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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】昇降機の診断装置および診断解析装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20220802BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
B66B3/00 R
B66B5/00 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021575580
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(86)【国際出願番号】 JP2020004967
(87)【国際公開番号】W WO2021157086
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】藤田 武
(72)【発明者】
【氏名】尾田 巧
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-111579(JP,A)
【文献】特開2019-189445(JP,A)
【文献】特開2015-168560(JP,A)
【文献】特開2014-105075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
B66B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭をなす筐体部と、
前記筐体部に収納され、情報を記憶する記憶部と、
前記筐体部に収納され、前記筐体部が昇降機の移動物に取り付けられた状態において当該移動物が移動した際に当該移動物の鉛直方向の加速度と水平方向の加速度とを当該昇降機の移動物の診断情報として検出する加速度検出部と、
前記筐体部に収納され、前記筐体部が前記昇降機の移動物の取り付けられた状態において当該移動物の周囲を当該昇降機の移動物の診断情報として撮影するカメラ部と、
前記筐体部に収納され、前記加速度検出部により検出された鉛直方向の加速度の情報と水平方向の加速度の情報とを検出タイミングの情報に対応付けて前記記憶部に記憶させ、前記カメラ部により撮影された画像情報を撮影タイミングの情報に対応付けて前記記憶部に記憶させる診断側制御部と、
を備えた昇降機の診断装置。
【請求項2】
前記筐体部に収納され、前記筐体部が前記昇降機の移動物の取り付けられた状態において当該移動物の周辺の音を当該昇降機の移動物の診断情報として収集するマイク部、
を備え、
前記診断側制御部は、前記マイク部により検出された音に対応した情報を検出タイミングの情報に対応付けて前記記憶部に記憶させる請求項1に記載の昇降機の診断装置。
【請求項3】
前記筐体部に収納され、前記筐体部が前記昇降機の移動物の取り付けられた状態において当該移動物の回転角度を当該昇降機の移動物の診断情報として検出する回転角度検出部、
を備え、
前記診断側制御部は、前記回転角度検出部により検出された回転角度の情報を検出タイミングの情報に対応付けて前記記憶部に記憶させる請求項1または請求項2に記載の昇降機の診断装置。
【請求項4】
前記診断側制御部は、前記カメラ部により撮影された画像情報に基づいて前記昇降機の移動物に対する前記筐体部の向きを判定する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の昇降機の診断装置。
【請求項5】
前記筐体部に収納され、前記筐体部が前記昇降機の移動物の取り付けられた状態において当該昇降機の位置を検出する位置検出部、
を備え、
前記診断側制御部は、前記位置検出部により検出された位置の情報に基づいて前記昇降機の移動物の診断情報を診断する際の基準を設定する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の昇降機の診断装置。
【請求項6】
前記筐体部に収納され、情報を表示する表示部、
を備え、
前記診断側制御部は、前記加速度検出部により検出された鉛直方向の加速度の情報から得られた当該移動物の鉛直方向の位置の情報と他の診断情報とを対応付けて前記表示部に表示させる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の昇降機の診断装置。
【請求項7】
前記筐体部に収納され、情報を送信する診断側送信部、
を備え、
