(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】フォトニックリザーバコンピューティングシステムのトレーニング
(51)【国際特許分類】
G06N 3/067 20060101AFI20220802BHJP
G11C 11/42 20060101ALI20220802BHJP
G06E 3/00 20060101ALI20220802BHJP
G02F 3/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
G06N3/067
G11C11/42
G06E3/00
G02F3/00
(21)【出願番号】P 2019565370
(86)(22)【出願日】2018-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2018063857
(87)【国際公開番号】W WO2018219839
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-02-18
(32)【優先日】2017-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500454769
【氏名又は名称】ウニフェルジテイト・ヘント
【氏名又は名称原語表記】Universiteit Gent
(73)【特許権者】
【識別番号】514156563
【氏名又は名称】アイメック・ヴェーゼットウェー
【氏名又は名称原語表記】IMEC VZW
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】ピーテル・ビーンストマン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・カトゥンバ
(72)【発明者】
【氏名】イェレ・ヘイファールト
(72)【発明者】
【氏名】ヨニ・ダンブレ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・フライベルガー
【審査官】中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02821942(EP,A2)
【文献】Katumba.Andrew,Neuromorphic Computing Based on Silicon Photonics and Reservoir Computing,IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics,2018年04月05日,[2021年12月17日検索],インターネット<URL: https://ieeexplore.ieee.org/document/8331848>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/067
G11C 11/42
G06E 3/00
G02F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニクスリザーバコンピューティングシステムであって、複数の出力チャネルを備え、前記出力チャネルに結果として生じる放射信号を生成するように、少なくとも1つの光信号を伝播するように構成されており、前記フォトニクスリザーバコンピューティングシステムは、
前記出力チャネルからの信号に重み付けするための重み付け素子と、
前記出力チャネルからの信号を光学的に検出するための少なくとも1つの光検出器と、をさらに備え、
前記システムは、前記少なくとも1つの光検出器の出力を通して前記出力チャネルからの信号を推定するように適合されている、フォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【請求項2】
前記システムは、前記システム内の異なる出力チャネルのパワーおよび前記システム内の異なる出力チャネル間の位相差を決定するためのトレーニングモジュールを備える、請求項1に記載のフォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【請求項3】
前記トレーニングモジュールは、所定のパターンに従って前記重み付け素子を介して重みを設定しながら、トレーニングデータを数回繰り返すように構成されている、請求項2に記載のフォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【請求項4】
前記システムは、前記トレーニングデータを最大で3F-2回繰り返すことによって、前記出力チャネルからの前記信号の振幅および位相を推定するように適合されており、Fは出力チャネルの数である、請求項
3に記載のフォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【請求項5】
前記重み付け素子は、前記結果として生じる放射信号に
光ドメインで重み付けするように適合され、
前記少なくとも1つの光検出器は、前記
結果として生じる放射信号が
前記光ドメインで重み付けされた後に、前記重み付けされた結果として生じる放射信号の結合を光学的に検出するように適合され、
前記システムは、前記重み付けされた結果として生じる放射信号を推定するように適合されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のフォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光検出器は、前記重み付けされた結果として生じる放射信号に対して非線形演算を行なうように構成された大面積光検出器である、請求項1~5のいずれか1項に記載のフォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【請求項7】
前記非線形演算を行なうことは、前記重み付けされた結果として生じる放射信号を合計する前に、前記重み付けされた結果として生じる放射信号のパワーを取ることを含む、請求項
6に記載のフォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【請求項8】
前記重み付け素子は、前記結果として生じる放射信号に重み付けするための逆バイアスpn接合を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載のフォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光検出器は、各出力チャネルにおいて前記結果として生じる放射信号を光学的に検出するための複数の光検出器と、電気ドメインにおいて前記光学的に検出された結果として生じる
放射信号に重み付けするように適合された前記重み付け素子とを備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のフォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【請求項10】
前記システムは、電気ドメインにおいて前記重み付けされた前記光学的に検出された結果として生じる
放射信号を合計するように適合されている、請求項9に記載のフォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【請求項11】
前記トレーニングモジュールは、トレーニングデータを取得するように構成され、それにより、重み付け係数は、1(a.u.)に等しい前記重み付け係数のうちの1つを引き続き選択し、一方他のすべての重み付け係数を0に設定することによって、および、非ゼロの前記重み付け係数のうちの2つを選択し、一方他のすべての重み付け係数を0に設定することによって、選択される、請求項2
に記載のフォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【請求項12】
前記システムは、シリコンフォトニクスリザーバを備える、請求項1~11のいずれか1項に記載のフォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【請求項13】
前記システムは、複数の離散的ノードを備え、前記ノードが、前記結果として生じる放射信号を生成するために、前記ノード間で少なくとも1つの光信号を伝播するための光相互接続を介して相互接続されている、請求項1~12のいずれか1項に記載のフォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【請求項14】
前記システムは、カオス的リザーバを備える、請求項1~12のいずれか1項に記載のフォトニクスリザーバコンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光リザーバコンピューティングの分野に関する。より具体的には、光読み出しを備えた光フォトニックリザーバコンピューティングシステムをトレーニングおよび使用するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械学習の分野は、明示的にプログラミングすることなく、これまで見えなかったデータに対して複素タスクを行なう方法をコンピューターシステムに教えることを目的とする。そのようなタスクの例は、分類、回帰、またはパターン認識である。利用可能な機械学習手法の蓄えは包括的である。
【0003】
アプリケーションごとに、アプリケーションの具体的な要求に応じて、最も適切な手法を選択する必要がある。手法の1つの重要なクラスは、相互接続されたニューロンのネットワークからなる、いわゆる人工ニューラルネットワークである。このアイデアは、人間の脳の構造とその情報の処理の仕方とに基づいている。リカレントニューラルネットワーク(RNN)と呼ばれるニューラルネットワークのうちの1つのサブクラスは、ニューロン間の有向相互接続サイクルを生成することにより、ネットワークにメモリの観念を導入する。これらのネットワークのトレーニングはかなり難しいため、RNNトレーニングを容易にする方法論としてリザーバコンピューティング(RC)が提案された。しかしながら、ごく最近では、様々な複素問題を解決するための計算のパラダイムとして人気を集めている。RCは、例えば、音声認識や時系列予測で非常にうまく機能することが示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Kristof Vandoorne et al., "Experimental demonstration of reservoir computing on a silicon photonics ship", Nature Communications 5, Article number 3541 (2014).
【文献】Andrew Katumba et al, "A multiple-input strategy to efficient integrated photonic reservoir computing", Cognitive Computation, Vol.9, No. 3, (2017) pp.307-314.
