(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】溶融添加剤化合物、その使用方法、並びにそれを含む物品及び組成物
(51)【国際特許分類】
C07D 295/26 20060101AFI20220802BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220802BHJP
C08K 5/435 20060101ALI20220802BHJP
D01F 6/92 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
C07D295/26 CSP
C08L101/00
C08K5/435
D01F6/92 301D
D01F6/92 301H
D01F6/92 301K
(21)【出願番号】P 2019568396
(86)(22)【出願日】2018-06-05
(86)【国際出願番号】 IB2018054028
(87)【国際公開番号】W WO2018229596
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-03
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】テヴェロフスキー,ゲオルギー
(72)【発明者】
【氏名】ジャリワラ,チェタン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴィディアサガー,エイジェイ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】アピーニング,マリア エー.
(72)【発明者】
【氏名】ヨスト,クリスティー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ポリック,ロバート エー.
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-524376(JP,A)
【文献】特開平6-184354(JP,A)
【文献】国際公開第2017/100045(WO,A1)
【文献】特開平6-319923(JP,A)
【文献】特表平11-510862(JP,A)
【文献】国際公開第2018/005285(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/169642(WO,A1)
【文献】特表2004-503690(JP,A)
【文献】特表2000-502340(JP,A)
【文献】特表2010-530445(JP,A)
【文献】特表2000-502382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 295/26
C08L 101/00
C08K 5/435
D01F 6/92
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化1】
[式中、
Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基を表し、
nは、1~4(両端の値を含む)の整数を表し、
R
f
1は、一般式
【化2】
[式中、R
fは、3~5個の炭素原子を有するペルフルオロ基を表す]によって表される]によって表される、溶融添加剤化合物。
【請求項2】
Rが2~8個の炭素原子を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが2~6個の炭素原子を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
nが1又は2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R
fが4個の炭素原子を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
熱可塑性ポリマーと、一般式:
【化3】
[式中、
Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基を表し、
nは、1~4(両端の値を含む)の整数を表し、
R
f
1は、一般式
【化4】
[式中、R
fは、3~5個の炭素原子を有するペルフルオロ基を表す]によって表される]によって表される溶融添加剤化合物と、を含む組成物。
【請求項7】
Rが2~8個の炭素原子を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
Rが2~6個の炭素原子を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
nが1又は2である、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
R
fが4個の炭素原子を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
