(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】掻痒の処置のためのGABAA受容体モジュレーターの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/437 20060101AFI20220802BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20220802BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220802BHJP
A61K 31/5025 20060101ALI20220802BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
A61K31/437
A61P17/04
A61P43/00 111
A61K31/5025
A61K31/53
(21)【出願番号】P 2018539149
(86)(22)【出願日】2017-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2017051866
(87)【国際公開番号】W WO2017129801
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2020-01-24
(32)【優先日】2016-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2016-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503148096
【氏名又は名称】ウニヴェルズィテート・ツューリヒ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ツァイルホーファー,ハンス・ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ラルヴェニウス,ウィリアム
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-514206(JP,A)
【文献】国際公開第2006/061428(WO,A2)
【文献】特表2002-514169(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0331394(US,A1)
【文献】CHEN LONG,JOURNAL OF PAIN,2015年11月11日,VOL:17, NR:2,PAGE(S):181 - 189
【文献】DE LUCAS A GARCIA,BIOCHEMICAL PHARMACOLOGY,2014年12月25日,VOL:93, NR:3,PAGE(S):370 - 379
【文献】KOHUT S J,PHARMACOLOGY BIOCHEMISTRY AND BEHAVIOR,2008年,VOL:90, NR:1,PAGE(S):65 - 73
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掻痒の処置において使用するための、化合物を含む医薬組成物であって、該化合物が、
【化1】
からなる群から選択され、掻痒が抗ヒスタミン剤で処置できない、医薬組成物。
【請求項2】
掻痒が、腎臓疾患、肝臓疾患、またはオピオイドによる処置に伴う、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
化合物が、
【化2】
である、
請求項1に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α2およびα3GABAA受容体の陽性アロステリックモジュレーターの掻痒の処置のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
掻痒(ラテン語でpruritus)は、掻爬欲求を誘発する皮膚の不快な感覚である。掻痒の強度は、軽度、中等度または重度であり得、睡眠障害、不快感および過敏症または一般的ストレスの増加をもたらす。一般的な掻痒の症状は、様々な異なる理由と関連している可能性がある。掻痒は、ヒスタミン、プロスタグランジン、プロテアーゼ、サイトカイン、神経ペプチド、特にサブスタンスP、および胆汁酸塩などの多くの化学物質によって引き起こされ得る、または増強され得る。いくつかの物質は、自由神経終末に直接作用し、他の物質は、肥満細胞または他の細胞を介して間接的に作用する。掻痒感を増強すると考えられる要因には、表皮および真皮の乾燥、組織の無酸素症、毛細血管の拡張、掻痒性刺激、原発性皮膚疾患および精神障害が含まれる。
【0003】
掻痒感は末梢神経から脊髄後角を経て脳に伝達される。しかしながら、脳への掻痒信号の伝達に関与する神経線維に存在する阻害性受容体は、原因とは無関係に掻痒感を緩和する有望な薬物標的ではあるが、十分に研究されていない。掻痒のほとんどの症例は、H1抗ヒスタミン剤で処置され、掻痒の原因がヒスタミンに関するものであれば確実に機能する。ヒスタミン非依存性掻痒の一般的な原因には、アトピー性皮膚炎、腎臓または肝臓疾患およびオピオイドによる処置が含まれるが、これらに限定されない。掻痒に対して使用される他の薬物は、コルチコステロイド、ガバペンチノイド、オピオイド受容体アンタゴニスト、カプサイシンおよび局所麻酔薬であり、これらは局所投与のためのみであるか、または全身的に使用される場合に望ましくない副作用を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底にある課題は、掻痒の処置、特に抗ヒスタミン剤で処置できない掻痒の場合のための代替的手段を提供することである。この課題は、独立請求項の内容によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によると、掻痒の処置に使用するための化合物であって、
【化1】
特に式(1a)および(1b)、より特定的には(1a)が提供され、
- X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5は互いに独立して-C、-N、-Sまたは-Oであり、X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5のうち少なくとも2つは-Nであり、
- Y
1およびY
2は互いに独立して-Cまたは-Nであり、
- R
1
mのmは1であり、
- R
1は置換または非置換C
6アリールまたは-(C=O)-R
3であり、R
3は置換または非置換C
6ヘテロアリールであり、
- R
2
nのnは1または2であり、
- 各R
2は他のR
2から独立して置換または非置換C
3~C
8シクロアルキル、置換または非置換C
1~C
6アルキル、置換または非置換C
1~C
6アルコール、置換または非置換C
6ヘテロアリール、ハロゲン、特に-F、または-O-CH
2-R
4であり、R
4は置換または非置換C
4ヘテロアリールであり、
- Z
1、Z
2、Z
3、Z
4およびZ
5は互いに独立して-C、-N、-Sまたは-Oであり、
- A
1、A
2およびA
3は互いに独立して-C、-Nまたは-(C=O)-O-R
7であり、R
7はアルキルであり、
- R
5
lのlは1または2であり、
- 各R
5は互いに独立してC
1~C
4アルキニルまたはハロゲン、特に-Clであり、
- R
6
kのkは1、2、3または4、特に1または2であり、
- 各R
6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、酸素または水素である。
【0006】
本明細書の文脈におけるC1~C6アルキルは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの炭素原子を有する飽和直鎖または分枝炭化水素を意味し、1つの炭素-炭素結合は不飽和であってもよく、1つのCH2部分は酸素と交換されていてもよい(エーテルブリッジ)。C1~C4アルキルの非限定的な例は、メチル、エチル、プロピル、プロプ-2-エニル、n-ブチル、2-メチルプロピル、tert-ブチル、ブト-3-エニル、プロプ-2-イニルおよびブト-3-イニルである。
【0007】
本明細書の文脈におけるアリールという用語は、環状芳香族C5~C10炭化水素を指す。アリールの例には、フェニル、ナフチルおよびヘテロアリールが含まれるが、これらに限定されない。本発明の文脈におけるヘテロアリールは、1つまたは数個の窒素、酸素および/または硫黄原子を含むアリールである。ヘテロアリールの例には、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピリミジン、チアジン、キノリン、ベンゾフランおよびインドールが含まれるが、これらに制限されない。本発明の文脈におけるアリールまたはヘテロアリールは、さらに、1つ以上のアルキル基によって置換されていてもよい。
【0008】
本明細書で使用する「アリール」という用語は、環状構造(以下、「芳香族炭化水素」と称する)を形成する炭素原子間に交互に二重結合および一重結合を有する炭化水素を指す。「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの炭素原子が酸素、窒素または硫黄原子で置換されているアリール化合物を指す。この芳香族炭化水素は、中性であっても荷電していてもよい。アリールまたはヘテロアリール基の例は、ベンゼン、ピリジン、ピロールまたはシクロペンタ-1,3-ジエン-アニオンである。本明細書で使用するアリールまたはヘテロアリール基は、任意選択的にさらなる置換基を含み得る。
【0009】
本明細書において、アロステリックモジュレーターという用語は、生化学および薬理学の分野で知られているその意味で使用され、これは受容体におけるアゴニストの効果を間接的に調節する物質を指す。陽性のアロステリックモジュレーターはアゴニストの効果の増幅を誘導し、アゴニストの非存在下ではそれ自体は効果を有しない。アロステリックモジュレーターは、アゴニストの結合部位とは異なる部位に結合する(アロステリック)。
【0010】
本明細書において、GABA受容体という用語は、生化学の分野で知られているその意味で使用され、阻害性神経伝達物質γ-アミノ酪酸(GABA)の受容体を指す。2つの主要タイプのGABA受容体が知られており、GABAA受容体(イオンチャネル型受容体)は、リガンド依存性イオンチャネルであり、GABAB受容体は、代謝調節型受容体としても知られており、Gタンパク質共役受容体である。GABAA受容体は、中枢神経系において最も一般的で最も重要な阻害性受容体である。GABAA受容体は、α1-6、β1-3、γ1-3、δ、ε、π、θおよびρ1-3の8つのクラスにグループ分けされた5つのサブユニットを含む。大部分のGABA受容体は、2つのα、2つのβおよび1つのγサブユニットを含む。異なるタイプのサブユニットは、GABAA受容体に異なる特性を付与する。α1サブユニットは、他の機能の中でも、ベンゾジアゼピンの鎮静作用の要因であり、α2サブユニットは、受容体の抗不安作用に関連し、α3サブユニットはGABAA受容体の筋弛緩特性を付与する。
【0011】
ある実施形態において、一般式(1a)を含む化合物が提供され、式中、X1、X2、X3、X4およびX5は互いに独立して-C、-N、-Sまたは-Oであり、X1、X2、X3、X4およびX5のうち少なくとも2つは-Nであり、Y1およびY2は互いに独立して-Cまたは-Nであり、R1
mのmは1であり、R1は置換または非置換C6アリールまたは-(C=O)-R3であり、R3は置換または非置換C6ヘテロアリールであり、R2
nのnは1または2であり、各R2は他のR2から独立して置換または非置換C3~C8シクロアルキル、置換または非置換C1~C6アルキル、置換または非置換C1~C6アルコール、置換または非置換C6ヘテロアリール、ハロゲン、特に-F、または-O-CH2-R4であり、R4は置換または非置換C4ヘテロアリールである。
【0012】
ある実施形態において、一般式(1b)を含む化合物が提供され、式中、Z3、Z4およびZ5は互いに独立して-C、-N、-Sまたは-Oであり、A1、A2およびA3は互いに独立して-C、-Nまたは-(C=O)-O-R7であり、R7はアルキルであり、R5
lのlは1または2であり、各R5は互いに独立してC1~C4アルキニルまたはハロゲン、特に-Clであり、R6
kのkは1、2、3または4、特に1または2であり、各R6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C1~C3アルキル、酸素または水素である。
【0013】
ある実施形態において、一般式(1c)を含む化合物が提供され、式中、Z1、Z2、Z3、Z4およびZ5は互いに独立して-C、-N、-Sまたは-Oであり、R5
lのlは1または2であり、各R5は互いに独立してC1~C4アルキニルまたはハロゲン、特に-Clであり、R6
kのkは1、2、3または4、特に1または2であり、各R6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C1~C3アルキル、酸素または水素である。
【0014】
ある実施形態において、化合物は、陽性アロステリックα2および/またはα3GABAA受容体モジュレーターである。
【0015】
ある実施形態において、掻痒の処置に使用するための化合物は、一般式(1a)、一般式(1b)または一般式(1c)を含み、式中、X1、X2、X3、X4およびX5は互いに独立して-C、-Nであり、X1、X2、X3、X4およびX5のうち少なくとも2つは-Nであり、Y1およびY2は互いに独立して-Cまたは-Nであり、R1
mのmは1であり、R1は置換または非置換C6アリールまたは-(C=O)-R3であり、R3は置換または非置換C6ヘテロアリールであり、R2
nのnは1または2であり、各R2は他のR2から独立して置換または非置換C3~C8シクロアルキル、置換または非置換C1~C6アルキル、置換または非置換C1~C6アルコール、置換または非置換C6ヘテロアリール、ハロゲン、特に-F、または-O-CH2-R4であり、R4は置換または非置換C4ヘテロアリールであり、Z1、Z2、Z3、Z4およびZ5は互いに独立して-C、-Nまたは-Oであり、A1、A2およびA3は互いに独立して-C、-Nまたは-(C=O)-O-R7であり、R7はアルキルであり、R5
lのlは1または2であり、各R5は互いに独立してC1~C4アルキニルまたはハロゲン、特に-Clであり、R6
kのkは1、2、3または4、各R6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C1~C3アルキル、酸素または水素である。
【0016】
ある実施形態において、一般式(1a)を含む化合物が提供され、式中、X1、X2、X3、X4およびX5は互いに独立して-Cまたは-Nであり、X1、X2、X3、X4およびX5のうち少なくとも2つは-Nであり、Y1およびY2は互いに独立して-Cまたは-Nであり、R1
mのmは1であり、R1は置換または非置換C6アリールまたは-(C=O)-R3であり、R3は置換または非置換C6ヘテロアリールであり、R2
nのnは1または2であり、各R2は他のR2から独立して置換または非置換C3~C8シクロアルキル、置換または非置換C1~C6アルキル、置換または非置換C1~C6アルコール、置換または非置換C6ヘテロアリール、ハロゲン、特に-F、または-O-CH2-R4であり、R4は置換または非置換C4ヘテロアリールである。
【0017】
ある実施形態において、一般式(1b)を含む化合物が提供され、式中、Z3、Z4およびZ5は互いに独立して-Cまたは-Nであり、A1、A2およびA3は互いに独立して-C、-Nまたは-(C=O)-O-R7であり、R7はアルキルであり、R5
lのlは1または2であり、各R5は互いに独立してC1~C4アルキニルまたはハロゲン、特に-Clであり、R6
kのkは1、2、3または4、特に1または2であり、各R6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C1~C3アルキル、酸素または水素である。
【0018】
ある実施形態において、一般式(1c)を含む化合物が提供され、式中、Z1、Z2、Z3、Z4およびZ5は互いに独立して-C、-Nまたは-Oであり、R5
lのlは1または2であり、各R5は互いに独立してC1~C4アルキニルまたはハロゲン、特に-Clであり、R6
kのkは1、2、3または4、特に1または2であり、各R6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C1~C3アルキル、酸素または水素である。
【0019】
ある実施形態において、化合物は、一般式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)または(7)を含み、
【化2】
Y
1、Y
2、Z
1、Z
4、Z
5、R
1
mのm、R
1、R
3、R
2
nのn、R
2、R
4、R
5
lのl、R
5、R
6
kのk、R
6、A
1、A
2およびA
3は上記定義と同じ意味を有する。
【0020】
ある実施形態において、化合物は、一般式(2)、(3)、(4)または(5)を含み、Y1、Y2、R1
mのm、R1、R3、R2
nのn、R2およびR4は上記定義と同じ意味を有する。
【0021】
ある実施形態において、化合物は、一般式(6)を含み、Z1、Z4、Z5、R5
lのl、R5、R6
kのkおよびR6は上記定義と同じ意味を有する。
【0022】
ある実施形態において、化合物は、一般式(7)を含み、Z4、Z5、R5
lのl、R5、R6
kのk、R6、A1、A2およびA3は上記定義と同じ意味を有する。
【0023】
ある実施形態において、化合物は、一般式(2a)、(3a)、(4a)、(5a)、(5b)、(6a)、(6b)または(7a)を含み、
【化3】
R
1
mのm、R
1、R
3、R
2
nのn、R
2、R
4、R
5
lのl、R
5、R
6
kのk、およびR
6は上記定義と同じ意味を有する。
【0024】
ある実施形態において、化合物は、一般式(2a)、(3a)、(4a)、(5a)または(5b)を含み、R1
mのm、R1、R3、R2
nのn、R2およびR4は上記定義と同じ意味を有する。
【0025】
ある実施形態において、化合物は、一般式(6a)または(6b)を含み、R5
lのlのm、R5、R6
kのkおよびR6は上記定義と同じ意味を有する。
【0026】
ある実施形態において、化合物は、一般式(7a)を含み、R5
lのlのm、R5、R6
kのkおよびR6は上記定義と同じ意味を有する。
【0027】
