(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】郵便物の高速封入装置
(51)【国際特許分類】
B43M 3/04 20060101AFI20220802BHJP
B65B 5/08 20060101ALI20220802BHJP
B65B 43/54 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
B43M3/04
B65B5/08
B65B43/54 D
(21)【出願番号】P 2018062976
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】508132470
【氏名又は名称】株式会社サム技研
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【氏名又は名称】長谷 久生
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】幸 貴広
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-096988(JP,A)
【文献】特公昭52-039358(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43M 3/04
B65B 5/08
B65B 43/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
郵便に供される印刷物を丁合した封入物を封筒に封入する装置であって、封筒底部側にストッパーを備えフラップを下にして複数枚の封筒を重ねて待機させる封入部を備え、該封入部に於ける最上の封筒入口部を吸着持上げして開口する入口吸着パッドと、封筒の底部を前記ストッパー上端より上に吸着持上げする底部吸着パッドを備え、
前記封入部の上流側で到来する封入物を、丁合フィンガーから丁合物上面側で走行する封入フィンガーに順次と受渡しする受渡部を備え、前記封入フィンガーを少なくとも2個で対を成すL字状に形成し、前記した封入部で、封入物の後端部を前記封入フィンガーL字端部で底面支持したまま、待機する封筒に封入するとともに、その動作を継続したまま封入後の封筒を前記封入部から搬出するべく構成し、
前記入口吸着パッドは封入物の封入が開始されるまでに封筒入口を開口するとともに封入完了に関連して吸着解除を行い、
前記底部吸着パッドは、封入物を封入し終えてから封筒底部が前記ストッパー上方を適宜な距離だけ通過するまで吸着を維持した後に吸着解除を行い、更に、後続する封筒を前記封入方向と直交する方向から封入部の下部へ追加供給する封筒送込み装置を備え、前記封入部の下部に常に封筒ストックを確保するべく構成したことを特徴とする郵便物の高速封入装置。
【請求項2】
底部吸着パッドは、封入物を封入し終えてから封筒底部が前記ストッパー上方を適宜な距離だけ通過するまで該パッドの吸着面で封筒を摺動させた後、吸着解除を行うことを特徴とする請求項1に記載した郵便物の高速封入装置。
【請求項3】
底部吸着パッドは、封入物を封入し終えてから封筒底部が前記ストッパー上方を適宜な距離だけ通過するまで該パッドの移動を許容すべく構成したことを特徴とする請求項1に記載した郵便物の高速封入装置。
【請求項4】
底部吸着パッドで封筒底部を吸着持上げした後、その状態の封筒を吸着保持する吸着ボックスを備え、前者は持上げ完了で吸着解除し、後者は封筒底部が前記ストッパー上方を適宜な距離だけ通過するまでその吸着面で封筒を摺動させた後、吸着解除を行うことを特徴とする請求項1に記載した郵便物の高速封入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便に供される封入物を従来にない高速度で封筒に封入するための封入装置に関する。例えば、郵便物を大量に生産する業界にあって、予め決められた種類の印刷物を次々と丁合する丁合コンベアの下流に設置され、到来する丁合物、即ち、封入物をして所定の封筒に封入する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置は2種類に大別される。封筒に封入物を封入する封入部に於いて、封筒の入り口部にある封筒フラップを上にした状態で封入する方式のものと、逆に下にして封入する方式のものである。本願に係る装置は後者に属し、典型的な先行技術として下記のものが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の欠点として、封入速度遅いことがあげられる。それは時間当たりの生産数を指し、次々と短サイクルで封入を終える高速性能に難点があった。言い換えると、封筒に封入物を挿入するに早い速度で臨むとうまくいかないということであり、考察するに、封入時に生起される封入抵抗に起因するものと考えられる。従って、封筒内にエアーを吹き付ける等の補助的手段でその改善を図っているが、いまだ根本的な解決に至っていない。
