(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】肉類微冷凍鮮度保持の制御方法、コントローラ及び冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20220802BHJP
F25D 17/04 20060101ALI20220802BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20220802BHJP
F25D 25/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D17/04 304
F25D23/00 301L
F25D25/00 E
(21)【出願番号】P 2019561733
(86)(22)【出願日】2017-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2017091137
(87)【国際公開番号】W WO2018205386
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2019-12-05
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】201710322733.0
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516320344
【氏名又は名称】合肥華凌股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HEFEI HUALING CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.176 JinXiu Road,Hefei Economic And Technological Development Area Hefei,Anhui, 230601,China
(73)【特許権者】
【識別番号】517215032
【氏名又は名称】合肥美的電冰箱有限公司
【氏名又は名称原語表記】HEFEI MIDEA REFRIGERATOR CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.669,West Changjiang Road,Hefei,Anhui 230601,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B26-28F, Midea Headquarter Building, No.6 Midea Avenue, Beijiao, Shunde, Foshan, Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼ 勤勤
(72)【発明者】
【氏名】史 慧新
(72)【発明者】
【氏名】伍 志▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲寧▼ 志芳
【合議体】
【審判長】林 茂樹
【審判官】西村 泰英
【審判官】平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-261677(JP,A)
【文献】特開2006-234365(JP,A)
【文献】特開平4-43276(JP,A)
【文献】特開2007-113818(JP,A)
【文献】国際公開第2009/035194(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
A23B 4/00-9/34
A23L 2/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の現在温度をリアルタイムに取得するステップS1と、
前記肉類食品の現在温度が、前記肉類食品を微冷凍で切断しやすい状態に保持する温度値である第1の温度閾値t
0以上であるかどうかを判断し、「YES」の場合、ステップS3を実行するステップS2と、
前記室が降温運転を行うように制御するステップS3と、
前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを判断し、「YES」の場合、ステップS5を実行するステップS4と、
凍結が発生してから計時を開始し、計時が第1の予設定期限に達すると、ステップS6を実行するステップS5と、
前記室が昇温運転を行うように制御するステップS6と、
を含み、
前記ステップS6を実行した後、続けて前記ステップS1を実行
し、
前記第1の温度閾値t
0
は-6℃以上で、0℃以下である、
ことを特徴とする肉類微冷凍鮮度保持の制御方法。
【請求項2】
ステップS2で前記肉類食品の現在温度が前記第1の温度閾値t
0より小さいと判断すると、前記ステップS6を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
ステップS4で前記肉類食品が降温工程中にまだ凍結していないと判断すると、続けて前記ステップS3を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項4】
前記ステップS4は、具体的に、
前記肉類食品は降温工程中に最低温度点が現れたかどうかを判断し、最低温度点が現れ、且つ最低温度点を始点とする連続予設定期間内に、温度上昇量が予設定温度変化量以上である場合、前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断し、そのうち、前記最低温度点を始点とする連続予設定期間の長さが第1の時間長閾値以下であること、
及び/又は、
前記肉類食品は降温工程中において予設定連続期間内に温度が変化しないという状況が現れたかどうかを判断し、現れた場合、前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断し、そのうち、前記予設定連続期間の長さが第2の時間長閾値以上であること、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項5】
前記ステップS1は、具体的に、
複数の温度センサを利用して、冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の現在温度を取得することを含み、
それに応じて、前記ステップS4は、具体的に、
複数の温度センサを利用して、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを同時に判断し、最初に前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断した温度センサの判断結果に準じることを含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記ステップS3は、具体的に、
