(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】脱気筒
(51)【国際特許分類】
E04D 13/16 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
E04D13/16 Y
(21)【出願番号】P 2018023801
(22)【出願日】2018-02-14
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】505029517
【氏名又は名称】高翔産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【氏名又は名称】塩田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小林 文人
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-137722(JP,U)
【文献】特開2015-061970(JP,A)
【文献】特開昭58-150175(JP,A)
【文献】特開平05-231586(JP,A)
【文献】特開2003-300485(JP,A)
【文献】登録実用新案第3162315(JP,U)
【文献】特開平02-248561(JP,A)
【文献】意匠登録第1470363(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/16
E04D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地コンクリートを覆うと共に、前記下地コンクリートに連通される通気穴が形成される被膜層上に設置され、前記被膜層の前記通気穴に連通される排気穴を有するベースプレートと、
両筒端開口の各内筒開口端を有する内筒体と、
一筒端閉塞の外筒閉塞端及び他筒端開口の外筒開口端を有する外筒体と、
外筒ガイド手段と、
外筒固定手段と、を備え、
前記内筒体は、
前記排気穴と同心に配置されると共に、一方の内筒開口端を前記ベースプレートに向けて前記ベースプレートに固定及び立設され、前記排気穴及び前記通気穴を通して前記下地コンクリートに連通され、
前記外筒体は、
前記外筒開口端を前記ベースプレートに向け、前記外筒閉塞端及び前記内筒体の他方の前記内筒開口端の間に筒端隙間を空けて前記内筒体に外嵌され、
前記外筒体の内周面及び前記内筒体の外周面の間に筒周隙間を空けて前記内筒体に外嵌され、
前記内筒体に対して、前記内筒体の筒中心線方向に移動自在に配置され、
前記外筒ガイド手段は、
前記外筒体を前記内筒体の筒中心線方向に案内し、
前記外筒固定手段は、
前記内筒体に設けられる内筒固定部と、
前記外筒体に設けられる外筒固定長穴部と、
前記外筒体を移動自在として前記外筒固定長穴部に挿通されるネジ軸部、及び前記ネジ軸部の一方のネジ軸端に固定されるネジ頭部を
有する外筒固定ネジと、を備え、
前記内筒固定部は、
前記内筒体に支持され、前記内筒体の外周面及び前記外筒体の内周面の間に突出される内筒支持板と、
内筒固定板と、を有し、
前記内筒支持板において、突出する側の板端は、前記外筒体の内周面に隙間を空けて配置され、
前記内筒固定板は、
前記内筒支持板の前記板端に一体に形成され、
前記内筒体の周方向に板幅を有して、前記外筒体の外周面に締付隙間を空けて配置され、及び前記内筒体の外周面にネジ空間を有して配置され、
前記外筒固定長穴部は、
前記内筒固定板に対峙して配置され、
前記外筒体の筒中心線方向に延在して前記外筒体の外周面及び内周面に開口され、
前記ネジ軸部は、
他方のネジ軸端から前記外筒固定長穴部に挿通して前記内筒固定板に螺着され、
前記ネジ頭部は、
前記外筒体の外周面に当接自在に配置され、
前記外筒固定ネジは、
前記ネジ軸部の一方の回転に伴って、前記ネジ頭部を前記外筒体の外周面に当接し、及び前記ネジ軸部を前記内筒体の外周面に接触することなく、前記ネジ空間に突出することによって、前記内筒固定板を弾性変形して、前記外筒体の外周面及び前記内筒固定板を密接して、前記外筒体を前記内筒固定部に固定し、
前記ネジ軸部の他方の回転に伴って、前記外筒体の内周面を前記内筒固定板から離間して、前記外筒体の内周面及び前記内筒固定板の間に前記締付隙間を空ける、
ことを特徴とする脱気筒。
【請求項2】
下地コンクリートを覆うと共に、前記下地コンクリートに連通される通気穴が形成される被膜層上に設置され、前記被膜層の前記通気穴に連通される排気穴を有するベースプレートと、
両筒端開口の各内筒開口端を有する内筒体と、
一筒端閉塞の外筒閉塞端及び他筒端開口の外筒開口端を有する外筒体と、
外筒ガイド手段と、
外筒固定手段と、を備え、
前記内筒体は、
前記排気穴と同心に配置されると共に、一方の内筒開口端を前記ベースプレートに向けて前記ベースプレートに固定及び立設され、前記排気穴及び前記通気穴を通して前記下地コンクリートに連通され、
前記外筒体は、
前記外筒開口端を前記ベースプレートに向け、前記外筒閉塞端及び前記内筒体の他方の前記内筒開口端の間に筒端隙間を空けて前記内筒体に外嵌され、
前記外筒体の内周面及び前記内筒体の外周面の間に筒周隙間を空けて前記内筒体に外嵌され、
前記内筒体に対して、前記内筒体の筒中心線方向に移動自在に配置され、
前記外筒ガイド手段は、
前記
内筒体に設けられる複数のガイド溝部と、
前記外筒体に設けられる複数のガイド部と、を備え、
前記各ガイド溝部は、
前記
内筒体の周方向において、相互に周角度間隔を空けて配置され、
前記内筒体の筒中心線方向において、前記各内筒開口端の間に延在して前記内筒体の外周面に開口され、
前記各ガイド部は、
前記外筒体の周方向において、相互に前記周角度間隔を空けて配置され、
前記外筒体の内周面及び前記内筒体の外周面の間に突出して前記各ガイド溝部に摺動自在に挿入され、
前記外筒体の筒中心線方向において、前記外筒開口端及び前記外筒閉塞端の間に延在され、
前記外筒固定手段は、
前記内筒体に設けられる内筒固定部と、
前記外筒体に設けられ、前記ガイド部と同数の外筒固定長穴
部と、
前記外筒体を移動自在として前記外筒固定長穴部に挿通されるネジ軸部、及び前記ネジ軸部の一方のネジ軸端に固定されるネジ頭部を有する外筒固定ネジと、を備え、
前記内筒固定部は、
前記
内筒体の周方向において、隣合う前記各ガイド溝部の間に配置され、
前記内筒体の周方向において、隣合う前記各ガイド溝部に前記周角度間隔の半分の角度を空けて配置され、
前記内筒体の外周面及び前記外筒体の内周面の間に突出され、及び前記外筒体の内周面に締付隙間を空けて配置され、
前記各外筒固定長穴
部は、
前記外筒体の周方向において、隣合う各ガイド部の間の夫々に配置され、
前記外筒体の周方向において、隣合う各ガイド部に前記周角度間隔の半分の角度を空けて配置され、
前記各外筒固定長穴
部のうち、1の外筒固定長穴部を前記内筒固定部に対峙して配置され、
前記外筒体の筒中心線方向に延在して前記外筒体の外周面及び内周面に開口され、
前記ネジ軸部は、
他方のネジ軸端から前記外筒固定長穴部に挿通して前記内筒固定部に螺着され、
前記ネジ頭部は、
前記外筒体の外周面に当接自在に配置され、
前記外筒固定ネジは、
前記ネジ軸部の一方の回転に伴って、前記ネジ頭部を前記外筒体の外周面に当接し、及び前記外筒体の内周面を前記内筒固定部に押付けて、前記外筒体を前記内筒体に固定し、
前記ネジ軸部の他方の回転に伴って、前記外筒体の内周面を前記内筒固定部から離間して、前記外筒体の内周面及び前記内筒固定部の間に前記締付
隙間を空ける、
ことを特徴とする脱気筒。
【請求項3】
前記内筒固定部は、