ある実施形態において、化合物は、一般式1a、1b、1c、2、3、4、5、6、7、2a、3a、4a、5a、5b、6a、6bまたは7aを含み、式中、R1のmは1であり、R1は非置換フェニル、置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換フェニル、非置換ビフェニル、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、もしくは置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニル、またはR3がピリジンである-(C=O)-R3であり、R5のlは1であり、R5はCl、Br、FまたはC2アルキニルである。
【0028】
ある実施形態において、化合物は、一般式1a、2、3、4、5、2a、3a、4a、5aまたは5bを含み、式中、R1のmは1であり、R1は非置換フェニル、置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換フェニル、非置換ビフェニル、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、もしくは置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニル、または-(C=O)-R3であってR3がピリジンである。
【0029】
ある実施形態において、化合物は、一般式1b、7または7aを含み、式中、R5のlは1であり、R5はCl、Br、FまたはC2アルキニルである。
【0030】
ある実施形態において、化合物は、一般式1c、6、6aまたは6bを含み、式中、R5のlは1であり、R5はCl、Br、FまたはC2アルキニルである。
【0031】
ある実施形態において、化合物は、一般式1a、1b、1c、2、3、4、5、6、7、2a、3a、4a、5s、5b、6a、6bまたは7aを含み、式中、R2のnは1または2であり、nが2である場合、各R2は互いに独立して非置換C3~C8シクロアルキル、特にC4-シクロアルキル、非置換C1~C6アルキル、特にtert-ブチル、または-O-CH2-R4であってR4が置換または非置換C4ヘテロアリール、特にR4が置換または非置換トリアゾール、非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコール、ハロゲン、特に-Fであり、nが1である場合、R2は非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコール、非置換C6ヘテロアリール、特にピリジンであり、R6のkは1または4であり、kが1である場合、R6は置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、kが4である場合、各R6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換C1~C3アルキル、酸素または水素である。
【0032】
ある実施形態において、化合物は、一般式1a、1b、1c、2、3、4、5、6、7、2a、3a、4a、5a、5b、6a、6bまたは7aを含み、式中、R2のnは1または2であり、nが2である場合、各R2は互いに独立して非置換C3~C8シクロアルキル、特にC4-シクロアルキル、非置換C1~C6アルキル、特にtert-ブチル、または-O-CH2-R4であってR4が置換または非置換C4ヘテロアリール、特にR4が置換または非置換トリアゾール、非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコール、ハロゲン、特に-Fであり、nが1である場合、R2は非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコール、非置換C6ヘテロアリール、特にピリジンであり、R6のkは1または4であり、kが1である場合、R6は置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、kが4である場合、各R6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換C1~C3アルキル、酸素または水素である。
【0033】
ある実施形態において、化合物は、一般式1a、2、3、4、5、2a、3a、4a、5aまたは5bを含み、式中、R2のnは1または2であり、nが2である場合、各R2は互いに独立して非置換C3~C8シクロアルキル、特にC4-シクロアルキル、非置換C1~C6アルキル、特にtert-ブチル、または-O-CH2-R4であってR4が置換または非置換C4ヘテロアリール、特にR4が置換または非置換トリアゾール、非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコール、ハロゲン、特に-Fであり、nが1である場合、R2は非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコール、非置換C6ヘテロアリール、特にピリジンである。
【0034】
ある実施形態において、化合物は、一般式1b、7または7aを含み、式中、R6のkは1または4であり、kが1である場合、R6は置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、kが4である場合、各R6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換C1~C3アルキル、酸素または水素である。
【0035】
ある実施形態において、化合物は、一般式1c、6、6aまたは6bを含み、式中、R6のkは1または4であり、kが1である場合、R6は置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、kが4である場合、各R6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換C1~C3アルキル、酸素または水素である。
【0036】
ある実施形態において、化合物は、一般式1a、1b、1c、2、3、4、5、6、7、2a、3a、4a、5s、5b、6a、6bまたは7aを含み、式中、R2のnは2であり、1つのR2は非置換C3~C8シクロアルキル、特にC4-シクロアルキル、もしくは非置換C1~C6アルキル、特にtert-ブチルであり、他のR2はO-CH2-R4であってR4が置換または非置換C4ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾールであり、または1つのR2は非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコールであり、他のR2はハロゲン、特に-Fであり、R6のkは4であり、2つのR6は酸素であり、他のR6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換C1~C3アルキルまたは水素である。
【0037】
ある実施形態において、化合物は、一般式1a、2、3、4、5、2a、3a、4a、5sまたは5bを含み、式中、R2のnは2であり、1つのR2は非置換C3~C8シクロアルキル、特にC4-シクロアルキル、もしくは非置換C1~C6アルキル、特にtert-ブチルであり、他のR2はO-CH2-R4であってR4が置換または非置換C4ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾールであり、または1つのR2は非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコールであり、他のR2はハロゲン、特に-Fである。
【0038】
ある実施形態において、化合物は、一般式1b、7または7aを含み、式中、R6のkは4であり、2つのR6は酸素であり、他のR6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換C1~C3アルキルまたは水素である。
【0039】
ある実施形態において、化合物は、一般式1c、6、6aまたは6bを含み、式中、R6のkは4であり、2つのR6は酸素であり、他のR6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換C1~C3アルキルまたは水素である。
【0040】
ある実施形態において、化合物は、一般式(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)、(5b’)、(6a’)、(6b’)または(7a’)を含み、
【化4】
R
1、R
3、R
2
nのn、R
2、R
4、R
5、R
6
kのk、およびR
6は上記定義と同じ意味を有する。
【0041】
ある実施形態において、化合物は、一般式(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)または(5b’)を含み、R1、R3、R2
nのn、R2およびR4は上記定義と同じ意味を有する。
【0042】
ある実施形態において、化合物は、一般式(6a’)または(6b’)を含み、R6
kのkおよびR6は上記定義と同じ意味を有する。
【0043】
ある実施形態において、化合物は、一般式(7a’)を含み、R6
kのkおよびR6は上記定義と同じ意味を有する。
【0044】
ある実施形態において、化合物は、一般式(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)、(5b’)、(6a’)、(6b’)または(7a’)を含み、式中、R1は、式(2a’)の場合、置換または非置換C6アリール、特に非置換フェニル、置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換フェニルであり、式(3a’)、(5a’)または(5b’)の場合、置換または非置換ビフェニル、特に非置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニル、または式(4a’)の場合、-(C=O)-R3であり、R3は置換または非置換C6ヘテロアリールであり、特にR3はピリジンであり、R5は、式(6a’)または(6b’)の場合、Cl、BrまたはFであり、式(7a’)の場合、C2アルキニルであり、式中、R2
nおよびR6
kは上記定義と同じ意味を有する。
【0045】
ある実施形態において、化合物は、一般式(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)または(5b’)を含み、式中、R1は、式(2a’)の場合、置換または非置換C6アリール、特に非置換フェニル、置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換フェニルであり、式(3a’)、(5a’)または(5b’)の場合、置換または非置換ビフェニル、特に非置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニル、または式(4a’)の場合、-(C=O)-R3であり、R3は置換または非置換C6ヘテロアリールであり、特にR3はピリジンであり、式中、R2
nは上記定義と同じ意味を有する。
【0046】
ある実施形態において、化合物は、一般式(6a’)または(6b’)を含み、式中、R5はCl、BrまたはFであり、式中、R6
kは上記定義と同じ意味を有する。
【0047】
ある実施形態において、化合物は、一般式(7a’)を含み、式中、R5はC2アルキニルであり、式中、R6
kは上記定義と同じ意味を有する。
【0048】
ある実施形態において、化合物は、一般式(2a’’)、(3a’’)、(4a’’)、(5a’’)、(5b’’)、(6a’’)または(7a’’)を含み、
【化5】
R
7は非置換C
1~C
6アルキル、特にtert-ブチル、非置換C
3~C
8シクロアルキル、特にC
4-シクロアルキル、非置換C
1~C
6アルコール、特にC
4アルコールであり、特にR
7は、式(2a’’)の場合、非置換C
1~C
6アルキル、特にtert-ブチル、もしくは非置換C
3~C
8シクロアルキル、特にC
4-シクロアルキルであり、またはR
7は、式(5a’’)もしくは(5b’’)の場合、非置換C
1~C
6アルコール、特にC
4アルコールであり、R
8は-O-CH
2-R
4であり、R
4は置換または非置換C
4ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾール、または非置換C
1~C
6アルコール、特にC
4アルコールであり、特にR
8は、式(2a’’)の場合、-O-CH
2-R
4であり、R
4は置換または非置換C
4ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾールであり、またはR
8は、式(3a’’)の場合、非置換C
1~C
6アルコール、特にC
4アルコールであり、R
9は非置換C
6ヘテロアリール、特にピリジン、またはハロゲン、特に-Fであり、R
9は、式(4a’’)の場合、非置換C
6ヘテロアリール、特にピリジンであり、またはR
9は、式(5b’’)の場合、ハロゲン、特に-Fであり、R
10はC
1~C
3アルキルまたは水素であり、R
11は置換または非置換アリール、または置換または非置換ヘテロアリールであり、特にR
11は、式(6a’’)の場合、置換または非置換アリール、特にフェニルであり、R
11は、式(7a’’)の場合、置換または非置換ヘテロアリール、特にピリジン、置換または非置換アリール、特にフェニルであり、R
5は、式(6a’’)の場合、Cl、BrまたはFであり、式(7a’’)の場合、C
2アルキニルである。
【0049】
ある実施形態において、化合物は、一般式(2a’’)、(3a’’)、(4a’’)、(5a’’)または(5b’’)を含み、R7は非置換C1~C6アルキル、特にtert-ブチル、非置換C3~C8シクロアルキル、特にC4-シクロアルキル、非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコールであり、特にR7は、式(2a’’)の場合、非置換C1~C6アルキル、特にtert-ブチル、もしくは非置換C3~C8シクロアルキル、特にC4-シクロアルキルであり、またはR7は、式(5a’’)もしくは(5b’’)の場合、非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコールであり、R8は-O-CH2-R4であり、R4は置換または非置換C4ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾール、または非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコールであり、特にR8は、式(2a’’)の場合、-O-CH2-R4であり、R4は置換または非置換C4ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾールであり、またはR8は、式(3a’’)の場合、非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコールであり、R9は非置換C6ヘテロアリール、特にピリジン、またはハロゲン、特に-Fであり、R9は、式(4a’’)の場合、非置換C6ヘテロアリール、特にピリジンであり、またはR9は、式(5b’’)の場合、ハロゲン、特に-Fである。
【0050】
ある実施形態において、化合物は、一般式(6a’’)を含み、R10はC1~C3アルキルまたは水素であり、R11は置換または非置換アリール、または置換または非置換ヘテロアリールであり、特にR11は、式(6a’’)の場合、置換または非置換アリール、特にフェニルであり、R11は、式(7a’’)の場合、置換または非置換ヘテロアリール、特にピリジンであり、R5はCl、BrまたはFである。
【0051】
ある実施形態において、化合物は、一般式(7a’’)を含み、R11は置換または非置換アリール、または置換または非置換ヘテロアリールであり、特にR11は、式(6a’’)の場合、置換または非置換アリール、特にフェニルであり、R11は、式(7a’’)の場合、置換または非置換ヘテロアリール、特にピリジンであり、R5はC2アルキニルである。
【0052】
ある実施形態において、化合物は、一般式(2a’’)、(3a’’)、(4a’’)、(5a’’)または(5b’’)を含み、式(2a’’)の場合、R1はまたは非置換フェニル、置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換フェニルであり、R7は非置換C1~C6アルキル、特にtert-ブチル、もしくは非置換C3~C8シクロアルキル、特にC4-シクロアルキルであり、R8は-O-CH2-R4であり、R4は置換または非置換C4ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾールであり、式(3a’’)の場合、R1は非置換ビフェニル、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、R8は非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコールであり、式(4a’’)の場合、R1は-(C=O)-R3であり、R3は非置換C6ヘテロアリールであり、特にR3はピリジンであり、R9は非置換C6ヘテロアリール、特にピリジンであり、式(5a’’)の場合、R1は非置換ビフェニル、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、R7は非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコールであり、式(5a’’)の場合、R1は非置換ビフェニル、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、R7は非置換C1~C6アルコール、特にC4アルコールであり、R9はハロゲン、特に-Fである。
【0053】
ある実施形態において、化合物は、
図11に示される化合物、すなわち、L-838417、TPA023(MK-0777)、TPA123、MRK-409(MK-0343)、NS11394、オシナプロン(DOV-273547)、TPA023B、TP003、N-デスメチルクロバザム、1、2、3、4および5から選択される。
【0054】
ある実施形態において、本発明の第1の態様による化合物は、セロトニン誘発掻痒、ヒスタミン誘発掻痒、クロロキン誘発掻痒、化合物48/80誘発掻痒および胆汁酸誘発掻痒、特にセロトニン誘発掻痒、クロロキン誘発掻痒、化合物48/80誘発掻痒および胆汁酸誘発掻痒、より特定的にはセロトニン誘発掻痒の予防に使用するための化合物である。