前記室が初期目標温度T
0に従って降温運転を行うように制御し、前記初期目標温度T
0の値の範囲は、-10℃~-1℃であることを含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項7】
前記ステップS3は、具体的に、
前記室が第1の目標温度T
1に従って降温運転を行うように制御し、前記肉類食品の現在温度がt
0まで下がった後、続けて前記室が第2の目標温度T
2に従って降温運転を行うように制御し、T
1<T
2であることを含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項8】
前記ステップS3は、具体的に、
前記室のダンパーを全開させて初期目標温度T
0に従って降温運転を行うように制御し、前記肉類食品の現在温度がt
0まで下がった後、前記室のダンパーを半開させて前記初期目標温度T
0に従って続けて降温運転を行うように制御することを含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項9】
前記ステップS6は、具体的に、
前記室が第3の目標温度T
3に従って昇温運転を行うように制御し、前記第3の目標温度T
3の値の範囲は、-1℃~4℃であることを含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項10】
前記室は、
冷蔵庫の変温室又は前記変温室で区切られた変温領域、冷蔵庫の冷蔵室内の変温引出し又は前記変温引出しで区切られた変温領域、及び冷蔵庫の冷凍室内の変温引出し又は前記変温引出しで区切られた変温領域のうちの1種類又は複数種類である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記制御方法は、更に、
冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の貯蔵時間が予設定日数を超えたと判断すると、ユーザにリマインダ情報を送信することを含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項12】
冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の現在温度をリアルタイムに取得するための温度取得モジュールと、
前記肉類食品の現在温度が、肉類食品を微冷凍で切断しやすい状態に保持する温度値である第1の温度閾値t
0以上であるかどうかを判断するための第1の判断モジュールと、前記第1の判断モジュールが前記肉類食品の現在温度が第1の温度閾値t
0以上であると判断する時に、前記室が降温運転を行うように制御するための第1の制御モジュールと、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを判断するための第2の判断モジュールと、
前記第2の判断モジュールが前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断する時に、凍結が発生してから計時を開始するための計時モジュールと、
前記計時モジュールによる計時が第1の予設定期限に達すると、前記室が昇温運転を行うように制御するための第2の制御モジュールと、
を含
み、
前記第1の温度閾値t
0
は-6℃以上で、0℃以下である、
ことを特徴とするコントローラ。
【請求項13】
前記第2の制御モジュールは、更に前記第1の判断モジュールが前記肉類食品の現在温度が前記第1の温度閾値t
0より小さいと判断する時に、前記室が昇温運転を行うように制御することに用いられる
ことを特徴とする請求項12に記載のコントローラ。
【請求項14】
前記第1の制御モジュールは、更に前記第2の判断モジュールが前記肉類食品が降温工程中にまだ凍結していないと判断する時に、前記室が降温運転を行うように制御することに用いられる
ことを特徴とする請求項12に記載のコントローラ。
【請求項15】
前記第2の判断モジュールは、具体的に、
前記肉類食品は降温工程中に最低温度点が現れたかどうかを判断し、最低温度点が現れ、且つ最低温度点を始点とする連続予設定期間内に、温度上昇量が予設定温度変化量以上である場合、前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断することに用いられ、そのうち、前記最低温度点を始点とする連続予設定期間の長さが第1の時間長閾値以下であり、
且つ/又は、
前記肉類食品は降温工程中において予設定連続期間内に温度が変化しないという状況が現れたかどうかを判断し、現れた場合、前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断することに用いられ、そのうち、前記予設定連続期間の長さが第2の時間長閾値以上である
ことを特徴とする請求項12に記載のコントローラ。
【請求項16】
前記温度取得モジュールは、具体的に、複数の温度センサを利用して、冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の現在温度を取得することに用いられ、
それに応じて、前記第2の判断モジュールは、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを判断する時に、具体的に、
複数の温度センサを利用して、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを同時に判断し、最初に前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断した温度センサの判断結果に準じることに用いられる
ことを特徴とする請求項12~15のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項17】
前記第1の制御モジュールは、前記室が降温運転を行うように制御する時に、具体的に、
前記室が初期目標温度T
0に従って降温運転を行うように制御することに用いられ、前記初期目標温度T
0の値の範囲は、-10℃~-1℃である
ことを特徴とする請求項12~15のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項18】
前記第1の制御モジュールは、前記室が降温運転を行うように制御する時に、具体的に、
前記室が第1の目標温度T
1に従って降温運転を行うように制御し、前記肉類食品の現在温度がt
0まで下がった後、続けて前記室が第2の目標温度T
2に従って降温運転を行うように制御することに用いられ、T
1<T
2である
ことを特徴とする請求項12~15のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項19】
前記第1の制御モジュールは、前記室が降温運転を行うように制御する時に、具体的に、
前記室のダンパーを全開させて初期目標温度T
