(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】車両の電池冷却構造
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6556 20140101AFI20220802BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220802BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220802BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20220802BHJP
H01M 10/667 20140101ALI20220802BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20220802BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20220802BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20220802BHJP
B60K 11/06 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/667
H01M50/204 401H
H01M50/249
B60K1/04 Z
B60K11/06
(21)【出願番号】P 2020569700
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2020003271
(87)【国際公開番号】W WO2020158829
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2019013880
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】北村 亮介
(72)【発明者】
【氏名】藤井 毅
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 仁
【審査官】坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-345451(JP,A)
【文献】特開2007-106316(JP,A)
【文献】特開2005-153827(JP,A)
【文献】特開2014-222640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
11/06
H01M10/52-10/667
50/204
50/249
H02M 3/00- 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に支持され、バッテリー及びDC-DCコンバータを収容する電池ケースと、
前記電池ケースに空気を導入する吸気部と、
前記電池ケースに導入された空気を排出する排気部と、
を備え、
車両の電池冷却構造は、前記電池ケース内で前記吸気部から前記排気部に至る空気の流路の上流側に前記バッテリーが設置され、下流側に前記DC-DCコンバータが設置される、ように構成され、
前記電池ケースは、
前記車両のリアフロアパンに設けられた凹部に設けられ、
前記排気部は、前記電池ケースから突設された第1の排気管を含み、
前記第1の排気管の排気導入用開口部は、前記電池ケースの内部において前記DC-DCコンバータの上方に配置され、
前記第1の排気管の排気排出用開口部は、前記リアフロアパンと前記リアフロアパンを覆う荷室ボードとの間の空間に開口するように構成される、
車両の電池冷却構造。
【請求項2】
前
記排気導入用開口部は、前記DC-DCコンバータの近傍において当該DC-DCコンバータに対向するように、構成される、
請求項1に記載の車両の電池冷却構造。
【請求項3】
前記排気導入用開口部の中心から前記DC-DCコンバータまでの最短距離は、前記排気導入用開口部の前記中心から前記バッテリーまでの最短距離よりも短く、
前記排気導入用開口部は、前記排気導入用開口部の幅方向において、前記バッテリー側に位置する第1部分と、当該第1部分とは前記幅方向において反対側に位置して前記DC-DCコンバータ側に位置する第2部分と、を有し、
前記電池ケースの平面視において、前記第1部分は、前記第2部分よりも前記電池ケースの内部へ突出する、
請求項2に記載の車両の電池冷却構造。
【請求項4】
前記排気部は、前記第1の排気管に介設されたファンを含む、
請求項1から3の何れか1項
