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特許7115729海苔脱水用スポンジの洗浄装置及びそれを用いた海苔脱水用スポンジの洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】海苔脱水用スポンジの洗浄装置及びそれを用いた海苔脱水用スポンジの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20220802BHJP
【FI】
A23L17/60 103D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018018495
(22)【出願日】2018-02-05
(65)【公開番号】P2019134692
(43)【公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000119438
【氏名又は名称】井和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(72)【発明者】
【氏名】小佐見 哲彦
(72)【発明者】
【氏名】国富 晴男
(72)【発明者】
【氏名】徳安 秀實
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-184791(JP,U)
【文献】特開2009-022172(JP,A)
【文献】特開2010-188321(JP,A)
【文献】特開平07-227582(JP,A)
【文献】特開平08-192120(JP,A)
【文献】特開昭61-252296(JP,A)
【文献】実開昭58-166888(JP,U)
【文献】特開2003-159034(JP,A)
【文献】特開平01-211475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
B08B
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔脱水用スポンジを保持する洗浄カゴと、該洗浄カゴを収装した状態で洗浄液を貯める洗浄室とを備え、複数枚の海苔脱水用スポンジを前記洗浄カゴに保持した状態で洗浄液に浸漬して洗浄を行う海苔脱水用スポンジの洗浄装置において、
前記洗浄カゴは、複数の可動板と複数の固定板を有し、洗浄時に所定の駆動手段により前記洗浄室内で前記可動板を往復動させて前記固定板または前記洗浄室の壁面へと海苔脱水用スポンジを押し付ける圧縮動作を行うものであり、
前記洗浄室にはマイクロバブルを生成して供給するマイクロバブル生成手段が接続されており、前記マイクロバブル生成手段で前記洗浄室の洗浄液中にマイクロバブルを供給しながら洗浄を行う、ことを特徴とする海苔脱水用スポンジの洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄室からオーバーフローした洗浄液を回収して前記マイクロバブル生成手段に送るオーバーフロー回収路と、前記洗浄液を取り込んだ前記マイクロバブル生成手段から空気を溶存した状態の前記洗浄液又はマイクロバブルの少なくとも一方を含有した状態の前記洗浄液を前記洗浄室に戻すオーバーフロー戻し路を備えており、前記オーバーフロー回収路の途中に前記洗浄液中の汚物を濾し取って除去する汚物除去手段が配設されている、ことを特徴とする請求項に記載した海苔脱水用スポンジの洗浄装置。
【請求項3】
請求項またはに記載した海苔脱水用スポンジの洗浄装置を用いた海苔脱水用スポンジの洗浄方法であって、複数枚の海苔脱水用スポンジを前記洗浄室内の前記洗浄カゴに保持した状態で洗浄液に浸漬させ、前記マイクロバブル生成手段から前記洗浄室内の洗浄液にマイクロバブルを供給しながら洗浄を行うものであり、前記洗浄液に所定のタイミングで所定の洗浄剤を所定濃度になる分量で添加する、ことを特徴とする海苔脱水用スポンジの洗浄方法。
【請求項4】
