(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】円偏波到着角度測定システム
(51)【国際特許分類】
G01S 3/48 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
G01S3/48
(21)【出願番号】P 2020568490
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(86)【国際出願番号】 JP2019028878
(87)【国際公開番号】W WO2020022340
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2020-12-08
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500164385
【氏名又は名称】デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】スティット レイモンド マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ビデティッチ ジョン
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/054467(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0090830(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0002306(US,A1)
【文献】特表2017-535788(JP,A)
【文献】特開平07-288417(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0029107(US,A1)
【文献】特開2003-240832(JP,A)
【文献】特開2011-191119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 3/00 - 3/74
G01S 5/00 - 5/14
G01S 7/00 - 7/42
G01S 11/00 - 11/16
G01S 13/00 - 13/95
G01S 19/00 - 19/55
H01Q 3/00 - 3/46
H01Q 21/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナシステム(58)を使用して、第1通信チャネルを介して信号を
複数の方位角度で受信すること、
非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された命令を実行するように構成された処理回路(20、350)を使用して、
それぞれ、複数の方位角度の1つに対応する、アンテナシステムの複数の第1通信チャネル位相角度差を決定すること、
アンテナシステムを使用して、第2通信チャネルを介して第2信号を
複数の方位角度で受信すること、
処理回路を使用して、
それぞれ、複数の方位角度の1つに対応する、複数の第2通信チャネル位相角度差を決定すること、
処理回路を使用して、複数の第1通信チャネル位相角度差に基づいて第1基準曲線を生成すること、
処理回路を使用して、複数の第2通信チャネル位相角度差に基づいて第2基準曲線を生成すること、
処理回路を使用して、較正曲線を生成すること、および、
処理回路を使用して、第1及び第2基準曲線それぞれの最大キャッピング領域に基づく方位角度及び最小キャッピング領域に基づく方位角度を決定すること、を含み、
第1基準曲線は、複数の方位角度と、複数の第1通信チャネル位相角度差との関係を示す曲線を示し、
第2基準曲線は、複数の方位角度と、複数の第2通信チャネル位相角度差との関係を示す曲線を示し、
較正曲線は、第1基準曲線と第2基準曲線とに基づいて生成されるものであり、
生成された較正曲線、並びに第1及び第2基準曲線のそれぞれの最大キャッピング領域に基づく方位角度及び最小キャッピング領域に基づく方位角度は、携帯機器とアンテナシステムにおけるアンテナとの間の方位角度を決定するために用いられるものであり、
第1及び第2基準曲線それぞれの最大キャッピング領域に基づく方位角度及び最小キャッピング領域に基づく方位角度を決定することは、
処理回路を使用して、
第1及び第2基準曲線それぞれの最小キャッピング領域と最大キャッピング領域を特定すること、
処理回路を使用して、
第1及び第2基準曲線それぞれについて、最小キャッピング領域の
平均又は重心の方位角度を決定すること、
および、
処理回路を使用して、
第1及び第2基準曲線のそれぞれについて、最大キャッピング領域の
平均又は重心の方位角度を決定すること、
を含み、
最小キャッピング領域に基づく方位角度又は最大キャッピング領域に基づく方位角度は、第1通信チャネル又は第2通信チャネルの位相角度差が、第1基準曲線又は第2基準曲線の最小キャッピング領域又は最大キャッピング領域に基づく方位角度よりも離れている場合に、携帯機器とアンテナシステムにおけるアンテナとの間の方位角度として割り当てるためのものである、方法。
【請求項2】
処理回路を使用して、アンテナシステムのアンテナの内側ペア間の、複数の第1通信チャネル位相角度差を決定すること、
処理回路を使用して、内側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差の第1の符号を決定すること、
処理回路を使用して、アンテナシステムのアンテナの外側ペア間の、1つ以上の第1通信チャネル位相角度差を決定すること、
処理回路を使用して、外側ペア間の1つ以上の第1通信チャネル位相角度差の第2の符号を決定すること、および、
処理回路を使用し、第2の符号が第1の符号に一致しないことに応じて、第2の符号を変更すること、をさらに含む、請求項
1の方法。
【請求項3】
内側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差と、外側ペア間の1つ以上の第1通信チャネル位相角度差とに基づいて、アンテナの複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することをさらに含む、請求項
2の方法。
【請求項4】
第1基準曲線を生成することは、処理回路を使用し、ローパスフィルタを使って第1通信チャネル位相角度差をフィルタリングすることをさらに含む、請求項1乃至
3のいずれか1項の方法。
【請求項5】
第2基準曲線を生成することは、処理回路を使用し、ローパスフィルタを使って第2通信チャネル位相角度差をフィルタリングすることをさらに含む、請求項
4の方法。
【請求項6】
ローパスフィルタは有限インパルス応答ローパスフィルタである、請求項
4又は5の方法。
【請求項7】
処理回路を使用して、
複数の方位角度と、アンテナシステムの残りの各通信チャネルの1つの通信チャネルの複数の位相角度差との関係を示すの追加の基準曲線を生成することをさらに含
む、請求項1乃至
6のいずれか1項の方法。
【請求項8】
処理回路を使用して、追加の基準曲線に対応する、追加の
最小キャッピング領域に基づく方位角度又は最大キャッピング領域に基づく方位角度を生成することをさらに含む、請求項
7の方法。
【請求項9】
第1通信チャネルを介して信号を
複数の方位角度で受信し、第2通信チャネルを介して第2信号を
複数の方位角度で受信するように構成されたアンテナシステムと、および、
非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された命令を実行するように構成された処理回路と、を含み、
命令は、
処理回路を使用して、それぞれ、複数の方位角度の1つに対応する、アンテナシステムの複数の第1通信チャネル位相角度差を決定すること、
処理回路を使用して、
それぞれ、複数の方位角度の1つに対応する、複数の第2通信チャネル位相角度差を決定すること、
処理回路を使用して、複数の第1通信チャネル位相角度差に基づいて、第1基準曲線を生成すること、
処理回路を使用して、複数の第2通信チャネル位相角度差に基づいて、第2基準曲線を生成すること、
処理回路を使用して、較正曲線を生成すること、および、
処理回路を使用して、第1及び第2基準曲線それぞれの最大キャッピング領域に基づく方位角度及び最小キャッピング領域に基づく方位角度を決定すること、を含み、
第1基準曲線は、複数の方位角度と、複数の第1通信チャネル位相角度差との関係を示す曲線を示し、
第2基準曲線は、複数の方位角度と、複数の第2通信チャネル位相角度差との関係を示す曲線を示し、
較正曲線は、第1基準曲線と第2基準曲線とに基づいて生成されるものであり、
生成された較正曲線、並びに第1及び第2基準曲線のそれぞれの最大キャッピング領域に基づく方位角度及び最小キャッピング領域に基づく方位角度は、携帯機器とアンテナシステムにおけるアンテナとの間の方位角度を決定するために用いられるものであり、
第1及び第2基準曲線それぞれの最大キャッピング領域に基づく方位角度及び最小キャッピング領域に基づく方位角度を決定することは、
処理回路を使用して、
第1及び第2基準曲線それぞれの最小キャッピング領域と最大キャッピング領域を特定すること、
処理回路を使用して、
第1及び第2基準曲線それぞれについて、最小キャッピング領域の
平均又は重心の方位角度を決定すること、
および、
処理回路を使用して、
第1及び第2基準曲線のそれぞれについて、最大キャッピング領域の
平均又は重心の方位角度を決定すること、
を含み、
最小キャッピング領域に基づく方位角度又は最大キャッピング領域に基づく方位角度は、第1通信チャネル又は第2通信チャネルの位相角度差が、第1基準曲線又は第2基準曲線の最小キャッピング領域又は最大キャッピング領域に基づく方位角度よりも離れている場合に、携帯機器とアンテナシステムにおけるアンテナとの間の方位角度として割り当てるためのものである、システム。
【請求項10】
命令は、
処理回路を使用して、アンテナシステムのアンテナの内側ペア間の、複数の第1通信チャネル位相角度差を決定すること、
処理回路を使用して、内側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差の第1の符号を決定すること、
処理回路を使用して、アンテナシステムのアンテナの外側ペア間の、1つ以上の第1通信チャネル位相角度差を決定すること、
処理回路を使用して、外側ペア間の1つ以上の第1通信チャネル位相角度差の第2の符号を決定すること、および、
処理回路を使用し、第2の符号が第1の符号に一致しないことに応じて、第2の符号を変更すること、をさらに含む、請求項
9のシステム。
【請求項11】
命令は、内側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差と、外側ペア間の1つ以上の第1通信チャネル位相角度差とに基づいて、アンテナの複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することをさらに含む、請求項
10のシステム。
【請求項12】
第1基準曲線を生成することは、処理回路を使用し、ローパスフィルタを使って第1通信チャネル位相角度差をフィルタリングすることをさらに含む、請求項
9乃至11のいずれか1項のシステム。
【請求項13】
第2基準曲線を生成することは、処理回路を使用し、ローパスフィルタを使って第2通信チャネル位相角度差をフィルタリングすることをさらに含む、請求項
12のシステム。
【請求項14】
ローパスフィルタは有限インパルス応答ローパスフィルタである、請求項
12又は13のシステム。
【請求項15】
命令は、処理回路を使用して、
複数の方位角度と、アンテナシステムの残りの各通信チャネルの1つの通信チャネルの複数の位相角度差との関係を示す追加の基準曲線を生成することをさらに含
む、請求項
9乃至14のいずれか1項のシステム。
【請求項16】
命令は、処理回路を使用して、追加の基準曲線の各々に対応する、追加の
最小キャッピング領域に基づく方位角度又は最大キャッピング領域に基づく方位角度を生成することをさらに含む、請求項
15のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2018年7月25日に出願された米国仮出願第62/703065号、2019年3月29日に出願された米国仮出願第62/826166号、および2019年7月15日に出願された米国特許出願第16/511309号の利益を主張する。上記出願の全開示が、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、円偏波到着角度測定システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
この欄は、必ずしも公知技術に該当しない、本開示に関連する背景情報を提供する。
【0004】
キーレスエントリーシステムを含む車両システムである、従来のパッシブエントリ/パッシブスタート(PEPS)システムは、事前に車両の中央PEPS電子制御装置(electronic control unit:ECU)とペアリングされたキーフォブをユーザが所持する場合、ユーザにさまざまな車両機能へのアクセスを提供することができる。一例として、キーフォブを所持しているユーザは、ドアハンドルを掴むことにより、ロックを解除して車両に入ることができる。別の例として、キーフォブを所持しているユーザは、キーフォブのボタンを押すことにより、車両機能を起動させることができる。ボタンを押すことに応じて、中央PEPSECUは、キーフォブが車両へのアクセスを許可されているかどうかを判定するためにキーフォブを認証し、複数のセンサで取得した信号強度を使用して、キーフォブと車両との間の距離および車両に対するキーフォブの位置を推定する。キーフォブが認証され、許可ゾーン内に位置する場合、PEPSシステムは対応する車両機能をユーザが利用できるようにする(つまり、車両が始動される)。
【0005】
従来のPEPSシステムは、約125kHzの低周波(low frequency:LF)信号を使う独自仕様の無線プロトコルを使用する。例えば2メートルの目標起動範囲内の信号強度を使用することによって、電波伝播が、キーフォブと車両との間の距離および車両に対するキーフォブの位置の比較的正確な推定を可能とするので、LFシステムが、従来のPEPSシステムに実装されていた。しかしながら、車両アンテナおよびキーフォブ受信機のサイズに比べて、LF信号の非常に長い波長のために、妥当な電力消費および安全な送信電力レベル内では、LFシステムを使うキーフォブと、数メートルを超えて確実に通信することは困難であった。そのため、キーフォブが車両から数メートル以上離れている場合、任意の車両の機能をユーザが利用できるようにすることは困難である。
【0006】
キーフォブは現在、スマートフォンやウェアラブルデバイスなどのスマートデバイスに実装されつつあり、スマートデバイスは、例えば100メートルなど、LFシステムの起動範囲よりも広い範囲で通信することができる。このように、スマートデバイスは、パッシブウエルカム照明、遠隔駐車アプリケーションにおける距離限界などのような、さまざまな車両機能と、長い範囲の距離機能を利用できるようにする。
【0007】
しかしながら、現在のPEPSシステムのアンテナシステムは、PEPSシステムが、キーフォブと車両との距離、並びに、キーフォブと車両間の信号伝送に関するRSSI電力、RSSI電力についての距離と角度、差分RSSI電力、三辺測量術測定、三角測量術測定、および相関フィンガープリントロケーションの値を正確に推定することを妨げるかもしれない。現在のPEPSシステムのアンテナシステムはまた、PEPSシステムが、車両に対するキーフォブの位置を正確に推定することを妨げるかもしれない。
【発明の概要】
【0008】
この欄は、開示の概要を提供するが、その全範囲またはその全特徴の包括的な開示ではない。
【0009】
