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特許7115701飲料サーバー、飲料サーバーキット及び飲料の注出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】飲料サーバー、飲料サーバーキット及び飲料の注出方法
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/04 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
B67D1/04 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021556113
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(86)【国際出願番号】 JP2020042000
(87)【国際公開番号】W WO2021095750
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2019205004
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595076008
【氏名又は名称】株式会社ニットク
(73)【特許権者】
【識別番号】307010111
【氏名又は名称】西野 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】五味 久明
(72)【発明者】
【氏名】西野 亮
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/149710(WO,A1)
【文献】米国特許第02328948(US,A)
【文献】米国特許第02526630(US,A)
【文献】登録実用新案第3223720(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/04
B67D 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルク栓が取り付けられた瓶の内部空間に貯留された飲料を注出するための飲料サーバーであって、
前記コルク栓を穿孔して取り付けられる管状の貫通ネジ部と、
前記貫通ネジ部の内部と連通するガス供給管と、
前記ガス供給管に取り付けられ、該ガス供給管に食品添加用ガスを供給可能なガス供給装置と、
前記貫通ネジ部の内部に取り付けられたゲート弁と、
前記貫通ネジ部に挿入され、前記ゲート弁を貫通する管状の注出部と、
前記注出部の内部に取り付けられた逆止弁と、
を備え、
前記ゲート弁は、前記注出部を前記ゲート弁に貫通させることで開弁し、前記注出部を前記ゲート弁から抜き取ることで閉弁するものであり、
前記注出部の下端部には飲料供給孔が形成されており、
前記ガス供給装置から供給された前記食品添加用ガスが、前記ガス供給管から前記貫通ネジ部に供給され、前記注出部の外壁と前記貫通ネジ部の内壁との間から前記内部空間に供給されるものであり、
前記内部空間に供給された前記食品添加用ガスの押圧力により、前記飲料が前記飲料供給孔から前記注出部の内部に流入し、前記逆止弁を開弁して、該注出部の開口部から注出されるものである飲料サーバー。
【請求項2】
前記ゲート弁が、可撓性を有する略円盤状であり、
前記ゲート弁の略中央には切込部が設けられており、
前記注出部を前記切込部に貫通させることで、該注出部と前記ゲート弁との間に隙間部が生じることにより、前記ゲート弁が開弁するものである請求項1記載の飲料サーバー。
【請求項3】
前記貫通ネジ部の下端部に前記コルク栓を穿孔するための切欠部が設けられている請求項1又は2記載の飲料サーバー。
【請求項4】
筐体部を更に備え、
前記筐体部が、前記ガス供給管及び前記貫通ネジ部が取り付けられた連絡部と、該連絡部及び前記ガス供給管を内蔵するハウジング部とを有し、
前記連絡部が、前記ガス供給管の内部、及び、前記貫通ネジ部の内部、に連通する中空部を有しており、
前記ハウジング部には前記ガス供給装置を接続するための前記ガス供給管と連絡する接続口が設けられており、
前記ガス供給装置から供給された前記食品添加用ガスが、前記ガス供給管から前記中空部を介して、前記貫通ネジ部に供給される請求項1~3いずれか1項に記載の飲料サーバー。