前記内筒体に支持され、前記内筒体の外周面及び前記外筒体の内周面の間に突出される内筒支持板と、
内筒固定板と、を有し、
前記内筒支持板において、突出する側の板端は、前記外筒体の内周面に隙間を空けて配置され、
前記内筒固定板は、
前記内筒支持板の前記板端に一体に形成され、
前記内筒体の周方向に板幅を有して、前記外筒体の外周面に締付隙間を空けて配置され、及び前記内筒体の外周面にネジ空間を有して配置され、
前記ネジ軸部は、
他方のネジ軸端から前記外筒固定長穴部に挿通して前記内筒固定板に螺着され、
前記ネジ頭部は、
前記外筒体の外周面に当接自在に配置され、
前記外筒固定ネジは、
前記ネジ軸部の一方の回転に伴って、前記ネジ頭部を前記外筒体の外周面に当接し、及び前記ネジ軸部を前記内筒体の外周面に接触することなく、前記ネジ空間に突出することによって、前記内筒固定板を弾性変形して、前記外筒体の外周面及び前記内筒固定板を密接して、前記外筒体を前記内筒固定部に固定し、
前記ネジ軸部の他方の回転に伴って、前記外筒体の内周面を前記内筒固定板から離間して、前記外筒体の内周面及び前記内筒固定板の間に締付隙間を空ける
ことを特徴とす
る請求項2に記載の脱気筒。
【請求項4】
前記外筒体は、
複数の板固定穴を有し、複数の板固定ネジにて前記外筒体に固定される閉塞板を備え、
前記各ガイド部は、外筒穴溝を有し、
前記閉塞板は、
前記外筒体の一方の外筒開口端を閉塞して配置され、
前記各板固定穴を前記各ガイド部の外筒
穴溝に連通して配置され、
前記各板固定ネジは、
前記外筒体を閉塞した前記閉塞板の前記各板固定穴に挿通して、前記各ガイド部の前記外筒穴溝に螺着される
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の脱気筒。
【請求項5】
前記ベースプレートは、複数のプレート固定穴を有し、
前記内筒体は、
前記内筒体の内周面に形成され、前記内筒体の内周面から筒中心線に向けて突出される複数の内筒突起と、前記各内筒突起に形成される複数の内筒穴溝と、を有し、
前記排気穴と同心に配置されると共に、一方の内筒開口端を前記ベースプレートに向け、及び前記各内筒穴溝を前記ベースプレートの前記各プレート固定穴に連通して、前記ベースプレートに立設されると共に、複数の内筒固
定ネジにて前記ベースプレートに固定され、
前記各内筒固定ネジは、
前記各プレート固定穴に挿通して、前記内筒体の前記各内筒穴溝に螺着される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の脱気筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋上等の下地コンクリート(コンクリートスラブ)から発生する湿り空気を大気中に排気(放出)する脱気筒に関する。
【背景技術】
【0002】
下地コンクリートから発生する湿り空気を排気する技術として、特許文献1は、脱気装置を開示する。脱気装置は、第1脱気手段、第2脱気手段、及び筒状カバー(雨カバー)で構成される。第1脱気手段は、下地コンクリート上に設置される支持基板、支持基板に立設される内筒体を備え、内筒体は、下地コンクリートを覆う断熱層上に突出して延在される。第2脱気手段は、断熱層上に設置される支持基板、支持基板に立設される外筒体を備え、外筒体は、第1脱気手段の内筒体に外嵌されて、断熱層上に突出して配置される。脱気装置において、筒状キャップは、閉塞端の内側に連結筒を有し、開口端から断熱層上に突出する外筒体に外嵌される。筒状キャップは、連結筒を外筒体の上開口端に螺着して外筒体に支持される。
特許文献1の脱気装置において、下地コンクリートから発生した湿り空気は、第1脱気手段の内筒体の内部、第2脱気手段の外筒体の内部、筒状キャップの連結筒の順に流れ、更に、筒状キャップ及び外筒体の間の隙間を流れて、筒状キャップの開口端から大気中に排気(放出)される。
【0003】
特許文献1の脱気装置は、断熱層及び第2脱気手段の支持基板を覆う防水層の厚みに応じて、第2脱気手段の支持基板及び筒状キャップの開口端の間の間隙(距離)を調整する。脱気装置は、1又は複数の調整筒を有して、調整筒を筒状キャップの連結筒及び外筒体の上開口端との間に着脱自在に取付けて外筒体の筒長さを嵩上げすることで、第2脱気手段の支持基板及び筒状キャップの開口端の間隙(距離)を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、断熱層及び第2脱気手段の支持基板を覆う防水層の厚みに応じて、第2脱気手段の支持基板及び筒状キャップの開口端の間隙(距離)を調整するために、1又は複数の調整筒を筒状キャップの連結筒及び外筒体の上開口端に取付ける必要があり、脱気装置の設置に時間を要し、作業性に劣る。
【0006】
本発明は、ベースプレート及び外筒体の外筒開口端の隙間(距離)を容易に調整でき、作業性に優れた脱気筒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る請求項1は、下地コンクリートを覆うと共に、前記下地コンクリートに連通される通気穴が形成される被膜層上に設置され、前記被膜層の前記通気穴に連通される排気穴を有するベースプレートと、両筒端開口の各内筒開口端を有する内筒体と、一筒端閉塞の外筒閉塞端及び他筒端開口の外筒開口端を有する外筒体と、外筒ガイド手段と、外筒固定手段と、を備え、前記内筒体は、前記排気穴と同心に配置されると共に、一方の内筒開口端を前記ベースプレートに向けて前記ベースプレートに固定及び立設され、前記排気穴及び前記通気穴を通して前記下地コンクリートに連通され、前記外筒体は、前記外筒開口端を前記ベースプレートに向け、前記外筒閉塞端及び前記内筒体の他方の前記内筒開口端の間に筒端隙間を空けて前記内筒体に外嵌され、前記外筒体の内周面及び前記内筒体の外周面の間に筒周隙間を空けて前記内筒体に外嵌され、前記内筒体に対して、前記内筒体の筒中心線方向に移動自在に配置され、前記外筒ガイド手段は、前記外筒体を前記内筒体の筒中心線方向に案内し、前記外筒固定手段は、前記内筒体に設けられる内筒固定部と、前記外筒体に設けられる外筒固定長穴部と、前記外筒体を移動自在として前記外筒固定長穴部に挿通されるネジ軸部、及び前記ネジ軸部の一方のネジ軸端に固定されるネジ頭部を有する外筒固定ネジと、を備え、前記内筒固定部は、前記内筒体に支持され、前記内筒体の外周面及び前記外筒体の内周面の間に突出される内筒支持板と、内筒固定板と、を有し、前記内筒支持板において、突出する側の板端は、前記外筒体の内周面に隙間を空けて配置され、前記内筒固定板は、前記内筒支持板の前記板端に一体に形成され、前記内筒体の周方向に板幅を有して、前記外筒体の外周面に締付隙間を空けて配置され、及び前記内筒体の外周面にネジ空間を有して配置され、前記外筒固定長穴部は、前記内筒固定板に対峙して配置され、前記外筒体の筒中心線方向に延在して前記外筒体の外周面及び内周面に開口され、前記ネジ軸部は、他方のネジ軸端から前記外筒固定長穴部に挿通して前記内筒固定板に螺着され、前記ネジ頭部は、前記外筒体の外周面に当接自在に配置され、前記外筒固定ネジは、前記ネジ軸部の一方の回転に伴って、前記ネジ頭部を前記外筒体の外周面に当接し、及び前記ネジ軸部を前記内筒体の外周面に接触することなく、前記ネジ空間に突出することによって、前記内筒固定板を弾性変形して、前記外筒体の外周面及び前記内筒固定板を密接して、前記外筒体を前記内筒固定部に固定し、前記ネジ軸部の他方の回転に伴って、前記外筒体の内周面を前記内筒固定板から離間して、前記外筒体の内周面及び前記内筒固定板の間に前記締付隙間を空ける、ことを特徴とする脱気筒である。
【0008】