前記診断側制御部は、当該昇降機の移動物の診断情報を前記診断側送信部に送信させる請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の昇降機の診断装置。
【請求項8】
情報を受信する解析側受信部と、
情報を蓄積する蓄積部と、
前記解析側受信部が請求項7に記載の診断装置からの診断情報を受信した際に当該診断情報を前記蓄積部に蓄積させ、蓄積された診断情報に基づいて、昇降機の移動物の診断情報を解析する解析部と、
を備えた昇降機の診断解析装置。
【請求項9】
前記解析側受信部が請求項7に記載の診断装置からの診断情報を受信した際に当該診断情報をリサンプリング処理し、リサンプリング処理された診断情報を前記蓄積部に蓄積させる解析側制御部、
を備えた請求項8に記載の昇降機の診断解析装置。
【請求項10】
情報を送信する解析側送信部と、
前記診断装置に向けて前記解析部による解析結果を示す情報を前記解析側送信部に送信させる制御部と、
を備えた請求項8または請求項9に記載の昇降機の診断解析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、昇降機の診断装置および診断解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの振動騒音測定方法を開示する。当該振動騒音測定方法によれば、振動あるいは騒音の測定作業を簡易に行い得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開2015-168560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の振動騒音測定方法においては、振動あるいは騒音が測定されるだけである。このため、昇降機の診断を適切に行うことができない。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、昇降機の診断を適切に行うための情報を得ることができる昇降機の診断装置および診断解析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る昇降機の診断装置は、外郭をなす筐体部と、前記筐体部に収納され、情報を記憶する記憶部と、前記筐体部に収納され、前記筐体部が昇降機の移動物に取り付けられた状態において当該移動物が移動した際に当該移動物の鉛直方向の加速度と水平方向の加速度とを当該昇降機の移動物の診断情報として検出する加速度検出部と、前記筐体部に収納され、前記筐体部が前記昇降機の移動物の取り付けられた状態において当該移動物の周囲を当該昇降機の移動物の診断情報として撮影するカメラ部と、前記筐体部に収納され、前記加速度検出部により検出された鉛直方向の加速度の情報と水平方向の加速度の情報とを検出タイミングの情報に対応付けて前記記憶部に記憶させ、前記カメラ部により撮影された画像情報を撮影タイミングの情報に対応付けて前記記憶部に記憶させる診断側制御部と、を備えた。
【0007】
本開示に係る昇降機の診断解析装置は、情報を受信する解析側受信部と、情報を蓄積する蓄積部と、前記解析側受信部が前記診断装置からの診断情報を受信した際に当該診断情報を前記蓄積部に蓄積させ、蓄積された診断情報に基づいて、昇降機の移動物の診断情報を解析する解析部と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、診断装置は、昇降機の移動物に取り付けられた状態において当該移動物が移動した際に当該移動物の鉛直方向の加速度と水平方向の加速度とを検出する。診断装置は、当該移動物の鉛直方向の加速度の情報と水平方向の加速度の情報とを検出タイミングの情報に対応付けて記憶する。このため、昇降機の診断を適切に行うための情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1における昇降機の診断解析装置が適用されるエレベーターシステムの構成図である。
図2】実施の形態1における昇降機の診断解析装置が適用されるエレベーターシステムの診断方法を説明するための図である。
図3】実施の形態1における昇降機の診断解析装置と診断装置としての携帯端末とのブロック図である。
図4】実施の形態1における昇降機の診断解析装置が適用されるエレベーターシステムの診断が行われる際に利用される診断装置としての携帯端末の表示の例を示す図である。
図5】実施の形態1における昇降機の診断解析装置が適用されるエレベーターシステムの診断が行われる際に利用される診断装置としての携帯端末の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