【0055】
本発明の第2の態様によると、掻痒の処置に使用するα2またはα3GABAモジュレーター、特に本発明の第1の態様によるモジュレーターが提供される。
【0056】
以下では、本発明の副次的態様について説明する。副次的態様の式(Ic)および(VI)は、それぞれ式(1c)および(6)に対応する。式(1c)および(6c)と比較して、式(Ic)または(VI)による化合物の置換基は再付番されている(明確性の理由による)。式(1c)のR5
lおよびR6
kは、式(Ic)においてR12
pおよびR13
qと称される。式(6)のR11は、ここで式(VI)においてR14と称される。
【0057】
本発明の第1の副次的態様によると、掻痒の処置に使用するための化合物が提供され、化合物は、一般式(1a)、一般式(1b)または一般式(Ic)を含み、
【化6】
特に式(1a)および(1b)、より特定的には(1a)を含み、式中、
- X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5は互いに独立して-C、-N、-Sまたは-Oであり、X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5のうち少なくとも2つは-Nであり、
- Y
1およびY
2は互いに独立して-Cまたは-Nであり、
- R
1
mのmは1であり、
- R
1は非置換フェニル、C
1~C
4-アルキル、F、Cl、Br、I、-CNで置換されたフェニル、置換または非置換ビフェニル、または-(C=O)-R
3であり、R
3は置換または非置換アリール、または5~6員環ヘテロアリール、特にC
6アリールまたは6員環ヘテロアリール、より特定的には6員環ヘテロアリールであり、
- R
2
nのnは1または2であり、
- 各R
2は他のR
2から独立して置換または非置換C
3~C
8シクロアルキル、置換または非置換C
1~C
6アルキル、置換または非置換C
1~C
6アルコール、置換または非置換6員環ヘテロアリール、ハロゲン、特に-F、または-O-CH
2-R
4であり、R
4は置換または非置換5員環または6員環ヘテロアリール、特に5員環ヘテロアリールであり、
- Z
1、Z
3、Z
4およびZ
5は互いに独立して-C、-N、-Sまたは-Oであり、特にZ
1は-Cまたは-Nであり、Z
3およびZ
4は-C、-N、-Sまたは-Oであり、
- A
1およびA
2は互いに独立して-C、-Nまたは-(C=O)-O-R
7’であり、A
3は-(C=O)-O-R
7’であり、-R
7’はC
1~C
6-アルキルであり、特にA
1およびA
2は互いに独立して-Cまたは-Nであり、A
3は-(C=O)-O-R
7’であり、R
7’はC
1~C
6-アルキル、特にC
1~C
2-アルキル、より特定的にはC
2-アルキルであり、
- R
5
lのlは1または2であり、
- 各R
5は互いに独立してC
1~C
4アルキニルまたはハロゲンであり、
- R
6
kのkは1、2、3または4、特に1または2であり、
- 各R
6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、酸素または水素、特に置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、より特定的には置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールであり、
- R
12のpは1または2、特に1であり、
- R
12は互いに独立して置換または非置換C
1~C
4-アルキル、I、Br、ClまたはFであり、
- R
13のqは1、2、3または4であり、
- R
13は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、酸素または水素である。
【0058】
ある実施形態において、掻痒の処置に使用するための化合物は、陽性アロステリックα2および/またはα3GABAA受容体モジュレーターである。
【0059】
ある実施形態において、掻痒の処置に使用するための化合物は、一般式(1a)、一般式(1b)または一般式(Ic)、特に式(1a)および(1b)、より特定的には(1a)を含み、式中、
- X1、X2、X3、X4およびX5は互いに独立して-Cまたは-Nであり、X1、X2、X3、X4およびX5のうち少なくとも2つは-Nであり、
- Y1およびY2は互いに独立して-Cまたは-Nであり、
- R1
mのmは1であり、
- R1は非置換フェニル、C1~C4-アルキル、F、Cl、Br、I、-CNで置換されたフェニル、置換または非置換ビフェニル、または-(C=O)-R3であり、R3は置換または非置換アリール、または5~6員環ヘテロアリール、特にC6アリールまたは6員環ヘテロアリール、より特定的には6員環ヘテロアリールであり、
- R2
nのnは1または2であり、
- 各R2は他のR2から独立して置換または非置換C3~C8シクロアルキル、置換または非置換C1~C6アルキル、置換または非置換C1~C6アルコール、置換または非置換6員環ヘテロアリール、ハロゲン、特に-F、または-O-CH2-R4であり、R4は置換または非置換5員環または6員環ヘテロアリール、特に5員環ヘテロアリールであり、
- Z1、Z3、Z4およびZ5は互いに独立して-Cまたは-Nであり、
- A1およびA2は互いに独立して-Cまたは-Nであり、A3は-(C=O)-O-R7’であり、R7’はC1~C4-アルキル、特にC1~C2-アルキル、より特定的にはC2-アルキルであり、
- R5
lのlは1または2であり、
- 各R5は互いに独立してC1~C4アルキニルまたはハロゲンであり、
- R6
kのkは1、2、3または4、特に1または2であり、
- 各R6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C1~C3アルキル、酸素または水素、特に置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C1~C3アルキル、より特定的には置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールであり、
- R12のpは1であり、
- R12は置換または非置換C1~C4-アルキル、I、Br、ClまたはFであり、
- R13のqは1、2、3または4であり、
- R13は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C1~C3アルキル、酸素または水素である。
【0060】
ある実施形態において、第1の副次的態様による化合物は、一般式(2)、(3)、(4)、(5)、(Ic)または(7)、特に(2)、(3)、(4)、(5)または(7)、より特定的には(2)、(3)、(4)または(5)を含み、
【化7】
Y
1、Y
2、Z
4、Z
5、R
1
mのm、R
1、R
3、R
2
nのn、R
2、R
4、R
12のp、R
12、R
13のq、R
13、R
5
lのl、R
5、R
6
kのk、R
6、A
1、A
2およびA
3は上記定義と同じ意味を有する。
【0061】
ある実施形態において、第1の副次的態様による化合物は、一般式(2a)、(3a)、(4a)、(5a)、(5b)、(Ic)または(7a)、特に(2a)、(3a)、(4a)、(5a)、(5b)または(7a)、より特定的には(2a)、(3a)、(4a)、(5a)または(5b)を含み、
【化8】
R
1
mのm、R
1、R
3、R
2
nのn、R
2、R
4、R
12のp、R
12、R
13のq、R
13、R
5
lのl、R
5、R
6
kのkおよびR
6は上記定義と同じ意味を有する。
【0062】
ある実施形態において、R1のmは1であり、R1は、非置換フェニル、置換基としてC1~C4-アルキル、F、Cl、Br、I、-CNを含む置換フェニル(特に前記置換フェニルは置換基として少なくとも1つの-Fを含む)、非置換ビフェニル、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、もしくは置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニル、またはR3がピリジンである-(C=O)-R3である。
【0063】
ある実施形態において、R
1のmは1であり、R
1は置換基としてC
1~C
4-アルキル、F、Cl、Br、I、-CNを含む置換フェニルであり、特に前記置換フェニルは置換基として少なくとも1つの-Fを含む。置換フェニルは、式(8)によるフェニル部分であり、
【化9】
式中、rは1、2、3、4または5であり、R
15はFであり、sは0、1、2、3または4であり、R
16はC
1~C
4-アルキル、Cl、Br、I、-CNであり、rとsの合計は5を超えない。
【0064】
ある実施形態において、R1のmは1であり、R1は式(8)による置換フェニルであり、式中、rは1または2であり、R15はFであり、sは0、1、2、3または4であり(rが2である場合、sは0、1、2または3である)、R16はC1~C4-アルキル、Cl、Br、I、-CNである。
【0065】
ある実施形態において、R1のmは1であり、R1は式(8)による置換フェニルであり、式中、rは1または2であり、R15はFであり、sは0である。
【0066】
ある実施形態において、R
1のmは1であり、R
1は置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルである。置換ビフェニルは、式(9)によるビフェニル部分であり、
【化10】
式中、tは0、1、2、3または4であり、uは0、1、2、3、4または5であり、R
17は-CNであり、少なくともtおよび/またはuは1以上であり、vは0、1、2、3または4であり、R
18はC
1~C
4-アルキル、Cl、Br、Iまたは-CNであり、wは0、1、2、3、4または5であり、R
19はC
1~C
4-アルキル、Cl、Br、Iまたは-CNであり、t、u、vおよびwの合計は9を超えない。
【0067】
ある実施形態において、R1のmは1であり、R1は式(9)による置換ビフェニルであり、式中、vおよびwは0または1であり、R18およびR19はC1~C4-アルキル、Cl、Br、Iまたは-CNであり、tおよび/またはuは1であり、R17は-CNである。
【0068】
ある実施形態において、R1のmは1であり、R1は式(9)による置換ビフェニルであり、式中、vおよびwは0であり、tおよび/またはuは1であり、R17は-CNである。
【0069】
ある実施形態において、R1のmは1であり、R1は式(9)による置換ビフェニルであり、式中、v、wおよびtは0であり、uは1であり、R17は-CNである。
【0070】
ある実施形態において、R
1のmは1であり、R
1は置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルである。この置換ビフェニルは、式(10)によるビフェニル部分であり、
【化11】
式中、tは0、1、2、3または4であり、uは0、1、2、3、4または5であり、R
17は-CNであり、少なくともtおよび/またはuは1以上であり、vは0、1、2、3または4であり、R
18はC
1~C
4-アルキル、Cl、Br、Iまたは-CNであり、wは0、1、2、3、4または5であり、R
19はC
1~C
4-アルキル、Cl、Br、Iまたは-CNであり、xは0、1、2、3または4であり、yは0、1、2、3、4または5であり、R
20はFであり、少なくともxおよび/またはyは1以上であり、t、u、v、w、xおよびyの合計は9を超えない。
【0071】
ある実施形態において、R1のmは1であり、R1は式(10)による置換ビフェニルであり、式中、vおよびwは0であり、tおよび/またはuは1であり、R17は-CNであり、xおよび/またはyは1であり、R20は-Fである。
【0072】
ある実施形態において、R1のmは1であり、R1は式(10)による置換ビフェニルであり、式中、v、wおよびtは0であり、uは1であり、R17は-CNであり、xおよび/またはyは1であり、R20は-Fである。
【0073】
ある実施形態において、R1のmは1であり、R1は式(10)による置換ビフェニルであり、式中、v、wおよびtは0であり、uは1であり、R17は-CNであり、xおよびyは1であり、R20は-Fである。
【0074】
ある実施形態において、R2のnは1または2であり、R2は非置換C3~C8シクロアルキル、特にC4-シクロアルキル、非置換C1~C6アルキル、特にtert-ブチル、または-O-CH2-R4であってR4が置換または非置換5員環ヘテロアリール、特にR4が置換または非置換トリアゾール、非置換C1~C6アルコール、特にC3アルコール、より特定的にはイソプロパノール、ハロゲン、特に-F、非置換6員環ヘテロアリール、特にピリジンである。
【0075】
ある実施形態において、R2のnは2であり、1つのR2は非置換C3~C8シクロアルキル、特にC4-シクロアルキル、もしくは非置換C1~C6アルキル、特にtert-ブチルであり、他のR2はO-CH2-R4であってR4が置換または非置換5員環ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾールである。
【0076】
ある実施形態において、R2は2であり、1つのR2は非置換C1~C6アルコール、特にC3アルコール、より特定的にはイソプロパノールであり、他のR2はハロゲン、特に-Fである。
【0077】
ある実施形態において、R2のnは1であり、R2は非置換C1~C6アルコールまたは非置換6員環ヘテロアリールである。
【0078】
ある実施形態において、R2のnは1であり、R2はC3アルコールまたはピリジンである。
【0079】
ある実施形態において、R2のnは1であり、R2はC3アルコールである。
【0080】
ある実施形態において、R2のnは1であり、R2はイソプロパノールである。
【0081】
ある実施形態において、R5のlは1であり、R5はI、Cl、Br、FまたはC2アルキニルである。
【0082】
ある実施形態において、R5のlは1であり、R5は-IまたはC2アルキニルである。
【0083】
ある実施形態において、R6のkは1であり、R6は置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C1~C3アルキルである。
【0084】
ある実施形態において、R6のkは1であり、R6は置換または非置換C6アリール、5~6員環の置換または非置換ヘテロアリールである。
【0085】
ある実施形態において、R6のkは1であり、R6はフェニル、FまたはClで置換されたフェニル、チオフェンまたはピリジンである。
【0086】
ある実施形態において、第1の副次的態様による化合物は、一般式(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)、(5b’)、(VI)または(7a’)、特に(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)、(5b’)または(7a’)、さらにより特定的には(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)または(5b’)を含み、
【化12】
式中、
- R
10は置換または非置換アリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、または水素、特に水素であり、
- R
11は置換または非置換アリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、または水素、特に置換または非置換アリール、より特定的にはフェニルであり、
- R
12のpは1であり、R
12はI、Br、ClまたはF、特にClであり、
- R
1、R
3、R
2
nのn、R
2、R
4、R
10、R
11、R
12のp、R
12、R
5、R
6
kのk、およびR
6は上記定義と同じ意味を有する。
【0087】
ある実施形態において、第1の副次的態様による化合物は、一般式(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)、(5b’)、(VI)または(7a’)、特に(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)、(5b’)または(7a’)、さらにより特定的には(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)または(5b’)を含み、式中、
- R1は、
- 式(2a’)の場合、
- 置換または非置換C6アリール、特に非置換フェニル、
- 置換基としてC1~C4-アルキル、F、Cl、Br、I、-CNを含む置換フェニル(特に前記置換フェニルは置換基として少なくとも1つの-Fを含む)、
- 式(3a’)、(5a’)または(5b’)の場合、
- 置換または非置換ビフェニル、特に非置換ビフェニル、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニル、または
- 式(4a’)の場合、
- -(C=O)-R3(R3は置換または非置換C6ヘテロアリール、特にR3はピリジン)であり、
- R5は、
- 式(7a’)の場合、
- C2アルキニルまたはI、特にC2アルキニルであり、
式中、R2
n、R10、R11およびR12
pおよびR6
kは上記定義と同じ意味を有する。
【0088】
ある実施形態において、化合物は、一般式(2a’’)、(3a’’)、(4a’’)、(5a’’)、(5b’’)、(VIa’’)または(7a’’)、特に(2a’’)、(3a’’)、(4a’’)、(5a’’)、(5b’’)または(7a’’)、より特定的には(2a’’)、(3a’’)、(4a’’)、(5a’’)または(5b’’)を含み、
【化13】
式中、R
1は上記定義と同じ意味を有し、
- R
7は、
- 非置換C
1~C
6アルキル、特にtert-ブチル、
- 非置換C
3~C
8シクロアルキル、特にC
4-シクロアルキル、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコールであり、特に
- R
7は、式(2a’’)の場合、
- 非置換C
1~C
6アルキル、特にtert-ブチル、または
- 非置換C
3~C
8シクロアルキル、特にC
4-シクロアルキルであり、または
- R