請求項6に記載の組成物を含む繊維。
【請求項12】
前記繊維が染料を更に含む、請求項11に記載の繊維。
【請求項13】
熱可塑性ポリマーと、一般式:
【化5】
[式中、
Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基を表し、
nは、1~4(両端の値を含む)の整数を表し、
R
f
1は、一般式
【化6】
[式中、R
fは、3~5個の炭素原子を有するペルフルオロ基を表す]によって表される]によって表される溶融添加剤化合物と、を含む組成物を押出成形することを含む、方法。
【請求項14】
Rが2~8個の炭素原子を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
Rが2~6個の炭素原子を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
nが1又は2である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
R
fが4個の炭素原子を有する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、ポリマー押出成形での使用に好適な溶融添加剤化合物(melt additive compound)に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の部分フッ素化小分子化合物は、ポリプロピレン、並びにポリエステル及びポリアミドのブレンドなどの熱可塑性樹脂への溶融添加剤(melt additive)として利用されてきた。したがって、これらの溶融添加剤を含有する熱可塑性樹脂を押出成形することにより、静的及び動的撥水性、静的及び動的撥油性、並びに耐汚れ性が、フィルム及び繊維などの得られる物品に付与されることがある。
【0003】
例えば、溶融添加剤として使用するのに好適な部分フッ素化アミドは、米国特許第5,451,622号(Boardman et al.)に開示されている。
【0004】
米国特許第5,977,390号(Raiford et al.)、同第5,898,046号(Raiford et al.)、及び同第7,396,866(B2)号(Jariwala et al.)に開示されているものなどの部分フッ素化溶融添加剤は、高価な原材料を使用して製造され、ポリプロピレン以外のポリマーで耐久性を欠く場合がある。
【0005】
ポリエステル及びポリアミドは、フィルム、織物、及びカーペット繊維に広く使用されている。
【発明の概要】
【0006】
静的及び動的撥水性、静的及び動的撥油性、並びに/又は耐汚れ性のうちの少なくとも1つを、フィルム及び繊維などの押出成形物品に付与するのに有用な新たな溶融添加剤化合物を有することが望ましい。これは、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート及びポリカプロラクトン)及びポリアミド(例えば、ナイロン6及びナイロン6,6ポリアミド)に特に当てはまる。
【0007】
有利には、本開示は、ポリエステル及びポリアミド中の溶融添加剤としての使用に好適な新たな部分フッ素化化合物の開発を通じて、これらの問題を克服する。
【0008】
第1の態様では、本開示は、一般式:
【化1】
[式中、
Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基を表し、
nは、1~4(両端の値を含む)の整数を表し、
R
f
1は、一般式
【化2】
[式中、R
fは、3~5個の炭素原子を有するペルフルオロ基を表す]によって表される]によって表される溶融添加剤化合物を提供する。
【0009】
第2の態様では、本開示は、熱可塑性ポリマーと、本開示による溶融添加剤化合物と、を含む組成物を提供する。
【0010】
本開示による組成物は、概ね、繊維、特に染料で染色された繊維への使用に好適である。
【0011】
更に別の態様では、本開示は、熱可塑性ポリマーと、本開示による溶融添加剤化合物と、を含む組成物を押出成形することを含む方法を提供する。
【0012】
本開示の特徴及び利点は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を考慮することにより更に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示による溶融添加剤として有用な化合物は、以下の一般式I:
【化3】
[Rは、1~18個の炭素原子、好ましくは2~12個の炭素原子、より好ましくは2~8個の炭素原子、更により好ましくは2~6個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基を表す]によって表される。例示的な基Rとしては、エチレン、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル、ヘキサン-1,6-ジイル、オクタン-1,8-ジイル、デカン-1,10-ジイル、ドデカン-1,12-ジイル、ヘキサデカン-1,16-ジイル、及びオクタデカン-1,18-ジイルが挙げられる。