【請求項5】
前記貫通ネジ部が、前記筐体部に対して着脱自在に取り付けられるものであり、
前記ハウジング部が、前記貫通ネジ部を固定するロック機構を有する請求項記載の飲料サーバー。
【請求項6】
請求項4又は5記載の飲料サーバーと、
前記飲料サーバーをコルク栓に取り付ける場合に、前記コルク栓を穿孔するために前記注出部に代えて前記筐体部に取り付けられる管状のガイド部と、
前記飲料の注出を中断する場合に、前記筐体部と分離された前記貫通ネジ部の内部を封止するためのキャップ部と、
を備え、
前記キャップ部が、前記貫通ネジ部に対して着脱自在であり、
前記ガイド部には、ガイド部逆止弁が設けられており、
前記ガイド部の下端部には、前記コルク栓を穿孔するためのネジ部が設けられており、
前記ガイド部の下端部に、ガス供給穴が設けられている飲料サーバーキット。
【請求項7】
請求項6記載の飲料サーバーキットを用いた飲料の注出方法であって、
前記ガイド部を取り付けた前記筐体部を操作し、前記貫通ネジ部を前記コルク栓の中程まで貫通させる仮貫通ステップと、
前記ガス供給装置から前記食品添加用ガスを供給し、前記ガス供給管、前記貫通ネジ部及び前記ガイド部内部の空気を前記食品添加用ガスに置換する置換ステップと、
前記貫通ネジ部を前記コルク栓に貫通させる貫通ステップと、
前記ガイド部を前記筐体部から取り外し、前記注出部を、前記注出部の下端が前記中空部に至るまで、前記筐体部に挿入する仮挿入ステップと、
前記ガス供給装置から前記食品添加用ガスを供給し、前記注出部内の空気を前記食品添加用ガスに置換する再置換ステップと、
前記注出部を、前記ゲート弁を貫通させて前記飲料供給孔が前記飲料に至るまで前記貫通ネジ部に挿入し、前記筐体部に取り付ける取り付けステップと、
前記食品添加用ガスを、前記ガス供給装置から前記ガス供給管を介して前記内部空間へ供給し、前記注出部から前記飲料を注出する注出ステップと、
を有する飲料の注出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルク栓が取り付けられた瓶から飲料を注出可能な飲料サーバー、飲料サーバーキット及び飲料の注出方法に関し、更に詳しくは飲料を外気に触れさせることなく注出することが可能であり、注出を中断した場合の保管に適する飲料サーバー、飲料サーバーキット及び飲料の注出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料、特にワインの分野においては、コルク栓を取り付けることで封止された瓶が広く用いられている。コルク栓を開栓しワインが外気に触れると、その後コルク栓により再度瓶を封止しても瓶に残されたワインの劣化が進行する。したがって、風味が重視されるワインを楽しむため、ワインを外気に触れさせないように注出するものが求められる。
【0003】
このために、瓶に用いる飲料サーバーが開発されている。例えば特許文献1の飲料サーバーシステムは、コルクを貫通する貫通部を備えており、 該貫通部は、瓶内の飲料を注出するための飲料注出経路と、瓶内にガスを注入するためのガス注入経路を有し、前記貫通部は、前記飲料注出経路が前記ガス注入経路に内蔵された二重管構造を有しており、前記飲料注出経路は、ガス注入経路からの突出量が変化するように該ガス注入経路に沿って移動可能であり、前記飲料注出経路を前記ガス注入経路内部からの突出量が増加する方向に移動させた時に、前記ガス注入口が開口する飲料サーバーシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4519197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の飲料サーバーシステムは、瓶に飲料サーバーシステムを取り付けた後に飲料サーバーシステムを瓶から取り外すと、瓶に外気が混入してしまう。そのため、瓶に残った飲料の品質を保つためには、飲料サーバーシステムを瓶に取り付けた状態を維持する必要がある。したがって、注出を中断する場合にも飲料サーバーシステムを取り付けた状態とする必要があり、その間には他の瓶に飲料サーバーシステムを適用することはできず、不便である。
また、保管の際にも飲料サーバーシステムが嵩張り、スペース上の制約が大きい。