に記載の車両の電池冷却構造。
【請求項5】
前記ファンは、前記DC-DCコンバータの車両後方に位置し、前記ファンの中心部は、平面視において、前記DC-DCコンバータの車幅方向の最も中央側に位置する側部よりも、車幅方向の外側に位置する、
請求項
4に記載の車両の電池冷却構造。
【請求項6】
前記第1の排気管及び前記ファンは、前記バッテリーの車両後方において当該バッテリーの投影領域内に位置していない
請求項
4または5に記載の車両の電池冷却構造。
【請求項7】
前記バッテリーと前記DC-DCコンバータとは車幅方向に並べられ、
前記吸気部は、吸気管を含み、
前記吸気管は、
前記吸気部の一端に設けられ、車室内の空気を吸入する吸気吸入用開口と、
前記吸気部の他端に設けられ、前記空気を前記電池ケース内に供給する吸気吹き出し用開口と、を有し、
前記吸気吹き出し用開口は、前記バッテリーに向けて配置される
請求項1から
6の何れか1項に記載の車両の電池冷却構造。
【請求項8】
さらに、
前記バッテリーからの排気を車外に排出する第2の排気管、
を備える、
請求項1から
7の何れか1項に記載の車両の電池冷却構造。
【請求項9】
さらに、
前記バッテリーからの排気をサイドメンバー内に排出する第2の排気管、
を備える、
請求項1から
7の何れか1項に記載の車両の電池冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の電池冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、BSG(Belt Starter Generator)、すなわち、ベルト式のスタータージェネレータを備えた車両を開示する。
ベルト式のスタータージェネレータは、エンジンの始動を行なうと共に、走行時にエンジンの出力をアシストする補助動力源として機能する。
多くの場合、ベルト式のスタータージェネレータを備えた車両は、出力電圧が48Vのバッテリーと、DC/DCコンバータと、を備える。48Vのバッテリーは、スタータージェネレータを駆動する。DC/DCコンバータは、種々の電装品を駆動する12Vの電圧を得るためにバッテリーの出力電圧を48Vから12Vに変換する。
バッテリー、および、DC/DCコンバータは動作に伴い発熱し高温になると、それらの性能を発揮する上で不利となる。このため、バッテリー、DC/DCコンバータを適切に冷却する必要がある。
【0003】
しかしながら、バッテリー、DC/DCコンバータのそれぞれに対して独立した冷却構造を設けると、冷却構造が複雑となり、冷却構造の小型化の観点で改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示は、冷却構造を簡素化でき小型化できる車両の電池冷却構造に関する。
【0006】
典型的実施例によれば、車両の電池冷却構造は、車体に支持されバッテリー及びDC-DCコンバータを収容する電池ケースと、電池ケースに空気を導入する吸気部と、電池ケースに導入された空気を排出する排気部と、を備える。電池ケース内で吸気部から排気部に至る空気の流路の上流側にバッテリーが設置される。下流側にDC-DCコンバータが設置される。
この構造によれば、空気の流路を介して電池ケース内で吸気部から排気部に至る冷却風によってバッテリーが先行して冷却され、次いで、バッテリーにより暖められた冷却風で、バッテリーよりも高温のDC-DCコンバータが冷却される。
したがって、同一の電池ケース内に発熱するバッテリーおよびDC/DCコンバータとの2つの部材を収容したにも拘わらず、それらバッテリーおよびDC/DCコンバータの双方を効率よく冷却することができる。
そのため、バッテリーおよびDC/DCコンバータの双方にそれぞれ独立した冷却構造を設ける場合に比較して、冷却構造が簡素化し小型化する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態の車両の電池冷却構造を示す斜視図であり、電池ケースのカバーを取り除いた状態を示す。
【
図2】
図2は、実施の形態の車両の電池冷却構造を示す平面図であり、電池ケースのカバーを取り除いた状態を示す。
【
図7】
図7は、サイドメンバーの内部に第2の排気管の端部が配置された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の図面において符号UPは車両上方を示し、符号FRは車両前方を示し、符号LHは車幅方向を示す。
なお、実施の形態では、本発明がベルト式のスタータージェネレータを備えた車両に適用されるが、本発明は、ベルト式のスタータージェネレータを備えた車両に限定されず、バッテリーと、バッテリーの出力電圧を変換するDC/DCコンバータとを備える車両に広く適用可能である。
