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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】振動装置及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/06 20060101AFI20220802BHJP
   H02N 2/04 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
B06B1/06 Z
H02N2/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021521540
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2020024948
(87)【国際公開番号】W WO2021111668
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2019221418
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】北森 宣匡
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/130623(WO,A1)
【文献】特開2009-077545(JP,A)
【文献】国際公開第2015/163166(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/198417(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/00- 3/04
H02N 2/00- 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光体カバーと、
前記透光体カバーを振動させる圧電素子と、
前記圧電素子と接続される1つ又は複数の振動体と、
前記圧電素子に接触し、前記圧電素子に給電する1つ又は複数の給電導体と、
前記1つ又は複数の給電導体を前記圧電素子に対して押圧する1つ又は複数の弾性部と、
を備え
前記圧電素子は、1つ又は複数の電極を有し、
前記1つ又は複数の振動体には、前記1つ又は複数の電極を露出させる1つ又は複数の溝が設けられており、
前記1つ又は複数の弾性部は、前記1つ又は複数の溝に配置される、
振動装置。
【請求項2】
前記1つ又は複数の弾性部は、前記1つ又は複数の給電導体を折り曲げて形成される部分であり、前記1つ又は複数の給電導体を湾曲した板バネ形状を有する、
請求項1に記載の振動装置。
【請求項3】
前記1つ又は複数の給電導体と前記圧電素子との接触領域は、前記1つ又は複数の振動体と前記圧電素子との接続領域よりも小さい、
請求項1又は2に記載の振動装置。
【請求項4】
前記圧電素子は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、
前記振動体は、前記透光体カバーと前記圧電素子の前記第1面とに接続され、
前記給電導体は、前記圧電素子の前記第1面に接触し、
前記1つ又は複数の弾性部は、前記給電導体を前記圧電素子の前記第1面に押圧し、
前記圧電素子の前記第1面において、
前記接続領域の占める割合は70%以上であり、
前記接触領域の占める割合は30%以下である、
請求項3に記載の振動装置。
【請求項5】
前記1つ又は複数の給電導体は、環状部を有し、
前記複数の弾性部は、前記環状部において等間隔で配置されている、
請求項1~のいずれか一項に記載の振動装置。
【請求項6】
前記圧電素子は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、
前記複数の給電導体は、前記第1面と接触する第1給電導体と、前記第2面と接触する第2給電導体と、を有し、
前記複数の弾性部は、前記第1給電導体を前記第1面に押圧する1つ又は複数の第1弾性部と、前記第2給電導体を前記第2面に押圧する1つ又は複数の第2弾性部と、のうち少なくともいずれか一方を有する、
請求項1又は2に記載の振動装置。
【請求項7】
前記圧電素子は、環状に形成され、
前記複数の振動体は、前記透光体カバーの底面と前記圧電素子との前記第1面に接続される第1振動体と、前記圧電素子の前記第2面に接続される第2振動体と、を有し、
前記第2給電導体は、前記第1給電導体よりも前記圧電素子の内周側で前記圧電素子に接触する、
請求項に記載の振動装置。
【請求項8】
前記圧電素子の前記第1面において、前記第1給電導体と前記圧電素子との接触領域は、前記第1振動体と前記圧電素子との接続領域よりも小さく、
前記圧電素子の前記第2面において、前記第2給電導体と前記圧電素子との接触領域は、前記第2振動体と前記圧電素子との接続領域よりも小さい、
請求項に記載の振動装置。
【請求項9】
前記圧電素子は、前記第1面に設けられる第1電極と、前記第2面に設けられる第2電極と、を有し、
前記第1振動体には、前記第1電極を露出させる1つ又は複数の第1溝が設けられており、
前記第2振動体には、前記第2電極を露出させる1つ又は複数の第2溝が設けられており、
前記1つ又は複数の第1弾性部は、前記1つ又は複数の第1溝に配置され、
前記1つ又は複数の第2弾性部は、前記1つ又は複数の第2溝に配置される、
請求項又はに記載の振動装置。
【請求項10】
前記第1給電導体は、前記圧電素子の厚み方向と交差する方向に延びる1つ又は複数の第1支持部を有し、前記1つ又は複数の第1弾性部と前記1つ又は複数の第1支持部との間に前記圧電素子を保持する、
請求項に記載の振動装置。
【請求項11】
前記第2給電導体は、前記圧電素子の厚み方向と交差する方向に延びる1つ又は複数の第2支持部を有し、前記1つ又は複数の第2弾性部と前記1つ又は複数の第2支持部との間に前記圧電素子を保持する、
請求項又は10に記載の振動装置。
【請求項12】
前記複数の第2弾性部は、前記複数の第1弾性部の間に配置されている、
請求項11のいずれか一項に記載の振動装置。
【請求項13】
前記1つ又は複数の第1弾性部と前記1つ又は複数の第2弾性部とは、前記圧電素子の厚み方向において対向して配置されている、
請求項に記載の振動装置。
【請求項14】
前記1つ又は複数の振動体は、金属で形成されており、
前記1つ又は複数の振動体は、絶縁材料で覆われている、
請求項1~13のいずれか一項に記載の振動装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の振動装置と、
前記振動装置内に配置される撮像素子と、
を備える、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動によって液滴などを除去する振動装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧電バイモルフ型のアクチュエータと力検出センサとを複合した圧電複合装置が開示されている。特許文献1に記載の装置は、圧電素子の給電用の電極に引き出し線を半田付けしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-48302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を向上させるという観点において未だ改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様の振動装置は、
透光体カバーと、
前記透光体カバーを振動させる圧電素子と、
前記圧電素子と接続される1つ又は複数の振動体と、
前記圧電素子に接触し、前記圧電素子に給電する1つ又は複数の給電導体と、
前記1つ又は複数の給電導体を前記圧電素子に対して押圧する1つ又は複数の弾性部と、
を備える。
【0006】
本発明の一態様の撮像装置は、
前記態様の振動装置と、
前記振動装置内に配置される撮像素子と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を向上させた振動装置及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る実施の形態1の振動装置の一例の構成を示す概略図である。
図2】本発明に係る実施の形態1の振動装置の一例を示す分解斜視図である。
図3】本発明に係る実施の形態1の振動装置の一例の部分拡大図である。
図4】本発明に係る実施の形態1における給電導体の一例を下から見た概略図である。
図5】圧電素子の第1面における第1振動体の接着面積の割合と最大変位量比との関係の一例を示す図である。
図6A】本発明に係る実施の形態1の変形例の振動装置の構成を示す部分拡大図である。
図6B】本発明に係る実施の形態1の変形例の振動装置の構成を示す部分拡大図である。
図6C】本発明に係る実施の形態1の変形例の振動装置の構成を示す部分拡大図である。
図6D】本発明に係る実施の形態1の変形例の振動装置の構成を示す部分拡大図である。
図7】本発明に係る実施の形態2の振動装置の一例を示す分解斜視図である。
図8A】本発明に係る実施の形態2の振動装置の一例の第1弾性部における部分拡大断面図である。
