(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】投影角度調整装置、投影装置及び投影角度調整方法
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20220802BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20220802BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20220802BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
G03B21/14 E
G03B21/00 D
H04N5/64 581E
H04N5/64 501D
H04N5/74 E
(21)【出願番号】P 2018163435
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】302069930
【氏名又は名称】NECエンベデッドプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】洲崎 洋之
(72)【発明者】
【氏名】大木 誠
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-209161(JP,A)
【文献】特開2002-339948(JP,A)
【文献】特開2007-108548(JP,A)
【文献】特開2005-181634(JP,A)
【文献】米国特許第04552419(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00-21/10
21/12-21/30
21/56-21/64
33/00-33/16
H04N 5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を投影する投影機本体と、取付対象となる取付面に連結されかつ前記投影機本体を支持する支持部との間に介在される投影角度調整装置であって、
前記投影機本体と一体に設けられた第1球面部と、
前記支持部と一体に設けられかつ前記第1球面部に対してスライド可能に設けられた第2球面部と、
前記支持部を挟んで前記投影機本体の反対側に位置する挟持
部材と一体に設けられて、前記第1球面部との間に前記第2球面部を挟み込む第3球面部と、
前記挟持部材に接触可能に設けられて前記第2球面部に対する前記第1球面部のスライドを規制するストッパ部材と、
前記ストッパ部材を前記挟持部材に向けて押圧又は離間するように操作する操作部材と、を有する投影角度調整装置。
【請求項2】
前記支持部の取付対象となる取付面は天井面であることを特徴とする請求項1に記載の投影角度調整装置。
【請求項3】
前記第1~第3球面部は互いに並行となる位置関係にありかつ同一の曲率で形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の投影角度調整装置。
【請求項4】
前記第1~第3球面部は上側に向けて湾曲することを請求項1~3のいずれか1項に記載の投影角度調整装置。
【請求項5】
前記第3球面部は、前記第1及び第2球面部の設置範囲内の一部に形成されることを請求項1~4のいずれか1項に記載の投影角度調整装置。
【請求項6】
前記ストッパ部材は、リング状に形成されかつ内面が前記挟持部材の表面に接触するストッパゴムを有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の投影角度調整装置。
【請求項7】
前記ストッパ部材の本体は弾性変形可能な板ばねにより形成されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の投影角度調整装置。
【請求項8】
前記ストッパ部材の本体は前記支持部に設けられた支持軸に回転自在に軸支され、
前記ストッパ部材の本体一端側に前記挟持部材の表面に接触
するストッパゴムが設置され、前記ストッパ部材の本体他端側に前記操作部材が設置されることを特徴とする請求項6または7のいずれか1項に記載の投影角度調整装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の投影角度調整装置が投影機本体の支持部に設けられることを特徴とする投影装置。
【請求項10】
画像を投影する投影機本体と、取付対象となる取付面に連結されかつ前記投影機本体を支持する支持部との間に介在される投影角度調整装置において、
前記投影機本体と一体な第1球面部に対して前記支持部と一体な第2球面部をスライド可能に位置させる段階と、
前記支持部を挟んで前記投影機本体の反対側に挟持部材を位置させることに
より、該挟持部材と一体の第3球面部と前記第1球面部との間に前記第2球面部を挟み込む段階と、