本発明に係る請求項2は、下地コンクリートを覆うと共に、前記下地コンクリートに連通される通気穴が形成される被膜層上に設置され、前記被膜層の前記通気穴に連通される排気穴を有するベースプレートと、両筒端開口の各内筒開口端を有する内筒体と、一筒端閉塞の外筒閉塞端及び他筒端開口の外筒開口端を有する外筒体と、外筒ガイド手段と、外筒固定手段と、を備え、前記内筒体は、前記排気穴と同心に配置されると共に、一方の内筒開口端を前記ベースプレートに向けて前記ベースプレートに固定及び立設され、前記排気穴及び前記通気穴を通して前記下地コンクリートに連通され、前記外筒体は、前記外筒開口端を前記ベースプレートに向け、前記外筒閉塞端及び前記内筒体の他方の前記内筒開口端の間に筒端隙間を空けて前記内筒体に外嵌され、前記外筒体の内周面及び前記内筒体の外周面の間に筒周隙間を空けて前記内筒体に外嵌され、前記内筒体に対して、前記内筒体の筒中心線方向に移動自在に配置され、前記外筒ガイド手段は、前記内筒体に設けられる複数のガイド溝部と、前記外筒体に設けられる複数のガイド部と、を備え、前記各ガイド溝部は、前記内筒体の周方向において、相互に周角度間隔を空けて配置され、前記内筒体の筒中心線方向において、前記各内筒開口端の間に延在して前記内筒体の外周面に開口され、前記各ガイド部は、前記外筒体の周方向において、相互に前記周角度間隔を空けて配置され、前記外筒体の内周面及び前記内筒体の外周面の間に突出して前記各ガイド溝部に摺動自在に挿入され、前記外筒体の筒中心線方向において、前記外筒開口端及び前記外筒閉塞端の間に延在され、前記外筒固定手段は、前記内筒体に設けられる内筒固定部と、前記外筒体に設けられ、前記ガイド部と同数の外筒固定長穴部と、前記外筒体を移動自在として前記外筒固定長穴部に挿通されるネジ軸部、及び前記ネジ軸部の一方のネジ軸端に固定されるネジ頭部を有する外筒固定ネジと、を備え、前記内筒固定部は、前記内筒体の周方向において、隣合う前記各ガイド溝部の間に配置され、前記内筒体の周方向において、隣合う前記各ガイド溝部に前記周角度間隔の半分の角度を空けて配置され、前記内筒体の外周面及び前記外筒体の内周面の間に突出され、及び前記外筒体の内周面に締付隙間を空けて配置され、前記各外筒固定長穴部は、前記外筒体の周方向において、隣合う各ガイド部の間の夫々に配置され、前記外筒体の周方向において、隣合う各ガイド部に前記周角度間隔の半分の角度を空けて配置され、前記各外筒固定長穴部のうち、1の外筒固定長穴部を前記内筒固定部に対峙して配置され、前記外筒体の筒中心線方向に延在して前記外筒体の外周面及び内周面に開口され、前記ネジ軸部は、他方のネジ軸端から前記外筒固定長穴部に挿通して前記内筒固定部に螺着され、前記ネジ頭部は、前記外筒体の外周面に当接自在に配置され、前記外筒固定ネジは、前記ネジ軸部の一方の回転に伴って、前記ネジ頭部を前記外筒体の外周面に当接し、及び前記外筒体の内周面を前記内筒固定部に押付けて、前記外筒体を前記内筒体に固定し、前記ネジ軸部の他方の回転に伴って、前記外筒体の内周面を前記内筒固定部から離間して、前記外筒体の内周面及び前記内筒固定部の間に前記締付隙間を空ける、ことを特徴とする脱気筒である。
【0009】
本発明に係る請求項3は、前記内筒固定部は、前記内筒体に支持され、前記内筒体の外周面及び前記外筒体の内周面の間に突出される内筒支持板と、内筒固定板と、を有し、前記内筒支持板において、突出する側の板端は、前記外筒体の内周面に隙間を空けて配置され、前記内筒固定板は、前記内筒支持板の前記板端に一体に形成され、前記内筒体の周方向に板幅を有して、前記外筒体の外周面に締付隙間を空けて配置され、及び前記内筒体の外周面にネジ空間を有して配置され、前記ネジ軸部は、他方のネジ軸端から前記外筒固定長穴部に挿通して前記内筒固定板に螺着され、前記ネジ頭部は、前記外筒体の外周面に当接自在に配置され、前記外筒固定ネジは、前記ネジ軸部の一方の回転に伴って、前記ネジ頭部を前記外筒体の外周面に当接し、及び前記ネジ軸部を前記内筒体の外周面に接触することなく、前記ネジ空間に突出することによって、前記内筒固定板を弾性変形して、前記外筒体の外周面及び前記内筒固定板を密接して、前記外筒体を前記内筒固定部に固定し、前記ネジ軸部の他方の回転に伴って、前記外筒体の内周面を前記内筒固定板から離間して、前記外筒体の内周面及び前記内筒固定板の間に締付隙間を空けることを特徴とする請求項2に記載の脱気筒である。
【0010】
本発明に係る請求項4は、前記外筒体は、複数の板固定穴を有し、複数の板固定ネジにて前記外筒体に固定される閉塞板を備え、前記各ガイド部は、外筒穴溝を有し、前記閉塞板は、前記外筒体の一方の外筒開口端を閉塞して配置され、前記各板固定穴を前記各ガイド部の外筒穴溝に連通して配置され、前記各板固定ネジは、
前記外筒体を閉塞した前記閉塞板の前記各板固定穴に挿通して、前記各ガイド部の前記外筒穴溝に螺着されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の脱気筒である。
【0011】
本発明に係る請求項5は、前記ベースプレートは、複数のプレート固定穴を有し、
前記内筒体は、前記内筒体の内周面に形成され、前記内筒体の内周面から筒中心線に向けて突出される複数の内筒突起と、前記各内筒突起に形成される複数の内筒穴溝と、を有し、前記排気穴と同心に配置されると共に、一方の内筒開口端を前記ベースプレートに向け、及び前記各内筒穴溝を前記ベースプレートの前記各プレート固定穴に連通して、前記ベースプレートに立設されると共に、複数の内筒固定ネジにて前記ベースプレートに固定され、前記各内筒固定ネジは、前記各プレート固定穴に挿通して、前記内筒体の前記各内筒穴溝に螺着されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の脱気筒である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1では、外筒体を内筒体に対して、内筒体の筒中心線方向に移動することにより、ベースプレート及び外筒体の外筒開口端の間の隙間(距離)を調整でき、外筒体を外筒固定手段によって内筒体に固定することで、調整したベースプレート及び外筒体の外筒開口端の隙間を保持できる。
これにより、被覆層及びベースプレートを覆う防水層等の厚みに応じて、ベースプレート及び外筒体の外筒開口端の間の隙間を容易に調整でき、作業性に優れたものとなる。
脱気筒において、下地コンクリートから発生した湿り空気は、内筒体の内部、筒端隙間、及び筒周隙間の順に流れ、防水層等及び外筒体の外筒開口端の隙間から大気中に排気(放出)される。
【0013】
本発明では、外筒体は、第1位置から第2位置、又は第2位置から第1位置に移動され、第1位置及び第2位置の間(距離)にて排気隙間(外筒体の外筒開口端及びベースプレート間の距離)を任意の隙間(距離)に調整できる。外筒固定手段は、第1位置及び第2位置を含む、第1位置及び第2位置の間の任意の位置にて外筒体を内筒体に固定することで、調整した排気隙間(距離)を保持できる。
【0014】
本発明に係る請求項2では、外筒体は、複数のガイド溝部及び複数のガイド部によって内筒体の筒中心線方向に案内されながら移動できる。
【0015】
本発明に係る請求項1及び請求項2では、外筒固定ネジのネジ軸部を一方に回転することで、外筒体を内筒固定部(内筒体)に移動不能に固定でき、ネジ軸部を他方に回転することで、内筒体に対する外筒体の固定を解除して外筒体を移動自在にできる。
【0016】