図8B】本発明に係る実施の形態2の振動装置の一例の第2弾性部における部分拡大断面図である。
図9】本発明に係る実施の形態2における給電導体の一例を上から見た概略図である。
図10A】本発明に係る実施の形態2の変形例の振動装置の構成を示す部分拡大図である。
図10B】本発明に係る実施の形態2の変形例の振動装置の構成を示す部分拡大図である。
図10C】本発明に係る実施の形態2の変形例の振動装置の構成を示す部分拡大図である。
図11】本発明に係る実施の形態3の振動装置の一例の部分拡大断面図である。
図12A】本発明に係る実施の形態3の変形例の振動装置の構成を示す部分拡大図である。
図12B】本発明に係る実施の形態3の変形例の振動装置の構成を示す部分拡大図である。
図13】本発明に係る実施の形態4の振動装置の一例の部分拡大断面図である。
図14】本発明に係る実施の形態5の撮像装置の構成の一例を示す概略図である。
図15】他の実施形態の振動装置における第1給電導体の一例を下から見た概略図である。
図16】他の実施形態の振動装置における第2給電導体の一例を上から見た概略図である。
図17】他の実施形態の振動装置の構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明に至った経緯)
特許文献1に記載の装置は、圧電素子の給電用の電極に、引き出し線である給電導体を半田付けすることによって、圧電素子と給電導体とを接続している。特許文献1に記載の装置は、給電導体を介して圧電素子に給電することによって、圧電素子を振動させている。
【0010】
しかしながら、圧電素子と給電導体とは半田付けによって接続されているため、圧電素子の振動によって、圧電素子と給電導体との接続部分に応力が加わり、接続部分が破断される場合がある。
【0011】
また、圧電素子と給電導体とを導電性接着剤で接着することによって接続する方法もある。しかしながら、圧電素子と給電導体とを導電性接着剤で接着する場合、導電性を確保するために、接着剤は、導電フィラーなどの導電材料を含んでいる。導電材料は、接着性を有していない。このため、導電性接着剤による接着では、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を向上させることが難しい。
【0012】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、弾性部によって給電導体を圧電素子に押圧し、給電導体と圧電素子とを電気的に接続する構成を見出し、以下の発明に至った。
【0013】
本発明の一態様の振動装置は、
透光体カバーと、
前記透光体カバーを振動させる圧電素子と、
前記圧電素子と接続される1つ又は複数の振動体と、
前記圧電素子に接触し、前記圧電素子に給電する1つ又は複数の給電導体と、
前記1つ又は複数の給電導体を前記圧電素子に対して押圧する1つ又は複数の弾性部と、
を備える。
【0014】
このような構成により、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を向上させることができる。
【0015】
前記1つ又は複数の弾性部は、前記1つ又は複数の給電導体を折り曲げて形成される部分であり、前記1つ又は複数の給電導体を湾曲した板バネ形状を有していてもよい。
【0016】
このような構成により、給電導体を圧電素子に押圧し、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を向上させることができる。
【0017】
前記1つ又は複数の給電導体と前記圧電素子との接触領域は、前記1つ又は複数の振動体と前記圧電素子との接続領域よりも小さくてもよい。
【0018】
このような構成により、圧電素子の振動が低減することを抑制しつつ、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を向上させることができる。
【0019】
前記圧電素子は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、
前記振動体は、前記透光体カバーと前記圧電素子の前記第1面とに接続され、
前記給電導体は、前記圧電素子の前記第1面に接触し、
前記1つ又は複数の弾性部は、前記給電導体を前記圧電素子の前記第1面に押圧し、
前記圧電素子の前記第1面において、前記接続領域の占める割合は、70%以上であり、前記接触領域の占める割合は、30%以下であってもよい。
【0020】
このような構成により、圧電素子の振動が低減することを更に抑制しつつ、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0021】
前記圧電素子は、1つ又は複数の電極を有し、
前記1つ又は複数の振動体には、前記1つ又は複数の電極を露出させる1つ又は複数の溝が設けられており、
前記1つ又は複数の弾性部は、前記1つ又は複数の溝に配置されていてもよい。
【0022】
このような構成により、給電導体を圧電素子に容易に押圧することができ、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を向上させることができる。
【0023】
前記1つ又は複数の給電導体は、環状部を有し、
前記複数の弾性部は、前記環状部において等間隔で配置されていてもよい。
【0024】
このような構成により、圧電素子に給電導体をバランスよく接触させることができ、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0025】
前記圧電素子は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、
前記複数の給電導体は、前記第1面と接触する第1給電導体と、前記第2面と接触する第2給電導体と、を有し、
前記複数の弾性部は、前記第1給電導体を前記第1面に押圧する1つ又は複数の第1弾性部と、前記第2給電導体を前記第2面に押圧する1つ又は複数の第2弾性部と、のうち少なくともいずれか一方を有していてもよい。
【0026】
このような構成により、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0027】
前記圧電素子は、環状に形成され、
前記複数の振動体は、前記透光体カバーの底面と前記圧電素子との前記第1面に接続される第1振動体と、前記圧電素子の前記第2面に接続される第2振動体と、を有し、
前記第2給電導体は、前記第1給電導体よりも前記圧電素子の内周側で前記圧電素子に接触していてもよい。
【0028】
このような構成により、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0029】
前記圧電素子の前記第1面において、前記第1給電導体と前記圧電素子との接触領域は、前記第1振動体と前記圧電素子との接続領域よりも小さく、
前記圧電素子の前記第2面において、前記第2給電導体と前記圧電素子との接触領域は、前記第2振動体と前記圧電素子との接続領域よりも小さくてもよい。
【0030】
このような構成により、圧電素子の振動が低減することを更に抑制しつつ、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を向上させることができる。
【0031】
前記圧電素子は、前記第1面に設けられる第1電極と、前記第2面に設けられる第2電極と、を有し、
前記第1振動体には、前記第1電極を露出させる1つ又は複数の第1溝が設けられており、
前記第2振動体には、前記第2電極を露出させる1つ又は複数の第2溝が設けられており、
前記1つ又は複数の第1弾性部は、前記1つ又は複数の第1溝に配置され、
前記1つ又は複数の第2弾性部は、前記1つ又は複数の第2溝に配置されていてもよい。
【0032】
このような構成により、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0033】
前記第1給電導体は、前記圧電素子の厚み方向と交差する方向に延びる1つ又は複数の第1支持部を有し、前記1つ又は複数の第1弾性部と前記1つ又は複数の第1支持部との間に前記圧電素子を保持していてもよい。
【0034】
このような構成により、圧電素子を第1給電導体によって挟持し、圧電素子と第1給電導体との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0035】
前記第2給電導体は、前記圧電素子の厚み方向と交差する方向に延びる1つ又は複数の第2支持部を有し、前記1つ又は複数の第2弾性部と前記1つ又は複数の第2支持部との間に前記圧電素子を保持していてもよい。
【0036】
このような構成により、圧電素子を第2給電導体によって挟持し、圧電素子と第2給電導体との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0037】
前記複数の第2弾性部は、前記複数の第1弾性部の間に配置されていてもよい。
【0038】
このような構成により、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0039】
