(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】取付補助部材、それを構成するためのシート、及びそれらを用いた取付補助部材セット
(51)【国際特許分類】
H02G 3/02 20060101AFI20220802BHJP
F21V 21/00 20060101ALI20220802BHJP
F21V 21/03 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H02G3/02
F21V21/00 130
F21V21/03 301
(21)【出願番号】P 2018189961
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】上路 啓倫
(72)【発明者】
【氏名】小倉 智雄
【審査官】和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-045587(JP,A)
【文献】特開2008-034106(JP,A)
【文献】特開平05-054708(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0065798(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/02
F21V 21/00
F21V 21/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線器具に器具を取り付ける際に補助する取付補助部材であって、
前記配線器具を収容可能な開口部を有する係合部と、
前記開口部を囲むとともに前記配線器具の前面部に対向する前記器具の上面部と略同一形状であって、前記器具の取付位置を案内する指標を有するガイド部と、
前記配線器具に取り付けるための前記器具の取付方向を案内する指標を有する方向ガイド部と、
を備えたことを特徴とする取付補助部材。
【請求項2】
前記係合部、前記ガイド部及び前記方向ガイド部が同一の平面部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の取付補助部材。
【請求項3】
さらに前記配線器具の前面部が、前記係合部、前記ガイド部及び前記方向ガイド部が設けられた前記平面部と面一となることを特徴とする請求項2記載の取付補助部材。
【請求項4】
前記取付補助部材の外周部の一部には前記開口部に連通する切欠きが設けられ、前記外周部の他部には前記取付補助部材を取外すための把持部が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の取付補助部材。
【請求項5】
前記ガイド部及び前記方向ガイド部に設けられた指標が平面上のマークであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の取付補助部材。
【請求項6】
前記ガイド部に設けられた指標が少なくとも前記器具の上面部の外周部の一部を包囲する凸状構造であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の取付補助部材。
【請求項7】
前記方向ガイド部に設けられた指標が前記切欠きと同一方向であることを特徴とする請求項
4記載の取付補助部材。
【請求項8】
前記方向ガイド部に設けられた指標が前記切欠きを兼ねることを特徴とする請求項7記載の取付補助部材。
【請求項9】
請求項1から
3のいずれか一項に記載の取付補助部材を構成するためのシートであって、
複数のパネルを含む1枚のシート材から形成され、
前記複数のパネルは、それぞれ、開口部を有し、
前記開口部は、前記シート材を折曲げることにより、前記係合部を形成可能であり、
前記複数のパネルのうちの少なくとも1つは、前記ガイド部を有し、
前記複数のパネルのうちの少なくとも1つは、前記方向ガイド部を有する、
ことを特徴とする配線器具に取り付ける器具の取付補助部材用シート。
【請求項10】
請求項1から
3のいずれか一項に記載の取付補助部材を構成するための部品を含むことを特徴とする取付補助部材セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付補助部材、それを構成するためのシート、及びそれらを用いた取付補助部材セットに関し、詳しくは、照明器具取付用のアダプタ、照明器具等を配線器具に取り付ける際に補助する取付補助部材、それを構成するためのシート、及びそれらを用いた取付補助部材セットに関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具の取付けにおいて、天井等に設置された引掛シーリング等の配線器具に、照明器具取付用のアダプタを取り付け、このアダプタに、照明器具本体を接続する方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
