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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20220802BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20220802BHJP
   A61M 25/14 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
A61M25/092 500
A61M25/092 510
A61M25/00 620
A61M25/14 512
A61M25/00 610
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018542023
(86)(22)【出願日】2017-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2017031335
(87)【国際公開番号】W WO2018061598
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2016194360
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599161937
【氏名又は名称】株式会社タケモリ
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】特許業務法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 美代子
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 清文
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-106713(JP,A)
【文献】特開平11-076258(JP,A)
【文献】米国特許第05823955(US,A)
【文献】特表2011-507606(JP,A)
【文献】特開2010-119737(JP,A)
【文献】特開2010-213800(JP,A)
【文献】特表2015-511855(JP,A)
【文献】特開平06-343702(JP,A)
【文献】特開2013-034749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/092
A61M 25/00
A61M 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のシャフト部材に対して長さ方向に延びるコントロールルーメンが設けられていると共に、該コントロールルーメンにコントロールワイヤが挿通されており、該シャフト部材には該コントロールワイヤの先端が固定される固定部が設けられていると共に、該コントロールワイヤの先端部分には該コントロールルーメンの周壁に設けられた窓部を通じて該シャフト部材における別の内部空間に露出された露出部が所定長さに亘って設けられており、且つ、
該固定部が該シャフト部材の周壁の内部に設けられていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記シャフト部材の長さ方向において、前記窓部が前記固定部よりも基端側に設けられている請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
長尺のシャフト部材に対して長さ方向に延びるコントロールルーメンが設けられていると共に、該コントロールルーメンにコントロールワイヤが挿通されており、該シャフト部材には該コントロールワイヤの先端が固定される固定部が設けられていると共に、該コントロールワイヤの先端部分には該コントロールルーメンの先端開口部によって構成された窓部を通じて該シャフト部材における別の内部空間に露出された露出部が所定長さに亘って設けられており、且つ、
該窓部から該別の内部空間に露出された該コントロールワイヤの先端部分が折り返されていると共に、該固定部がコントロールルーメン形成位置に対して該シャフト部材の周方向で離れた位置に設けられており、該シャフト部材の長さ方向において、該窓部が該固定部よりも先端側に設けられていることを特徴とするカテーテル。
【請求項4】
前記別の内部空間が、前記シャフト部材の長さ方向に延びる別ルーメンとされている請求項1~の何れか1項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記別ルーメンが、前記コントロールルーメンよりも大きな断面で延びるメインルーメンとされている請求項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記シャフト部材における前記固定部から10~50mm離れた位置に前記窓部が設けられている請求項1~の何れか1項に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記シャフト部材の先端から10~40mm離れた位置に前記固定部が設けられている請求項1~の何れか1項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記コントロールワイヤの基端側には、長さ方向に操作力を外部から及ぼすコントローラが設けられている請求項1~の何れか1項に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記シャフト部材の中間層として編組線が埋設されて補強されている請求項1~の何れか1項に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記コントロールルーメンと前記別の内部空間の少なくとも一方の内周面が、前記シャフト部材の本体部分とは異なる材質で形成されている請求項1~の何れか1項に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記コントロールワイヤが複数設けられていると共に、該複数のコントロールワイヤにおけるそれぞれの前記固定部の位置が周方向で互いに異ならされている請求項1~10の何れか1項に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記複数のコントロールワイヤが挿通される前記コントロールルーメンが該複数のコントロールワイヤのそれぞれに対応して複数設けられている請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記窓部が、前記シャフト部材の長さ方向において相互に離隔して複数設けられている請求項1~12の何れか1項に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記シャフト部材における周方向と長さ方向の少なくとも一方で異なる位置に、前記コントロールルーメンが複数設けられている請求項1~13の何れか1項に記載のカテーテル。
【請求項15】
血管内の血栓等を吸引するための吸引カテーテルとされている請求項1~14の何れか1項に記載のカテーテル。
【請求項16】
長尺のシャフト部材に対して長さ方向に延びるコントロールルーメンが設けられていると共に、該コントロールルーメンにコントロールワイヤが挿通されており、該コントロールルーメンの先端が閉塞されていると共に、該コントロールワイヤの先端が固定される固定部が該コントロールルーメン内に配置されている一方、該コントロールルーメンの先端部分の周壁に窓部が設けられて、該コントロールワイヤの先端部分には窓部を通じて該コントロールルーメンから該シャフト部材における別の内部空間である吸引ルーメンへ部分的に突出する変形が許容された露出部が所定長さに亘って設けられていることを特徴とする吸引カテーテル。
【請求項17】
前記吸引カテーテルが、下肢血管用とされている請求項15又は16に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮的に体内管腔に挿入されて、病変部の観察や治療などに供せられるカテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、血管や管状器官などの体内管状組織に対して検査や治療などを行うための医療器具の一種として、カテーテルなどの管状部材が知られている。具体的には、PCTA(経皮的冠動脈経血管形成術)やPTCR(冠動脈血栓溶解術),PTCD(経皮経肝胆道ドレナージ),PEIT(ペイト)などの処置に際して、カテーテルが用いられている。
【0003】
ところで、体内の管腔は屈曲や湾曲、分岐していることが多く、カテーテルなどの管状部材を挿入する際には、体内管腔の湾曲形状などに対応して管状部材を湾曲変形させることが必要である。かかる管状部材は、体内管腔の内壁面に押し当てて湾曲変形せしめることなども可能であるが、内壁面に強く押し当てると体内管腔が損傷するおそれもあることから、体内管腔の形状に応じて、使用者が、管状部材を適宜湾曲変形させることのできる構造であることが好ましい。
【0004】
そこで、特表2014-521447号公報(特許文献1)には、使用者が操作することにより先端部分が湾曲変形可能とされたカテーテルが提案されている。すなわち、特許文献1に記載のカテーテルの内部には、一端がカテーテルの先端部分に固定されたワイヤなどの操縦要素が設けられており、当該操縦要素の他端を外部からカテーテルの長さ方向で押込または引張操作することで、使用者がカテーテルの先端部分を湾曲変形せしめることが可能とされている。
【0005】
ところが、上記特許文献1に記載のカテーテルでは、ワイヤなどの操縦要素が、カテーテルの長さ方向に管状に延びる操縦要素管腔内に挿通されて先端がカテーテルに固定されているに過ぎなかった。それ故、例えば操縦要素の押込操作時には、操縦要素が操縦要素管腔の周壁内面に当接して、カテーテルの先端部分における湾曲変形に悪影響を与えたり、摩擦抵抗で大きな操作力が必要とされるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2014-521447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、外部からの操作に対して先端部分をより効果的に湾曲変形させることができる、新規な構造のカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0009】