方法が開示され、その方法は、アンテナシステムを使用して、第1通信チャネルを介して信号を複数の方位角度で受信することを含む。この方法は、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された命令を実行するように構成された処理回路を使用して、それぞれ、複数の方位角度の1つに対応する、アンテナシステムの複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することを含む。この方法は、アンテナシステムを使用して、第2通信チャネルを介して第2信号を複数の方位角度で受信することを含む。この方法は、処理回路を使用して、それぞれ、複数の方位角度の1つに対応する、複数の第2通信チャネル位相角度差を決定することを含む。この方法は、処理回路を使用して、複数の第1通信チャネル位相角度差に基づいて、第1基準曲線を生成することを含む。この方法は、処理回路を使用して、複数の第2通信チャネル位相角度差に基づいて、第2基準曲線を生成することを含む。この方法は、処理回路を使用して、較正曲線を生成することを含む。、この方法は、処理回路を使用して、第1及び第2基準曲線それぞれの最大キャッピング領域に基づく方位角度及び最小キャッピング領域に基づく方位角度を決定することを含む。第1基準曲線は、複数の方位角度と、複数の第1通信チャネル位相角度差との関係を示す曲線を示し、第2基準曲線は、複数の方位角度と、複数の第2通信チャネル位相角度差との関係を示す曲線を示す。較正曲線は、第1基準曲線と第2基準曲線とに基づいて生成されるものである。生成された較正曲線、並びに第1及び第2基準曲線のそれぞれの最大キャッピング領域に基づく方位角度及び最小キャッピング領域に基づく方位角度は、携帯機器とアンテナシステムにおけるアンテナとの間の方位角度を決定するために用いられるものである。第1及び第2基準曲線それぞれの最大キャッピング領域に基づく方位角度及び最小キャッピング領域に基づく方位角度を決定することは、処理回路を使用して、第1及び第2基準曲線それぞれの最小キャッピング領域と最大キャッピング領域を特定すること、処理回路を使用して、第1及び第2基準曲線それぞれについて、最小キャッピング領域の平均又は重心の方位角度を決定すること、および、処理回路を使用して、第1及び第2基準曲線のそれぞれについて、最大キャッピング領域の平均又は重心の方位角度を決定すること、を含む。最小キャッピング領域に基づく方位角度又は最大キャッピング領域に基づく方位角度は、第1通信チャネル又は第2通信チャネルの位相角度差が、第1基準曲線又は第2基準曲線の最小キャッピング領域又は最大キャッピング領域に基づく方位角度よりも離れている場合に、携帯機器とアンテナシステムにおけるアンテナとの間の方位角度として割り当てるためのものである。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、処理回路を使用して、アンテナシステムのアンテナの内側ペア間の、複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することを含む。方法は、処理回路を使用して、内側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差の第1の符号を決定することも含む。方法は、処理回路を使用して、アンテナシステムのアンテナの外側ペア間の、複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することも含む。方法は、処理回路を使用して、外側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差の第2の符号を決定することも含む。方法は、処理回路を使用し、第2の符号が第1の符号に一致しないことに応じて、第2の符号を調整することにより、外側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差を較正することも含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、内側ペア間の複数の較正された第1通信チャネル位相角度差と、外側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差とに基づいて、アンテナの複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1基準曲線を生成することは、処理回路を使用し、ローパスフィルタを使って第1通信チャネル位相角度差をフィルタリングすることをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、第2基準曲線を生成することは、処理回路を使用し、ローパスフィルタを使って第2通信チャネル位相角度差をフィルタリングすることをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、ローパスフィルタは有限インパルス応答ローパスフィルタである。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、処理回路を使用して、複数の追加の基準曲線を生成することを含み、複数の追加の基準曲線の各々は、アンテナシステムの残りの各通信チャネルの1つに関連付けられる。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、処理回路を使用して、複数の追加の基準曲線の各々に対応する、追加の最小キャッピング領域に基づく方位角度又は最大キャッピング領域に基づく方位角度を生成することを含む。
【0019】
システムも開示され、そのシステムは、第1通信チャネルを介して信号を複数の方位角度で受信し、第2の通信チャネルを介して第2信号を複数の方位角度で受信するように構成されたアンテナシステムを含む。システムは、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された命令を実行するように構成された処理回路も含む。命令は、処理回路を使用して、それぞれ、複数の方位角度の1つに対応する、アンテナシステムの複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することを含む。命令は、処理回路を使用して、それぞれ、複数の方位角度の1つに対応する、複数の第2通信チャネル位相角度差を決定することも含む。命令は、処理回路を使用して、複数の第1通信チャネル位相角度差に基づいて、第1基準曲線を生成することも含む。命令は、処理回路を使用して、複数の第2通信チャネル位相角度差に基づいて、第2基準曲線を生成することも含む。命令は、処理回路を使用して、較正曲線を生成することを含む。命令は、処理回路を使用して、第1及び第2基準曲線それぞれの最大キャッピング領域に基づく方位角度及び最小キャッピング領域に基づく方位角度を決定することを含む。第1基準曲線は、複数の方位角度と、複数の第1通信チャネル位相角度差との関係を示す曲線を示す。第2基準曲線は、複数の方位角度と、複数の第2通信チャネル位相角度差との関係を示す曲線を示す。較正曲線は、第1基準曲線と第2基準曲線とに基づいて生成されるものである。生成された較正曲線、並びに第1及び第2基準曲線のそれぞれの最大キャッピング領域に基づく方位角度及び最小キャッピング領域に基づく方位角度は、携帯機器とアンテナシステムにおけるアンテナとの間の方位角度を決定するために用いられるものである。第1及び第2基準曲線それぞれの最大キャッピング領域に基づく方位角度及び最小キャッピング領域に基づく方位角度を決定することは、処理回路を使用して、第1及び第2基準曲線それぞれの最小キャッピング領域と最大キャッピング領域を特定すること、処理回路を使用して、第1及び第2基準曲線それぞれについて、最小キャッピング領域の平均又は重心の方位角度を決定すること、および、処理回路を使用して、第1及び第2基準曲線のそれぞれについて、最大キャッピング領域の平均又は重心の方位角度を決定すること、を含む。最小キャッピング領域に基づく方位角度又は最大キャッピング領域に基づく方位角度は、第1通信チャネル又は第2通信チャネルの位相角度差が、第1基準曲線又は第2基準曲線の最小キャッピング領域又は最大キャッピング領域に基づく方位角度よりも離れている場合に、携帯機器とアンテナシステムにおけるアンテナとの間の方位角度として割り当てるためのものである。
【0022】
いくつかの実施形態では、命令は、処理回路を使用して、アンテナシステムのアンテナの内側ペア間の、複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することを含む。命令は、処理回路を使用して、内側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差の第1の符号を決定することも含む。命令は、処理回路を使用して、アンテナシステムのアンテナの外側ペア間の、複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することも含む。命令は、処理回路を使用して、外側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差の第2の符号を決定することも含む。命令は、処理回路を使用し、第2の符号が第1の符号に一致しないことに応じて、第2の符号を調整することにより、外側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差を較正することも含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、命令は、内側ペア間の複数の較正された第1通信チャネル位相角度差と、外側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差とに基づいて、アンテナの複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1基準曲線を生成することは、処理回路を使用し、ローパスフィルタを使って第1通信チャネル位相角度差をフィルタリングすることをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、第2基準曲線を生成することは、処理回路を使用し、ローパスフィルタを使って第2通信チャネル位相角度差をフィルタリングすることをさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、ローパスフィルタは有限インパルス応答ローパスフィルタである。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法は、処理回路を使用して、複数の追加の基準曲線を生成することを含み、複数の追加の基準曲線の各々は、アンテナシステムの残りの各通信チャネルの1つに関連付けられる。
【0028】
いくつかの実施形態では、命令は、処理回路を使用して、複数の追加の基準曲線の各々に対応する、追加の最小キャッピング領域に基づく方位角度又は最大キャッピング領域に基づく方位角度を生成することを含む。
【0029】
さらなる適用可能分野は、本明細書の説明から明らかとなろう。本概要の説明および具体例は例示の目的だけを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本明細書で説明される図面は、選択された実施形態を図示する目的だけのためのものであり、全ての可能な実施例を示すものではなく、また、本開示の範囲を限定することを意図するものでもない。
【
図1】
図1は本開示の実施形態に係る車両および携帯機器の図である。
【
図2】
図2は本開示の実施形態に係る車両および携帯機器の機能ブロック図である。
【
図3】
図3は本開示の実施形態に係る車両のセンサの機能ブロック図である。
【
図4】
図4は本開示による車両の通信ゲートウェイの機能ブロック図である。
【
図5】
図5は本開示の実施形態に係る例示的なアンテナシステムの図である。
【
図6A】
図6Aは本開示の実施形態に係るアンテナシステムの例示的なアンテナアセンブリ(またはアンテナ)の図である。
【
図6B】
図6Bは本開示の実施形態に係るアンテナシステムの例示的なアンテナアセンブリ(またはアンテナ)の図である。
【
図7A】
図7Aは本開示の実施形態に係る複数のアンテナ素子を含む例示的なアンテナの図である。
【
図7B】
図7Bは本開示の実施形態に係る複数のアンテナ素子を含む例示的なアンテナの図である。
【
図7C】
図7Cは本開示の実施形態に係る複数のアンテナ素子を含む例示的なアンテナの図である。
【
図7D】
図7Dは本開示の実施形態に係る複数のアンテナ素子を含む例示的なアンテナの図である。
【
図8】
図8は本開示の実施形態に係るアンテナ素子を含む別の例示的なアンテナの図である。
【
図9】
図9は本開示の実施形態に係るアンテナ素子を含む別の例示的なアンテナの図である。
【
図10】
図10は本開示の実施形態に係るアンテナの収容構成要素の図である。
【
図11】
図11は本開示の実施形態に係るアンテナの収容構成要素の図である。
【
図12】
図12は本開示の実施形態に係るアンテナの収容構成要素の図である。
【
図13】
図13は本開示の実施形態に係るアンテナの図である。
【
図14】
図14は本開示の実施形態に係るアンテナの図である。
【
図15】
図15は本開示の実施形態に係る、プリント回路基板に取り付けられたアンテナの一部を含むプリント回路基板の一部を示す。
【
図16A】
図16Aは本開示の実施形態に係る別の例示的な到着角度測定システムの図である。
【
図16B】
図16Bは本開示の実施形態に係る別の例示的な到着角度測定システムの図である。
【
図17】
図17は本開示の実施形態に係る例示的なマイクロコントローラの機能ブロック図である。
【
図18】
図18は本開示の実施形態に係る例示的な制御アルゴリズムのフローチャートである。
【
図19】
図19は本開示の実施形態に係る例示的な制御アルゴリズムのフローチャートである。
【
図20A】
図20Aは、本開示の実施形態に係る、アンテナのペア間の位相角度差を決定し、位相角度差の符号を修正する方法を示す。
【
図20B】
図20Bは、本開示の実施形態に係る、アンテナのペア間の位相角度差を決定し、位相角度差の符号を修正する方法を示す。
【
図20C】
図20Cは、本開示の実施形態に係る、アンテナのペア間の位相角度差を決定し、位相角度差の符号を修正する方法を示す。
【
図21】
図21は本開示の実施形態に係る位相角度差決定のための、位相角度ポイントの例示的なアンラップおよびアラインとして提供される位相角度vs時間のプロットである。
【
図22】
図22は本開示の実施形態に係るアンテナの外側のペアの位相差を示す位相角度差vs方位角度のプロットである。
【
図23】
図23は本開示の実施形態に係るアンテナの内側のペアの位相差を示す位相角度差vs方位角度のプロットである。
【
図24】
図24は本開示の実施形態に係る、到着角度を決定する方法を示す。
【
図25】
図25は本開示の実施形態に係る、無線周波数信号の同相成分と直交成分との間の位相角度を決定するための例示的な受信回路の機能ブロック図である。
【
図26】
図26は本開示の実施形態に係るアンテナのペア間の位相角度差を決定する別の方法を示す。
【
図27】
図27は、到着角度に対する位相角度差に関する較正基準曲線の例示的なプロットである。
【0031】
複数の図面にわたって、対応する参照番号は、対応する部分を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
典型的な「ドーナツ」形状を持つ直線偏波パターンで受信および/または送信するアンテナは、アンテナと金属が組み合わせアンテナシステムを形成してしまうため、車両の金属の近くに配置することはできない。車両の金属がアンテナを電磁的に短絡させ、それはリンクマージンを減少させる。リンクマージンとは、たとえば、受信信号の1と0を区別するために、受信信号に必要とされる電力量を指す。
【0033】
典型的なマイクロロケーティングシステムの直線偏波アンテナは、キーフォブまたはスマートデバイス内のアンテナと交差偏波している場合、リンクマージンが小さくなる。キーフォブのアンテナは通常、直線偏波アンテナである。リンクを介して特定の方向に伝送される電力は、一般的な反射環境にて直線偏波キーフォブアンテナの向きが変わると大きく変化する。これにより、PEPSシステムのマイクロロケーション性能が低下する。本明細書で開示される円偏波4線巻螺旋アンテナ電子機器は、これらの制限を克服する。
【0034】
円偏波パッチアンテナと電子機器は、グランド面上およびグランド面の近くに配置できるが、それらが指向性を得るには背後に大きなグランド面を必要とする。大きな金属製のグランド面は、プラスチック製の車両の外側の領域では容易に入手できない。指向性アンテナを作成するためにグランド面を使用すると、モジュールのサイズが大きくなり、モジュールを車両にパッケージできる領域を減少させ、それは、モジュールの有用性を低下させる可能性がある。また、従来の円偏波パッチアンテナは、RFドメインでグランド面に結合し、アンテナのアレイの結合を引き起こして、到着角度および出発角度マイクロロケーション性能を低下させる。
【0035】
パッチアンテナなど、2つの半分の半球で放射する円偏波アンテナは、PEPSシステムに実装した場合、直線偏波アンテナよりも優れたマイクロロケーション性能を示す。円偏波アンテナは、車両の金属の近くに配置されてもよい。そうすることで、車両の金属をグランド面として使用できる。グランド面と組み合わせた円偏波アンテナは、半分の半球の放射パターンを提供する。円偏波アンテナは、グランド面および対応する電子機器の電源ラインまたはグランドラインに容量結合する。この結合により、アンテナ電子システムのケーブル配線と物理的配置が変化すると受信中心が変化するアンテナシステムが作成され、PEPSシステムの性能を低下させる可能性がある。
【0036】
円偏波アンテナは、車両の金属と隣接するように配置してもよいが、金属がアンテナシステムを短絡させるかもしれないので、車両の金属から任意の距離に配置することはできない。一方向に放射するには、円偏波アンテナは、サイズが信号波長の幅程度である、電子機器モジュールのグランド面または車体の金属グランド面を必要とする。その結果、PEPSモジュールを車両にパッケージングすることは困難であり、実用的ではない。パッケージング如何によって、PEPSシステム性能が悪影響を受ける可能性がある。
【0037】
本明細書で説明する例には、リンク電力の変動を最小限に抑え、指向性受信を提供し、無線周波数(RF)中心を持ち、キーフォブアンテナの偏波の変動に伴う位相変動誤差を最小限に抑える、半球の円偏波放射パターンを持つ4線巻螺旋アンテナの使用が含まれる。キーフォブの偏波変動は、キーフォブの構造と、4線巻螺旋アンテナに対するキーフォブの位置および向きに因る可能性がある。4線巻螺旋アンテナは、相互におよび/または車両の金属から任意の距離に配置することができ、アンテナよりも大きくないグランド面を必要とするかもしれない。4線巻螺旋アンテナは、さまざまな角度測定構成において互いに近接して配置することもできる。これらの特性により、受信信号強度インジケータ(RSSI)、到着角度、出発角度、往復飛行時間、およびキャリア位相ベースの測距マイクロロケーション技術のための、PEPSシステム性能とPEPSシステム車両パッケージングが改善される。この4線巻螺旋アンテナ構造により、アンテナ周波数を特定の帯域に調整しながら、アンテナのサイズを小さくすることができる。この4線巻螺旋アンテナ構造により、キーフォブの向きに関係なく、信号受信特性を類似させることができる。