0に従って降温運転を行うように制御し、前記肉類食品の現在温度がt
0まで下がった後、前記室のダンパーを半開させて前記初期目標温度T
0に従って続けて降温運転を行うように制御することに用いられる
ことを特徴とする請求項12~15のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項20】
前記第2の制御モジュールは、前記室が昇温運転を行うように制御する時に、具体的に、
前記室が第3の目標温度T
3に従って昇温運転を行うように制御することに用いられ、前記第3の目標温度T
3の値の範囲は、-1℃~4℃である
ことを特徴とする請求項12~15のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項21】
前記室は、
冷蔵庫の変温室又は前記変温室で区切られた変温領域、冷蔵庫の冷蔵室内の変温引出し又は前記変温引出しで区切られた変温領域、及び冷蔵庫の冷凍室内の変温引出し又は前記変温引出しで区切られた変温領域のうちの1種類又は複数種類である
ことを特徴とする請求項12~15のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項22】
冷蔵庫の室内の肉類食品の貯蔵時間が予設定日数を超えたと確認した時に、ユーザにリマインダ情報を送信するリマインダモジュールを更に含む
ことを特徴とする請求項12~15のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項23】
請求項12~22のいずれか一項に記載のコントローラを含む
ことを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年5月9日に出願された名称が「肉類微冷凍鮮度保持の制御方法、コントローラ及び冷蔵庫」である中国特許出願第2017103227330号を引用し、その全体が本願において参照により援用されている。
【0002】
本発明は、インテリジェント制御分野に関し、具体的に、肉類微冷凍鮮度保持の制御方法、コントローラ及び冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0003】
冷蔵庫の普及に伴い、人々は、食品の鮮度保持期間を長くするように、食品、特に肉類食品に対して、冷蔵庫を利用して鮮度を保持して貯蔵することに徐々に慣れている。
【0004】
従来、肉類鮮度保持に関する制御方法は、主に以下の幾つかを含む。
【0005】
(1)直接冷凍室に入れて、-18℃で冷凍肉として貯蔵し、一般的に数か月間に保存可能であるが、解凍が不便で、更に解凍した後の肉の品質と食感が著しく低下するという最も大きな問題が存在している。
【0006】
(2)ソフト冷凍で貯蔵し、この場合、室温度が一般的に-5℃~-9℃の間であり、当該条件で、肉の貯蔵期間も長いが、依然として凍結してしまい、解凍しにくいという問題がある。
【0007】
(3)市場には、更にゼロ度鮮度保持技術又は微冷凍鮮度保持技術があり、温度が2~-3℃程度に制御されるが、何れも単一の温度制御の解決手段であり、温度が高すぎると、鮮度保持の期間が短すぎ、温度が低すぎると、硬く凍結する恐れがある。
【0008】
これらのことから分かるように、今まで、肉類食品を新鮮で切断しやすい状態に長期的に維持する制御技術が存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術における欠陥に対して、肉類微冷凍鮮度保持の制御方法、コントローラ及び冷蔵庫を提供し、本発明に係る肉類微冷凍鮮度保持の制御方法、コントローラ及び冷蔵庫は、肉類食品を新鮮で切断しやすい状態に長期的に維持することができ、従来技術において、温度が高すぎて、鮮度保持の期間が短すぎ、それとも、温度が低すぎて、硬く凍結する恐れがあるという欠陥を解決し、該分野の技術の空白を埋めた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の技術的手段を提供する。
【0011】
第1の態様において、本発明は、冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の現在温度をリアルタイムに取得するステップS1と、前記肉類食品の現在温度が肉類食品を微冷凍で切断しやすい状態に保持する温度値である第1の温度閾値t0以上であるかどうかを判断し、「YES」の場合、ステップS3を実行するステップS2と、前記室が降温運転を行うように制御するステップS3と、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを判断し、「YES」の場合、ステップS5を実行するステップS4と、凍結が発生してから計時を開始し、計時が第1の予設定期限に達すると、ステップS6を実行するステップS5と、前記室が昇温運転を行うように制御するステップS6と、を含み、そのうち、前記ステップS6を実行した後、続けて前記ステップS1を実行する肉類微冷凍鮮度保持の制御方法を提供する。
【0012】
更に、ステップS2で前記肉類食品の現在温度が前記第1の温度閾値t0より小さいと判断すると、前記ステップS6を実行する。
【0013】
更に、ステップS4で前記肉類食品が降温工程中にまだ凍結していないと判断すると、続けて前記ステップS3を実行する。
【0014】
更に、前記ステップS4は、具体的に、前記肉類食品は降温工程中に最低温度点が現れたかどうかを判断し、最低温度点が現れ、且つ最低温度点を始点とする連続予設定期間内に、温度上昇量が予設定温度変化量以上である場合、前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断し、そのうち、前記最低温度点を始点とする連続予設定期間の長さが第1の時間長閾値以下であること、及び/又は、前記肉類食品は降温工程中において予設定連続期間内に温度が変化しないという状況が現れたかどうかを判断し、現れた場合、前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断し、そのうち、前記予設定連続期間の長さが第2の時間長閾値以上であること、を含む。
【0015】
更に、前記ステップS1は、具体的に、複数の温度センサを利用して、冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の現在温度を取得することを含み、それに応じて、前記ステップS4は、具体的に、複数の温度センサを利用して、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを同時に判断し、最初に前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断した温度センサの判断結果に準じることを含む。
【0016】
更に、前記ステップS3は、具体的に、前記室が初期目標温度T0に従って降温運転を行うように制御し、前記初期目標温度T0の値の範囲は、-10℃~-1℃であることを含む。
