(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】搬送ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20220802BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
B25J15/08 C
B25J15/00 F
(21)【出願番号】P 2021109642
(22)【出願日】2021-06-30
【審査請求日】2021-07-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】青木 明
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-381(JP,U)
【文献】特開2016-47589(JP,A)
【文献】特開昭59-219192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状の収容箱
の搬送に際して前記収容箱を保持するロボットハンド
と、
前記ロボットハンドが装着されたロボット本体と、
前記ロボットハンド及び前記ロボット本体の駆動制御を行う駆動制御部と
を備えている搬送ロボットシステムであって、
前記収容箱の外郭を形成し且つ互いに直交する2つの側板部の外側部分には、下側を向く面部が各々形成されており、
前記ロボットハンドには、前記収容箱を保持する場合に、各前記面部に当接し、前記収容箱を支える一組の爪部と、前記収容箱を保持する場合に、鉛直方向に見て前記一組の爪部を通過する仮想線からオフセットした位置にて前記収容箱
に当接し、前記仮想線を中心とした前記収容箱の回転を規制した状態を形成する規制機構と
が設けられており、
前記規制機構は、前記収容箱に当接する当接部として第1当接部及び第2当接部を有してなり、前記収容箱を保持する場合に、前記収容箱において上側を向く部分である
所定の上面部分に前記第1当接部が当接し且つ前記収容箱において下側を向く部分であって鉛直方向に見て前記仮想線に対して前記第1当接部がオフセットされている側と同じ側となる部分である
所定の下面部分に前記第2当接部が当接し、それら第1当接部及び第2当接部によって前記仮想線を中心とする前記収容箱の回転を規制した状態を形成
し、
前記駆動制御部は、前記ロボットハンドによって前記収容箱を保持する場合に、前記収容箱における前記所定の上面部分に前記第1当接部を当接させた状態で前記収容箱における前記所定の下面部分に前記第2当接部を当接させ、それら第1当接部及び第2当接部が前記収容箱に各々当接している状態で前記爪部により前記収容箱を持ち上げるように前記ロボットハンド及び前記ロボット本体の駆動制御を行う搬送ロボットシステム。
【請求項2】
カメラにより撮影された前記収容箱の画像に基づいて前記収容箱の位置及び向きを解析する解析部を備え、
前記駆動制御部は、前記解析部による解析結果に基づいて前記ロボット本体及び前記ロボットハンドの駆動制御を行う構成となっており、
前記収容箱の前記2つの側板部は、コーナ部を介して連続しており、
前記駆動制御部は、前記収容箱を保持する場合に、前記規制機構
を構成している前記第1当接部及び前記第2当接部が前記コーナ部又は当該コーナ部の周辺部にて前記収容箱に当接し且つ前記2つの側板部において前記コーナ部側とは反対の端部寄りとなる各箇所にて前記爪部が前記面部を支持した状態となるように前記ロボット本体及び前記ロボットハンドの動作させる
請求項1に記載の搬送ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場間や工程間等では、ワーク等の物品の保護や搬送効率の向上の観点から物品を収容箱(所謂通箱)に収めた状態で受け渡しを行うことがある。近年では、収容箱を保持可能なロボットハンドを具備した搬送ロボットを用いて搬送ロボットシステムを構築し、収容箱の搬送の自動化を実現することにより、作業負担の軽減や作業効率の向上等を図る技術が提案されている。例えば、特許文献1では、左右一対の爪を収容箱の対辺部分に各々引っ掛けて当該収容箱を保持する搬送ロボットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば多数の収容箱の受け渡しをまとめて行う場合には、段積みされた収容箱群を縦横に隙間なく又は近接するようにして並べた状態とされることがある。このような配置とすることは荷崩れ等を抑制する上で好ましい。但し、それら収容箱の何れかを搬送ロボットによって保持しようとした場合には、目標とする収容箱に隣接した他の収容箱が邪魔になって当該目標とする収容箱へのロボットハンドのアプローチが難しくなる可能性がある。特に、上面開放型の収容箱の場合には、上面を吸着するといった保持方法も適用できないため、上記アプローチに係る制約が一層強くなると想定される。この点、例えば上記特許文献1に記載されたロボットのように収容箱の一辺に爪を引っ掛けて当該収容箱の片側を持ち上げた後に同収容箱を横に移動させるといった予備動作を行えば、隣接した他の収容箱との間に爪を挿入可能な隙間を生じさせることできる。しかしながら、このような予備動作が必要となることは搬送効率の向上を図る上で妨げになると懸念される。また、収容箱の片側のみを持ち上げて横方に移動させた場合には、当該収容箱とその下側の収容箱とが引っ掛かる可能性が生じる。これは、荷崩れの要因になると懸念される。このように、並べて配置された収容箱を適正に搬送する上で、搬送ロボットシステムに係る構成に未だ改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、収容箱を適正に搬送可能な搬送ロボットシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
【0007】
直方体状の収容箱を搬送する搬送ロボットに適用され、当該搬送に際して前記収容箱を保持するロボットハンドであって、
前記収容箱の外郭を形成し且つ互いに直交する2つの側板部の外側部分には、下側を向く面部が各々形成されており、
前記収容箱を保持する場合に、各前記面部に当接し、前記収容箱を支える一組の爪部と、
前記収容箱を保持する場合に、前記収容箱に少なくとも上側から当接し、前記一組の爪部を通過する仮想線を中心とした前記収容箱の回転を規制した状態を形成する規制機構とを備えている。
【0008】
複数の収容箱を縦横に並べた場合であっても、少なくとも角に位置する収容箱における互いに直交する2つの側板部は、隣接する他の収容箱と対向しない状態となる。そこで、本手段に示すように、ロボットハンドによって通箱を保持する場合に、それら2つの側板部の外側部分(外面)に各々形成された下側を向く面部に爪部が各々当接し、それら一組の爪部によって収容箱を支える構成とすれば、隣接する他の収容箱によってロボットハンドの保持動作が妨げられることを好適に回避できる。
【0009】
但し、一組の爪部を直交する側板部に各々引っ掛ける場合には、両爪部を通過する仮想線と収容箱の重心とが鉛直方向に見てずれることとなり、当該収容箱を持ち上げる際に上記仮想線を中心とした収容箱の回転(姿勢変化)が生じる。そのような回転が生じた場合には、上記面部に対する爪部の掛かり代が小さくなることで収容箱が脱落する可能性が高くなる。
【0010】