【0038】
添付の図面を参照して、例示的な実施形態がより詳しく説明される。
【0039】
図1、2を参照すると、PEPSシステム1は、車両30内に設けられ、通信ゲートウェイ29、センサ31A~31J(まとめてセンサ31と呼ばれる)、および制御モジュール20を含んでいる。通信ゲートウェイ29は、RSSI、出発角度送信値、到着角度受信値、往復飛行時間値、および/またはキャリア位相ベースの測距情報を測定または交換するように構成またはプログラムされえる。
図1、2は、10個のセンサ31A~31Jを示しているが、任意の数のセンサを使用することができる。各々のセンサ31は、RSSI、出発角度受信値、到着角度送信値、往復飛行時間値、および/またはキャリア位相ベースの測距情報を測定または交換するように構成またはプログラムされえる。
図1、2は、10個のセンサ31A~31Jを示しているが、任意の数のセンサが使用されてもよい。各々のセンサ31は、RSSI、出発角度受信値、到着角度送信値、往復飛行時間値、および/またはキャリア位相ベースの測距情報を測定または交換するように構成またはプログラムされえる。さらに、
図2は1つの制御モジュール20を示しているが、PEPSシステム1は、車両30全体に分散される1つ以上の制御モジュール20を含むことができる。
【0040】
1つ以上の制御モジュール20およびセンサ31は、車両インターフェース45を使用して互いに通信することができる。一例として、車両インターフェース45は、主要なモジュール間の通信のためのコントローラエリアネットワーク(controller area network:CAN)バスを含んでもよい。別の例として、車両インターフェース45は、より低いデータレートの通信のためのローカル相互接続ネットワーク(local interconnect network:LIN)を含んでもよい。他の実施形態では、車両インターフェース45は、クロック拡張周辺インターフェース(clock extension peripheral interface:CXPI)バスを含むことができる。追加的または代替的に、車両インターフェース45は、CANバス、LIN、CXPI、無線周波数、および電子バス通信インターフェースの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0041】
試験装置35は、以下に説明される較正作業の少なくとも一部を実行するために含まれてもよい。試験装置35は、例えば、コンピュータまたは試験台として具現化されることができ、制御モジュール20と通信するため、プロセッサ37、メモリ38、トランシーバ39、およびアンテナ49を有する。メモリ38は、本明細書に説明される較正ソフトウェアおよび/または較正情報を格納することができる。
【0042】
制御モジュール20は、1つ以上のアンテナ19に接続された無線通信チップセット(またはトランシーバ)21を含む通信ゲートウェイ29を含む。例えば、無線通信チップセット21は、BLE通信プロトコルを利用するブルートゥースローエナジー(BLE)通信チップセットであってもよい。あるいは、Wi-FiまたはWi-Fiダイレクトなどの他の無線通信プロトコルが使用されてもよい。
図2に示すように、アンテナ19は車両30内に配置されてもよい。あるいは、アンテナ19は、車両30の外側または制御モジュール20内に配置されてもよい。制御モジュール20は、通信リンク50を介しての通信のために、携帯機器10を認証するリンク認証モジュール22も含むことができる。一例として、リンク認証モジュール22は、携帯機器10を認証するために、チャレンジ-レスポンス認証または他の暗号検証アルゴリズムを実行するように構成されてもよい。
【0043】
制御モジュール20は、プッシュデータ用のデータ管理層23も含むことができる。一例として、データ管理層23は、いずれかのモジュールによって取得された車両情報(例えば、テレマティクスモジュール26によって取得された位置情報)を取得し、その車両情報を携帯機器10に送信するように構成される。
【0044】
制御モジュール20は、通信リンク50の通信チャネルおよびチャネル切り替えパラメータに対応する情報を取得し、その情報をセンサ31に送信するように構成された接続情報配信モジュール24も含むことができる。センサ31が車両インターフェース45を介して接続情報配信モジュール24から情報を受信し、センサ31が通信ゲートウェイ29と同期されることに応じて、センサ31は、通信リンク50の所在を突き止め、追跡または傍受することができる。
【0045】
制御モジュール20は、リンク認証モジュール22がチャレンジ-レスポンス認証を実行するときに、通信リンク50に対応するタイミング情報を取得する、タイミング制御モジュール25も含むことができる。さらに、タイミング制御モジュール25は、車両インターフェース45を介して、センサ31にタイミング情報を提供するように構成される。
【0046】
制御モジュール20は、車両30に関連する位置情報および/または位置情報の誤差を生成するように構成された、テレマティクスモジュール26も含むことができる。テレマティクスモジュール26は、全地球航法衛星システム(例えば、GPS)、慣性航法システム、移動体通信システム用全地球システム(GSM)、または他の位置システムによって具現化され得る。
【0047】
制御モジュール20はまた、情報をセンサ処理および位置特定モジュール32に提供する前に、物理層およびプロトコルの違反を検出し、それに応じてデータをフィルタリングするように構成されたセキュリティフィルタリングモジュール33を含むことができる。セキュリティフィルタリングモジュール33はまた、センサ処理および位置特定モジュール32がフラグ付きデータを破棄してPEPSシステム1に警告できるように、注入されたデータにフラグを立てるように構成されてもよい。センサ処理および位置特定モジュール32からのデータは、車両機能にアクセスするユーザの意図を検出するとともに、携帯機器10の位置を、車両30のドアのロック解除および/または車両30の始動などの特定の機能を許可する位置のセットと比較するために、センサ31から車両状態情報を読み取るように構成されるPEPSモジュール27に提供される。
【0048】
上述した様々なモジュールの上記機能を実行するために、制御モジュール20は、リードオンリーメモリ(ROM)および/またはランダムアクセスメモリ(RAM)などの非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された命令を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサも含み得る。
【0049】
図1、2に示されるように、携帯機器10は、通信リンク50を介して車両30の通信ゲートウェイ29と通信することができる。限定するものではないが、携帯機器10は、例えば、車両30の所有者、運転者、乗員、および/または車両30の整備士などの車両30のユーザに関連する、スマートフォン、スマートウォッチ、ウェアラブル電子デバイス、キーフォブ、タブレットデバイス、ブルートゥース送信機デバイス、または他のデバイスなどの、任意のブルートゥース対応通信デバイスであってもよい。追加的または代替的に、携帯機器10は、Wi-Fiおよび/またはWi-Fiダイレクトなどの別の無線通信プロトコルを介した無線通信用に構成されてもよい。通信リンク50は、ブルートゥース仕様によって規定され、定義されるブルートゥース通信リンクであってもよい。一例として、通信リンク50はBLE通信リンクであってもよい。あるいは、通信リンク50は、Wi-FiまたはWi-Fiダイレクト通信リンクであってもよい。
【0050】
携帯機器10は、アンテナ13に接続された無線通信チップセット(またはトランシーバ)11を含むことができる。無線通信チップセット11は、BLE通信チップセットであってもよい。あるいは、無線通信チップセット11は、Wi-FiまたはWi-Fiダイレクト通信チップセットであってもよい。携帯機器10はまた、携帯機器10のプロセッサによって実行可能であり、リードオンリーメモリ(ROM)またはランダムアクセスメモリ(RAM)などの非一時的コンピュータ可読媒体に格納されるアプリケーションコード12を含むことができる。アプリケーションコード12に基づき、および無線通信チップセット11とアンテナ13を使用して、携帯機器10は、例えば、通信リンク50の認証、携帯機器10の全地球航法衛星システム(例えば、GPS)センサまたは加速度計によって取得される位置および/または速度の情報の送信、車両機能の手動による起動に対応する様々な命令を実行するように構成され得る。
【0051】
図3を参照すると、各々のセンサ31は、複数のアンテナ素子を含むことができる、アンテナ(またはアンテナアセンブリ)43に接続された無線通信チップセット41を含む。任意の数のアンテナ43が、各々のセンサ31に含まれてもよい。
図3には、3つのアンテナ43a、43b、43cが示されている。無線通信チップセット41は、BLE通信チップセットであってもよい。あるいは、無線通信チップセット41は、Wi-FiまたはWi-Fiダイレクト通信チップセットであってもよい。
図3に示すように、アンテナ43は、センサ31の内部に配置されてもよい。あるいは、アンテナ43は、センサ31の外部に配置されてもよい。アンテナ43については、
図5-12を参照して以下でさらに詳細に説明される。
【0052】
制御モジュール20、より具体的には通信ゲートウェイ29は、携帯機器10と通信リンク50などの安全な通信接続を確立することができる。例えば、制御モジュール20は、BLE通信プロトコルを使用して安全な通信接続を確立することができる。そして、制御モジュール20は、センサ31の各々に、タイミングおよび同期情報などの安全な通信接続に関する情報を通信することができる。例えば、制御モジュール20は、次の通信接続イベントのタイミング、通信接続イベント間のタイミング間隔、次の通信接続イベント用の通信チャネル、チャネルマップ、続いて起こる通信接続イベントのチャネルを計算するためのチャネルホップ間隔またはオフセット、通信待ち時間情報、通信ジッター情報などのような、安全な通信接続に関する情報を通信することができる。次いで、センサ31は、携帯機器によって制御モジュール20に送信された通信パケットを傍受し、携帯機器10から受信した信号の信号情報を測定することができる。例えば、センサ31は、受信信号強度を測定し、受信信号強度インジケータ(RSSI)値を決定することができる。追加的または代替的に、センサ31は、例えば、到着角度、到着時間、出発角度、到着時間差、往復飛行時間距離、キャリア位相ベースの測距距離などのような、携帯機器10から受信した信号の他の測定値を決定することができる。
【0053】
そして、センサ31は、測定情報を制御モジュール20に通信することができ、制御モジュール20は、センサ31の各々から受信した測定情報に基づいて、携帯機器10の位置または携帯機器10までの距離を決定することができる。例えば、制御モジュール20は、様々なセンサ31によって携帯機器10から受信した様々な信号のRSSI値のパターンに基づいて、携帯機器10の位置を決定することができる。例えば、比較的強いRSSIは、概して、携帯機器10がより近くにあることを示し、比較的弱いRSSIは、概して、携帯機器10がより遠くにあることを示す。各々のセンサ31を用いて、携帯機器10によって送信された通信信号のRSSIを分析することにより、制御モジュール20は、車両30に対する携帯機器10の位置または距離を決定することができる。追加的または代替的に、携帯機器10によって送信され、センサ31によって受信される信号の到着角度または到着時間差測定値は、携帯機器10の位置を決定するために制御モジュール20によって使用されることもできる。追加的または代替的に、センサ31自体が、測定情報に基づいて携帯機器10の位置または携帯機器10までの距離を決定し、その位置または距離を制御モジュール20に通信することができる。
【0054】
決定された車両30に対する携帯機器10の位置または距離に基づいて、PEPSシステム1は、車両30のドアのロック解除、車両30のトランクのロック解除、車両30の始動、および/または車両30を始動可能とするなどの車両機能を許可または実行することができる。例えば、携帯機器10が車両30まで第1距離閾値より近い場合、PEPSシステム1は、車両30の室内灯または室外灯を作動させることができる。携帯機器10が車両まで第2距離閾値より近い場合、PEPSシステム1は、車両30のドアまたはトランクのロックを解除することができる。携帯機器10が車両30の内部に位置する場合、PEPSシステム1は、車両30の始動を許可することができる。
【0055】
図3を参照すると、BLE通信プロトコルが使用される場合、センサ31は、アンテナ43を使用してBLE信号を受信し、具体的には、BLE物理層(PHY)コントローラ46を使用してBLE物理層メッセージを受信する。センサ31は、BLE物理層メッセージを観察し、例えば、チャネルマップ再構築モジュール42によって生成されるチャネルマップを使用して、受信信号強度インジケータ(RSSI)を含む関連信号の物理的特性の測定値を取得するように構成され得る。追加的または代替的に、センサ31は、複数のセンサ31によって受信された信号の到着時間差、到着時間、または到着角度データを決定するために、互いに通信してもよいし、および/または車両インターフェース45を介して通信ゲートウェイ29と通信してもよい。
【0056】
タイミング同期モジュール44は、車両インターフェース45でのメッセージの受信時間を正確に測定し、タイミング情報を無線通信チップセット41に渡すように構成される。無線通信チップセット41は、チャネルマップ情報およびタイミング信号に基づいて、特定の時間にPHYコントローラ46を特定のチャネルに同調させるように構成される。さらに、BLE通信プロトコルが使用される場合、無線通信チップセット41は、例えば、ブルートゥース仕様バージョン5.0において提案または採用される通常のデータレートを含む、ブルートゥース物理層仕様に準拠する、すべての物理層メッセージおよびデータを観察するように構成される。データ、タイムスタンプ、および測定された信号強度は、無線通信チップセット41によって、車両インターフェース45を介して制御モジュール20の様々なモジュールに報告されてもよい。
【0057】
図4を参照すると、通信ゲートウェイ29は、BLE信号を受信するために、アンテナ19に接続された無線通信チップセット41を含む。BLE通信プロトコルが使用される場合、無線通信チップセット41は、例えば、BLE仕様(すなわち、ブルートゥース仕様バージョン5.0)に適合するブルートゥースプロトコルスタック48を実装する。無線通信チップセット41は、無線通信チップセット41のプロセッサによって実行可能なアプリケーションコードによって具現化されるアプリケーション47も含むことができる。追加的または代替的に、アプリケーション47は、制御モジュール20のプロセッサによって実行可能であってもよく、制御モジュール20の非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されてもよい。
【0058】
アプリケーション47は、データの有効性とは無関係に、無線通信チップセット41によって送受信されるタイムスタンプ付きデータを、無線通信チップセット41が検査できるようにするために、ブルートゥース仕様外の修正に対応するコードを含んでもよい。例えば、アプリケーション47は、無線通信チップセット41が、送受信データを期待値と比較できるようにする。通信ゲートウェイ29は、実際の送受信データを、車両インターフェース45を介して制御モジュール20の様々なモジュールに送信するように構成される。あるいは、通信ゲートウェイ29は、車両インターフェース45を介して各々のセンサ31からデータを受信するように構成されてもよい。アプリケーション47は、さらに、各々のセンサ31が正しい時刻に正しいデータを受信したことを、無線通信チップセット41が確認できるように構成されてもよい。
【0059】
ブルートゥースプロトコルスタック48は、チャネルマップ、アクセス識別子、次のチャネル、および次のチャネルまでの時間をアプリケーション47に提供するように構成される。ブルートゥースプロトコルスタック48は、送信イベントおよび受信イベントのタイムスタンプのためのタイミング信号を、アプリケーション47および/または無線通信チップセット41のデジタルPIN出力へ出力するように構成される。通信ゲートウェイ29は、タイミング信号を受け入れるように構成され、車両インターフェース45と協働して接続情報メッセージおよび他の通信の正確なタイムスタンプを作成するタイミング同期モジュール44も含む。
【0060】
引き続き
図4を参照すると、通信ゲートウェイ29は、タイミング制御モジュール25へタイミング情報およびチャネルマップ情報をそれぞれ提供してもよい。通信ゲートウェイ29は、センサ31が通信リンク50を見つけ、追跡または傍受できるように、接続情報配信モジュール24へ進行中の接続に対応する情報、およびタイミング制御モジュール25へタイミング信号を提供するように構成されてもよい。
