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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】アニメーション制作システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 13/40 20110101AFI20220802BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20220802BHJP
【FI】
G06T13/40
G06T19/00 300B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020541624
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2019037408
(87)【国際公開番号】W WO2021059356
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】518027690
【氏名又は名称】株式会社エクシヴィ
(73)【特許権者】
【識別番号】519389362
【氏名又は名称】エイベックス・テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 義仁
(72)【発明者】
【氏名】室橋 雅人
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190335(JP,A)
【文献】特許第6526898(JP,B1)
【文献】[Unite 2017 Tokyo] VR MAGIC! ~キャラクターに命を吹き込んだこの4年間 の記録~,YouTube [online] [video],2017年05月30日,https://www.youtube.com/watch?v=nWR816af2dU,主に、31:38~
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 13/00- 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間内に配置されたキャラクタを撮影する仮想的なカメラと、
ユーザが装着したヘッドマウントディスプレイおよびコントローラの少なくともいずれかから前記ユーザの入力を検出するユーザ入力検出部と、
前記カメラの撮影方向に平行なスライダと、
前記入力に応じて前記仮想空間内に配置された前記キャラクタとは異なる撮影者キャラクタの動作を制御するキャラクタ制御部と、
前記撮影者キャラクタの動作に応じて前記カメラを制御するカメラ制御部と、
を備え
前記カメラ制御部は、前記撮影者キャラクタの動作に応じて前記スライダを動かし、前記スライダの位置に応じて前記カメラのズームを設定すること
を特徴とするアニメーション制作システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアニメーション制作システムであって、
前記カメラは仮想的なハンドルを備え、
前記カメラ制御部は、前記入力に応じて前記撮影者キャラクタの手の動きを制御し、前記手の動きに応じて前記カメラの位置および撮影方向の少なくともいずれかを設定すること、
を特徴とするアニメーション制作システム。
【請求項3】
仮想空間内に配置されたキャラクタを撮影する、撮影方向に平行なスライダを有する仮想的なカメラを前記仮想空間内に配置し、
ユーザが装着したヘッドマウントディスプレイおよびコントローラの少なくともいずれかから前記ユーザの入力を検出し、
前記入力に応じて前記仮想空間内に配置された撮影者キャラクタの動作を制御し、
前記撮影者キャラクタの動作に応じて前記カメラを制御し、
前記撮影者キャラクタの動作に応じて前記スライダを動かし、前記スライダの位置に応じて前記カメラのズームを決定すること、
を特徴とするアニメーション制作方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニメーション制作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想空間内に仮想カメラを配置することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-146651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仮想空間内でアニメーションを撮影しようとする取り組みが行われてこなかった。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、仮想空間内でアニメーションを撮影することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、アニメーション制作システムであって、仮想空間内に配置されたキャラクタを撮影する仮想的なカメラと、ユーザが装着したヘッドマウントディスプレイおよびコントローラの少なくともいずれかから前記ユーザの入力を検出するユーザ入力検出部と、前記入力に応じて前記カメラを制御するカメラ制御部と、を備えることとする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、仮想空間内でアニメーションを撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態のアニメーション制作システム300においてユーザが装着するヘッドマウントディスプレイ(HMD)に表示される仮想空間の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るアニメーション制作システム300の全体構成例を示す図である。