【0009】
図1、
図2、
図3に示すように、車体10の後部には、車幅方向に間隔をおいて車両前後方向に延在する一対のサイドメンバー12と、一対のサイドメンバー12の間に架け渡されたリアフロアパン14と、が設けられる。
リアフロアパン14の車幅方向の中央には、上方が開放され平面視矩形状の凹部16が、設けられる。
この凹部16は、通常、スペアタイヤや工具などを収容する収容部として利用されるものであるが、本実施の形態では、バッテリーパック20を収容する収容部として利用される。
リアフロアパン14の上方には、凹部16を含むリアフロアパン14を覆う平板状の荷室ボード18(
図3参照)が、配置される。荷室ボード18の上に、荷物を積載できる。
【0010】
実施の形態に係る車両の電池冷却構造は、バッテリーパック20と、吸気部22と、排気部24と、を含む。
バッテリーパック20は、電池ケース26と、バッテリー28と、DC/DCコンバータ30と、を含む。
図3から
図5に示すように、電池ケース26は荷室に設けられる。電池ケース26は、トレー32と、カバー34と、を含む。される
図1においては説明の便宜上、これらトレー32及びカバー34は省略する。
トレー32は、細長形状の矩形を呈するトレー底壁3202と、トレー底壁3202の周囲から起立するトレー側壁3204と、トレー側壁3204の上端外周に設けられたトレーフランジ3206と、トレーフランジ3206の延在方向に間隔をおいて設けられた複数の取り付け片3208と、を備える。
トレー32の車幅方向の長さは、トレー32の車両前後方向の長さ、よりも大きい。トレー32の外周は、複数の取り付け片3208を介してリアフロアパン14に取り付けられ、あるいは、取り付け片3208とブラケット35を介して凹部16に取り付けられ、これによりトレー32は車体10に支持される。
【0011】
カバー34は、トレー底壁3202に対応する形状のカバー上壁3402と、カバー上壁3402の周囲から垂設されたカバー側壁3404と、カバー側壁3404の下端外周に設けられトレーフランジ3206に合わされるカバーフランジ3406と、を備える。
カバーフランジ3406が、トレーフランジ3206に上方から重ね合わされる。トレーフランジ3206とカバーフランジ3406とが、周方向に間隔をおいた複数箇所で、互いにボルト締結される。これにより電池ケース26の内部が密閉される。
また、本実施の形態では、
図5に示すように、カバー側壁3404のうち、車幅方向の一方に位置するカバー側壁3404には、後述する吸気管52を挿入するための吸気管用切り欠き3410が形成される。
また、カバー側壁3404のうち、車両後方に位置するカバー側壁3404には、
図5に示すように後述する第1の排気管42を配置するための第1の排気管用切り欠き3412と、
図3に示すように後述する第2の排気管44を配置するための第2の排気管用切り欠き3414と、が車幅方向に間隔をおいて形成される。
【0012】
バッテリー28は、
図6に示すように、バッテリー本体36と、バッテリーカバー38とを含む。
バッテリー本体36の出力電圧は、48Vである。バッテリー本体36は、その出力電圧をベルト式のスタータージェネレータに供給する。
バッテリー本体36として、リチウムイオン二次電池など様々な二次電池が使用可能である。
バッテリー本体36は、使用時の条件にもよるが動作に伴いその温度が約60℃程度に上昇しうる。そのため、バッテリー本体36が性能を発揮する25℃前後の温度となるようにバッテリー本体36を冷却することが望ましい。
バッテリー本体36の外形は、細長形状の矩形板状である。バッテリー本体36の上面には、バッテリー本体36の内部で発生したガスを逃がす安全弁が設けられる。
図3、
図5に示すように、バッテリーカバー38が被せられた状態で、バッテリー本体36の車幅方向の長さは、バッテリー本体36の車両前後方向の長さよりも長い。バッテリー本体36は、トレー底壁3202上に設けられたトレー底壁3202の補強を兼ねるブラケット40を介して、トレー底壁3202の車幅方向の一方寄り箇所に取り付けられる。
バッテリー本体36がブラケット40を介してトレー底壁3202上に取り付けられた状態で、バッテリー本体36の
下面3602とトレー底壁3202との間には、第7の流路46Gが、車幅方向に沿って直線状に延在形成される。第7の流路46Gには、車室内の空気が冷却風として流通する。
【0013】
バッテリーカバー38は、
図6に示すように、バッテリー本体36の上面と側面を覆う。バッテリーカバー38の下部は、開放される。