【文献】Martin Fiers et al., "Time-domain and frequency-domain modeling of nonlinear optical components at the circuit-level using a node-based approach", Journal of the Optical Society of America B-Optical Physics, Vol. 29, No. 5, (2012), pp.896-900.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
RCの実装は通常、ソフトウェアベースであり、ネットワーク全体での信号の伝播と操作をシミュレートするために逐次アルゴリズムに依存している。このワークフローのシーケンシャルな特性は、速度とパワー効率に制限を設定する、すなわち、大きなリザーバまたは広範な入力シーケンスのシミュレーションは、時間がかかり、かつ非常にパワーを消費する。リザーバの本質的な並列性を活用するというアイデアは、実行可能なハードウェア実装技術への関心を引き起こした。これまで、ハードウェアでの多種多様なRCの実現化が提案されてきた。興味深い候補技術は間違いなくフォトニクスの分野であり、それがフォトニックリザーバコンピューティング(PRC)の概念につながった。情報キャリアとしての光の最も重要な利点は、光信号の非常に高いキャリア周波数、それらの固有の平行度、および光信号を低損失で誘電体材料を介して伝えることができるという事実である。このゆえに、光信号を使用することは、より高速の(かつ強い並列の)情報処理を可能にし、電子的な実装よりもより低い消費パワーを約束する。パワーを節約するために、受動PRC実装が、非特許文献1で発表され、これは、グレーティングカプラ、MMI、および遅延を利用した。残念ながら、これらの構成要素は、リザーバに深刻な損失をもたらし、リザーバのサイズ(つまり、ニューロンの数)に制限を設定する。より具体的には、Yスプリッタ/コンバイナを含むネットワークの構造により、基本的な物理のために、ノードで2つのパスが収束するたびに、
図2に示すように、平均して光の50%を失い、それは放射されて、その結果失われてしまう。ネットワークが大きくなるほど、より多くのこれらのコンバイナに遭遇し、これは、情報が急速に衰退し、ネットワークのもう一方の端に到達できないことを意味する。例えば、非特許文献1に記載されているシステムでは、ネットワークに20個のノードが含まれていたとしても、その12のみが測定でき、それは、他のノードについては、パワーがノイズフロアを超えて落ちてしまったためである。
【0006】
リザーバが行なうことができるタスクの複雑さは、それが構成されるニューロンの数に依存するため、これらの損失は、行なうことができるタスクの複雑さも制限し、結果としてまだ改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の目的は、完全な光読み出しを備えた効率的なフォトニックリザーバコンピューティング方法およびシステムを提供することである。
【0008】
本発明の実施形態の利点は、非常に効率的な処理が得られるため、システムが多数のノードへのアップスケーリングを可能にすることである。
【0009】
本発明による実施形態の利点は、システム状態の正確な知識を必要としないトレーニング方法を使用できるが、特定のトレーニングサンプルを複数回使用することによりそれらを効率的な方法で再構築できることである。
【0010】
本発明の実施形態の利点は、非常にわずかなパワーしか使用しない読み出し構造が提供され、効率的なシステムをもたらすことである。
【0011】
本発明の実施形態の利点は、pn接合が非常に小さなパワー、すなわち漏れ電流に対応するパワーのみを使用することである。
【0012】
本発明の実施形態の利点は、必要なフォトダイオードの数を少なくすることができ、または1つに制限することさえでき、その結果、限られた数の構成要素を備えるシステムをもたらすことである。
【0013】
本発明による実施形態の利点は、周知のシリコンフォトニクス技術を使用することができ、その結果、システムを製造するための周知の処理方法をもたらすことである。
【0014】
本発明は、フォトニクスリザーバコンピューティングシステムに関し、フォトニクスリザーバコンピューティングシステムは、複数の出力チャネルを備え、結果として生じる放射信号を生成するように少なくとも1つの光信号を伝播するように構成され、フォトニクスリザーバコンピューティングシステムは、
出力チャネルからの信号に重み付けするための重み付け素子と、
光学的に検出するための少なくとも1つの光検出器と、をさらに備え、
システムは、少なくとも1つの光検出器の出力を通して出力チャネルからの信号を推定するように適合されている。
【0015】
フォトニックリザーバコンピューティングシステムは、いくつかの実施形態では、受動フォトニックリザーバコンピューティングシステムであってもよいが、リザーバ内に能動素子を備えたシステムも請求される発明の範囲内である。
【0016】
いくつかの実施形態では、フォトニクスリザーバコンピューティングシステムは、結果として生じる放射信号を生成するためにノード間で少なくとも1つの光信号を伝播するための光相互接続を介して相互接続された複数の離散的ノードを備え得る。他の実施形態では、フォトニクスリザーバコンピューティングシステムは、カオス的リザーバに基づいていてもよい。
【0017】
本発明の実施形態の利点は、効率的な読み出しが得られ、フォトニクスリザーバコンピューティングシステムのより効率的な使用を可能にすることである。
【0018】
システムは、システム内の異なる出力チャネルのパワーおよびシステム内の異なるチャネル間の位相差を決定するためのトレーニングモジュールを備え得る。
【0019】
トレーニングモジュールは、所定のパターンに従って重み付け素子を介して重みを設定しながら、トレーニングデータを数回繰り返すように構成され得る。
【0020】
システムは、トレーニングデータを最大で3F-2回繰り返すことによって、重み付けされた結果として生じる放射信号の振幅および位相を推定するように適合され得、Fは出力チャネルの数である。
【0021】
重み付け素子は、結果として生じる放射信号に重み付けするように適合されてもよく、少なくとも1つの光検出器は、信号が光ドメインで重み付けされた後に、重み付けされた結果として生じる放射信号の結合を光学的に検出するように適合されてもよく、システムは、重み付けされた結果として生じる放射信号を推定するように適合されている。
【0022】
光検出器は、いくつかの実施形態では、大面積光検出器であり得るが、実施形態はそれに限定されない。
【0023】
光検出器は、重み付けされた結果として生じる放射信号に対して非線形演算を行なうように構成されてもよい。
【0024】
非線形演算を行なうことは、重み付けされた結果として生じる放射信号を合計する前に、重み付けされた結果として生じる放射信号のパワーを取ることを含んでもよい。
【0025】
重み付け素子は、結果として生じる放射信号に重み付けするための逆バイアスpn接合を備えてもよい。
【0026】
少なくとも1つの光検出器は、各出力チャネルにおいて結果として生じる放射信号を光学的に検出するための複数の光検出器と、電気ドメインにおいて光学的に検出された結果として生じる信号に重み付けするように適合された重み付け素子とを備えてもよい。システムは、電気ドメインにおいて、重み付けされた光学的に検出された結果として生じる信号を合計するように適合されてもよい。
【0027】
トレーニングモジュールは、トレーニングデータを取得するように構成され得、それにより、重み付け係数は、1(a.u.)に等しい重み付け係数のうちの1つを引き続き選択し、一方他のすべての重み付け係数を0に設定することによって、および、非ゼロの重み付け係数のうちの2つを選択し、一方他のすべての重み付け係数を0に設定することによって、選択される。
【0028】
システムは、いくつかの実施形態では、結果として生じる放射信号を生成するためにノード間で少なくとも1つの光信号を伝播するための光相互接続を介して相互接続された複数の離散的ノードを備え得る。
【0029】
システムは、テーパセクションを使用して少なくとも3つのマルチモード導波路を接続するように構成された少なくとも1つのマルチモード接合を備えてもよく、テーパセクションは完全に断熱的ではない。
【0030】
上述の実施形態によるシステムはまた、複数の離散的ノードと、ノード間の少なくとも1つのフォトニック信号を伝播するためのノード間の複数の受動マルチモード導波路相互接続とを備える光マルチモード導波路ベースの構造を備えるフォトニクスリザーバコンピューティングシステムの特徴を備えてもよく、各離散的ノードは、それに接続された受動マルチモード導波路相互接続を介して少なくとも1つのフォトニック波を受動的に中継するように適合されており、光導波路ベースの構造は、テーパセクションを使用して少なくとも3つのマルチモード導波路を接続するように構成された少なくとも1つのマルチモード接合を備え、テーパセクションは完全に断熱的ではない。
【0031】
3つの導波路が接続されている場合、マルチモード接合はマルチモードY接合と呼ばれる場合がある。本発明の実施形態の利点は、関与する導波路の多様式により、導波路構造内の高次モードで変換された放射の一部が、依然として導波路構造内でガイドされ、したがって失われないことである。本発明の実施形態の利点は、例えば各モードが個別に読み出される場合、より自由度の高い、より豊かなシステムが得られることである。これは、より良い分類性能をもたらし得る。本発明の実施形態の利点は、テーパセクションが出力導波路に向かってあまり滑らかに進化しない場合、すべてのパワーが同じモード内に留まるわけではなく、パワーをサポートされた(ガイドされた)モードに散乱できることである。このようにして、放射、および対応するパワーは、構造から散乱されない。
【0032】
本発明の実施形態の利点は、コンパクトな解決策が提供されることである。
【0033】
本発明の実施形態の利点は、大きなトポロジカル自由度ならびに良好な速度を示すシステムが提供されることである。
【0034】
本発明の実施形態の利点は、大規模に実装できる効率的なシステムを提供することである。
【0035】
本発明の実施形態において、複数のノードが参照される場合、少なくとも2つのノード、有利には少なくとも3つのノード、より有利には少なくとも5つのノードが参照される。
【0036】