前記1つ又は複数の第1弾性部と前記1つ又は複数の第2弾性部とは、前記圧電素子の厚み方向において対向して配置されていてもよい。
【0040】
このような構成により、圧電素子を第1弾性部と第2弾性部とによって挟持し、圧電素子と第2給電導体との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0041】
前記1つ又は複数の振動体は、金属で形成されており、
前記1つ又は複数の振動体は、絶縁材料で覆われていてもよい。
【0042】
このような構成により、製造コストを低減しつつ、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を向上させることができる。
【0043】
本発明の一態様の撮像装置は、
前記態様の振動装置と、
前記振動装置内に配置される撮像素子と、
を備える。
【0044】
このような構成により、圧電素子と給電導体との接続の信頼性を向上させることができる。
【0045】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致していない。
【0046】
(実施の形態1)
[全体構成]
図1は、本発明に係る実施の形態1の振動装置1Aの一例の構成を示す概略図である。図2は、本発明に係る実施の形態1の振動装置1Aの一例を示す分解斜視図である。図3は、本発明に係る実施の形態1の振動装置1Aの一例の部分拡大図である。図4は、本発明に係る実施の形態1における給電導体6の一例を下から見た概略図である。なお、図中のX,Y,Z方向は、それぞれ、振動装置1Aの縦方向、横方向、高さ方向を示す。
【0047】
図1図4に示すように、振動装置1Aは、透光体カバー2、圧電素子3、複数の振動体4,5、及び給電導体6を備える。振動装置1Aにおいては、給電導体6に複数の弾性部7が設けられている。実施の形態1では、複数の振動体4,5は、第1振動体4及び第2振動体5を含む。給電導体6には、2つの弾性部7が設けられている。なお、振動装置1Aは、給電導体6に電力を供給する給電回路、及び給電回路を制御する制御部を備えていてもよい。
【0048】
振動装置1Aは、透光体カバー2を振動させることによって、透光体カバー2に付着した液滴などを霧化して除去する。また、振動装置1Aは、透光体カバー2を振動させることによって、透光体カバー2に付着した異物等を移動させる。例えば、振動装置1Aは、内部空間に配置された撮像素子の視野内から透光体カバー2に付着した液滴及び/又は異物を除去する。なお、異物とは、例えば、砂、石及び/又は埃などを含む。
【0049】
内部空間は、透光体カバー2、圧電素子3、複数の振動体4,5、及び給電導体6により形成されている。この内部空間には、撮像素子などの光学検出素子が配置される。なお、本明細書において、内部空間は密閉された空間には限られない。一部が外部に開いた空間も内部空間とする。
【0050】
以下において、振動装置1Aの構成の詳細について説明する。
【0051】
<透光体カバー>
透光体カバー2は、振動装置1Aの外装を形成している。透光体カバー2は、撮像素子などの光学検出素子が検出する波長のエネルギー線又は光が透過する透光性を有する。
【0052】
透光体カバー2を形成する材料としては、例えば、透光性のプラスチック、石英、ホウ桂酸などのガラス、又は透光性のセラミックなどを用いることができる。
【0053】
透光体カバー2は、ドーム状の形状を有する。透光体カバー2の平面視における形状は円形である。透光体カバー2は、第1振動体4に接続される。具体的には、透光体カバー2は底面2aを有する。底面2aは、第1振動体4の上面に接続される。なお、透光体カバー2の形状は、これに限定されない。例えば、透光体カバー2は、平板状であってもよい。透光体カバー2の平面視における形状は、例えば、多角形、楕円形、三角形などであってもよい。本明細書において、平面視とはZ方向から見る方向をいう。
【0054】
<圧電素子>
圧電素子3は、透光体カバー2を振動させる。圧電素子3は、複数の振動体4,5に接続されている。また、圧電素子3は、給電導体6に接続されている。例えば、圧電素子3は、複数の弾性部7を介して給電導体6に接続されている。圧電素子3は、給電導体6から給電されることによって振動する。
【0055】
圧電素子3は、第1面PS1と、第1面PS1と反対側の第2面PS2と、を有する。具体的には、圧電素子3は板状に形成されており、第1面PS1と第2面PS2とはZ方向において対向している。圧電素子3の第1面PS1側には、第1振動体4が配置されている。圧電素子3の第2面PS2側には、第2振動体5が配置されている。
【0056】
圧電素子3は、圧電体3aと、第1面PS1側に設けられる電極3bと、を有する。
【0057】
圧電体3aを形成する材料としては、例えば、PZT、(K,Na)NbOなどの適宜の圧電セラミックス、又はLiTaO、LiNbOなどの適宜の圧電単結晶などを用いることができる。圧電体3aは、例えば、円環状に形成されている。なお、圧電体3aの形状は、これに限定されない。
【0058】
電極3bは、例えば、円環状に形成されている。電極3bは、圧電素子3の第1面PS1において外周側に設けられている。電極3bは、例えば、Ni電極であってもよい。あるいは、電極3bは、スパッタリング法により形成される、Ag又はAuなどの金属薄膜からなる電極であってもよい。電極3bは、給電導体6に接続されている。電極はスパッタリングの他、めっき、蒸着でも形成可能である。
【0059】
<複数の振動体>
複数の振動体4,5は、圧電素子3に接続され、圧電素子3の振動を増幅する。第1振動体4は、透光体カバー2と圧電素子3との間に配置されている。第2振動体5は、圧電素子3の第2面PS2側に配置されている。
【0060】
第1振動体4は、透光体カバー2の底面2aと圧電素子3の第1面PS1とに接続されている。具体的には、第1振動体4は、接続領域9aを介して圧電素子3の第1面PS1に接続されている。例えば、第1振動体4は、接続領域9aに塗布された接着剤によって接着されている。
【0061】
第1振動体4は、円筒状に形成されている。第1振動体4は、Z方向に延びる円筒形状を有する。具体的には、第1振動体4は、筒状体4aと、筒状体4aの上面側において、筒状体4aの中心側に向かって突設する天板4bと、筒状体4aの下面側で外周側に向かって突設するフランジ部4cと、を有する。
【0062】
天板4bは、円環状の板材で形成されている。また、天板4bの下面には、給電導体6が配置される溝8が設けられている。溝8は、円環状に窪んで形成されている。具体的には、溝8は、天板4bの厚み方向(Z方向)に窪んで形成されている。溝8の深さは、給電導体6の厚みより大きい。
【0063】
溝8は、圧電素子3の第1面PS1の一部を露出させている。溝8は、圧電素子3の第1面PS1側に設けられた電極3bを第1振動体4から露出させている。
【0064】
第2振動体5は、圧電素子3の第2面PS2に接続されている。具体的には、第2振動体5は、接続領域9bを介して圧電素子3の第2面PS2に接続されている。例えば、第2振動体5は、接続領域9bに塗布された接着剤によって接着されている。
【0065】
第2振動体5は、円筒状に形成されている。具体的には、第2振動体5の外径は、第1振動体4の筒状体4aの内径より小さい。第2振動体5は、第1振動体4の内側に配置される。
【0066】
第1振動体4及び第2振動体5を形成する材料は、例えば、金属、又はガラス、セラミックである。
【0067】
実施の形態1では、第1振動体4及び第2振動体5は金属で形成されている。また、第1振動体4及び第2振動体5は、絶縁材料で覆われている。
【0068】
<給電導体>
給電導体6は、圧電素子3に接触し、圧電素子3に給電する。給電導体6は、圧電素子3の第1面PS1側に接触する。
【0069】
給電導体6は、環状部6aと、複数のガイド6bと、を有する。
【0070】
環状部6aは、円環状に形成されている。また、環状部6aは、板状の部材で形成されている。環状部6aは、第1振動体4の溝8に配置される。
【0071】
複数のガイド6bは、環状部6aから延びる板状の部材である。複数のガイド6bは、第1振動体4の筒状体4aの内周に沿ってZ方向に延び、且つ第1振動体4の外周側に向かって延びている。言い換えると、複数のガイド6bは、第1振動体4の筒状体4aの内周に沿って延び、且つ筒状体4aの下面においてフランジ部4c側に向かって屈曲している。
【0072】
実施の形態1では、2つのガイド6bが環状部6aに設けられている。2つのガイド6bは、環状部6aにおいてX方向に対向して設けられている。
【0073】
給電導体6は、導電性を有する材料で形成されている。給電導体6を形成する材料は、例えば、ステンレス鋼、ベリリウム銅、洋白、銅などの金属である。あるいは、絶縁材料表面に金属メッキ等導電性を施した構成でもよい。
【0074】
給電導体6は、例えば、給電回路に接続されている。給電回路は、給電導体に電力を供給する。給電回路は、例えば、半導体素子によって構成される。給電回路は、例えば、制御部によって制御される。制御部は、例えば、プログラムを記憶したメモリと、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサに対応する処理回路を備える。例えば、制御部においては、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行する。