7は、式(5a’’)または(5b’’)の場合、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコールであり、
- R
8は、
- -O-CH
2-R
4(R
4は置換または非置換5員環ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾール)、または
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコールであり、特に
- R
8は、式(2a’’)の場合、
- -O-CH
2-R
4(R
4は置換または非置換5員環ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾール)であり、または
- R
8は、式(3a’’)の場合、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコールであり、
- R
9は、
- 非置換C
6ヘテロアリール、特にピリジン、または
- ハロゲン、特に-Fであり、
- R
9は、式(4a’’)の場合、
- 非置換6員環ヘテロアリール、特にピリジン、または
- R
9は、式(5b’’)の場合、
- ハロゲン、特に-Fであり、
- R
10は、
- C
1~C
3アルキルまたは水素、特に水素であり、
- R
11は置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、特にピリジン、チオフェン、フェニルまたはFもしくはClで置換されたフェニルであり、
- R
14は置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、特に置換または非置換アリール、より特定的にはフェニルであり、
- R
12はI、Cl、BrまたはF、特にClであり、
- R
5はC
2アルキニルまたはI、特にC
2アルキニルである。
【0089】
ある実施形態において、化合物は、一般式(2a’’)、(3a’’)、(4a’’)、(5a’’)または(5b’’)を含み、
【化14】
式中、
- 式(2a’’)の場合、
- R
1は、
- 非置換フェニル、
- 置換基としてC
1~C
4-アルキル、F、Cl、Br、I、-CNを含む置換フェニル(特に前記置換フェニルは置換基として少なくとも1つの-Fを含む)であり、
- R
7は、
- 非置換C
1~C
6アルキル、特にtert-ブチル、または
- 非置換C
3~C
8シクロアルキル、特にC
4-シクロアルキルであり、および
- R
8は、
- -O-CH
2-R
4(R
4は置換または非置換5員環ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾール)であり、
- 式(3a’’)の場合、
- R
1は、
- 非置換ビフェニル、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、または
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、
-特にR
1は、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであり、
- R
8は、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコール、より特定的にはイソプロパノールであり、
- 式(4a’’)の場合、
- R
1は、
-(C=O)-R
3(R
3は非置換6員環ヘテロアリール、特にR
3はピリジン)であり、および
- R
9は、
- 非置換C
6ヘテロアリール、特にピリジンであり、
- 式(5a’’)の場合、
- R
1は、
- 非置換ビフェニル、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、
-特にR
1は、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、
- R
7は、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコール、より特定的にはイソプロパノールであり、
- 式(5b’’)の場合、
- R
1は、
- 非置換ビフェニル、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、
-特にR
1は、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、
- R
7は、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコール、より特定的にはイソプロパノールであり、
- R
9は、
- ハロゲン、特に-Fである。
【0090】
ある実施形態において、化合物は、上記のように一般式(2a’’)、(3a’’)、(5a’’)または(5b’’)を含む。
【0091】
ある実施形態において、化合物は、上記のように一般式(5a’’)を含む。
【0092】
ある実施形態において、化合物は、
図11に示される化合物、すなわち、L-838417、TPA023(MK-0777)、TPA123、MRK-409(MK-0343)、NS11394、オシナプロン(DOV-273547)、TPA023B、TP003、N-デスメチルクロバザム、1、2、3、4および5、特にL-838417、TPA023(MK-0777)、TPA123、MRK-409(MK-0343)、NS11394、オシナプロン(DOV-273547)、TPA023B、TP003、N-デスメチルクロバザム、1、2、3および5から選択される。
【0093】
ある実施形態において、化合物は、
図11に示される化合物、すなわち、L-838417、TPA023(MK-0777)、TPA123、MRK-409(MK-0343)、NS11394、オシナプロン(DOV-273547)、TPA023B、TP003、1、2、3および5から選択される。
【0094】
ある実施形態において、化合物は、
図11に示される化合物、すなわち、L-838417、TPA023(MK-0777)、TPA123、MRK-409(MK-0343)、NS11394、オシナプロン(DOV-273547)、TPA023B、TP003、特にTPA023Bから選択される。
【0095】
本発明の別の態様では、セロトニン誘発掻痒、ヒスタミン誘発掻痒、クロロキン誘発掻痒、化合物48/80(CAS番号94724-12-6)誘発掻痒および胆汁酸誘発掻痒の予防に使用するための第1の副次的態様による化合物が提供される。
【0096】
ある実施形態において、化合物は、セロトニン誘発掻痒、クロロキン誘発掻痒、化合物48/80(CAS番号94724-12-6)誘発掻痒および胆汁酸誘発掻痒の予防に使用するためのものである。
【0097】
ある実施形態において、化合物は、セロトニン誘発掻痒の予防に使用するためのものである。
【0098】
ある実施形態において、動物における掻痒の処置に使用するための第1の副次的態様による化合物が提供される。
【0099】
本発明の別の態様では、掻痒の処置に使用するための陽性アロステリックα2またはα3GABAA受容体モジュレーターが提供される。
【0100】
本発明の別の態様では、掻痒の処置に使用するための本発明の第1の態様による陽性アロステリックα2またはα3GABAA受容体モジュレーターが提供される。
【0101】
例えば官能基などの単一の分離可能な特徴の選択肢が本明細書において「実施形態」として示されている場合は常に、そのような選択肢は自由に組み合わせて本明細書に開示する本発明の別個の実施形態を形成し得るものと解されるべきである。
【0102】
本発明は、以下の実施例および図面によりさらに説明され、そこからさらなる実施形態および有利な点を導くことができる。これらの実施例は、本発明を説明することを意図しているが、その範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【
図1】各経口ジアゼパム(遺伝的背景129X1/SvJのGABA
AR点突然変異マウスにおけるDZPによる鎮痒効果を示す。DZPは、GABA
AR三重点突然変異マウスにおける20gのα-Me-5HTの頬への注入によって誘発された掻爬発作の回数を減少させ、単離したα2、α3またはα5を標的とする。DZPはα-Me-5HT注入の1時間前に投与した。時間経過(a):データ点は平均値±標準誤差であり、同側の頬に導かれた誘発掻爬発作の統計解析(b)は、20分間定量化した。
***P<0.001;
*P<0.05対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでボンフェローニのポストホック検定、F(5,44)=8.5)。RHRR、RRHRおよびRRRHマウスはマウスであり、すべてのDZP感受性αサブユニットは、それぞれα2、α3またはα5を除いてDZP非感受性とされている。DZP非感受性は、α1およびα2の101位、α3の126位、およびα5の105位におけるヒスチジンからアルギニンへのアミノ酸交換によって導入された。マウスの数(溶媒/DZP処置):それぞれ、RHRR n=8/10、RRHR n=8/8およびRRRH n=7/9。RHRR:α2のみ、RRHR:α3のみ、RRRH:α5のみ。
【
図2A】遺伝的背景129X1/SvJのマウスにおける、20μgのα-Me-5HTの皮内注入によって誘発された掻痒に対する経口DZPの用量依存的鎮痒効果を示す。DZPはα-Me-5HT注入の1時間前に投与し、(a)時間経過データ点は平均値±標準誤差であり、同側の頬に導かれた誘発掻爬発作の統計解析は、30分間定量化した。
*P<0.05対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(6,37)=6。マウスの数:n=7、7、4、6、6、7および溶媒につき6、それぞれ0.1、0.3、1、3、10および30mg/kg、(b)RHRRマウス(ジアゼパムに感受性のα2GABA
ARのみ)におけるジアゼパムの鎮痒効果の用量依存性。ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(6,36)=6.02;
*、P<0.05;
**、P<0.01、グループあたりn=4~7、(c)はRRHR(ジアゼパムに感受性のα3GABA
ARのみ)である以外は(b)と同じ。ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(6,37)=4.42;
*、P<0.05;
**、P<0.01、グループあたりn=6~8匹マウス。
【
図2B】遺伝的背景129X1/SvJのマウスにおける、20μgのα-Me-5HTの皮内注入によって誘発された掻痒に対する経口DZPの用量依存的鎮痒効果を示す。DZPはα-Me-5HT注入の1時間前に投与し、(a)時間経過データ点は平均値±標準誤差であり、同側の頬に導かれた誘発掻爬発作の統計解析は、30分間定量化した。
*P<0.05対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(6,37)=6。マウスの数:n=7、7、4、6、6、7および溶媒につき6、それぞれ0.1、0.3、1、3、10および30mg/kg、(b)RHRRマウス(ジアゼパムに感受性のα2GABA
ARのみ)におけるジアゼパムの鎮痒効果の用量依存性。ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(6,36)=6.02;
*、P<0.05;
**、P<0.01、グループあたりn=4~7、(c)はRRHR(ジアゼパムに感受性のα3GABA
ARのみ)である以外は(b)と同じ。ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(6,37)=4.42;
*、P<0.05;
**、P<0.01、グループあたりn=6~8匹マウス。
【
図2C】遺伝的背景129X1/SvJのマウスにおける、20μgのα-Me-5HTの皮内注入によって誘発された掻痒に対する経口DZPの用量依存的鎮痒効果を示す。DZPはα-Me-5HT注入の1時間前に投与し、(a)時間経過データ点は平均値±標準誤差であり、同側の頬に導かれた誘発掻爬発作の統計解析は、30分間定量化した。
*P<0.05対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(6,37)=6。マウスの数:n=7、7、4、6、6、7および溶媒につき6、それぞれ0.1、0.3、1、3、10および30mg/kg、(b)RHRRマウス(ジアゼパムに感受性のα2GABA
ARのみ)におけるジアゼパムの鎮痒効果の用量依存性。ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(6,36)=6.02;
*、P<0.05;
**、P<0.01、グループあたりn=4~7、(c)はRRHR(ジアゼパムに感受性のα3GABA
ARのみ)である以外は(b)と同じ。ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(6,37)=4.42;
*、P<0.05;
**、P<0.01、グループあたりn=6~8匹マウス。
【
図3A】遺伝的背景129X1/SvJの三重GABA
AR点突然変異マウスにおける各経口DZPによる、慢性接触性皮膚炎モデルにおいて評価された効果を示す。RHRR、RRHR、およびRRRHマウスを、接触性皮膚炎および慢性掻痒を誘発するために、1日目にアセトン/オリーブ油(4:1)に溶解した100μLの10%オキサゾロン(4-エトキシメチレン-2-フェニル-2-オキサゾリン-5-オン、Sigma)で後頚部に処置し、7-17日目に隔日で100μLの1%オキサゾロンで処置した。18日目に、マウスに10mg/kgのDZP腹腔内注入を行った。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差、および後頚部に導かれた0分~240分後の掻爬発作数の統計解析(b)である。
*P<0.05対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでボンフェローニのポストホック検定、F(3,35)=0.63。マウスの数(溶媒/DZP処置):RHRR n=6/7、RRHR n=6/7およびRRRH n=7/7(c~e)。薬剤または溶媒投与の15分後からの6時間、掻爬発作を計数した。掻爬発作数は、RHRRマウス(c)、RRRHマウス(d)およびRRHRマウス(e)における薬物または溶媒投与後の時間に対してプロットした。
【
図3B】遺伝的背景129X1/SvJの三重GABA
AR点突然変異マウスにおける各経口DZPによる、慢性接触性皮膚炎モデルにおいて評価された効果を示す。RHRR、RRHR、およびRRRHマウスを、接触性皮膚炎および慢性掻痒を誘発するために、1日目にアセトン/オリーブ油(4:1)に溶解した100μLの10%オキサゾロン(4-エトキシメチレン-2-フェニル-2-オキサゾリン-5-オン、Sigma)で後頚部に処置し、7-17日目に隔日で100μLの1%オキサゾロンで処置した。18日目に、マウスに10mg/kgのDZP腹腔内注入を行った。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差、および後頚部に導かれた0分~240分後の掻爬発作数の統計解析(b)である。
*P<0.05対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでボンフェローニのポストホック検定、F(3,35)=0.63。マウスの数(溶媒/DZP処置):RHRR n=6/7、RRHR n=6/7およびRRRH n=7/7(c~e)。薬剤または溶媒投与の15分後からの6時間、掻爬発作を計数した。掻爬発作数は、RHRRマウス(c)、RRRHマウス(d)およびRRHRマウス(e)における薬物または溶媒投与後の時間に対してプロットした。
【
図3C】遺伝的背景129X1/SvJの三重GABA
AR点突然変異マウスにおける各経口DZPによる、慢性接触性皮膚炎モデルにおいて評価された効果を示す。RHRR、RRHR、およびRRRHマウスを、接触性皮膚炎および慢性掻痒を誘発するために、1日目にアセトン/オリーブ油(4:1)に溶解した100μLの10%オキサゾロン(4-エトキシメチレン-2-フェニル-2-オキサゾリン-5-オン、Sigma)で後頚部に処置し、7-17日目に隔日で100μLの1%オキサゾロンで処置した。18日目に、マウスに10mg/kgのDZP腹腔内注入を行った。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差、および後頚部に導かれた0分~240分後の掻爬発作数の統計解析(b)である。
*P<0.05対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでボンフェローニのポストホック検定、F(3,35)=0.63。マウスの数(溶媒/DZP処置):RHRR n=6/7、RRHR n=6/7およびRRRH n=7/7(c~e)。薬剤または溶媒投与の15分後からの6時間、掻爬発作を計数した。掻爬発作数は、RHRRマウス(c)、RRRHマウス(d)およびRRHRマウス(e)における薬物または溶媒投与後の時間に対してプロットした。
【
図3D】遺伝的背景129X1/SvJの三重GABA
AR点突然変異マウスにおける各経口DZPによる、慢性接触性皮膚炎モデルにおいて評価された効果を示す。RHRR、RRHR、およびRRRHマウスを、接触性皮膚炎および慢性掻痒を誘発するために、1日目にアセトン/オリーブ油(4:1)に溶解した100μLの10%オキサゾロン(4-エトキシメチレン-2-フェニル-2-オキサゾリン-5-オン、Sigma)で後頚部に処置し、7-17日目に隔日で100μLの1%オキサゾロンで処置した。18日目に、マウスに10mg/kgのDZP腹腔内注入を行った。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差、および後頚部に導かれた0分~240分後の掻爬発作数の統計解析(b)である。
*P<0.05対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでボンフェローニのポストホック検定、F(3,35)=0.63。マウスの数(溶媒/DZP処置):RHRR n=6/7、RRHR n=6/7およびRRRH n=7/7(c~e)。薬剤または溶媒投与の15分後からの6時間、掻爬発作を計数した。掻爬発作数は、RHRRマウス(c)、RRRHマウス(d)およびRRHRマウス(e)における薬物または溶媒投与後の時間に対してプロットした。