図6】実施の形態1における昇降機の診断解析装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
図7】実施の形態1における昇降機の診断解析装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における昇降機の診断解析装置が適用されるエレベーターシステムの構成図である。
【0012】
図1のエレベーターシステムにおいて、昇降路1は、図示されない建築物の各階を貫く。機械室2は、昇降路1の直上に設けられる。複数の乗場3の各々は、建築物の各階に設けられる。複数の乗場3の各々は、昇降路1に対向する。
【0013】
巻上機4は、機械室2に設けられる。主ロープ5は、巻上機4に巻き掛けられる。
【0014】
かご6は、昇降路1の内部に設けられる。かご6は、主ロープ5の一側に支持される。釣合おもり7は、昇降路1の内部に設けられる。釣合おもり7は、主ロープ5の他側に支持される。
【0015】
制御装置8は、機械室2に設けられる。制御装置8は、エレベーターを全体的に制御し得るように設けられる。
【0016】
監視装置9は、機械室2に設けられる。監視装置9は、制御装置8からの情報に基づいてエレベーターの状態を監視し得るように設けられる。
【0017】
情報センター装置10は、エレベーターが設けられた建築物から離れた場所に設けられる。例えば、情報センター装置10は、エレベーターの保守会社に設けられる。情報センター装置10は、監視装置9からの情報に基づいてエレベーターの状態を把握し得るように設けられる。
【0018】
診断解析装置11は、エレベーターが設けられた建築物から離れた場所に設けられる。例えば、診断解析装置11は、エレベーターの保守会社に設けられる。診断解析装置11は、エレベーターの振動、騒音、画像等を解析し得るように設けられる。
【0019】
エレベーターの診断時において、スマートフォン等の携帯端末12は、診断装置としてかご6に取り付けられる。この状態において、携帯端末12は、かご6の振動、かご6の周囲の音、かご6の周囲の画像等の情報を診断情報として採取する。
【0020】
次に、図2を用いて、エレベーターシステムの診断方法を説明する。
図2は実施の形態1における昇降機の診断解析装置が適用されるエレベーターシステムの診断方法を説明するための図である。
【0021】
図2の(a)に示されるように、携帯端末12は、かご6の内部または天井部において予め設定された向きで一時的に取り付けられる。この状態において、かご6は、試運転により走行する。この際、携帯端末12は、診断情報を採取する。
【0022】
かご6の試運転後、図2の(b)に示されるように、携帯端末12は、保守員により回収される。その後、携帯端末12は、保守員の操作に基づいて診断解析装置11から当該エレベーターの診断に必要な情報を受信する。例えば、携帯端末12は、振動、騒音等が許容されるか否かを判定する際の基準値の情報を受信する。
【0023】
その後、携帯端末12は、保守員の操作に基づいてエレベーターの診断を行う。例えば、携帯端末12は、振動、騒音等の検出値が基準値を超えているか否かを判定する。その後、携帯端末12は、保守員の操作に基づいてエレベーターの診断結果を表示する。例えば、携帯端末12は、振動、騒音等が許容されるか否かを表示する。
【0024】
その後、図2の(c)に示されるように、保守員は、エレベーターの診断結果に応じて必要な保守を行う。その後、携帯端末12は、かご6の内部または天井部において予め設定された向きで一時的に取り付けられる。この状態において、かご6は、試運転により走行する。この際、携帯端末12は、診断情報を採取する。その後、携帯端末12は、保守員の操作に基づいてエレベーターの診断を行う。その後、携帯端末12は、保守員の操作に基づいてエレベーターの診断結果を表示する。その後、携帯端末12は、保守員の操作に基づいてエレベーターの診断結果の情報を当該エレベーターの識別情報に対応付けて診断解析装置11に登録する。
【0025】
詳細な診断が必要である場合、携帯端末12は、保守員の操作に基づいて診断情報と当該エレベーターの識別情報とを対応付けて診断解析装置11に向けて送信する。診断解析装置11は、当該診断情報に対して詳細な診断を行う。例えば、診断解析装置11は、当該識別情報に基づいて、蓄積された多数の診断情報のうちで当該エレベーターに類似したエレベーターに対する複数の診断情報を抽出する。診断解析装置11は、抽出された複数の診断情報に基づいて当該診断情報に対して詳細な診断を行う。その後、診断解析装置11は、詳細な診断で得られた結果を示す情報を携帯端末12に向けて送信する。携帯端末12は、詳細な診断で得られた結果を示す情報を表示する。