図3】本実施形態に係るHMD110の外観を模式的に示す図である。
図4】本実施形態に係るHMD110の機能構成例を示す図である。
図5】本実施形態に係るコントローラ210の外観を模式的に示す図である。
図6】本実施形態に係るコントローラ210の機能構成例を示す図である。
図7】本実施形態に係る画像生成装置310の機能構成例を示す図である。
図8】本実施形態に係るアニメーション制作システム300におけるカメラマン2によるカメラ3の操作を説明する図である。
図9】本実施形態に係るアニメーション制作システム300の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば以下のような構成を備える。
【0011】
[項目1]
仮想空間内に配置されたキャラクタを撮影する仮想的なカメラと、
ユーザが装着したヘッドマウントディスプレイおよびコントローラの少なくともいずれかから前記ユーザの入力を検出するユーザ入力検出部と、
前記入力に応じて前記カメラを制御するカメラ制御部と、
を備えることを特徴とするアニメーション制作システム。
[項目2]
項目1に記載のアニメーション制作システムであって、
前記カメラの撮影方向に平行なスライダをさらに備え、
前記カメラ制御部は、前記入力に応じて前記スライダを動かし、前記スライダの位置に応じて前記カメラのズームを決定すること、
を特徴とするアニメーション制作システム。
[項目3]
項目1に記載のアニメーション制作システムであって、
前記カメラは仮想的なハンドルを備え、
前記仮想空間には、前記カメラを操作する撮影者キャラクタが配置され、
前記カメラ制御部は、前記入力に応じて前記撮影者キャラクタの手の動きを制御し、前記手の動きに応じて前記カメラの位置および撮影方向の少なくともいずれかを設定すること、
を特徴とするアニメーション制作システム。
【0012】
本発明の一実施形態に係るアニメーション制作システム300の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
<概要>
図1は、本実施形態のアニメーション制作システム300においてユーザが装着するヘッドマウントディスプレイ(HMD)に表示される仮想空間の一例を示す図である。本実施形態のアニメーション制作システム300では、仮想空間1に仮想的なキャラクタ4と仮想的なカメラ3とを配置し、カメラ3を用いてキャラクタ4を撮影する。また、仮想空間1にはカメラマン2(撮影者キャラクタ)が配置され、カメラマン2によりカメラ3が仮想的に操作される。本実施形態のアニメーション制作システム300では、ユーザは、図1に示すように仮想空間1をTPV(Third Person View;三人称視点)で俯瞰しながらキャラクタ4やカメラ3を配置したり、カメラマン2としてFPV(First Person View;一人称視点)でキャラクタ4を撮影したり、FPVでキャラクタ4の演技を行ったりしながら、アニメーションを制作していく。また、仮想空間1内には複数のキャラクタ4(図1の例では、キャラクタ4-1およびキャラクタ4-2)を配置することができ、ユーザは、キャラクタ4に憑依しながら演技を行うことができる。複数のキャラクタ4が配置されている場合には、ユーザは、各キャラクタ4(たとえば、キャラクタ4-1および4-2)に憑依する対象を切り替えることもできる。すなわち、本実施形態のアニメーション制作システム300では、一人が何役もの役割(ロール)を果たすことができる。また、カメラマン2としてカメラ2を仮想的に操作しながら撮影を行うことができるので、自然なカメラワークを実現することが可能となり、撮影される動画の表現を豊かにすることができる。
【0014】
<全体構成>
図2は、本発明の一実施形態に係るアニメーション制作システム300の全体構成例を示す図である。アニメーション制作システム300は、例えば、HMD110、コントローラ210及びホストコンピュータとして機能する画像生成装置310を含んで構成することができる。アニメーション制作システム300には、HMD110やコントローラ210の位置、向き及び傾き等を検出するための赤外線カメラ(図示せず)等を追加することもできる。これらの装置は、相互に、有線又は無線手段により接続することができる。例えば、各々の装置にUSBポートを備え、ケーブルで接続することで通信を確立することもできるし、他に、HDMI、有線LAN、赤外線、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)等の有線又は無線により通信を確立することもできる。画像生成装置310は、PC、ゲーム機、携帯通信端末等、計算処理機能を有する装置であればよい。