【
図3E】遺伝的背景129X1/SvJの三重GABA
AR点突然変異マウスにおける各経口DZPによる、慢性接触性皮膚炎モデルにおいて評価された効果を示す。RHRR、RRHR、およびRRRHマウスを、接触性皮膚炎および慢性掻痒を誘発するために、1日目にアセトン/オリーブ油(4:1)に溶解した100μLの10%オキサゾロン(4-エトキシメチレン-2-フェニル-2-オキサゾリン-5-オン、Sigma)で後頚部に処置し、7-17日目に隔日で100μLの1%オキサゾロンで処置した。18日目に、マウスに10mg/kgのDZP腹腔内注入を行った。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差、および後頚部に導かれた0分~240分後の掻爬発作数の統計解析(b)である。
*P<0.05対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでボンフェローニのポストホック検定、F(3,35)=0.63。マウスの数(溶媒/DZP処置):RHRR n=6/7、RRHR n=6/7およびRRRH n=7/7(c~e)。薬剤または溶媒投与の15分後からの6時間、掻爬発作を計数した。掻爬発作数は、RHRRマウス(c)、RRRHマウス(d)およびRRHRマウス(e)における薬物または溶媒投与後の時間に対してプロットした。
【
図4A】野生型C57BL6/Jマウスにおける100μgのヒスタミンの皮内注入によって誘発された掻痒に対する経口TPA023Bの鎮痒効果を示す。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差であり、同側の頬に導かれた誘発掻爬発作の統計解析(b)は、30分間定量化した。
**P<0.01対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(5,42)=5.2。マウスの数:n=10、8、10、7、6および溶媒につき6、それぞれ0.01、0.03、0.1、1および3mg/kg、(c)各経口TPA023Bによる鎮静作用の不存在。TPA023Bは、マウスをオープンフィールドの活動領域に配置する直前に注入した。
***P<0.001対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(5,34)=7.6)。マウスの数:n=7、5、7、7、7および溶媒につき7、それぞれ0.3、1、3、10および30mg/kg。すべてのデータ点は、注入後1~2時間の間に得られた平均値±標準誤差である。
【
図4B】野生型C57BL6/Jマウスにおける100μgのヒスタミンの皮内注入によって誘発された掻痒に対する経口TPA023Bの鎮痒効果を示す。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差であり、同側の頬に導かれた誘発掻爬発作の統計解析(b)は、30分間定量化した。
**P<0.01対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(5,42)=5.2。マウスの数:n=10、8、10、7、6および溶媒につき6、それぞれ0.01、0.03、0.1、1および3mg/kg、(c)各経口TPA023Bによる鎮静作用の不存在。TPA023Bは、マウスをオープンフィールドの活動領域に配置する直前に注入した。
***P<0.001対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(5,34)=7.6)。マウスの数:n=7、5、7、7、7および溶媒につき7、それぞれ0.3、1、3、10および30mg/kg。すべてのデータ点は、注入後1~2時間の間に得られた平均値±標準誤差である。
【
図4C】野生型C57BL6/Jマウスにおける100μgのヒスタミンの皮内注入によって誘発された掻痒に対する経口TPA023Bの鎮痒効果を示す。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差であり、同側の頬に導かれた誘発掻爬発作の統計解析(b)は、30分間定量化した。
**P<0.01対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(5,42)=5.2。マウスの数:n=10、8、10、7、6および溶媒につき6、それぞれ0.01、0.03、0.1、1および3mg/kg、(c)各経口TPA023Bによる鎮静作用の不存在。TPA023Bは、マウスをオープンフィールドの活動領域に配置する直前に注入した。
***P<0.001対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(5,34)=7.6)。マウスの数:n=7、5、7、7、7および溶媒につき7、それぞれ0.3、1、3、10および30mg/kg。すべてのデータ点は、注入後1~2時間の間に得られた平均値±標準誤差である。
【
図5】野生型C57BL6/Jマウスにおける100μgのクロロキンの皮内注入によって誘発された掻痒に対する経口TPA023B用量の鎮痒効果を示す。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差であり、同側の頬に導かれた誘発掻爬発作の統計解析(b)は、30分間定量化した。
***P<0.001;
**P<0.01;
*P<0.05対溶媒処置マウス(ANOVA、次いでダネットのポストホック検定、F(5,30)=6.4。マウスの数:n=6、6、6、6、6および溶媒につき5、それぞれ0.01、0.03、0.1、1および3mg/kg。
【
図6】慢性掻痒の接触性皮膚炎モデルにおけるTPA023Bの鎮痒効果を示す。野生型C57BL6/Jマウスを、1日目にアセトン/オリーブ油(4:1)に溶解した100μLの10%オキサゾロン(4-エトキシメチレン-2-フェニル-2-オキサゾリン-5-オン、Sigma)で後頚部に処置し、7-17日目に隔日で100μLの1%オキサゾロンで処置した。18日目に、マウスに1mg/kgのTPA023B腹腔内注入を行った。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差、および注入後15~210分後に定量化した、後頚部に導かれた掻爬発作数の統計解析(b)である。
***P<0.001(不対t検定)、溶媒およびTPA023B処置マウスにつきn=10。
【
図7】野生型C57BL6/JマウスにおけるTPA023Bの鎮痒効果に対する耐性発達の不存在を示す。マウスを1日目に10%オキサゾロンで処置し、7~27日目に1%オキサゾロンで処置した。17日目以降、マウスを溶媒または1mg/kgのTPA023Bで1日1回、9日間連続して処置した。28日目に、マウスに溶媒またはTPA023B(1mg/kg腹腔内)のいずれかを投与した。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差、および注入後15~90分後に定量化した、後頚部に導かれた掻爬発作数の統計解析(b)である。
*P<0.05;
**P<0.01(不対t検定)。相互作用前処置×急性処置の二元ANOVA F(3,16)=1、溶媒/溶媒(v/v)、溶媒/TPA023B(v/d)、TPA023B/溶媒(d/v)およびTPA023B/TPA023B(d/d)処置マウスについて、それぞれn=5、5、6および6。
【
図8】野生型129X1/SvJマウスにおける20μgのα-Me-5HT誘発掻痒に対するα3-GABA
A受容体選択的化合物TP003(各経口10mg/kg)の鎮痒効果を示すが、α3-GABA
ARをDZP非感受性とした点突然変異マウス(HHRHマウス)は示さない。TP003はμgのα-Me-5HT注入の1時間前に注入した。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差であり、同側の頬に導かれた誘発掻爬発作の統計解析(b)は、20分間定量化した。
**P<0.01対溶媒処置マウス(不対t検定)。相互作用前処置×急性処置の二元ANOVA F(3,20)=8.7、溶媒およびTP003処置野生型マウスではそれぞれn=6および7であり、溶媒およびTP003処置HHRHマウスではそれぞれn=6および5であった。
【
図9】慢性掻痒の接触性皮膚炎モデルにおけるNDMCの鎮痒効果を示す。野生型C57BL6/Jマウスを、1日目にアセトン/オリーブ油(4:1)に溶解した100μLの10%オキサゾロン(4-エトキシメチレン-2-フェニル-2-オキサゾリン-5-オン、Sigma)で後頚部に処置し、7-17日目に隔日で100μLの1%オキサゾロンで処置した。18日目に、マウスに10mg/kgのNDMC腹腔内注入を行った。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差、および注入後15~210分後に定量化した、後頚部に導かれた掻爬発作数の統計解析(b)である。
*P<0.05(不対t検定)、溶媒およびNDMC処置マウスにつきn=9。
【
図10】は、野生型C57BL6/Jマウスにおける100μgのクロロキンの皮内注入によって誘発された掻痒に対する、腹腔内注入(30mg/kg)された神経ステロイドガナキソロンの鎮痒効果を示す。時間経過(a)データ点は平均値±標準誤差であり、同側の頬に導かれた誘発掻爬発作の統計解析(b)は、30分間定量化した。
*P<0.05対溶媒処置マウス(不対t検定)。マウスの数:溶媒およびガナキソロンにつきそれぞれn=8および9。
【
図11】アロステリックGABA
A受容体モジュレーターの構造を示す。
【
図12】129SvJマウスにおけるα-メチル5-HTの用量試験結果を示す。(A)より代謝的に安定なセロトニン類似体α-メチル5-HTによって誘発された野生型129X1/SvJにおける掻爬応答。異なる用量のα-メチル5-HTを右頬に皮内注入し、掻痒応答を30分間計数した。(A)α-メチル5-HT注入後の経時的な掻爬発作の数(平均±標準誤差)。(B)定量および統計分析(ANOVA、次いでダネットのポストホック検定)。円は個々のマウスから得られた値である。バーおよびエラーバーは平均値および標準誤差である。F(4,21)=8.84;
*、P<0.05;
***、P<0.001;グループあたりn=3~10。
【
図13】TPA023Bのインビトロおよびインビボの薬理学的プロファイルを示す。(a)TPA023B(1μM、灰色)およびビククリン(bic10μM、矢印で示す)の存在下、対照条件下(黒色)で記録したGABA作動性IPSCの例(10連続電流トレースの平均)。緑色に重ねると、二重指数関数に適合する。IPSCは電場刺激によって誘発され、アクセス抵抗およびリーク電流をモニターするための過分極電圧ステップが先行した。IPSC減衰(b)および振幅(c)の加重時間定数の変化。円は個々のセルである。バーおよびエラーバーは平均±標準誤差である。P値は対応t検定から得られた。セルの数nは、両分析で7であった。
【
図14】急性掻痒のマウスモデルにおけるTPA023B(経口)の鎮痒作用を示す。掻痒応答は、α-Me5HT(20μg)の皮内注入によって誘発された。n=8、6、7、7、6および溶媒につき6匹のマウス、0.01、0.03、0.1、1.0および3.0mg/kg。
【
図15】TPA023Bの鎮痒作用がGABA
ARのベンゾジアゼピン結合部位を介して起こることを示す。右頬にα-メチル5-HT(20μg)を皮内注入した。TPA023B(1mg/kg、経口)は、野生型マウスにおいて強い鎮痒作用を示した。すべてのTPA023B感受性GABA
ARサブタイプがベンゾジアゼピン非感受性とされたHRRRマウスでは、TPA023Bはその鎮痒作用を完全に失っていた。二元ANOVA F(2,22)=6.45。遺伝子型×処置につきP=0.019。野生型およびHRRRマウス(n=6~7匹/グループ)の処置効果につき、それぞれP=0.005(
**)および0.60(ns)であった。TPA023B処置野生型マウスに対し、++、P<0.01であった。(C)野生型マウスにおける髄腔内注入TPA023B(0.3mg/kg)の鎮痒作用。右腿皮膚にクロロキン(100μg)を皮内注入した。
【
図16】GABA
ARαサブユニットにおけるH→R点突然変異がTPA023BによるGABA
ARのモジュレーションおよび結合を妨げることを示す。(A)HEK293細胞におけるα2GABA
ARのTPA023B(1μM)による陽性アロステリックモジュレーションは、α2サブユニットのH→R点突然変異によって消失する。(B)従って、TPA023Bは、α1、2、3、5H→R点突然変異マウスから調製した脳膜への[
3H]Ro15-4513結合を置換することができなかった。同じことが、α(H/H)受容体にのみ結合するジアゼパムについても確認された。対照的に、α(H/H)受容体およびα(R/R)受容体の両方に結合するブラタゼニルは、[
3H]Ro15-4513結合を用量依存的に阻害した。平均値±標準偏差、n=4。記号よりも小さなエラーバーは表示されない。
【
図17】野生型マウスにおいて髄腔内(すなわち、脊柱管内)注入TPA023B(0.3mg/kg)の鎮痒作用を示す。右腿皮膚にクロロキン(100μg)を皮内注入した。(a)注入した皮膚領域を咬んでいた時間(秒/分)。(b)起痒物質注入後0~10分の間に計数された掻爬発作の総数。P=0.008、不対t検定(n=6~7匹マウス)、(c)特異的に脊髄からα2GABA
ARを欠くhoxB8-α2
-/-マウスにおけるTPA023B(1mg/kg)の鎮痒作用。比較のために、GABA
ARα2
fl/flマウスおよび全体的α2GABA
AR(H→R)点突然変異マウスを示す。右腿にクロロキン(100μg)を皮内注入した。3つの遺伝子型すべてにおいて、クロロキン誘発咬合応答(注入した皮膚領域を咬んでいた合計時間)は実質的に同一であった(すべての比較につき、ANOVA、次いでボンフェローニのポストホック検定、F(14,2)=0.39、P=1.0)。対照的に、TPA023B(1mg/kg、経口)処置マウスの咬合応答は遺伝子型間で有意に異なった(ANOVA、次いでボンフェローニのポストホック検定、F(2,13)=10.6)。+、P≦0.05;++、P≦0.01。hoxB8-α2
-/-マウスと全体的α2
R/Rマウスとの間に有意差(P=0.45)は見られず、少なくともα2GABA
AR媒介成分が脊髄部位を介して発生したことを示した。
【実施例】
【0104】
脊髄後角の抑制ニューロンは、シナプス後標的ニューロンの興奮性を低下させるために、2つの高速アミノ酸伝達物質、GABAおよびグリシンを放出する。本実施例において、本発明者らは、GABA作動系にその努力を集中させ、脊髄GABAA受容体(GABAAR)の特定のサブタイプの薬理学的モジュレーションによる阻害を強化することにより、掻痒、特に慢性掻痒を抑制できるかどうかを調べた。GABAARは、19のサブユニットのレパートリーから構築されたアニオンチャネルである。脳および脊髄のGABAARの大部分は、化学量論的に2:2:1のα、βおよびγサブユニットで構成されている。哺乳動物ゲノムは、これらのサブユニット(α1-6、β1-3およびγ1-3)をコードする12の遺伝子を有する。脊髄GABAARは、β2/3サブユニットおよびγサブユニットと共に、主にα1、α2、α3またはα5サブユニットを含み、α4およびα6サブユニットは低密度にしか発現しないかまたは完全に欠損している。これらのGABAARの生理学的機能および薬理学的特性の差異は、主にαサブユニットによる。本発明者らは、GABAARを含むα2/α3を脊髄掻痒コントロールの重要な要素として同定するために遺伝子改変マウスを使用した。この結果を踏まえ、本発明者らはα2/α3GABAAR選択的化合物の潜在的な鎮痒作用を評価し、それらがマウスにおける急性ヒスタミン依存性およびヒスタミン非依存性掻痒を軽減するだけでなく、明らかな副作用なく、マウスおよび犬における慢性的掻痒を軽減することを示した。
【0105】
実施例1:ジアゼパム(DZP)の鎮痒効果
セロトニン誘発掻痒に対するDZPの効果を試験するために、ベンゾジアゼピン感受性α2、α3またはα5GABA
A受容体のいずれかを有するGABA
A受容体三重点突然変異マウス(Ralvenius et.al.、Nat Comm 6:6803、2015)を使用した。この特定の遺伝的背景(129SvJ)のマウスは、掻痒実験においてまだ系統的に分析されていないので、本発明者らは最初に、右頬に注入した一連の起痒物質に対するこれらのマウスの感受性を評価した。本発明者らは、重要な掻痒メッセンジャーセロトニンのより代謝的に安定した誘導体であるα-メチルセロトニン(α-メチル5-HT)の注入が、注入部位に導かれる用量依存的な強い掻爬行動を誘発することを見出した(
図12)。定義されたGABA
A受容体サブタイプの活性化によって誘発される可能性のある鎮痒効果を試験するために、マウスに各経口投与10mg/kgのDZPまたは溶媒を投与した。DZP注入の1時間後に、マウスに掻痒を誘発するために、セロトニン受容体アゴニストであるα-メチル-5-ヒドロキシ-トリプトアミン(α-Me-5HT)20μgを頬注入で投与した。20分が経過する間、同側の頬に導かれた掻爬発作を記録し、DZP注入マウスを溶媒注入対照マウスと比較した(
図1a、b)。
【0106】
DZP感受性α2またはα3GABAA受容体を有するマウスは、DZP処置に応答して掻爬発作の有意な減少を示したが、DZP感受性α5GABAA受容体のみを有するマウスは、DZP処置後の掻爬発作において有意な減少を示さなかった。α1受容体がベンゾジアゼピンの鎮静効果を与えるため、DZPの鎮痒効果に対するα1受容体の寄与の可能性は調べることができなかった。残りのα-サブユニットα4およびα6はDZOP非感受性であり、従ってDZPの鎮痒効果に寄与する可能性は非常に低い。結果として、本発明者らは、α2およびα3GABAA受容体によって媒介されるセロトニン誘発掻痒に対するベンゾジアゼピンDZPの鎮痒効果を実証している。
【0107】
実施例2:DZPの用量依存的鎮痒効果
20μgのα-Me-5HTによって誘発された掻痒に対する用量応答関係を確立するため、DZPに感受性のα2GABA
A受容体のみを有するマウス(RHRRマウス)に、溶媒、または0.1、0.3、1、3、10および30mg/kgのDZPで各経口投与した。30分が経過する間、α-Me-5HTを注入した頬に導かれた掻爬発作を記録し、DZP処置マウスを溶媒処置対照マウスと比較した(
図2a、b)。α-Me-5HTの1時間前にDZPまたは溶媒を注入した。本発明者らは、DZP処置による、α2GABA
A受容体によって媒介される掻痒発作の用量依存的減少を実証している。