前記挟持部材の表面に対してストッパ部材を押圧又は離間することにより、第1球面部と第2球面部との接触圧力を調整して、前記支持部に対する前記投影機本体の回転又は移動を許容又は規制する段階と、を有することを特徴とする投影角度調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影画面の位置ずれを修正することが容易な投影角度調整装置、投影装置及び投影角度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機に用いられる投影装置に関連する技術として、短い距離で画像を投影可能な天井取付式短焦点プロジェクターがある。
このようなプロジェクターは、遊技機に内蔵される液晶ディスプレイの代替えとして、プロジェクションマッピングなどの画面表示を壁面に対して行うことができる。
【0003】
この種のプロジェクターとして、特許文献1に示される画像表示装置が知られている。
この画像表示装置では、画像を表示する投影レンズを有する投影部と、投影部を支持する支持機構とを具備している。
支持機構は、投影部に固定された丸カップ状の摺動支持部材と、該摺動支持部材の外側を摺動可能に支持する球状凹面を上面に有する台座と、該台座の球状凹面内に貼られたシートと、摺動支持部材を摩擦シートに対して押圧する固定部材とを有している。
【0004】
そして、上記画像表示装置では、固定部材を介して、球状凹面内の摩擦シートに対する摺動支持部材への押圧力を弱くした場合に、摺動支持部材と摩擦シートとの摩擦力が低下して投影部の角度が調節可能になり、一方、球状凹面内の摩擦シートに対する摺動支持部材への押圧力を強くした場合に、摩擦力が増加して投影部の角度が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に示される画像表示装置では、台座の上面に形成された球状の球状凹面内に、摩擦シートを介して、投影部が搭載される丸カップ状の摺動支持部材が回転自在に設けられる構成である。
このため、上記画像表示装置では、台座の上面に形成された球状凹面内に、投影部を有する摺動支持部材が載置された縦型構造となり、天井取付式とすることができない。
具体的には、上記画像表示装置では、投影部が搭載される摺動支持部材を、台座内に収容された固定部材で支持する構成であるので、天井取付式とした場合に、固定部材を補強するなどの対策が別途必要となり、構成が複雑化するという問題がある。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、投影部からの投影角度を容易かつ確実に調整することができ、かつ天井、壁面などの取付面への取付にも自在に対応することができる投影角度調整装置、投影装置及び投影角度調整方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1態様は、画像を投影する投影機本体と、取付対象となる取付面に連結されかつ前記投影機本体を支持する支持部との間に介在される投影角度調整装置であって、前記投影機本体と一体に設けられた第1球面部と、前記支持部と一体に設けられかつ前記第1球面部に対してスライド可能に設けられた第2球面部と、前記支持部を挟んで前記投影機本体の反対側に位置する挟持部材3と一体に設けられて、前記第1球面部との間に前記第2球面部を挟み込む第3球面部と、前記挟持部材に接触可能に設けられて前記第2球面部に対する前記第1球面部のスライドを規制するストッパ部材と、前記ストッパ部材を前記挟持部材に向けて押圧又は離間するように操作する操作部材と、をすることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2態様は、画像を投影する投影機本体と、取付対象となる取付面に連結されかつ前記投影機本体を支持する支持部との間に介在される投影角度調整装置に適用される投影角度調整方法であって、前記投影機本体と一体な第1球面部に対して前記支持部と一体な第2球面部をスライド可能に位置させる段階と、前記支持部を挟んで前記投影機本体の反対側に挟持部材を位置させる段階と、前記挟持部材の表面に対してストッパ部材を押圧又は離間することにより、第1球面部と第2球面部との接触圧力を調整して、前記支持部に対する前記投影機本体の回転又は移動を許容又は規制する段階と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成により、投影機本体からの投影角度を容易かつ確実に調整及び位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る投影角度調整装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る投影角度調整装置の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の最小構成について、
図1を参照して説明する。
本発明に係る投影角度調整装置100は、画像を投影する投影機本体1と、取付対象となる取付面Mに連結されかつ投影機本体1を支持する支持部2との間に介在される。
【0013】
投影機本体1には第1球面部Q1が一体に設けられている。