一方、取り付ける際に照明装置の影で引掛刃及び引掛刃嵌入孔が見えないような場合に照明装置の取付けを容易にするための取付補助シートが提案されている(特許文献2)。特許文献2の取付補助シートは、被取付部材の一対の印加仮刃嵌入孔に一対の引掛刃を挿入させて照明装置を被取付部材へ取り付ける際に補助する取付補助シートであって、被取付部材が設置された設置面に取り付け可能な本体を備え、本体は補助するためのマークを有し、マークは、一対の引掛刃嵌入孔への挿入位置を結ぶ仮想線上であって、被取付部材に取り付けられた状態の照明装置を挟んだ外側に位置する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び2の取付器具は、配線器具にアダプタや照明器具を取り付ける際、位置合わせがしにくく、取り付けにくいという問題があった。このような問題は、配線器具に、直接、照明器具を取り付ける際も、同様である。
【0007】
そこで、本発明は、配線器具にアダプタ等を取り付ける際の、位置合わせを容易にすることが可能な取付補助部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の取付補助部材は、配線器具に器具を取り付ける際に補助する取付補助部材であって、前記配線器具を収容可能な開口部を有する係合部と、前記開口部を囲むとともに前記配線器具の前面部に対向する前記器具の上面部と略同一形状であって、前記器具の取付位置を案内する指標を有するガイド部と、前記配線器具に取り付けるための前記器具の取付方向を案内する指標を有する方向ガイド部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配線器具にアダプタ等を取り付ける際の、位置合わせを容易にすることが可能な取付補助部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(A)は、本発明の取付補助部材の構成の一例(実施形態1)を示す斜視図であり、(B)は、本発明の取付補助部材を、角型の引掛シーリング100に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】(A)及び(B)は、それぞれ、本発明の取付補助部材の構成の一例(実施形態1)を示す斜視図である。
【
図3】本発明の取付補助部材の構成の一例(実施形態1)を示す斜視図である。
【
図4】本発明の取付補助部材の構成の一例(実施形態1)を示す斜視図である。
【
図5】(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、本発明の取付補助部材の構成の別の例(実施形態2)を示す斜視図である。
【
図6】本発明の取付補助部材の構成のさらに別の例(実施形態3)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、
図1から
図7を用いて説明する。なお、本発明は、下記の実施形態によって何ら限定及び制限されない。なお、
図1から
図7において、同一部分には、同一符号を付している。各実施形態における説明は、それぞれ、互いを援用できる。
【0012】
本発明において、配線器具である「引掛シーリング」は、「引掛シーリングローゼット」ともいい、照明器具への電力供給、及び前記照明器具の重量を支える支持器具の役割を兼ねる。引掛シーリングは、日本国においては、JIS(Japanese Industrial Standards)規格によって、「JIS C8310」として規定されている。引掛シーリングは、例えば、角型引掛シーリング、及び丸型引掛シーリング等があげられる。なお、後述する実施形態において、前記配線器具が、角型引掛シーリングである場合を例にあげて説明するが、本発明は、これには制限されない。前記配線器具の設置面は、例えば、天井、壁、及び照明用レール等があげられる。
【0013】
本発明において、前記配線器具に取り付ける器具は、特に制限されず、例えば、照明器具取付用のアダプタ、及び照明器具があげられる。
【0014】
(実施形態1)
図1(A)は、本発明の取付補助部材の構成の一例を示す斜視図で、
図1(B)は、本発明の取付補助部材を、角型の引掛シーリング100に取り付けた状態を示す斜視図である。