【0015】
<HMD110>
図3は、本実施形態に係るHMD110の外観を模式的に示す図である。図4は、本実施形態に係るHMD110の機能構成例を示す図である。
【0016】
HMD110はユーザの頭部に装着され、ユーザの左右の眼前に配置されるよう表示パネル120を備える。表示パネル120としては、光学透過型と非透過型のディスプレイが考えられるが、本実施形態では、より没入感を提供可能な非透過型の表示パネルを例示する。表示パネル120には、左目用画像と右目用画像とが表示され、両目の視差を利用することにより立体感のある画像をユーザに提供することができる。左目用画像と右目用画像とを表示することができれば、左目用ディスプレイと右目用ディスプレイとを個別に備えることも可能であるし、左目用及び右目用の一体型のディスプレイを備えることも可能である。
【0017】
HMD110の筐体部130は、センサ140を備える。センサ140は、ユーザの頭部の向きや傾きといった動きを検出するために、図示しないが、例えば、磁気センサ、加速度センサ、もしくはジャイロセンサのいずれか、またはこれらの組み合わせを備えることができる。ユーザの頭部の垂直方向をY軸とし、Y軸と直交する軸のうち、表示パネル120の中心とユーザとを結ぶ、ユーザの前後方向に相当する軸をZ軸とし、Y軸及びZ軸と直交し、ユーザの左右方向に相当する軸をX軸とするとき、センサ140は、X軸まわりの回転角(いわゆる、ピッチ角)、Y軸まわりの回転角(いわゆる、ヨー角)、Z軸まわりの回転角(いわゆる、ロール角)を検出することができる。
【0018】
センサ140に代えて、またはセンサ140に加えて、HMD110の筐体部130は、複数の光源150(例えば、赤外光LED、可視光LED)を備えることもできる。HMD110の外部(例えば、室内等)に設置されたカメラ(例えば、赤外光カメラ、可視光カメラ)がこれらの光源を検出することで、特定の空間におけるHMD110の位置、向き、傾きを検出することができる。または、同じ目的で、HMD110に、HMD110の筐体部130に設置された光源を検出するためのカメラを備えることもできる。
【0019】
HMD110の筐体部130は、アイトラッキング・センサを備えることもできる。アイトラッキング・センサは、ユーザの左目及び右目の視線方向及び注視点を検出するために用いられる。アイトラッキング・センサとしては様々な方式が考えられるが、例えば、左目および右目に弱い赤外光を照射してできる角膜上の反射光の位置を基準点とし、反射光の位置に対する瞳孔の位置により視線方向を検出し、左目及び右目の視線方向の交点を注視点として検出する方法などが考えられる。
【0020】
<コントローラ210>
図5は、本実施形態に係るコントローラ210の外観を模式的に示す図である。図6は、本実施形態に係るコントローラ210の機能構成例を示す図である。
【0021】
コントローラ210により、仮想空間内において、ユーザが所定の入力を行うことをサポートすることができる。コントローラ210は、左手用220及び右手用230のコントローラのセットとして構成することができる。左手用コントローラ220及び右手用コントローラ230は、各々操作用トリガーボタン240、赤外線LED250、センサ260、ジョイスティック270、メニューボタン280を有することができる。
【0022】
操作用トリガーボタン240は、コントローラ210のグリップ235を把持したときに、中指及び人差し指でトリガーを引くような操作を行うことを想定した位置に240a、240bとして配置される。コントローラ210の両側面から下方にリング状に形成されるフレーム245には、複数の赤外線LED250が備えられ、コントローラ外部に備えられるカメラ(図示せず)により、これらの赤外線LEDの位置を検出することで、特定の空間におけるコントローラ210の位置、向き及び傾きを検出することができる。
【0023】
また、コントローラ210は、コントローラ210の向きや傾きといった動きを検出するために、センサ260を内蔵することができる。センサ260として、図示しないが、例えば、磁気センサ、加速度センサ、もしくはジャイロセンサのいずれか、またはこれらの組み合わせを備えることができる。さらに、コントローラ210の上面には、ジョイスティック270及びメニューボタン280を備えることができる。ジョイスティック270は、基準点を中心に360度方向に動かすことができ、コントローラ210のグリップ235を把持したときに、親指で操作されることが想定される。メニューボタン280もまた同様に、親指で操作されることが想定される。さらに、コントローラ210は、コントローラ210を操作するユーザの手に振動を与えるためのバイブレータ(図示せず)を内蔵することもできる。ボタンやジョイスティックを介したユーザの入力内容やセンサ等を介したコントローラ210の位置、向き及び傾きといった情報を出力するため、また、ホストコンピュータからの情報を受信するために、コントローラ210は、入出力部及び通信部を有する。
【0024】