【0017】
更に、前記ステップS3は、具体的に、前記室が第1の目標温度T1に従って降温運転を行うように制御し、前記肉類食品の現在温度がt0まで下がった後、続けて前記室が第2の目標温度T2に従って降温運転を行うように制御し、T1<T2であることを含む。
【0018】
更に、前記ステップS3は、具体的に、前記室のダンパーを全開させて初期目標温度T0に従って降温運転を行うように制御し、前記肉類食品の現在温度がt0まで下がった後、前記室のダンパーを半開させて前記初期目標温度T0に従って続けて降温運転を行うように制御することを含む。
【0019】
更に、前記ステップS6は、具体的に、前記室が第3の目標温度T3に従って昇温運転を行うように制御し、前記第3の目標温度T3の値の範囲は、-1℃~4℃であることを含む。
【0020】
更に、前記室は、冷蔵庫の変温室又は前記変温室で区切られた変温領域、冷蔵庫の冷蔵室内の変温引出し又は前記変温引出しで区切られた変温領域、及び冷蔵庫の冷凍室内の変温引出し又は前記変温引出しで区切られた変温領域のうちの1種類又は複数種類である。
【0021】
更に、前記方法は、更に、冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の貯蔵時間が予設定日数を超えたと判断すると、ユーザにリマインダ情報を送信することを含む。
【0022】
第2の態様において、本発明は、更に、冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の現在温度をリアルタイムに取得するための温度取得モジュールと、前記肉類食品の現在温度が、肉類食品を微冷凍で切断しやすい状態に保持する温度値である第1の温度閾値t0以上であるかどうかを判断するための第1の判断モジュールと、前記第1の判断モジュールが前記肉類食品の現在温度が第1の温度閾値t0以上であると判断する時に、前記室が降温運転を行うように制御するための第1の制御モジュールと、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを判断するための第2の判断モジュールと、前記第2の判断モジュールが前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断する時に、凍結が発生してから計時を開始するための計時モジュールと、前記計時モジュールによる計時が第1の予設定期限に達すると、前記室が昇温運転を行うように制御するための第2の制御モジュールと、を含むコントローラを提供する。
【0023】
更に、前記第2の制御モジュールは、更に前記第1の判断モジュールが前記肉類食品の現在温度が前記第1の温度閾値t0より小さいと判断する時に、前記室が昇温運転を行うように制御することに用いられる。
【0024】
更に、前記第1の制御モジュールは、更に前記第2の判断モジュールが前記肉類食品が降温工程中にまだ凍結していないと判断する時に、前記室が降温運転を行うように制御することに用いられる。
【0025】
更に、前記第2の判断モジュールは、具体的に、前記肉類食品は降温工程中に最低温度点が現れたかどうかを判断し、最低温度点が現れ、且つ最低温度点を始点とする連続予設定期間内に、温度上昇量が予設定温度変化量以上である場合、前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断することに用いられ、そのうち、前記最低温度点を始点とする連続予設定期間の長さが第1の時間長閾値以下であり、且つ/又は、前記肉類食品は降温工程中において予設定連続期間内に温度が変化しないという状況が現れたかどうかを判断し、現れた場合、前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断することに用いられ、そのうち、前記予設定連続期間の長さが第2の時間長閾値以上である。
【0026】
更に、前記温度取得モジュールは、具体的に、複数の温度センサを利用して、冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の現在温度を取得することに用いられ、それに応じて、前記第2の判断モジュールは、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを判断する時に、具体的に、複数の温度センサを利用して、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを同時に判断し、最初に前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断した温度センサの判断結果に準じることに用いられる。
【0027】
更に、前記第1の制御モジュールは、前記室が降温運転を行うように制御する時に、具体的に、前記室が初期目標温度T0に従って降温運転を行うように制御することに用いられ、前記初期目標温度T0の値の範囲は、-10℃~-1℃である。
【0028】
更に、前記第1の制御モジュールは、前記室が降温運転を行うように制御する時に、具体的に、前記室が第1の目標温度T1に従って降温運転を行うように制御し、前記肉類食品の現在温度がt0まで下がった後、続けて前記室が第2の目標温度T2に従って降温運転を行うように制御することに用いられ、T1<T2である。
【0029】
更に、前記第1の制御モジュールは、前記室が降温運転を行うように制御する時に、具体的に、前記室のダンパーを全開させて初期目標温度T0に従って降温運転を行うように制御し、前記肉類食品の現在温度がt0まで下がった後、前記室のダンパーを半開させて前記初期目標温度T0に従って続けて降温運転を行うように制御することに用いられる。
【0030】
更に、前記第2の制御モジュールは、前記室が昇温運転を行うように制御する時に、具体的に、前記室が第3の目標温度T3に従って昇温運転を行うように制御することに用いられ、前記第3の目標温度T3の値の範囲は、-1℃~4℃である。
【0031】
更に、前記室は、冷蔵庫の変温室又は前記変温室で区切られた変温領域、冷蔵庫の冷蔵室内の変温引出し又は前記変温引出しで区切られた変温領域、及び冷蔵庫の冷凍室内の変温引出し又は前記変温引出しで区切られた変温領域のうちの1種類又は複数種類である。
【0032】
更に、前記コントローラは、更に、冷蔵庫の室内の肉類食品の貯蔵時間が予設定日数を超えたと確認した時に、ユーザにリマインダ情報を送信するリマインダモジュールを含む。
【0033】
第3の態様において、本発明は、更に上記のいずれか一項に記載のコントローラを含む冷蔵庫を提供する。
【発明の効果】
【0034】