図1(A)に示すように、取付補助部材1は、開口部を有する係合部20と、ガイド部30と、方向ガイド部40とを有する。そして、係合部20、ガイド部30及び方向ガイド部40は、同一の平面部50に設けられている。ただし、本発明は、これには制限されない。また、
図1(B)に示すように、取付補助部材1は、係合部20において引掛シーリング100と係合し、これにより、引掛シーリング100の周囲に配置できる。
【0015】
取付補助部材1は、後述する係合部20と、ガイド部30と、方向ガイド部40を有すればよく、その形状は、特に制限されない。ここで、取付補助部材1の形成材料としては、例えば、ダンボール、厚紙、紙等のシート材、ウレタン及びメラミン等の樹脂、並びにポリカーボネート及びPBT等の成型品、アルミ板やバネ鋼板等の金属材料等があげられる。前記材料が前記金属材料の場合、例えば、前記金属材料を折り曲げることにより、取付補助部材1を形成できる。前記材料としては、例えば、重さ、価格、及び、後述するように、係合部20の圧縮により取付補助部材1を引掛シーリング100に固着可能にする等の観点から、ダンボール、及びメラミン等が好ましい。また、後述するように、取付補助部材1が、切欠き60を有する場合、引掛シーリング100への器具200の取付け後、取付補助部材1を取外すことができる。この場合、例えば、器具200の使用時に発する熱等の影響を考慮する必要がない。このため、取付補助部材1の形成材料として、可燃性の材料を使用できる。一方、前記取付け後、取付補助部材1を取外さない場合、前記形成材料は、難燃性の材料であることが好ましい。
【0016】
係合部20は、引掛シーリング100を収容可能な開口部を有し、これにより、引掛シーリング100と係合可能であればよく、その形状等は、特に制限されない。係合部20は、例えば、
図1(A)及び(B)に示すように、引掛シーリング100の形状の全部に対応する形状を有してもよいし、後述するように、引掛シーリング100の形状の一部に対応する形状を有してもよい。
【0017】
係合部20は、例えば、係合部20と引掛シーリング100とが係合した状態において、取付補助部材1の平面方向(引掛シーリング100の前記設置面に平行な方向)における位置及び回転方向が、一意に定まるように構成されることが好ましい。具体的には、例えば、角型や耳付き形状の引掛シーリング100の前記形状に対応する形状を有してもよいし、視覚的な表示により、引掛シーリング100との係合部位を表示してもよい。前記係合部位の表示は、例えば、引掛シーリング100の形状の表示でもよいし、引掛シーリング100の構造の表示でもよい。
【0018】
図1(B)に示すように、取付補助部材1を引掛シーリング100の設置面に設置した場合における、係合部20の前記設置面からの高さは、特に制限されず、例えば、取付補助部材1の形成材料等により適宜設定できる。前記高さは、例えば、引掛シーリング100の前記設置面からの高さと等しい高さとすることができる。すなわち、本実施形態において、引掛シーリング100の前面部が、係合部20、ガイド部30及び方向ガイド部40が設けられた平面部50と面一となる。前記等しい高さ(面一)は、完全に等しくなくてもよく、例えば、取付補助部材1の材質が柔らかいものである場合等において、器具200を取り付けることによる取付補助部材1の圧縮により、等しい高さとなってもよい。ただし、これには制限されず、係合部20の前記高さは、例えば、引掛シーリング100の前記高さよりも所定の範囲だけ低くてもよい。前記所定の範囲は、例えば、引掛シーリング100に取り付ける器具200の給電爪の長さよりも短い範囲である。これにより、器具200の取付けの際、前記給電爪が、引掛シーリング100の外側に引っ掛かりにくくすることができる。
【0019】
取付補助部材1は、例えば、引掛シーリング100に固着可能であるように形成される。これにより、前記設置面が天井等である場合も、取付け後における取付補助部材1の落下を防止できる。係合部20を前記固着可能であるように形成する方法は、特に制限されず、例えば、取付補助部材1が、引掛シーリング100に係合するための係合片を有してもよいし、粘着剤等の層を設けてもよい。係合部20は、例えば、その圧縮により、前記固着可能であるように形成されてもよい。この場合、係合部20の形状は、例えば、取付補助部材1の形成材料等により適宜設定でき、具体的には、例えば、引掛シーリング100の形状と同じ形状、及び、取付補助部材1の材質が柔らかいものである場合等において、引掛シーリング100の形状よりも所定の大きさだけ径を小さくした形状等に設定できる。また、この場合、係合部20の形成材料は、例えば、前述の通りである。係合部20が、その圧縮により、前記固着可能であることにより、例えば、引掛シーリング100に取付補助部材1を取付け及び取外しやすい。
