負極層2の端部(特にその端部凹凸形状)に対して相補的な形状を有してもよい。これにより、電極層の端面電極との接合強度(特に電極層の接合部位を介した端面電極との接合強度の向上効果と、電子のより円滑な移動促進効果とのバランスに優れる。詳しくは電極層の端面電極との接合強度(特に電極層の接合部位を介した端面電極との接合強度)がより一層、増加するだけでなく、電子をより円滑に移動させることができる。これらの結果、電極層と端面電極との接合不良に伴う電池性能の低下をより一層、十分に抑制することができるとともに、電極層の集電機能をより一層、十分に向上させることができる。
【0097】
電極層1,2の端面電極側の端部が、接合部位6(6a、6b)を介して、端面電極4(4a、4b)と間接的かつ電気的に接続され、かつ接合部位6が端面電極側の端部で端部凹凸形状を有している場合、端面電極4(4a、4b)は、平面視において、例えば
図3および
図4A、
図4C、
図4Fおよび
図4Iに示すように、当該接合部位6(6a、6b)の端面電極側の端部に対して相補的な形状となる取り出し部40(40a、40b)を有することが好ましい。取り出し部40(40a、40b)は、端面電極4(4a、4b)の一部を構成しつつ、接合部位6の端部凹凸形状(特に凸部および凹部)に対応する相補的形状を有する部材であり、通常は端面電極4と同様の材料から構成されている。端面電極4(4a、4b)の取り出し部40(40a、40b)は、
図3および
図4A、
図4C、
図4Fおよび
図4I(特に
図3)に示すように、当該端面電極4と同極性の電極層1,2側(すなわち接合部位6側)に突出している。すなわち、正極側の端面電極4aが有する取り出し部40aは正極層1に向けて突出し、負極側の端面電極4bが有する取り出し部40bは負極層2に向けて突出している。この場合において取り出し部40a、40bが有する相補的形状とは、接合部位6の端面電極側の端部(特にその端部凹凸形状)に対して、例えば限りなく0mmに近い(特に0mm)クリアランスで嵌合可能な形状のことである。このような取り出し部40(40a、40b)により、接合部位6(特にその端面電極側の端部)と端面電極4(4a、4b)(特にその取り出し部40(40a、40b))との接続および篏合が達成されている。電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から、電極層1,2(特にその端面電極側の端部)は接合部位6(6a、6b)(特にその電極層側の端部)と焼結体同士の一体焼結をなしていることが好ましい。焼結体同士の一体焼結をなしているとは、隣接または接触する2つまたはそれ以上の部材が焼結により接合されているという意味である。ここでは、電極層1,2(特にその端面電極側の端部)および接合部位6(6a、6b)(特にその電極層側の端部)はいずれも焼結体でありながら、一体的に焼結されていることが、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から好ましい。電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から、電極層1,2は接合部位6(6a、6b)および端面電極4(4a、4b)と焼結体同士の一体焼結をなしていることがより好ましい。ここでは、電極層1,2、接合部位6(6a、6b)および端面電極4(4a、4b)はいずれも焼結体でありながら、一体的に焼結されていることが、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点からより好ましい。
【0098】
電極層1,2の端面電極側の端部が、接合部位6(6a、6b)を介して、端面電極4(4a、4b)と間接的かつ電気的に接続されている場合、電極層1,2の端面電極側の端部は、
図4A、
図4C、
図4E、
図4F、
図4Hおよび
図4Iに示すように、その端面全面で、接合部位6(6a、6b)と直接的かつ電気的に接続されていてもよい。このとき、接合部位は接合性材料とともに、電子伝導性材料を含む。接合部位はさらに、電極層の構成材料および/または端面電極の構成材料をさらに含んでもよい。電極層1,2の端面電極側の端部が、その端面全面で、接合部位6と直接的かつ電気的に接続されることにより、電極層の端面電極との接合強度(特に電極層の接合部位を介した端面電極との接合強度)がより一層、増し、電極層と端面電極との接合不良に伴う電池性能の低下をより一層、十分に抑制することができる。
【0099】
電極層1,2の端面電極側の端部が、接合部位6(6a、6b)を介して、端面電極4(4a、4b)と間接的かつ電気的に接続されている場合、電極層1,2の端面電極側の端部は、