【0026】
次に、図3を用いて、診断解析装置11と携帯端末12とを説明する。
図3は実施の形態1における昇降機の診断解析装置と診断装置としての携帯端末とのブロック図である。
【0027】
図3に示されるように、診断解析装置11は、解析側受信部11aと解析側送信部11bと蓄積部11cと解析部11dと解析側制御部11eとを備える。
【0028】
解析側受信部11aは、情報を受信し得るように設けられる。例えば、解析側受信部11aは、携帯端末12からの情報を受信する。
【0029】
解析側送信部11bは、情報を送信し得るように設けられる。例えば、解析側送信部11bは、携帯端末12に向けて情報を送信する。
【0030】
蓄積部11cは、情報を蓄積し得るように設けられる。例えば、蓄積部11cは、解析側受信部11aが携帯端末12から診断情報と当該エレベーターの識別情報とを受信するたびに当該診断情報と当該エレベーターの識別情報とを対応付けて蓄積する。
【0031】
解析部11dは、エレベーターの詳細な診断を行うために当該エレベーターの診断情報を解析し得るように設けられる。例えば、解析部11dは、蓄積部11cに蓄積された複数の診断情報に基づいて解析側受信部11aが受信した診断情報を解析する。
【0032】
解析側制御部11eは、解析側受信部11aと解析側送信部11bと蓄積部11cと解析部11dとを制御し得るように設けられる。例えば、解析側制御部11eは、解析側受信部11aが携帯端末12から診断情報を受信した際に当該診断情報をリサンプリング処理したうえで、リサンプリング処理された診断情報を蓄積部11cに蓄積させる。例えば、解析側制御部11eは、解析側受信部11aが携帯端末12から診断情報を受信した際に当該診断情報をリサンプリング処理したうえで、リサンプリング処理された診断情報を解析部11dに解析させる。例えば、解析側制御部11eは、携帯端末12に向けて解析部11dによる解析結果を示す情報を解析側送信部11bに送信させる。
【0033】
図3に示されるように、携帯端末12は、筐体部12aと診断側受信部12cと診断側送信部12dと記憶部12bと表示部12eと加速度検出部12fとマイク部12gと回転角度検出部12hとカメラ部12iと位置検出部12jと診断側制御部12kとを備える。
【0034】
筐体部12aは、携帯端末12の外郭をなす。例えば、筐体部12aは、矩形状に形成される。
【0035】
記憶部12bは、筐体部12aに収納される。記憶部12bは、情報を記憶し得るように設けられる。例えば、記憶部12bは、エレベーターの診断に必要な情報を記憶する。例えば、記憶部12bは、診断情報を記憶する。例えば、記憶部12bは、エレベーターの識別情報を記憶する。
【0036】
診断側受信部12cは、筐体部12aに収納される。診断側受信部12cは、情報を受信し得るように設けられる。例えば、診断側受信部12cは、診断解析装置11からの情報を受信する。
【0037】
診断側送信部12dは、筐体部12aに収納される。診断側送信部12dは、情報を送信し得るように設けられる。例えば、診断側送信部12dは、診断解析装置11に向けて情報を送信する。
【0038】
表示部12eは、筐体部12aに収納される。表示部12eは、情報を表示し得るように設けられる。例えば、表示部12eは、診断情報を表示する。例えば、診断結果を示す情報を表示する。
【0039】
加速度検出部12fは、筐体部12aに収納される。加速度検出部12fは、加速度を検出し得るように設けられる。例えば、加速度検出部12fは、互いに直交する3軸の加速度を検出する。
【0040】
マイク部12gは、筐体部12aに収納される。マイク部12gは、筐体部12aの周囲の音を収集し得るように設けられる。
【0041】
回転角度検出部12hは、筐体部12aに収納される。回転角度検出部12hは、回転角度を検出し得るように設けられる。例えば、回転角度検出部12hは、互いに直交する3軸の回転角度を検出する。
【0042】
カメラ部12iは、筐体部12aに収納される。カメラ部12iは、筐体部12aの周囲を撮影し得るように設けられる。例えば、カメラ部12iは、筐体部12aの表面の側の周囲と裏面の側の周囲とを撮影する。
【0043】
位置検出部12jは、筐体部12aに収納される。位置検出部12jは、筐体部12aの位置を検出し得るように設けられる。例えば、位置検出部12jは、全地球測位システムの機能により筐体部12aの位置を検出する。
【0044】
