IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7115584動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法
<>
  • -動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法 図1
  • -動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法 図2
  • -動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法 図3
  • -動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法 図4
  • -動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法 図5
  • -動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法 図6
  • -動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法 図7
  • -動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
A61B6/00 330A
A61B6/00 350A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021067579
(22)【出願日】2021-04-13
(62)【分割の表示】P 2020112257の分割
【原出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022013681
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長束 澄也
【審査官】宮川 数正
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-005013(JP,A)
【文献】特開2016-112322(JP,A)
【文献】特開2009-178443(JP,A)
【文献】特開2013-017594(JP,A)
【文献】Ken Harada,Electron holography for vortex beams,APPLIED PHYSICS EXPRESS,日本,(公社)応用物理学会,2020年03月01日,V.13 N.3,032003-1~4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理装置であって、
前記品質管理に関する情報を提示する品質管理提示手段を有し、
前記品質管理に関する情報は、前記動態撮影により得られた動態画像に含まれる複数のフレームに基づいて生成されたフレームの間隔に関する情報であり、
前記フレームの間隔に関する情報は、前記動態画像の生成時、前記動態画像の転送時、前記動態画像の解析時、及び前記動態画像の保存時のうちの少なくとも二つのタイミングにおけるフレームの間隔の一致性に関する情報を含むことを特徴とする動態品質管理装置。
【請求項2】
前記フレームの間隔に関する情報は、当該フレームの間隔の値である、請求項1に記載の動態品質管理装置。
【請求項3】
前記フレームの間隔に関する情報は、前記フレームの間隔の値が所定の数値範囲に含まれるか否かの情報である、請求項2に記載の動態品質管理装置。
【請求項4】
前記フレームの間隔に関する情報は、当該フレームの間隔が適切であるか否かの情報である、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の動態品質管理装置。
【請求項5】
前記品質管理提示手段は、前記フレームの間隔が適切な場合、前記動態撮影が可能である旨を提示することを特徴とする、請求項に記載の動態品質管理装置。
【請求項6】
前記品質管理提示手段は、前記フレームの間隔が適切ではない場合、確認項目を提示する、請求項又は請求項に記載の動態品質管理装置。
【請求項7】
前記品質管理提示手段は、適切ではないとの解析結果を得ることになった理由を提示する、請求項に記載の動態品質管理装置。
【請求項8】
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理プログラムであって、
コンピューターに、前記品質管理に関する情報を提示する処理を実行させ、
前記品質管理に関する情報は、前記動態撮影により得られた動態画像に含まれる複数のフレームに基づいて生成されたフレームの間隔に関する情報であり、
前記フレームの間隔に関する情報は、前記動態画像の生成時、前記動態画像の転送時、前記動態画像の解析時、及び前記動態画像の保存時のうちの少なくとも二つのタイミングにおけるフレームの間隔の一致性に関する情報を含むことを特徴とする動態品質管理プログラム。
【請求項9】
前記フレームの間隔に関する情報は、当該フレームの間隔の値である、請求項に記載の動態品質管理プログラム。
【請求項10】
前記フレームの間隔に関する情報は、前記フレームの間隔の値が所定の数値範囲に含まれるか否かの情報である、請求項に記載の動態品質管理プログラム。
【請求項11】
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理方法であって、