本発明では、外筒体の外筒開口端が、被覆層及びベースプレート覆う防水層等に接触しても、下地コンクリートから発生した湿り空気を排気穴溝から大気中に排気(放出)できる。下地コンクリートから発生した湿り空気は、内筒体の内部、筒端隙間、及び筒周隙間を流れて、排気穴溝から大気中に排気(放出)される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図32】脱気筒を下地コンクリートに設置した断面図である(第1位置)。
【
図33】脱気筒を下地コンクリートに設置した断面図である(第2位置)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る脱気筒について、
図1乃至
図33を参照して説明する。
【0019】
脱気筒Xは、屋上等の下地コンクリートA(コンクリートスラブ)から発生する湿り空気を大気中に排気(放出)する(
図32及び
図33参照)。
図1乃至
図31において、脱気筒Xは、ベースプレート1(台座板)、内筒体2、外筒体3、外筒ガイド手段4、外筒固定手段5を備える。
【0020】
<ベースプレート1>
ベースプレート1(台座板)は、屋上等の下地コンクリートAを覆う被覆層B上に設置(固定)される(
図32及び
図33参照)。
ベースプレート1は、例えば、アルミニウム合金にて円形(円形板)に形成される。ベースプレート1は、
図1乃至
図7、及び
図12乃至
図15に示すように、プレート本体10、排気穴11、複数のプレート凹み穴12、複数のプレート設置穴13及び複数のプレート固定穴14を有して構成される。
【0021】
プレート本体10は、支持基板部15、短円筒部16及びフランジ板部17を有する。支持基板部15は、
図13乃至
図15に示すように、円形(円形板)に形成される。
【0022】
短円筒部16は、
図13乃至
図15に示すように、円錐台の円筒形に形成される。短円筒部16は、支持基板部15の外周縁に沿って配置されて、支持基板部15に一体に形成される。短円筒部16は、支持基板部15の径外方向、及び支持基板部15の板裏平面15Yから離間する方向に延在しつつ傾斜され、支持基板部15の板裏平面15Y側に突出する。
これにより、短円筒部16は、一方の筒開口端16Aを支持基板部15で閉塞(閉鎖)され、他方の筒開口端16Bを有する。
短円筒部16は、ベースプレート1の板中心線αを中心として、支持基板部15と同心に配置される。
【0023】
フランジ板部17は、
図13乃至
図15に示すように、円環(円環板)に形成される。フランジ板部17は、短円筒部16の他方の筒開口端16Bに沿って配置され、短円筒部16に一体に形成される。フランジ板部17は、ベースプレート1の板中心線方向PC(上下方向)において、支持基板部15に短円筒部16の間隔を空けて平行に配置される。
フランジ板部17は、短円筒部16(支持基板部15)に離間する径方向において、短円筒部16の他方の筒開口端16Bから突出される。
【0024】
排気穴11は、
図13乃至
図15に示すように、例えば、円形(円形穴)に形成される。排気穴11は、プレート本体10の支持基板部15に形成される。
排気穴11は、穴中心線をベースプレート1(支持基板部15)の板中心線αに一致して、支持基板部15と同心に配置される。排気穴11は、
図15に示すように、ベースプレート1の板中心線方向PCにおいて、支持基板部15を貫通して、支持基板部15の板表平面15X(ベースプレート1の板表平面)に開口され、及び支持基板部15の板裏平面15Y(ベースプレート1の板裏平面)に開口される。排気穴11は、プレート本体10の短円筒部16内に連通される。排気穴11は、
図13に示すように、穴直径D1を有して形成される。
【0025】
複数(例えば、4つ)のプレート凹み穴12は、
図4乃至
図7、及び
図12乃至
図15に示すように、例えば、円形(円形凹み穴)に形成される。各プレート凹み穴12は、プレート本体10の支持基板部15に形成される。
各プレート凹み穴12は、排気穴11及び短円筒部16の間に配置される。各プレート凹み穴12は、
図13に示すように、ベースプレート1(支持基板部15)の周方向PS(円周方向)において、相互に周角度間隔θa(凹み穴周角度間隔)を空けて配置される。周角度間隔θaは、例えば、θa(角度)=90度(90°)である。
各プレート凹み穴12は、
図13に示すように、凹み穴中心をピッチ円C1(凹み穴ピッチ円)上に位置して配置される。ピッチ円C1(凹み穴ピッチ円)は、ベースプレート1(支持基板部15)の板中心線αを中心とするピッチ円半径Ra(ピッチ円直径Da=Ra×2)を有する。ピッチ円C1のピッチ円直径Daは、
図13に示すように、排気穴11の穴直径D1より大きい寸法(ピッチ円直径Da>穴直径D1)である。
各プレート凹み穴12は、
図14及び
図15に示すように、ベースプレート1(支持基板部15)の板中心線方向PCにおいて、支持基板部15の板表平面15Xから板裏平面15Y(短円筒部16内)に凹んで形成され、短円筒部16内に突出する。
【0026】
複数(例えば、4つ)のプレート設置穴13は、
図4乃至
図7、及び
図12乃至
図15に示すように、各プレート凹み穴12(支持基板部15)に形成される、各プレート設置穴13は、各プレート凹み穴12内に配置される。各プレート設置穴13は、ベースプレート1の板中心線方向PCにおいて、プレート凹み穴12の底板部を貫通して、支持基板部15の板表平面15Xに開口され、及び支持基板部15の板裏平面15Y(短円筒部16内)に開口される。各プレート設置穴13は、プレート本体10の短円筒部16内に連通する。
【0027】
複数(例えば、3つ)のプレート固定穴14は、
図7、及び
図12乃至
図15に示すように、例えば、円形(円形穴)に形成される。各プレート固定穴14は、プレート本体10の支持基板部15に形成される。
各プレート固定穴14は、排気穴11及び各プレート凹み穴12の間に配置され、及び排気穴11に隣接される。
各プレート固定穴14は、
図13に示すように、ベースプレート1(支持基板部15)の周方向PS(円周方向)において、相互に周角度間隔θb(穴周角度間隔)を空けて配置される。周角度間隔θbは、例えば、θb(角度)=120度(120°)である。
各プレート固定穴14は、
図13に示すように、穴中心をピッチ円C2(穴ピッチ円)に位置して配置される。ピッチ円C2(穴ピッチ円)は、ベースプレート1(支持基板部15)の板中心線αを中心とするピッチ円半径Rb(ピッチ円直径Db=Rb×2)を有する。ピッチ円C2のピッチ円直径Dbは、
図13に示すように、排気穴11の穴直径D1より大きく、ピッチ円C1(凹み穴ピッチ円)のピッチ円直径Daより小さい寸法(ピッチ円直径Da>ピッチ円直径Db>穴直径D1)である。
各プレート固定穴14は、
図15に示すように、ベースプレート1の筒中心線方向PCにおいて、支持基板部15を貫通して、支持基板部15の板表平面15Xに開口され、及び支持基板部15の板裏平面15Yに開口される。各プレート固定穴14は、プレート本体10の短円筒部16内に連通する。
各プレート固定穴14は、
図12乃至
図15に示すように、排気穴11内に開口される。
【0028】
<内筒体2>
内筒体2は、
図1乃至
図4、
図7、
図9乃至
図12、及び
図16乃至
図20に示すように、例えば、アルミニウム合金にて円筒形に形成される。内筒体2(内円筒体)は、両筒端開口の各内筒開口端2A,2B(両内筒開口端)を有する。
内筒体2は、
図16及び
図17に示すように、内筒体2の筒中心線方向ICにおいて、各内筒開口端2A,2Bの間の筒長さL2、筒外直径D2、及び筒内直径d2を有する。
内筒体2の筒外直径D2は、各プレート凹み穴12のピッチ円C1(凹み穴ピッチ円)のピッチ円直径Daより小さく、内筒体2の筒内直径d2より大きい寸法(ピッチ円直径Da>内筒外径D2>筒内直径d2)である。