バッテリーカバー38は、バッテリー本体36の上方から被せられ、不図示の取り付け部材によりバッテリー本体36に取り付けられる。
バッテリー本体36の側面を覆うバッテリーカバー38の側面の内面には、周方向の全周にわたって不図示の帯状のシール部材が取り付けられる。このシール部材により、バッテリーカバー38の下面とバッテリー本体36の上面との間の空間と、バッテリーカバー38の側面とバッテリー本体36の側面との間の空間と、が密閉される。
【0014】
第2の排気管44の一端が、バッテリーカバー38の側面のうち、車両後方に位置する側面に接続される。第2の排気管44の他端は、カバー34の第2の排気管用切り欠き3414(
図3参照)を介して電池ケース26の外側後方に導出される。
図7に示すように、第2の排気管44の他端は、車幅方向の一方に位置するサイドメンバー12上に位置するリアフロアパン14の開口を介して、サイドメンバー12の内部に接続される。この結果、バッテリーカバー38の内側とサイドメンバー12の内部とが、第2の排気管44を介して連通する。
グロメット48は、第2の排気管44の外周とリアフロアパン14の開口との間をシールする。
したがって、バッテリー本体36の安全弁からガスが放出された場合、ガスは、バッテリーカバー38の外側に漏れることなく、言い換えると、車内に漏れることなく、第2の排気管44を介してサイドメンバー12の内部に導かれ、サイドメンバー12の内部から隙間を介して車外の大気中に放出される。
【0015】
DC/DCコンバータ30は、バッテリー28から出力される電圧を48Vから12Vに変換して種々の電装品に供給する。
DC/DCコンバータ30は、使用時の条件にもよるが動作に伴いその温度が100℃程度とバッテリー本体36よりも高温となりうる。このため、DC/DCコンバータ30の性能を発揮する例えば60℃前後に、DC/DCコンバータ30を冷却することが望ましい。
図1、
図2、
図4、
図5に示すように、DC/DCコンバータ30の外形は、バッテリー28よりも薄い矩形板状である。
DC/DCコンバータ30は、バッテリー28と車幅方向に間隔をおいて隣り合って配置される。バッテリー28の矩形の1辺とDC/DCコンバータ30の矩形の1辺とは平行している。
図4に示すように、DC/DCコンバータ30は、トレー底壁3202上に設けられたトレー底壁3202の補強を兼ねるブラケット50を介してトレー底壁3202の車幅方向の他方寄り箇所に取り付けられる。
DC/DCコンバータ30がブラケット50を介してトレー底壁3202上に取り付けられた状態で、DC/DCコンバータ30の
下面3002とトレー底壁3202との間には冷却風が流通する第8の流路46Hが第7の流路46Gと同一直線上で車幅方向に沿って延在形成される。第7の流路46Gと第8の流路46Hを介してバッテリー28の
下面3602とDC/DCコンバータ30の
下面3002が冷却風により効率よく冷却される。
DC/DCコンバータ30の上面3004に、冷却を促進するための放熱フィンや放熱ピンを、任意に設けてもよい。
【0016】
したがって、
図2、
図3、
図4、
図5に示すように、トレー32にカバー34が取り付けられた状態で、トレー底壁3202とカバー上壁3402との間に、それぞれ冷却風が流通する第1の流路46A、第2の流路46B、第3の流路46C、第4の流路46D、および、第9の流路46I、が形成される。
第1の流路46Aは、車幅方向の一方に位置するトレー側壁3204およびカバー側壁3404と、それら側壁3204、3404に対向するバッテリー28の側面2802と、の間で、車両前後方向に延在する。
第2の流路46Bは、車両前方に位置するトレー側壁3204およびカバー側壁3404と、それら側壁3204、3404に対向するバッテリー28の側面2802およびDC/DCコンバータ30の側面3006と、の間で、車幅方向に延在する。第2の流路46Bは、第1の流路46Aの車両前方箇所に連通する。
第3の流路46Cは、車両後方に位置するトレー側壁3204およびカバー側壁3404と、それら側壁3204、3404に対向するバッテリー28の側面2802およびDC/DCコンバータ30の側面3006と、間で、車幅方向に延在する。第3の流路46Cは、第1の流路46Aの車両後方箇所に連通する。
【0017】
第4の流路46Dは、車幅方向において互いに対向するバッテリー28の側面2802とDC/DCコンバータ30の側面3006との間で、車両前後方向に延在する。第4の流路46Dは、第2の流路46Bおよび第3の流路46Cの中間部と連通する。