前記品質管理に関する情報を提示する工程を有し、
前記品質管理に関する情報は、前記動態撮影により得られた動態画像に含まれる複数のフレームに基づいて生成されたフレームの間隔に関する情報であり、
前記フレームの間隔に関する情報は、前記動態画像の生成時、前記動態画像の転送時、前記動態画像の解析時、及び前記動態画像の保存時のうちの少なくとも二つのタイミングにおけるフレームの間隔の一致性に関する情報を含むことを特徴とする動態品質管理方法。
【請求項12】
前記フレームの間隔に関する情報は、当該フレームの間隔の値である、請求項1に記載の動態品質管理方法。
【請求項13】
前記フレームの間隔に関する情報は、前記フレームの間隔の値が所定の数値範囲に含まれるか否かの情報である、請求項1に記載の動態品質管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動態品質管理装置、動態品質管理プログラム及び動態品質管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静止画の放射線撮影において、撮影に関する品質管理を行うための各種技術が提案されている。
例えば特許文献1には、品質評価対象となる記録媒体に記録された画像データ又は品質評価対象となる画像読取装置で読み取った画像データを入力する手段と、品質評価対象となった画像読取装置又は記録媒体を特定する装置識別情報を入力する手段と、入力された画像データに、品質評価用のデータであることを示す品質評価識別情報及び入力された装置識別情報を対応付ける手段と、品質評価識別情報及び装置識別情報が対応付けられた画像データを保存する手段と、品質評価識別情報と対応付けられた画像データを検索して読み出し、読み出した画像データに品質評価用の演算処理を施して評価結果を取得する手段と、取得した評価結果を画像データに対応付けられた装置識別情報と対応付けて出力する手段と、を備える放射線画像読取システムについて記載されている。
【0003】
近年、放射線を順次照射して複数のフレームからなる動態画像を生成する動態撮影が行うための各種装置が開発されるようになった。
例えば特許文献2には、2次元状に配置された複数の検出素子を有し、複数の検出素子のそれぞれにおいて放射線源によりパルス照射された放射線を検出して順次フレーム画像を生成する放射線検出器と、放射線源及び放射線検出器により被写体の動態を撮影することにより得られた複数のフレーム画像に基づいて被写体の動態の特徴量を算出する解析手段と、を備える動態診断支援情報生成システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-283531号公報
【文献】特開2012-110399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
動態撮影においても、静止画の撮影と同様、一定以上の品質を有していることが、医師の誤診、再撮影による技師の負担増、再撮影による被検者の被曝量増加といった問題を防ぐ観点から望ましい。
しかし、動態撮影は、医療現場で用いられるようになってからまだ日が浅い技術ということもあり、動態撮影に関する品質管理はこれまで十分な研究開発が行われてこなかった。そのため、例えば、製品納品後の定期的な品質管理の多くが技師により手動で且つ属人的に行われているが、動態撮影では静止画撮影に比べて品質管理に関する情報が多岐にわたるため、業務効率の改善が望まれている。
【0006】
本発明の課題は、放射線を順次照射する動態撮影に関する品質管理を効率的に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る動態品質管理装置は、
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影
に関する品質管理を行う動態品質管理装置であって、
前記品質管理に関する情報を提示する品質管理提示手段を有し、
前記品質管理に関する情報は、前記動態撮影により得られた動態画像に含まれる複数のフレームに基づいて生成されたフレームの間隔に関する情報であり、
前記フレームの間隔に関する情報は、前記動態画像の生成時、前記動態画像の転送時、前記動態画像の解析時、及び前記動態画像の保存時のうちの少なくとも二つのタイミングにおけるフレームの間隔の一致性に関する情報を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る動態品質管理プログラムは、
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理プログラムであって、
コンピューターに、前記品質管理に関する情報を提示する処理を実行させ、
前記品質管理に関する情報は、前記動態撮影により得られた動態画像に含まれる複数のフレームに基づいて生成されたフレームの間隔に関する情報であり、
前記フレームの間隔に関する情報は、前記動態画像の生成時、前記動態画像の転送時、前記動態画像の解析時、及び前記動態画像の保存時のうちの少なくとも二つのタイミングにおけるフレームの間隔の一致性に関する情報を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る動態品質管理方法は、
被写体に対して放射線を順次照射することにより前記被写体の動態を撮影する動態撮影に関する品質管理を行う動態品質管理方法であって、