この点、本手段に示す構成によれば、規制機構によってそのような回転が規制され、収容箱の脱落が抑制される。規制機構については収容箱に対して少なくとも上側から当接するが、このような態様とすることで隣接する他の収容箱が規制動作の妨げになることを好適に抑制できる。また、収容箱の搬送に際して当該収容箱の持ち替え等が不要であるため、搬送サイクルの短縮に寄与できる。因みに、収容箱が段積みされている場合であっても、収容箱を上方に持ち上げるだけなので、下側の収容箱のバランスが崩れることはない。以上の理由から、収容箱が並べて配置される場合であっても収容箱を適正に搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態における搬送ロボットシステムを示す概略図。
【
図2】搬送ロボットシステムの電気的構成を示すブロック図。
【
図7】支持位置と回転規制位置との関係を示す概略図。
【
図9】(a)支持ユニットの動きを示す概略図、(b)規制ユニットの動きを示す概略図。
【
図10】第2の実施形態における規制ユニットを示す斜視図。
【
図12】第3の実施形態におけるハンドを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、機械組立工場にて通箱を搬送する搬送ロボットシステムに具現化している。
【0013】
図1に示すように、搬送ロボットシステム10は、垂直多関節型の産業用ロボットであるロボット11(「搬送ロボット」に相当)を備えており、仕入れ先からパレットPに段積みされた状態で入荷した複数の通箱80(「収容箱」に相当)を1つずつコンベアCへ搬送する。通箱80には、例えば組み立て用の部品が収容されており、当該部品がコンベアCによって組み立てラインへ順次供給される。
【0014】
ロボット11は、ロボット本体20及びモーションコントローラを有し、それらロボット本体20とモーションコントローラとが相互に通信可能となるように接続されてなる。ロボット本体20は、床等に固定されるベース部22と、ベース部22により支持されているショルダ部23と、ショルダ部23により支持されている下アーム部24と、下アーム部24により支持されている第1上アーム部25と、第1上アーム部25により支持されている第2上アーム部26と、第2上アーム部26により支持されている手首部27と、手首部27により支持されているフランジ部28とを有している。
【0015】
ベース部22及びショルダ部23には、それらベース部22及びショルダ部23を連結する第1関節部が形成されており、ショルダ部23は第1関節部の連結軸AX1を中心として水平方向に回動可能となっている。ショルダ部23及び下アーム部24には、それらショルダ部23及び下アーム部24を連結する第2関節部が形成されており、下アーム部24は第2関節部の連結軸AX2を中心として上下方向に回動可能となっている。下アーム部24及び第1上アーム部25には、それら下アーム部24及び第1上アーム部25を連結する第3関節部が形成されており、第1上アーム部25は第3関節部の連結軸AX3を中心として上下方向に回動可能となっている。第1上アーム部25及び第2上アーム部26には、それら第1上アーム部25及び第2上アーム部26を連結する第4関節部が形成されており、第2上アーム部26は第4関節部の連結軸AX4を中心として捻り方向に回動可能となっている。第2上アーム部26及び手首部27には、それら第2上アーム部26及び手首部27を連結する第5関節部が形成されており、手首部27は第5関節部の連結軸AX5を中心として上下方向に回動可能となっている。手首部27及びフランジ部28には、それら手首部27及びフランジ部28を連結する第6関節部が形成されており、フランジ部28は第6関節部の連結軸AX6を中心として捻り方向に回動可能となっている。各関節部にはそれら関節部を回動させる駆動部としてモータ(具体的にはサーボモータ)が各々配設されている。
【0016】
ショルダ部23、下アーム部24、第1上アーム部25、第2上アーム部26、手首部27、フランジ部28は一連となるように配列されることでロボット本体20におけるアームを構成しており、当該アームの先端部であるフランジ部28にはエンドエフェクタであるハンド29が取り付けられている。なお、上記連結軸AX1,AX4,AX6はアームの長手方向に対して平行となっており、連結軸AX2,AX3,AX5は当該長手方向と直交している。
【0017】
ここで、
図2を参照して、搬送ロボットシステム10の電気的構成等について補足説明する。搬送ロボットシステム10は、モーションコントローラ21とともに「制御装置」又は「制御手段」を構成する搬送制御装置12と、入荷した通箱80が配置される配置エリアを上方から撮影するカメラ13とを含んでいる。カメラ13は上位コントローラである搬送制御装置12に接続されており、当該カメラ13によって撮影された画像は搬送制御装置12に送信される。
【0018】
搬送制御装置12には、カメラ13により撮影された画像を解析して通箱80の位置や向きを特定する画像解析部18と、画像解析部18による解析結果に基づいて搬送対象とする通箱80を決定し且つ当該通箱80を搬送する際のロボット11の動作態様を示す動作指令を決定する動作指令決定部19とが設けられている。動作指令決定部19にて決定された動作指令は、ロボット11のモーションコントローラ21に送信される。この動作指令には、ロボット11の動作目標位置(以下、目標位置という)を示す情報が含まれる。
【0019】
モーションコントローラ21は、搬送制御装置12からの動作指令を受けてプログラム記憶部から当該動作指令に対応した動作プログラムを読み込み且つ読み込んだ動作プログラムから目標位置を特定する。その後は、特定した目標位置とロボット11のアーム(各可動部)の現在の位置とを滑らかに繋ぐ目標軌道を生成し、当該目標軌道を細分化した位置である補間位置を示す情報をロボット本体20に付属のサーボアンプ31に順次送信する。サーボアンプ31には各関節部に配設されているモータ32とそれらモータ32に各々対応するエンコーダ33とが接続されており、当該サーボアンプ31はモーションコントローラ21から受信した情報及びエンコーダ33から特定した現在の位置転情報とに基づいてモータ32の駆動制御を行う。
【0020】
本実施形態に示すロボット11については、通箱80を適切に保持するための工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、
図3を参照して通箱80の構造について補足説明する。通箱80は、上側に開放された箱本体81と、その開放部分を覆う蓋体91とで構成されている。これら箱本体81及び蓋体91は何れも合成樹脂製となっている。
【0021】
箱本体81は、矩形状(長方形状)の底板部82と、当該底板部82の長辺に沿って設けられた一組の側板部83,85と、当該底板部82の短辺に沿って設けられた一組の側板部84,86とを有してなり、それら側板部83~86によって開口90が形成されている。
【0022】
側板部83~86には、それら側板部83~86の外面から通箱80の外側に突出するようにして複数の突条部が形成されている。具体的には、縦横に延びる複数のリブ87と、それら側板部83~86の上端に沿って形成された環状(一条)の開口フランジ88とが設けられており、それらリブ87及び開口フランジ88によって箱本体81が補強されている。なお、リブ87の1つである上段リブ(横リブ)と開口フランジ88とは何れも水平となっており、それら横リブと開口フランジ88とがリブ87を構成する複数の縦リブによって連結されている。
【0023】