【0075】
<複数の弾性部>
複数の弾性部7は、給電導体6を圧電素子3に対して押圧する。具体的には、複数の弾性部7は、給電導体6を圧電素子3の第1面PS1に設けられた電極3bに対して押圧する。
【0076】
「給電導体6を圧電素子3に対して押圧する」は、給電導体6の一部を弾性部7として形成し、弾性部7を圧電素子3に接触させることを含む。また、「給電導体6を圧電素子3に対して押圧する」は、給電導体6とは別体で弾性部7を形成し、弾性部7によって給電導体6を圧電素子3に押圧して接触させること、を含む。
【0077】
実施の形態1では、複数の弾性部7は、給電導体6の一部で形成されている。複数の弾性部7が、圧電素子3の電極3bに対して力を加えながら接触することによって、給電導体6と圧電素子3の電極3bとを電気的に接続している。
【0078】
図3に戻って、弾性部7は、給電導体6を折り曲げて形成される部分であり、給電導体6を湾曲した板バネ形状を有する。具体的には、弾性部7は、給電導体6の環状部6aから中心側に向かって突出する板状部材をU字状に湾曲させることによって形成されている。
【0079】
弾性部7は、例えば、0.2mmの厚みの板状部材で形成されている。弾性部7は、給電導体6と同じ材料で形成されている。弾性部7を形成する材料は、例えば、ステンレス鋼、ベリリウム銅、洋白、銅などの金属である。あるいは、接続箇所のみ金属を露出させる構成でもよい。
【0080】
具体的には、弾性部7は、第1板状部7aと、第1板状部7aと間隔を有して対向する第2板状部7bと、第1板状部7aと第2板状部7bとを接続する湾曲部7cと、を備える。
【0081】
第1板状部7aは、Y方向に延びている。第2板状部7bは、第1板状部7aに対してZ方向に間隔を有して対抗し、Y方向に延びている。また、第2板状部7bは、圧電素子3の電極3bに接触している。湾曲部7cは、板状部材を湾曲して形成される。例えば、湾曲部7cは、板状部材をY方向においてU字状に湾曲して形成される。湾曲部7cの一端は、第1板状部7aに接続される。湾曲部7cの他端は、第2板状部7bに接続される。
【0082】
第1板状部7aは、第1振動体4の溝8の凹面で支持されている。第2板状部7bは、圧電素子3の電極3bに接触する。湾曲部7cは、第2板状部7bを圧電素子3の電極3bに対して押圧する。例えば、湾曲部7cは、振動装置1Aの高さ方向(Z方向)において、第2板状部7bを第1板状部7aから離れる方向に力を加えている。これにより、湾曲部7cは、第1板状部7aと第2板状部7bとの間隔を広げる方向に力を加えることができる。その結果、第2板状部7bが圧電素子3の電極3bに押圧される。
【0083】
このように、弾性部7は、給電導体6の一部で形成されており、給電導体6を圧電素子3の電極3bに押圧している。これにより、圧電素子3が振動した場合でも、給電導体6と圧電素子3の電極3bとの電気的な接続が破断されることを抑制することができる。
【0084】
実施の形態1では、2つの弾性部7が、環状部6aにおいてY方向に対向して設けられている。また、2つの弾性部7は、2つのガイド6bの間に設けられている。
【0085】
なお、弾性部7の形状、数及び配置位置は、これに限定されない。弾性部7は、後述する様々な形状、数及び配置を採用することができる。また、弾性部7は、給電導体6の一部で形成される例について説明したが、これに限定されない。弾性部7は、給電導体6と別体で形成されていてもよい。
【0086】
次に、圧電素子3の第1面PS1における第1振動体4の接続領域9aと、給電導体6の接触領域との関係について説明する。なお、第1振動体4の接続領域9aとは、接着剤によって第1振動体4と圧電素子3とが接着されている領域である。給電導体6の接触領域とは、圧電素子3の電極3bが形成されている領域である。なお、接続領域9aは、電極が形成されていてもよいし、電極が形成されていなくてもよい。
【0087】
図5は、圧電素子3の第1面PS1における第1振動体4の接続領域9aの割合と最大変位量比との関係の一例を示す図である。なお、圧電素子3の第1面PS1における第1振動体4の接続領域9aの割合とは、圧電素子3の第1面PS1の面積に対する接続領域9aの面積の占める割合を意味する。例えば、第1振動体4の接続領域の割合が80%である場合、給電導体6の接触領域は20%である。最大変位量比とは、変位量100%を基準として算出される最大変位量の割合を意味する。最大変位量比が大きいほど、振動が大きいことを意味している。
【0088】
図5に示すように、圧電素子3の第1面PS1において、給電導体6と圧電素子3との接触領域は、第1振動体4と圧電素子3との接続領域9aよりも小さい。言い換えると、圧電素子3の第1面PS1において、電極3bの形成されている領域は、第1振動体4と圧電素子3との接続領域9aよりも小さい。
【0089】
具体的には、圧電素子3の第1面PS1において、第1振動体4の接続領域9aの占める割合が70%以上であることが好ましい。これにより、最大変位量比を0.8以上で維持することができる。あるいは、第1振動体4の接続領域9aの占める割合が75%以上であることが好ましい。これにより、最大変位量比を1以上で維持することができる。また、圧電素子3の第1面PS1には、電極3bが形成される領域を確保するために、第1振動体4の接続領域9aの占める割合が95%以下であることが好ましい。
【0090】
このように、圧電素子3の第1面PS1においては、好ましくは、第1振動体4の接続領域9aの占める割合は70%以上である。より好ましくは、第1振動体4の接続領域9aの占める割合は75%である。圧電素子3の第1面PS1においては、好ましくは、給電導体6の接触領域の占める割合は30%以下である。より好ましくは、給電導体6の接触領域の占める割合は25%以下である。
【0091】
[動作]
次に、振動装置1Aの動作の一例について説明する。
【0092】
振動装置1Aにおいて、制御部は、給電回路を制御することによって、給電導体6に電力を供給する。これにより、給電回路は、給電導体6を介して圧電素子3に給電する。
【0093】
圧電素子3は、給電回路による給電によって振動する。圧電素子3の振動は、第1振動体4及び第2振動体5によって増幅される。振動装置1Aは、圧電素子3の振動により、透光体カバー2を振動させ、透光体カバー2に付着した液滴及び/又は異物を除去する。
【0094】
振動装置1Aにおいて、給電導体6は、複数の弾性部7によって圧電素子3の電極3bに押圧されている。これにより、給電導体6と圧電素子3の電極3bとの接続が破断されることを抑制している。
【0095】
[効果]
実施の形態1に係る振動装置1Aによれば、以下の効果を奏することができる。
【0096】
振動装置1Aは、透光体カバー2、圧電素子3、複数の振動体4,5、給電導体6、及び複数の弾性部7を備える。圧電素子3は、透光体カバー2を振動させる。複数の振動体4,5は、圧電素子3と接続される。給電導体6は、圧電素子3に接触し、圧電素子3に給電する。複数の弾性部7は、給電導体6を圧電素子3に対して押圧する。このような構成により、圧電素子3と給電導体6との接続の信頼性を向上させることができる。
【0097】
複数の弾性部7は、給電導体6を折り曲げて形成される部分であり、給電導体6を湾曲した板バネ形状を有する。このような構成により、給電導体6を圧電素子3に容易に押圧することができ、圧電素子3と給電導体6との接続の信頼性を向上させることができる。また、複数の弾性部7を給電導体6の一部で構成することができ、別体で弾性体を設ける場合と比べて、製造コストを低減することができる。
【0098】
給電導体6と圧電素子3との接触領域は、第1振動体4と圧電素子3との接続領域9aよりも小さい。このような構成により、複数の弾性部7による振動の減衰を抑制しつつ、圧電素子3と給電導体6との接続の信頼性を向上させることができる。
【0099】
圧電素子3は、第1面PS1と、第1面PS1と反対側の第2面PS2と、を有する。第1振動体4は、透光体カバー2と圧電素子3の第1面PS1とに接続される。給電導体6は、圧電素子3の第1面PS1に接触する。複数の弾性部7は、給電導体6を圧電素子3の第1面PS1に押圧する。圧電素子3の第1面PS1において、第1振動体4の接続領域9aの占める割合は70%以上であり、給電導体6の接触領域の占める割合は30%以下である。このような構成により、複数の弾性部7による振動の減衰を更に抑制しつつ、圧電素子3と給電導体6との接続の信頼性を向上させることができる。
【0100】
圧電素子3は電極3bを有する。第1振動体4には、電極3bを露出させる溝8が設けられている。複数の弾性部7は、溝8に配置される。このような構成により、複数の弾性部7によって給電導体6を容易に押圧することができる。溝8内で、複数の弾性部7によって給電導体6を電極3bに押圧しながら接触させることによって、給電導体6と圧電素子3との剥離を抑制しやすくなる。これにより、圧電素子3と給電導体6との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0101】