前記洗浄剤は炭酸アルカリ洗剤であり、これを添加した洗浄液による洗浄工程の後に、洗浄剤を含まない水を注水しながらすすぎ工程を実施する、ことを特徴とする請求項に記載した海苔脱水用スポンジの洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔脱水用スポンジの洗浄装置及びそれを用いた海苔脱水用スポンジの洗浄方法に関し、殊に、使用時にスポンジに付着した生海苔のカスやゴミ・水垢等の汚物を洗浄水で除去する海苔脱水用スポンジの洗浄装置、及びそれを用いた海苔脱水用スポンジの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板状に乾燥した海苔を多量に製造するには製造工程において、平面状に広げた生海苔を乾燥させる前に所定の厚さと大きさを有する四角の平板状の海苔脱水用スポンジを用いて押圧することにより海苔に含まれる水分を吸水して乾燥を促進させる作業工程を行うのが通常であるが、この海苔脱水用スポンジ工程では、反復使用により生海苔に含まれるカスやゴミ・水垢等の微細な汚物が気泡を埋めて付着してしまうことから脱水機能が徐々に低下してくるため、所定のタイミングで洗浄をして再生を行う必要がある。
【0003】
この海苔脱水用スポンジの洗浄も機械化された洗浄装置が用いられており、例えば実公昭61-33908号公報に記載されているように、海苔脱水用スポンジを挟んで送り出す複数組の脱水ローラの間に回転摺擦具と受けローラを対向配置しながら海苔脱水用スポンジの移動路に散水管を臨ませたものが知られており、脱水スポンジが含水と脱水を繰り返しながら表面に浮き上がった汚物を擦除して洗浄する方式を採用している。しかし、この装置は汚物の除去効果があまり高くないことから洗浄に長時間を要することに加え、回転摺擦具により海苔脱水用スポンジ表面が損傷しやすいという難点を有している。
【0004】
これに対し、洗浄フレームに海苔脱水用スポンジを取付けて回転させながら噴射ノズルでスポンジ表面に洗浄水を噴射して洗浄を行う方式を採用した洗浄装置が特開2002-218949号公報に提案されている。この海苔脱水用スポンジの洗浄装置は洗浄時の損傷を最小限に抑えながら一度に4枚の海苔脱水用スポンジを洗浄可能なものであり、洗浄効果と作業効率の向上を実現している。
【0005】
しかしながら、この洗浄装置においても、洗浄水の噴射による物理的な作用はスポンジ表面にのみ発揮されるだけであり、且つ、噴射水により汚れをスポンジ内部に押し込んでしまう場合も多いことから、スポンジ全体としての洗浄効果は不充分であると言わざるを得ない。また、一回あたりの洗浄時間の短縮は僅かであるのに対し、一度に最大で4枚までしか洗浄できないことから、近年の生産性向上のニーズには充分に対応出来ていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実公昭61-33908号公報
【文献】特開2002-218949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、海苔脱水用スポンジの洗浄について、従来よりも高い作業効率と優れた洗浄効果を実現できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、脱水装置から取り外した使用後の海苔脱水用スポンジを保持する洗浄カゴと、該洗浄カゴを収装した状態で洗浄液を貯める洗浄室とを備え、複数枚の海苔脱水用スポンジを前記洗浄カゴに保持した状態で洗浄液に浸漬して洗浄を行う海苔脱水用スポンジの洗浄装置において、前記洗浄室にはマイクロバブルを生成して供給するマイクロバブル生成手段が接続されており、前記マイクロバブル生成手段で、洗浄室の洗浄液中にマイクロバブルを供給しながら洗浄を行うことを特徴とするものとした。
【0009】
このように、海苔脱水用スポンジを浸漬した洗浄液にマイクロバブルを供給して分散させる方式を採用したことにより、マイナス電荷を帯びたマイクロバブルが洗浄液中でプラスの電荷を帯びた海苔脱水用スポンジの微細な気孔にまで付着した汚れやゴミに吸着して潰れながらこれらを粉砕して剥離させるとともに、剥離した汚物にマイクロバブルが吸着して洗浄液の洗浄効果と相俟って水面側に浮かせる作用を発揮するため、短時間で優れた洗浄効果が期待できるものとなる。
【0010】