【0020】
ガイド部30は、前記開口部を囲むとともに引掛シーリング100の前面部に対向する器具200の上面部と略同一形状であって、引掛シーリング100への器具200の取付位置を案内する指標を有する。前記取付位置は、例えば、前記平面方向(
図1(A)及び(B)における、手前-奥行方向、及び左右方向)の取付位置である。ガイド部30を有することより、例えば、使用者は、器具200の取付けにおいて、ガイド部30の指標を参考にして、器具200の位置合わせをすることができる。また、ガイド部30の前記指標が、器具200の上面部と略同一形状であることにより、例えば、取付け時に、使用者から見て器具200の陰になる部分と前記陰にならない部分との境界を示すことができるため、前記位置合わせをしやすくできる。
【0021】
本実施形態において、ガイド部30の前記指標は、視覚的な表示である。前記視覚的な表示は、例えば、マークによる表示、並びに色分け等による領域の表示があげられる。前記マークは、特に制限されず、例えば、線である。なお、後述するように、ガイド部30の前記指標は、その立体形状によるものでもよい。
【0022】
図1(A)及び(B)、並びに
図2(A)及び(B)は、ガイド部30の前記指標が、線による表示である場合の一例を示す図である。使用者は、
図2(A)及び(B)に示すように、例えば、器具200の前記上面部の形状とガイド部30の前記表示とを一致させるようにして、器具200を取り付けることができる。なお、
図2(A)及び(B)において、器具200がアダプタである場合を例示しているが、これには制限されない。
【0023】
ガイド部30の前記指標は、
図2(A)に示すように、器具200の上面部の形状の全部に対応する表示でもよいし、
図2(B)に示すように、器具200の上面部の形状の一部に対応する表示でもよい。後者の場合、
図2(B)に示すように、例えば、3つのガイド部30を設けることで、前記取付位置を示すことができる。
【0024】
方向ガイド部40は、引掛シーリング100に取り付けるための器具200の取付方向を案内する指標を有する。前記取付方向は、例えば、引掛シーリング100に器具200を嵌合させる際の、前記平面方向における器具200の回転方向である。方向ガイド部40を有することにより、例えば、使用者は、器具200の取付けにおいて、方向ガイド部40の指標を参考にして、器具200の回転方向の位置合わせをすることができる。
【0025】
本実施形態において、方向ガイド部40の前記指標は、視覚的な表示である。前記視覚的な表示は、例えば、マークによる表示、並びに色分け等による領域の表示があげられる。前記マークは、特に制限されず、例えば、線、図、文字、及び記号等である。前記表示は、具体的には、例えば、器具200の形状を示してもよいし、器具200の特徴的な構造を示してもよいし、引掛シーリング100の取付方向(長手方向、及び刃受部の配置方向等)を示してもよいし、予め、器具200において方向ガイド部40に対応させるための印をつけてもよい。前記特徴的な構造は、例えば、器具200における光照射面側の構造でもよいし、引掛シーリング100の前記設置面(天井)側の構造でもよい。器具200がアダプタの場合、前記光照射面側の構造は、例えば、照明器具本体固定用爪、ロック解除レバー、ロック解除ボタン、アダプタスライド用つまみ、給電コネクタ、及びカバー取付ねじ等があげられ、前記設置面側の構造は、例えば、給電爪等があげられる。前記アダプタの前記特徴的な構造は、例えば、特開2007-227323号公報の記載を参照できる。なお、
図2(A)及び(B)において、前記ロック解除ボタン以外の構造の図示を省略している。方向ガイド部40の前記指標が、前記設置面側の構造を示す場合、及び引掛シーリング100の前記取付方向を示す場合、例えば、取付補助部材1の取付け前に、使用者が、前記給電爪等に合わせて、器具200の前記光照射面側にシール等により印をつけ、前記印と方向ガイド部40との方向を合わせるように取付けを行うようにしてもよい。なお、後述するように、方向ガイド部40の前記指標は、その立体形状によるものでもよい。
【0026】
方向ガイド部40の前記指標は、例えば、引掛シーリング100の一対の刃受部の中心点を端とし、器具200に含まれる前記特徴的な構造等の取付位置を通る、前記平面方向における半直線状の仮想線上に設けることができる。前記指標は、例えば、前記仮想線上であってガイド部30よりも外側に設けることができる。
【0027】
図1(A)及び(B)、並びに