因みに、底板部82の下面には、下側に膨出する膨出部が形成されており、通箱80を床等に置いた状態では当該膨出部が床面等に接触する。
【0024】
蓋体91は、箱本体81の開口90を覆う矩形の覆い部92と、覆い部92の外周に沿って形成された環状の縁部93とを有しており、縁部93が覆い部92から上側に突出することで蓋体91の上面に凹部95が形成されている。
【0025】
箱本体81と蓋体91とを組み合わせた状態で通箱80を積み上げる場合には、上側の通箱80の箱本体81(底板部82)の上記膨出部と下側の通箱80の蓋体91の凹部95とが係合することで上下の通箱80の位置ずれが規制される。これにより、段積みされた通箱80の荷崩れが抑制されることとなる。なお、蓋体91が使用されない場合には、上側の通箱80の底板部82に形成された上記膨出部と下側の通箱80の箱本体81の開口90とが係合する。
【0026】
蓋体91(覆い部92)の下面には、箱本体81の側板部83~86に内側から対向する対向部94が形成されている。蓋体91が箱本体81に組み合わされた状態では、対向部94が側板部83~86の内面に当たることで蓋体91の位置ずれや外れが抑制される。
【0027】
本実施形態に示す通箱80については、箱本体81と蓋体91とが非固定となっており、さらには、部品等を収容した状態で搬送される場合には蓋体91が使用される場合と、使用されない場合とがある。このような事情に配慮して、ロボット11によって通箱80を保持する場合の保持対象が箱本体81となるように規定されている。
【0028】
ここで、
図4(a)に示すように、目標とする通箱80に隣接した他の通箱80が存在していない場合には、当該目標とする通箱80へのハンド29のアプローチの方向については自由度が高い。例えば、通箱80の対辺を任意の位置で各々掴んだり支持したりすることができるため、通箱80をバランスよく保持することも容易である。
【0029】
これに対して、通箱80の入荷時等には、段積みされた通箱80群を縦横に隙間なく又は近接するようにして並べた状態とされることがある(
図1参照)。このような通箱80の集合においては、隣接する他の通箱80によって目標とする通箱80へのハンド29のアプローチ方向が限定される。しかしながら、縦横に通箱80が並んで集合が構成されている場合であっても、鉛直方向に見て当該集合の角に位置する通箱80については、4つの側板部83~86のうち相互に直交する何れか2つの側板部が隣接する他の通箱80と対向せず、集合の外側(側方)に露出した状態となる。つまり、側板部83,84の組み合わせ、側板部84,85の組み合わせ、側板部85,86の組み合わせ、側板部86,83の組み合わせの何れかが隣接する他の通箱80と対峙しない状態となる。
【0030】
例えば、
図4(b)に示す例では、鉛直方向に見て集合の角に位置している通箱80については、側板部85及び側板部86は隣接する他の通箱80と対向しているものの、コーナ部CNR1を介して連続する側板部83及び側板部84については隣接する他の通箱80と対向していない。つまり、側板部83及び側板部84については、ハンド29によるアプローチ、具体的には側方からのアプローチが許容されている。
【0031】
本実施形態に示すハンド29については、直交する2つの側面部を利用して通箱80を保持する工夫がなされている。以下、
図5を参照して、ハンド29について説明する。
【0032】
ハンド29は、平板状のベース部41を有している。ベース部41の外形は通箱80の上面と同様に横長の矩形状且つ当該上面とほぼ同じ大きさとなっており、通箱80を保持する場合にはベース部41における一方の板面が通箱80の上面に対向した状態となる。以下の説明では、ベース部41において通箱80の上面に対向する側の板面を「下面」、反対側の板面を「上面」としてハンド29の向きを特定する。
【0033】
ベース部41の中央には当該ベース部41から上方に起立するようにして円筒状の軸部42が固定されている。この軸部42の先端(上端)には、ハンド29をロボット本体20のフランジ部28に取り付ける取付部43が設けられている。ハンド29がロボット本体20に取り付けられた状態では、軸部42の中心軸線AX7と上記連結軸AX6とが一致し、フランジ部28の回転に合わせてハンド29の向きが変わる構成となっている。
【0034】
ベース部41の下面側には、当該ベース部41の短辺方向に延びる2つのレール部材44,45が同ベース部41の長辺方向に並んだ状態で配設されている。レール部材44,45は、互いに近づく側及び遠ざかる側にスライド移動可能となるようにしてベース部41に取り付けられている。レール部材44,45は、平面視にて中心軸線AX7を挟むように配置されており、レール部材44,45の各スライド範囲については中心軸線AX7を跨がない範囲となるように各々規定されている。
【0035】
ベース部41にはそれらレール部材44,45の相対距離を調整する調整機構46が搭載されている。ロボット11(ロボット本体20)には、調整機構46の駆動部である空圧式のアクチュエータを具備したハンド制御部35が設けられている。このハンド制御部35は、モーションコントローラ21に接続されており、モーションコントローラ21からの指示に応じて調整機構46の駆動制御を行う。
【0036】
レール部材44は、その一端がベース部41の長辺から突出するように配置されている。この突出している部分には、通箱80を支える支持ユニット51が配設されている。支持ユニット51は、鉛直方向(中心軸線AX7と同じ方向)に延びるフック53を有し、当該フック53がブラケット52を介してレール部材44に固定されている。
【0037】
フック53の下端部には、レール部材44の他端側すなわちベース部41側(内側)へ突出する爪部54が形成されている。爪部54の厚さ寸法については、通箱80の開口フランジ88と横リブとの隙間寸法よりも小さくなっており、通箱80を保持する場合には爪部54が当該隙間に挿入され、爪部54の上面が開口フランジ88の下面89に当接する(
図6(a)参照)。
【0038】
レール部材45は、その両端がベース部41の各長辺から突出している。すなわち、レール部材45の一端はレール部材44が突出している側と同じ側に突出しており、レール部材45の他端はそれとは反対側に突出している。レール部材45の他端には、通箱80を支える支持ユニット61が配設されている。支持ユニット61は、鉛直方向(中心軸線AX7と同じ方向)に延びるフック63及びブラケット62を有している点では支持ユニット51と同様である一方、レール部材45への取付構造が支持ユニット51と相違している。具体的には、レール部材45との間に当該支持ユニット61をベース部41の長辺方向へスライド移動可能とするスライド機構65が介在している。上述したハンド制御部35は、スライド機構65の駆動部である空圧式のアクチュエータを具備しており、モーションコントローラ21からの指示に応じてスライド機構65の駆動制御を行う。
【0039】
フック63の下端部にも、ハンド29の中央側(内側)へ突出する爪部64が形成されている。爪部64の先端の向きついては上記支持ユニット51の爪部54の先端の向きと異なっている。具体的には、爪部64の先端の向きはベース部41の長手方向となっているのに対して、爪部54の先端の向きはベース部41の短手方向となっており、直交の関係となっている。
【0040】
なお、爪部64の厚さ寸法についても、通箱80の開口フランジ88と横リブとの隙間よりも小さくなっており、通箱80を保持する場合には爪部64が当該隙間に挿入され、爪部64の上面が開口フランジ88の下面89に当接する(