診断側制御部12kは、筐体部12aに収納される。診断側制御部12kは、診断側受信部12cと診断側送信部12dと表示部12eと加速度検出部12fとマイク部12gと回転角度検出部12hとカメラ部12iと位置検出部12jとを制御し得るように設けられる。
【0045】
例えば、診断側制御部12kは、加速度検出部12fにより検出された鉛直方向の加速度の情報と水平方向の加速度の情報とをサンプリング周期等の検出タイミングの情報に対応付けて記憶部12bに記憶させる。
【0046】
例えば、診断側制御部12kは、マイク部12gにより検出された音に対応した情報をサンプリング周期等の検出タイミングの情報に対応付けて記憶部12bに記憶させる。
【0047】
例えば、診断側制御部12kは、回転角度検出部12hにより検出された回転角度の情報をサンプリング周期等の検出タイミングの情報に対応付けて記憶部12bに記憶させる。
【0048】
例えば、診断側制御部12kは、カメラ部12iにより撮影された画像情報をサンプリング周期等の撮影タイミングの情報に対応付けて記憶部12bに記憶させる。
【0049】
例えば、診断側制御部12kは、カメラ部12iにより撮影された画像情報に基づいてかご6に対する筐体部12aの向きを判定する。
【0050】
例えば、診断側制御部12kは、加速度検出部12fにより検出された鉛直方向の加速度の情報から得られたかご6の鉛直方向の位置の情報と他の診断情報とを対応付けて表示部12eに表示させる。
【0051】
例えば、診断側制御部12kは、診断解析装置11に向けてかご6の診断情報を診断側送信部12dに送信させる。
【0052】
次に、図4を用いて、携帯端末12の表示の例を説明する。
図4は実施の形態1における昇降機の診断解析装置が適用されるエレベーターシステムの診断が行われる際に利用される診断装置としての携帯端末の表示の例を示す図である。
【0053】
図4の(a)は、エレベーターの診断に使用されるアプリケーションソフトの初期画面の例である。図4の(b)は、診断情報の表示の第1例である。図4の(c)は、診断装置の表示の第2例である。
【0054】
図4の(a)に示されるように、初期画面の上部においては、「測定開始」と「停止」と「音量」とが表示される。
【0055】
「測定開始」は、エレベーターの診断情報の採取を開始する際に触れるための領域である。当該領域が触れられた際、携帯端末12は、エレベーターの診断情報の採取を開始する。
【0056】
「停止」は、エレベーターの診断情報の採取を終了する際に触れるための領域である。当該領域が触れられた際、携帯端末12は、エレベーターの診断情報の採取を終了する。
【0057】
「音量」は、マイク部12gにより検出された音に対応した情報を表示する領域である。当該領域は、マイク部12gにより検出された音に対応した情報をリアルタイムで表示する。
【0058】
図4の(a)に示されるように、初期画面の中央部においては、「加速度」が表示される。「加速度」は、加速度検出部12fにより検出された加速度の情報を表示する領域である。当該領域は、加速度検出部12fにより検出されたX軸方向の加速度の情報とY軸方向の加速度の情報とZ軸方向の加速度の情報とをリアルタイムで表示する。
【0059】
図4の(a)に示されるように、初期画面の下部においては、設定状況が表示される。設定状況は、アプリケーションソフトにおける複数の設定項目の情報を表示する領域である。当該領域は、例えば「測定モード」と「測定待機時間」と「測定時間」と「ファイル形式」と「使用マイク」と「位置情報取得」と「残り時間」とを複数の設定項目の情報として表示する。
【0060】
「測定モード」は、例えば「手動モード」と「タイマーモード」がある。「手動モード」が選択された場合、保守員が「測定開始」の領域に触れた際に測定を開始し、保守員が「停止」の領域に触れた際に測定を終了する。「タイマーモード」が選択された場合、保守員が「測定開始」の領域に触れた際に予め設定された「測定待機時間」が経過すると測定が開始され、予め設定された「測定時間」が経過すると測定が終了する。例えば、「ファイル形式」と「使用マイク」と「位置情報取得」と「残り時間」とにそれぞれ対応した複数の具体的な情報も表示される。
【0061】