また、この海苔脱水用スポンジの洗浄装置において、前記洗浄室からオーバーフローした洗浄液を回収して前記マイクロバブル生成手段に送るオーバーフロー回収路と、前記洗浄液を取り込んだマイクロバブル生成手段から空気を溶存した状態の洗浄液又はマイクロバブルの少なくとも一方を含有した状態の洗浄液を洗浄室に戻すオーバーフロー戻し路を備えており、前記オーバーフロー回収路の途中に洗浄液中の汚物を濾し取って除去する汚物除去手段が配設されている、ことを特徴としたものとすれば、剥離されて浮遊している汚物を効率的に除去しながら洗浄液を循環使用できるものとなる。
【0011】
さらに、上述した海苔脱水用スポンジの洗浄装置において、前記洗浄カゴは、洗浄時に所定の駆動手段により洗浄室内で回転動作を行うものであって、複数枚の平板状の海苔脱水用スポンジを互いに所定の隙間を形成させながら厚さ方向に重ねた状態として、各隙間の幅方向が前記回転軸の方向に対し直角になる向きで保持することを特徴としたものとすれば、複数枚の海苔脱水用スポンジを重ねて保持しながら回転動作によりその隙間に洗浄液およびマイクロバブルを効率的に流入させてその表裏両面をまんべんなく洗浄できるため、一度に多くの海苔脱水用スポンジを効率的に洗浄することができる。
【0012】
さらに、前記洗浄カゴは、複数の可動板と複数の固定板を有し、洗浄時に所定の駆動手段により前記洗浄室内で前記可動板を往復動させて前記固定板または前記洗浄室の壁面へち海苔脱水用スポンジを押し付ける圧縮動作を行うものであることを特徴としたものとすれば、圧縮動作により海苔脱水用スポンジへの含水と脱水を繰り返して洗浄できるため、海苔脱水用スポンジを効率的に洗浄することができるのみならず、海苔脱水用スポンジを脱水した状態で洗浄カゴから取り出すことも可能となる。
【0013】
さらにまた、上述した海苔脱水用スポンジの洗浄装置において、前記マイクロバブル生成手段は、洗浄液を吸引して圧送するポンプと、洗浄液の吸引経路で外部空気を洗浄液中に取り込む空気取込手段と、圧送した洗浄液を所定レベルの陽圧の状態で一端貯めて取り込んだ空気を洗浄液中に溶解させる空気溶解タンクとを備えており、空気が溶存している陽圧の洗浄液が空気溶解タンクよりも低圧の空間に移動して減圧することでマイクロバブルが生成する、ことを特徴としたものとすれば、連続的且つ効率的にマイクロバブルを供給することができる。
【0014】
そして、上述した海苔脱水用スポンジの洗浄装置を用いた海苔脱水用スポンジの洗浄方法であって、複数枚の海苔脱水用スポンジを洗浄室内の洗浄カゴに保持した状態で洗浄液に浸漬させ、マイクロバブル生成手段から洗浄室内の洗浄液にマイクロバブルを供給しながら洗浄を行うものであり、前記洗浄液に所定のタイミングで所定の洗浄剤を所定濃度になる分量で添加することを特徴とした海苔脱水用スポンジの洗浄方法とすれば、マイクロバブルの作用に洗浄剤の作用が加わって、一層優れた洗浄効果が期待できるものとなる。
【0015】
この場合、その洗浄剤は炭酸アルカリ洗剤が好ましく、これを添加した洗浄液による洗浄工程の後に、洗浄剤を含まない水を注水しながらすすぎ工程を実施する、ことを特徴とした海苔脱水用スポンジの洗浄方法とすれば、上述したマイクロバブルに炭酸バブルが加わることで少量の添加でマイクロバブルの洗浄作用が増強されるとともに、脱水作用と耐久性に優れたポリビニールアルコール系の海苔脱水用スポンジの洗浄に最適なものとなり、且つ、すすぎ工程を行うことで海苔脱水用スポンジに残存した汚れと洗浄剤を除去することができる。
【発明の効果】
【0016】
海苔脱水用スポンジを浸漬している洗浄液にマイクロバブルを供給しながら洗浄を行うものとした本発明によると、従来よりも高い作業効率と優れた洗浄効果を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明における実施の形態の海苔脱水用スポンジの洗浄装置の正面図である(洗浄部は部分縦断面図)。
図2図1の海苔脱水用スポンジの洗浄装置の配管系統図である。
図3図1の海苔脱水用スポンジの洗浄装置の回転式洗浄カゴの詳細を示す斜視図である。
図4】本発明の異なる実施形態における海苔脱水用スポンジの洗浄装置の外観を示す斜視図である。
図5図4の海苔脱水用スポンジの洗浄装置の圧縮式洗浄カゴの詳細を示す平面図であり、(a)はスポンジをセットした初期状態、(b)は洗浄時に左方向に可動板が移動して左側に位置する海苔脱水用スポンジを圧縮している状態、(c)は洗浄時に右方向に可動板が移動して右側に位置する海苔脱水用スポンジを圧縮している状態である。