第9の流路46Iは、車幅方向の他方に位置するトレー側壁3204およびカバー側壁3404と、それら側壁3204、3404に対向するDC/DCコンバータ30の側面3006と、の間で、車両前後方向に延在する。第9の流路46Iは、第2の流路46B、第3の流路46Cの端部と連通する。
【0018】
図3、
図5に示すように、バッテリー28の上面2804とカバー上壁3402との間に、冷却風が流通する第5の流路46Eが、形成される。第5の流路46Eは、第1の流路46Aの上部と連通し、車幅方向に延在する。
図4、
図5に示すように、DC/DCコンバータ30の上面3004とカバー上壁3402との間に、冷却風が流通する第6の流路46Fが、形成される。第6の流路46Fは、第5の流路46E、第4の流路46Dの上部と連通し、車幅方向に延在する。
図3、
図5に示すように、バッテリー28(バッテリー本体36)の下面3602とトレー底壁3202との間に、冷却風が流通する第7の流路46Gが、形成される。第7の流路46Gは、第1の流路46Aの下部と連通し、車幅方向に延在する。
図4、
図5に示すように、DC/DCコンバータ30の下面3002とトレー底壁3202との間に、冷却風が流通する第8の流路46Hが、形成される。第8の流路46Hは、第7の流路46G、第4の流路46Dの下部と連通し、車幅方向に延在する。
【0019】
吸気部22は、電池ケース26に車室内の空気を導入する。
車室内の空気は、通常、外気を取り入れたり、あるいは、空調装置を用いることで、乗員が快適な温度となっている。
図1、
図2、
図5に示すように、吸気部22は、吸気管52を含む。
本実施の形態では、吸気管52は、電池ケース26の車幅方向の一方側に配置される。
吸気管52の長手方向の一端に、車室内の空気を吸入する吸気吸入用開口5202が、設けられる。吸気管52の長手方向の他端に、吸気吸入用開口5202から吸入された空気を電池ケース26内に供給する吸気吹き出し用開口5204が、設けられる。
吸気吸入用開口5202は、車室内で車幅方向の一方寄りの箇所でリアフロアパン14から上方に離れた箇所に位置する。
吸気吹き出し用開口5204は、電池ケース26のカバー34の吸気管用切り欠き3410を介して電池ケース26内部に配置される。
図2、
図5に示すように、吸気吹き出し用開口5204は、バッテリー28とDC-DCコンバータ30とが並べられた方向でバッテリー28の側面2802に向けられる。
【0020】
排気部24は、電池ケース26に導入された空気を排出する。
図2、
図4、
図5に示すように、排気部24は、第1の排気管42と、ファン54とを含む。
第1の排気管42は、カバー34の第1の排気管用切り欠き3412を介して電池ケース26から車両の斜め後方に向けて突設する。
第1の排気管42の延在方向の一端に、排気導入用開口部4202が、設けられる。第1の排気管42の延在方向の他端に、排気排出用開口部4204が、設けられる。
排気導入用開口部4202は、電池ケース26の内部において車両後方寄りの箇所で、かつ、バッテリー28とDC-DCコンバータ30の間でDC-DCコンバータ30寄りの箇所に配置される。
図5に示すように、排気導入用開口部4202は、正面視した場合、DC-DCコンバータ30の上方の箇所で、バッテリー28とDC-DCコンバータ30の間からDC-DCコンバータ30の車幅方向の中間部にわたって延在する。
また、排気導入用開口部4202は、
図2に示すように、DC/DCコンバータ30の上面3004のほぼ中央に向けられる。したがって、第1の排気管42を構成する壁部で排気導入用開口部4202のバッテリー28側の壁部の箇所4210は、排気導入用開口部4202のDC/DCコンバータ30側に位置する壁部の箇所4212よりもカバー側壁3404から電池ケース26の内部に大きな突出量で突出する。
言い換えると、排気導入用開口部4202は、DC-DCコンバータ30の近傍においてDC-DCコンバータ30に対向する。
また、排気導入用開口部4202は、バッテリー28とDC-DCコンバータ30の間でDC-DCコンバータ30寄りに配置される。つまり、排気導入用開口部4202の中心4202CからDC-DCコンバータ30までの最短距離は、排気導入用開口部4202の中心4202Cからバッテリー
28までの最短距離よりも短い。排気導入用開口部4202の幅方向において、バッテリー28側に位置する第1部分P1が、第1部分P1とは幅方向において反対側に位置してDC-DCコンバータ30側に位置する第2部分P2よりも電池ケース26の内部へ突出する。
排気排出用開口部4204は、電池ケース26の外部において荷室ボード18の下に開口する。言い換えると、排気排出用開口部4204は、リアフロアパン14とリアフロアパン14を覆う荷室ボード18との間の空間に開口する。本実施の形態では、