【0061】
図5を参照すると、アンテナシステム58の例示的な図が示されている。アンテナシステム58は、RSSI、出発角度送信値、到着角度受信値、往復飛行時間値、および/またはキャリア位相ベースの測距情報を交換するように構成またはプログラムされ得る。この実施形態は3つのアンテナ60を示しているが、任意の数のアンテナをアンテナシステム58に含めることができる。この実施形態は、直線状に配置された3つのアンテナ60を示しているが、アンテナ60は、三角形状などの他の形状に配置されてもよい。あるいは、2つのアンテナ60が配置されてもよい。あるいは、4つのアンテナ60が使用されてもよく、例えば、直線状にまたはひし形状に配置されてもよい。以下でさらに詳細に説明するように、アンテナ60は、複数の層を有するプリント回路基板(PCB)のグランド面70に容量結合されてもよい。
【0062】
一実施形態では、アンテナ60は円偏波され、それにより、PCBまたはPCBと通信する制御モジュール20が、例えば、それぞれのセンサ31に対する通信リンク50の到着角度を正確に決定することが可能になる。さらに、RSSI、到着角度、往復飛行時間距離、およびキャリア位相ベースの測距距離の測定において、携帯機器の方向変動を少なくする円偏波により、携帯機器10とアンテナ60との間に強力なダイレクトリンクが可能となる。
【0063】
アンテナ60は、第1の方向に大きな利得パターンを有し、残りの各方向に低い利得パターンを有することができる。さらに、大きな利得パターンと低い利得パターンとはそれぞれほぼ同形である。加えて、大きな利得パターンは前方ローブに関連付けられ、低い利得パターンの1つは後方ローブに関連付けられ、前方ローブと後方ローブはほぼ対称で、1より大きい前後利得比を有する。一例として、アンテナ60はそれぞれ、0°を通過する90°から-90°に、大きなほぼ均一の利得値を有する前方ローブと、180°を通過する90°から-90°に、より小さなほぼ均一の利得値を有する後方ローブとを有することができる。大きな前後利得比を持つアンテナ60を実装することにより、アンテナシステム58は、アンテナ60の結合効果がセンサ31の送受信特性に影響を及ぼすことを防止する。さらに、大きな前後利得比を有するアンテナ60を実装することにより、アンテナシステム58は、無反射環境を提供し、そのため、反射、マルチパスフェージング回折、屈折、および他の振幅シフトノイズ源が無視できるか、存在しない。
【0064】
さらに、アンテナ60は、大きな半値電力幅(すなわち、3dB角度幅)を有することができ、それにより、アンテナシステム58が、ボアサイトから±90°など、アンテナシステム58の縁に沿う信号を正確に受信することが可能となる。
【0065】
アンテナ60はまた、グランド面70の中央位置に物理的に結合されてもよい。一例として、アンテナ60のそれぞれの中心点が、グランド面70の中心点を含む第2ラインに平行な第1ラインを形成してもよい。かくして、制御モジュール20は、携帯機器10の向きによって影響されない最適な位相角度差パターンを提供できるアンテナシステム58に基づいて、通信リンク50の到着角度を正確に決定することができる。
【0066】
他の実施形態では、アンテナ60は、グランド面70の中央位置(すなわち、グランド面70の上面または底面付近)に物理的に結合されなくてもよい。さらに、アンテナ60はグランド面70の中心に沿って真っ直ぐに示されているが、他の実施形態では、1つ以上のアンテナ60がグランド面70の中心に沿って配置されていなくてもよい。加えて、1つ以上のアンテナ60は、残りのアンテナ60および/またはグランド面70に対して高くされてもよい。
【0067】
図6A、6Bを参照すると、アンテナ60の詳細図が示されている。アンテナ60は、上面80A、側面80B、および(
図7Cおよび
図7Dに示される)底面80Cを含む本体80と、アンテナ素子90、92、94、96とを含むことができる。いくつかの実施形態では、本体80は、
図6Bに示されるように、本体80の中央位置を通って延びる開口部100を含むことができる。本体80は、セラミック注入プラスチックなどの強力な電気絶縁体によって具現化され得る。本体80については、
図7Aから
図7Dを参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0068】
アンテナ素子90、92、94、96は、BLE信号、Wi-Fi信号、および/またはWi-Fiダイレクト信号などの無線周波数(RF)信号を受信するように構成される。アンテナ素子90、92、94、96は、例えば、銅線、伝送線、または他の同様の導電性材料を含み得る。加えて、アンテナ素子90、92、94、96は、本体80の各表面に沿って配置される。以下で、
図7A~
図7Dおよび
図8を参照してさらに詳細に説明されるように、アンテナ素子90、92、94、96はそれぞれ、本体80のそれぞれの経路(例えば、スロット、構造的突起部、指定された表面など)に沿って配置されてもよい。
【0069】
図7A、7Bを参照すると、本体80の詳細図が示されている。一実施形態では、本体80は、アンテナ素子90、92、94、96のうちの1つを受け入れるようにそれぞれ構成される経路110、112、114、116を含む。一実施形態では、経路110、112、114、116は、フライス工具を使用して、またはレーザー彫刻プロセスを使用して形成することができる。
【0070】
さらに、経路110は、上面80Aに位置する第1部分110-1と、側面80Bに位置する第2部分110-2とを含む。経路112は、上面80Aに位置する第1部分112-1と、側面80Bに位置する第2部分112-2とを含む。経路114は、上面80Aに位置する第1部分114-1と、側面80Bに位置する第2部分114-2とを含む。経路116は、上面80Aに位置する第1部分116-1と、側面80Bに位置する第2部分116-2とを含む。さらに、経路110、112、114、116は、本体80の少なくとも1つの表面に沿って螺旋形状を形成してもよい。加えて、本体80は、本体80をPCB(図示せず)に物理的に結合するように構成された取り付け要素120-1、120-2を含む。
【0071】
図7C、7Dを参照すると、本体80の底面80Cの追加の詳細図が示されている。取り付け要素120-1、120-2、120-3、120-4(まとめて取り付け要素120と呼ばれる)は、底面80Cに取り付けられ、上述のように、本体80をPCB(図示せず)に物理的に結合するように構成される。加えて、経路110は、底面80Cに位置する第3部分110-3を含む。経路112は、底面80Cに位置する第3部分112-3を含む。経路114は、底面80Cに位置する第3部分114-3を含む。経路116は、底面80Cに位置する第3部分116-3を含む。
【0072】
図8、9を参照すると、アンテナ素子90、92、94、96の詳細図が示されている。アンテナ素子90は、第1部分90-1、第2部分90-2、および第3部分90-3を含む。アンテナ素子92は、第1部分92-1、第2部分92-2、および第3部分92-3を含む。アンテナ素子94は、第1部分94-1、第2部分94-2、および第3部分94-3を含む。アンテナ素子96は、第1部分96-1、第2部分96-2、および第3部分96-3を含む。
【0073】
一実施形態では、それぞれのアンテナ素子90、92、94、96の第1部分90-1、92-1、94-1、96-1は、それぞれの経路110、112、114、116の第1部分110-1、112-1、114-1、116-1に配置される。一例として、それぞれのアンテナ素子90、92、94、96の第1部分90-1、92-1、94-1、96-1は、それらが、それぞれの経路110、112、114、116の第1部分110-1、112-1、114-1、116-1内に完全に配置されるように折り曲げられてもよい。他の実施形態では、それぞれのアンテナ素子90、92、94、96の第1部分90-1、92-1、94-1、96-1は、
図9に示すように、それらが、それぞれの経路110、112、114、116の第1部分110-1、112-1、114-1、116-1内に完全には配置されないように折り曲げられてもよい。アンテナ素子90、92、94、96の第1部分90-1、92-1、94-1、96-1は、容量性負荷を提供する容量性上面負荷構成要素によって具現化されてもよく、それにより、アンテナ60のサイズを小さくすることができる。
【0074】
それぞれのアンテナ素子90、92、94、96の第2部分90-2、92-2、94-2、96-2は、それぞれの経路110、112、114、116の第2部分110-2、112-2、114-2、116-2に配置される。一例として、それぞれのアンテナ素子90、92、94、96の第2部分90-2、92-2、94-2、96-2は、それぞれの経路110、112、114、116の第2部分110-2、112-2、114-2、116-2内に完全に配置されてもよい。
【0075】
それぞれのアンテナ素子90、92、94、96の第3部分90-3、92-3、94-3、96-3は、それぞれの経路110、112、114、116の第3部分110-3、112-3、114-3、116-3に配置される。一例として、それぞれのアンテナ素子90、92、94、96の第3部分90-3、92-3、94-3、96-3は、それぞれの経路110、112、114、116の第3部分110-3、112-3、114-3、116-3内に完全に配置されるように折り曲げられてもよい。加えて、それぞれのアンテナ素子90、92、94、96の第3部分90-3、92-3、94-3、96-3は、銅などの導電性要素を介してグランド面70に容量結合されてもよい。他の実施形態では、それぞれのアンテナ素子90、92、94、96の第3部分90-3、92-3、94-3、96-3は、
図10に示されるように、それぞれの経路110、112、114、116の第3部分110-3、112-3、114-3、116-3内に完全に配置されないように折り曲げられてもよい。
【0076】
アンテナ素子90、92、94、96の第3部分90-3、92-3、94-3、96-3は、インピーダンス整合機能を果たすように構成されてもよい。一例として、第3部分90-3、92-3、94-3、96-3は、BLE信号(2.4GHz)と関連する周波数にて、ソース(すなわち、アンテナ素子90、92、94、96の第1および第2部分)のインピーダンスを、負荷(すなわち、アンテナ素子90、92、94、96の第3部分90-3、92-3、94-3、96-3)のインピーダンスに整合させるため、アンテナの1/4波長に関連する長さと、所定のインピーダンスとを有する伝送線によって具現化されてもよい。
【0077】
他の実施形態では、第3部分90-3、92-3、94-3、96-3は、アンテナ素子90、92、94の第1および第2部分の平衡ソースインピーダンスを第3部分90-3、92-3、94-3、96-3の不平衡負荷インピーダンスと分離するように構成された変成器を含んでもよい。具体的には、第3部分90-3、92-3、94-3、96-3はそれぞれ、第3部分90-3、92-3、94-3、96-3のインピーダンスを、アンテナ素子90、92、94、96の第1および/または第2部分のインピーダンスと整合させるバラン(平衡不平衡変成器)および/または他のインピーダンス整合回路素子を含むか、またはそれに接続されてもよい。
【0078】
追加的または代替的に、第3部分90-3、92-3、94-3、96-3は、レジスタ-インダクタ-キャパシタ(RLC)回路網、インダクタ-キャパシタ(LC)回路網、および他の類似のフィルタリング回路などの、インピーダンスを整合させるためのフィルタリング回路を含んでもよい。より具体的な例として、第3部分90-3、92-3、94-3、96-3は、L型回路網、T型回路網、またはπ型回路網のLC回路の1つを含んでもよい。さらに、アンテナ60の共振周波数がBLE信号の周波数(2.4GHz)に対応するように、フィルタリング回路のインダクタ、レジスタ、および/またはキャパシタが選択され、配置されてもよい。
【0079】
引き続き
図9を参照すると、本体80とグランド面70とが協働して空隙を画定することができる。空隙は、アンテナ素子90、92、94、96の第3部分90-3、92-3、94-3、96-3の静電容量を減少させるように構成されてもよい。他の実施形態では、取り付け要素120が除去されてもよく、したがって、本体80は、グランド面70またはPCBの他の層と実質的に同じ高さであってもよい。
【0080】
図10~
図12を参照すると、収容要素130の例示的な図が示されている。一実施形態では、収容要素130は、
図10に示されるように、本体80の側面80Bに物理的に結合され、アンテナ素子90、92、94、96を収容するように構成される。他の実施形態では、
図11に収容要素130-1、130-2として示される収容要素130は、本体80の側面80Bに物理的に結合され、アンテナ素子90、92、94、96と、グランド面70と本体80との間の空隙の両方を収容するように構成される。いくつかの実施形態において、収容要素130と本体80は、
図12に示されるように、協働してそれらの間に空隙を画定してもよい。一例として、収容要素130は、高誘電率(例えば、ε≧10)を有する誘電体材料により具現化されてもよい。
【0081】
図13、14を参照すると、上面80A’、側面80B’、および底面80C’を含むアンテナ本体80’を含むアンテナ60’が示されている。アンテナ60’は、
図7A~
図7Cのアンテナ60に類似しているが、スロットを含まず、ヒートステーク131、およびアンテナ素子支持突起部132を含んでいる。突起部132は、アンテナ本体80’の一部として一体的に形成されてもよい。アンテナ本体80’は、中央に位置する窪んだノッチ(または、へこみ)133を含むことができる。一実施形態では、窪んだノッチ133の代わりに、中央に位置する穴(例えば、座ぐり穴)が設けられる。窪んだノッチ133は、信号の乱れを最小限に抑えるために、上面80A’または底面80C’の中心に配置され得る。窪んだノッチ133は、RF性能を最大にするように配置され、大きさに作られ、および形作られ、アンテナ本体80’の射出成形プロセスにおいて、ゲートの加工物であってもよい。ヒートステーク131は、射出成形プラスチックで形成されてもよい。
【0082】
アンテナは、アンテナ素子110-1’、112-1’、114-1’、116-1’、110-2’、112-2’、114-2’、116-2’、110-3’、112-3’、114-3’、116-3’を含み、それらは対応する面80A’~80C’上にある。アンテナ素子110-1’、112-1’、114-1’、116-1’、110-2’、112-2’、114-2’、116-2’、110-3’、112-3’、114-3’、116-3’は、表面に付着した痕跡(または、電極)であってもよい。突起部132の厚さは、アンテナ素子110-3’、112-3’、114-3’、116-3’と、対応するプリント回路基板のグランド面との間の距離を調節するために使用される。これらの距離は、アンテナ素子とグランド面との間の寄生容量を調整するとともに、アンテナ60’によって送信されるRF周波数を調整するために、調節されてもよい。
【0083】
図15は、プリント回路基板134の一部およびアンテナ本体136を有するアンテナの一部135の一例を示す。アンテナ本体136は、
図14のアンテナ素子支持突起部132と同様に、アンテナ素子支持突起部(例えば、アンテナ素子支持突起部137)を含んでいる。プリント回路基板134は、第1誘電体層138、第2誘電体層139、グランド面層140、第3誘電体層141、導電層142、およびベース層143を含む複数の層を含んでいる。ベース層143は、複数の層を含んでもよい。この層の積み重ねは一例として提示されたもので、層は異なって積み重ねられてもよいし、1つまたは複数の中間層が、提示された、各隣接するペアの層の間に配置されてもよい。
【0084】
アンテナ素子144は、アンテナ素子支持突起部132の底面上に配置され、例えば、導電性ペースト146を介して導電性パッド145と接触している。導電性パッドは、図示されたプリント回路基板の上面147と同一平面上にあってもよいし、上面147に表面実装されていてもよい。導電性パッド145は、グランド面層140の開口部149を通って延びる相互接続要素148を介して導電層142に接続される。アンテナ素子144とグランド面層140との間に寄生容量が存在する。これは、アンテナ本体136のアンテナ素子支持突起部上に取り付けられた他のアンテナ素子の場合にも当て嵌まる。
【0085】
アンテナ本体136は、ヒートステークを含む(1つのヒートステーク151が示されている)。ヒートステークは、プリント回路基板のそれぞれの穴を貫通する。ヒートステークの下端は加熱されて溶融され(加熱された状態152の1つの溶融端153が示されている)、ヒートステークがプリント回路基板に固定される。
【0086】
図16A、16B(まとめて、
図16)は、
図2の通信リンク50の到着角度を決定するように構成された例示的な電子システム4を示す。電子システム4は、例えば、アンテナ60または60’および対応するアンテナ素子90A~C、92A~C、94A~C、96A~C、カプラ回路150-1、150-2、150-3(カプラ回路150と総称される)、入力フィルタ回路160-1、160-2、160-3(入力フィルタ回路160と総称される)、およびスイッチング回路170を含むことができる。一実施形態では、カプラ回路150、入力フィルタ回路160、およびスイッチング回路170は、PCB上に配置されてもよい。