図6図4の海苔脱水用スポンジの洗浄装置の圧縮式洗浄カゴの詳細を示す側面視概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。尚、本発明において、マイクロバブルとは直径1~50マイクロメートルの泡を指すものとする。
【0019】
図1は、本発明の好ましい本実施の形態である海苔脱水用スポンジの洗浄装置1Aを示しており、この洗浄装置1Aは大きく分けて洗浄部10(内部を見せるために縦断面図で示す)とマイクロバブル供給部20の2つの部分からなる。その洗浄部10は、海苔脱水用スポンジFを保持する回転式の洗浄カゴ11Aと、この洗浄カゴ11Aを収装した状態で洗浄液を貯める洗浄室10aとを洗浄槽本体12に備えており、複数枚の海苔脱水用スポンジFを洗浄カゴ11Aに保持した状態で洗浄液に浸漬して洗浄を行うものである。
【0020】
その洗浄室10aには、マイクロバブル生成手段であるマイクロバブル供給部20が配管31を介して接続されており、このマイクロバブル供給部20でマイクロバブルを生成し、洗浄室10aに貯留した洗浄液中にマイクロバブルを供給しながら洗浄を行う方式を採用している。
【0021】
即ち、従来の海苔脱水用スポンジの洗浄装置においては、海苔脱水用スポンジに洗浄液を噴射したり洗浄液内で回転させたりして洗浄の手間や時間を削減することを主目的として、洗浄効果の顕著な向上は期待できなかったのに対し、本実施の形態においては、海苔脱水用スポンジFを浸漬した洗浄液にマイクロバブルを供給して分散させながら洗浄を行うものとしており、マイナス電荷を帯びたマイクロバブルが洗浄液中でプラスの電荷を帯びた海苔脱水用スポンジFの汚れやゴミに吸着して潰れることで、これらを粉砕しながら剥離させるとともに、剥離した汚物にマイクロバブルが吸着して洗浄液の水面側に浮かせる作用を発揮することから、短時間で優れた洗浄効果を発揮するものである。
【0022】
また、本実施の形態においては、洗浄槽本体12の洗浄室10aからオーバーフローした洗浄液を回収してマイクロバブル供給部20に送るオーバーフロー回収路を備えているとともに、オーバーフロー分の洗浄液を取り込んだマイクロバブル供給部20から空気を溶存および拡散した状態の洗浄液又はマイクロバブルの少なくとも一方を含有した状態の洗浄液を、洗浄室10a側に戻すオーバーフロー戻し路を備えている。
【0023】
そのオーバーフロー回収路は、洗浄室10aに併設されてオーバーフローした洗浄液を溜めるオーバーフロー貯留室10bと、これからマイクロバブル供給部20に接続する配管32からなり、そのオーバーフロー貯留室10bの上部には、洗浄室10aからオーバーフローしてきた洗浄液中の汚物を濾し取って除去する汚物除去手段である濾過器17が配設されており、洗浄液中に浮遊している汚物を効率的に除去して綺麗にしながら、洗浄液を循環使用するようになっている。
【0024】
一方、マイクロバブル生成手段であるマイクロバブル供給部20は、オーバーフローした洗浄液を吸引して圧送するポンプ21と、洗浄液の吸引経路の途中で外部空気を洗浄液中に取り込む空気取込手段である空気取込器24と、圧送した洗浄液を所定レベルの陽圧の状態で一端貯めながら取り込んだ空気を洗浄液中に溶解させる空気溶解タンク22,23とを備えており、一般にマイクロバブル生成装置と呼ばれるものである。
【0025】
この空気溶解タンク22,23内に、空気が溶存した状態で貯留されている陽圧の洗浄液は、オーバーフロー戻し路である配管31を介してこれらよりも低圧の空間である洗浄室10a内に放出されて減圧されることにより、洗浄液中に多量のマイクロバブルを発生するものであり、洗浄室10aに貯留した洗浄液に対し連続的且つ効率的にマイクロバブルを供給できるようになっている。
【0026】
図2は、上述した海苔脱水用スポンジの洗浄装置1Aの配管系統図を示している。図1では図示を省略したが、洗浄室10aには配管33が接続されて水道水を直接注入することができる。また、洗浄室10aには配管34が接続されており、洗浄後の洗浄水をそのまま排水することができる。そのため、配管33を介した水道水の注入と配管34を介した排水を組み合わせることで、洗浄工程後にすすぎ工程を実施することができる。尚、上述した配管31,32,33,34には、遮断弁(コック)が各々配設されており、手動や自動で開閉操作を行えるようになっている。
