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特許7115668成形物の余剰部分のトリミング方法及び成形物の余剰部分のトリミング装置
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  • 特許-成形物の余剰部分のトリミング方法及び成形物の余剰部分のトリミング装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】成形物の余剰部分のトリミング方法及び成形物の余剰部分のトリミング装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/16 20060101AFI20220802BHJP
   B23K 26/361 20140101ALI20220802BHJP
   B29C 51/26 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
B26D5/16
B23K26/361
B29C51/26
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018066681
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019177428
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390023009
【氏名又は名称】共和レザー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】金子 将也
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 善規
(72)【発明者】
【氏名】浅利 勇紀
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-104062(JP,A)
【文献】特開2013-082573(JP,A)
【文献】特開昭51-104992(JP,A)
【文献】特開平09-062326(JP,A)
【文献】特開2010-228143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 5/16
B23K 26/361
B29C 51/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被成形物から立体的な形状として成形した成形物を支持部の表面に固定し、
記支持部とは異なる位置にある被貼付物の被貼付面の外縁を接触部で接触移動し、
前記接触部に連結されるとともにこの接触部と連動して移動する裁断部で前記接触移動の軌跡に応じて前記成形物を裁断するとともに、
前記裁断された前記成形物は前記被貼付物又は前記被貼付物と同一形状の被貼付物に貼付されるものである
成形物の余剰部分のトリミング方法。
【請求項2】
前記被貼付物と前記成形物とは平面視で重複する位置に載置され、
前記支持部と、前記被貼付物とを同期して回転させる、請求項1記載の成形物の余剰部分のトリミング方法。
【請求項3】
前記回転の際に、前記被貼付物の前記被貼付面の外縁における前記回転の回転軸からの径方向の長さに応じて、前記接触部を前記回転の回転軸に対して接近又は離反させる、請求項2記載の成形物の余剰部分のトリミング方法。
【請求項4】
シート状の被成形物から成形された立体的な形状の成形物が固定される支持部が位置する支持領域と、
前記支持領域とは離間した位置に被貼付物が載置される参照領域と、
前記被貼付物の被貼付面の外縁を接触移動する接触部と、
前記成形物を裁断する裁断部と、
前記裁断部を前記接触部の前記接触移動の軌跡に応じて連動させるために、前記接触部と前記裁断部とを連結する連結部と、
を備えるとともに、
前記裁断された前記成形物は前記被貼付物又は前記被貼付物と同一形状の被貼付物に貼付されるものである
成形物の余剰部分のトリミング装置。
【請求項5】
前記参照領域は前記支持領域の下方に位置し、
前記接触部の前記被貼付物との接触位置と、前記裁断部の裁断位置とが平面視で同一位置となるように、前記接触部と前記裁断部とが前記連結部で連結されている、
請求項4記載の成形物の余剰部分のトリミング装置。
【請求項6】
前記支持領域と、前記参照領域とを同期して回転させる回転手段を備えた、請求項4又は5記載の成形物の余剰部分のトリミング装置。
【請求項7】