【0087】
上記のように、各々のアンテナ60または60’は、携帯機器10によって送信されるRF信号を、さまざまな位相(0o、90o、180o、および270o、または0o、-90°、-180o、および-270o)で受信するように構成されている。各々のアンテナのアンテナ素子は、それぞれ異なる位相で信号を受信する。一例として、アンテナ素子90A、92A、94A、96Aは、それぞれの位相0°、-90°、-180°、および-270°でRF信号を受信することができる。このシステム4は、アンテナごとに1つ以上(n個)のアンテナ素子を含むことができ、カプラ回路150は、360°/nのステップで位相入力を有する。位相の符号と正と負の位相および右旋左旋の定義は、アンテナ60、60’がアンテナの上面に向かってより大きなゲインを持ち、アンテナの下面に向かってより小さなゲインを持つようになっていてもよい。
【0088】
一実施形態において、アンテナ素子のペアは、それぞれのバランおよび/または他のインピーダンス整合回路素子に接続され、各バランは2つの出力を有する。一方の出力はグランド面に接続され、もう一方の出力は対応する1つのカプラ回路150に接続される。例えば、各々のアンテナ60、60’は、2つのバランに接続されてもよく、2つのバランは、同じカプラ回路に接続される2つの出力を有する。カプラ回路150は、3dB90oハイブリッドカプラによって具現化されてもよい。カプラ回路150は、同軸コネクタ化され、表面実装パッケージの直交位相(90度)および180度ハイブリッドなどのハイブリッドカプラおよび/またはハイブリッドスプリッタ/コンバイナなどのハイブリッドデバイスを含んでもよい。一実施形態では、カプラ回路150は、それぞれのインピーダンス整合回路を含む。
【0089】
各々のカプラ回路150は、対応するアンテナ素子から受信したRF信号を結合し、たとえば90°の位相差を持つ1つの信号を出力するように構成される。信号の不適当な組み合わせからの反射は、カプラ回路150の分離ポートを介してグランド面に与えられる。
【0090】
カプラ回路150は、アンテナ60、60’に関連する帯域外周波数範囲からの不要な信号を拒絶するように構成され得る入力フィルタ回路160を介して、スイッチング回路170に信号を提供するように構成される。一実施形態では、入力フィルタ回路160は、1つ以上のデカップリングコンデンサによって具現化され得る。一実施形態では、カプラ回路150は、各アンテナ素子から入力信号を受信し、入力信号を360°/nの倍数だけ位相シフトし、nは素子の数であり、対応する結果の無線周波数信号を単一の出力信号に加算的に結合し、それが、入力フィルタ回路160に提供される。
【0091】
各々のカプラ回路150からの信号の受信に応じて、スイッチング回路170は、信号の1つを選択的に出力するように構成される。一例として、スイッチング回路170の第1制御ポートに制御信号(VCTRL)を与えることに応じて、スイッチング回路170は、アンテナ60-1に関連する信号を制御モジュール20に出力するように構成される。スイッチング回路170の第2制御ポートに制御信号を与えることに応じて、スイッチング回路170は、アンテナ60-2に関連する信号を制御モジュール20に出力するように構成される。同様に、スイッチング回路170の第1および第2制御ポートの両方に制御信号を与えることに応じて、スイッチング回路170は、アンテナ60-3に関連する信号を制御モジュール20に出力するように構成される。スイッチング回路170の制御ポートに制御信号を与えるために、スイッチング回路170の2:3トランジスタ-トランジスタ論理/相補型金属酸化膜半導体(2:3TTL/CMOS)互換デコーダが、制御電圧生成回路220に電気的に結合されたスイッチング回路170の2つの制御ポートを選択的に作動させるように構成される。トランシーバ21は、スーパーヘテロダイン方式の受信機であってもよい。マイクロプロセッサは、アンテナ60、60’が位相ロックループ(PLL)に近い、例えば、PLL+250KHzのRF信号を受信するように、トランシーバ21およびスイッチを構成する。
【0092】
制御モジュール20は、信号の1つを受信したことに応じて、増幅器、0度(同相(I))および90度(直交位相(Q))ミキサ、ローパスフィルタ、同相および直交位相アナログデジタル変換器(ADC)、および中間周波数信号を0Hz信号にダウンコンバートするための処理回路を通じて信号を送信し、プロセッサは、+250KHz正弦波のIQ値を受信する。
【0093】
制御モジュール20は、アンテナ60、60’のそれぞれの0Hz IF IQ信号の位相角度と、アンテナシステム58の少なくとも1つのペアの0Hz IF IQ信号間の少なくとも1つの位相角度差とを決定するように構成される。位相角度とは、アンテナシステムのアンテナ60、60’のそれぞれによって受信される信号の1つの同相成分と直交位相成分の間の角度を指す。
【0094】
0Hz IF IQ信号の位相角度および少なくとも1つの位相角度差を決定するために、制御モジュール20は、RAMおよび/またはROMのような非一時的なコンピュータ可読メモリ内の命令を実行するように構成される1つ以上のプロセッサを含むことができる。さらに、制御モジュール20は、少なくとも1つの位相差に基づいて到着角度を決定するように構成され得る。カプラ回路150、入力フィルタ回路160、およびスイッチング回路170は、PCB上に配置されてもよい。
【0095】
電子システム4は、対応する回路トポロジを使用して制御信号(VCTRL)を生成し、アンテナ60、60’のそれぞれの0Hz IF IQ信号の位相角度、およびアンテナシステム58の少なくとも1つの位相角度差を決定するように構成されたマイクロコントローラ350を含む。0Hz IF IQ信号の位相角度および少なくとも1つの位相角度差を決定するために、マイクロコントローラ350は、RAMおよび/またはROMなどの非一時的なコンピュータ可読メモリ内の命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含むことができる。命令は、例えば、スイッチング回路170から受信した信号(RF FEED)を0Hz IF IQ信号の位相角度に変換し、その後少なくとも1つの位相角度差を決定するためのアルゴリズムを含むことができる。
【0096】
電子システム4はまた、電源(例えば、12Vを出力するDC電源)から受け取った電力をマイクロコントローラ350に適した電圧レベルに変換するように構成されてもよい。一実施形態では、保護回路250が電源から電力を受け取り、保護回路250は高周波信号およびノイズを抑制するように構成される。一例として、保護回路250は、フェライトビーズおよびバイパスコンデンサフィルタ回路を含むことができる。
【0097】
電圧レギュレータ260は、保護回路250から、電源の電圧値に等しい電圧値を有するフィルタリングされた電力信号(VP)を受け取る。電圧レギュレータ260は、フィルタリングされた電力信号を、3.3ボルトなどのマイクロコントローラ350に適した電圧値を有する第2論理信号(VLOGIC)に変換する。電圧レギュレータ260は、例えば、電圧レギュレータICまたは降圧コンバータ回路によって具現化されてもよい。
【0098】
LINバストランシーバ280は、マイクロコントローラ350から位相角度測定値を受信し、それらをLINバスと、チョークおよびコンデンサ回路網290とを介して制御モジュール20に送信するように構成することができる。追加的または代替的に、LINバストランシーバ280は、マイクロコントローラ350から少なくとも1つの位相角度差または少なくとも1つの到着角度測定値を受信し、それらをLINバスと、チョークおよびコンデンサ回路網290とを介して制御モジュール20に送信するように構成されてもよい。一例として、チョークおよびコンデンサ回路網290は、少なくとも1つのフェライトビーズおよびバイパスコンデンサフィルタと、少なくとも1つのフェライトビーズおよびバイパスコンデンサフィルタに並列に電気的に結合されたツェナーダイオードとを含んでもよい。加えて、LINバストランシーバ280は、保護回路250からフィルタリングされた電力信号を受信し、LINバストランシーバ280は、フィルタリングされた電力信号を第2論理信号(VLOGIC)に変換する電圧レギュレータICを含んでもよい。
【0099】
チョーク回路網300および電磁干渉(EMI)フィルタ回路310は、マイクロコントローラ350から受信した、および/またはマイクロコントローラ350に送信される信号に存在するノイズを抑制するように構成される。チョーク回路網300は、例えば、複数のフェライトビーズによって具現化されてもよい。EMIフィルタ回路310は、例えば、EMIフィルタアレイを含む集積回路によって具現化されてもよい。
【0100】
デバッグ回路320は、オペレータがマイクロコントローラ350などのPCBの様々な回路の機能をテストできるように構成される。加えて、オペレータは、デバッグ回路320を介してマイクロコントローラ350のソフトウェアを更新および/またはロードすることができる。デバッグ回路320は、ジョイントテストアクショングループ(JTAG)標準インターフェースまたはシリアルワイヤデバッグ(SWD)標準インターフェースなど、オペレータが機能をテストしたり、マイクロコントローラ350のソフトウェアを更新したりできるようにするための様々なインターフェースを含むことができる。
【0101】
マイクロコントローラ350は、論理信号のノイズがマイクロコントローラ350にダメージを与えるのを防ぐように構成され得る、少なくとも1つのコンデンサ回路網330を介してマイクロコントローラ350の様々なポートで論理信号(VLOGIC)を受信するように構成することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、マイクロコントローラ350は、マイクロコントローラ350がブルートゥース通信リンクを介して周辺機器と通信できるようにするブルートゥーストランシーバ回路を含むことができる。
【0103】
マイクロコントローラ350は、例えば、EMIフィルタアレイを含む集積回路により具現化され得るEMIフィルタ回路340を介して、スイッチング回路170に制御信号を提供するように構成され得る。制御信号の1つを受信することに応じて、スイッチング回路170は、上述のように、カプラ回路150を介して受信した信号の1つを選択的に出力するように構成される。一例として、第1制御信号がスイッチング回路170に提供されることに応じて、スイッチング回路170は、アンテナ60-1に関連する信号をマイクロコントローラ350に出力するように構成される。第2制御信号がスイッチング回路170に提供されることに応じて、スイッチング回路170は、アンテナ60-2に関連する信号をマイクロコントローラ350に出力するように構成される。同様に、第3制御信号がスイッチング回路170に提供されることに応じて、スイッチング回路170は、アンテナ60-3に関連する信号をマイクロコントローラ350に出力するように構成される。
【0104】
マイクロコントローラ350が信号の1つを受信することに応じて、マイクロコントローラ350は、対応するアンテナ60または60’の0Hz IF IQ信号の位相角度およびアンテナシステム58の少なくとも1つの位相角度差を決定するように構成される。さらに、マイクロコントローラ350は、少なくとも1つの位相差に基づいて到着角度を決定するように構成され得る。
【0105】
図17を参照すると、スイッチング回路170,システムオンチップ(SoC)受信機362、およびマイクロコントローラ350を含むアンテナトランシーバシステム360の例示的な機能ブロック図が示されている。以下でさらに詳細に説明するように、マイクロコントローラ350は、スイッチング回路170によって選択的に出力される信号の1つに基づいて、アンテナシステム58の到着角度を決定するように構成される。一実施形態では、SoC受信機362は、増幅器370、周波数ミキサ380、局部発振器390、フィルタおよび増幅器395、およびIQ ADC400を含むことができる。0Hz中間周波数(IF)コンバータ402は、SoC受信機362のIQ ADC400とマイクロコントローラ350の位相差決定モジュール405との間に接続される。マイクロコントローラ350は到着角度決定モジュール440も含み得る。IFコンバータ402は、SoC受信機362、マイクロコントローラ350に実装されてもよいし、または示されるように別個であってもよい。
図2の制御モジュール20またはプロセッサ37は、位相角度差限界決定モジュール420、較正インデックス430、および到着角度決定モジュール440を含んでもよい。一実施形態において、位相角度差限界決定モジュール420、較正インデックス430、および到着角度決定モジュール440はマイクロコントローラ350によって具現化される。
【0106】
一実施形態において、増幅器、周波数ミキサ、局部発振器、フィルタおよび増幅器、IA ADC 0Hz IFコンバータは、スイッチング回路170の各受信経路および対応する出力に含まれる。単一の受信経路403が示されているが、任意の数の受信経路が含まれてもよく、特定のアンテナおよび/または1つ以上のアンテナ素子に専用であってもよい。受信経路の出力は、位相差決定モジュール405に与えられる。
【0107】
IQ ADC400、0HzIFコンバータ402、位相差決定モジュール405、較正曲線生成器モジュール410、位相角度差限界決定モジュール420、および到着角度決定モジュール440は、RAMおよび/またはROMなどの非一時的なコンピュータ可読媒体に格納される命令を実行するように構成される、1つ以上のプロセッサによって具現化され得る。デバイス380、395、400、および402の例が
図25に示されており、以下でさらに説明される。
【0108】
増幅器370は、信号を増幅するように構成され、例えば、演算増幅器によって具現化され得る。周波数ミキサ380は、増幅された信号を新しい中間信号に変えるために、増幅器370から増幅された信号と局部発振器390からミキシング信号を受信するように構成される。フィルタおよび増幅器395は、中間信号を増幅し、中間信号の周波数を特定の帯域幅に制限することにより分析信号を生成するように構成され得る。一実施形態では、フィルタおよび増幅器395は、演算増幅器と、帯域通過フィルタまたは低域通過フィルタのいずれかとによって具現化され得る。別の実施形態において、フィルタおよび増幅器395は、帯域通過フィルタとして具現化される場合、中間周波数または周波数のセットを通過させる。フィルタおよび増幅器395は、低域通過フィルタとして具現化される場合、低周波数または周波数のセットを通過させることができる。
【0109】
一例として、周波数ミキサ380は、例えば2.4GHz~2.4835GHzの周波数を有する、増幅信号を受信する。周波数ミキサ380は、位相ロックループ回路によって具現化される、局部発振器390からミキシング信号を受信し、中間信号を生成するために、増幅信号とミキシング信号を混合する。その後、フィルタおよび増幅器395は、中間信号を増幅し、中間信号の周波数を250kHzなどの特定の帯域幅に制限することにより、分析信号を生成することができる。
【0110】
IQ ADC 400は、中間信号をアナログ信号からデジタル分析信号に変換するように構成される。0Hz IFコンバータ402は、デジタル分析信号の余弦成分(すなわち、同相成分)および正弦成分(すなわち、直交位相成分)を取得するように構成される。続いて、位相角度差決定モジュール405は、余弦成分(Iまたは同相成分)および正弦成分(Qまたは直交位相成分)に基づいて、アンテナ60(または60’)の0Hz IF IQ信号の位相角度を決定するように構成される。特定の例として、位相角度差決定モジュール405は、正弦成分の振幅と余弦成分の振幅の逆正接関数を実行することにより位相角度を決定してもよい。さらに、位相角度差決定モジュール405は、アンテナ60のペアの各アンテナの位相角度に基づいて、アンテナシステム58のアンテナ60のペア間の位相角度差を決定するように構成されてもよい。位相角度および位相角度差の決定については、
図18、19を参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0111】
位相差決定モジュール405は、携帯機器10の様々な位置に関して、アンテナシステム58のアンテナ60のペア間の位相角度差値(例えば、アンテナ60-1および60-3などのアンテナの外側ペア間の位相角度差値)を決定するように構成される。一例として、位相角度差決定モジュール405は、アンテナシステム58と携帯機器10との間の各方位角度(すなわち、0°~360°)について、アンテナ60のペア間の位相角度差を決定するように構成される。
【0112】
加えて、位相角度差決定モジュール405は、携帯機器10の様々な通信チャネルに関して、アンテナシステム58のアンテナ60(または60’)のペア間の位相角度差値を決定するように構成される。一例として、位相角度差決定モジュール405は、各BLE通信チャネルについて、アンテナ60のペア間の位相角度差を決定するように構成される。
【0113】