本発明の第1の態様は、長尺のシャフト部材に対して長さ方向に延びるコントロールルーメンが設けられていると共に、該コントロールルーメンにコントロールワイヤが挿通されており、該シャフト部材には該コントロールワイヤの先端が固定される固定部が設けられていると共に、該コントロールワイヤの先端部分には該コントロールルーメンの周壁に設けられた窓部を通じて該シャフト部材における別の内部空間に露出された露出部が所定長さに亘って設けられており、且つ、該固定部が該シャフト部材の周壁の内部に設けられていることを特徴とするカテーテルである。
【0010】
本態様に従う構造とされたカテーテルによれば、コントロールワイヤが別の内部空間に露出されていることから、コントロールワイヤの操作時にコントロールワイヤの変形自由度が確保されると共に、コントロールルーメンの周壁への摺接抵抗も軽減され得る。それ故、コントロールワイヤの操作によってカテーテルに及ぼし得る変形力の設定自由度が向上されると共に、コントロールワイヤの操作性の向上が図られ得る。
【0011】
さらに、コントロールワイヤの先端部分が、所定の長さに亘って別の内部空間に露出されていることから、コントロールワイヤが撓み変形するための長さ寸法が十分に確保され得て、撓み変形時におけるコントロールワイヤとコントロールルーメンの周壁との当接が、一層効果的に防止され得る。
また、本発明の第の態様は、前記第1の態様に係るカテーテルにおいて、前記シャフト部材の長さ方向において、前記窓部が前記固定部よりも基端側に設けられているものである。
本発明の第の態様は、長尺のシャフト部材に対して長さ方向に延びるコントロールルーメンが設けられていると共に、該コントロールルーメンにコントロールワイヤが挿通されており、該シャフト部材には該コントロールワイヤの先端が固定される固定部が設けられていると共に、該コントロールワイヤの先端部分には該コントロールルーメンの先端開口部によって構成された窓部を通じて該シャフト部材における別の内部空間に露出された露出部が所定長さに亘って設けられており、且つ、該窓部から該別の内部空間に露出された該コントロールワイヤの先端部分が折り返されていると共に、該固定部がコントロールルーメン形成位置に対して該シャフト部材の周方向で離れた位置に設けられており、該シャフト部材の長さ方向において、該窓部が該固定部よりも先端側に設けられていることを特徴とするカテーテルである。
【0012】
本発明の第の態様は、前記第1~第の何れかの態様に係るカテーテルにおいて、前記別の内部空間が、前記シャフト部材の長さ方向に延びる別ルーメンとされているものである。
【0013】
本態様に従う構造とされたカテーテルによれば、コントロールルーメンと別ルーメンとを相互に連通することで、かかる連通部分により窓部が形成されてコントロールワイヤが別の内部空間に露出せしめられることから、カテーテルの構造をより簡単なものとすることができる。
【0014】
本発明の第の態様は、前記第の態様に係るカテーテルにおいて、前記別ルーメンが、前記コントロールルーメンよりも大きな断面で延びるメインルーメンとされているものである。
【0015】
本態様に従う構造とされたカテーテルによれば、コントロールワイヤが、シャフト部材において大きな断面を有するメインルーメンに露出されていることから、コントロールワイヤの押込操作時には、コントロールワイヤが一層大きく撓み変形可能とされる。これにより、撓み変形時におけるコントロールワイヤとコントロールルーメンの周壁との当接回避や、コントールワイヤを通じてシャフト部材に及ぼされる曲げ等の操作力の設定自由度が、より効果的に実現され得る。
【0016】
本発明の第の態様は、前記第1~第の何れかの態様に係るカテーテルにおいて、前記シャフト部材における前記固定部から10~50mm離れた位置に前記窓部が設けられているものである。
【0017】
本態様に従う構造とされたカテーテルによれば、カテーテル内腔においてコントロールワイヤに及ぼされる操作力に対して湾曲部の変形による緩衝作用が発揮されることから、例えばカテーテルが血栓吸引カテーテルとされる場合には、先端を屈曲させることによる血栓の吸引などが効果的に実現され得る。
【0018】
なお、窓部と固定部との離隔距離が10mm未満とされる場合には、カテーテル先端において屈曲変形する領域が小さくなり過ぎて(カテーテル先端における変形量が小さくなり過ぎて)、カテーテル先端を血管などの管腔の内壁に十分に近づけることができず、例えばカテーテルが吸引カテーテルとされる場合には、血管内壁に付着した血栓などを十分に吸引できないおそれがある。また、窓部と固定部との離隔距離が50mmより大きくされる場合には、カテーテルにおける屈曲の開始地点がカテーテル先端から離れ過ぎることから、管腔の曲率に対してカテーテルの屈曲部分の曲率が小さくなり過ぎて、管腔の湾曲形状に対応した形状にカテーテルを変形させることが困難となるおそれがある。さらに、コントロールワイヤの操作量、即ちコントロールワイヤに及ぼされる操作荷重量が大きくなり過ぎて、血管に与えるストレスが大きくなるおそれがある。
【0019】
本発明の第の態様は、前記第1~第の何れかの態様に係るカテーテルにおいて、前記シャフト部材の先端から10~40mm離れた位置に前記固定部が設けられているものである。
【0020】
本態様に従う構造とされたカテーテルによれば、カテーテル先端が血管などの管腔の内壁の治療部位に適切に当接されることから、例えばカテーテルが血栓吸引カテーテルとされる場合には、先端を屈曲させることによる血栓の吸引などが効果的に実現され得る。なお、シャフト部材の先端と固定部との離隔距離が10mm未満とされる場合には、カテーテル先端において屈曲変形する領域が小さくなり過ぎて(カテーテル先端における変形量が小さくなり過ぎて)、カテーテル先端を管腔内壁に十分に近づけることができず、例えばカテーテルが吸引カテーテルとされる場合には、血管内壁に付着した血栓などを十分に吸引できないおそれがある。また、シャフト部材の先端と固定部との離隔距離が40mmより大きくされる場合には、カテーテルにおける屈曲の開始地点がカテーテル先端から離れ過ぎることから、管腔の曲率に対してカテーテルの屈曲部分の曲率が小さくなり過ぎて、管腔の湾曲形状に対応した形状にカテーテルを変形させることが困難となるおそれがある。さらに、コントロールワイヤの操作量、即ちコントロールワイヤに及ぼされる操作荷重量が大きくなり過ぎて、血管に与えるストレスが大きくなるおそれがある。
【0021】
本発明の第の態様は、前記第1~第の何れかの態様に係るカテーテルにおいて、前記コントロールワイヤの基端側には、長さ方向に操作力を外部から及ぼすコントローラが設けられているものである。
【0022】
本態様に従う構造とされたカテーテルによれば、コントローラが設けられていることから、使用者がコントローラを把持して操作することで、コントロールワイヤに対して外部から容易に操作力を及ぼすことができる。
【0023】
本発明の第の態様は、前記第1~第の何れかの態様に係るカテーテルにおいて、前記シャフト部材の中間層として編組線が埋設されて補強されているものである。
【0024】
本態様に従う構造とされたカテーテルによれば、編組線の埋設領域は補強されていることから、例えばシャフト部材に編組線が埋設される場合には、コントロールワイヤの露出部の外周側におけるシャフト部材の屈曲性が担保されて、加えてカテーテル全体における耐キンク性やトルク伝達性、プッシュ性などが向上され得る。なお、編組線の埋設領域は何等限定されるものではないが、例えばメインルーメンやコントロールルーメンの周壁の内部などに好適に設けられる。
【0025】
本発明の第10の態様は、前記第1~第の何れかの態様に係るカテーテルにおいて、前記コントロールルーメンまたは前記別の内部空間の内周面が、前記シャフト部材の本体部分とは異なる材質で形成されているものである。
【0026】
本態様に従う構造とされたカテーテルによれば、シャフト部材において、コントロールルーメンや当該コントロールルーメンとは別の内部空間の内周面とそれ以外の部分の材質を相互に異ならせることで、カテーテルに各種特性を付与することができる。すなわち、例えばコントロールルーメンの周壁を、それ以外の部分よりも柔らかい材質で形成することによりカテーテルをより湾曲変形し易くすることも可能である。また、本態様では、コントロールルーメンの内面にコーティング層を設けることも可能であり、例えばコントロールルーメンの内面に設けられるコーティング層を摩擦係数の小さな材質で形成することにより、コントロールワイヤの、コントロールルーメンに対する摺動抵抗の軽減が図られ得る。
【0027】
また、以下の第11~第14の何れかの態様に従う構造とされたカテーテルによれば、コントロールワイヤを操作することにより、カテーテルを所望の方向や形状に湾曲変形せしめることが可能となる。
【0028】
【0029】
【0030】
本発明の第11の態様は、前記第1~第10の何れかの態様に係るカテーテルにおいて、前記コントロールワイヤが複数設けられていると共に、該複数のコントロールワイヤにおけるそれぞれの前記固定部の位置が周方向で互いに異ならされているものである。
【0031】
本態様に従う構造とされたカテーテルによれば、コントロールワイヤを複数設けることで、カテーテルをより多方向に湾曲変形させることも可能となる。
【0032】
本発明の第12の態様は、前記第11の態様に係るカテーテルにおいて、前記複数のコントロールワイヤが挿通される前記コントロールルーメンが該複数のコントロールワイヤのそれぞれに対応して複数設けられているものである。
【0033】
本態様に従う構造とされたカテーテルによれば、複数のコントロールワイヤのそれぞれが別々のコントロールルーメンに挿通されていることから、コントロールワイヤ間の相互干渉が効果的に防止され得る。
【0034】
本発明の第13の態様は、前記第1~第12の何れかの態様に係るカテーテルであって、前記窓部が、前記シャフト部材の長さ方向において相互に離隔して複数設けられているものである。
【0035】
本発明の第14の態様は、前記第1~第13の何れかの態様に係るカテーテルであって、前記シャフト部材における周方向または長さ方向で異なる位置に、前記コントロールルーメンが複数設けられているものである。