図6(a)参照)。
【0041】
爪部54の上面と、爪部64の上面とは鉛直方向における位置(高さ位置)が同一となっている。詳細については後述するが、通箱80を持ち上げる場合には、ハンド29を上昇させることでそれら爪部54,64が同時に開口フランジ88に当接することとなる。
【0042】
ハンド29によって通箱80を保持する場合には、通箱80の連続した2つの側板部に形成された開口フランジ
88に爪部54,64が下側から各々当接する。この場合、通箱80には爪部54,64を通過する仮想線SLを中心とした回転(姿勢変化)が生じ得る。
図7に示す例では、開口フランジ88において側板部83から突出している部分(フランジ部88a)が爪部54によって下側から押され、開口フランジ88において側板部84から突出している部分(フランジ部88b)が爪部64によって下側から押される。両爪部54,64を通過する仮想線SLについては、平面視にて通箱80の重心GPCに対して両側板部83,84を繋ぐコーナ部CNR1側にずれているだけでなく、ワークW等の重量を加味した全体の重心GPAに対してもコーナ部CNR1側にずれている。本実施形態に示す通箱80については、上記部品としてワークWが底板部82上に均等に敷き詰められた状態で通箱80が搬送されることを想定したものとなっており、上記重心GPA,GPCについては鉛直方向に見てほぼ同じ位置となることを想定している。
【0043】
本実施形態に示すハンド29については、そのような通箱80の回転を規制することで通箱80の保持姿勢を安定させる工夫がなされている。以下、
図5及び
図6(b)を参照して、当該工夫について説明する。
【0044】
図5に示すように、レール部材45の上記一端には、通箱80の回転を規制する規制ユニット71が配設されている。規制ユニット71は、出力軸を昇降させる(中心軸線AX7と同じ方向に移動させる)昇降機構76を有し、当該昇降機構76がブラケット72を介してレール部材45に固定されている。上述したハンド制御部35は、昇降機構76の駆動部である空圧式のアクチュエータを具備しており、モーションコントローラ21からの指示に応じて昇降機構76の駆動制御を行う。
【0045】
昇降機構76の出力軸についてはブラケット72に固定された機構本体から下方に突出しており、その先端(下端)に押圧ブロック77が取り付けられている。
図6(b)に示すように、ハンド29によって通箱80を保持する場合には、押圧ブロック77が降下して蓋体91の縁部93に上方から当接する。具体的には、通箱80において互いに直交する2つの側板部を繋ぐコーナ部の上方に配置され、縁部93において当該コーナ部の周辺となる部分に当接する。押圧ブロック77は、縁部93に当接することでそれ以上の降下が回避されるが、当接後も通箱80側へ付勢された状態に維持されることとなる。つまり、押圧が継続される構成となっている。
【0046】
また、押圧ブロック77の下面78には、蓋体91の凹部95内に突出する突起79が形成されている。この突起79については蓋体91の縁部93に内側から対峙しており、突起79によって、蓋体91すなわち通箱80の位置ずれ(ベース部41の短手方向の位置ずれ)が規制される。これにより、支持ユニット51の爪部54と開口フランジ88との掛かり代が小さくなって通箱80が脱落することを抑制している。また、通箱80の位置ずれによって上述した回転規制機能が上手く作用しなくなることを抑制している。
【0047】
次に、
図8を参照して、搬送ロボットシステム10による通箱80の搬送の流れについて説明する。
【0048】
搬送ロボットシステム10はコンベアCとともに工場における搬送ラインの一部を構成している。入荷した通箱80群が集積場の配置エリアに配置されると、カメラ13によって通箱80群が撮影され、搬送制御装置12では撮影された画像に基づいて各通箱80の位置及び向きを特定し、搬送対象(目標)とする通箱80を決定する(ステップS1)。この決定においては、互いに直交する2つの側板部へのアプローチが可能な通箱80を搬送対象とする。搬送制御装置12ではロボット11の動作態様(上記目標位置を含む)を決定し、その結果を動作指令としてモーションコントローラ21に送信する。モーションコントローラ21では受信した動作指令に基づいてロボット11の目標軌道を設定する(ステップS2)。
【0049】
その後は、当該目標軌道を細分化した位置である補間位置を示す情報をサーボアンプ31に順次送信する。サーボアンプ31はモーションコントローラ21から受信した情報(指令)及びエンコーダ33から特定した現在の位置情報に基づいてモータ32の駆動制御を行う。これにより、ロボット11の姿勢が変化する。
【0050】
具体的には先ず、搬送対象となっている通箱80の2つの側面部に対して外側にオフセットした第1目標位置(第1準備位置)へハンド29を配置するようにロボット11の姿勢を変更する(ステップS3)。この第1目標位置においては、ハンド29の姿勢が中心軸線AX7が鉛直方向を向く水平姿勢となり、支持ユニット51,61の爪部54,64は通箱80の開口フランジ88の斜め下方に位置する(
図9(a1)参照)。また、第1目標位置においては、規制ユニット71の押圧ブロック77が上限位置である待機位置に維持されている(
図9(b1)参照)。
【0051】
次に、ロボット11の姿勢を変更し、ハンド29を水平姿勢のまま第1目標位置から当該第1目標位置よりも搬送対象となっている通箱80に近い第2目標位置(第2準備位置)へ水平移動させる(ステップS4)。具体的には、ベース部41の短手方向へ水平移動させる。第2目標位置へ水平移動することで、支持ユニット51の爪部54が開口フランジ88とリブ87(詳しくは横リブ)との間に挿入される。但し、第2目標位置に配置された直後は、爪部54と開口フランジ88との間には隙間が確保されたままとなる(
図9(a2)参照)。第1目標位置から第2目標位置への水平移動では、支持ユニット61の位置が通箱80の側板部に沿って変化し、当該支持ユニット61と通箱80との距離については変化しない。また、第2目標位置においては、規制ユニット71の押圧ブロック77は待機位置に維持されたままとなっており、当該押圧ブロック77は蓋体91の縁部93の上方に位置することとなる(
図9(b2)参照)。
【0052】
その後は、ハンド29を第2目標位置に留めたまま、支持ユニット61用のスライド機構65を動作させて当該支持ユニット61の爪部64をベース部41の長手方向へ水平移動させる(ステップS5)。これにより、爪部64が開口フランジ88とリブ87(詳しくは横リブ)との間に挿入される。但し、この移動では爪部64の高さは変更されず、爪部64と開口フランジ88との間には隙間が確保されたままとなる(
図9(a2)参照)。
【0053】
爪部54,64を開口フランジ88の直下に配置した後は、規制ユニット71用の昇降機構76を動作させて当該規制ユニット71の押圧ブロック77を通箱80を押圧する押圧位置へ向けて降下させる(ステップS6)。これにより、押圧ブロック77が蓋体91の縁部93に上側から押し付けられた状態となり、通箱80の浮き上がりが規制される。また、押圧ブロック77の突起79によってベース部41の短手方向への通箱80の位置ずれが規制されることとなる(
図9(b3)参照)。なお、押圧ブロック77については、縁部93に当接することでそれ以上の降下が回避されるが、昇降機構76による押圧(付勢)は継続される。
【0054】