【0006】
本発明は、上述の課題を受けて開発されたものである。すなわち本発明は、飲料を外気に極力触れさせずに注出することが可能であり、注出を中断した場合の保管に適する飲料サーバー、飲料サーバーキット及び飲料の注出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討の結果、コルク栓を貫通するための貫通ネジ部の内部にゲート弁を取り付け、飲料を注出する場合には注出部を挿入することにより当該ゲート弁が開弁し、飲料を注出しない場合には注出部を抜き取ることにより当該ゲート弁が閉弁するものとすることにより上記課題を解決可能であることを見出した。本発明はこの知見に基づく。
【0008】
本発明は(1)、コルク栓が取り付けられた瓶の内部空間に貯留された飲料を注出するための飲料サーバーであって、コルク栓を穿孔して取り付けられる管状の貫通ネジ部と、貫通ネジ部の内部と連通するガス供給管と、ガス供給管に取り付けられ、ガス供給管に食品添加用ガスを供給可能なガス供給装置と、貫通ネジ部の内部に取り付けられたゲート弁と、貫通ネジ部に挿入され、ゲート弁を貫通する管状の注出部と、注出部の内部に取り付けられた逆止弁と、を備え、ゲート弁は、注出部をゲート弁に貫通させることで開弁し、注出部をゲート弁から抜き取ることで閉弁するものであり、注出部の下端部には飲料供給孔が形成されており、ガス供給装置から供給された食品添加用ガスが、ガス供給管から貫通ネジ部に供給され、注出部の外壁と貫通ネジ部の内壁との間から内部空間に供給されるものであり、内部空間に供給された食品添加用ガスの押圧力により、飲料が飲料供給孔から注出部の内部に流入し、逆止弁を開弁して、注出部の開口部から注出されるものである飲料サーバーに存する。
【0009】
本発明は(2)、ゲート弁が、可撓性を有する略円盤状であり、ゲート弁の略中央には切込部が設けられており、注出部を切込部に貫通させることで、注出部とゲート弁との間に隙間部が生じることにより、ゲート弁が開弁するものである上記(1)記載の飲料サーバーに存する。
【0010】
本発明は(3)、貫通ネジ部の下端部にコルク栓を穿孔するための切欠部が設けられている上記(1)又は(2)記載の飲料サーバーに存する。
【0011】
本発明は(4)、筐体部を更に備え、筐体部が、ガス供給管及び貫通ネジ部が取り付けられた連絡部と、連絡部及びガス供給管を内蔵するハウジング部とを有し、連絡部が、ガス供給管の内部、及び、貫通ネジ部の内部、に連通する中空部を有しており、ハウジング部にはガス供給装置を接続するためのガス供給管と連絡する接続口が設けられており、ガス供給装置から供給された食品添加用ガスが、ガス供給管から中空部を介して、貫通ネジ部に供給される上記(1)~(3)いずれか1つに記載の飲料サーバーに存する。
【0012】
本発明は(5)、貫通ネジ部が、筐体部に対して着脱自在に取り付けられるものであり、ハウジング部が、貫通ネジ部を固定するロック機構を有する上記(4)記載の飲料サーバーに存する。
【0013】
本発明は(6)、上記(4)又は(5)記載の飲料サーバーと、飲料サーバーをコルク栓に取り付ける場合に、コルク栓を穿孔するために注出部に代えて筐体部に取り付けられる管状のガイド部と、飲料の注出を中断する場合に、筐体部と分離された貫通ネジ部の内部を封止するためのキャップ部と、を備え、キャップ部が、貫通ネジ部に対して着脱自在であり、ガイド部には、ガイド部逆止弁が設けられており、ガイド部の下端部には、コルク栓を穿孔するためのネジ部が設けられており、ガイド部の下端部に、ガス供給穴が設けられている飲料サーバーキットに存する。
【0014】
本発明は(7)、上記(6)記載の飲料サーバーキットを用いた飲料の注出方法であって、ガイド部を取り付けた筐体部を操作し、貫通ネジ部をコルク栓の中程まで貫通させる仮貫通ステップと、ガス供給装置から食品添加用ガスを供給し、ガス供給管、貫通ネジ部及びガイド部内部の空気を食品添加用ガスに置換する置換ステップと、貫通ネジ部をコルク栓に貫通させる貫通ステップと、ガイド部を筐体部から取り外し、注出部を、注出部の下端が中空部に至るまで、筐体部に挿入する仮挿入ステップと、ガス供給装置から食品添加用ガスを供給し、注出部内の空気を食品添加用ガスに置換する再置換ステップと、注出部を、ゲート弁を貫通させて飲料供給孔が飲料に至るまで貫通ネジ部に挿入し、筐体部に取り付ける取り付けステップと、食品添加用ガスを、ガス供給装置からガス供給管を介して内部空間へ供給し、注出部から飲料を注出する注出ステップと、を有する飲料の注出方法に存する。