図2(A)及び(B)は、方向ガイド部40の前記指標が、アダプタである器具200における前記ロック解除ボタン(図中の斜線部分)の配置されたくぼみの位置を示す線による表示である場合の一例を示す図である。使用者は、例えば、器具200の前記くぼみの位置と方向ガイド部40の前記表示の位置とを一致させるようにして、器具200を取付けできる。
【0028】
ガイド部30と方向ガイド部40とは、
図1(A)及び(B)、並びに
図2(A)及び(B)に示すように、別個に形成されてもよいし、1つの構成が、ガイド部30と方向ガイド部40とを兼ねてもよい。
図3に、平面部50における器具200の形状を示す領域が、ガイド部30と方向ガイド部40とを兼ねる一例を示す。
図3において、器具200は、くぼみを有する形状をしている。そして、図中、斜線で示す領域が、ガイド部30と方向ガイド部40とを兼ねており、ガイド部30として、器具200の前記形状に対応する平面形状を有することにより前記取付位置を示し、方向ガイド部40として、器具200の前記くぼみに対応する平面形状を有することにより前記取付方向を示している。なお、
図3において、器具200が照明装置の部分構造である場合を例示している。このように、器具200が照明器具である場合、器具200は、例えば、前記照明器具の全体構造でもよいし、前記照明器具の部分構造でもよい。
【0029】
平面部50は、例えば、取付補助部材1における、係合部20を含む面である。平面部50は、例えば、器具200の取付けにおいて、器具200を前記平面方向に回転させる際、器具200の引掛りが生じないようにする観点から、少なくとも器具200と面する領域において、平面であることが好ましい。ただし、これには制限されない。
【0030】
取付補助部材1は、外周部の一部において、例えば、
図4に示すように、前記開口部に連通する切欠き(切込みともいう。)60を有してもよい。これにより、例えば、取付補助部材1を取付け及び取外しやすくすることができる。切欠き60の形状等は、特に制限されない。切欠き60の幅は、例えば、
図4に示すように、引掛シーリング100の幅より狭い幅でもよいし、後述するように、引掛シーリング100の幅以上でもよい。前者の場合、例えば、取付補助部材1の取付け及び取外しにおいて、例えば、使用者の手で切欠き60を広げてもよいし、取付補助部材1の取外しにおいて、使用者が、切欠き60を有する方向とは反対方向に取付補助部材1を引張ることで、切欠き60が広がるようにしてもよい。
【0031】
取付補助部材1は、外周部の他部において、例えば、
図4に示すように、さらに、取付補助部材1を取外すための把持部70を有してもよい。把持部70の形状は、使用者が取付補助部材1を把持しやすければよく、特に制限されない。把持部70の形状は、例えば、
図4に示すように、本体部分から張り出した形状でもよいし、開口部及び凹部等でもよい。把持部70は、例えば、器具200の取付後、把持部70が器具200の本体よりも平面方向において外側に位置するように形成されることが好ましい。これにより、器具200の取付け後においても、作業者が把持部70を掴みやすいため、取付補助部材1を取外す際の作業性を向上できる。
【0032】
取付補助部材1が、切欠き60を有する場合、把持部70は、例えば、
図4に示すように、係合部20を挟んで、切欠き60の設けられた側とは反対側に設けられる。これにより、例えば、取付補助部材1を取外す際、使用者が、把持部70を把持して、取付補助部材1を切欠き60の設けられた側とは反対側に引っ張ることで、取付補助部材1を取外しやすくなる。
【0033】
把持部70は、例えば、
図4に示すように、取付補助部材1を引掛シーリング100の前記設置面に設置した状態において、前記設置面から離間している。これにより、例えば、使用者が前記離間した部分に指を挿入でき、把持しやすくなる。
【0034】
取付補助部材1は、例えば、さらに、使用者への注意書を有してもよい。前記注意書は、例えば、設置面側(天井側)及び光照射面側の表示、取付手順、並びに取付補助部材1が切欠き60を有する場合における、取外手順等の表示があげられる。
【0035】
(実施形態2)
本実施形態の取付補助部材1は、
図5(A)、(B)及び(C)に示すように、ガイド部30及び方向ガイド部40の前記指標が、その立体形状によるものである以外は、実施形態1と同様である。本実施形態の取付補助部材1によっても、実施形態1と同様に、例えば、使用者は、器具200の取付けにおいて、ガイド部30及び方向ガイド部40の指標を参考にして、器具200の位置合わせ及び回転方向の位置合わせをすることができる。さらに、本実施形態の取付補助部材1によれば、例えば、視覚だけではなく、手の感覚によっても、前記指標を参考にすることができる。
【0036】