較正曲線生成器モジュール410は、位相差決定モジュール405によって取得された情報に基づいて、複数の基準曲線を生成するように構成される。一例として、較正曲線生成器410は、第1BLE通信チャネルに関連する第1基準曲線を生成するように構成されることができ、第1基準曲線は、各方位角度についてのアンテナ60のペアの測定された位相角度差を表すことができる。さらに、較正曲線生成器410は、各BLE通信チャネルについて基準曲線を生成することができ、各々の追加の基準曲線は、各方位角度についてアンテナ60のペアの測定された位相角度差値を表す。加えて、較正曲線生成器モジュール410は、第1基準曲線および少なくとも1つの追加の基準曲線に基づいて較正曲線を生成するように構成される。基準曲線および較正曲線の生成については、
図18、19を参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0114】
位相差限界決定モジュール420は、各通信チャネルについて位相角度差限界を生成するように構成される。一例として、位相角度差限界は、アンテナシステム58のボアサイトからの所定の距離に関連付けられてもよい(例えば、特定の通信チャネルの位相角度差値の限界は、ボアサイトから±80°での較正曲線の位相角度差の値として定義される)。別の例として、位相角度差限界は、特定の通信チャネルの基準曲線の形状に基づいて決定されてもよい。より具体的には、位相角度差限界は、基準曲線の導関数が所定の量だけ変化する基準曲線上の位置に関連付けられてもよい。位相角度差限界は、各通信チャネルで同一であってもよい。他の実施形態では、各通信チャネルは、異なる位相角度差限界を有してもよい。
【0115】
較正曲線生成器モジュール410および位相角度差限界決定モジュール420は、較正された曲線および位相角度差限界をそれぞれ較正インデックス430に格納するように構成される。較正インデックス430およびアンテナペアの位相角度差を使用して、到着角度決定モジュール440は、それぞれのチャネルの較正曲線および/または位相角度差限界を参照することにより携帯機器10の位置を決定するように構成される。位相角度差および通信チャネルを使用して、それぞれの到着角度決定モジュール440は、第1通信チャネルに関連する較正曲線および/または位相角度差限界を参照し、携帯機器10とそれぞれのアンテナ43との間の方位角度を決定することができる。各々のアンテナ43によって取得された各々の方位角度を使用して、制御モジュール20は、車両30に対する携帯機器10の位置を決定するように構成され得る。
【0116】
図18を参照すると、通信リンク50の到着角度および携帯機器10の位置を決定するための制御アルゴリズム1600のフローチャートが示されている。制御アルゴリズム1600は、例えば、携帯機器10が接続され、通信ゲートウェイ29へ接続することが許可されたときに、1604で開始する。1608で、制御アルゴリズム1600は、センサ31のアンテナシステム58を使用して、通信リンク50の信号特性を取得する。1612で、制御アルゴリズム1600は、マイクロコントローラ350を使用して、アンテナシステム58の各アンテナ60(または60’)の位相角度を決定する。1616で、制御アルゴリズム1600は、マイクロコントローラ350を使用して、アンテナシステム58のアンテナ60のペア間の位相角度差を決定する。
【0117】
1620で、制御アルゴリズム1600は、マイクロコントローラ350を使用して、較正インデックス410内の、較正曲線と、対応する位相角度差限界を特定する。上述のように、マイクロコントローラ350は、通信リンク50の通信チャネルまたは周波数に基づいて位相角度差限界を特定することができる。処理1620は、方法1600を実行する前に実行されてもよい。一実施形態において、処理1620は、1600の方法を実行する前に実行される較正プロセスである。
【0118】
処理1624は、処理1616および1620に続いて実行されてもよい。1624で、制御アルゴリズム1600は、マイクロコントローラ350を使用して、(i)決定された位相角度差および(ii)較正曲線または対応する位相角度差限界に基づいて携帯機器10の到着角度を決定する。一例として、マイクロコントローラ350は、決定された位相角度差に関連する較正曲線上の方位角度を特定することにより、到着角度を決定することができる。あるいは、マイクロコントローラ350は、決定された位相角度差および通信リンク50の通信チャネルに関連付けられた位相角度差限界と関連する較正曲線上の方位角度を特定することにより、到着角度を決定することができる。到着角度は、決定された方位角度に基づく、等しい、および/または直接関連したものである。1628で、制御アルゴリズム1600は、制御モジュール20を使用して、センサ31によって得られた各々の到着角度に基づいて、車両30に対する携帯機器10の位置を決定する。1632で、制御アルゴリズム1600が終了する。
【0119】
制御モジュール20は、携帯機器10の決定された位置に基づいて、またはそれに応じて、車両ドアのロックを解除し、車両(例えば車両30)へのアクセスを提供し、窓を開け、車両の始動を許可し、および/または他のタスクを実行することができる。
【0120】
図19を参照すると、較正曲線を生成し、各通信チャネルの位相角度差限界を決定するための制御アルゴリズム1700のフローチャートが示されている。制御アルゴリズム1700は、例えば、オペレータが携帯機器10の電源を入れ、電子システム4の較正が開始されたとき、1704で始まる。1708で、制御アルゴリズム1700は、アンテナシステム58を使用して、第1方位角度で、第1通信チャネルを使用してBLE信号を受信する。1712で、制御アルゴリズム1700は、マイクロコントローラ350を使用して、アンテナシステム58の各アンテナ60(または60’)での位相角度を決定する。1716で、制御アルゴリズム1700は、アンテナシステム58のアンテナ60の第1ペア間の位相角度差を決定する。1720で、制御アルゴリズム1700は、マイクロコントローラ350を使用して、通信チャネル、位相角度差、および方位角度に関連する情報を含むエントリを生成する。
【0121】
1724で、制御アルゴリズム1700は、原曲線を生成するために追加の方位角度がテストされる必要があるかどうかを判定する。そうである場合、制御アルゴリズム1700は1728に進む。そうでなければ、制御アルゴリズム1700は、1736に進む。1728で、制御アルゴリズム1700は次の方位角度を選択し、1732に進む。1732で、制御アルゴリズム1700は、アンテナシステム58を使用して、次の方位角度で、同じ通信チャネルを使用してBLE信号を受信し、その後、1712に進む。
【0122】
1736で、制御アルゴリズム1700は、通信チャネルの各エントリに基づいて原曲線を生成する。1740で、制御アルゴリズム1700は、較正曲線を生成するためにテストされる必要がある追加の通信チャネルがあるかどうかを判定する。そうである場合、制御アルゴリズム1700は1744に進む。そうでない場合、制御アルゴリズム1700は1752に進む。1744で、制御アルゴリズム1700は次の通信チャネルを選択し、その後、1748に進む。1748で、制御アルゴリズム1700は、アンテナシステム58を使用し、第1方位角度で、次の通信チャネルを使用してBLE信号を受信し、その後、1712に進む。
【0123】
1752で、制御アルゴリズム1700は、マイクロコントローラ350を使用して、原曲線をフィルタリングして、基準曲線を生成する。一例として、マイクロコントローラ350は、基準曲線を生成するために、等リップル有限インパルス応答(FIR)ローパスフィルタなどのデジタルローパスフィルタを原曲線に適用するように構成されてもよい。1756で、制御アルゴリズム1700は、マイクロコントローラ350を使用して、各々の基準曲線に基づいて較正曲線を生成する。一例として、較正曲線は、各々の基準曲線を補間(例えば、平均化)することにより生成されてもよい。1760で、制御アルゴリズム1700は、マイクロコントローラ350を使用して、
図15を参照して上述したように、フィルタリングされた曲線のそれぞれの位相角度差限界を決定する。1764で、制御アルゴリズム1700は、マイクロコントローラ350を使用して、較正インデックス430内に各通信チャネルの較正曲線および位相角度差限界を保存し、その後、1768で終了する。
【0124】
図20を参照すると、アンテナシステム58のアンテナ60のペア間の位相角度差を決定するための制御アルゴリズム1800のフローチャートが示されている。制御アルゴリズム1800は、例えば、
図18および
図19をそれぞれ参照して上述した、制御アルゴリズム1600がステップ1616を実行するときに、または制御アルゴリズム1700がステップ1716を実行するときに、1804で始まる。1808で、制御アルゴリズム1800は、アンテナシステム58を使用して、BLE信号を受信する。1812で、制御アルゴリズム1800は、スイッチング回路170を使用して、アンテナシステム58の第1アンテナ60-1を選択する。1816で、制御アルゴリズム1800は、マイクロコントローラ350を使用して、BLE信号に基づいて分析信号を生成する。1818で、制御アルゴリズム1800は、マイクロコントローラ350を使用して、分析信号の余弦成分および正弦成分を取得する。1820で、制御アルゴリズム1800は、マイクロコントローラ350を使用して、余弦成分および正弦成分の振幅のサンプルを取得する。
【0125】
1824で、制御アルゴリズム1800は、マイクロコントローラ350を使用して、サンプリング周期が経過したかどうかを判定する。一例として、サンプリング周期は、スイッチング回路170のスイッチングレートに関連付けられてもよい。一実施形態では、スイッチングレートは4μsであってもよい。サンプリング周期が経過した場合、制御アルゴリズム1800は1828に進む。そうでない場合、制御アルゴリズム1800は1820に進む。1828で、制御アルゴリズム1800は、マイクロコントローラ350を使用して、スイッチング期間のバッファ期間中に取得されたサンプルを破棄する。スイッチング期間のバッファ期間は、スイッチング回路170のスイッチング遅れに関連付けることができ、スイッチング回路170のターンオン遅延期間およびターンオフ遅延期間のうちの少なくとも1つを含む。1832で、制御アルゴリズム1800は、マイクロコントローラ350を使用して、アンテナシステム58の各アンテナ60について振幅サンプルが取得されたかどうかを判定する。そうである場合、制御アルゴリズム1800は1838に進む。そうでない場合、制御アルゴリズム1800は1836に進み、制御アルゴリズム1800は次のアンテナ60を選択し、その後、1816に進む。
【0126】
1838で、制御アルゴリズム1800は、マイクロコントローラ350を使用して、第1アンテナ60-1について振幅サンプルの複数の反復が得られたかどうかを判定する。そうである場合、制御アルゴリズム1800は1840に進む。そうでない場合、制御アルゴリズム1800は1812に進む。1840で、制御アルゴリズム1800は、マイクロコントローラ350を使用して、平均振幅から遠すぎる、および/または所定の閾値を超える振幅を有する余弦および/または正弦成分のサンプルを破棄することができる。1844で、制御アルゴリズム1800は、マイクロコントローラ350を使用して、正弦成分の振幅および対応する余弦成分の振幅に基づいて、残りの各サンプルの位相角度を決定する。一例として、位相差決定モジュール405は、正弦成分の振幅および対応する余弦成分の振幅の逆正接関数を実行することにより位相角度を決定するように構成されてもよい。
【0127】
1848で、制御アルゴリズム1800は、アンテナシステム58のアンテナ60の少なくとも1つのペアについて、マイクロコントローラ350を使用して、それぞれの位相角度に基づいて複数の位相角度差を決定する。一例として、サンプリング期間中および第1アンテナ60-1について、マイクロコントローラ350は、正弦成分の振幅の8つのサンプルおよび余弦成分の振幅の8つのサンプルを取得し、これらのサンプルを使用して、位相差決定モジュール405は、上述のように、8つの位相角度を決定することができる。その後、マイクロコントローラ350は、第2アンテナ60-2および/または第3アンテナ60-3について8つの位相角度、および第1アンテナ60-1について8つの追加の位相角度を取得するために、これらのステップを繰り返す。アンテナのペアの対応する位相角度サンプル(つまり、アンテナ60-1の位相角度の第1反復の第1サンプル、アンテナ60-2またはアンテナ60-3の位相角度の第1反復の第1サンプル、およびアンテナ60-1の位相角度の第2反復の第1サンプル)間の差、アンテナ60のそれぞれのペアを隔てる距離、および各反復中に得られたサンプル数に基づいて、位相差決定モジュール405は、アンテナ60のそれぞれのペア間の位相角度差を決定することができる。いくつかの実施形態では、位相差決定モジュール405は、位相角度差決定の精度を改善するために、0Hz IF IQ信号に対して位相角度アンラッピングアルゴリズムを実行してもよい。
【0128】
位相角度のアンラッピングは、そうしないとラップする各ポイントに360度を加えることによって、自然な円形のラップポイント(例えば、180°(またはπ)、または-180°(または-π))を超えて先へ位相角度を投影することからなる。時間の経過に伴う位相角度の勾配が、複数のラップが発生した可能性があるような場合、アンテナに最適な同じ勾配線を補間するために、複数の360(2π)加算が加えられてもよい。アンラッピング後、アンテナに最適な同じ勾配線のy切片における差異が、位相差を決定するために使用される。これは
図21に示されている。
【0129】
図21に、第1アンテナおよび第2アンテナについて、ラジアン単位の位相角サンプルの時系列を表す線分2000が示されている。線分2000は、最初にアンラップされ、データサンプルは、たとえば-180°から180°に移行するのではなく、同じまま(または、この例では負の方向に)継続する。次に、各々のアンテナについて,線分2000のポイントの一部が選択される。一例として、これには、各々の線分2000のポイントの最新の有効部分が含まれてもよい。
【0130】
ポイントの一部が選択された後、線分2000のための最適な同じ勾配が決定される。各々のアンテナは同じ周波数(例えば、250kHz)のRF信号を受信しているため、線分2000の勾配は同じか、またはほぼ同じである。アンテナのサンプルの最適または平均勾配が計算され、計算された勾配を使用して、線分2000の各セット(第1アンテナの1つの線分と第2アンテナの別の線分)の最適な切片が決定される。次に、線分2000に沿って伸びる投影線2002が生成される。次に、第1線分2004の投影線上または±π以内に線分2006を配置する、線分2000の最初の1つ(または第1線分2004)に時間的に続いて発生した各線分2006に追加する必要がある2πの倍数が決定される。線分(または線分セット)2006は、線分2006の投影線の対応するY切片が、第1線分2004の投影線のY切片の±πラジアン以内になるまで、一度に2πずつ下方に移動され得る。第1線分2004の投影線に近接していない(例えば、±0.5π以内ではない)アンテナの特定のサンプルは破棄されてもよい。
【0131】
一実施形態では、第1アンテナの線分は時間的に早く発生する可能性があり、したがって、第2アンテナの線分と時間的に整合するようにシフトされるか、またはその逆もありえる。2つのアンテナ間の位相差は、結果として生じる線分の投影線のπを差し引いた、2πを法とするY切片間の差、つまり[(アンテナ2のY切片-アンテナ1のY切片)モジュロ2π]-πである。シフトされ揃えられた線分間の例示的な位相差が
図21に示されている。
【0132】
アンラップした後、アンテナにとって最適な同じ勾配線のy切片の差が、位相差を決定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、アンテナの外側のペアの自然なアンテナ間隔が、方位+/-90度の方位角度の位相差で180度の倍数に近い場合、ノイズとマルチパス干渉が位相差にラップを引き起こす可能性がある。位相角度ラッピングと位相差ラッピングは2つの異なる現象であることに注意されたい。位相差アンラッピングが、
図22、23に関して説明され、そこにおいて、開示されているような3アンテナシステムの位相差アンラッピングが示されている。3アンテナシステムは、1列に(または並んで)配置された、第1、第2、および第3アンテナを含む3つのアンテナを含み、そこにおいて、第2(または、中央)アンテナは、第1および第3アンテナ(または、外側の左右アンテナ)の間に配置されている。アンテナには3つのペアがある。第1ペアは外側の左右アンテナを含み、第2ペアは左アンテナと中央アンテナとを含み、第3ペアは、中央アンテナと右アンテナとを含む。一実施形態では、位相差ラッピングは、(i)左アンテナと中央アンテナ、または(ii)中央アンテナと右アンテナの少なくとも一方の間の位相差に基づいて補正される。外側のアンテナ間の物理的な距離は、位相角度差が-180°と180°の間で変化するようになっている。アンテナの他のペア間の物理的距離は、外側アンテナ間の距離の半分であり、その結果、
図23に示されるように、位相角度差が-90°と90°との間となる。
【0133】
図22は、アンテナの外側ペアの位相差を示す、位相角度差対方位角度のプロットである。曲線2200は、アンラップされた(アンテナの外側ペアの)左マイナス右の方位角度の例である。受信信号のIとQ成分間の方位角度が0の場合、位相角度差はほぼ0となる。図に示すように、方位角度が0から±90°に増加するにつれて、位相角度差が増加する。方位角度が-90°よりも小さく減少すると、位相角度の差は、たとえば180°から181°に増加する代わりに、-179°にラップ(折り返え)される。マイクロコントローラ350は、左-中央アンテナおよび中央-右アンテナの位相角度差に基づいて、位相角度差が-179°ではなく181°になるように、このラッピングを補正する。これにより、1852で、正しい平均位相角度差を決定することができる。