【発明の効果】
【0015】
飲料サーバーにおいては、貫通ネジ部の内部に取り付けられたゲート弁を備え、当該ゲート弁は注出部をゲート弁に貫通させることで開弁するものであり、ガス供給装置が内部空間に食品添加用ガスを供給することにより、飲料の注出する場合において、飲料を外気に触れさせることなく瓶から注出可能である。
また、注出部をゲート弁に貫通させない状態、すなわち注出部を貫通ネジ部から抜き取った状態ではゲート弁が閉弁するため、注出部を貫通ネジ部から抜き取っても飲料が外気に触れることを極力防止できる。したがって、瓶から注出部を抜き取った状態で保管することが可能であり、嵩張らずスペースを節約できる。
【0016】
飲料サーバーにおいては、ゲート弁が可撓性を有し、ゲート弁には切込部が設けられており、注出部が切込部を通ってゲート弁を貫通することで、切込部のゲート弁が注出部に接しない部分にはわずかな隙間の隙間部が生じる。この隙間部を介して食品添加用ガスを供給することができるため、飲料を注出する場合に、飲料を外気に触れさせることを極力防止することができる。
また、ゲート弁が可撓性を有し、隙間部がわずかな隙間であることにより、注出部を切込部から抜き取った場合には、瞬時にゲート弁が閉弁する。これにより、シンプルな構成で瓶を封止し、飲料を外気に触れさせることを極力防止することができる。
【0017】
飲料サーバーにおいては、貫通ネジ部の下端部にコルク栓を穿孔するための切欠部が設けられていることにより、飲料サーバーのコルク栓に対する取り付け時に、貫通ネジ部を用いて容易にコルク栓を開栓することが可能である。
【0018】
飲料サーバーにおいては、筐体部の連絡部が、中空部を有することにより、当該中空部を通過して注出部を貫通ネジ部へ貫通させることができる。また、中空部を介して、ガス供給装置から供給された食品添加用ガスを貫通ネジ部の内部へ案内することができる。これにより、確実に内部空間へ食品添加用ガスを導入し、飲料を押圧することができる。
また、筐体部を備えることにより、貫通ネジ部をコルク栓に取り付ける場合、筐体部を操作することで容易に取り付けを行うことができる。
【0019】
飲料サーバーにおいては、貫通ネジ部が、筐体部に対して着脱自在に取り付けられるものであることにより、飲料の注出を中断する場合、貫通ネジ部と筐体部とを取り外してよりコンパクトな状態で瓶を保管することができる。
また、ハウジング部が、貫通ネジ部を固定するロック機構を有することにより、飲料の注出を再開する場合には、貫通ネジ部が筐体部に確実に固定されるため、安定した状態で飲料を注出することが可能となる。
【0020】
飲料サーバーキットにおいては、注出部に代えて筐体部に取り付けられる管状のガイド部を備えることにより、コルク栓に貫通ネジ部を貫通させる場合に、取り扱いが容易である。
さらに、ガイド部の下端部には、コルク栓を穿孔するためのネジ部が設けられていることにより、貫通ネジ部をコルク栓に、容易に貫通させることができる。
また、キャップ部を備えることにより、ゲート弁の閉弁時に、キャップ部により二重に瓶を封止することができる。したがって、飲料の注出を中断して瓶を保管する際に、確実に瓶を封止することができる。また、瓶を寝かせて保存することが可能となり、省スペース化を図ることができる。
【0021】
飲料注出方法においては、ガイド部を挿入した貫通ネジ部をコルク栓の中程まで貫通させる仮貫通ステップ、及び貫通ネジ部をコルク栓に貫通させる貫通ステップを有することにより、容易に貫通ネジ部をコルク栓に貫通させることが可能である。
また、ガイド部及び貫通ネジ部内の空気を食品添加用ガスに置換する置換ステップ、並びに注出部内の空気を食品添加用ガスに置換する再置換ステップを有することにより、瓶内に外気が混入することがなく、飲料が外気に触れることを極力防止することができる。
さらに、ガス供給部から瓶内へ食品添加用ガスを供給することで飲料を注出することにより、飲料を外気に触れさせることなく注出可能であり、澱を巻き上げることを極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、飲料サーバーの断面図である。