図4B、
図4Dおよび
図4Gに示すように、その端面の一部で、接合部位6(6a、6b)と直接的かつ電気的に接続されつつ、その端面の残部で、端面電極4(4a、4b)(特にその取り出し部40(40a、40b))と直接的かつ電気的に接続されていてもよい。このとき、接合部位は接合性材料を含み、電子伝導性材料をさらに含んでもよいし、または含まなくてもよい。接合部位は、電極層の構成材料および/または端面電極の構成材料をさらに含んでもよい。電極層1,2の端面電極側の端部が、その端面の一部で、接合部位6と直接的かつ電気的に接続されつつ、その端面の残部で、端面電極4と直接的かつ電気的に接続されることにより、電極層の端面電極との接合強度(特に電極層の接合部位を介した端面電極との接合強度)の向上効果と、電子のより円滑な移動促進効果とのバランスに優れる。詳しくは電極層の端面電極との接合強度(特に電極層の接合部位を介した端面電極との接合強度)がより一層、増加するだけでなく、電子をより円滑に移動させることができる。これらの結果、電極層と端面電極との接合不良に伴う電池性能の低下をより一層、十分に抑制することができるとともに、電極層の集電機能をより一層、十分に向上させることができる。
【0100】
電極層1,2の端面電極側の端部が、接合部位6(6a、6b)を介して、端面電極4(4a、4b)と間接的かつ電気的に接続され、かつ、接合部位6(6a、6b)が電極層の構成材料および端面電極の構成材料を含む場合、当該接合部位6(6a、6b)は組成のグラデーション構造を有することが好ましい。詳しくは、接合部位6(6a、6b)は、2つの端面電極4(4a、4b)間の距離を規定する直線方向(例えば、
図3および
図4A~
図4I中の左右方向)において、電極層に近づくに従って電極層の構成材料の濃度が高くなり、かつ端面電極に近づくに従って端面電極の構成材料の濃度が高くなるような濃度勾配を有することが好ましい。例えば、正極の接合部位6aは、2つの端面電極4(4a、4b)間の距離を規定する直線方向(例えば、
図3および
図4A~
図4I中の左右方向)において、正極層1に近づくに従って正極層1の構成材料の濃度が高くなり、かつ正極の端面電極4a(特にその取り出し部40a)に近づくに従って端面電極4aの構成材料の濃度が高くなるような濃度勾配を有することが好ましい。また例えば、負極の接合部位6bは、2つの端面電極4(4a、4b)間の距離を規定する直線方向(例えば、
図3および
図4A~
図4I中の左右方向)において、負極層2に近づくに従って負極層2の構成材料の濃度が高くなり、かつ負極の端面電極4b(特にその取り出し部40b)に近づくに従って端面電極4bの構成材料の濃度が高くなるような濃度勾配を有することが好ましい。接合部位がこのような組成の濃度勾配を有することにより、接合部位と電極層との接合強度および接合部位と端面電極との接合強度がより一層、増し、電極層と端面電極との接合不良に伴う電池性能の低下をより一層、十分に抑制することができる。
【0101】
接合部位6(6a、6b)における上記のような濃度勾配において、濃度変化は連続的であってもよいし、または段階的であってもよい。当該濃度変化は、接合部位と電極層との接合強度および接合部位と端面電極との接合強度のより一層の増加に基づく、電極層と端面電極との接続不良のより一層、十分な抑制の観点から、連続的であることが好ましい。
【0102】
一般的に電池反応は、極性が異なる対向する2つの電極層間の最短距離で効率的に生じる。そのため、積層方向において当該2つの電極層の対向面積は広いことが好ましい。正極層と負極層とが対向する領域をより十分に確保することによる電池特性のさらなる向上の観点から、好ましい実施態様Aにおいては、各電極層が端面電極側において端部凹凸形状を有する端部は、以下のように配置される:
各電極層が端面電極側において端部凹凸形状を有する端部(A1~A2およびB1~B2)は、例えば
図1および
図3に示すように、当該電極層とは異なる極性を有する直上および直下の電極層間の領域外に配置されていることが好ましい。例えば、各負極層が端面電極側において端部凹凸形状を有する端部は、その直上および直下の正極層間の領域外に配置されていることが好ましい。また例えば、各正極層が端面電極側において端部凹凸形状を有する端部は、その直上および直下の負極層間の領域外に配置されていることが好ましい。
【0103】
実施態様Aにおいては、換言すると、平面視(例えば平面視による透視)において、各電極層が端面電極側において端部凹凸形状を有する端部(A1~A2およびB1~B2)(厳密には、電極層の端部凹凸形状における凸部10,20)は、例えば