【0134】
外側のアンテナ間の位相角度差の大きさが180°より大きい、および/または180°を超える場合、左-中央と中央-右のアンテナ間の位相角度差がチェックされ、位相角度差の大きさが90~180°の間の場合、外側アンテナの位相角度差の符号が補正され、位相角度差の値が変更される。曲線2300は、アンラップされた(アンテナの内側ペアの1つの)中央マイナス右の方位角度の例である。一実施形態では、最大閾値(例えば、180°)より大きい、または最小閾値(例えば、-180°)より小さい位相角度差は、ラッピングが発生しなかった場合に位相角度差が存在すべき場所に投影される。アンラッピング中、ボックス2202内に入る位相角度差は、ボックス2204内となるようにアンラップされ、ボックス2206内に入る位相角度差は、ボックス2208内となるようにアンラップされてもよい。前述のように位相角度差を補正することにより、正しい平均位相角が得られる。
【0135】
最新の所定の期間(例えば、30秒)の位相角度差および/または最新の所定の数の位相角度差が平均化されてもよい。一実施形態では、最新の所定の期間の左-中央アンテナ信号の位相角度差および/または中央-右アンテナ信号の位相角度差の平均が0°より大きく、外側のアンテナペアの位相角度差が-90°より小さい場合、対応する外側アンテナペアの位相角度差は、360°をプラスした外側アンテナの位相角度差に等しい値にマッピングされる。同様に、最新の所定の期間の左-中央のアンテナ信号の位相角度差および/または中央-右のアンテナ信号の位相角度差の平均が0°より小さく、外側のアンテナペアの位相角度差が90°より大きい場合、対応する外側アンテナペアの位相角度差は、360°をマイナスした外側アンテナの位相角度差に等しい値にマッピングされる。これは、
図22、23のボックスの対応する部分によって示されている。
【0136】
1856で、マイクロコントローラ350または車両の制御モジュール20の制御アルゴリズム1800は、アンテナシステム58のアンテナ60の少なくとも1つのペアについて、それぞれの、アンテナの少なくとも1つのペアの残りの位相角度差の平均位相角度差に基づいて、BLE信号の到着角度を決定することができる。処理1856の実行に続いて、
図20Bまたは20Cの処理が実行されてもよい。
【0137】
1858で、マイクロコントローラ350または制御モジュール20は、アンテナの外側ペアに関してAoAが決定されたかを判定する。「Yes」の場合、処理1862が実行され、そうでない場合、処理1860が実行される。1860で、マイクロコントローラ350または制御モジュール20は、アンテナの内部ペアに関するパラメータの履歴をメモリにセーブする。方法は、処理1860を実行した後、1868で終了することができる。
【0138】
1862で、マイクロコントローラ350または制御モジュール20は、AoAの絶対値が所定の閾値よりも大きいか判定する。「Yes」の場合、処理1864が実行され、そうでない場合、方法は、1868で終了することができる。
【0139】
1864で、マイクロコントローラ350または制御モジュール20は、AoAの符号がアンテナのN個の内側ペアの到着角度の平均の符号と一致するかを判定し、Nは2以上の整数である。「Yes」の場合、方法は、1868で終了することができ、そうでない場合、アンテナの外側ペアのAoAの符号は、1866で反転される。
【0140】
図20Cを参照すると、位相角度差の符号をチェックするように構成された制御アルゴリズム2100の例示のフローチャートが示されている。制御アルゴリズム2100は、例えば、制御アルゴリズム1800が
図20を参照して上述されたステップ1856を実行するとき、開始することができる。2108で、制御アルゴリズム2100は、マイクロコントローラ350を使用して、アンテナ60または本明細書で開示された他のアンテナの内側ペアの少なくとも1つ(例えば、アンテナ60-1とアンテナ60-2および/またはアンテナ60-3とアンテナ60-2)の平均位相角度差を決定する。2116で、制御アルゴリズム2100は、マイクロコントローラ350を使用して、アンテナ60または本明細書に開示された他のアンテナの外側ペア(例えば、アンテナ60-1とアンテナ60-3)の位相角度差を決定する。
【0141】
2124で、制御アルゴリズム2100は、マイクロコントローラ350を使用して、アンテナの外側ペアの位相角度差の符号が、アンテナの内側ペアの位相角度差の平均の符号と一致するかを判定する。「Yes」の場合、方法は2036で終了することができ、そうでない場合、処理2028が実行される。
【0142】
2128で、制御アルゴリズム2100は、マイクロコントローラ350を使用して、アンテナの外側ペアの位相角度差が所定の閾値よりも大きいか判定する。「No」である場合、方法は2136で終了することができ、そうでない場合、処理2132が実行され得る。2132で、制御アルゴリズム2100は、マイクロコントローラ350を使用して、アンテナの外側ペアの位相角度差の符号を判定し、その後、2136に進むことができる。
【0143】
前述のアルゴリズム2100は、アルゴリズム1800からのAoAの結果の符号をチェックし、内側ペアの符号と一致しない場合に、外側ペアの測定値の符号を反転するため、アルゴリズム1800を実行した後に実行されてもよい。これは、各外側ペアの位相角度差の測定値、および/またはアンテナの各外側ペアに対して行われてもよい。一実施形態において、このチェックは、平均内側ペアAoA測定値が所定の閾値よりも大きい場合に適用される。AoAが
図22のプロットの中心部分にある、および/または0度に近い場合、符号のチェックアルゴリズムは実行されない。
【0144】
代替として、到着角度は、車両の制御モジュール20によって決定されてもよい。この代替実施形態では、センサ31は、それぞれのアンテナの少なくとも1つのペアの残りの位相角度差の平均位相角度差を制御モジュール20に送信してもよい。
【0145】
図24において、到着角度を決定する別の例示的な方法が示されている。この方法は、平均化される、複数のチャネルでの複数の測定値を取得することを含む。一部の測定値には削除の印が付けられる。到着角度の決定方法は、センサ31、マイクロコントローラ350、または制御モジュール20によって実行されてもよい。本方法の処理は、本明細書に開示された他の方法の処理と同様に繰り返し実行されてもよい。
図24の方法は、2400から始まる。2402で、アンテナ60(または60’)は、BLE周波数をステップスルーする所定の周波数(例えば、30Hz)で信号を受信する。2404で、マイクロコントローラ350は、その周波数で受信された信号について、アンテナのペア(外側のペア、左-中央のペア、中央-右のペア)のそれぞれの位相角度差を決定する。
【0146】
2406で、マイクロコントローラ350は、最新の所定の期間(例えば、1秒)の対応する位相角度差とともにその周波数をメモリに保存する。2408で、マイクロコントローラ350は、位相角度差ラッピングが発生したかどうかを判定するために位相角度差をレビューし、上述したアンテナの内側のペア(左-中央と中央-右)の位相角度差に基づいて、アンテナの外側のペアの位相角度差ラッピングを修正する。
【0147】
2410で、マイクロコントローラ350は、各チャネルの位相角度差限界を決定するために、周波数ごとに上述した位相角度差較正曲線を適用する。2412で、マイクロコントローラ350は、位相角差限界を決定するために、周波数ごとに方位角度較正曲線に位相角度差を適用する。
【0148】
次の処理2414および2416は、アプリケーションに応じて、実行されてもよいし、またはスキップされてもよい。一実施形態では、処理2414および2416は実行されない。2414で、マイクロコントローラ350は、対象とするアンテナの較正された電力が他のアンテナと相関しない所に印をつけてもよい。例えば、1つのアンテナの較正された電力が、他の各アンテナの較正された電力とは所定量以上異なる場合である。
【0149】
2416で、マイクロコントローラ350は、アンテナペア間の位相角度差が一致しないポイントに印を付ける。2418で、マイクロコントローラ350は、印が付けられた(つまり、疑わしい)ポイントを除く、最新の所定の期間の位相角度差ポイントを平均する。2420で、マイクロコントローラ350は、アンテナ間の位相角度差の平均に基づいてアンテナの到着角度を決定する。これには、マイクロコントローラ350がネットワーク(または移動)機器とアンテナ間の方位角度を決定することが含まれる。本方法は2422で終了することができる。
【0150】
図21および/または
図24の方法を実行したことに続いて、制御モジュール20は、それぞれのセンサ31のアンテナ60の少なくとも1つについて決定された到着角度に基づいて、携帯機器10の位置および/または携帯機器10と車両30との間の距離を決定することができる。一例として、制御モジュール20は、携帯機器10が、第1センサ31Aでの到着角度を表す第1ラインと第2センサ31Bでの到着角度を表す第2ラインとの交点に位置するものと判定することができる。
【0151】
図25は、受信無線周波数信号の同相成分と直交成分との間の位相角度を決定するための受信回路2500を示す。受信回路2500は、上述のアンテナ60、60’のうちの1つのようなアンテナ2502、ミキサ2504、2506、ローパスフィルタ2508、2510、アナログデジタルコンバータ2512、2514、および0Hz IFコンバータ2516を含む。ミキサ2504、2506は、キャリア周波数(例えば、2.402GHz信号)および連続波(CW)トーン信号(例えば、±250KHz)を有するRF信号を受信し、キャリア信号を除去してCWトーン信号を提供することができる。ミキサからの信号は、互いに90°位相シフトされ、ローパスフィルタ2508、2510に与えられる。そして、ローパスフィルタ2508、2510の出力は、デジタル信号に変換され、位相角度を決定することができる同相および直交位相信号を提供するために、0Hz IFコンバータ2516に提供される。同相および直交位相信号に関連付けられる位相角度ベクトルは、対応するI、Q座標プロットの原点を中心にCWトーン信号の周波数で回転する(たとえば、250KHzで回転する)。
【0152】
本教示によれば、アンテナシステムは、複数の経路を有する第1の本体を含み、複数の経路の各々は、第1部分、第2部分、および第3部分を含む。第1部分は、本体の上面に位置し、第2部分は、本体の側面に位置し、複数の経路の各々の第2部分は螺旋形状を形成し、第3部分は、本体の底面に位置し、側面は、上面から底面に延びる。アンテナシステムは、複数のアンテナ素子も含み、複数のアンテナ素子の各々は、複数の経路のそれぞれ1つの内または上に配置され、無線周波数(RF)信号を受信するように構成される。アンテナシステムは、複数のアンテナ素子の各々と容量結合されるグランド面も含む。
【0153】
図26を参照すると、位相角度差限界および重心を決定するための例示的な較正制御アルゴリズム1900を示すフローチャートが示されている。較正制御アルゴリズム1900は、主として較正制御アルゴリズムとして説明されるが、較正に続く使用の間に部分的にまたは完全に実行されてもよい。少なくともAoA決定アルゴリズム1902の一部も示されている。試験装置35および/またはプロセッサと対応する試験ソフトウェアとを含む他の装置により実行され得る、較正制御アルゴリズム1900は、例えば、較正制御アルゴリズム1700が
図19を参照して上述されたステップ1760を実行するときに、1904で始まる。1908で、制御アルゴリズム1900は、第1通信チャネルに関連する第1較正基準曲線(または較正テーブル)を特定する。
図27は、例示的な較正基準曲線2700を示す。示された例において、較正基準曲線2700の一部2702は、曲線2704を提示するために拡大されている。
【0154】
較正基準曲線2700は、最小位相角度差2708を有する最小領域(または最小キャッピング領域)2706、および最大2712を有する最大領域(または最大キャッピング領域)2710を有する。最小キャッピング領域2706では、最小位相角度差2708を除いて、各位相角度差に対して2つの方位角度(または到着角度)が与えられる。同様に、最大キャッピング領域2710では、最大位相角差2712を除いて、各位相角差に対して2つの方位角度(または到着角度)が与えられる。これを解明するために、制御アルゴリズム1900は、位相角度差が最小位相限界2720または最大位相限界(図示せず)未満であるかを判定し、以下で説明するように位相角度補正を行う。制御アルゴリズムはまた、最小および最大キャッピング領域2706、2710の重心を決定する(最小キャッピング領域2706の重心2730の例が示されている)。
【0155】
1912において、制御アルゴリズム1900は、基準曲線の最小キャッピング領域および最大キャッピング領域における方位角度を識別する。一例として、最小キャッピング領域はボアサイトから-80度と-90度の間のように任意に定義することができ、最大キャッピング領域はボアサイトから80度と90度の間のように任意に定義することができる。別の例として、最小キャッピング領域は、方位角度が-90度から最小キャッピング領域の端に進むにつれて、基準曲線が、上方に凹んだ半円形および/または円形パターンを示す領域として定義されてもよい。同様に、最大キャッピング領域は、方位角度が最大キャッピング領域の端から90度に進むにつれて、基準曲線が、下方に凹状になる第2の半円形および/または第2の円形パターンを示す領域として定義されてもよい。1916で、制御アルゴリズム1900は、最小キャッピング領域の重心および最大キャッピング領域の重心を特定する(重心2731は、最小キャッピング領域2706に対して示されている)。
【0156】
1920で、制御アルゴリズム1900は、最小キャッピング領域の重心に関連する位相角度差および対応する方位角度に基づいて、通信チャネルの最小位相角度差限界を決定する。一例として、重心がボアサイトから-85度の方位角度に関連付けられる場合、最小位相角度差限界は、-85度での位相角度差として定義することができる。ボアサイトの位相差(名目上0)から、最小位相角度差よりも遠い任意の位相角度差は、重心方位角度に変換される。
【0157】
1924において、制御アルゴリズム1900は、最大キャッピング領域の重心に関連する位相角度差および対応する方位角度に基づいて、通信チャネルの最大位相角度差限界を決定する。一例として、重心がボアサイトから87度の方位角度に関連付けられている場合、最大位相角度差限界は、87度での位相角度差として定義することができる。同様に、ボアサイトの位相差(名目上0)から最大位相角度差よりも遠い位相角度差は、重心方位角度に変換される。
【0158】
いくつかの実施形態では、制御アルゴリズム1900は、例えば、それぞれのキャッピング領域の幅に基づく重み関数によって、最小位相角度差限界および/または最大位相角度差限界を調整してもよい。
【0159】
1928で、制御アルゴリズム1900は、追加の通信チャネルについて位相角度差限界を決定する必要があるかを判定する。そうである場合、制御アルゴリズム1900は1932に進む。そうでない場合、制御アルゴリズム1900は1940に進む。1932で、制御アルゴリズム1900は、次の通信チャネルを選択し、1936で次の通信チャネルに関連する基準曲線を識別し、その後、1912に進む。較正アルゴリズム1900は、処理1928を実行した後に終了することができる。
【0160】
較正アルゴリズム1900を実施した後、AoA決定アルゴリズム1902を実行することができる。AoA決定アルゴリズム1902は、本明細書に開示される他のアルゴリズムの他の処理の後に実行されてもよい。1932で、マイクロコントローラ350または制御モジュール20は、2つのアンテナ間の位相角度差を決定することができる。
【0161】
1934において、マイクロコントローラ350または制御モジュール20は、1932で決定された位相角度差、位相角度差限界、および重心に基づいて、2つのアンテナによって受信された信号のAoAを決定する。一実施形態では、ボアサイトの位相差(名目上0)から最大位相角度差よりも離れた位相角度差は、重心方位角度に変換される。ボアサイト位相差(名目上0)から最小位相角度差よりも離れた位相角度差は、最小キャッピング領域の重心方位角度に変換される。別の実施形態では、最大キャッピング領域の位相角度差は、最大キャッピング領域の方位角度の平均および/または最大キャッピング領域の重心の方位角度に変換される。最小キャッピング領域の位相角度差は、最小キャッピング領域の方位角度の平均および/または最小キャッピング領域の重心の方位角度に変換される。1936において、マイクロコントローラ350または制御モジュール20は、上述のように、AoAに基づいて処理を実行する。
【0162】