ノードは、非完全断熱テーパセクションを使用して少なくとも3つのマルチモード導波路を接続するように構成されたマルチモード接合を介して、フォトニクスリザーバコンピューティングシステムにおいて複数の分割および/または結合を行なうように構成され得る。
【0037】
本発明の実施形態の利点は、より高い効率を得ることができることである。さらに、波の結合および分割は複数回発生するため、効率のわずかな増加が全体として大きな利得をもたらすことに留意されたい、すなわち、一連のスプリッタおよび/またはコンバイナが、典型的には、本発明の実施形態による光コンピューティングリザーバで使用される。
【0038】
マルチモード接合は、3つのマルチモード導波路を接続するためのマルチモードY接合であってもよい。
【0039】
導波路は、例えば、少なくとも500nm、有利には少なくとも1000nmの幅を有し得る。導波路の幅は、これらが複数のモードのガイドをサポートするように、使用される波長の関数として選択され得る。本発明の実施形態の利点は、より広い導波路を使用することにより、複数のガイドモードがサポートされることである。
【0040】
テーパ長は、2μmから2.5μmの間であってもよい。テーパ長は、複数のモードのガイドをサポートするように、使用される波長の関数として選択され得る。
【0041】
断熱性を微調し得る他のパラメータは、例えば、スプリッタの場合は出力導波路間の、またはコンバイナの場合は入力導波路間の、テーパ幅と角度である。
【0042】
光導波路ベースの構造は、結果として生じる放射信号の重み付けを光ドメインで行なうように構成でき、システムは、テーパセクションを使用して3つの導波路を接続するように構成されたマルチモードYジャンクションを使用して、重み付けされた信号を結合するように構成され、テーパセクションは完全に断熱的ではない。本発明の実施形態の利点は、非常にわずかなパワーしか使用しない読み出し構造が提供され、効率的なシステムをもたらすことである。
【0043】
それにもかかわらず、本発明の実施形態によるシステムは、それに限定されず、例えば、シングルモードリザーバ、他のフォトニックリザーバ、などで実装することもできる。
【0044】
システムは、いくつかの実施形態では、カオス的リザーバを備えてもよい。
【0045】
トレーニングモジュールおよび重み付けシステム、ならびに対応する方法は、フォトニックリザーバコンピューティングシステムに限定されず、フォトニック波ベースのコンピューティングシステムなどのフォトニックコンピューティングシステムにより広く適用できることに留意されたい。
【0046】
代わりに、連続位相テューニングを、重み付け係数を抽出するためのトレーニングモジュールで使用することもできる。
【0047】
システムは、シリコンフォトニクスリザーバを備えてもよい。本発明による実施形態の利点は、周知のシリコンフォトニクス技術を使用することができ、その結果、システムを製造するための周知の処理方法もたらすことである。本発明の特定の好ましい態様は、添付の独立請求項および従属請求項に記載されている。従属請求項からの特徴は、独立請求項の特徴と、および他の従属請求項の特徴と適宜組み合わされてもよく、単に特許請求の範囲に明示的に記載されているだけではない。
【0048】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記載される実施形態(複数可)を参照して、明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明による実施形態で使用することができるような、リザーバコンピューティングシステムおよび出力をトレーニングするための付属モジュールを図示する。
【
図2】スプリッタおよびコンバイナとして使用される異なるY接合の概略図であり、最新技術および本発明による実施形態の特徴を図示する。
【
図3】本発明の実施形態による、リザーバコンピューティングシステムの効率の波長依存性を図示する。
【
図4】本発明の実施形態による、異なるノードに対するシングルモードと比較したマルチモードの損失の低減を図示する。
【
図5】本発明の実施形態による、完全光読み出しを備えたリザーバコンピューティングシステムの概略図を示し、示されている実施形態において、各光出力信号は、重みを実装する光変調器(OM)によって変調され、その後、光出力はフォトダイオードに送られ、そこですべての信号が合計されて、次いで最終的な電気出力信号に変換される。
【
図6】本発明の実施形態による、複素数値のリッジ回帰を用いたベースラインアプローチに対する入力信号ビットレートの関数としてのビット誤り率を図示し、示されている例では、分類子が、4x4フォトニックスワールリザーバ上で3ビットヘッダ認識(パターン101)を行なうようにトレーニングされ、結果は10の異なるリザーバで平均化され、最小の検出可能な誤り率は、10
-3である。
【
図7】本発明の実施形態による、ブラックボックスアプローチ、CMA-ESに対する入力信号ビットレートの関数としてのビット誤り率を図示し、比較のためにベースラインアプローチを示し、示されている例では、分類子が、4x4フォトニックスワールリザーバ上で3ビットヘッダ認識(パターン101)を行なうようにトレーニングされ、結果は10の異なるリザーバで平均化され、最小の検出可能な誤り率は、10
-3である。
【
図8】本発明の実施形態による、CMA-ESのトレーニングデータの繰り返しの関数としてのビット誤り率を示し、示されている例では、分類子は、4x4フォトニックスワールリザーバ上で3ビットヘッダ認識(パターン101)を行なうようにトレーニングされ、結果は10の異なるリザーバで平均化され、最小の検出可能な誤り率は、10
-3である。
【
図9】本発明の実施形態による、3ビットヘッダ認識タスク(パターン101)に対するビット誤り率を、リザーバの導波路に追加される均一に分布した位相ノイズの範囲の増加の関数として示し、読み出しは、4x4フォトニックスワール上の複素数値リッジ回帰を使用してトレーニングされ、示されているデータは、データポイントごとのランダムノイズの100インスタンスにわたって平均されており、10の異なる初期リザーバに適用され、最小検出可能ビット誤り率は、10
-3である。
【
図10】本発明の実施形態で使用できるモジュラス観測手順を示し、1つの重みが1に設定され、残りのすべての重みが0に設定され、観測可能な出力は対応するリザーバ状態のモジュラスの2乗である。
【
図11】本発明の実施形態で使用できる位相推定手順を示し、2つの重みが1に設定され、一方残りの重みが0に設定され、これは、出力で合計された状態のパワーをもたらし、合計パワーと、例えば
図10に示す手法を使用して得られた個々の状態のパワーとの関係を介して、強調されたチャネルの状態間の引数(位相角)を計算することを可能にする。
【
図12】本発明の実施形態による、非線形性反転についての入力信号ビットレートの関数としてのビット誤り率を示し、ベースラインおよびCMA-ESアプローチが、比較のために示され、示されている例では、分類子が、4x4フォトニックスワールリザーバ上で3ビットヘッダ認識(パターン101)を行なうようにトレーニングされ、結果は10の異なるリザーバで平均化され、最小の検出可能な誤り率は、10
-3である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
特許請求の範囲の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0051】
異なる図面において、同じ参照符号は同じまたは類似の要素を指す。
【0052】
本発明は、特定の実施形態に関して、一定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれらに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。記載されている図面は概略図のみであり、かつ非限定的である。図面において、いくつかの要素のサイズは誇張され、縮尺通りに描かれてない場合があり、例示目的である。寸法および相対寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に対応していない。
【0053】
さらに、説明および特許請求の範囲における第1、第2などの用語は、類似の要素間で区別するために使用され、必ずしも時間的、空間的、ランキングまたは他の様態でのシーケンスを記述するために使用されない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載または図示される以外の順序で動作できることを理解されたい。
【0054】
そのうえさらに、説明および特許請求の範囲における上部、下部などの用語は、説明の目的で使用されており、必ずしも相対的な位置を説明するためではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載または図示される以外の向きで動作可能であることを理解されたい。
【0055】
特許請求の範囲で使用される「備える」という用語は、その後にリストされた手段に限定されると解釈されるべきではなく、他の要素またはステップを除外するものではないことに留意されたい。このため、言及された特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を指定するものと解釈されるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップまたは構成要素、あるいはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。したがって、表現「手段AおよびBを備えるデバイス」の範囲は、構成要素AおよびBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。それは、本発明に関して、デバイスの関連する構成要素のみがAおよびBであることを意味する。
【0056】
本明細書を通して「一実施形態」または「実施形態」と言及する場合、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このため、本明細書全体の様々な場所での「一実施形態では」または「実施形態では」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではなく、そうかもしれない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、本開示から当業者には明らかなように、1つ以上の実施形態において任意の適切な様態で組み合わされてもよい。