nは、1~4の整数(両端の値を含む)を表す(すなわち、n=1,2,3,又は4)。
R
f
1は、一般式
【化4】
[式中、R
fは、3~5個の炭素原子を有するペルフルオロ基を表し、好ましくはR
fは、4個の炭素原子を有する]によって表される一価の基を表す。基R
fの例としては、ペルフルオロ-n-ペンチル、ペルフルオロ-n-ブチル、ペルフルオロ-n-プロピル、ペルフルオロイソプロピル、及びペルフルオロイソブチルが挙げられる。
【0014】
一般式Iによる化合物は、任意の好適な方法によって製造することができる。1つの比較的都合のよい方法は、2つの塩化テレフタロイル分子の各々からの1つの塩化アシル基をジオールと反応させて、伸長した塩化ジアシルを生成し、次いで、その塩化ジアシルを以下の一般式II:
【化5】
で表されるフッ素化ピペラジン2当量と反応させて、例えば、以下の実施例1~4に示すように、対応する溶融添加剤化合物を形成することを伴う。好適なジオールの例としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、及び1,18-オクタデカンジオールが挙げられる。このようなジオールは、市販の供給源から入手可能である。
【0015】
一般式IIによるフッ素化ピペラジン化合物は、例えば、米国特許第5,451,622号(Boardman et al.)に記載の反応などの公知の有機反応を用いて調製できる。例示的な調製方法は、フルオロ脂肪族スルホニルフルオリド、RfSO2Fと、ピペラジンとの反応によるものである。
【0016】
本開示による化合物は、押出可能な組成物(例えば、1つ以上の熱可塑性ポリマー)と組み合わせて、押出成形物品を形成することができる。押出成形物品の例としては、シート、フィルム、繊維、及び成形体が挙げられる。典型的には、添加する添加剤の量は有効量であり、好ましくは、組成物の総重量を基準にして、0.01~5重量%、より好ましくは0.1~3重量%、より好ましくは0.3~1.5重量%である。
【0017】
有利には、本開示による溶融添加剤化合物は、適度な撥水性及び撥油性を示しながら、なおも染料(例えば、織物染料)を受け入れることがある。したがって、本開示による溶融添加剤化合物は、例えば、カーペット及び織布、不織布又は編み布地などの織物用途に好適であり得る。
【0018】
押出可能なポリマーの例としては、熱可塑性ポリマー(好ましくは非フッ素化物)、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリカプロラクトン)、セルロース誘導体(例えば、酢酸セルロース及びセルロースブチレート)、ポリアミド(例えば、ナイロン6及びナイロン6,6)、ポリイミド、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレン)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート、及びポリアクリル(例えば、ポリアクリロニトリル及びポリメチルメタクリレート)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0019】
押出可能な組成物は、例えば、充填剤、酸化防止剤、導電材料、充填剤、潤滑剤、顔料、可塑剤、加工助剤、及び紫外線安定剤などの他の成分を含有してもよい。
【0020】
織物染料などの染料は、通常、水溶液から織物に適用される可溶性着色有機化合物である。これらは、織物繊維を構成するポリマー分子に強く結合するように設計されている。
【0021】
The Colour Index International,3rd Ed.4th Revision,1992(発行元the Society of Dyers and Colourists,Bradford,England)は、既知の市販の染料の包括的なリストであり、定期的に更新される。例としては、酸性染料、金属錯体染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料、バット染料、硫黄染料が挙げられる。他の染料リストは、インターネット上で広く入手可能である。
【0022】
組成物は、例えば、単軸押出機及び二軸押出機などのスクリュー押出機を使用して押出成形されてもよい。
【0023】
本開示による個々の化合物は、溶融添加剤として使用され得るが、これらの溶融添加剤のうちの2種以上を含む混合物も使用してよい。
【0024】
本開示の選択された実施形態
第1の実施形態では、本開示は、一般式:
【化6】
[式中、
Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基を表し、
nは、1~4(両端の値を含む)の整数を表し、
R
f
1は、一般式
【化7】
[式中、R
fは、3~5個の炭素原子を有するペルフルオロ基を表す]によって表される]によって表される溶融添加剤化合物を提供する。