図4の(b)に示されるように、第1例の上部には、音に対応した情報が表示される。第1例の中央部においては、加速度の情報が表示される。「波形選択」は、「速度」と「加速度」の何れを表示するか選択する際に触れるための領域である。「表示軸選択」は、表示させたい軸を選択する際に触れるための領域である。「表示軸選択」は、例えば「XYZ」と「XY」と「XZ」と「YZ」と「X」と「Y」と「Z」との中から選択することができる。この図においては、「表示軸選択」に「XYZ」が選択され、X軸方向の加速度とY軸方向の加速度とZ軸方向の加速度とが同時に表示される。第1例の下部には、「縦軸ボタン」と「横軸ボタン」と「表示ボタン」とが表示される。「縦軸ボタン」と「横軸ボタン」とは、中央部に表示される波形の縦軸のスケールと波形の横軸のスケールを調整する際に触れるための領域である。保守員は、「縦軸ボタン」または「横軸ボタン」に触れて左右に動かすことで中央部に表示される波形の横軸または縦軸のスケールを調整する。「操作ボタン」は、中央部に表示される波形画像の「再生」、「停止」、「早送り」、「巻戻し」等を行う際に触れるための領域である。保守員は、「操作ボタン」に触れて中央部に表示される波形画像の「再生」、「停止」、「早送り」、「巻戻し」等を操作する。
【0062】
図4の(c)に示されるように、第2例の上部には、音に対応した情報が表示される。第2例の中央部においては、「表示軸選択」の「Z」が選択され、Z軸方向の加速度から得られた速度の情報が表示される。第2例の下部には、第1例と同様に「縦軸ボタン」と「横軸ボタン」と「操作ボタン」とが表示される。
【0063】
次に、図5を用いて、携帯端末12の動作の概要を説明する。
図5は実施の形態1における昇降機の診断解析装置が適用されるエレベーターシステムの診断が行われる際に利用される診断装置としての携帯端末の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0064】
ステップS1では、携帯端末12は、「測定開始」の領域が触れられたか否かを判定する。ステップS1で「測定開始」の領域が触れられていない場合、携帯端末12は、ステップS1の動作を行う。ステップS1で「測定開始」の領域が触れられた場合、携帯端末12は、ステップS2の動作を行う。
【0065】
ステップS2では、携帯端末12は、「測定モード」が「タイマーモード」であるか否かを判定する。ステップS2で「測定モード」が「タイマーモード」であると判定された場合、携帯端末12は、ステップS3の動作を行う。
【0066】
ステップS3では、携帯端末12は、「測定待機時間」が経過したか否かを判定する。ステップS3で「測定待機時間」が経過していない場合、携帯端末12は、ステップS3の動作を行う。ステップS3で「測定待機時間」が経過した場合、携帯端末12は、ステップS4の動作を行う。
【0067】
ステップS4では、携帯端末12は、診断情報の収集を開始する。その後、携帯端末12は、ステップS5の動作を行う。
【0068】
ステップS5では、携帯端末12は、「測定時間」が経過したか否かを判定する。ステップS5で「測定時間」が経過していない場合、携帯端末12は、ステップS5の動作を行う。ステップS5で「測定時間」が経過した場合、携帯端末12は、ステップS8の動作を行う。
【0069】
一方、ステップS2で「測定モード」が「タイマーモード」ではない、すなわち「測定モード」が「手動モード」であると判定された場合、携帯端末12は、ステップS6の動作を行う。ステップS6では、携帯端末12は、診断情報の収集を開始する。その後、携帯端末12は、ステップS7の動作を行う。ステップS7では、「停止」の領域が触れられたか否かを判定する。ステップS7で「停止」の領域が触れられていない場合、携帯端末12は、ステップS7の動作を行う。ステップS7で「停止」の領域が触れられた場合、携帯端末12は、ステップS8の動作を行う。
【0070】
ステップS8では、携帯端末12は、診断情報の収集を終了する。その後、携帯端末12は、ステップS9の動作を行う。ステップS9では、携帯端末12は、予め設定された条件に基づいて診断情報を表示する。その後、携帯端末12は、動作を終了する。
【0071】
次に、図6を用いて、診断解析装置11の動作の概要を説明する。
図6は実施の形態1における昇降機の診断解析装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0072】
ステップS11では、診断解析装置11は、携帯端末12からの判定基準要求情報が受け付けられたか否かを判定する。
【0073】
ステップS11で携帯端末12からの判定基準要求情報が受け付けられていない場合、診断解析装置11は、ステップS12の動作を行う。ステップS12では、診断解析装置11は、携帯端末12からの解析要求情報が受け付けられたか否かを判定する。
【0074】
ステップS12で携帯端末12からの解析要求情報が受け付けられていない場合、診断解析装置11は、ステップS13の動作を行う。
【0075】