【0057】
同様に、本発明の例示的な実施形態の説明において、本発明の様々な特徴は、開示を合理化し、様々な発明の態様の1つ以上の理解を助ける目的で、単一の実施形態、図、またはその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、この開示方法は、請求される発明が、各請求で明示的に列挙されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲が反映するように、発明の態様は、単一の前述の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない。このため、詳細な説明に続く請求項は、この詳細な説明に明確に組み込まれ、各請求項は、本発明の別個の実施形態として独立している。
【0058】
さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴、しかし他の特徴ではない、を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であり、当業者によって理解されるように異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の請求項において、請求された実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用することができる。
【0059】
本明細書で提供される説明では、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることが理解される。他の例では、この説明の理解を不明瞭にしないために、周知の方法、構造、および手法は詳細に示されていない。
【0060】
本発明の実施形態において、Y接合に言及する場合、第1ポート、入力ポート、の導波を、対称的または非対称的に他の2つのポート、出力ポート、の導波に分割する、または、2つのポート、入力ポート、の導波を、第3のポート、出力ポート、の導波に結合するように設計された3ポートデバイスに言及する。さらに、シングルモードY接合は、入力および出力ポートが、1つのシングルモードからなる波のみを導く導波路でできている上記のY接合を指す。それとは対照的に、マルチモードY接合は、少なくとも1つのポートが、ただ1つ以上のモードを含む導波をサポートする導波路を含む上記のY接合を指す。それにもかかわらず、本発明の他の実施形態では、リザーバはカオス的リザーバに基づくことができ、したがって、本発明は、Y接合なしの実施形態にも関することに留意されたい。
【0061】
本発明の実施形態において、完全に断熱されていない滑らかなテーパまたはテーパセクションに言及する場合、断熱定理に適合しない長さスケールにわたって形状を変化させる滑らかなテーパ構造に言及する。これは、導波モードが著しく混在していることを意味し、例えば、基本モードの、基底状態に閉じ込められた重要な量のエネルギーが、高次モードの励起に変換され、その逆もある。このプロセスは、放射損失を含む可能性があり、通常、100%に近い、例えば98%を超えるシングルモード変換効率をもたらす断熱テーパセクションより変換効率が低い。それゆえに、完全ではないテーパは、98%未満、例えば95%未満の変換効率を有する場合がある。それにも関わらず、本発明の他の実施形態では、リザーバはカオス的リザーバに基づくことができ、したがって、本発明は、テーパセクションなしの実施形態にも関することに留意されたい。
【0062】
第1の態様では、本発明は、フォトニクスリザーバコンピューティングシステムに関する。そのようなフォトニクスリザーバコンピューティングシステムは、出力チャネルに結果として生じる放射信号をする生成ために、少なくとも1つの光信号を伝播するように適合されている。いくつかの実施形態では、リザーバコンピューティングシステムは、結果として生じる放射信号を生成するためにノード間で少なくとも1つの光信号を伝播するための光相互接続を介して相互接続された複数の離散的ノードを備え得る。他の実施形態では、リザーバは、離散的ノードが存在しないカオス的リザーバであり得る。本発明の実施形態によれば、フォトニクスリザーバコンピューティングシステムは、出力チャネルからの信号に重み付けするための重み付け素子、および出力チャネルからの信号を光学的に検出するための少なくとも1つの光検出器をさらに備える。システムは、少なくとも1つの光検出器の出力を通して出力チャネルからの信号を推定するように適合されている。いくつかの実施形態では、重み付け素子は、結果として生じる放射信号に重み付けするように適合され、少なくとも1つの光検出器は、信号が光ドメインで重み付けされた後に、重み付けされた結果として生じる放射信号の結合を光学的に検出するように適合される。このようにして、システムは、完全な光読み出しを提供するように適合されている。後者は、非常に効率的な読み出しを提供し、最初に信号を電気ドメインに変換する必要がないので有利である。本発明の実施形態によるシステムは、大面積光検出器の出力を通して重み付けされた結果として生じる放射信号を推定するように適合されている。
【0063】
いくつかの他の実施形態では、少なくとも1つの光検出器は、各出力チャネルにおいて結果とし生じる放射信号を光学的に検出するための複数の光検出器を備え、重み付け素子は、電気ドメインにおいて光学的に検出された結果とし生じる信号に重み付けするように適合されている。
【0064】
いくつかの実施形態では、フォトニクスリザーバコンピューティングシステムは、システム内の異なるチャネルのパワーおよびシステム内の異なるチャネル間の位相差を決定するためのトレーニングモジュールを備える。システムは、最大で3F-2回トレーニングデータを繰り返すことによって、重みづけされた結果として生じる放射信号の振幅およい位相を推定するように適合され得、Fは出力チャネルの数である。
【0065】
いくつかの実施形態では、トレーニングモジュールは、所定のパターンに従って重み付け素子を介して重みを設定しながら、トレーニングデータを数回繰り返すようにも構成される。
【0066】
いくつかの実施形態では、光検出器は、重み付けされた結果として生じる放射信号に対して非線形演算を行なうように構成され得る。非線形演算を行なうことは、重み付けされた結果として生じる放射信号を合計する前に、重み付けされた結果として生じる放射信号のパワーを取ることを含んでもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、重み付け素子は、結果として生じる放射信号に重み付けするための逆バイアスされたpn接合を備えてもよい。他の実施形態では、重み付けは、検出器の後のアナログ電子機器で生じてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、トレーニングモジュールは、トレーニングデータを取得するように構成され得、それにより、重み付け係数は、1(a.u.)に等しい重み付け係数のうちの1つを引き続き選択し、一方他のすべての重み付け係数を0に設定し、強度を決定することを可能にすることによって、および、非ゼロの重み付け係数のうちの2つを選択し、一方他のすべての重み付け係数を0に設定し、強度測定と組み合わせたとき、位相を決定することを可能にすることによって、選択される。
【0069】
いくつかの実施形態では、トレーニングモジュールおよび重み付けシステムはまた、複数の離散的ノードおよびノード間で少なくとも1つのフォトニック信号を伝播するためのノード間の複数の受動マルチモード導波路相互接続を備えるフォトニクスリザーバコンピューティングシステムの特徴と組み合わされ得る。さらなる特徴は、以下で説明するシステムの特徴に対応する場合がある。複数のノードは、少なくとも2つのノード、例えば少なくとも3つのノードを指してもよい。各離散的ノードは、それに接続された受動導波路相互接続を介して少なくとも1つのフォトニック信号を受動的に中継するように適合されている。一実施形態では、光導波路ベースの構造は、テーパセクションを使用して少なくとも3つの導波路を接続するように構成された少なくとも1つのマルチモード接合を備えてもよく、ここでテーパセクションは完全に断熱的ではない。接合は、3つの導波路間の接続の場合はY接合であってもよい。より一般的には、接合はNxMカプラと呼ばれる場合があり、ここでNとMは互いに異なる。入力の数または出力の数がより大きいかどうかに応じて、カプラはコンバイナまたはスプリッタと呼ばれる場合がある。
【0070】
本発明の実施形態はこれに限定されないが、例として、標準および任意選択の特徴を、リザーバコンピューティングシステム1の概略図を示す
図1と、リザーバ1内のノード12の場所で光信号を分割および結合するために使用されるY接合31、32、33の一般的な形状を表示する
図2とを参照してさらに説明する。本説明では、Y接合を使用して、本発明の実施形態の特徴および利点を説明するが、本発明はこれに限定されず、上記でも示したように、より一般的なNxMカプラも使用され得る。
【0071】
図1は、入力信号によって運ばれる情報がリザーバシステム1によって処理される方法と、トレーニングモジュール2の一部として出力信号22を導出するために使用されるその読み出しメカニズム21とを明示している。
【0072】
図1に示される例のリザーバコンピューティングシステム1は、マルチモード導波路13を介して相互接続されるノード12の集合として考えられる。マルチモード導波路13は、任意の適切な方法で製造することができる。現在の例では、マルチモード導波路13は、シリコンチップ上に実装され、通常、500nmよりも広く、理想的には、1300nm前後の波長で動作する場合、1000nm以上である。導波路の幅は、通常、導波路のマルチモードの挙動を決定する要因の1つであり得る。マルチモード導波路は、例えば、Si、SiNなどの半導体導波路、SU8のようなポリマー導波路、ガラス基板、などなど、のような任意の適切な材料プラットフォーム内に実装され得ることに留意されたい。
【0073】
リザーバコンピューティングシステムのノード12は、