図2図2は、ロック機構を示す斜視図である。
図3図3は、貫通ネジ部を示す斜視図である。
図4図4は、ゲート弁を示す斜視図である。
図5図5は、注出部を示す斜視図である。
図6図6は、ガイド部を示す斜視図である。
図7図7は、キャップ部を示す斜視図である。
図8図8は、飲料の注出方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0024】
図1は飲料サーバーAの断面図である。一部を拡大して示す。また、図中の矢印は食品添加用ガス及び飲料の流れる方向を示す。
本発明の飲料サーバーA は、コルク栓Cが取り付けられた瓶の内部空間Sに貯留された飲料を注出するための飲料サーバーAである。
飲料サーバーAは、コルク栓Cを穿孔して取り付けられる管状の貫通ネジ部4と、貫通ネジ部4の内部と連通するガス供給管2と、ガス供給管2に取り付けられ、ガス供給管2に食品添加用ガスを供給可能なガス供給装置3と、貫通ネジ部4の内部に取り付けられたゲート弁43と、貫通ネジ部4に挿入され、ゲート弁43を貫通する管状の注出部5と、注出部5の内部に取り付けられた逆止弁51と、筐体部1とを備える。
【0025】
筐体部1は、中空状の筐体であり、ガス供給管2を内蔵するハウジング部と、ガス供給管2及び貫通ネジ部4が取り付けられた連絡部12とを有する。
ハウジング部は、筐体部1の外壁であり、内部に連絡部12を備える。ハウジング部は、その下側に、当該貫通ネジ部4を筐体部1に固定するためのロック機構11を備える。
ガス供給管2は、ハウジング部の側面に設けられた接続口13と連絡しており、ガス供給管2の内部は中空部12aと連通している。
連絡部12は、筐体部1内部の中央に設けられた円筒状の部材であり、その内部に中空状の空間である中空部12aが設けられる。
中空部12aの上端は筐体部1の外部へ向けて開口しており、当該開口部にはパッキンである受け部14が設けられ、中空部12aを封止している。
中空部12aの下端は開口しており、筐体部1の下側から貫通ネジ部4が着脱自在に取り付けられており、中空部12aと貫通ネジ部4の内部が連通している。これにより、中空部12aを通過して注出部5を貫通ネジ部4へ貫通させることができる。
筐体部1が中空部12aを有する連絡部12を有することにより、後述するガス供給装置3から供給された食品添加用ガスを貫通ネジ部4の内部へ案内することができる。これにより、確実に内部空間Sへ食品添加用ガスを導入し、飲料を押圧することができる。
【0026】
図2は、ロック機構11を示す斜視図である。
ロック機構11は、筐体部1の下側に設けられた溝部11bと、溝部11bに沿ってスライド可能な一対の蓋部11aとにより設けられている。蓋部11aがスライドし、両側から貫通ネジ部4を挟み込むことにより、貫通ネジ部4を筐体部1に固定する。貫通ネジ部4を取り外す場合には、ロック機構11をスライドさせて開くことにより、貫通ネジ部4を取り外すことが可能となる。
ハウジング部がロック機構11を備えることにより、貫通ネジ部4が筐体部1に確実に固定され、安定した状態で飲料を注出することが可能となる。また、飲料サーバーAのコルク栓Cに対する取り付け時においては、筐体部1を回転させることで容易に取り付けを行うことができる。
また、貫通ネジ部4が筐体部1に対して着脱自在に取り付けられるものであることにより、飲料の注出を中断する場合、貫通ネジ部4と筐体部1とを取り外してよりコンパクトな状態で瓶を保管することができる。
【0027】
図3は、貫通ネジ部4を示す斜視図である。
貫通ネジ部4は、管状であり、コルク栓Cよりも長く設けられる。貫通ネジ部4は、外側にコルク栓Cを開栓するためのネジが切られている。貫通ネジ部4の下端には、コルク栓Cを穿孔するための切欠部42が設けられている。切欠部42は、レの字状の切欠きであり、末端が薄肉となっている。これにより、貫通ネジ部4をコルク栓Cに対して回転させることで、切欠部42がコルク栓Cに食い込み、穿孔することが可能となる。したがって、飲料サーバーAをコルク栓Cに取り付ける場合、容易にコルク栓Cを開栓することが可能となる。
貫通ネジ部4の上端部外側には、ロック機構11により固定されるための鍔部41が幅広に設けられている。貫通ネジ部4を筐体部1に取り付け、ロック機構11を閉じた際には、該鍔部41がロック機構11に係合することにより、貫通ネジ部4が筐体部1に固定される。