【0025】
第2の実施形態では、本開示は、Rが2~8個の炭素原子を有する、第1の実施形態に記載の溶融添加剤化合物を提供する。
【0026】
第3の実施形態では、本開示は、Rが2~6個の炭素原子を有する、第1の実施形態に記載の溶融添加剤化合物を提供する。
【0027】
第4の実施形態では、本開示は、nが1又は2である、第1~第3の実施形態のいずれか1つに記載の溶融添加剤化合物を提供する。
【0028】
第5の実施形態では、本開示は、Rfが4個の炭素原子を有する、第1~第4の実施形態のいずれか1つに記載の溶融添加剤化合物を提供する。
【0029】
第6の実施形態では、本開示は、熱可塑性ポリマーと、一般式:
【化8】
[式中、
Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基を表し、
nは、1~4(両端の値を含む)の整数を表し、
R
f
1は、一般式
【化9】
[式中、R
fは、3~5個の炭素原子を有するペルフルオロ基を表す]によって表される]によって表される溶融添加剤化合物と、を含む組成物を提供する。
【0030】
第7の実施形態では、本開示は、Rが2~8個の炭素原子を有する、第6の実施形態に記載の組成物を提供する。
【0031】
第8の実施形態では、本開示は、Rが2~6個の炭素原子を有する、第6の実施形態に記載の溶融添加剤化合物を提供する。
【0032】
第9の実施形態では、本開示は、nが1又は2である、第6~第8の実施形態のいずれか1つに記載の組成物を提供する。
【0033】
第10の実施形態では、本開示は、Rfが4個の炭素原子を有する、第6~第9の実施形態のいずれか1つに記載の組成物を提供する。
【0034】
第11の実施形態では、本開示は、第6~第10の実施形態のいずれか1つに記載の組成物を含む繊維を提供する。
【0035】
第12の実施形態では、本開示は、繊維が染料を更に含む、第11の実施形態に記載の繊維を提供する。
【0036】
第13の実施形態では、本開示は、熱可塑性ポリマーと、一般式:
【化10】
[式中、
Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基を表し、
nは、1~4(両端の値を含む)の整数を表し、
R
f
1は、一般式
【化11】
[式中、R
fは、3~5個の炭素原子を有するペルフルオロ基を表す]によって表される]によって表される溶融添加剤化合物と、を含む組成物を押出成形することを含む方法を提供する。
【0037】
第14の実施形態では、本開示は、Rが2~8個の炭素原子を有する、第13の実施形態に記載の方法を提供する。
【0038】
第15の実施形態では、本開示は、Rが2~6個の炭素原子を有する、第13の実施形態に記載の方法を提供する。
【0039】
第16の実施形態では、本開示は、nが1又は2である、第13~第15の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0040】
第17の実施形態では、本開示は、Rfが4個の炭素原子を有する、第13~第16の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0041】
本開示の目的及び利点は以下の非限定的な実施例によって更に例証されるが、これらの実施例に引用される具体的な材料及びそれらの量、並びにその他の条件及び詳細は、本開示を過度に制限しないものと解釈されるべきである。
【実施例】
【0042】
特に記載のない限り、実施例及び本明細書のその他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量によるものである。特に指示のない限り、実施例で使用した材料は、商業的供給業者(例えば、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,Wisconsin))から入手可能であり、及び/又は公知の方法によって製造できる。実施例で調製された材料をNMR分光法で分析した結果、所与の構造と一致した。
【0043】
【0044】
撥水性試験
不織布ウェブサンプルの撥水性を、脱イオン水とイソプロピルアルコール(IPA)とのブレンドによる浸透を試験サンプルに試すことによって評価した。各ブレンドには、以下に示す等級番号が割り当てられる。
【0045】
【0046】
撥水性試験を実施する際は、不織布ウェブサンプルを平らで水平な表面の上
に置く。水又は水/IPA混合物の小滴5滴を、サンプル上の少なくとも2インチ(5.1cm)離れた点にそっと置く。45°の角度で10秒間観察した後、5滴のうち4滴が球体又は半球として見える場合に、その不織布ウェブサンプルは試験に合格とみなされる。報告された撥水性等級は、不織布サンプルが上記の試験に合格する最も大きい番号の水又は水/IPA混合物に対応する。少なくとも4、好ましくは少なくとも6の撥水性等級を有することが望ましい。
【0047】
撥油性試験