上記技術的手段から分かるように、本発明に係る肉類微冷凍鮮度保持の制御方法は、室に入れた肉類食品の温度をリアルタイムに検知し、肉類食品の温度が第1の温度閾値t0(例えば常温の肉)以上であると、室が低温運転を行うように制御して、当該肉類食品を降温させると共に、当該肉類食品を降温させる工程中に、当該肉類食品が凍結したと検知した場合、凍結が発生してから計時を開始し、ある経過時間の後、室の設定温度を高くして、冷却能力を低下させ、肉を微冷凍で切断しやすい状態に長期間にし、肉が硬すぎるまで凍結するのを避けるとともに、できるだけ降温と復温の切替の頻度を減少することができ、肉類食品の品質を保証する。肉は冷却能力が減少することで徐々に復温する時に、前記室内の肉類食品が常に微冷凍で切断しやすい状態にあることを保証するように、肉類食品の温度をt0以下になるように制御する必要があり、この後、サイクルを繰り返す。これらのことから分かるように、本発明は、肉類食品を新鮮で切断しやすい状態に長期間に保持することができ、これにより、従来技術において、温度が高すぎて、鮮度保持期間が短すぎ、それとも、温度が低すぎて、硬く凍結する恐れがあるという欠陥を解決する。本発明は、微冷凍で切断しやすい状態を長期間に維持することを実現し、即ち、肉類が新鮮で切断しやすい状態の継続周期を長くし、例えば、新鮮で切断しやすい周期が15日間以上に達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明の実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。勿論、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労働を要しない前提で、更にこれら実施例に基づいてその他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明の一実施例による肉類微冷凍鮮度保持の制御方法のフローチャートである。
【
図2】本発明実施例による肉類微冷凍鮮度保持の制御方法により得られた、常温の肉を室に入れた後の温度変化曲線の模式図である。
【
図3】本発明の一実施例による肉類微冷凍鮮度保持の制御方法の、第1の実施形態でのフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施例による肉類微冷凍鮮度保持の制御方法の、第2の実施形態でのフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施例による肉類微冷凍鮮度保持の制御方法の、第3の実施形態でのフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施例による肉類微冷凍鮮度保持の制御方法の、第4の実施形態でのフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施例による肉類微冷凍鮮度保持の制御方法の、第5の実施形態でのフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施例による肉類微冷凍鮮度保持の制御方法の、第6の実施形態でのフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施例による肉類微冷凍鮮度保持の制御方法の、第7の実施形態でのフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施例による肉類微冷凍鮮度保持の制御方法の、第8の実施形態でのフローチャートである。
【
図11】本発明の他の実施例によるコントローラの構造模式図である。
【
図12】本発明の他の実施例によるコントローラの他の構造模式図である。
【
図13】本発明の更に他の実施例による冷蔵庫の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施例の目的、技術的手段及び利点をより明らかにするために、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的手段を、明確かつ完全に説明する。勿論、説明する実施例は、あくまでも本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。当業者が本発明における実施例に基づいて創造的な労働をしない前提で得る他の実施例は、全て本発明の保護範囲に含まれる。
本発明の一実施例は、肉類微冷凍鮮度保持の制御方法のフローチャートを提供し、
図1を参照し、当該方法は、以下のステップを含む。
【0037】
ステップ101:冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の現在温度をリアルタイムに取得する。
【0038】
本ステップにおいて、前記室は、冷蔵庫の変温室、冷蔵庫の冷蔵室内の変温引出し又は冷蔵庫の冷凍室内の変温引出しであってもよい。勿論、より合理的に冷蔵庫のスペースを利用するために、冷蔵庫の変温室、冷蔵室内の変温引出し、冷凍室内の変温引出しは何れも複数の変温領域に区切ることができ、このように区切られたそれぞれの変温領域も、一つの室とみなされてもよい。つまり、本実施例における室を複数種類のスペースとして理解することができ、当該室内の温度環境が調整可能(例えば、-10~8℃の温度環境に達することができる)であれば良い。
【0039】
理解できるように、冷蔵庫の変温室、冷蔵室内の変温引出し又は冷凍室内の変温引出しが複数の変温領域に区切られた時に、それぞれの領域ごとに個別に還気構造(複数の個別のダンパー、又は一つのダンパーが複数の領域を駆動するという設計を採用することができる)を設置することができ、更にユーザがそれぞれの領域のサイズを調整しやすくするために、左右に摺動可能で、大きさの微調整が可能なバッフル構造を柔軟に設計することもでき、また、それぞれの領域に対する温度検知及び冷凍制御を、完全に独立して行うことができる。
【0040】
本ステップにおいて、前記の、冷蔵庫室内に位置する肉類食品が、鶏肉、豚肉、鴨肉、牛肉、魚肉等の肉類食品であってもよい。
【0041】
ステップ102:前記肉類食品の現在温度が第1の温度閾値t0以上であるかどうかを判断し、「YES」の場合、ステップ103を実行する。
【0042】
本ステップにおいて、前記第1の温度閾値は、前記肉類食品を微冷凍で切断しやすい状態に保持する温度値であり、例えば、前記第1の温度閾値t0の値の範囲は、-6≦t0≦0であり、前記室内の肉類食品が常に微冷凍で切断しやすい状態にあることを保証する。
【0043】
ステップ103:前記室が降温運転を行うように制御する。
【0044】
本ステップにおいて、前記肉類食品の現在温度が第1の温度閾値t0(例えば常温の肉である)以上であると判断する場合、前記肉類食品を降温させるために、室が降温運転を行うように制御する。理解できるように、前記室が降温運転を行うように制御する場合に、必要に応じて前記室の温度を設定することができ、例えば、-8℃に設定し、即ち、前記室が-8℃を目標温度として降温運転を行うように制御する。勿論、降温工程中に、前記肉類食品を冷凍又は相変化させることができることを保証するために、ここで、前記室が降温運転を行うように制御する時に設定された目標温度は高すぎてはならず、少なくとも0度以下の温度、好ましくは、-10~-1℃である。