複数の振動体4,5は、金属で形成されている。複数の振動体4,5は、絶縁材料で覆われている。このような構成により、複数の振動体4,5を安価に製造できると共に、電気的な安全性を保つことができる。
【0102】
なお、実施の形態1では、振動装置1Aが1つの円環状の圧電素子3を備える例について説明したが、これに限定されない。例えば、振動装置1Aは、矩形状、円形状、多角形状又は楕円形状の複数の圧電素子を有していてもよい。この場合、複数の圧電素子は、例えば、円環状に並べられて配置されてもよい。あるいは、複数の圧電素子は、透光体カバー2の形状に応じて配置されてもよい。
【0103】
実施の形態1では、振動装置1Aが複数の振動体4,5を備える例について説明したが、これに限定されない。振動装置1Aは、1つ又は複数の振動体を備えていればよい。例えば、振動装置1Aは、透光体カバー2と圧電素子3とに接続される1つの振動体を有していてもよい。
【0104】
実施の形態1では、振動装置1Aが1つの給電導体6を備える例について説明したが、これに限定されない。振動装置1Aは、1つ又は複数の給電導体を備えていればよい。
【0105】
実施の形態1では、振動装置1Aが複数の弾性部7を備える例について説明したが、これに限定されない。振動装置1Aは1つ又は複数の弾性部7を備えていればよい。
【0106】
実施の形態1では、電極3bが圧電素子3の第1面PS1上の外周側に設けられる例について説明したが、これに限定されない。電極3bは、圧電素子3と給電導体6とが接触する位置に設けられていればよい。例えば、電極3bは、圧電素子3の第1面PS1上の内周側に設けられていてもよい。あるいは、電極3bは、圧電素子3の第2面PS2上に設けられていてもよい。
【0107】
実施の形態1では、電極3bが円環状に形成されている例について説明したが、これに限定されない。電極3bは、給電導体6と接触する部分に設けられていればよい。例えば、矩形状を有する複数の電極3bが圧電素子3の第1面PS1に設けられていてもよい。
【0108】
実施の形態1では、給電導体6が圧電素子3の第1面PS1側に接触する例について説明したが、これに限定されない。例えば、給電導体6は、圧電素子3の第2面PS2側に接触していてもよい。この場合、圧電素子3の第2面PS2側に電極3bが形成されていてもよい。
【0109】
実施の形態1では、第1振動体4に設けられる溝8が円環状に設けられている例について説明したが、これに限定されない。第1振動体4には、複数の弾性部7が配置される空間を有する1つ又は複数の溝8が形成されていればよい。また、1つ又は複数の溝8は、電極3bを第1振動体4から露出させていればよい。
【0110】
実施の形態1では、複数の弾性部7が給電導体6の環状部6a上でY方向に対向して配置される例について説明したが、これに限定されない。複数の弾性部7は、給電導体6の環状部6a上でランダムに配置されていてもよい。
【0111】
実施の形態1では、弾性部7が給電導体6を折り曲げて形成される部分であり、給電導体6をU字状に湾曲した板バネ形状を有する例について説明したが、これに限定されない。弾性部7は、給電導体6を圧電素子3に押圧させて接触させる形状を有していればよい。例えば、弾性部7は給電導体6をコイル状に折り曲げて形成してもよい。弾性部7は、V字状、W字状などの形状を有していてもよい。
【0112】
図6A図6Dは、本発明に係る実施の形態1の変形例の振動装置の構成を示す部分拡大図である。
【0113】
図6Aに示す振動装置1AAにおいて、弾性部7Aは、給電導体6を折り曲げて形成される部分であり、給電導体6を湾曲した板バネ形状を有する。弾性部7Aは、第3板状部7d、第3板状部7dと間隔を有して配置される第4板状部7eと、第3板状部7dと第4板状部7eとを接続する湾曲部7fと、を備える。
【0114】
第3板状部7dは、Y方向に延びている。第4板状部7eは、第3板状部7dと同じ高さでY方向に延びている。第3板状部7dと第4板状部7eとは、間隔を有して配置されている。湾曲部7fは、板状部材をZ方向においてU字状に湾曲して形成される。湾曲部7fの一端は、第3板状部7dの端部に接続される。湾曲部7fの他端は、第4板状部7eの端部に接続される。湾曲部7fは、圧電素子3の電極3bに接触している。
【0115】
湾曲部7fは、第3板状部7dと第4板状部7eとの間隔を狭める方向に力を加えながら、圧電素子3の電極3bに接触している。これにより、給電導体6と圧電素子3の電極3bとを電気的に接続している。
【0116】
図6Bに示す振動装置1ABにおいて、弾性部7Bは、給電導体6の一部で形成されており、環状部6aの内周からY方向に延びる板状部材で形成されている。振動装置1ABは、弾性部7Bから圧電素子3側に突出する凸部6cを有している。凸部6cは、導電性を有する弾性材料で形成されている。凸部6cは、例えば、金属体を蒸着、スパッタ、メッキ等を行うことによって形成することができる。凸部6cは、例えば、半球形状を有する。凸部6cは、溝8内において、弾性部7Bと圧電素子3の電極3bとの間に配置されている。これにより、給電導体6と圧電素子3とを電気的に接続している。なお、凸部6cと圧電素子3の電極3bとの間には、導電シートが配置されてもよい。
【0117】
図6Cに示す振動装置1ACにおいて、弾性部7Cは、給電導体6の一部で形成されており、環状部6aの内周からY方向に延びる板状部材で形成されている。振動装置1ACは、第1振動体4に設けられた溝8を画定する壁面から突出する凸部4dを有する。凸部4dは、例えば、半球形状を有する。凸部4dは、溝8の凹面と弾性部7Cとの間に配置されている。これにより、弾性部7Cを圧電素子3の電極3bに押圧し、給電導体6と圧電素子3とを電気的に接続している。
【0118】
図6Dに示す振動装置1ADにおいて、弾性部7Dは、給電導体6の一部で形成されており、環状部6aの内周からY方向に延びる板状部材で形成されている。振動装置1ADは、圧電素子3に設けられた凸部3dを有する。凸部3dは、圧電素子3の電極3bに設けられている。凸部3dは、例えば、半球形状を有する。凸部4dは、弾性部7Dと圧電素子3との間に配置されている。これにより、給電導体6と圧電素子3とを電気的に接続している。
【0119】
なお、弾性部7は、給電導体6の一部で形成される例について説明したが、これに限定されない。弾性部7は、給電導体6を圧電素子3に押圧して接触させることができればよい。弾性部7は、給電導体6と別体で構成されていてもよい。例えば、弾性部7は、溝8内において、給電導体6と圧電素子3の電極3bとの間に配置される導電性の弾性部材であってもよい。
【0120】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る振動装置について説明する。なお、実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0121】
図7は、本発明に係る実施の形態2の振動装置1Bの一例を示す分解斜視図である。図8Aは、本発明に係る実施の形態2の振動装置1Bの一例の第1弾性部7における部分拡大断面図である。図8Bは、本発明に係る実施の形態2の振動装置1Bの一例の第2弾性部11における部分拡大断面図である。図9は、本発明に係る実施の形態2における第2給電導体10の一例を上から見た概略図である。
【0122】
実施の形態2においては、実施の形態1の圧電素子3の電極3b、給電導体6、弾性部7及び溝8を、それぞれ、第1電極3b、第1給電導体6、第1弾性部7及び第1溝8と称する。
【0123】
実施の形態2では、第2給電導体10及び複数の第2弾性部11を備えている点、圧電素子3の第2面PS2側に第2電極3cが設けられている点、第2振動体5に第2溝12が設けられている点で、実施の形態1と異なる。
【0124】
図7図9に示すように、振動装置1Bは、実施の形態1の振動装置1Aの構成に加えて、第2給電導体10及び複数の第2弾性部11を備える。実施の形態2では、2つの第2弾性部11が第2給電導体10に設けられている。2つの第1弾性部7がY方向に対向して配置されているのに対し、2つの第2弾性部11はX方向に対向して配置されている。
【0125】
図8Aに示す振動装置1Bの構成と、実施の形態1の図3に示す振動装置1Aの構成とは、圧電素子3の第2面PS2側に第2電極3cが設けられている点と、第2振動体5に第2電極3cを露出させる第2溝12が設けられている点と、を除いて同様である。
【0126】
第2電極3cは、第2給電導体10と接触する。第2電極3cは、圧電素子3の第2面PS2上で圧電素子3の内周側に設けられている。第2電極3cは、圧電素子3の第2面PS2において、円環状に形成されている。圧電素子3の第2面PS2において、第2電極3cが形成されている領域は、第2振動体5の接続領域9bより小さい。言い換えると、圧電素子3の第2面PS2において、第2給電導体10と圧電素子3との接触領域は、第2振動体5と圧電素子3との接続領域9bよりも小さい。
【0127】
第2溝12は、圧電素子3の第2電極3cを第2振動体5から露出させる。第2溝12は、第2振動体5の内周側から外周側に向かって窪んで形成されている。第2溝12は、例えば、円環状に窪んで形成されている。