前記品質管理に関する情報を提示する工程を有し、
前記品質管理に関する情報は、前記動態撮影により得られた動態画像に含まれる複数のフレームに基づいて生成されたフレームの間隔に関する情報であり、
前記フレームの間隔に関する情報は、前記動態画像の生成時、前記動態画像の転送時、前記動態画像の解析時、及び前記動態画像の保存時のうちの少なくとも二つのタイミングにおけるフレームの間隔の一致性に関する情報を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放射線を順次照射する動態撮影に関する品質管理を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る放射線撮影システムを表すブロック図である。
図2図1の放射線撮影システムが備える動態品質管理装置を表すブロック図である。
図3図2の動態品質管理装置が実行する動態品質管理処理の流れを示すフローチャートである。
図4図2の動態品質管理装置が提示する品質管理に関する情報を示す表である。
図5】動態画像に生じ得る不具合の一例を示す図である。
図6】動態画像に生じ得る不具合の他の例を示す図である。
図7】動態画像に生じ得る不具合の他の例を示す図である。
図8図2の動態品質管理装置が表示する画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、以下の実施形態及び図示例に限定されるものではない。
【0013】
<1.放射線撮影システム>
はじめに、本実施形態に係る放射線撮影システム(以下、システム100)の概略構成について説明する。
図1はシステム100を表すブロック図である。
【0014】
システム100は、図1に示すように、放射線検出器1と、動態品質管理装置(以下、管理装置2)と、を備えている。
また、本実施形態に係るシステム100は、放射線発生装置3と、コンソール4と、光学カメラ5と、を更に備えている。
各装置1~5は、例えば通信ネットワークN(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等)を介して互いに通信可能となっている。
【0015】
なお、システム100は、図示しない病院情報システム(Hospital Information System:HIS)や、放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)、動態解析装置等と通信することが可能となっていてもよい。
【0016】
〔1-1.放射線発生装置〕
放射線発生装置3は、ジェネレーター31と、照射指示スイッチ32と、放射線源33と、を備えている。
なお、放射線発生装置3は、撮影室内に据え付けられたものであってもよいし、コンソール4等と共に回診車と呼ばれる移動可能に構成されたものとなっていてもよい。
【0017】
ジェネレーター31は、照射指示スイッチ32が操作されたことに基づいて、予め設定された撮影条件(例えば撮影部位、撮影方向、体格等の被写体Sに関する条件や、管電圧や管電流、照射時間、電流時間積(mAs値)等の放射線Rの照射に関する条件)に応じた電圧を放射線源33(管球)へ印加するようになっている。
【0018】
放射線源33は、ジェネレーター31から電圧が印加されると、印加された電圧に応じた線量の放射線R(例えばX線等)を発生させるようになっている。
また、放射線源33は、X軸方向、X軸と直交するY軸方向、X軸及びY軸と直交するZ軸方向に移動することが可能であるとともに、Y軸、Z軸と平行な回転軸を中心に回転して放射線の照射口の向きを変えることが可能となっている。
【0019】
また、放射線発生装置3は、生成しようとする放射線画像の形態(静止画、複数のフレームからなる動態画像)に応じた態様で放射線Rを発生させるようになっている。
静止画の場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につき放射線Rの照射を1回だけ行う。
動態画像の場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につきパルス状の放射線Rの照射を所定時間当たり複数回(例えば1秒間に15回)繰り返す、又は放射線Rの照射を所定時間継続する。
すなわち、本発明における「放射線を順次照射する」には、放射線を連続して照射する連続照射と、断続的に照射したりしなかったりするパルス照射と、が含まれる。
【0020】
〔1-2.放射線検出器〕
放射線検出器1は、図示を省略するが、放射線Rを受けることで線量に応じた電荷を発生させる放射線検出素子や電荷の蓄積・放出を行うスイッチ素子を備えた画素が二次元状(マトリクス状)に配列されたセンサー基板や、各スイッチ素子のオン/オフを切り替える走査回路、各画素から放出された電荷の量を信号値として読み出す読み出し回路、読み出し回路が読み出した複数の信号値から放射線画像を生成する制御部、生成した放射線画像のデータや各種信号等を外部へ送信したり、各種情報や各種信号を受信したりする通信部等を備えている。
【0021】
そして、放射線検出器1は、放射線発生装置3から放射線Rが照射されるタイミングと同期して、電荷の蓄積・放出、信号値の読出しを行うことにより、照射された放射線Rの線量に応じた放射線画像を生成するようになっている。
静止画を生成する場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につき放射線画像の生成を1回だけ行う。