図2に示すように、排気排出用開口部4204は、平面視した状態で、車両後方と、車幅方向の一方に傾斜した車両斜め後方と、車幅方向の他方との3方向に向けて開口する。
【0021】
ファン54は、電池ケース26の外部において第1の排気管42(排気排出用開口部4204)の近傍に設けられる。ファン54は、電池ケース26内部の空気を排気導入用開口部4202から排気排出用開口部4204に向けて吸引する。
第1の排気管42およびファン54は、DC-DCコンバータ30の車両後方箇所に位置する。より詳細には、第1の排気管42およびファン54は、DC-DCコンバータ30の車両後方であってDC-DCコンバータ30の投影領域内に位置する。つまり、ファン54は、平面視(
図2に対応)におけるファン54の中心部54Cは、平面視において、DC-DCコンバータ30の車幅方向の最も中央側に位置する側部よりも、車幅方向の外側に位置する。すなわち、第1の排気管42およびファン54は、バッテリー28から車幅方向においてずれた箇所に設けられる。換言すると、バッテリー28の後方において当該バッテリー28の投影領域内に、第1の排気管42およびファン54が、配置されていない。なお、ここでいう「投影領域」とは、DC-DCコンバータ30又はバッテリー28を車幅方向にずらすことなく後方へ移動させた際に形成される仮想領域を意味する。
このように電池ケース26の内部にバッテリー28、DC/DCコンバータ30、吸気部22、排気部24が配置されることにより、電池ケース26内で吸気部22から排気部24に至る空気の流路の上流側にバッテリー28が設置され、下流側にDC-DCコンバータ30が設置される。
【0022】
図2に示すように、バッテリー28およびDC/DCコンバータ30が動作した状態でファン54が動作すると、吸気管52の吸気吸入用開口5202から導入された冷却風は、吸気吹き出し用開口5204から電池ケース26内部に導かれる。
吸気吹き出し用開口5204から吹き出された冷却風は、バッテリー28の側面2802に衝突し、一部は第1の流路46Aの長手方向の中間部から車両前方と車両後方に流れる。第1の流路46Aの長手方向の中間部から車両前方と車両後方に流れた冷却風は、第2の流路46B、第3の流路46Cを通って車幅方向他方に流れ、第9の流路46Iに至る。
また、吸気吹き出し用開口5204から吹き出されたバッテリー28の側面2802に衝突した冷却風の一部は、バッテリー28の上面2804の第5の流路46E、第4の流路46D、DC/DCコンバータ30の上面3004の第
6の流路46Fを通って車幅方向の他方に流れ、第9の流路46Iに至る。
また、吸気吹き出し用開口5204から吹き出されたバッテリー28の側面2802に衝突した冷却風の一部は、
図5に示すように、バッテリー28(バッテリー本体36)の下面3602の第7の流路46G、第4の流路46D、DC/DCコンバータ30の下面3002の第8の流路46Hを通って車幅方向の他方に流れ、第9の流路46Iに至る。
そして、第9の流路46Iに至った冷却風はDC/DCコンバータ30の上面3004を通って、ファン54により排気導入用開口部4202から吸い込まれ、排気排出用開口部4204を介して荷室ボード18の下方、すなわち、リアフロアパン14とボード18との間の空間に排出される。
【0023】
本実施の形態では、電池ケース26内で吸気部22から排気部24に至る空気の流路の上流側にバッテリー28が設置され下流側にDC-DCコンバータ30が設置される。このため、はじめに、第1の流路46A乃至第9の流路46Iを介して電池ケース26内で吸気部22から排気部24に至る冷却風によって、バッテリー28が、先行して冷却される。次いで、バッテリー28により暖められた冷却風で、バッテリー28よりも高温のDC-DCコンバータ30が、冷却される。
したがって、同一の電池ケース26内に発熱するバッテリー28およびDC/DCコンバータ30との2つの部材を収容したにも拘わらず、それらバッテリー28およびDC/DCコンバータ30の双方を効率よく冷却することができる。
そのため、バッテリー28およびDC/DCコンバータ30の双方にそれぞれ独立した冷却構造を設ける場合に比較して、冷却構造を簡素化でき、小型化、コストダウンを図る上で有利となる。
【0024】
また、排気導入用開口部4202は、DC-DCコンバータ30の近傍においてDC-DCコンバータ30に対向して設けられる。
したがって、バッテリー28およびDC/DCコンバータ30によって温度が上昇した冷却風を優先して排気導入用開口部4202に吸引させることができ、バッテリー28およびDC/DCコンバータ30の冷却効率を向上させる上で有利となる。