押圧ブロック77を通箱80に上側から押し付けた状態とした後は、水平姿勢を維持したままハンド29が上昇するようにロボット11の姿勢を変更する(ステップS7)。具体的には、第2目標位置から当該第2目標位置の直上の第3目標位置へ上昇させる。この過程で、爪部54,64が開口フランジ88の下面89に当たり、それら爪部54,64によって通箱80が支えらえた状態となる(
図9(a3)参照)。この際、既に押圧ブロック77によって通箱80の回転が規制されており、爪部54,64によって通箱80を支えた際の当該通箱80の位置ずれが抑えられる。
【0055】
ハンド29を水平姿勢のまま第3目標位置まで持ち上げた後は、同じくハンド29を水平姿勢に維持したままロボット11を水平に旋回させる(ステップS8)。そして、コンベアCの上方の第4目標位置までハンド29を移動させた後は、ハンド29を水平姿勢のまま第5目標位置へ降下させて、通箱80をコンベアCへ受け渡す(ステップS9)。この受け渡しでは、第5目標位置に到達したタイミングで規制ユニット71の押圧ブロック77を待機位置へと上昇させるとともに、支持ユニット61の爪部64を後退させる。その後は、ハンド29を上記配置エリアの上方に設定されている初期位置へと復帰させる(ステップS10)。
【0056】
以上詳述した第1の実施形態によれば、以下の優れた効果が期待できる。
【0057】
複数の通箱80を縦横に並べた場合であっても、少なくとも角に位置する通箱80については互いに直交する2つの側板部について隣接する他の通箱80と対向しない状態となる。そこで、それら2つの側板部に形成されたフランジ部に爪部54,64が各々当接し、それら一組の爪部54,64によって通箱80を支える構成とすることで、隣接する他の通箱80によってハンド29の保持動作が妨げられることを好適に回避できる。
【0058】
但し、一組の爪部54,64を直交する側板部に各々引っ掛ける場合には、両爪部54,64を通過する仮想線SLと通箱80の重心とが鉛直方向に見てずれることとなり、当該通箱80を持ち上げる際に上記仮想線SLを中心とした通箱80の回転(姿勢変化)が生じ得る。そのような回転が生じた場合には爪部54,64の掛かり代が小さくなり、通箱80が脱落する可能性が高くなる。
【0059】
この点、本実施形態に示した構成によれば、規制ユニット71によってそのような回転が規制され、回転に起因した通箱80の脱落が抑制される。規制ユニット71(押圧ブロック77)については通箱80に対して少なくとも上側から当接するが、このような態様とすることで隣接する他の通箱80が規制動作の妨げになることを好適に抑制できる。また、通箱80の搬送に際して当該通箱80の持ち替え等が不要であるため、搬送サイクルの短縮に寄与できる。因みに、通箱80が段積みされている場合であっても、通箱80を単に上方に持ち上げるため、下側の通箱80のバランスが崩れることはない。以上の理由から、通箱80が並べて配置される場合であってもそれら通箱80を適正に順次搬送できる。
【0060】
通箱80の蓋体91の縁部93を規制ユニット71の押圧ブロック77によって上側から押える構成とした。これには、例えば蓋体91が取り外された状態で通箱80が使用される場合にもハンド29を同じ動作態様(セッティング)でそのまま流用できるメリットがある。
【0061】
ハンド29を水平移動させて規制ユニット71を縁部93の上方へ配置する際には、押圧ブロック77と縁部93との引っ掛かりを回避する上でそれら押圧ブロック77と縁部93との間にある程度の大きさの動作隙を確保しておくことが好ましい。しかしながら、動作隙が大きくなった場合には、爪部54,64によって通箱80を押し上げる際に通箱80の姿勢が大きく変化する可能性がある。この点、本実施形態に示したように、通箱80の持ち上げ前に規制ユニット71により回転を規制した状態とすることで当該変化を好適に抑制できる。なお、規制ユニット71については通箱80に対して上側から当接させる構成であるため、下側から当接させる構成と比較して、当該準備に際して通箱80の姿勢の乱れが生じることを好適に抑制できる。また、通箱80へのアプローチが隣接する他の通箱80によって妨げられることを好適に抑制できる。
【0062】
<第2の実施形態>
例えば通箱80に収容される物品の量が少ない場合には、物品が通箱80内で移動することにより、通箱80及び物品の全体の重心が大きくばらつく可能性がある。このような重心のばらつきの範囲が、鉛直方向に見て上記仮想線SLを跨がない場合には、予め想定されている方向(正方向)への回転を規制することで、支持ユニット51,61及び規制ユニット71による通箱80の保持を好適に実現できる。これに対して、重心のばらつきの範囲が鉛直方向に見て上記仮想線SLを跨ぐ場合には、仮想線SLを中心とした通箱80の回転方向がその時々によって異なることとなる。本実施形態では、このような事情に配慮して、搬送ロボット(搬送ロボットシステム)の汎用性を高める工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、
図10を参照して、第1の実施形態との相違点を中心に当該工夫について説明する。
【0063】
本実施形態の規制ユニット71Xは、第1の実施形態に示した規制ユニット71に、通箱80に下側から当接することにより仮想線SLを中心とする逆方向への回転を規制する構成が追加されたものとなっている。具体的には、逆方向への回転を規制する構成としてフック73が配設されている。フック73は、鉛直方向(中心軸線AX7と同じ方向)に延びており、その上端部がブラケット72に固定されている。フック73の下端部には、ベース部41側(内側)へ突出する爪部74が形成されている。爪部74は、押圧ブロック77の下方に位置しており、当該押圧ブロック77の下面78に対して隙間を隔てて対峙している。なお、爪部74の厚さ寸法については、通箱80の開口フランジ88と横リブとの隙間寸法よりも小さくなっている。
【0064】
次に、
図11を参照して、規制ユニット71Xによる通箱80の回転規制の流れについて説明する。
【0065】
図11(a)→
図11(b)に示すように、ハンド29
Xが水平姿勢のまま上述した第1目標位置(第1準備位置)から第2目標位置(第2準備位置)へ水平移動することで、規制ユニット71Xの爪部74が箱本体81の開口フランジ88とリブ87(詳しくは横リブ)との間に挿入され、規制ユニット71Xの押圧ブロック77が蓋体91の縁部93の上方に配置される。この状態では、爪部74と開口フランジ88とが上下に離間しており、押圧ブロック77と縁部93とが上下に離間している。
【0066】
その後は、
図11(b)→
図11(c)に示すように、ハンド29
Xを第2目標位置に留めたまま、押圧ブロック77が待機位置から押圧位置へ向けて降下し、縁部93に上方から当接した状態となる。
【0067】
押圧ブロック77によって通箱80の正方向への回転が規制された状態となった後は、
図11(c)→
図11(d)に示すように、ハンド29
Xが第2目標位置から第3目標位置へ上昇する。この過程で、爪部54,64が開口フランジ88の下面89に当たり、それら爪部54,64によって通箱80が支えらえた状態となる。そして、これと同時に規制ユニット71Xの爪部74が開口フランジ88の下面89に当たり、押圧ブロック77と爪部74によって通箱80の縁が上下に挟まれた状態となる。つまり、爪部74によって上記逆方向への通箱80の回転が規制された状態となる。これにより、上記仮想線SLを中心とした正逆両方向への通箱80の回転が規制される。