前記回転手段による前記回転の際に、前記被貼付物の前記被貼付面の外縁における前記回転の回転軸からの径方向の長さに応じて、前記接触部を前記回転の回転軸に対して接近又は離反させる移動手段を備えた、請求項6記載の成形物の余剰部分のトリミング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の被成形物を立体形状に成形した後、成形物外周の余剰部分をトリミングする方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の被成形物(たとえば、加飾フィルム)は、平らな形状をしている。よって、立体的な形状をしている被貼付物(たとえば、自動車等の内装部品)に被成形物を貼る場合には、被成形物をあらかじめ立体的な形状に成形(予備成形)し、その後、成形物を被貼付物に貼るという方法を採ることがある。
【0003】
上記方法では、予備成形後に、成形物の製品部の外周の余剰部分をトリミングする必要がある。そのトリミング方法としては、精度が不要な場合は、ハサミやカッター等による手作業での裁断で足りるが、精度が必要な場合は、NC加工機(たとえば、下記特許文献1参照)やトリミング形状に合わせたトムソン刃(たとえば、下記特許文献2参照)による裁断を行うことがある。
【0004】
近年、需要が増加している自動車用内外装向けの加飾フィルムでは、トリミングの精度が求められ、かつ多品種に対応するためNC加工機を使用したトリミング方法が一般的に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-62326号公報
【文献】特開2010-228143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来の技術では、下記のような問題があった。
【0007】
まず、トムソン刃は比較的安価であるという利点はあるものの、製品のトリミング形状に合わせて、トムソン刃を製作する必要がある。したがって汎用性を欠くため、設計及び製作に工数と費用がかかる。
【0008】
一方、NC加工機は、刃具の軌跡設定(ティーチング)さえ行えば多品種の製品に対応することができるという利点はあるものの、機械そのものが高価であるとともに、ティーチングに専門的な知識が必要となる。
【0009】
本発明は、上記事実を考慮し、高価なNC加工機を使用せずとも、製品のトリミング形状に汎用性をもつ成形物の余剰シートのトリミング方法及びその装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み、請求項1に記載の成形物の余剰部分のトリミング方法は、シート状の被成形物から立体的な形状として成形した成形物を支持部の表面に固定し、前記成形物が貼付されるとともに前記支持部とは異なる位置にある被貼付物の被貼付面の外縁を接触部で接触移動し、前記接触部に連結されるとともにこの接触部と連動して移動する裁断部で前記接触移動の軌跡に応じて前記成形物を裁断する。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の成形物の余剰部分のトリミング方法では、たとえば、倣いローラーのような接触部が、被貼付物の被貼付面の外縁の形状を倣うことにより、この接触部に連結された刃具(たとえば、レーザーカッター)のような裁断部が、被貼付物の被貼付面の外縁の形状通りに動いて、受け治具のような支持部の表面に固定された成形物を裁断することによって、課題を解決したものである。
【0012】
よって、請求項1に記載の成形物の余剰部分のトリミング方法では、接触部が接触移動する被貼付物を変更するだけで、裁断部の軌跡を種々に変更できるため、高価なNC加工機を使用せずとも、多品種のトリミングに対応できる。また、裁断部の軌跡の設定に特段の専門的な知識を必要としない。
【0013】
ここで、前記成形物は、前記被貼付物の表面形状を有する成形型を用いて成形された後に、前記支持部の表面に固定されることが望ましい。
【0014】
なお、請求項1に記載の成形物の余剰部分のトリミング方法における、接触部の被貼付物の表面に対する接触移動は、相対的なものであればよく、たとえば、請求項2に記載の成形物の余剰部分のトリミング方法のように、前記被貼付物と前記成形物とは平面視で重複する位置に載置され、前記支持部と、前記被貼付物とを同期して回転させることで実現される。
【0015】
また、請求項3に記載の成形物の余剰部分のトリミング方法のように、前記回転の際に、前記被貼付物の前記被貼付面の外縁における前記回転の回転軸からの径方向の長さに応じて、前記接触部を前記回転の回転軸に対して接近又は離反させることとすれば、表面が回転軸に対して等距離ではないような凹凸のある被貼付部にも対応することができる。
【0016】
上記した成形物の余剰部分のトリミング方法は、たとえば、請求項4記載の成形物の余剰部分のトリミング装置によって実行することができる。
【0017】