不織布ウェブサンプルの撥油性を、様々な表面張力の油又は油混合物による浸透を試験サンプルに試すことによって評価した。油及び油混合物には、以下に対応する等級が与えられる。
【0048】
【0049】
撥油性試験は、撥水性試験(上記)と同様に実施し、報告された撥油性の等級は、不織布ウェブサンプルが試験に合格する最も大きい番号の油又は油混合物に対応する。少なくとも1、好ましくは少なくとも3の撥油性等級を有することが望ましい。
【0050】
メルトブロー押出成形手順
使用した押出機は、Brabender CTSE-V逆回転コニカル二軸押出機(Brabender GmbH & Co KG(Duisberg,Germany))であり、最大押出温度は約275℃、コレクタまでの距離は約2.75インチ(7.0cm)であった。
【0051】
フルオロケミカル及び熱可塑性ポリマーをそれぞれ秤量した。次いで、フルオロケミカル及び熱可塑性ポリマーを、9.85lbs/時(4.47kg/時)のポリマー及び0.15lbs/時(0.068kg/時)のフルオロケミカル添加剤を維持し、10lbs/時(4.5kg/時)の総押出速度を維持するように、可変量で同時に押出機に添加した。
【0052】
各混合物の加工条件は、マイクロファイバーウェブをブローするために使用されるメルトブローンダイ構造、ウェブの坪量(100±5g/m2)、及びマイクロファイバーの直径(10~20マイクロメートル)を含めて、同じであった。押出温度は約265℃であり、一次空気温度は265℃であり、圧力は5psi(34kPa)であり、0.030インチ(0.76cm)のエアギャップ幅を有し、ポリマー押出速度は約10lbs/時(4.5kg/時)であった。
【0053】
染色手順
染色は、Ahiba Dyde machineを使用して以下の条件下で実施される:Amecron Blue AC-E(ディスパーズブルー)染料;100:1液体比;2%明暗の濃さ;1g/Lグルコパン;2g/Lベンジルアルコール。染色プログラムは、出来るだけ速やかに90℃まで加熱し、そのまま30分間維持した後、出来るだけ速やかに室温まで冷却する。
【0054】
1-(1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブチルスルホニル)ピペラジンの調製
機械的撹拌機と、滴下漏斗と、熱電対及び還流冷却器を備えたクライゼンアダプタとを備えた3つ口3L丸底に、ピペラジン(486g、5642mmol)とトリエチルアミン(400mL、2870mmol)を添加した。反応混合物を、連続的に撹拌しながら65℃に加熱した。反応混合物が50℃に達した後、1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブタン-1-スルホニルフルオリド(500mL、2780mmol)を、温度が90℃未満に維持される速度で、滴下漏斗を介して添加した。添加が終了したら、温度を95℃まで上昇させ、反応混合物を16時間撹拌した。容器を50℃まで冷却し、水(300mL)を添加し、その後ジクロロメタン(500mL)を添加した。得られた二相混合物を5分間撹拌した後、相分離するまで放置した。下相を除去し、水(3回)(300mL)、ブライン(500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(250g)で乾燥した。得られた黄色の溶液を濾過し、溶媒をロータリーエバポレータで除去し、250mTorr(33.3mPa)及び80℃で蒸留して、713gの1-(1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブチルスルホニル)ピペラジンを白色固体として得た。
【0055】
実施例1
機械的撹拌機と、還流冷却器と、溶液B(8mL、1当量のエチレングリコールと、2当量のN-エチルジイソプロピルアミンと、100mLの酢酸エチルとの混合物)が入った滴下漏斗とを備えた3L丸底フラスコに、溶液A(68.7g(1.99当量)の塩化テレフタロイルと100mLの酢酸エチルとの混合物)を添加した。次に、溶液Bを、激しく撹拌した溶液Aに滴状添加した。混合物を1時間撹拌した。次いで、溶液C(2.01当量の1-(1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブチルスルホニル)ピペラジンと、2当量のN-エチルジイソプロピルアミンと、100mLの酢酸エチルとの混合物)を、激しく撹拌した反応混合物に滴下添加した。発熱が観察された。混合物を16時間撹拌した後、500mLの水を添加した。得られた二相混合物を濾過し、水(3×500mL)、1M HCl(100mL)、及び再び水(3×500mL)で洗浄して、エタン-1,2-ジイルビス(4-(4-((ペルフルオロブチル)スルホニル)ピペラジン-1-カルボニル)ベンゾエート)を白色固体として得た。構造を以下に示す:
【化12】
【0056】
実施例2