【0108】
実施例3:接触性皮膚炎の慢性掻痒モデルにおけるジアゼパムの鎮痒効果
DZP感受性α2、α3またはα5GABA
A受容体のみを有するGABA
A受容体三重点突然変異マウスを、アセトン(オリーブ油(4:1)中に溶解した100μlの10%オキサゾロン(4-エトキシメチレン-2-フェニル-2-オキサゾリン-5-オン;Sigma Aldrich)で後頚部に処置した。7日目から17日目まで、これらのマウスを100μlの1%オキサゾロンで毎日処置して、接触性皮膚炎および慢性掻痒を誘発した。18日目に、マウスに10mg/kgDZPまたは溶媒を腹腔内注入した。後頚部に導かれた掻爬発作の数は、注入後4時間にわたって記録された(
図3a、b)。
【0109】
DZPを投与したマウスは、溶媒のみを投与したマウスと比較して、掻爬発作の数の有意な減少を示した(
図2b)。これは、DZPの鎮痒効果がα2およびα3GABA
A受容体を介して付与され、慢性掻痒のマウスモデルにおいても有効であることを実証する。
【0110】
実施例4:TPA023Bの鎮痒効果
本発明者らは、原理的にすべてのα2およびα3GABAA受容体アゴニストが好適な鎮痒物質であるというその知見をさらに支持することを目的として、TPA023B(Russell et.al.、J Med Chem、49(4):1235-8、2006)などの他のサブタイプ特異的GABAA受容体モジュレーターを、その鎮痒物質としての適性につき調べた。
【0111】
TPA023Bはα2、α3およびα5アゴニストであり、α1アンタゴニストは、鎮痒効果につき、野生型C57BL/6マウス(
図4a、b)での100μgヒスタミンの頬注入に対して最初に評価された。ヒスタミン注入の90分前に、各経口TPA023Bをマウスに注入した。TPA023Bの用量は、溶媒、0.01、0.03、0.1、1および3mg/kgであった。本発明者らは、ヒスタミン作動性掻痒に対するTPA023B処置による掻痒発作の用量依存的な減少を実証し、TPA023Bが野生型マウスにおいて鎮痒性であることを示している。
【0112】
TPA023Bがマウスに与え得る鎮静効果を排除するために、用量応答実験を含めた(
図4c)。マウスに、溶媒、0.3、1、3、10および30mg/kg)の種々の用量でのTPA023Bの各経口注入を行った。注入後、マウスをオープンフィールドの活動領域に配置し、注入の1時間後からの1時間、その活動を記録した。10mg/kgおよび30mg/kgの用量で注入されたマウスは、溶媒の注入のみを受けたマウスと比較して、活性の有意な増加を示し、野生型マウスにおけるTPA023Bの鎮静作用を排除した。
【0113】
野生型動物におけるTPA023Bの鎮痒効果を確認し、非ヒスタミン作動性掻痒に対する有効性を証明するために、第2の起痒物質を含めた。100μgのクロロキンを頬注入する90分前に、
図4と同じ用量のTPA023Bを注入した(
図5a、b)。本発明者らは、クロロキン誘発掻痒に対するTPA023B処置による掻痒発作の用量依存的減少を実証し、TPA023Bが野生型マウスの非ヒスタミン作動性掻痒に対して鎮痒性であることを確認している。臨床的に関連する疾患におけるTPA023Bの鎮痒効果を評価するために、慢性掻痒の接触性皮膚炎モデルを使用した。この目的のために、野生型C57BL/6マウスを、アセトン(オリーブ油(4:1)に溶解した100μLの10%オキサゾロン(4-エトキシメチレン-2-フェニル-2-オキサゾリン-5-オン、Sigma Aldrich)で後頚部に処置した。7日目から17日目まで、これらのマウスを100μlの1%オキサゾロンで毎日処置して、接触性皮膚炎および慢性掻痒を誘発した。18日目に、マウスに1mg/kgのTPA023Bを腹腔内注入した。後頚部に導かれた掻爬発作の数は、注入後15~210分の間記録された(
図6a)。TPA023B注入マウスは、溶媒注入マウスと比較して、掻爬発作の有意な減少を示した(
図6b)。従って、TPA023Bは、発明者の他の知見によれば、鎮痒物質として好適である。
【0114】
長期処置の後、TPA023Bの鎮痒効果に対する耐性の発現を、慢性掻痒の接触性皮膚炎モデルにおいて再び調べた。この目的のために、野生型C57BL/6マウスを、アセトン(オリーブ油(4:1)に溶解した100μLの10%オキサゾロン(4-エトキシメチレン-2-フェニル-2-オキサゾリン-5-オン、Sigma Aldrich)で後頚部に処置した。7日目から27日目まで、これらのマウスを100μlの1%オキサゾロンで隔日で処置して、接触性皮膚炎および慢性掻痒を誘発および維持した。17日目以降、マウスを溶媒または1mg/kgのTPA023Bの腹腔内注入で9日間連続して処置した。28日目に、マウスに溶媒またはTPA023B(1mg/kg)のいずれかを腹腔内注入した。注入後15~210分の間に後頚部に導かれた掻爬発作の数が記録された(
図7a)。28日目にTPA023B注入を受けたマウスは、溶媒注入を受けたマウスと比較して、掻爬発作において有意な減少を示した。これは7日目から27日目までに受けた処置とは無関係であった。溶媒のみを投与されたマウス(v/v)または7日目から27日目までTPA023Bを投与され、28日目に溶媒を投与されたマウス(d/v)と比較して、TPA023B処置を受けたマウス(d/d)は、7日目から27日目まで溶媒を投与され、28日目にTPA023Bを投与されたマウス(v/d)と同様の減少を示した(
図7b)。従って、本発明者らは、TPA023Bの鎮痒効果に対する耐性発達を排除する。
【0115】
実施例5:セロトニン誘発掻痒に対するTP003の鎮痒効果
ベンゾジアゼピンの鎮痒効果におけるα3GABAA受容体の機能は、α3GABAA受容体サブタイプ特異的アゴニストTP003(4,2’-ジフルオロ-5’-[8-フルオロ-7-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル]ビフェニル-2-カルボニトリル;Dias et.al.、J Neurosci、25(46):10682-10688;2005)を用いてさらに扱われた。
【0116】
野生型およびα3のみがDZP非感受性とされたGABA
AR単一点突然変異マウス(HHRHマウス)に、10mg/kgのTP003または溶媒を各経口注入で投与した。注入の1時間後に、マウスに20μgのα-Me-5HT頬注入を行い、掻痒を誘発した。20分が経過する間、同側の頬に導かれた掻爬発作を記録し、TP003注入マウスを溶媒注入対照マウスと比較した(
図8a、b)。
【0117】
TP003注入を受けた野生型マウスは、溶媒注入対照マウスと比較して掻爬発作の有意な減少を示し、HHRHマウスにおいては、TP003の鎮痒効果は不存在であった。従って、α3GABAA受容体の活性化は、セロトニン誘発掻痒後に鎮痒効果を生じるのに十分である。
【0118】
実施例6:NDMC接触性皮膚炎誘発掻痒の鎮痒効果
本発明者らは、接触性皮膚炎誘発慢性掻痒に対するα2およびα3GABA
A受容体アゴニストの鎮痒効果を確認しようと探求した。この目的のために、α2対α1で、改善された活性を有するベンゾジアゼピンであるN-デスメチルクロバザムを、その鎮痒効果について評価した(Jensen et.al.、PLoS One.2014年2月12日;9(2):e88456)。野生型C57BL/6マウスを、アセトン(オリーブ油(4:1)に溶解した100μLの10%オキサゾロン(4-エトキシメチレン-2-フェニル-2-オキサゾリン-5-オン、Sigma Aldrich)で後頚部に処置した。7日目から17日目まで、これらのマウスを100μlの1%オキサゾロンで毎日処置して、接触性皮膚炎および慢性掻痒を誘発した。18日目に、マウスに10mg/kgのNDMCを腹腔内注入した。後頚部に導かれた掻爬発作の数は、注入後15~210分の間記録された(
図9a)。NDMC注入マウスは、溶媒注入マウスと比較して、掻爬発作の有意な減少を示した(
図9b)。従って、NDMCは、実施例4のTPA023Bで得られた結果によれば、鎮痒物質としても好適である。
【0119】
実施例7:クロロキン誘発掻痒に対する神経ステロイドガナキソロンの鎮痒効果
GABA
A受容体を強化するベンゾジアゼピンとは別の分子クラスは、ガノキソロンなどの神経ステロイドである(Carter et.al.、J Pharmacol Exp Ther.1997年3月;280(3):1284-95)。掻痒の処置の標的としてのGABA
A受容体を確認するために、本発明者らは30mg/kgの腹腔内投与ガナキソロンで野生型C57BL/6Jマウスを前処置した(
図10a、b)。ガナキソロンを注入した動物は、溶媒処置したマウスと比較して、掻爬発作回数の有意な減少を示した。これらのデータは、ベンゾジアゼピン処置によるか神経ステロイド処置によるかにかかわらず、GABA
A受容体の阻害効果増強が、掻痒を軽減するための可能な戦略であることを示す。
【0120】
実施例8:二次掻痒ニューロンの脊髄掻痒受容体(pruritoceptor)への阻害性インプット
本発明者らは、GRP(ガストリン放出ペプチド)ニューロンを伝播する掻痒シグナルが局所阻害性介在ニューロンからのインプットを受けることを確認した。この目的のために、本発明者らは、GRP::creトランスジェニックマウスにおいて、GRPニューロンから開始した逆行性の単/経シナプス狂犬病ウイルスに基づく追跡実験を行った。この逆行追跡により、GRPニューロンへのシナプス前の多数の阻害性および興奮性ニューロンが同定された。注入された後角部の横断面を免疫蛍光イメージングによって分析した。AAV.flex.RabGに感染したCre陽性GRPニューロンおよび二次狂犬病ウイルス感染ニューロンを可視化した。Lmx1bおよびPax2を共染色すると、それぞれ39%興奮性および45%阻害性の経シナプス的に標識されたニューロンが明らかになった。経シナプス的に感染したニューロンの16%は、Lmx1bまたはPax2に対する抗体で染色されず、未分類のままであった。阻害性ニューロンの約半分(48%)は、後角の薄層I/IIに位置し、阻害性ニューロンの大部分は純粋にGABA作動性であった。残りの半分(52%)は、ほとんどの阻害性ニューロンがグリシンおよびGABAを共発現する、より深い層(薄層III/IV)に存在した。
【0121】
実施例9:一次掻痒受容体末端および二次掻痒ニューロンで発現するGABAARサブタイプ
本発明者らは、GRPニューロン(二次掻痒受容体)上のα1、α2、α3、およびα5GABAARサブユニットおよび一次MrgprA3陽性掻痒受容体の脊髄軸索および末端の存在を調べた。GRPニューロンおよびMrgprA3繊維の両方は、α2および/またはα3GABAARサブユニットを有する薄層IIに高密度で集中する。GRP陽性ニューロンおよびMrgprA3陽性軸索および末端を同定するために、本発明者らは、GRP::eGFPおよびMrgprA3::cre-eGFPトランスジェニックマウスを使用した。これらのマウスから調製した脊髄切片の分析により、α2およびα3GABAARサブユニットの発現が、GRPニューロンおよびMrgrpA3陽性末端の発現と重複することが確認された。対照的に、α1およびα5GABAARサブユニットは、薄層IIからは大部分が欠けていたが、深部の後角に集中していた。より高い倍率での共焦点分析により、α2およびα3GABAARサブユニットがMrgprA3繊維およびGRPニューロンによって実際に発現されたことがさらに実証された。
【0122】
実施例10:α2/α3選択的GABA
ARモジュレーターの鎮痒効果。
本発明者らは、遺伝子改変マウスで得られたデータが、GABA
ARサブタイプ選択的化合物の治療有効性で説明されるかどうかを試験した。この目的のために、本発明者らは、野生型マウスにおけるα1欠乏GABA
ARモジュレーターTPA023Bの鎮痒効果を試験した。TPA023Bを掻痒モデルで試験する前に、そのインビトロの薬理学的プロファイルを、GABA
ARの異なるサブタイプで一過的にトランスフェクトしたHEK293細胞において確認した。TPA023Bはα2β3γ2およびα3β3γ2GABA
ARのベンゾジアゼピン結合部位で部分的アゴニスト活性を有したが、α1β2γ2GABA
ARにおいてGABA誘導電流を増強せず、α5β2γ2GABA
ARにおいて非常に弱い増強効果しか有しなかった。これは、GABAの不存在下でGABA
ARを活性化しなかった。α2およびα3GABA
ARのベンゾジアゼピン結合部位でのこの部分的アゴニスト活性は、GRPニューロンにおけるGABA作動性阻害の促進を説明した(
図13)。GRP::eGFPマウスの急性的に調製した脊髄切片において実施された全細胞記録は、TPA023B(1μM)がGRPニューロンにおけるGABA作動性阻害シナプス後電流(GABA-IPSC)の減衰を43±10%(P<0.01、対応t検定、n=7)で有意に延長するが、GABA-IPSCの振幅には影響しないことを明らかにした。
【0123】
TPA023Bのこの好ましいインビトロプロファイルは、副作用の傾向の低下を説明するだろうか。α1GABAARにおけるアゴニスト活性の欠如と一致して、TPA023Bは最大3mg/kg(経口)の用量で鎮静作用を示さなかったが、代わりに1および3mg/kgでのオープンフィールド試験では自発運動活性を増加させ、α2GABAARの抗不安活性を反映しているようである。TPA023Bは、水平ワイヤ試験において筋弛緩を引き起こさず、ロータロッドアッセイにおける運動協応を低下させなかった。
【0124】
次に、本発明者らは、非ヒスタミン作動性掻痒の2つの介在物質であるクロロキン(100μg)およびα-メチル5-HT(20μg)、ならびにヒスタミン(100μg)の右頬への皮内注入によって誘発される急性掻痒に対する、全身(経口)TPA023Bの有効性を継続して調べた(
図5bおよび
図14)。クロロキン誘発掻爬行動は、野生型マウスにおいて、0.03mg/kg以上の用量でのTPA023Bによって減少した。α-メチル5-HT誘発掻痒およびヒスタミン誘発掻痒についても同様の効果が得られた。本発明者らは、TPA023Bの鎮痒効果がGABA
ARのベンゾジアゼピン結合部位におけるその効果によるものであることを確認するために、TPA023B(α2、α3およびα5GABA
AR)によるモジュレーションに感受性のすべてのGABA
ARがベンゾジアゼピン非感受性とされた、GABA
AR三重点突然変異マウスにおいて(すなわち、HRRRマウスにおいて)その効果を評価した。TPA023Bの鎮痒作用は、これらのマウスにおいて完全に失われた(
図15)。これらの実験の前提条件として、本発明者らはまた、αサブユニットにおけるH→R点突然変異がTPA023BによるGABA
ARの結合および強化を妨げることを確認した(
図16)。野生型マウス(
図17)における腰椎レベルでのTPA023B(0.3mg/kg)の髄腔内注入、および特異的に脊髄からα2GABA
ARを欠損したhoxB8-GABA
ARα2
-/-マウス(
図17)におけるTPA023B(3mg/kg、経口)の全身投与による後続実験により、TPA023Bの鎮痒作用が脊髄に由来すること、または顔の皮膚からのインプットの場合には髄質後角から由来することが確認される。
【0125】
材料および方法
マウス。ホモ接合型三重および四重(H→R)GABAAR点突然変異マウスは、以前に記載された単一点突然変異マウスの交雑育種によって生成した(Sun,Y.G.,et.al.、Science、2009、325、1531-1534;Ross,S.E.,et.al.、Neuron、2010、65、886-898;Rudolph,U&Moehler,H.Annu Rev Pharmacol Toxicol、2014、54、483-507)。GABAAR点突然変異マウスおよび対応する対照マウスは、(129X1/SvJ)背景であった。他のトランスジェニックマウス(単一GABAAR点突然変異マウスを含む)および対応する対照マウスは、C57BL/6遺伝的背景のものであった。BACトランスジェニックGRP::eGFP(Tg(Grp-EGFP)DV197Gsat/Mmucd)およびGRP::cre(Tg(Grp-cre)KH288Gsat/Mmucd)は、GENSATプロジェクト(http://www.gensat.org)から得た。さらに、BACトランスジェニックMrgprA3::cre-eGFP(Tg(Mrgpra3-GFP/cre)#Xzd)(Han,L.,et.al.、Nat Neurosci、2013、16、174-182)を使用した。これらの3つのBACトランスジェニックマウス系統はヘテロ接合状態に維持された。TVAレポーターマウス(Gt(ROSA)26Sor<tm1(Tva)Dsa)(Seidler,B.,et.al.、Proc Natl Acad Sci USA、2008、105、10137-10142)は、cre依存的方法で遍在性プロモーターからTVAトランスジーンを発現する。
【0126】
薬物。ジアゼパムはSigmaから入手した。TPA023B(6,2’-ジフルオロ-5’-[3-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)イミダゾ[1,2-b][1,2,4]トリアジン-7-イル]ビフェニル-2-カルボニトリル)は、ANAWAによって合成され、純度は>95%であった。マウスへの経口(p.o.)および腹腔内(i.p.)投与のために、ジアゼパムおよびTPA023Bを0.9%生理食塩水/1%Tween80中に懸濁させた。電気生理学的実験および放射性リガンド結合のために、TPA023BをDMSOに溶解し、0.001~1μM(最終DMSO濃度≦0.12%)まで細胞外溶液で希釈した。
【0127】
AAV調製。AAV.flex.mCherry-2A-RabGベクターを社内でクローニングし、Penn Vector Core(Perelman School of Medicine、University of Pennsylvania)でカスタムサービスを用いてパッケージングした。pAAV-Ef1a-DIO-hChR2(H134R)-mCherryWPRE-pAからAscIおよびNheIを用いてChR2-mCherry融合タンパク質を切り出し、これをPCR増幅mCherry-2A-RabG cDNAで置換することにより、AAV.flex.mCherry-2A-RabGベクターをクローニングした。血清型1ベクターのAAVをこの研究で使用した。
【0128】