【0036】
また、本発明に係るカテーテルは、血管内の血栓等を吸引するための吸引カテーテルとされていることが好適である。
【0037】
また、前記吸引カテーテルが、下肢血管用とされていることが好適である。本態様に従う構造とされたカテーテルによれば、下肢血管のような血管内径が4~15mmの大きい血管径の場合において、先端を屈曲させることによる血栓の吸引などが効果的に実現され得る。なお、下肢血管とは、例えば腸骨動静脈、大腿動静脈、膝窩(膝下)動静脈などが好適に挙げられる。
【発明の効果】
【0038】
本発明に従う構造とされたカテーテルによれば、コントロールワイヤの押込操作時において、コントロールワイヤとコントロールルーメンとの当接が効果的に回避されることから、これらの当接に伴う影響を最小限とすることができて、カテーテルをより確実に湾曲変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の第1の実施形態としてのカテーテルの全体を示す正面図。
図2図1に示されたカテーテルの要部を模式的に示す縦断面図。
図3図2におけるIII-III断面図。
図4図2におけるIV-IV断面図。
図5図1に示されたカテーテルにおけるコントロールワイヤに引張方向の操作力を及ぼした際のカテーテルの湾曲変形を説明するための説明図。
図6図1に示されたカテーテルにおけるコントロールワイヤに押込方向の操作力を及ぼした際のカテーテルの湾曲変形を説明するための説明図。
図7】本発明の第1の実施形態における別の態様としてのカテーテルの要部を示す縦断面図であって、図2に対応する図。
図8図7におけるVIII-VIII断面図。
図9】本発明の第2の実施形態としてのカテーテルにおける要部を模式的に示す縦断面図。
図10図9に示されたカテーテルにおけるコントロールワイヤに引張方向の操作力を及ぼした際のカテーテルの湾曲変形を説明するための説明図。
図11図9に示されたカテーテルにおけるコントロールワイヤに押込方向の操作力を及ぼした際のカテーテルの湾曲変形を説明するための説明図。
図12】本発明の第3の実施形態としてのカテーテルにおける要部を模式的に示す平面図。
図13図12におけるXIII-XIII断面図。
図14図12におけるXIV-XIV断面図。
図15】本発明の第4の実施形態としてのカテーテルにおける要部を模式的に示す縦断面図。
図16図15に示されたカテーテルにおけるコントロールワイヤに引張方向の操作力を及ぼした際のカテーテルの湾曲変形を説明するための説明図。
図17】本発明の第5の実施形態としてのカテーテルにおける要部を模式的に示す縦断面図。
図18図17に示されたカテーテルにおけるコントロールワイヤに引張方向の操作力を及ぼした際のカテーテルの湾曲変形を説明するための説明図。
図19】本発明の第6の実施形態としてのカテーテルにおける要部を模式的に示す縦断面図。
図20図19に示されたカテーテルにおけるコントロールワイヤに引張方向の操作力を及ぼした際のカテーテルの湾曲変形を説明するための説明図。
図21】本発明の第7の実施形態としてのカテーテルにおける要部を模式的に示す縦断面図。
図22図21に示されたカテーテルにおけるコントロールワイヤに引張方向の操作力を及ぼした際のカテーテルの湾曲変形を説明するための説明図。
図23】本発明の別の態様としてのカテーテルの横断面図であって、図4に対応する図。
図24】本発明の更に別の態様としてのカテーテルを示す横断面図であって、図4に対応する図。
図25】本発明の更に別の態様としてのカテーテルを示す横断面図であって、図4に対応する図。
図26】本発明の更に別の態様としてのカテーテルを示す横断面図であって、図4に対応する図。
図27】本発明の更に別の態様としてのカテーテルを示す横断面図であって、図3に対応する図。
図28】本発明の第3の実施形態における別の態様としてのカテーテルを示す横断面図であって、図14に対応する図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0041】
先ず、図1~4には、本発明に係るカテーテルの第1の実施形態として下肢血管用の吸引カテーテル10が示されている。この吸引カテーテル10は、その内部に、先端と基端に開口して長さ方向の全長に亘って延びるメインルーメンとしての吸引ルーメン12を備えている。そして、かかる吸引カテーテル10が下肢の血管内に挿入されて、吸引ルーメン12の基端側に負圧源が接続されることで、吸引ルーメン12を通じて下肢の血管内の血栓などが吸引されるようになっている。以下の説明において、長さ方向とは、図1中の左右方向をいう。また、先端側とは、図1中の左側をいう一方、基端側とは、図1中の右側をいう。さらに、上方とは、図1中の上方をいう一方、下方とは、図1中の下方をいう。なお、図2~4に示す吸引カテーテル10の縦断面図および横断面図は、吸引カテーテル10を模式的に示すものであり、その部材の形状や大きさなどを正確に示すものではない。
【0042】
より詳細には、吸引カテーテル10は、カテーテル本体14と、当該カテーテル本体14の基端側に設けられるコントローラ16とを含んで構成されている。
【0043】
カテーテル本体14は、長尺で管状の本体シャフト18を備えており、当該本体シャフト18が、長さ方向に延びる周壁20を有している。かかる本体シャフト18は、軟質の合成樹脂により形成されており、例えばポリアミドやポリアミドエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリフッ化ビニリデンなどが採用され得る。なお、本実施形態の吸引カテーテル10は下肢血管用とされていることから、例えば心臓血管用のカテーテルに比べて外径寸法が大きくされており、本体シャフト18の外径寸法が約2mmとされている。ここで、下肢血管とは、例えば腸骨動静脈、大腿動静脈、膝窩(膝下)動静脈などが挙げられる。
【0044】
この本体シャフト18は、図2~4にも示されるように、先端部分および基端部分では、シングルルーメン構造とされている一方、軸方向中間部分では、2つのルーメンが並列的に配置されたダブルルーメン構造とされている。すなわち、本体シャフト18の先端部分では、周壁20の内周側に、長さ方向に延びる中央ルーメン22が形成されている一方、軸方向中間部分では、長さ方向に延びる第1ルーメン24と第2ルーメン26が形成されている。そして、この第2ルーメン26が、本体シャフト18の基端部分まで延びている。なお、中央ルーメン22のシングルルーメン構造とされた部分と、第1および第2ルーメン24,26のダブルルーメン構造とされた部分とは別体で形成されて相互に後固着されてもよいが、本実施形態では、これらが一体的に形成されている。
【0045】
また、第1ルーメン24は中央ルーメン22および第2ルーメン26よりも小径とされており、これら第1ルーメン24と第2ルーメン26とは、上下方向で並列して設けられている。すなわち、第1ルーメン24の周壁28の一部は、本体シャフト18の周壁20により構成されているとともに、周上の他の一部が第2ルーメン26の周壁30と共通して構成されている。
【0046】
そして、かかる中央ルーメン22と第2ルーメン26とにより、本体シャフト18の長さ方向全長に亘って貫通して延びるメインルーメンとしての吸引ルーメン12が構成されている。
【0047】
また、本体シャフト18の先端には、先端チップ32が固着されている。この先端チップ32は、全体として略筒状とされており、吸引ルーメン12と先端チップ32の内孔とが相互に連通されている。これら本体シャフト18と先端チップ32とにより、カテーテル本体14の長さ方向に延びる長尺で管状のシャフト部材33が構成されている。なお、本実施形態では、本体シャフト18とは別体とされた先端チップ32が、本体シャフト18に対して後固着されているが、例えば先端チップは本体シャフトと一体的に形成されてもよい。そして、先端チップ32の周壁の一部(図1中の下方)には切欠状の開口部34が形成されており、吸引ルーメン12の先端が、開口部34を介して外部に開口している。
【0048】
なお、本実施形態では、先端チップ32の内孔と吸引ルーメン12とにより、ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤルーメンが構成されており、当該ガイドワイヤルーメンが吸引カテーテル10の略全長に亘って延びている。それ故、本実施形態の吸引カテーテル10は、オーバーザワイヤ型のカテーテルとされている。
【0049】
一方、コントローラ16は、全体として略直方体状のボデー36と、当該ボデー36に対して長さ方向で変位可能な操作部38とを含んで構成されている。ボデー36は使用者が片手で把持した状態で、操作部38を親指で操作可能な形状および大きさとされている。本実施形態のボデー36は、使用者が把持し易いように、先端部分において下面が先端側に向かって次第に上傾していると共に、基端部分において上面が基端側に向かって次第に下傾している。
【0050】
また、ボデー36の下方には、長さ方向で貫通する貫通孔40が形成されているとともに、当該貫通孔40の基端側開口部には筒状のコネクタ42が挿入されて固定されている。かかるボデー36の貫通孔40に、本体シャフト18の基端部分(第2ルーメン26を構成する周壁30)が挿通されるとともに、第1ルーメン24を構成する周壁28の基端がボデー36の先端に固着されることにより、コントローラ16がカテーテル本体14に取り付けられている。そして、吸引ルーメン12(第2ルーメン26)とコネクタ42の内孔とが相互に連通されている。すなわち、吸引ルーメン12の基端が、コネクタ42を介して外部に開口している。
【0051】
さらに、ボデー36の上面には、長さ方向に所定寸法をもって延びるスリット44が形成されている。このスリット44は上方に開口している。また、ボデー36の先端部分には、長さ方向で貫通する挿通孔46が形成されており、スリット44の下部における内部空間が、当該挿通孔46を通じて、第1ルーメン24と相互に連通されている。
【0052】
一方、操作部38は、全体として略直方体状とされており、スリット44よりも僅かに小さい幅寸法を有しており、スリット44に嵌まり込んでいる。また、操作部38の上部はボデー36から突出しており、使用者がボデー36を把持しつつ親指などで操作部38におけるボデー36からの突出部分を操作可能とされている。それ故、操作部38におけるボデー36からの突出部分が、操作部38を実質的に操作する入力部48とされている。