また、貫通ネジ部4の内部にはゲート弁43が設けられている。
【0028】
図4は、ゲート弁43を示す斜視図である。
ゲート弁43は、上面及び下面の略中央が隆起したディスク状であり、略中央に上面視直線状の切込部43aが上下に貫通して設けられている。切込部43aは通常、閉じた状態にあり、ゲート弁43は閉弁した状態となっている。切込部43aに注出部5が貫通されると、切込部43aが開く。このことにより、注出部5と切込部43aとの間にわずかな隙間である隙間部43bが生じ、ゲート弁43が開弁する。後述するように、この隙間部43bを介して内部空間Sへ食品添加用ガスを供給することができるため、飲料を注出する場合に飲料を外気に触れさせることを極力防止することができる。
また、切込部43aから注出部5を抜き取ると、ゲート弁43が有する可撓性により切込部43aが閉じ、隙間部43bがわずかな隙間であることにより瞬時に閉鎖する。これにより、ゲート弁43が瞬時に閉弁する。したがって、シンプルな構成で瓶を封止することができ、飲料を外気に触れさせることを極力防止することができる。また、注出を中断し瓶を保管する場合には、ゲート弁43から注出部5を抜き取った状態とすることができ、嵩張らずスペースを節約できる。
ゲート弁43の素材には可撓性を有する合成樹脂を好適に用いることができる。特に、フッ素ゴム、ニトリルゴム等の素材が好ましい。この場合、ゲート弁43がスムーズに変形し、切込部43aに注出部5を貫通させた場合のゲート弁の開弁、及び、切込部43aから注出部5を取り外した際の閉弁が確実に行われる。
【0029】
ガス供給管2は、筐体部1の接続口13から、連絡部12を連絡する可撓性を有する管である。ガス供給管2により、接続口13と連絡部12の中空部12aとが連通している。
【0030】
ガス供給装置3は、筐体部1の接続口13に接続されている。ガス供給装置3は、内部に貯留された食品添加用ガスを、接続口13を介してガス供給管2内部へ供給する機能を有する。
食品添加用ガスの例としては、窒素、二酸化炭素、亜酸化窒素等が挙げられる。
ガス供給装置3には、公知のガスボンベ等を用いることができる。この場合、ガス供給装置3の交換が容易に行える。
【0031】
図5は、注出部5を示す斜視図である。
注出部5は、管状であり、瓶の長さよりも長尺の直線状部分を有し、先端が飲料を注出可能なように屈曲している。注出部5の下端部の側壁には飲料供給孔53が設けられている。また、他端の屈曲した先端部分には飲料を注出するための開口部52が設けられている。
注出部5の内部には、逆止弁51が設けられている。
【0032】
注出部5は、筐体部1に取り付けて用いられる。注出部5を筐体部1に取り付ける場合には、筐体部1の受け部14に注出部5を貫通させる。受け部14には、内部にパッキンであるOリングが取り付けられているため、注出部5を貫通させた場合に、中空部12aを封止する。さらに注出部5を貫通させると、注出部5の先端は中空部12aを通過し、貫通ネジ部4の内部へと侵入する。さらに注出部5の先端が貫通ネジ部4の内部に設けられたゲート弁43の切込部43aを貫通すると、隙間部43bが生じることでゲート弁43が開弁する。
【0033】
飲料サーバーキットにおいては、更にガイド部6及びキャップ部7を備える。
図6は、ガイド部6を示す斜視図である。
ガイド部6は管状であり、内部にガイド部逆止弁61が設けられている。ガイド部6の下端部にはネジ部63が設けられており、コルク栓Cを穿孔可能となっている。また、ガイド部6の下端部の側壁には、ガス供給孔62が設けられている。
ガイド部6がネジ部63を備えることにより、貫通ネジ部4をコルク栓Cに貫通させる場合に、貫通ネジ部4にガイド部6を取り付けた状態でコルク栓Cの穿孔を容易に行うことができる。
ガイド部6は、注出部5と略同等の径を有し、注出部5に代えて筐体部1に取り付けられることが可能である。ガイド部6を筐体部1に取り付ける場合、受け部14を貫通させて、中空部12aを通過し、ゲート弁43の切込部43aを貫通させる。
【0034】
図7は、キャップ部7を示す斜視図である。
キャップ部7は、貫通ネジ部4の上端に着脱自在に設けられる。