【0128】
第2給電導体10及び複数の第2弾性部11について詳細に説明する。
【0129】
<第2給電導体>
第2給電導体10は、圧電素子3に接触し、圧電素子3に給電する。第2給電導体10は、第1給電導体6よりも圧電素子3の内周側で圧電素子3に接触する。また、第2給電導体10は、圧電素子3の第2面PS2側に接触する。
【0130】
第2給電導体10は、環状部10aと、複数の突出部10bと、を有する。
【0131】
環状部10aは、円環状に形成されている。また、環状部10aは、板状の部材で形成されている。環状部10aは、第2振動体5に取り付けられる。
【0132】
複数の突出部10bは、環状部10aから延びる板状の部材である。複数の突出部10bは、第2振動体5の内周に沿ってZ方向に延びている。また、複数の突出部10bの端部のそれぞれには、第2弾性部11が設けられている。
【0133】
実施の形態2では、2つの突出部10bが環状部10aに設けられている。2つの突出部10bは、環状部10aにおいてX方向に対向して設けられている。
【0134】
第2給電導体10は、導電性を有する材料で形成されている。第2給電導体10を形成する材料は、例えば、ステンレス鋼、ベリリウム銅、洋白、銅などの金属である。
【0135】
第2給電導体10は、例えば、給電回路に接続されている。
【0136】
<複数の第2弾性部>
図8Bに戻って、複数の第2弾性部11は、第2給電導体10を圧電素子3に対して押圧する。複数の第2弾性部11は、第2給電導体10を圧電素子3の第2面PS2に設けられた第2電極3cに対して第2給電導体10を押圧する。具体的には、複数の第2弾性部11は、第2振動体5に設けられた第2溝12内に配置される。複数の第2弾性部11は、第2溝12内において、第2給電導体10を圧電素子3の第2電極3cに向かって押圧する。
【0137】
第2弾性部11は、第1弾性部7と同様の構成を有する。具体的には、第2弾性部11は、第2給電導体10を折り曲げて形成される部分であり、第2給電導体10を湾曲した板バネ形状を有する。具体的には、第2弾性部11は、第2給電導体10の突出部10bの端部から環状部10aの外周側に向かって突出させた板状部材をU字状に湾曲させることによって形成されている。
【0138】
第2弾性部11は、例えば、0.2mmの厚さの板状部材で形成されている。第2弾性部11は、第2給電導体10と同じ材料で形成されている。第2弾性部11を形成する材料は、例えば、ステンレス鋼、ベリリウム銅、洋白、銅などの金属である。
【0139】
このように、第2弾性部11は、第2給電導体10の一部で形成されており、第2給電導体10を圧電素子3の第2電極3cに押圧している。これにより、圧電素子3が振動した場合でも、第2給電導体10と圧電素子3の第2電極3cとの電気的な接続が破断されることを抑制することができる。
【0140】
図9に戻って、実施の形態2では、2つの第2弾性部11が、環状部10aにおいてX方向に対向して設けられている。
【0141】
また、振動装置1Bの平面視において、複数の第2弾性部11は、複数の第1弾性部7の間に配置されている。言い換えると、振動装置1Bの平面視において、複数の第2弾性部11は、複数の第1弾性部7と重なっていない。複数の第2弾性部11と複数の第1弾性部7とは交互に配置されている。
【0142】
[効果]
実施の形態2に係る振動装置1Bによれば、以下の効果を奏することができる。
【0143】
振動装置1Bは、透光体カバー2、圧電素子3、複数の振動体4,5、複数の給電導体6,10、及び複数の弾性部7,11を備える。圧電素子3は、第1面PS1と、第1面PS1と反対側の第2面PS2と、を有する。複数の給電導体6,10は、第1面PS1と接触する第1給電導体6と、第2面PS2と接触する第2給電導体10と、を有する。複数の弾性部7,11は、第1給電導体6を第1面PS1に押圧する複数の第1弾性部7と、第2給電導体10を第2面PS2に押圧する複数の第2弾性部11と、を有する。このような構成により、圧電素子3と複数の給電導体6,10との接続の信頼性を向上させることができる。
【0144】
圧電素子3は、環状に形成される。複数の振動体4,5は、透光体カバー2の底面2aと圧電素子3との第1面PS1に接続される第1振動体4と、圧電素子3の第2面PS2に接続される第2振動体5と、を有する。第2給電導体10は、第1給電導体6よりも圧電素子3の内周側で圧電素子3に接触する。このような構成により、複数の第1弾性部7によって圧電素子3の外周側で第1給電導体6を圧電素子3の第1面PS1に押圧することができる。また、複数の第2弾性部11によって圧電素子3の内周側で第2給電導体10を圧電素子3の第2面PS2に押圧することができる。これにより、圧電素子3と複数の給電導体6,10との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0145】
圧電素子3の第1面PS1において、第1給電導体6と圧電素子3との接触領域は、第1振動体4と圧電素子3との接続領域9aよりも小さい。圧電素子3の第2面PS2において、第2給電導体10と圧電素子3との接触領域は、第2振動体5と圧電素子3との接続領域9bよりも小さい。このような構成により、複数の弾性部7,11による振動の減衰を抑制しつつ、圧電素子3と複数の給電導体6,10との接続の信頼性を向上させることができる。
【0146】
圧電素子3は、第1面PS1に設けられる第1電極3bと、第2面PS2に設けられる第2電極3cと、を有する。第1振動体4には、第1電極3bを露出させる第1溝8が設けられている。第2振動体5には、第2電極3cを露出させる第2溝12が設けられている。複数の第1弾性部7は、第1溝8に配置される。複数の第2弾性部11は、第2溝12に配置される。このような構成により、圧電素子3と複数の給電導体6,10との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0147】
なお、実施の形態2では、振動装置1Bが複数の第2弾性部11を備える例について説明したが、これに限定されない。振動装置1Bは1つ又は複数の第2弾性部11を備えていればよい。
【0148】
実施の形態2では、第2電極3cが圧電素子3の第2面PS2上の内周側に設けられる例について説明したが、これに限定されない。第2電極3cは、圧電素子3と給電導体6とが接触する位置に設けられていればよい。例えば、第2電極3cは、圧電素子3の第1面PS1上の外周側に設けられていてもよい。あるいは、第2電極3cは、圧電素子3の第1面PS1上に設けられていてもよい。
【0149】
実施の形態2では、第2電極3cが円環状に形成されている例について説明したが、これに限定されない。第2電極3cは、第2給電導体10と接触する部分に設けられていればよい。例えば、矩形状を有する複数の第2電極3cが圧電素子3の第2面PS2に設けられていてもよい。
【0150】
実施の形態2では、第2給電導体10が圧電素子3の第2面PS2側に接触する例について説明したが、これに限定されない。例えば、第2給電導体10は、圧電素子3の第1面PS1側に接触してもよい。この場合、第1給電導体6が圧電素子3の第2面PS2側に接触していてもよい。
【0151】
実施の形態2では、第2振動体5に設けられる第2溝12が円環状に設けられている例について説明したが、これに限定されない。第2振動体5には、第2給電導体10と複数の第2弾性部11とが配置される空間を有する1つ又は複数の第2溝12が形成されていればよい。また、1つ又は複数の第2溝12は、第2電極3cを第2振動体5から露出させていればよい。
【0152】
実施の形態2では、複数の第2弾性部11が第2給電導体10の環状部10a上でX方向に対向して配置される例について説明したが、これに限定されない。複数の第2弾性部11は、第2給電導体10の環状部10a上でランダムに配置されてもよい。
【0153】
実施の形態2では、複数の第2弾性部11が複数の第1弾性部7の間に交互に配置される例について説明したが、これに限定されない。複数の第2弾性部11は、複数の第1弾性部7と対向して配置されてもよい。
【0154】
実施の形態2では、第2弾性部11が第2給電導体10の一部を折り曲げて形成される部分であり、第2給電導体10の一部をU字状に湾曲した板バネ形状を有する例について説明したが、これに限定されない。第2弾性部11は、第2給電導体10を圧電素子3に押圧させて接触させる形状を有していればよい。第2弾性部11は、第1弾性部7と同様に様々な形状を有していてもよい。例えば、第2弾性部11は第2給電導体10をコイル状に折り曲げて形成してもよい。第2弾性部11は、V字状、W字状などの形状を有していてもよい。あるいは、第2弾性部11は、第2給電導体10と別体で構成されていてもよい。
【0155】
図10A図10Cは、本発明に係る実施の形態2の変形例の振動装置の構成を示す部分拡大図である。なお、図10A図10Cにおいては、説明を容易にするために、第1弾性部7,7Aと第2弾性部11とが同じ断面に示されている。しかしながら、第1弾性部7,7Aと第2弾性部11との配置位置はこれらに限定されない。第1弾性部7,7Aと第2弾性部11とは、同じ断面になくてもよい。