【0053】
一方、操作部38の下部には、先端側に開口する挿通穴50が設けられており、後述するコントロールワイヤ54の基端が挿入されて、必要に応じて接着などの処理が施されることにより固着されている。それ故、かかる操作部38の下部が、コントロールワイヤ54を保持するワイヤ保持部52とされている。
【0054】
ここにおいて、第1ルーメン24には、吸引カテーテル10の湾曲変形を制御するコントロールワイヤ54が挿通されている。このコントロールワイヤ54は、例えば細い金属や樹脂の線状体などにより構成されて可撓性を有しており、ステンレス鋼やNi-Ti合金、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、炭素繊維などで形成されている。したがって、かかる第1ルーメン24が、コントロールワイヤ54が挿通されるコントロールルーメンとされている。
【0055】
このコントロールワイヤ54は第1ルーメン24内を延びており、ボデー36の先端に設けられた挿通孔46を通じて、スリット44の内部空間に延びている。そして、コントロールワイヤ54の基端が、操作部38の挿通穴50に挿入されてワイヤ保持部52に固着されている。
【0056】
一方、コントロールワイヤ54の先端は、第1ルーメン24よりも先端側に延び出して、中央ルーメン22(本体シャフト18)における上方の内面に対して、接着剤56による接着や溶着により固定されている。かかる本体シャフト18におけるコントロールワイヤ54の先端の固定位置が固定部57とされている。すなわち、コントロールワイヤ54の先端部分は、窓部としての第1ルーメン24の先端側開口部58を通じて第1ルーメン(コントロールルーメン)24から突出しており、かかる第1ルーメン24の先端側開口部(窓部)58が、コントロールワイヤ54の本体シャフト18への固定位置(固定部57)よりも基端側に設けられている。また、後述する図7のような中央ルーメン22の内部に入り込んだコントロールワイヤ54は、別の貫通孔を通じて外部に突出して、本体シャフト18の外周面に固着されてもよい。
【0057】
なお、これら固定部57と窓部58とは、長さ方向において、10~50mm離れた位置に設けられることが好適であり、更に好適には20~40mm離れた位置に設けられる。すなわち、固定部57と窓部58との離隔距離が10mmより小さいと、後述する吸引カテーテル10の変形時において、長さ方向に直交する方向の変形量が小さくなり過ぎて、吸引カテーテル10先端の開口部34を血管内壁に十分に近づけることができず、血管内壁に付着した血栓などを十分に吸引できないおそれがある。また、固定部57と窓部58との離隔距離が50mmより大きいと、吸引カテーテル10における屈曲の開始地点が吸引カテーテル10先端から離れ過ぎることから、下肢の血管(例えば外腸骨動脈や浅大腿動脈)の曲率に対して吸引カテーテル10の屈曲部分の曲率が小さくなり過ぎて、血管の湾曲形状に対応した形状に吸引カテーテルを変形させることが困難となるおそれがある。さらに、コントロールワイヤ54の操作量、即ちコントロールワイヤ54に及ぼされる操作荷重量が大きくなり過ぎて、血管に与えるストレスが大きくなるおそれがある。
【0058】
また、吸引カテーテル10(シャフト部材33)の先端から固定部57までの離隔距離は、長さ方向において、10~40mmの範囲内に設定されることが好適であり、更に好適には、20~30mmの範囲内に設定される。すなわち、吸引カテーテル10の先端と固定部57との離隔距離が10mmより小さいと、後述する吸引カテーテル10の変形時において、長さ方向に直交する方向の変形量が小さくなり過ぎて、吸引カテーテル10先端の開口部34を血管内壁に十分に近づけることができず、血管内壁に付着した血栓などを十分に吸引できないおそれがある。また、吸引カテーテル10の先端と固定部57との離隔距離が40mmより大きいと、吸引カテーテル10における屈曲の開始地点が吸引カテーテル10先端から離れ過ぎることから、下肢の血管(例えば外腸骨動脈や浅大腿動脈)の曲率に対して吸引カテーテル10の屈曲部分の曲率が小さくなり過ぎて、血管の湾曲形状に対応した形状に吸引カテーテルを変形させることが困難となるおそれがある。さらに、コントロールワイヤ54の操作量、即ちコントロールワイヤ54に及ぼされる操作荷重量が大きくなり過ぎて、血管に与えるストレスが大きくなるおそれがある。
【0059】
そして、コントロールワイヤ54が、第1ルーメン24の先端側開口部58からの突出部分において、第1ルーメン24とは別の内部空間である別ルーメンとしての吸引ルーメン(メインルーメン)12内に露出されている。かかるコントロールワイヤ54における露出部60は、所定の長さ寸法をもって構成されており、本実施形態では、固定部57と窓部58との長さ方向における離隔距離と等しくされている。
【0060】
なお、かかるコントロールワイヤ54の断面形状は何等限定されるものではないが、本実施形態のコントロールワイヤ54は、円形の一定断面形状をもって長さ方向の略全長に亘って延びている。
【0061】
かかる構造とされた吸引カテーテル10の先端側が血管内に挿入される一方、基端側に設けられたコネクタ42には内設状態でY字コネクタが接続される。そして、Y字コネクタに負圧源を接続することで、吸引ルーメン12を通じて血栓などを含む血液が吸引される。なお、かかるY字コネクタは、コネクタ42に外挿状態で接続されてもよい。
【0062】
ここにおいて、かかる吸引カテーテル10は、コントローラ16における操作部38を外部から操作して、スリット44内を長さ方向で変位させることにより、操作部38に固定されているコントロールワイヤ54に長さ方向の操作力を及ぼすことができる。これにより、吸引カテーテル10の先端部分を湾曲変形させることが可能とされている。
【0063】
すなわち、図5に示されるように、操作部38をボデー36に対して基端側に変位させることで、コントロールワイヤ54には、引張方向の操作力が及ぼされる。これにより、コントロールワイヤ54の先端が固定されている部分の周壁20が基端側に引っ張られる。それ故、本体シャフト18の周壁20において、図中で上部の壁部が長さ方向に圧縮されて、長さ方向寸法が下部の壁部に対して小さくされることで、吸引カテーテル10の先端が上方へ向かうように湾曲変形せしめられるようになっている。
【0064】
一方、図6に示されるように、操作部38をボデー36に対して先端側に変位させることで、コントロールワイヤ54には、押込方向の操作力が及ぼされる。これにより、コントロールワイヤ54の先端が固定されている部分の周壁20が先端側に押し込まれる。それ故、本体シャフト18の周壁20において、図中で上部の壁部が長さ方向に引っ張られて、長さ方向寸法が下部の壁部に対して大きくされることで、吸引カテーテル10の先端が下方へ向かうように湾曲変形せしめられるようになっている。
【0065】
以上の如き構造とされた吸引カテーテル10では、先端部分を湾曲変形させることで開口部34を血管の壁面に近づけることができて、例えば血管内壁に付着した血栓の吸引効率の向上が図られ得る。
【0066】
ここにおいて、コントロールワイヤ54が窓部(第1ルーメン24の先端側開口部58)を通じてメインルーメン(吸引ルーメン12)内に露出されていることから、コントロールワイヤ54のメインルーメン内への大きな突出変形が許容されており、第1ルーメン24の周壁28への当接に起因する摺接抵抗の増大が軽減されると共に、コントロールワイヤ54の変形拘束による吸引カテーテル10の変形阻害も防止される。
【0067】
また、図7,8には、上記第1の実施形態に係る吸引カテーテル10の別の態様である下肢血管用の吸引カテーテル62の要部が示されている。なお、本態様では、吸引カテーテル62の先端部分と基端部分は上記第1の実施形態と同様の構造が採用され得ることから、図7では、コントロールワイヤ64の先端部分のみを図示するものとする。
【0068】
上記第1の実施形態では、本体シャフト18において、中央ルーメン22のシングルルーメン構造とされた部分と、第1および第2ルーメン24,26のダブルルーメン構造とされた部分が一体的に形成されていたが、本態様ではこれらが別々に形成されて相互に後固着されている。すなわち、本態様では、中央ルーメン66を備える先端側チューブ68に対して、第1ルーメン70と第2ルーメン72とを備える基端側チューブ74が接着や溶着などにより固着されている。そして、中央ルーメン66と第2ルーメン72とが相互に連通しており、これらによりメインルーメンとしての吸引ルーメン76が構成されている。また、本態様では、上記先端側チューブ68と基端側チューブ74とを含んでシャフト部材78が構成されている。
【0069】
なお、上記第1の実施形態では、第1ルーメン24の周壁28と第2ルーメン26の周壁30とが一体的に形成されて、これらが部分的に共通して構成されていたが、本態様では、第1ルーメン70の周壁80と第2ルーメン72の周壁82とが別体で形成されて相互に独立している。そして、これら周壁80,82を上下方向で重ね合わせてカバーチューブ84で覆い、熱収縮により周壁80,82を密着固定せしめることで基端側チューブ74が構成されている。なお、第2ルーメン72の周壁82は、金属などの編組線86が埋設されて補強されている。
【0070】
そして、コントロールルーメンとしての第1ルーメン70にコントロールワイヤ64が挿通されており、窓部としての第1ルーメン70の先端側開口部88から突出するコントロールワイヤ64が、先端側チューブ68の周壁90に設けられた貫通孔92を通じて中央ルーメン66の内部に入り込んでいる。また、中央ルーメン66の内部に入り込んだコントロールワイヤ64は、別の貫通孔94を通じて、外部に突出して先端側チューブ68の外周面に接着剤56などにより固着されている。なお、第1ルーメン70の先端側開口部88は、先端側チューブ68の周壁90に設けられた貫通孔92の外周側開口縁部に固着されており、第1ルーメン70と中央ルーメン66とが隙間なく連通されている。また、先端側チューブ68の外周面に設けられる接着剤56は、周壁90に設けられる貫通孔94を外周側から塞ぐようになっている。これにより、コントロールワイヤ64が吸引カテーテル62の外部に露出しないようになっている。