すなわち、請求項4記載の成形物の余剰部分のトリミング装置は、シート状の被成形物から成形された立体的な形状の成形物が固定される支持部が位置する支持領域と、前記支持領域とは離間した位置に前記成形物が貼付される被貼付物が載置される参照領域と、前記被貼付物の被貼付面の外縁を接触移動する接触部と、前記成形物を裁断する裁断部と、前記裁断部を前記接触部の前記接触移動の軌跡に応じて連動させるために、前記接触部と前記裁断部とを連結する連結部と、を備える。
【0018】
請求項4記載の成形物の余剰部分のトリミング装置における支持領域とは、たとえば、受け治具が載置される部分である。また、参照領域とは、たとえば、被貼付物が載置される部分である。
【0019】
なお、請求項4記載の成形物の余剰部分のトリミング装置においては、請求項5記載の成形物の余剰部分のトリミング装置のように、前記参照領域は前記支持領域の下方に位置し、前記接触部の前記被貼付物との接触位置と、前記裁断部の裁断位置とが平面視で同一位置となるように、前記接触部と前記裁断部とが前記連結部で連結されていることが望ましい。
【0020】
また、請求項4又は請求項5記載の成形物の余剰部分のトリミング装置においては、請求項6記載の余剰部分のトリミング装置のように、前記支持領域と、前記参照領域とを同期して回転させる回転手段を備えることが望ましい。
【0021】
さらに、請求項6記載の余剰部分のトリミング装置においては、請求項7記載の余剰部分のトリミング装置のように、前記回転手段による前記回転の際に、前記被貼付物の前記被貼付面の外縁における前記回転の回転軸からの径方向の長さに応じて、前記接触部を前記回転の回転軸に対して接近又は離反させる移動手段を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の成形物の余剰シートのトリミング方法及びその装置によれば、NC加工機を使用せずとも、接触部が被貼付物の形状を倣うことにより、この接触部に連結された裁断部が、被貼付物の形状通りに動いて成形物を裁断する機構を搭載しており、被貼付物を変更するだけで裁断部の軌跡を種々に変更できるため、多品種のトリミングに対応できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】成形物の成形工程の模式図である。
図2】本発明の概要を模式的に示す。
図3】本発明の概要を模式的に示す。
図4】本発明の概要を模式的に示す。
図5】本発明の第一の実施の形態を模式的に示す。
図6】本発明の第二の実施の形態を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明における成形物90は、たとえば図1に示すようにして形成される。
【0025】
成形物90は、図1(A)に示すシート状の被成形物100を、図1(B)に示すように成形型105の表面に圧接させることで、立体的な形状として成形される。
【0026】
被成形物100としては、たとえば、加熱により軟化することのできる熱可塑性樹脂、たとえば、塩化ビニル樹脂を基材として形成されたシート材を使用することができる。
【0027】
成形物90は、図1(C)に示すように成形型105から取り外され、本発明に係る成形物のトリミング方法に供される。
【0028】
なお、上記の成形は、たとえばTOM(Three Dimension Overlay Method)成形機を用いて行うことができる。
【0029】
本発明に係る成形物のトリミング方法で用いられるトリミング装置10は、図2に示すような模式図で示される。
【0030】
トリミング装置10の上段は支持領域20となっており、ここに支持部25として、たとえば受け治具が位置している。この支持部25の表面には、たとえば図1に示すようにして成形された成形物90が載置され固定される。
【0031】
なお、この固定の際、必要であれば、支持部25を穴を設けた構造として、この穴を通じて成形物90の裏面を減圧吸引して支持部25の表面に吸着させることとしてもよい。
【0032】
この支持部25とは異なる位置、具体的には支持領域20とは離間した位置、さらに具体的には支持領域20の下方であるトリミング装置10の下段は、参照領域30となっており、ここに、成形物90が貼付される被貼付物95が載置される。被貼付物95は、上方の支持領域20に位置している成形物90と平面視で重複する位置に載置される。
【0033】
支持領域20には、成形物90を裁断する刃具を備えた裁断部50が位置している。この刃具としては、たとえば、裁断する部位に直接接触する一般的なカッターを使用することもでき、あるいは、裁断する部位には直接接触しない、たとえばレーザーカッターを使用することもできる。
【0034】
一方、参照領域30には、被貼付物95の被貼付面96の外縁を接触移動する、たとえば倣いローラーによる接触部40が位置している。この接触部40の近傍には、接触部40の被貼付物95への接触を補助する半球状の補助部45も設けられている。