【0156】
図10Aに示す振動装置1BAにおいて、第1給電導体6は、圧電素子3の厚み方向(Z方向)と交差する方向(X,Y方向)に延びる第1支持部13を有し、第1弾性部7と第1支持部13との間に圧電素子3を保持する。振動装置1BAにおいて、第1弾性部7は、第1給電導体6の途中に設けられている。第1支持部13は、第1給電導体6を屈曲させて形成された部分であり、第1給電導体6の端部に設けられている。
【0157】
第1支持部13は、第1溝8に配置される第1弾性部7から第2振動体5の外周部をZ方向に延び、且つ圧電素子3の厚み方向(Z方向)と交差する方向(X,Y方向)に屈曲している。これにより、第1支持部13が第2振動体5に係合し、圧電素子3及び第2振動体5を、第1弾性部7と第1支持部13との間に保持する。第1支持部13は、例えば、板状の部材で形成されている。
【0158】
第2給電導体10は、圧電素子3の厚み方向(Z方向)と交差する方向(X,Y方向)に延びる第2支持部14を有し、第2弾性部11と第2支持部14との間に圧電素子3を保持する。振動装置1BAにおいて、第2弾性部11は、第2給電導体10の途中に設けられている。第2支持部14は、第2給電導体10を屈曲させて形成された部分であり、第2給電導体10の端部に設けられている。
【0159】
第2支持部14は、第2溝12に配置される第2弾性部11から第1振動体4の外周部をZ方向に延び、且つ圧電素子3の厚み方向(Z方向)と交差する方向(X,Y方向)に屈曲している。これにより、第1支持部13が第1振動体4に設けられた第3溝15に係合し、圧電素子3及び第1振動体4を、第2弾性部11と第2支持部14との間に保持する。第3溝15は、圧電素子3と接触する面よりも上方であって、第1振動体4の内周側から外周側に向かって窪んで形成されている。第2支持部14は、例えば、板状の部材で形成されている。
【0160】
図10Bに示す振動装置1BBにおいて、第1弾性部7Aは、第1給電導体6の端部に設けられている。第1支持部13は、第1給電導体6の途中に設けられている。また、振動装置1BBにおいて、第2振動体5の外周側のコーナーに段差16が設けられている。段差16には、第1支持部13が配置される。これにより、第1支持部13が第2振動体5の段差16に係合し、圧電素子3及び第2振動体5を、第1弾性部7Aと第1支持部13との間に保持する。
【0161】
図10Cに示す振動装置1BCにおいて、第2給電導体10は、圧電素子3の厚み方向(Z方向)と交差する方向(X,Y方向)に延びる第3支持部17を有し、第2弾性部11と第3支持部17との間に圧電素子3を保持する。振動装置1BCにおいて、第2弾性部11は、第2給電導体10の端部に設けられている。第3支持部17は、第2給電導体10を屈曲させて形成された部分であり、第2給電導体10の途中に設けられている。また、振動装置1BCは、第2振動体5を備えておらず、圧電素子3の第2面PS2の全面には、第2電極3cが設けられている。
【0162】
第2弾性部11は、第1振動体4に設けられた第4溝18に配置されている。第4溝18は、圧電素子3の第1面PS1よりも上方であって、第1振動体4の内周側から外周側に向かって窪んで形成されている。第2弾性部11は、圧電素子3に接触していない。
【0163】
第3支持部17は、第4溝18に配置される第2弾性部11から第1振動体4の外周部及び圧電素子3の側方をZ方向に延び、且つ圧電素子3の厚み方向(Z方向)と交差する方向(X,Y方向)に屈曲している。これにより、第3支持部17が圧電素子3の第2面PS2に係合し、圧電素子3及び第1振動体4を、第2弾性部11と第3支持部17との間に保持する。第3支持部17は、例えば、板状の部材で形成されている。
【0164】
振動装置1BCでは、第2弾性部11によって第3支持部17を圧電素子3の第2面PS2に押圧している。これにより、圧電素子3を第2弾性部11と第3支持部17との間に保持している。
【0165】
また、第2給電導体10は、第3支持部17と圧電素子3の第2電極3cを電気的に接触させることによって、圧電素子3に給電している。
【0166】
上記のような変形例の構成により、複数の給電導体6,10と圧電素子3との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0167】
なお、図10A図10Cに示す変形例は例示であって、振動装置1BA-1BCはこれらの形態に限定されない。例えば、振動装置1BA-1BCにおいて、1つ又は複数の第1支持部13、1つ又は複数の第2支持部14、1つ又は複数の第3溝15、1つ又は複数の第3支持部17、及び/又は1つ又は複数の第4溝18を有していてもよい。あるいは、振動装置1BA-1BCは、第1支持部13、第2支持部14及び第3支持部17のうち少なくともいずれか1つを有していればよい。
【0168】
図10A図10Cに示す変形例では、説明を容易にするために、第1支持部13、第2支持部14及び第3支持部17という名称を用いたが、これらに限定されない。支持部の数に応じて、名称を変更する場合がある。例えば、第3支持部17を第2支持部と称する場合もあるし、第2支持部14を第3支持部と称する場合もある。
【0169】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る振動装置について説明する。なお、実施の形態3では、主に実施の形態2と異なる点について説明する。実施の形態3においては、実施の形態2と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態3では、実施の形態2と重複する記載は省略する。
【0170】
図11は、本発明に係る実施の形態3の振動装置1Cの一例の部分拡大断面図である。
【0171】
実施の形態3では、第1弾性部7Aと第2弾性部11Aとが圧電素子3の外周側に配置され、圧電素子3を挟持している点で、実施の形態2と異なる。
【0172】
図11に示すように、圧電素子3の第2面PS2において、第2電極3cは圧電素子3の外周側に設けられている。具体的には、第2電極3cは、第1電極3bと対向して配置されている。
【0173】
また、第2溝12は、第2振動体5の外周に設けられている。具体的には、第2溝12は、第2振動体5の外周側から内周側に向かって窪んでいる。これにより、第2溝12は第2電極3cを第2振動体5から露出させている。
【0174】
第2溝12内において、第2弾性部11Aが配置されている。第2溝12内において、第2弾性部11Aは、第2給電導体10を圧電素子3の第2電極3cに押圧している。具体的には、第2弾性部11Aは、第2給電導体10の一部で形成されており、圧電素子3の第2電極3cに接触している。これにより、第2給電導体10は、第2弾性部11Aを介して圧電素子3の第2電極3cに電気的に接続されている。
【0175】
一方、第1振動体4に設けられた第1溝8内においては、第1弾性部7Aが配置されている。第1溝8内において、第1弾性部7Aは、第1給電導体6を圧電素子3の第1電極3bに対して押圧している。具体的には、第1弾性部7Aは、第1給電導体6の一部で形成されており、圧電素子3の第1電極3bに接触している。これにより、第1給電導体6は、第1弾性部7Aを介して圧電素子3の第1電極3bに電気的に接続されている。
【0176】
第1弾性部7Aと第2弾性部11Aとは、振動装置1Cの高さ方向(Z方向)において、重なるように配置されている。即ち、第1弾性部7Aと第2弾性部11Aとは、圧電素子3の厚み方向(Z方向)において、対向して配置されている。これにより、圧電素子3は、第1弾性部7Aと第2弾性部11Aによって挟持されている。
【0177】
[効果]
実施の形態3に係る振動装置1Cによれば、以下の効果を奏することができる。
【0178】
振動装置1Cにおいて、複数の給電導体6,10は、第1面PS1と接触する第1給電導体6と、第2面PS2と接触する第2給電導体10と、を有する。複数の弾性部7A,11Aは、第1給電導体6を第1面PS1に押圧する複数の第1弾性部7Aと、第2給電導体10を第2面PS2に押圧する複数の第2弾性部11Aと、を有する。複数の第1弾性部7Aと複数の第2弾性部11Aとは、それぞれ、圧電素子3の厚み方向(Z方向)に対向して配置されている。これにより、複数の第1弾性部7Aと複数の第2弾性部11Aとによって圧電素子3を挟持することができる。その結果、圧電素子3と複数の給電導体6,10との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0179】
なお、実施の形態3では、第1電極3b及び第2電極3cが圧電素子3の外周側に設けられる例について説明したが、これに限定されない。第1電極3b及び第2電極3cは、圧電素子3において互いに対向する位置に設けられていればよい。例えば、第1電極3b及び第2電極3cは、圧電素子3の内周側に設けられていてもよい。
【0180】
実施の形態3では、第1弾性部7A及び第2弾性部11Aが圧電素子3の外周側で圧電素子3を挟持する例について説明したが、これに限定されない。第1弾性部7A及び第2弾性部11Aは、圧電素子3の厚み方向(Z方向)において対向して配置されていればよい。