図1に示すように規則的なグリッド上に配置され得るが、実施形態はそれに限定されず、不規則なグリッドも使用され得る。リザーバシステム1のノード12が多いほど、過去の信号を記憶する能力が向上し、したがって計算能力および予測能力が向上する。マルチモード導波路13内で束縛、ガイドモードとしてリザーバコンピューティングシステム1を通過する光信号は、複数のノード12に遭遇し、ノードは、光信号を繰り返し再結合、分割し、したがって新しい方向にリダイレクトする。既存の先行技術システムにおける結合の反復動作の欠点は、いくつかのノード12を横切った後に信号が経験する固有の損失で、信号によって運ばれるすべての情報が失われるノイズフロアレベルに急速に落ちることである。この損失は、入力パワーの位相が完全に揃っていない場合に、信号コンバイナ32として機能するために、逆方向のシングルモード321のコヒーレント光で動作する場合のシングルモード50/50スプリッタ31の固有の特性である。シングルモードスプリッタおよびシングルモードコンバイナの例は、
図2の上の2つの図に図示されている。先行技術のシステムでは、結合された信号の一部が出力においてより高いモード322を構成し、それはガイドされず、したがって放射してしまうため、そのようなパスでは、平均して信号パワーの50%が失われてしまう。本発明の実施形態は、リザーバシステム1のノード12に位置付けられたスプリッタおよび/またはコンバイナとしてマルチモード接合33を導入することにより、リザーバシステム全体の性能を改善し、それにより損失が低減する。後者については、
図2を参照して以下でさらに説明する。
【0074】
図2において、下の図は、マルチモードコンバイナの例を図示しており、マルチモード信号の結合が示されている。接合33は完全に断熱的ではなく、入力および出力導波路もマルチモードである。これらは、基本導波路モード331、334に加えて、1つ以上の高次モード332、333をサポートする。
【0075】
再び
図1を参照すると、リザーバコンピューティングシステム1は、時間的に変化し、デバイスの外部で符号化された情報を伝達する1つ以上の放射入力信号11を受信する。放射入力信号11は、変調された自由空間結合光波または変調されたファイバ結合光モードであり得る。すべての放射入力信号11は、例えば、面外グレーティングカプラ素子(複数)または単一の面外グレーティングカプラ素子を通して1つ以上のリザーバノード12に注入され、その後、入射放射信号11を分割するY接合33のシーケンスが続く。入力信号は、1つ以上のリザーバノード12に存在および抽出されたフィールドの集合14として与えられた高次元の特徴空間で表される。リザーバコンピューティングシステム1の状態が時間とともに進展するにつれて、元の入力信号11は、リザーバシステム1全体にわたって広がり、複数の結合および分割イベントを受ける。マルチモード導波路と結合するマルチモードY接合33の使用は、これらの各イベント後にリザーバ1内に保持される総光信号パワー量の増加に照らして有利である。本発明の実施形態の利点は、リザーバ1の遠隔ノード121でさえ測定可能になることであり、それは、これらの経路に沿って進む放射信号が経験する非常に強い損失のために以前のリザーバシステムにはなかった。抽出された光信号14は、トレーニングモジュール2にルーティングされて修正される。
【0076】
本発明の実施形態によれば、システムは、完全に光ドメイン内に実装される読み出しステージ21において重み付けスキームを備える。これは、完全に電子的なものである場合に読み出し機構21に発生する複雑さとコストを低減するという利点がある。
【0077】
抽出された光信号14のうちの1つ以上は、例えば、最初に信号振幅を減衰または増幅することにより、複素重みが乗算される。特定の一例において、信号振幅の減衰は、離調したマイクロリング空洞211の低減した透過率を通して、続いて線形位相シフタ領域212内で位相シフトを適用することにより得られる。どちらの場合も、マルチモード導波路の実効屈折率は、逆バイアスpn接合内部の電界によって引き起こされる屈折率の変化に応じて変更できる。逆バイアスPn接合は、ヒーターベースの位相シフトソリューションを超えてはるかに低い静的パワー消費という利点を有する。ヒーターは継続的に電流を引き出すが、逆バイアスpn接合はわずかな漏れ電流の影響を受けるだけである。有利には、すべての重み付けされた読み出し信号213は、単一の出力信号22に結合される。リザーバシステム1におけるマルチモードY接合33の使用と類似して、結合ステップは、放射モードによる損失を低減するために、例えばマルチモードY接合33またはテーパセクションのカスケード214を通して起こり得る。読み出しステージ21での重み付けスキームが完全に電子的である場合、結合ステップ214もまた完全に電子的、例えば電子的ファンインであり得るが、他の実装が好ましい場合がある。問題の所望の出力を電気ドメイン内で表す必要がある場合、出力信号22を電気ドメインに変換する必要がある。これは、結合ステージ214の端部で最終的な幅の広いマルチモード導波路を覆うフォトダイオードによって達成できる。同時に、フォトダイオードは、電磁場強度をパワー値にマッピングする非線形信号変換を実行する。非線形の挙動が、リザーバコンピューティングシステムの一定のアプリケーションに対して必要である。
【0078】
上記のように、上記の例は、マルチモード導波路ベースのリザーバについて言及しているが、カオス的リザーバを使用して本発明の実施形態に適用される必要な変更を加えることができる。
【0079】
伝統的なリザーバコンピューティングトレーニングアプローチは、リザーバシステム1から抽出されたすべての光信号14が観測可能であり、既知であると想定している。本発明の実施形態は、この追加の要件を回避し、観測する必要があるただ1つの出力信号22を有する単純化されたトレーニングモジュール2をもたらす。これは、抽出されたリザーバ状態14の間接的な決定によって達成され、トレーニングシーケンス11がリザーバシステム1に複数回提示される場合に可能である。トレーニングサンプル11が繰り返されるたびに、以下に説明するように複素重みを変更することができ、これは重みを適用する有利な例を示し、実施形態はそれに限定されない。更新は、例えば、同じ入力信号が数回、例えば3回、提示された後の更新であってもよい。
【0080】
すべての振幅制御重み211を、可能な限りゼロに近づけることによって、オフにする。次に、単一の振幅制御重み211、例えば最初のもの、を作動させ、可能な限り1に近づける。次いで、出力信号22が、対応する読み出し放射信号14に直接関係し、その関係は、電界強度をその対応するパワー値に変換する受光器の非線形二乗ノルム演算である(必要に応じて、検出器の非理想的な伝達特性は較正を通して考慮することができる)。次に、2番目以外のすべての重み素子をオフにしてこの手順を繰り返す。
【0081】
2番目のステップでは、抽出されたすべての光リザーバ出力信号14間の相対的な位相差が、一度に2つを選択してオンにすることで決定されるが、残りはオフまたはゼロ状態のままである。受光器出力22により与えられるパワー値が、記録される。抽出されたリザーバ信号14の振幅値の事前の抽出とともに、この2番目の測定ステップは、14の2つのアクティブなリザーバ出力信号間の相対位相差の抽出を可能にする。最後に、パイ位相シフトを解決できるようにするために、同じ2の2つの入力チャネルで2つの異なる非ゼロ入力信号を使用した3番目の測定が行なわれる。この3つの測定のステップは、2番目のペアで繰り返される。
【0082】
リザーバの出力状態14を決定するこの手順は、多くの力ずくのブラックボックス最適化手法よりも高速であるという利点がある。数百または数千の繰り返しステップの代わりに、前述の方法は、抽出されたリザーバ状態14の数がnのO(3n)の繰り返しのみが必要である。
【0083】
上述のように、この手順は、受光器の非線形応答の量ならびにpn接合の電圧位相シフト曲線を定量化する主要な特性評価ステップの対象となる。
【0084】
例として、本発明の実施形態の例が考察され、本例では、マルチモードY接合の最適化とともに例示されており、本発明の実施形態によるコンピューティングリザーバで使用できるシステムの標準および任意選択の特徴および利点を示しているが、実施形態はそれに限定されない。本例におけるマルチモードYジャンクションの最適化は、標準設計キットのYジャンクション(Ipkiss)に対して、導波路幅とテーパ長の関数として、入力光パワーの百分率損で測定された性能結果に基づいている。これは、スプリッタまたはコンバイナとして使用したときに、Y接合デバイスの応答をシミュレートするLumerical MODEソリューションソフトウェアを使用した数値シミュレーションによって達成される。この目的を達成するために、varFDTDメソッドが選択され、レベル5の精度で自動不均一メッシング戦略が選択され、コンフォーマルバリアント1メッシュ改良が適用された。この例では、波長を1300nmに設定し、Lumerical材料データベースのPalikのモデルに従った材料パラメータを備える高さ220nmのシリコン導波路構造を囲む屈折率1.4469の酸化シリコンクラッドを使用したが、設定と材料は現在の選択に限定されない。構造がシミュレートされ、小さなゲイン、つまり損失の減少、がマルチモードシステムに対して見られた。効率の向上は控えめに見えたが、リザーバシステム1内の複数のノードパスからの恩恵を受け、このために、指数関数的に増幅される。結果として、本発明は、より多くのノード、設計トポロジーにおける大きな自由、および、より優れた計算性能を備えたより大きなリザーバシステムを可能にする。
【0085】
使用する導波路および接合の幅を変えることにより、マルチモードガイド効果をスプリッタならびにコンバイナについて検討した。使用する導波路および接合の幅を広げることにより、より多くのモードがガイドされることになる。600nmの幅では、最初の2つのモード(すなわち、基本モードおよび1次モード)が強くガイドされる。第3のモードは存在するが、ガイドされる強度はより弱い。800nmの幅では、最初の3つのモードがよくガイドされるが、ここで第4のモード(すなわち、1.46の実効屈折率と1.4469のクラッド屈折率を有する3次モード)は弱くガイドされる。1000nm幅の導波路の状況は、4つの良好なガイドモードと、実効屈折率1.4495を有しほとんどガイドされない第5(つまり4次モード)に向かってさらに進化した。1200nmの幅を有する最後の設計は、この4次モードをより良くガイドし、5次モードはまだサポートしていない。
【0086】
このため、損失は、導波路および接合の異なる幅(600nm~1200nm)を有する異なる構造に対してシミュレートされた。得られた結果は、より幅の広い導波路および接合の場合、より小さな導波路および接合の場合よりも損失が実質上より小さかったことを学んだ。後者は、これらのより幅の広い設計が複数のモードをサポートするため、複数のモードを使用することの肯定的な効果を例証している。これらの肯定的な結果に基づいて、さらなる最適化が行なわれた。
【0087】