動態画像を生成する場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につき動態画像を構成するフレームの生成を所定時間当たり複数回(例えば1秒間に15回)繰り返す。
【0022】
なお、放射線検出器1は、生成した動態画像を、画像データの形にして保存・転送するようになっていてもよいし、自身に接続された表示装置にリアルタイムで表示させるようになっていてもよい。
リアルタイムで表示する例としては、例えば、透視が挙げられる。
【0023】
〔1-3.コンソール〕
コンソール4は、放射線検出器1及び放射線発生装置3のうちの少なくとも一方に各種撮影条件(管電圧や管電流、照射時間(mAs値)、撮影部位、撮影方向等)を設定するものである。
コンソール4は、PCや専用の装置等で構成されている。
また、コンソール4は、撮影条件の設定を、他のシステム(HISやRIS等)から取得した撮影オーダー情報、又はユーザー(例えば技師)によってなされた操作に基づいて行うようになっている。
【0024】
〔1-4.動態品質管理装置〕
管理装置2は、動態撮影に関する品質管理を行うものである。
「動態撮影」とは、放射線発生装置3による放射線Rの照射、放射線検出器1による動態画像の生成、転送、装置間の動態画像の転送、動態解析装置による解析、及びデータ保存装置(クラウドサーバ、PACS等)への動態画像の保存を含むシステム100の一連の動作(プログラムの実行)を指す。なお、動態解析装置による解析としては、例えば、動態画像に対して、換気の解析を行う換気解析、血流の解析を行う血流解析、骨や内臓などの構造物の動きの解析を行う構造物解析、及びその他解析がある。
また、「品質管理」は、製品納品後の定期的な品質チェックによる品質管理(Quality Control)の他、製品納品時の品質保証(Quality Assurance)の意味合いも含む。
【0025】
管理装置2は、PCや専用の装置等で構成されている。
なお、図1には、管理装置2とコンソール4とが別々に設けられたシステム100を例示したが、管理装置2とコンソール4とは一体になっていてもよい。
また、システム100が図示しない動態解析装置やPACS等を備える場合、管理装置2はこれらの装置と一体になっていてもよい。
この管理装置2の詳細については後述する。
【0026】
〔1-5.光学カメラ〕
光学カメラ5は、品質チェック用のファントムFの動態画像を得るための放射線撮影を行う際に、並行してファントムFを光学撮影するためのものである。
なお、品質チェックにファントムFを用いない(被検者Sを撮影することで得られた動態画像を用いて品質チェックを行う)場合には、光学カメラ5は不要である。
【0027】
〔1-6.放射線撮影システムの概略動作〕
このように構成されたシステム100は、以下のように動作する。
まず、間を空けて対向配置された放射線発生装置3の放射線源33と放射線検出器1との間に位置する被検者Sの診断対象部位に、放射線発生装置3が放射線Rを照射すると、放射線検出器1は、診断対象部位が写った放射線画像(静止画、動画)を生成し、その画像データを管理装置2及びコンソール4のうちの少なくとも一方の装置へ送信する。
管理装置2は、画像データを受信すると、動態品質管理処理(詳細後述)を実行し、画像データを他のデータ保存装置へ送信する。
【0028】
<2.動態品質管理装置の詳細>
次に、上記システム100が備える管理装置2の詳細について説明する。
図2は管理装置2を表すブロック図、図3は管理装置2が実行する動態品質管理処理の流れを示すフローチャート、図4は管理装置2が提示する品質管理に関する情報を示す表、図5~7は動態画像に生じ得る不具合の例を示す図、図8は管理装置2が表示する画面の一例を示す図である。
【0029】
〔2-1.動態品質管理装置の構成〕
管理装置2は、図2に示すように、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、表示部24と、操作部25と、を備えている。
各部21~25は、バス等で電気的に接続されている。
【0030】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。
そして、制御部21のCPUは、記憶部22に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、管理装置2各部の動作を集中制御するようになっている。
【0031】
記憶部22は、不揮発性のメモリーやハードディスク等により構成されている。
また、記憶部22は、制御部21が実行する各種プログラム(動態品質管理プログラムを含む)やプログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
なお、記憶部22は、他の装置から取得した放射線画像の画像データを記憶することが可能となっていてもよい。
【0032】
通信部23は、通信モジュール等で構成されている。
そして、通信部23は、通信ネットワークN(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等)を介して有線又は無線で接続された他の装置(放射線検出器1、コンソール4等)との間で各種信号や各種データを送受信するようになっている。
【0033】
表示部24は、ユーザーの診断に用いられる各種画面を表示するものである。