本願発明は、封入抵抗を軽減するための工法として、従来工法は、封入物の後端をして単に押し込む封入工法であったものを、その後端から何十ミリかに及んで底面から支持した状態、言わば後端部を確実に幾分持ち上げた状態で押し込む工法を開発したもので、その工法によって、封入処理の高速化を達成せんとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明は、郵便に供される印刷物を丁合した封入物を封筒に封入する装置であって、封筒底部側にストッパーを備えフラップを下にして複数枚の封筒を重ねて待機させる封入部を備え、該封入部に於ける最上の封筒入口部を吸着持上げして開口する入口吸着パッドと、封筒の底部を前記ストッパー上端より上に吸着持上げする底部吸着パッドを備え、前記封入部の上流側で到来する封入物を、丁合フィンガーから丁合物上面側で走行する封入フィンガーに順次と受渡しする受渡部を備え、前記封入フィンガーを少なくとも2個で対を成すL字状に形成し、前記した封入部で、封入物の後端部を前記封入フィンガーL字端部で底面支持したまま、待機する封筒に封入するとともに、その動作を継続したまま封入後の封筒を前記封入部から搬出するべく構成し、前記入口吸着パッドは封入物の封入が開始されるまでに封筒入口を開口するとともに封入完了に関連して吸着解除を行い、前記底部吸着パッドは、封入物を封入し終えてから封筒底部が前記ストッパー上方を適宜な距離だけ通過するまで吸着を維持した後に吸着解除を行い、更に、後続する封筒を前記封入方向と直交する方向から封入部の下部へ追加供給する封筒送込み装置を備え、前記封入部の下部に常に封筒ストックを確保するべく構成したことを特徴とする郵便物の高速封入装置を提供する。
【0006】
また、前記した底部吸着パッドは、封入物を封入し終えてから封筒底部が前記ストッパー上方を適宜な距離だけ通過するまで該パッドの吸着面で封筒を摺動させた後、吸着解除を行うことを特徴とする郵便物の高速封入装置を提供する。また、前記した底部吸着パッドは、封入物を封入し終えてから封筒底部が前記ストッパー上方を適宜な距離だけ通過するまで該パッドの移動を許容すべく構成したことを特徴とする郵便物の高速封入装置を提供する。更に、前記した底部吸着パッドで封筒底部を吸着持上げした後、その状態の封筒を吸着保持する吸着ボックスを備え、前者は持上げ完了で吸着解除し、後者は封筒底部が前記ストッパー上方を適宜な距離だけ通過するまでその吸着面で封筒を摺動させた後、吸着解除を行うことを特徴とする郵便物の高速封入装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
封筒に封入物を封入する封入部に於いて、封入フィンガーのL字端部で封入物の後端部底面を確実に支持したまま、待機する封筒に封入するとともに、その封入動作を継続したまま封入後の封筒を前記封入部から搬出する構成にしたことによって、封筒への封入抵抗が軽減され、また一連的な連続動作であるため、封入サイクルを著しく短くすることが可能になった。因みに、封入物の先行端が封筒に入り始めてから後端部が入り終えるまでについて考察すると、封入が進むにつれて徐々に封入抵抗が加重されてくるものであるが、後端部が底面支持されているので、その終盤での軽減化は大きな差となって現れる。
【0008】
また、封入部に備えたストッパーは、封入済み封筒の搬出動作の影響を受けて、下にある封入前の封筒が位置ずれさせられることを防止し、また底部吸着パッドで最上の封筒底部を前記ストッパー上端より上方に吸着持上げして後、その封筒底部が該ストッパー上方を幾分かの距離だけ通過するまで吸着保持されるので、封入済み封筒の良好な搬出動作を確実化し、また待機中にある封筒の位置ズレを払拭することが出来る。換言すれば、封筒を入口吸着パッドと底部吸着パッドで宙刷りしたような状態下で、封入フィンガーのL字端部で封入物の後端部底面を支持したまま一挙に封入していく工法であるため、次から次へと進行する封入動作を極めて軽快に行うことが出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】乃本願装置の動作を時系列的に図示した説明図