支持部2には、第1球面部Q1に対してスライド可能な第2球面部Q2が一体に設けられている。
支持部2を挟んで投影機本体1の反対側には挟持部材3が配置されている。
この挟持部材3には、第1球面部Q1との間に第2球面部Q2を挟み込む第3球面部Q3が一体に設けられている。
【0014】
挟持部材3には、第2球面部Q2に対する第1球面部Q1のスライドを規制するストッパ部材4が接触可能に設けられている。
また、この挟持部材3には、ストッパ部材4を挟持部材3に向けて押圧する又は離間するように操作される操作部材5が設けられている。
【0015】
そして、以上のように構成された投影角度調整装置100では、取付対象となる取付面Mに連結された支持部2を介して投影機本体1が支持される。
この支持部2には、投影機本体1と一体な第1球面部Q1に対して相対的にスライド可能な第2球面部Q2が設けられている。すなわち、投影機本体1は第1球面部Q1及び第2球面部Q2を介して支持部2に対してスライドすることにより、予め定められた角度で回転及び移動可能となる。
【0016】
一方、支持部2を挟んで投影機本体1の反対側に位置する挟持部材3には、投影機本体1の第1球面部Q1と、支持部2の第2球面部Q2との接触圧を調整するための第3球面部Q3が一体に設けられている。
【0017】
また、第3球面部Q3を有する挟持部材3には、第2球面部Q2に対する第1球面部Q1のスライドを規制するストッパ部材4が接触可能に設けられ、さらにストッパ部材4を挟持部材3に向けて押圧又は離間するように操作する操作部材5が設けられている。
これにより、ストッパ部材4が挟持部材3の表面から離間する位置となるように操作部材5を操作した場合に、投影機本体1と一体な第1球面部Q1と、支持部2と一体な第2球面部Q2との押圧状態が解除され、支持部2に対する投影機本体1の回転又は移動を自在に行うことができる。
【0018】
一方、操作部材5を操作することにより、挟持部材3をストッパ部材4に対して押下した場合には、ストッパ部材4及び挟持部材3と一体な第3球面部Q3を順次介して、支持部2と一体な第2球面部Q2が、投影機本体1と一体な第1球面部Q1に対して密着され、投影機本体1の支持部2に対する回転又は移動が規制される。
【0019】
すなわち、本発明の投影角度調整装置100では、作業者が操作部材5を操作することにより、ストッパ部材4、挟持部材3及び該挟持部材3と一体な第3球面部Q3を順次介して、投影機本体1と一体な第1球面部Q1が、支持部2と一体な第2球面部Q2に対して回転又は移動することを適宜、設定可能となる。
従って、本発明の投影角度調整装置100では、取付対象となる取付面Mに連結された支持部2に、第1球面部Q1~第3球面部Q3、ストッパ部材4及び操作部材5という簡易な構成を設けるだけで、投影機本体1からの投影角度を容易かつ確実に調整及び位置決めすることができ、かつ天井、壁面などの取付面Mへの取付にも自在に対応することができる。
さらに、本発明の投影角度調整装置100は簡易な構成であるので、小型化にも容易に対応することができる。
【0020】
なお、本発明の投影角度調整装置100では、投影機本体1と一体な第1球面部Q1に対して支持部2と一体な第2球面部Q2をスライド可能に位置させる段階と、支持部2を挟んで投影機本体1の反対側に挟持部材3を位置させる段階と、挟持部材3の表面に対してストッパ部材4を押圧又は離間することにより、第1球面部Q1と第2球面部Q2との接触圧力を調整して、支持部2に対する投影機本体1の回転/移動を許容又は規制する段階と、からなる投影角度調整方法が採用されている。
【0021】
(実施形態)
本発明の実施形態に係る構成について、
図2~
図4を参照して説明する。
本発明に係る投影角度調整装置101は、画像を投影する投影機本体11と、取付対象となる取付面M1に連結されかつ投影機本体11を支持する支持部12との間に介在される。
また、この投影角度調整装置101は、支持部12の前側(図中右側)に位置し、支持部の後側(図中左側)に投影画像を鑑賞する鑑賞者が位置する。
また、本発明に係る投影角度調整装置101は、投影機本体11及び該投影機本体11を支持する支持部12を含むことで、投影装置200を構成する。
【0022】
投影機本体11は、
図2及び
図3に示されるように内部に設けられた投影装置(図示略)から出力された画像が矢印Pで示す方向に照射される。
また、この投影機本体11の筐体となるケーシング20には、図中上方に突出する第1球面部Q11を有する本体ケースドーム部21が一体に設けられている。
本体ケースドーム部21上の第1球面部Q11は、図中、矢印B1-B2方向(この方向は紙面に示される横方向の他、紙面と交差/直交する方向も含む)に沿う球状に形成されている。
【0023】
支持部12は、投影機本体11を支える部材であって、天井となる取付面M1に固定ねじ22により固定されている。
また、この支持部12には、ドーム形状に形成された対向モールド23が設けられている。この対向モールド23は、
図3及び