内筒体2の筒内直径d2は、各プレート固定穴14のピッチ円C2(穴ピッチ円)のピッチ円直径Dbより大きい寸法(筒内直径d2>ピッチ円直径Db)である。
【0029】
【0030】
複数(例えば、3つ)の内筒突起21は、
図9乃至
図11、
図17、
図19及び
図20に示すように、内筒体2の内周面2Mに一体に形成される。
各内筒突起21は、
図17に示すように、内筒体2の周方向IS(周方向)において、相互に周角度間隔θc(内筒周角度間隔)を空けて配置される。周角度間隔θc(内筒周間隔)は、例えば、θc(角度)=120度(120°)である(以下、同様)。
各内筒突起21は、内筒体2の内周面2Mから内筒体2の筒中心線βに向けて突出(内筒体2の筒中心線β側に突出)される。各内筒突起21は、
図20に示すように、内筒体2の内周面2M及び突起基準円C3の間に突出される。突起基準円C3は、内筒体2の筒中心線βを中心とする円半径Rc(円直径Dc=Rc×2)を有する。突起基準円C3の円直径D3は、ベースプレート1の排気穴11の穴直径D1と同一寸法(円直径D3=穴直径D1)である。
各内筒突起21は、
図7及び
図9に示すように、内筒体2の筒中心線方向ICにおいて、各内筒開口端2A,2Bの間に延在されて、各突起端21A,21Bを各内筒開口端2A,2Bに面一に配置する。
【0031】
複数(例えば、3つ)の内筒穴溝22は、
図9乃至
図11、
図17、
図19及び
図20に示すように、例えば、円形(円形穴)に形成される。各内筒穴溝22は、各内筒突起21に形成される。
各内筒穴溝22は、
図17に示すように、内筒体2の周方向IS(円周方向)において、周角度間隔θc(内筒周角度間隔)を空けて配置されて、各内筒突起21に形成される。
各内筒穴溝22は、
図20に示すように、穴中心をピッチ円C4(内筒穴ピッチ円)に位置して配置される。ピッチ円C4(内筒穴ピッチ円)は、内筒体2の筒中心線βを中心とするピッチ円半径Rd(ピッチ円直径Dd=Rd×2)を有する。ピッチ円C4(内筒穴ピッチ円)のピッチ円直径Ddは、ベースプレート1の各プレート固定穴14のピッチ円C2(穴ピッチ円)のピッチ円直径Dbと同一寸法(ピッチ円直径Dd=ピッチ円直径Db)である。
各内筒穴溝22は、
図19に示すように、内筒体2の筒中心線方向ICにおいて、各内筒突起21を貫通して、各突起端21A,21B(各内筒開口端2A,2B)に開口される。各内筒穴溝22は、
図9乃至
図11、
図17及び
図20に示すように、内筒体2の筒中心線β側において、内筒体2内に開口される。各内筒穴溝22は、内筒体2の筒中心線方向ICにおいて、各内筒突起21の各突起端21A,21Bにわたって内筒体2内に開口される。
【0032】
内筒体2は、
図1乃至
図4、及び
図7に示すように、一方の内筒開口端2Aを支持基板部15の板表平面15X(ベースプレート1の板表平面)に向けて、支持基板部15(ベースプレート1)に立設される。内筒体2は、内筒体2の筒中心線βをベースプレート1(支持基板部15)の板中心線αに一致して、排気穴11と同心に配置される。内筒体2は、各内筒穴溝22をベースプレート1(支持基板部15)の各プレート固定穴14に連通(一致)して、支持基板部15の板表平面15X(ベースプレート1の板表平面)に立設される。
これにより、内筒体2は、ベースプレート1の排気穴11に連通され、及び短円筒部16内に連通される。
内筒体2において、各内筒突起21は、ベースプレート1の排気穴11内に突出することなく、排気穴11の穴周面に面一に配置される。
【0033】
内筒体2は、
図6及び
図7に示すように、複数の内筒固定ネジ23にて支持基板部15(ベースプレート1)に固定される。
各内筒固定ネジ23は、
図7に示すように、ベースプレート1の短円筒部16内から各プレート固定穴14内に挿通して、内筒体2の各内筒穴溝22(各内筒突起21)に螺着される。各内筒固定ネジ23は、各内筒穴溝22(各内筒突起21)に螺入されて、丸皿(ネジ頭部)を支持基板部15の板裏平面15Yに当接する。
これにより、内筒体2は、各内筒固定ネジ23、及び各内筒穴溝22(ネジ穴溝)によって、支持基板部15の板表平面15X(ベースプレート1の板表平面)に立設されて、ベースプレート1(支持基板部15)に固定される。
内筒体2は、ベースプレート1の排気穴11及び各プレート凹み穴12の間に配置される。
【0034】
<外筒体3>
外筒体3は、
図1乃至
図5、
図7、
図9乃至
図12、及び
図21乃至
図25に示すように、例えば、アルミニウム合金にて円筒形に形成される。外筒体3(外円筒体)は、一筒端閉塞の外筒閉塞端3A、及び他筒端開口の外筒開口端3Bを有する。
外筒体3は、
図21及び
図24に示すように、外筒体3の筒中心線方向OCにおいて、外筒閉塞端3A及び外筒開口端3B間の筒長さL3、筒外直径D3及び筒内直径d3を有する。
外筒体3の管長さL3は、内筒体2の筒長さL2以下(筒長さL2と同一寸法又は筒長さL2より僅かに短い寸法)である(筒長さL3≦筒長さL2)。
外筒体3の筒外直径D3は、各プレート凹み穴12のピッチ円のピッチ円直径Daより小さく、外筒体3の筒内直径d3より大きい寸法(ピッチ円直径Da>筒外直径D3>筒内直径d3)である。外筒体3の筒内直径d3は、内筒体2の筒外直径D2より大きい寸法(筒内直径d3>筒外直径D2)である。
【0035】
【0036】
閉塞板24は、
図12、
図26及び
図27に示すように、例えば、アルミニウム合金にて円形(円形板)に形成される。閉塞板24は、外筒体3の筒外直径D3と同一の板直径D4を有する。閉塞板24は、複数の板固定穴27を有する。複数(例えば、3つ)の板固定穴27は、例えば、円形(円形穴)に形成される。
各板固定穴27は、閉塞板24の周方向CS(円周方向)に周角度間隔θe(穴周角度間隔)を空けて配置される。各板固定穴27は、穴中心をピッチ円C5(板穴ピッチ円)に位置(一致)して配置される。ピッチ円C5(板穴ピッチ円)は、閉塞板24の板中心線εを中心とするピッチ円半径Re(ピッチ円直径De=Re×2)を有する。
各板固定穴27は、閉塞板24の板中心線方向CCにおいて、閉塞板24を貫通して、閉塞板24の板表平面24X及び板裏平面24Yに開口される。
閉塞板24は、板裏平面24Yから外筒体3の一方の筒端2Aに当接して配置される。閉塞板24は、一方の筒端を閉塞(閉鎖)して、外筒体3に固定される。
これにより、閉塞板24の板裏平面24Yは、外筒体3の外筒閉塞端3Aを構成する。
【0037】
複数の外周溝25は、
図1乃至
図4、
図9乃至
図11、及び
図21乃至
図25に示すように、外筒体3の外周面3Nに形成される。各外周溝25は、外筒体3の周方向OS(円周方向)にわたって連続して形成される。各外周溝25は、外筒体3の筒中心線方向OCにおいて、外筒閉塞端3A及び外筒開口端3Bの間に延在して、外筒閉塞端3A及び外筒開口端3Bに開口される。各外周溝25は、外筒体3の外周面3Nから内周面3Mに溝深さを有して、外筒体3の外周面3Nに開口される。
【0038】
複数(例えば、3つ)の排気穴溝26は、
図1乃至
図4、
図11、
図12、及び
図21乃至
図23に示すように、外筒体3の外筒開口端3B側に配置される。各排気穴溝26は、
図11に示すように、相互に外筒体3の周方向OS(円周方向)に周角度間隔θf(溝周角度間隔)を空けて配置される。周角度間隔θf(溝周角度間隔)は、例えば、θf(角度)=120度(120°)である。
各排気穴溝26は、外筒体3の筒中心線方向OCにおいて、外筒開口端3Bから溝穴深さH1を有して、外筒体3に形成される。