脊髄内ウイルス注入。動物を2~5%イソフルランで麻酔し、腰椎L4およびL5を露出した。次いで動物を電動定位固定枠に入れ、一対の脊髄アダプターを用いて脊柱を固定した。脊椎薄層および背部棘突起を除去して、L4腰椎切片を露出した。硬膜は、傾斜した30Gの針を用いて背部血管の約500μm左に穿孔された。ウィルスベクターは、10μlのHamiltonシリンジに取り付けられたガラスマイクロピペット(チップ直径30~40μm)を用いて200~300μmの深さで注入された。注入速度(30nl/分)は、nanomiteアタッチメント(Harvard Apparatus、Holliston、MA)を有するPHDウルトラシリンジポンプを用いて制御した。注入後5分間、マイクロピペットをその場に残した。創傷を縫合し、動物に0.03mg/kgのブプレノルフィンを腹腔内注入し、ヒートマットで回復させた。狂犬病ウイルスを注入したマウスを、注入の3~5日後に灌流に供した。
【0129】
逆行性追跡実験。逆行性単シナプス追跡実験は、腰部脊髄のニューロンを発現するGRP::creから開始した。二段階戦略が用いられた。これは、最初に、バイシストロン性Cre依存性mCherryおよび狂犬病糖タンパク質(RbG)発現カセットを含むAAVヘルパーウイルス(AAV.flex.mCherry-2A-RabG;300nlの注入あたり2.9×109GC)の注入、および14日後のEnvA(鳥肉腫白血病ウイルス「A」エンベロープ糖タンパク質)シュードタイプ糖タンパク質欠損狂犬病ウイルス(EnvA.Rabies△G.eGFP;500nlの注入あたり1×106GC)の後続注入を含む。Rosa26レポーターマウス系統(Seidler,B.,et.al.、Proc Natl Acad Sci USA、2008、105、10137-10142)から発現されたTVAタンパク質は、Grp::Cre+ニューロンの細胞型特異的感染を可能にし、RbGは初代感染ニューロンにおいて糖タンパク質欠損狂犬病ウイルスをトランス補完するために発現された。その後の神経化学分析のために、マウスを狂犬病ウイルス注入の5日後にPBS中の4%パラホルムアルデヒド(PFA)で灌流し、続いてPBS中の4%PFAで1~2時間、後固定した。組織を25μm厚の冠状凍結切片へと切断し、これをSuperfrost Plus顕微鏡スライド(Thermo Scientific、Zurich、Switzerland)上に置いた。以下の抗体を使用した:ラット抗mCherry(1:1000)、ウサギ抗GFP(1:1000)、ニワトリ抗GFP(1:1000)、モルモット抗Lmx1b(1:10,000、Carmen Birchmeierから贈呈)、ウサギ抗Pax2(1:400)ならびにシアニン3(Cy3)-、Alexa Fluor488-、DyLight488-、647-および649-結合ロバ二次抗体(1:500;Dianova、Hamburg、Germany)。
【0130】
画像分析。蛍光画像を、0.8NA 20x Plan-apochromat対物レンズまたは1.3 NA 63x EC Plan-Neofluar油浸対物レンズおよびZEN2012ソフトウェア(Carl Zeiss)を使用して、Zeiss LSM710 Pascal共焦点顕微鏡で取得した。適用可能な場合は常に、ImageJまたはAdobe Photoshop(Adobe Systems、Dublin、Ireland)でコントラスト、イルミネーションおよび偽色を調整した。4~8匹の動物から調製した切片で細胞数を定量し、1匹につき少なくとも4つの切片を分析した。隣接する切片における細胞の二重計数を避けるために、定量に使用したすべての切片は少なくとも50μmの距離で採取した。免疫応答細胞の数は、ImageJ Cell Counterプラグインを用いて決定した。
【0131】
GABAARサブユニットの免疫組織化学および画像分析。GABAARαサブユニットとMrgprA3末端およびGRPニューロンとの共局在化を、40μm厚の水平マウス腰部脊髄凍結切片上で視覚化した。マウスをペントバルビタール(ネンブタール、50mg/kg、腹腔内)で深く麻酔し、酸素化aCSFで灌流した。脊髄を圧出により迅速に集め、氷冷4%PFA中に90分間置いた。次いで、脊髄を30%ショ糖/PBS溶液中で一晩凍結保存し、ドライアイスで急速凍結し、厚さ40μmの冠状フリーフローティング切片へと切断し、染色の日まで-20℃の不凍液中に保持した(Seidler,B.,et.al.、Proc Natl Acad Sci USA、2008、105、10137-10142(2008)。抗体は自家製のサブユニット特異的抗血清であった(Seidler,B.,et.al.、Proc Natl Acad Sci USA、2008、105、10137-10142(2008)。最終希釈率は1:20,000(α1)、1:1,000(α2)、1:10,000(α3)、および1:3,000(α5)であった。後角GRPニューロンにおけるGABAARαサブユニットの分布を、上記のように2~3匹の雄GRP::eGFPトランスジェニックマウスから調製した冠状切片上の免疫蛍光染色によって分析した。染色のために、切片を2%正常ヤギ血清を含有するトリス緩衝液で希釈した一次抗体の混合物と共に4℃で一晩インキュベートした。切片を広範囲に洗浄し、Cy3(1:500)、Cy5(1:200)(Jackson ImmunoResearch)またはAlexa488(1:1000、Molecular Probes、Eugene、OR)にコンジュゲートさせた対応する二次抗体と共に室温で1時間インキュベートした。切片を再度洗浄し、蛍光搭載培地(DAKO、Carpinteria、CA)でカバーした。
【0132】
画像取得および分析は、以前に記載されたようにして行った(Paul,J.、Zeilhofer、H.U.&Fritschy、J.M.J Comp Neurol、2012、520、3895-3911)。63x Plan-Apochromat対物レンズ(N.A.1.4)を用いて、二重免疫蛍光シグナルを共焦点顕微鏡(LSM 710;Zeiss AG、Jena、Germany)によって視覚化した。ピンホールは各チャネルごとに1Airy単位に設定し、別々のカラーチャネルを順番に取得した。取得設定は、光電子増倍管のダイナミックレンジ全体をカバーするように調整された。典型的には、0.3μm離れた共焦点画像(1024×1024ピクセル)のスタックを、56~130nm/ピクセルの倍率で取得した。表示のために、画像分析ソフトウェアImaris(Bitplane;Zurich、Switzerland)で画像を処理した。必要に応じて、すべてのチャネルからの画像を重ね合わせ(最大強度投影)、バックグラウンドを差し引いた。αサブユニット染色を表示する画像にはローパスフィルタを用いた。GRP::eGFPニューロンおよび樹状突起におけるαサブユニット-IR分布の解析は、閾値セグメント化アルゴリズムを用いて、8ビットグレースケール画像で78nm/ピクセルの倍率で取得した、2~3匹のマウスからの単一共焦点切片において行った(最小強度、90~130;面積>0.08μm2)。
【0133】
皮膚組織学および免疫蛍光。背中の皮膚の炎症部および健常部を採取した。組織をOCT化合物(Sakura Finetek、Torrance、USA)中に包埋し、ドライアイス上で凍結させた。クリオスタット切片(7μm)をガラススライド上に置き、空気乾燥させ、アセトンで-20℃で2分間固定し、続いて80%メタノールで4℃で5分間再湿潤させた。検体を5%ロバ血清、0.1%Triton-Xおよび1%BSA含有PBSと共に室温で1時間インキュベートした後、ラット抗マウスCD68(1:200;Abcam、Cambridge、United Kingdom)で4℃で一晩インキュベートした。試料を室温で30分間、Alexa Fluor488-または594-結合二次抗体およびHoechst33342(すべてInvitrogen、Life Technologies、Carlsbad、USA)と共にインキュベートした。AxioCam MRcカメラ(Zeiss)およびPlan-Apochromat 0.45NA 10x対物レンズ(Zeiss)を備えたAxioskop 2 mot plus顕微鏡(Carl Zeiss、Feldbach、Switzerland)でCD68染色切片を検査した。Axio-Visionソフトウェア4.8を使用して、切片ごとに少なくとも4つの個別視野の画像を取得した。ImageJ v1.49を用いて、角質層と組織内に300μmシフトしたその輪郭との間の蛍光領域を測定した。結果は、基底膜1μmあたりのCD68陽性面積(μm2)として表される。
【0134】
HEK293細胞記録における電気生理学的記録。組換えGABAARによる電流に対するTPA023Bの効果を、GABAARを一時的に発現するHEK293細胞(ATCC)において研究した。リポフェクタミンLTXを用いてHEK293細胞をトランスフェクトした(Dugue,G.P.,et.al.、Neuron、2009、61、126-139)。本発明者らは、すべての記録細胞においてγ2サブユニット(BDZによるGABAARのモジュレーションに必要)の発現を確実にするために、IRESからのγ2サブユニット+eGFPを発現するプラスミド、および記録のために選択されたeGFP陽性細胞のみで細胞をトランスフェクトした。トランスフェクション混合物は、1α1、1β2、3γ2/eGFP(成功したトランスフェクションのマーカーとして用いた)を含有し、またはα2、α3もしくはα5GABAARの場合には1αx、1β3、3γ2/eGFPを含有した(μg単位)。記録はトランスフェクションの18~36時間後に行った。GABA誘発電流の全細胞パッチクランプ記録は、室温(20~24℃)および保持電位-60mVで行った。記録電極は、120CsCl、10EGTA、10HEPES(pH7.40)、4MgCl2、0.5GTPおよび2ATP(mM単位)を含有する溶液で満たした。外部溶液は、150NaCl、10KCl、2.0CaCl2、1.0MgCl2、10HEPES(pH7.4)および10グルコース(mM単位)を含有した。低飽和GABA濃度(EC5)の手動制御パルス(4~6秒)を用いて、GABAを記録細胞に適用した。分析されたすべてのサブユニットの組み合わせについて、GABAのEC5値を決定した。EC50値およびヒル係数(nH)は、式IGABA=Imax[GABA]nH/([GABA]nH+[EC50]nH)に対する正規化濃度-応答曲線の適合から得られた。Imaxは、1mM GABAの濃度によって誘発された平均最大電流として決定された。TPA023BをDMSOに溶解し、続いて記録溶液で希釈し、プレインキュベーションせずにGABAと共に同時適用した。
【0135】
脊髄切片における電気生理学的記録。以前に記載されたようにいずれかの性別の20~29日齢のGRP::eGFPマウスから横脊髄切片(厚さ400μM)を調製した(Dugue,G.P.,et.al.、Neuron、2009、61、126-139)。全細胞パッチクランプ記録を、eGFP陽性ニューロンを標的として室温で行った。記録中、切片は、95%O2、5%CO2で平衡化した、120NaCl、2.5KCl、1.25NaH2PO4、26NaH2CO3、5HEPES、1MgCl2、2CaCl2および14.6グルコース(pH7.4)(mM単位)を含有するSCFで1~2ml/分の速度で連続的に灌流した。記録されたニューロンを、Patchmaster取得ソフトウェアで制御されたEPC9増幅器(HEKA Elektronic、Lambrecht、Germany)を用いて-70mVで電圧クランプした。120CsCl、2MgCl2、6H2O、10HEPES、0.05EGTA、2MgATP、0.1NaGTP、5QX-314(pH7.35)(mM単位)を含む細胞内溶液でパッチピペット(ホウケイ酸ガラス;3.5~4.5MΩ)を充填した。IPSCは、aCSFで充填されたガラス電極を用いて0.05Hzで電気刺激(300μs、0.2~50V)によって誘発され、記録細胞の細胞体から50~100μmの位置に置かれた。実験は、IPSCのGABA作動性成分を単離するために、NBQX(20μM)、APS(50μM)およびストリキニン(0.5μM)の存在下で行った。記録の最後にビククリン(10μM)を添加して、記録されたIPCSのGABA作動性を確認した。加重減衰時間定数(τw)は、以下の式を使用して二重指数適合から計算した:τw=(τ1A1+τ2A2)/(A1+A2)式中、τ1およびτ2は高速減衰時間定数および低速減衰時間定数であり、A1およびA2は同等の振幅重み係数である(Labrakakis,C、Lorenzo,L.E.、Bories,C、Ribeiro-da-Silva,A.&De Koninck,Y Mol Pain、2009、5、24)。電気刺激の前に短い過分極電圧ステップを適用して各ニューロンのアクセス抵抗を連続的にモニターした。アクセス抵抗が20%を超えて変化したセルは分析から除外した。
【0136】
[3H]Ro15-4513結合。すべての高親和性ジアゼパム感受性結合が不活性化された、8~10週齢の四重RRRR(H→R)点突然変異マウスの脳組織を、20倍量のプロテアーゼ阻害剤(Complete Mini、Roche Diagnostics)を含む10mMトリス-HCl、pH7.4、100mM KCl中でホモジナイズし、1000gで10分間遠心分離した。上清を30,000gで20分間遠心分離し、得られた粗膜ペレットを緩衝液で1回洗浄した。放射性リガンド結合のために、粗膜のアリコート(100μg)を、増加した濃度のジアゼパム(ジアゼパム感受性部位に結合する)、ブレタゼニル(ジアゼパム感受性および非感受性部位に結合する;ref.48)またはTPA023Bおよび4nMの[3H]Ro15-4513(22.7Ci/mmol、PerkinElmer、ジアゼパム感受性および非感受性部位に結合する)で、全量0.2mlで氷上で90分間インキュベートした。非特異的[3H]Ro15-4513結合を、10μMのフルマゼニルを反応物に添加することによって評価した。半自動細胞採取装置(Skatron Instruments)を用いた急速真空ろ過によりインキュベーションを停止し、洗浄したフィルターを液体シンチレーション計数に付した。
【0137】
マウスにおける行動実験。すべての行動実験は、7~12週齢の雌および雄のマウスで行った。同数の雌および雄のマウスを確保するように注意した。すべての行動実験は、マウスの遺伝子型または薬物もしくは溶媒によるそれらの処置のいずれかを知らない、男性の実験者によって行われた。ジアゼパムまたはTPA023Bと溶媒との比較を含む実験において、マウスを異なるグループにランダムに割り当てた。
【0138】
実験の少なくとも1日前に剃毛された右頬に、起痒物質または0.9%生理食塩水の皮内マイクロ注入を受けたマウスにおいて、急性掻痒を評価した。GABA
ARの一次および二次掻痒受容体における寄与を扱う2組の実験では、右大腿に起痒物質が注入された(
図17)。注入前に、マウスを地上に置かれたケージで30分超、直径15cmの円筒状の囲いに順化させた。周囲の音量で部屋のラジオによって生成されたバックグラウンドのホワイトノイズを、聴覚の注意散漫を防ぐために適用した。30ゲージの針を斜めに挿入し、起痒物質(全量10μl中)を注入する前に挿入点を越えて皮膚中に水平に5mm押し込んだ。麻酔は使用されなかった。正確な注入は、注入時にわずかなドーム状の水疱の出現によって確認された。注入後、マウスを円筒状の囲いに戻し、30分間ビデオ撮影した。ビデオはオフラインで解析した。同側の頬に導かれた後肢の掻爬は、発作に計数され、1掻爬は、マウスが掻爬のために足を持ち上げて足をケージの床に戻すまでとして定義した。大腿部の皮膚に起痒物質を注入した実験の場合、注入した皮膚領域を咬んでいた時間は、掻痒の尺度として秒/分で計数した。
【0139】
慢性掻痒は、接触性皮膚炎モデルにおいて調べられた(Kido-Nakahara,M.,et.al.、J Clin Invest、2014、124、2683-2695)。0日目に剃毛した後頚部上のアセトン/オリーブ油(4:1v/v)中の10%オキサゾロン(100μl)でマウスを1回処置した。7日間の休止期間の後、10日間隔日で、後頚部上のアセトン/オリーブ油(4:1v/v)中の1%オキサゾロン(100μl)でマウスを処置した。実験の日に、マウスに短時間かつ軽度のイソフルラン麻酔下で、薬物または溶媒を腹腔内注入した。同側の頬に導かれた後肢の掻爬は、掻爬数として定量化した。
【0140】
以前に記載されているように、運動活性、筋弛緩作用および運動協応を評価した(Ralvenius,W.T.、Benke,D.、Acuna,M.A.、Rudolph,U.&Zeilhofer,H.U.Nature Communications、2015、6)。簡潔には、試験の60分前にTPA023B(1mg/kg、経口)または溶媒を投与した。TPA023B投与後60~120分の時間間隔の間、運動活性を分析した。運動協応は、5分以内に4rpmから40rpmまで加速するロータロッドで評価した。TPA023B投与の60分後、マウスをロータロッド上に置いた。マウス1匹あたり15回の測定が行われた。筋弛緩を評価するために、マウスを、地上20cmに置かれた金属水平ワイヤ上にその前足をのせて置いた。TPA023B投与後60分~120分の間に、少なくとも1つの後肢でワイヤを掴むことにつき成功および失敗を記録した。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[1]掻痒の処置に使用するための化合物であって、前記化合物が一般式(1a)、一般式(1b)または一般式(1c)を含み、
【化15-1】
特に式(1a)および(1b)、より特定的には(1a)を含み、式中、
- X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5は互いに独立して-C、-N、-Sまたは-Oであり、X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5のうち少なくとも2つは-Nであり、
- Y
1およびY
2は互いに独立して-Cまたは-Nであり、
- R
1
mのmは1であり、
- R
1は非置換フェニル、C
1~C
4-アルキル、F、Cl、Br、I、-CNで置換されたフェニル、置換または非置換ビフェニル、または-(C=O)-R
3であり、R
3は置換または非置換アリール、または5~6員環ヘテロアリール、特にC
6アリールまたは6員環ヘテロアリール、より特定的には6員環ヘテロアリールであり、
- R
2
nのnは1または2であり、
- 各R
2は他のR
2から独立して置換または非置換C
3~C
8シクロアルキル、置換または非置換C
1~C
6アルキル、置換または非置換C
1~C
6アルコール、置換または非置換6員環ヘテロアリール、ハロゲン、特に-F、または-O-CH
2-R
4であり、R
4は置換または非置換5員環または6員環ヘテロアリール、特に5員環ヘテロアリールであり、
- Z
1、Z
3、Z