【0045】
ステップ104:前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを判断し、「YES」の場合、ステップS5を実行する。
【0046】
ステップ105:凍結が発生してから計時を開始し、計時が第1の予設定期限に達すると、ステップ106を実行する。
【0047】
本ステップにおいて、第1の予設定期限の長さは、一般的に数時間であり、例えば2~6時間である。理解できるように、肉がすごく凍結することを防止するために、第1の予設定期限の長さは長すぎてはならない。勿論、第1の予設定期限の長さは短すぎてはならず、そうではないと、頻繁な復温と降温の切替が発生する。
【0048】
ステップ106:前記室が昇温運転を行うように制御する。
【0049】
そのうち、前記ステップ106を実行した後、続けて前記ステップ101を実行する。
【0050】
上記のステップ105、106から分かるように、凍結が発生してから計時を開始し、ある経過時間の後、室の設定温度を高くして、冷却能力を低下させ、肉を微冷凍で切断しやすい状態に長期間にし、肉が硬すぎるまで凍結するのを避けるとともに、できるだけ降温と復温の切替の頻度を減少することができ、肉の品質を保証する。理解できるように、肉は冷却能力が減少することで徐々に復温する時に、前記室内の肉類食品が常に微冷凍で切断しやすい状態にあることを保証するように、肉の温度をt0以下になるように制御し、この後、サイクルを繰り返す。
【0051】
図2を参照し、
図2は、本発明の実施例による肉類微冷凍鮮度保持の制御方法により得られた、常温の肉を室に入れた後の温度変化曲線の模式図である。
図2から分かるように、本発明の実施例による肉類微冷凍鮮度保持の制御方法によれば、肉類食品を新鮮で切断しやすい状態に長期的に維持することができ、該分野の技術の空白を埋めた。
【0052】
例えば、本発明の実施例による制御方法によれば、肉の品質保証期間を15日間に長くすることができ、本発明は微冷凍で切断しやすく且つ鮮度保持期間を長くする効果を達成することができる。理解できるように、
図2における15日間以降の温度変化曲線(
図2において最終端で急速に下がるセグメント)について、本発明の実施例による制御方法により得られたものではなく、それに対して冷凍して保存したものである。理解できるように、本実施例による制御方法により、肉類食品を微冷凍で15日間鮮度保持した後、まだ使用されていない場合、食品の腐敗が起こらないように、一般的に、深冷保存するほうがいい。
【0053】
理解できるように、本実施例では、前記室に少なくとも二つの温度検知装置が必要であり、当該温度検知装置は、普通の温度センサであってもよいし、赤外線センサであってもよく、又はその他の任意の温度検知可能な設備であってもよい。そのうちの一方の温度検知装置は入れた肉の温度のモニタリングに用いられ、他方の温度検知装置は室の温度の制御に用いられる。
【0054】
また、本発明の実施例による制御方法によれば、更に液体飲料に応用され、液体飲料を常に微冷凍状態に維持することができ、一部のユーザが冷たい微冷凍飲料へのニーズを満たす。
【0055】
以上に記載された技術的手段から分かるように、本発明の実施例による肉類微冷凍鮮度保持の制御方法は、室に入れた肉類食品の温度をリアルタイムに検知し、肉類食品の温度が第1の温度閾値t0(例えば常温の肉)以上であると、室が低温運転を行うように制御して、当該肉類食品を降温させると共に、当該肉類食品を降温させる工程中に、当該肉類食品が凍結したと検知した場合、凍結が発生してから計時を開始し、ある経過時間の後、室の設定温度を高くして、冷却能力を低下させ、肉を微冷凍で切断しやすい状態に長期間にし、肉が硬すぎるまで凍結するのを避けるとともに、できるだけ降温と復温の切替頻度を減少することができ、肉の品質を保証する。肉は冷却能力が減少することで徐々に復温する時に、前記室内の肉類食品が常に微冷凍で切断しやすい状態にあることを保証するように、肉の温度をt0以下になるように制御する必要があり、この後、サイクルを繰り返す。これらのことから分かるように、本発明の実施例は、肉類食品を新鮮で切断しやすい状態に長期間に保持することができ、これにより、従来技術において、温度が高すぎて、鮮度保持期間が短すぎ、それとも、温度が低すぎて、硬く凍結する恐れがあるという欠陥を解決する。本発明の実施例は、微冷凍で切断しやすい状態を長期間に維持することを実現し、即ち、肉類が新鮮で切断しやすい状態の継続周期を長くし、例えば、新鮮で切断しやすい周期が15日間以上に達することができる。
【0056】
一実施形態において、
図3を参照し、ステップ102で前記肉類食品の現在温度が前記第1の温度閾値t
0より小さいと判断すると、直接前記ステップ106を実行する。
【0057】
これらのことから分かるように、本実施形態において、室に入れた肉類食品の温度をリアルタイムに検知し、肉類食品の温度が第1の温度閾値t0(例えば常温の肉である)以上であれば、室が低温運転を行うように制御して、当該肉類食品を降温させ、肉類食品の温度が第1の温度閾値t0(例えば冷凍肉)より小さくなると、当該肉類食品が続けて凍結することを避けるように、室が高温で解凍するように制御する。そのうち、当該肉類食品を高温で解凍する時、当該肉類食品の温度をリアルタイムに検知する必要があり、当該肉類食品の温度が、再び第1の温度閾値t0以上になると、室が低温運転を行うように改めて制御して、当該肉類食品を降温させ、前記室内の肉類食品が常に微冷凍で切断しやすい状態にあることを保証する。肉の微冷凍で切断しやすい状態を保持しようとするため、前記室が昇温運転を行う時に、昇温運転の目標温度が高すぎてはならず、前記室内の肉類食品の温度の復温が高すぎ且つ速すぎることで直接微冷凍状態を飛び越えることを避ける。好ましくは、昇温運転を行おうとする場合の目標温度の値の範囲は、-1~4℃であり、例えば3℃である。
【0058】
他の実施形態において、
図4を参照し、ステップ104で前記肉類食品が降温工程中にまだ凍結していないと判断すると、続けてステップ103を実行する。
【0059】
本実施形態において、ステップ104で前記肉類食品が降温工程中にまだ凍結していないと判断すると、前記肉類食品の降温が不十分であることを示し、当該肉に対して続けて降温処理を実行するように、この時、続けてステップ103を実行する必要がある。
【0060】
理解できるように、
図3と
図4の二つの実施形態を組み合わせて使用することができ、これについて、ここでは説明を省略する。
【0061】
他の実施形態において、前記ステップ104は、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを判断する時に、以下の二種類の判断方法のいずれかの一種類の判断方法を採用して判断してもよいし、又は、以下の二種類の判断方法を同時に採用して判断してもよい。