各排気穴溝26は、外筒体3の径方向において、外筒体3を貫通して、外筒体3の内周面3M及び外周面3Nに開口される。各排気穴溝26は、外筒体3の外筒開口端3Bに開口される。
【0039】
外筒体3は、
図1乃至
図4、
図7及び
図12に示すように、外筒開口端3Bを支持基板部15の板表平面15X(ベースプレート1の板表平面)に向けて、内筒体2に外嵌される。外筒体3は、
図7に示すように、外筒体3の筒中心線方向OCにおいて、外筒閉塞端3A及び内筒体2の他方の内筒開口端2Bの間に筒端隙間δa(筒端空間)を空けて内筒体2に外嵌される。
外筒体3は、
図9に示すように、外筒体3の内周面3M及び内筒体2の外周面2Nの間に筒周隙間δb(筒周空間)を空けて内筒体2に外嵌される。
外筒体3は、ベースプレート1の各プレート凹み穴12及び内筒体2の間に配置される。
【0040】
外筒体3は、内筒体2に対して、内筒体2の筒中心線方向IC(外筒体3の筒中心線方向OC)に移動自在に配置される。
外筒体3は、
図1及び
図28に示すように、第1位置P1(
図1乃至
図4参照)、及び第2位置P2(
図28乃至
図30参照)において、第1位置P1及び第2位置P2の間にて移動される。外筒体3は、内筒体2に対して、第1位置P1から第2位置P2に移動され、及び第2位置P2から第1位置P1に移動される。
第1位置P1は、
図7に示すように、内筒体2の筒中心線方向IC(外筒体3の筒中心線方向OC)において、外筒体3の外筒開口端3Bの位置であって、外筒体3の外筒開口端3B及び支持基板部15の板表平面15X(ベースプレート1)の間に排気隙間δc(排気空間)を空け、外筒体3の外筒閉塞端3A及び内筒体2の他方の内筒開口端2Bの間に筒端隙間δa(筒端空間)を空ける位置である。
第2位置P2は、
図30に示すように、内筒体2の筒中心線方向IC(外筒体3の筒中心線方向OC)において、外筒体3の外筒開口端3Bの位置であって、外筒開口端3Bを第1位置P1及び内筒体2の他方の内筒開口端2Bの間に配置(位置)する位置である。
【0041】
<外筒ガイド手段4>
外筒ガイド手段4は、
図7、
図9乃至
図11に示すように、外筒体3を内筒体2に移動自在に支持して、外筒体3を内筒体2の筒中心線方向IC(外筒体3の筒中心線方向OC)に案内(ガイド)する。
外筒ガイド手段4は、例えば、アルミニウム合金にて形成される。外筒ガイド手段4は、
図7、
図9乃至
図11、
図16乃至
図20、及び
図23乃至
図25に示すように、複数のガイド溝部31、及び複数のガイド部32を備える。
【0042】
複数(例えば、3つ)のガイド溝部31は、
図1乃至
図3、
図7、
図9乃至
図12、及び
図16乃至
図20に示すように、内筒体2に設けられる。各ガイド溝部31は、
図17に示すように、内筒体2の周方向IS(円周方向)において、相互に周角度間隔θg(ガイド溝周角度間隔)を空けて配置される。周角度間隔θg(ガイド溝周角度間隔)は、例えば、θg(角度)=120度(120°)である。
各ガイド溝部31は、
図17に示すように、内筒体2の周方向IS(円周方向)において、内筒体2の各内筒突起21の間に配置される。各ガイド溝部31は、
図17に示すように、内筒体2の周方向IS(円周方向)において、隣合う各内筒突起21に周方向間隔θh(溝突起周角度間隔)を空けて配置される。周角度間隔θhは、各内筒突起21の周角度間隔θc[θc(角度)=120度]の半分の角度であって、θh(角度)=60度(60°)である。
これにより、各ガイド溝部31は、内筒体2の周方向IS(円周方向)において、隣合う各内筒突起21の間の中央(中心)に配置される。
【0043】
各ガイド溝部31は、
図16及び
図18に示すように、内筒体2の筒中心線方向ICにおいて、各内筒開口端2A,2Bの間に延在して、各内筒開口端2A,2Bに開口される。各ガイド溝部31は、
図17に示すように、内筒体2を筒中心線β側に凹ませて形成され、内筒体2の外周面2Nから筒中心線βに溝深さH2を有する。各ガイド溝部31は、内筒体2の外周面2Nに開口される。各ガイド溝部31は、内筒体2の筒中心線方向ICにおいて、各内筒開口端2A,2Bの間にわたって内筒体2の外周面2Nに開口される。
【0044】
複数(例えば、3つ)のガイド部32は、
図7、
図9乃至
図12、
図24及び
図25に示すように、外筒体3に設けられる。各ガイド部32は、
図24に示すように、外筒体3の周方向OS(円周方向)において、相互に周角度間隔θk(ガイド周角度間隔)を空けて配置される。周角度間隔θk(ガイド周角度間隔)は、例えば、θk(角度)=120度(120°)である。
各ガイド部32は、外筒体3の内周面3Mに一体に形成される。各ガイド部32は、
図7、
図9乃至
図11に示すように、外筒体3の内周面3M及び内筒体2の外周面2Nの間(筒周間隔δb)に突出して、各ガイド溝部31に摺動自在に挿入される。
各ガイド部32は、
図23に示すように、外筒体3の筒中心線方向OCにおいて、外筒閉塞端3A及び外筒開口端3Bの間に延在されて、各ガイド溝部31に挿入される。各ガイド部32の両ガイド端32A、32Bは、外筒閉塞端3A、外筒開口端3Bに面一に配置される。
【0045】
各ガイド部32(外筒体3)は、
図7、
図9乃至
図11、
図23乃至
図25に示すように、外筒穴溝33を有する。各外筒穴溝33は、
図24に示すように、外筒体3の周方向OS(円周方向)において、周角度間隔θkを空けて配置される。
各外筒穴溝33は、
図9乃至
図11に示すように、外筒体3の内周面3M及び内筒体2の外周面2Nの間(筒周隙間δb)に配置されて、各ガイド部32に形成される。
各外筒穴溝33は、
図24に示すように、穴中心をピッチ円C6(穴ピッチ円)に位置(一致)して配置される。ピッチ円C6は、外筒体3の筒中心線γを中心とするピッチ円半径Rf(ピッチ円直径Df=Rf×2)を有する。ピッチ円C6のピッチ円直径Dfは、内筒体2の筒外直径D2より大きく、外筒体3の筒内直径d3より小さい寸法(筒内直径d3>ピッチ円直径Df>筒外直径D2)であって、閉塞板24の各板固定穴27のピッチ円C5のピッチ円直径Deと同一寸法(ピッチ円直径Df=ピッチ円直径De)である。
各外筒穴溝33は、外筒体3の筒中心線方向OCにおいて、各ガイド部32を貫通して、各ガイド部32の各ガイド端32A、32Bに開口される。各外筒穴溝33は、外筒体3の周方向OS(円周方向)において、外筒体3内(外筒体3の内周面3M及び内筒体2の外周面2Nの間)に開口される。各ガイド部32の外筒穴溝33は、外筒体3の筒中心線方向OCにおいて、各ガイド端32A、32Bにわたって外筒体3内に開口される。
【0046】
外筒体3において、閉塞板24は、
図4、
図5、
図7及び
図23に示すように、複数の板固定ネジ34にて外筒体3に固定される。閉塞板24は、板裏平面24Yから外筒体3の一方の外筒開口端を閉塞(閉鎖)して配置される。閉塞板24は、各板固定穴27を各外筒穴溝33に連通(一致)して配置される。
各板固定ネジ34は、
図7及び
図23に示すように、外筒体3を閉塞した閉塞板24の各板固定穴27に挿通して、外筒体3の各外筒穴溝33に螺着される。各板固定ネジ34は、各外筒穴溝33に螺入されて、皿(ネジ頭部)を各板固定穴27に収納して閉塞板24に当接する。
これにより、閉塞板24は、各板固定ネジ34及び各外筒穴溝33によって外筒体3に固定され、板裏平面24Yにて外筒体3の外筒閉塞端3Aを構成する。
【0047】
<外筒固定手段5>
外筒固定手段5は、
図1、
図3乃至
図5、
図7乃至
図12、及び
図16乃至