ステップS13では、診断解析装置11は、携帯端末12からの診断結果登録情報が受け付けられたか否かを判定する。
【0076】
ステップS13で携帯端末12からの診断結果登録情報が受け付けられていない場合、診断解析装置11は、ステップS11の動作を行う。
【0077】
ステップS11で携帯端末12からの判定基準要求情報が受け付けられた場合、診断解析装置11は、ステップS14の動作を行う。ステップS14では、診断解析装置11は、当該携帯端末12に向けてエレベーターの診断に必要な判定基準の情報を送信する。その後、診断解析装置11は、ステップS11の動作を行う。
【0078】
ステップS12で携帯端末12からの解析要求情報が受け付けられた場合、診断解析装置11は、ステップS15の動作を行う。ステップS15では、診断解析装置11は、当該携帯端末12からの診断情報を受信する。その後、診断解析装置11は、ステップS16の動作を行う。ステップS16では、診断解析装置11は、蓄積された複数の診断情報に基づいて当該診断情報を解析する。その後、診断解析装置11は、ステップS17の動作を行う。ステップS17では、診断解析装置11は、当該携帯端末12に向けて当該診断情報の解析結果を示す情報を送信する。その後、診断解析装置11は、ステップS11の動作を行う。
【0079】
ステップS13で携帯端末12からの診断結果登録情報が受け付けられた場合、診断解析装置11は、ステップS18の動作を行う。ステップS18では、診断解析装置11は、当該携帯端末12からの診断結果を示す情報を蓄積する。その後、診断解析装置11は、ステップS11の動作を行う。
【0080】
以上で説明した実施の形態1によれば、携帯端末12は、エレベーターの診断運転時の鉛直方向の加速度の情報と水平方向の加速度の情報とを検出タイミングの情報に対応付けて記憶する。このため、エレベーターの診断を適切に行うための情報を得ることができる。その結果、不具合対応時の作業時間を削減することができる。
【0081】
また、携帯端末12は、かご6の周囲の音に対応した情報を検出タイミングの情報に対応付けて記憶する。このため、エレベーターの診断をより適切に行うための情報を得ることができる。
【0082】
また、携帯端末12は、筐体部12aの回転角度の情報を検出タイミングの情報に対応付けて記憶する。このため、エレベーターの診断をより適切に行うための情報を得ることができる。
【0083】
また、携帯端末12は、筐体部12aの周囲の画像情報を撮影タイミングの情報に対応付けて記憶する。このため、エレベーターの診断をより適切に行うための情報を得ることができる。
【0084】
また、携帯端末12は、筐体部12aの周囲の画像情報に基づいてかご6に対する筐体部12aの向きを判定する。このため、エレベーターの診断をより適切に行うための情報を得ることができる。
【0085】
また、携帯端末12は、鉛直方向の加速度の情報から得られたかご6の鉛直方向の位置の情報と他の診断情報とを対応付けて表示する。このため、エレベーターの異常箇所を適切に推定することができる。
【0086】
また、携帯端末12は、診断解析装置11に向けてかご6の診断情報を送信する。このため、診断解析装置11において、記録漏れによる対応不備を抑制しつつ、より詳細な診断を行うことができる。
【0087】
また、診断解析装置11は、蓄積された診断情報に基づいて、今回の診断情報を解析する。このため、エレベーターをより正確に診断することができる。
【0088】
また、診断解析装置11は、携帯端末12に向けて解析結果を示す情報を送信する。このため、保守員に対し、詳細な診断結果を提示することができる。このため、保守員の技量に依存せずに、適切な診断を行うことができる。
【0089】
なお、携帯端末12と同等の機能を有した装置をかご6に常設してもよい。この場合、エレベーターの通常運転時等において、エレベーターの診断を行うための情報を得ることができる。
【0090】
また、巻上機4の綱車の外径、かご6の吊り車の外径、釣合おもり7の吊り車の外径をかご6のガイドレールのスパン、釣合おもり7のガイドレールのスパン等の値を携帯端末12に入力し、これらの値から得られる診断情報に対応したパターンと実際の診断情報のパターンとを比較することで、異常個所を推定してもよい。この場合、保守すべき箇所を早急に確認することができる。
【0091】
また、機械室2がなくて昇降路1の上部または下部に巻上機4と制御装置8と監視装置9が設けられるエレベーターに実施の形態1の診断方法を適用してもよい。
【0092】
また、携帯端末12と同等の機能を有した装置をエレベーター以外の昇降機の移動物に適用してよい。
【0093】