【0062】
方法[1]:前記肉類食品は降温工程中に最低温度点が現れたかどうかを判断し、最低温度点が現れ、且つ最低温度点を始点とする連続予設定期間内に、温度上昇量が予設定温度変化量(予設定温度変化量の値の範囲は、1~2℃である)以上である場合、前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断し、そのうち、前記最低温度点を始点とする連続予設定期間の長さが第1の時間長閾値以下である。例えば、第1の時間長閾値の値の範囲は、5~10分間である。
【0063】
ただし、ここでの最低温度点とは、肉類食品が凍結する工程中に、昇温する前の最低温度点を指す。肉類食品が冷凍する工程中に、一つの温度がやや高い点が突然現れ、その後下がり続けるため、この温度がやや高い点が現れる前の温度点は、ここでの最低温度点であり、一つの極点と理解してもよい。
【0064】
方法[2]:前記肉類食品は降温工程中において予設定連続期間内に温度が変化しないという状況が現れたかどうかを判断し、現れた場合、前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断し、そのうち、前記予設定連続期間の長さが第2の時間長閾値以上である。例えば、第2の時間長閾値の値の範囲は、0.5~2時間である。
【0065】
理解できるように、上記の二種類の方法は、実際に肉が降温工程中に過冷却があるという状態及び過冷却がないという状態の二つの状態での凍結ノードを判断するものである。
【0066】
更に理解できるように、本実施例における降温終了点は、温度の相変化急上昇点(上記[1])又は相変化安定段階(上記[2])である。
【0067】
一実施形態において、
図5を参照し、前記ステップ101は、冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の現在温度をリアルタイムに取得する時に、具体的に、複数の温度センサを利用して、冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の現在温度をリアルタイムに取得するステップ101aを含み、それに応じて、前記ステップ104は、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを判断する時に、具体的に、複数の温度センサを利用して、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを同時に判断し、最初に前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断した温度センサの判断結果に準じるステップ104aを含む。
【0068】
これらのことから分かるように、本実施形態において、複数の温度センサを利用して、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを判断し、肉類の冷凍現象がタイムリー且つ正確に発見されることを確保する。ある温度センサは最初に前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断したと、当該温度センサの判断結果に準じ、肉類が凍結しないことを確保するように、直ぐに次の復温工程を実行する。
【0069】
また、制御工程全体において、前記複数の温度センサは常に温度を比較してもよく、もし二つ以上の温度センサに検知された温度が、何れも特定の値(例えば-10℃)未満である場合、室内に大量の冷凍肉を入れたことを意味し、この場合に、ステップ106を強制的に実行して、復温させるように制御する必要がある。
【0070】
一実施形態において、
図6を参照し、前記ステップ103は、具体的に、前記室が初期目標温度T
0に従って降温運転を行うように制御し、前記初期目標温度T
0の値の範囲は、-10~-1℃であるステップ 103aを含む。
【0071】
本実施形態において、前記室が前記初期目標温度T0に従って降温運転を行うように制御し、できるだけ新鮮な成分をロックするように、前記室内の肉類が急速に冷凍状態まで降温することを保証する。
【0072】
他の実施形態において、上記実施形態の実現形態と異なり、
図7を参照し、前記ステップ103は、具体的に、前記室が第1の目標温度T
1に従って降温運転を行うように制御し、前記肉類食品の現在温度がt
0まで下がった後、続けて前記室が第2の目標温度T
2に従って降温運転を行うように制御し、T
1<T
2であるステップ 103bを含む。
【0073】
これらのことから分かるように、上記実施形態と異なるのは、本実施形態において、降温工程が二つの段階に分けられており、目標温度設定値を制御することにより、降温前期では、比較的低い温度で運転し、冷却能力が比較的に大きくなり、肉類が急速にt0レベルに達し、その後、設定温度を高めることにより、食品が緩やかに過冷却又は凍結工程に入ることで、効率的に低温での保存時間を長くすることである。
【0074】
更に他の実施形態において、上記二つの実施形態の実現形態と異なり、
図8を参照し、前記ステップ103は、具体的に、前記室のダンパーを全開させて初期目標温度T
0に従って降温運転を行うように制御し、前記肉類食品の現在温度がt
0まで下がった後、前記室のダンパーを半開させて前記初期目標温度T
0に従って続けて降温運転を行うように制御するステップ103cを含む。
【0075】
これらのことから分かるように、上記二つの実施形態と異なるのは、本実施形態において、降温工程が二つの段階に分けられており、ダンパーの全開と半開の制御により、降温前期では、冷却能力が比較的に大きくなり、食品が急速にt0レベルに達し、その後、ダンパーを半開させて、冷却能力を減少するように制御することにより、食品が緩やかに過冷却又は凍結工程に入ることで、効率的に低温での保存時間を長くすることである。
【0076】
一実施形態において、
図9を参照し、前記ステップ106は、具体的に、前記室が第3の目標温度T
3に従って昇温運転を行うように制御し、前記第3の目標温度T
3の値の範囲は、-1~4℃であるステップ106aを含む。
【0077】
本実施形態において、前記室が前記第3の目標温度T3に従って昇温運転を行うように制御し、前記室内の肉の復温が高すぎ且つ速すぎるため直接微冷凍状態を飛び越えることを避けることを保証する。
【0078】
一実施形態において、
図10を参照し、前記方法は、更にステップ107とステップ108とを含む。
【0079】
ステップ107:前記室内に位置する肉類食品の貯蔵時間が予設定日数を超えたかどうかを判断し、「YES」の場合、ステップ108を実行する。
【0080】
ステップ108:ユーザにリマインダ情報を送信する。
【0081】