図25に示すように、アルミニウム合金にて形成され、外筒体3を内筒体2に移動不能に固定し、及び内筒体2に対する外筒体3の固定を解除して外筒体3を移動自在にする。
【0048】
外筒固定手段5は、
図1、
図3乃至
図5、
図7乃至
図12、及び
図16乃至
図25に示すように、内筒固定部41、複数の外筒固定長穴部42、外筒固定ネジ穴部43、及び外筒固定ネジ44を備える。
【0049】
内筒固定部41は、
図7乃至
図12、及び
図16乃至
図20に示すように、内筒体2に設けられる。内筒固定部41は、内筒体2の外周面2Nに一体に形成される。
内筒固定部41は、
図17に示すように、内筒体2の周方向IS(円周方向)において、隣合う各
ガイド溝部31の間に配置される。内筒固定部41は、
図17に示すように、内筒体2の周方向IS(円周方向)において、隣合う各ガイド溝部31に周角度間隔θm(固定周角度間隔)を空けて配置される。周角度間隔θm(固定周角度間隔)は、隣合う各ガイド溝部31の間の周角度間隔θmの半分の角度[周角度間隔θm=(1/2)×θg]であって、θm(角度)=60度(60°)である。
内筒固定部41は、
図7乃至
図11に示すように、内筒体2の外周面2N及び外筒体3の内周面3Mの間に突出される。内筒固定部41は、外筒体3の内周面3Mに締付隙間δs(締付空間)を空けて配置される。
【0050】
内筒固定部41は、
図7乃至
図11、及び
図16乃至
図20に示すように、例えば、内筒支持板45、及び内筒固定板46を有して構成される。
【0051】
内筒支持板45は、
図7乃至
図11、及び
図16乃至
図20に示すように、内筒体2の外周面2Nに一体に形成されて、内筒体2に支持される。内筒支持板45は、内筒体2の外周面2N及び外筒体3の内周面3Mの間(筒周隙間)に突出される。内筒支持板45において、突出する側の板端45Aは、外筒体3の内周面3Mに隙間を空けて配置される、内筒支持板45は、
図18に示すように、内筒体2の筒中心線方向ICにおいて、内筒体2の他方の内筒開口端2Bから板長さLAを有して、一方の内筒開口端2A側に延在される。
【0052】
内筒固定板46は、
図7乃至
図11、及び
図16乃至
図20に示すように、内筒支持板45の板端45Aに一体に形成される。内筒固定板46は、内筒体2の周方向IS(円周方向)に板幅Tを有する。内筒固定板46は、
図11に示すように、外筒体3の内周面3Mに締付隙間δd(締付空間)を空けて配置される。内筒固定板46は、
図18に示すように、内筒体2の筒中心線方向ICにおいて、内筒体2の他方の内筒開口端2Bから板長さLAを有して、内筒体2の一方の内筒開口端2A側に延在される。内筒固定板46において、内筒体2の筒中心線方向ICの一方の板端46Aは、内筒体2の各内筒開口端2A,2Bの間に配置され、他方の板端46Bは、内筒体2の他方の内筒開口端2Bと面一に配置される。
内筒固定板46は、
図11に示すように、内筒体2の外周面2Nにネジ空間δeを有して配置される。
【0053】
複数(例えば、3つ)の外筒固定長穴部42は、
図1乃至
図4、
図7乃至
図9、
図21図25に示すように、外筒体3に設けられる。各外筒固定長穴部42は、
図24に示すように、外筒体3の周方向OS(円周方向)において、相互に周角度間隔θm(長穴周角度間隔)を空けて配置される。周角度間隔θm(長穴周角度間隔)は、例えば、θm(角度)=120度(120°)である。
各外筒固定長穴部42は、
図24に示すように、外筒体3の周方向OS(円周方向)において、隣合う各ガイド部32の間に配置される。各外筒固定長穴部42は、外筒体3の周方向OS(円周方向)において、隣合う各ガイド部32に周角度間隔θp(長穴ガイド周角度間隔)を空けて配置される。周角度間隔θp(長穴ガイド周角度間隔)は、隣合う各ガイド部32の周角度間隔θkの半分の角度[θp=(1/2)×θk]であって、θp(角度)=60度(60°)である。
各外筒固定長穴部42のうち、1の外筒固定長穴部42は、
図7、
図9に示すように、内筒固定部41(内筒固定板46)に対峙して配置される。
各外筒固定長穴部42は、
図1乃至
図4、
図7、
図12、及び
図21乃至
図23に示すように、外筒開口端3B側に形成される。各外筒固定長穴部42は、外筒体3の筒中心線方向OSにおいて、外筒閉塞端3A及び外筒開口端3Bの間に延在される。各外筒固定長穴部42は、
図21に示すように、外筒体3の筒中心線方向OCの穴長さLO、及び穴幅HOを有して、外筒体3に形成される。各外筒固定長穴部42において、穴長さLOは、第1位置P1及び第2位置P2の間の間隔(距離/外筒体3の移動距離)である。
各外筒固定長穴部42は、
図7、
図9、
図24及び
図25に示すように、外筒体3の内周面3M及び外周面3Nに開口され、外筒体3の内外を連通する。
各外筒固定長穴部42のうち、1の外筒固定長穴部42は、
図7乃至
図9に示すように、内筒固定部41(内筒固定板46)対峙して、外筒体3の内周面3M及び外周面3Nに開口される。
【0054】
外筒固定ネジ穴部43は、
図8、
図9、
図12、
図16、
図17、
図19及び
図20に示すように、内筒固定部41の内筒固定板46に形成される。外筒固定ネジ穴部43は、内筒固定板46の一方の板端46Aに配置される。外筒固定ネジ穴部43は、
図8及び
図9に示すように、内筒体2の径方向において、内筒固定板46を貫通して、締付隙間δd(締付空間)及びネジ空間δeに開口される。外筒固定ネジ穴部43は、締付隙間δd(締付空間)を通して、1の外筒固定長穴部42に連通される。
【0055】
外筒固定ネジ44は、
図8に示すように、ネジ軸部47、及びネジ頭部48を有する。ネジ頭部48は、ネジ軸部47の一方のネジ軸端47Aに固定される。
外筒固定ネジ44において、ネジ軸部47は、
図8に示すように、他方のネジ軸端47Bから外筒固定長穴部42に挿入して、内筒固定部41(内筒固定板46)の外筒固定ネジ穴部43に螺着される。ネジ軸部47は、外筒体3を移動自在として外筒固定長穴部42に挿通される。外筒固定ネジ44において、ネジ頭部48は、外筒体3の外周面3Nに当接自在に配置される。
【0056】
外筒固定ネジ44は、ネジ軸部47の一方の回転に伴って、ネジ頭部48を外筒体3の外周面3Nに当接し、及び外筒体3の内周面3Mを内筒固定板46(内筒固定部41)に押付ける。
このとき、外筒体3、及び内筒固定板46(内筒固定部41)は、外筒固定ネジ44の締付力を受けて弾性変形する。また、ネジ軸部47は、外筒固定ネジ穴部43に螺入されて、内筒体2の外周面3Nに接触することなく、ネジ空間δe内に突出される。
これにより、外筒体3の内周面3M及び内筒固定板46(内筒固定部41)は、締付力によって密接に接触して、外筒体3を内筒体2(内筒固定部41)に固定して、内筒体2に対して外筒体3を移動不能にする。
外筒固定ネジ44は、外筒体3を内筒体2に固定した後に、ネジ軸部47の他方の回転に伴って、外筒体3の内周面3Mを内筒固定板46(内筒固定部41)から離間して、外筒体3の内周面3M及び内筒固定板46(内筒固定部41)の間に締付隙間δd(締付け空間)を空ける。
このとき、外筒体3及び内筒固定板46は、外筒固定ネジ44の締付力から開放され、外筒体3の内周面3M及び内筒固定板46の間に締付隙間δd(締付空間)を形成する。
これにより、外筒体3は、内筒体2(内筒固定部41)に対する固定が解錠されて、内筒体2に対して移動自在にされる。
このように、外筒固定手段5は、外筒固定ネジ44(ネジ軸部47)を回転(一方の回転、他方の回転)することで、外筒体3を内筒体2に移動不能に固定し、及び内筒体2に対する外筒体3の固定を解除して、外筒体3を移動自在にする。