ガイド部30及び方向ガイド部40の前記指標が、その立体形状によるものである場合、前記形状は、特に制限されず、例えば、凸状構造等があげられる。
【0037】
図5(A)は、ガイド部30に設けられた前記指標が、器具200の上面部の外周部の一部を包囲する溝状の凸状構造(以下、溝状構造ともいう。)である場合を示す一例である。ガイド部30の前記指標が、前記構造であることにより、例えば、使用者は、器具200の取付けにおいて、器具200をガイド部30の前記溝状構造に嵌めるようにして、器具200の位置合わせをすることができる。
【0038】
ガイド部30の前記指標が、前記溝状構造である場合、例えば、前記溝状構造の厚みは、特に制限されず、例えば、取付補助部材1の形成材料等により適宜設定できる。前記厚みは、例えば、器具200の給電爪の長さより大きく、且つ、器具200の厚みよりも小さい厚みに設定できる。これにより、例えば、取付け時に、器具200がガイド部30の前記溝状構造から外れて嵌めにくくなることを防止でき、且つ、器具200の回転、及び引掛シーリング100への嵌合において、使用者の指を器具200に配置可能な隙間を確保できる。また、例えば、取付け後に、器具200にさらに照明器具等を取り付ける場合に、ガイド部30の厚みが、前記取付けを妨げることを防止できる。
【0039】
図5(B)及び(C)は、ガイド部30に設けられた前記指標が、器具200の上面部の一部に対向する凸状構造である場合を示す一例である。なお、
図5(C)において、点線は、仮想線であり、器具200の取付位置を示す。ガイド部30が、前記構造であることにより、例えば、使用者は、器具200の取付けにおいて、ガイド部30と器具200の端部とを合わせるようにして、器具200の位置合わせをすることができる。
【0040】
なお、本実施形態の取付補助部材1は、
図5(A)、(B)及び(C)に示すように、切欠き60を有しており、方向ガイド部40に設けられた前記指標が、切欠き60と同一方向である。そして、切欠き60が、方向ガイド部40を兼ねる。切欠き60が、方向ガイド部40を兼ねることにより、例えば、取付補助部材1の構成をシンプルにすることができる。
【0041】
(実施形態3)
本実施形態の取付補助部材1は、
図6に示すように、ダンボールを重ねて形成されている。また、係合部20において、引掛シーリング100との係合部位が、線により示されている。これらの点以外は、実施形態1及び2と同様である。
【0042】
取付補助部材1は、例えば、複数枚(
図6の場合、3枚)のダンボール80a、80b、80cを重ねて形成してもよいし、1枚のダンボールを折曲げて形成してもよい。
【0043】
取付補助部材1を、1枚のダンボールを折曲げて形成する場合、取付補助部材1は、例えば、ダンボール80a、80b、80cに対応する複数(
図6の場合、3枚)のパネルを含む、1枚のダンボールから形成されるシートを用いて、構成できる。前記シートにおいて、例えば、前記複数のパネルは、それぞれ、開口部を有し、前記開口部は、前記シート材を折曲げることにより、係合部20を形成可能であり、前記複数のパネルのうちの少なくとも1つは、ガイド部30を有し、前記複数のパネルのうちの少なくとも1つは、方向ガイド部40を有する。
【0044】
前記複数のパネルの数は、特に制限されない。前記パネルの数は、例えば、係合部20、及びガイド部30等の、所望の前記設置面からの高さ、及び厚み等に基づき、適宜設定できる。
【0045】
つぎに、
図7に、本実施形態の取付補助部材1が、前記使用者への注意書を有する場合の一例を示す。
図7に示すように、取付補助部材1は、前記光照射面(すなわち、器具200の取付け時における、使用者が視認可能な面)側である平面部50において、前記注意書として、前記取付手順、「こちらが器具(器具200)側です。」、「器具(器具200)取付後、このガイド(取付補助部材1)は必ず抜き取って下さい」が表示されている。そして、前記取付手順として、「(1)角型ローゼット(引掛シーリング100)に下の穴(係合部20)を合わせて取り付けてください。」、「(2)この円(ガイド部30)内に器具(器具200)を配置してください。」、「(3)器具(器具200)を回転」、「(4)引き抜く」が表示され、前記(3)及び(4)において、さらに、器具200の回転方向、及び把持部70により取付補助部材1を引き抜く方向を示す矢印が表示されている。なお、図示していないが、前記設置面側には、例えば、「こちらが天井(前記設置面)側です。」と表示されている。
【0046】
(実施形態4)
本実施形態の取付補助部材セットは、前記各実施形態の取付補助部材1を構成するための部品を含む。消費者は、例えば、前記部品を組合せて、取付補助部材1を構成できる。