【0181】
図12A及び図12Bは、本発明に係る実施の形態3の変形例の振動装置の構成を示す部分拡大図である。なお、図12Aに示す振動装置1CAは、圧電素子3の第2面PS2側に第2振動体5を備える。一方、図12Bに示す振動装置1CBは、圧電素子3の第2面PS2側に第2振動体5を備えていない。
【0182】
図12A及び図12Bに示すように、圧電素子3の第2面PS2側に、第2弾性部11Bが配置されている。第2弾性部11Bは、間隔を有して対向して配置される2つの板状部材と、2つの板状部材を接続する湾曲部と、を有している。第2弾性部11Bにおいて、2つの板状部材は、Y方向に間隔を有して対向して配置されている。湾曲部は、Z方向にU字状に湾曲しており、圧電素子3の第2電極3cと接触している。
【0183】
このような構成により、第1弾性部7,7Aと第2弾性部11Bとによって圧電素子3を挟持することができる。これにより、圧電素子3と複数の給電導体6,10との接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0184】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る振動装置について説明する。なお、実施の形態4では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態4においては、実施の形態1と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態4では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0185】
図13は、本発明に係る実施の形態4の振動装置1Dの一例の部分拡大断面図である。
【0186】
実施の形態4では、第2振動体5を備えない点、及び第2給電導体10を備える点で、実施の形態1と異なる。
【0187】
図13に示すように、圧電素子3の第1面PS1側においては、溝8内において、弾性部7が第1給電導体6を圧電素子3の第1電極3bに押圧している。一方、圧電素子の第2面PS2側には、第2給電導体10が接触して配置されている。
【0188】
具体的には、圧電素子3の第2面PS2の全面には、第2電極3cが設けられている。第2給電導体10は、第2電極3cに接触して配置されている。
【0189】
[効果]
実施の形態4に係る振動装置1Dによれば、以下の効果を奏することができる。
【0190】
振動装置1Dにおいては、第1給電導体6に設けられた弾性部7によって第1給電導体6を圧電素子3に押圧している。一方、第2給電導体10には弾性部が設けられていない。また、圧電素子3の第2面PS2側に第2振動体5が設けられている。このような構成であっても、圧電素子3と複数の給電導体6,10との接続の信頼性を向上させることができる。
【0191】
なお、実施の形態4では、振動装置1Dが第1給電導体6を圧電素子3に押圧する弾性部7を備える例について説明したが、これに限定されない。振動装置1Dは、第1給電導体6と第2給電導体10とのうち少なくともいずれか一方を圧電素子3に押圧する弾性部を備えていればよい。例えば、振動装置1Dは、第2給電導体10を圧電素子3に押圧する弾性部を備えていてもよい。この場合、振動装置1Dは、第1給電導体6を圧電素子3に押圧する弾性部7を有していなくてもよい。
【0192】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る撮像装置について説明する。なお、実施の形態5では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態5においては、実施の形態1と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態5では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0193】
図14は、本発明に係る実施の形態5の撮像装置50の構成の一例を示す概略図である。
【0194】
実施の形態5では、実施の形態1の振動装置1Aと、撮像素子51と、を備える撮像装置50について説明する。
【0195】
図14に示すように、撮像装置50は、実施の形態1の振動装置1Aと、振動装置1A内に配置される撮像素子51と、を備える。なお、振動装置1Aについては、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0196】
<撮像素子>
撮像素子51は、振動装置1Aの内部空間に配置される。撮像素子51は、回路基板52に搭載されている。回路基板52は、撮像素子を駆動する撮像素子用制御回路を含む。
【0197】
撮像素子51としては、例えば、可視領域から遠赤外領域のいずれかの波長の光を受光する、CMOS、CCD、ボロメーターやサーモパイルなどを挙げることができる。
【0198】
[効果]
実施の形態5に係る撮像装置50によれば、以下の効果を奏することができる。
【0199】
撮像装置50は、実施の形態1の振動装置1Aと、振動装置1A内に配置される撮像素子51と、を備える。このような構成により、圧電素子3と給電導体6との接続の信頼性を向上させることができる。
【0200】
なお、実施の形態5では、撮像装置50が実施の形態1の振動装置1Aを備える例について説明したが、これに限定されない。撮像装置50は、実施の形態1~4の振動装置1A~1Dを備えていてもよい。
【0201】
実施の形態5では、撮像装置50が回路基板52を備える例について説明したが、これに限定されない。回路基板52は必須の構成ではない。
【0202】
(他の実施形態)
他の実施形態について説明する。
【0203】
図15は、他の実施形態の振動装置における第1給電導体6Aの一例を下から見た概略図である。図16は、他の実施形態の振動装置における第2給電導体10Aの一例を上から見た概略図である。
【0204】
図15に示すように、第1給電導体6Aは、3つの第1弾性部7を有する。3つの第1弾性部7は、等間隔で配置されている。具体的には、第1給電導体6Aの平面視において、第1給電導体6Aの中心から3つの第1弾性部7のそれぞれに向かって線分を引いた場合、隣り合う線分で画定される角度θ1が等しい。このような構成により、3つの第1弾性部7によって、圧電素子3に第1給電導体6Aをバランスよく接触させることができる。これにより、圧電素子3と第1給電導体6Aとの接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0205】
図16に示すように、第2給電導体10Aは、3つの第2弾性部11を有する。3つの第2弾性部11は、等間隔で配置されている。具体的には、第2給電導体10Aの平面視において、第2給電導体10Aの中心から3つの第2弾性部11のそれぞれに向かって線分を引いた場合、隣り合う線分で画定される角度θ2が等しい。このような構成により、3つの第2弾性部11によって、圧電素子3に第2給電導体10Aをバランスよく接触させることができる。これにより、圧電素子3と第2給電導体10Aとの接続の信頼性を更に向上させることができる。
【0206】
なお、第1弾性部7の数及び第2弾性部11の数は、3つに限定されない。第1弾性部7の数及び第2弾性部11の数は、4つ以上であってもよい。ただし、組み立ての観点から、第1弾性部7の数及び第2弾性部11の数は、2つ以上4つ以下が好ましい。より好ましくは、第1弾性部7の数及び第2弾性部11の数は、2つ以上3つ以下である。
【0207】
図17は、他の実施形態の振動装置1Eの構成の一例を示す概略図である。図17に示すように、振動装置1Eは、透光体カバー2を備えず、別の部品、装置及び/又はシステムに組み込まれてもよい。言い換えると、振動装置1Eは、撮像装置50での使用に限定されず、様々なデバイスに応用可能である。
【0208】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明の振動装置は、例えば、撮像装置、携帯電話機、デジタルカメラ、携帯端末装置、リモートコントローラ等に適用できる。
【符号の説明】
【0210】
1A,1AA,1AB,1AC,1AD,1B,1BA,1BB,1BC,1C,1CA,1CB,1D,1E 振動装置
2 透光体カバー
2a 底面
3 圧電素子
3a 圧電体
3b 第1電極
3c 第2電極
3d 凸部
4 第1振動体
4a 筒状体
4b 天板
4c フランジ部
4d 凸部
5 第2振動体
6,6A 第1給電導体
6a 環状部
6b ガイド
6c 凸部
7,7A,7B,7C,7D 第1弾性部
7a 第1板状部
7b 第2板状部
7c 湾曲部
7d 第3板状部
7e 第4板状部
7f 湾曲部
8 第1溝
9a,9b 接続領域
10,10A 第2給電導体
11,11A,11B 第2弾性部
12 第2溝
13 第1支持部
14 第2支持部
15 第3溝
16 段差
17 第3支持部
18 第4溝
50 撮像装置
51 撮像素子
52 回路基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17