【0057】
脱気筒Xにおいて、外筒体3は、
図7に示すように、外筒開口端3Bから内筒体2に外嵌される。
このとき、外筒体3に設けた各ガイド部32を、内筒体2に設けた各ガイド溝部31に摺動自在に挿入すると、各外筒固定長穴部42のうち、1の外筒固定長穴部42は、
図9に示すように、内筒固定部41(内筒固定板46)に対峙して配置される。
1の外筒固定長穴部42を内筒固定部41(内筒固定板46)に対峙して配置した状態において、外筒固定ネジ44のネジ軸部47を外筒固定長穴部42(内筒固定板46に対峙する外筒固定長穴部42)に挿通して、外筒固定ネジ穴部43(内筒固定板46)に螺着する。
これにより、外筒体3は、
図11に示すように、内筒固定板46の間に締付隙間δd(締付空間)を空けて内筒体2に外嵌され、内筒体2に対して移動自在にされる。
【0058】
脱気筒Xにおいて、外筒体3は、各ガイド溝部31及び各ガイド部32(外筒ガイド手段4)に案内されつつ、内筒体2に対して移動される。このとき、各ガイド部32は、各ガイド溝部31に摺動される。また、外筒体3は、外筒固定長穴部42及び外筒固定ネジ44にて案内されながら移動される。
外筒体3を支持基板部15の板表平面15X(ベースプレート1の板表平面)に向けて移動すると、外筒固定ネジ44のネジ軸部47は、
図8に示すように、外筒体3の移動に伴って、外筒固定長穴部42(内筒固定板46に対峙する外筒固定長穴部42)の一方の長穴端42A[上側(内筒開口端2B側)の長穴端]に当接する。
これにより、外筒体3は、
図8に示すように、内筒体2の筒中心線方向ICにおいて、ベースプレート1側(支持基板部15の板表平面15X側)への移動が規制され、外筒開口端3Bを第1位置P1に配置(位置)する。第1位置P1において、外筒体3は、
図1及び
図7に示すように、外筒閉塞端3A及び内筒体2の他方の内筒開口端2Bの間に筒端隙間δa(筒端空間)を空け、及び外筒開口端3B及び支持基板部15の板表平面15Xの間に排気隙間δc(排気空間)を空けて配置される。
外筒体3を支持基板部15の板表平面15X(ベースプレート1の板表平面)から離間する方向に移動すると、外筒固定ネジ44のネジ軸部47は、
図31に示すように、外筒体3の移動に伴って、外筒固定長穴部42の他方の長穴端42B[下側(ベースプレート1側)の長穴端]に当接する。
これにより、外筒体3は、
図31に示すように、内筒体2の筒中心線方向ICにおいて、内筒体2の他方の内筒開口端2B側への移動が規制され、外筒開口端3Bを第2位置P2に配置(位置)する。第2位置P2において、外筒体3は、
図28乃至
図30に示すように、第1位置P1より大きい筒端隙間δa(筒端空間)、及び第1位置P1より大きい排気隙間δc(排気空間)を空けて配置される。
このように、脱気筒Xでは、内筒体2の筒中心線方向ICにおいて、外筒体3を第1位置P1及び第2位置P2を含む、第1位置P1及び第2位置P1の間の任意の位置に移動することで、内筒体2の筒中心線方向ICにおける排気隙間δcの隙間幅[ベースプレート1(支持基板部15の板表平面15X)及び外筒体3の外筒開口端3Bの間の距離]を調整できる。
また、外筒固定手段5において、外筒固定ネジ44及び外筒固定長穴部42は、外筒体3の移動を第1位置P1及び第2位置P2の間に規制する、外筒移動規制手段(又は外筒固定規制手段)となる。
外筒固定手段5は、第1位置P1及び第2位置P2を含む、第1位置P1及び第2位置P2間の任意の位置において、外筒固定ネジ44を一方に回転し、又は他方に回転することで、外筒体3を内筒体2に移動不能に固定し、及び外筒体3の固定を解除して外筒体3を移動自在にする。
【0059】
脱気筒Xにおいて、内筒体2、複数の内筒突起21、複数の内筒穴溝22、複数のガイド溝部31、及び内筒固定部41(内筒支持板45、内筒固定板46)は、例えば、アルミニウム合金を押出成型して一体に形成される。
脱気筒Xにおいて、外筒体3、複数のガイド部32、及び複数の外筒穴溝33は、例えば、アルミニウム合金を押出成型して一体に形成される。
【0060】
次に、脱気筒Xの設置について、
図32及び
図33を参照して説明する。
【0061】
図32及び
図33において、脱気筒Xは、屋外等の下地コンクリートA(コンクリートスラブ)に設置され、下地コンクリートAから発生する湿り空気を大気中に排気(放出)する。
【0062】
屋上等の下地コンクリートAは、
図32及び
図33に示すように、被覆層Bで覆われる。被覆層Bは、通気緩衝シート、断熱シート(断熱材)、防水層(ウレタン塗膜防水材)等である。被覆層Bには、下地コンクリートAに連通される通気穴Cが形成される。
【0063】
脱気筒Xにおいて、ベースプレート1は、
図32及び
図33に示すように、排気穴11を被覆層Bの通気穴Cに連通して、被覆層B上に設置される。ベースプレート1は、フランジ板部17を被覆層Bに当接して配置される。内筒体2及び外筒体3は、被覆層Bの上方に延在して配置される。
脱気筒Xは、
図32及び
図33に示すように、複数のプレート固定ネジ51にて下地コンクリートAに固定される。各プレート固定ネジ51は、ベースプレート1の各プレート設置穴13に挿通(貫通)されて、丸皿(ネジ頭部)を各プレート凹み穴12内に収納する。各プレート固定ネジ51は、ベースプレート1の短円筒部16内から被覆層B及び下地コンクリートAに螺入されて、脱気筒X(ベースプレート1)を下地コンクリートAに固定(設置)する。このとき、内筒体2は、通気穴C、短円筒部16内、及び排気穴11を通して、下地コンクリートAに連通される。
これにより、内筒体2は、他方の内筒開口端2Bを下地コンクリートAに連通して、ベースプレート1(支持基板部15の板表平面15X)に固定及び立設される。
【0064】
続いて、下地コンクリートA上の被覆層B、及びベースプレート1は、
図32及び
図33に示すように、防水層、防水シート等を含む仕上げ層Dにて被覆される。
このとき、防水層、防水シート等の仕上げ層Dの厚みに応じて、
図32及び
図33に示すように、外筒体3を内筒体2の筒中心線方向ICに移動することで、排気隙間δc(ベースプレート1及び外筒開口端3Bの間の距離)を調整して、外筒固定ネジ44(外筒固定手段5)によって外筒体3を内筒体2に固定する。
図32及び
図33において、下地コンクリートA(コンクリートスラブ)から発生した湿り空気は、通気穴C、ベースプレート1の排気穴11を通して内筒体2内に流入し、内筒体2の他方の内筒開口端2Bから筒端隙間δa(外筒閉塞端3A及び他方の内筒開口端2Bの間)、及び筒周隙間δb(外筒体3の内周面3M及び内筒体2の外周面2Nの間)の順に流れる。筒周隙間δbを流れる湿り空気は、各外筒固定長穴部42、及び排気隙間δc[仕上げ層D及び外筒開口端3Bの間]から大気中に排気(放出)される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、屋根等の下地コンクリートから発生する湿り空気を大気中に排気(放出)するのに最適である。
【符号の説明】
【0066】
X 脱気筒
A 下地コンクリート(コンクリートスラブ)
B 被覆層
D 仕上げ層
1 ベースプレート
2 内筒体
2A 内筒開口端
2B 内筒開口端
2M 内筒体の内周面
2N 内筒体の外周面
3 外筒体
3A 外筒閉塞端
3B 外筒開口端
3M 外筒体の外周面
3N 外筒体の内周面
4 外筒ガイド手段
5 外筒固定手段
31 ガイド溝部
32 ガイド部
41 内筒固定部
42 外筒固定長穴部
43 外筒固定ネジ穴
44 外筒固定ネジ
δa 筒端隙間
δb 筒周隙間