4およびZ
5は互いに独立して-C、-N、-Sまたは-Oであり、
特にZ
1は-Cまたは-Nであり、Z
3およびZ
4は-C、-N、-Sまたは-Oであり、
- A
1およびA
2は互いに独立して-C、-Nまたは-(C=O)-O-R
7’であり、A
3は-(C=O)-O-R
7’であり、-R
7’はC
1~C
6-アルキルであり、特にA
1およびA
2は互いに独立して-Cまたは-Nであり、A
3は-(C=O)-O-R
7’であり、R
7’はC
1~C
6-アルキル、特にC
1~C
2-アルキル、より特定的にはC
2-アルキルであり、
- R
5
lのlは1または2であり、
- 各R
5は互いに独立してC
1~C
4アルキニルまたはハロゲンであり、
- R
6
kのkは1、2、3または4、特に1または2であり、
- 各R
6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、酸素または水素、特に置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、より特定的には置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールであり、
- R
12のpは1または2、特に1であり、
- R
12は互いに独立して置換または非置換C
1~C
4-アルキル、I、Br、ClまたはFであり、
- R
13のqは1、2、3または4であり、
- R
13は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、酸素または水素である、
化合物。
[2][1]に記載の掻痒の処置に使用するための化合物であって、前記化合物が陽性アロステリックα2および/またはα3GABA
A受容体モジュレーターである、化合物。
[3][1]または[2]に記載の掻痒の処置に使用するための化合物であって、前記化合物が一般式(1a)、一般式(1b)または一般式(Ic)、特に式(1a)および(1b)、より特定的には(1a)を含み、式中、
- X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5は互いに独立して-Cまたは-Nであり、X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5のうち少なくとも2つは-Nであり、
- Y
1およびY
2は互いに独立して-Cまたは-Nであり、
- R
1
mのmは1であり、
- R
1は非置換フェニル、C
1~C
4-アルキル、F、Cl、Br、I、-CNで置換されたフェニル、置換または非置換ビフェニル、または-(C=O)-R
3であり、R
3は置換または非置換アリール、または5~6員環ヘテロアリール、特にC
6アリールまたは6員環ヘテロアリール、より特定的には6員環ヘテロアリールであり、
- R
2
nのnは1または2であり、
- 各R
2は他のR
2から独立して置換または非置換C
3~C
8シクロアルキル、置換または非置換C
1~C
6アルキル、置換または非置換C
1~C
6アルコール、置換または非置換6員環ヘテロアリール、ハロゲン、特に-F、または-O-CH
2-R
4であり、R
4は置換または非置換5員環または6員環ヘテロアリール、特に5員環ヘテロアリールであり、
- Z
1、Z
3、Z
4およびZ
5は互いに独立して-Cまたは-Nであり、
- A
1およびA
2は互いに独立して-Cまたは-Nであり、A
3は-(C=O)-O-R
7’であり、R
7’はC
1~C
4-アルキル、特にC
1~C
2-アルキル、より特定的にはC
2-アルキルであり、
- R
5
lのlは1または2であり、
- 各R
5は互いに独立してC
1~C
4アルキニルまたはハロゲンであり、
- R
6
kのkは1、2、3または4、特に1または2であり、
- 各R
6は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、酸素または水素、特に置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、より特定的には置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールであり、
- R
12のpは1であり、
- R
12は置換または非置換C
1~C
4-アルキル、I、Br、ClまたはFであり、
- R
13のqは1、2、3または4であり、
- R
13は互いに独立して置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、酸素または水素である、化合物。
[4][1]~[3]のいずれかに記載の化合物であって、前記化合物が、一般式(2)、(3)、(4)、(5)、(Ic)または(7)、特に(2)、(3)、(4)、(5)または(7)、より特定的には(2)、(3)、(4)または(5)を含み、
【化15-2】
Y
1、Y
2、Z
4、Z
5、R
1
mのm、R
1、R
3、R
2
nのn、R
2、R
4、R
12のp、R
12、R
13のq、R
13、R
5
lのl、R
5、R
6
kのk、R
6、A
1、A
2およびA
3は上記定義と同じ意味を有する、化合物。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の化合物であって、前記化合物が、一般式(2a)、(3a)、(4a)、(5a)、(5b)、(Ic)または(7a)、特に(2a)、(3a)、(4a)、(5a)、(5b)または(7a)、より特定的には(2a)、(3a)、(4a)、(5a)または(5b)を含み、
【化15-3】
R
1
mのm、R
1、R
3、R
2
nのn、R
2、R
4、R
12のp、R
12、R
13のq、R
13、R
5
lのl、R
5、R
6
kのkおよびR
6は上記定義と同じ意味を有する、化合物。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の化合物であって、
- R
1のmは1であり、R
1は、
- 非置換フェニル、
- 置換基としてC
1~C
4-アルキル、F、Cl、Br、I、-CNを含む置換フェニル(特に前記置換フェニルは置換基として少なくとも1つの-Fを含む)、
- 非置換ビフェニル、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、または
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニル、または
- -(C=O)-R
3(R
3はピリジン)である、
化合物。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の化合物であって、
- R
2のnは1または2であり、R
2は、
- 非置換C
3~C
8シクロアルキル、特にC
4-シクロアルキル、
- 非置換C
1~C
6アルキル、特にtert-ブチル、または
- -O-CH
2-R
4(R
4は置換または非置換5員環ヘテロアリール、特にR
4は置換または非置換トリアゾール)、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコール、より特定的にはイソプロパノール、
- ハロゲン、特に-F、
- 非置換6員環ヘテロアリール、特にピリジンである、化合物。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の化合物であって、
- R
2のnは2であり、
- 1つのR
2は、
- 非置換C
3~C
8シクロアルキル、特にC
4-シクロアルキル、または
- 非置換C
1~C
6アルキル、特にtert-ブチルであり、
- 他のR
2は、
- -O-CH
2-R
4(R
4は置換または非置換5員環ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾール)であり、または
- 1つのR
2は、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコール、より特定的にはイソプロパノールであり、
- 他のR
2は、
ハロゲン、特に-Fである、化合物。
[9][1]~[7]のいずれかに記載の化合物であって、R
2のnは1であり、R
2は非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコール、または非置換6員環ヘテロアリール、特にピリジンであり、特にR
2はC
3アルコール、より特定的にはイソプロパノールである、化合物。
[10][1]~[9]のいずれかに記載の化合物であって、
- R
5のlは1であり、R
5は、
- I、Cl、Br、F、特にI、または
- C
2アルキニルである、化合物。
[11][1]~[10]のいずれかに記載の化合物であって、R
6のkは1であり、R
6は置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、特に置換または非置換C
6アリール、5~6員環の置換または非置換ヘテロアリール、より特定的にはフェニル、FもしくはClで置換されたフェニル、チオフェンまたはピリジンである、化合物。
[12][1]~[11]のいずれかに記載の化合物であって、前記化合物が、一般式(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)、(5b’)、(VI)または(7a’)、特に(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)、(5b’)または(7a’)、さらにより特定的には(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)または(5b’)を含み、
【化15-4】
- R
10は置換または非置換アリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、または水素、特に水素であり、
- R
11は置換または非置換アリール、置換または非置換C
1~C
3アルキル、または水素、特に置換または非置換アリール、より特定的にはフェニルであり、
- R
12のpは1であり、R
12はI、Br、ClまたはF、特にClであり、
- R
1、R
3、R
2
nのn、R
2、R
4、R
10、R
11、R
12のp、R
12、R
5、R
6
kのk、およびR
6は上記定義と同じ意味を有する、化合物。
[13][1]~[12]のいずれかに記載の化合物であって、前記化合物が、一般式(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)、(5b’)、(VI)または(7a’)、特に(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)、(5b’)または(7a’)、さらにより特定的には(2a’)、(3a’)、(4a’)、(5a’)または(5b’)を含み、
式中、
- R
1は、
- 式(2a’)の場合、
- 置換または非置換C
6アリール、特に
- 非置換フェニル、
- 置換基としてC
1~C
4-アルキル、F、Cl、Br、I、-CNを含む置換フェニル(特に前記置換フェニルは置換基として少なくとも1つの-Fを含む)であり、
- 式(3a’)、(5a’)または(5b’)の場合、
- 置換または非置換ビフェニル、特に
- 非置換ビフェニル、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、または
- 式(4a’)の場合、
- -(C=O)-R
3(R
3は置換または非置換C
6ヘテロアリール)であり、特に
- R
3はピリジンであり、
- R
5は、
- 式(7a’)の場合、
- C
2アルキニルまたはI、特にC
2アルキニルであり、
式中、R
2
n、R
10、R
11およびR
12
pおよびR
6
kは上記定義と同じ意味を有する、化合物。
[14][1]~[13]のいずれかに記載の化合物であって、前記化合物が、一般式(2a’’)、(3a’’)、(4a’’)、(5a’’)、(5b’’)、(VIa’’)または(7a’’)、特に(2a’’)、(3a’’)、(4a’’)、(5a’’)、(5b’’)または(7a’’)、より特定的には(2a’’)、(3a’’)、(4a’’)、(5a’’)または(5b’’)を含み、
【化15-5】
式中、R
1は上記定義と同じ意味を有し、
- R
7は、
- 非置換C
1~C
6アルキル、特にtert-ブチル、
- 非置換C
3~C
8シクロアルキル、特にC
4-シクロアルキル、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコールであり、特に
- R
7は、式(2a’’)の場合、
- 非置換C
1~C
6アルキル、特にtert-ブチル、または
- 非置換C
3~C
8シクロアルキル、特にC
4-シクロアルキルであり、または
- R
7は、式(5a’’)または(5b’’)の場合、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコールであり、
- R
8は、
- -O-CH
2-R
4(R
4は置換または非置換5員環ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾール)、または
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコールであり、特に
- R
8は、式(2a’’)の場合、
- -O-CH
2-R
4(R
4は置換または非置換5員環ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾール)であり、または
- R
8は、式(3a’’)の場合、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコールであり、
- R
9は、
- 非置換C
6ヘテロアリール、特にピリジン、または
- ハロゲン、特に-Fであり、
- R
9は、式(4a’’)の場合、
- 非置換6員環ヘテロアリール、特にピリジン、または
- R
9は、式(5b’’)の場合、
- ハロゲン、特に-Fであり、
- R
10は、
- C
1~C
3アルキルまたは水素、特に水素であり、
- R
11は置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、特にピリジン、チオフェン、フェニルまたはFもしくはClで置換されたフェニルであり、
- R
14は置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、特に置換または非置換アリール、より特定的にはフェニルであり、
- R
12はI、Cl、BrまたはF、特にClであり、
- R
5はC
2アルキニルまたはI、特にC
2アルキニルである、
化合物。
[15][1]~[14]のいずれかに記載の化合物であって、前記化合物が、一般式(2a’’)、(3a’’)、(4a’’)、(5a’’)または(5b’’)を含み、
【化15-6】
式中、
- 式(2a’’)の場合、
- R
1は、
- 非置換フェニル、
- 置換基としてC
1~C
4-アルキル、F、Cl、Br、I、-CNを含む置換フェニル(特に前記置換フェニルは置換基として少なくとも1つの-Fを含む)であり、
- R
7は、
- 非置換C
1~C
6アルキル、特にtert-ブチル、または
- 非置換C
3~C
8シクロアルキル、特にC
4-シクロアルキルであり、および
- R
8は、
- -O-CH
2-R
4(R
4は置換または非置換5員環ヘテロアリール、特に置換または非置換トリアゾール)であり、
- 式(3a’’)の場合、
- R
1は、
- 非置換ビフェニル、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、または
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、
-特にR
1は、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであり、
- R
8は、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコール、より特定的にはイソプロパノールであり、
- 式(4a’’)の場合、
- R
1は、
-(C=O)-R
3(R
3は非置換6員環ヘテロアリール、特にR
3はピリジン)であり、および
- R
9は、
- 非置換C
6ヘテロアリール、特にピリジンであり、
- 式(5a’’)の場合、
- R
1は、
- 非置換ビフェニル、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、
-特にR
1は、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、
- R
7は、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコール、より特定的にはイソプロパノールであり、
- 式(5b’’)の場合、
- R
1は、
- 非置換ビフェニル、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、
-特にR
1は、
- 置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニル、特に親部分に結合していないフェニル部分上に、置換基として少なくとも1つの-CNを含む置換ビフェニルであって、特に1つのフェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含み、より特定的には各フェニル部分がさらに置換基として少なくとも1つの-Fを含む置換ビフェニルであり、
- R
7は、
- 非置換C
1~C
6アルコール、特にC
3アルコール、より特定的にはイソプロパ
ノールであり、
- R
9は、
- ハロゲン、特に-Fである、化合物。
[16]セロトニン誘発掻痒、ヒスタミン誘発掻痒、クロロキン誘発掻痒、化合物48/80(CAS番号94724-12-6)誘発掻痒および胆汁酸誘発掻痒、特にセロトニン誘発掻痒、クロロキン誘発掻痒、化合物48/80誘発掻痒および胆汁酸誘発掻痒、より特定的にはセロトニン誘発掻痒の予防に使用するための、[1]または[15]のいずれかに記載の化合物。
[17]動物における掻痒の処置に使用するための、[1]または[15]のいずれかに記載の化合物。
[18]掻痒の処置に使用するための陽性アロステリックα2またはα3GABA
A受容体モジュレーターであって、特に[1]~[15]のいずれかによるモジュレーター。