パワー損失に及ぼすテーパ設計の影響も検討した。本例において、テーパ長を最適化するために幅1μmの導波路設計が使用された。テーパ長0.1μm、1μm、2μm、および2.5μmを有するコンバイナについてシミュレーションが行なわれた。
【0088】
コンバイナについての結果を以下の表に示す。それに関して、SEは単一励起を指し、DEは二重励起を指す。
【0089】
【0090】
【0091】
最適化が、予想どおりより低い損失をもたらした。これは、元の0.1mのテーパ長を他のテーパ長と比較することで確認できる。損失の減少は、2.0μmと2.5μmとの間で飽和する。その後、損失は再びわずかに増加する。これは、次のように説明できる。テーパを長くすることにより、テーパセクション内のモードは、出力モードにスムーズに収束する時間が提供されるが、テーパをより断熱的にせず、このためマルチモード体制内においてより断熱的でないY接合の有益な効果を破壊する。そのため、テーパ長2.0と2.5μmとの間で最適に達し、テーパは、断熱性をあまり失うことなく、不要な損失を最大限に減らすのに十分な長さとなる。一方でその点を超えると、テーパ設計によって引き起こされる損失は依然として減少するが、断熱性が必要以上に改善し始め、その結果、有益な効果が減少し、こうしてより多くの放射損失と散乱光とが生じる。他方で平衡点を超えると、非常に弱い断熱性を有するテーパが得られ、損失に対抗することはできず、損失に寄与することさえある。言い換えると、さらなる最適化を行なうことができるが、シミュレーション結果は、コンバイナ(すべてインコヒーレントに結合されたモードソースの場合の)について平均損失が39%(単一励起)および37%(二重励起)であることを示しており、これは、現在のリザーバにおいてMMI(50%の損失)が提供できるものよりもはるかに優れている。これらの値および動作モードは、ここで検討した具体的設計に特化したものであり、他の設計では異なる可能性があることに留意する必要がある。
【0092】
また、リザーバシステムの効率に対する使用波長の依存性を評価した。モデル化された単純化されたYジャンクションについて、Sパラメータを使用して、構造の挙動に対する波長の影響を評価した。
図3は、波長の関数としてのY接合の(複素)Sパラメータの絶対値の二乗を図示し、ここで1μm幅の導波路が使用され、テーパ長は2μmであった。入力として、基本モードが使用された。波長は、1280から1320nmまで掃引され、中心周波数は約1300nmである。これらの絶対値の2乗は、すべてのSパラメータに対応するパワー潮流の尺度である。測定結果は、実質的に平坦な曲線(ほぼ水平方向)に対応していることが分かり、波長がリザーバシステムの性能に重要な影響を与えないことを例証している。本発明の実施形態の利点は、使用される波長の変動が、システムの性能に大きな変動を引き起こさないことである。これは、波長依存性が非常に高い、例えば方向性結合器を使用する他のアプローチとは対照的である。
【0093】
別の実験では、シングルモード接合および導波路ベースのリザーバとマルチモード接合および導波路ベースのリザーバとの間の全体損失が比較されている。それにより、タスクを解決する際の性能は、実質的に異ならないが、発生する損失は実質的に異なることに留意されたい。
図4では、16ノードリザーバに対するパワーレベルが示されており、それによって単一モードリザーバとマルチモードリザーバとが比較されている。マルチモードリザーバ内のすべてのノードのパワーをシングルモードリザーバ内の同じノードのパワーで割ったパワー比が、1ビット遅延XORタスクについて示されている。第1のノードが入力として使用されるため、そのパワーは変化せず、パワー比は1に等しくなる。ノード1および2を除き、すべてのノードは明らかに、比が1に等しい場所を示す水平線より上のパワー比を有する。これは、マルチモードリザーバのすべてのこれらのノードでより多くのパワーが測定されることを意味する。
【0094】
第2の態様では、本発明は、フォトニクスリザーバコンピューティング方法に関する。本方法は、以下に説明する次のステップを含む。リザーバシステムの少なくとも1つの出力で、1つ以上の入力信号を受信すること。その入力信号は、時間的に変化する光波に直接結合すること、あるいは1つ以上の入力信号に従うフォトニック波を変調する変換素子を使用することによって受信され得る。リザーバシステム内で1つ以上の入力信号の遅延および再重み付けされたバージョンを伝播することであって、リザーバシステムでは、1つ以上のマルチモードYジャンクションが、パワー効率の良い方法で、マルチモード導波路に沿って進む着信および発信する光リザーバ信号を中継するリザーバノードサイトにおいて、スプリッタまたはコンバイナとして作用し得る、伝播の別の例は、カオス的リザーバを介してもよい。
【0095】
本方法は、そのノード場所でリザーバシステムの1つ以上の特定の励起状態を調べること、およびそれらをトレーニングモジュールにルーティングすることをさらに含む。それはまた、トレーニングモジュールの読み出しセクション内の1つ以上の調べられたリザーバ出力信号に線形重み付けスキームを適用することも含む。重み付けスキームは、それぞれの1つ以上の光信号14の振幅211および位相212を変更することができる。読み出しステージ213の1つ以上の修正された光信号を、例えば、マルチモードY接合33のカスケード214を通して、または、テーパマルチモード導波路の合流セクション214を通して、単一の出力信号22に結合すること、しかしこれに限定されない。例えば、複素数値の光信号を実数値の電力レベルに変換する受光器素子の作用を通して、出力信号22を非線形形式にマッピングすること。出力信号22を特定のタスクのための所望の教師信号と一致させるように、読み出し重み211、212を監視下の様態でトレーニングすること。学習アルゴリズムへの必要な入力として、1つ以上の調べられたリザーバ状態14を再構築すること。この再構築は、同時に出力信号22を観測して、1つ以上の入力信号11を複数回提示し、一度に単一の重み211をアクティブにして、それをオン状態「1」に駆動し、残りの重みをオフ状態「0」のままにすることによって、および、重みのペアをアクティブにし、それらをオン状態「1」に、またはより一般的には非ゼロの状態に駆動し、一方他の重みすべてをオフ状態の「0」のままにすることによって、達成される。この最後のステップは、パイ縮退を解除するために2回起こる。
【0096】
例として、本発明の実施形態はこれに限定されず、フォトニックリザーバコンピューティングシステムのトレーニングの例ならびに読み出し動作の例が考察され、本発明の実施形態の標準および任意選択の特徴を例証している。そのようなトレーニングアルゴリズムのいくつかのオプションが考察され、事前定義された入力シーケンスを繰り返しながら、読み出し重みを適切に設定することによって、リザーバの複素状態を観測できる解決策を提案する。
【0097】
それゆえ、電気ドメインの代わりに光ドメインで信号の加算を行なうことが望ましい。そのような統合光読み出しを使用すると、すべての光信号の加重和を受信する単一の受光器のみが必要とされる。直截な低パワーの光重み付け素子は、逆バイアスpn接合または不揮発性の光重み付け素子の形を取ることができる。
図5は、完全に光学的に統合された読み出しの概念を図示する。
【0098】
しかしながら、そのような統合光読み出しを採用することにより、フォトニックリザーバの状態の直接的な観測可能性を失う。ただし、リッジ回帰やその他の最小二乗アプローチなどの古典的な線形読み出しトレーニングアルゴリズムを使用するために、すべての状態を観測することが必須である。状態を観測するためのトレーニング中にのみ使用される個別の高速受光器を各リザーバノードに使用することは、高速受光器はチップのフットプリントの点でコストがかかる傾向があるため、および重みは複素数値信号上の複素数値の重みであるので、状態の強度ならびにその位相を測定するには複雑なコヒーレント検出器が必要になるため、良い解決策とは見なされないことに留意されたい。また、明らかにすべてのノードの完全な可観測性を有するフォトニック回路シミュレーションソフトウェアを使用して、仮想リザーバの挙動のシミュレーションに基づいて重みをトレーニングしても、直截な解決策にはならないことも留意されたい。デバイスの製造公差は、2つの名目上同一の導波路の伝播位相が完全に異なる可能性があるため、理想的なシミュレートされたリザーバを使用してトレーニングされた重みを実際のハードウェアに正常に転送することを妨げている。
【0099】
現在の例では、完全な状態の可観測性なしに統合フォトニックリザーバをトレーニングするためのいくつかのアプローチが評価されている。統合光読み出しを備えたフォトニックリザーバの挙動がシミュレートされ、これらのリザーバのシミュレートされた読み出しは、3ビットヘッダ認識を行なうようにトレーニングされる。アプローチは、広範囲の入力信号ビットレートで達成されたビット誤り率を比較することによって評価される。
【0100】
この例では、読み出し重みを適切に設定しながら、所定の入力シーケンスを数回走らせることにより、最終フォトダイオードのみを使用してリザーバの複素数値状態が推定される。推定された複素状態は、次いでデジタルコンピューター上の従来のトレーニングアルゴリズムに使用され、結果の重みは実際の読み出し上にプログラムできる。
【0101】
最初に、使用される方法論について考察する。広範囲の入力信号ビットレートでシミュレートされたリザーバの達成されたビット誤り率が比較される。シミュレートされたフォトニックリザーバの読み出し重みは、3ビットヘッダ認識タスクを行なうために統合光読み出しでトレーニングされる。シミュレーションのセットアップは、非特許文献2で説明されたセットアップに基づいて構築しているが、リザーバのすべてのノード上のパワーは、トレーニングの前に電気ドメインに変換されていない。代わりに、統合光読み出しは、本来複素数値であるリザーバの光信号に直接作用すると想定されている。
【0102】
非特許文献3で説明されているように、Capheは、非特許文献1で説明されているように、スワールアーキテクチャを使用して、統合4x4フォトニックリザーバに対応する光回路をシミュレートするために使用されている。強度変調された入力信号が、ビット周期ごとに24回サブサンプリングされ、1次バターワースローパスフィルタを使用して平滑化され、光集積スワール回路の応答がCapheを使用してシミュレートされた。各スワールノードのサンプリングされた複素出力信号が結果として得られ、ある時点でのそのノードでの光信号の振幅と位相とを示している。各リザーバノードでサンプリングされた複素光信号が、複素状態ノード行列X∈Cとして構成され、この行列と複素光重みを表す複素重みベクトルwとの間の内積を計算することにより、統合光読み出しがシミュレートされた。結果の複素数値信号は、ノイズの多い受光器モデルに送られ、統合フォトニックリザーバの電気出力信号を取得した。この出力パワー信号は、(それぞれの入力信号の)各ビット周期の中間でサンプリングされ、クリーンなバイナリ出力ビットシーケンスを取得するために閾値処理された。閾値Tは、次のように出力信号y[n]の信号範囲の中央に置かれた。