ユーザがコントローラ210を把持し、各種ボタンやジョイスティックを操作することの有無、及び赤外線LEDやセンサにより検出される情報によって、システムはユーザの手の動きや姿勢を決定し、仮想空間内において擬似的にユーザの手を表示させ、動作させることができる。
【0025】
<画像生成装置310>
図7は、本実施形態に係る画像生成装置310の機能構成例を示す図である。画像生成装置310としては、HMD110やコントローラ210から送信された、ユーザ入力情報やセンサ等により取得されたユーザの頭部動きやコントローラの動きや操作に関する情報を記憶し、所定の計算処理を行い、画像を生成するための機能を有する、PC、ゲーム機及び携帯通信端末等といった装置を使用することができる。画像生成装置310は、例えば、HMD110やコントローラ210等の周辺装置との有線による接続を確立するための入出力部320を備えることができ、赤外線、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)等無線による接続を確立するための通信部330を備えることができる。入出力部320及び/又は通信部330を介して、HMD110及び/又はコントローラ210から受信された、ユーザの頭部の動きやコントローラの動きや操作に関する情報は、制御部340において、ユーザの位置、視線、姿勢等の動作、発話、操作等を含めた入力内容として検出され、ユーザの入力内容に応じて、記憶部350に格納された制御プログラムを実行することで、キャラクタ4の制御を行い、画像を生成するといった処理がなされる。制御部340は、CPUで構成することもできるが、画像処理に特化したGPUをさらに設けることで、情報処理と画像処理を分散化し、全体の処理の効率化を図ることもできる。画像生成装置310はまた、他の計算処理装置と通信を行い、他の計算処理装置に情報処理や画像処理を分担させることもできる。
【0026】
制御部340は、HMD110及び/又はコントローラ210から受信された、ユーザの頭部の動きやユーザの発話、また、コントローラの動きや操作に関する情報を検出するユーザ入力検出部410と、予め記憶部350のキャラクタデータ格納部450に格納されたキャラクタ4に対して、制御プログラム格納部460に格納された制御プログラムを実行するキャラクタ制御部420と、キャラクタ制御に応じて、仮想空間1に配置された仮想的なカメラ3の制御を行うカメラ制御部440と、キャラクタ制御に基づいてカメラ3が仮想空間1を撮影した画像を生成する画像生成部430とを有する。ここでキャラクタ4の動きの制御については、HMD110やコントローラ210を介して検出されたユーザ頭部の向きや傾き、手の動きといった情報を、人間の身体の関節の動きや制約に則って作成されたボーン構造の各部の動きに変換し、予め格納されたキャラクタデータに対して、ボーン構造を関連付けることで、ボーン構造の動きを適用させることで実現される。カメラ3の制御は、たとえば、キャラクタ4の手の動きに応じて、カメラ3についての各種設定(たとえば、カメラ3の仮想空間1内での位置、カメラ3の撮影方向、焦点位置、ズームなど)を変更することにより行われる。
【0027】
記憶部350は、上述のキャラクタデータ格納部450に、キャラクタ4のイメージデータのほか、キャラクタ4の属性等キャラクタ4に関連する情報を格納する。また、制御プログラム格納部460は、仮想空間におけるキャラクタ4の動作や表情を制御し、カメラ3などのオブジェクトを制御するためのプログラムを格納する。画像データ格納部470は、画像生成部430で生成された画像を格納する。
【0028】
<カメラ操作>
図8は、本実施形態に係るアニメーション制作システム300におけるカメラマン2によるカメラ3の操作を説明する図である。図8では、ユーザの憑依対象(操作対象)がカメラマン2に設定されていることを想定している。
【0029】
カメラ3には両側にそれぞれハンドル510が設けられる。キャラクタ制御部420(カメラ制御部440でもよい。以下同じ。)は、コントローラ210からの入力に応じてカメラマン2の手21の動きを制御する。たとえば、コントローラ210の姿勢に応じて手21の姿勢を制御し、トリガーボタン240の押下に応じて手21の握り動作を制御する。カメラ制御部440は、ユーザの手21がハンドル510を把持している場合には、手21の動きに応じてカメラ3の位置や姿勢(撮影方向)、焦点位置などを変更する。カメラ3の位置や姿勢、焦点位置などに応じて表示部510に表示される画像が変化する。すなわち、仮想空間1において、ユーザはコントローラ210の操作によりカメラ3のカメラワークを実現することができる。ユーザは両手でカメラ3を操作することができるので、実物のプロ用カメラと同様のカメラワーク操作を行うことができる。また、カメラ制御部440は、ユーザが憑依したカメラマン2による仮想的なカメラ3の操作に係る揺れを抑えるように、いわゆる手ぶれ補正処理を行うことができる。カメラ制御部440は、たとえば、カメラ3の画角(撮影領域)に入る画像をバッファに記録し、記録した時点以降に撮影した(画角に入った)画像とを比較して移動量を算出し、あるいは、操作によるカメラ3の姿勢(撮影方向)の変化を検出して姿勢の変化に応じた撮影領域の移動量を算出し、算出した移動量に応じて画角(撮影領域)をずらすことで手ぶれ補正を行うようにすることができる。