【0035】
さらに、裁断部50と接触部40とは、連結部60で連結されている。そして、接触部40の被貼付物95との接触位置と、裁断部50の裁断位置とが平面視で同一位置となっている。
【0036】
以上により、裁断部50は、この連結部60を介して、図3の矢印に示すような接触部40の接触移動の軌跡に応じて連動して移動可能となっており、それによって、当該軌跡に応じて成形物90を裁断することが可能となっている。
【0037】
すなわち、接触部40を、被貼付物95の被貼付面96の外縁の形状を倣うように接触移動させる。ここで、接触部40を動かす動力は、手動でも、モーター等の動力を使ってもよい。この接触部40が動くことによって、連結部60を介して裁断部50も連動して動き、それにより接触部40の接触移動の軌跡に応じて成形物90をトリミングすることができる。
【0038】
なお、接触部40は、被貼付物95に対して相対的な移動が可能であれば、接触部40又は被貼付物95のいずれを回転させてもよく、あるいはこれらの両方を互いに反対方向に回転させてもよい。
【0039】
裁断部50によって裁断されたトリミング後の成形物90は、図4に示すように、支持部25から取り外され、被貼付物95へ適宜の方法にて貼付されることになる。一方、余剰部分99は支持部25の上に残存することとなり、後に取り除かれる。
【0040】
ここで、この成形物90が貼付される被貼付物95は、現に参照領域30に載置されているそのものであってもよいし、また、この参照領域30に載置されている被貼付物95そのものではないが、同一形状の被貼付物であってもよい。
【0041】
なお、支持部25の表面には成形物90が密着していることが望ましい。ただし、成形物90が支持部25に対して動かないことが確保できれば、成形物90と支持部25との間に部分的に空間があることが望ましい。
【0042】
なお、裁断部が現に裁断する位置では成形物90と支持部25との間に空間があることが望ましいが、レーザーカッターのように、直接接触を要さない裁断部50を用いている場合は、成形物90と支持部25との間にそのような空間はなくても差し支えない。
【0043】
また、成形物90の形状によっては、トリミングの途中で余剰部分99が垂れ下がって裁断位置がずれることもあり得るので、成形物90の辺縁を支持する構造を適宜設けることが望ましい。
【0044】
さらに、被貼付物95は、参照領域30から動かないように、適宜の手段で固定することが望ましい。
【0045】
なお、上記の説明では、被貼付物95は成形物90と同一平面位置に載置することとしたが、裁断部50が接触部40の接触移動の軌跡と連動することができれば、必ずしも同一平面位置でなくても差し支えない。
【0046】
図5は、本発明の第一の実施の形態に係るトリミング装置10を模式的に示したものである。
【0047】
上段の支持領域20と、下段の参照領域30とは、フレーム15にて支持されている。
【0048】
支持領域20の上には回転手段70が設けられ、その上に支持部25が載置され、さらにその上に成形物90が固定されている。
【0049】
参照領域30の上にも同様に回転手段70が設けられ、その上に被貼付物95が載置されている。この参照領域30に設けられている回転手段70は、支持領域20に設けられている回転手段70と回転軸Xが同一で、互いに同期して回転することが可能となっている。
【0050】
支持領域20で成形物90を裁断する裁断部50と、参照領域30で被貼付物95の表面を接触移動する接触部40とが、連結部60にて連結されているのは先述のとおりである。また、接触部40の近傍に、接触部40の被貼付物95への接触を補助する半球状の補助部45が設けられているのもまた同様である。
【0051】
さらに、連結部60には、接触部40の被貼付物95への接触位置、及び、裁断部50の成形物90に対する裁断位置を調整するための移動手段80も設けられている。この移動手段80により、接触部40及び裁断部50を、回転軸Xに対して接近又は離反させることが可能となっている。
【0052】
この接近又は離反は、回転手段70による被貼付物95及び成形物90の回転の際に、接触部40の被貼付物95への接触位置が、当該被貼付物95の被貼付面96の外縁における回転軸Xからの径方向の長さの変動に応じて行われることとなっている。
【0053】
なお、被貼付物95が、球体、半球体、円柱、円錐又は円錐台のような、回転体形状の場合、被貼付物95の被貼付面96の外縁における回転軸Xからの径方向の長さは一定のため、移動手段80は一定の位置を保つこととしてもよい。
【0054】
この状態で、回転手段70により、支持領域20の成形物90と、参照領域30の被貼付物95とを同期して回転させると、接触部40は、被貼付物95の被貼付面96の外縁を相対的に接触移動することとなり、その接触移動の軌跡に応じて、裁断部50は成形物90をトリミングすることが可能となっている。