例えば、携帯端末12と同等の機能を有した装置を乗客コンベアのステップに適用してもよい。この場合、携帯端末12と同等の機能を有した装置をステップに取り付けた上で当該ステップを移動させるステップチェーンを駆動すれば、得られた加速度から当該ステップチェーンの伸びを検出することができる。
【0094】
例えば、携帯端末12と同等の機能を有した装置を乗客コンベアの移動手すりに適用してもよい。この場合、携帯端末12と同等の機能を有した装置を取り付けた上で当該移動手すりを移動させる手すりチェーンを駆動すれば、得られた加速度から当該移動手すりチェーンの伸びを検出することができる。
【0095】
次に、図7を用いて、診断解析装置11の例を説明する。
図7は実施の形態1における昇降機の診断解析装置のハードウェア構成図である。
【0096】
診断解析装置11の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える。
【0097】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える場合、診断解析装置11の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ100bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ100aは、少なくとも1つのメモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、診断解析装置11の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ100aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ100bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0098】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、診断解析装置11の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、診断解析装置11の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0099】
診断解析装置11の各機能について、一部を専用のハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、解析側制御部11eの機能については専用のハードウェア200としての処理回路で実現し、解析側制御部11eの機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ100aが少なくとも1つのメモリ100bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0100】
このように、処理回路は、ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで診断解析装置11の各機能を実現する。
【0101】
図示されないが、制御装置8の各機能も、診断解析装置11の各機能を実現する処理回路と同等の処理回路で実現される。監視装置9の各機能も、診断解析装置11の各機能を実現する処理回路と同等の処理回路で実現される。情報センター装置10の各機能も、診断解析装置11の各機能を実現する処理回路と同等の処理回路で実現される。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上のように、本開示に係る昇降機の診断装置および診断解析装置は、エレベーターシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0103】
1 昇降路、 2 機械室、 3 乗場、 4 巻上機、 5 主ロープ、 6 かご、 7 釣合おもり、 8 制御装置、 9 監視装置、 10 情報センター装置、 11 診断解析装置、 11a 解析側受信部、 11b 解析側送信部、 11c 蓄積部、 11d 解析部、 11e 解析側制御部、 12 携帯端末、 12a 筐体部、 12b 記憶部、 12c 診断側受信部、 12d 診断側送信部、 12e 表示部、 12f 加速度検出部、 12g マイク部、 12h 回転角度検出部、 12i カメラ部、 12j 位置検出部、 12k 診断側制御部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7