【0068】
本実施形態に示した構成によれば、仮想線SLを中心とする正逆両方向への回転が規制される。つまり、通箱80の回転方向を絞り込むことが困難な場合にも当該通箱80の回転を好適に規制できる。これにより、搬送ロボットシステム10の汎用性を高めることができる。
【0069】
また、搬送サイクルの短縮を図るべく搬送速度を速くする場合には、搬送中に通箱80内で物品が移動して重心が変わる可能性が高くなる。このような事象が発生した場合には、回転モーメントが反転して、保持姿勢が不安定になり得る。この点、本実施形態に示した構成によれば、正逆両方向の回転が規制されるため、物品の移動に起因した保持姿勢の乱れを抑制し、搬送サイクルの短縮に寄与できる。
【0070】
<第3の実施形態>
上記各実施形態では、ハンド29に設けられた支持ユニット51,61により通箱80の開口フランジ88を下側から支えることで通箱80を保持する構成とした。本実施形態では、支持ユニット51,61に係る構成が上記各実施形態と相違している。以下、
図12を参照して、本実施形態における支持ユニット51
Y,61
Yの構成を第1の実施形態等に示した支持ユニット5
1,6
1との相違点を中心に説明する。
【0071】
本実施形態の支持ユニット51Y,61Yは、いずれも第1実施形態に示した支持ユニット51,61に、爪部54,64との間に通箱80の縁部を挟む構成が追加されたものとなっている。具体的には、出力軸を昇降させる(中心軸線AX7と同じ方向に移動させる)昇降機構56,66が各々配設されている。昇降機構56はブラケット52に固定されており、昇降機構66はブラケット62に固定されている。
【0072】
上述したハンド制御部35は、昇降機構56,66の駆動部である空圧式のアクチュエータを具備しており、モーションコントローラ21からの指示に応じて昇降機構56,66の駆動制御を行う。
【0073】
昇降機構56,66の出力軸についてはブラケット52,62に固定された機構本体から下方に突出しており、その先端(下端)に押圧ブロック57,67が各々取り付けられている。押圧ブロック57,67は、フック53,63の爪部54,64の上方に位置しており、ハンド29によって通箱80を保持する場合には、押圧ブロック57,67が待機位置から押圧位置へ向けて降下して蓋体91の縁部93に上方から当接する。これら押圧ブロック57,67が縁部93に当接するタイミングについては、規制ユニット71,71Xの押圧ブロック77が縁部93に当接するタイミングと同じタイミングとなるように規定されている。つまり、支持ユニット51Y,61Yによって通箱80を保持する場合には、先ず押圧ブロック57,67が縁部93に当接し、その後、ハンド29Yが上昇することで爪部54,64が開口フランジ88に当接する。これにより、通箱80の縁部が支持ユニット51Y,61Yによって上下に挟まれた状態となる。
【0074】
なお、押圧ブロック57,67の下面には、押圧ブロック77と同様に突起が各々形成されている。押圧ブロック57,67が縁部93に当接した状態では、それら突起が蓋体91の凹部95に内側から対峙し、通箱80の位置ずれが規制される。具体的には、押圧ブロック57の下面に形成された突起によって通箱80がベース部41の短手方向への変位が規制される。これにより、支持ユニット51Yの爪部54と開口フランジ88との掛り代の減少が回避される。また、押圧ブロック67の下面に形成された突起によって通箱80がベース部41の長手方向への変位が規制される。これにより、支持ユニット61Yの爪部64と開口フランジ88との掛り代の減少が回避される。
【0075】
各支持ユニット51Y,61Yに押圧ブロック57,67を配設し、通箱80の縁部を挟む構成とすることで、搬送サイクルを短縮すべく搬送速度を引き上げた場合であっても通箱80の位置ずれを好適に抑制できる。これは、上述した回転規制機能を適正に発揮させる上で好ましい。
【0076】
<その他の実施形態>
なお、上述した各実施形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記各実施形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記各実施形態に対して適用してもよい。また、上記各実施形態に示した各種構成の全て又は一部を任意に組み合わせることも可能である。この場合、組み合わせの対象となる各構成の技術的意義(発揮される効果)が担保されることが好ましい。
【0077】
・上記各実施形態では、ハンド29におけるベース部41の長辺側に規制ユニット71を配設したが、ベース部41の短辺側に規制ユニット71を配設してもよい。すなわち、通箱80の回転を規制する位置を、通箱80を上方から見た場合に当該通箱80の短辺側に設定してもよい。また、通箱80の回転を規制する位置を、通箱80を上方から見た場合に当該通箱80の長辺と短辺とを繋ぐコーナ部に設定してもよい。
【0078】
・上記各実施形態では、コーナ部を介して連続する2つの側板部において当該コーナ部から遠い側の端部付近に支持ユニット51,61を配設し、通箱80の重心GPCと爪部54,64を通過する仮想線SLとの離れを小さくした。ここで、第1の実施形態に示したように、仮想線SLを中心とした通箱80の回転方向が実質的に1の方向となるように限定する上では、2つの側板部において上記コーナ部と当該コーナ部から遠い側の端部との中間付近に支持ユニット51,61を配設する等して、重心GPCと爪部54,64を通過する仮想線SLとの離れをある程度大きくするとよい。
【0079】
・上記第2の実施形態では、通箱80を保持する場合に、爪部54,64を通過する仮想線SLを中心とした通箱80の正逆両方向の回転を規制ユニット71Xにより規制する構成とした。具体的には、通箱80に対して上側から当接する押圧ブロック77により正方向の回転を規制し、通箱80に対して下側から当接する爪部74により逆方向の回転を規制した。正逆両方向の回転を規制することができるのであれば、回転規制のための具体的構成については任意である。
【0080】
例えば、
図13(a)に示すように、鉛直方向に見て仮想線SLに対して第1の実施形態に示した規制ユニット71がオフセットされている側とは反対側、具体的には規制ユニット71と対角となる位置に当該規制ユニット71と同じ規制ユニット71を追加してもよい。この場合、両規制ユニット71がともに通箱80に対して上側から当接することとなる。両規制ユニット71の一方(第1の実施形態に示した規制ユニット71)により正方向の回転が規制され、両規制ユニット71の他方(新たに追加した規制ユニット71)により逆方向の回転が規制される。
【0081】
また、
図13(b)に示すように、規制ユニット71Xに代えて、鉛直方向に見て仮想線SLを跨いだ両側にて通箱80に当接可能な長尺状の押圧ブロック111を設け、当該押圧ブロック111を昇降機構117によって通箱80の上面に当接させる構成としてもよい。
【0082】
・上記各実施形態では、規制ユニット71の押圧ブロック77を通箱80に当接させた後も当該押圧ブロック77による通箱80の押圧が継続される構成としたが、これに限定されるものでは無い。例えば、押圧ブロック77が通箱80に当接した場合に、当該押圧ブロック77の昇降が不可となるようにロックする構成としてもよい。
【0083】
・上記各実施形態では、通箱80を保持する場合に爪部54,64が当接する対象を開口フランジ88としたが、これを変更し、爪部54,64が当接する対象をリブ87(詳しくは横リブ)とすることも可能である。