【
図6】封入物の受渡しに関して時系列的に図示した説明図
【
図7】封入物の受渡しに関して時系列的に図示した説明図
【
図8】封入物の受渡しに関して時系列的に図示した説明図
【
図9】封入物の受渡しに関して時系列的に図示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施例>
以下、本願発明の実施例装置について詳細に説明する。
図1乃至
図5は、実施例装置が時系列的に動作していく様を図示したものである。そして
図5の次なる動作の後は、
図1の状態になり、丁合フィンガー22aが22b、封筒2aが2bという具合に、次の封入サイクルへと遷移しながら継続的に動作する。
【0011】
図中、11は丁合チェーンを指す。該チェーン11は回転軸14に嵌装されたチェーンスプロケット13で駆動され、丁合物1cが載置される個所にはトップカバー15が装備されている。即ち、7で指す搬送テーブルの上面から幾分か高い位置で、封入物1bならびに1cの中央部を下面から支持して搬送できるように構成されている。
【0012】
また、図中、12は丁合フィンガーを指している。この丁合フィンガー12は、所定のピッチ毎に前記した丁合チェーン11に取付けられ、図示は略したが、紙面右側の上流域で、何種類かの印刷物を1部ずつ次々と重ねるようにして丁合し、結果的に1cで指す封入物として次位の封入工程へ供給する。具体的に例示すると、ペラちらし,二つ折りチラシ、四つ折りチラシ、中綴じカタログなど任意の印刷物がワンセットにされ、必要に応じて宛名用紙なども丁合される。尚、この丁合フィンガー12は後述する受渡し部で役割を終えると、図示した通り、公知のフィンガー式搬送装置と同じようにチェーンピンを中心にして搬送方向後方(紙面右回り)に転回して戻り動作に移る。
【0013】
そして、その搬送方向下流側にあって、封入物1a乃至1cの上面側にも封入チェーン21が備えられている。図示した実施例では、該封入チェーン21は、回転軸24aに嵌装されたチェーンスプロケット23aと、回転軸24bに嵌装されたチェーンスプロケット23bとの間に張架され、所定間隔毎に丁合フィンガー22a乃至22eを備えている。尚、前記した丁合チェーン11と封入チェーン21は、同じ速度で走行すべく、前記回転軸14と24aまたは24bは機械的に関連付けられている。また、丁合フィンガー12の取付け間隔と、封入フィンガー22a乃至22eの取付け間隔は同じであり、係る条件下で次のような注目すべき動作を創出する。
【0014】
即ち、時系列的に図示した
図7乃至
図9から明らかなように、丁合フィンガー12から封入フィンガー22cに封入物1cを受渡しする受渡し部に於いて、搬送されてきた封入物1cに対して封入フィンガー22cが図示の如く作用し、その結果、封入フィンガー22cのL字端部で封入物11cの後端部をして底面支持するような受渡しが行われる。尚、受渡しを良好化するに、前記L字端部は概ね10乃至50mm、望ましくは20~35mm程度の長さで形成される。また、
図6は係る実施例装置の平面図を例示したものであるが、搬送方向に対する左右方向の搬送バランスを堅実に維持するために、前記封入フィンガー22cは少なくとも2個で対を成す構成にする。即ち、例えば、チェーン21を2本張架して、例示したようなL字形状を成す封入フィンガー22a乃至22eを配備する。また、封入フィンガー22a乃至22eの走行位置は、前記丁合チェーンまたは該チェーンの上面を覆うトップカバー15の走行ラインの両側に近い位置を走行するように構成するのが好ましい。そうすることで、封入物1cの概ね中央部位をして底面支持することで、該封入物1cのその余の部分は7で指す搬送テーブル上で支持され、結果的にその自重で後端中央部位を幾分か凸状に変形維持しつつ、次位の封入部へ搬入する。尚、L字端部の長さが長すぎると、丁合フィンガー12との受渡しに於いて、端部全長をして封入物の底面に係合しきれないことも生じるが、その後の搬送途上で、搬送テーブル7からの摩擦力がより深く底面支持するように作用する。
【0015】
次に、封筒に封入物を挿入する封入部について説明する。