【0027】
図3は、洗浄室10a内に収装されている回転式の洗浄カゴ11Aの詳細を斜視図で示している。この洗浄カゴ11Aは、洗浄時に電動モータ14(図1参照)により洗浄室10a内で回転動作を行うものであり、平板状の海苔脱水用スポンジFを、図示したように所定の隙間を形成させながら厚さ方向に複数枚重ねた状態で、その隙間の幅方向が回転軸の方向に対し直角になる向きで保持しながら回転するようになっている。
【0028】
本実施の形態では、回転軸11eの軸周りに4つのラック11a,11b,11c,11dが設けられており、一度に合計40枚の海苔脱水用スポンジFを保持することができるが、このように海苔脱水用スポンジFを重ねて保持しながら回転軸11eを軸として回転動作を行うことにより、回転軸11eに幅方向が直角になる向きで保持した海苔脱水用スポンジF同士の各隙間に洗浄液を効率的に流入させて海苔脱水用スポンジFの表裏両面をまんべんなく洗浄できるため、一度に多量の海苔脱水用スポンジを効率的に洗浄することができる。
【0029】
以下に、上述した海苔脱水用スポンジの洗浄装置1Aを用いた海苔脱水用スポンジFの洗浄方法の手順を説明する。再度、図1を参照して、先ず、洗浄槽本体12の上蓋を開けて、洗浄室10a内の洗浄カゴ11Aのラック11a,11b,11c,11dに海苔脱水用スポンジFを順次装着するが、洗浄カゴ11Aは手動でも回転させることができるため、上側に位置させた各ラック11a,11b,11c,11dに対し上から海苔脱水用スポンジFを重ねながら連続的に挿入することで、比較的容易に装着を完了することができる。
【0030】
次に、配管33(図2参照)を介して洗浄液になる水道水を洗浄室10a内に注入するが、注入した水道水に所定の洗浄剤を所定の割合で添加することにより、一層優れた洗浄効果を発揮することができる。この洗浄剤としては、少量でも高い洗浄効果を発揮させる観点から、水中で炭酸ガスを生じながら洗浄液をアルカリ化する炭酸アルカリ洗剤を用いることが好ましく、これにより海苔脱水用スポンジの素材を痛めることなく優れた洗浄効果を発揮するとともに、短時間で洗浄とすすぎを完了することができる。
【0031】
より詳細には、5wt%でpH10程度になる粉末製剤を1~5wt%の濃度で使用することが好ましい。また、海苔脱水用スポンジの素材として耐久性・吸水性に優れたポリビニールアルコール系のものが洗浄対象である場合、スポンジの素材を痛めにくくその吸水能を長期間に亘って維持しやすいという観点から、上述した炭酸アルカリ洗剤が最適である。
【0032】
本実施の形態では、250mm×250mm×22~30mm程度のサイズの海苔脱水用スポンジFを洗浄カゴ11Aで40枚保持することを想定しており、この洗浄カゴ11Aを電動モータ14で回転駆動させながら洗浄作業を行うものであるが、洗浄部10の上端側に配設した操作パネル15を操作することで、洗浄部10とマイクロバブル供給部20における動作について各種操作と設定を行えるようになっている。
【0033】
尚、少なくとも洗浄カゴ11Aが回転している洗浄作業中は、マイクロバブル供給部20から配管31を介して洗浄室10a内に洗浄液を戻しながらマイクロバブルを供給し続けることが好ましいが、マイクロバブルとしては直径20~30nmのサイズを供給することが好ましい。そして、マイクロバブルを多量に含んだ洗浄液は、洗浄カゴ11Aの回転動作により重ねられた海苔脱水用スポンジF,Fの隙間に侵入してまんべんなく行き渡るため、効率的かつ効果的に洗浄作業が進行するものである。
【0034】
そして、洗浄剤を用いた洗浄作業が完了したら、配管34による排水と配管33による注水を組み合わせながら、洗浄カゴ11Aを適宜回転させてすすぎ工程を行うことが好ましい。これにより、海苔脱水用スポンジFに付着した洗浄剤と残存した汚物を充分にすすぎ落とすことができる。
【0035】