【0103】
T=min(y[n])+(max(y[n])-min(y[n]))/2 (1)
【0104】
リザーバの光読み出しは次のようにシミュレートされた。
【0105】
y=σ(Xw) (2)
【0106】
ここで、X∈CNxFは、複素リザーバ状態の行列であり、統合フォトニックリザーバのF出力チャネルで発生する複素信号のN個のサンプルを含む。w∈CFx1は、統合光読み出しの複素重みを保持するベクトルである。
【0107】
σ(a):Cn→Rnは、受光器によって実現される光ドメインから電気ドメインへのマッピングである。非特許文献2の受光器モデルが、すべてのシミュレーションおよび実験に使用されている。このモデルは、サンプリングされた複素信号aの電流を次のように計算する。
【0108】
i(a)=R|a|2 (3)
【0109】
ここで、Rは受光器の応答性である。検出器の限られた帯域幅を考慮して、4次バターワースローパスフィルタがiに適用されている。その後、分散σn
2_2nを有する、ゼロ平均ガウスノイズが、後続の出力に追加される。分散σn
2は、次のように計算される
【0110】
【0111】
ここで、qは素粒子の電荷、Bは受光器の帯域幅、
【数2】
は光電流、<I
d>は暗電流、k
Bはボルツマン定数、Tは温度、R
Lは受光器の負荷インピーダンスである。使用したシミュレーションでは、次の設定が使用された:R=0.5、B=25GHz、<I
d>=0.1nA、T=300KおよびR
L=1MΩ。
【0112】
シミュレートされたリザーバ内の任意の2つの接続されたノード間の遅延時間は62:5psに固定され、導波路損失はむしろ悲観的な3dB/cmであると仮定された。入力信号は、ノード5、6、9、10を通してリザーバに注入され、ノードインデックスは行ごとに左から右に順序付けられている。この入力ノード構成は、非特許文献2で説明されているように、性能と配線作業との間の良いトレードオフをもたらすことが以前に判明している。
【0113】
前述のように、強度変調を使用して、シミュレートされたリザーバに送信される光信号にビットパターンをエンコードした。予備実験では、入力信号に小さなバイアスを追加すると、システムの全体性能に有益であることが示された(単に振幅エネルギーをバイアスの2倍だけ増やすのとは対照的に)。したがって、入力信号にゼロがエンコードされている場合でも、比較的小さい一定量のパワーがリザーバに注入された。より詳細には、合計パワーptotal=0.1ワットが4つの入力ノードに注入され、ここで0.08ワットが振幅専用で、0.02ワットがバイアス専用であった。入力ビット信号内のシンボル1と0の発生確率が等しいと仮定すると、平均信号パワーは0.08W*0.5+0.02W=0.06Wになる。
【0114】
広範囲のダイナミクスでうまく機能するトレーニングアルゴリズムを見つけることを目指しているため、分類子の性能は、広範囲のビットレートの入力信号で励起された統合フォトニックリザーバをトレーニングすることによって評価された。入力信号のビットレートは、1~31Gbpsの1Gbpsステップでスイープされた。分類子の性能を評価する機械学習タスクとして、ヘッダ認識タスクが使用された。リザーバは、一定のシークされたヘッダビットシーケンスが入力信号で発生する場合は常に出力で1を示し、それ以外の場合は0を示すと予想された。より正確には、入力信号u[n]および事前定義されたヘッダビットパターンh[n]が与えられると、理想的な希望信号dideal[n]は、次のように定義された。
【0115】
【数3】
(5)
ここで、上記の記法はアイバーソンのブラケット記法で、次のように定義される。
【0116】
【0117】
そして、Mはh[n]のビット単位の長さである。この論文では、M=3およびh[n]=δ[n]+δ[(n-2)]、ここで、δはディラックのデルタ関数を表し、したがって、探しているヘッダビットパターンは「101」である。
【0118】
リザーバの読み出しは、理想的な希望信号の修正バージョンを使用してトレーニングされる。
【0119】
d[n]=dideal[n].ptotal (7)
【0120】
ここでもptotal=0.1W、入力信号の最大到達可能パワーである。10000個のランダムビットが、トレーニングデータとしてならびにテストデータの10000個のランダムビットとしてランダムに生成された。製造上のばらつきを考慮して、概して、各リザーバは、同じトレインおよびテスト入力で10回シミュレートされたが、ノード間の導波路の、ならびに入力信号をノードに供給する導波路の異なるランダム位相構成であった。
【0121】
その後、出力重みは、各インスタンスのシミュレートされた読み出しでトレーニングされた。
【0122】
トレーニングされた分類子の性能を比較するために、ビット誤り率<BER>が使用された。BERは次のように定義される。
【0123】
【0124】
ここで、yT[n]はリザーバのサブサンプリングされた閾値出力信号であり、dideal[n]は再び理想的な希望信号である。10000ビットのテストデータを用いて、~90%の信頼レベルを有する最小検出可能ビット誤り率は、10-3である。
【0125】
ここで、複素数値のリッジ回帰手法に焦点を当てる。
【0126】
上記で紹介したように、統合光読み出しのモデルを再び考慮し、次のように定義される。
【0127】
【0128】
ここで、X∈CNxFは、複素リザーバ状態の行列であり、統合フォトニックリザーバのF出力チャネルで発生する複素信号のN個のサンプルを含む。w∈CFx1は、統合光読み出しの複素重みを保持するベクトルである。σ(a):Cn→Rnは、読み出しの受光器によって実現されるマッピングである。
【0129】
従来のリザーバの読み出しに反し、このモデルの読み出し重みは、リザーバの非線形検出器関数の後ではなく、その前にある。これは、モデルのドット積Xwの任意の結果が、この非線形関数を通過することを暗示する。結果として、リッジ回帰を使用して読み出し重みが古典的な方法でトレーニングされる場合、状態と読み出し重みの望ましい積ベクトルdは、検出器出力関数によって変換される。さらに詳しく、wを次のようにトレーニングする場合について考える。
【0130】
【0131】
ここで、α∈Rは正則化強度であり、I∈RFxFは恒等行列である。wが理想的であると仮定して、次式を得る。
【0132】
【0133】
したがって、モデルの出力で、次式を得る。
【0134】
【0135】
モデルは、σ(d)ではなくdを出力することが好ましいため、次のように、読み出し非線形性のおおよその反転
【数10】
を見つけてσを反転させる必要がある。
【0136】
【0137】
したがって、wは次のようにトレーニングされる。
【0138】
【0139】
Katumbaらの検出器モデルは、単純化のために帯域制限ローパスフィルタを無視すると、閉じた形の関数として近似できる:
【0140】
【0141】
もう一度、Rは受光器の応答性を示し、nはノイズベクトルである。主にaの絶対値が取得されるため、また追加された未知のノイズベクトルのために、σ(a)を正確に反転できないことが分かる。それにもかかわらず、上記の検出器関数の逆を、次のように、近似することができる。
【数14】
(16)
【0142】
そうすることにより、二乗誤差の合計を最小化する。
【0143】
【0144】
ここで、行ベクトルは、Xのインデックスnでx(n)として示される。チップ上の光信号は観測できなという事実のため、このアプローチは明らかに実際のデバイスでは使用できないが、従来の実数値のトレーニングアプローチとの類似性は、実際の統合リザーバのための新しいトレーニングアプローチを評価および比較するためのベースラインとして使用するのに適した候補とする。このベースラインを参照するときは常に、はっきりと複素数値のリッジ回帰と呼ばれる。分類子が複素数値のリッジ回帰を使用してトレーニングされるたびに、最適トレーニング結果のための適切な正則化パラメータαを見つけるために、5重の交差検証が使用される。
【0145】
このベースラインの性能は、3ビットヘッダ認識タスク上の異なる入力信号ビットレートに対して統合フォトニックリザーバをトレーニングすることによって評価される。
図6は、達成されたビット誤り率を示している。
【0146】
見て分かるように、提案されたベースラインは、考慮した範囲の下限のビットレートに対してうまくいっている。
【0147】
統合フォトニックリザーバの状態は観測できないため、直截なアプローチは、ブラックボックス最適化アプローチを使用して読み出しをトレーニングすることである。これらの中で、CMA-ESは適切な候補であると思われ、それは、最適化が複素ドメインで行なわれるため問題に対して発生する可能性が高い非凸探索空間を通常うまく処理するためである。アルゴリズムによって提案された候補値をリザーバの読み出し重みに転送し、トレーニングビットシーケンスをリザーバに提示し、リザーバの後続出力から選んだ損失関数を計算し、その誤差測定値をCMA-ESアルゴリズムにフィードバックすることにより、統合フォトニックリザーバをCMA-ESを使用してトレーニングできる。
【0148】
アルゴリズムは損失関数空間をスキャンし、損失関数を最小化する新しい候補を提案する。CMA-ESアルゴリズムに渡す前に、複素重みベクトルw∈Cの実数部と虚数部は、実数値のベクトルにエンコードされる。
【0149】
【0150】
読み出しに設定する前に、逆変換が、アルゴリズムによって提案された重みベクトルに適用される。アルゴリズムはゼロベクトルw0’=0で初期化され、スイープは、10-5から102の間で十進のステップで初期分散に対して行なわれる。推奨されるように、母集団のサイズは次式に設定される。
【0151】
【0152】
CMA-ESの典型的な非常に長いトレーニング時間のために、初期分散と母集団サイズを相互検証することにより、より良い結果を達成できる可能性があることに留意されたい。目的関数として、二乗誤差の合計が最小化される。
【0153】
【0154】
CMA-ESの性能は、3ビットヘッダ認識タスク上の異なる入力信号ビットレートで統合フォトニックリザーバをトレーニングすることで評価される。