表示部24は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等で構成されている。
そして、表示部24は、制御部21から受信した画像信号に応じた放射線画像等を表示するようになっている。
【0034】
操作部25は、ユーザーが操作可能に構成された操作手段である。
操作部25には、キーボード(カーソルキー、数字入力キー、各種機能キー等)、ポインティングデバイス(マウス等)、表示部24の表面に積層されたタッチパネル等が含まれる。
そして、操作部25は、ユーザーによってなされた操作に応じた制御信号を制御部21へ出力するようになっている。
【0035】
なお、管理装置2は、表示部24及び操作部25を備えず、例えば通信部23等を介して、管理装置2とは別に設けられた入力装置から制御信号を受信したり、管理装置2とは別に設けられた表示装置(モニター)へ画像信号を出力したりするようになっていてもよい。
また、他の装置(コンソール4等)が表示部及び操作部を備える場合、他の装置の操作部から制御信号を受信したり、他の装置の表示部へ画像信号を出力したりするようになっていてもよい(表示部及び操作部が他の装置と共用になっていてもよい)。
【0036】
〔2-2.動態品質管理装置の動作〕
上記のように構成された管理装置2の制御部21は、所定条件が成立したことを契機として、例えば図3に示すような動態品質管理処理を実行する。
所定条件には、例えば、管理装置2の電源がオンにされたこと、他の装置から画像データを取得したこと、他の装置から所定の制御信号を受信したこと、操作部25に所定操作がなされたこと等が含まれる。
【0037】
この動態品質管理処理において、制御部21は、まず、取得処理を実行する(ステップS1)。
この取得処理において、制御部21は、品質チェックの対象となる画像データを取得する。
画像データの取得方法には、通信部23を介した受信、記憶部22からの読み込み、メディアからの読み出し等が含まれる。
なお、画像データの取得を契機として動態品質管理処理を実行する場合、この取得処理の実行は不要である。
【0038】
また、この取得処理において取得する画像データは、実際の被検者Sを撮影することで得られたもの(医用画像)であってもよいし、ファントムFを撮影することで得られたもの(品質チェック用画像)であってもよい。
ファントムFは、放射線撮影システムの評価を行うための専用のものであってもよいし、それ以外のものであってもよい。
特に、動態撮影を行う場合のファントムFは、周期的な動作をするもの(例えば、時計、メトロノーム等)であれば何でもよい。
【0039】
画像データを取得した後、制御部21は、動態撮影に関する品質管理に関する解析処理を実行する(ステップS2)。
この解析処理において、制御部21は、取得した画像データを解析し、動態撮影に関する品質管理に関する情報を抽出する。
この品質管理に関する情報は、動態撮影により得られた動態画像に関する第一品質情報、及び動態撮影に用いられる少なくともいずれかの装置の機能又は動作に関する第二品質情報のうちの少なくともいずれかの情報を含む。
なお、品質管理に関する情報は、ファントムFに関する情報を含んでいてもよい。
【0040】
第一品質情報は、フレームレートに関する情報、システム感度に関する情報、及び画像領域に関する情報のうちの少なくともいずれかの情報を含む。
システム感度には、放射線検出器1の検出感度、放射線発生部の出力線量等が含まれる。
本実施形態に係る第一品質情報は、これら全ての情報を含む。
なお、上記第一品質情報は、動態画像特有の(静止画にはない)情報のみとなっているが、第一品質情報は、静止画と共通する情報(例えば寸法、鮮鋭性、線形性、ダイナミックレンジ、低コントラスト分解能、システム感度、均一性、及び消去性のうちの少なくともいずれかの情報)を含んでいてもよい。
【0041】
第二品質情報は、動態画像の生成に関する情報、動態画像の転送に関する情報、動態画像の解析に関する情報、及び動態画像の保存に関する情報のうちの少なくともいずれかの情報を含む。
本実施形態に係る第二品質情報は、これら全ての情報を含む。
なお、動態画像の生成に関する情報は、放射線発生装置3が放射線Rを照射して放射線検出器1に電荷を蓄積させる撮影に関する情報と、当該放射線検出器1による放射線画像の読出しに関する情報とを含む。
なお、動態画像の転送に関する情報は、放射線検出器1からコンソール4への転送に関する情報、放射線検出器1から管理装置2への転送に関する情報、コンソール4から管理装置2への転送に関する情報等に分かれていてもよい。
また、動態画像の保存に関する情報も、放射線検出器1への保存に関する情報、コンソール4への保存に関する情報、管理装置2への保存に関する情報、他のデータ保存装置への保存に関する情報等に分かれていてもよい。
【0042】
本実施形態に係る品質管理に関する情報は、例えば図4に示すような、第一品質情報を縦軸の項目、第二品質情報を横軸の項目とする表(マトリクス)における、縦横の項目が
交差するマスの情報となっている。
具体的には、品質管理に関する情報は、例えば、画像の生成時(撮影時、画像の読み出し時)、画像の転送時、画像の解析時、及び画像の保存時のうちの少なくともいずれかのタイミングにおける解析結果を含む。
解析結果は、フレームレート、システム感度、及び画像領域のうちの少なくとも一つに関する値、値が適切であるか否かの情報、他の一つ以上のタイミングにおける値との関連性に関する情報等を含む。