機械的撹拌機と、還流冷却器と、溶液B(15mL、1当量の1,4-ブタンジオールと、59.3mL(2当量)のN-エチルジイソプロピルアミンと、100mLの酢酸エチルとの混合物)が入った滴下漏斗とを備えた3L丸底フラスコに、溶液A(68.7g(1.99当量)の塩化テレフタロイルと100mLの酢酸エチルとの混合物)を添加した。次に、溶液Bを、激しく撹拌した溶液Aに滴状添加した。混合物を1時間撹拌した。次いで、溶液C(2.01当量の1-(1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブチルスルホニル)ピペラジンと、59.3mL(2当量)のN-エチルジイソプロピルアミンと、100mLの酢酸エチルとの混合物)を、激しく撹拌した反応混合物に滴下添加した。発熱が観察された。混合物を16時間撹拌した後、1molの水を添加した。得られた二相混合物を濾過し、水(3×500mL)、1M HCl(100mL)、及び再び水(3×500mL)で洗浄して、ブタン-1,4-ジイルビス(4-(4-((ペルフルオロブチル)スルホニル)ピペラジン-1-カルボニル)ベンゾエート)を白色固体として得た。構造を以下に示す:
【化13】
【0057】
実施例3
機械的撹拌機と、還流冷却器と、溶液B(20g(1当量)の1,6-ヘキサンジオールと、59.3mL(2当量)のN-エチルジイソプロピルアミンと、100mLの酢酸エチルとの混合物)が入った滴下漏斗とを備えた3L丸底フラスコに、溶液A(68.7g(1.99当量)の塩化テレフタロイルと100mLの酢酸エチルとの混合物)を添加した。次に、溶液Bを、激しく撹拌した溶液Aに滴状添加した。混合物を1時間撹拌した。次いで、溶液C(2.01当量の1-(1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブチルスルホニル)ピペラジンと、59.3mL(2当量)のN-エチルジイソプロピルアミンと、100mLの酢酸エチルとの混合物)を、激しく撹拌した反応混合物に滴下添加した。発熱が観察された。混合物を16時間撹拌した後、1molの水を添加した。得られた二相混合物を濾過し、水(3×500mL)、1M HCl(100mL)、及び再び水(3×500mL)で洗浄して、ヘキサン-1,4-ジイルビス(4-(4-((ペルフルオロブチル)スルホニル)ピペラジン-1-カルボニル)ベンゾエート)を白色固体として得た。構造を以下に示す:
【化14】
【0058】
実施例4
機械的撹拌機と、還流冷却器と、溶液B(40g(1当量)のジ(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート)と、59.3mL(2当量)のN-エチルジイソプロピルアミンと、100mLの酢酸エチルとの混合物)が入った滴下漏斗とを備えた3L丸底フラスコに、溶液A(68.7g(1.99当量)の塩化テレフタロイルと100mLの酢酸エチルとの混合物)を添加した。次に、溶液Bを、激しく撹拌した溶液Aに滴状添加した。混合物を1時間撹拌した。次いで、溶液C(2.01当量の1-(1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブチルスルホニル)ピペラジンと、59.3mL(2当量)のN-エチルジイソプロピルアミンと、100mLの酢酸エチルとの混合物)を、激しく撹拌した反応混合物に滴下添加した。発熱が観察された。混合物を16時間撹拌した後、1molの水を添加した。得られた二相混合物を濾過し、水(3×500mL)、1M HCl(100mL)、及び再び水(3×500mL)で洗浄して、ビス(2-((4-(4-((ペルフルオロブチル)スルホニル)ピペラジン-1-カルボニル)ベンゾイル)オキシ)エチル)テレフタレートを、下記構造を有するn=1オリゴマー65%と、
【化15】
下記構造を有する材料35%と、を含有する、白色固体として得た。
【化16】
【0059】
実施例5~8及び比較例A~B
PETペレットを、1.5重量%の実施例1~4及び比較例Aの溶融添加剤と独立に共押出して、メルトブローン不織布を形成した。不織布を160℃で2分間アニールした。メルトブローン布地の複製を、染色手順に従ってディスパーズブルー染料で染色し、次いで160℃で2分間アニールした。得られた布地を、水中のイソプロパノール(IPA)の重量パーセントを変えることによる撥水性試験を用いて評価し、布地がウェットアウトする前に、コーティングされた表面上で個別の液滴を少なくとも30秒間維持することができる、IPA溶液の最も高い重量%を決定することによって評価した。上記布地を、撥水性及び撥油性試験を利用して、撥油性及び撥水性について更に評価した。結果を表1(下記)に報告する。
【0060】
【0061】
上記特許出願において引用された全ての文献、特許文献又は特許出願は、一貫した形でそれらの全容が参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。前述の記載は、特許請求の範囲に記載の開示を当業者が実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての等価物によって定義される。