【0071】
かかる構造とされた吸引カテーテル62においても、コントロールルーメン(第1ルーメン)70の窓部(先端側開口部)88から突出するコントロールワイヤ64には、別の内部空間である別ルーメンとしてのメインルーメン(吸引ルーメン)76に露出する露出部96が設けられていることから、上記第1の実施形態と同様の効果が発揮され得る。
【0072】
次に、図9には、本発明に係るカテーテルの第2の実施形態として下肢血管用の吸引カテーテル98が示されている。なお、吸引カテーテル98において、コントロールワイヤ54の先端部分以外の構造は、前記第1の実施形態と同様であることから、図9~11においては、コントロールワイヤ54の先端部分以外の図示を省略する。また、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材または部位には、図中に、前記実施形態と同一の符号を付すことにより、詳細な説明を省略する。
【0073】
本実施形態の吸引カテーテル98では、第1ルーメン(コントロールルーメン)24の先端部分から突出するコントロールワイヤ54は、第1ルーメン24の先端側開口部(窓部)58よりも先端側で基端側に折り返されて、第2ルーメン26における下方の内面に接着剤56により固定されている。すなわち、第1ルーメン24の先端側開口部58が、コントロールワイヤ54の本体シャフト18への固定位置(固定部57)よりも先端側に設けられている。
【0074】
上記の如き構造とされた吸引カテーテル98においても、コントローラ(16)における操作部(38)を操作することで、先端部分が湾曲変形せしめられる。すなわち、図10に示されるように、操作部(38)を基端側に引っ張ることで、コントロールワイヤ54に引張方向の操作力が及ぼされる。これにより、本体シャフト18の周壁20において、下部の壁部が先端側に引っ張られて、上部の壁部に対して下部の壁部の長さ寸法が大きくされることから、吸引カテーテル98の先端部分が上方に湾曲変形せしめられる。特に、本実施形態では、コントロールワイヤ54に引張方向の操作力が及ぼされることで第1ルーメン24の先端側開口部(窓部)58の開口縁部に応力が及ぼされて、本体シャフト18の周壁20が、第1ルーメン24の周壁28の先端と共に湾曲変形せしめられるようになっている。
【0075】
一方、図11に示されるように、操作部(38)を先端側に押し込むことで、コントロールワイヤ54に押込方向の操作力が及ぼされる。これにより、本体シャフト18の周壁20において、下部の壁部が基端側に押し込まれて、上部の壁部に対して下部の壁部の長さ寸法が小さくされることから、吸引カテーテル98の先端部分が下方に湾曲変形せしめられる。それに加えて、本実施形態では、コントロールワイヤ54が先端側に押し込まれることで、コントロールワイヤ54が本体シャフト18の周壁20の下部に当接して、かかるコントロールワイヤ54の押圧力によっても吸引カテーテル98の先端部分が下方に湾曲変形せしめられるようになっている。
【0076】
本実施形態の吸引カテーテル98においても、コントロールワイヤ54の先端部分が別の内部空間である別ルーメンとしての吸引ルーメン(メインルーメン)12に露出されていることから、前記第1の実施形態と同様の効果が発揮され得る。
【0077】
次に、図12~14には、本発明に係るカテーテルの第3の実施形態として下肢血管用の吸引カテーテル100が示されている。本実施形態の吸引カテーテル100には、2本のコントロールワイヤ54a,54bが設けられており、相互に独立している。すなわち、本実施形態のコントローラ102には2つの操作部38a,38bが設けられており、一方のコントロールワイヤ54a(54b)の基端に対して、一方の操作部38a(38b)が固定されている。
【0078】
また、コントロールワイヤ54a,54bの先端は、本体シャフト18の周壁20における内面において、周方向で相互に異なる位置(本実施形態では、図13中の左右方向両側)に、接着剤56a,56bにより固定されている。
【0079】
さらに、本実施形態では、本体シャフト18の内部に、コントロールワイヤ54a,54bに対応して2つの第1ルーメン24a,24bが設けられているとともに、1つの第2ルーメン26が設けられている。なお、2つの第1ルーメン24a,24bは、図13中の左右方向で並列して設けられているとともに、これら第1ルーメン24a,24bの下方に第2ルーメン26が設けられている。そして、一方の第1ルーメン24a(24b)に対して、一方のコントロールワイヤ54a(54b)が挿通されている。
【0080】
また、本実施形態では、図14に示されているとおり、図中の上下方向に延びる径方向線に対して左右に略対称となるように、第1ルーメン24a,24bとコントロールワイヤ54a,54bが設けられていると共に、コントロールワイヤ54a,54bの接着剤56a,56bによる固定部57a,57bが設けられている。即ち、かかる径方向線の左側には、軸方向に延びる第1ルーメン24aが形成されていると共に、かかる第1ルーメン24aから周方向左回りに所定距離を隔てた位置にコントールワイヤ54aの接着剤56aによる固定部57aが設けられている。また、径方向線の右側には、軸方向に延びる第1ルーメン24bが形成されていると共に、かかる第1ルーメン24bから周方向右回りに所定距離を隔てた位置にコントールワイヤ54bの接着剤56bによる固定部57bが設けられている。
【0081】
なお、第1ルーメン24a,24bの先端側開口部58a,58bは、コントロールワイヤ54a,54bの接着剤56a,56bによる固定部57a,57bよりも軸方向に所定距離だけ基端側に離れている。即ち、第1ルーメン24a,24bにおける窓部としての先端側開口部58a,58bと接着剤56a,56b(固定部57a,57b)との間において、コントロールワイヤ54a,54bに対して吸引ルーメン12への露出部60a,60bが与えられている。
【0082】
特に本実施形態では、一対の第1ルーメン24a,24bが、径方向線を挟んだ両側で相互に近接して形成されていると共に、一対のコントールワイヤ54a,54bへの接着剤56a,56bによる固定部57a,57bが、図14中の左右方向に延びる径方向線上に位置せしめられている。これにより、後述するように、各コントロールワイヤ54a,54bを通じて及ぼされる操作力は、各接着剤56a,56bによる固定部57a,57bと各第1ルーメン24a,24bの先端側開口部58a,58bとの間に跨がって配設された各コントロールワイヤ54a,54bの延びる方向への外力として、或いは、各接着剤56a,56b(固定部57a,57b)と各第1ルーメン24a,24bの先端側開口部58a,58bとに及ぼされる合力として、吸引カテーテル100の周壁に対して及ぼされるようになっている。
【0083】
かかる構造とされた本実施形態の吸引カテーテル100においても、コントロールワイヤ54a,54bにおいて、第1ルーメン24a,24bの先端側開口部(窓部)58a,58bから突出する部分は、別の内部空間である別ルーメンとしての吸引ルーメン12に露出された露出部60a,60bとされている。
【0084】
上記の如き吸引カテーテル100では、操作部38aを操作して、図13中の左方のコントロールワイヤ54aに引張方向の操作力を及ぼした場合には、吸引カテーテル100の先端部分が、図13中の略白矢印A1の方向(図13中の左上方向)に湾曲変形せしめられるとともに、押込方向の操作力を及ぼした場合には、図13中の略白矢印A2の方向(図13中の右下方向)に湾曲変形せしめられる。一方、操作部38bを操作して、図13中の右方のコントロールワイヤ54bに引張方向の操作力を及ぼした場合には、吸引カテーテル100の先端部分が、図13中の略白矢印A3の方向(図13中の右上方向)に湾曲変形せしめられるとともに、押込方向の操作力を及ぼした場合には、図13中の略白矢印A4の方向(図13中の左下方向)に湾曲変形せしめられる。
【0085】
以上の如き構造とされた本実施形態の吸引カテーテル100においても、コントロールワイヤ54a,54bの先端部分に吸引ルーメン12に露出する露出部60a,60bが設けられていることから、前記第1の実施形態と同様の効果が発揮され得る。
【0086】
次に、図15には、本発明に係るカテーテルの第4の実施形態として下肢血管用の吸引カテーテル104が示されている。なお、本実施形態においても、コントロールワイヤ54の先端部分以外の図示を省略する。
【0087】
すなわち、本実施形態では、第1ルーメンの長さ方向で複数の窓部が設けられた構造とされている。特に本実施形態では、各窓部が、第1ルーメンの周壁の全周近くに亘る大きさとされることで、実質的に、各窓部によって長さ方向で分断された複数の第1ルーメンが形成されているものと見ることもできる。このような見方をすれば、本実施形態の本体シャフト18の内部には、コントロールルーメンとしての先端側第1ルーメン106と基端側第1ルーメン108とが設けられている。そして、これら先端側および基端側第1ルーメン106,108は長さ方向で相互に離隔しており、それぞれの先端側開口部が、窓部としての第1および第2の先端側開口部110,112とされている。
【0088】
そして、コントロールワイヤ54が、先端側および基端側第1ルーメン106,108のそれぞれに挿通されて、先端側第1ルーメン106よりも先端側で接着剤56により本体シャフト18の内面の上方に固定されている。なお、コントロールワイヤ54の先端は、本体シャフト18の内面の周上で何れの位置に固定することも可能である。例えば、コントロールワイヤ54の先端の固定部位(固定部57)を、先端側第1ルーメン106に対して径方向で対向位置する下方に設定した態様を、図15中において二点鎖線で示す。
【0089】
すなわち、コントロールワイヤ54において、第1の先端側開口部110から突出して吸引ルーメン(メインルーメン)12に露出する部分が第1の露出部114とされているとともに、第2の先端側開口部112から突出して第2ルーメン26に露出する部分が第2の露出部116とされている。
【0090】