【0043】
本実施形態に係る解析処理において、制御部21は、まず、フレームレート、システム感度、及び画像領域のうちの少なくとも一つの値を算出する(ステップS21)。
【0044】
例えば、第二品質情報がフレームレートに関する情報を含む場合、制御部21は、動態画像における複数(全てが好ましい)のフレームについて、一つ前又は後のフレームとの時間的な間隔(生成時刻の差)を算出する。
【0045】
また、第二品質情報がシステム感度に関する情報を含む場合、制御部21は、動態画像における複数(全てが好ましい)のフレームについて、感度を示す指標値(例えば、検出量子効率(Detective quantum efficiency:以下、DQE)、SN比、及び信号値におけるラグ(lag)成分の量のうちの少なくともいずれか)を算出する。
なお、制御部21は、上記指標値の算出の代わりに、又は上記指標値の算出と共にアーチファクトAの有無を検出するようになっていてもよい。
【0046】
また、第二品質情報が画像領域に関する情報を含む場合、制御部21は、動態画像における複数(全てが好ましい)のフレームについて、被写体Sが写った被写体領域の位置(被写体領域における特定画素の座標等)を算出する。
【0047】
また、本実施形態に係る解析処理において、制御部21は、上記算出した値が適切であるか否かを判断する(ステップS22)。
【0048】
例えば、算出した値がフレームの間隔である場合、制御部21は、算出した各間隔の値と設定値(フレームレートの逆数)とを比較し、一致していれば適切であると判断し、一致していなければ適切でないと判断する。
なお、算出した間隔の値が設定値と完全に一致している必要はなく、例えば、算出した値が、設定値±α%の範囲内に収まっている場合に、一致するとみなすようにしてもよい。
このαは、ユーザーが適宜調整できるようになっていてもよい。
【0049】
なお、ファントムFの動態撮影を行う場合、制御部21は、動態画像におけるファントムFの動作と、予め正確な動作のファントムFを光学撮影することにより得られた光学画像におけるファントムFの動作と、を比較し、一致していれば適切であると判断し、一致していなければ適切でないと判断するようになっていてもよい。
なお、動態画像におけるファントムFの動作と光学画像におけるファントムFの動作とが完全に一致している必要はなく、例えば、一方の動作に対する他方の動作のズレが、ファントムFの動作方向の幅±α%の範囲内に収まっている場合に、一致するとみなすようにしてもよい。
このαは、ユーザーが適宜調整できるようになっていてもよい。
【0050】
また、動態画像におけるファントムFの動作と光学画像におけるファントムFの動作とが一致していると判断したにもかかわらず、上記動態画像のフレーム間隔が適切でないと判断した場合には、ファントムFの不良ということになる。
【0051】
また、算出した値が感度を示す指標値である場合、制御部21は、算出した各フレームの指標値と一つ前又は後のフレームの指標値とを比較し、一致していれば適切であると判断し、一致していなければ適切でないと判断する。
なお、あるフレームの指標値の値が前後のフレームの指標値と完全に一致している必要はなく、例えば、比較対象の指標値が、前後のフレームの指標値±α%の範囲内に収まっている場合に、一致するとみなすようにしてもよい。
このαは、ユーザーが適宜調整できるようになっていてもよい。
また、アーチファクトAの有無を検出した場合には、制御部21は、各フレームの指標値が一つ前又は後のフレームのアーチファクトAの有無が変化しているか否かを判断する。
【0052】
また、算出した値が被写体領域の位置である場合、制御部21は、各フレームにおける被写体領域の位置と一つ前又は後のフレームにおける被写体領域の位置とを比較し、位置のズレが基準値の範囲内であれば適切と判断し、範囲外であれば適切でないと判断する。
なお、基準値は、±α%の範囲内で前後してもよい。
このαは、ユーザーが適宜調整できるようになっていてもよい。
【0053】
また、本実施形態に係る解析処理において、制御部21は、画像の生成時、画像の転送時、画像の解析時、及び画像の保存時のうちの少なくとも二つのタイミングにおける値の関連性が適切であるか否か(一致性)を判断する(ステップS23)。
【0054】
例えば、算出した値がフレームの間隔である場合、動態画像の生成時、転送時、解析時及び保存時のうちの少なくとも二つのタイミングにおけるフレームレート(算出値の逆数)を比較し、一致していれば適切と判断し、一致していなければ適切でないと判断する。
なお、制御部21は、算出した値と、システム100に設定した値(動態画像のヘッダー情報に含まれる値)とを比較して一致するか否かを判断するようになっていてもよい。
【0055】
また、本実施形態に係る解析処理において、制御部21は、品質管理に関する情報のうち所定の情報が適切ではないと判断した場合、所定の情報についての確認項目を抽出する。
動態画像Iを解析した結果、例えば、算出したフレームの間隔の値の少なくとも一つが設定値と一致しない場合、取得処理において取得した動態画像Iが、図5(a)に示した被写体S(時計)の動作が正常に撮影されたものに対し、例えば図5(b)に示すような、写るタイミングがずれた(例えば、時計の針Hの位置が本来の位置からずれた)フレームを含むもの、図5(c)に示すような、動作がブレて見える(例えば、時計の針Hが複数集まって見える)フレームを含むもの、又は図5(c)に示すような、全てのフレームにおいて動作がずれているもの等であることが多い。