本教示によれば、方法は、アンテナシステムを使用して、第1通信チャネルを介して信号を受信することを含み、アンテナシステムは複数の方位角度で信号を受信する。この方法は、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された命令を実行するように構成された処理回路を使用して、アンテナシステムの複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することも含み、複数の第1通信チャネル位相角度差の各々は、複数の方位角度の1つに対応する。この方法は、アンテナシステムを使用して、第2通信チャネルを介して第2信号を受信することも含み、アンテナシステムは、複数の方位角度で第2信号を受信する。この方法は、処理回路を使用して、複数の第2通信チャネル位相角度差を決定することも含み、複数の第2通信チャネル位相角度差の各々は、複数の方位角度の1つに対応する。この方法は、処理回路を使用して、複数の第1通信チャネル位相角度差に基づいて、第1基準曲線を生成することも含む。この方法は、処理回路を使用して、複数の第2通信チャネル位相角度差に基づいて、第2基準曲線を生成することも含む。この方法は、処理回路を使用して、位相差限界の第1のセットと、位相差限界の第2のセットを決定することも含み、第1のセットは第1通信チャネルに関連付けられ、第2のセットは第2通信チャネルに関連付けられる。第1のセットと第2のセットを決定することは、処理回路を使用して、最小キャッピング領域と最大キャッピング領域を特定すること、処理回路を使用して、最小キャッピング領域の中心位置に基づいて最小位相差限界を決定すること、処理回路を使用して、最大キャッピング領域の中心位置に基づいて最大位相差限界を決定すること、および、位相角度差が最小キャッピング領域および最大キャッピング領域内にある場合に、最小キャッピング領域および最大キャッピング領域の重心角度に方位角度を割り当てること、を含む。
【0163】
他の特徴では、最小キャッピング領域の中心位置は、最小キャッピング領域の重心であり、最大キャッピング領域の中心位置は、最大キャッピング領域の重心である。
【0164】
他の特徴では、最小キャッピング領域の中心位置は、最小キャッピング領域の位相角度差および方位角度を表し、最大キャッピング領域の中心位置は、最大キャッピング領域の位相角度差および方位角度を表す。
【0165】
他の特徴では、方法は、処理回路を使用して、アンテナシステムのアンテナの内側ペア間の、複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することを含む。方法は、処理回路を使用して、内側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差の第1の符号を決定することも含む。方法は、処理回路を使用して、アンテナシステムのアンテナの外側ペア間の、1つ以上の第1通信チャネル位相角度差を決定することも含む。方法は、処理回路を使用して、外側ペア間の1つ以上の第1通信チャネル位相角度差の第2の符号を決定することも含む。方法は、処理回路を使用し、第2の符号が第1の符号に一致しないことに応じて、第2の符号を変更することも含む。
【0166】
他の特徴では、方法は、内側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差と、外側ペア間の1つ以上の第1通信チャネル位相角度差とに基づいて、アンテナの複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することを含む。
【0167】
他の特徴では、第1基準曲線は、処理回路を使用し、ローパスフィルタを使って第1通信チャネル位相角度差をフィルタリングすることをさらに含む。
【0168】
他の特徴では、第2基準曲線を生成することは、処理回路を使用し、ローパスフィルタを使って第2通信チャネル位相角度差をフィルタリングすることをさらに含む。
【0169】
他の特徴では、ローパスフィルタは有限インパルス応答ローパスフィルタである。
【0170】
他の特徴では、方法は、処理回路を使用して、複数の追加の基準曲線を生成することを含み、複数の追加の基準曲線の各々は、アンテナシステムの残りの各通信チャネルの1つに関連付けられる。
【0171】
他の特徴では、方法は、処理回路を使用して、複数の追加の基準曲線の各々に対応する、追加の位相差限界のセットを生成することを含む。
【0172】
本教示によれば、システムは、第1通信チャネルを介して信号を受信し、第2の通信チャネルを介して第2信号を受信するように構成されたアンテナシステムを含み、アンテナシステムは複数の方位角度で信号を受信し、および、アンテナシステムは複数の方位角度で第2信号を受信する。システムは、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された命令を実行するように構成された処理回路も含む。命令は、アンテナシステムの複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することを含み、複数の第1通信チャネル位相角度差の各々は、複数の方位角度の1つに対応する。命令は、処理回路を使用して、複数の第2通信チャネル位相角度差を決定することも含み、複数の第2通信チャネル位相角度差の各々は、複数の方位角度の1つに対応する。命令は、処理回路を使用して、複数の第1通信チャネル位相角度差に基づいて、第1基準曲線を生成することも含む。命令は、処理回路を使用して、複数の第2通信チャネル位相角度差に基づいて、第2基準曲線を生成することも含む。命令は、処理回路を使用して、位相差限界の第1のセットと、位相差限界の第2のセットを決定することも含み、第1のセットは第1通信チャネルに関連付けられ、第2のセットは第2通信チャネルに関連付けられる。第1のセットと第2のセットを決定することは、処理回路を使用して、最小キャッピング領域と最大キャッピング領域を特定すること、処理回路を使用して、最小キャッピング領域の中心位置に基づいて最小位相差限界を決定すること、処理回路を使用して、最大キャッピング領域の中心位置に基づいて最大位相差限界を決定すること、位相角度差が最小キャッピング領域および最大キャッピング領域内にある場合に、最小キャッピング領域および最大キャッピング領域の重心角度に方位角度を割り当てること、を含む。
【0173】
他の特徴では、最小キャッピング領域の中心位置は、最小キャッピング領域の重心であり、最大キャッピング領域の中心位置は、最大キャッピング領域の重心である。
【0174】
他の特徴では、最小キャッピング領域の中心位置は、最小キャッピング領域の位相角度差および方位角度を表し、最大キャッピング領域の中心位置は、最大キャッピング領域の位相角度差および方位角度を表す。
【0175】
他の特徴では、命令は、処理回路を使用して、アンテナシステムのアンテナの内側ペア間の、複数の第1通信チャネル位相角度差を決定すること、処理回路を使用して、内側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差の第1の符号を決定すること、処理回路を使用して、アンテナシステムのアンテナの外側ペア間の、1つ以上の第1通信チャネル位相角度差を決定すること、処理回路を使用して、外側ペア間の1つ以上の第1通信チャネル位相角度差の第2の符号を決定すること、および、処理回路を使用し、第2の符号が第1の符号に一致しないことに応じて、第2の符号を変更すること、をさらに含む。
【0176】
他の特徴では、命令は、内側ペア間の複数の第1通信チャネル位相角度差と、外側ペア間の1つ以上の第1通信チャネル位相角度差とに基づいて、アンテナの複数の第1通信チャネル位相角度差を決定することを含む。
【0177】
他の特徴では、第1基準曲線は、処理回路を使用し、ローパスフィルタを使って第1通信チャネル位相角度差をフィルタリングすることをさらに含む。
【0178】
他の特徴では、第2基準曲線を生成することは、処理回路を使用し、ローパスフィルタを使って第2通信チャネル位相角度差をフィルタリングすることをさらに含む。
【0179】
他の特徴では、ローパスフィルタは有限インパルス応答ローパスフィルタである。
【0180】
他の特徴では、命令は、処理回路を使用して、複数の追加の基準曲線を生成することをさらに含み、複数の追加の基準曲線の各々は、アンテナシステムの残りの各通信チャネルの1つに関連付けられる。
【0181】
他の特徴では、命令は、処理回路を使用して、複数の追加の基準曲線の各々に対応する、追加の位相差限界のセットを生成することをさらに含む。
【0182】
前述の説明は、本質的に単なる例示にすぎず、本開示、その適用、または使用を限定することを決して意図するものではない。本開示の広範な教示は様々な形態で実施することができる。したがって、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、および添付の特許請求の範囲を検討すれば他の変更態様が明らかになるので、本開示の真の範囲はそのように限定されるべきではない。本開示の原理を変更することなく、方法内の1つまたは複数のステップが異なる順序で(または同時に)実行されてもよいことを理解されたい。さらに、各実施形態は特定の特徴を有するものとして上記に説明されているが、本開示の任意の実施形態に関して説明されたこれらの特徴のうちの任意の1つまたは複数は、任意の他の実施形態に実装されることが可能であり、および/または、組み合わせが明示的に説明されていなくとも、任意の他の実施形態の特徴と組み合わせることが可能である。言い換えれば、説明された実施形態は相互に排他的ではなく、1つまたは複数の実施形態の相互の入れ替えは、本開示の範囲内に留まる。
【0183】
要素間(例えば、モジュール間、回路要素間、半導体層間など)の空間的および機能的関係は、「接続され」、「係合され」、「結合され」、「隣接して」、「の隣に」、「の上に」、「上」、「下」、および「配置され」を含む、様々な用語を用いて説明される。第1および第2要素間の関係が、上記開示において説明されているとき、「直接」であると明示的に記載されていない限り、その関係は第1および第2要素間に他の介在要素が存在しない直接的な関係であり得るが、第1および第2要素間に1つまたは複数の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的な関係でもあり得る。明細書で使用されるように、A、B、およびCのうちの少なくとも1つとのフレーズは、非排他的論理和を使用する、論理(AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0184】
図面において、矢じりで示される矢印の方向は、概して、図にとって重要な情報(データまたは命令など)の流れを示している。例えば、要素Aと要素Bが様々な情報を交換するが、要素Aから要素Bに送信される情報が図に関連する場合、矢印は要素Aから要素Bを指すことがある。この一方向の矢印は、他の情報が要素Bから要素Aに送信されないことを意味しない。さらに、要素Aから要素Bに送信される情報について、要素Bは、要素Aに、情報の要求または情報の受信確認を送信するかもしれない。
【0185】
以下の定義を含む本出願では、用語「モジュール」または用語「コントローラ」は、用語「回路」と置き換えられてもよい。「モジュール」という用語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル,アナログ,またはアナログ/デジタル混合ディスクリート回路、デジタル,アナログ,またはアナログ/デジタル混合集積回路、組み合わせ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行するプロセッサ回路(共有、専用、またはグループ)、プロセッサ回路によって実行されるコードを記憶するメモリ回路(共有、専用、またはグループ)、説明された機能を提供する他の適切なハードウェアコンポーネント、あるいは、システムオンチップなどにおける上記のいくつかまたはすべての組み合わせ、を指すか、一部であるか、または含むことができる。
【0186】
モジュールは、1つ以上のインターフェース回路を含むことができる。いくつかの例では、インターフェース回路は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)、またはそれらの組み合わせに接続される有線または無線インターフェースを含むことができる。本開示の任意の所与のモジュールの機能は、インターフェース回路を介して接続される複数のモジュール間で分散されてもよい。例えば、複数のモジュールは負荷平衡を可能にし得る。さらなる例では、サーバ(リモート、またはクラウドとしても知られる)モジュールは、クライアントモジュールに代わっていくつかの機能を達成してもよい。
【0187】
上記で使用される、コードという用語は、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはマイクロコードを含むことができ、プログラム、ルーチン、機能、クラス、データ構造、および/またはオブジェクトを指すことがある。共有プロセッサ回路との用語は、複数のモジュールからのコードの一部または全部を実行する単一のプロセッサ回路を包含する。グループプロセッサ回路との用語は、追加のプロセッサ回路と組み合わせて、1つまたは複数のモジュールからのコードの一部または全部を実行するプロセッサ回路を包含する。複数のプロセッサ回路への言及は、個別のダイ上の複数のプロセッサ回路、単一のダイ上の複数のプロセッサ回路、単一のプロセッサ回路の複数のコア、単一のプロセッサ回路の複数のスレッド、またはこれらの組み合わせを包含する。共有メモリ回路との用語は、複数のモジュールからのコードの一部または全部を格納する単一のメモリ回路を包含する。グループメモリ回路との用語は、追加のメモリと組み合わせて、1つまたは複数のモジュールからのコードの一部または全部を格納するメモリ回路を包含する。
【0188】
メモリ回路との用語は、コンピュータ可読媒体との用語のサブセットである。本明細書で使用されるコンピュータ可読媒体との用語は、(搬送波上などの)媒体を通じて伝播する一時的な電気信号または電磁信号を含まない。したがって、コンピュータ可読媒体との用語は、有形の非一時的なものと見なすことができる。非一時的で有形のコンピュータ可読媒体の非限定的な例は、(フラッシュメモリ回路、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ回路、またはマスク読み出し専用メモリ回路などの)不揮発性メモリ回路、(SRAM回路やDRAM回路などの)揮発性メモリ回路、(アナログまたはデジタル磁気テープまたはハードディスクドライブなどの)磁気記憶媒体、および(CD、DVD、またはブルーレイディスクなどの)光記憶媒体である。
【0189】
本出願に記載されている装置および方法は、コンピュータプログラムで具現化される1つまたは複数の特定の機能を実行するように汎用コンピュータを構成することによって作成された専用コンピュータによって部分的または完全に実施され得る。上記の機能ブロックおよびフローチャート要素は、ソフトウェアの仕様として役立ち、熟練した技術者またはプログラマーの日常業務によってコンピュータプログラムに変換することができる。
【0190】
コンピュータプログラムは、少なくとも1つの非一時的な有形のコンピュータ可読媒体に格納されるプロセッサ実行可能命令を含む。コンピュータプログラムはまた、保存されたデータを含むか、またはそれに依存する場合もある。コンピュータプログラムは、専用コンピュータのハードウェアと相互作用する基本入出力システム(BIOS)、専用コンピュータの特定のデバイスと相互作用するデバイスドライバ、1つ以上のオペレーティングシステム、ユーザアプリケーション、バックグランドサービス、バックグランドアプリケーションなどを含んでも良い。
【0191】
コンピュータプログラムは、(i)HTML(ハイパーテキストマークアップ言語)またはXML(拡張マークアップ言語)のような解析される記述テキスト、(ii)アセンブリコード、(iii)コンパイラによってソースコードから生成されるオブジェクトコード、(iv)インタプリタによる実行のためのソースコード、(v)ジャストインタイムコンパイラによるコンパイルおよび実行のためのソースコードなどを含むことができる。単なる例として、ソースコードは、C、C++、C#、Objective-C、Swift、Haskell、Go、SQL、R、Lisp、Java(登録商標)、Fortran、Perl、Pascal、Curl、OCaml、Javascript(登録商標)、HTML5(ハイパーテキストマークアップ言語第5改訂版)、Ada、ASP(Active Server Pages)、PHP(ハイパーテキストプリプロセッサ)、Scala、Eiffel、Smalltalk、Erlang、Ruby、Flash(登録商標)、VisualBasic(登録商標)、Lua、MATLAB、SIMULINK、およびPython(登録商標)を含む言語の構文法を使って記述され得る。
【0192】
上述した実施形態の説明は、例示および説明の目的のために提供されている。それは、網羅的であることも、開示を限定することも意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素や特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されることなく、具体的に図示または説明されなくとも、適用可能である場合、交換可能であり、選択された実施形態で使用することが可能である。同上のものはまた、多くのやり方で変更されてもよい。そのような変更は、本開示からの逸脱として見なすべきではなく、全てのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。