かかる構造とされた吸引カテーテル104において、操作部(38)を基端側へ変位させてコントロールワイヤ54に引張方向の操作力を及ぼした場合には、図16に示されるように、吸引カテーテル104の先端部分が、上方へ湾曲変形せしめられる。特に、先端側および基端側第1ルーメン106,108の形成部分と形成されていない部分では、本体シャフト18の横断面積が異ならされており(前記図3,4参照)、先端側および基端側第1ルーメン106,108が形成されていない部分の変形剛性が小さくなっている。それ故、吸引カテーテル104の湾曲変形時には、先端側および基端側第1ルーメン106,108の形成されていない部分が湾曲し易くされている。すなわち、図面では判り難いが、湾曲変形時の本体シャフト18において、先端側第1ルーメン106よりも先端側が曲率の大きい第1の湾曲部118とされているとともに、先端側第1ルーメン106と基端側第1ルーメン108との間が曲率の大きい第2の湾曲部120とされていることで、長さ方向で所定距離を隔てた2箇所の曲げ点で2段階に湾曲された多段曲がり形状とされ得る。特に、コントロールワイヤ54に引張方向の操作力を及ぼした際には、基端側第1ルーメン108の窓部112の縁部に及ぼされる応力よりも先端側第1ルーメン106の窓部110の縁部に及ぼされる応力の方が大きくされることから、第1の湾曲部118の方が第2の湾曲部120よりも曲率が大きくなるようになっている。
【0091】
なお、操作部(38)を先端側へ変位させてコントロールワイヤ54に押込方向の操作力を及ぼした場合には、吸引カテーテル104は前記第1の実施形態と同様の湾曲変形をすることから、図示を省略する。また、コントロールワイヤ54の先端を本体シャフト18の下方に固定した場合におけるコントロールワイヤ54の変形態様は、図16に二点鎖線で示すとおりである。即ち、コントロールワイヤ54に引張力を及ぼすと、先端側第1ルーメン106における第1の先端側開口部110と径方向反対側の固定部57との間に亘って配設されたコントロールワイヤ54の長さが短くなる方向に変形力が作用することから、図16に示されているように、吸引カテーテル104における変形態様は、コントロールワイヤ54の先端を本体シャフト18の上方に固定した場合と同様となる。なお、コントロールワイヤ54の先端の固定部57の位置を周方向に調節変更することで、吸引カテーテル104に及ぼされる曲げ方向をコントロールすることも可能である。
【0092】
本実施形態の吸引カテーテル104においても、コントロールワイヤ54には、吸引ルーメン12に露出される第1および第2の露出部114,116が設けられていることから、前記第1の実施形態と同様の効果が発揮され得る。
【0093】
次に、図17には、本発明に係るカテーテルの第5の実施形態として下肢血管用の吸引カテーテル122が示されている。本実施形態では、前記第4の実施形態と同様に第1ルーメンが複数設けられているとともに、これら複数の第1ルーメンの周方向位置が相互に異ならされている。なお、本実施形態においても、コントロールワイヤ54の先端部分以外の図示を省略する。
【0094】
すなわち、本実施形態では、先端側第1ルーメン106と基端側第1ルーメン108とが、長さ方向で異なる位置に設けられているとともに、それぞれが周方向で異なる位置(本実施形態では、上下方向の各一方)に設けられている。具体的には、先端側第1ルーメン106が本体シャフト18の下側に設けられている一方、基端側第1ルーメン108が本体シャフト18の上側に設けられている。要するに、先端側第1ルーメン106の周壁の一部が本体シャフト18の周壁20の下側部分によって構成されている一方、基端側第1ルーメン108の周壁の一部が本体シャフト18の周壁20の上側部分によって構成されている。
【0095】
そして、これら先端側および基端側第1ルーメン106,108にコントロールワイヤ54が挿通されて、先端側第1ルーメン106よりも先端側において、コントロールワイヤ54の先端が、本体シャフト18の内面における上方に接着剤56により固定されている。なお、コントロールワイヤ54の先端が、本体シャフト18の内面における下方に固定されている態様を、図17中に二点鎖線で示す。
【0096】
本実施形態においても、コントロールワイヤ54には、先端側第1ルーメン106の先端側開口部である第1の先端側開口部110から突出する部分と基端側第1ルーメン108の先端側開口部である第2の先端側開口部112から突出する部分が、それぞれ吸引ルーメン12に露出している。
【0097】
以上の如き構造とされた吸引カテーテル122においても、図18に示されるように、操作部(38)を基端側に変位させることで、コントロールワイヤ54に引張方向の操作力が及ぼされて、吸引カテーテル122の先端部分が上方へ湾曲する。その際、吸引カテーテル122において、第1の露出部114の外周部分における変形剛性が比較的小さくされている一方、先端側第1ルーメン106の外周部分における変形剛性が比較的大きくされている。それ故、吸引カテーテル122において、第1の露出部114の外周部分が湾曲変形量の比較的大きな第1の湾曲部124とされている一方、先端側第1ルーメン106の外周部分が湾曲変形量の比較的小さな第2の湾曲部126とされている。
【0098】
なお、第1の湾曲部124では、曲率中心が、本体シャフト18の周壁20の上部よりも下方に位置しているとともに、第2の湾曲部126では、曲率中心が、本体シャフト18の周壁20の上部よりも上方に位置している。すなわち、吸引カテーテル122の先端部分は、図18に示されるように、略S字状に湾曲せしめられる。また、コントロールワイヤ54の先端を本体シャフト18の下方に固定した場合におけるコントロールワイヤ54の変形態様は、図18に二点鎖線で示すとおりであるが、吸引カテーテル122における変形態様は、コントロールワイヤ54の先端を本体シャフト18の上方に固定した場合と同様である。
【0099】
本実施形態の吸引カテーテル122においても、第1および第2の露出部114,116が、吸引ルーメン12に露出されていることから、前記第1の実施形態と同様の効果が発揮され得る。
【0100】
次に、図19には、本発明に係るカテーテルの第6の実施形態として下肢血管用の吸引カテーテル128が示されている。なお、本実施形態においても、コントロールワイヤ54の先端部分以外の図示を省略する。
【0101】
本実施形態の吸引カテーテル128では、第1ルーメンが長さ方向で3つ設けられており、即ちコントロールルーメンとしての先端側第1ルーメン130と、中間第1ルーメン132と、基端側第1ルーメン134とが設けられている。これら先端側、中間および基端側第1ルーメン130,132,134は、それぞれ長さ方向で異なる位置に設けられている一方、周上の同じ位置(上方)に設けられている。それ故、これら先端側、中間および基端側第1ルーメン130,132,134の周壁の一部がそれぞれ、本体シャフト18の周壁20の上側部分によって構成されている。
【0102】
そして、先端側、中間および基端側第1ルーメン130,132,134のそれぞれにコントロールワイヤ54が挿通されており、先端側第1ルーメン130よりも先端側において、コントロールワイヤ54の先端が、本体シャフト18の内面における上方に接着剤56により固定されている。さらに、それぞれの先端側開口部である窓部としての第1の先端側開口部136、第2の先端側開口部138、第3の先端側開口部140から突出する部分が吸引ルーメン12に露出されている。また、コントロールワイヤ54の先端が、本体シャフト18の内面における下方に固定されている態様を、図19中に二点鎖線で示す。
【0103】
かかる構造とされた本実施形態の吸引カテーテル128においても、図20に示されているように、操作部(38)を基端側に変位させることにより、コントロールワイヤ54に引張方向の操作力が及ぼされて、吸引カテーテル128の先端が上方へ湾曲変形せしめられる。その際、本体シャフト18において、第1の露出部142、第2の露出部144および第3の露出部146の外周部分の変形剛性が小さくされて湾曲変形し易くなっている。すなわち、吸引カテーテル128の湾曲変形時には、第1、第2および第3の露出部142,144,146のそれぞれに対応して、本体シャフト18に、第1、第2および第3の湾曲部148,150,152が形成されるようになっている。これら第1、第2および第3の湾曲部148,150,152は、コントロールワイヤ54に引張方向の操作力が及ぼされることで、先端側第1ルーメン130から順に窓部の縁部に及ぼされる応力が大きくされることから、第1の湾曲部148、第2の湾曲部150、第3の湾曲部152の順で曲率が大きくなるようになっている。なお、コントロールワイヤ54の先端を本体シャフト18の下方に固定した場合におけるコントロールワイヤ54の変形態様は、図20に二点鎖線で示すとおりであるが、吸引カテーテル128における変形態様は、コントロールワイヤ54の先端を本体シャフト18の上方に固定した場合と同様である。
【0104】
本実施形態の吸引カテーテル128においても、コントロールワイヤ54に、吸引ルーメン12に露出する第1、第2および第3の露出部142,144,146が設けられることから、前記第1の実施形態と同様の効果が発揮され得る。
【0105】
次に、図21には、本発明に係るカテーテルの第7の実施形態として下肢血管用の吸引カテーテル160が示されている。なお、本実施形態においても、コントロールワイヤ54の先端部分以外の図示を省略する。
【0106】
本実施形態では、前記第6の実施形態と同様に3つの第1ルーメン(先端側、中間および基端側第1ルーメン130,132,134)が設けられている一方、先端側第1ルーメン130と、中間および基端側第1ルーメン132,134との周方向位置が異ならされている。具体的には、先端側第1ルーメン130が本体シャフト18の下部に設けられている一方、中間および基端側第1ルーメン132,134が本体シャフト18の上部に設けられている。すなわち、先端側第1ルーメン130の周壁の一部が、本体シャフト18の周壁20の下側部分によって構成されている一方、中間および基端側第1ルーメン132,134の周壁の一部が、本体シャフト18の周壁の上側部分によって構成されている。
【0107】
そして、これら先端側、中間および基端側第1ルーメン130,132,134のそれぞれにコントロールワイヤ54が挿通されて、その先端が、先端側第1ルーメン130よりも先端側で、本体シャフト18の内面の上部に固定されている。