図5(b)に示したような動態画像Iが得られる原因としては、例えば、放射線検出器1の読み出し不良、又はファントムFの動作不良等が考えられる。
また、図5(c)に示すような動態画像Iが得られる原因としては、例えば、放射線発生装置3の照射タイミング不良(例えば、あるパルスで数発)、又はファントムFの動作不良等が考えられる。
また、図5(d)に示すような動態画像Iが得られる原因としては、例えば、装置1,3の設定ミス、又はファントムFの動作不良等が考えられる。
【0056】
そこで、解析の結果、動態画像Iが、図5(b)に示したような、写るタイミングがずれたフレームを含むものであることが判明した場合、制御部21は、放射線検出器1の読み出し動作が正常であるか否か、及びファントムFの動作が正常であるか否かのうちの少なくとも一方を確認項目として抽出する。
また、動態画像Iが、図5(c)に示したような、動作がブレて見えるフレームを含むことが判明した場合、制御部21は、放射線発生装置3の放射線照射動作が正常であるか否か、及びファントムFの動作が正常であるか否かのうちの少なくとも一方を確認項目として抽出する。
また、動態画像Iが、図5(d)に示したような、全てのフレームにおいて動作がずれている場合、制御部21は、各装置1,3の設定内容が正確であるか否か、及びファントムFの動作が正常であるか否かのうちの少なくとも一方を確認項目として抽出する。
【0057】
また、動態画像Iを解析した結果、算出した感度を示す指標値が前後のフレームの指標値と一致しない場合、取得処理において取得した動態画像Iが、例えば図6(a)に示すような、各フレームの信号値が変化している(だんだん薄く(濃く)なる)もの、図6(b)に示すような、各フレームのSN値が変化している(だんだんぼやける)もの、又は図6(c)に示すような、アーチファクトAが写るフレームを含むもの等であることが多い。
図6(a),(b)に示したような動態画像Iが得られる原因としては、放射線検出器1の読み出し不良、放射線発生装置3の照射不良、又は画像補正不良等が考えられる。
また、図6(c)に示すような動態画像Iが得られる原因としては、放射線検出器1の読み出し不良、又は画像補正不良に起因するアーチファクトAの発生等が考えられる。
【0058】
そこで、解析の結果、動態画像Iが、図6(b)に示したように、各フレームの信号値が変化しているものであることが判明した場合、制御部21は、放射線発生装置3の放射線照射動作(線量)が正常であるか否か、放射線発生装置3の設定内容(mAs値等)、放射線検出器1の読み出し動作が正常であるか否か、及び画像補正装置(放射線検出器1、コンソール4、解析装置等)の画像補正処理が正常であるか否かのうちの少なくともいずれかを確認項目として抽出する。
また、動態画像Iが、図6(b)に示したように、各フレームのSN値が変化しているものであることが判明した場合、制御部21は、放射線発生装置3の放射線照射動作(線量)が正常であるか否か、放射線発生装置3の設定内容(管電圧等)、放射線検出器1の読み出し動作が正常であるか否か、及び画像補正装置の画像補正処理が正常であるか否かのうちの少なくともいずれかを確認項目として抽出する。
また、動態画像Iが、図6(c)に示したような、アーチファクトAが写るフレームを含むものであることが判明した場合、制御部21は、放射線検出器1の読み出し動作が正常であるか否か、及び画像補正装置の画像補正処理が正常であるか否かのうちの少なくとも一方を確認項目として抽出する。
【0059】
また、動態画像Iを解析した結果、算出した被写体領域の位置が前後のフレームの位置と一致しない場合、取得処理において取得した動態画像Iが、例えば図7(a)に示すような、画像の上部と下部が入れ替わったフレームを含むもの、図7(b)に示すような、画像全体がずれて画像の一部が切れているフレームを含むもの、図7(c)に示すような、画像はずれていないが画像の一部が切れているフレームを含むもの、図7(d)に示すような、画像の縦横比がずれているフレームを含むもの等であることが多い。
図7(a)に示したような動態画像Iが得られる原因としては、装置間の転送不良、又はデータ保存装置の保存不良等が考えられる。
図7(b),(d)に示したような動態画像Iが得られる原因としては、放射線検出器1の読み出し不良、又はデータ保存装置の保存不良等が考えられる。
また、図7(c)に示したような動態画像Iが得られる原因としては、放射線Rの照射位置のズレ等が考えられる。
【0060】
そこで、解析の結果、動態画像Iが、図7(a)に示したように、画像の上部と下部が入れ替わったフレームを含むものであることが判明した場合、制御部21は、各装置1~4の転送動作が正常であるか否か、及びデータ保存装置の保存動作が正常であるか否かのうちの少なくとも一方を確認項目として抽出する。
また、動態画像Iが、図7(b),(d)に示したように、画像全体がずれて画像の一部が切れているフレームを含むものや、画像の縦横比がずれているフレームを含むものであることが判明した場合、制御部21は、放射線検出器1の読み出し動作が正常であるか否か、及びデータ保存装置の保存動作が正常であるか否かのうちの少なくとも一方を確認項目として抽出する。
また、動態画像Iが、図7(c)に示したように、画像はずれていないが画像の一部が切れているフレームを含むものであることが判明した場合、制御部21は、放射線発生装置3の放射線照射位置を確認項目として抽出する。