本実施形態において、室内の肉類食品の貯蔵時間を判断することで、ユーザにリマインダ情報を送信し、ユーザに速めに食品を取り出して食用するように促す。例えば、ユーザが当該室を開く時に、インジケーターランプが点灯する又は点滅する等のリマインダ信号があるか、又は直接ディスプレイに相応するリマインダ情報が表示される。また、更に携帯電話ソフトウェアによりリマインダ機能を実現することができ、例えば、リマインダ情報を携帯電話ソフトウェアにプッシュし、携帯電話ソフトウェアによりユーザに当該リマインダ情報を知らせる。
【0082】
理解できるように、本実施例の上記複数の実施形態を任意に組み合わせしてもよく、本発明は、これを限定しない。
【0083】
同じ発明思想に基づいて、本発明の他の実施例は、コントローラを提供し、
図11を参照し、当該コントローラは、冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の現在温度をリアルタイムに取得するための温度取得モジュール21と、前記肉類食品の現在温度が、前記肉類食品を微冷凍で切断しやすい状態に保持する温度値である第1の温度閾値t
0以上であるかどうかを判断するための第1の判断モジュール22と、前記第1の判断モジュールが前記肉類食品の現在温度が第1の温度閾値t
0以上であると判断した時に、前記室が降温運転を行うように制御するための第1の制御モジュール23と、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを判断するための第2の判断モジュール24と、前記第2の判断モジュールが前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断した時に、凍結が発生してから計時を開始するための計時モジュール25と、前記計時モジュールによる計時が、第1の予設定期限に達すると、前記室が昇温運転を行うように制御するための第2の制御モジュール26と、を含む。
【0084】
一実施形態において、前記第2の制御モジュール26は、更に前記第1の判断モジュールが前記肉類食品の現在温度が前記第1の温度閾値t0より小さいと判断した時、前記室が昇温運転を行うように制御することに用いられる。
【0085】
一実施形態において、前記第1の制御モジュール23は、更に前記第2の判断モジュールが前記肉類食品が降温工程中にまだ凍結していないと判断する時、前記室が降温運転を行うように室制御することに用いられる。
【0086】
一実施形態において、前記第2の判断モジュールは、具体的に、前記肉類食品は降温工程中に最低温度点が現れたかどうかを判断し、最低温度点が現れ、且つ最低温度点を始点とする連続予設定期間内に、温度上昇量が予設定温度変化量以上である場合、前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断することに用いられ、そのうち、前記最低温度点を始点とする連続予設定期間の長さが第1の時間長閾値以下であり、且つ/又は、前記肉類食品は降温工程中において予設定連続期間内に温度が変化しないという状況が現れたかどうかを判断し、現れた場合、前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断することに用いられ、そのうち、前記予設定連続期間の長さが第2の時間長閾値以上である。
【0087】
一実施形態において、前記温度取得モジュールは、具体的に、複数の温度センサを利用して、冷蔵庫の室内に位置する肉類食品の現在温度を取得することに用いられ、それに応じて、前記第2の判断モジュールは、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを判断する時に、具体的に、複数の温度センサを利用して、前記肉類食品が降温工程中に凍結したかどうかを同時に判断し、最初に前記肉類食品が降温工程中に凍結したと判断した温度センサの判断結果に準じることに用いられる。
【0088】
一実施形態において、前記第1の制御モジュールは、前記室が降温運転を行うように制御する時に、具体的に、前記室が初期目標温度T0に従って降温運転を行うように制御することに用いられ、前記初期目標温度T0の値の範囲は、-10℃~-1℃である。
【0089】
一実施形態において、前記第1の制御モジュールは、前記室が降温運転を行うように制御する時に、具体的に、前記室が第1の目標温度T1に従って降温運転を行うように制御し、前記肉類食品の現在温度がt0まで下がった後、続けて前記室が第2の目標温度T2に従って降温運転を行うように制御することに用いられ、T1<T2である。
【0090】
一実施形態において、前記第1の制御モジュールは、前記室が降温運転を行うように制御する時に、具体的に、前記室のダンパーを全開させて初期目標温度T0に従って降温運転を行うように制御し、前記肉類食品の現在温度がt0まで下がった後、前記室のダンパーを半開させて前記初期目標温度T0に従って続けて降温運転を行うように制御することに用いられる。
【0091】
一実施形態において、前記第2の制御モジュールは、前記室が昇温運転を行うように制御する時に、具体的に、前記室が第3の目標温度T3に従って昇温運転を行うように制御することに用いられ、前記第3の目標温度T3の値の範囲は、-1℃~4℃である。
【0092】
一実施形態において、前記室は、冷蔵庫の変温室又は前記変温室で区切られた変温領域、冷蔵庫の冷蔵室内の変温引出し又は前記変温引出しで区切られた変温領域、及び冷蔵庫の冷凍室内の変温引出し又は前記変温引出しで区切られた変温領域のうちの1種類又は複数種類である。
【0093】
一実施形態において、
図12を参照し、前記コントローラは、更に、冷蔵庫の室内の肉類食品の貯蔵時間が予設定日数を超えたと確認した時に、ユーザにリマインダ情報を送信するためのリマインダモジュール27を含む。
【0094】
本発明の実施例に記載されたコントローラは、上記実施例に記載された肉類微冷凍鮮度保持の制御方法を実行することに使われることができ、その原理及び技術効果は類似するので、ここでは説明を省略する。
【0095】
同じ発明思想に基づいて、本発明の他の実施例は、冷蔵庫を提供し、
図13を参照し、当該冷蔵庫は、以上実施例に記載されたコントローラを含む。
【0096】
本発明の実施例に係る冷蔵庫は、上記実施例に記載されたコントローラを含むため、本発明の実施例に係る冷蔵庫は、肉類食品を長期的に新鮮で切断しやすい状態に維持することができ、該分野の技術の空白を埋めた。
【0097】
上記の実施例は、本発明の技術的手段を説明するためのものに過ぎず、限定するものではない。前記の実施例を参照しながら本発明を詳細的に説明したが、当業者は、前記の各実施例に記載された技術的手段を変更するか又はその一部の技術特徴を置換することができ、これら変更または置換が、相応する技術的手段の本質を本発明の各実施例の技術的手段の趣旨と範囲から逸脱させないことを理解できるはずである。
【符号の説明】
【0098】
21 温度取得モジュール
22 第1の判断モジュール
23 第1の制御モジュール
24 第2の判断モジュール
25 計時モジュール
26 第2の制御モジュール
27 リマインダモジュール