貫通ネジ部4の上部内径には、キャップ部7の小径部と螺合するようにネジが切られており、キャップ部7の小径部には、これに対応するようにネジが切られている。
筐体部1から外された貫通ネジ部4の上端にキャップ部7を螺合させることにより、貫通ネジ部4の内部を封止することができる。
キャップ部7を備えることにより、ゲート弁43の閉弁時に、キャップ部7により二重に瓶を封止することができる。したがって、飲料の注出を中断して瓶を保管する際に、確実に瓶を封止することができる。また、瓶を寝かせて保存することが可能となり、省スペース化を図ることができる。
【0035】
ここで、本発明の飲料サーバーキットを用いた飲料の注出方法について述べる。
図8は、飲料の注出方法を示すブロック図である。
まず、飲料が貯留され、コルク栓Cで封止された瓶に飲料サーバーAを取り付ける。飲料サーバーAは、貫通ネジ部4を筐体部1に固定し、さらに筐体部1にガイド部6を取り付けた状態で用いる。
【0036】
仮貫通ステップS1においては、貫通ネジ部4が取り付けられた筐体部1の受け部14に、ガイド部6を貫通させて取り付ける。ガイド部6は、貫通ネジ部4内部のゲート弁43を貫通して、ガイド部6先端のネジ部63が、貫通ネジ部4が露出した状態となる。また、ゲート弁43にガイド部6が貫通されているため、隙間部43bが生じてゲート弁43は開弁した状態にある。
この状態の筐体部1を、コルク栓Cに対して回転させ、ネジ部63及び切欠部42によってコルク栓Cを中程まで穿孔する。すなわち、貫通ネジ部4がコルク栓Cを貫通しない状態まで穿孔する。
ガイド部6は注出部5よりも短いため、ガイド部6を取り付けた筐体部1を回転させてコルク栓Cを穿孔する作業を容易に行うことが可能である。
【0037】
置換ステップS2においては、ガス供給装置3から食品添加用ガスを供給する。食品添加用ガスは、接続口13からガス供給管2に流入し、中空部12aを介して貫通ネジ部4の内部へ供給される。このとき、ゲート弁43は開弁し、隙間部43bが生じた状態にあるため、食品添加用ガスは貫通ネジ部4の内壁とガイド部6の外壁との間を通過し、ガイド部6の下端部に設けられたガス供給孔62からガイド部6の内部へと供給される。
これにより、ガス供給管2、中空部12a、貫通ネジ部4、ガイド部6の内部の外気が食品添加用ガスに置換される。
ガイド部6の内部には、ガイド部逆止弁61が設けられているため、食品添加用ガスの供給が中断された場合であっても、ガイド部6やこれと連通する貫通ネジ部4の内部等へ外気が流入することを極力防止することができる。
【0038】
貫通ステップS3においては、再度筐体部1をコルク栓Cに対して回転させることで、ネジ部63及び切欠部42によってコルク栓Cを下端まで穿孔する。これにより、貫通ネジ部4がコルク栓Cを貫通した状態となる。
ガイド部6は注出部5よりも短いため、ガイド部6を取り付けた筐体部1を回転させてコルク栓Cを穿孔する作業を容易に行うことが可能である。
【0039】
仮挿入ステップS4においては、ガイド部6を筐体部1から抜き取る。この場合、ガイド部6が抜き取られることでゲート弁43が閉弁する。また、受け部14により、中空部12aが封止される。したがって、ガイド部6を抜き取った場合でも、貫通ネジ部4の内部及び内部空間Sに外気が流入することを防止することができる。
ガイド部6を抜き取った筐体部1の受け部14に、注出部5を貫通させる。注出部5を、さらに挿入し、注出部5の先端が中空部12aに留まり、ゲート弁43を貫通しない状態とする。適切な長さだけ貫通できるように、注出部5には目印が設けられている。
このとき、中空部12aは受け部14により封止されている。また、ゲート弁43は閉弁した状態となる。
【0040】
再置換ステップS5においては、再度、ガス供給装置3から食品添加用ガスを供給する。食品添加用ガスは、ガス供給管2及び中空部12a、を通過し、飲料供給孔53から注出部5の内部へ供給される。これにより、注出部5内部の外気は、注出部5の開口部52から外部へと排出され、食品添加用ガスに置換される。また、ガイド部6及び注出部5の付け外しの際に、中空部12aやガス供給管2内にわずかに外気が流入した場合であっても、再置換ステップS5において、食品添加用ガスに置換することができる。
注出部5の内部には逆止弁51が設けられているため、食品添加用ガスの供給が中断された場合であっても、外気が注出部5の内部に流入することを極力防止することができる。