【0108】
また、コントロールワイヤ54において、先端側、中間および基端側第1ルーメン130,132,134のそれぞれの先端側開口部(第1、第2および第3の先端側開口部136,138,140)から突出する部分が、吸引ルーメン12に露出されている。
【0109】
かかる構造とされた吸引カテーテル160においても、図22に示されるように、操作部(38)を基端側に変位させることにより、コントロールワイヤ54に引張方向の操作力が及ぼされて、吸引カテーテル160の先端部分が上方に湾曲変形せしめられるようになっている。その際、本体シャフト18において、第1および第2の露出部142,144の形成位置における湾曲変形が生ぜしめられ易くされている一方、先端側第1ルーメン130の形成位置における湾曲変形が比較的生じ難くされている。それ故、吸引カテーテル160の湾曲変形時には、第1の露出部142、先端側第1ルーメン130、第2の露出部144のそれぞれに対応して、第1の湾曲部162、第2の湾曲部164、第3の湾曲部166が形成されるようになっている。
【0110】
なお、第1の湾曲部162の曲率中心は本体シャフト18の上部の周壁20よりも下方に位置しているとともに、第2および第3の湾曲部164,166の曲率中心は本体シャフト18の上部の周壁20よりも上方に位置しており、吸引カテーテル160の先端部分が、略S字状に湾曲変形するようになっている。また、コントロールワイヤ54の先端を本体シャフト18の下方に固定した場合におけるコントロールワイヤ54の変形態様は、図22に二点鎖線で示すとおりであるが、吸引カテーテル160における変形態様は、コントロールワイヤ54の先端を本体シャフト18の上方に固定した場合と同様である。
【0111】
本実施形態においても、第1、第2および第3の露出部142,144,146のそれぞれが吸引ルーメン12に露出されていることから、前記第1の実施形態と同様の効果が発揮され得る。
【0112】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良などを加えた態様で実施可能である。
【0113】
たとえば、前記第1の実施形態などでは、図3,4などに示されるように、本体シャフト18、および本体シャフト18の内部に設けられる中央ルーメン22、第1ルーメン24および第2ルーメン26は、何れも真円形状とされていたが、図23(a)に示されるように、本体シャフト18、中央ルーメン22、第1ルーメン24および第2ルーメン26は楕円形状とされてもよいし、半円形状や多角形状およびそれらの組み合わせなど各種形状が採用され得る。
【0114】
また、前記実施形態では、第1ルーメン24と第2ルーメン26とが上下方向で並列して設けられていたが、例えば図23(b)に示されるように、第1ルーメン24は、第2ルーメン26(メインルーメン)の内部に設けられてもよい。すなわち、第1ルーメン24の周壁28は、本体シャフト18の周壁20の内部に突出するように設けられてもよい。あるいは、図23(c)に示されるように、第1ルーメン24の周壁28は、本体シャフト18の周壁20の外部に突出するように設けられてもよい。かかる場合には、図23(d)に示されるように、本体シャフト18の周壁20の外周面と第1ルーメン24の周壁28の外周面とは滑らかな曲線で接続されるようにしてもよい。
【0115】
更にまた、シャフト部材(本体シャフト)、中央ルーメン、第1ルーメン、第2ルーメンの断面形状は長さ方向で一定である必要はなく、上記の如き形状を複数組み合わせるなどして、長さ方向で断面形状を異ならせてもよい。
【0116】
さらに、図24に示されるように、コントロールワイヤ54の断面は矩形状とされてもよい。尤も、コントロールワイヤの断面形状は、前記実施形態の如き円形や図24に示される矩形状に限定されるものではなく、楕円や半円、三角形や五角形以上の多角形状およびそれらの組み合わせなど各種形状が採用され得る。また、コントロールワイヤの断面形状は、長さ方向で一定である必要はなく、例えば先端に向かって次第に小径としたり、上記の如き形状を複数組み合わせるなどして、長さ方向で断面形状を異ならせてもよい。なお、コントロールルーメン(第1ルーメン)24の断面形状は、図24に示されるように、コントロールワイヤ54の断面形状と同形状としてもよいし、異ならせてもよい。
【0117】
また、前記実施形態では、本体シャフト18の周壁20は同一の材質により構成されていたが、部分的に異ならせてもよい。すなわち、たとえば、図25(a)に示されるように、本体シャフト18の周壁20の外周面や第1ルーメン24の内周面、第2ルーメン26(吸引ルーメン12)の内周面に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの摩擦係数の小さな材質などでコーティング層170を形成してもよい。これにより、例えば第1ルーメン24内をコントロールワイヤ54が摺動する際の摺動抵抗を低減することも可能であるし、血管内を本体シャフト18が摺動する際の摺動抵抗を低減することなども可能となる。尤も、かかるコーティング層は、摩擦係数の小さなものに限定されるものではなく、要求される特性に応じてコーティング層の材質を異ならせることも可能である。また、上記の如き摩擦係数の小さい層は、本体シャフト18をコーティングすることによってのみ形成され得るものではなく、例えば摩擦係数の小さな材質で形成された筒状体を本体シャフト18に内挿したり外挿したりして相互に固着してもよい。
【0118】
さらに、上記のように、シャフト部材の材質を部分的に異ならせる場合には、コーティング層の如き薄層とされる必要はなく、所定の厚さ寸法を有していてもよい。すなわち、図25(b)に示されるように、第1ルーメン24の内周面を、所定の厚さ寸法をもって、本体シャフト18の本体部分172とは異なる材質で形成してもよい。なお、かかる本体部分172とは、本体シャフト18における第1ルーメン24の内周面を構成する周壁以外の部分である。かかる場合においても、図25(b)に示されるように、第1ルーメン24の断面形状は円形である必要はなく、楕円形状など各種形状が採用され得る。また、第2ルーメン26の内周面の材質が本体シャフト18の本体部分の材質と異ならされる場合には、本体部分とは、本体シャフト18における第2ルーメン26の内周面を構成する周壁以外の部分である。
【0119】
更にまた、図26に示されるように、中央ルーメン22の周壁20や第1ルーメン24の周壁28、第2ルーメン26の周壁30などには、金属や硬質の合成樹脂による編組線174が中間層として埋設されて補強されてもよい。かかる編組線174は、例えば1本または複数の線状体をメッシュ筒形状に編組することなどにより構成され得る。
【0120】
また、前記第1の実施形態などでは、コントロールワイヤ54の先端が、本体シャフト18の内面において、コントロールルーメン24と周上の同位置(上方)に固定されていたが、図27(a)に示すように、周上の反対側(下方)や、図27(b)に示すように、周上で90°あるいは270°ずれた位置(図27中の右方や左方)に固定されてもよい。さらに、本体シャフト18への固定位置は、前記実施形態のように、本体シャフト18の内面のほか、図27(b)に示すように周壁20の内部や、図27(c)に示すように周壁20の外部であってもよい。なお、コントロールワイヤの先端のシャフト部材への固定方法は、前記実施形態の如き接着剤による接着に限定されるものではなく、例えば溶着、溶接、圧着またはカシメたり引っ掛けたり挟んだりなどの機械的接続などであってもよい。また、接着剤中に、例えば非X線透過性を示す造影マーカーなどの金属体を含んでもよい。
【0121】
更にまた、前記第3の実施形態では、2つの第1ルーメン24a,24bが設けられてそれぞれにコントロールワイヤ54a,54bが挿通されていたが、図28に示されるように、1つの第1ルーメン24に2本のコントロールワイヤ54a,54bが挿通されてもよい。なお、前記第3の実施形態におけるコントロールワイヤ54a,54bは、相互に独立している必要はなく、例えばコントロールワイヤ54a,54bの基端が相互に接続されて1本のコントロールワイヤで構成されていてもよい。かかる場合には、コントロールワイヤ54aの引張操作(押込操作)とコントロールワイヤ54bの押込操作(引張操作)とを同時に行うことができる。
【0122】
さらに、前記第1の実施形態などでは、第1ルーメン(コントロールルーメン)24の先端側開口部58により、コントロールワイヤ54を吸引ルーメン(メインルーメン)12に露出させる窓部が構成されていたが、かかる態様に限定されるものではない。すなわち、窓部はコントロールルーメンの周壁に設けられて、当該窓部を通じてコントロールワイヤが、例えばメインルーメンに露出されていてもよい。それ故、コントロールルーメンの先端は開口している必要はなく、コントロールルーメンの先端が閉塞される場合には、コントロールワイヤの先端は、例えばコントロールルーメンの周壁の内面に固定されてもよい。
【0123】
また、前記第1の実施形態などでは、吸引カテーテルが、オーバーザワイヤ型のカテーテルとされていたが、シャフト部材の先端と外周面に開口するガイドワイヤルーメンを吸引ルーメンとは別に設けることにより、カテーテルをラピッドエクスチェンジ型とすることも可能である。
【0124】
さらに、本発明に係るカテーテルは、前記実施形態に記載の如き吸引カテーテルやバルーンカテーテルなどに限定されるものではない。すなわち、本発明に係るカテーテルは、例えばX線透視下で先端部分を確認しながら体内管腔に挿入する場合などにおいて、操作部を操作することで体内管腔の湾曲形状や分岐形状に合わせて先端部分を湾曲変形させることができることから、体内管腔の損傷などのおそれが低減され得る。
【0125】
なお、本発明に係るカテーテルは、コントロールワイヤに操作力を及ぼす以前の初期状態において、カテーテル本体(シャフト部材)が、前記図1などに示されるように直線状に延びている必要はない。すなわち、初期状態において、例えば下方に湾曲または屈曲する形状とされてもよく、コントロールワイヤを操作することでシャフト部材が上方に屈曲して、カテーテル本体が直線状となったり、更に上方に屈曲するようになっていてもよい。かかるカテーテルによれば、前記第1の実施形態などに記載のようにコントロールワイヤに対して引張方向と押込方向の両方向の操作力を及ぼす場合に比べて、例えばコントロールワイヤに対して引張方向の操作力を及ぼすことのみで操作できることから、コントロールワイヤをより細径化できるだけでなく、コントローラの構造をより簡素なものとすることができる。