【0084】
また、側板部の外面に設けられた凸部(開口フランジ88)の下面(下面89)を爪部54,64の当接対象(「面部」に相当)として利用したが、側板部の外面に設けられた凹部の内面(上面)を爪部54,64の当接対象とすることも可能である。
【0085】
・上記各実施形態では、押圧ブロック77を通箱80(詳しくは縁部93)に当接させた後に、爪部54,64を通箱80(詳しくは開口フランジ88の下面89)に当接させる構成としたが、これに限定されるものではない。押圧ブロック77を通箱80(詳しくは縁部93)に当接させるタイミングと、爪部54,64を通箱80(詳しくは開口フランジ88の下面89)に当接させるタイミングとを揃える構成としてもよい。
【0086】
・上記各実施形態では、規制ユニット71の押圧ブロック77に形成された突起79によってハンド29のベース部41の短手方向における通箱80の位置ずれを規制する構成としたがこれに代えて又は加えて押圧ブロック77に形成された突起79によってハンド29のベース部41の長手方向における通箱80の位置ずれを規制する構成としてもよい。
【0087】
・上記第2の実施形態では、規制ユニット71Xを構成する押圧ブロック77と、爪部74とを縦に並ぶようにして配置したが、これに限定されるものではない。押圧ブロック77と爪部74とが鉛直方向に見て重ならないように配置をずらす構成とすることも可能である。
【0088】
・上記各実施形態では、物品を出し入れするための開口が上向きとなるように形成された通箱80を搬送対象とした場合について例示したが、物品を出し入れするための開口が横向きとなるように形成された通箱80を搬送対象としてもよい。
【0089】
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上記実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0090】
特徴1.直方体状の収容箱(通箱80)を搬送する搬送ロボット(ロボット11)に適用され、当該搬送に際して前記収容箱を保持するロボットハンド(ハンド29)であって、
前記収容箱の外郭を形成し且つ互いに直交する2つの側板部(例えば側板部83,84)の外側部分には、下側を向く面部(開口フランジ88の下面89)が各々形成されており、
前記収容箱を保持する場合に、各前記面部に当接し、前記収容箱を支える一組の爪部(爪部54,64)と、
前記収容箱を保持する場合に、前記収容箱に少なくとも上側から当接し、前記一組の爪部を通過する仮想線(仮想線SL)を中心とした前記収容箱の回転を規制した状態を形成する規制機構(例えば規制ユニット71)と
を備えているロボットハンド。
【0091】
複数の収容箱をまとめて受け渡す場合等においてそれら収容箱を縦横に並べた場合であっても、鉛直方向に見て少なくとも角に位置する収容箱における互いに直交する2つの側板部については隣接する他の収容箱と対向しない状態となる。そこで、本特徴に示すように、それら2つの側板部の外側部分(外面)に各々形成された下側を向く面部に爪部が各々当接し、それら一組の爪部によって収容箱を支える構成とすれば、隣接する他の収容箱によってロボットハンドの保持動作が妨げられることを好適に回避できる。
【0092】
但し、一組の爪部を直交する側板部に各々引っ掛ける場合には、両爪部を通過する仮想線と収容箱の重心とが鉛直方向に見てずれることとなり、当該収容箱を持ち上げる際に上記仮想線を中心とした収容箱の回転(姿勢変化)が生じ得る。そのような回転が生じた場合には上記面部に対する爪部の掛かり代が小さなり、収容箱が脱落する可能性が高くなる。
【0093】
この点、本特徴に示す構成によれば、規制機構によってそのような回転が規制され、回転に起因した収容箱の脱落が抑制される。規制機構については収容箱に対して少なくとも上側から当接するが、このような態様とすることで隣接する他の収容箱が規制動作の妨げになることを好適に抑制できる。また、収容箱の搬送に際して当該収容箱の持ち替え等が不要であるため、搬送サイクルの短縮に寄与できる。因みに、収容箱が段積みされている場合であっても、収容箱を上方に持ち上げるだけなので、下側の収容箱のバランスが崩れることはない。以上の理由から、収容箱が並べて配置される場合であっても収容箱を適正に搬送できる。
【0094】
なお、「直方体状の収容箱」については開口を覆う蓋体を有する構成、開口を覆う蓋体を有さない構成の両方を含む。
【0095】
特徴2.前記規制機構は、前記収容箱を保持する場合に、鉛直方向に見て前記仮想線からオフセットした位置にて前記収容箱に当接し、前記仮想線を中心とした前記収容箱の回転を規制した状態を形成する特徴1に記載のロボットハンド。
【0096】
本特徴に示すように、鉛直方向に見て仮想線からオフセットした位置にて収容箱に当接する構成とすれば、収容箱の回転を好適に規制できる。
【0097】
特徴3.前記規制機構は、前記収容箱に当接する当接部として第1当接部(押圧ブロック77)及び第2当接部(爪部74)を有してなり、前記収容箱を保持する場合に、前記収容箱において上側を向く部分に前記第1当接部が当接し且つ前記収容箱において下側を向く部分であって鉛直方向に見て前記仮想線に対して前記第1当接部がオフセットされている側と同じ側となる部分に前記第2当接部が当接し、それら第1当接部及び第2当接部によって前記仮想線を中心とする前記収容箱の回転を規制した状態を形成する特徴2に記載のロボットハンド。
【0098】
収容箱にワーク等の物品を収容する場合には、ある程度まとまった量の物品が収容されることにより物品及び収容箱を含んだ全体の重心のばらつき(鉛直方向に見た場合のばらつき)は小さくなる。故に、収容箱の回転規制については正逆両方向を想定する必要は必ずしもない。但し、搬送ロボット(搬送ロボットシステム)の汎用性を高める上では、収容箱に収容される物品の量が少ない場合、すなわち物品の位置によって回転方向が相違し得る場合を想定することが好ましい。この点、本特徴に示す構成によれば、仮想線を中心とする正逆両方向への回転が規制されるため、重心のばらつきが大きく回転方向を絞り込むことが困難な場合にも対応可能となる。また、搬送サイクルの短縮を図るべく搬送速度を速くする場合には、搬送中に収容箱内で物品が移動して重心が変わる可能性が高くなる。このような事象が発生した場合には、回転モーメントが反転して、保持姿勢が不安定になり得る。この点、本特徴に示す構成によれば、正逆両方向の回転が規制されるため、物品の移動に起因した保持姿勢の乱れを抑制し、搬送サイクルの短縮に寄与できる。
【0099】
特徴4.前記第2当接部は、前記規制した状態を形成している場合に、前記第1当接部の下方に位置するように構成されている特徴3に記載のロボットハンド。
【0100】
本特徴に示す構成によれば、第1当接部を収容箱に上側から当接させた場合にその押圧力によって当該収容箱に傾き等が生じることを第2当接部によって好適に抑制できる。また、第2当接部を収容箱に下側から当接させた場合にその押圧力によって当該収容箱に傾き等が生じることを第1当接部によって好適に抑制できる。
【0101】
特徴5.前記規制機構は、前記収容箱に当接する当接部として第1当接部及び第2当接部を有してなり、前記収容箱を保持する場合に、前記収容箱において上側を向く部分に前記第1当接部が当接し且つ前記収容箱において上側を向く他の部分であって鉛直方向に見て前記仮想線に対して前記第1当接部がオフセットされている側と反対側となる部分に前記第2当接部が当接し、それら第1当接部及び第2当接部によって前記仮想線を中心とする前記収容箱の回転を規制した状態を形成する特徴2に記載のロボットハンド。