【0061】
なお、確認項目の抽出は、記憶部22に予め記憶された、解析結果と確認項目(考えられる原因)との関係を示すテーブルを参照して行ってもよいし、解析結果を入力、確認項目を出力として機械学習させた学習済モデルに今回の解析結果を入力することにより行ってもよい。
制御部21は、以上説明してきた解析処理を実行することにより解析手段をなす。
【0062】
動態撮影の品質を解析した後、制御部21は、品質管理提示処理を実行する(ステップS3)。
この品質管理提示処理において、制御部21は、品質管理に関する情報をユーザーに提示する。
本実施形態に係る品質管理提示処理において、制御部21は、品質管理に関する情報を表示部24に表示させることにより提示するようになっている。
なお、制御部21は、品質管理に関する情報を他の装置(例えばコンソール4等)へ送信し、他の装置が備える表示部に表示させるようになっていてもよい。
【0063】
本実施形態に係る品質管理提示処理において、制御部21は、上記解析処理における解析結果(値、値の関連性、値や関連性が適切であるか否かの判断結果等)を提示するようになっている。
具体的には、例えば図4に示したような表の形で提示することができる。
【0064】
なお、この品質管理提示処理において、制御部21は、前回解析したときの解析結果をユーザーに提示するようになっていてもよい。
その場合、制御部21は、今回、及び前回を含む過去の解析結果を、例えば図8に示すようにグラフGで表示するようになっていてもよい。
このようにすれば、前回の品質チェックから今回の品質チェックまでの間にシステム100の状態に変化が起きていないかどうかを容易に確認することができる。
【0065】
また、上記解析処理において、品質管理に関する情報のうち所定の情報が適切ではないとの解析結果を得た場合に、本実施形態に係る品質管理提示処理において、制御部21は、適切ではない所定の情報についての確認項目をユーザーに提示する。
【0066】
なお、この品質管理提示処理において、制御部21は、所定の情報が適切ではないとの解析結果を得ることになった理由をユーザーに提示するようになっていてもよい。
具体的には、他のフレームと値(フレーム間隔、DQE、被写体領域の位置等)が異なるフレーム、このフレームのフレーム番号、他のフレームとどのように異なるかを示すテキスト(例えば、「n番目とn+1番目のフレーム間隔縮小」等)、他のタイミングと値が異なる動態画像I、値が変化したタイミングを示すテキスト(例えば、「転送時にフレームレート低下」等)等を表示する。
【0067】
また、上記解析処理において、品質管理に関する情報が適切であるとの解析結果を得た場合に、本実施形態に係る品質管理提示処理において、制御部21は、動態撮影が可能である旨をユーザーに提示する。
本実施形態に係る品質管理提示処理において、制御部21は、全ての品質管理に関する情報が適切である場合に、動態撮影が可能である旨をユーザーに提示する。
こうすることで、システム100の一部に問題がある状態でユーザーが動態撮影を行ってしまうのを防ぐことができる。
なお、複数の品質管理に関する情報のうち一部の情報が適切でない場合であっても、所定の情報が適切である場合に、動態撮影が可能である旨をユーザーに提示するようになっていてもよい。
制御部21は、以上説明してきた品質管理提示処理を実行することにより品質管理提示手段をなす。
また、本実施形態に係る制御部21は、品質管理に関する情報を表示部24に表示させることにより提示するため、本実施形態においては、表示部24も品質管理提示手段の一部をなす。
【0068】
<3.効果>
以上説明してきたように、本実施形態に係る管理装置2又はこの管理装置2を備えるシステム100は、品質管理に関する情報をユーザーに提示するようになっている。
このため、管理装置2又はシステム100によれば、動態撮影に関する品質管理を効率的に行うことができる。
【0069】
<4.その他>
なお、本発明は上記の実施形態等に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0070】
例えば、上記実施形態に係る管理装置2又はシステム100は、動態撮影に関する品質管理のみを行うものであったが、管理装置2又はシステム100は、静止画撮影に関する品質管理と動態撮影に関する品質管理の両方を行うものとなっていてもよい。
また、上記実施形態に係る管理装置2は、解析処理及び品質管理提示処理を実行するものとなっていたが、システム100が動態解析装置を備える場合、解析処理を動態解析処理が実行し、その解析結果に基づいて管理装置2が品質管理提示処理を実行するようになっていてもよい。
【0071】
また、例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0072】
100 放射線撮影システム
1 放射線検出器
2 動態品質管理装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 表示部
25 操作部
3 放射線発生装置
31 ジェネレーター
32 照射指示スイッチ
33 放射線源
4 コンソール
5 光学カメラ
A アーチファクト
F ファントム
G グラフ
H 時計の針
I 動態画像
N 通信ネットワーク
R 放射線
S 被写体・被検者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8