また、本発明は、もともと以下(i)~(xvi)に記載の各発明を何れも含むものであり、その構成および作用効果に関して、付記しておく。
本発明は、
(i) 長尺のシャフト部材に対して長さ方向に延びるコントロールルーメンが設けられていると共に、該コントロールルーメンにコントロールワイヤが挿通されており、該シャフト部材には該コントロールワイヤの先端が固定される固定部が設けられていると共に、該コントロールワイヤの先端部分には該コントロールルーメンの周壁に設けられた窓部を通じて該シャフト部材における別の内部空間に露出された露出部が所定長さに亘って設けられていることを特徴とするカテーテル、
(ii) 前記別の内部空間が、前記シャフト部材の長さ方向に延びる別ルーメンとされている(i)に記載のカテーテル、
(iii) 前記別ルーメンが、前記コントロールルーメンよりも大きな断面で延びるメインルーメンとされている(ii)に記載のカテーテル、
(iv) 前記シャフト部材における前記固定部から10~50mm離れた位置に前記窓部が設けられている(i)~(iii)の何れか1項に記載のカテーテル、
(v) 前記シャフト部材の先端から10~40mm離れた位置に前記固定部が設けられている(i)~(iv)の何れか1項に記載のカテーテル、
(vi) 前記コントロールワイヤの基端側には、長さ方向に操作力を外部から及ぼすコントローラが設けられている(i)~(v)の何れか1項に記載のカテーテル、
(vii) 前記シャフト部材の中間層として編組線が埋設されて補強されている(i)~(vi)の何れか1項に記載のカテーテル、
(viii) 前記コントロールルーメンまたは前記別の内部空間の内周面が、前記シャフト部材の本体部分とは異なる材質で形成されている(i)~(vii)の何れか1項に記載のカテーテル、
(ix) 前記シャフト部材の長さ方向において、前記窓部が前記固定部よりも基端側に設けられている(i)~(viii)の何れか1項に記載のカテーテル、
(x) 前記シャフト部材の長さ方向において、前記窓部が前記固定部よりも先端側に設けられている(i)~(viii)の何れか1項に記載のカテーテル、
(xi) 前記コントロールワイヤが複数設けられていると共に、該複数のコントロールワイヤにおけるそれぞれの前記固定部の位置が周方向で互いに異ならされている(i)~(x)の何れか1項に記載のカテーテル、
(xii) 前記複数のコントロールワイヤが挿通される前記コントロールルーメンが該複数のコントロールワイヤのそれぞれに対応して複数設けられている(xi)に記載のカテーテル、
(xiii) 前記窓部が、前記シャフト部材の長さ方向において相互に離隔して複数設けられている(i)~(xii)の何れか1項に記載のカテーテル、
(xiv) 前記シャフト部材における周方向または長さ方向で異なる位置に、前記コントロールルーメンが複数設けられている(i)~(xiii)の何れか1項に記載のカテーテル、
(xv) 血管内の血栓等を吸引するための吸引カテーテルとされている請求項(i)~(xiv)の何れか1項に記載のカテーテル、
(xvi) 前記吸引カテーテルが、下肢血管用とされている(xv)に記載のカテーテル、
に関する発明を含む。
上記(i)に記載の発明では、コントロールワイヤが別の内部空間に露出されていることから、コントロールワイヤの操作時にコントロールワイヤの変形自由度が確保されると共に、コントロールルーメンの周壁への摺接抵抗も軽減され得る。それ故、コントロールワイヤの操作によってカテーテルに及ぼし得る変形力の設定自由度が向上されると共に、コントロールワイヤの操作性の向上が図られ得る。さらに、コントロールワイヤの先端部分が、所定の長さに亘って別の内部空間に露出されていることから、コントロールワイヤが撓み変形するための長さ寸法が十分に確保され得て、撓み変形時におけるコントロールワイヤとコントロールルーメンの周壁との当接が、一層効果的に防止され得る。
上記(ii)に記載の発明では、コントロールルーメンと別ルーメンとを相互に連通することで、かかる連通部分により窓部が形成されてコントロールワイヤが別の内部空間に露出せしめられることから、カテーテルの構造をより簡単なものとすることができる。
上記(iii)に記載の発明では、コントロールワイヤが、シャフト部材において大きな断面を有するメインルーメンに露出されていることから、コントロールワイヤの押込操作時には、コントロールワイヤが一層大きく撓み変形可能とされる。これにより、撓み変形時におけるコントロールワイヤとコントロールルーメンの周壁との当接回避や、コントロールワイヤを通じてシャフト部材に及ぼされる曲げ等の操作力の設定自由度が、より効果的に実現され得る。
上記(iv)に記載の発明では、カテーテル内腔においてコントロールワイヤに及ぼされる操作力に対して湾曲部の変形による緩衝作用が発揮されることから、例えばカテーテルが血栓吸引カテーテルとされる場合には、先端を屈曲させることによる血栓の吸引などが効果的に実現され得る。なお、窓部と固定部との離隔距離が10mm未満とされる場合には、カテーテル先端において屈曲変形する領域が小さくなり過ぎて(カテーテル先端における変形量が小さくなり過ぎて)、カテーテル先端を血管などの管腔の内壁に十分に近づけることができず、例えばカテーテルが吸引カテーテルとされる場合には、血管内壁に付着した血栓などを十分に吸引できないおそれがある。また、窓部と固定部との離隔距離が50mmより大きくされる場合には、カテーテルにおける屈曲の開始地点がカテーテル先端から離れ過ぎることから、管腔の曲率に対してカテーテルの屈曲部分の曲率が小さくなり過ぎて、管腔の湾曲形状に対応した形状にカテーテルを変形させることが困難となるおそれがある。さらに、コントロールワイヤの操作量、即ちコントロールワイヤに及ぼされる操作荷重量が大きくなり過ぎて、血管に与えるストレスが大きくなるおそれがある。
上記(v)に記載の発明では、カテーテル先端が血管などの管腔の内壁の治療部位に適切に当接されることから、例えばカテーテルが血栓吸引カテーテルとされる場合には、先端を屈曲させることによる血栓の吸引などが効果的に実現され得る。なお、シャフト部材の先端と固定部との離隔距離が10mm未満とされる場合には、カテーテル先端において屈曲変形する領域が小さくなり過ぎて(カテーテル先端における変形量が小さくなり過ぎて)、カテーテル先端を管腔内壁に十分に近づけることができず、例えばカテーテルが吸引カテーテルとされる場合には、血管内壁に付着した血栓などを十分に吸引できないおそれがある。また、シャフト部材の先端と固定部との離隔距離が40mmより大きくされる場合には、カテーテルにおける屈曲の開始地点がカテーテル先端から離れ過ぎることから、管腔の曲率に対してカテーテルの屈曲部分の曲率が小さくなり過ぎて、管腔の湾曲形状に対応した形状にカテーテルを変形させることが困難となるおそれがある。さらに、コントロールワイヤの操作量、即ちコントロールワイヤに及ぼされる操作荷重量が大きくなり過ぎて、血管に与えるストレスが大きくなるおそれがある。
上記(vi)に記載の発明では、コントローラが設けられていることから、使用者がコントローラを把持して操作することで、コントロールワイヤに対して外部から容易に操作力を及ぼすことができる。
上記(vii)に記載の発明では、編組線の埋設領域は補強されていることから、例えばシャフト部材に編組線が埋設される場合には、コントロールワイヤの露出部の外周側におけるシャフト部材の屈曲性が担保されて、加えてカテーテル全体における耐キンク性やトルク伝達性、プッシュ性などが向上され得る。なお、編組線の埋設領域は何等限定されるものではないが、例えばメインルーメンやコントロールルーメンの周壁の内部などに好適に設けられる。
上記(viii)に記載の発明では、シャフト部材において、コントロールルーメンや当該コントロールルーメンとは別の内部空間の内周面とそれ以外の部分の材質を相互に異ならせることで、カテーテルに各種特性を付与することができる。すなわち、例えばコントロールルーメンの周壁を、それ以外の部分よりも柔らかい材質で形成することによりカテーテルをより湾曲変形し易くすることも可能である。また、本態様では、コントロールルーメンの内面にコーティング層を設けることも可能であり、例えばコントロールルーメンの内面に設けられるコーティング層を摩擦係数の小さな材質で形成することにより、コントロールワイヤの、コントロールルーメンに対する摺動抵抗の軽減が図られ得る。
また、上記(ix)~(xiv)の何れかに記載の発明によれば、コントロールワイヤを操作することにより、カテーテルを所望の方向や形状に湾曲変形せしめることが可能となる。
上記(xi)に記載の発明では、コントロールワイヤを複数設けることで、カテーテルをより多方向に湾曲変形させることも可能となる。
上記(xii)に記載の発明では、複数のコントロールワイヤのそれぞれが別々のコントロールルーメンに挿通されていることから、コントロールワイヤ間の相互干渉が効果的に防止され得る。
【符号の説明】
【0126】
10,62,98,100,104,122,128,160:下肢血管用の吸引カテーテル、12,76:吸引ルーメン(別の内部空間,メインルーメン,別ルーメン)、16,102:コントローラ、18:本体シャフト、24,24a,24b,70:第1ルーメン(コントロールルーメン)、26,72:第2ルーメン、28,80:周壁(コントロールルーメンの周壁)、33,78:シャフト部材、54,54a,54b,64:コントロールワイヤ、57,57a,57b:固定部、58,58a,58b,88:先端側開口部(窓部)、60,60a,60b,96:露出部、86,174:編組線、106,130:先端側第1ルーメン(コントロールルーメン)、108,134:基端側第1ルーメン(コントロールルーメン)、110,136:第1の先端側開口部(窓部)、112,138:第2の先端側開口部(窓部)、114,142:第1の露出部、116,144:第2の露出部、132:中間第1ルーメン、140:第3の先端側開口部(窓部),146:第3の露出部、172:本体部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28