【0047】
前記取付補助部材セットに含まれる前記部品は、特に制限されず、前記取付補助部材セットは、例えば、ガイド部30を有する第1の部品と、係合部20及び方向ガイド部40とを有する第2の部品とを含んでもよいし、係合部20及びガイド部30を有する第1の部品と、方向ガイド部40を有する第2の部品とを含んでもよいし、係合部20を有する第1の部品と、ガイド部30及び方向ガイド部40を有する第2の部品とを含んでもよいし、係合部20を有する第1の部品と、ガイド部30を有する第2の部品と、方向ガイド部40を有する第3の部品とを含んでもよい。
【0048】
(実施形態5)
本実施形態の器具の取付セットは、前記実施形態1から3の取付補助部材1又は前記実施形態4の取付補助部材セット、並びに器具200を含む。
【0049】
前記取付セットにおいて、例えば、取付補助部材1のガイド部30及び方向ガイド部40の前記指標は、それぞれ、前記取付セットに含まれる器具200に対応する指標である。
【0050】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、引掛シーリングにアダプタ等を取り付ける際の、位置合わせを容易にすることができる。これにより、例えば、取付け時において給電爪が引掛シーリングに引っ掛りにくくなり、前記引掛りによる引掛シーリングの破損等を防止できる。
【0052】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載しうるが、以下には限定されない。
(付記1)
配線器具に器具を取り付ける際に補助する取付補助部材であって、
前記配線器具を収容可能な開口部を有する係合部と、
前記開口部を囲むとともに前記配線器具の前面部に対向する前記器具の上面部と略同一形状であって、前記器具の取付位置を案内する指標を有するガイド部と、
前記配線器具に取り付けるための前記器具の取付方向を案内する指標を有する方向ガイド部と、
を備えたことを特徴とする取付補助部材。
(付記2)
前記係合部、前記ガイド部及び前記方向ガイド部が同一の平面部に設けられていることを特徴とする付記1記載の取付補助部材。
(付記3)
さらに前記配線器具の前面部が、前記係合部、前記ガイド部及び前記方向ガイド部が設けられた前記平面部と面一となることを特徴とする付記2記載の取付補助部材。
(付記4)
前記取付補助部材の外周部の一部には前記開口部に連通する切欠きが設けられ、前記外周部の他部には前記取付補助部材を取外すための把持部が設けられていることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の取付補助部材。
(付記5)
前記ガイド部及び前記方向ガイド部に設けられた指標が平面上のマークであることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の取付補助部材。
(付記6)
前記ガイド部に設けられた指標が少なくとも前記器具の上面部の外周部の一部を包囲する凸状構造であることを特徴とする付記1から5のいずれかに記載の取付補助部材。
(付記7)
前記方向ガイド部に設けられた指標が前記切欠きと同一方向であることを特徴とする付記4から6のいずれかに記載の取付補助部材。
(付記8)
前記方向ガイド部に設けられた指標が前記切欠きを兼ねることを特徴とする付記7記載の取付補助部材。
(付記9)
付記1から8のいずれかに記載の取付補助部材を構成するためのシートであって、
複数のパネルを含む1枚のシート材から形成され、
前記複数のパネルは、それぞれ、開口部を有し、
前記開口部は、前記シート材を折曲げることにより、前記係合部を形成可能であり、
前記複数のパネルのうちの少なくとも1つは、前記ガイド部を有し、
前記複数のパネルのうちの少なくとも1つは、前記方向ガイド部を有する、
ことを特徴とする配線器具に取り付ける器具の取付補助部材用シート。
(付記10)
付記1から9のいずれかに記載の取付補助部材を構成するための部品を含むことを特徴とする取付補助部材セット。
(付記11)
前記ガイド部を有する第1の部品と、前記係合部及び前記方向ガイド部とを有する第2の部品とを含むことを特徴とする付記10記載の取付補助部材セット。
(付記12)
付記1から9のいずれかに記載の取付補助部材、又は付記10若しくは11に記載の取付補助部材セット、並びに前記器具を含む、器具の取付セット。
【符号の説明】
【0053】
1 取付補助部材
20 係合部
30 ガイド部
40 方向ガイド部
50 平面部
60 切欠き
70 把持部
100 配線器具(引掛シーリング)
200 器具