図1は、封入フィンガー22aによって封入物1aが封筒2aに封入されて後、封入方向と同方向に継続する動作で搬出している状況を図示している。同時に、封入部の直前位置まで次の封入フィンガー22bをして封入物1bが搬送されてきており、そのために封入部では常道通りに配備される入口吸着パッド6がいったん下降した後、次の封筒2bの入口を開口すべく上昇動作に入っている。
【0016】
図2は、上記
図1の状態から遷移して、封入部に於いて、封筒2bの開口部へ封入物1bの先行端が幾分挿入された時点に至っている。尚、ここで注目すべきは封入部に在る封筒2bのフラップが下側に位置していることである。そして、そのフラップはフラップカバー8の下側に位置しており、フラップが封入の妨げにならないように構成されている。一方、前記した封入済みの封筒2aは、搬出コンベア3による搬送が封入フィンガー22aより勝り始める直前の状態である。
【0017】
図3は、前記搬出コンベア3が封入チェーン21より速度的に幾分か速く設定されているため、該搬出コンベア3の摩擦力で封入済み封筒2aが封入フィンガー22aから引き抜かれて搬出されている状態を図示している。そして、ここで注目すべきは、底部吸着パッド51が封筒2bの底部を吸着持上げしている点である。即ち、
図2から
図3に遷移する途中にあって、先行する封筒2aのフラップが底部吸着パッド51の下を通過した時点で、上の位置にあった底部吸着パッドの吸引を開始しながら下降して、次なる封筒2bの底部を吸着、そしてストッパー50の上端を超える上位置まで持上げている。また、次に封筒2bの入口吸着パッドに注目するに、該パッド2bは常道に従って具備するものであるので、封筒2bの開口状態を維持すべく上位置で吸着保持した状態にある。従って、封入物1bは、両方のパッドで宙吊りされた如き状態の封筒2b内に封入している。
【0018】
引き続いて、
図4で図示した状態に遷移する。即ち、封入物1bを封筒2b内に封入し終えた時点を図示している。尚、この時点で入口吸着パッド6の吸着保持を終えるのが原則的であることは言うまでもないが、応答遅れを考慮して、封入を終える直前乃至幾分か早めに、入口吸着パッド6内の負圧を解除すべく電気的あるいはメカ的に圧力制御する制御機構を備えるのが望ましい。しかし、簡素な手段として、斯様な圧力制御をせずに封入フィンガー22bで無理抜きするように構成することもあり、必要なら併用するべく構成することも可能である。いずれにしても、本願では、封筒22bに対して該封筒内に完全に没するまで挿入することに制限せず、実務的に大きな支障が生じない場合もあるので、例えば、まだ挿入されきっていない状態をして封入完了とすることもある。
【0019】
さて、次の遷移図である
図5について説明する。
ここで、底部吸着パッド51に注目するに、
図4の状態から本図の状態に遷移する間、吸着保持したままの
底部吸着パッド51の吸着面が、封筒2bの摺動を許容したことが理解できる。即ち、吸着保持しまま封筒2bが紙面左方に移動している。従って、封筒2bの底部先行端縁がストッパー50の上端の上方を左方に向けて通過している。具体的には10乃至100mm、好ましくは20乃至50mm程度、通過し終えたところで底部吸着パッド51の吸着を大気開放して、当該封筒2bの搬出動作を継続する。
【0020】
尚、底部吸着パッド51の特性として封筒2bとの摺動抵抗が小さい方が好ましい。例えば、
図10(a)に例示したように、その吸着面に摩擦係数の小さい樹脂シートを貼着して底部吸着パッド51を構成する。尚、図示した矢印は上下2位置間をして移動可能に構成することを示唆している。下位置はストッパー50の上端より下方に、上位置は上方に設定し、具体的には20mm程度のストロークを有するエアーシリンダーを利用して構成するのが至便である。また、上位置から下位置に移動して封筒底部を吸着し、継続して上位置に吸着持上げする作動タイミングについては
図2から
図3に至る間に動作させることは前記した通りである。
【0021】
次に
図10(b)に図示した底部吸着パッド51の実施例について説明する。図中、矢印は前記した通りであるが、本例の場合、53で指す吸着ダクトを具備していることが特徴的である。即ち、
底部吸着パッド51の吸着面で封筒2bを摺動させるのではなく、
底部吸着パッド51の近くに適度な下面面積を有する吸着ダクト53を付設して、その下面で吸着して摺動させんとするものである。従って、
底部吸着パッド51は下位置に下降して封筒2bを吸着持上げした時点で吸着解除し、代わりに多数の吸引孔(図示せず)を有するダクト53下面で吸着保持する。この場合、ダクト53内の吸引開始は
底部吸着パッドパッド51と同じで足り、吸引解除は