図1および
図3に示すように、当該電極層とは異なる極性を有する直上および直下の電極層と重ならない領域に配置されていることが好ましい。例えば、平面視(例えば平面視による透視)において、各負極層が端面電極側において端部凹凸形状を有する端部(厳密には、負極層2の端部凹凸形状における凸部20)は、例えば
図1および
図3に示すように、その直上および直下の正極層と重ならない領域に配置されていることが好ましい。また例えば、平面視(例えば平面視による透視)において、各正極層が端面電極側において端部凹凸形状を有する端部(厳密には、正極層1の端部凹凸形状における凸部10)は、例えば
図1および
図3に示すように、その直上および直下の負極層と重ならない領域に配置されていることが好ましい。
【0104】
なお、実施態様Aにおいて、一般的には、負極と対向していない正極部分があると、負極でリチウムデンドライトが発生し短絡の可能性があるので、正極面積および負極面積は、正極面積≦負極面積の関係を有することが好ましい。従って、正極層と負極層とが対向する領域をより十分に確保することによる電池特性のさらなる向上と、デンドライト発生の防止とのバランスの観点から、各電極層が端面電極側において端部凹凸形状を有する端部(A1~A2およびB1~B2)(厳密には、電極層の端部凹凸形状における凸部10,20)は、デンドライトが発生しない範囲で可能な限り外側(すなわち端面電極側)に配置されることが好ましい。
【0105】
正極層と負極層とが対向する領域をより十分に確保することによる電池特性のさらなる向上の観点から、好ましい実施態様Bにおいては、各電極層の接合部位6は、以下のように配置される:
各電極層の接合部位は、例えば
図3に示すように、当該電極層とは異なる極性を有する直上および直下の電極層間の領域外に配置されていることが好ましい。例えば、各負極層2の接合部位6bは、その直上および直下の正極層1間の領域外に配置されていることが好ましい。また例えば、各正極層1の接合部位6aは、その直上および直下の負極層2間の領域外に配置されていることが好ましい。
【0106】
実施態様Bにおいては、換言すると、平面視(例えば平面視による透視)において、各電極層の接合部位6は、例えば
図3に示すように、当該電極層とは異なる極性を有する直上および直下の電極層と重ならない領域に配置されていることが好ましい。例えば、平面視(例えば平面視による透視)において、各負極層2の接合部位6bは、例えば
図3に示すように、その直上および直下の正極層1と重ならない領域に配置されていることが好ましい。また例えば、平面視(例えば平面視による透視)において、各正極層1の接合部位6aは、例えば
図3に示すように、その直上および直下の負極層2と重ならない領域に配置されていることが好ましい。
【0107】
なお、実施態様Bにおいても、一般的には、負極と対向していない正極部分があると、負極でリチウムデンドライトが発生し短絡の可能性があるので、正極面積および負極面積は、正極面積≦負極面積の関係を有することが好ましい。従って、正極層と負極層とが対向する領域をより十分に確保することによる電池特性のさらなる向上と、デンドライト発生の防止とのバランスの観点から、各電極層の接合部位6は、デンドライトが発生しない範囲で可能な限り外側(すなわち端面電極側)に配置されることが好ましい。
【0108】
本発明の固体電池100においては、一体焼成による固体電池の製造コストの低減の観点から、電極層(正極層1および負極層2)、固体電解質層3および端面電極4(ならびに接合部位6)は、一体焼結をなしていることがより好ましい。すなわち、電極層(正極層1および負極層2)、固体電解質層3および端面電極4(ならびに接合部位6)はいずれも焼結体でありながら、一体的に焼結されていることが好ましい。必要により、絶縁層5および/または保護層7も同様に一体的に焼結されていることが好ましい。
【0109】
本発明の固体電池は平面視においてあらゆる形状を有していてもよく、通常は矩形状を有する。矩形状は正方形および長方形を包含する。
【0110】
[固体電池の製造方法]
本発明の固体電池100は、スクリーン印刷法等の印刷法、グリーンシートを用いるグリーンシート法、またはそれらの複合法により製造することができる。以下、印刷法を採用する場合について詳しく説明するが、当該方法に限定されないことは明らかである。
【0111】
本発明の固体電池の製造方法は、
未焼成積層体を印刷法により形成する工程;および
未焼成積層体を焼成する工程
を含む。