【0030】
カメラ3には表示部520が設けられる。表示部520には、カメラ3が仮想空間1において撮影している画像が表示される。ユーザは、表示部520に表示されている画像を確認しながらカメラ3を操作することができる。すなわち、カメラマン2は、現実のカメラワークをそのままに仮想空間1においてカメラ3を操作することが可能となる。また、表示部520の近傍には録画ボタン550が配置され、録画ボタン550が押下されると、画像生成部430は、カメラ3が撮影している画像を動画として画像データ格納部470に記録していき、再度録画ボタン550が押下されると、画像生成部430による録画は終了する。
【0031】
また、カメラ3には、スライダ540が配置される。ユーザは、手21を動かしてスライダ540を把持し、レール530に沿ってスライダ540を動かすことができる。本実施形態では、レース530は、カメラ3と撮影対象(たとえばキャラクタ4)との間に設けられ、前後方向(カメラ3の撮影方向に平行な、カメラ3の撮影方向を前とする方向)に平行に延在している。カメラ制御部440は、スライダ540の動きに応じて、カメラ3のズームを調整することができる。たとえば、カメラ制御部440は、スライダ540がより撮影対象に近くなるように(カメラ3の撮影方向に)移動された場合には、カメラ3のズームの拡大率を大きくし、スライダ540がカメラ3に近くなるように(カメラ3の撮影方向と反対方向に)移動された場合には、カメラ3のズームの拡大率を小さくすることができる。なお、スライダ540が動く方向(レール530の長手方向)は、カメラの撮影方向と平行でなくてもよく、たとえば、上下方向や左右方向であってもよい。また、スライダ540は直線動作に代えて、回転動作や螺旋動作であってもよい。
【0032】
<動作>
図9は、本実施形態に係るアニメーション制作システム300の動作を説明する図である。なお、図9に示す動作は、録画中であろうとなかろうと実行することができる。
【0033】
カメラ制御部440は、カメラ3のグリップ510がユーザの手21によって把持されている場合には(S601:YES)、コントローラ210の移動があれば(S602:YES)、その移動に応じてカメラ3の位置を移動させ(S603)、コントローラ210の姿勢の変化があれば(S604:YES)、その姿勢に応じてカメラ3の撮影方向を変化させる(S605)。
【0034】
また、カメラ制御部440は、スライダ540がユーザの手21によって把持されている場合には(S606:YES)、コントローラ210の移動があれば(S607:YES)、その移動に応じてカメラ3のズームを調整する(S608)。
【0035】
以上のようにして、ユーザはコントローラ210を用いて、実世界と同様にカメラ3を操作することができる。
【0036】
本実施形態のアニメーション制作システム300によれば、仮想空間1内においてユーザがカメラマン2としてカメラ3を操作して、動画を撮影することができる。したがって、現実世界と同様にカメラ3を操作して撮影を行うことができるので、自然なカメラワークを実現することが可能となり、アニメーション動画により豊かな表現を与えることができる。
【0037】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0038】
たとえば、本実施形態では、画像生成装置310は1台のコンピュータであるものとしたが、これに限らず、HMD110またはコントローラ210に画像生成装置310の全部または一部の機能を備えるようにしてもよい。また、画像生成装置310と通信可能に接続する他のコンピュータに画像生成装置310の一部の機能を備えるようにすることができる。
【0039】
また、本実施形態では、仮想現実(VR;Virtual Reality)による仮想空間を想定していたが、これに限らず、拡張現実(AR;Augumented Reality)空間あるいは複合現実(MR;Mixed Reality)空間であっても本実施形態のアニメーション制作システム300はそのまま適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 仮想空間
2 カメラマン
3 カメラ
4 キャラクタ
110 HMD
120 表示パネル
130 筐体部
140 センサ
150 光源
210 コントローラ
220 左手用コントローラ
230 右手用コントローラ
235 グリップ
240 トリガーボタン
250 赤外線LED
260 センサ
270 ジョイスティック
280 メニューボタン
300 アニメーション制作システム
310 画像生成装置
320 入出力部
330 通信部
340 制御部
350 記憶部
410 ユーザ入力検出部
420 キャラクタ制御部
430 画像生成部
440 カメラ制御部
450 キャラクタデータ格納部
460 プログラム格納部
470 画像データ格納部
510 ハンドル
520 表示部
530 レール
540 スライダ
550 録画ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9