上述した海苔脱水用スポンジの洗浄方法を実施することにより、一度に大量の海苔脱水用スポンジFを洗浄することができ、そのスポンジの素材を痛めることなく比較的短時間で優れた洗浄効果を発揮しながら作業を完了することができる。また、洗浄水を循環させながら途中の濾過器17で洗浄水中の汚物を効率的に除去することが可能であることから、洗浄水(水道水)の使用量を最小限に抑えることができ、且つ、外気を用いてマイクロバブルを生成して供給する構成であるため、洗浄作業に要する運転コストは比較的低廉で済むことになる。
【0036】
図4は、本発明の異なる実施の形態である海苔脱水用スポンジの洗浄装置1Bを示す斜視図であり、この洗浄装置1Bは洗浄部10Bの構造が図1に示した海苔脱水用スポンジの洗浄装置1Aと異なる点を除きほぼ同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
図5は、本発明の異なる実施の形態である海苔脱水用スポンジの洗浄装置1Bにおける圧縮式の洗浄カゴ11Bの詳細を平面図で示しており、図4(a)は洗浄カゴ11Bに海苔脱水用スポンジFをセットした初期状態を示す。この洗浄カゴ11Bは、往復動可能な2本のシャフト11f間に架設されて固定された複数の可動板11gと洗浄室10aの内壁に固定された複数の固定板11hとを有し、洗浄時に電動モータ14(図1参照)によりシャフト11fを往復動させることによって洗浄室10a内で前記可動板11gを往復動させて圧縮動作を行うものであり、平板状の海苔脱水用スポンジFを、図示したように厚さ方向に前記圧縮動作の方向と同一の向きで複数枚重ねた状態で保持するようになっている。
【0038】
次に、図4(b)は洗浄時に図示した右方向に可動板11gが移動して可動板11gの右側に位置する海苔脱水用スポンジFを圧縮している状態を示し、図4(c)は洗浄時に図示した左方向に可動板が移動して可動板11gの左側に位置する海苔脱水用スポンジFを圧縮している状態を示す。
【0039】
このように図示した左右方向にシャフト11fが往復動し洗浄室10a内で前記可動板11gを往復動させることで海苔脱水用スポンジFを固定板11hまたは洗浄室10aの壁面へと押し付ける圧縮動作を行い、海苔脱水用スポンジFの含水と脱水を繰り返すことができるが、可動板11gの左側および右側の双方に海苔脱水用スポンジFを配置したことで、シャフト11fおよび可動板11gの往復動の両方を圧縮動作として利用できるため効率的かつ効果的に洗浄作業が進行するものである。
【0040】
可動板11gは厚み方向に貫通する複数の孔が形成されていることで、往復動をする際の抵抗を減少させるとともに海苔脱水用スポンジFの含水と脱水を行う際に前記孔を通じて脱水することも可能となるため好ましく、例えば穴あけ加工により貫通孔を形成した板状のものや、金網状のもの、棒材を架け渡して板状に形成したものなどが使用できる(図示せず)。
【0041】
尚、本実施の形態において電動モータ14によりシャフト11fを往復動させる際の連結についてはカム機構、クランク機構、送りネジ機構その他の周知の手段を採用可能である。
【0042】
本実施の形態では、250mm×250mm×22~30mm程度のサイズの海苔脱水用スポンジFを洗浄カゴ11Bで20枚保持することを想定しており、前述した回転式の洗浄カゴ11Aを使用する海苔脱水用スポンジの洗浄装置1Aに比べて省スペース・省コスト化が図れるとともに圧縮動作を採用したことによってすすぎ工程終了後に海苔脱水用スポンジFを圧縮し、脱水した状態で洗浄カゴから取り出すことも可能となり、海苔脱水用スポンジFを取り出す作業者の負担を格段に軽減することができるものである。
【0043】
以上、述べたように、海苔脱水用スポンジの洗浄について、本発明により従来の方式と比べて高い洗浄効率と優れた洗浄効果を実現できるようになった。
【符号の説明】
【0044】
1A,1B 海苔脱水用スポンジの洗浄装置、10A,10B 洗浄部、10a 洗浄室、10b オーバーフロー貯留室、11A,11B 洗浄カゴ、11a,11b,11c,11d ラック、11e 回転軸、11f シャフト、11g 可動板、11h 固定板、12 洗浄槽本体、14 電動モータ、15 操作パネル、17 濾過器、20 マイクロバブル供給部、21 ポンプ、22,23 空気溶解タンク、24 空気取込器、31,32,33,34 配管、F 海苔脱水用スポンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6