図4に詳細に示されるように、第1球面部Q11に対してスライド可能な第2球面部Q12を内側に一体に有する形状であって、その中央部には、図中上下方向(矢印A1-A2方向)に貫通した貫通穴24が形成されている。
なお、対向モールド23上の第2球面部Q12は、本体ケースドーム部21上の第1球面部Q11と同様、矢印B1-B2方向に沿う球状に形成されている。また、対向モールド23に形成された貫通孔24は、本体ケースドーム部21上の可動域(符号bで示す)に基づきその大きさが設定される。
【0024】
支持部12の対向モールド23を挟んで投影機本体11の反対側には挟持部材13が配置されている。
この挟持部材13は、第1球面部Q11との間に第2球面部Q12を挟み込むための第3球面部Q3が内側に一体に設けられたドーム状の剣山型プレート30からなる。
第3球面部Q13は、剣山型プレート30上の内側表面に一体に形成されたものであって、本体ケースドーム部21上の第1球面部Q11及び対向モールド23上の第2球面部Q12と同様、矢印B1-B2方向に沿う球状に形成されている。
【0025】
なお、本例では、第1球面部Q11~第3球面部Q13が互いに並行となる位置関係にありかつ同一の曲率で形成されている。
また、挟持部材13の外側表面は、ストッパ部材14の滑りを防止するために微細な凹凸面31を有している。
【0026】
剣山型プレート30の中央部には、対向モールド23の貫通孔24を貫通して、投影機本体11の本体ケースドーム部21に至る連結ねじ32が設置されている。
この連結ねじ32は、投影機本体11の本体ケースドーム部21の中央に形成された雌ねじ部33に若干の遊びをもって螺合されている。
【0027】
剣山型プレート30の図中上部には外側表面の凹凸面31に接触されるストッパ部材14が設けられている。
ストッパ部材14の本体は弾性変形可能な板ばね40により形成されたものであって、その中間部は、支持部12に設置された支持軸41により矢印C1-C2方向に回転自在に軸支されている。
ストッパ部材14の板ばね40一端には剣山型プレート30の凹凸面31に接触するストッパゴム42が設置され、また、板ばね40他端には、該ストッパ部材14を操作する操作部材15が設置されている。
【0028】
ストッパゴム42は、リング状に形成されかつ内面が剣山型プレート30の凹凸面31に接触可能に設けられるものであって、リング状の内部空間に、前述した連結ねじ32が配置される。
また、このストッパゴム42は、板ばね40の端部にリング状に形成された保持部材40Aにより、該板ばね40に連結されている。
【0029】
操作部材15は、支持部12に螺合される締込ねじ50により構成されるものであって、締込ねじ50を締結する又は緩めることで、支持軸41を中心として板ばね40を矢印C1-C2方向に回動できる。
具体的には、操作部材15の締込ねじ50を緩めて、支持軸41を中心として矢印C1方向に板ばね40を回転させた場合には、板ばね40先端のストッパゴム42が挟持部材13の剣山型プレート30から離間する位置となる。これにより、剣山型プレート30の第3球面部Q13が支持部12の対向モールド23を上方から押える力が弱まる。
【0030】
一方、操作部材15の締込ねじ50を締めて、支持軸41を中心として矢印C2方向に板ばね40を回転させた場合には、板ばね40先端のストッパゴム42が挟持部材13の剣山型プレート30を上方から押圧する位置となる。これにより、剣山型プレート30の第3球面部Q13が支持部12の対向モールド23を上方から押える力が強まる。
【0031】
そして、以上のように構成された投影角度調整装置101では、取付対象となる取付面M1に連結された支持部12を介して投影機本体11が支持される。
この支持部12には、投影機本体11と一体な第1球面部Q11に対してスライド可能な第2球面部Q12が設けられている。すなわち、投影機本体11は第1球面部Q11及び第2球面部Q12を介して支持部12に対して矢印B1-B2方向にスライドすることにより、予め定められた角度で回転及び移動可能となる。
【0032】
一方、支持部12を挟んで投影機本体11の反対側に位置する挟持部材13には、投影機本体11の第1球面部Q11と、支持部12の第2球面部Q12との接触圧を調整するための第3球面部Q13が一体に設けられている。
【0033】
また、第3球面部Q13を有する挟持部材13には、第2球面部Q12に対する第1球面部Q11のスライドを規制するストッパ部材14が接触可能に設けられ、さらにストッパ部材14のストッパゴム42を挟持部材13に向けて押圧又は離間するように操作する操作部材15が設けられている。
そして、このような構成により、操作部材15の締込ねじ50を緩めて、支持軸41を中心として矢印C1方向に板ばね40を回転させた場合には、板ばね40先端のストッパゴム42が挟持部材13の剣山型プレート30から離間する位置となる。これにより、剣山型プレート30内側の第3球面部Q13が支持部12の対向モールド23を上方から押える力が弱まる。その結果、投影機本体11と一体な第1球面部Q11と、支持部12と一体な第2球面部Q12との押圧状態が解除され、支持部12に対する投影機本体11の回転(すなわち、xyz軸で示される三次元空間での回転)又は矢印B1-B2方向への移動を自在に行わせることができる。