【0102】
収容箱にワーク等の物品を収容する場合には、ある程度まとまった量の物品が収容されることにより物品及び収容箱を含んだ全体の重心位置のばらつき(鉛直方向に見た場合のばらつき)は小さくなる。故に、収容箱の回転規制については正逆両方向を想定する必要は必ずしもない。但し、搬送ロボット(搬送ロボットシステム)の汎用性を高める上では、収容箱に収容される物品の量が少ない場合、すなわち物品の位置によって回転方向が相違し得る場合を想定することが好ましい。この点、本特徴に示す構成によれば、仮想線を中心とする正逆両方向への回転が規制されるため、重心位置のばらつきが大きく回転方向を絞り込むことが困難な場合にも対応可能となる。また、搬送サイクルの短縮を図るべく搬送速度を速くする場合には、搬送中に収容箱内で物品が移動して重心位置が変わる可能性が高くなる。このような事象が発生した場合には、回転モーメントが反転して、保持姿勢が不安定になり得る。この点、本特徴に示す構成によれば、正逆両方向の回転が規制されるため、物品の移動に起因した保持姿勢の乱れを抑制し、搬送サイクルの短縮に寄与できる。
【0103】
なお、本特徴に示す構成では、第1当接部及び第2当接部が何れも収容箱に上側から当接する構成であるため、複数の収容箱が縦横に並べて配置されている場合であっても、規制動作が隣接する他の収容箱によって妨げられることを好適に抑制できる。
【0104】
特徴6.前記第1当接部及び前記第2当接部の少なくとも一方には、前記規制した状態を形成している状況下にて前記収容箱において当該収容箱の内側を向く壁部に対峙する部分(突起79)が設けられており、
前記規制した状態が形成されている状況下では前記対峙する部分によって前記爪部と前記面部との掛り代が小さくなる方向へ前記収容箱の変位が規制される特徴3乃至特徴5のいずれか1つに記載のロボットハンド。
【0105】
特徴1等に示したように、爪部及び規制機構によって収容箱を保持する構成とすることには様々な技術的意義がある。しかしながら、爪部については面部に対する掛かり代が小さくなることで収容箱を支える機能が上手く発揮されなくなると懸念される。この点、本特徴に示すように、第1当接部及び第2当接部の少なくとも一方に形成された上記対峙する部分(ストッパ)によって収容箱の変位が規制され、爪部の掛かり代の減少が抑制される構成とすれば、そのような懸念を好適に解消できる。特に、隣接する他の収容箱を避けて動作する規制機構(当接部)を用いて掛かり代の減少を抑えることは、収容箱の配置の影響を受けにくくする上で好ましい。
【0106】
特徴7.特徴1乃至特徴6のいずれか1つに記載のロボットハンドが装着されたロボット本体と、前記ロボットハンド及び前記ロボット本体の駆動制御を行う駆動制御部(搬送制御装置12及びモーションコントローラ21)とを備えている搬送ロボットシステム。
【0107】
本特徴に示す搬送ロボットシステムによれば、収容箱が並べて配置される場合であっても収容箱を適正に搬送できる。
【0108】
特徴8.前記駆動制御部は、前記ロボットハンドによって前記収容箱を保持する場合には、前記規制機構により前記規制した状態を形成した後に、前記爪部により前記収容箱を持ち上げるように前記ロボット本体と前記ロボットハンドとの駆動制御を行う特徴7に記載の搬送ロボットシステム。
【0109】
爪部により収容箱を持ち上げる場合には、収容箱を持ち上げた瞬間に収容箱の姿勢が乱れる可能性がある。収容箱の姿勢の乱れは、適正な位置での回転規制を困難としたり、回転規制機能が上手く発揮されなくなったりする要因になると想定される。この点、本特徴に示す構成では、ロボットハンドによって収容箱を保持する場合には、先ず規制機構により上記規制した状態が形成される。このように、収容箱の持ち上げ前に回転規制の準備を行うことで上記不都合の発生を好適に抑制できる。なお、規制機構については収容箱に対して少なくとも上側から当接させる構成であるため、下側からのみ当接させる構成と比較して、当該準備に際して収容箱の姿勢の乱れが生じることを好適に抑制できる。
【0110】
特徴9.カメラ(カメラ13)により撮影された前記収容箱の画像に基づいて前記収容箱の位置及び向きを解析する解析部(画像解析部18)を備え、
前記駆動制御部は、前記解析部による解析結果に基づいて前記ロボット本体及び前記ロボットハンドの駆動制御を行う構成となっており、
前記収容箱の前記2つの側板部は、コーナ部(例えばコーナ部CNR1)を介して連続しており、
前記駆動制御部は、前記収容箱を保持する場合に、前記規制機構が前記コーナ部又は当該コーナ部の周辺部にて前記収容箱に当接するように前記ロボットハンド及び前記ロボット本体を動作させる特徴7又は特徴8に記載の搬送ロボットシステム。
【0111】
2つの側面部を繋ぐコーナ部やその周辺部にて回転規制を行う構成とすれば、隣接する他の収容箱の存在が規制機構の動作領域の確保の妨げになることを回避できる。また、特徴9との組み合せにおいては特に、小さな力で回転を規制しつつ保持の安定化を好適に実現できる。
【0112】
特徴10.カメラ(カメラ13)により撮影された前記収容箱の画像に基づいて前記収容箱の位置及び向きを解析する解析部(画像解析部18)を備え、
前記駆動制御部は、前記解析部による解析結果に基づいて前記ロボット本体及び前記ロボットハンドの駆動制御を行う構成となっており、
前記収容箱の前記2つの側板部は、コーナ部(例えばコーナ部CNR1)を介して連続しており、
前記駆動制御部は、前記収容箱を保持する場合に、前記2つの側板部において前記コーナ部側とは反対の端部寄りとなる各箇所にて前記爪部が前記面部を支持した状態となるように前記ロボット本体及び前記ロボットハンドを動作させる特徴7乃至特徴9のいずれか1つに記載の搬送ロボットシステム。
【0113】
本特徴に示すように、互いに直交する2つの側板部においてコーナ部側とは反対の端部寄りとなる各箇所にて面部を支持する構成とすることで、回転規制に際して規制機構に生じる負荷を好適に軽減できる。
【符号の説明】
【0114】
10…搬送ロボットシステム、11…ロボット、12…搬送制御装置、13…カメラ、18…画像解析部、19…動作指令決定部、20…ロボット本体、21…モーションコントローラ、29…ハンド、51,61…支持ユニット、53,63…フック、54,64…爪部、71…規制ユニット、76…昇降機構、77…押圧ブロック、79…突起、80…通箱、83~86…側板部、88a,88b…フランジ部、89a,89b…下面、90…開口、91…蓋体、93…縁部、95…凹部、SL…仮想線、W…ワーク。
【要約】
【課題】収容箱を適正に搬送可能な搬送ロボットシステムを実現すること。
【解決手段】搬送ロボットシステムは、搬送に際して直方体状の通箱80を保持するハンド29が装着されたロボットを有している。通箱80の箱本体81は、矩形状の底板部と当該底板部の各辺から起立する4つの側板部とを有してなる。ハンド29には、通箱80を保持する場合に、4つの側板部のうち互いに直交する側板部83,84に形成されているフランジ部の下面に当接し、通箱80を支える一組の爪部54,64が設けられている。また、ハンド29には、通箱80を保持する場合に、当該通箱80に上側から当接し、爪部54,64を通過する仮想線を中心とした通箱80の回転を規制した状態を形成する規制ユニット71が設けられている。
【選択図】
図5