【0041】
取り付けステップS6においては、注出部5をさらに筐体部1に挿入し、ゲート弁43を貫通させて注出部5が瓶の底部に至るまで挿入する。これにより、飲料供給孔53が飲料に浸った状態となる。またゲート弁43は、注出部5が切込部43aに貫通されることで隙間部43bが生じ、開弁した状態となる。
【0042】
注出ステップS7においては、ガス供給装置3から食品添加用ガスを供給する。食品添加用ガスは、接続口13、ガス供給管2、中空部12a及び貫通ネジ部4の内壁と注出部5の外壁との間を介して、内部空間Sに供給される。内部空間Sに供給された食品添加用ガスが飲料を押圧することにより、飲料が注出部5の飲料供給孔53から注出部5の内部に流入し、開口部52から注出される。
注出部5の内部には逆止弁51が設けられているため、食品添加用ガスの供給が中断された場合であっても、外気が注出部5の内部へ流入し、飲料に触れることがなく、澱を巻き上げることを極力防止することができる。
【0043】
飲料の注出を中断する場合には、注出部5を筐体部1及び貫通ネジ部4から抜き取る。このとき、注出部5が貫通ネジ部4から抜き取られることでゲート弁43が閉弁される。また、受け部14により中空部12aが封止される。さらに、ロック機構11の蓋部11aを開いて貫通ネジ部4から筐体部1を取りのぞく。これにより、コルク栓Cには貫通ネジ部4のみが残された状態となり、内部空間Sと外気とは、ゲート弁43により遮断されている。
さらに、貫通ネジ部4にキャップ部7を取り付けることで、より確実に内部空間Sと外気とが遮断される。この状態においては、瓶を寝かせて保管することが可能であり、省スペース化が図れる。
【0044】
再度、飲料を注出する際には、キャップ部7を取り外した貫通ネジ部4に筐体部1を取り付け、さらに、注出部5を受け部14に貫通させて筐体部1に取り付ける。この状態で仮挿入ステップS4から上述の手順を繰り返す。
これにより、飲料を外気に触れさせることなく注出することが可能となる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0046】
本実施形態において、飲料サーバーAはガス供給管2を内蔵する筐体部1を備えているが、必須の構成ではない。注出部5が封止されたガス供給管2に挿入されて貫通ネジ部4を貫通する構成とすることにより、飲料を外気に触れさせることなく注出可能である。
【0047】
本実施形態において、ゲート弁43は上面及び下面の略中央が隆起したディスク状であるが、この形状に限られるものではない。また、ゲート弁43の大きさや厚み、切れ込み部の大きさ等は適宜調整し得るものである。
【0048】
本実施形態において、飲料サーバーキットはガイド部6を備えているが、必須の構成ではない。注出部5の先端にネジ部63を設けることにより、注出部5を貫通ネジ部4に取り付けた状態でコルク栓Cを穿孔することが可能である。
この場合、置換ステップS2を省略することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
飲料サーバーA、飲料サーバーキット及び飲料の注出方法は、瓶に貯留された飲料を、外気に触れることなく注出する場合に、広く用いることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
A・・・飲料サーバー
1・・・筐体部
11・・・ロック機構
11a・・・蓋部
11b・・・溝部
12・・・連絡部
12a・・・中空部
13・・・接続口
14・・・受け部
2・・・ガス供給管
3・・・ガス供給装置
4・・・貫通ネジ部
41・・・鍔部
42・・・切欠部
43・・・ゲート弁
43a・・・切込部
43b・・・隙間部
5・・・注出部
51・・・逆止弁
52・・・開口部
53・・・飲料供給孔
6・・・ガイド部
61・・・ガイド部逆止弁
62・・・ガス供給孔
63・・・ネジ部
7・・・キャップ部
S・・・内部空間
C・・・コルク栓
S1・・・仮貫通ステップ
S2・・・置換ステップ
S3・・・貫通ステップ
S4・・・仮挿入ステップ
S5・・・再置換ステップ
S6・・・取り付けステップ
S7・・・注出ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8