【0034】
一方、操作部材15の締込ねじ50を締めて、支持軸41を中心として矢印C2方向に板ばね40を回転させた場合には、板ばね40先端のストッパゴム42が挟持部材13の剣山型プレート30を上方から押圧する位置となる。これにより、剣山型プレート30内側の第3球面部Q13が支持部12の対向モールド23を上方から押える力が強まる。その結果、支持部12と一体な第2球面部Q12が、投影機本体11と一体な第1球面部Q11に対して密着され、支持部12に対する投影機本体11の回転又は矢印B1-B2方向移動を規制する。
【0035】
すなわち、本実施形態の投影角度調整装置101では、作業者が操作部材15の締込ねじ50を操作することにより、ストッパ部材14、挟持部材13及び該挟持部材13と一体な第3球面部Q13を順次介して、投影機本体11と一体な第1球面部Q11が、支持部12と一体な第2球面部Q12に対して回転又は移動することを適宜、設定可能とする。
従って、本実施形態の投影角度調整装置101では、取付対象となる取付面M1に連結された支持部12に、第1球面部Q11~第3球面部Q13、ストッパ部材14及び操作部材15という簡易な構成を設けるだけで、投影機本体11からの投影角度を容易かつ確実に調整及び位置決めすることができ、かつ天井、壁面などの取付面M1への取付にも自在に対応することができる。
さらに、本実施形態の投影角度調整装置101は簡易な構成であるので、小型化にも容易に対応することができる。
【0036】
また、本実施形態の投影角度調整装置101は、支持部12の前側(図中右側)に位置し、支持部の後側(図中左側)に投影画像を鑑賞する鑑賞者が位置する構成であるので、投影機本体11のケーシング20の前側(図中右側)に操作部材15の締込ねじ50を位置させることができる。そして、このような投影機本体11のケーシング20の存在により、操作部材15の締込ねじ50が、鑑賞者から見えない箇所に位置することになり、外観が損なわれることを防止できる効果がある。
【0037】
なお、上記実施形態は以下のように変形しても良い。
(変形例1)
上記実施形態では、投影機本体11の筐体となるケーシング20に、図中上方に突出する凸状の第1球面部Q11を設け、これに対応して対向モールド23に凹状の第2球面部Q12を配置し、かつ剣山型プレート30にも凹状の第3球面部Q13を配置した。
しかし、これに限定されず、図中下方に向けて凹状の第1球面部Q11を設け、これに対応して対向モールド23及び剣山型プレート30に、凸状の第2球面部Q12及び第3球面部Q13をそれぞれ配置しても良い。
【0038】
(変形例2)
上記実施形態では、第1球面部Q11~第3球面部Q13の曲率を同じ/ほぼ同じに設定しているが、これに限定されず、互いに嵌合する構成が保たれるのであれば、各曲率を段階的に変化させるようにしても良い。
また、第1球面部Q11~第3球面部Q13の大きさ/重なり範囲を上側になる程、小さくなるように設定しているが、これら第1球面部Q11~第3球面部Q13の大きさ/重なり範囲は適宜設定可能である。
すなわち、凹曲面の曲率半径が凸曲面の曲率半径より大きければ、凹曲面の内側で凸曲面を支持することができ、その曲率半径の差が小さければ小さいほど位置決め精度および位置決め安定性を向上させることができる。
【0039】
(変形例3)
上記実施形態では、支持部12の対向モールド23に、投影機本体11の可動域(符号bで示す)を決定する貫通孔24が設けられているが、その貫通孔24の大きさは、投影機本体11が支持部12に対して矢印B1-B2方向に移動する角度に基づき適宜設定される。すなわち、
図4に示される投影機本体11の可動域bは、図面より小さい範囲であっても良いし、第1球面部Q11及び第2球面部Q12が接触される範囲の全域に亘って形成しても良い。
【0040】
(変形例4)
上記実施形態では、支持部12の取付対象となる取付面M1を天井面としたが、これに限定されず、垂直な壁面であっても良いし、水平な床面であっても良い。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、天井取付式短焦点プロジェクター等に適用されて、投影画面の位置ずれを容易に修正可能な投影角度調整装置、投影装置及び投影角度調整方法に関する。
【符号の説明】
【0043】
1 投影機本体
2 支持部
3 挟持部材
4 ストッパ部材
5 操作部材
11 投影機本体
12 支持部
13 挟持部材
14 ストッパ部材
15 操作部材
20 ケーシング
21 本体ケースドーム部
23 対向モールド
30 剣山型プレート
40 板ばね
41 支持軸
42 ストッパゴム
50 締込ねじ
100 投影角度調整装置
101 投影角度調整装置
M 取付面
M1 取付面
Q1 第1球面部
Q2 第2球面部
Q3 第3球面部
Q11 第1球面部
Q12 第2球面部
Q13 第3球面部