【0055】
その際、被貼付物95が上記したような回転体形状でない場合は、上記回転に伴い、接触部40の被貼付物95への接触位置は、被貼付物95の被貼付面96の外縁における回転軸Xからの径方向の距離によって変動することとなる。
【0056】
この径方向の距離の変動により、前記移動手段80は、接触部40を回転軸Xに対して接近又は離反させる。
【0057】
これにより、被貼付物95が上記したような回転体形状でない場合であっても、接触部40は被貼付物95の被貼付面96の外縁を倣うように接触移動することが可能となる。
【0058】
そして、連結部60を介した裁断部50により、接触部40の接触移動と同様の軌道にて、成形物90が裁断されることとなる。
【0059】
図6は、本発明の第二の実施の形態に係るトリミング装置10を模式的に示したものである。
【0060】
上段の支持領域20と、下段の参照領域30とは、フレーム15にて支持されている。
【0061】
支持領域20の上には支持部25が設けられ、さらにその上に成形物90が固定されている。
【0062】
参照領域30の上にも同様に、その上には被貼付物95が載置されている。また、参照領域30の下には回転手段70が設けられている。この回転手段70は、支持領域20と参照領域30とを、フレーム15ごと、同一の回転軸Xの周りに同期して回転することが可能となっている。
【0063】
支持領域20で成形物90を裁断する裁断部50と、参照領域30で被貼付物95の表面を接触移動する接触部40とが、連結部60にて連結されているのは先述のとおりである。また、接触部40の近傍に、接触部40の被貼付物95への接触を補助する半球状の補助部45が設けられているのもまた同様である。
【0064】
さらに、連結部60には、接触部40の被貼付物95への接触位置、及び、裁断部50の成形物90に対する裁断位置を調整するための移動手段80も設けられている。この移動手段80により、接触部40及び裁断部50を、回転軸Xに対して接近又は離反させることが可能となっている。
【0065】
この接近又は離反は、回転手段70による被貼付物95及び成形物90の回転の際に、接触部40の被貼付物95への接触位置が、当該被貼付物95の被貼付面96の外縁における回転軸Xからの径方向の長さの変動に応じて行われることとなっている。
【0066】
なお、被貼付物95が、球体、半球体、円柱、円錐又は円錐台のような、回転体形状の場合、被貼付物95の被貼付面96の外縁における回転軸Xからの径方向の長さは一定のため、移動手段80は一定の位置を保つこととしてもよい。
【0067】
この状態で、回転手段70により、支持領域20の成形物90と、参照領域30の被貼付物95とを同期して回転させると、接触部40は、被貼付物95の被貼付面96の外縁を相対的に接触移動することとなり、その接触移動の軌跡に応じて、裁断部50は成形物90をトリミングすることが可能となっている。
【0068】
その際、被貼付物95が上記したような回転体形状でない場合は、上記回転に伴い、接触部40の被貼付物95への接触位置は、被貼付物95の被貼付面96の外縁における回転軸Xからの径方向の距離によって変動することとなる。
【0069】
この径方向の距離の変動により、前記移動手段80は、接触部40を回転軸Xに対して接近又は離反させる。
【0070】
これにより、被貼付物95が上記したような回転体形状でない場合であっても、接触部40は被貼付物95の被貼付面96の外縁を倣うように接触移動することが可能となる。
【0071】
そして、連結部60を介した裁断部50により、接触部40の接触移動と同様の軌道にて、成形物90が裁断されることとなる。
【0072】
なお、回転の途中でフレーム15が接触部40、裁断部50、連結部60又は移動手段80と干渉する場合には、移動手段80により接触部40、裁断部50及び連結部60を一端、回転軸Xから離反する方向へ移動させて、フレーム15との干渉を避けることができ、フレーム15は回転を続行できる。フレーム15が干渉しない位置へ移動すれば、移動手段80は再び接触部40、裁断部50及び連結部60を回転軸Xへ接近する方向へ移動させて、接触部40を被貼付面96の外縁に接触させて、裁断部50による成形物90の裁断が再開される。なお、フレーム15との干渉を避けるために成形物90において裁断できなかった箇所は、手作業にて別途裁断する。
【符号の説明】
【0073】
10 トリミング装置
20 支持領域
25 支持部
30 参照領域
40 接触部
50 裁断部
60 連結部
70 回転手段
80 移動手段
90 成形物
95 被貼付物
96 被貼付面
99 余剰部分
100 被成形物
図1
図2
図3
図4
図5
図6