図5に関連して前述した通りである。尚、斯様に構成することも全体として本願で言う底部吸着パッドと称するものとする。
【0022】
引き続いて、(c)ならびに(d)で例示した実施例について説明する。
これらは、封筒2bとの摺動を避けて、代わりに底部吸着パッド51をして図面左方向ならびに戻りである右方向に移動することを許容するように構成したものである。前者は直線軌道、後者は円弧軌道で構成した例であり、封筒2bが左方に搬出されるのに追従して移動するようにし、また底部吸着パッド51の吸着を解除すれば元位置に戻るように構成する。尚、上下の矢印については、前記した通りである。尚、斯様に構成することも全体として本願で言う底部吸着パッドと称するものとする。
【0023】
さて、
図6に本実施例装置の平面図を図示しているが、前記入口吸着パッド6は常道に従って、封筒入口の2カ所または必要に応じてそれ以上の数を分散的に配置する。また、底部吸着パッド51は、概ね中央位置あるいは適度にずらせて1ケ所で足りるが、封入物の重量が増せば、実質的な吸着面積を勘案してダクト53の下面面積や
底部吸着パッド51の設置数を増やす。この場合、封筒の底部先行端縁から25乃至50mm程度フラップ寄りの位置が望ましいが、必要なら、複数を散在させるべく配置する。
尚、ストッパー50は直径5~15mm程度の丸パイプや丸棒で構成することができるが、必要なら本数を増加させたり、あるいは薄板金で壁形状にして面で制止するように構成する。
【0024】
ところで、
図5で図示した状態から次に遷移する先についてであるが、これは
図1に図示した状態に至ることは前記した通りである。即ち、
図5の状態で、封入部の上手にある受渡し部では、
図7乃至
図9に関連して説明した通り、丁合フィンガー12から封入フィンガー22cに、封入物1cの受渡し動作が行われ、その状態のまま
図1の状態に遷移する。即ち、上述した封入部での封入と、受渡し部での受渡しが、機械的に確実化されたタイミングで、以後、循環的にして継続的に行われる。
【0025】
次に、注目すべきは、封入部の下部に図示した封筒ストックの数についてである。因みに、
図2ならびに
図3では封入中の封筒を除いて1通、
図4ならびに
図5では2通の封筒ストックを図示している。即ち、この遷移の間に封入部の下部に到達するよう次なる封筒を供給する場合を例示している。要は、常に次の封筒を封入部の下部に供給することで装置の運用連続性を維持するように構成される。尚、この封筒ストック数に関しては、図示した実施例より1通少ない数で運用する場合もある。この場合は、原則的に言うなら、吸着パッド6が次の封筒を開口するために下降して吸着を開始するまでに、次の封筒を供給し終えれば足りるということである。勿論、図示した実施例、あるいはそれより多くの枚数ストックを確保するように構成することも可能である。この場合は概ね、常に不足分を補うように供給装置を稼働させる。例えば、
図5の状態下にある実施例装置の平面図的な説明図である
図6に於いて、図中、5はロール4に張架された供給ベルトを指しているが、該ベルト5上に公知の給紙装置等の手段(図示省略)によって、斯様な供給アルゴリズムに基づいて継続的に一枚ずつ給紙して供給していく。
【0026】
以上の通り、本発明に係る郵便物の高速封入装置は、フラップを下にした封筒への封入方式に於いて、封入工程の初期段階では、入口吸着パッド6のみでの封筒保持であるが、中盤以降は、底部吸着パッド51も発動されて、結果的に両者で封筒を宙吊りしたような形態で保持することになり、そこへ封入フィンガーのL字端部で封入物の後端部底面を支持したまま一挙に封入完了し、そのまま同方向へ搬出してしまう工法であるため、次から次へと進行する封入動作が極めて軽快にして高速で行うことが出来るようになり、その処理能力の高さは特筆すべきものである。
【符号の説明】
【0027】
1a,1b,1c,1d・・・封入物
2,2a,2b・・・封筒
3・・・搬出コンベア
4・・・ロール
5・・・供給ベルト
6・・・入口吸着パッド
7・・・搬送テーブル
8・・・フラップカバー
11・・・丁合チェーン
12・・・丁合フィンガー
13・・・チェーンスプロケット
14・・・回転軸
15・・・トップカバー
16・・・封入チェーン
22a,22b,22c,22d,22e・・・封入フィンガー
23a,23b・・・チェーンスプロケット
24a,24b・・・回転軸
50・・・ストッパー
51・・・底部吸着パッド
52・・・樹脂シート
53・・・吸着ダクト