図7は、結果の誤り率を示す(結果は10の異なるリザーバで平均されている)。
【0155】
見て分かるように、CMA-ESは、広範囲の考慮ビットレートに対して最小検出可能ビット誤り率10-3を達成している。提案されたベースラインよりも優れており、したがって、原則として統合フォトニックリザーバをトレーニングできる。しかしながら、CMA-ESは通常、トレーニング時間が長く、入力データの多くの繰り返しを必要とするため、その収束挙動を調査する追加の実験を走らせる。
【0156】
フォトニックリザーバは、誤り率が各繰り返しで記録されるCMA-ESでシミュレートおよびトレーニングされる。
図8に示すグラフを得るために、10Gbpsのビットレートで駆動される10のシミュレートされたリザーバで結果を再度平均化する。
【0157】
この実験の結果は、CMA-ESが満足のいく結果に達する前に、完全な入力トレーニングシーケンスを約1000回提示する必要があることを示している。マスマーケットの成熟度を得るためには、実際のハードウェア上での短いトレーニングプロセスがデバイスには必須であるため、入力に対して必要な繰り返し回数を大幅に削減する方法が必要である。スタンドアロンのCMA-ESトレーニングの収束が遅すぎるため、有望な代替策は、シミュレーションでのモデルの事前トレーニングと、実際のデバイス上でCMAESを使用してモデルを改良して、トレーニングプロセスを高速化することである。
【0158】
このような事前トレーニング-再トレーニングアプローチの実行可能性は、以下で説明するようにテストされた。既に述べたように、完全な可観測性を利用したシミュレーションでリザーバをトレーニングし、その後、トレーニング済みの重みベクトルをハードウェアに転送することは、統合フォトニックリザーバの製造公差のために不可能である。しかしながら、このアプローチの可能な拡張として、事前トレーニング-再トレーニング手法が有望な代替手段である。ここでは、デジタルコンピューター上でシミュレートされた仮想リザーバを使用して、読み出し重みも最初にトレーニングされる。重みベクトルを実際のハードウェアに転送した後、ブラックボックス最適化アルゴリズムを使用して重みが調整される。それにもかかわらず、実際の集積回路を再トレーニングするアルゴリズムが、事前トレーニングに基づく初期化を使用した結果として、非常に速く収束することが保証される得る場合にのみ、このようなアプローチは実行可能である。実験は、リザーバ間で予想される位相の大きな変動に照らして、事前トレーニング-再トレーニングアプローチの実行可能性を評価するために行なわれた。これは、複素数値のリッジ回帰を使用して、統合された読み出しでシミュレートされたリザーバの重みをトレーニングすることによってなされる。入力信号のビットレートは、10
-3の最小検出可能ビット誤り率、すなわち、5Gbpsが達成されるように選ばれた。その後、均一に分布した位相ノイズ
【数19】
をリザーバの入力および接続導波路へ追加しながら、リザーバを再シミュレートした。次いで、以前にトレーニングした読み出し重みベクトルを、新しくシミュレートするリザーバに再適用し、結果のビット誤り率を記録した。上記の手順(ノイズの追加、以前にトレーニングされた重みベクトルでのタスクを解決、達成されたBERの記録)は、0からπまでの範囲bのセットに対して行なわれ、bの各値に対して手順を10回繰り返した。異なる初期構成も考慮するために、上記の全手順を10回繰り返し、異なるランダム位相構成を有する10個のリザーバに対して10個の異なる読み出し重みベクトルをトレーニングした。したがって、結果を示す
図9のデータポイントごとに、合計10個のトレーニングされた重みベクトルが100個のシミュレートされたリザーバに適用された。
【0159】
見て分かるように、選ばれたセットアップに対して、非常に少量のランダム位相ノイズに対してビット誤り率が既に2桁増加していて、これは事前トレーニング-再トレーニングのアプローチを困難にしているように思える。したがって、根本的に異なるアプローチがさらに追求され、デジタルコンピューター上で実際の状態から重みベクトルをトレーニングするために、利用可能な受光器を通してリザーバの状態が推定された。その後、この重みベクトルは、誤りの大幅な増加が予想されないハードウェアに戻され得る。
【0160】
上記で紹介したように、統合光読み出しのモデルを再び考慮し、次のように定義される。
【0161】
【0162】
同様に、受光器関数の閉形式近似は、
【数21】
(21)
ならびに、おおよその反転は、上記で紹介した。
【0163】
【0164】
直接観測できない場合、
【数23】
は、リザーバ状態行列|X|を推定するのに使用できる。実際、式20をよく見ると、入力重みベクトルwの適切な選択を通して、状態行列Xのべき乗を観測できることが分かる。
【0165】
重みベクトルとして、
【数24】
(23)
を選ぶなら、そして入力信号u[n]を統合フォトニックリザーバの入力に提示すると、統合された読み出しの出力で、次式を得る。
【0166】
【0167】
ここで、x1は状態行列Xの最初の列である。
【0168】
【数26】
を観測できるので、次式のモジュラス|X
1|を推定できる。
【0169】
【0170】
Rが既知であると仮定して、nを無視すると、
【数28】
をyに適用して|X1|を次式のように推定できる。
【0171】
【0172】
上記の演算は受光器の非線形性のおおよその反転であるため、この方法は非線形性反転と呼ばれる。状態行列の読み出し/列のすべてのチャネルに対してこの手順を繰り返すと、状態行列|X|の状態値のモジュラスを推定することが可能である。例示として
図10を参照。それにもかかわらず、統合光読み出しの重みを調整するには、|X|の引数(位相)に関する情報も必要である。状態についての絶対位相情報は、受光器を通過するとすぐに失われる。しかしながら、状態間の相対的な位相のみが興味の対象で、なぜなら、それらは読み出しの出力合計に影響を与えるからである。
【0173】
モジュラスP
kおよびP
l、ならびにそれらの和
【数30】
のモジュラスP
klを備える、時間tのある瞬間における2つの与えられた複素状態値x
(t,k)およびx
(t,l)を考慮する。それらの相対位相差
【数31】
の絶対値は、位相推定式を使用して計算できる。
【0174】
【0175】
任意の与えられた入力xに対して、区間
【数33】
に2つの可能な解があるという意味で、Arccos(x)は単射であるという事実のため、式27を使用して、絶対値
【数34】
のみを見つけることができ、一方
【数35】
の符号は不明のままである。この問題を解決するには、
【数36】
の推定を異なる値P
klとP’
klで2回を行なう:前に示したようにP
klが計算されている間、π/2の位相差が状態kに追加され、次のようになる。
【0176】
【0177】
【数38】
および次式の推定値を比較することにより、
【数39】
(29)
【数40】
の符号を推測することができる。
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
したがって、結果的に
【0182】
【0183】
基準状態としてある状態x
(t,k)を選び、この状態x(t,k)の値と他のすべての状態x(t,q)の値との間の相対位相
【数44】
を決定できる。このようにして各リザーバの状態を推定した後、複素数値のリッジ回帰を適用してリザーバの最適な重みを見つけることができる。
【0184】
要約すると、同じ入力を3F-2回提示した後、Fは出力チャネルの数であって、検出器が1つしかない場合でもF出力チャネルの各々の完全複素時間進化を測定できる。
【0185】
その後、この情報を使用して、ソフトウェア内の単一パスで必要な重みを計算できる。上記で考察したように、3F-2回の測定は、CMA-ESを使用して通常必要なものよりもはるかに少ない。加えて、必要な繰り返し回数を事前に決定することは困難であるブラックボックス最適化手法とは対照的に、それは決定論的な数でもある。
【0186】
実験では、推定手順に従って読み出しモデル内に重みベクトルの対応する行を設定することにより、非線形性反転手順の反復測定をシミュレートした。重みベクトルのすべての設定に対して、読み出しの完全なモデルを適用した。検出器からの対応する出力信号が収集され、0より小さい出力信号のどのサンプル(ノイズまたは受光器の帯域制限フィルタのリンギングが原因で発生する可能性がある)も0に置き換えられた。
【0187】
その後、式22、27、および30を使用してXを推定した。提案された方法の性能を評価するために、3ビットヘッダ認識タスクでノード間の入力ビットレートを備えた統合フォトニックリザーバが再びトレーニングされた。
図12は、入力信号のビットレートの関数としてのビット誤り率を示している。
【0188】
非線形性反転アプローチの性能は、CMA-ESアプローチよりもわずかに劣り、複素数値のリッジ回帰ベースラインよりもわずかに優れている。特に、非線形性反転アプローチはベースラインによって使用される状態の推定で動作するため、後者の事実は顕著である。
【0189】
この現象の可能な説明は、推定ステップで検出器モデルによって導入されたノイズが、トレーニングのための追加の正則化器として作用することである。要するに、非線形性反転はCMA-ESよりもわずかに悪い性能を示すが、入力データの繰り返し回数が大幅に少ない(3F-2=3x16-2=46回)ため、調査された統合フォトニックリザーバのためのトレーニングアプローチの中で最も適しているように見える。
【0190】
上記の例は、本発明の実施形態によるそのようなリザーバをトレーニングするための成功した方法を例証しており、トレーニング方法は非線形性反転と呼ばれている。本発明の実施形態は、その出力で単一の受光器を介してリザーバの状態を推定することにより、統合フォトニックリザーバの状態の限られた可観測性の問題を本質的に解決できることを例証している。本方法は、あるパターンに従って重みを設定しながら、トレーニングデータを数回繰り返すことに基づいている。記録された出力信号は、トレーニングデータの3F-2回の繰り返し以内で、リザーバの状態の振幅と位相を推定することを可能にする。
【0191】
この方法は、完全な可観測性を必要とする従来のトレーニングアプローチと同様に機能することが示されている。CMA-ESブラックボックスアルゴリズムは、タスクの性能に関してはまだ若干優れているが、この方法では、入力データに対する繰り返しが大幅に少なくなる。非線形性反転は、統合フォトニックリザーバのトレーニングを可能にすると結論付けることができる。