【0112】
(未焼成積層体の形成工程)
本工程では、正極層用ペースト、負極層用ペースト、固体電解質層用ペースト、端面電極用ペースト等の数種類のペーストをインクとして用いて、基材上に、所定構造の未焼成積層体を印刷法により形成する。接合部位用ペースト、ゼロ増用ペーストおよび保護層用ペーストをさらに用いてもよい。なお、端面電極以外の層および部材を積層した積層体を印刷法により形成し、得られた積層体(すなわち積層構造)の端面に、端面電極をディップ法等の塗布法により形成してもよい。端面電極は、その一部または全部を、スパッタ法および/または蒸着法などの気相法により形成してもよい。
【0113】
各ペーストは、上記した正極活物質、負極活物質、電子伝導性材料、固体電解質材料、接合性材料、および焼結助剤からなる群から選択される各層(部材)の所定の構成材料と、有機材料を溶剤に溶解した有機ビヒクルとを湿式混合することによって作製することができる。
【0114】
ペーストに含まれる有機材料は特に限定されないが、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの高分子化合物を用いることができる。
溶剤は上記有機材料を溶解可能な限り特に限定されず、例えば、トルエン、エタノールなどを用いることができる。
【0115】
湿式混合ではメディアを用いることができ、具体的には、ボールミル法、ビスコミル法等を用いることができる。一方、メディアを用いない湿式混合方法を用いてもよく、サンドミル法、高圧ホモジナイザー法、ニーダー分散法等を用いることができる。
【0116】
基材は、未焼成積層体を支持可能な限り特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の高分子材を用いることができる。なお、未焼成積層体を基材上に保持したまま焼成工程に供する場合には、基材は焼成温度に対する耐熱性を有するものを使用する。
【0117】
印刷に際しては、所定の厚みおよびパターン形状で印刷層を順次、積層し、所定の固体電池の構造に対応する未焼成積層体を基材上に形成する。詳しくは、
図1の固体電池100Aを製造する場合、例えば、最下位から最上位にかけて、所定の厚みに分割して、複数の印刷層を順次、所定のパターン形状にて積層する。各印刷層の形成に際しては、乾燥処理(すなわち、溶剤の蒸発処理)が行われる。
【0118】
未焼成積層体を形成した後は、未焼成積層体を基材から剥離して、焼成工程に供してもよいし、または未焼成積層体を基材上に保持したまま焼成工程に供してもよい。
【0119】
(焼成工程)
未焼成積層体を焼成に付す。焼成は、酸素ガスを含む窒素ガス雰囲気中で、例えば500℃にて有機材料を除去した後、窒素ガス雰囲気中で例えば550℃~1000℃で加熱することで実施する。焼成は通常、積層方向L(場合によっては積層方向Lおよび当該積層方向Lに対する垂直方向M)で未焼成積層体を加圧しながら行ってもよい。加圧力は特に限定されず、例えば、1kg/cm2以上1000kg/cm2以下、特に5kg/cm2以上500kg/cm2以下であってよい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の一実施形態に係る固体電池は、蓄電が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明の一実施形態に係る固体電池は、モバイル機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、スマートウォッチ、ノートパソコン、デジタルカメラ、活動量計、アームコンピューター、電子ペーパーなどのモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、医療用途(イヤホン補聴器などの医療用機器分野)、医薬用途(服用管理システムなどの分野)、ならびに、IoT分野、宇宙・深海用途(例えば、宇宙探査機、潜水調査船などの分野)などに利用することができる。
【符号の説明】
【0121】
1:正極層
2:負極層
3:固体電解質層
4:端面電極
4a:正極側の端面電極
4b:負極側の端面電極
6:接合部位
6a:正極層の接合部位
6b:負極層の接合部位
40:端面電極の取り出し部
40a:正極側の端面電極の取り出し部
40b:負極側の端面電極の取り出し部
60:接合部位が端面電極側に有する端部凹凸形状の凸部
60a:正極層の接合部位が端面電極側に有する端部凹凸形状の凸部
60b:負極層の接合部位が端面電極側に有する端部凹凸形状の凸部
100(100A、100B):固体電池