また、排気導入用開口部4202は、電池ケース26の内部において車両後方寄りの箇所で、
図2、
図5に示すように、正面視した場合、DC-DCコンバータ30の上方の箇所で、バッテリー28とDC-DCコンバータ30の間からDC-DCコンバータ30の車幅方向の中間部にわたって延在する。
したがって、バッテリー28およびDC/DCコンバータ30によって温度が上昇した冷却風を優先して排気導入用開口部4202により効率よく吸引させることができ、バッテリー28およびDC/DCコンバータ30の冷却効率を向上させる上でより有利となる。
また、排気導入用開口部4202は、バッテリー28とDC-DCコンバータ30の間でDC-DCコンバータ30寄りに配置され、その幅方向において、バッテリー28側に位置する第1部分P1が、DC-DCコンバータ30側に位置する第2部分P2よりも電池ケース26の内部へ突出する。このため、第3の流路46Cおよび第5の流路46Eを流れる冷却風が排気導入用開口部4202のバッテリー28側の箇所に衝突するため、排気導入用開口部4202に直接吸引されることない。したがって、第3の流路46Cおよび第5の流路46Eを流れる冷却風をバッテリー28およびDC/DCコンバータ30を冷却する冷却風として効果的に利用でき、バッテリー28およびDC/DCコンバータ30の冷却効率を向上させる上でより有利となる。
【0025】
また、本実施の形態では、第1の排気管42の排気排出用開口部4204がリアフロアパン14とボード18との間の空間に開口する。このため、バッテリー28およびDC/DCコンバータ30を冷却することで温度が上がった冷却風を直接的に車室内に排出するのではなく、間接的に車室内に排出することができ、乗員の快適性を維持する上で有利となる。
また、本実施の形態では、排気部24は、第1の排気管42に介設されたファン54を含む。このため、バッテリー28およびDC/DCコンバータ30を冷却することで高温となった冷却風を優先して排出することができ、バッテリー28およびDC/DCコンバータ30の冷却効率を高める上で有利となる。
なお、ファン54を吸気管52に設けても良いが、本実施の形態のようにすると、バッテリー28およびDC/DCコンバータ30の冷却効率を高める上でより有利となる。
【0026】
また、本実施の形態では、バッテリー28とDC-DCコンバータ30は、車幅方向に並べられる。また、吸気部22の吸気管52の吸気吸入用開口5202が、車室内に位置する。さらに、吸気部22の吸気管52の吸気吹き出し用開口5204が、バッテリー28とDC-DCコンバータ30とが並べられた方向でバッテリー28に向けられる。
したがって、吸気吹き出し用開口5204からバッテリー28に向けて直接冷却風を当てることができるため、バッテリー28の冷却効率を高める上で有利となる。
また、第1の排気管42およびファン54は、DC-DCコンバータ30の車両後方であってDC-DCコンバータ30の投影領域内に位置する。このため、車両の後突時に、第1の排気管42およびファン54とバッテリー28とが干渉せず、バッテリー28の保護を図る上で有利となる。
【0027】
また、本実施の形態では、バッテリー28からの排気をサイドメンバー12内に排出する第2の排気管44を備える。このため、バッテリー28を冷却したあとの冷却風を車室内に排出するにも拘わらず、バッテリー28から発生したガスを車室外に排出することができる。
なお、本実施の形態では、第2の排気管44がバッテリー28からの排気をサイドメンバー12内に排出するが、第2の排気管44がバッテリー28からの排気を車外に排出するものであってよく、その場合も上記と同様の効果がえられる。
ただし、本実施の形態のようにすると、バッテリー28から発生したガスを、気密ではないが閉塞された空間であるサイドメンバー12内部に排気するため、第2の排気管44への水や虫の侵入を防止する上で有利となる。
【0028】
本出願は、2019年1月30日出願の日本特許出願特願2019-013880に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0029】
10 車体
12 サイドメンバー
14 リアフロアパン
18 荷室ボード
22 吸気部
24 排気部
26 電池ケース
28 バッテリー
30 DC/DCコンバータ
42 第1の排気管
4202 排気導入用開口部
4204 排気排出用開口部
4210、4212 壁部の箇所
44 第2の排気管
46A~46I 第1~第9の流路
52 吸気管
5202 吸気吸入用開口
5204 吸気吹き出し用開口
54 ファン
P1 第1の部分
P2 第2の部分